説明

通信機能付計器によるデータ集約ネットワークの運用方法

【課題】契約者と事業者の経済的負担を抑えて計器管理ネットワークを普及させる。
【解決手段】近隣世帯の通信機能付計器のデータを既設のブロードバンド回線を有する契約世帯に重畳させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信機能付計器からのデータをサーバに収集させるネットワークを容易に拡張できる運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力網の使用状況を詳細に把握し、管理するスマートグリッドを構築するため、各家庭にネットワーク機能と電力量測定機能とを有する高機能電力計にあたるスマートメータを普及させる活動が行われている。スマートメータ(以降および図中「SM」と標記することがある。)を配したスマートグリッドは、例えば特許文献1のようにスマートメータから電力量データを送信させて検針を自動化したり、省エネのための制御などを行うといった効果がある。
【0003】
このスマートメータからデータを収集するためには、個々に移動体通信網への接続機能を持たせるよりも、インターネットやNGNなどのIPネットワークへ間接的に接続させて、IPネットワーク経由でデータ収集サーバへ電力量等のデータを送信するのが効率的である。そのためには、スマートメータになんらかの形でIPネットワークへ接続させる環境を整えなければならない。
【0004】
その方法としては、各家庭が契約した光ファイバーなどのブロードバンドネットワークにスマートメータのトラヒックを重畳させる方法や、電柱などの屋外に無線アクセスポイントを設けて、この無線アクセスポイントにスマートメータのトラヒックを乗せて、送信させる方法などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−128810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各家庭用のブロードバンドネットワークに重畳させる場合には、当然にその家庭がブロードバンド契約をしていなければならず、スマートメータの設置のためにブロードバンド回線を新設させるため、契約者の経済的負荷が大きかった。
【0007】
一方で、屋外無線アクセスポイントを利用する場合には、膨大な数の無線アクセスポイントを敷設する必要があるため、スマートメータのデータを収集し管理するネットワークを構築するための事業者にかかる経済的負荷が大きかった。
【0008】
さらに、より統合的な情報収集や制御のため、ネットワーク通信が可能で電力量を送信するだけではなく、水量計機能やガス計機能など、スマートメータの域に留まらない通信機能付計器にさらなる機能を追加し、より高度な制御を可能とすることが検討されている。
【0009】
そこでこの発明は、契約者と事業者の経済的負担を抑えて、通信機能付計器の総合的な制御を可能とするネットワークを普及させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、IPネットワークへの接続機能を有し、IPネットワークへのネットワーク接続を契約した各世帯に設置されるホームゲートウェイに、通信機能付計器からの無線送信を親機として受信可能な無線親機通信手段を設け、
そのホームゲートウェイに、契約世帯に設置された通信機能付計器だけでなく、契約世帯以外の近傍世帯が使用する前記通信機能付計器についても、それが測定した電力値や水量値、ガス量値などの計量データ等を収集、記録するIPネットワーク上のデータ収集サーバへ送信可能とすることで、上記の課題を解決したのである。
【0011】
ブロードバンド契約世帯は年々増加しており、100%に到達はしていないものの、隣近所では誰かが契約しているという場合がほとんどである。このため、一部のブロードバンド契約をした世帯が、利用しているホームゲートウェイに無線モジュールを取り付けることで、マンションや住宅密集地では近接世帯もその無線通信可能な範囲に含めることができる場合が多い。ここで無線モジュールとは、IEEE802.1a/b/g/nなどに代表される所謂無線通信機能を有するモジュールであり、これを設置することで、契約者は自宅で無線インターネット環境を享受することもできるようになり、設置のメリットが高い。また、予め無線モジュールを内蔵したホームゲートウェイも存在する。このため、既にブロードバンド契約をし、回線を引いている契約者はこのような無線環境を整備しやすい。そして、通信機能付計器が送信するデータ量はわずかなものであり、近隣世帯の通信機能付計器による通信量を重畳させても、契約世帯のネットワーク速度に与える影響はほとんど無い。このため、自身はブロードバンド環境を必要としない近隣世帯でも、このような契約世帯のブロードバンド環境に通信機能付計器のデータを重畳させることの心理的障壁は小さい。さらに、スマートメータなどの計器のデータを収集し、あるいは制御したりする計器管理ネットワークを構築しようとする事業者が、このようにホームゲートウェイの重畳を許可する契約者に対して、近隣世帯の利用件数に応じて、金銭的に使用できるポイントの付与や、ネットワーク接続料金、電気料金等の割引といったインセンティブを与えることで、さらなる普及を図ることができる。
【0012】
このような実施形態は、サーバが上流にホームゲートウェイが下流に存在する、個々の計器独自識別子を有する通信機能付計器へネットワーク識別子(アドレス)を割り振ることができるIPネットワークで実現可能である。特に、ネットワークプレフィックスを配布可能なIPネットワークであると処理が容易である。本件出願時点においては例えばIPv6ネットワーク環境で実現可能であるが、必要な機能をそれと同等以上に有するネットワークでも当然に実現可能である。IPネットワークとしてIPv6ネットワークを例にとると、ホームゲートウェイがIPv6のプレフィックスを配布可能であり、通信機能付計器は自身の計器独自識別子であるMACアドレスを含めて、ネットワーク識別子であるIPv6アドレスを生成し、このIPv6アドレスによりデータ収集サーバと通信する。これにより、どの通信機能付計器からの通信かという事実と、どの契約世帯のホームゲートウェイを経由したデータであるかという事実を、データ収集サーバは送信元ネットワーク識別子だけで判別可能であり、データ収集ネットワーク構成を容易に把握でき、上記のインセンティブの管理も容易である。
【0013】
具体的には、ホームゲートウェイは、契約世帯自身が使用する通信機能付計器の計器独自識別子(例、MACアドレス)を、予め記録しておき、又は、別途に計器独自識別子(例、MACアドレス)と契約者の情報とを関連づけて記録した契約者情報管理テーブルを有するデータ収集サーバから参照可能としておくことで、そうやって登録されたものではない計器独自識別子を有する通信機能付計器は、近隣世帯の通信機能付計器であると判断可能である。
【0014】
なお、契約世帯自体が使用する通信機能付計器については、その通信機能付計器に、その契約世帯のホームゲートウェイのアドレスを登録しておき、データ収集サーバへの通信にあたっては、その登録されたホームゲートウェイを優先して使用することで、契約世帯のデータが無駄に外部へ送られることを防止できる。
【0015】
一方、無線モジュールとIPネットワークへの接続環境を開放することは、通信機能付計器以外のデータ通信の用途でただ乗りされる可能性もある。これを防ぐためには、各契約世帯のホームゲートウェイは、全ての通信機能付計器について通信を受け入れるのではなく、データ収集サーバから、近隣世帯で利用する通信機能付計器の計器独自識別子を通知され、その通知された計器独自識別子の通信機能付計器と、契約者自身が使用する通信機能付計器についてのみ重畳を許可すればよい。このデータ収集サーバから送信する近隣世帯で利用する通信機能付計器の計器独自識別子は、データ収集サーバが契約世帯と近隣世帯との住所を管理しておき、通信可能な範囲にあるホームゲートウェイの存在をリストアップ可能としておき、新たにこの方法により近隣世帯が利用しようとする通信機能付計器の計器独自識別子を登録しておくことで送信可能となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明により、計器管理ネットワークを低コストで普及させることができる。それにより、大規模な電力制御なども可能となり、国家的な省エネに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明を実施する計器管理ネットワークの概念図
【図2】ホームゲートウェイの構成図
【図3】通信機能付計器の構成図
【図4】データ収集サーバの構成図
【図5】(a)通信機能付計器が有するHGW管理テーブルの例図、(b)通信機能付計器が有する電力値管理テーブルの例図
【図6】(b)ホームゲートウェイが有するSM管理テーブルの例図、(b)ホームゲートウェイが有する電力値送信履歴テーブルの例図
【図7】(a)データ収集サーバが有するHGW帰属管理テーブルの例図、(b)データ収集サーバが有する電力値収集テーブルの例図、(c)データ収集サーバが有する契約者情報管理テーブルの例図
【図8】通信機能付計器にアドレスを付与するまでの第一のシーケンス図
【図9】通信機能付計器にアドレスを付与するまでの第二のシーケンス図
【図10】マルチリーチの概念図
【図11】マルチリーチ解消のための第一のシーケンス図
【図12】マルチリーチ解消のための第二のシーケンス図
【図13】マルチリーチ解消のための第三のシーケンス図
【図14】マルチリーチ解消のための第四のシーケンス図
【図15】マルチリーチ解消のための第五のシーケンス図
【図16】マルチリーチ解消のための第六のシーケンス図
【図17】セキュリティ対策シーケンス図
【図18】セキュリティ対策フロー図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について具体的に説明する。
この発明を実施する形態の概念図を図1に示す。
この発明は、IPネットワーク10へ接続可能である契約世帯21が設置したホームゲートウェイ12(図中「HGW」と略記することがある。)と、それに付属する無線APモジュール13と、IPネットワーク10に繋がり世帯ごとの電力量等のデータを管理するデータ収集サーバ15と、近隣世帯22が使用する通信機能付計器17とで構成される計器管理ネットワークの運用方法である。
【0019】
契約世帯21とは、ブロードバンド回線契約をアクセス提供業者と結んで、ブロードバンド回線11を引いてIPネットワーク10へ接続可能なホームゲートウェイ12を世帯内に設置している世帯である。一方、近隣世帯22とは、前記契約世帯21から無線APモジュール13の無線によるネットワーク通信が可能な範囲にある別の世帯である。
