説明

通信機器

【課題】社会生活と調和した通信機器を提供する。
【課題を解決するための手段】携帯電話などの通信機器の使用が禁止されている産院において、通信機器を電波オフモードに設定して電子母子手帳として使用し、母親が新生児の授乳や排泄状態を入力するとともに赤外線通信などで産院に報告する。周囲への告知のため、院内で外観が認知されるとともに電波検知機能を有する専用のストラップを装着する。電子母子手帳の院内使用機能は、使用時に自動的に電波オフモードになるか又は電波オフモードの手動設定を行わない限り機能が使用できないようにして、電波オフ状態での使用を保証する。赤外線通信で産院からの入院中の指示やアドバイスを受けることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話など通信機器の利用については種々の提案がなされている。例えば、電子化された母子手帳データを医療機関の診療情報データベースとリンクさせることが提案されている(特許文献1)。また、サーバから通信回線提を介して情報機器に提供される閲覧プログラムにより、カード状の記憶媒体による母子手帳に記録された情報を読み出すようにした母子手帳システムも提案されている(特許文献2)。
【0003】
一方、携帯電話には電源をオフせずに通信以外の機能を利用することができるいわゆる電波オフモードが備わっている。そして容易に電波オフモードとすることが可能であるだけではなく、他の人が容易に電波オフモードであることを知ることが可能な携帯電話も提案されている。(特許文献3)
【0004】
しかしながら、通信機器の利用についてはまだまだ検討すべき点が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−285178号広報
【特許文献2】特開2005−190387号広報
【特許文献3】特開2006−253802号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記に鑑み、社会生活と調和した通信機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため本発明は、電波による無線通信機能部と、この無線通信機能を利用しない付加機能部と、無線通信機能を不活性とする設定手段と、無線通信機能を不活性とすることが求められる特定の場所において認知される特定の通信機能不活性状態告知手段とを有する通信機器が提供される。これによって、無線通信機能を利用しない付加機能部を無線通信機能が不活性となっている状態で使用できるとともに、その旨を告知できるので、周囲とのトラブルも避けることができる。周囲への告知は、告知する不特定多数の相手側がこれを承知していなかったり気付かなかったりすると成立しないが、本発明は特定の閉じられた場所において認知される特定の告知を行うので効果的である。このような特定の場所は、例えば病院であり、さらに構成員やその行動が限られる産院はその実施に好適な一例である。
【0008】
本発明の具体的な特徴によれば、通信機能不活性状態告知手段は、特定の場所において通信機器に装着可能であるとともに、それ以外の場所では通信機器から除去可能である。これによって、通信機器の通常の使用の場合と特定の場所での付加機能の使用との間で混乱が生じることがない。
【0009】
本発明の他の具体的な特徴によれば、通信機能不活性状態告知手段は、無線通信機能が不活性であることを保証する保証手段を有する。これによって、特定の場所における付加機能の使用において使用者と周囲の信頼関係を築くことができる。より具体的な特徴によれば、保証手段は、電波検知部を有する。さらに詳細な特徴によれば、保証手段は、電波検知部が電波を検知していないことを告知する告知部を有する。また、他の詳細な特徴によれば、保証手段は、電波検知部が電波を検知したときこれを報知する報知部を有する。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、電波による無線通信機能部と、産院において使用可能な電子母子手帳機能部と、無線通信機能を不活性とする設定手段と、電子母子手帳における産院で使用可能な機能が使用されるかぎり設定手段による設定を保証する制御部とを有する通信機器が提供される。これによって、無線通信機能を不活性とすることが求められる産院において周囲の信頼を得つつ通信機器を電子母子手帳機能部として使用することができる。上記本発明の具体的な特徴によれば、さらに周囲との調和を図るため、産院において認知される特定の通信機能不活性状態告知手段が設けられる。なお、上記本発明における電子母子手帳機能部は、例えば産院において許可される赤外線通信などの通信手段を有する。
【0011】
上記本発明の詳細な特徴によれば、制御部は、産院において使用可能な電子母子手帳機能が使用されるとき、自動的に前記設定手段による設定を行う。また、他の詳細な特徴によれば、制御部は、設定手段による設定が行われない限り電子母子手帳における産院で使用可能な機能の使用を許可しない。これによって、電子母子手帳における産院で使用可能な機能が使用されるかぎり設定手段による設定が行われることを保証する。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、電波による無線通信機能部と、無線通信機能を不活性とする設定手段と、無線通信機能を不活性とすることが求められる特定の場所においても許可される第2の通信手段と、第2の通信手段による通信が使用されるかぎり設定手段による設定を保証する制御部とを有することを特徴とする通信機器が提供される。これによって、無線通信機能を不活性とすることが求められる産院において周囲の誤解を避けつつ使用が許可されている第2の通信手段により、特定の場所における情報通信を行うことができる。上記本発明の具体的な特徴によれば、設定手段の設定が行われていることを認知可能な特定の認知態様にて告知する通信機能不活性状態告知手段が設け、周囲との調和が図られる。また、他の具体的な特徴によれば、第2の通信手段は、特定の場所において情報を外部に発信する。さらに他の具体的な特徴によれば、第2の通信手段は、特定の場所において外部からの情報を受信する。
【発明の効果】
【0013】
上記のように、本発明によれば、周囲との調和を図りつつ通信機器の多様な機能を種々の場面と目的に応じて活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に関する電子母子手帳システム全体のブロックを示した図面代用写真である。(実施例1)
【図2】実施例1における加重センサにおける加重と出力の関係のグラフを示した図面代用写真である。
