説明

通信端末宛のマルチメディアファイル生成装置および関連するマルチメディアファイル

【課題】マルチメディアファイルの内容のタイプにそれぞれ対応するデータ群から通信端末宛のマルチメディアファイルを生成する装置を提供する。
【解決手段】様々なタイプのメディア(テキスト、音声、動画像、...)が中継局に送られる。本発明によれば、これらのデータは、共通同期点(PS0...PS4)に従って分解され、パケットは、同じ同期点によって境界を画定された各タイプのメディアのデータを結集して組み立てられる。このようにして、各パケットは、通信端末で同時に実行されるデータを収容する。本発明は、特に移動端末に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に関し、特に、マルチメディアファイルの内容のタイプにそれぞれ対応するデータ群から通信端末宛のマルチメディアファイルを生成する装置に関する。
【0002】
本発明は、また、通信端末に伝送される複数のデータパケットを含むマルチメディアファイルに関する。
【0003】
特に、いわゆる「移動インターネット」は本発明による方法および装置に有利な適用の場をもたらす。
【0004】
本発明は、特に、ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィカルデータ、テキストデータ、ハイパーテキストデータおよびその他のデータといったマルチメディアデータの通信サービスの分野に位置づけられる。
【背景技術】
【0005】
現時点まで、通信ネットワークにおける情報の流布は個別な技術に従って行われていた。なかでも、内容提供者が伝えたい情報をデータベースで提供する「Pull」技術が挙げられる。ユーザは、データベースのアドレスを知った上でそこにアクセスする。このアドレスは、ディスプレイ、テレビ、ラジオといった従来の手段によって、または他の内容提供者に属する他のデータベースによって、広告キャンペーンの対象になることができる。この技術は、主にインターネットネットワークを介して利用されている。したがって、Pull技術によりユーザは特に自分がほしい情報にアクセスし、それによって情報への良好なアクセス品質を得ることができる。実際、情報は、本来、ユーザが行う選択の結果として生ずるので、対象は絞られる。
【0006】
しかしながら、Pull技術は情報の普及には適していない。この技術は、ユーザがネットワーク上で提供される情報の存在を予め知っている場合にしか使用できない。したがって、たとえ情報の普及に関与する人口に比例して情報の伝達によって関心を持つ人口の割合が大きくなるとしても、情報の流布に関与する人口は少ない。
【0007】
情報の流布は、さらに、「Push」と呼ばれる別の技術に従って実施することができる。この技術は、内容提供者が伝達を望む情報を広く流布させる。その場合、ユーザは、適切な受信機を介して有料または無料で流布される情報にアクセスする。ラジオとテレビは、いわゆるPush情報流布技術の適用のまさしく有効な例である。
【0008】
別の用途は、MMS(「Multimedia Messaging System」)として既知のシステムによるいわゆるマルチメディアメッセージにみられる。MMSシステムは、豊富なマルチメディアの内容を備えたメッセージを送ることができる。このシステムは、写真、画像、グラフィックスだけではなく、ビデオシーケンスや短いメッセージの「同封物」として添付する会話の録音を含むことができる。また、これらのメッセージは携帯電話間で送信可能であるが、しかしまた携帯電話から電子郵便「Eメール」のアドレスに、あるいはその反対に送信可能であることも予見される。
【0009】
現在、マルチメディアファイルを用いた様々な標準が存在する。この観点から、特に、HTML(「HyperText Marking Language」)、WML(「Wireless Markup Language」)、cHTML(「compact HTML」)またはSMIL(「Synchronized Multimedia Integration Language」)プロトコルによるプレゼンテーションファイルが注目される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
