通信機能付き光電スイッチおよび光電スイッチシステム
【課題】光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示し、またしきい値を変更設定することを可能とした通信機能付き光電スイッチおよび光電センサシステムを提供する。
【解決手段】光電スイッチ1の内部状態を点灯表示する点灯表示手段11を本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量やしきい値を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器5に表示させ、またはしきい値を変更設定させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することが可能となる。
【解決手段】光電スイッチ1の内部状態を点灯表示する点灯表示手段11を本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量やしきい値を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器5に表示させ、またはしきい値を変更設定させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電スイッチの受光量やしきい値を通信する、通信機能付き光電スイッチおよび光電スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、投光器から投光された光が物体によって遮断されて変化した光量または物体から反射した光量を受光器で受光して、受光量がしきい値を超えたか否かに基づいて、物体の有無を検出する光電スイッチが知られている。
【0003】
図13は、従来の光電スイッチの一例を示す。(A)は透過型の光電スイッチで、投光器101の投光部Tから投光された光を受光器102の受光部Rで受光し、物体によって遮光された光量変化に基づいて物体の有無を検出する。この光電スイッチは投光器101に電源線107、受光器102に電源・出力線108を有している。(B)は反射型の光電スイッチで、投受光器103の投光部Tから発光された光を受光部Rで受光し、物体から反射した光量に基づいて物体の有無を検出する。この光電スイッチは投受光器103に電源・出力線108を有している。図13(A)、(B)の光電スイッチはともに、受光信号が安定しているとき点灯する安定表示灯12、物体有無の判定出力をオンするとき点灯する出力表示灯13、物体有無を判定する基準となる受光量のしきい値を調整するしきい値調整手段(ボリューム)105、および入光時に判定出力をオンさせるか、物体による遮光時に判定出力をオンさせるかを切り換える出力切換スイッチ106を有している。この例として、安定表示灯を有する光電スイッチが挙げられる(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
ところで、光電スイッチの設置に際して光軸調整をする時や、保守点検時には、作業者の感覚に頼らず数値管理に基づいて光軸調整を行う必要があるため受光量を表示させ、投受光の光軸が最適な状態にあるか判断するためしきい値を表示させて確認する必要がある。
【0005】
このため、光電スイッチにLCD(表示部)を設けて、受光量やしきい値を数値で表示することが知られている(例えば、特許文献3)。また、この表示部の設置に代えて、光電スイッチに双方向通信手段を設け、外部機器と受光量レベルの情報伝達を行うこと(例えば、特許文献4)や、反射型の光電スイッチの投受光回路を光通信と共用する方法も知られている(例えば、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−106938号公報
【特許文献2】特開2005−303264号公報
【特許文献3】特開平9−252242号公報
【特許文献4】特開2002−334391号公報
【特許文献5】特許第3055714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3のように、光電スイッチ本体に表示部を内蔵することは、構成部品が増加するため、製品の小型化を困難とし、製造コストの上昇を招く。また、受光量やしきい値の確認は、上記設置時や保守点検時に限られるので、この表示部は通常の作動時には不要なものである。また、特許文献4でも、双方向通信手段を光電スイッチ内に追加する必要があり、構成部品が増加する。特許文献5は、透過型の光電スイッチでは、投光器と受光器が分離されて受光器は受光素子のみで投光素子を有しないため、受光器が受信した受光量やしきい値を読み出すことができない。
【0008】
本発明は、前記の問題点を解決して、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示し、またしきい値を変更設定することを可能とした通信機能付き光電スイッチおよび光電センサシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一構成に係る通信機能付き光電スイッチは、投光器と、投光器から投光された光を受光する受光器と、光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段と、各部を制御して、前記受光器で受光した物体により遮断された光量変化または物体から反射した光量に基づき物体の有無を検出するスイッチ本体制御部とを備えた光電スイッチであって、前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段からの点灯信号をパルス変調して少なくとも受光量を含むスイッチ情報の光信号を生成する第1通信信号生成手段を有し、前記スイッチ情報の光信号を、外部表示機器に当該スイッチ情報を表示させるように、光通信用の送信手段に用いた前記点灯表示手段から送信させる。
ここで、内部状態の点灯表示手段とは、同一の受光量が所定回数連続して検出されて当該受光信号が安定しているとき点灯する安定表示灯、しきい値を超えた同一の受光量が所定回数連続して検出されて物体有無の判定出力をオンするとき点灯する出力表示灯、その他の内部状態を表示する表示灯をいう。
【0010】
この構成によれば、光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段を、本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器に表示させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することが可能となる。
【0011】