【図3】実施例1における携帯電話に表示される電子母子手帳表示画面の体重発育曲線グラフを示した図面代用写真である。
【図4】実施例1における体重計制御部によって実行される機能を示すフローチャートを示した図面代用写真である。
【図5】実施例1における携帯電話制御部によって実行される機能のうち電子母子手帳機能に関する部分のフローチャートを示した図面代用写真である。
【図6】実施例1におけるサーバ制御部によって実行される母子手帳サーバの機能のフローチャートを示した図面代用写真である。
【図7】本発明の実施例2に関する電子母子手帳システム全体のブロックを示した図面代用写真である。(実施例2)
【図8】実施例2における携帯電話制御部によって実行される機能のうち電子母子手帳機能に関する部分のフローチャートを示した図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1に関する電子母子手帳システム全体を示すブロックであり、システムは電子体重計2、携帯電話4および母子手帳サーバ6を有する。電子体重計2は、体重計制御部8によって制御される。記憶部10は、体重計制御部8を動作させるためのプログラムを記憶するとともに、加重センサ12からA/D変換部14を介して入力される体重測定結果などのデータ記憶も行う。
【0016】
ここで、電子体重計2によるによる母親および乳児の体重測定手順について説明する。まず母親が単独で電子体重計に乗ると加重センサ12がこれを検知し、検知結果に基づく母親単独の体重測定値が体重計制御部8に送られて記憶部10に記憶される。次いで、母親が乳児を抱いて電子体重計2に乗ると加重センサ12がこれを検知し、検知結果に基づく母子の体重測定値が体重計制御部8に送られる。体重計制御部8は、母子の体重測定値から母親単独の体重測定値を減算することにより乳児の体重を算出し、これを記憶部10に記憶させる。以上によって、母親単独の体重および乳児単独の体重が測定される。
【0017】
本発明の電子体重計2は上記のような測定手順を前提として構成されるが、ロードセル等からなる加重センサ12は、加重の変化に対して出力が比較的大きく変化する高精度領域とその他の通常精度領域を有する。これによって、部分的に高精度領域を持ちながら広い範囲の体重測定範囲をカバーするようになっている。上記の高感度領域は、想定される母親単独の体重および母子の体重の両者を含むよう設定されており、この結果、両者の減算結果である乳児単独の体重を通常制度よりも高精度で測定することができる。これに対応して、減算結果である乳児の体重は、通常の体重測定よりも細かい目量で記憶部10に記憶されるとともに、表示部16における体重表示も細かい目量での表示となる。例えば、通常の体重表示の目量が100g単位のキログラム表示(例えば「46.8kg」)であるとすると、乳児の体重表示の目量は50g単位のグラム表示(例えば「3250g」)となる。
【0018】
なお、上記の高精度領域は電子体重計2のゼロ点調節によりシフトできるようになっており、母親単独の体重が高精度領域の下限を下回る場合にはゼロ点をプラス側にシフトして高精度領域を軽体重側に平行移動させることにより母親単独体重が高精度領域に入るようにする。逆に、母親単独の体重が重く、乳児の体重が付加された時に高精度領域の上限を上回ることが予想されるときはゼロ点をマイナス側にシフトして高精度領域を重体重側に平行移動させることにより母子の体重が高精度領域に入るようにする。乳児単独の体重は母子の体重と母親単独の体重の差であるからこのようなゼロ点シフトには依存せず算出できる。なお、母親単独の体重の補正には必要なので、上記のようにゼロ点をシフトした時はそのシフト量を記憶部10に記憶しておく。
【0019】
以上のようにして測定された乳児および母親の体重データは記憶部10から読み出され、体重計近距離通信部18から携帯電話近距離通信部20に送信される。これらの近距離通信部は無線LANまたは赤外線通信が可能なものが採用される。携帯電話制御部22は、受信した体重データを記憶部24に記憶させ、操作部26の操作に応じて体重データを読み出して表示部28に表示する。この表示は、記憶部24に蓄積された誕生以後の体重データに基づく体重の月齢変化グラフとして表示される。
【0020】
携帯電話制御部22は、本来、電話機能部30を含む携帯電話4全体を制御するためのもので、記憶部24に記憶されるプログラムによって動作する。操作部26および表示部28も、本来、電話機能部30の機能に関する操作および表示のために設けられているものであるが、上記のように、体重データの表示のために兼用される。記憶部24には、乳児の体重データだけでなく、身長データや頭囲データを記録することができ、これらも誕生以後の月齢変化グラフとして表示部28に表示することができる。
【0021】
記憶部24には、さらに誕生までの母体の妊娠経過データも記憶することができ、以上述べた種々のデータはすべて記憶部24にインストールされた電子母子手帳ソフトによって総合管理される。このようにして、携帯電話4は電子母子手帳としての機能を備えることになる。なお、上記の電子母子手帳ソフトは公的機関による母子手帳交付の際に公的機関の管理の下で配布されるものとし、このとき、後述する母子手帳サーバ6に特定機能へのアクセスのためのIDとパスワードが厳重な個人情報管理のもとに付与されるものとする。
【0022】
携帯電話4は、電話機能部30によってインターネット32を介し母子手帳サーバ6と交信可能である。母子手帳サーバ6は、サーバ制御部34、データベース36および入出力インターフェース38を有し、保健医療関連公的機関およびベビー用品業界関連が連携した種々の無料情報を提供するポータルサイトとなっている。そして、上記のIDとパスワードで登録を行うことによって体重、身長、頭囲の管理を行う発育曲線ソフトおよび発育曲線の最近年度統計に基づく10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データの配信を受けることができる。さらに、携帯電話4から記憶部24に記憶された乳児の最新の体重データをIDとパスワードに基づいて非公開でアップすることにより、現時点において同様条件で他の参加者からアップされている最新の体重データを集計して更新された10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データの配信を受けることができる。なお、アップした体重データは統計処理されるだけで個人情報としてはIDとパスワードの認証後消去され、流出することがないよう厳重管理されるものとする。また、最新体重データをアップするインセンティブを高めるため、体重データのアップ時に育児に関する個別Q&Aにエントリーできる権利も与えられるものとする。
