説明

通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システム

【課題】集中管理を行なうことなく、また通信可能時間決定用の専用の制御情報を周辺のノードと交換することなしに適切な送信時間を決定できるようにする。
【解決手段】本発明の通信タイミング制御装置は、通信システムを構成するノードに用いるものであって、他ノードとの間でタイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信手段と、所定の通信周期におけるデータ信号の送信状況を判断する送信状況判断手段と、送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整手段と、位相応答関数調整手段により調整された位相応答関数を用いて、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムに関し、例えば、センサネットワーク等の分散配置された多数のノードや移動体が、相互にデータ通信を行なう場合において、適切な通信時間の割り当てを自律的に行ない、通信タイミングを形成し効率よく通信を行なう方法に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜4には、集中管理サーバを必要とせず、空間的に分散配置された複数のノードがそれぞれ、近傍ノードとの間の相互調整によりタイムスロットの割り当てを行ない、通信データの通信タイミングを自律的に形成し、衝突することなくデータ通信を実現する通信タイミング制御に関する技術が記載されている。
【0003】
すなわち、各ノードが、近傍ノードとの間でタイミング制御信号を周期的に送受信しあい、近傍ノードとの間の通信タイミング関係を認識し、局所的な通信タイミング関係に基づいて自ノードのタイミング制御信号の送信時刻(発信タイミング)を制御することで、通信タイミングパタンを自律分散的に形成する。
【0004】
ここで、通信タイミングパタンの形成として、例えば、各ノードにおいて、自他のタイミング制御信号の発信タイミングが極力離れるような調整を相互に行なう方法、1周期の動作中に通信時間を事前に確保するように設定する方法、完全に均等な通信時間を実現しようとする方法など様々なパタンを提案している。
【0005】
また、通信データの通信時間を決定する方法として、例えば、ZigBee(登録商標)のクラスタツリーアドレスの特徴を利用するものや、ネットワークの接続関係を一箇所にあつめて集中管理的に通信時間を決定する方法も提案されている。
【特許文献1】特開2005−094663号公報
【特許文献2】特開2006−074617号公報
【特許文献3】特開2006−074619号公報
【特許文献4】特開2006−157441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通信データの通信時間を決定する方法は、特許文献1〜4に記載の通信タイミング制御技術において適用すると適切に機能し、効率的に動作する。
【0007】
しかしながら、上述した通信データの通信時間を決定する方法は、ZigBee(登録商標)等の近距離無線ネットワークで、低消費電力・低コストの無線通信に適用する際に更に改善の余地を残す。
【0008】
また、集中管理による方法は、情報を集約するオーバーヘッドや集中管理を行なう端末が必要になるという問題がある。ここで、制御オーバーヘッドが小さいほうがよいというのは当然であるが、計算能力の低い端末や通信速度の遅い無線方式を使用する場合は、特に制御オーバーヘッドの割合が高くなるという問題もある。
【0009】
そこで、集中管理を行なうことなく、また通信可能時間決定用の専用の制御情報を周辺のノードと交換することなしに適切な送信時間を決定できるという、通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の通信タイミング制御装置は、通信システムを構成するノードに適用可能で、他ノードからのタイミング制御信号の通信タイミングを利用して、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを決定し、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミング及び他ノードのタイミング制御信号の通信タイミングに基づいて、データ信号の送信期間を決定する通信タイミング制御装置において、(1)他ノードと自ノードとの間でタイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信手段と、(2)所定の通信周期におけるデータ信号の送信状況を判断する送信状況判断手段と、(3)送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整手段と、(4)位相応答関数調整手段により調整された位相応答関数を用いて、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の通信タイミング制御方法は、通信システムを構成するノードに適用可能で、他ノードからのタイミング制御信号の通信タイミングを利用して、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを決定し、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミング及び他ノードのタイミング制御信号の通信タイミングに基づいて、データ信号の送信期間を決定する通信タイミング制御方法において、(1)タイミング制御信号送受信手段が、他ノードと自ノードとの間でタイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信工程と、(2)送信状況判断手段が、所定の通信周期におけるデータ信号の送信状況を判