説明

通信端末の制御回路及び制御方法

【課題】外付けの論理回路を不要とし、端末の小型化を可能とする通信端末の制御回路及び制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の制御回路は、複数の通信システムに対応し、且つ複数の周波数帯域に適応する通信端末の制御回路であって、少なくとも、通信システムを示す論理信号の入力手段と、通信端末の操作状態を示す論理信号の入力手段と、使用周波数帯域を示す論理信号の入力手段と、前記通信システムを示す論理信号、前記通信端末の操作状態を示す論理信号及び前記使用周波数帯域を示す論理信号を考慮して記憶された論理値を出力する出力手段とを備える論理的記憶手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信端末に関し、特に、通信端末の制御回路及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の通信端末においては、高周波信号を処理するRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit:高周波集積回路)内の制御回路や、ベースバンド信号を処理するベースバンドIC内の制御回路等が、端末の状態等に応じて高周波回路やベースバンド回路等の被制御側(被制御回路)を制御するように構成される。
【0003】
また、かかる被制御回路は、求められる特性に基づいて異なる仕様等の構成部品に置き換える等、必要により回路構成を変更することがあるが、この場合、被制御回路の構成変更に対応して制御回路の出力側に論理回路を接続して制御信号を変更する必要がある。
【0004】
例えば特許文献1には、2周波数帯等の受信アンテナにおのおの2本実装したアンテナ部(400)と、無線制御LSI(200)との間にアンテナ切り替えLSI(300)を備え、手持ち等の影響に対し本来のアンテナ特性を発揮するように、無線制御LSI(200)内部の周波数帯指定部(230)等からの指定信号(a、b)によりアンテナ切り替えLSI(300)を制御し、4本のアンテナを切り替える移動通信端末に関し、一方の周波数帯用のアンテナを1本とするようなアンテナ本数の削減を行った場合、アンテナ本数の変更によりアンテナの切り替え制御の変更が生じるから、無線制御LSI(200)の周波数帯指定部(230)とアンテナ切り替えLSI(300)との間に、AND又はOR等で構成する論理ゲート(500)を外部接続してアンテナ切り替え論理を変更することが記載されている。
【特許文献1】特開2007−158530号公報(図6、段落0011〜0014、0076〜0070)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、通信端末においては、制御回路により制御する高周波回路やベースバンド回路等の被制御回路の構成を変更した場合、制御回路は通信端末の状態等に応じて予め設定された論理信号を制御信号として出力するように構成されているため、被制御回路の構成変更に応じて適切な論理信号を出力するには、制御回路と被制御回路の間に、制御回路の出力を異なる制御信号に変換する汎用論理IC等の外付けの論理回路を適宜追加する必要があった。
【0006】
しかし、制御回路の出力側に汎用論理IC等の外付けの論理回路を更に設けるとコストが増加するのみならず、実装面積が増加するため通信端末の小型化の障害となる。
【0007】
(目的)
本発明の目的は、外付けの論理回路を不要とし、端末の小型化を可能とする通信端末の制御回路及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の通信端末の制御回路は、複数の通信システムに対応し、且つ複数の周波数帯域に適応する通信端末の制御回路であって、少なくとも、通信システムを示す論理信号の入力手段と、使用周波数帯域を示す論理信号の入力手段と、通信端末の操作状態を示す論理信号の入力手段と、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮して記憶された論理値を出力する出力手段とを備える論理的記憶手段を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の通信端末の制御方法は、複数の通信システムに対応し、且つ複数の周波数帯域に適応する通信端末の制御方法であって、少なくとも、通信システムを示す論理信号と、使用周波数帯域を示す論理信号と、通信端末の操作状態を示す論理信号と、を入力し、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮した論理値が記憶された論理的記憶手段を参照して、前記論理値を制御信号として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御回路の出力側に汎用論理IC等の外付けの論理回路を接続する必要がなく、複雑な論理出力でも簡易に生成して出力することが可能である。また、外部回路を必要としないために、コスト、実装面積とも抑えることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の通信端末の制御回路及び制御方法の第1の実施形態を以下説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態の構成を示す図であり、(a)は通信端末の制御回路、(b)は通信端末の制御方法である。