好ましくは、前記スイッチ情報の光信号に、物体有無を判別するための受光量のしきい値が含まれる。したがって、受光量だけでなく、光電スイッチの光軸調整に必要なしきい値を表示することができる。
【0012】
好ましくは、前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段が光電スイッチの内部状態を表示するために点灯しているときは、オフパルスの幅で通信信号状態を指定し、光電スイッチの内部状態を表示するために消灯しているときには、オンパルスの幅で通信信号状態を指定する、したがって、点灯表示手段からの点灯信号を用いてスイッチ情報をより容易に送信することができる。
【0013】
本発明の他の構成に係る通信機能付き光電スイッチシステムは、前記通信機能付き光電スイッチと、前記受光器の点灯表示手段から送信された前記スイッチ情報の光信号を受信する受光素子、前記スイッチ情報を表示する表示部、および各部を制御する機器制御部を有する外部表示機器とを備えている。
【0014】
この構成によれば、点灯表示手段を本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段としても使用し、外部表示機器に送信されたスイッチ情報を受信させ、表示させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型、低コスト、かつ簡単な構成でスイッチ情報を表示することが可能となる。
【0015】
好ましくは、前記外部表示機器は、さらに投光素子を有し、前記機器制御部は、前記受光量のしきい値を変更設定するしきい値設定手段と、前記投光素子からの送信信号をパルス変調して前記変更設定されたしきい値を含むスイッチ情報の光信号を生成する第2通信信号生成手段とを有し、前記しきい値設定手段により変更設定されたしきい値を、前記投光素子で前記光電スイッチの受光器に送信させる。したがって、外部表示機器で変更設定されたしきい値を光電スイッチの受光器に容易に送信することができる。
【0016】
好ましくは、前記機器制御部は、前記投光器の投光タイミングに対して、前記外部表示機器の投光素子から変更設定したしきい値信号を受光器へ送信するタイミングをずらす制御を行う。したがって、受光器は投光信号と変更設定したしきい値信号とを容易に弁別できる。
【発明の効果】
【0017】
光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段を、スイッチ情報を送信する送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器に送信、表示させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信機能を有する光電センサシステムを示す構成図である。
【図2】光電センサの投光器を示す回路図である。
【図3】光電センサの受光器を示す回路図である。
【図4】光電センサの基本的な物体検出および安定動作を示すタイムチャートである。
【図5】安定表示灯の点灯信号の変調波形を示す図である。
【図6】外部表示機器を示す回路図である。
【図7】図6の外部表示機器の外観形状を示す正面図である。
【図8】図6の外部表示機器のうち、受光量およびしきい値を表示する回路図である。
【図9】図6の外部表示機器のうち、変更設定されたしきい値信号を送信する回路図である。
【図10】外部表示機器から送信される信号の変調波形を示す図である。
【図11】光電センサの動作を示すタイムチャートである。
【図12】複数の光電センサを有する光電センサシステムを示す構成図である。
【図13】(A)、(B)は従来の光電センサを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る通信機能付き光電センサシステムを示す斜視図である。この光電センサシステムは、物体の有無を検出する光電センサ1と外部表示機器5とを備え、外部表示機器5に光電センサ1で得られた受光量および物体有無の判断の基準となる受光量のしきい値を表示させ、また当該しきい値を変更設定させる。
【0020】
光電センサ1は、投光器2と、投光器2から投光された光を受光する受光器3と、各部を制御して、受光器3で受光した物体により遮光された光量変化に基づいて物体の有無を検出するスイッチ本体制御部7(図3)とを備えている。この例では透過型であるが、物体から反射した光量に基づき物体の有無を検出する反射型に適用してもよい。投光器2は、光を投光する投光部Tと電源を供給する電源線9を有する。
【0021】
受光器3は、受光部Rと電源・出力線14のほかに、光電センサ1の内部状態を表示する点灯表示手段11として、安定表示灯12および出力表示灯13を有する。安定表示灯12は、同一の受光量が所定回数連続して検出されて当該受光信号が安定しているとき点灯する。出力表示灯13は、同一の受光量が所定回数連続して検出されてしきい値との比較に基づき物体有無の判定出力をオンするとき点灯する。
【0022】
この光電スイッチ1は、従来の光電スイッチと異なり、出力切換スイッチおよびしきい値設定手段(ボリューム)を設ける必要がない。ボリュームは通常回転させて調整または選択するので防水を施す必要があるが、これを有しないため防水性能を確保する必要がなくなり、低コストおよび信頼性の高い光電スイッチを実現できる。
【0023】
図2に示すように、投光器2は、投光素子4からパルス状の光を受光器3へ向けて投光するもので、投光パルスを生成する投光パルス生成回路6および投光素子4を駆動させる投光素子駆動回路8を有している。
【0024】
図3に受光器3の回路図を示す。前記スイッチ本体制御部7は、図3の構成から受光素子21、微分増幅回路22、安定表示灯12および出力表示灯13を除いた構成部分である。図3の回路図のうち、光電センサ1における物体検知および安定表示の基本構成として、投光器2から投光された光を受光する受光素子21、受光信号を微分処理して増幅する微分増幅回路22、受光量としきい値を比較する電圧比較器23、しきい値を格納するしきい値部24、D/Aコンバータ25、同一の受光量状態の連続回数をカウントする連続回数カウンタ26、物体有無の判定の確認をする第1の連続確認部(同一結果が10回連続を確認)27、判定結果出力回路28、および受光量安定の確認をする第2の連続確認部(同一結果が3回連続を確認)29のほかに、安定表示灯駆動回路46により駆動する前記した安定表示灯12、出力表示灯駆動回路30により駆動する前記した出力表示灯13を備えている。
【0025】
