説明

通信端末

【課題】従来の同期再生方法においては、受信側端末が配信側端末の配信エリア圏外となった場合への対応が考慮されていないという問題があった。
【解決手段】本発明のコンテンツ配信側の通信端末(100)は、記憶部(4)と、近距離無線通信部(2)と、同期再生を行う再生視聴データを全て受信し、前記記憶部が前記受信したデータを記憶した後に、前記他端末から受信する同期再生信号に基づき、前記記憶したデータの同期再生を開始するように制御する制御部(50)と、を備え、前記制御部はさらに、前記同期再生の開始後に、前記同期再生信号を受信している場合、前記記憶したデータを前記同期再生信号に基づいて同期再生するように制御し、前記同期再生信号を受信しなくなった場合、前記記憶したデータを同期を取ることなく再生し続けるように制御する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、近距離無線通信機能を備える通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽や映像といったマルチメディアコンテンツの再生機能を備える携帯型の通信端末(例えば、携帯電話、PDAなど)が増えている。通常、このような通信端末は、図7のようにユーザが個人的にコンテンツを視聴するものであるため、二人のユーザが同じコンテンツ(例えば、音楽、映像など)を楽しむためには、例えば、図8のように、1つの通信端末につながるイヤホンを片耳ずつ二人で共有する必要がある。図8の場合、通信端末の小型画面を二人のユーザが共有することは難しく、さらに、各ユーザが音響(音楽/音声)のステレオ効果を享受することができない。
【0003】
近年、通信端末の機能向上に伴い、通信端末は、自身が保持していないコンテンツであっても、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11関連規格やブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信機能を用いて、他の携帯端末からコンテンツを受信して再生することもできる(図9)。このように、ある通信端末が保持するコンテンツを、近距離無線通信機能によって他の通信端末に配信することにより、複数のユーザが、各自の通信端末で同じコンテンツを楽しむことが可能になる。
【0004】
複数の通信端末間で上記のようなコンテンツの共有(コンテンツシェアリング)を行う場合、各通信端末におけるコンテンツの再生タイミングが同期していることが望ましい。かかる同期再生によって、例えば、各ユーザは同じタイミングで同じ音楽や映像を楽しむことができるため、ユーザ同士の一体感及び映像から受ける臨場感の向上が期待されるためである。各通信端末においてコンテンツを同期再生するためには、共有コンテンツの再生順序や、再生タイミングを各通信端末間で調整する必要がある。
【0005】
このような共有コンテンツの同期再生技術として、例えば、PDAなどのコントローラ端末と、携帯電話やデジタルカメラなどの複数のプレーヤー端末との間で、各端末(コントローラ/プレーヤー)が個々に有するコンテンツデータを共有し、コントローラ端末が生成した再生データ順リストに従い当該コンテンツデータをコントローラ端末及び複数のプレーヤー端末で同時再生させるようにした、同期再生方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−13704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述の同期再生方法においては、携帯型通信端末特有の問題に関して、同期再生中に、受信側の通信端末が配信側の通信端末の配信エリアから離脱した場合への対応が考慮されていないという問題があった。特に、同期再生中に、受信側の端末が配信側通信端末の配信エリアから離脱すると、受信側端末では、コンテンツ再生が終了してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、本発明のコンテンツ受信側の通信端末は、
再生視聴可能なデータを記憶する記憶部と、
他端末と近距離無線通信により通信を行う近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信部が自端末と前記他端末とで同期再生を行う前記データを前記他端末から全て受信し、前記記憶部が前記受信したデータを記憶した後に、前記近距離無線通信部が前記他端末から受信する同期再生信号に基づき、前記記憶したデータの前記他端末との同期再生を開始するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部はさらに、前記同期再生の開始後に、