【0013】
図1(a)に示すように、本実施形態の制御回路は、複数の入力手段1−2乃至入力手段1−4と、出力手段1−5とを備える論理的記憶手段1−1により構成される。たとえば、特に3つの入力手段と1つの出力手段を有する制御回路とする。
【0014】
論理的記憶手段1−1は複数の入力手段、第1の入力手段1−2乃至第3の入力手段1−4から入力する論理信号の組み合わせに応じた論理信号を出力するように、複数の入力手段1−2乃至入力手段1−4の信号を考慮した記憶情報が格納される。
【0015】
論理的記憶手段1−1は、複数の入力手段1−2乃至入力手段1−4として、少なくとも適応している通信システムを示す論理信号を入力する第1の入力手段1−2と、使用周波数帯域を示す論理信号を入力する第2の入力手段1−3と、通信端末の機構的な操作状態を示す論理信号を入力する第3の入力手段1−4と、を備え、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮して記憶された論理信号を出力する出力手段1−5を備える。
【0016】
論理的記憶手段1−1は、論理回路の組み合わせとして構成することが可能であり、この場合、特定の論理回路の組み合わせ(接続構成)を予め格納した前記記憶情報とすることができる。この構成では前記複数の入力手段1−2乃至入力手段1−4は、その論理信号を前記特定の論理回路の組み合わせに入力し、前記出力手段1−5は、前記論理回路が出力する論理信号を制御信号として出力する。
【0017】
また、論理的記憶手段1−1は、記憶データとして論理値を記憶したメモリ等の記憶回路として構成することが可能であり、この場合、前記論理値を予め格納した前記記憶情報とすることができる。この構成では前記複数の入力手段1−2乃至入力手段1−4の論理信号は前記記憶回路の特定の論理値を指定し、前記出力手段1−5は、指定された論理値に基づく論理信号を制御信号として出力する。
【0018】
なお、論理的記憶手段1−1の何れの記憶情報も外部から変更可能に構成することができる。つまり、前記記憶情報が論理回路の組み合わせの場合は、その接続構成を外部から変更可能とし、前記記憶情報が論理値の場合は格納される論理値は外部から書き換え可能に構成することができる。
【0019】
図1(b)に示すように、本実施形態の制御方法は、複数の通信システムに対応し、且つ複数の周波数帯域に適応する通信端末の被制御回路を制御する制御回路として、前記論理的記憶手段1−1を参照することにより制御信号を出力する。つまり、通信端末の通信システムを示す論理信号を第1の入力手段1−2に入力し(s1−1)、使用周波数帯域を示す論理信号を第2の入力手段1−3に入力し(s1−2)、通信端末の操作状態を示す論理信号を第3の入力手段1−4に入力し(s1−3)、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮した論理値が記憶された論理的記憶手段1−1を参照して(s1−4)、前記論理値を制御信号として出力する(s1−5)。なお、各論理信号は任意の順序で入力することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、論理的記憶手段2−1を記憶回路とした携帯電話機等の携帯電話端末における制御回路の構成例を説明する。
【0021】
図2は本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。論理的記憶手段2−1は、図1と同様に適応している通信システムを示す論理信号を入力する第1の入力手段2−2と、使用周波数帯域を示す論理信号を入力する第2の入力手段2−3と、携帯電話端末の操作状態を示す論理信号を入力する第3の入力手段2−4とを備える。
【0022】
また、論理的記憶手段2−1は、該論理的記憶手段2−1に格納された論理値2−7を出力する出力手段として、2つの出力手段、すなわち第1の出力手段2−8と、第2の出力手段2−9とを備え、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記携帯電話端末の操作状態を示す論理信号を考慮して記憶された論理値に基づく論理出力1及び論理出力2を出力する。
【0023】
論理的記憶手段2−1はより具体的には、第1の入力手段2−2乃至第3の入力手段2−4の論理信号がそれぞれ2値(1ビット)信号とした場合、記憶される論理値は3ビットのアドレス(入力論理値)2−6と2ビットの出力論理値2−7とが対応する形で記憶されたレジスタテーブル2−5により構成される。