図4に光電センサにおける基本的な物体検出および安定表示の内部動作のタイミングと動作波形を示す。(a)〜(f)は物体有りを検出した場合、(g)〜(l)は物体なしを検出した場合の状態を示す。まず、(a)は、投光器2で生成され、投光素子4から投光された光パルスに変換された投光波形である。(b)は、受光器3の受光素子21で受光されて、電気信号に変換される受光波形である。(c)のように、外部の不要な光を除去するため、微分増幅回路22でパルス成分のみが増幅される。(d)のように、連続回数カウンタ26により、増幅された信号がカウントされる。(e)のように、設定されたしきい値よりも高い電圧で、同じ状態が複数回(例えば、10回)連続して判定出力をオンするとき、出力表示灯13が点灯される。(f)のように、増幅された信号が同じ高い状態で複数回(例えば、3回)連続して、受光信号が安定しているとき安定表示灯12が点灯される。その一方、物体なしを検出した場合、(g)〜(j)は上記と同様に動作し、(k)のように、逆に設定されたしきい値よりも低い電圧の場合には、判定出力がオフされて、出力表示灯13は消灯される。そして(l)のように、増幅された信号が同じ低い状態で複数回(例えば、3回)連続して、受光信号が安定しているとき安定表示灯12が点灯される。
【0026】
図3の回路図のうち、しきい値設定の構成として、受光器3は、受光素子21、微分増幅回路22のほかに、後述する外部表示機器5から送信される変更設定されたしきい値信号のパルス幅を測定するパルス幅測定部34、そのレベル0のパルス幅を確認する第1のパルス幅確認部(レベル0のパルス幅を確認)35、そのレベル1のパルス幅を確認する第2のパルス幅確認部(レベル1のパルス幅を確認)36、レベル(0、1)の二値化されたデータを格納するシフトレジスタ37、データの先頭のヘッダを識別するヘッダ識別部38、ヘッダおよびしきい値を加算したチェックサムの値と受信したチェックサムの値とが一致するかを計算するチェックサム計算部39、チェックサムの両値が一致していれば、有効なしきい値として格納するしきい値格納部40を備えている。この変更設定されたしきい値は、前記しきい値部24に送られる。
【0027】
一方、図3の回路図のうち、受光量表示およびパルス変調の構成として、受光器3は、受光素子21、微分増幅回路22のほかに、A/Dコンバータ41、検出された受光量が格納される受光量部42を備えている。また、前記しきい値部24のしきい値のデータおよび受光量部42の受光量のデータを格納するシフトレジスタ43、送信パルスを生成する送信パルス生成回路44、安定表示灯12の点灯信号をパルス変調してスイッチ情報の光信号を生成する安定表示灯パルス変調回路(第1の通信信号生成手段)45、安定表示灯12を駆動させる安定表示灯駆動回路46を備えている。
【0028】
図5は、安定表示灯12の点灯信号の変調波形を示すもので、安定表示灯12の点灯信号から該点灯信号をパルス変調した、受光量としきい値を含む通信用の光信号が生成される。(a)は、安定表示灯12の消灯時にオンパルスでレベル0の信号が変調された波形、(b)は(a)でレベル1の信号が変調された波形である。(c)は、安定表示灯12の点灯時にオフパルスでレベル0の信号が変調された波形、(d)は(c)でレベル1の信号が変調された波形である。このように、安定表示灯12が光電スイッチ1の内部状態を表示するために点灯しているときは、オフパルスの幅で通信信号状態を指定し、消灯しているときには、オンパルスの幅で通信信号状態を指定する。(e)は、受光量およびしきい値を含む光信号の送信例を示すもので。この通信信号は、シリアルデータを構成し、ヘッダの後に、二値化された受光量およびしきい値のスイッチ情報が続き、チェックサムが付加されてなる。
【0029】
安定表示灯12は、本来、同一の受光量が所定回数連続して検出されて当該受光信号が安定しているとき点灯させ、そうでない場合に消灯させることで、光電スイッチ1の検出状態が安定しているか否かを認識させるものである。この表示灯12をそのまま光通信の送信手段として使用すると、消灯させたい時にも点灯してしまうため、安定表示灯12としての用をなさなくなる。そこで、安定表示灯12を消灯させる時には、光通信データの点灯時間比率を極端に短くすることで、ほぼ消灯状態と同等に見せることができる。例えば通信による変調を全体の100分の1程度に抑える。また、パルス変調するタイミングを、受光信号と同期させることで、この変調により発生する消費電流変化が受光量に変動を与えることを防止できる。
【0030】
図6は外部表示機器5の構成を示し、図7は、外部表示機器5の外観形状を示す正面図である。図1に示す外部表示機器5は、受光器3に接近して操作される無線式で携帯用のリモートコントローラであり、図7のように、安定表示灯12から投光された光を受光する受光素子51、受光器3の受光素子21に投光する投光素子68、安定表示灯12から送信された受光量、しきい値を表示する表示部70、しきい値を変更設定するためのしきい値加算ボタン71としきい値減算ボタン72、出力モード切換ボタン73、および受光器3にデータを送信するためのデータ送信ボタン74を備えている。出力モード切換ボタン73は、図13の出力切換スイッチ106と同様のもので、入光時(L)に判定出力をオンさせるか、遮光時(D)に判定出力をオンさせるかを切り換える。
【0031】
図6における外部表示機器5の各部を制御する機器制御部50は、図6の構成から受光素子51、受光信号を微分処理して増幅する微分増幅回路22、投光素子68および表示部70を除いた構成部分である。図6の外部表示機器5の構成のうち、図8は受光量およびしきい値を表示する構成を示す。図8において、外部表示機器5は、受光素子51、微分増幅回路52のほかに、安定表示灯12から送信される光信号に含まれる受光量およびしきい値のパルス幅を測定するパルス幅測定部53、そのレベル0のパルス幅を確認する第3のパルス幅確認部(レベル0のパルス幅を確認)54、そのレベル1のパルス幅を確認する第4のパルス幅確認部(レベル1のパルス幅を確認)55、レベル(0、1)の二値化されたデータを格納するシフトレジスタ56、データの先頭のヘッダを識別するヘッダ識別部57、ヘッダ、受光量およびしきい値を加算したチェックサムの値と受信したチェックサムの値とが一致するかを計算するチェックサム計算部58、チェックサムの両値が一致していれば、有効な受光量、しきい値として格納する受光量・しきい値格納部59、および前記した受光量、しきい値を表示する受光量・しきい値表示部60を備えている。
【0032】