前記近距離無線通信部が前記同期再生信号を受信している場合、前記記憶したデータを前記同期再生信号に基づいて前記他端末と同期再生するように制御し、
前記近距離無線通信部が前記同期再生信号を受信しなくなった場合、前記記憶したデータを前記他端末と同期を取ることなく再生し続けるように制御する
ことを特徴とする。
【0008】
また、前記制御部は、前記記憶したデータを前記他端末と同期を取ることなく再生している際に、前記近距離無線通信部が前記他端末から前記同期再生信号を受信した場合、前記同期再生信号に基づいて前記他端末との同期再生を再開するように制御することが望ましい。
【0009】
また、前記制御部は、前記記憶したデータを前記他端末と同期を取ることなく再生している際に、前記近距離無線通信部が前記他端末に対して、前記他端末における前記データの再生を自端末と同期させるための同期要求信号を送信するように制御することが望ましい。
【0010】
さらに、上述した諸課題を解決すべく、本発明のコンテンツ配信側の通信端末は、
他端末と近距離無線通信により通信を行う近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信部が自端末と前記他端末とで同期再生を行う再生視聴可能なデータを前記他端末に全て送信し、前記データの送信が終了した後に、前記他端末における前記データの再生を自端末と同期させるための同期再生信号を、前記他端末に送信するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部はさらに、
前記近距離無線通信部が、前記他端末から送信される受信確認信号を受信している場合、前記データを前記他端末と同期再生するように制御し、
前記近距離無線通信部が、前記他端末から送信される受信確認信号を受信しなくなった場合、前記データを前記他端末と同期を取ることなく再生し続けるように制御する、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記制御部は、前記近距離無線通信部が前記他端末から送信される受信確認信号を受信した場合、前記同期再生信号を送信し、前記受信確認信号を受信しなくなった場合、前記同期再生信号の送信を停止するように制御し、前記同期再生信号の送信を停止している際に、前記近距離無線通信部が、前記他端末から自端末における前記データの再生を前記他端末と同期させるための同期要求信号を受信した場合、前記同期要求信号に基づいて前記他端末との同期再生を再開するように制御することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同期再生中に、配信側端末および受信側端末が配信エリアから離脱した場合でも、両通信端末が非同期でコンテンツ再生を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、諸図面を参照しながら、本発明の一実施形態による通信端末を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態にかかる通信端末100の機能ブロック図である。通信端末100は第三者と携帯電話網を利用して通話するための送受信部送受信部1と、ブルートゥース(登録商標)等のように近距離に位置する他の通信端末200とデータを送受信するための近距離送受信部送受信部2(近距離無線通信部)と、通信端末100のモード変更や電話番号、文字入力に使用するキー入力部3(例えば数字キー/上下キー等)と、アドレス帳のデータ、自端末のプロフィール、音楽や動画像コンテンツデータなどを格納する記憶部4と、音声を入力するマイク5と、通信端末100の状態・状況などあらゆる文字、絵、画像情報をユーザに知らせる表示部6(例えば液晶ディスプレイ等)と、携帯電話網を介して送受信部送受信部1より得られた音声データ、記憶部4に格納されている音楽や音声データ、および近距離送受信部送受信部2から得られた音楽や音声をユーザに報知するためのスピーカ7と、記憶部4や近距離送受信部送受信部2からの音楽データを再生する音楽再生部8と、携帯電話網を介して送受信部送受信部1より得られた音声データ、記憶部4に格納されている音楽や音声データや近距離送受信部送受信部2から得られた音楽や音声をユーザにイヤホンを介して報知するためのイヤホン部9と、記憶部4や近距離送受信部送受信部2からの動画像データを再生する動画像再生部10と、表示部6に時間を表示するために演算を行っている時間計測部11と、これらの制御を統括する制御部50から構成されている。