【0023】
図2は、加重センサ12における加重と回路補償後のセンサ出力の関係を示したグラフである。曲線102はゼロ点調節された標準ラインであり、このセンサ出力が20Kg未満から120Kg超までの体重に対応する。そして、曲線102は、35Kgから85Kgの高感度領域において、その前後の領域よりも加重変化に対するセンサ出力変化が大きくなるようにし、この領域でのより細かい目量での測定を可能とするとともに、全体として20Kg未満から120Kg超までのダイナミックレンジがカバーできるようにしている。
【0024】
曲線102はゼロ点をシフトすることにより白抜き矢印104に示すように水平方向に並行移動することができ、これによってこれに対し、高感度領域を軽体重側と重体重側にシフトできる。曲線106は、ゼロ点をプラス側にシフトすることにより高感度領域を軽体重側にシフトさせた例であって、30Kgから80Kgが高感度領域となっている。一方、曲線108は、ゼロ点をマイナス側にシフトすることにより高感度領域を重体重側にシフトさせた例であって、40Kgから90Kgが高感度領域となっている。高感度域の広さおよび傾きは、加重センサの設計条件、高感度領域に求める精度、想定するユーザのバラつきおよびゼロ点調節可能範囲などにより適宜決定することができる。電子体重計が広い範囲にバラつく不特定多数ユーザを対象せず、想定するユーザ層に合わせて設計したカスタム製品に近い性質のものであれば、高感度領域を狭くするとともにゼロ点調節も不要とすることも可能であり、この場合は、高感度域出力に基づく乳児体重表示時点での目量を変更するだけの構成とすることもできる。
【0025】
図3は、携帯電話4の表示部28における電子母子手帳表示画面の一例であり、体重の発育曲線グラフを示している。このグラフは、IDとパスワードの登録を行うことによって母子手帳サーバから配信される発育曲線ソフトによって処理されるものであり、記憶部24に記憶される乳児の体重データの履歴が体重と月齢のグラフ上に自動プロットされ、これらが自動的に結ばれて個別発育曲線202として表示される。なお、個別発育曲線202の処理はあくまで携帯電話4内部の携帯電話制御部22で行われるものであり、外部に流出することはない。
【0026】
図3では、最新の10パーセンタイルの統計発育曲線204および90パーセンタイルの統計発育曲線206が表示されている。これらは、IDボックス210、パスワードボックス212、ハンドルネームボックス214および性別ボックス216にそれぞれ操作部26による入力を行って送信ボタン218を操作することで最新の体重データ208が母子手帳サーバ6にアップされ、その返信として、母子手帳サーバ6から提供されたものである。
【0027】
なお、プライバシー上、体重データ208等を母子手帳サーバ6に送信したくない場合は、単に体重発育曲線を表示する旨の操作を操作部26によって行う。これによって、IDとパスワードの登録によって既に供給されている最近年度版の10パーセンタイルの統計発育曲線204および90パーセンタイルの統計発育曲線206が表示されこれと比較する形で個別発育曲線202が表示される。このように、表示部28への表示時点において母子手帳サーバ6との交信を全く行わなくても図3のような体重発育曲線グラフを表示することは可能である。
【0028】
図4は、体重計制御部8によって実行される機能を示すフローチャートであり、体重測定のために電子体重計2の電源スイッチがオンされることによってスタートする。フローがスタートすると、まず、ステップS2において所定時間内に測定に関する設定操作が行われたかどうかチェックする。そして所定時間内の設定操作が検出されればステップS4に進み、検出された操作が母子測定設定だったかどうかチェックする。該当すればステップS6に進んで母親のみの単独測定中であることの表示を表示部16で行い、ステップS8に移行する。ステップS8では加重センサ12が加重を検知したかどうかチェックし、検知がなければステップS6に戻って単独測定中表示を継続して検知を待つ。
【0029】
ステップS8で加重が検知されるとステップS10に進み、検地された加重が図2で示した高感度域外に出ていないかどうかチェックする。ここで検知された加重が高感度域外に出ている場合とは、既に説明したとおり、母親単独の体重が高精度領域の下限を下回る場合または乳児の体重が付加された時に高精度領域の上限を上回ることが予想される場合である。そして高感度域外であるときはステップS12に進んで高感度領域が母親単独の体重および想定される母子の体重の両者を含むようゼロ点を自動シフトする。このシフト量はステップS14で記録され、フローはステップS16に進む。一方、ステップS10で検地された加重が図2で示した高感度域外に出ていることが検出されない場合は直接ステップS16に移行する。この場合、当然ながらゼロ点シフトは行われない。
【0030】
ステップS16では、以上の経過で得られた母親の単独測定値が記憶部10に記録される。次いでステップS18で母子測定中であることの表示を表示部16で行い、ステップS20に移行する。ステップS20では、母親が乳児を抱いて電子体重計に乗り、加重センサ12が記録された母親単独の測定値からの加重増加を検知したかどうかチェックする。そして、検知がなければステップS18に戻って母子測定中表示を継続して検知を待つ。なお、ステップS20では、母親が電子体重計2に乗ったまま乳児を受け取った場合、又は母親が一度電子体重計2から降り、乳児を抱いて再び電子体重計2に乗った場合のいずれでも増加検知が可能である。
【0031】
ステップS20で加重増加が検知されるとステップS22に進み、ステップS20で検知された母子測定値からステップS16で記録された母親単独測定値を減算して乳児単独の測定値を算出する。なお、ステップS22で採用される母子測定値は、ステップS12でゼロ点シフトが行われた場合は、ゼロ点シフト状態での測定値であり、ステップS16での母親単独の測定値と同じゼロ点シフト状態でのものである。次いで、ステップS24で目量をより精細化したものに切換えてステップS26に進み、乳児単独の体重を記憶部10に記録するとともに表示部16に表示する。ステップS26では、さらに乳児単独の体重を体重計近距離通信部18から携帯電話近距離通信部20に自動送信する。以上の乳児の体重測定に関するステップS16からステップS26の処理はステップS12でゼロ点シフトがあったかどうかに係わらない。
【0032】