図9は、図6の外部表示機器5の構成のうち、しきい値を変更設定して、受光器3に送信する構成を示す。外部表示機器5は、受光素子51、微分増幅回路52のほかに、投光器2の投光タイミングと同等である安定表示灯12から送信された光信号の受光タイミングを検出する受光タイミング検出部61、投光器2の投光タイミングに対して、外部表示機器5の投光素子68から変更設定したしきい値信号を受光器3へ送信するタイミングをずらすタイミングを生成する投光タイミング生成部(投光タイミング生成手段)62、しきい値を変更設定するしきい値設定部(しきい値設定手段)63、しきい値を格納するしきい値部64、二値化されたしきい値のデータを格納するシフトレジスタ65、投光素子からの送信信号をパルス変調して変更設定されたしきい値を含むスイッチ情報の光信号を生成する送信パルス生成回路(第2通信信号生成手段)66、投光素子68を駆動させる投光素子駆動回路67、および変更設定されたしきい値信号を送信する投光素子68を備えている。
【0033】
図10は、しきい値を変更設定して受光器3にその書き込みをさせるための送信パルスの変調波形を示すもので、しきい値書き込みのタイミングと動作波形を示す。(a)は、安定表示灯12からの送信信号の受光波形、(b)はその微分増幅後の波形、(c)は受光タイミング検出部61で検出された安定表示灯12からの送信信号の受光タイミング、(d)は投光タイミング生成部62により生成された、(c)の受光タイミングとずらした投光タイミング、(e)は送信パルス生成回路66により生成された送信パルス、(f)はしきい値を含む光信号の送信例を示す。この通信信号は、シリアルデータを構成し、ヘッダの後に、二値化されたしきい値のスイッチ情報が続き、チェックサムが付加されてなる。
【0034】
図3の受光器3の回路図のうち、投光器2の投光波形と外部表示機器5からの投光波形とを弁別するための構成で、受光器3は、受光素子21、微分増幅回路22のほかに、投光器2からの投光信号に同期させる投光周期同期回路31、投光器2からの投光信号と外部表示機器5からのしきい値信号を弁別する弁別回路33、および弁別回路33を切り換える信号を生成する弁別回路切換信号生成回路32を備えている。
【0035】
図11は、光電スイッチ1における外部表示機器5からのしきい値を含む光信号を受信するタイミングチャートを示す。(a)は、光電スイッチ1の投光器2の投光波形、(b)は(a)の投光器2の投光波形とタイミングをずらした外部表示機器5の投光素子68からの投光波形、(c)は光電スイッチ1の受光器3の受光波形、(d)微分増幅後の波形、(e)は投光周期同期信号、(f)は弁別回路切換信号、(g)は光電スイッチ1の投光器2の受光波形、(h)は外部表示機器5の投光素子68からの投光波形を光電スイッチ1の受光器3が受光した受光波形、(i)は(h)を復調した波形を示す。こうして、受光器3で、外部表示機器5から送信された、変更設定されたしきい値の光信号の波形が投光器2の投光波形と弁別されて、受光器3に正確に受信させることができる。
【0036】
このように、本発明では、光電スイッチ1の内部状態を点灯表示する点灯表示手段11を本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量やしきい値を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器5に表示、またはしきい値を変更設定させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することが可能となる。
【0037】
図12は、通信機能付き光電スイッチ1が複数連結して配置され、前記外部表示機器5が単一であって、各受光器3にそれぞれ接近して操作される無線式で携帯用のリモートコントローラである。したがって、光電スイッチが複数連結して配置されていても、単一の外部表示機器により、簡単な構成で各受光器3の受光量およびしきい値を表示し、しきい値を変更設定することができる。
【0038】
なお、この実施形態では、安定表示灯12をスイッチ情報を送信する通信用の送信手段としても使用しているが、出力表示灯13その他の内部状態の情報を伝達する点灯手段を使用してもよい。
【0039】
なお、この実施形態では、安定表示灯12から受光量およびしきい値を含む光信号を送信しているが、受光量のみを含む光信号を送信してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:通信機能付き光電スイッチ
2:投光器
3:受光器
5:外部表示機器
7:スイッチ本体制御部
11:点灯表示手段
12:安定表示灯
13:出力表示灯
45:第1通信信号生成手段
50:機器制御部
51:受光素子
62:投光タイミング生成回路
63:しきい値設定手段
66:第2通信信号生成手段
68:投光素子
70:表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電スイッチの受光量やしきい値を通信する、通信機能付き光電スイッチおよび光電スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、投光器から投光された光が物体によって遮断されて変化した光量または物体から反射した光量を受光器で受光して、受光量がしきい値を超えたか否かに基づいて、物体の有無を検出する光電スイッチが知られている。
【0003】
図13は、従来の光電スイッチの一例を示す。(A)は透過型の光電スイッチで、投光器101の投光部Tから投光された光を受光器102の受光部Rで受光し、物体によって遮光された光量変化に基づいて物体の有無を検出する。この光電スイッチは投光器101に電源線107、受光器102に電源・出力線108を有している。(B)は反射型の光電スイッチで、投受光器103の投光部Tから発光された光を受光部Rで受光し、物体から反射した光量に基づいて物体の有無を検出する。この光電スイッチは投受光器103に電源・出力線108を有している。図13(A)、(B)の光電スイッチはともに、受光信号が安定しているとき点灯する安定表示灯12、物体有無の判定出力をオンするとき点灯する出力表示灯13、物体有無を判定する基準となる受光量のしきい値を調整するしきい値調整手段(ボリューム)105、および入光時に判定出力をオンさせるか、物体による遮光時に判定出力をオンさせるかを切り換える出力切換スイッチ106を有している。この例として、安定表示灯を有する光電スイッチが挙げられる(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
ところで、光電スイッチの設置に際して光軸調整をする時や、保守点検時には、作業者の感覚に頼らず数値管理に基づいて光軸調整を行う必要があるため受光量を表示させ、投受光の光軸が最適な状態にあるか判断するためしきい値を表示させて確認する必要がある。
【0005】