【0020】
IPネットワーク10とは、InternetProtocolにより通信可能なネットワークであり、一般世帯が事業者と契約することにより、ブロードバンド接続が可能なネットワークである。以下の実施形態の説明では、この中でも特に、インターネットやNext Generation Network(NGN)など、IPv6プロトコルで通信されるIPv6ネットワークを例にとり説明する。このIPv6ネットワークでは、データ収集サーバ15やホームゲートウェイ12が下流へ配布する、ネットワーク識別子を生成するためのネットワークプレフィックスはIPv6プレフィックスとなり、ネットワーク識別子はIPv6アドレスとなる。
【0021】
ブロードバンド回線11とは、後述する通信機能付計器16,17によるデータ通信量を無視できる程度に高速な速度で通信可能なIPネットワーク回線であり、ADSL回線やFTTH回線などの有線回線や、WiMAXなどの無線回線が挙げられる。
【0022】
ホームゲートウェイ12(以後、「HGW」と略記することがある。)とは、契約世帯21の家庭内ネットワークとIPネットワーク10との間に設けられる機器であり、上流の機器からネットワークプレフィックスを割り当てられ、配下の機器にIP通信を行うためのネットワーク識別子を割り振ることができる。また、ルータ機能やファイアウォール機能等を有していてもよい。単機能である必要はなく、セットトップボックスと兼用されるものでもよいし、無線APモジュール13を予め内蔵していてもよい。この構成例を図2に示す。IPネットワークへ接続するための通信機能141と、CPUに当たる制御部142と、フラッシュメモリなどからなる記憶部143とを少なくとも有している。記憶部143には、ホームゲートウェイ12が動作する際に用いるデータベース145(図中「DB」と標記することがある。)が書き換え可能に記録されており、動作するためのソフトウェアも記録されている。データベース145に含まれるテーブルとしては、そのホームゲートウェイ12がデータ送信を中継する通信機能付計器16,17のアドレスを管理するSM管理テーブル146や、それぞれの通信機能付計器16,17から受信した電力値の中継送信の履歴を記録する電力値送信履歴テーブル147などが挙げられる。
【0023】
無線APモジュール13とは、前記ホームゲートウェイ12に取り付け、又は内蔵される機器、又は部品であり、通信機能付計器16,17と無線通信可能な親機として動作する無線親機通信機能144を有する。IPネットワーク10がIPv6ネットワークである場合にはIPv6プロトコルに対応している必要があり、規格としては、一般的な無線ネットワークに用いられるIEEE802.1a/b/g/nなどの機能を有していると、汎用的な設計の通信機能付計器16,17が使用できるので望ましい。契約世帯21内から近隣世帯22まで通信可能である必要があるため、実効通信距離は少なくとも10メートルである必要があり、30メートル程度の通信が可能であると望ましい。一方で、100メートルを超える通信が可能であると、管轄可能な範囲が広くなりすぎて干渉が問題となるおそれがある。
【0024】
通信機能付計器16,17とは、少なくとも電力量、水量、ガス量などの加算される使用量の値を測定する機能を有し、その電力値を無線送信可能な無線子機通信機能112を有する機器である。以下の説明では仮に、上記の測定する機能の例として、電力値を測定する電力測定機能111を有している場合について説明する。また、それら機能を実行するため、CPUに当たる制御部113や、電力値やソフトウェアを記憶するメモリである記憶部114も有している。この構成例を図3に示す。この通信機能付計器16,17は、電気機器のプラグとコンセントとの間に介在させたり、電源タップに当該機能群を内蔵させたりすることで、個々のコンセントに繋がった電気機器が使用する電力値を測定することができる。それぞれは前記無線子機通信機能を実現するために個々の端末を識別可能な固有の計器独自識別子を記憶している。この計器独自識別子としては例えばMACアドレスが挙げられるが、ICタグなどの固有識別子でも構わない。以下の説明はMACアドレスを例にとり説明する。また、通信機能付計器16,17が有する前記無線子機通信機能は、具体的には、配布されたネットワークプレフィクスからIP通信を行うためのネットワーク識別子を生成、登録し、IPネットワーク通信可能な機能である。IPv6ネットワークでは、配布されたIPv6プレフィックスと、計器独自識別子であるMACアドレスからIPv6アドレスを生成する。また、後述する電力値の測定や無線制御のため、記憶部114内にデータベース115(図中「DB」と標記することがある。)を有し、無線通信を通じて前記制御部を動作させ、その内容を書き換え可能である。このデータベース115が保有するテーブルとしては、通信するホームゲートウェイ12のアドレス等を登録、管理するHGW管理テーブル116や、測定した電力値のログを記録する電力値管理テーブル117が挙げられる。この他に記憶部114には、通信機能付計器16,17を動作させるためのソフトウェアも記録されている。なお、契約世帯21の通信機能付計器を符号「16」で、近隣世帯22の通信機能付計器を符号「17」とする。
【0025】
データ収集サーバ15とは、通信機能付計器16,17のアドレスと、それぞれが測定した電力量や水量、ガス量等の使用量の値を記録し、管理することができるサーバである。その構成例を図4に示す。一般的なコンピュータやサーバと同様に、CPUである制御部172と、メモリ、磁気ディスクドライブ、フラッシュメモリなどからなる記憶部173と、IPネットワーク10に接続する通信部171とを有する他、一般的な入力装置や出力装置を備えていてよい。記憶部173内にはデータベース174を有し、制御部172は主に通信部171から受信するデータに従ってデータベース174内のテーブルを書き換え、テーブルに従って出力、送信を行う。データベース174が有するテーブルとしては、それぞれの通信機能付計器16,17がデータ通信の際に経由するホームゲートウェイを管理するHGW帰属管理テーブル176、それぞれの通信機能付計器16,17ごとの電力測定値を記録する電力値収集テーブル177、上記契約世帯自体が使用する通信機能付計器の計器独自識別子(MACアドレス)と、住所等の契約世帯情報等と、ホームゲートウェイ12やそれに付属させる無線APモジュール13等のアドレスや属性等とを記録する契約者情報管理テーブル178などが挙げられる。記憶部173はこの他に、データ収集サーバ15を動作させるためのソフトウェアも記録されている。
【0026】
それぞれのデータベース115,145,174が有するテーブルの構成例を順に説明する。IPネットワーク10はIPv6ネットワークで、測定する使用量は電力量を例にとる。
まず、通信機能付計器16,17のデータベース115が有するHGW管理テーブル116の例を図5(a)に示す。このテーブルは、通信機能付計器16、17が通信で信号を受信したホームゲートウェイ12のIPv6アドレスとMACアドレスとを記録するとともに、その中で、優先順位のカラムを設けてある。複数のホームゲートウェイ12のアドレスが登録されている場合、優先順位の高いホームゲートウェイ12を中継先として通信を行う。最優先となるホームゲートウェイ12を、帰属先ホームゲートウェイという。契約世帯21が用いる通信機能付計器16では、予めその契約世帯21が設置したホームゲートウェイ12のアドレスを登録し、その優先順位を1とすることで、他の家のホームゲートウェイ12と通信可能であっても、自ら設置したホームゲートウェイ12を経由してデータの送受信を行う。近隣世帯22が用いる通信機能付計器17では、複数のホームゲートウェイ12と通信可能な場合、後述するシーケンスによって、この優先順位を決定する。
【0027】
次に、通信機能付計器16,17のデータベース115が有する電力値管理テーブル117の例を図5(b)に示す。電力値は、通信機能付計器16.17が有する電力測定機能で測定した電力値であり、これを予め定めた測定周期ごとに測定した値を、測定日時とともに記録していく。そして、予め定めた送信周期ごとに、その時点において前記のHGW管理テーブル116の優先順位が1位であるホームゲートウェイ12のアドレスへ、電力値及び測定日時と、通信機能付計器16,17自身のアドレスとを含む測定データを送信し、そのアドレスと送信日時をテーブルに記録する。また、送信が完了したら、送信済みフラグを立てる。さらに、予め定めた削除周期ごとに、一定時間以上経過した測定値のレコードを削除することで、電力値管理テーブル117の肥大化を防ぐ。なお、上記の測定周期、送信周期、削除周期はデータ収集サーバ15やホームゲートウェイ12を通じたコマンド送信により変更できるものであると好ましい。なお、データ送信は複数回分の測定データの蓄積を待ってから送信してもよいが、測定の度に送信するようにすると、データ収集サーバ15が収集するデータのリアルタイム性が高まり、計器管理ネットワークとしての即応性が高くなる。
【0028】
一方、ホームゲートウェイ12のデータベース145が有するSM管理テーブル146の例を図6(a)に示す。SM管理テーブル146は、そのホームゲートウェイ12がプレフィックスを発行して、アドレスを割り当てる通信機能付計器16,17のIPv6アドレス及びMACアドレスと、自らに帰属させたか否かを管理する帰属フラグとを登録している。これは、実際に通信した通信機能付計器16,17について登録するだけでなく、データ収集サーバ15からの指示に従い、通信を許可してもよいMACアドレスのリストとしても用いることができる。このSM管理テーブル146に登録されていないMACアドレスからの通信を、不正な使用として拒絶することで、セキュリティを向上させることができる。また、一旦通信を中継した通信機能付計器17であっても、他のホームゲートウェイ12が帰属先ホームゲートウェイとなったものについては、優先して扱わないようにしつつ、アドレスの記録を保持しておく。例えば、自身が帰属先ホームゲートウェイとなった通信機能付計器17は帰属フラグを1とし、他が帰属先ホームゲートウェイとなった通信機能付計器17は帰属フラグを2とする。
【0029】
次に、ホームゲートウェイ12のデータベース145が有する電力値送信履歴テーブル147の例を図6(b)に示す。ホームゲートウェイ12が通信機能付計器16,17から電力値データを受け取った日時と、その送信元アドレスとともに、送信先のデータ収集サーバ15のアドレスと送信日時とを登録している。送信先のデータ収集サーバ15は通常は固定であるが、通信機能付計器16,17ごとに違うサーバに送信するようにすることもできる。
【0030】