送受信部1は、例えば、CDMA EV―DO等の携帯電話網の無線信号の送受信(移動体無線通信)に対応した、任意の好適なインターフェース機器から構成され、近距離送受信部2は、IEEE802.11g及びブルートゥース(登録商標)等の近距離無線信号の送受信(近距離無線通信)に対応した、任意の好適なインターフェース機器から構成される。また、音楽再生部8、動画再生部10、時間計測部11及び制御部50は、例えば、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサで構成されるものであり、音楽再生部8、動画再生部10、時間計測部11及び制御部50の各機能は、当該プロセッサ上で実行されるソフトウェアや、又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成することができる。なお、本発明に係る通信端末100は、音楽再生部8、動画再生部10、時間計測部11及び制御部50を、それぞれ独立したプロセッサによって構成してもよく、また、音楽再生部8および動画再生部10を、制御部50が実行する1つの機能としてソフトウェア的に構成することも可能である。また、記憶部4は、例えば、揮発性メモリ(SRAM等)、不揮発性メモリ(EEPROM等)、又は他の好適な記憶媒体から構成される。
【0015】
なお、近距離送受信部送受信部2は、好ましくは不特定多数の端末に配信しないような登録端末にのみ配信可能な方法が良い。また、端末を登録(認証)すること自体が煩わしいので、近距離送受信部送受信部2による通信の可否を、アドレス帳に登録されている端末固有の番号、例えば電話番号やメールアドレス等と関連付けると使い勝手が向上する。
【0016】
図2は、ユーザA(配信側)およびユーザB(受信側)が、それぞれの通信端末100および通信端末200で、コンテンツ(例えば音楽)を同時に楽しんでいる状況で、ユーザAの通信端末100(以下、「配信側通信端末100」という。)とユーザBの通信端末200(以下、「受信側通信端末200」という。)との間で同期再生を行う場合の処理シーケンスを示す図である。なお、配信側通信端末100の構成は上記の通りであり、受信側通信端末200は、配信側通信端末100に相当する構成を有するものである。即ち、受信側通信端末200は、配信側通信端末100の送受信部1、近距離送受信部2、キー入力部3、記憶部4、マイク5、表示部6、スピーカ7、音楽再生部8、イヤホン部9、動画再生部10、時間計測部11および制御部50に相当する、送受信部201、近距離送受信部202、キー入力部203、記憶部204、マイク205、表示部206、スピーカ207、音楽再生部208、イヤホン部209、動画再生部210、時間計測部211および制御部250を備えている。
【0017】
ユーザAは、例えば表示部6に表示された音楽リスト等を参照しながら、キー入力部3を通じて、記憶部4に予め格納しておいた音楽データの視聴操作を行う。制御部50は、キー入力部3を通じてユーザの指示を取得すると、音楽再生部8に信号を送り、ユーザが指定する音楽データの再生処理を行わせる。音楽再生部8は、記憶部4からユーザが指定する音楽データを取得して再生処理を行い、当該再生処理結果(音楽の内容)を、スピーカ7又はイヤホン部9を通じてユーザAに報知する。通常、イヤホンがイヤホン部9に挿入されている場合には、音楽の報知はイヤホン部9を通じて行われ、イヤホンがイヤホン部9に挿入されていない場合には、音楽の報知はスピーカ7を通じて行われる。
【0018】
ユーザBがユーザAに近づき、ユーザAに対して口頭で音楽データのシェアリング許可を求めると、ユーザAは、自身の配信側通信端末100が、自端末で再生中の音楽を受信側通信端末200に対して転送するように、キー入力部3を通じて認証のための操作を行う。かかるキー入力部3の入力指示に従い、制御部50は、近距離送受信部2を起動させて、配信側通信端末100を待ち受け状態にする制御を行う。
【0019】
シェアリング許可を求めた側のユーザBは、自身の受信側通信端末200のキー入力部203を操作し、制御部250によって近距離送受信部202を起動させる。近距離送受信部202は、周囲に同じ近距離送受信方式に対応した通信端末が存在するかスキャンし、制御部250は、検出された通信端末の一覧を表示部206に表示させる。ユーザBが、キー入力部203により表示部206上の一覧から配信側通信端末100を選択すると、制御部250は、近距離送受信部202を通じて、記憶部204に記憶されたプロファイルデータ(例えば、自端末の電話番号、メールアドレス、端末所持者の氏名など)の一部をパスキー(例えばPINコード)として配信側通信端末100に送信する。なお、近距離送受信部202によって検出された通信端末が1台しか存在しないときは、制御部250は、ユーザBによる配信側通信端末100の選択を待つことなく、配信側通信端末100にパスキーを送信することもできる。