このため、光電スイッチにLCD(表示部)を設けて、受光量やしきい値を数値で表示することが知られている(例えば、特許文献3)。また、この表示部の設置に代えて、光電スイッチに双方向通信手段を設け、外部機器と受光量レベルの情報伝達を行うこと(例えば、特許文献4)や、反射型の光電スイッチの投受光回路を光通信と共用する方法も知られている(例えば、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−106938号公報
【特許文献2】特開2005−303264号公報
【特許文献3】特開平9−252242号公報
【特許文献4】特開2002−334391号公報
【特許文献5】特許第3055714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3のように、光電スイッチ本体に表示部を内蔵することは、構成部品が増加するため、製品の小型化を困難とし、製造コストの上昇を招く。また、受光量やしきい値の確認は、上記設置時や保守点検時に限られるので、この表示部は通常の作動時には不要なものである。また、特許文献4でも、双方向通信手段を光電スイッチ内に追加する必要があり、構成部品が増加する。特許文献5は、透過型の光電スイッチでは、投光器と受光器が分離されて受光器は受光素子のみで投光素子を有しないため、受光器が受信した受光量やしきい値を読み出すことができない。
【0008】
本発明は、前記の問題点を解決して、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示し、またしきい値を変更設定することを可能とした通信機能付き光電スイッチおよび光電センサシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一構成に係る通信機能付き光電スイッチは、投光器と、投光器から投光された光を受光する受光器と、光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段と、各部を制御して、前記受光器で受光した物体により遮断された光量変化または物体から反射した光量に基づき物体の有無を検出するスイッチ本体制御部とを備えた光電スイッチであって、前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段からの点灯信号をパルス変調して少なくとも受光量を含むスイッチ情報の光信号を生成する第1通信信号生成手段を有し、前記スイッチ情報の光信号を、外部表示機器に当該スイッチ情報を表示させるように、光通信用の送信手段に用いた前記点灯表示手段から送信させる。
ここで、内部状態の点灯表示手段とは、同一の受光量が所定回数連続して検出されて当該受光信号が安定しているとき点灯する安定表示灯、しきい値を超えた同一の受光量が所定回数連続して検出されて物体有無の判定出力をオンするとき点灯する出力表示灯、その他の内部状態を表示する表示灯をいう。
【0010】
この構成によれば、光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段を、本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器に表示させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することが可能となる。
【0011】
好ましくは、前記スイッチ情報の光信号に、物体有無を判別するための受光量のしきい値が含まれる。したがって、受光量だけでなく、光電スイッチの光軸調整に必要なしきい値を表示することができる。
【0012】
好ましくは、前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段が光電スイッチの内部状態を表示するために点灯しているときは、オフパルスの幅で通信信号状態を指定し、光電スイッチの内部状態を表示するために消灯しているときには、オンパルスの幅で通信信号状態を指定する、したがって、点灯表示手段からの点灯信号を用いてスイッチ情報をより容易に送信することができる。
【0013】
本発明の他の構成に係る通信機能付き光電スイッチシステムは、前記通信機能付き光電スイッチと、前記受光器の点灯表示手段から送信された前記スイッチ情報の光信号を受信する受光素子、前記スイッチ情報を表示する表示部、および各部を制御する機器制御部を有する外部表示機器とを備えている。
【0014】
この構成によれば、点灯表示手段を本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段としても使用し、外部表示機器に送信されたスイッチ情報を受信させ、表示させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型、低コスト、かつ簡単な構成でスイッチ情報を表示することが可能となる。
【0015】
好ましくは、前記外部表示機器は、さらに投光素子を有し、前記機器制御部は、前記受光量のしきい値を変更設定するしきい値設定手段と、前記投光素子からの送信信号をパルス変調して前記変更設定されたしきい値を含むスイッチ情報の光信号を生成する第2通信信号生成手段とを有し、前記しきい値設定手段により変更設定されたしきい値を、前記投光素子で前記光電スイッチの受光器に送信させる。したがって、外部表示機器で変更設定されたしきい値を光電スイッチの受光器に容易に送信することができる。
【0016】
好ましくは、前記機器制御部は、前記投光器の投光タイミングに対して、前記外部表示機器の投光素子から変更設定したしきい値信号を受光器へ送信するタイミングをずらす制御を行う。したがって、受光器は投光信号と変更設定したしきい値信号とを容易に弁別できる。
【発明の効果】
【0017】
光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段を、スイッチ情報を送信する送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器に送信、表示させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信機能を有する光電センサシステムを示す構成図である。
【図2】光電センサの投光器を示す回路図である。
【図3】光電センサの受光器を示す回路図である。
【図4】光電センサの基本的な物体検出および安定動作を示すタイムチャートである。
【図5】安定表示灯の点灯信号の変調波形を示す図である。
【図6】外部表示機器を示す回路図である。
【図7】図6の外部表示機器の外観形状を示す正面図である。
【図8】図6の外部表示機器のうち、受光量およびしきい値を表示する回路図である。
【図9】図6の外部表示機器のうち、変更設定されたしきい値信号を送信する回路図である。
【図10】外部表示機器から送信される信号の変調波形を示す図である。