ステップS28以下は、母親の体重に関する処理であり、ステップS28ではステップS12でゼロ点シフトが行われたかどうかチェックする。そしてゼロ点シフトがあればステップS14で記録されたシフト量の分だけステップS16での単独測定値を補正し手ステップS32に移行する。一方、ステップS28でゼロ点シフトが行われていないことが確認されれば直接ステップS32に移行する。この場合、当然ながら補正は不要である。ステップS32では、目量を通常のものに戻し、ステップS34に進んで母親の体重を記憶部10に記録するとともに表示部16に表示する。ステップS34では、さらに母親単独の体重を体重計近距離通信部18から携帯電話近距離通信部20に自動送信し、フローを終了する。母親単独の体重は携帯電話4の電子母子手帳ソフトで処理され母親の産後の肥立ちのチェックに役立てられる。
【0033】
一方、ステップS2で所定時間内操作が検出されなかった場合は、通常の体重測定とみなされステップS36に進む。所定時間内操作があってその操作が母子測定でないことがステップS4で確認された場合でも同様である。ステップS36では、通常測定中であることの表示を表示部16で行い、ステップS38に移行する。ステップS38では加重センサ12が加重を検知したかどうかチェックし、検知がなければステップS36に戻って通常測定中表示を継続して検知を待つ。ステップS38で加重が検知されるとステップS32に進み、表示を通常目量とした後ステップS34の体重の記録、表示、送信を行ってフローを終了する。なお、以上の説明では通常測定でも母親が通常の体重測定を行う場合として説明したが、母親以外の家族の誰でもステップS36経由の体重測定が可能である。この場合は、ステップS34で「母親」とあるのは「任意の家族」と読替えて理解するものとする。
【0034】
図5は、携帯電話制御部22によって実行される機能のうち、電子母子手帳機能に関する部分を抽出して示すフローチャートであり、携帯電話4の電源スイッチがオンされることによってスタートする。フローがスタートすると、まずステップS42で携帯電話4の初期立上げおよび各機能のチェックを行う。そしてステップS44で電子体重計2から体重記録が着信しているかどうかチェックする。着信があればステップS46でこれを記憶部24に記録してステップS48に移行する。一方、ステップS44で着信が検知されなければ直接ステップS48に移行する。
【0035】
ステップS48では、母子手帳IDが登録済であるかどうかチェックする。この母子手帳IDは、既に述べたように母子手帳交付の際に公的機関による厳重な個人情報管理のもとで付与されるものとする。これは、母子手帳サーバ6への悪意または悪戯のアクセスを防止し、母子手帳サーバ6が行う統計の信頼性を高めるためである。なお、母子手帳IDの登録をするかどうかは任意である。
【0036】
ステップS48で母子手帳IDが登録済みでないことがわかるとステップS50に進み、操作部26によって登録操作が行われたかどうかチェックする。この操作が検出されるとステップS52に進み、母子手帳サーバ6へのアクセスが行われるとともに母子手帳サーバ6の指示に従って一連の登録処理が行われる。この処理には、IDの登録および登録のためのパスワードの認証とともに今後のアクセスのためのおよびハンドルネームおよびパスワードの設定処理などが含まれる。登録処理が終わるとステップS54に進む。一方、ステップS48で母子手帳IDが登録済みであることが検出されると直接ステップS54に移行する。
【0037】
ステップS54では、発育曲線ソフトを母子手帳サーバ6から取得済みであるかどうかのチェックが行われる。そして取得済みでないときはステップS56に進み、図3のような表示を行うための発育曲線ソフトおよび発育曲線の最近年度の10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データを取得してステップS58に移行する。一方、発育曲線ソフトを取得済みであれば直接ステップS58に移行する。なお、ステップS50で登録操作が検出されなかったときもステップS58に移行する。
【0038】
ステップS58では、操作部26による体重表示操作があったかどうかのチェックが行われる。操作が検出されるとステップS60に進み、記憶部24に記録されている体重履歴を読み出す。そしてステップS62に進み、発育曲線ソフトが取得済みであるかどうかチェックする。そしてソフトがあればステップS64で10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データを読出す。次いで、ステップS66で記憶部に記憶されている体重情報を母子手帳サーバ6にアップする操作があったかどうかチェックする。操作が検出されるとステップS68に進み、体重情報のアップをするとともに、これと引き換えに、アップ情報も加味した最新の統計に基づく10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データをダウンロードし更新してステップS70に移行する。ステップS68の処理における手順の詳細は図3に関連して説明したとおりである。
【0039】
一方、ステップS66で体重情報アップ操作が検出されない場合は直接ステップS70に移行する。また、ステップS62で発育曲線ソフトが取得済みであることが検出されなかった場合直接ステップS70に移行する。ステップS70では、以上の経過に基づいて体重情報を表示する。すなわち、ステップS68経由の場合は、図3の表示画面が表示され、個別発育曲線202とともに表示される10パーセンタイルの統計発育曲線204および90パーセンタイルの統計発育曲線206は最新のものである。一方、ステップS66から直接ステップS70に至った場合も図3の表示画面が表示されるが、個別発育曲線202とともに表示される10パーセンタイルの統計発育曲線204および90パーセンタイルの統計発育曲線206は最近年度統計によるものである。また、ステップS62から直接ステップS70に至った場合には、単に、記憶部24に記憶される乳児の体重データをグラフ上に自動プロットした個別発育曲線202のみが表示される。
【0040】
ステップS70での表示は所定時間継続された後自動的に終了されてステップS72に進み、操作部26による携帯電話の電源オフ操作が行われたかどうかチェックされる。そして操作が検出されるとフローが終了する。なお、ステップS58で体重表示操作が検出されなかった時もステップS72の電源オフ操作チェックに入る。なお、ステップS72で電源オフ操作が検出されなかったときはステップS42に戻り、以下電源オフ操作が検出されない限りステップS42からステップS72が繰り返される。
