説明

通信監視装置及び方法、プログラム

【課題】通信速度の切り替えに伴う通信切断による通信エラーの判定が下されないようにして、ユーザに無用な不安を与えないようにする。
【解決手段】ホストPC101とプリンタ102とが有線LAN104を通じて接続される。ホストPC101において、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102との通信の接続状態を定期的に確認する定期チェックを開始し、省電力モードに移行したことの通知を受けると、タイマ値を設定時間T1に設定すると共に、定期チェックを停止する。プリンタ102のCPU301は、通信速度の切り替え許可の通知を受けて、有線LAN104の通信速度を低速に切り替えることによりリンクダウンするが、間もなくリンクアップすると、再接続した旨をウインドウ103に通知する。ウインドウ103は、設定時間T1が経過する前に再接続した旨の通知を受けると、定期チェックを再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信速度の切り替えが可能な端末装置とのネットワークを介した通信の接続状態を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホストコンピュータ(PC)等の通信監視装置に、通信速度の切り替えが可能なプリンタ等の端末装置がネットワークを介して接続された通信システムが知られている。例えば下記特許文献1の通信システムでは、ホストPCに、有線LANを介してプリンタが接続され、ホストPC側で、プリンタとの通信の接続状態を監視する。この通信システムでは、プリンタは、省電力モードに入った場合に有線LANの通信速度を低下させ、プリンタ全体にかかる消費電力を下げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−154763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の通信システムでは、有線LANの通信速度を切り替える際に、一旦、接続(リンク)が切断される。この場合、切断時間は秒オーダーだが、ホストPC側におけるプリンタのステータス表示が可能なアプリケーションは、マイクロ秒オーダーの時間間隔で定期チェックを行う。そのため、通信速度を切り替える度に、定期チェックによって通信エラーと判定され、ステータス表示に「通信エラー」が表示されてしまうという問題があった。具体的な動作を図4で説明する。
【0005】
図4は、従来の通信システムにおけるホストPC、プリンタでそれぞれ実行される、印刷待機モードから省電力モードに移行する場合の通信処理のフローチャートである。プリンタにおいては、動作モードとして省電力モードと印刷待機モードとがあり、図4では、印刷待機モードから省電力モードに移行する場合の動作例が示されている。
【0006】
プリンタは、印刷待機モードから省電力モードに移行したことを検知すると(ステップS151)、その旨をホストPCに通知する(ステップS152)。その後、プリンタでは、有線LANの通信速度の低速への切り替えを開始し(ステップS153)、通信速度が切り替わるとリンクダウンが発生する(ステップS154)。すなわち、ホストPCとプリンタとの有線LANを介した通信接続が切断される。
【0007】
その後間もなく、プリンタでは、低速での有線LANの通信接続状態が回復(リンクアップ)し(ステップS155)、印刷待機モードへの切り替え待ちの状態となる(ステップS156)。
【0008】
一方、ホストPCは、プリンタとのネットワークを介した通信の接続状態を定期的に確認する「定期チェック」を開始する(ステップS101)。この定期チェックにおいては、タイマ値がデフォルト値である時間T0に設定される(ステップS102)。
【0009】
この定期チェックによって、接続状態が正常であることが確認されない場合は、ホストPCにおいて「通信エラー」と判定され、その旨が表示される。ここでは、定期チェックにおける問い合わせに対して、プリンタから時間T0以内に接続状態が正常である旨の「通信OK」の応答がなかった場合に、「通信エラー」と判定される。
【0010】
ホストPCでは、省電力モードに移行したことの通知を受けることで(ステップS103)、省電力モードに移行したことを検知する(ステップS104)。しかし、プリンタが勝手に有線LANの通信速度を切り替え、リンクダウンが発生しても、ホストPCによる定期チェックは継続されている。上記のように、定期チェックにおける応答待ち時間よりも、プリンタにおける通信速度の切り替えに伴う通信切断から通信接続の再開に要する時間の方がはるかに長い。そのため、プリンタでリンクアップするまでの間に行われる定期チェックにおいて、プリンタからの応答が無いことから、ホストPCは、通信エラーだと判定してしまう(ステップS105)。
