説明

通信端末装置及び通信制御方法

【課題】IP電話システム等においてローカルに音声品質を安定化させる。
【解決手段】本通信端末装置は、通話に係るパケットを監視することによって検出された所定の品質劣化状態を通知するための品質劣化情報を、上記所定の品質劣化状態を検出した通信制御装置から受信する手段と、品質劣化情報を受信した場合、音声パケットのための受信バッファのサイズを初期的に拡大させるための設定を行う管理手段とを有する。このように品質劣化情報を受信した場合に受信バッファのサイズを初期的に拡大させることによって、所定の品質劣化状態での通話における遅延ジッタに最初から対処することができるようになる。すなわち、通話の最初から音声品質を安定化させることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御方法に関し、より詳しくは、IP(Internet Protocol)電話システム等においてローカルに音声品質を安定化させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IPネットワークにおけるIP電話システムでは、従来の回線交換型の電話システムに比してネットワークの状態変動が大きく、その変動が音声品質に影響を及ぼしている。特に、遅延時間の変動(以下、遅延ジッタと呼ぶ)による音声品質の一時的な劣化が発生する。
【0003】
このような遅延ジッタの影響を軽減するために、IP電話システムにおける端末装置には受信バッファを設け、受信した音声パケットを当該受信バッファに蓄積し、常に一定時間間隔に音声パケットを信号処理することで、音声品質を維持するようになっている。
【0004】
しかし、この受信バッファについては、通話中において音声パケットの到着状態に応じてリアルタイムにそのバッファの深さを変動させることはできるが、音声パケットを受信できる通話状態にならないと機能しない。すなわち、通話中に一時的に劣化を検知してから端末装置が対応するため、ユーザは音声品質が劣化状態で通話を行って不快な経験をすることは避けられない。
【0005】
一方、固定的にバッファの初期サイズを大きくすると、全ての通話の遅延時間が拡大し、音声品質に問題がないアドレスとの通話やトラヒック状態が安定している時間帯の通話でも、一律に遅延時間増加による違和感が発生してしまう。
【0006】
なお、例えば、特開2006−121166号公報には、IP電話の音声品質が劣化したことを検出した場合に、ネットワークの帯域不足を解消して音声品質の改善を図るための技術が開示されている。具体的には、パケット通信のプロトコルを用いたネットワーク上の呼の音声品質を維持する音声品質制御システムであって、ネットワークに接続される端末間の呼の確立及び切断を行う呼制御装置と、ネットワーク上の呼の音声品質を評価する音声品質評価手段と、音声品質が所定の音声品質より劣化している場合に、呼の音声データが含まれる音声パケットの使用帯域の低減を指示(例えば音声データに用いられるコーデックの変更の指示、音声データを含む音声パケットの送出間隔の変更の指示、呼制御手段に対する新たに発生する呼の規制の指示、呼制御手段に対する確立された呼の切断の指示)する帯域制御装置とを備える音声品質制御システムである。しかしながら、当該音声品質制御システムの呼制御装置や帯域制御装置は、IP電話システムにおいて1台設けるような構成を前提としており、品質評価手段についても東京地区、関西地区といったかなり広い範囲を対象としている。すなわち、オフィスの一部といった極小さいエリアについての問題を考慮していない。また、一般的な電話機を用いることを前提としており、端末が音声品質安定化のための動作を行うことはない。さらに、品質評価手段は、擬似音声パケットを用いて測定を行っており、ネットワークのトラフィックを増大させるという問題も有している。
【特許文献1】特開2006−121166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上で述べたような従来技術では、大規模なシステムにおいて音声品質を取り扱っているため、オフィスの一部といった極小さいエリアにおける音声品質の悪化などについてはきめ細かく対応できない。また、音声品質を測定するために擬似音声パケットを送出するのは、輻輳が発生しているような状況であれば好ましくない。さらに、端末装置は何ら特別な機能を有しないものを前提としているが、それではローカルに発生している遅延ジッタに対処できないという問題がある。。
【0008】
従って、本発明の目的は、IP電話システム等においてローカルに音声品質を安定化させるための技術を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、IP電話システム等において音声品質の劣化を抑制する端末装置に関する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る通信端末装置は、通話に係るパケットを監視することによって検出された所定の品質劣化状態を通知するための品質劣化情報を、上記所定の品質劣化状態を検出した通信制御装置から受信する手段と、品質劣化情報を受信した場合、音声パケットのための受信バッファのサイズを初期的に拡大させるための設定を行う管理手段とを有する。
【0011】
このように品質劣化情報を受信した場合に受信バッファのサイズを初期的に拡大させることによって、所定の品質劣化状態での通話における遅延ジッタに最初から対処することができるようになる。すなわち、通話の最初から音声品質を安定化させることができるようになる。
【0012】