【0041】
図6は、サーバ制御部34によって実行される母子手帳サーバ6の機能のフローチャートであり、サーバが起動することによってスタートする。フローがスタートすると、まずステップS82でサーバの初期立上げおよび各機能のチェックを行う。そしてステップS84で母子手帳IDの新規登録のためのアクセスがあったかどうかチェックする。ステップS84で母子手帳IDの新規登録アクセスが検出されるとステップS86に進み、登録のためのパスワードの認証を行った上でIDの登録を行うとともに携帯電話4と交信しながら今後のアクセスのためのおよびハンドルネームおよびパスワードの設定処理などを行う。
【0042】
次いでステップS88に進み、発育曲線ソフトがアクセス元の携帯電話に送信済みであるかどうかのチェックが行われる。そして送信済みであることが検出されないときはステップS90に進み、発育曲線ソフトおよび発育曲線の最近年度の10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データを送信する処理を行ってステップS92に移行する。一方ステップS88で発育曲線ソフトが送信済みであれば直接ステップS92に移行する。また、ステップS84で母子手帳の新規登録が検出されない場合も直接ステップS92に移行する。
【0043】
ステップS92以降は、アップされた体重情報を加味して統計を更新し、最新の10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線を作成するための機能に関する。まず、ステップS92では、体重情報が新規に着信したかどうかをチェックする。着信が検知されるとステップS94に進み、ID、ハンドルネーム、パスワードを認証して悪戯による情報アップでないことを確認する。そしてステップS96で乳児の性別を、ステップS98で乳児の月齢をそれぞれ確認し、ステップS100で体重情報を男女別月齢別統計に加入する。これによってステップS102では、該当する性別の発育曲線を更新する。なお、ステップS102の更新は、個別の体重データが着信するたびに行ってもよいが、例えば一日分データを蓄積し、その日の24時にまとめて更新するようにしてもよい。
【0044】
次いでステップS104では更新済みの最新の発育曲線をステップS94で確認されたIDに送信する。そしてステップS106では着信した体重情報に付随していたID、ハンドルネーム、パスワードなど個人情報につながるデータを消去してステップS108に移行する。一方、ステップS92で体重情報の新規着信がなければ直接ステップS108に移行する。ステップS108では、母子手帳サーバのメンテナンス時期が到来していないかどうかチェックし、到来していればフローを終了する。一方、メンテナンス時期でなければステップS84に戻り、以下メンテナンス時期が到来するまではステップS82からステップS108を繰り返す。
【0045】
なお、本発明の種々の特徴は上記の実施例に限られるものではなく、広く応用可能なものである。例えば、本発明の電子母子手帳に関する特徴は電子体重計2と組み合わせて使用する場合に限らず、専用の乳児体重計と組み合わせて使用することも可能である。また、上記の実施例では電子体重計2と携帯電話4を別の機器としたが、説明した機能を全て電子体重計2に集約し、一体型の母子手帳機能内蔵電子体重計として構成してもよい。この場合、電子体重計2が直接母子手帳サーバと交信することになる。さらに、上記の実施例で説明した電子体重計は、ペットなどのように直接体重計上に静止させるのが困難な対象を飼い主が抱いて体重測定する場合にも使用可能である。
【実施例2】
【0046】
図7は、本発明の実施例2に関する電子母子手帳システム全体のブロックを示した図面代用写真である。実施例2は、産科病院(以下「産院」と略称)内母子手帳管理システム301、携帯電話304および母子手帳サーバ306を有する。携帯電話304の構成の大部分は図1の実施例1と共通なので、各構成要素には300番台の番号を付するとともに、対応する構成要素についてはその10の位および1の位に共通の数字を付して必要のない限り説明は省略する。図7の実施例2における携帯電話304が図1の実施例1の携帯電話4と異なるのは、携帯電話赤外通信部350および携帯電話がオフ状態であることを周囲の人に告知する電波オフ告知部352を有する点である。
【0047】
携帯電話は、通話中はもちろんのこと待ち受け状態でも電波を発しており、これが周囲の電子機器などに害をおよぼさないよう航空機内や病院では電源自体をオフすることが求められる。一方、音楽鑑賞や写真撮影など電波を必要としない携帯電話の機能を利用するため、携帯電話は、電源自体はオフにせずに電波の発生をオフにする設定も可能となっている。電波オフ告知部352は携帯電話がこのような電波オフ状態であることを周囲に告知し、トラブルを避けるために設けられているものである。電波オフ状態であることは表示部328でも表示されるが、電波オフ表示部352は周囲の人への告知力を高めるため、意味の認知された特有の発光を携帯電話外部に向けて行うよう構成されている。なお、図7の実施例2における携帯電話赤外通信部350および電波オフ告知部352を図1の実施例1に設けることも可能であるとともに、図1の実施例1における携帯近距離通信部20を実施例2に設けることも可能である。
【0048】
図7の実施例2における携帯電話304は、実施例1と同様にして、新生児の体重データ、身長データおよび頭囲データ、さらには誕生までの母体の妊娠経過データを記録し、表示することができる。そして、これらの機能は、実施例1と同様にして記憶部324にインストールされた電子母子手帳ソフトによって総合管理される。このようにして、実施例2の携帯電話304も電子母子手帳としての機能を備えることになる。
【0049】
携帯電話304も、通常の電子母子手帳モードにおいて、電話機能部330によってインターネット332を介し母子手帳サーバ6と交信可能である。母子手帳サーバ306は、実施例1と同様にして、保健医療関連公的機関およびベビー用品業界関連が連携した種々の無料情報を提供するポータルサイトとなっている。そして、上記のIDとパスワードで登録を行うことによって体重、身長、頭囲の管理を行う発育曲線ソフトおよび発育曲線の最近年度統計に基づく10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データの配信を受けることができること、は実施例1と同様である。
【0050】