【0024】
つまり、論理的記憶手段2−1は、3つの論理信号の組み合わせである3ビットの論理信号を第1の入力手段2−2乃至第3の入力手段2−4から入力し、該3ビットの論理信号に一致するアドレス(入力論理値)2−6を特定し、当該アドレス2−6に対応する2ビットの出力論理値2−7をそれぞれ1ビットずつ論理出力1及び論理出力2として第1の出力手段2−8及び第2の出力手段2−9から読み出す構成とする。
【0025】
第1の入力手段2−2には通信システムとして例えばWCDMA(Wideband Code Divis
ion Multiple Access)又はGSM(Global System for Mobile Communications)を特定する論理信号が入力可能であり、第2の入力手段2−3には使用周波数に関して例えば800MHz帯又は2GHz帯を特定する論理信号が入力可能であり、第3の入力手段2−4には例えば折畳み型携帯電話端末の筺体の開状態又は閉状態を特定する論理信号が入力可能である。
【0026】
例えば、第1の入力手段2−2、第2の入力手段2−3及び第3の入力手段2−4の入力信号が、それぞれWCDMAの論理入力「0」、2GHzの論理入力「1」、携帯電話端末の開状態の論理入力「0」の場合、論理的記憶手段2−1は「010」をアドレスとして入力し、該アドレスに対応して記憶されている出力論理値「10」に基づいて、第1の出力手段2−8から論理出力1として「1」、第2の出力手段2−9から論理出力2として「0」を出力する。
【0027】
図2に示すレジスタテーブル2−5の記憶データは、3ビットの論理信号(入力論理値)の全ての組み合わせの8(=2)に対し、2ビットの出力論理値を出力可能に設定した例であり、2ビットの出力論理値は4(=2)通りであるから、WCDMAとGSMの入力信号別に他の入力信号に応じて同じ4通りの論理値を予め記憶して構成されている。
【0028】
つまりレジスタテーブル2−5の1〜4行はWCDMA、5〜8行はGSM、WCDMAの1、2行は800MHz帯、3、4行は2GHz帯、WCDMA且つ800MHz帯の1行は筺体が開状態、2行は同閉状態等のように記憶データが記憶されている。
【0029】
図3は第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。第1の入力手段2−2に通信システムを示す論理信号が入力されると(s2−1)、該論理信号がレジスタテーブル2−5の入力論理テーブルのWCDMAの論理「0」かGSMの論理「1」かを判断する(s2−2)。次に第2の入力手段2−3に使用周波数帯域を示す論理信号が入力されると(s2−3)、該論理信号がレジスタテーブル2−5の入力論理テーブルの使用周波数帯域800MHz帯の論理「0」か2GHz帯の論理「1」かを判断する(s2−4)。更に第3の入力手段2−4に携帯電話端末の操作状態を示す論理信号が入力されると(s2−5)、該論理信号がレジスタテーブル2−5の入力論理テーブルの折り畳みの開状態の論理「0」か閉状態の論理「1」かを判断し(s2−6)、それぞれの組み合わせのアドレスの選択を行う(s2−7)。このようにして、論理的記憶手段2−1はそれぞれに応じた出力論理値の格納データ「00」「01」…「11」の論理出力を制御信号として出力する(s2−8)。
【0030】
以上説明した図2に示す論理値の記憶データは一例である。論理的記憶手段2−1や携帯電話端末の製造時又は使用時等に、外部からの書き込み又は消去により論理値は適宜設定可能である。
【0031】
次に図2に示す第2の実施形態の論理的記憶手段2−1が通信端末の被制御回路を制御する制御回路として、RF信号を入出力するRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit:高周波集積回路)の内部に構成され、また、前記被制御回路はアンテナ切り替えスイッチ(アンテナスイッチ)及び整合切り替え回路(整合切替回路)である場合の構成例について説明する。
【0032】
本被制御回路には、例えば仕様の異なる既存の製品等が適宜選択的に使用され、論理的記憶手段2−1はその都度異なる制御信号を出力する必要が生じる例である。以下、説明の便宜上、通信システムはWCDMAとして説明する。
【0033】
図4、図5は本実施形態の異なる仕様の被制御回路を備える構成例を示す図である。論理的記憶手段2−1を備えるRFIC2−14と、アンテナスイッチ2−10(又は2−12)及び整合切替回路2−11(又は2−13)を備える被制御回路2−15(又は2−16)と、アンテナスイッチ2−10(又は2−12)とRFIC2−14の間の送受信用の複数のRF経路と、により構成される。
【0034】
図4に示す被制御回路2−15の仕様では、被制御回路2−15のアンテナスイッチ2−10及び整合切替回路2−11の制御信号としてそれぞれ独立した1ビットの2論理信号を入力する必要がある。