【図11】光電センサの動作を示すタイムチャートである。
【図12】複数の光電センサを有する光電センサシステムを示す構成図である。
【図13】(A)、(B)は従来の光電センサを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る通信機能付き光電センサシステムを示す斜視図である。この光電センサシステムは、物体の有無を検出する光電センサ1と外部表示機器5とを備え、外部表示機器5に光電センサ1で得られた受光量および物体有無の判断の基準となる受光量のしきい値を表示させ、また当該しきい値を変更設定させる。
【0020】
光電センサ1は、投光器2と、投光器2から投光された光を受光する受光器3と、各部を制御して、受光器3で受光した物体により遮光された光量変化に基づいて物体の有無を検出するスイッチ本体制御部7(図3)とを備えている。この例では透過型であるが、物体から反射した光量に基づき物体の有無を検出する反射型に適用してもよい。投光器2は、光を投光する投光部Tと電源を供給する電源線9を有する。
【0021】
受光器3は、受光部Rと電源・出力線14のほかに、光電センサ1の内部状態を表示する点灯表示手段11として、安定表示灯12および出力表示灯13を有する。安定表示灯12は、同一の受光量が所定回数連続して検出されて当該受光信号が安定しているとき点灯する。出力表示灯13は、同一の受光量が所定回数連続して検出されてしきい値との比較に基づき物体有無の判定出力をオンするとき点灯する。
【0022】
この光電スイッチ1は、従来の光電スイッチと異なり、出力切換スイッチおよびしきい値設定手段(ボリューム)を設ける必要がない。ボリュームは通常回転させて調整または選択するので防水を施す必要があるが、これを有しないため防水性能を確保する必要がなくなり、低コストおよび信頼性の高い光電スイッチを実現できる。
【0023】
図2に示すように、投光器2は、投光素子4からパルス状の光を受光器3へ向けて投光するもので、投光パルスを生成する投光パルス生成回路6および投光素子4を駆動させる投光素子駆動回路8を有している。
【0024】
図3に受光器3の回路図を示す。前記スイッチ本体制御部7は、図3の構成から受光素子21、微分増幅回路22、安定表示灯12および出力表示灯13を除いた構成部分である。図3の回路図のうち、光電センサ1における物体検知および安定表示の基本構成として、投光器2から投光された光を受光する受光素子21、受光信号を微分処理して増幅する微分増幅回路22、受光量としきい値を比較する電圧比較器23、しきい値を格納するしきい値部24、D/Aコンバータ25、同一の受光量状態の連続回数をカウントする連続回数カウンタ26、物体有無の判定の確認をする第1の連続確認部(同一結果が10回連続を確認)27、判定結果出力回路28、および受光量安定の確認をする第2の連続確認部(同一結果が3回連続を確認)29のほかに、安定表示灯駆動回路46により駆動する前記した安定表示灯12、出力表示灯駆動回路30により駆動する前記した出力表示灯13を備えている。
【0025】
図4に光電センサにおける基本的な物体検出および安定表示の内部動作のタイミングと動作波形を示す。(a)〜(f)は物体有りを検出した場合、(g)〜(l)は物体なしを検出した場合の状態を示す。まず、(a)は、投光器2で生成され、投光素子4から投光された光パルスに変換された投光波形である。(b)は、受光器3の受光素子21で受光されて、電気信号に変換される受光波形である。(c)のように、外部の不要な光を除去するため、微分増幅回路22でパルス成分のみが増幅される。(d)のように、連続回数カウンタ26により、増幅された信号がカウントされる。(e)のように、設定されたしきい値よりも高い電圧で、同じ状態が複数回(例えば、10回)連続して判定出力をオンするとき、出力表示灯13が点灯される。(f)のように、増幅された信号が同じ高い状態で複数回(例えば、3回)連続して、受光信号が安定しているとき安定表示灯12が点灯される。その一方、物体なしを検出した場合、(g)〜(j)は上記と同様に動作し、(k)のように、逆に設定されたしきい値よりも低い電圧の場合には、判定出力がオフされて、出力表示灯13は消灯される。そして(l)のように、増幅された信号が同じ低い状態で複数回(例えば、3回)連続して、受光信号が安定しているとき安定表示灯12が点灯される。
【0026】
図3の回路図のうち、しきい値設定の構成として、受光器3は、受光素子21、微分増幅回路22のほかに、後述する外部表示機器5から送信される変更設定されたしきい値信号のパルス幅を測定するパルス幅測定部34、そのレベル0のパルス幅を確認する第1のパルス幅確認部(レベル0のパルス幅を確認)35、そのレベル1のパルス幅を確認する第2のパルス幅確認部(レベル1のパルス幅を確認)36、レベル(0、1)の二値化されたデータを格納するシフトレジスタ37、データの先頭のヘッダを識別するヘッダ識別部38、ヘッダおよびしきい値を加算したチェックサムの値と受信したチェックサムの値とが一致するかを計算するチェックサム計算部39、チェックサムの両値が一致していれば、有効なしきい値として格納するしきい値格納部40を備えている。この変更設定されたしきい値は、前記しきい値部24に送られる。
【0027】
一方、図3の回路図のうち、受光量表示およびパルス変調の構成として、受光器3は、受光素子21、微分増幅回路22のほかに、A/Dコンバータ41、検出された受光量が格納される受光量部42を備えている。また、前記しきい値部24のしきい値のデータおよび受光量部42の受光量のデータを格納するシフトレジスタ43、送信パルスを生成する送信パルス生成回路44、安定表示灯12の点灯信号をパルス変調してスイッチ情報の光信号を生成する安定表示灯パルス変調回路(第1の通信信号生成手段)45、安定表示灯12を駆動させる安定表示灯駆動回路46を備えている。
【0028】
図5は、安定表示灯12の点灯信号の変調波形を示すもので、安定表示灯12の点灯信号から該点灯信号をパルス変調した、受光量としきい値を含む通信用の光信号が生成される。(a)は、安定表示灯12の消灯時にオンパルスでレベル0の信号が変調された波形、(b)は(a)でレベル1の信号が変調された波形である。(c)は、安定表示灯12の点灯時にオフパルスでレベル0の信号が変調された波形、(d)は(c)でレベル1の信号が変調された波形である。このように、安定表示灯12が光電スイッチ1の内部状態を表示するために点灯しているときは、オフパルスの幅で通信信号状態を指定し、消灯しているときには、オンパルスの幅で通信信号状態を指定する。(e)は、受光量およびしきい値を含む光信号の送信例を示すもので。この通信信号は、シリアルデータを構成し、ヘッダの後に、二値化された受光量およびしきい値のスイッチ情報が続き、チェックサムが付加されてなる。