なお、上で述べた所定の品質劣化状態が、通信制御装置の配下の通信端末装置を宛先とするパケットについての送信劣化状態を通知するための品質劣化情報である場合もある。特に呼出側のネットワークにおいて問題が発生している場合に対処することができるようになる。
【0013】
また、上で述べた品質劣化情報が、所定の品質劣化状態が検出されたパケットの送信元のデータを含むようにしてもよい。そして、上で述べた管理手段が、送信元のデータに対応して受信バッファのサイズを初期的に拡大させるための設定を行うようにしてもよい。これによって、Aというアドレス範囲については受信バッファのサイズを初期的に拡大させ、Bというアドレス範囲については受信バッファのサイズを元のままにするといった対処が可能となる。すなわち、適応的に遅延ジッタに対処できるようになる。
【0014】
また、上で述べた品質劣化情報が、所定の品質劣化状態の劣化レベルのデータを含むようにしてもよい。その場合、上で述べた管理手段が、受信バッファのサイズを劣化レベルに対応して初期的に拡大設定するようにしてもよい。このようにすれば、より適応的な対処が可能となる。
【0015】
さらに、本発明の第1の態様に係る通信端末装置が、送信元のデータから特定される送信元アドレス範囲内の特定のアドレスから呼の設定要求を受信した場合に、初期的に拡大された受信バッファを用いて音声パケットの処理を行う手段をさらに有するようにしてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る通信制御方法は、通話に係るパケットを監視することによって検出された所定の品質劣化状態を通知するための品質劣化情報を、所定の品質劣化状態を検出した通信制御装置から受信するステップと、品質劣化情報を受信した場合、音声パケットのための受信バッファを初期的に拡大させるための設定を行う管理ステップとを含む。本発明の第1の態様は、本発明の第2の態様に適用可能である。
【0017】
本発明にかかる方法をプロセッサに実行させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークを介してディジタル信号にて頒布される場合もある。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、IP電話システム等においてローカルに音声品質を安定化させることができるようになる。
【0019】
また、本発明の他の側面によれば、IP電話システム等において音声品質の劣化を抑制することが端末装置において可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施の形態に係るシステム概要図を図1に示す。例えばIPネットワークNWには、VoIP(Voice over IP)サーバSV1と、スイッチSW1及びSW2とが接続されている。VoIPサーバSV1は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)サーバであり、IP電話システムでは主要な処理を実施するが、本実施の形態に係る処理にはほとんど関係しないのでこれ以上述べない。スイッチSW1及びSW2についても、その機能はほぼ通常のスイッチと同様である。但し、スイッチSW1には本実施の形態における主要な処理を実施するVoIPプローブVP1が接続され、スイッチSW2にはVoIPプローブVP2が接続されるので、スイッチSW1及びSW2は、他のポートを通過するパケットと同じパケットを出力するミラーポート又はタップを有する。
【0021】
スイッチSW1には、無線LANアクセスポイントWLAP1が接続されている。スイッチSW1には1つの無線LANアクセスポイントWLAP1が接続されている例が図1には示されているが、数は1に限定されない。同様に、スイッチSW2には、無線LANアクセスポイントWLAP2が接続されている。無線LANアクセスポイントWLAP2の数についても同様である。
【0022】
例えば無線LANアクセスポイントWLAP1には、無線IP電話機WT1乃至WT4が無線で接続されている。なお、無線IP電話機WT1乃至WT4はグループWTG1を構成している。1つの無線LANアクセスポイントWLAPに接続する無線IP電話機の数は4に限定されない。無線LANアクセスポイントWLAP1及び2についても、本実施の形態特有の構成を有している。グループWTG1については、VoIPプローブVP1の配下の無線IP電話機として管理される。
【0023】
同様に、無線LANアクセスポイントWLAP2には、無線IP電話機WT6乃至WT10が無線で接続されている。なお、無線IP電話機WT6乃至WT10はグループWTG11を構成している。無線IP電話機WT1乃至WT10についても、本実施の形態特有の構成を有している。グループWTG11については、VoIPプローブVP2の配下の無線IP電話機として管理される。
【0024】
以下、VoIPプローブVP1を中心に説明する。図2に示すように、グループWTG1及び無線LANアクセスポイントWLAP1を含むアクセスネットワークA宛のパケット送信方向Qと、アクセスネットワークAから、IPネットワークNWに接続されている他のアクセスネットワーク(例えばB乃至Dのいずれか)宛のパケット送信方向Pとが存在し、本実施の形態ではこの方向を区別して処理を行う。
【0025】
また、IPネットワークNWを通過する音声収容パケットは、例えば図3のようなパケットである。すなわち、音声収容パケットは、送信元アドレスと、宛先アドレスと、プロトコル依存ヘッダと、送信ポート番号と、受信ポート番号と、プロトコル依存情報と、音声情報とを含む。なお、より詳細についてはIETF(Internet Engineering Task Force)のRFC1889に従う。その他、音声通信用のパケットには、SIPにおけるシグナリング・パケット(例えば呼び出し要求INVITEなど)も含まれる。