一方、データ収集サーバ15のデータベース174が有するHGW帰属管理テーブル176の例を図7(a)に示す。これは、電力値データやその他のシーケンス中での信号を送信してきた通信機能付計器16,17のアドレスを、中継したホームゲートウェイ12のアドレスとともに記録するものである。基本的には、通信機能付計器16,17からの通信は全て記録してあり、同一の通信機能付計器16,17が、異なるIPv6アドレスを付されていたとしても、一旦はそれぞれを別個に登録する。ただし、IPv6アドレスよりMACアドレスを導出できるため、IPv6アドレスの解析により、同一MACアドレスの通信機能付計器16,17が重複して登録されている場合を抽出できる。このような場合、後述するマルチリーチの状態におけるシーケンス例のような手順により、帰属先ホームゲートウェイを決定する。この決定が完了したら帰属フラグを立てる。図では帰属フラグ=1としている。一方、帰属先ホームゲートウェイから外れたレコードについては帰属フラグを変更する。図では帰属フラグ=0としている。この帰属フラグについての記録は上記のホームゲートウェイ12が有するSM管理テーブルと冗長性を持たせてあり、ホームゲートウェイ12のデータがエラーとなったときのバックアップや、履歴として用いることができる。また、データ到着回数をカウントすることで、それぞれのレコードに記録されたホームゲートウェイ12のうちどれが最も高い頻度で用いられているかを判断することもできる。
【0031】
次に、データ収集サーバ15のデータベース174が有する電力値収集テーブル177の例を図7(b)に示す。データ収集サーバ15が測定した電力値とその測定日時のタイムスタンプを含むデータを受信したら、送信元である通信機能付計器16,17のアドレスと到着日時のタイムスタンプとともに、レコードとして記録する。
【0032】
次に、データ収集サーバ15のデータベース174が有する契約者情報管理テーブル178の例を図7(c)に示す。データ収集サーバ15が管轄する個々の通信機能付計器16,17について、そのMACアドレスを、それを使用するユーザの氏名と、通信機能付計器16,17を設置する予定場所の情報とともに記載する。これは、通信機能付計器16,17の配布、使用契約時に、データ収集サーバ15の管理者またはその代行者が入力する。なお、ここで契約とは、上記契約世帯21のみならず、近隣世帯22が通信機能付計器17の使用契約をする場合も含む。つまり、ここでいう契約者とはホームゲートウェイ12の契約世帯21ではなく通信機能付計器16,17を用いる旨を事業者と契約する契約者である。また、住所は最低限、地図情報上で位置を確認できる情報である。郵便配達可能な住所表示や地番表示の他、北緯、東経、マンションにおける階数を併記しておいてもよい。ホームゲートウェイ12を設置している契約世帯21の住所と比較して、その場所から通信可能な距離にあるホームゲートウェイ12を検索できることが必要である。この点で、緯度経度階数情報が記録されていると、地図情報と比較しなくても距離が算出できるので望ましい。さらに、通信機能付計器16,17が通信する際に用いた無線APモジュール13の種別についても記録しておくと、種別に応じて帰属先の配分やインセンティブ向けの拡張ができるため望ましい。この種別についての情報は特に限定されないが、例えば、電波到達距離の違いや、無線暗号方式の違い、通信方式の違いなどが挙げられる。
【0033】
なお、上記の契約世帯21の住所、すなわちホームゲートウェイ12の設置場所は、当該ブロードバンド回線の契約時になされた情報を記録したテーブル(契約世帯情報管理テーブル)を参照するとよい。このテーブルには、契約世帯21の住所とともに、当該ホームゲートウェイ12のMACアドレスか又はIPv6アドレスが登録されている。
【0034】
上記の構成からなる計器管理ネットワークと、それを管理するテーブルにおける、運用にあたっての具体的な通信フローについて、例を挙げて説明する。なお、以下の説明における「〜手段」とは、ハードウェアの機能だけでなく、ハードウェアを実行するソフトウェアである場合もあり、普段はそれぞれの記憶部に記憶され、制御部によって実行されるものである。
【0035】
まず、通信機能付計器16,17にIPv6アドレスを付与するまでのシーケンスの第一の例を図8に示す。
通信機能付計器16,17は、通電起動時(S211)に、無線子機通信機能112を動作させて、通信可能なホームゲートウェイ12の無線親機通信機能144が存在するか否かを捜索する帰属先HGW捜索手段121を実行する(S212)。具体的には、ホームゲートウェイ12の無線APモジュール13が発している信号を受信し、そのホームゲートウェイ12のIPv6アドレスがわかったら、HGW管理テーブル116にそのアドレスを書き込み、そのホームゲートウェイ12へIPv6のプレフィックスを要求するプレフィックス要求手段122を実行する(S213)。なお、無線APモジュール13が発している信号を受信できなければ、受信できるまで待機する。
【0036】
プレフィックスの要求を受信したホームゲートウェイ12は、予め契約した接続業者のサーバから付与された範囲において、IPv6プレフィックスを通信機能付計器16,17に通知するプレフィックス通知手段123を実行する(S214)。ただしこのとき、ホームゲートウェイ12が、通信を許可する通信機能付計器16,17を限定する設定になっており、SM管理テーブル146に、当該通信機能付計器16,17のMACアドレスが登録されていなければ、プレフィックスを通知せず、又はエラーを返す。
プレフィックスを通知された通信機能付計器16,17は、そのプレフィックスに従ってIPv6アドレスを生成するアドレス生成手段124を実行する(S215)。このIPv6アドレスは通信機能付計器16,17のMACアドレスを内包するものである。
【0037】
アドレスを生成させた通信機能付計器16,17は、そのIPv6アドレスの使用許可を、ホームゲートウェイ12を通じて、データ収集サーバ15へ送信するアドレス許可要求手段125を実行する(S216)。なお、このデータ収集サーバ15のアドレスは、上記契約者に通信機能付計器16,17を配布する際に予め設定してあるか、無線APモジュール13やホームゲートウェイ12に予め設定してあればよい。設定方法としては,プログラム内に埋め込んだり,テキストファイルなどの外部ファイルに記載してそれをプログラムが参照したり,あるいはデータベースに登録するといった方法が挙げられる。
前記の使用許可の要求を受信したホームゲートウェイ12は、その要求を中継してデータ収集サーバ15に送信するアドレス許可要求中継手段126を実行する(S217)。
【0038】
前記の使用許可の要求を受信したデータ収集サーバ15は、受信した通信機能付計器16,17のIPv6アドレスが、自身の管理するアドレスの中でありかつ他の端末に付与されたIPv6アドレスと重複しない旨を確認するアドレス許可確認手段127を実行する(S218)。なお、実際にはIPv6のシステム上重複することはまずありえず、プレフィックスが中継したホームゲートウェイ12に付与したものと一致しているかなど、エラーチェックの効果を発揮する。問題が無ければ、データ収集サーバ15は、確認した通信機能付計器16,17のアドレスを、そのプレフィックスを発行しかつ要求を中継したホームゲートウェイ12のアドレスとともにHGW帰属管理テーブル176に登録する帰属先HGW管理登録手段128を実行する(S219)。この時点では帰属フラグはnullで、データ到着階数は0である。登録後、使用許可要求されたIPv6アドレスの使用許可通知を、送信元である通信機能付計器16,17へ送るべく、中継するホームゲートウェイ12へ返信するアドレス許可通知手段129を実行する(S220)。
【0039】
上記の使用許可通知を受信したホームゲートウェイ12は、当該使用許可通知を通信機能付計器16,17に中継送信するアドレス許可中継手段130を実行する(S221)。使用許可通知を受信した通信機能付計器16,17は、許可を得た当該IPv6アドレスを、自身のアドレスとして設定登録するアドレス設定手段131を実行する(S222)。このIPv6アドレスは通信機能付計器16,17の上記したテーブルとは別に、記憶部114に登録される。
【0040】
これにより、通信機能付計器16,17はIPv6アドレスが決定され、ホームゲートウェイ12を中継してデータ収集サーバ15と通信できるようになる。以後、予め定めた測定周期毎に測定し、電力値管理テーブルに記録した電力値を、ホームゲートウェイ12経由でデータ収集サーバ15へ送る。
なお、上記一連の手順は、契約世帯21の通信機能付計器16と近隣世帯22の通信機能付計器17のいずれについても実行可能とする。
【0041】
次に、通信機能付計器16,17にIPv6アドレスを付与するまでのシーケンスの第二の例を図9に示す。
通信機能付計器16,17は、通常起動後に、一旦待機状態へと移行する(S241)。この状態では、無線通信可能な状態であり、無線親機通信機能144からの通信を受ければ、無線子機通信機能112を作動させて応答を返すことができるようになっている。
【0042】
一方、ホームゲートウェイ12は、定期的に無線親機通信機能144から、通信可能な通信機能付計器16,17を捜索するための存在確認信号を送信するSM捜索手段135を実行する(S242)。この存在確認信号を受信した通信機能付計器16,17は、無線子機通信機能112を作動させ、それへの返信である存在通知信号をホームゲートウェイ12に送信する存在通知送信手段136を実行し(S243)、IPv6のプレフィックスをホームゲートウェイ12に要求するプレフィックス要求手段137を実行する(S244)。なお、この存在通知送信手段136とプレフィックス要求手段137とは、一括して実行されるものでもよい。すなわち、存在通知信号とプレフィックスの要求とを兼ねたパケットを一度に送ってもよい。
【0043】
以後の工程S245〜S253は上記の第一のシーケンスにおけるS214〜S222までの工程と同様の手順により行うことができる。
【0044】
上記第一のシーケンスでは、通信機能付計器16,17に、起動時において到達可能なホームゲートウェイ12を探索する手段を持たせる必要があり、ある程度高機能なものとしなければならない。一方で、起動後にはすぐにホームゲートウェイ12の探索ができるため、速やかに実用が可能となる点で好ましい。逆に、上記第二のシーケンスでは、ホームゲートウェイ12からの存在確認が届くまで通信機能付計器16,17は待機状態であり、接続が完了するまでに時間がかかる反面、通信機能付計器16,17に持たせる機能を最小限に抑えることができ、実装の手間やコストを省くことができる。
【0045】
また、この発明ではこれらのシーケンスに限定されず、通信機能付計器16,17がIPv6アドレスをホームゲートウェイ12から配布されたプレフィックスに従って生成し、登録できるものであれば、この発明の運用上問題ない。
