説明

通信端末、およびプログラム

【課題】交換機を利用して呼接続制御を行う電話システムにおいて、その交換機の置き換えを行うことなく、高音質な音声通話を可能にする。
【解決手段】構内交換機の処理能力に応じたエンコードを施しつつその交換機を介して音声通話を行う通信端末に、以下の2つの処理を実行させる。第1に、音声通話の実行中に構内交換機を介さずにその音声通話を行うことを指示されたことを契機として、所定の音声パターンを示す音声データと自端末の端末識別子とを相手側端末へ送信する処理である。第2に、通信態様の切り換えに応じる旨の応答および通信セッションの接続先を示す接続先識別子を受信したことを契機として、その接続先との間に通信セッションを確立して音声データの送受信を再開する処理である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機を介して音声通話を行う通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業などにおいては、構内交換機(Private Branch eXchange:以下、PBX)を利用して社内電話網を構築することが一般に行われていた。一方、近年では、IP(Internet
Protocol)通信網の高速化および広帯域化に伴い、社内電話網をIP通信網に置き換えること(以下、IP化)が急速に普及している。このように社内電話網をIP化することにより、そのIP通信網の帯域幅を充分に利用して高音質な社内電話サービスを提供することが期待される。
【特許文献1】特開2004−297715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、IP化された社内電話網で呼接続制御および音声データのルーティングを行うIP−PBXのなかには、一般公衆回線に接続されている従来の電話機との外線通話に対応するため、処理可能な帯域幅が従来の電話通信におけるものと同程度に制限されているものがある。このため、この種のIP−PBXを用いた社内電話網では、通信網自体は広い帯域を利用した高音質な音声通話に対応しているものの、IP−PBXの制限により通話音質の向上を図れない、といった問題が発生する。このような問題は、IP−PBXを広帯域対応のものに置き換えることにより解決できるが、その置き換えに要する費用の観点からは好ましい解決策とは言えない。なお、IP電話に関連した従来技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。この特許文献1に開示された技術は、互いに異なるプライベートネットワーク(例えば、社内電話網)に接続されたクライアント装置が、インターネット等の広域網を介して電話通信を行う場合の不具合(特許文献1:段落0004参照)を解決するものであり、上記通話音質の向上といった課題を解決するものではない。
本発明は以上説明した課題に鑑みて為されたものであり、交換機を利用して呼接続制御を行う電話システムにおいて、その交換機の置き換えを行うことなく、高音質な音声通話を行うことを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明は、通信網に設けられている交換機を介して音声データの送受信を行う手段であって、前記交換機の処理能力に応じた帯域圧縮を施しつつ音声データの送受信を行う第1の通信手段と、音声データの送信先との間に通信セッションを接続し前記交換機を介さずに音声データの送受信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段の何れか一方に接続され、その接続先の通信手段から与えられる音声データの表す音声をスピーカに放音させる一方、マイクロホンにより収音した音声を表す音声データを当該接続先の通信手段に与える音声入出力手段と、音声通話の開始を指示されたことを契機として、前記第1の通信手段を前記音声入出力手段に接続する第1の処理を実行し、音声通話の通信態様を前記交換機を介さない態様に切り換えることを指示されたことを契機として、自端末の端末識別子を前記第1の通信手段により音声通話の相手側端末へ送信する第2の処理を実行し、前記相手側端末の端末識別子を前記交換機経由で受信したことを契機として、前記第2の通信手段により当該相手側端末との間に通信セッションを接続し前記音声入出力手段の接続先を前記第2の通信手段に切り換えて音声通話を再開させる第3の処理を実行する制御手段とを有することを特徴とする通信端末、を提供する。また、本発明の別の態様にあっては、コンピュータ装置を上記各手段として機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0005】
このような通信端末およびプログラムによれば、交換機を介して音声通話を行っている状況下で、その音声通話の通信態様を交換機を介さない態様に切り換えることが指示されると、当該通信端末の端末識別子が交換機経由で相手側端末へ送信される。そして、上記交換機経由で当該相手側端末の端末識別子を受信したことを契機として、その相手側端末との間に通信セッションを接続する処理が実行され、その通信セッションを介して音声通話が再開される。上記通信セッションを介したデータ通信においては、交換機を介した場合のような帯域制限はないため、データ通信を仲介する通信網にて利用可能な帯域幅を充分に活用して高音質な音声通話を行うことができる。
【0006】
また、上記課題を解決するために本発明は、通信網に設けられている交換機を介して音声データの送受信を行う手段であって、前記交換機の処理能力に応じた帯域圧縮を施しつつ音声データの送受信を行う第1の通信手段と、音声データの送信先との間に通信セッションを接続し前記交換機を介さずに音声データの送受信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段の少なくとも一方に接続され、その接続先の通信手段から与えられる音声データの表す音声をスピーカに放音させる一方、マイクロホンにより収音した音声を表す音声データを当該接続先の通信手段に与える音声入出力手段と、音声通話の開始を指示されたことを契機として、前記第1の通信手段を前記音声入出力手段に接続する第1の処理を実行し、音声通話の通信態様を前記交換機を介さない態様に切り換えることを指示されたことを契機として、前記通信網に接続されている複数の通信端末間の通信セッションの接続制御を行う接続管理装置へ自端末の端末識別子を送信し制御対象の端末識別子として記憶させる第2の処理、および、通信態様の切り換えを通知する旨の音声パターンを表す音声データを前記第1の通信手段により音声通話の相手側端末へ送信し当該相手側端末に対してその端末識別子を前記接続管理装置へ送信する処理の実行を促す第3の処理を実行し、前記接続管理装置から通信セッションの接続先を指示されたことを契機として、その接続先との間の通信セッションを前記第2の通信手段により接続し前記音声入出力手段を前記第2の通信手段に接続して音声通話を再開させる第4の処理を実行する制御手段とを有することを特徴とする通信端末、を提供する。また、本発明の別の態様にあっては、コンピュータ装置を上記各手段として機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0007】
このような態様においては、通信端末は、接続管理装置により指示された接続先との間に通信セッションを接続し、その通信セッションを介して音声データの送受信を行う。このため、複数の通信端末の各々に対して自端末以外の他の全ての通信端末を通信セッションの接続先として指示する処理を接続管理装置に行わせるようにすれば、それら複数の通信端末をメッシュ状に接続し、三者通話などの会議通信を行わせることが可能になる。また、各通信端末に対して所定のネットワークミキサを通信セッションの接続先として指示する処理を接続管理装置に行わせるようにすれば、そのネットワークミキサを頂点とするツリー状の接続形態で各通信端末を接続し、会議通信を行わせることが可能になる。ここで、ネットワークミキサとは、複数の通信端末の各々との間に通信セッションを接続し、各通信端末から送信されてくる音声データを受信するとともに、それら複数の通信端末の各々に対して、他の通信端末から受信した音声データをミキシングして得られる音声データを送信する電子機器のことである。
