説明

通信システムの同期方法

【課題】通信システムの同期方法を提供する。
【解決手段】一のユーザ装置及び一のワイヤレスネットワークを含む通信システムの同期方法であって、前記ワイヤレスネットワークを使用して、一の論理リンク上で前記ユーザ装置に新しい暗号化設定情報を含む一のRRC再設定メッセージを送信する工程と、
前記ユーザ装置を使用して前記RRC再設定メッセージを受信する工程と、受信したRRC再設定メッセージに応答し、前記ユーザ装置を使用して前記論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築する工程と、前記論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築した直後、前記ユーザ装置を前記新しい暗号化設定に変更する工程と、前記ワイヤレスネットワークを前記新しい暗号化設定に変更する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムの同期方法、特に、第三世代移動通信システムの呼切断確率を減少することを目的として第三世代移動通信システムでの使用に適応された通信システムの同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報時代の訪れと共に、移動オーディオ、データ通信、及び様々な移動サービスに対する要求はますます増加している。通信チャネル数の制限や不十分な伝送速度が、同時通信システムの更なる発展を阻んできた。したがって、高周波帯域を使用する効率及び高速伝送サービスを提供可能な第三世代(3G)の移動通信が発展してきた。
【0003】
図1は、3G移動通信ネットワークを示す図である。図1を参照するに、たとえば、セルラ式電話、又は、その他の手持ち式通信装置のうちの1つといったユーザ機器(UE)10は、無線信号を介して汎用移動電話通信システム無線アクセスネットワーク(UTRAN)11と通信する。UTRAN11は、幾つかの無線ネットワークサブシステム(RNS)121、122を含む。各RNSは、無線ネットワーク制御器(RNC)131、132により制御される。各RNCには、複数のノード基地(ノードB)141−143に接続される。たとえば、図1に示すように、RNS121は、RNC131と、ノードB141、142を含み、RNS122は、RNC132と、ノードB143を含む。UTRAN11は、たとえば、インターネットといった他の電気通信ネットワークに、コアネットワーク(CN)15を介して通信し、それにより3Gオーディオ及び/又はデータ伝送サービスを提供する。
【0004】
移動する又はワイヤレス環境が変化すると、UTRANは、UEを、たとえば、RNS121への接続からRNS122に接続するよう変更するといったように様々なRNS間でシフトしうる。このような処理は、サービング無線ネットワークサブシステム(SRNS)再配置と称する。このような処理では、UE10及びUTRAN11は、同時に同一のセッティング設定を使用することにより互いに通信しなくてはならない。たとえば、UE10及びUTRAN11は、データを暗号化又は復号化するために新しいセッティング設定に対応するデータ暗号を同時に使用しなければならない。
【0005】
図2は、UEとUTRANの間での3G移動通信同期を説明する図である。図1及び2を参照するに、SRNS再配置処理では、UTRANは、暗号化設定情報を含む無線リソース制御(RRC)メッセージを送信する。暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージを受信後、UEは、対応する新しい暗号化設定に変更し、RRC応答メッセージをUTRANに送信する。たとえば、UTRANは、ダウンリンクカウンタ同期情報を含むUTRANモビリティ情報RRCメッセージをUEに送信する。このRRCメッセージを受信後、UEは、新しい設定に変更し、RRCメッセージの受信に応えるようUTRANモビリティ情報確認RRCメッセージをフィードバックする。
【0006】
3G移動通信の標準によって、UEは、たとえば、ワイヤレスチャネルを測定するよう設定され、その測定に応じてRNCは、チャネルソース管理を実行及び制御する。得られる結果は、様々なサービスの品質を維持するためのワイヤレスチャネル品質係数の調整にも依存する。したがって、UEは、測定イベント又は標準に従ってUTRANに所定の時間に測定レポートを伝送する。しかし、3G移動通信標準は、UTRANがその対応する新しい暗号化設定を使用すべき時を明確に定義しない。したがって、UTRANは、データを符号化又は復号化するためにUEと同じデータ暗号を正しく使用することができない。このことは、図4を参照しながら以下に説明する。
【0007】