【0046】
上記のようにIPv6アドレスを生成、登録すれば、通信機能付計器16,17からのデータ収集自体は可能となる。しかし、利用可能なホームゲートウェイ12の普及が進むと、図10のように、一つの通信機能付計器17(図中、中央)ついて、複数のホームゲートウェイ12の無線APモジュール13による通信範囲に入ることがある。この状態をマルチリーチという。このような場合、一つのホームゲートウェイ12を、優先順位が最も高い帰属先ホームゲートウェイとして優先的に送信することで、データ収集サーバ15に集まるデータを一本化することができる。また逆に、全てのルートによる通信を受け入れることにより、通信路に冗長性を持たせて、強固な計器管理ネットワークとすることもできる。
【0047】
以下、通信機能付計器17にIPv6アドレスが複数のホームゲートウェイ12A、12Bから付与された場合に、一本化するといった場合の処理を説明する。
まず、第一のマルチリーチ解消シーケンスについて、図11を用いて説明する。これは、それぞれのホームゲートウェイ12が電波品質や速度を測定し、その値をデータ収集サーバ15が集めて帰属先ホームゲートウェイを決定するものである。
【0048】
通信機能付計器17は、IPv6アドレスが複数登録されたらマルチリーチになったと判断し(S251)、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bへ、帰属先ホームゲートウェイを決定するための要求を送信する帰属先HGW決定要求手段211を実行する(S252)。この測定要求を受信したそれぞれのホームゲートウェイ12A、12Bは、通信機能付計器17に対して通信品質を測定するための計測用要求を送信する計測用通信送信手段212を実行する(S253)。具体例としては、この計測用要求とは、いわゆるpingコマンドである。この計測用要求を受信した通信機能付計器17はそれに対する計測用応答(すなわちpingの応答)をそれぞれのホームゲートウェイ12A、12Bに送信する計測用応答手段213を実行する(S254)。
【0049】
この計測用応答を受信したホームゲートウェイ12A,12Bは、前記計測用要求の送信から前記計測用応答の受信までのエコーバック時間を計算するエコーバック時間測定手段214、又は、前記計測用応答の電波強度を通信機能付計器17の標準の電波強度と対比して電波減衰率を計算する電波減衰率測定手段215を実行する(S255)。なお、これに先立ち、データ収集サーバ15はプレフィックスを発行するホームゲートウェイ12群に対して、エコーバック時間と電波減衰率のどちらをデフォルトの測定方式とするのかを決定しておき、各ホームゲートウェイ12A、12Bはそれに合わせてエコーバック時間測定手段214又は電波減衰率測定手段215のいずれを実行するかを選択する。
【0050】
続いてホームゲートウェイ12A,12Bは、計算した前記エコーバック時間又は前記電波減衰率を、データ収集サーバ15へ送信する選定要求手段216を実行する(S256)。
【0051】
データ収集サーバ15は、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bから送信されてきた前記エコーバック時間又は前記電波減衰率について、いずれの値が良好であるかを判断する測定結果判断比較手段217を実行する(S257)。その結果を受けて、ホームゲートウェイ12A、12Bのうち、より良好な値を送信してきた方のホームゲートウェイを、当該通信機能付計器17の帰属先ホームゲートウェイとして決定する帰属HGW選定手段218を実行する(S258)。この決定に続き、当該通信機能付計器17と当該帰属先ホームゲートウェイ(12Aor12B)のアドレスを紐付けてHGW帰属管理テーブル176に記録する帰属先HGW記録手段219を実行する(S259)。それと前後して、選定結果をそれぞれのホームゲートウェイ12A,12Bに送信する選定結果通知手段220を実行する(S260)。
【0052】
前記選定結果を受信したそれぞれのホームゲートウェイ12A,12Bは、自身が帰属先ホームゲートウェイとして選択されたか否かである決定結果を前記通信機能付計器に送信する決定結果通知手段221を実行するとともに(S261)、前記選定結果が自身を帰属先ホームゲートウェイとして選択するものである場合には、自身が保有するSM管理テーブル146に当該通信機能付計器17のアドレスを登録する帰属SM登録手段222を実行する(S262)。
【0053】
前記決定結果を受信した通信機能付計器17は、帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイ12A(or12B)のアドレスを最優先の送信先としてHGW管理テーブル116に登録する帰属先HGW管理手段223を実行する(S263)。以後、通信機能付計器17は測定した電力値の送信を、前記のHGW管理テーブル116に登録された帰属先ホームゲートウェイを介して行う。
【0054】
この第一の解決方式により、より電波減衰が少なかったり、電波応答が早かったりする、良質な通信ルートでのデータ収集が可能となる。
【0055】
次に、第二のマルチリーチ解消シーケンスについて、図12を用いて説明する。これは、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bが電波品質や速度を測定し、その値をホームゲートウェイ12A,12B同士が比較し、互いに選定した結果をデータ収集サーバ15が集めて帰属先ホームゲートウェイを決定するものである。まず、マルチリーチと判断する条件(S271)から、エコーバック時間測定手段214又は電波減衰率測定手段215を実行する手順(S275)までは、上記の第一のマルチリーチ解消シーケンスのS251〜S255と同じである。
【0056】
前記エコーバック時間又は前記電波減衰率の算出以降の手順が異なる。それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bは、並行して帰属先ホームゲートウェイとなるか否かを判断している相手方であるホームゲートウェイ12B,12Aに、前記エコーバック時間又は前記電波減衰率である計算結果を送信する、測定結果交換手段231を実行する(S276)。この通信は、ホームゲートウェイ12A,12B同士が直接無線通信できるならばお互いに直接通信してもよい。ただし、マルチリーチを形成するホームゲートウェイ12A,12B同士は、直接には無線通信可能な距離よりも離れていることが多い。この場合、通信機能付計器17の無線子機通信機能112が、無線通信を中継するマルチホップ接続機能118を有していることが好ましい。それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bは通信機能付計器17とは通信できるので、通信機能付計器17が通信を中継することで、互いに前記計算結果を交換することができる。お互いの前記計算結果を交換したホームゲートウェイ12A,12Bは、相手方の前記計算結果と自身の前記計算結果の値を比較して、いずれの値が良好であるか比較する測定結果比較手段232を実行する(S277)。この比較の結果、自身の値が、他のホームゲートウェイの値よりも優れていた場合には、自身を当該通信機能付計器17の帰属先ホームゲートウェイとして引き続き通信を続けることになる。一方で、自身の値が、他のホームゲートウェイの値よりも劣っていた場合には、自身によるデータ送信の中継は終了することになるので、SM管理テーブル146の中にある、当該通信機能付計器の主な通信中継先であるか否かを管理する帰属フラグを変更して、自身に帰属しないものとする、すなわち今後の通信の除外対象として登録するSM登録変更手段233を実行する(S278)。
【0057】
さらにその上でそれぞれのホームゲートウェイ12A,12Bは、前記の比較の結果を通信機能付計器17に送信する比較結果通知手段234を実行する(S279)とともに、前記の比較の結果をデータ収集サーバ15に送信する選定結果報告手段235を実行する(S281)。自身の値の方が優れたものであると判断した方のホームゲートウェイ12A,12Bが、通信機能付計器17及びデータ収集サーバ15に対して送信する上記比較の結果には、自身が帰属先ホームゲートウェイである旨を通知する情報が含まれ、劣ったものであると判断した方のホームゲートウェイ12B,12Aが送信する上記比較の結果には、自身が帰属先ホームゲートウェイでない旨を通知する情報が含まれる。さらに、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bが通知する情報に、自身が採用か否かの結果だけでなく、比較対象である相手方のホームゲートウェイ12B,12Aが採用か否かの結果や、アドレスなどの情報も含めていると、通知及び報告が冗長化されてより好ましい。
【0058】
前記比較の結果を受信した通信機能付計器17は、帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイのアドレスを最優先の送信先としてHGW管理テーブルに登録する帰属先HGW管理手段236を実行する(S280)。具体的には、HGW管理テーブル116の優先順位のカラムについて、帰属先ホームゲートウェイを1とし、他のホームゲートウェイを2,又は休眠などの状態に変更する。以後、通信機能付計器17は電力値の送信を、HGW管理テーブル116に優先順位1位で登録された帰属先ホームゲートウェイを介して行う。
【0059】
一方、前記比較の結果を受信したデータ収集サーバ15は、その結果を受けてHGW帰属管理テーブル176を更新する帰属HGW登録手段237を実行する。具体的には、HGW帰属管理テーブル176の帰属フラグを、帰属先ホームゲートウェイであるとの報告を送信してきたホームゲートウェイのIPv6アドレスについてのレコードにのみ立てて、後のレコードでは休眠状態に変更する。
【0060】
次に、第三のマルチリーチ解消シーケンスについて、図13を用いて説明する。これは、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bにより重複登録されたとしても、その後に、最初に電力値のデータを要求してきたホームゲートウェイ12A,12Bを帰属先ホームゲートウェイとして決定するものである。
【0061】