【0035】
この被制御回路2−15はアンテナスイッチ2−10と整合切替回路2−11の4通りの組み合わせがあり、論理的記憶手段2−1は、アンテナスイッチ2−10及び整合切替回路2−11の切り替えにより、例えば、携帯電話端末が手持ち状態か否か等に応じた電波環境の変化に対する高精度調整の制御が可能である。
【0036】
一般に携帯電話端末の折り畳み筺体の開状態やスライド筺体の開状態ではユーザーは携帯電話端末の手持ち状態にあるから、前記携帯電話端末の操作状態とアンテナのインピーダンス等との間には相関があり、制御回路としての論理的記憶手段によりその操作状態の論理入力に応じてアンテナスイッチや整合切替回路等の被制御回路を適切の制御できる。
【0037】
図5に示す被制御回路2−16の仕様では、アンテナスイッチ2−12及び整合切替回路2−13の制御信号として共通の1ビットの1論理信号を入力する必要がある。例えばアンテナスイッチ2−12及び整合切替回路2−13は1ビット論理信号により動作するSPDT(Single Pole Double Throw)等のスイッチで構成される。
【0038】
この被制御回路2−16はアンテナスイッチ2−12と整合切替回路2−13の2通りの組み合わせがあり、論理的記憶手段2−1は、例えば図4に示す被制御回路2−15に比べて中精度調整を可能とし、一方、携帯電話端末の構成はより簡略化が可能である。
【0039】
図6、図7は論理的記憶手段2−1から異なる仕様の被制御回路2−15又は2−16へ出力する制御信号を示す図である。第2の実施形態(図2)ではWCDMAの入力信号に他の入力信号に応じて4通りの論理値が予め記憶されていることから、図4に示す被制御回路2−15を実装した場合は、図6に示すように論理的記憶手段2−1は出力論理値の1ビット目の論理出力1及び同2ビット目の論理出力2を別々に出力することにより、前記4通りの切替制御を可能とする。また、図5に示す被制御回路2−16を実装した場合は、図7に示すように論理的記憶手段2−1の出力論理の1ビット目の論理出力1のみを出力することにより、前記2通りの切替制御を可能とする。
【0040】
(第3の実施形態)
以上の実施形態では論理的記憶手段2−1の記憶回路が3ビットの論理入力に対し、2論理信号を出力する構成で説明したが、記憶回路を構成するレジスタテーブルは、メモリ等の記憶領域を確保することにより任意に構成できることから、被制御回路の制御信号に対する要請に応じて、任意の論理入力数と論理出力数を実現可能であり、より複雑な被制御回路の制御にも記憶データを適宜変更することで対応できる。
【0041】
図8は本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。本実施形態ではアンテナスイッチ3−10はアンテナの切り替え接続経路がRF経路1〜8の8経路を備え、整合切替回路3−11の切替えは整合回路Z1〜Z4の4回路を備える。この被制御回路側の構成により、RFIC3−14内の論理的記憶手段3−1は制御信号として、RF経路1〜8の切り替え用の制御信号a〜cと、整合回路Z1〜Z4の切り替え用の制御信号d、eの合計5つの論理出力を出力する必要がある。
【0042】
使用周波数帯はほぼ同じであっても、送受信特性は若干異なるため、各々の通信システムの各々の周波数帯で、最適なアンテナの接続径路を選択する必要がある場合や最適なアンテナのインピーダンスへの整合が必要となる場合等の一構成例である。
【0043】
図9は第3の実施形態の論理的記憶手段3−1のレジスタテーブル3−5の記憶データを示す図である。図8に示すアンテナスイッチ3−10及び整合切替回路3−11の切り替えに必要な論理出力に対応して、レジスタテーブル3−5には3ビットの入力信号に対するアドレス(入力論理値)3−6と、該アドレスデータに対応して5つの論理出力a〜eを出力する出力論理値3−7が記憶される。
【0044】
本実施形態の構成によりアンテナ経路1〜8に応じた整合回路Z1〜Z4の選択的な組み合わせにより、通信システム、使用周波数帯及び筺体の開閉等の操作状態に応じて、アンテナによる送信電力及び受信状態の最適化を実現することが可能となる。
【0045】
(第4の実施形態)
以上の実施形態では論理入力、論理出力、レジスタテーブルのアドレス及び出力論理値がそれぞれ2値(1ビット)信号の例を示したが、これらは2値(1ビット)信号に限られるものではない。
【0046】
つまり、論理入力の1部又は全部を複数ビットの信号とすることができ、レジスタテーブルのアドレスの記憶データも同様である。また、レジスタテーブルの出力論理値の記憶データも同様に1部又は全部を複数ビットのデータとすることができる。
【0047】