【0026】
次に、VoIPプローブVP1の機能ブロック図を図4に示す。VoIPプローブVP1は、音声通信ネットワークにスイッチSW1のミラーポート又はタップを介して接続される監視用ネットワークインタフェース11と、監視用ネットワークインタフェース11に接続されパケットの品質検査を実施するパケット品質検査部12と、パケット品質検査部12の品質検査に用いられる劣化閾値を格納する劣化閾値格納部13と、パケット品質検査部12の検査結果(劣化情報)などを格納するログ格納部15と、ログ格納部15の管理を行う劣化通信状態管理部14と、パケット品質検査部12からの指示に基づき品質劣化情報又は品質復旧情報を生成して出力する品質情報生成部16と、品質情報生成部16によって用いられる送信先グループに関するデータを格納する送信グループ設定格納部17と、品質情報生成部16からの品質劣化情報又は品質復旧情報を監視制御ネットワークに出力する制御用ネットワークインタフェース19とを有する。監視制御ネットワークは、配下のIP電話機WT1乃至4に品質劣化情報又は品質復旧情報を通知するためのネットワークである。例えば、監視制御ネットワークは、物理的なネットワークではなく、音声通信ネットワークとは別のアドレス帯のネットワークである。また、これらの機能は、ソフトウエア及びハードウエアの組み合わせにて実現される。送信グループ設定格納部17は、配下のIP電話機の各グループ(例えば図2のアクセスネットワークに相当)についてアドレス帯のデータを格納するものである。
【0027】
パケット品質検査部12は、一般的な電話の通話時間に比べ極めて短い評価時間間隔で、劣化閾値格納部13に格納された閾値を超えるような劣化状態(すなわち、パケットロス、遅延ジッタ、遅延など)が発生しているか否かを評価する。
【0028】
ログ格納部15は、パケット品質検査部12によって検出された劣化状態のデータを格納する。例えば図5に示すようなデータである。図5の例では、発生時刻、送信元アドレス、宛先アドレス、劣化状態、有効フラグ、発信電話番号、着信電話番号などを1レコードとして蓄積する。有効フラグは、同じ状態を表すレコードのうち最新のレコードのみにONが設定され、それ以外の状態についてはOFFが設定される。なお、以下でも説明するが、状態Aについては送信元アドレス帯が異なれば異なる状態と判断される。
【0029】
劣化通信状態管理部14は、同一の劣化状態を示す劣化情報を一定時間以上パケット品質検査部12から受信しない場合に、当該劣化状態の復旧と判断し、パケット品質検査部12に通知する。パケット品質検査部12は、劣化通信状態管理部14から、復旧したと判断された劣化状態についてのデータを受信すると、当該劣化状態についての品質復旧情報を品質情報生成部16に生成させる。
【0030】
品質劣化情報又は品質復旧情報のパケット構成の一例を図6に示す。図6の例では、送信元アドレス(VoIPプローブVP1のアドレス)と、宛先アドレスと、プロトコル依存ヘッダと、品質状態と、検出方向受信アドレス(図2のP方向)と、検出方向送信アドレス(図2のQ方向)と、検出時刻とを含む。なお、以下の説明では、品質状態としては、自アクセスネットワークについての品質劣化状態を表す状態Bの発生を表すコード、他のアクセスネットワークについての品質劣化状態を表す状態Aの発生を表すコード、状態Aからの復旧を表すコード、状態Bからの復旧を表すコードを含む。なお、各状態には、レベルが存在しない例を説明するが、劣化の程度に応じたレベルを設定するようにしてもよい。例えば、劣化が進む毎に、状態A1、状態A2、状態A3というようなレベル、さらに状態B1、状態B2、状態B3といったレベルを設定するようにしてもよい。
【0031】
図7にIP電話機WT1乃至WT10の機能ブロック図を示す。IP電話機WT1乃至WT10は、信号バス21と、制御バス28と、音声収容パケットを処理する音声処理部23と、無線LANアクセスポイントWLAPに接続するネットワークインタフェース22と、ユーザに対して通知すべきデータを出力する表示・I/O部24と、着呼及び発呼を制御する呼制御部25と、本実施の形態における音声品質の管理を行う品質管理部26と、IP電話機全体の制御を行う制御部27とを有する。信号バス21には、ネットワークインタフェース22と、音声処理部23と、表示・I/O部24とが接続されている。制御バス28には、ネットワークインタフェース22と、音声処理部23と、表示・I/O部24と、呼制御部25と、品質管理部26と、制御部27とが接続されている。音声処理部23は、音声収容パケットの受信バッファ231と、音声収容パケット内の音声情報に対する音声信号処理を実施する信号処理部232とを有する。
【0032】
品質管理部26は、例えば図8に示すようなデータを管理する。図8の例では、状態と、送信元と、時刻と、受信バッファ・サイズとを格納するようになっている。VoIPプローブVPからは、同じ状態を表す品質劣化情報が何度も通知される場合があるが、品質管理部26は、自己が管理しているデータに同じ状態を表すレコードが存在する場合には、検出時刻で「時刻」データを更新する。但し、有効フラグを設け、品質劣化情報を受信する毎に格納するようにしてもよい。そして最新のレコードの有効フラグのみをONにしておくようにしてもよい。受信バッファ・サイズについては、状態Aの場合のみ設定されるが、状態Aについてレベル分けがあれば当該レベルに応じて初期的な受信バッファ・サイズが設定される。
【0033】