【0011】
その後、プリンタにおいて通信接続が再開すると、プリンタからは定期チェックに対して正常状態が応答されるようになるので、ホストPCは、通信OKと判定することになる(ステップS106)。その後、印刷待機モードへの切り替え待ちとなる(ステップS107)。
【0012】
ここで、ステップS154の後、一旦、通信エラーと判定されてから通信OKと判定されるまでの間、ホストPCにおいては、ステータスウィンドウ等に「通信エラー」の表示が継続してなされることになる。要するに、プリンタが接続している有線LANが切断された状態でも定期チェックが行なわれるため、切断中においては、「通信エラー」の表示が継続される。
【0013】
通信速度の切り替えに伴う一時的な通信切断は、ほどなく回復することが想定されるもので、重大な事態ではない。しかし、ユーザにはそれが把握できないため無用な不安を抱き、コールセンターへの問い合わせが増えることにも繋がる。
【0014】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、通信速度の切り替えに伴う通信切断による通信エラーの判定が下されないようにして、ユーザに無用な不安を与えないようにすることができる通信監視装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の通信監視装置は、通信速度の切り替えが可能な端末装置とのネットワークを介した通信の接続状態を監視する通信監視装置であって、前記端末装置との前記ネットワークを介した通信の接続状態を定期的に確認して接続状態が正常であることが確認されないときに通信エラーと判定する定期チェックを行うチェック手段を有し、前記チェック手段は、前記端末装置における通信速度の切り替えに際し、当該通信速度の切り替えの前に前記定期チェックを中断することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、本発明を構成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信速度の切り替えに伴う通信切断による通信エラーの判定が下されないようにして、ユーザに無用な不安を与えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通信監視装置と端末装置とがネットワークを介して接続されてなる通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】ホストPCの内部構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図4】従来の通信システムにおけるホストPC、プリンタでそれぞれ実行される印刷待機モード時の通信処理のフローチャートである。
【図5】本実施の形態におけるホストPC、プリンタでそれぞれ実行される、印刷待機モードから省電力モードに移行する場合の通信処理のフローチャートである。
【図6】ホストPC、プリンタでそれぞれ実行される、省電力モードから印刷待機モードに復帰する場合の通信処理のフローチャートである。
【図7】ステータス表示ウインドウによる表示部へのモード表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係る通信監視装置と端末装置とがネットワークを介して接続されてなる通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施の形態では、通信監視装置の一例としてホストコンピュータ(以下、「ホストPC」という)101、端末装置の一例としてプリンタ102を適用する。また、ネットワークとしては有線LAN(Local Area Network)104を適用する。ホストPC101とプリンタ102とが、有線LAN104を通じて通信可能に接続されて通信システムが構成される。本実施の形態では、通信システムとして印刷システムとなっている。
【0022】
ホストPC101には、プリンタ102の状態(通信状態を含む)を監視するためのステータス表示ウインドウ(チェック手段)103がインストールされている。ホストPC101は、有線LAN104に接続するためのインターフェースである外部I/F205を有する。プリンタ102は、有線LAN104に接続するためのLAN−I/F311を有する。
【0023】