図3は、3G移動通信におけるUEとUTRANとの間の同期失敗により正しく暗号化/復号化されないことを説明する図である。開始時、UTRANは、ダウンリンクカウンタ同期情報と、新しい暗号化設定を含む暗号化モード情報を含むUTRANモビリティ情報RRCメッセージをUEに送信する。しかし、このRRCメッセージを受信後、UEは、新しい暗号化設定に変更してUTRANモビリティ情報確認をフィードバックする前に、測定イベントによりトリガされて又は標準に従って所定の時間にUTRANに測定レポートを送信する可能性が最も高い。このような場合、UEは、測定レポートを送信するために古い設定を使用してしまう。不都合なのは、UTRANが、この測定レポートを受信する際すでに新しい暗号化設定を使用している場合、UEとUTRANは非同期となり、したがって、両者間ではデータが正しく暗号化/復号化されなくなる。データが正しく暗号化/復号化されないことによる影響を、図4を参照して以下に説明する。
【0008】
図4は、UE及びUTRANによって正しくデータが暗号化/復号化されないことを説明する図である。図4を参照するに、UEにより送信された測定レポートは、複数のプロトコルデータユニット(PDU)401−402から構成され、一方、UTRANモビリティ情報確認は、RLCエンティティのPDU403−404から構成されると仮定する。データが非同期に暗号化/復号化されると、UTRANは、受信したPUD405−408を、正しくないサービスデータユニット(SDU)、たとえば、SDU411及びSDU412に復号化し、これらは、RRCメッセージを形成しない。測定レポートは、ワイヤレス接続の測定値を含み、UTRANは、この測定値に応じて交換セルを選択することができる。最も重要なことは、UEとUTRAN間の新しいデータ暗号設定はもはや同期されておらず、また、古い設定に戻すことができないことである。したがって、呼切断確率が上がってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、通信システムの同期方法に関し、この同期方法は、システム再配置処理において、ユーザ装置とユーザ装置のワイヤレスネットワークが、同一設定でデータを同期伝送することを確実にし、それにより、データ暗号化/復号化誤りを回避し、伝送失敗を減少し、また、呼切断率を減少する。
【0010】
本発明の一態様による通信システムの同期方法は、一のユーザ装置及び一のワイヤレスネットワークを含む一の通信システム用の同期方法であって、
前記ワイヤレスネットワークを使用して、一の論理リンク上で前記ユーザ装置に新しい暗号化設定情報を含む一のRRC再設定メッセージを送信する工程と、
前記ユーザ装置を使用して前記RRC再設定メッセージを受信する工程と、
受信したRRC再設定メッセージに応答し、前記ユーザ装置を使用して前記論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築する工程と、
前記論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築した直後、前記ユーザ装置を前記新しい暗号化設定に変更する工程と、
前記ワイヤレスネットワークを前記新しい暗号化設定に変更する工程と、
を含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の他の態様による通信システムの同期方法は、前記ユーザ装置を使用して、前記RRC再設定メッセージを受信後、前記ワイヤレスネットワークに一の確認応答メッセージをフィードバックする工程と、
前記ワイヤレスネットワークが前記確認応答メッセージを受信後、前記ワイヤレスネットワークを前記新しい暗号化設定に変更する工程と、
をさらに含む。
【0012】
前記論理リンクは、RRC RB2であり、
前記確認応答メッセージは、UMTSシステムにおける一のRLC確認応答メッセージである。
【0013】
本発明の一実施形態では、UEは、送受信ユニットと同期制御ユニットを含む。送受信ユニットは、電子情報を送受信するよう適応される。同期制御ユニットは、送受信ユニットに結合される。送受信ユニットがUTRANから暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージを受信すると、同期制御ユニットは、論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築し、また、受信した暗号化設定情報に従って新しい暗号化設定に変更するよう送受信ユニットを制御する。
【0014】
本発明の一実施形態の通信システム用の暗号化設定同期方法は、UTRANを使用してUEに暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージを送信する工程と、暗号化設定情報を受信後、UEを使用して論理リンク上のメッセージの伝送をサスペンドする工程と、UEを使用して、受信した暗号化設定情報に従って新しい暗号化設定に変更する工程と、UTRANを使用して、新しい暗号化設定に変更する工程と、RRC再設定メッセージに応答するようRRC応答メッセージを送信後、論理リンク上でのメッセージの伝送を再開する工程とを含む。
【0015】