断する送信状況判断工程と、(3)位相応答調整手段が、送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整工程と、(4)通信タイミング計算手段が、位相応答関数調整手段により調整された位相応答関数を用いて、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算工程とを有することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の通信タイミング制御プログラムは、通信システムを構成するノードに適用可能で、他ノードからのタイミング制御信号の通信タイミングを利用して、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを決定し、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミング及び他ノードのタイミング制御信号の通信タイミングに基づいて、データ信号の送信期間を決定する通信タイミングプログラムにおいて、コンピュータに、(1)他ノードと自ノードとの間でタイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信手段、(2)所定の通信周期におけるデータ信号の送信状況を判断する送信状況判断手段、(3)送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整手段、(4)位相応答関数調整手段により調整された位相応答関数を用いて、所定の時間発展規則に従って、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算手段として機能させるものである。
【0013】
第4の本発明のノードは、通信システムを構成するノードが、第1の本発明の通信タイミング制御装置を備えることを特徴とする。
【0014】
第5の本発明の通信システムは、第4の本発明のノードを複数有して構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、適切な送信時間を決定できるので、通信タイミングが適切に制御でき、効率よく通信を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明の通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムの第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
第1の実施形態は、複数のノードを有して構成される無線通信ネットワーク(通信システム)において、本発明の通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムを利用して、各ノードが自他のタイミング制御信号に基づく通信タイミングを計算する場合の実施形態を説明する。
【0018】
第1の実施形態では、センサネットワークで利用される無線通信ネットワークを例に挙げて説明する。
【0019】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)無線通信ネットワークの構成
第1の実施形態の無線通信ネットワークは、多数のノードAを有して構成されるものである。
【0020】
多数のノードAはそれぞれ、予めセンサを備えており、周期的に又は常に観測データを観測し、自ノードの通信時間に、観測データを含む通信パケットを無線送信して近傍の他ノード(以下、近傍ノード;ノードの発信電波が届く範囲に存在する他ノード)に与える。また、その通信パケットを受信した近傍ノードは、受信した観測データと共に自ノードの観測データを含む通信パケットを、自ノードの通信時間に無線送信する。
【0021】
(A−1−2)ノードの内部構成
図2は、各ノードAの内部構成を示す内部構成図である。図2において、各ノードAは、通信タイミング計算手段1、タイミング制御信号受信手段2、タイミング制御信号送信手段3、同調判定手段4、データ通信手段5、センサ6、を少なくとも有して構成される。
【0022】
通信タイミング計算手段1は、タイミング制御信号受信手段2から受け取ったタイミング制御信号と自ノードの制御信号の送信タイミングとを利用して、自ノードのデータ信号の通信タイミングを計算するものである。
【0023】
通信タイミング計算手段1における通信タイミングの計算方法の詳細については後述するが、基本的には、近傍ノードとの間でタイミング制御信号の発信タイミング等が衝突しないように制御しながら、自ノードと近傍ノードの通信タイミング関係に基づいて自ノードのタイミング制御信号の送信タイミングを制御し、自律分散的に通信タイミングパタンを形成するものである。また、通信タイミング計算手段1は、自ノードにおける通信タイミングを規定する位相信号を形成し、その位相信号(位相情報)を、タイミング制御信号送信手段3、同調判定手段4及びデータ通信手段5に与えるものである。
【0024】
タイミング制御信号受信手段2は、近傍ノードが送出したタイミング制御信号を受信し、受信したタイミング制御信号を、通信タイミング計算手段1及び同調判定手段4に与えるものである。
【0025】
ここで、タイミング制御信号とは、自ノードの発信タイミングを示す制御信号である。タイミング制御信号は、例えば、インパルス状の波形を有する信号(波形整形された信号も含む概念)であってもよいが、これに限定されるものではなく、パケット等で構成された信号であってよい。
【0026】
タイミング制御信号送信手段3は、通信タイミング計算手段1から位相情報を受け取り、出力タイミング制御信号を送信するものである。なお、タイミング制御信号の送信タイミングは、位相信号が所定の位相(例えば、α(0≦α<2π))となるタイミングとし、例えば、システム全体で統一しておくことが好ましい。
【0027】