ホストPC101では、ユーザがホストPC101上の画像やテキストの編集アプリケーションを使い印刷の命令を行なうほか、印刷する画像やテキストファイルに対する画像処理及び印刷データとしての圧縮処理を行なう。プリンタ102は、有線LAN104を介した通信速度の切り替えが可能に構成されている。例えば、低速(10Mbps)と高速(100Mbps)とに切り替えが可能であるが、通信速度の値は問わない。有線LAN104に接続されるプリンタ102の数は複数でもよく、各々のプリンタに対して、ホストPC101が状態の監視を行う。
【0024】
図2は、ホストPC101の内部構成を示すブロック図である。
【0025】
ホストPC101において、CPU201に、上記した外部I/F205のほか、システムメモリ202、HDD(ハードディスクドライブ)203、I/Oポート204、表示部I/F206がバスで接続される。CPU201は、OS(オペレーティングシステム)やプログラムに従ってホストPC101の全体の制御を行なう。これらのOSやプログラムはHDD203に保持されているが、実行される場合はシステムメモリ202上で動作する。ステータス表示ウインドウ103(図1参照)も同様である。
【0026】
ステータス表示ウインドウ103は、ホストPC101にインストールされ有線LAN104を通じてプリンタ102の状態を監視及び表示するためのソフトウェアである。実際には、ホストPC101内のCPU201を始めとしたハードウェアと、HDD203乃至システムメモリ202に記憶されたプログラムやデータの協働によってステータス表示ウインドウ103の機能が実現される。
【0027】
I/Oポート204には、いずれも不図示のマウスやキーボードが接続される。外部I/F205は、有線LAN104やUSB(Universal Serial Bus)等の、外部機器と通信接続するためのI/Fである。本実施の形態では、外部I/F205が、有線LAN104でネットワーク網と接続している。表示部I/F206は、ディスプレイである表示部207を接続し、表示部207に各種情報を表示させる。例えば、後述するステータス表示ウインドウ103によるモード表示(図7)は、表示部207に表示される。従って、ユーザは、プリンタ102の状態を監視しているステータス表示ウインドウ103上でプリンタ102の現在の状態を確認できる。
【0028】
図3は、プリンタ102の内部構成を示すブロック図である。
【0029】
プリンタ102は、主に、ホストPC101で圧縮処理された印刷データを伸張し用紙への印刷を行なう。プリンタ102においては、動作モードとして省電力モードと印刷待機モードとがある。
【0030】
プリンタ102は、プリンタコントローラ300及び印刷駆動部308で構成されている。プリンタコントローラ300において、CPU301に、ROM302、RAM303、Local−I/F304、データ処理部305及び操作部306がバスで接続されている。さらに、CPU301に、印刷部I/F307及びMAC(Media Aaccess Control)309もバスで接続されている。また、MAC309に、PHY(Physical Layer)チップ310を介してLAN−I/F311が接続されている。
【0031】
プリンタコントローラ300は、印刷部I/F307を介して印刷駆動部308の状態の情報を受信したり、Local−I/F304やLAN−I/F311から受信した印刷データを印刷駆動部308に送ったりする。CPU301は、プリンタコントローラ300の全体の制御を行なう。そのためのプログラムはROM302に保持されている。該プログラムは、プリンタ102の起動時にROM302からRAM303に展開され、RAM303上で動作する。
【0032】
Local−I/F304やLAN−I/F311から受信した印刷データは圧縮されたデータであり、データ処理部305で伸張されて印刷駆動部308へ転送される。操作部306はプリンタ102の状態を表示するLEDや印刷動作をキャンセルするスイッチ等を搭載し(いずれも図示せず)、ユーザにより操作される。
【0033】
プリンタ102とホストPC101とを接続するための外部I/FはLocal−I/F304やLAN−I/F311である。Local−I/F304はホストPC101と直接に接続が可能なI/Fであって、例えばUSBが該当する。LAN−I/F311は、プリンタ102がMAC309及びPHYチップ310を介して有線LAN104に接続するためのインターフェースとして用いられる。
【0034】