【0008】
なお、交換機を介して複数の通信端末が会議通信を行っている状況下で、それら複数の通信端末のなかに交換機を介さない音声データ通信に対応していないものが含まれている場合には、それら交換機を介さない音声データ通信に対応しているもののみを通信セッションの接続先として指示し、それら通信端末に関してのみ会議通信を継続しても良く、また、交換機を介さない音声データ通信に対応していないものを含めて会議通信を継続しても良い。例えば、後者の態様を実現するためには、通信態様の切り換えを利用者によって指示された通信端末に以下の処理を実行させるようにすれば良い。すなわち、前記接続管理装置により通信セッションの接続先として指示されなかったものについては前記第1の通信手段による音声通話を継続させる。そして、前記第2の通信手段により受信した音声データと前記第1の通信手段により受信した音声データとをミキシングして得られる音声データを前記音声入出力手段に与えてその音声データに応じた音声を出力させるとともに、前記第1の通信手段には、前記第2の通信手段により受信した音声データと前記音声入出力手段から出力される音声データとをミキシングして得られる音声データを前記交換機経由で送信させ、前記第2の通信手段には、前記第1の通信手段により受信した音声データと前記音声入出力手段から出力される音声データとをミキシングして得られる音声データを通信セッションの接続先に送信させるのである。
【0009】
また、別の好ましい態様においては、前記通信端末の制御手段は、通信態様の切り換えを指示されてから、前記接続先との間の通信セッションの接続が完了するまでの間、前記音声入出力手段による音声の入出力を停止することを特徴とする。このような態様によれば、通信態様の切り換えが完了するまでの間、無用な音声の入出力が為されることが回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A:第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
(A−1:構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る通信端末10−1および通信端末10−2を含む通信システム1の構成例を示すブロック図である。この通信システム1は、例えば企業内に敷設された社内電話システムであり、図1に示すように、通信端末10−1、通信端末10−2およびIP−PBX20を通信網30に接続して構成されている。以下、通信端末10−1と通信端末10−2の各々を区別する必要がない場合には、「通信端末10−k」と表記する。図1では、通信システム1に2台の通信端末10−kが含まれている場合について例示されているが、3台以上の通信端末10−kが通信システム1に含まれても良い。
【0011】
通信網30は、Ethernet(登録商標)などのIP通信網であり、自網に接続されている機器間でIPにしたがって行われるデータ通信を仲介するものである。IP−PBX20は、構内交換機であり、通信網30に接続される通信装置(例えば、通信端末10−1や10−2、その他一般的なIP電話端末)間の呼接続制御および音声データの送受信の仲介を行う。
【0012】
図2は、通信端末10−kの外観の一例を示す図である。図2に示すように、通信端末10−kは円盤状に形成された本体に、表示部120、操作部130および音声入出力部140を配置して構成されている。表示部120は、例えば液晶ディスプレイとその駆動回路であり、通信端末10―kの利用を促すための各種メッセージを表示する。操作部130は、利用者に各種入力操作を行わせるための複数の操作子(例えば、通話相手の電話番号を入力するためのテンキーなど)を含んでいる。なお、図2では、上記複数の操作子のうち、IP−PBX20を介さずに音声通話を行うことを指示するための高音質通信ボタンのみが例示されている。そして、音声入出力部140は、利用者の音声の入力や通話相手の音声の出力を行うものである。
【0013】
図3は、通信端末10−kの構成例を示すブロック図である。図3に示すように通信端末10−kは、前述した表示部120、操作部130および音声入出力部140の他に、制御部110、接続切り換え部150、通信部160、音声パターン発生部170、および音声パターン解析部180を含んでいる。
【0014】
制御部110は、音声通信端末10−kの各部の作動制御を行うものである。図3では、詳細な図示を省略したが、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、およびROM(Read
Only Memory)などの不揮発性メモリを含んでいる。不揮発性メモリには、通信網30にて当該通信端末10−kを一意に識別する端末識別子(例えば、IPアドレスやドメイン名など)と本実施形態の特徴を顕著に示す処理を上記CPUに実行させる制御プログラム110aが格納されている。一方、上記揮発性メモリは制御プログラム110aを実行する際のワークエリアとしてCPUによって利用される。制御プログラム110aにしたがってCPUが実行する処理については後に明らかにする。
【0015】
音声入出力部140は、接続切り換え部150から与えられる音声データの表す音声を出力する一方、通信端末10−kの利用者の音声を収音しその音声を表す音声データを接続切り換え部150へ出力する。図3に示すように、音声入出力部140は、D/A140a、スピーカ140b、A/D140c、およびマイクロホン140dを含んでいる。D/A140aには、通信網30から受信した音声データが接続切り換え部150を介して与えられる。D/A140aは、この音声データに対してD/A変換を施し、その変換結果である音声信号をスピーカ140bに与え、スピーカ140bは、その音声信号に応じた音声を放音する。つまり、D/A140aとスピーカ140bは、通話相手の音声を出力する音声出力系の役割を果たす。これに対して、A/D140cとマイクロホン140dは、利用者の音声を収音しその音声を表す音声データを生成する音声入力系の役割を果たす。より詳細に説明すると、マイクロホン140dは、利用者の音声を収音しその音声波形を示す音声信号をA/D140cに与える。A/D140cは、その音声信号にA/D変換を施し、その変換結果である音声データを接続切り換え部150へ出力する。
【0016】
通信部160は、通信網30に接続されており、通信網30との間で音声データの送受信を行うものである。図3に示すように、通信部160は、IP−PBX通信部160aと高音質通信部160bを含んでいる。IP−PBX通信部160aは、IP−PBX20の処理能力に応じた帯域圧縮などのエンコードを施しつつIP−PBX20との間で音声データの送受信を行うものである。図3では詳細な図示は省略したが、IP−PBX通信部160aには、上記エンコードを実現するエンコーダと、そのエンコードが施された音声データをデコードするデコーダとが含まれている。これに対して、高音質通信部160bは、音声通話の相手側端末との間に通信セッションを接続しIP−PBX20を介さずにその相手側端末と音声データの送受信を行うものである。このように、高音質通信部160bによる音声データ通信は、IP−PBX20を介さないため、通信網30にて利用可能な帯域幅を充分に活用することができる。
【0017】