【0029】
安定表示灯12は、本来、同一の受光量が所定回数連続して検出されて当該受光信号が安定しているとき点灯させ、そうでない場合に消灯させることで、光電スイッチ1の検出状態が安定しているか否かを認識させるものである。この表示灯12をそのまま光通信の送信手段として使用すると、消灯させたい時にも点灯してしまうため、安定表示灯12としての用をなさなくなる。そこで、安定表示灯12を消灯させる時には、光通信データの点灯時間比率を極端に短くすることで、ほぼ消灯状態と同等に見せることができる。例えば通信による変調を全体の100分の1程度に抑える。また、パルス変調するタイミングを、受光信号と同期させることで、この変調により発生する消費電流変化が受光量に変動を与えることを防止できる。
【0030】
図6は外部表示機器5の構成を示し、図7は、外部表示機器5の外観形状を示す正面図である。図1に示す外部表示機器5は、受光器3に接近して操作される無線式で携帯用のリモートコントローラであり、図7のように、安定表示灯12から投光された光を受光する受光素子51、受光器3の受光素子21に投光する投光素子68、安定表示灯12から送信された受光量、しきい値を表示する表示部70、しきい値を変更設定するためのしきい値加算ボタン71としきい値減算ボタン72、出力モード切換ボタン73、および受光器3にデータを送信するためのデータ送信ボタン74を備えている。出力モード切換ボタン73は、図13の出力切換スイッチ106と同様のもので、入光時(L)に判定出力をオンさせるか、遮光時(D)に判定出力をオンさせるかを切り換える。
【0031】
図6における外部表示機器5の各部を制御する機器制御部50は、図6の構成から受光素子51、受光信号を微分処理して増幅する微分増幅回路22、投光素子68および表示部70を除いた構成部分である。図6の外部表示機器5の構成のうち、図8は受光量およびしきい値を表示する構成を示す。図8において、外部表示機器5は、受光素子51、微分増幅回路52のほかに、安定表示灯12から送信される光信号に含まれる受光量およびしきい値のパルス幅を測定するパルス幅測定部53、そのレベル0のパルス幅を確認する第3のパルス幅確認部(レベル0のパルス幅を確認)54、そのレベル1のパルス幅を確認する第4のパルス幅確認部(レベル1のパルス幅を確認)55、レベル(0、1)の二値化されたデータを格納するシフトレジスタ56、データの先頭のヘッダを識別するヘッダ識別部57、ヘッダ、受光量およびしきい値を加算したチェックサムの値と受信したチェックサムの値とが一致するかを計算するチェックサム計算部58、チェックサムの両値が一致していれば、有効な受光量、しきい値として格納する受光量・しきい値格納部59、および前記した受光量、しきい値を表示する受光量・しきい値表示部60を備えている。
【0032】
図9は、図6の外部表示機器5の構成のうち、しきい値を変更設定して、受光器3に送信する構成を示す。外部表示機器5は、受光素子51、微分増幅回路52のほかに、投光器2の投光タイミングと同等である安定表示灯12から送信された光信号の受光タイミングを検出する受光タイミング検出部61、投光器2の投光タイミングに対して、外部表示機器5の投光素子68から変更設定したしきい値信号を受光器3へ送信するタイミングをずらすタイミングを生成する投光タイミング生成部(投光タイミング生成手段)62、しきい値を変更設定するしきい値設定部(しきい値設定手段)63、しきい値を格納するしきい値部64、二値化されたしきい値のデータを格納するシフトレジスタ65、投光素子からの送信信号をパルス変調して変更設定されたしきい値を含むスイッチ情報の光信号を生成する送信パルス生成回路(第2通信信号生成手段)66、投光素子68を駆動させる投光素子駆動回路67、および変更設定されたしきい値信号を送信する投光素子68を備えている。
【0033】
図10は、しきい値を変更設定して受光器3にその書き込みをさせるための送信パルスの変調波形を示すもので、しきい値書き込みのタイミングと動作波形を示す。(a)は、安定表示灯12からの送信信号の受光波形、(b)はその微分増幅後の波形、(c)は受光タイミング検出部61で検出された安定表示灯12からの送信信号の受光タイミング、(d)は投光タイミング生成部62により生成された、(c)の受光タイミングとずらした投光タイミング、(e)は送信パルス生成回路66により生成された送信パルス、(f)はしきい値を含む光信号の送信例を示す。この通信信号は、シリアルデータを構成し、ヘッダの後に、二値化されたしきい値のスイッチ情報が続き、チェックサムが付加されてなる。
【0034】
図3の受光器3の回路図のうち、投光器2の投光波形と外部表示機器5からの投光波形とを弁別するための構成で、受光器3は、受光素子21、微分増幅回路22のほかに、投光器2からの投光信号に同期させる投光周期同期回路31、投光器2からの投光信号と外部表示機器5からのしきい値信号を弁別する弁別回路33、および弁別回路33を切り換える信号を生成する弁別回路切換信号生成回路32を備えている。
【0035】
図11は、光電スイッチ1における外部表示機器5からのしきい値を含む光信号を受信するタイミングチャートを示す。(a)は、光電スイッチ1の投光器2の投光波形、(b)は(a)の投光器2の投光波形とタイミングをずらした外部表示機器5の投光素子68からの投光波形、(c)は光電スイッチ1の受光器3の受光波形、(d)微分増幅後の波形、(e)は投光周期同期信号、(f)は弁別回路切換信号、(g)は光電スイッチ1の投光器2の受光波形、(h)は外部表示機器5の投光素子68からの投光波形を光電スイッチ1の受光器3が受光した受光波形、(i)は(h)を復調した波形を示す。こうして、受光器3で、外部表示機器5から送信された、変更設定されたしきい値の光信号の波形が投光器2の投光波形と弁別されて、受光器3に正確に受信させることができる。
【0036】
このように、本発明では、光電スイッチ1の内部状態を点灯表示する点灯表示手段11を本来的な点灯表示に使用すると同時に、受光量やしきい値を含むスイッチ情報を送信する光通信用の送信手段として使用して、スイッチ情報を外部表示機器5に表示、またはしきい値を変更設定させることにより、光電スイッチの構成物品を増加させることなく、小型かつ低コストで、スイッチ情報を表示することが可能となる。
【0037】
図12は、通信機能付き光電スイッチ1が複数連結して配置され、前記外部表示機器5が単一であって、各受光器3にそれぞれ接近して操作される無線式で携帯用のリモートコントローラである。したがって、光電スイッチが複数連結して配置されていても、単一の外部表示機器により、簡単な構成で各受光器3の受光量およびしきい値を表示し、しきい値を変更設定することができる。