また、携帯電話304から記憶部324に記憶された乳児の最新の体重データをIDとパスワードに基づいて非公開でアップすることにより、現時点において同様条件で他の参加者からアップされている最新の体重データを集計して更新された10パーセンタイルおよび90パーセンタイルの統計発育曲線データの配信を受けることができること、についても実施例1と同様である。
【0051】
上記のように、図7の実施例2は基本的には実施例1と同様の機能を持つものであるが、特に出産直後における産院入院中の母親による使用に好適な特徴が付加されている。出産直後の母親は産院の指導に基づき、新生児の健康管理のために、毎日規則的に体温を測定する他、便や尿の有無、量およびそれらの状態、さらには嘔吐の有無や状態を記録して報告することが求められる。また、授乳の量や状況の記録と報告も求められる。通常これらの報告は、産院の指定する書式に従った書面にきめ細かく記入して提出する。これに対し実施例2は、これらの記録および報告を携帯電話304およびこれにインストールされた電子母子手帳ソフトにおける院内報告モードを使って電子的に行うことができる構成したものである。
【0052】
産院では、通常の医療機関と同様にして、携帯電話の使用が禁止されており、原則として電源をオフすることが求められる。実施例2では、このような環境下で携帯電話304を電子母子手帳として使用可能とするため、院内報告モードで電子母子手帳を使用するときは携帯電話304を電波オフモードとする。ここで二つの問題が生じる。第一の問題は、電子母子手帳の院内報告モードにて携帯電話304を使用する限り、確実に電波オフモードとなっていることを保証することである。第二の問題は、携帯電話が電波オフモードで使用されていることを院内の周囲の人に間違いなく告知し、トラブルを未然に防ぐことである。
【0053】
第一の問題に対応するため、実施例2の携帯電話304は、電子母子手帳ソフトを院内報告モードで使用する操作を行ったとき自動的に携帯電話304が電波オフモードに強制的に切換わるよう構成される。また、電子母子手帳ソフトの使用操作をしても、携帯電話304が電波オフモードに切換えられない限り、院内報告モードでの電子母子手帳ソフトが使用できないようにも構成される。この機能の詳細については、後述する。また、第二の問題に対応するのが、先に述べた電波オフ告知部352である。実施例2ではさらに第二の問題に対応する構成を備えているので、次にこれについて説明する。
【0054】
周囲への告知に関する第二の問題に対応するため、実施例2のシステムでは、電子母子手帳ソフトをインストールして院内で携帯電話を電子母子手帳として使用することを届け出た母親に対し、院内専用緑色携帯ストラップ354が配布され、これを携帯電話304に取り付けるのを義務付ける。院内専用緑色携帯ストラップ354は、電波オフモードで携帯電話を使用している旨が産院内で認知される特有の外観形状を有し、安全を意識させる緑色の概観となっている。
【0055】
さらに、院内専用緑色携帯ストラップ354は電波検知部356を有し、ここで電波が検出されない限り、ストラップ制御部358は電波オフ告知部360の発光を継続させる。電波オフ告知部360の発光は、やはり安全を意識させる緑色にて行う。このように電波が発生していないときに積極的に発光をおこなうことで告知力を高めている。なお、このような動作のために院内専用緑色携帯ストラップ354はボタン電池を電源として内蔵している。さらに、万一電池が消耗した時の対策として、携帯電話304から発する電波に基づいて電波検知部によって生じる起電力自体により発光する電波報知部362が設けられる。電波報知部362は危険を意識させる赤にて点滅発光する。電波報知部362は、もちろん、院内専用緑色携帯ストラップ354はボタン電池が消耗していない場合においても電波検知により発光する。なお、院外にて通信電波による通話やインターネットを行うときは、当然ながら、院内専用緑携帯ストラップ354を携帯電話304から取り外す。
【0056】
上記のような周囲と調和した状況下において、入院中の母親は、電子母子手帳ソフトのインストールされた携帯電話304を利用し、産院から求められる新生児の体温、便、尿、嘔吐、授乳に関するデータを院内報告モードにて携帯電話に入力する。この入力は、操作部326と表示部328によるGraphical User Interface(GUI)によって行う。具体的には、新生児の体温、便、尿、嘔吐、授乳などの報告項目の入力画面が表示部328に表示され、入力画面に基づいて操作部326による選択やキー入力により報告内容が容易に入力できるよう電子母子手帳ソフトが構成されている。
【0057】
一方、産院の院内母子手帳管理システム301側では、院内の各病室または各ベッドサイドなどの要所々に院内赤外通信部364が設置されている。また近接して電波検知部368が検知されている。これによって、携帯電話304に入力した上記情報を携帯電話赤外線通支部350および院内赤外線通信部364による赤外線通信で産院に報告することができる。電波検知部368は赤外線通信中の携帯電話304が誤って電波を発していないかどうかチェックする役割を有し、電波の発生が検知されないかぎり院内制御部370の制御により、電波オフ告知部372を緑色点灯させる。これは、赤外線通信のために携帯電話304を操作しているのを見ている周囲の人に安全と告知する機能を持つ。電波オフ告知部372は、より具体的な告知として「電波オフモードにてデータ転送中」などの文字表示またはアナウンスを行うよう構成してもよい。
【0058】
これに対し、万一、電波検知部368が電波を検知したときには、院内制御部370の制御により電波オフ告知部372が消灯するとともに、電波報知部374が赤にて点滅発光する。これは、主に、携帯電話304の使用者自身に警告を発し、速やかに携帯電話304の電源をオフするか電波オフモードに切換えさせるためのものである。なお、このような状況が生じたときには、院内母子手帳管理システム301による電波検知以前に、携帯電話304が院内のどこにあっても院内専用緑携帯ストラップ354における電波オフ告知部360が消灯するとともに、電波報知部362が点灯し、使用者への警告を行うことになる。
【0059】
院内母子手帳管理システム301における産院側の基本機能は、院内制御部370によって制御される記憶管理部376が行う。記憶管理部376は、院内赤外通信部364が受信した携帯電話304からの報告を記憶して管理する。また、院内母子手帳管理システム301は、入院中の新生児の管理も行っており、新生児ベッドにおける各新生児の存否や動き心音などをモニターする新生児モニター376の情報も院内制御部370に自動入力される。新生児モニター376の情報は、記憶管理部376に記憶された携帯電話304からの報告とともにナースステーション378に通知され、ナースステーション378に設けられたモニター画面によって各新生児の状況が把握される。