図10は本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。図10(a)は任意の論理入力数(k)、論理出力数(n)でなり、レジスタテーブル3−13のアドレス3−14(A1、A2、…)及び出力論理値3−15(D1、D2、…)が任意のビット数でなる記憶的論理手段3−1の構成例である。論理入力1〜kには、少なくとも通信システムを示す論理信号、使用周波数帯域を示す論理信号及び通信端末の操作状態を示す論理信号が入力される。
【0048】
論理入力1〜kを複数ビットとすることにより、例えば通信システムを示す論理入力にはWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とGSM(Global System for Mobile Communications)の2種類に加えて、CDMA(Code Division Multiple Access)2000、LTE(Long Term Evolution)等の3種類以上を含めることができる。
【0049】
携帯端末の操作状態を示す論理入力にも、ヒンジ結合した筺体の折畳みの開閉のほかに、スライド機構を有する筺体のスライド状態、筺体の開閉と回転の2軸構造、横開き開閉構造等の操作状態、デジタルテレビジョン(DTV:Digital Television)の視聴の有無、WLAN(Wireless LAN)、Bluetooth等の無線通信の実施/非実施等の操作状態等の3種類以上を含めることができる。
【0050】
アンテナのインピーダンス等は、ユーザーの端末の持ち方、使用状態、他の無線通信の実施/非実施等の操作状態と相関がある。特に、携帯電話端末の折り畳み筺体の開状態やスライド筺体の開状態と同様に、TV視聴の操作状態ではユーザーは携帯電話端末を手持ち状態にあるから、その操作状態の論理入力に応じて前記論理的記憶手段によりアンテナや整合切替回路等の被制御回路を適切に制御できる。
【0051】
使用周波数帯域を示す論理入力も、3GPPが示すBandI〜XIV(1〜14)の周波数帯等を対象とすることが可能であり、3以上の周波数帯域を含めることができる。
【0052】
レジスタテーブル3−13は記憶データを論理入力及び/又は論理出力の信号形式に応じて固定的に記憶して構成できるほか、書き替え入力cにより外部から書き替え可能に構成することができる。
【0053】
図10(b)は、論理的記憶手段3−1の論理出力の出力形式をシリアル化する構成例を示している。被制御側の制御信号の入力端子を少ない端子数で制御するため、シリアル信号(スイッチ等のシリアル制御仕様の信号)で入力する必要がある場合に、論理的記憶手段3−1の内部にパラレル/シリアル変換回路3−20(S/P変換回路)等を設け、該当する一部ないし全部の論理出力iについて、パラレルの出力論理値をシリアル化して出力する。書き替え入力cによるレジスタテーブル3−17のアドレス3−18及び出力論理値3−19の記憶データの書き替えと同様に、書き替え入力cによりシリアル出力を変更可能に構成することができる。
【0054】
(第5の実施形態)
本発明の記憶的論理手段のレジスタテーブルを単一のテーブル構成とした例を示したが、複数のテーブル等の組み合わせ構成とすることが可能である。
【0055】
図11は本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。論理的記憶手段4−1のレジスタテーブルを前段と後段に分割し、前段を論理発生テーブル(論理発生回路)4−5として特定メーカーの仕様の典型的な論理出力を生成する構成とし、後段を論理変換テーブル4−6として前記論理出力を変換し他の仕様の論理出力を生成する構成したものである。本実施形態では後段の論理変換テーブル4−6のみを書換え可能に構成することができる。
【0056】
例えば、前段を特定メーカーの仕様に則り、同仕様の被制御側のカスタム品に適合する4ビット論理出力A、B、C、Dを出力する論理発生テーブル4−5として構成し、後段を論理変換テーブル4−6として前記論理出力A、B、C、Dを同仕様と異なる既存品でなる被制御側の論理出力a、b、c及び論理出力e、d等に変換する構成とする。
【0057】
これによりカスタム品の論理は勿論のこと、既存品の論理にも合わせることが可能であり、同一特性でない全ての経路に対し、それぞれの使用周波数帯の送信、受信用に最適化された経路にアンテナスイッチを切り替え、更に整合回路を切り替えることが可能となる。
【0058】
図12は第5の実施形態の各論理出力の関係を示す図である。論理発生テーブル4−5は、図12(a)に示すように特定メーカーの仕様に従ったRF経路1〜4に関連する2ビット論理出力A、BとRF経路5〜8に関連する2ビット論理出力C、Dからなる4ビット論理出力A、B、C、Dを出力する。また、論理変換テーブル4−6は、4ビット論理出力A、B、C、Dを論理変換して図12(b)、(c)に示すように、前記特定メーカーの仕様と異なるRF経路1〜8に関連する3ビットの論理信号a、b、cと、整合回路Z1〜Z4に関連する2ビットの論理信号d、eを出力する。
【0059】