図9に無線LANアクセスポイントWLAP1及び2の機能ブロック図を示す。無線LANアクセスポイントWLAP1及び2は、信号バス31と、制御バス35と、無線LAN側の第1ネットワークインタフェース32と、中継処理部33と、スイッチSW側の第2ネットワークインタフェース34と、配下のIP電話機を管理する端末管理部36と、品質劣化情報及び品質復旧情報についての処理を実施する品質管理部37と、無線LANアクセスポイントWLAP全体の制御を行う制御部38とを有する。品質管理部37は、図8に示したデータを保持する。
【0034】
次に、図10乃至図12を用いてVoIPプローブVP1の処理内容について説明する。まず、VoIPプローブVP1のパケット品質検査部12は、監視用ネットワークインタフェース11を介して受信したパケットについて、遅延ジッタ、パケットロス、遅延などの各種監視パラメータについて監視を行う(図10:ステップS1)。そして、劣化閾値格納部13に格納されている各種閾値と比較して、各監視パラメータが閾値を超えたか判断する(ステップS2)。閾値を超える監視パラメータが存在しない場合にはステップS1に戻る。一方、閾値を超える監視パラメータが存在する場合には、当該閾値超えに係るパケットの送信元アドレス、宛先アドレス、検出時刻(発生時刻)などを特定し、劣化通信状態管理部14に出力する。そして、劣化通信状態管理部14は、送信元アドレス、宛先アドレス、検出時刻などを受信し、ログ格納部15に格納する(ステップS5)。発信電話番号及び着信電話番号も特定できれば、同様に格納する。この段階ではまだ劣化状態は特定せず、有効フラグはONとする。
【0035】
このような処理を電源オフなどの終了を指示されるまで実施する(ステップS7)。パケット品質検査部12の検出処理は、他の処理とは別に、受信したパケットに応じて繰り返し実施される。
【0036】
次に、ログ格納部15に格納されているデータについての処理を図11を用いて説明する。劣化通信状態管理部14は、同じ宛先アドレスグループ宛のパケットについて複数のレコードが記録されたか否かを判断するための処理期間(特定の開始時刻から特定の終了時刻までの期間)を特定する(ステップS8)。例えば、予め定められた間隔が5秒であるとすると、9時00分00秒から9時00分05秒までという期間を処理期間として特定する。そして、特定された処理期間内のレコードを走査し(ステップS9)、処理期間内に複数の通信についてレコードが存在しているか判断する(ステップS10)。送信元アドレス及び宛先アドレスの同じ組み合わせだけについてレコードが複数ある場合を特定するのではなく、送信元アドレス及び宛先アドレスの異なる組み合わせについてレコードが存在するか判断する。
【0037】
送信元アドレス及び宛先アドレスの同じ組み合わせだけについてレコードが存在する場合には、ステップS17に移行する。一方、送信元アドレス及び宛先アドレスの異なる組み合わせについてのレコードが存在する場合には、劣化通信状態管理部14は、それらの宛先アドレスグループが一致するか判断する(ステップS11)。すなわち、該当レコードの宛先アドレスが所定のアドレス範囲内であるかを判断する。さらに具体的には、該当レコードの宛先アドレスが、VoIPプローブVP1の配下におけるアドレスグループに収まるか判断する。宛先アドレスグループが一致する場合にはステップS17に移行する。
【0038】
該当レコードの宛先アドレスグループが一致する場合又は処理期間内において複数の通信についてレコードが存在しない場合、劣化通信状態管理部14は、VoIPプローブVP1の配下から送出されるパケットではなく他のアクセスネットワークからのパケットに問題が発生していることを表す状態Aを、処理期間内の該当レコードに登録する(ステップS17)。そして、該当レコードを送信元アドレスでグループ化し、当該グループの中で最終レコード以外のレコードの有効フラグをOFFにセットする(ステップS19)。例えば、送信元アドレスを基に該当レコードをVoIPプローブVP1の配下のアクセスネットワーク毎にグループ化して、そのグループの中で最後のレコードのみを有効にして残す。なお、処理期間以前において、同じ状態Aで同じ送信元アドレスグループのレコードについて有効フラグがONとなっている場合には、OFFに変更する。
【0039】
そして、劣化通信状態管理部14は、状態Aで有効フラグがONになっているレコードを含む品質劣化情報生成指示をパケット品質検査部12に出力する。パケット品質検査部12は、受信したレコードを含む品質劣化情報生成指示を品質情報生成部16に出力する。品質情報生成部16は、品質劣化情報生成指示をパケット品質検査部12から受信して、処理期間において有効フラグがONになっているレコードの送信元アドレス又は当該送信元アドレスを包含する送信元アドレスグループと状態Aを指定する品質劣化情報を生成する(ステップS21)。図6に示したパケット・フォーマットにおける品質状態として状態Aの発生を示すコードを含み、検出方向送信アドレスとして、処理期間において有効フラグがONになっているレコードの送信元アドレス又は当該送信元アドレスを包含する送信元アドレスグループのデータを含む。また、検出方向受信アドレスについては上記レコードの宛先アドレス又は宛先アドレスグループのデータを含むようにしても良いし、空であってもよい。検出時刻については、上記レコードの発生時刻を含む。
【0040】
その後、品質情報生成部16は、生成した品質劣化情報を、上記レコードの宛先アドレスを包含する宛先アドレスグループ又はVoIPプローブVP1の配下の端末宛に送信する(ステップS23)。そしてステップS25に移行する。
【0041】
ステップS11で該当レコードの宛先アドレスグループが一致しないと判断された場合、劣化通信状態管理部14は、VoIPプローブVP1の配下から送出されるパケットに問題が発生していること、すなわちVoIPプローブVP1の配下のいずれかのアクセスネットワークで輻輳が発生していることを表す状態Bを処理期間内の該当レコードに登録する(ステップS12)。