同調判定手段4は、自ノードや1又は複数の近傍ノードの間で行なわれる出力タイミング制御信号の送信タイミングの相互調整が、「過渡状態」あるいは「定常状態」のいずれの状態にあるかを判定するものである。この判定方法としては、例えば、入力タイミング制御信号及び出力タイミング制御信号の発生タイミングを観測し、タイミング制御信号を授受し合う複数のノードの発生タイミング間の時間差が時間的に安定している場合に「定常状態」であると判定し、そうでない場合に「過度状態」と判定する。なお、この実施形態の場合には、同調判定手段4には、自ノードからの出力タイミング制御信号の発生タイミングを捉えるための信号として、出力タイミング制御信号に代えて、通信タイミング計算手段1からの位相情報(位相信号)が入力されている。
【0028】
また、同調判定手段4は、位相信号の周期毎に、判定結果を示す同調判定信号と、入力タイミング制御信号の発生タイミングにおける位相信号の位相値の最小値をスロット信号とをデータ通信手段5に与える。
【0029】
センサ6は、例えば、音や振動の強度、化学物質の濃度、温度など、物理的又は化学的な環境情報を観測するものであり、観測データをデータ通信手段に与える。
【0030】
データ通信手段5は、観測データ及び又は入力データ信号(両方の場合を含む)を出力データ信号として他ノードに送信するものである。データ通信手段15は、この送信を、同調判定信号が「定常状態」を示す場合に、タイムスロット(システムなどが割り当てた固定的な時間区間ではないが、「タイムスロット」という用語を用いる)で行ない、同調判定信号が「過渡状態」を示す場合には送信動作を停止している。なお、出力データ信号は、出力タイミング制御信号と同一周波数帯で送信周波数とするものであっても良い。
【0031】
なお、タイムスロットとしては、タイムスロットの開始点は、出力タイミング制御信号の送信が終了したタイミングであり、タイムスロットの終了点は、位相信号の周期毎の最初の入力タイミング制御信号のタイミングより多少のオフセット分だけ前のタイミングとする。
【0032】
(A−1−3)通信タイミング計算手段の詳細な構成
次に、第1の実施形態の通信タイミング計算手段1Aの詳細な構成を図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、第1の実施形態の通信タイミング計算手段1Aの内部構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態の通信タイミング計算手段1Aは、近傍ノード状態管理手段11、所要位相差決定手段12、位相応答関数調整手段13、位相ダイナミクス手段14、キュー監視手段15、を少なくとも有して構成される。
【0034】
近傍ノード状態管理手段11は、近傍ノードのタイミング制御信号を受信すると、近傍ノードのアドレス情報、近傍ノードのタイミング制御信号と自ノードのタイミング制御信号との位相差Δθij、近傍ノードの所要位相差φcj、近傍ノードからのタイミング制御信号の信号受信強度等、タイミング制御信号から知ることができ、これらの情報を逐次更新しながら管理するものである。近傍ノード状態管理手段11は、一定時間経過して古くなった解析情報を削除するようにしてもよい。
【0035】
また、近傍ノード状態管理手段11は、管理する近傍ノードのアドレス情報、近傍ノードの所要位相差φcjを所要位相差計算手段12に与えると共に、近傍ノードと自ノードとの位相差Δθijを位相ダイナミクス手段14に与えるものである。
【0036】
ここで、近傍ノードと自ノードの位相差Δθijは、近傍ノードjのタイミング制御信号の位相値θj(t)から自ノードiのタイミング制御信号の位相値θi(t)を引くことにより得られる位相差である。近傍ノード状態管理手段11は、位相ダイナミクス手段14において求められた自ノードの位相値を逐次受け取り、この自ノードの位相値を用いて、近傍ノードと自ノードとの位相差を求めている。
【0037】
キュー監視手段15は、通信端末の送信キューのキュー長を監視するものである。図3は、キュー監視手段15によるキュー長の監視タイミングを示す図である。
【0038】
図3に示すように、第1の実施形態では、キュー監視手段15が、タイミング制御信号の送信前と送信可能区間の終了時にキュー長を監視して記録する。つまり、キュー監視手段は、タイミング制御信号の送信前のキュー長をQs(制御信号送信前)とし、送信可能区間の終了時のキュー長をQe(送信可能区間終了時)として記録する。
【0039】
なお、図3のように、現在の周期のキュー長の値をQs(t)とすると、1つ前の周期の各値をQs(t−1)、Qe(t−1)とする。また、キュー監視手段15は、送信可能区間中に、キューが空になったときには、そのときの位相θq0を記録しておく。さらにキュー監視手段15は、キュー長の監視情報(Qs、Qe)及び位相θq0を、所要位相差決定手段12に与えるものである。
【0040】
所要位相差決定手段12は、キュー長の監視情報(Qs、Qe)に基づいて、所要位相差φcを決定するものである。
【0041】
ここで、所要位相差決定手段12による所要位相差の決定方法としては、例えば、1周期にたまったキューの数(Qs(t)−Qe(t−1))と1周期で送信したキューの数(Qs(t−1)−Qe(t−1))とから、送信したキューの数よりたまったキューの数のほうが大きければ、より多くの送信時間を獲得するために所要位相差φcを大きくし、キューが0になったときの位相θq0が送信可能区間φcに比べて小さい場合は、送信可能区間が十分であるため送信可能区間を小さくするように調整する方法を適用することができる。
【0042】
位相応答関数調整手段13は、近傍ノード状態管理手段11から所要位相差情報φcjを受け取ると共に、所要位相差決定手段12から所要位相差φcを受け取り、これら所要位相差情報φcj及び所要位相差φcに基づいて、位相応答関数R(Δθij(t))を更新するものである。