接続切り換え部150は、IP−PBX通信部160aと高音質通信部160bの何れか一方を音声入出力部140に接続するスイッチである。接続切り換え部150は、図3に示すように、D/A140aに音声データを出力する出力端子outと、A/D140cから音声データを受け取る入力端子inを有している。また、接続切り換え部150は、IP−PBX通信部160aに音声データを出力する出力端子L−sとIP−PBX通信部160aから音声データを受け取る入力端子L−rを有しているとともに、高音質通信部160bに音声データを出力する出力端子H−sと高音質通信部160bから音声データを受け取る入力端子H−rを有している。接続切り換え部150は、制御部110による制御の下、入力端子inおよび出力端子outと、出力端子H−sおよび入力端子H−r、または、出力端子L−sおよび入力端子L−rの接続を切り換えることで、音声入出部140をIP−PBX通信部160aと高音質通信部160bの何れか一方に接続する。
【0018】
例えば、音声入出部140をIP−PBX通信部160aに接続することを制御部110によって指示された場合には、接続切り換え部150は、出力端子L−sを入力端子inに接続するとともに、入力端子L−rを出力端子outに接続する。これにより、IP−PBX通信部160aにより受信された音声データが音声入出力部140のD/A140aに与えられ、音声入出力部140のA/D140cから出力される音声データがIP−PBX通信部160aに与えられる。逆に、音声入出部140を高音質通信部160bに接続することを制御部110によって指示された場合には、接続切り換え部150は、出力端子H−sを入力端子inに接続するとともに、入力端子H−rを出力端子outに接続する。これにより、高音質通信部160bにより受信された音声データが音声入出力部140のD/A140aに与えられ、音声入出力部140のA/D140cから出力される音声データが高音質通信部160bに与えられる。本実施形態では、操作部130に設けられている通話開始ボタン(図示省略)が押下されたこと(すなわち、音声通話の開始を指示されたこと)を契機として、音声入出力部140をIP−PBX通信部160aに接続する旨の指示が制御部110によって接続切り換え部150に与えられる。つまり、本実施形態では、通信端末10−k間の音声データ通信は、IP−PBX20を介する態様で開始されるのである。
【0019】
音声パターン発生部170は、制御部110から与えられる指示に応じて音声データを生成し、上記指示とともに制御部110から与えられる付加情報(本実施形態では、当該通信端末10−kの端末識別子)とともに出力する処理を実行する。制御部110からの指示に応じて音声パターン発生部170が生成する音声データとしては、以下の2種類が挙げられる。第1に、図4(A)に示すようにIP−PBX20を介して本装置と音声通話を行っている相手側端末へ、音声通話の通信態様をIP−PBX20を介さない態様(図4(B)参照)に切り換えることを通知する旨の音声パターン(以下、第1の音声パターン)を表す音声データである。そして、第2に、上記第1の音声パターンにより通信態様の切り換えを通知された場合に、その切り換えに応じることを通知する旨の音声パターン(以下、第2の音声パターン)を表す音声データである。これら2種理の音声パターンとしては種々のものを用いることができる。例えば、「通信態様を切り換えます」や「通信態様の切り換えに応じます」といった音声メッセージの音声パターンであっても良いし、各々固有のノイズ波形などであっても良い。このようにして音声パターン発生部170から出力される音声データおよび端末識別子は、図3に示すように接続切り換え部150の入力端子inへ入力される。
【0020】
音声パターン解析部180は、接続切り換え部150を介して通信部160から音声入出力部140に与えられるデータを解析して上記各音声パターンを表す音声データと付加情報とに分離し、その付加情報を制御部110へ引き渡すとともに、その音声データが上記2種類の音声パターンの何れを表すものであるかを判定してその判定結果を制御部110に通知する処理を実行する。接続切り換え部150を介して通信部160から音声入出力部140に与えられる音声データは、通信網30を介して音声通話の相手側端末から送信されてくるものであるから、この音声パターン解析部180は、相手側端末から通信態様の切り換えを通知されたのか、それとも、その切り換えに応じる旨を通知されたのかを判定するものである。
以上が通信端末10−kの構成である。
【0021】
(A−2:動作)
次いで、図4(A)に示すように通信端末10−1と通信端末10−2とがIP−PBX20を介して音声データの送受信を行っている状況下で、通信態様の切り換えを指示された場合に、各通信端末10−kの制御部110が実行する処理について図5を参照しつつ説明する。
【0022】
通信端末10−1を利用して音声通話を行っている利用者は、相手側端末が高音質通話に対応したものであることをその通話相手との会話により把握し、その音声通話の通信態様をIP−PBX20を介さない態様に切り換えることをその通話相手と合意すると、通信端末10に設けられている高音質通信ボタン(図2参照)を押下してその切り換えを指示する。
【0023】
通信端末10−1の制御部110は、通信態様の切り換えを指示されたことを検出(図5:ステップSA10)すると、まず、音声入出力部140の機能をオフにして音声の入出力を停止する(ステップSA20)。これは、通信態様の切り換え処理中に無用な音声の入出力が為されることを回避するためである。
【0024】
次いで、通信端末10−1の制御部110は、音声通話の相手側端末へ音声通話の通信態様を切り換える旨を通知する処理(ステップSA30)を実行する。より詳細に説明すると、制御部110は、第1の音声パターンの音声データを生成する旨の指示を音声パターン発生部170に与えるとともに、不揮発性メモリに格納されている端末識別子を付加情報として音声パターン発生部170に与える。音声パターン発生部170は、上記指示に応じて第1の音声パターンを表す音声データを生成し上記端末識別子とともに出力する。このようにして音声パターン発生部170から出力されるデータは、接続切り換え部150を介してIP−PBX通信部160aに与えられ、このIP−PBX通信部160aによって通信網30へと送出される。このようにして通信端末10−1から通信網30へと送出されたデータはIP−PBX20によって通信端末10−2へ転送される。
【0025】
通信端末10−2のIP−PBX通信部160aは、IP−PBX20を介して受信したデータを接続切り換え部150に引渡す。この時点での接続切り換え部150における接続形態はIP−PBX通信部160aと音声入出力部140とを接続する形態であるため、IP−PBX通信部160aから引渡されるデータはD/A140aへと出力される。このようにして接続切り換え部150の出力端子outから出力されるデータは、図3に示すように、音声パターン解析部180にも与えられる。音声パターン解析部180は、接続切り換え部150を介して通信部160から音声入出力部140に与えられるデータを解析して上記第1の音声パターンを表す音声データと付加情報(通信端末10−1の端末識別子)とに分離し、通信態様の切り換えを通知されたこと制御部110に通知するとともに、上記端末識別子を制御部110に与える。
【0026】
通信端末10−2の制御部110は、上記端末識別子を通信セッションの接続先を示す接続先識別子として揮発性メモリに書き込むとともに、音声入出力部140の機能をオフにする(ステップSB10)。ここで、音声入出力部140の機能をオフにするのは、前述したステップSA10と同様に、無用な音声の入出力が行われることを回避するためである。次いで、制御部110は、通信態様の切り換えに応じる旨の応答を返信する処理(ステップSB20)を実行する。具体的には、制御部110は、第2の音声パターンの生成指示を音声パターン発生部170に与えるとともに、不揮発性メモリに格納されている端末識別子を付加情報として音声パターン発生部170に与える。音声パターン発生部170は、上記生成指示に応じて音声データを生成し、上記端末識別子(通信端末10−2の端末識別子)とともに接続切り換え部150の入力端子inへ出力する。このようにして音声パターン発生部170から出力されるデータは、接続切り換え部150を介してIP−PBX通信部160aに与えられ通信網30へ送出される。このようにして通信端末10−2から送信されるデータはIP−PBX20によって通信端末10−1へと転送される。