まず、マルチリーチと判断した通信機能付計器17は、その段階では特に変更を行わず、電力測定を規定通り実行する(S291)。一方、ホームゲートウェイ12A,12Bは、個々に、一定周期で、アドレスを管理下に置く通信機能付計器16,17へ、測定した電力値の送信を要求する測定データ要求手段251を実行する(S292)。これを受けた通信機能付計器17は、それらのホームゲートウェイ12A,12Bのうち、先に前記電力値の送信を要求してきたホームゲートウェイ(ここでは12Bとする)に、測定した電力値のデータを送信する測定データ送信手段252を実行する(S293)とともに、HGW管理テーブル116においてそのホームゲートウェイ12Bのアドレスのレコードの優先順位を1として、すなわち、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとして登録する帰属先HGW管理手段253を実行する(S294)。この電力値の送信とテーブルへの優先順位の登録は前後しても構わない。また、送信する電力値のデータとともに、そのデータを受けるホームゲートウェイを帰属先ホームゲートウェイとして指定する旨の情報を含んでいてもよい。ただし、その情報を含んでいなくても、電力値のデータを受信するということは帰属先ホームゲートウェイとして指定されていることと同義であるため、それを前提に手順を進行させることができる。
【0062】
また、その後に電力値の送信を要求してきたホームゲートウェイ(ここでは12Aとする)に対しては、帰属先ホームゲートウェイが別途決定してある旨の情報を含む非採用信号を送信する非採用結果送信手段254を実行する(S295)。この非採用信号には、冗長性確保のために電力値の値を含んでいてもよいが、少なくとも他のホームゲートウェイが優先されることが分かる旨のビットなどの情報が含まれているとよく、優先される帰属先ホームゲートウェイのIPv6アドレスが含まれていてもよい。なお、別のホームゲートウェイ(12B)から送信要求を受信した後であって、その後のタイムラグが短く、帰属先ホームゲートウェイが決定する前であった場合には、その送信要求自体を処理せずに廃棄してもよい。
【0063】
前記帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイ(12B)は、受信した電力量のデータをデータ収集サーバ15へ転送する測定データ転送手段255を実行し(S296)、それ以外のホームゲートウェイ(12A)は、前記の別途決定してある旨の情報を含む非採用信号をデータ収集サーバ15へ転送する非採用結果転送手段256を実行する(S297)。このタイミングはネットワークの経路により前後することがあるが、仮に非採用信号の方が先にデータ収集サーバ15に到達したとしても、他のホームゲートウェイが優先される旨が含まれているので、データ収集サーバ15は誤登録を行わずに済む。
【0064】
これらのデータを受信したデータ収集サーバ15は、非採用の情報を含まない電力量の測定データを送信してきた帰属先ホームゲートウェイとなるホームゲートウェイ(12B)のアドレスを、当該通信機能付計器17の帰属先ホームゲートウェイとして優先するよう前記HGW帰属管理テーブル176に登録するとともに、前記非採用信号を送信してきた前記ホームゲートウェイのアドレスをそれよりも優先度を下げるか、不使用とするか、又は削除する帰属HGW更新手段257を実行する(S298)。具体的には、HGW管理テーブル176で、帰属先ホームゲートウェイとなったアドレスのレコードについて、帰属フラグを立てることで実現できる。
【0065】
以上の手順により、通信機能付計器17は以後の電力値の送信を、自身が保有するHGW管理テーブル116にアドレスを優先順位一位で登録された帰属先ホームゲートウェイを経由して電力値を送信する。それ以外のホームゲートウェイ(12A)を経由したデータの送信は行わなくてもよいし、優先しない旨の情報とともに通信を継続させてもよい。継続させていた場合、帰属先ホームゲートウェイ経由での通信がなんらかの理由で途絶えたときに、データ収集サーバ15は帰属フラグを切り替えるだけでデータ収集を続けることができる。
【0066】
なお、この第三のシーケンスにより通信経路を確立させた後、通信機能付計器17は、自身が保有するHGW管理テーブル116の優先順位をリセットする優先順位リセット手段261を、予め定めた期間ごとに実行するようにしてもよい(S301)。これにより、一部の帰属先ホームゲートウェイ12Bがなんらかの理由で機能不全に陥ったとしても、永続的にデータ送信ロスが続くことを防ぎ、別ルートからのデータ送信経路を確立できる。また、帰属先ホームゲートウェイとしてホームゲートウェイ12を提供する契約世帯21にインセンティブを与える場合、単純な早い者勝ちでインセンティブが囲い込まれることを防ぎ、インセンティブを受ける機会を均等化して、公平性を向上させることができる。なお、通信機能付計器17は、上記優先順位リセット手段の実行に合わせて、ホームゲートウェイ12A,12Bに対して、自身のアドレスに関するレコードに記録されている帰属フラグのリセットを要求するリセット要求手段262を実行する(S302)。このリセット要求を受けたホームゲートウェイ12A,12Bは、SM管理テーブル146の帰属フラグをリセットする帰属フラグリセット手段263を実行するとともに(S303)、データ収集サーバ15へ帰属先ホームゲートウェイでなくなった旨を通知するリセット通知手段264を実行する(S304)。通知を受信したデータ収集サーバ15は、HGW帰属管理テーブル176の当該通信機能付計器17のレコードについて、帰属フラグをリセットする管理フラグリセット手段265を実行する(S305)。以上で、帰属先ホームゲートウェイが決定される前の状態に戻るため、再び上記第三のシーケンス(S292〜)、又は他のシーケンスにより帰属先ホームゲートウェイを決定する。
【0067】
また、無線APモジュール13が上記のデータ要求を行う時間間隔は、無線APモジュール13ごと、すなわちホームゲートウェイ12ごとに異なる値でもよく、その値を、契約者情報管理テーブル178の種別情報として保持していてもよい。最初に測定データ要求をして帰属先ホームゲートウェイとして採用される際や、上記のリセット後における再度の採用の際には、このデータ要求間隔に従って送信が行われる。このデータ要求間隔は、通信機能付計器17の配布元が設定しておいてもよいし、契約世帯21の利用者が任意に変更できるようにしてもよい。時間間隔が短いと帰属先として採用されやすく、結果としてインセンティブを採りやすいが、新たな通信機能付計器17を補足する機会はそれほど高い頻度であるわけではなく、その間常に捜索のための電波を出し続けるため、消費電力が嵩むという欠点がある。一方で、時間間隔を長くすると帰属先として採用される可能性が低下するが、発信回数が減る分だけ消費電力を抑えることができる。契約世帯21はこのトレードオフを念頭に置いて自分が最適と考えるデータ要求間隔を設定することとなる。
【0068】
次に、第四のマルチリーチ解消シーケンスについて、図14を用いて説明する。これは、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bにより重複登録されたとしても、その後に、一定時間以内に電力値のデータを要求してきたホームゲートウェイ12A,12Bのうちのいずれかをランダムに帰属先ホームゲートウェイとして決定するものである。
【0069】
まず、自身がマルチリーチと判断した通信機能付計器17は、その段階では特に変更を行わず、電力測定を規定通り実行する(S311)。一方、ホームゲートウェイ12A,12Bは、個々に、一定周期で、アドレスを管理下に置く通信機能付計器16,17へ、測定した電力値の送信を要求する測定データ要求手段251を実行する(S312)。これを受けた通信機能付計器17は、一定時間待機状態で、他のホームゲートウェイからの送信要求も待つ。その上で、送信要求がされたホームゲートウェイ12A,12Bの中から、ランダムで一つの帰属先ホームゲートウェイを選択するランダム選択手段271を実行する(S313)。この待機時間は、例えば標準的に設定されているホームゲートウェイの送信要求周期の1倍から2倍程度であってもよい。
【0070】
その上で、HGW管理テーブル116においてその選択したホームゲートウェイ12Bのアドレスのレコードの優先順位を1として、すなわち、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとして登録する帰属先HGW管理手段253を実行する(S314)。それと前後して、選択したホームゲートウェイ(ここでは12Bとする)に、測定した電力値のデータを送信する測定データ送信手段252を実行する(S315)とともに、その他のホームゲートウェイ(ここでは12Aとする)に対しては、帰属先ホームゲートウェイが別途決定してある旨の情報を含む非採用信号を送信する非採用結果送信手段254を実行する(S316)。この電力値の送信とテーブルへの優先順位の登録は前後しても構わない。なお、上記第三のシーケンスと同様に、ホームゲートウェイ12Bへ送信する信号には、送信する電力値のデータとともに、そのデータを受けるホームゲートウェイを帰属先ホームゲートウェイとして指定する旨の情報を含んでいてもよい。また、この非採用信号には、冗長性確保のために電力値の値を含んでいてもよいが、少なくとも他のホームゲートウェイが優先されることが分かる旨のビットなどの情報が含まれているとよく、優先される帰属先ホームゲートウェイのIPv6アドレスが含まれていてもよい。
【0071】
その後、ホームゲートウェイ12A,12Bがデータを受信した後の手順(S318〜S320)は、上記第三のシーケンスにおけるS296〜S298と同様である。
【0072】
また、図示しないが、上記第三のシーケンスにおけるS301〜S305と同様に優先順位と帰属フラグをリセットし、再度第四のシーケンスを実行してもよい。
【0073】
次に、第五のマルチリーチ解消シーケンスについて、図15を用いて説明する。これは、それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bにより重複登録されたとしても、電力値のデータを要求してきたホームゲートウェイ12A,12Bのそれぞれに対して、通信機能付計器17はそれぞれ電力値のデータを送信し、ホームゲートウェイ12A,12B経由でそれらのデータを受信したデータ収集サーバ15が種々の方式により、当該通信機能付計器17の帰属先を決定するものである。
【0074】
まず、自身がマルチリーチと判断した通信機能付計器17は、その段階では特に変更を行わず、電力測定を規定通り実行する(S331)。一方、ホームゲートウェイ12A,12Bは、個々に、一定周期で、アドレスを管理下に置く通信機能付計器16,17へ、測定した電力値の送信を要求する測定データ要求手段251を実行する(S332)。これを受信した通信機能付計器17は、全ての送信要求に対して、電力値のデータを送信する測定データ送信手段252を実行する(S333)。それぞれのホームゲートウェイ12A,12Bは、受信した電力量の測定データをデータ収集サーバ15へ転送する測定データ転送手段255を実行する(S334)。