【0043】
なお、位相応答関数R(Δθij(t))は、自ノードのタイミング制御信号の送信タイミングを計算する際に利用する時間発展規則を構成する関数であり、近傍ノード間において均等な位相差を形成するためのものである。すなわち、位相応答関数R(Δθij(t))は、自ノードと近傍ノードとの間の位相差分布を均等になるよう力学的特性を作用させ、近傍ノード間において獲得されるタイムスロットの大きさをほぼ均等化させる特性を有する。
【0044】
これにより、自ノードよりも後に送信する近傍ノードとの関係においては、自ノードの位相値から近傍ノードの位相値までの位相差が、自ノードの確保したい通信時間に対応する所要位相差φcだけ離れているように調整できる。また、自ノードより先に送信する近傍ノードとの関係においては、近傍ノードの位相値から自ノードまでの位相値が、近傍ノードjの確保したい通信時間に対応するφcjだけ離れているように調整することができる。
【0045】
位相ダイナミクス手段14は、近傍ノード状態管理手段11から自ノードと近傍ノードとの位相差を受け取ると共に、位相応答関数調整手段13により調整された位相応答関数R(Δθij(t))より、これら自ノードと近傍ノードとの位相差及び調整された位相応答関数R(Δθij(t))を利用して、自ノードのタイミング制御信号の送信タイミングを算出するものである。
【0046】
自ノードのタイミング制御信号の送信タイミングを計算する方法としては、種々の方法を適用することができるが、例えば、特許文献1〜特許文献4のいずれかに記載の方法を適用できる。自ノードのタイミング制御信号の送信タイミングを計算する方法の詳細については、特許文献1〜4のそれぞれの記載に委ね、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の自ノードにおけるタイミング制御信号の送信タイミングを計算する処理の動作について説明する。
【0048】
まず、近傍ノードから送信されたタイミング制御信号が自ノードに到来すると、当該タイミング制御信号は、タイミング制御信号受信手段2により受信され、近傍ノード状態管理手段11に与えられる。
【0049】
近傍ノード状態管理手段11において、少なくとも、タイミング制御信号に含まれている近傍ノードのアドレス情報、近傍ノードと自ノードとの位相差Δθij、近傍ノードの所要位相差φcjが解析され、近傍ノードと自ノードの位相差Δθijが位相ダイナミクス手段14に与えられ、近傍ノードの所要位相差φcjが位相応答関数調整手段13に与えられる。
【0050】
なお、ここでは、近傍ノード状態管理手段11が近傍ノードのアドレス情報及び近傍ノードと自ノードの位相差を解析する場合を示したが、タイミング制御信号の受信信号強度を管理するようにしてもよい。
【0051】
これにより、位相ダイナミクス手段14において、時間発展規則に従って自ノードのタイミング制御信号の送信タイミングが計算されて出力される。なお、初期状態では、位相応答関数R(Δθij(t))の所要位相差φcは、初期値φcinitを用いることとする。
【0052】
次に、近傍ノードからの中継パケットの受信や自ノードのトラフィックの発生から、自ノードの送信キュー(図示しない)に送信パケットがたまる。
【0053】
キュー監視手段15は、自ノードのタイミング制御信号の送信前のキュー長Qsと送信可能区間終了時のキュー長Qeとを監視し、これらのキュー長Qs及びQeを記録すると共に、所要位相差決定手段12に与える。
【0054】
キュー監視手段15によるキュー長の監視情報(Qs,Qe)が所要位相差決定手段12に与えられると、所要位相差決定手段12により、キュー長の監視情報(Qs,Qe)に基づいて、所定の方法により所要位相差φcが決定される。
【0055】
そして、所要位相差決定手段12により決定された所要位相差φcは、位相応答関数調整手段13に与えられる。位相応答関数調整手段13には、上述したように、近傍ノード状態管理手段11から近傍ノードの所要位相差φcjも与えられている。
【0056】
位相応答関数調整手段13では、自ノードの所要位相差φc及び近傍ノードの所要位相差φcjに基づいて、位相応答関数R(Δθij(t))が更新され、更新された位相応答関数R(Δθij(t))が位相ダイナミクス手段14に与えられる。
【0057】
これにより、位相ダイナミクス手段14において、タイミング制御信号の送信タイミングを決定する位相応答関数R(Δθij(t))が再構成され、各ノードの所要位相差を反映した通信タイミングパタンが形成される。
【0058】
図4は、位相応答関数調整手段13により調整された位相応答関数R(Δθij(t))の形状を示す。なお、位相応答関数R(Δθij(t))の形状によって収束状態が決定する。
【0059】
例えば、自ノードの確保したい通信時間に対応する位相差(所要位相差)をφc、近傍ノードjの確保したい通信時間に対応する所要位相差をφcjとする。
【0060】
位相差Δθijは、Δθij=θj−θi(θjは近傍ノードjの位相値、θiは自己の位相値)で表される。位相応答関数調整手段13は、位相差Δθijの範囲については、常に0から2πの範囲をとるものとして計算する。
【0061】
1周期が2πに対応するとしたとき、ある近傍ノードjとの位相差が[0,π]の場合、近傍ノードjは自ノードiより先に通信するノードであり、[π,2π]の位相差の場合、近傍ノートjは自ノードiより後に通信するノードと見ることができる。
【0062】
よって、自ノードiよりも後に送信するノードとは自ノードiの確保したい通信時間に対応する所要位相差φc分離れている必要があり、自ノードiよりも先に送信する近傍ノードjとは近傍ノードjの確保したい通信時間に対応するφcjだけ位相差を形成する必要がある。
【0063】
つまり、位相応答関数調整手段13によって調整される位相応答関数の形状は図4のようになる。これは近傍ノードjごとにそれぞれで異なるものをもつことになる。