【0042】
また、劣化通信状態管理部14は、該当レコードを送信元アドレスでグループ化し、当該グループの中で最終レコード以外のレコードの有効フラグをOFFにセットする(ステップS13)。例えば、送信元アドレスを基に該当レコードをVoIPプローブVP1の配下のアクセスネットワーク毎にグループ化して、そのグループの中で最後のレコードのみを有効にして残す。なお、処理期間以前について状態Bで同じ送信元アドレスグループのレコードについて有効フラグがONとなっている場合には、OFFに変更する。
【0043】
そして、劣化通信状態管理部14は、状態Bで有効フラグがONになっているレコードの情報をパケット品質検査部12に出力する。パケット品質検査部12は、受信したレコードを含む品質劣化情報生成指示を品質情報生成部16に出力する。品質情報生成部16は、品質劣化情報生成指示をパケット品質検査部12から受信して、状態Bを指定する品質劣化情報を生成する(ステップS14)。図6に示したパケット・フォーマットにおける品質状態として状態Bの発生を示すコードを含み、検出方向送信アドレスとして、処理期間において有効フラグがONになっているレコードの送信元アドレス又は当該送信元アドレスを包含する送信元アドレスグループのデータを含むようにしても良いし、空であっても良い。また、検出方向受信アドレスについては上記レコードの宛先アドレス又は宛先アドレスグループのデータを含むようにしても良いし、空であってもよい。検出時刻については、上記レコードの発生時刻を含む。
【0044】
その後、品質情報生成部16は、状態Bで有効フラグがONになっているレコードの送信元アドレスで送信グループ設定格納部17を検索し、該当アクセスネットワーク及びその無線LANアクセスポイントを品質劣化情報の送信先として特定し、生成された品質劣化情報を、特定された送信先に送信する(ステップS15)。
【0045】
そして例えば劣化通信状態管理部14は、処理を終了すべきか判断し(ステップS25)、処理終了でなければ、次の処理期間を特定し(ステップS27)、ステップS9に戻る。一方、処理を終了すべき場合には、処理を終了する。
【0046】
このような処理を実施することによって、他のアクセスネットワークに問題が発生しており当該他のアクセスネットワークからのパケットについて対処すべき状態Aと、VoIPプローブVP1の配下のアクセスネットワークに問題が発生しており配下のアクセスネットワークに対処すべき状態Bとが区別され、配下のアクセスネットワークのIP電話機(状態BについてはIP電話機及び無線LANアクセスポイント)に通知される。また、ステップS13及びS19では、有効フラグの管理が行われ、有効期間がこれで確認できるようになる。
【0047】
次に、VoIPプローブVP1における復旧処理について図12を用いて説明する。劣化通信状態管理部14は、ログ格納部15のレコードを走査する(ステップS31)。そして、所定時間以上経過した、有効フラグがONのレコードが存在するか判断する(ステップS33)。所定時間以上経過した、有効フラグがONのレコードが存在しない場合にはステップS31に戻る。
【0048】
一方、所定時間以上経過した、有効フラグがONになっているレコードが存在する場合には、劣化通信状態管理部14は、検出レコードのデータを含む品質復旧情報生成指示をパケット品質検査部12に出力する。パケット品質検査部12は、劣化通信状態管理部14から検出レコードのデータを含む品質復旧情報生成指示を受信し、さらに品質情報生成部16に出力する。品質情報生成部16は、パケット品質検査部12から、検出レコードのデータを含む品質復旧情報生成指示を受信し、当該検出レコードのデータを用いて品質復旧情報を生成する(ステップS35)。図6のパケット・フォーマットでは、品質状態として検出レコードの状態A又は状態Bの復旧を表すコードが含まれる。また、検出方向送信アドレスとして、検出レコードにおける送信元アドレス又は当該送信元アドレスを包含する送信元アドレスグループのデータを含む。もし状態AであればIP電話機などで用いられる。また、検出方向受信アドレスについては検出レコードの宛先アドレス又は宛先アドレスグループのデータを含むようにしても良いし、空でも良い。検出時刻については、検出レコードの発生時刻を含む。
【0049】
さらに、品質情報生成部16は、検出レコードのデータから送信先を特定し、品質復旧情報を送信する(ステップS37)。送信先は、状態Aの場合には、ステップS23と同様に、検出レコードの宛先アドレスを包含する宛先アドレスグループ又はVoIPプローブVP1の配下の端末であり、状態Bの場合には、ステップS15と同様に、検出レコードの送信元アドレスで送信グループ設定格納部17を検索し、該当アクセスネットワーク及びその無線LANアクセスポイントである。
【0050】
また、劣化通信状態管理部14は、検出レコードの有効フラグをOFFにセットする(ステップS39)。
【0051】
そして、劣化通信状態管理部14は、処理を終了すべきか判断し(ステップS41)、処理終了でなければステップS31に戻る。処理を終了すべきである場合には、処理を終了する。
【0052】
このように、有効期間である所定時間経過しても同じ問題が発生していなければ、すなわち有効フラグがONのままで放置されていれば、品質復旧を通知するものである。
【0053】