【0075】
これらの測定データを送信されたデータ収集サーバ15は、その通信機能付計器17について一の帰属先ホームゲートウェイを選択する方式と、全てのホームゲートウェイを並行に使用する方式との二通りの処理が可能である。一の帰属先ホームゲートウェイを選択するHGW選択手段281を実行する場合(S335)、選択する基準は特に限定されず、例えば、当該通信機能付計器17についてのデータを最初に送ってきたホームゲートウェイを優先する先着順でもよいし、ランダムに選択してもよいし、各ホームゲートウェイ12A,12Bのそれまでの割り当て順に従って割り振ってもよい。いずれの方式にしても、選択したホームゲートウェイが当該通信機能付計器17の帰属先ホームゲートウェイとなるので、帰属HGW更新手段257を実行して、HGW帰属管理テーブルの帰属フラグを立て、その他のホームゲートウェイと区別を付ける。一方、全てのホームゲートウェイ12A,12Bを使用する場合はこの選択を行わず、HGW管理テーブル上は、データを送信してきたホームゲートウェイ12A、12Bの間では、全て帰属フラグを全て統一して、平等に帰属先ホームゲートウェイとして取り扱う。いずれの場合も、帰属先ホームゲートウェイからの電力量のデータであれば受け入れて、電力値収集テーブル177に記録することとなる。
【0076】
このような選択の後、データ収集サーバ15は通信機能付計器17に対してその選択を通知することなく、データ収集サーバ15の側だけで送信されたデータのフィルタリング等を行ってもよいし、個々のホームゲートウェイ12A,12Bを通じて、帰属先ホームゲートウェイの決定を通信機能付計器17に通知してもよい。通知する場合、通知の方法(S340〜S343)は、第一のマルチリーチ解消シーケンス(図11)における、S260〜S263と同様の手順により行うことができる。一方で、通信機能付計器17に通知を行わず、データ収集サーバ15だけで処理すると、通信機能付計器17で行う処理を簡略化できるために、通信機能付計器17の装置構造及びソフトウェアを簡略化できるという利点がある。
【0077】
次に、第六のマルチリーチ解消シーケンスについて、図16を用いて説明する。これは、帰属先ホームゲートウェイを固定することなく、一定時間以内に測定データを要求してきたホームゲートウェイ12A,12Bのうちから、毎回ランダムに送り先を選んで電力量のデータを送信するものである。
【0078】
まず、自身がマルチリーチと判断した通信機能付計器17は、その段階では特に変更を行わず、電力測定を規定通り実行する(S361)。一方、ホームゲートウェイ12A,12Bは、個々に、一定周期で、アドレスを管理下に置く通信機能付計器16,17へ、測定した電力値の送信を要求する測定データ要求手段251を実行する(S362)。これを受けた通信機能付計器17は、一定時間待機状態で、他のホームゲートウェイからの送信要求も待つ。この待機時間は、例えば標準的に設定されているホームゲートウェイの送信要求周期の1倍から2倍程度であってもよい。その上で、送信要求がされたホームゲートウェイ12A,12Bの中から、ランダムで一つの送信先を選択して電力量のデータを送信するランダム送信手段291を実行する(S363)。この際、HGW管理テーブル116を特に変更することはない。帰属先として中継するホームゲートウェイ12を固定するのではなく、送信毎に異なるホームゲートウェイを用いても構わないからである。データを受信したホームゲートウェイ12は、SM管理テーブル146を特に変更することなく、そのデータを中継してデータ収集サーバ15へ送る測定データ転送手段292を実行する(S364)。データ収集サーバ15は、HGW帰属管理テーブル176を特に変更することなく、送信された電力量データを記録する。ただし、ランダムで異なるホームゲートウェイ12A,12Bを中継してデータが送信されてくるため、送信元である通信機能付計器17のIPv6アドレスは中継するホームゲートウェイ12A,12Bによって変化する。このため、電力値収集テーブル177は図7(b)のようにIPv6アドレスをレコードのキーとするのではなく、MACアドレスで管理してもよい。以後、S362〜S364を繰り返すが、中継するホームゲートウェイ12は一定しない。
【0079】
次に、第七のマルチリーチ解消シーケンスについて説明する。これは、通信機能付計器17が、複数のホームゲートウェイ12A,12Bからアドレスの設定をされ、又はその事前段階である通信を受信して、マルチリーチであると判断できた場合に、先にアドレスの設定を完了したホームゲートウェイ(12Aor12B)を、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとして自身の管理するHGW管理テーブル116に登録する優先順位決定手段を実行し、以後の電力値の送信を、その帰属先ホームゲートウェイを介して行うようにする。すなわち、先にIPv6アドレスを設定されたホームゲートウェイをそのまま利用するものである。
【0080】
これらのいずれのシーケンスにしても、計器管理ネットワークは運用可能である。いずれにしても、帰属先ホームゲートウェイを通じて通信機能付計器16,17から送信された電力量のデータは、ホームゲートウェイ12の電力値送信履歴テーブル147に記録され、中継されて、データ収集サーバ15に送られ、電力値収集テーブル177に記録されて、複数世帯の電力量を一括して記録、検索できるようになる。
【0081】
また、上記の通信機能付計器16,17は、計測機能を有すればよく、他に付加機能を有していてもよい。付加機能としては例えば電力制限や遠隔制御による電源のオンオフ機能などがあげられ、データ収集サーバ15は、HGW帰属管理テーブル176において帰属フラグが立てられている通信機能付計器のアドレスへ、それらの制御のための信号を発信して、計器管理ネットワークを統括できるようにしてもよい。
【0082】
ところで、ホームゲートウェイ12が近隣世帯の通信機能付計器17によって利用可能にするということは、無線ネットワークを公衆に公開するということであり、完全開放してしまうとセキュリティ上の大きな問題となりうる。このセキュリティリスクを塞ぐため、ホームゲートウェイになんらかの制限をかけることが望ましい。
【0083】
その第一の例のシーケンスを図17に示す。このシーケンスは、通信機能付計器17の設置にあたり、データ収集サーバ15が把握している住所情報に従い、当該近隣世帯22から通信可能な圏内にある契約世帯21のホームゲートウェイ12のみ、その通信機能付計器17の通信を受け付けるようにするものである。
【0084】
これを行うには、データ収集サーバ15が、通信機能付計器17について、図7(c)に例を示すようなアドレスと設置住所(緯度経度階数を含んでもよい)を記録した契約者情報管理テーブル178を有するとともに、ホームゲートウェイ12について、そのアドレスと、設置住所(同じく緯度経度階数を含む)を記録した契約世帯情報管理テーブルを参照可能である必要がある。この契約世帯情報管理テーブルは、ブロードバンド回線を敷設する契約をした利用者についてのデータであり、ブロードバンド回線の提供業者から提供を受けたり、データの共有を図ることによって参照可能となる。また、各ホームゲートウェイ12は、無線通信可能な無線子機端末をMACアドレスにより制限するMACアドレス制限を掛けておく。基本的にはこのMACアドレス制限は、当該ホームゲートウェイ12を設置している契約世帯21が使用する通信機能付計器16及び無線インターネット端末についてのみ解除されているものとする。
【0085】
その上で、図17のようなフローを実施する。ブロードバンド契約をしていないが近隣世帯22となる予定の世帯に通信機能付計器17を配置するにあたり、データ収集サーバ15を管理する事業者に属する担当者は、通信機能付計器17のMACアドレスとともに、当該世帯の世帯者名と、設置場所の情報をデータ収集サーバ15に送信する(S411)。データ収集サーバ15は、当該MACアドレス等を契約者情報管理テーブル178に新たなレコードとして追加する利用者登録手段を実施する(S412)。
【0086】
次に、契約者情報管理テーブル178の設置情報を起点として、外部サーバ(図示せず)保存された契約世帯情報管理テーブルを読み込み、または参照して、設置情報の中で、無線親機通信機能144の通信可能範囲となるホームゲートウェイ12を検索する近隣HGW検索手段を実施する(S413)。この検索は住所から地図情報を検索して二点間の距離を計算して行っても良いし、緯度経度階数の情報から単純に距離を算出して行っても良い。これで、通信可能な範囲にホームゲートウェイ12が見つからない場合は(S414)、担当者にその旨を通知する(S415)。この場合は、近隣世帯22としての利用が難しいため、当該世帯にはブロードバンド契約を行って契約世帯21となることを勧めるといった対処を行う(S416)。
【0087】
検索により、通信可能な範囲にホームゲートウェイ12が見つかった場合は(S414)、検索により抽出された当該通信機能付計器17が通信可能であるホームゲートウェイ12に対して、その通信機能付計器17のMACアドレスを通知し、当該MACアドレスについてはMACアドレス制限から除外するよう通知する適用SM通知手段を実施する(S421)。
【0088】
通知を受けたホームゲートウェイ12は、通知のあったMACアドレスを、前記無線親機通信機能で受け付けるように制限解除する端末制限除外手段を実行する(S422)。以上の手順を通信機能付計器17の設置の前に行っておく。これにより、通信機能付計器17の起動時には、セキュリティを確保しつつ上記のシーケンスを行うことができる(S423)。
【0089】
また、無線APモジュール13を通信機能付計器16,17専用とし、パソコンやスマートフォンなどの他の機器を受け付けない情報収集専用としてもよい。これにより、帯域制限をかけたり、パケット解析による制限などを掛けてさらなるセキュリティの向上を図ることができる。
【0090】
この他に、セキュリティを確保する方式としては次のような手段が挙げられる。ホームゲートウェイ12側で、データ収集サーバ15へデータ送信する周期を決めておき、その周期以外の電力量データが来てもホームゲートウェイ12が拒否する方式、データ収集サーバ15において、特定IPv6アドレスからのデータ量が一定の閾値を超えたら、未契約ユーザによるトラヒックと判断して遮断する方式、などが挙げられる。
【0091】
上記のように運用する計器管理ネットワークでは、契約世帯21の普及が欠かせない。このため、契約世帯21として、近隣世帯22の通信機能付計器17によるトラヒックを受け入れた世帯には、金銭的なインセンティブを与えることで、普及を図ることができる。金銭的なインセンティブとは、例えば、ブロードバンド接続料金の、利用戸数に応じた割引や、金銭的に利用できるポイントの還元などが挙げられる。