【0020】
配信側通信端末100において、制御部50は、近距離送受信部2を通じて受信側通信端末200からのパスキーを取得し、当該パスキーから、ユーザBが、記憶部4に記憶されている所定のデータ(例えばアドレス帳など、ユーザAが事前に保持しているユーザBの情報)に登録済みのユーザであるかを判定する。判定の結果、例えばアドレス帳に登録済みのユーザであることが確認できると、制御部50は、ユーザAが視聴している音楽データをユーザBも視聴できるようにするため、近距離送受信部2を通じて、受信側通信端末200へ同期再生する全ての音楽データの転送を開始する。このとき、配信側のコンテンツデータ転送条件により、転送するコンテンツデータを規定することが出来る。例えば、制御部50は、ユーザAが音楽を視聴している場合、視聴中の曲の終了までのデータ、または視聴中の曲のみに限られず、視聴中の曲を含むアルバムの収録曲を全て受信側通信端末200へ転送することができる。なお、ここでいう同期再生する「全て」のデータとは、例えば、音楽データの場合、曲単位およびアルバム単位といったあるまとまった単位のデータ量に限定されるものではなく、例えばある曲の一部のみデータや、アルバム全体の一定割合のデータなど、多様な分量によって規定されるものであることに留意されたい。
【0021】
受信側通信端末200では、制御部250は、配信側通信端末100から転送される全ての音楽データを記憶部204格納した時点で、近距離送受信部202を使い、配信側通信端末100に「データ受信確認」を送信する。なお、時間計測部211は記憶部204から自端末の時間情報を取得し、制御部250は、自端末に関する時間情報を当該データ受信確認に含めて、配信側通信端末100に送信する。
【0022】
配信側通信端末100では、時間計測部11は、近距離送受信部2を通じて受信側通信端末200からのデータ受信確認を取得すると、データ受信確認に含まれる受信側通信端末200の時間情報と、記憶部4が保持する自端末の時間情報とを比較し、配信側通信端末100と受信側通信端末200との間の時間のずれを補正する「時間補正データ」を作成する。さらに、制御部50は、ユーザAが視聴しているコンテンツの再生時間を取得し、同期再生のために、受信側通信端末200において、当該コンテンツのどの部分をどの時間から再生開始すればよいかを示す「再生時間データ」を作成する。制御部50は、「時間補正データ」と「再生時間データ」とを含む「同期再生信号」を作成し、近距離送受信部2を通じて、受信側通信端末200に送信する。
【0023】
受信側通信端末200では、時間計測部211は、近距離送受信部202を通じて配信側通信端末100からの同期再生信号を取得すると、当該同期再生信号に含まれる「時間補正データ」によって、記憶部204に保存された時間を更新し、配信側通信端末100の時間との同期を図る。さらに、音楽再生部208は、同期再生信号に含まれる「再生時間データ」に基づき、指示されたコンテンツの位置及び指示された再生開始時間より、記憶部4に格納された配信側通信端末100から転送されたコンテンツデータの再生を開始する。このように、配信側通信端末100および受信側通信端末200の間で、まず「時間補正データ」により端末間の時間同期を行い、さらに、「再生時間データ」によりコンテンツ再生タイミングの同期を図ることにより、ユーザAおよびユーザBは同期して同じコンテンツを楽しむことができる。
【0024】
配信側通信端末100は、同期再生信号送信後、継続的に、同期再生の調整を行うために同期再生信号の送信を継続する。なお、2回目の同期再生信号は、例えば、時間補正データを含まず、再生時間データのみを含むようにしてもよい。受信側通信端末200は、同期再生信号に応じて同期タイミングの微調整を行い、また、同期再生信号信号を受信した旨を示す受信確認信号を配信側通信端末100に送信する。なお、当該受信確認信号に、受信側通信端末200の時間情報を含めてもよい。このように、配信側通信端末100と受信側通信端末200との間で、同時期再生信号と受信確認信号とにより継続して同期を行うことにより、端末機種による微妙な時間のずれ補正や曲間のミュート時間のズレなどを補正することが出来る。