次に、IP電話機WT1の動作を図13を用いて説明する。IP電話機WT1は、ネットワークインタフェース22を介してパケットを受信する。図6に示したようなパケット・フォーマットのパケットを受信した場合には、品質管理部26に制御バス28を介して出力される。品質管理部26は、図6に示したパケット・フォーマットの品質劣化情報(状態A又は状態Bの発生のコードを含むパケット)を受信したか判断する(図13:ステップS51)。品質劣化情報を受信していなければステップS51に戻る。一方、品質劣化情報を受信した場合には、品質劣化情報に含まれる状態等に基づきネットワーク劣化状態を設定する(ステップS53)。図8のようなテーブルに、状態Aであれば状態A及び送信元を登録し、状態Bであれば状態Bを登録する。なお、状態Bの場合、ステップS53の前に既に設定されていれば、再度登録する必要はない。また、状態Aの場合、送信元アドレス又は送信元アドレスグループが異なっていれば、新たにレコードを登録する。送信元アドレス又は送信元アドレスグループが同じレコードが既に登録されていれば、再度登録する必要はない。
【0054】
また、品質管理部26は、設定された状態等に対応して時刻を登録する(ステップS55)。新たにネットワーク劣化状態を設定した場合には、受信した検出時刻をそのまま登録し、既に登録済みの状態等が存在する場合には、既登録の時刻を、受信した検出時刻で更新する。
【0055】
そして、受信した品質劣化情報の状態が状態Aであるか判断する(ステップS57)。状態Aであれば、品質管理部26は、受信した品質劣化情報における送信元アドレス又は送信元アドレスグループに対応して受信バッファ・サイズを設定する(ステップS59)。ここでは、図8のテーブルに登録すると共に、音声処理部23にも、送信元アドレスグループと受信バッファ・サイズとを設定する。受信バッファ・サイズは、通常のサイズより大きいサイズ(例えば図8ではS1)が設定される。但し、既登録の場合にはステップS59はスキップされる。なお、状態Aにレベル分けが存在する場合には、レベル分けに応じて受信サイズを設定し直す場合もある。そしてステップS63に移行する。
【0056】
一方、状態Bであれば、品質管理部26は、呼設定抑止動作を、呼制御部25又は表示・I/O部24若しくはその両方に開始させる(ステップS61)。呼制御部25の場合には、新たな発呼及び着呼を拒否する動作(例えばSIPにおけるINVITEの送受信を拒否する動作)、又は新たな発呼のみを拒否する動作(例えばSIPにおけるINVITEの送信を拒否する動作)を実施させる。また、表示・I/O部24の場合には、IP電話機WT1の表示部に、「現在使用できません」又は「現在音質がよくありません」といったメッセージを表示したり、受話器を上げた際に、上記のようなメッセージを音声出力するようにする。このようにすれば、ユーザによる無駄な「試しがけ」を防止して、ネットワークをさらに輻輳させることを防止することができる。その後ステップS63に移行する。
【0057】
そして、例えば品質管理部26は、処理を終了すべきか判断する(ステップS63)。処理を終了すべきではない場合にはステップS51に戻る。一方、処理を終了すべきである場合には、処理を終了する。
【0058】
このような処理を実施することによって、IP電話機WT1は、状態Bについては呼設定抑止動作を開始し、状態Aについては送信元アドレスグループ等に対応して受信バッファ・サイズを設定することできるようになる。また、ステップS55を行うことで状態の有効期限の確認を行うことができるようになる。
【0059】
次に、着信時処理について図14を用いて説明する。なお、状態Aで、着呼さえも抑止する場合には図14に示す処理フローは実施されないが、それ以外の場合には、呼制御部25が他のIP電話機とセッションを確立して、音声収容パケットを受信すると、音声処理部23は、以下の処理を実施する。
【0060】
すなわち、音声処理部23は、設定された送信元アドレスグループからの着信であるか判断する(ステップS71)。設定された送信元アドレスグループからの着信でなければステップS75に移行する。一方、設定された送信元アドレスグループからの着信であれば、音声処理部23は、受信バッファ231の初期サイズを、送信元アドレスグループに対応して設定されている受信バッファ・サイズに従って拡大する(ステップS73)。これによって、通常より多く音声収容パケットを通話の開始時から蓄積して信号処理部232で音声信号処理を実施できるようになる。
【0061】
ステップS73の後に又は設定された送信元アドレスグループからの着信ではないとステップS71で判断された場合、音声処理部23は、受信バッファ・サイズを通信状態に応じて適応的に変化させる受信バッファ・サイズ適応化処理を実施する(ステップS75)。この処理は通常でも実施している処理であるからこれ以上述べない。そして、音声処理部23は、呼が終了したか判断し(ステップS77)、呼が終了していない場合にはステップS75に移行する。一方で、呼が終了した場合には処理を終了させる。なお、受信バッファ・サイズは、初期化される。
【0062】
このような処理を実施すれば、ネットワーク状態が悪い他のネットワークからの着信時においても、通話の開始時から、遅延及び遅延ジッタなどに対応して音声処理ができるためとぎれのない音声出力が可能となり、ユーザの違和感を緩和することができるようになる。なお、常時受信バッファのサイズを大きくしておくとユーザに対して違和感を感じさせることになるので、該当する着信以外については受信バッファの拡大を行わないようにしている。
【0063】
次に、IP電話機WT1の状態解除処理について図15を用いて説明する。品質管理部26は、ネットワークインタフェース22を経由してVoIPプローブVP1から品質復旧情報を受信したか判断する(ステップS81)。品質復旧情報を受信した場合には、品質復旧情報に基づき、対応する状態を正常状態に変更する(ステップS83)。すなわち、品質復旧情報に含まれる状態B又は状態A及び送信元アドレス又は送信元アドレスグループに対応するレコードを削除する。そしてステップS91に移行する。