【0064】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、所要位相差の設定において、1.各時点におけるキュー長の監視、2.キュー長の変化に基づく所要位相差の決定、3.所要位相差の更新に基づく位相応答関数の再構成、を行なうことによって、タイミング制御信号以外に特別な制御信号のやり取りをせずに、自身のキュー長の変化のみで所要位相差を決定し、適切な送信区間を持った通信タイミングパタンを形成することが可能となる。
【0065】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムの第2の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0066】
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、センサネットワークに、本発明の通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムを利用して、各ノードが自他のタイミング制御信号に基づく通信タイミングを計算する場合の実施形態を説明する。
【0067】
(B−1)第2の実施形態の構成
図5は、第2の実施形態の通信タイミング計算手段1Bの内部構成を示す構成図である。
【0068】
第2の実施形態は、第1の実施形態で説明したキュー監視手段15の代わりに、送信時間監視手段16を導入した点が異なり、これに伴って所要位相差決定手段17の機能も第1の実施形態と異なる。その他の機能構成は、第1の実施形態と同じである。
【0069】
送信時間監視手段16は、1周期中でデータパケットを送信していた時間(Txtime)を各周期毎に記録し、送信可能区間利用率を算出するものである。また、送信時間監視手段16は、
ここで、送信時間監視手段16による送信可能区間利用率の算出方法について説明する。所要位相差がφcであり、1周期がT[s]である場合、(φc/2π)T[s]の区間が1周期での最大送信可能時間(Txtime-max)となる。そこで、送信可能区間利用率をTxRATEとすると、送信時間監視手段16は、式(1)に従って、送信可能区間利用率TxRATEを算出する。
【0070】
TxRATE=Txtime/Txtime-max …(1)
所要位相差決定手段17は、送信時間監視手段16から送信可能区間利用率TxRATEを受け取り、この送信可能区間利用率TxRATEに基づいて、所要位相差φcを決定するものである。
【0071】
所要位相差決定手段17による所要位相差φcの決定方法としては、例えば、予め送信可能区間利用率TxRATEに対する閾値を決めておき、送信可能区間利用率TxRATEが閾値未満のとき所要位相差φcを小さくし、送信可能区間利用率TxRATEが閾値以上のとき所要位相差φcを大きくするようにする。
【0072】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の自ノードにおけるタイミング制御信号の送信タイミングを計算する処理の動作について説明する。
【0073】
まず、近傍ノードから送信されたタイミング制御信号が自ノードに到来すると、当該タイミング制御信号は、タイミング制御信号受信手段2により受信され、近傍ノード状態管理手段11に与えられる。
【0074】
近傍ノード状態管理手段11では、第1の実施形態と同様に、タイミング制御信号に含まれている近傍ノードのアドレス情報、近傍ノードと自ノードとの位相差Δθij、近傍ノードの所要位相差φcjが解析され、近傍ノードと自ノードの位相差Δθijが位相ダイナミクス手段14に与えられ、近傍ノードの所要位相差φcjが位相応答関数調整手段13に与えられる。
【0075】
そして、位相ダイナミクス手段14によって、ノードBの通信タイミングが形成される。なお、初期状態の位相応答関数R(Δθij(t))の所要位相差φcには、初期値φcinitを用いる。
【0076】
次に、位相ダイナミクス手段14により、初期値の所要位相差φcinitを用いて通信タイミングが形成されて、データ信号が送信されている過程において、送信時間監視手段16は、各周期毎のデータ信号の送信時間(Txtime)を記録する。
【0077】
そして、送信時間監視手段16は、各周期のデータ信号の送信時間Txtimeと最大送信可能時間Txtime-maxに基づいて、送信可能区間利用率TxRATEを算出し、この送信可能区間利用率TxRATEを所要位相差決定手段17に与える。
【0078】
所要位相差決定手段17は、送信可能区間利用率Txtimeと閾値との比較により、所要位相差φcを決定し、位相応答関数調整手段13に与える。
【0079】
位相応答関数調整手段13では、所要位相差決定手段17からの所要位相差φcを用いて、第1の実施形態と同様にして、位相ダイナミクス手段14の位相応答関数R(Δθij(t))の所要位相差φcを更新する。
【0080】
そして、位相ダイナミクス手段14が、第1の実施形態と同様に、更新された位相応答関数R(Δθij(t))の所要位相差φcを用いて通信タイミングパタンを形成する。
【0081】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、所要位相差の設定において、(1)送信時間の監視から送信可能区間利用率の算出、(2)送信可能区間利用率に基づく所要位相差の決定、(3)所要位相差の更新に基づく位相応答関数の再構成、を行なうことによって、タイミング制御信号以外に特別なやり取りをせずに、送信可能区間利用率に基づいて所要位相差φcを決定し、適切な送信区間を持った通信タイミングパタンを形成することが可能となる。
【0082】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムの第3の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0083】