本発明の一実施形態では、通信システムは、ワイヤレスネットワークとユーザ装置を含む。ワイヤレスネットワーク及びユーザ装置は、互いに電子情報を送受信するよう適応される。ユーザ装置が、ワイヤレスネットワークから暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージを受信すると、ユーザ装置は、論理リンク上の電子情報の伝送をサスペンドし、次に、ユーザ装置は、暗号化設定情報に従って新しい暗号化設定に変更し、次に、ユーザ装置は、電子情報の伝送を再開する。
【0016】
本発明では、暗号化設定情報を受信後、ユーザ装置は、電子情報の伝送をサスペンドし、次に、暗号化設定情報に従って新しい暗号化設定に変更し、ワイヤレスネットワークもその新しい暗号化設定に変更し、そして、新しい設定に変更後、ユーザ装置は、電子情報の伝送を再開する。これにより、伝送失敗が減少し、また、その呼切断確率が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付図面は、本発明の更なる理解を与えるよう含まれ、本願の一部として組み込み且つ本願の一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を示し、また、詳細な説明と共に、本発明の原理を説明することを目的とする。
【図1】3G移動通信ネットワークを示す概略図である。
【図2】UE及びUTRAN間の3G移動通信同期を説明する概略図である。
【図3】3G移動通信のUE及びUTRAN間の同期失敗により正しく暗号化/復号化されない様子を説明する概略図である。
【図4】UE及びUTRANによってデータが正しく暗号化/復号化されない様子を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による通信システムを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるUE50を示す回路図である。
【図7】本発明の一実施形態による通信システムの同期方法を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による通信システムの同期方法を説明する概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明する概略図である。
【図11】本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を詳細に参照する。本発明の好適な実施形態の例は、添付図面に示す。可能な限り図面中同一の参照番号を使用し、また、説明は同一又は類似の部分について述べているものとする。本発明は、任意の通信システムに適用可能である。以下の実施形態では、本発明は、第三世代(3G)移動通信システムに適用する。
【0019】
ユーザ装置とワイヤレスネットワークが新しい設定(たとえば、新しい暗号化設定)を使用する時点を明確に定義することができないことから、従来技術では、しばしば、システム再配置処理時にユーザ装置とワイヤレスネットワークの暗号化設定を同期することができず、これは、システム伝送失敗率及びその呼切断確率を増加する可能性がある。従来技術のこの課題を解決する目的で、本発明は、ユーザ装置及びワイヤレスネットワークが、システム再配置処理を行う必要がある場合に、同期して新しい暗号化設定に更新可能であり、それにより、伝送失敗率及びそれに関連付けられる呼切断確率を減少する、通信システムを同期するためのスキーム及び/又は方法を提供する。
【0020】
図5は、本発明の一実施形態による通信システムを示す図である。図5を参照するに、本発明の一実施形態による通信システムは、ユーザ装置(たとえば、3GシステムにおけるUE50)とワイヤレスネットワーク(たとえば、3GシステムにおけるUTRAN51)を含む。UTRAN51は、複数のサブシステム(たとえば、3GシステムにおけるRNS521−523)を含む。UTRAN51は、UE50に無線アクセスサービスを供給する。UE50及びUTRAN51は、電子情報を相互に送受信することにより互いと通信する。図6は、本発明の一実施形態によるUE50を示す回路図である。図6を参照するに、本発明の一実施形態によるUE50は、送受信ユニット61及び同期制御ユニット62を含む。同期制御ユニット62は、UE50の設定(たとえば、暗号化設定)を制御するよう送受信ユニット61に結合される。なお、本実施形態では、送受信ユニット61の詳細、すなわち、アンテナ、変調器、符号器/復号器は、当業者は実際の要求によりそのような送受信ユニット61を容易に構成しうるので詳細には説明しない。本実施形態の詳細を、図5及び6を参照して以下に説明する。
【0021】