【0064】
一方、品質復旧情報を受信していない場合には、品質管理部26は、所定時間以上経過した状態が存在しているか判断する(ステップS87)。所定時間以上同様の品質劣化情報を受信しない場合には、ステップS55で時刻が更新されなくなるので、品質復旧情報を受信せずとも、品質劣化状態が復旧したものと判断できる。従って、所定時間以上経過した状態が存在している場合には、該当状態を正常状態に変更する(ステップS89)。すなわち、該当状態についてのレコードを削除する。
【0065】
そして、正常状態に変更された状態が状態Aであったか判断する(ステップS91)。状態Aではなく状態Bであった場合には、呼制御部25、表示・I/O部24若しくはそれら両方に、呼設定抑止動作を停止させる(ステップS93)。そしてステップS97に移行する。一方、状態Aであった場合には、音声処理部23に、正常状態に変更された状態Bに関連する送信元アドレスグループと受信バッファ・サイズとをクリアさせる(ステップS95)。これで、たとえ当該送信元アドレスグループからの着信があっても、通常の受信バッファ・サイズで信号処理部232は処理を開始するようになる。
【0066】
そして、品質管理部26は、処理を終了すべきか判断し(ステップS97)、処理を終了すべきではない場合にはステップS81に戻る。一方、処理を終了すべき場合には、処理を終了する。
【0067】
このような処理を実施すれば、VoIPプローブVP1からの品質復旧情報に対処したり、自ら状態を正常状態に変更することができるようになる。
【0068】
次に、図13を用いて無線LANアクセスポイントWLAP1の処理を説明する。無線LANアクセスポイントWLAP1では、音声収容パケットを信号処理することはないので、状態Bのみが取り扱われる。
【0069】
無線LANアクセスポイントWLAP1は、第2ネットワークインタフェース34を介してパケットを受信する。図6に示したようなパケット・フォーマットのパケットを受信した場合には、品質管理部37に制御バス35を介して出力される。品質管理部37は、図6に示したパケット・フォーマットの品質劣化情報(状態A又は状態Bの発生のコードを含むパケット)を受信したか判断する(図13:ステップS51)。品質劣化情報を受信していなければステップS51に戻る。一方、品質劣化情報を受信した場合には、品質劣化情報に含まれる状態等に基づきネットワーク劣化状態を設定する(ステップS53)。IP電話機WT1とは異なり、状態Bのみが通知されるか又は状態Bのみ対処できるので、状態Bを登録する。なお、ステップS53の前に既に設定されていれば、再度登録する必要はない。
【0070】
また、品質管理部37は、設定された状態等に対応して時刻を登録する(ステップS55)。新たにネットワーク劣化状態を設定した場合には、受信した検出時刻をそのまま登録し、既に登録済みの状態等が存在する場合には、既登録の時刻を、受信した検出時刻で更新する。
【0071】
そして、状態Aは対応しないので、ステップS57のYesルートには移行しない。
【0072】
ステップS57のNoルートを進み、品質管理部37は、呼設定抑止動作を、中継処理部33に開始させる(ステップS61)。すなわち、端末管理部36で管理されている配下のIP電話機WT1乃至WT4への着呼に係るパケット及びIP電話機WT1乃至WT4からの発呼に係るパケット(例えばSIPにおけるINVITEのパケット)の中継を停止させる。配下のIP電話機WT1乃至WT4からの発呼に係るパケットのみを中継しないようにしてもよい。
【0073】
そして、例えば品質管理部37は、処理を終了すべきか判断する(ステップS63)。処理を終了すべきではない場合にはステップS51に戻る。一方、処理を終了すべきである場合には、処理を終了する。
【0074】
このような処理を実施することによって、中継装置である無線LANアクセスポイントWLAP1は、自己のアクセスネットワークにおける輻輳を早期に解消することができるようになり、音声品質の復旧も早期に行われるようになる。なお、IP電話機が上で述べた図13乃至図15の処理を実施する場合には、無線LANアクセスポイントWLAP1は上で述べたような処理を実施する必要はない。但し、無線LANアクセスポイントWLAP1の配下の全てのIP電話機が図13乃至図15のような処理を実施できない場合には、無線LANアクセスポイントWLAP1が上で述べたような処理を実施するだけでも効果がある。
【0075】
次に、無線LANアクセスポイントWLAP1の状態解除処理について図15を用いて説明する。品質管理部37は、第2ネットワークインタフェース34を経由してVoIPプローブVP1から品質復旧情報を受信したか判断する(ステップS81)。品質復旧情報を受信した場合には、品質復旧情報に基づき、対応する状態を正常状態に変更する(ステップS83)。すなわち、品質復旧情報に含まれる状態Bに対応するレコードを削除する。そしてステップS91に移行する。
【0076】
一方、品質復旧情報を受信していない場合には、品質管理部37は、所定時間以上経過した状態が存在しているか判断する(ステップS87)。所定時間以上同様の品質劣化情報を受信しない場合には、ステップS55で時刻が更新されなくなるので、品質復旧情報を受信せずとも、品質劣化状態が復旧したものと判断できる。従って、所定時間以上経過した状態が存在している場合には、該当状態を正常状態に変更する。すなわち、該当状態についてのレコードを削除する。
【0077】
そして、上でも述べたように無線LANアクセスポイントWLAP1の場合状態Aとなることはないので、ステップS91のNoルートを進み、中継処理部33に、呼設定抑止動作を停止させる(ステップS93)。その後ステップS97に移行する。
【0078】