【符号の説明】
【0092】
10 IPv6ネットワーク
11 ブロードバンド回線
12,12A,12B ホームゲートウェイ
13 無線APモジュール
15 データ収集サーバ
16 通信機能付計器(契約世帯の)
17 通信機能付計器(近隣世帯の)
21 契約世帯
22 近隣世帯
<通信機能付計器16,17>
111 電力測定機能
112 無線子機通信機能
113 制御部
114 記憶部
115 データベース
116 HGW管理テーブル
117 電力値管理テーブル
118 マルチホップ接続機能
121 帰属先HGW捜索手段
122 プレフィックス要求手段
124 アドレス生成手段
125 アドレス許可要求手段
131 アドレス設定手段
136 存在通知送信手段
137 プレフィックス要求手段
211 帰属先HGW決定要求手段
213 計測用応答手段
223 帰属先HGW管理手段
236 帰属先HGW管理手段
252 測定データ送信手段
253 帰属先HGW管理手段
254 非採用結果送信手段
261 優先順位リセット手段
262 リセット要求手段
271 ランダム選択手段
291 ランダム送信手段
<ホームゲートウェイ12>
141 通信機能
142 制御部
143 記憶部
145 データベース
146 SM管理テーブル
147 電力値送信履歴テーブル
<無線APモジュール13>
144 無線親機通信機能
149 データベース
123 プレフィックス通知手段
126 アドレス許可要求中継手段
130 アドレス許可中継手段
135 SM捜索手段
212 計測用通信送信手段
214 エコーバック時間測定手段
215 電波減衰率測定手段
216 選定要求手段
221 決定結果通知手段
222 帰属SM登録手段
231 測定結果交換手段
232 測定結果比較手段
233 SM登録変更手段
234 比較結果通知手段
235 選定結果報告手段
251 測定データ要求手段
255 測定データ転送手段
256 非採用結果転送手段
263 帰属フラグリセット手段
264 リセット通知手段
292 測定データ転送手段
<データ収集サーバ15>
171 通信部
172 制御部
173 記憶部
174 データベース
176 HGW帰属管理テーブル
177 電力値収集テーブル
178 契約者情報管理テーブル
179 契約世帯情報管理テーブル
127 アドレス許可確認手段
128 帰属先HGW管理登録手段
129 アドレス許可通知手段
217 測定結果判断比較手段
218 帰属HGW選定手段
219 帰属HGW記録手段
220 選定結果通知手段
237 帰属HGW登録手段
257 帰属HGW更新手段
265 管理フラグリセット手段
281 HGW選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力値を測定する電力測定手段と、ネットワーク接続に対応し前記電力値を無線送信可能な無線子機通信手段とを有する通信機能付計器が、
IPに対応し前記電力値を無線受信可能な無線親機通信手段と、IPネットワークに接続する通信網接続手段とを有するホームゲートウェイを介して、
前記IPネットワークに接続された、前記電力値を記録可能なデータ収集サーバにデータを送信する計器管理ネットワークの運用方法であって、
前記ホームゲートウェイに、前記IPネットワークへのアクセスを契約した契約世帯以外の近傍世帯が使用する前記通信機能付計器が測定した電力値を、前記データ収集サーバへ送信させることを特徴とする計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項2】
前記ホームゲートウェイは、前記契約世帯自身が使用する通信機能付計器のMACアドレスを記録し、又は別途に当該MACアドレスと契約者の情報とを関連づけて記録した契約者情報管理テーブルを有するデータ収集サーバから参照可能であり、
前記契約世帯自身が使用するものとして認識できるMACアドレス以外のMACアドレスを、前記契約世帯に近接する近隣世帯が使用する通信機能付計器のMACアドレスとして判断し、
その通信機能付計器の前記電力値を、前記データ収集サーバに送る請求項1に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項3】
上記IPネットワークがIPv6ネットワークであり、
前記通信機能付計器は、通信可能な前記ホームゲートウェイの無線親機通信手段を捜索する帰属先HGW捜索手段を起動時に実行し、通信可能な前記ホームゲートウェイの電波を受信した場合には、IPv6のプレフィックスを要求するプレフィックス要求手段を実行し、
プレフィックスの要求を受信した前記ホームゲートウェイはプレフィックスを通知するプレフィックス通知手段を実行し、
プレフィックスを通知された前記通信機能付計器はそのプレフィックスに従ってIPv6アドレスを生成するアドレス生成手段を実行し、そのIPv6アドレスの使用許可を前記ホームゲートウェイに要求するアドレス許可要求手段を実行し、
前記使用許可の要求を受信した前記ホームゲートウェイは、その要求をデータ収集サーバに送信するアドレス許可要求中継手段を実行し、
前記要求を受信した前記データ収集サーバは、送信されたIPv6アドレスが、自身の管理するアドレスの中でありかつ他の端末に付与されたIPv6アドレスと重複しない旨を確認するアドレス許可確認手段を実行し、
確認したIPv6アドレスを、プレフィックスを発行した当該ホームゲートウェイのIPv6アドレスとともにHGW帰属管理テーブルに登録する帰属先HGW管理登録手段を実行し、
当該IPv6アドレスの使用許可通知を前記ホームゲートウェイに返信するアドレス許可通知手段を実行し、
前記使用許可通知を受信した前記ホームゲートウェイは、当該使用許可通知を前記通信機能付計器に送信するアドレス許可中継手段を実行し、
前記通信機能付計器は使用許可を得た当該IPv6アドレスを自身のアドレスとして設定するアドレス設定手段を実行する、
上記一連の手順を、契約世帯の前記通信機能付計器と近隣世帯の前記通信機能付計器のいずれについても実行可能とする、
請求項1又は2に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項4】
上記IPネットワークがIPv6ネットワークであり、
前記通信機能付計器は、起動後に待機状態となり、
前記ホームゲートウェイは定期的に、前記無線親機通信手段で通信可能な通信機能付計器の存在確認信号を送信するSM捜索手段を実行し、
前記存在確認信号を受信した前記通信機能付計器はそれへの返信である存在通知信号を前記ホームゲートウェイに送信する存在通知送信手段を実行し、続けて、又は同時に、IPv6のプレフィックスを前記ホームゲートウェイに要求するプレフィックス要求手段を実行し、
プレフィックスの要求を受信した前記ホームゲートウェイはプレフィックスを通知するプレフィックス通知手段を実行し、
プレフィックスを通知された前記通信機能付計器はそのプレフィックスに従ってIPv6アドレスを生成するアドレス生成手段を実行し、そのIPv6アドレスの使用許可を前記ホームゲートウェイに要求するアドレス許可要求手段を実行し、
前記使用許可の要求を受信した前記ホームゲートウェイは、その要求をデータ収集サーバに送信するアドレス許可要求中継手段を実行し、
前記要求を受信した前記データ収集サーバは、送信されたIPv6アドレスが、自身の管理するアドレスの中でありかつ他の端末に付与されたIPv6アドレスと重複しない旨を確認するアドレス許可確認手段を実行し、
確認したIPv6アドレスを、プレフィックスを発行した当該ホームゲートウェイのIPv6アドレスとともにHGW帰属管理テーブルに登録する帰属先HGW管理登録手段を実行し、
当該IPv6アドレスの使用許可通知を前記ホームゲートウェイに返信するアドレス許可通知手段を実行し、
前記使用許可通知を受信した前記ホームゲートウェイは、当該使用許可通知を前記通信機能付計器に送信するアドレス許可中継手段を実行し、
前記通信機能付計器は使用許可を得た当該IPv6アドレスを自身のアドレスとして設定するアドレス設定手段を実行する、
上記一連の手順を、契約世帯の前記通信機能付計器と近隣世帯の前記通信機能付計器のいずれについても実行可能とする、
請求項1又は2に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項5】
前記近隣世帯の通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
前記通信機能付計器は前記データ収集サーバへの送信を中継する前記ホームゲートウェイである帰属先ホームゲートウェイを決定するための測定要求を送信する帰属先HGW決定要求手段を実行し、
前記測定要求を受信したそれぞれの前記ホームゲートウェイは、前記通信機能付計器に対して通信品質を測定するための計測用要求を送信する計測用通信送信手段を実行し、
前記計測用要求を受信した前記通信機能付計器はそれに対する計測用応答をそれぞれの前記ホームゲートウェイに送信する計測用応答手段を実行し、
前記計測用応答を受信した前記ホームゲートウェイは、前記計測用要求の送信から前記計測用応答の受信までのエコーバック時間を計算するエコーバック時間測定手段、又は、前記計測用応答の電波強度を前記通信機能付計器の標準の電波強度と対比して電波減衰率を計算する電波減衰率測定手段を実行した後、前記エコーバック時間又は前記電波減衰率を、前記データ収集サーバへ送信する選定要求手段を実行し、
前記データ収集サーバはそれぞれの前記ホームゲートウェイから送信されてきた前記エコーバック時間又は前記電波減衰率について、いずれの値が良好であるかを判断する測定結果判断比較手段を実行し、良好な値であると判断された前記ホームゲートウェイを当該通信機能付計器の前記帰属先ホームゲートウェイとして決定する帰属HGW選定手段を実行し、当該通信機能付計器と当該帰属先ホームゲートウェイのアドレスを紐付けてHGW帰属管理テーブルに記録する帰属先HGW記録手段を実行し、
前記選択の結果である選定結果をそれぞれのホームゲートウェイに送信する選定結果通知手段を実行し、
前記選定結果を受信したそれぞれのホームゲートウェイは、自身が帰属先ホームゲートウェイとして選択されたか否かである決定結果を前記通信機能付計器に送信する決定結果通知手段を実行するとともに、前記選定結果が自身を帰属先ホームゲートウェイとして選択するものである場合には、自身が保有する通信機能付計器管理テーブルに当該通信機能付計器のアドレスを登録する帰属SM登録手段を実行し、
前記決定結果を受信した通信機能付計器は、帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイのアドレスを最優先の送信先としてHGW管理テーブルに登録する帰属先HGW管理手段を実行し、