本実施形態では、システム再配置(たとえば、3GシステムにおけるSRNS再配置)処理が開始されると、UTRAN51は、暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージを送信する。次に、UE50の送受信ユニット61がこの暗号化設定情報を受信する。同期制御ユニット62は、送受信ユニット61を制御して、たとえば、3Gシステムにおける無線ベアラ(RB2)といった論理リンクでのメッセージの伝送をサスペンドし、その後、その暗号化設定情報に応じて送受信ユニット61の暗号化設定を変更する。送受信ユニット61は、RRC再設定メッセージに応答するようRRC応答メッセージを、論理リンク上でワイヤレスネットワークに送信する。RB2は、信号、すなわち、3G UMTSシステムでのRRCメッセージ伝達のためのある種の論理リンクである。データ(たとえば、音声、TCP/IPパケット)及び信号伝達メッセージは、物理層において多重化される。送受信ユニット61が新しい暗号化設定に変更した後、同期制御ユニット62は、次に、送受信ユニット61を制御して、電子情報の伝送を再開する。このようにすると、UE50およびUTRAN51は、互いに対応する新しい暗号化設定により互いに通信可能である。また、送受信ユニット61はさらに、暗号化設定情報を受信後、UTRAN51に確認応答メッセージをフィードバックしてもよく、その後、UTRAN51の暗号化設定が、確認応答メッセージを受信後に暗号化設定情報に応じて変更される。ここでは、確認応答メッセージは、たとえば、3G UMTSシステムにおけるRLC確認応答メッセージである。このようにして、UE50とUTRAN51との間の新しい暗号化設定を使用した同期通信を保証することができる。
【0022】
簡略にする目的で以下に説明する図面の凡例は省略する。たとえば、以下に説明するUEは、図5のUE50と同じであり、また、UTRANは、図5のUTRAN51と同じである。
【0023】
図7は、本発明の一実施形態による通信システムの同期方法を説明するフローチャートである。図7を参照するに、まず、段階S71において、UTRANは、暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージをUEに送信する。次に、段階S72において、暗号化設定情報を受信後、UEは、RB2上での電子情報の伝送をサスペンドする。次に、段階S73において、UEは、暗号化設定情報に応じて新しい暗号化設定に変更する。次に、段階S74において、UTRANは、新しい暗号化設定に変更する。最後に、段階S75において、新しい暗号化設定に変更後、UEは、電子情報の伝送を再開する。
【0024】
図8は、本発明の一実施形態による通信システムの同期方法を説明する図である。図7及び8を参照するに、本発明の一実施形態による同期方法を開始する好適な時点は、UEが、SRNS再配置処理において、UTRANと接続しているRNSを変更する必要があるときである。開始時、すなわち、時間t1において、UE及びUTRANは共に、たとえば、暗号化/復号化するための古い暗号化設定に対応するデータ暗号を使用するといったように古い暗号化設定を使用する。SRNS再配置処理が開始すると、図7に段階S71として示すように、図8のt2において、UTRANは、暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージをUEに送信する。現在の標準では、UTRANは、ダウンリンクカウンタ同期情報及び暗号化モード情報を暗号化設定情報として送信し、UEにSRNS再配置を実行させるようRADIO BEARER SETUPメッセージ、RADIO BEARER RELEASEメッセージ、TRANSPORT CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ、PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ、CELL UPDATE CONFIRMメッセージ、URA UPDATE CONFIRMメッセージ、又はUTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージといった任意のRRC再設定メッセージを選択することができる。UTRANは、RADIO BEARER RECONFIGURATIONメッセージといった他のRRCメッセージも使用して、新しいUTRAN無線ネットワーク一時識別(新しいU−RNTI)情報及び暗号化モード情報を暗号化設定情報として送信し、UEにSRNS再配置を実行させることも可能である。
【0025】
UEは、上述の暗号化設定情報を受信すると、図7に段階S72として示すように、RB2上でのメッセージの伝送をサスペンドする。図8に示す時間t3において、測定イベント又は上述の標準による測定レポートの伝送がサスペンドされる。次に、段階S73において、UEは、図8に示す時間t4において、図7で説明したように暗号化設定情報に応じてRB2上で新しい暗号化設定に変更する。UTRANは、図8に示す時間t4においてRB2上で新しい暗号化設定に変更する(段階S74)。次に、段階S75において、RB2上の新しい暗号化設定に更新後、UEは、図8に示す時間t5において、図7で説明したようにRB2上でのメッセージの送信を再開する。
【0026】