【0027】
通信端末10−1では、IP−PBX20を介して通信端末10−2から送信されてくるデータはIP−PBX通信部160aによって受信され、接続切り換え部150を介してD/A140aへと出力される。通信端末10−1の音声パターン解析部180は、接続切り換え部150を介して通信部160から音声入出力部140に与えられるデータを解析して上記第2の音声パターンを表す音声データと端末識別子(通信端末10−2の端末識別子)に分離し、通信態様の切り換えに応じる旨を通知されたことを制御部110に通知するとともに、上記端末識別子を制御部110に与える。制御部110は、上記端末識別子を通信セッションの接続先として、例えばRTP(Real-time Transport Protocol)などの所定の通信プロトコルに準拠した手順で通信セッションを接続する処理(ステップSA40)を実行する。つまり、通信端末10−kの制御部110は、IP−PBX20を介した音声通話の相手側端末(すなわち、通信端末10−k)の端末識別子をIP−PBX20経由で受信したことを契機として、その相手側端末との間に通信セッションを接続する処理を実行するのである。一方、その相手側端末(すなわち、通信端末10−2)の制御部110も、その通信プロトコルに準拠した応答処理(ステップSB30)を実行する。その結果、通信端末10−1と通信端末10−2との間にIP−PBX20を介さずに通信セッションが接続され、図4(B)に示す態様の音声データ通信を行うことが可能になる。このように本実施形態では、通信端末10−1と通信端末10−2との間でIP−PBX20を介して行われるデータ通信を利用して互いの端末識別子を通知し合い、IP−PBX20を介さずに両通信端末間に通信セッションを接続することを可能にしているのである。
【0028】
以降、通信端末10−1の制御部110と通信端末10−2の制御部110は、各々音声入出力部140の機能をオンにする処理(ステップSA50、ステップSB40)、および、高音質通信部160bを音声入出力部140に接続する旨の指示を接続切り換え部150に与える処理を実行し、ステップSA40およびステップSB30で接続した通信セッションを介して音声データの送受信を再開する。この再開後の音声通話においては、高音質通信部160bによって音声データの送受信が行われるため、通信網30にて利用可能な帯域幅を充分に活用して高音質な音声通話を行うことができる。以上に説明したように、本実施形態によれば、構内交換機を利用した社内電話において、その構内交換機の置き換えを行うことなく、音質の高い音声通話を実現することが可能になる、といった効果を奏する。
【0029】
(B:第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。
(B−1:構成)
図6は、本発明の第2実施形態に係る通信システム2の構成例を示す図である。この通信システム2は、所謂遠隔会議を実現するための通信システムであり、会議端末として機能する通信端末40−1、40−2および40−3を含んでいる。以下、上記3台の通信端末の各々を区別する必要がない場合には、「通信端末40−k」と表記する。図6では、3台の通信端末40−kが例示されているが、2台または4台以上の通信端末40−kが通信システム2に含まれていても良く、また、他の種類の会議端末が混在していても良い。
【0030】
図6では、通信システム1の構成要素と同一であるものには同一の符号が付されている。図6と図1を比較すれば明らかなように、通信システム2の構成は、以下の2つの点で通信システム1の構成(図1参照)と異なる。第1に、接続管理装置50を新たに設けた点である。そして、第2に、通信端末10−kに換えて通信端末40−kを設けた点である。以下、第1実施形態との相違点である通信端末40−kおよび接続管理装置50を中心に説明する。
【0031】
図7(A)は、通信端末40−kの構成例を示すブロック図である。図7(A)では、通信端末10の構成要素と同一のものには同一の符号が付されている。図7(A)と図3を比較すれば明らかなように、通信端末40−kの構成は、以下の3つの点で通信端末10−kの構成(図3参照)と異なる。第1に、制御部110に換えて制御部410を設けた点である。第2に、接続切り換え部150に換えて接続切り換え部450を設けた点である。そして、第3に、音声パターン発生部170に換えて音声パターン発生部470を設けた点である。
【0032】
制御部410は、CPU、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ(何れも図示省略)を含む点では、前述した制御部110と同一である。しかし、制御プログラム110aに換えて制御プログラム410aが上記不揮発性メモリに予め格納されている点、および、自端末の端末識別子に加えて接続管理装置50の通信アドレス(例えば、接続管理装置50のIP電話番号)が上記不揮発性メモリに格納されている点が制御部110と異なる。制御部410は、上記通信アドレスを用いることにより、接続管理装置50との音声通話をIP−PBX20経由で何時でも行うことができる。また、制御部410は、この制御プログラム410aにしたがって上記CPUを作動させることにより、前述した制御部110とは異なる処理を実行する。制御プログラム410aにしたがって制御部410が実行する処理については後に明らかにする。
【0033】
接続切り換え部450は、制御部410による制御の下、音声入出力部140をIP−PBX通信部160aと高音質通信部160bの何れか一方に接続する点では、前述した接続切り換え部150と同一である。しかし、図7(A)に示す接続切り換え部450は、かかる接続切り換えの他に、制御部410による制御の下、図7(B)に示す態様で音声入出力部140をIP−PBX通信部160aおよび高音質通信部160bの両方に接続するように構成されている点で接続切り換え部150と異なる。図7(B)に示す接続態様では、D/A140aには、IP−PBX通信部160aにより受信した音声データと高音質通信部160bにより受信した音声データとをミキシングして得られる音声データが与えられる。また、この接続態様では、IP−PBX通信部160aには、A/D140cから出力される音声データと高音質通信部160bにより受信した音声データとをミキシングして得られる音声データが与えられ、高音質通信部160bには、A/D140cから出力される音声データとIP−PBX通信部160aにより受信した音声データとをミキシングして得られる音声データが与えられる。本実施形態において、図7(B)に示す態様で音声入出力部140をIP−PBX通信部160aおよび高音質通信部160bの両方に接続する理由については後に明らかにする。なお、本実施形態においても、音声通話の開始を指示されたことを契機として、音声入出力部140をIP−PBX通信部160aに接続する旨の指示が制御部110によって接続切り換え部450に与えられる。
【0034】
音声パターン発生部470は、制御部410からの指示に応じて、前述した第1の音声パターン(すなわち、音声通話の相手側端末へ通信態様の切り換えを通知する旨の音声パターン)を表す音声データを生成する点では、前述し音声パターン発生部170と同様である。しかし、音声パターン発生部470は、前述した第2の音声パターンに換えて、自端末を接続制御の対象として登録することを接続管理装置50に要求する旨の第3の音声パターンを表す音声データを生成する点で音声パターン発生部170と異なる。