図5は、本実施の形態におけるホストPC101、プリンタ102でそれぞれ実行される、印刷待機モードから省電力モードに移行する場合の通信処理のフローチャートである。図6は、本実施の形態におけるホストPC101、プリンタ102でそれぞれ実行される、省電力モードから印刷待機モードに復帰する場合の通信処理のフローチャートである。図7(a)〜(c)は、ステータス表示ウインドウ103による表示部207へのモード表示の例を示す図である。
【0035】
モードの切り替えに応じて図5または図6の処理が実行される。すなわち、プリンタ102の電源オン直後には図5の処理が開始される。図5の処理が終了すると図6の処理が開始され、図6の処理が終了すると図5の処理が再び開始される。
【0036】
まず、図5の処理を説明する。ホストPC101において、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102とのLAN104を介した通信の接続状態を定期的に確認する「定期チェック」を開始する(ステップS201)。この定期チェックにおいて、ステータス表示ウインドウ103は、タイマ値をデフォルト値である時間T0に設定する(ステップS202)。時間T0は、毎回の定期チェックの実行時に計時が開始される。ここで、CPU201は時間を計時するタイマを備え、上記タイマ値はシステムメモリ202に記憶される。
【0037】
この定期チェックによる問い合わせに対して、プリンタ102から時間T0以内に接続状態が正常である旨の「通信OK」の応答があった場合は、ステータス表示ウインドウ103は、接続状態が正常と判定する。この場合、ステータス表示ウインドウ103は、表示部207に「印刷できます」等のメッセージを含む表示を行う(図7(a)参照)。一方、「通信OK」の応答がなかった場合には、ステータス表示ウインドウ103は、「通信エラー」と判定する。そして、ステータス表示ウインドウ103は、「通信エラー」と判定すると、その旨を表示部207に表示する。この場合、例えば、「通信エラー」のメッセージを表示部207に表示する(図7(c)参照)。
【0038】
一方、プリンタ102のCPU301は、印刷待機モードから省電力モードに移行したか否かを検知し(ステップS251)、省電力モードに移行したことを検知すると、その旨をステータス表示ウインドウ103に通知する(ステップS252)。この通知は、通信速度の低速への切り替えの予告となる。
【0039】
一方、ホストPC101では、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102から、印刷待機モードから省電力モードに移行したことの通知を待つ(ステップS203)。そして、ステータス表示ウインドウ103は、当該通知を受けると、上記タイマ値を時間T0に代えて設定時間T1に変更する(ステップS204)。ここで、設定時間T1は、プリンタ102において、通信速度の切り替えにより通信が一旦切断された後、その接続が再開されるまでに要する時間よりも十分に長い固定時間であって、T0<T1である。設定された設定時間T1は、直ちに計時が開始される。
【0040】
次に、ステータス表示ウインドウ103は、ステップS205で、上記した定期チェックを停止する。この停止は、後述するようにその後再開されるのが通常であるので、実質的には一時的な中断である。このステップS205ではさらに、ステータス表示ウインドウ103は、定期チェックの停止と並行して、プリンタ102に対して通信速度の切り替え許可の通知を送る。
【0041】
一方、プリンタ102において、CPU301は、ステータス表示ウインドウ103からの、通信速度の切り替え許可の通知を待つ(ステップS253)。そして、当該切り替え許可の通知があると、CPU301は、有線LAN104の通信速度を低速に切り替える処理を開始する(ステップS254)。通信速度の切り替えは、PHYチップ310の通信速度設定を切り替えることでなされる。そして、通信速度が切り替わるとリンクダウンが発生する(ステップS255)。すなわち、ホストPC101とプリンタ102との有線LAN104を介した通信接続が切断される。
【0042】
その後間もなく(通常、その数秒後に)、プリンタ102では、低速での有線LAN104の通信接続状態が回復し再接続状態(リンクアップ)となる。リンクアップしたら、CPU301は、再接続した旨をステータス表示ウインドウ103に通知する(ステップS256)。その後、プリンタ102は印刷待機モードへの切り替え待ちの状態となり(ステップS257)、CPU301は、図6の処理に移行する。
【0043】