【0038】
なお、この実施形態では、安定表示灯12をスイッチ情報を送信する通信用の送信手段としても使用しているが、出力表示灯13その他の内部状態の情報を伝達する点灯手段を使用してもよい。
【0039】
なお、この実施形態では、安定表示灯12から受光量およびしきい値を含む光信号を送信しているが、受光量のみを含む光信号を送信してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:通信機能付き光電スイッチ
2:投光器
3:受光器
5:外部表示機器
7:スイッチ本体制御部
11:点灯表示手段
12:安定表示灯
13:出力表示灯
45:第1通信信号生成手段
50:機器制御部
51:受光素子
62:投光タイミング生成回路
63:しきい値設定手段
66:第2通信信号生成手段
68:投光素子
70:表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光器と、投光器から投光された光を受光する受光器と、光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段と、各部を制御して、前記受光器で受光した物体により遮断された光量変化または物体から反射した光量に基づき物体の有無を検出するスイッチ本体制御部とを備えた光電スイッチであって、
前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段からの点灯信号をパルス変調して少なくとも受光量を含むスイッチ情報の光信号を生成する第1通信信号生成手段を有し、
前記スイッチ情報の光信号を、外部表示機器に当該スイッチ情報を表示させるように、光通信用の送信手段に用いた前記点灯表示手段から送信させる、通信機能付き光電スイッチ。
【請求項2】
請求項1において、
前記スイッチ情報の光信号に、物体有無を判別するための受光量のしきい値が含まれる、通信機能付き光電スイッチ。
【請求項3】
請求項1において、
前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段が光電スイッチの内部状態を表示するために点灯しているときは、オフパルスの幅で通信信号状態を指定し、光電スイッチの内部状態を表示するために消灯しているときには、オンパルスの幅で通信信号状態を指定する、通信機能付き光電スイッチ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項の通信機能付き光電スイッチと、
前記受光器の点灯表示手段から送信された前記スイッチ情報の光信号を受信する受光素子、前記スイッチ情報を表示する表示器、および各部を制御する機器制御部を有する外部表示機器と、
を備えた通信機能付き光電スイッチシステム。
【請求項5】
請求項4において、
前記外部表示機器は、さらに投光素子を有し、
前記機器制御部は、前記受光量のしきい値を変更設定するしきい値設定手段と、前記投光素子からの送信信号をパルス変調して前記変更設定されたしきい値を含むスイッチ情報の光信号を生成する第2通信信号生成手段とを有し、
前記しきい値設定手段により変更設定されたしきい値を、前記投光素子で前記光電スイッチの受光器に送信させる、通信機能付き光電スイッチシステム。
【請求項6】
請求項5において、
前記機器制御部は、前記投光器の投光タイミングに対して、前記外部表示機器の投光素子から変更設定したしきい値信号を受光器へ送信するタイミングをずらす制御を行う、通信機能付き光電スイッチシステム。
【請求項1】
投光器と、投光器から投光された光を受光する受光器と、光電スイッチの内部状態を点灯表示する点灯表示手段と、各部を制御して、前記受光器で受光した物体により遮断された光量変化または物体から反射した光量に基づき物体の有無を検出するスイッチ本体制御部とを備えた光電スイッチであって、
前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段からの点灯信号をパルス変調して少なくとも受光量を含むスイッチ情報の光信号を生成する第1通信信号生成手段を有し、
前記スイッチ情報の光信号を、外部表示機器に当該スイッチ情報を表示させるように、光通信用の送信手段に用いた前記点灯表示手段から送信させる、通信機能付き光電スイッチ。
【請求項2】
請求項1において、
前記スイッチ情報の光信号に、物体有無を判別するための受光量のしきい値が含まれる、通信機能付き光電スイッチ。
【請求項3】
請求項1において、
前記スイッチ本体制御部は、前記点灯表示手段が光電スイッチの内部状態を表示するために点灯しているときは、オフパルスの幅で通信信号状態を指定し、光電スイッチの内部状態を表示するために消灯しているときには、オンパルスの幅で通信信号状態を指定する、通信機能付き光電スイッチ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項の通信機能付き光電スイッチと、
前記受光器の点灯表示手段から送信された前記スイッチ情報の光信号を受信する受光素子、前記スイッチ情報を表示する表示器、および各部を制御する機器制御部を有する外部表示機器と、
を備えた通信機能付き光電スイッチシステム。
【請求項5】
請求項4において、
前記外部表示機器は、さらに投光素子を有し、
前記機器制御部は、前記受光量のしきい値を変更設定するしきい値設定手段と、前記投光素子からの送信信号をパルス変調して前記変更設定されたしきい値を含むスイッチ情報の光信号を生成する第2通信信号生成手段とを有し、
前記しきい値設定手段により変更設定されたしきい値を、前記投光素子で前記光電スイッチの受光器に送信させる、通信機能付き光電スイッチシステム。
【請求項6】
請求項5において、
前記機器制御部は、前記投光器の投光タイミングに対して、前記外部表示機器の投光素子から変更設定したしきい値信号を受光器へ送信するタイミングをずらす制御を行う、通信機能付き光電スイッチシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−199448(P2011−199448A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61998(P2010−61998)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(392023751)ジックオプテックス株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(392023751)ジックオプテックス株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]