第3の実施形態も、第1の実施形態と同様に、センサネットワークに、本発明の通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、通信タイミング制御プログラム、ノード及び通信システムを利用して、各ノードが自他のタイミング制御信号に基づく通信タイミングを計算する場合の実施形態を説明する。
【0084】
(C−1)第3の実施形態の構成
図6は、第3の実施形態の通信タイミング計算手段1Cの内部構成を示す構成図である。
【0085】
第3の実施形態は、第1の実施形態で説明したノードの構成に収束判定手段19を新たに設けた点が異なる。これに伴って、近傍ノード状態管理手段及び所要位相差決定手段の機能も第1の実施形態と異なる。その他の機能構成は第1の実施形態と同じである。
【0086】
近傍ノード状態管理手段18は、第1の実施形態で説明した機能に加えて、近傍ノードと自ノードとの位相差Δθijを収束判定手段19に与えるものである。
【0087】
収束判定手段19は、近傍ノード状態管理手段18から近傍ノードとの位相差Δθijを受け取ると、この位相差Δθijに基づいて収束するか否かを判定するものである。
【0088】
ここで、収束判定手段19による収束状態の判定方法としては、種々の方法を適用することができるが、その1つの方法として、例えば、最新の位相差情報である位相差Δθij(t)と所定時間x秒前の位相差情報である位相差Δij(t−x)とを比較して、式(2)に従って、その位相差の変化量の絶対値を算出する。そして、この位相差の変化量の絶対値が閾値以下であるとき、収束判定手段19は、収束状態であると判定する方法を適用できる。
【数1】

【0089】
また、より簡単な収束状態の判定方法として、自ノードの送信区間のタイミングに、他ノードの送信タイミングが重複しているかどうかを判定する方法も適用できる。すなわち、収束判定手段19は、(2π−Δθij)>φcを満たしていれば、収束状態と判定することも可能である。このように、収束判定手段19はタイミング制御が収束状態か否かを判定する。
【0090】
また、収束判定手段19は、収束状態の判定結果を、所要位相差決定手段20に与えるものである。
【0091】
所要位相差決定手段20は、収束判定手段19から受け取った判定結果が収束状態である場合、キュー長の監視情報(Qs、Qe)に基づいて所要位相差φcを決定するものである。
【0092】
ここで、所要位相差決定手段20による所要位相差φcの決定方法は、種々の方法を適用できるが、最も単純な方法として、例えば、1周期内にたまったキューの数(Qs(t)−Qe(t−1))と、1周期内で送信したキューの数(Qs(t−1)−Qe(t−1))とに基づいて、1周期内で送信したキューの数より送信キューにたまったキューの数のほうが大きければ、より多くの送信時間を獲得するために所要位相差φcを大きくし、送信キューが0になった時の位相θq0が送信可能区間φcに比べて小さい場合は、送信可能区間が十分であるため送信可能区間を小さくするように調整する。
【0093】
なお、所要位相差決定手段20は、収束状態でない場合には、何も行なわない。
【0094】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、第3の実施形態の自ノードにおけるタイミング制御信号の送信タイミングを計算する処理の動作について説明する。
【0095】
各ノードは、第1の実施形態と同様に、タイミング制御信号を送受信することによって、近傍ノード状態を交換し、近傍ノード状態管理手段18に情報が蓄積され、近傍ノード状態に基づいて、位相ダイナミクス手段14によって、通信タイミングが形成される。この初期状態では位相応答関数R(Δθij(t))の所要位相差φcは初期値φcinitを用いる。
【0096】
次に、近傍ノードjからの中継パケットの受信や自ノードのトラフィックの発生から送信キューに送信パケットがたまる。キュー監視手段15は、第1の実施形態と同様の方法により、送信キューのキュー長を監視し、キュー長の監視結果を所要位相差決定手段20に与える。
【0097】
一方、近傍ノード状態管理手段18は、近傍―ドと自ノードとの位相差Δθijを収束判定手段19に与える。
【0098】
収束判定手段19では、近傍ノードと自ノードとの位相差Δθijに基づいて、上述した所定の収束状態判定方法により収束状態か否かを判定し、その判定結果を所要位相差決定手段20に与える。
【0099】
収束判定手段19から判定結果が所要位相差決定手段20に与えられると、その判定結果が収束状態である場合、所要位相差決定手段20は、キュー監視手段15からの各時点におけるキュー長の監視情報に基づいて、上述した所定の決定方法により、所要位相差φcが決定される。
【0100】
そして、位相応答関数調整手段13により位相応答関数R(Δθij(t))の所要位相差φcが更新されると、更新された所要位相差φcに基づいて、位相ダイナミクス手段14がタイミング制御を行ない、通信タイミングパタンが形成される。
【0101】
(C−3)ノード構成の変形実施形態
図7は、第2の実施形態で説明した通信タイミング計算手段の構成に、第3の実施形態で説明した収束判定手段19を設けた場合の構成図である。
【0102】
図7に示すノードDにおいて、所要位相差決定手段21は、収束判定手段19により収束状態であると判定されたときにのみ、送信時間監視手段16からの送信可能区間利用率TxRATEに基づいて、第2の実施形態で説明した方法により、所要位相差φcを決定する。
【0103】
また、図8は、第1の実施形態のキュー監視手段15と、第2の実施形態の送信時間監視手段16と、収束判定手段19とを備える通信タイミング計算手段1Eの内部構成を示す構成図である。
【0104】