【0060】
携帯電話赤外線通支部350および院内赤外線通信部364による赤外線通信は携帯電話304から院内母子手帳管理システム301への一方向だけでなく、院内母子手帳管理システム301の新生児モニター376による情報やナースステーション378からのコメントや指導などを携帯電話304に取り込むことも出来る双方向的なものである。
【0061】
図8は、携帯電話制御部322によって実行される機能のうち、電子母子手帳機能に関する部分を抽出して示すフローチャートであり、携帯電話304の電源スイッチがオンされることによってスタートする。フローがスタートすると、まずステップS112で携帯電話304の初期立上げおよび各機能のチェックを行う。そしてステップS114で電子母子手帳ソフトが携帯電話304にインストール済みかどうかチェックする。インストール済みであればステップS116で母子手帳における院内報告モードが選択されたたかどうかチェックし、選択があればステップS118に移行する。なお、電子母子手帳ソフトが出産後に自宅で体重の増加を記録する場合などのように院内報告モード以外で使用されるときは、ステップS116に該当せず、ステップS118に進むことはない。
【0062】
ステップS118では、電波オフモードへの設定を自動的に行う自動モードかどうかをチェックする。この自動モードの設定は、携帯電話304のカスタム設定の際に予め行っておく。自動モードでなければ手動モードなのでステップS120に進み、携帯電話304が電波オフモードかどうかチェックする。そして電波オフモードでなければステップS122に移行し、手動で電波オフモードの設定を行うよう音声または表示部328の表示にて案内する。次いでステップS124で母子手帳モードの他のモードまたは電子手帳モード以外のモードの選択が行われたかどうかチェックし、他モードの選択がなければフローはステップS120に戻る。以下、他モードの選択が行われた場合を除き、電波オフモードの手動設定が行われるまでステップS120からステップS124が繰り返され、実質的に電子母子手帳モードに入ることができない。そして、ステップS120で電波オフモードが設定されて初めてフローはステップS126に進むことができる。
【0063】
一方、ステップS118で自動モードが設定されていた場合は、ステップS128に進み、強制的に電波オフモードへの自動設定を行ってステップS126に移行する。なお、既に電波オフモードに設定されていた場合は、ステップS128では何も行わずステップS126に移行することになる。このように、自動モード設定時には、ステップS116の電子母子手帳の院内報告モード選択に応じて速やかに自動的に電波オフモード設定が確保される。以上のようにして、自動モードおよび手動モードのいずれの場合も、電波オフモードにしない状態でステップS126に至ることはなく、電子母子手帳の院内報告モードにて携帯電話304を使用するときは電波オフモードであることが確実に保証される。
【0064】
ステップS126では、携帯電話304が電波オフモードであることの表示が電波オフ表示部352で行われ、周囲に人への告知が行われる。電波オフモードであることの表示は併せて表示部328でも行われ、使用者自身に電波オフモードであることを表示する。そしてこれらの表示を継続しつつ、フローはステップS130に進む。
【0065】
ステップS130では、電子母子手の報告用書込または報告事項閲の覧操作があったかどうかチェックする。そして該当する操作があればステップS132に進んで書込みデータの記憶と表示を行う。また単なる閲覧の場合は、書込み済みデータの表示を行う。そして表示を継続しつつステップS134に進み、書込データを院内母子手帳管理システム301に赤外線送信する操作があったかどうかチェックする。操作が検出されればステップS136に進み院内赤外線通信部からの応答があればステップS138に移行して赤外線院内通信処理を行い、書込みデータを報告するとともに必要な情報のフィードバック等を受けてステップS140に移行する。ステップS138の赤外線院内通信処理は、携帯電話304のIDを特定して行われるので、院内母子手帳管理システム301では、誰からの報告なのかを把握することが出来る。一方、ステップS136で院内赤外線通信部からの応答がなければステップS142に移行し、応答なしの理由に応じて院内母子手帳管理システム301が求める赤外線通信手順または赤外線院内通信が可能な所定の場所への移動等の案内をしてステップS140に移行する。
【0066】
なお、ステップS114で母子手帳ソフトがインストール済みでなかったとき、またはステップS116で電子母子手帳における院内報告モードの選択が検知できなかったとき、またはステップS124で他モードの選択があったとき、またはステップS130で母子手帳の書き込みまたは閲覧操作が検地されなかったとき、またはステップS134で書き込みデータの赤外線送信操作が検知されなかったときは、いずれも直ちにステップS140に移行する。
【0067】
ステップS140では、操作部326による携帯電話の電源オフ操作が行われたかどうかチェックされる。そして操作が検出されるとフローが終了する。なお、ステップS140で電源オフ操作が検出されなかったときはステップS114に戻り、以下電源オフ操作が検出されない限りステップS112からステップS142が繰り返される。
【0068】
なお、上記実施例2に示した新生児情報の入力および報告に関する種々の特徴は実施例に限られるものではない。例えば、入力した情報の報告は、院内赤外通信部364に送信する場合に限らず、ナースが電波オフモードにて所持する携帯電話に赤外線通信により転送するようにしてもよい。この場合は、院内に設備を増設することなく、通常患者およびナースが所持している携帯電話にそれぞれ電子母子手帳ソフトをインストールするだけで、院内母子手帳管理システムが構築できる。この場合は、当然ながらナースの所持する携帯電話にも院内専用緑色携帯ストラップ354を取り付ける。
【0069】
また、上記実施例2に示した新生児情報の入力および報告に関する種々の特徴は実施例に限られるものではなく、広く応用可能なものである。例えば、新生児情報の電子入力については、携帯電話によらず、ベッドサイドに設けた入力部および画面からなる専用の入力機器により行うことも可能である。この場合は、入力機器との間を有線通信で結ぶことにより電波発生の問題を回避することができる。なお、このような場合であっても、電子母子手帳ソフトが産前から産後にわたる中長期的なケアのために携帯電話にインストールされている場合には、専用入力機器で入力した出産直後のデータを赤外線通信などで適宜携帯電話に取り込むことができる。そしてこのようなデータの取り込みにおいても上記電波オフモードに関する種々の特徴を活用することが出来る。