そして、品質管理部37は、処理を終了すべきか判断し(ステップS97)、処理を終了すべきではない場合にはステップS81に戻る。一方、処理を終了すべき場合には、処理を終了する。
【0079】
このような処理を実施すれば、VoIPプローブVP1からの品質復旧情報に対処したり、自ら状態を正常状態に変更することができるようになる。
【0080】
以上本発明の一実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図4、図7及び図9に示した機能ブロックは一例であって、必ずしもこのような機能構成に従ったモジュールが存在するわけではない。
【0081】
また、上で述べた処理フローは一例であって、同様の機能を実施する他の処理フローを採用するようにしてもよい。
【0082】
また、IP電話機も、状態Aのみに対応するように構成したり、状態Bのみに対応するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム概要図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるネットワーク概要を説明するための図である。
【図3】音声通信用パケットのパケット・フォーマットの一例を示す図である。
【図4】VoIPプローブの機能ブロック図である。
【図5】ログ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】品質劣化情報又は品質復旧情報のパケット・フォーマットの一例を示す図である。
【図7】IP電話機の機能ブロック図である。
【図8】IP電話機の品質管理部で管理されるデータの一例を示す図である。
【図9】無線LANアクセスポイントの機能ブロック図である。
【図10】VoIPプローブのメインの処理フローを示す図である。
【図11】ログ格納部に格納されているデータに対する処理の処理フローを示す図である。
【図12】VoIPプローブの復旧処理の処理フローを示す図である。
【図13】IP電話機又は無線LANアクセスポイントのメインの処理フローを示す図である。
【図14】IP電話機における着信時処理の処理フローを示す図である。
【図15】IP電話機又は無線LANアクセスポイントにおける状態解除処理の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
11 監視用ネットワークインタフェース
12 パケット品質検査部
13 劣化閾値格納部
14 劣化通信状態管理部
15 ログ格納部
16 品質情報生成部
17 送信グループ設定格納部
19 制御用ネットワークインタフェース
21,31 信号バス
22 ネットワークインタフェース
23 音声処理部
24 表示・I/O部
25 呼制御部
26,37 品質管理部
27,38 制御部
28,35 制御バス
32 第1ネットワークインタフェース
33 中継処理部
34 第2ネットワークインタフェース
36 端末管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話に係るパケットを監視することによって検出された所定の品質劣化状態を通知するための品質劣化情報を、前記所定の品質劣化状態を検出した通信制御装置から受信する手段と、
前記品質劣化情報を受信した場合、音声パケットのための受信バッファのサイズを初期的に拡大させるための設定を行う管理手段と、
を有する通信端末装置。
【請求項2】
前記所定の品質劣化状態が、前記通信制御装置の配下の通信端末装置を宛先とするパケットについての送信劣化状態である
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記品質劣化情報が、前記所定の品質劣化状態が検出されたパケットの送信元のデータを含み、
前記管理手段が、前記送信元のデータに対応して前記受信バッファのサイズを初期的に拡大させるための設定を行う
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記品質劣化情報が、前記所定の品質劣化状態の劣化レベルのデータを含み、
前記管理手段が、前記受信バッファのサイズを前記劣化レベルに対応して初期的に拡大設定する
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記送信元のデータから特定される送信元アドレス範囲内の特定のアドレスから呼の設定要求を受信した場合に、初期的に拡大された受信バッファを用いて音声パケットの処理を行う手段
をさらに有する請求項3記載の通信端末装置。
【請求項6】
通話に係るパケットを監視することによって検出された所定の品質劣化状態を通知するための品質劣化情報を、前記所定の品質劣化状態を検出した通信制御装置から受信するステップと、
前記品質劣化情報を受信した場合、音声パケットのための受信バッファのサイズを初期的に拡大させるための設定を行う管理ステップと、
を含む通信制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の通信制御方法をプロセッサに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−160712(P2008−160712A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349871(P2006−349871)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(598057291)株式会社富士通エフサス (147)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】