図8に示すノードEにおいて、所要位相差決定手段22は、収束判定手段19により収束状態であると判定されたときにのみ、キュー監視手段15からのキュー長の監視情報及び送信時間監視手段16からの送信可能区間利用率に基づいて、所要位相差φcを決定する。
【0105】
この場合、所要位相差決定手段22は、収束状態のときに、キュー監視手段のキュー長の監視情報と、送信時間監視手段の送信可能区間利用率とを利用して、所要位相差φcを決定することができる。
【0106】
例えば、キュー長の監視情報より、キューにたまったキュー数が送信したキュー数より大きく、かつ、送信可能区間利用率が閾値を超えているときには、所要位相差φcを大きくなるように決定する。また、キュー数が0であり、かつ、送信可能区間利用率が閾値未満のときには、所要位相差φcを小さくなるように決定する。
【0107】
(C−4)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態のノード構成に収束判定手段を設けることにより、収束状態である場合にのみ、所要位相差の更新を行なうことが可能となる。これによって、タイミング形成の制御過程で所要位相差φcの更新過程が同時に進むのではなく、タイミング制御収束後に所要位相差を更新し、再びタイミング制御を行なうように動作を切り分けることが可能となり収束速度が向上する。
【0108】
(D)他の実施形態
第1の実施形態ではキュー監視手段を備える場合を説明し、第2の実施形態では送信時間監視手段を備える場合を説明した。これらの変形実施形態として、キュー監視手段と送信時間監視手段とを共に備える構成としてもよい。
【0109】
この場合、所要位相差決定手段は、例えば、キュー長の監視情報より、キューにたまったキュー数が送信したキュー数より大きく、かつ、送信可能区間利用率が閾値を超えているときには、所要位相差φcを大きくなるように決定する。また、キュー数が0であり、かつ、送信可能区間利用率が閾値未満のときには、所要位相差φcを小さくなるように決定する。
【0110】
第1〜第3の実施形態では、ノードの通信時間(所要位相差)を決定した場合を示したが、これに限定されず、タイミング制御信号の信号受信強度に基づいて決定するようにしてもよい。
【0111】
この場合、例えば、タイミング制御信号の受信強度が高い場合に、当該タイミング制御信号を送信した近傍ノードの所要位相差を大きくするような、所定の数式を予め設定しておく。そして、所要位相差計算手段が、タイミング制御信号に基づいて、数式に従った近傍ノードの所要位相差を計算することで実現することができる。
【0112】
第1〜第3の実施形態では、無線通信ネットワークの例として、各ノードがセンサデータを送信するセンサネットワークを例示した。しかし、センサネットワークに限定されず、ノード間で自律分散的に通信タイミングを形成して無線通信を実現する無線通信ネットワークであれば、広く適用することができる。
【0113】
第1〜第3の実施形態において、位相ダイナミクス手段が算出する自ノードのタイミング制御信号の位相の計算方法は、位相応答関数を有する時間発展規則を利用したものであれば、特許文献1〜特許文献4に開示される方法に限定されるものではなく広く適用できる。
【0114】
上記の実施形態では、空間に分散配置された多数のノードが、相互に無線でデータのやり取りを行うシステムを想定して説明した。しかし、本発明の利用形態は、無線通信を行うシステムに限定されない。空間に分散配置された多数のノードが、相互に有線でデータをやり取りするシステムにも適用することが可能である。例えば、イーサーネット(登録商標)等のように有線接続されたLANシステムに適用することも可能である。また、同様に、有線接続されたセンサやアクチュエータ、あるいはサーバ等、異なる種類のノードが混在するネットワークに適用することも可能である。無論、有線接続されたノードと、無線接続されたノードが混在するネットワークに適用することも可能である。
【0115】
第1〜第3の実施形態における通信タイミング計算手段が実現する機能は、ハードウェア資源が処理プログラムを実行することにより実現されるソフトウェア処理によるものを想定するが、実現可能であれば、電気回路等で構成されたハードウェアにより実現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1の実施形態の通信タイミング計算手段の機能構成を示す構成図である。
【図2】本発明のノードの内部構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態の送信キューの監視タイミングを説明するための説明図である。
【図4】第1の実施形態の位相応答関数調整手段により調整される位相応答関数の形状を示す図である。
【図5】第2の実施形態の通信タイミング計算手段の機能構成を示す構成図である。
【図6】第3の実施形態の通信タイミング計算手段の機能構成を示す構成図である。
【図7】変形実施形態の通信タイミング計算手段の機能構成を示す構成図である(その1)。
【図8】変形実施形態の通信タイミング計算手段の機能構成を示す構成図である(その2)。
【符号の説明】
【0117】
1A〜1E…通信タイミング計算手段、11、18…近傍ノード状態管理手段、12、17、20、21、22…所要位相差決定手段、13…位相応答関数調整手段、14…位相ダイナミクス手段、15…キュー監視手段、16…送信時間監視手段、19…収束判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムを構成するノードに適用可能で、他ノードからのタイミング制御信号の通信タイミングを利用して、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを決定し、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミング及び他ノードのタイミング制御信号の通信タイミングに基づいて、データ信号の送信期間を決定する通信タイミング制御装置において、