【0070】
さらに、上記実施例は電子母子手帳および産科病院を例として記載しているが、本発明の種々の特徴は上記の実施例に限られるものではなく、広く応用可能なものである。例えば実施例2には産院内で電波オフモードでの使用と認知される院内専用携帯ストラップを開示しているが、電波オフモードであることがローカルに認知される限り、特定の場所は産院に限るものではなく、通常の病院でもよい。さらに、電波オフモードであることの認知がその特定の場所に所在する人に周知徹底でき、なおかつ告知手段の配布と管理も徹底できる限りは、特定の場所は、病院以外の施設やエリアであってもよい。
【0071】
なお、電波オフモードにおいて通信を行う手段として実施例2では赤外線通信部を例として記載しているが、本発明の種々の特徴は上記の実施例に限られるものではなく、広く応用可能なものである。たとえば、実施例1で、近距離通信部として無線LANまたは赤外線通信を例示しているが、電波の強度が許容以下であれば無線LANも可能であり、その他、微弱無線通信や人体通信なども電波オフモードにおける通信手段として採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、携帯電話などの通信機能に適用できる。
【符号の説明】
【0073】
330 無線通信機能
322 付加機能部
322、326 設定手段
352、354 通信機能不活性状態告知手段
356、360、362 保証手段
356 電波検知部
360 告知部
362 報知部
350 通信手段
322、326、328 電子母子手帳機能部
350 第2の通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波による無線通信機能部と、前記無線通信機能を利用しない付加機能部と、前記無線通信機能を不活性とする設定手段と、前記無線通信機能を不活性とすることが求められる特定の場所において認知される特定の通信機能不活性状態告知手段とを有することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記特定の場所は病院であることを特徴とする請求項1記載の通信機器。
【請求項3】
前記特定の場所は産科病院であることを特徴とする請求項2記載の通信機器。
【請求項4】
前記通信機能不活性状態告知手段は、前記特定の場所において通信機器に装着可能であるとともに、それ以外の場所では通信機器から除去可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信機器。
【請求項5】
前記通信機能不活性状態告知手段は、無線通信機能が不活性であることを保証する保証手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信機器。
【請求項6】
前記保証手段は、電波検知部を有することを特徴とする請求項5記載の通信機器。
【請求項7】
前記保証手段は、前記電波検知部が電波を検知していないことを告知する告知部を有することを特徴とする請求項6記載の通信機器。
【請求項8】
前記保証手段は、前記電波検知部が電波を検知したときこれを報知する報知部を有することを特徴とする請求項6または7記載の通信機器。
【請求項9】
前記付加機能は、前記特定の場所において許可される通信手段であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信機器。
【請求項10】
前記許可される通信手段は赤外通信手段であることを特徴とする請求項9記載の通信機器。
【請求項11】
前記付加機能部は、電子母子手帳において前記特定の場所での使用のためのものであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の通信機器。
【請求項12】
電波による無線通信機能部と、産院において使用可能な電子母子手帳機能部と、前記無線通信機能を不活性とする設定手段と、前記電子母子手帳における産院で使用可能な機能が使用されるかぎり前記設定手段による設定を保証する制御部とを有することを特徴とする通信機器。
【請求項13】
前記産院において認知される特定の通信機能不活性状態告知手段を有することを特徴とする請求項12記載の通信機器。
【請求項14】
前記電子母子手帳機能部は、前記産院において許可される通信手段を有することを特徴とする請求項12または13記載の通信機器。
【請求項15】
前記制御部は、前記産院において使用可能な電子母子手帳機能が使用されるとき、自動的に前記設定手段による設定を行うことを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の通信装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記設定手段による設定が行われない限り前記電子母子手帳における産院で使用可能な機能の使用を許可しないことを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項17】
電波による無線通信機能部と、前記無線通信機能を不活性とする設定手段と、前記無線通信機能を不活性とすることが求められる特定の場所においても許可される第2の通信手段と、前記第2の通信手段による通信が使用されるかぎり前記設定手段による設定を保証する制御部とを有することを特徴とする通信機器。
【請求項18】
前記設定手段の設定が行われていることを認知可能な特定の認知態様にて告知する通信機能不活性状態告知手段を有することを特徴とする請求項17記載の通信機器。
【請求項19】
前記第2の通信手段は、前記特定の場所において情報を外部に発信することを特徴とする請求項17または18記載の通信機器。
【請求項20】
前記第2の通信手段は、前記特定の場所において外部からの情報を受信することを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−29941(P2011−29941A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173774(P2009−173774)
【出願日】平成21年7月25日(2009.7.25)
【出願人】(706000296)
【出願人】(508278745)NL技研株式会社 (21)
【Fターム(参考)】