論理的記憶手段4−1からは論理信号a、b、c、論理信号d、eに加えて論理出力A、B、C、Dをも出力可能に構成することがきる。論理出力A、B、C、Dの出力は、論理発生テーブル4−5から出力することも、論理変換テーブル(レジスタテーブル)の書き替えにより論理変換テーブル4−6から出力するように構成することもできる。
【0060】
なお、論理出力A、B、C、Dは、例えば、論理出力A、BをWCDMAシステムの2ビット、論理出力C、DをGSMシステムの2ビットとした4ビットの制御信号とし、RF経路の8個の送受信の周波数帯をカバーする制御信号とすることができる。
【0061】
(第6の実施形態)
以上、被制御回路としてアンテナスイッチ及び整合切替回路の例を説明したが、本発明はアンテナスイッチ及び整合切替回路以外の任意の被制御回路の制御に適用可能である。
【0062】
図13は本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。隣接して配置された使用周波数帯が接近した無線システム5−8が存在する場合、携帯電話端末のアンテナから出力する高出力の電波から前記無線システム5−8を保護するようにした制御例である。例えば携帯電話端末の無線システム5−8として、DTV(Digital Television)、WLAN(Wireless LAN)、Bluetooth等も対象にすることができる。
【0063】
搭載している他の無線システム5−8の送受信系統に高周波スイッチ等で構成した保護回路5−9を設けて、RFIC5−14の論理的記憶手段5−1から保護回路5−9の動作のON/OFF制御信号を出力する。本例では論理的記憶手段5−1の第1の入力手段5−2乃至第3の入力手段5−4は、論理入力をCPU(又はデジタルベースバンドDBB)5−7から供給され、論理発生テーブル5−5及び論理変換テーブル5−6を介してアンテナスイッチ5−10及び整合切替回路5−11を制御する論理出力に加え、保護回路5−9を制御するON/OFF制御信号を出力する。このON/OFF制御信号により、携帯電話端末のアンテナが輻射する無線信号が無線システム5−8に影響を与えないように、携帯電話端末のアンテナの高出力時とタイミングを合わせて保護回路5−9をOFFに制御し、無線システム5−8を保護する。
【0064】
(第7の実施形態)
図14は本発明の第7の実施形態の構成を示す図である。本実施形態はアンテナ端にフィルタ6−10を設置して、他のデジタルシステム等が発生するノイズを避けるため、RFIC6−14の論理的記憶手段6−1からフィルタ6−10によるノイズを除去するフィルタの設定を制御する制御信号を出力する例である。本例も論理的記憶手段6−1の第1の入力手段6−2乃至第3の入力手段6−4には、論理入力がCPU(又はデジタルベースバンド)6−7から供給され、論理発生テーブル6−5及び論理変換テーブル6−6を介してアンテナスイッチ6−8及び整合切替回路6−9を制御する論理出力に加え、フィルタ6−10に対するノイズを除去するフィルタ機能のON/OFF及び/又はノイズを抑制するための周波数設定、つまりノイズを除去するフィルタの設定を制御する制御信号を出力し、他のデジタルシステム等から入力するノイズを除去する。
【0065】
(他の実施形態)
第6、7の実施形態では、論理的記憶手段を論理発生テーブルと論理変換テーブルで構成した例を示したが、第2〜4の実施形態と同様のレジスタテーブルで構成することが可能であることは言うまでもない。
【0066】
また、論理的記憶手段を備える制御回路はRFICに内蔵して構成する例を示したが、本発明の制御回路はCPU(又はデジタルベースバンド)等に内蔵するように構成することが可能である。
【0067】
本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す図であり、(a)は通信端末の制御回路、(b)は通信端末の制御方法である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の異なる仕様の被制御回路を備える例を示す図である。
【図5】第2の実施形態の更に異なる仕様の被制御回路を備える例を示す図である。
【図6】制御回路から異なる仕様の被制御回路へ出力する制御信号を示す図である。
【図7】制御回路から更に異なる仕様の被制御回路へ出力する制御信号を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。
【図9】第3の実施形態のレジスタテーブル3−5の記憶データを示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。
【図12】第5の実施形態の各論理出力の関係を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。
【図14】本発明の第7の実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1−1〜6−1 論理的記憶手段