以上が通信端末40−kの構成である。
【0035】
次いで、図8を参照しつつ接続管理装置50の構成について説明する。
接続管理装置50は、複数の通信端末40−kの各々の間の通信セッションの接続制御を行う装置である。図8に示すように、接続管理装置50は、通信インターフェース(以下、「I/F」と表記)部510、音声データ受信部520、音声パターン解析部530、接続制御部540、端末登録データベース550、および音声データ送信部560を含んでいる。
【0036】
通信I/F部510は、例えばNIC(Network Interface Card)であり、通信網30に接続されている。通信I/F部510は、通信網30を介してIP−PBX20から送信されてくるデータを受信し、音声データ受信部520に引渡す一方、音声データ送信部560から引渡されるデータを通信網30へと送出する。
【0037】
端末登録データベース550は、接続管理装置50による通信セッションの接続制御の対象となる通信端末40−kの端末識別子と、その通信端末40−kが参加している遠隔会議を一意に示す会議識別子とを対応付けて格納するテーブルであり、図示せぬ不揮発性メモリに格納された状態で接続管理装置50に実装される。
【0038】
音声データ受信部520は、通信I/F部510から与えられるデータをデコードし、そのデコード結果を音声パターン解析部530に引渡す。音声パターン解析部530は、音声データ受信部520から引渡されるデータを解析し、端末識別子の登録を要求する旨の音声パターン(第3の音声パターン)を表す音声データとその付加情報とに分離し、その付加情報を接続制御部540に引渡す。詳細については後述するが、本実施形態では、上記音声パターンを表す音声データの送信元である通信端末40−kの端末識別子のみが上記付加情報として送信されてくる場合と、上記音声データの送信元である通信端末40−kの端末識別子とその通信端末40−kが参加している遠隔会議の会議識別子とが上記付加情報として送信されてくる場合とがある。音声パターン解析部530は、上記付加情報が端末識別子のみである場合には、新たな会議識別子を生成しその会議識別子に対応付けてその端末識別子を端末登録データベース550に書き込む旨の指示を接続制御部540に与える。一方、上記付加情報が端末識別子と会議識別子とである場合には、音声パターン解析部530は、両者を対応付けて端末登録データベース550に書き込む旨の指示を接続制御部540に与える。
【0039】
音声データ送信部560は、接続制御部540から与えられる指示に応じて音声データを生成し、上記指示とともに接続制御部540から与えられる付加情報を付加した後にエンコード(IP−PBX20の処理能力に応じた帯域圧縮)を施して通信I/F部510に引渡し、その音声データおよび付加情報をIP−PBX20経由で相手側端末へ送信する処理を実行する。より詳細に説明すると、音声データ送信部560は、接続制御部540から与えられる指示に応じて以下の2種類の音声データを生成する。第1に、接続制御の対象としての登録が完了した旨の音声パターン(以下、第4の音声パターン)を表す音声データである。第2に、接続管理装置50による通信セッションの接続制御サービスを利用する各通信端末40−kに対して通信セッションの接続先を指示する旨の音声パターン(以下、第5の音声パターン)を表す音声データである。
【0040】
接続制御部540は、例えばCPUであり、音声パターン解析部530から与えられる指示に応じて端末登録データベース550の格納内容を更新する処理、および、接続管理装置50による通信セッションの接続制御サービスを利用する各通信端末40−kに対して通信セッションの接続先を指示する処理を実行する。この接続制御部540が実行する処理の詳細については後に明らかにする。
以上が接続管理装置50の構成である。
【0041】
(B−2:動作)
次いで、通信端末40−1、40−2および40−3がIP−PBX20を介して音声データ通信を行い、遠隔会議が行われている状況下で、通信端末40−1にて通信態様の切り換えが指示(高音質通信ボタン(図2参照)の押下)された場合に、通信端末40−kおよび接続管理装置50が実行する処理について図9を参照しつつ説明する。なお、図9では、図5と同一の処理には同一の符号が付されている。
【0042】
通信端末40−1の制御部410は、通信態様の切り換えを指示されたことを検出(図9:ステップSA10)すると、前述した第1実施形態と同様に、音声入出力部140の機能をオフ(ステップSA20)にし、その後、登録要求処理(ステップSA25)を実行する。ステップSA25の登録要求処理は、自端末を接続制御の対象として登録することを接続管理装置50に要求する処理である。より詳細に説明すると、制御部410は、まず、不揮発性メモリに格納されている通信アドレスの示す機器(すなわち、接続管理装置50)との音声通話をIP−PBX20経由で開始する。そして、制御部410は、前述した第3の音声パターンを発生させる旨の指示と不揮発性メモリに格納されている端末識別子とを音声パターン発生部470に与える。この指示に応じて音声パターン発生部470により生成される音声データと上記端末識別子は、接続切り換え部450を介してIP−PBX通信部160aに与えられ、このIP−PBX通信部160aによって通信網30へと送出され、IP−PBX20によって接続管理装置50へ転送される。
【0043】
接続管理装置50では、IP−PBX20経由で送信されてくるデータを通信I/F部510により受信し、そのデータを音声データ受信部520によりエンコードし、そのエンコード結果を音声パターン解析部530によって解析する処理が実行される。音声パターン解析部530は、まず、音声データ受信部520を介して通信I/F部510から引渡されるデータを解析して第3の音声パターンを表す音声データと付加情報(通信端末40−1の端末識別子)とに分離する。次いで、音声パターン解析部530は、上記端末識別子を接続制御部540に引渡すとともに、その端末識別子の示す通信端末40−kの属する遠隔会議を示す会議識別子を生成してその端末識別子と対応付けて端末登録データベース550へ書き込む旨の指示を接続制御部540に与える。
【0044】
接続制御部540は、上記指示に応じて会議識別子を生成し、その会議識別子と上記端末識別子とを対応付けて端末登録データベース550に書き込むことで、その格納内容を更新する(ステップSC10)。次いで、接続制御部540は、上記端末識別子の送信元に対して、接続制御の対象としての登録が完了した旨を通知する処理(ステップSC20)を実行する。より詳細に説明すると、接続制御部540は、ステップSC10にて生成した会議識別子と、前述した第4の音声パターンを示す音声データの生成指示とを音声データ送信部560に引渡す。音声データ送信部560は、接続制御部540から引渡される指示に応じて、第4の音声パターンを表す音声データを生成するとともにその音声データに上記会議識別子を付与してエンコードし、そのエンコード結果を通信I/F部510を介して通信網30へ送出する。また、接続制御部540は、ステップSC20の実行時点を起算点として計時を開始する。これは、ステップSC20の実行時点から所定時間内に登録要求を行った通信端末40−kのみを接続制御の対象とするためである。上記のようにして接続管理装置50から送信されるデータは、IP−PBX20により通信端末40−1へ転送される。
【0045】