本実施形態では、UTRANは、図8に示す時間t2において、図7で説明した暗号化設定情報を含むRRC再設定変更メッセージを送信した後に新しい暗号化設定に変更すること(段階S74)ができる。以下に動作の詳細について説明する。したがって、UE及びUTRANは、たとえば、システムの伝送失敗率及びその呼切断確率を減少するよう暗号化設定情報内に含まれる暗号化設定情報の情報要素(IE)により命令される暗号に応じて暗号化/復号化するといったように新しい暗号化設定と一貫して互いに通信可能である。
【0027】
なお、上述の例示的な実施形態は、本発明による好適なスキームを説明する一方で、段階S71乃至S75は、それらに限定されるわけではない。たとえば、当業者は、上述の説明から、UEとUTRANとの間の同期は、UTRANによって、段階S71を行った後に新しい暗号化設定に変更し(たとえば、段階S74)、その後、UEが、段階S72、S73、及びS75をこの順番で実行することによっても得られうることは分かるであろう。さらに、UEによる変更設定情報の受信は、UEが環境的な要因により暗号化設定情報を受信失敗することを回避するよう確実にされ、また、当業者はさらに、UEがRLC確認応答メッセージをフィードバックするまで待機し、その後、新しい暗号化設定に変更するようUTRANを設計することも可能である。
【0028】
SRNS再配置処理時に測定レポートを送信する場合を検討する。本発明の別の実施形態を図9及び図10を参照して説明する。
【0029】
図9は、本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明するフローチャートである。図10は、本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明する図である。図9及び図10を参照するに、図10に示す時間t1において、ユーザ装置(たとえば、3GシステムにおけるUE)及びワイヤレスネットワーク(たとえば、3GシステムにおけるUTRAN)は、古い暗号化設定で通信する。次に、図10に示す時間t2において、UTRANは、暗号化設定情報(たとえば、3GシステムにおけるUTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージ)をUEに送信する段階S91を実行する。UTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージは、システム再配置(たとえば、3GシステムにおけるSRNS再配置)処理をトリガするIE「ダウンリンクカウンタ同期情報」と、新しい暗号化設定をセットアップするIE「暗号化モード情報」を含むと仮定する。UTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージを受信後、UEは、図10に示す時間t3においてUTRANにRLC確認応答メッセージをフィードバックする段階S92を実行する。次に、図10に示す時間t4において、UEは、無線ベアラ(RB2)上での電子情報の伝送をサスペンドする段階S93を実行する。時間t4において測定イベントがトリガされる又は定期レポートが生成される場合、MEASUREMENT REPORTメッセージの伝送がサスペンドされる。段階S96において、UEは、時間t5においてUTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージに応じて新しい暗号化設定に変更する。次に、段階S94及び時間t5において、UTRANは、RLC確認応答メッセージを受信後、新しい暗号化設定に変更する。最後に、UEは、RB2上でのメッセージの伝送を再開する段階S95を実行する。このようにして、UE及びUTRANは、しばしば、データ暗号化/復号化誤りを引き起こす非同期の暗号化設定を使用する必要がなくなる。
【0030】
本発明の別の実施形態では、UEは、SRNS再配置をトリガするRRC再設定メッセージ(たとえば、UTRAN MOBILITY INFORMATION、CELL UPDATE CONFIRM、RADIO BEARER SETUP、RADIO BEARER RECONFIGURATION、RADIO BEARER RELEASE、TRAFFIC CHANNEL RECONFIGURATION、又はPHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION)を受信する。RRC再設定メッセージが、IE「暗号化モード情報」を含む場合、UEは、新しい暗号化設定に対応する新しいハイパーフレーム番号(HFN)を使用して無線ベアラ(RB2)の無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築し、RLC再構築後の任意のRB2 RLC PDU送受信に対して新しい暗号化設定をすぐに適用する。UTRANを考慮するに、UTRANは、SRNS再配置をトリガするRRC再設定メッセージを送信する。UTRANは、新しいHFNを使用してRB2 RLCを再構築し、RLC再構築後の任意のRB2 RLC PDU送受信に対して新しい暗号化設定をすぐに適用する。