前記通信機能付計器は以後の電力値の送信を、前記HGW管理テーブルに登録された帰属先ホームゲートウェイを介して行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項6】
前記通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
前記通信機能付計器は前記データ収集サーバへの送信を中継する前記ホームゲートウェイである帰属先ホームゲートウェイを決定するための測定要求を送信する帰属先HGW決定要求手段を実行し、
前記測定要求を受信したそれぞれの前記ホームゲートウェイは、前記通信機能付計器に対して通信品質を測定するための計測用要求を送信する計測用通信送信手段を実行し、
前記計測用要求を受信した前記通信機能付計器はそれに対する計測用応答をそれぞれの前記通信機能付計器に送信する計測用応答手段を実行し、
前記計測用応答を受信した前記ホームゲートウェイは、前記計測用要求の送信から前記計測用応答の受信までのエコーバック時間を計算するエコーバック時間測定手段、又は、前記計測用応答の電波強度を前記通信機能付計器の標準の電波強度と対比して電波減衰率を計算する電波減衰率測定手段を実行した後、
前記通信機能付計器を介したマルチホップ通信により、又は直接の通信により、並行して帰属先ホームゲートウェイとなるか否かを判断している相手方であるホームゲートウェイに、前記エコーバック時間又は前記電波減衰率を送信する、測定結果交換手段を実行し、
前記エコーバック時間又は前記電波減衰率について、受信した相手方であるホームゲートウェイの値と、自身の値とを比較して、いずれの値が良好であるか求める測定結果比較手段を実行し、
自身の値が他のホームゲートウェイの値よりも劣っていた場合には、自身が保有する通信機能付計器管理テーブルが保有する前記通信機能付計器のアドレスについてのレコードに含まれる、自身に帰属するか否かを管理する帰属フラグを自身に帰属しないものに変更するSM登録変更手段を実行し、
前記の比較の結果を前記通信機能付計器に送信する比較結果通知手段を実行し、
前記の比較の結果を前記データ収集サーバに送信する選定結果報告手段を実行し、
前記比較の結果を受信した通信機能付計器は、継続して中継先となる帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイのアドレスを最優先の送信先としてHGW管理テーブルに登録する帰属先HGW管理手段を実行し、
前記通信機能付計器は以後の電力値の送信を、前記HGW管理テーブルに登録された帰属先ホームゲートウェイを介して行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項7】
前記通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
その後、それらのホームゲートウェイのうち、先に前記電力値の測定データ要求を送信してきたホームゲートウェイのアドレスを、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとしてHGW管理テーブルに登録する帰属先HGW管理手段を実行するとともに、要求された測定データをその帰属先ホームゲートウェイに送信する測定データ送信手段を実行し、
それ以外のホームゲートウェイから送信された測定データ要求に対しては、帰属先ホームゲートウェイが別途決定してある旨の情報を含む非採用信号を送信する非採用結果送信手段を実行し、
前記帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイは、受信した測定データを前記データ収集サーバへ転送する測定データ転送手段を実行し、
それ以外のホームゲートウェイは、前記の別途決定してある旨の情報を含む非採用信号を前記データ収集サーバへ転送する非採用結果転送手段を実行し、
前記データ収集サーバは、前記測定データを送信してきた前記帰属先ホームゲートウェイのアドレスを、当該通信機能付計器の帰属先ホームゲートウェイとして優先するよう前記HGW帰属管理テーブルに登録するとともに、前記非採用信号を送信してきた前記ホームゲートウェイのアドレスをそれよりも優先度を下げるか、不使用とするか、又は削除する帰属HGW更新手段を実行し、
前記通信機能付計器は以後の電力値の送信を、前記HGW管理テーブルに登録された帰属先ホームゲートウェイを介して行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項8】
前記通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
予め設定された一定時間が経過するまでの間に、前記電力値の測定データ要求を送信してきた前記ホームゲートウェイの中から、ランダムに1の前記ホームゲートウェイを選択するランダム設定手段を実行して、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとしてHGW管理テーブルに登録する帰属先HGW管理手段を実行して、要求された測定データをその帰属先ホームゲートウェイに送信する測定データ送信手段を実行し、
それ以外のホームゲートウェイから送信された測定データ要求に対しては、帰属先ホームゲートウェイが別途決定してある旨の情報を含む非採用信号を送信する非採用結果送信手段を実行し、
前記帰属先ホームゲートウェイとして選ばれたホームゲートウェイは、受信した測定データを前記データ収集サーバへ転送する測定データ転送手段を実行し、
それ以外のホームゲートウェイは、前記の別途決定してある旨の情報を含む非採用信号を前記データ収集サーバへ転送する非採用結果転送手段を実行し、
前記データ収集サーバは、前記測定データを送信してきた前記帰属先ホームゲートウェイのアドレスを、当該通信機能付計器の帰属先ホームゲートウェイとして優先するよう前記HGW帰属管理テーブルに登録するとともに、前記非採用信号を送信してきた前記ホームゲートウェイのアドレスをそれよりも優先度を下げるか、不使用とするか、又は削除する帰属HGW更新手段を実行し、
前記通信機能付計器は以後の電力値の送信を、前記HGW管理テーブルに登録された帰属先ホームゲートウェイを介して行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項9】
前記通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
予め設定された一定時間が経過するまでの間に、前記電力値の測定データ要求を送信してきた前記ホームゲートウェイの全てに対して、要求された測定データを送信する測定データ送信手段を実行し、
それぞれのホームゲートウェイは、受信した測定データを前記データ収集サーバへ転送する測定データ転送手段を実行し、
前記データ収集サーバは、前記測定データを送信してきた複数の前記ホームゲートウェイの中から、先着したものを優先に、ランダムに、若しくは、各ホームゲートウェイのそれまでの割り当て順に従って、当該通信機能付計器の一の帰属先ホームゲートウェイを選択し、又は、それら複数の前記ホームゲートウェイの全てを平等に、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとしてHGW帰属管理テーブルに登録する帰属HGW更新手段を実行して、以後の電力値のデータは前記帰属先ホームゲートウェイからのデータであれば受け入れて記録する、請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項10】
前記通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
予め設定された一定時間が経過するまでの間に、前記電力値の測定データ要求を送信してきた前記ホームゲートウェイの中から、ランダムに1の前記ホームゲートウェイを選択して前記電力値の測定データを送信するランダム送信手段を実行して、
前記電力値の測定データを受信したホームゲートウェイは、受信した測定データを前記データ収集サーバへ転送する測定データ転送手段を実行し、
前記通信機能付計器は以後の電力値の送信を、上記の繰り返しにより行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項11】
前記通信機能付計器が、複数のホームゲートウェイからアドレスの設定をされた場合に、
先にアドレスの設定を完了したホームゲートウェイを、最優先の送信先である帰属先ホームゲートウェイとしてHGW管理テーブルに登録する帰属先HGW管理手段を実行し、
前記通信機能付計器は以後の電力値の送信を、前記帰属先ホームゲートウェイを介して行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項12】
前記近隣世帯となる利用者が通信機能付計器を使用開始する時点又はそれより前に、
上記データ収集サーバの管理者が、当該近隣世帯の近隣にあって、前記無線子機通信手段により無線通信可能な範囲にある前記ホームゲートウェイに、当該通信機能付計器のMACアドレスを通知する適用SM通知手段を実行しておき、
前記ホームゲートウェイは通知のあったMACアドレスに該当する通信機能付計器と、前記契約世帯のMACアドレスに対応する通信機能付計器とからの通信のみを、前記無線親機通信手段で受け付けるように制限除外する端末制限除外手段を実行することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項13】
前記近隣世帯が使用する前記通信機能付計器による、前記ホームゲートウェイの利用に応じて、前記契約世帯に対して、前記データ収集サーバを運用する管理者又は前記IPネットワークの接続サービス提供者が、インセンティブを与えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の計器管理ネットワークの運用方法。
【請求項14】
前記契約世帯自身が使用する通信機能付計器に、当該契約世帯のホームゲートウェイのアドレスを登録しておき、前記データ収集サーバへの通信にあたって、そのホームゲートウェイを優先して使用することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の計器管理の運用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−208627(P2012−208627A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72615(P2011−72615)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】