移動通信ネットワークを介してサーバから移動端末にこのようなマルチメディアファイルをダウンロードする場合、ファイルに結合される各種の内容(画像、テキスト、音声、動画、...)(これらの内容はファイル自体に含まれるか、あるいはハイパーテキストリンクにより特定化される)は、しばしば「ストリーミング」という名称で知られる技術により移動端末に伝送される。その場合、これらの様々な内容をユーザインターフェースでまとめて表示するために互いに同期させるという問題が発生する。この問題は、特に、内容が「ストリーミング」技術によって伝送されるときに存在する。何故なら、端末は、マルチメディアの内容を実行する前に、このマルチメディアの内容全体をダウンロードするのに十分なメモリスペースを持たないからである。実際、様々なマルチメディアデータが同時にパケット伝送される場合(インターネットIP、またはTCPまたはUDPおよび/またはRTP等のプロトコルのブロックにより)、各メディア(メディアとは、たとえば音声データ、グラフィカルデータなどのマルチメディアデータの一つのタイプとする)から送られるこうした様々なデータの同期を計画的に組織することは難しい。幾つかのメディアは、さらに多くの通過帯域を必要とすることがあり、その結果、他のメディアよりも遅れて端末で局所的に利用される一方で、既に到着し、ユーザインターフェースにおける実行および解釈のために、端末が記憶して、待機中の他のメディアと早く同期しなければならない。
【0011】
ネットワークにより伝送されるメディアの同期の問題を解決するための一つの方法は、SMILプロトコルによってもたらされる。しかし、このプロトコルは全てのメディアの起点だけを一意に定義するものであり、メディア内容のブロックを同期して実行することが必要な場合、これらのブロックが全て端末で利用できるかどうかについては検証しない。その結果、データパケットがその伝送時にネットワークで消失した場合、あるいは同期が必要な他のパケットに対してずれて到着した場合、各メディアに対応する各パケットは、もはや同期されない。
【0012】
本発明は、上記の問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、本発明は、通信端末宛てのマルチメディアファイルを、マルチメディアファイルの内容のタイプにそれぞれ対応するデータ群から生成する装置を目的とし、この装置は、
所定の開始および終了とそれぞれ関連する同期点に応じて複数のサブデータ群に、前記データ群の各々を分解する手段であって、サブデータ群が時間的に同じそれぞれ実行開始および終了の同期点に関連し、これらのサブデータ群が端末のマンマシンインターフェース手段で同時に実行される前記分解手段と、
時間的に同じそれぞれ実行開始および終了の同期点に関連する複数のサブデータ群を含む複数のパケットとしてマルチメディアファイルを組み立てる手段と
を含むことを特徴とする。
【0014】
従って、本発明は、幾つかのデータ群の他に対する長さの差とは無関係に、端末で受信する全てのサブデータ群(マルチメディアファイルの内容のタイプ)を同期することができる。
【0015】
しかも、内容のタイプに関してはいかなる制約も特定されていないので、本発明は、メディア(内容のタイプ:画像、グラフィカル、音声、...)とは無関係にマルチメディアファイルを生成することができる。
【0016】
さらに、ファイルまたはデータ群のパケットがネットワークにおける伝送中に消失するか、あるいは他のパケットに対してずれて到着しても、同期不良は発生せず、端末では引き続きその後の実行が考慮される。ただパケットの消失により同期する異なるメディアの実行に不連続性が発生するが、この不連続性は、端末のユーザに対して同期した全てのメディアの提示が全体として一時的に中断することに対応する。従って、この中断の後も、同期した全てのメディアを一貫して同期してマルチメディアの提示が続けられる。
【0017】
実施形態によれば、本発明の装置は、マルチメディアファイルに同期点を記述するための記述手段を含む。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記データ群が、テキストデータ、動画像または静止画像、圧縮または非圧縮音声を含む。
【0019】
本発明の実施形態は、マルチメディアの内容のタイプにそれぞれ対応するデータ群を受信可能で、前記データ群を集めたマルチメディアファイルを送信する中継サーバを含み、本発明によるマルチメディアファイルの生成装置を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明は、また、通信端末に伝送されるマルチメディアファイルを目的とし、前記ファイルが複数のデータパケットを含み、
前記データパケットの各々が、マルチメディアファイルの内容のタイプにそれぞれ関連して、同じ端末のマンマシンインターフェース手段におけるそれぞれ実行開始および終了の同期点に関連するサブデータ群の連結に対応する。
【0021】
実施形態によれば、本発明によるファイルは、マルチメディアファイルに関連する同期点を記述するための記述手段を含む。
【0022】
実施形態によれば、前記ファイルを伝送する宛先の通信端末が、無線電話および/または、無線通信手段を備えたパーソナルデジタルアシスタントを含むタイプの移動端末か、またはインターネットネットワークに接続されたパーソナルコンピュータのタイプの固定端末である。
【0023】