一方、ホストPC101のステータス表示ウインドウ103は、ステップS206で、プリンタ102から、再接続した旨の通知を待つ。そして、タイマ値に設定された設定時間T1が経過する前に、再接続した旨の通知を受けると、上記タイマ値を設定時間T1からデフォルト値である時間T0に戻す(ステップS207)。そして、上記の定期チェックを再開する(ステップS208)。
【0044】
その後、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102が省電力モードになっていることを示すモード表示を行う(ステップS209)。例えば「スリープ中です」のようなメッセージを表示部207に表示する(図7(b)参照)。その後、印刷待機モードへの切り替え待ちとなり(ステップS210)、ステータス表示ウインドウ103は、図6の処理に移行する。
【0045】
一方、前記ステップS206において、設定時間T1が経過する前にプリンタ102から再接続した旨の通知を受けなかった場合は、ステータス表示ウインドウ103は、通信エラーと判定し、エラー表示を行う(ステップS211)。このエラー表示では例えば、「通信エラー」のメッセージを表示部207に表示する(図7(c)参照)。その後、印刷待機モードへの切り替え待ちとなる(ステップS210)。
【0046】
次に、図6で、省電力モードから印刷待機モードに復帰する場合の動作を説明する。図6の各ステップの処理内容は、省電力モードと印刷待機モードとの関係を逆にしたものに相当し、基本的に同様である。
【0047】
まず、ホストPC101において、ステータス表示ウインドウ103は、定期チェックを開始し(ステップS301)、タイマ値をデフォルト値である時間T0に設定する(ステップS302)。
【0048】
この定期チェックによる問い合わせに対して、プリンタ102から時間T0以内に接続状態が正常である旨の「通信OK」の応答があった場合は、ステータス表示ウインドウ103は、接続状態が正常と判定する。この場合、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102が省電力モードになっていることを示す「スリープ中です」のようなメッセージを表示部207に表示する(図7(b)参照)。一方、「通信OK」の応答がなかった場合には、ステータス表示ウインドウ103は、「通信エラー」と判定し、その旨を表示部207に表示する。この場合、例えば、「通信エラー」のメッセージを表示部207に表示する(図7(c)参照)。
【0049】
一方、プリンタ102のCPU301は、省電力モードから印刷待機モードに復帰したか否かを検知し(ステップS351)、印刷待機モードに復帰したことを検知すると、その旨をステータス表示ウインドウ103に通知する(ステップS352)。この通知は、通信速度の高速への切り替えの予告となる。
【0050】
一方、ホストPC101では、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102から、省電力モードからから印刷待機モードに復帰したことの通知を待つ(ステップS303)。そして、ステータス表示ウインドウ103は、当該通知を受けると、上記タイマ値を時間T0に代えて設定時間T1に変更する(ステップS304)。次に、ステータス表示ウインドウ103は、上記した定期チェックを停止すると共に、プリンタ102に対して通信速度の切り替え許可の通知を送る(ステップS305)。
【0051】
一方、プリンタ102において、CPU301は、ステータス表示ウインドウ103からの、通信速度の切り替え許可の通知を待つ(ステップS353)。そして、当該切り替え許可の通知があると、CPU301は、有線LAN104の通信速度を高速に切り替える処理を開始する(ステップS354)。通信速度の切り替えは、PHYチップ310の通信速度設定を切り替えることでなされる。そして、通信速度が切り替わるとリンクダウンが発生する(ステップS355)。すなわち、ホストPC101とプリンタ102との有線LAN104を介した通信接続が切断される。
【0052】
その後間もなく(通常、その数秒後に)、プリンタ102では、高速での有線LAN104の通信接続状態が回復し再接続状態(リンクアップ)となる。リンクアップしたら、CPU301は、再接続した旨をステータス表示ウインドウ103に通知する(ステップS356)。その後、プリンタ102は省電力モードへの切り替え待ちの状態となり(ステップS357)、CPU301は、図5の処理に移行する。
【0053】
一方、ホストPC101のステータス表示ウインドウ103は、ステップS306で、プリンタ102から、再接続した旨の通知を待つ。そして、タイマ値に設定された設定時間T1が経過する前に、再接続した旨の通知を受けると、上記タイマ値を設定時間T1からデフォルト値である時間T0に戻す(ステップS307)。そして、上記の定期チェックを再開する(ステップS308)。