通信端末40−1では、IP−PBX20を介して接続管理装置50から送信されてくるデータをIP−PBX通信部160aにより受信すると、そのデータを接続切り換え部450を介して音声入出力部140に引渡す処理が実行される。図7(A)に示すように、接続切り換え部450を介してIP−PBX20から音声入出力部140に引渡されるデータは、音声パターン解析部180にも引渡される。音声パターン解析部180は、IP−PBX通信部160aから引渡されるデータを解析して第4の音声パターンを表すデータと会議識別子とに分離し、その会議識別子を制御部410へ引渡す。このようにして会議識別子を受け取った制御部410は、通信態様切り換え通知処理(ステップSA35)を実行する。図9のステップSA35で実行される通信態様切り換え通知処理は、接続管理装置50から受信した会議識別子を付加情報とする点を除いて、第1実施形態における通信態様切り換え通知処理(図5:ステップSA20)と同一である。このようにして通信端末40−1から送信されるデータ(第1の音声パターンを表す音声データと会議識別子)は、IP−PBX20により遠隔会議の相手側端末の各々(すなわち、通信端末40−2や通信端末40−3)に転送される。
【0046】
通信端末40−2や通信端末40−3では、IP−PBX20を介して通信端末40−1から送信されてくるデータをIP−PBX通信部160aにより受信し、そのデータを接続切り換え部450を介して音声入出力部140に引渡す処理が実行されるとともに、そのデータを音声パターン解析部180によって解析する処理が実行される。より詳細には、音声パターン解析部180は、IP−PBX通信部160aから引渡されるデータを解析して第1の音声パターンを表す音声データと会議識別子とに分離し、その会議識別子を制御部410へ引渡す。このようにして通信態様の切り換え通知を検出した制御部410は、音声入出力部140の機能をオフ(ステップSB10)にした後に、登録要求処理(ステップSB25)を実行する。このステップSB25で実行される登録要求処理では、上記会議識別子と自端末の端末識別子とを付加情報として第3の音声パターンを表す音声データをIP−PBX20経由で接続管理装置50に送信する点が前述したステップSA25の処理と異なる。このようにして通信端末40−2や通信端末40−3から送信されるデータは、IP−PBX20により接続管理装置50に転送される。
【0047】
接続管理装置50では、IP−PBX20経由で通信端末40−2や40−3から送信されてくるデータを通信I/F部510により受信し、そのデータを音声パターン解析部530によって解析する処理が実行される。音声パターン解析部530は、音声データ受信部520を介して通信I/F部510から引渡されるデータを解析して第3の音声パターンを表す音声データと付加情報(端末識別子および会議識別子)に分離し、その端末識別子と会議識別子とを接続制御部540に引渡すとともに、それら両者を対応付けて端末登録データベース550へ格納する旨の指示を接続制御部540に与える。接続制御部540は、上記指示に応じて端末登録データベース550の格納内容を更新する(ステップSC30)。次いで、接続制御部540は、ステップSC20の登録完了通知処理の実行時点から所定時間が経過したか否かを判定し(ステップSC40)、その判定結果が“No”である間、他の通信端末40−kから登録要求が為されることを待ち受ける。そして、ステップSC40の判定結果が“Yes”になると、接続制御部540は、接続先決定処理(ステップSC50)を実行する。
【0048】
図9の接続先決定処理(ステップSC50)は、同一の会議識別子に対応付けて端末登録データベース550に格納されている各端末識別子の示す通信端末40−kについて、IP−PBX20を介さずに音声データ通信を行うための通信セッションの接続先を決定する処理である。ここで、各通信端末40−kについての通信セッションの接続先の決定方法としては種々のものが考えられるが、その具体例を挙げると以下の通りである。
【0049】
第1の態様は、複数の通信端末40−kの各々について、接続制御の対象である他の全ての通信端末40−kを通信セッションの接続先とする態様である。例えば、通信端末40−1に対しては通信端末40−2および40−3を、通信端末40−2に対しては通信端末40−1および40−3を、通信端末40−3に対しては通信端末40−1および40−2を、各々通信セッションの接続先とするのである。この態様によれば、複数の通信端末40−kを、図10(A)に示すようなメッシュ状に接続することができる。
【0050】
これに対して、第2の態様は、複数の通信端末40−kの各々について、所定のネットワークミキサ(図6では図示省略)を通信セッションの接続先とする態様である。ここで、ネットワークミキサとは、複数の通信端末40−kの各々との間に通信セッションを接続し、各通信端末40−kから送信されてくる音声データを受信するとともに、それら複数の通信端末の各々に対して、他の通信端末40−kから受信した音声データをミキシングして得られる音声データを送信する電子機器のことである。この第2の態様によれば、図10(B)に示すような上記ネットワークミキサを頂点とするツリー状の接続形態が実現され、そのネットワークミキサを介して遠隔会議が実現される。
【0051】
上記のようにして各通信端末40−kについての通信セッションの接続先の決定が完了すると、接続制御部540は、上記各通信端末40−kへ通信セッションの接続先を指示する処理を実行する(ステップSC60)。具体的には、接続制御部540は、上記各通信端末40−kに関して以下の処理を実行する。すなわち、接続制御部540は、ステップSC50で決定した接続先を示す接続先識別子(通信セッションの接続先となる通信端末40−kの端末識別子)と、上記第5の音声パターンの生成指示とを音声データ送信部560に与え、その音声データと上記接続先識別子とをIP−PBX20経由で送信するのである。
【0052】
以降、各通信端末40−kの制御部410は、IP−PBX20経由で接続管理装置50から送信されてくる接続先識別子の示す接続先との間に通信セッションを接続する処理(ステップSA40、ステップSB30)を実行する。以降、各通信端末40−kの制御部410は、各々音声入出力部140の機能をオンにする処理(ステップSA50、ステップSB40)、および、高音質通信部160bを音声入出力部140に接続する旨の指示を接続切り換え部150に与える処理を実行し、ステップSA40およびステップSB30で接続した通信セッションを介して音声データの送受信を再開する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の通信端末40−kがIP−PBX20経由で行っている会議通信を、そのIP−PBX20を経由しない形態に切り換え、通信網30で利用可能な帯域幅を充分に活用して高音質な会議通信を行うことが可能になる、といった効果を奏する。また、本実施形態では、通信端末40−kと接続管理装置50との間の通信はIP−PBX20経由で行われるため、通信セッションの接続などの特別な処理を行うことなく、確実に通信端末40−kと接続管理装置50を通信させることができる。
【0054】
なお、上記3台の通信端末40−kの他に、IP−PBX20を介さない音声データ通信には対応していない他の会議端末が遠隔会議に参加している場合には、当該他の会議端末は、音声通話の相手側端末から通信態様の切り換えを通知されても、接続管理装置50に対して端末識別子の登録を要求することはなく、当該他の会議端末が上記3台の通信端末40−kに対して通信セッションの接続先として指示されることもない。この場合、上記他の会議端末との音声データを打ち切り、図10(A)または図10(B)に示す接続形態を実現して、上記3台の通信端末40−kのみでIP−PBX20を介さない音声データ通信を行い、会議通信を継続しても良い。
【0055】