本発明の他の実施形態において、RRC再設定メッセージが、IE「暗号化モード情報」を含む場合、UEは、RRC再設定応答メッセージ(たとえば、UTRAN MOBILITY INFORMATION CONFIRM、RADIO BEARER SETUP COMPLETE、RADIO BEARER RECONFIGURATION COMPLETE、RADIO BEAERER RELEASE COMPLETE、TRAFFIC CHANNEL RECONFIGURATION COMPLETE、又はPHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION COMPLETE)以外、RB2上で任意のRRCメッセージを送信することが禁止される。次に、新しい暗号化設定に対応するデータが、暗号化/復号化に使用され、したがって、たとえば、PDUといった再構築されたRLCエンティティの情報がそれに応じて送受信される。新しい暗号化設定に再構築するUTRAN(UE)の動作の詳細は、当業者には明白であるのでここでは説明しない。
【0031】
図9及び図10を参照するに、たとえば、図10に示す時間t5において、UE及びUTRANが新しい暗号化設定に更新後、UEは、図10に示す時間t6において、測定イベント又は標準に従ってUTRANに所定の時間にMEASUREMENT REPORTを送信する。したがって、UEは、図10に示す時間t7において、たとえば、UTRANに新しい暗号化設定を使用してMEASUREMENT REPORTをフィードバックするといったように電子情報の送信を再開する。暗号化/復号化機能は、RLC層において実行されるので、RRCメッセージは、RLC復号化の後に受信及び確認される。この場合、UTRAN RLCは、新しい暗号化設定を使用して、RRCメッセージを含む受信したRLC PDUを復号化する。最後に、図10に示す時間t8において、UEは、標準に従ってUTRANに応答メッセージをフィードバックする。このような応答メッセージは、t2においてUEにより受信された暗号化設定情報に応じて異なりうる。たとえば、t2においてUTRANが、ダウンリンクカウンタ同期情報を含むRRC再設定メッセージであるUTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージをUEに送信する場合、UEは、図10に示す時間t8において、UTRAN MOBILITY INFORMATION CONFIRMメッセージをフィードバックする。当業者に周知であるRRC応答メッセージの種類は多くあり、ここでは説明しない。
【0032】
本発明の別の実施形態を、図11及び図12を参照して以下に説明する。図11は、本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明するフローチャートである。図12は、本発明の別の実施形態による通信システムの同期方法を説明する図である。
【0033】
図11及び図12を参照する。図12に示す時間t1において、ユーザ装置(たとえば、3GシステムにおけるUE)及びワイヤレスネットワーク(たとえば、3GシステムにおけるUTRAN)は、古い暗号化設定で通信する。次に、図12に示す時間t2において、UTRANは、UEに設定変更情報(たとえば、3GシステムにおけるUTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージ)を送信する段階S111を実行する。図12における時間t2'において、UEは、UTRANにRLC確認応答メッセージをフィードバックする。図12に示す時間t3において、UE及びUTRANは、新しい暗号化設定及び新しいHFNで無線ベアラ(RB2)の無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築する段階S122を実行する。したがって、UEは、図12に示す時間t4において、UTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージに応じてRLCエンティティの再構築の直後に、新しい暗号化設定に変更する(段階S113)。UTRANも、図12に示す時間t4において、新しい暗号化設定に変更する(段階S114)。最後に、UEは、図12に示す時間t8において、UTRANに、UTRAN MOBILITY INFORMATION CONFIRMメッセージをフィードバックする(段階S115)。
【0034】
本発明の一実施形態では、UTRAN(UE)のRB2のRLCエンティティを新しいハイパーフレーム番号(HFN)で再構築する段階は、新しい暗号化設定に対応する。次に、新しい暗号化設定に対応するデータが、暗号化/復号化に使用され、したがって、たとえば、PDUである再構築RLCエンティティの情報はそれに応じて送受信される。UTRAN(UE)が新しい暗号化設定に更新される動作の詳細については、前の実施形態を参照されたい。又は、当業者には周知であるので、ここでは説明しない。