本発明は、添付図を参照しながら以下の説明を読めば、いっそうよく理解されるであろう。説明および添付図は例として挙げられているだけであり、本発明を少しも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ユーザ端末へのマルチメディアデータの伝送システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるマルチメディアファイルの構造を示す図である。
【図3】本発明による同期点に従って分解されたマルチメディアデータ群を示す図である。
【図4】本発明の実施形態によるマルチメディアファイルの生成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、クライアント端末2に向けたマルチメディアデータ伝送システムを示している。異なる内容のデータサーバ3、いわゆるメディアサーバは、システム1の回線の一端に示されている。これらの内容サーバは、あらゆるタイプの内容を含むことができる。たとえば、サーバ30は、テキストデータのサーバであり、サーバ31は画像サーバであり、サーバ32は動画像サーバである。この3つのサーバは、サーバ4によるダウンロード要求に基づいて、MMS中継サーバ4に向かって自体に固有のデータを送信する。従って、種々のデータは所定のフォーマットに従って変換される。たとえば、サーバ4の入力変換装置41は、本出願の冒頭で詳しく述べたSMIL標準による装置である。SMIL標準は、幾つかのインターネットアプリケーション事業(インターネットブラウザ、内容の閲覧など)によってサポートされるテキストフォーマットである。メディアデータが装置41によって変換されると、データは、それ自体既知のマルチメディアデータ結集・線形圧縮装置42で結集および圧縮される。このように処理されたデータは、本発明によるマルチメディアファイルの生成装置43に送られる。
【0026】
この実施形態では、装置43がMSEコーダである。MSEコーダは、後述するように、完全に同期構成されたマルチメディアデータパケットを生成する役割をし、マルチメディアデータは、パケットがコーダ43から送信されて端末2で受信されると、種々のメディアを同期してユーザに提示することができる。端末における種々のメディアの同期は、画面上に表示されるテキストと画像、端末のスピーカから送られる音などの完全な一致となって現れる。
【0027】
ブロック41が破線で示されているのは、システム1の伝送回線で必ずしも必要というわけではないからであることが注目されよう。実際、所定の第一のフォーマットにより異なるデータのフォーマット化を必ずしも実施しなくても、結集サーバ30、31、32から装置42へのデータ伝送が行われることは考えられる。
【0028】
図2は、コーダ43により構成されるマルチメディアファイル5の構造例を示す。マルチメディアファイル5は、第一に、ファイル5の境界画定を示すことができるヘッダ6とファイル終了のシステム命令7とを含む。ファイル5の本体は、同様にパケット#1、パケット#2で示される複数のパケット8、9、...を含む。
【0029】
各パケット8、9、...は、パケットの境界を画定する同じシンタックスを含む。すなわち、パケットの開始システム命令81、91と、パケットの終了システム命令82、92とである。各パケットは、この二つの命令の間に複数のサブデータ群を含む。説明を簡単にするために、図2ではパケット#1に対する2個のサブデータ群83、84と、パケット#2に対する2個のサブデータ群93、94だけを示しているが、各パケットは、後述するように、メディアで行われる分解に従ってより多くのサブデータ群を含むことはもちろんである。トラック#1、トラック#2、...で示されたこれらのサブデータ群は、同一メディアに関するデータをそれぞれ含む。たとえば、トラック#1は、テキスト表示命令および/またはテキスト表示データを含み、トラック#2は、画像表示命令および/または画像表示データを含み、図2には図示されないトラック#3は、圧縮された、または圧縮されていない音声命令および/またはデータを含む。
【0030】
各サブデータ群は、図3に示したような対応するデータ群を分解した一部である。かくして、図3に示したように、第一のパケット#1のサブグループ83は、トラック#1のメディアに蓄積され、開始同期点PS0および終了同期点PS1により画定されたデータの集合に対応する。同様に、第一のパケット#1のサブグループ84は、トラック#2のメディアに蓄積され、同じ開始同期点PS0および終了同期点PS1により画定されたデータの集合に対応する。トラック#3のメディアに関連して上記の2個の同期点の間に含まれるサブデータ群85についても同様である。この論理によれば、パケットの構成原理は、様々なメディアトラックから送られて同じ同期点により境界画定されるサブデータ群のデータを同一データパケット内で組み立てることであると理解される。これらの同期点は、中継サーバ4の組立装置により固定される。組立装置は、それ自体既知の分解手段10を介して、同期点PS0からPS4に従って信号の異なるメディアを分解することにより(図3の場合)、装置42から送られるマルチメディア信号を分解する。既に説明したように、これらの同期点は、実行時に完全に対応するように決定される。