また、上記3台の通信端末40−kのうちの何れか1台(例えば、利用者により通信態様の切り換えを指示された通信端末40−1)については上記他の会議端末との音声データ通信を継続させるとともに、接続切り換え部450における接続形態を図7(B)に示す態様に切り換え、図10(C)または図10(D)に示すように上記3台の通信端末40−kと上記他の会議端末とを接続し、上記他の会議端末を含めて遠隔会議を継続させるようにしても良い。図10(C)に示す態様においては、通信端末40−1は、IP−PBX通信部160aにより上記他の会議端末と音声データの送受信を行い、高音質通信部160bにより通信端末40−2や40−3と音声データの送受信を行う。通信端末40−1の接続切り換え部450における接続態様が図7(B)に示す態様であれば、上記他の会議端末の利用者の音声は、通信端末40−1において、その利用者(通信端末40−1の利用者)の音声とミキシングされて通信端末40−2や通信端末40−3の利用者に送り届けられる一方、通信端末40−2および40−3の利用者の音声は、通信端末40−1において、その利用者の音声にミキシングされて上記他の会議端末の利用者に送り届けられる。このように、本実施形態によれば、IP−PBX20を介さない音声データ通信には対応していない他の会議端末が遠隔会議に参加している場合であっても、何れかの通信端末40−kが橋渡しとなることで、通信端末40−k間では高音質な音声データ通信を行いつつ上記他の会議端末を含めて遠隔会議を継続することが可能になる。
【0056】
(C:他の実施形態形)
以上、本発明の第1および第2実施形態について説明したが、これらの実施形態に以下に述べる変形を加えて勿論良い。
(1)上述した各実施形態ではEthernet(登録商標)などのIP通信網にIP−PBXを接続して構成した社内電話システムに本発明を適用したが、インターネットなどの一般公衆回線を含んだIP電話網に本発明を適用しても勿論良い。
【0057】
(2)上述した第2実施形態では、通信端末40−kと接続管理装置50との間の音声データ(各種音声パターンや付加情報を表すデータ)の送受信をIP−PBX20経由で行ったが、これら音声データの送受信をIP−PBX20を介さずに行っても勿論良い。このような態様の具体例としては、通信端末40−kと接続管理装置50との間に通信コネクションを確立しRTPなどに準拠した通信で音声データの送受信を実現する態様が考えられる。また、通信端末40−kと接続管理装置50との間のデータ通信は、音声データ通信に限定されるものではなく、テキストデータやバイナリデータがペイロード部に書き込まれたパケットを送受信する態様であっても良い。具体的には、上記各音声パターンの表す処理内容を示す制御コマンドおよび付加情報を表すテキストデータやバイナリデータが書き込まれたパケットを通信端末40−kと接続管理装置50とに送受信させるのである。なお、このような態様においては、音声データ受信部520や音声パターン解析部530、音声データ送信部560に換えて、制御コマンドが書き込まれたパケットを受信するパケット受信部、パケット受信部により受信されたパケットを解析し制御コマンドと付加情報とを分離するパケット解析部、通信端末40−kに送信するパケットを生成しその送信を行うパケット送信部を接続管理装置50に設ける必要がある。同様に、通信端末40−kについても、登録処理の実行を指示する旨の制御コマンドと自端末の端末識別子(或いは、端末識別子と会議識別子)とを書き込んだパケットを接続管理装置50へ送信する処理、および接続管理装置50から送信されてくるパケットを解析し会議識別子を取得する処理を制御部410に実行させるようにする必要がある。
【0058】
(3)上述した各実施形態では、利用者により通信態様の切り換えを指示されてから(或いは、相手側端末から通信態様の切り換えを通知されてから)、その切り換えを完了するまでの間は、音声の入出力を停止させる処理(図5または図9:ステップSA20(ステップSB10)およびステップSA50(ステップSB40))を制御部110や制御部410に実行させたが、これらの処理は必ずしも必須ではない。また、上述した各実施形態では、相手側端末から通信態様の切り換えを通知された場合には、自動的に応答を返信する処理(図5:ステップSB20)や、自動的に登録要求を送信する処理(図9:ステップSB25)を制御部110や制御部410に実行させたが、応答(或いは登録要求)の可否を利用者に問い合わせ、許可指示を入力された場合にのみ、これらの処理を実行させるようにしても勿論良い。
【0059】
(4)接続管理装置50により、1つの遠隔会議に関してのみ接続制御サービスを提供する場合には、会議識別子を使用しなくても良い。この場合、図9のステップSC20では、登録完了を通知する旨の音声パターンを表す音声データのみを接続管理装置50に送信させ、同ステップSA35では、通信態様の切り替えを通知する旨の音声パターンを表す音声データのみを通信端末40−1に送信させ、同ステップSB25では、登録完了を通知する旨の音声パターンを表す音声データと自端末の端末識別子とを通信端末40−2(或いは通信端末40−3)に送信させるようにすれば良い。そして、図9のステップSC50では、端末登録データベースに端末識別子が格納されている全ての通信端末を対象として通信セッションの接続先を決定すれば良い。
【0060】
(5)上述した各実施形態では、各種付加情報の送受信を行う際に各種音声パターンを示す音声データを付与して送受信させたが、本発明に係る通信端末を上記第1実施形態の態様のみで実施する場合や第2実施形態の態様のみで実施する場合には、これら音声データは必ずしも必須ではない。何れの種類の付加情報であるかを通信シーケンスに基づいて受信側で判定し、その種類に応じた処理を実行することが可能だからである。
【0061】
(6)上述した各実施形態では、本発明に係る通信端末の特徴を顕著に示す通信態様切り換え処理を制御部110(制御部410)に実行させる制御プログラム110a(制御プログラム410a)がその制御部110(制御部410)の不揮発性メモリに予め書き込まれていた。しかし、これらプログラムをCD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory)などのコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布しても良く、また、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に係る通信端末10−kを含む通信システムの構成例を示す図である。
【図2】同通信端末10−kの外観の一例を示す図である。
【図3】同通信端末10−kの構成例を示すブロック図である。
【図4】同通信端末10−kを用いて行われる音声通話におけるデータの流れを説明するための図である。
【図5】同通信端末10−kが実行する通信態様切り換え処理の流れを示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る通信端末40−kを含む通信システムの構成例を示す図である。
【図7】同通信端末40−kの構成例を示すブロック図である。
【図8】同通信システムに含まれる接続管理装置50の構成例を示すブロック図である。
【図9】通信端末40−kおよび接続管理装置50が実行する通信態様切り換え処理の流れを示す図である。
【図10】音声会議通信における接続形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1,2…通信システム、10−k,40−k…通信端末、20…IP−PBX、30…通信網、50…接続管理装置、110,410…制御部、120…表示部、130…操作部、140…音声入出力部、140a…D/A、140b…スピーカ、140c…A/D、140d…マイクロホン、150,450…接続切り換え部、160…通信部、160a…IP−PBX通信部、160b…高音質通信部、170、470…音声パターン発生部、180、480…音声パターン解析部、510…通信I/F部、520…音声データ受信部、530…音声パターン解析部、540…接続制御部、550…端末登録データベース、音声データ送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に設けられている交換機を介して音声データの送受信を行う手段であって、前記交換機の処理能力に応じた帯域圧縮を施しつつ音声データの送受信を行う第1の通信手段と、