1−2〜6−2 第1の入力手段
1−3〜6−3 第2の入力手段
1−4〜6−4 第3の入力手段
1−5 論理出力手段
2−5、3−5 レジスタテーブル
2−6、3−6 アドレス(入力論理値)
2−7、3−7 出力論理値
2−8 第1の出力手段
2−9 第2の出力手段
2−10、2−12、3−10、5−10、6−8 アンテナスイッチ
2−11、2−13、3−11、5−11、6−9 整合切替スイッチ
2−13 整合切替回路
2−14、3−14、5−14、6−14 RFIC
2−15、2−16 被制御回路
4−5、5−5、6−5 論理発生テーブル(論理発生回路)
4−6、5−6、6−6 論理変換テーブル
5−7、6−7 デジタルベースバンド回路(CPU)
5−8 他の無線システム
5−9 保護回路
6−10 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信システムに対応し、且つ複数の周波数帯域に適応する通信端末の制御回路であって、少なくとも、通信システムを示す論理信号の入力手段と、使用周波数帯域を示す論理信号の入力手段と、通信端末の操作状態を示す論理信号の入力手段と、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮して記憶された論理値を出力する出力手段とを備える論理的記憶手段を有することを特徴とする通信端末の制御回路。
【請求項2】
前記論理的記憶手段には、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮した論理値を記憶内容として書き込むための入力手段を有し、前記記憶内容の書き換えが可能であることを特徴とする請求項1に記載の通信端末の制御回路。
【請求項3】
前記論理的記憶手段は、前記通信システムを示す論理信号、前記通信端末の操作状態を示す論理信号及び前記使用周波数帯域を示す論理信号の組み合わせを示す入力論理値と、該入力論理値に対応して前記出力手段が出力する出力論理値とを記憶したレジスタテーブルを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の通信端末の制御回路。
【請求項4】
前記レジスタテーブルは、前記入力論理値に対応する所定の論理値を記憶した論理発生テーブルと、該所定の論理値に対応する前記出力論理値を記憶した変換テーブルとを備えることを特徴とする請求項3記載の通信端末の制御回路。
【請求項5】
前記通信システムを示す論理信号は、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)2000、GSM(Global System for Mobile Communications)、LTE(Long Term Evolution)の少なくとも何れか2つの通信システムを示す論理信号であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項6】
通信端末の操作状態を示す論理信号は、通信端末の折り畳みの開閉状態を示す論理信号であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項7】
通信端末の操作状態を示す論理信号は、通信端末のスライド状態を示す論理信号であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項8】
通信端末の操作状態を示す論理信号は、TVの視聴の有無を示す論理信号であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項9】
前記出力手段が出力する出力論理信号をアンテナスイッチの切り替えに用いることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項10】
前記出力手段が出力する出力論理信号をアンテナの整合回路の切り替えに用いることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項11】
前記出力手段が出力する出力論理信号を隣接する他の無線システムに対する保護回路の制御に用いることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項12】
前記出力手段が出力する出力論理信号をノイズを除去するフィルタの設定の制御に用いることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項13】
前記出力手段が出力する出力論理信号はシリアル信号であることを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項14】
前記論理値を出力する複数の出力手段を備えることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項15】