【0031】
図4に示したように、共通同期点によって対応する全てのメディア(またはトラック)のサブグループは、従って、結合装置11により同一パケット内に集められ、このパケットは、たとえば上述のシンタックスによりフォーマット化された後で、時間的に一致するようにマルチメディアファイルに組み込まれる。
【0032】
マルチメディアファイルが複数のパケットを含むようにすることも検討済みであることが注目されよう。また、マルチメディアファイルが単独パケットを含むようにし、他のパケットを後続のマルチメディアファイルで送ることも考えられる。
【0033】
端末が同期点を認識できるようにするには、組立装置が、マルチメディアファイルに種々の同期点を記述するスクリプト頁12に、それ自体既知の手段によって同期点を記録する。このスクリプトは、マルチメディアファイルに添付あるいは組み込まれる。
【0034】
もちろん、本発明は上記の実施形態に制限されるものではない。
【0035】
かくして、本発明は、あらゆるタイプの電子メールおよびあらゆるタイプのネットワーク(WEB、WAP、...)に適用可能である。従って、本発明は、移動端末(無線電話、無線通信手段を備えたパーソナルデジタルアシスタント、...)にもインターネットネットワークに接続されたパーソナルコンピュータにも適用される。
【0036】
本発明のは、また、その完全なオブジェクト指向性にもある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末(2)宛のマルチメディアファイル(5)を、マルチメディアファイルの内容のタイプにそれぞれ対応するデータ群(トラック#1、トラック#2)から生成する装置であって、
端末のマンマシンインターフェース手段における実行開始および終了とそれぞれ関連する同期点(PS0、...PS4)に応じて複数のサブデータ群に、前記データ群の各々を分解する手段であって、それぞれ同じ開始および終了の同期点に関連するサブデータ群がマンマシンインターフェース手段で同時に実行される前記分解手段と、
それぞれ同じ開始および終了の同期点に関連する複数のサブデータ群(83、84、...、93、94、...)を含む複数のパケット(8、9、...)としてマルチメディアファイルを組み立てる手段(11)とを含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
マルチメディアファイルに同期点を記述するための記述手段(12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記データ群が、テキストデータ、動画像または静止画像、圧縮または非圧縮音声を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
マルチメディアの内容のタイプにそれぞれ対応するデータ群(トラック#1、トラック#2)を受信可能で、前記データ群を集めたマルチメディアファイルを送信する中継サーバであって、請求項1から3のいずれか一項に記載のマルチメディアファイル生成装置を含むことを特徴とする、中継サーバ。
【請求項5】
通信端末(2)に伝送されるマルチメディアファイルであって、複数のデータパケット(8、9、...)を含み、
前記データパケットの各々が、マルチメディアファイルの内容のタイプにそれぞれ関連し、同じ端末のマンマシンインターフェース手段におけるそれぞれ実行開始および終了の同期点(PS0、...PS4)に関連するサブデータ群(83、84、...、93、94、...)の連結に対応することを特徴とする、ファイル。
【請求項6】
マルチメディアファイルに関連する同期点を記述するための記述手段(12)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のマルチメディアファイル。
【請求項7】
前記ファイルが伝送される宛先通信端末が、無線電話および/または、無線通信手段を備えたパーソナルデジタルアシスタントを含むタイプの移動端末か、またはインターネットネットワークに接続されたパーソナルコンピュータタイプの固定端末であることを特徴とする、請求項5または6に記載のマルチメディアファイル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−10373(P2012−10373A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171676(P2011−171676)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2009−249909(P2009−249909)の分割
【原出願日】平成14年4月2日(2002.4.2)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】