音声データの送信先との間に通信セッションを接続し前記交換機を介さずに音声データの送受信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段の何れか一方に接続され、その接続先の通信手段から与えられる音声データの表す音声をスピーカに放音させる一方、マイクロホンにより収音した音声を表す音声データを当該接続先の通信手段に与える音声入出力手段と、
音声通話の開始を指示されたことを契機として、前記第1の通信手段を前記音声入出力手段に接続する第1の処理を実行し、音声通話の通信態様を前記交換機を介さない態様に切り換えることを指示されたことを契機として、自端末の端末識別子を前記第1の通信手段により音声通話の相手側端末へ送信する第2の処理を実行し、前記相手側端末の端末識別子を前記交換機経由で受信したことを契機として、前記第2の通信手段により当該相手側端末との間に通信セッションを接続し前記音声入出力手段の接続先を前記第2の通信手段に切り換えて音声通話を再開させる第3の処理を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする通信端末。
【請求項2】
通信網に設けられている交換機を介して音声データの送受信を行う手段であって、前記交換機の処理能力に応じた帯域圧縮を施しつつ音声データの送受信を行う第1の通信手段と、
音声データの送信先との間に通信セッションを接続し前記交換機を介さずに音声データの送受信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段の少なくとも一方に接続され、その接続先の通信手段から与えられる音声データの表す音声をスピーカに放音させる一方、マイクロホンにより収音した音声を表す音声データを当該接続先の通信手段に与える音声入出力手段と、
音声通話の開始を指示されたことを契機として、前記第1の通信手段を前記音声入出力手段に接続する第1の処理を実行し、音声通話の通信態様を前記交換機を介さない態様に切り換えることを指示されたことを契機として、前記通信網に接続されている複数の通信端末間の通信セッションの接続制御を行う接続管理装置へ自端末の端末識別子を送信し制御対象の端末識別子として記憶させる第2の処理、および、通信態様の切り換えを通知する旨の音声パターンを表す音声データを前記第1の通信手段により音声通話の相手側端末へ送信し当該相手側端末に対してその端末識別子を前記接続管理装置へ送信する処理の実行を促す第3の処理を実行し、前記接続管理装置から通信セッションの接続先を指示されたことを契機として、その接続先との間の通信セッションを前記第2の通信手段により接続し前記音声入出力手段を前記第2の通信手段に接続して音声通話を再開させる第4の処理を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする通信端末。
【請求項3】
前記交換機を介して複数の通信端末と音声通話を行っている状況下で、それら複数の通信端末のうちで前記接続管理装置により通信セッションの接続先として指示されなかったものについては、前記第1の通信手段による音声通話を継続し、
前記第2の通信手段により受信した音声データと前記第1の通信手段により受信した音声データとをミキシングして得られる音声データを前記音声入出力手段に与えてその音声データに応じた音声を出力させるとともに、
前記第1の通信手段には、前記第2の通信手段により受信した音声データと前記音声入出力手段から出力される音声データとをミキシングして得られる音声データを前記交換機経由で送信させ、
前記第2の通信手段には、前記第1の通信手段により受信した音声データと前記音声入出力手段から出力される音声データとをミキシングして得られる音声データを通信セッションの接続先に送信させる
ことを特徴とする請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記制御手段は、
通信態様の切り換えを指示されてから、前記第2の通信手段による通信セッションの接続が完了するまでの間、前記音声入出力手段による音声の入出力を停止する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の通信端末。
【請求項5】
コンピュータ装置を、
通信網に設けられている交換機を介して音声データの送受信を行う手段であって、前記交換機の処理能力に応じた帯域圧縮を施しつつ音声データの送受信を行う第1の通信手段と、
音声データの送信先との間に通信セッションを接続し前記交換機を介さずに音声データの送受信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段の何れか一方に接続され、その接続先の通信手段から与えられる音声データの表す音声をスピーカに放音させる一方、マイクロホンにより収音した音声を表す音声データを当該接続先の通信手段に与える音声入出力手段と、
音声通話の開始を指示されたことを契機として、前記第1の通信手段を前記音声入出力手段に接続する第1の処理を実行し、音声通話の通信態様を前記交換機を介さない態様に切り換えることを指示されたことを契機として、自端末の端末識別子を前記第1の通信手段により音声通話の相手側端末へ送信する第2の処理を実行し、前記相手側端末の端末識別子を前記交換機経由で受信したことを契機として、前記第2の通信手段により当該相手側端末との間に通信セッションを接続し前記音声入出力手段の接続先を前記第2の通信手段に切り換えて音声通話を再開させる第3の処理を実行する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
コンピュータ装置を、
通信網に設けられている交換機を介して音声データの送受信を行う手段であって、前記交換機の処理能力に応じた帯域圧縮を施しつつ音声データの送受信を行う第1の通信手段と、
音声データの送信先との間に通信セッションを接続し前記交換機を介さずに音声データの送受信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段の少なくとも一方に接続され、その接続先の通信手段から与えられる音声データの表す音声をスピーカに放音させる一方、マイクロホンにより収音した音声を表す音声データを当該接続先の通信手段に与える音声入出力手段と、
音声通話の開始を指示されたことを契機として、前記第1の通信手段を前記音声入出力手段に接続する第1の処理を実行し、音声通話の通信態様を前記交換機を介さない態様に切り換えることを指示されたことを契機として、前記通信網に接続されている複数の通信端末間の通信セッションの接続制御を行う接続管理装置へ自端末の端末識別子を送信し制御対象の端末識別子として記憶させる第2の処理、および、通信態様の切り換えを通知する旨の音声パターンを表す音声データを前記第1の通信手段により音声通話の相手側端末へ送信し当該相手側端末に対してその端末識別子を前記接続管理装置へ送信する処理の実行を促す第3の処理を実行し、前記接続管理装置から通信セッションの接続先を指示されたことを契機として、その接続先との間の通信セッションを前記第2の通信手段により接続し前記音声入出力手段を前記第2の通信手段に接続して音声通話を再開させる第4の処理を実行する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−63060(P2010−63060A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229440(P2008−229440)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】