【0035】
UE及びUTRANが新しい暗号化設定に更新後、UEは、図12に示す時間t6において、測定イベント又は標準に従ってUTRANに所定の時間で測定レポートを送信する。したがって、UEは、図12に示す時間t7において、UTRANに、たとえば、MEASUREMENT REPORTメッセージである測定情報をフィードバックする。最後に、図12に示す時間t8において、UEは、標準に従って、UTRANに、応答メッセージをフィードバックする。このような応答メッセージは、t2においてUEにより受信される暗号化設定情報に応じて異なりうる。たとえば、UTRANが、t2において、UEに、ダウンリンクカウンタ同期情報を含むRRC再設定メッセージであるUTRAN MOBILITY INFORMATIONメッセージを送信する場合、UEは、図12に示すt8において、UTRAN MOBILITY INFORMATION CONFIRMメッセージをフィードバックする。当業者に周知であるRRC応答メッセージの種類は多くあり、ここでは説明しない。
【0036】
要約するに、本発明の実施形態では、暗号化設定情報を含むRRC再設定メッセージを受信すると、UEは、RB2上での電子情報の伝送をサスペンドする。UE及びUTRANは、受信した暗号化設定情報に従って新しい暗号化設定に変更する。新しい暗号化設定に変更した後、UEは、電子情報の伝送を再開する。このようにして、UE及びUTRANは、SRNS再配置処理において、同一の暗号化設定を使用してデータを同期して伝送することが保証される。したがって、暗号化/復号化誤りは効果的に回避され、それにより、電子情報の伝送失敗は減少し、また、その呼切断確率が減少する。
【0037】
当業者には、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく本発明の構造に様々な修正及び変更を加えうることは明らかであろう。上述に鑑みて、本発明は、本発明の修正及び変更はそれらが請求項及びその等価物の範囲内である限り本発明の対象であることを意図する。
【符号の説明】
【0038】
10、50 ユーザ装置
11、51 UTRAN
15 コアネットワーク
121、122、521、522、523 無線ネットワークサブシステム
131、132 無線ネットワーク制御器
141、142、143 ノード基地
61 送受信ユニット
62 同期制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一のユーザ装置及び一のワイヤレスネットワークを含む通信システムの同期方法であって、
前記ワイヤレスネットワークを使用して、一の論理リンク上で前記ユーザ装置に新しい暗号化設定情報を含む一のRRC再設定メッセージを送信する工程と、
前記ユーザ装置を使用して前記RRC再設定メッセージを受信する工程と、
受信したRRC再設定メッセージに応答し、前記ユーザ装置を使用して前記論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築する工程と、
前記論理リンクの無線リンク制御(RLC)エンティティを再構築した直後、前記ユーザ装置を前記新しい暗号化設定に変更する工程と、
前記ワイヤレスネットワークを前記新しい暗号化設定に変更する工程と、
を含むことを特徴とする通信システムの同期方法。
【請求項2】
前記ユーザ装置を使用して、前記RRC再設定メッセージを受信後、前記ワイヤレスネットワークに一の確認応答メッセージをフィードバックする工程と、
前記ワイヤレスネットワークが前記確認応答メッセージを受信後、前記ワイヤレスネットワークを前記新しい暗号化設定に変更する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の同期方法。
【請求項3】
前記論理リンクは、RRC RB2であり、
前記確認応答メッセージは、UMTSシステムにおける一のRLC確認応答メッセージであることを特徴とする請求項2に記載の同期方法。
【請求項4】
前記ユーザ装置を使用して、当該ユーザ装置が前記新しい暗号化設定に変更後、前記ワイヤレスネットワークに一のRRC応答メッセージをフィードバックする工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システムの同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−138969(P2012−138969A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96773(P2012−96773)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2008−158(P2008−158)の分割
【原出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(502160992)宏達國際電子股▲ふん▼有限公司 (97)
【Fターム(参考)】