他ノードと自ノードとの間で上記タイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信手段と、
所定の通信周期における上記データ信号の送信状況を判断する送信状況判断手段と、
上記送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整手段と、
上記位相応答関数調整手段により調整された上記位相応答関数を用いて、自ノードの上記タイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算手段と
を備えることを特徴とする通信タイミング制御装置。
【請求項2】
上記送信状況判断手段が、上記タイミング制御信号送信前及び送信可能期間終了時の送信キューのキュー長を監視するキュー監視部を有し、
上記位相応答調整手段が、上記キュー監視部により監視された上記送信キューのキュー長変化に基づいて上記位相応答関数を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信タイミング制御装置。
【請求項3】
上記送信状況判断手段が、上記通信周期内における上記データ信号の送信期間に基づく送信可能区間利用率を求める送信時間監視部を有し、
上記位相応答調整手段が、上記送信時間監視部からの上記送信可能区間利用率に基づいて上記位相応答関数を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信タイミング制御装置。
【請求項4】
上記送信状況判断手段が、
上記タイミング制御信号送信前及び送信可能期間終了時の送信キューのキュー長を監視するキュー監視部と、
上記通信周期内における上記データ信号の送信期間に基づく送信可能区間利用率を求める送信時間監視部と
を有し、
上記位相応答関数調整手段が、上記キュー監視部により監視された上記送信キューのキュー長変化及び又は上記送信時間監視部からの上記送信可能区間利用率に基づいて、上記位相応答関数を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信タイミング制御装置。
【請求項5】
上記タイミング制御信号に含まれている近傍ノードの位相差情報に基づいて、通信タイミングの収束状態を判定する収束判定手段を備え、
上記位相応答関数調整手段が、上記収束判定手段からの判定結果に応じて、上記位相応答関数を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通信タイミング制御装置。
【請求項6】
通信システムを構成するノードに適用可能で、他ノードからのタイミング制御信号の通信タイミングを利用して、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを決定し、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミング及び他ノードのタイミング制御信号の通信タイミングに基づいて、データ信号の送信期間を決定する通信タイミング制御方法において、
タイミング制御信号送受信手段が、他ノードと自ノードとの間で上記タイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信工程と、
送信状況判断手段が、所定の通信周期における上記データ信号の送信状況を判断する送信状況判断工程と、
位相応答調整手段が、上記送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整工程と、
通信タイミング計算手段が、上記位相応答関数調整手段により調整された上記位相応答関数を用いて、自ノードの上記タイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算工程と
を有することを特徴とする通信タイミング制御方法。
【請求項7】
通信システムを構成するノードに適用可能で、他ノードからのタイミング制御信号の通信タイミングを利用して、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミングを決定し、自ノードのタイミング制御信号の通信タイミング及び他ノードのタイミング制御信号の通信タイミングに基づいて、データ信号の送信期間を決定する通信タイミングプログラムにおいて、
コンピュータに、
他ノードと自ノードとの間で上記タイミング制御信号の送受信を行なうタイミング制御信号送受信手段、
所定の通信周期における上記データ信号の送信状況を判断する送信状況判断手段、
上記送信状況判断手段からの判断結果に基づいて、近傍ノードの所要位相差に応じた位相応答関数を調整する位相応答関数調整手段、
上記位相応答関数調整手段により調整された上記位相応答関数を用いて、自ノードの上記タイミング制御信号の通信タイミングを計算する通信タイミング計算手段
として機能させることを特徴とする通信タイミング制御プログラム。
【請求項8】
通信システムを構成するノードが、請求項1〜5のいずれかに記載の通信タイミング制御装置を備えることを特徴とするノード。
【請求項9】
請求項8に記載のノードを複数有して構成されることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−17479(P2009−17479A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179912(P2007−179912)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度総務省戦略的情報通信研究開発推進制度「大規模ユビキタスセンサネットワークを自己組織化する相互適応通信制御方式の研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】