【0054】
その後、ステータス表示ウインドウ103は、プリンタ102が印刷待機モードになっていることを示すモード表示を行う(ステップS309)。例えば表示部207に「印刷できます」等のメッセージを表示部207に表示する(図7(a)参照)。その後、省電力モードへの切り替え待ちとなり(ステップS310)、ステータス表示ウインドウ103は、図5の処理に移行する。
【0055】
一方、前記ステップS306において、設定時間T1が経過する前にプリンタ102から再接続した旨の通知を受けなかった場合は、ステータス表示ウインドウ103は、通信エラーと判定し、エラー表示を行う(ステップS311)。このエラー表示では例えば、「通信エラー」のメッセージを表示部207に表示する(図7(c)参照)。その後、省電力モードへの切り替え待ちとなる(ステップS310)。
【0056】
本実施の形態によれば、プリンタ102において通信速度が切り替わることにより通信が一時的に切断されるに際し、設定時間T1の間、再接続がない限りステータス表示ウインドウ103による定期チェックが中断される。これにより、プリンタ102において通信速度が切り替わる直前に定期チェックが停止されるので、再接続までの間に定期チェックによる通信エラーの判定が下されることがなくなる。よって、通信速度の切り替えに伴う通信切断による通信エラーの判定が下されないようにして、ユーザに無用な不安を与えないようにすることができる。有線LAN104の一時的な切断による通信エラー表示をユーザに対して逐一表示しなくて済むので、ユーザからのコールセンターへの問い合わせを削減することができ、コストダウンにも繋がる。
【0057】
また、プリンタ102のCPU301は、ステータス表示ウインドウ103から切り替え許可が通知されたことを条件として通信速度の切り替えを行うので、ホストPC101における定期チェックの停止を、通信速度の切り替えの前の段階に確実に行える。しかも、ステータス表示ウインドウ103は、省電力モードへの移行または省電力モードからの復帰の旨の通知を受けた直後、直ちに定期チェックを停止する。そのため、プリンタ102における通信速度の切り替えの直前のタイミングで定期チェックを停止することができる。
【0058】
また、設定時間T1以内に再接続があれば、中断していた定期チェックが再開されるので、通信状態が正常となると、定期チェックを行う定常な状態に速やかに復帰することができる。
【0059】
ところで、図5のステップS204及び図6のステップS304においてタイマ値に設定される設定時間T1は同一の値でなくてもよい。
【0060】
また、図5のステップS202、S204、S207において、同じタイマ値を用いて、その設定値を時間T0と設定時間T1との間で変更するという態様をとったが、これに限られない。例えば、定期チェックにおけるプリンタ102からの応答許容時間(時間T0)を設定するタイマ値と、プリンタ102において通信が一旦切断された後、その接続が再開されるまでの許容時間(設定時間T1)を設定するタイマ値とを別々に設けてもよい。これは、図6のステップS302、S203、S307についても同様である。
【0061】
ところで、図5のステップS252、図6のステップS352における通信速度の低速または高速への切り替えの予告は、省電力モードへの移行または省電力モードからの復帰の通知とした。しかし、これに限られず、通信速度の切り替えが生じることを何らかの態様でホストPC101に伝えればよい。
【0062】
本実施の形態では、プリンタ102における省電力モードへの移行または省電力モードからの復帰を契機として、プリンタ102における通信速度の切り替えの前に定期チェックを中断した。しかし、定期チェック中断の契機は、これらに限られず、通信速度の切り替えが生じるような事項であればそれを契機とすればよい。
【0063】
本実施の形態では、定期チェックによる問い合わせに対して「通信OK」の応答がなかった場合には「通信エラー」の旨を表示部207に表示することで報知した(ステップS201、S301)。また、設定時間T1が経過する前にプリンタ102から再接続した旨の通知を受けなかった場合も「通信エラー」の旨を表示部207に表示することで報知した(ステップS211、S311)。しかし、通信エラーを報知する態様は、これら表示に限られず、何らかの方法でユーザに知らせる態様であればよく、例えば、音声による報知であってもよい。
【0064】