通信端末は携帯電話端末であり、高周波集積回路内に構成されたことを特徴とする請求項1から14の何れかに記載の通信端末の制御回路。
【請求項16】
複数の通信システムに対応し、且つ複数の周波数帯域に適応する通信端末の制御方法であって、少なくとも、通信システムを示す論理信号と、使用周波数帯域を示す論理信号と、通信端末の操作状態を示す論理信号と、を入力し、前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮した論理値が記憶された論理的記憶手段を参照して、前記論理値を制御信号として出力することを特徴とする通信端末の制御方法。
【請求項17】
前記通信システムを示す論理信号、前記使用周波数帯域を示す論理信号及び前記通信端末の操作状態を示す論理信号を考慮した論理値の記憶内容は、前記論理的記憶手段の入力手段から予め書き込むことを特徴とする請求項16に記載の通信端末の制御方法。
【請求項18】
前記論理的記憶手段は、前記通信システムを示す論理信号、前記通信端末の操作状態を示す論理信号及び前記使用周波数帯域を示す論理信号の組み合わせを示す入力論理値と、該入力論理値に対応して前記出力手段が出力する出力論理値とを記憶したレジスタテーブルを備えることを特徴とする請求項16又は17記載の通信端末の制御方法。
【請求項19】
前記レジスタテーブルは、前記入力論理値に対応する所定の論理値を記憶した論理発生テーブルと、該所定の論理値に対応する前記出力論理値を記憶した変換テーブルとを備えることを特徴とする請求項18記載の通信端末の制御方法。
【請求項20】
前記通信システムを示す論理信号は、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)2000、GSM(Global System for Mobile Communications)、LTE(Long Term Evolution)の少なくとも何れか2つの通信システムを示す論理信号であることを特徴とする請求項16から19の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項21】
通信端末の操作状態を示す論理信号は、通信端末の折り畳みの開閉状態を示す論理信号であることを特徴とする請求項16から19の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項22】
通信端末の操作状態を示す論理信号は、通信端末のスライド状態を示す論理信号であることを特徴とする請求項16から19の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項23】
通信端末の操作状態を示す論理信号は、TVの視聴の有無を示す論理信号であることを特徴とする請求項16から19の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項24】
前記出力手段が出力する出力論理信号をアンテナスイッチの切り替えに用いることを特徴とする請求項16から23の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項25】
前記出力手段が出力する出力論理信号をアンテナの整合回路の切り替えに用いることを特徴とする請求項16から24の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項26】
前記出力手段が出力する出力論理信号を隣接する他の無線システムに対する保護回路の制御に用いることを特徴とする請求項16から24の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項27】
前記出力手段が出力する出力論理信号をノイズを除去するフィルタの設定の制御に用いることを特徴とする請求項16から26の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項28】
前記出力手段が出力する出力論理信号はシリアル信号であることを特徴とする請求項16から27の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項29】
前記論理値を出力する複数の出力手段を備えることを特徴とする請求項16から28の何れかに記載の通信端末の制御方法。
【請求項30】
通信端末は携帯電話端末であり、高周波集積回路内に構成されたことを特徴とする請求項16から29の何れかに記載の通信端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−114859(P2010−114859A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288237(P2008−288237)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】