なお、図5のステップS206、図6のステップS306で、設定時間T1が経過する前にプリンタ102から再接続した旨の通知を受けなかった場合は通信エラーと判定され、定期チェックは再開されないが、必ずしもこのように処理する必要はない。例えば、再接続した旨の通知がなかったとしても、設定時間T1経過後には定期チェックを再開するようにしてもよい。そのようにした場合は、通常、再開後の最初の定期チェックにおいて通信エラーと判定されることになる。
【0065】
また、通信速度の切り替えに起因する通信の切断による通信エラーの判定が下されないようにする観点に限れば、再接続の通知を待つ期間(設定時間T1)を設ける必須でない。すなわち、再接続の通知を受けるまで定期チェックの中断を継続するようにしてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態では、端末装置としてプリンタ102、通信監視装置としてホストPC101、ネットワークとして有線LAN104を例示したが、これらに限られない。例えば、端末装置は、通信速度の切り替えが可能な装置であればよい。通信監視装置は、端末装置とのネットワークを介した通信の接続状態を監視する装置であればよい。ネットワークの種類も問わず、速度切り替えにより通信が一旦切断されるようなものに適用可能であり、無線LAN等でもよい。
【0067】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0068】
101 ホストPC
102 プリンタ
103 ステータス表示ウインドウ
104 有線LAN
201 CPU
T1 設定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信速度の切り替えが可能な端末装置とのネットワークを介した通信の接続状態を監視する通信監視装置であって、
前記端末装置との前記ネットワークを介した通信の接続状態を定期的に確認して接続状態が正常であることが確認されないときに通信エラーと判定する定期チェックを行うチェック手段を有し、
前記チェック手段は、前記端末装置における通信速度の切り替えに際し、当該通信速度の切り替えの前に前記定期チェックを中断することを特徴とする通信監視装置。
【請求項2】
前記チェック手段は、前記端末装置から通信速度の切り替えの予告を受けた場合に前記定期チェックを中断することを特徴とする請求項1記載の通信監視装置。
【請求項3】
前記チェック手段は、前記端末装置における通信速度の切り替えにより通信の接続が切断された後、通信の再接続がされた場合は、中断していた前記定期チェックを再開することを特徴とする請求項1または2記載の通信監視装置。
【請求項4】
前記チェック手段は、前記定期チェックを中断した後、設定時間が経過する前に前記端末装置における通信の再接続がされた場合に、中断していた前記定期チェックを再開する一方、前記設定時間が経過する前に前記端末装置における通信の再接続がされなかった場合は通信エラーと判定することを特徴とする請求項3記載の通信監視装置。
【請求項5】
前記端末装置は、当該通信監視装置から通信速度の切り替え許可が通知されたことを条件として通信速度の切り替えを行うように構成され、前記チェック手段は、前記定期チェックを中断するにあたって、前記端末装置に、通信速度の前記切り替え許可を通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信監視装置。
【請求項6】
前記端末装置からの通信速度の切り替えの前記予告は、省電力モードへの移行または省電力モードからの復帰の通知であることを特徴とする請求項2記載の通信監視装置。
【請求項7】
通信速度の切り替えが可能な端末装置とのネットワークを介した通信の接続状態を監視する通信監視装置における通信監視方法であって、
前記端末装置との前記ネットワークを介した通信の接続状態を定期的に確認して接続状態が正常であることが確認されないときに通信エラーと判定する定期チェックを行うチェック工程を有し、
前記チェック工程は、前記端末装置における通信速度の切り替えに際し、当該通信速度の切り替えの前に前記定期チェックを中断することを特徴とする通信監視装置における通信監視方法。
【請求項8】
請求項7記載の通信監視装置における通信監視方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−22562(P2012−22562A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160630(P2010−160630)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】