【0025】
なお、受信側通信端末200は、配信側通信端末100に自端末のタイミングに基づく同期再生を行わせるために、同期要求信号を配信側通信端末100に送信することができる。当該同期要求信号は、例えば、受信側通信端末200の時間を基準として、コンテンツのどの部分をどの時間から再生開始すればよいかを示す時間情報を含むものである。当該同期要求信号を受信した配信側通信端末100は、同期要求信号に含まれる時間情報に応じて、受信側通信端末200に合わせてコンテンツの同期再生を行うと共に、同期再生信号に含む情報を受信側通信端末200に合わせて修正する。
【0026】
また、配信側通信端末100と、受信側通信端末200との間の同期視聴が終了すると、受信側通信端末200の制御部250は、記憶部204から、配信側通信端末100から配信されたコンテンツデータを削除する。例えば、受信側通信端末200において、キー入力部203へ再生終了の指示があった場合、制御部250は、記憶部204から配信側通信端末100から配信されたコンテンツデータを削除する。これは、受信側通信端末200が視聴しているコンテンツデータが配信側通信端末100のコンテンツデータを試聴しているとの観点から、視聴していないデータを削除しないとなるとコンテンツデータを長時間保有させることになり、シェアリングの意味から逸脱する形になると考えるためである。
【0027】
これ以降、配信側通信端末100と受信側通信端末200とが図2に示すシーケンスに従いコンテンツを同期再生している状況において、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏外に移動した場合の処理を説明する。なお、配信側通信端末100及び受信側通信端末200における詳細動作は上記の通りであり、以降の説明では、各動作を簡略に記載するものとする。
【0028】
図3は、配信側通信端末100と受信側通信端末200が、同期をとってコンテンツを再生している状態で、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏外へ移動したときのシーケンス図である。
【0029】
ユーザAとユーザBが図2に示すシーケンスに従いコンテンツを同期再生している状況において、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信範囲外へ移動すると、配信側通信端末100は、受信側通信端末200から、同期再生信号に対する受信確認信号が戻ってこなくなるため、近距離無線通信を利用した同期再生信号を停止することで、消費電力を抑えることが出来る。配信側通信端末100による同期再生信号の停止方法としては、予め設定された回数の同期再生信号を送信し、受信側通信端末200から受信確認信号が戻ってこなかった場合に同期再生信号を停止させる方法が確実である。また、配信側通信端末100は、受信確認信号が得られなかったので、コンテンツデータを自端末のタイミングで非同期に再生する。一方、受信側通信端末200は、配信側通信端末100からの同期再生信号を受け取ることが出来なくなると、近距離無線通信での通信を停止し、配信側通信端末100から転送されたコンテンツデータを自端末のタイミングで非同期に再生する。更に受信側通信端末200は、転送されたコンテンツデータの再生が修了すると、音楽再生部208の動作を停止すると共に記憶部204に格納されている転送コンテンツデータを消去する。また、受信側通信端末200は、配信側通信端末100からの同期再生信号を受け取ることが出来ない状態で、ユーザBが音楽再生部208の動作を停止すると、そのタイミングで、記憶部204に格納されている未視聴部分を含む全ての転送コンテンツデータを消去する。
【0030】
このように、図3に示す実施形態によれば、受信側通信端末200は、同期再生を行うコンテンツデータを配信側通信端末100から全て受信し、受信したデータを記憶した後に、配信側通信端末100から受信する同期再生信号に基づき、記憶したデータの同期再生を開始し、配信側通信端末100から同期再生信号を受信しなくなった場合も、記憶したデータを配信側通信端末100と同期を取ることなく再生し続けるため、同期再生中に、配信側通信他端末100の配信エリアから離脱した場合でも、非同期でコンテンツ再生を継続することができる。
【0031】
また、発信側通信端末100は、同期再生を行うコンテンツデータを受信側通信端末200に全て送信し、当該データの送信が終了した後に、受信側通信端末200におけるデータの再生を自端末と同期させるための同期再生信号を、受信側通信端末200に送信し、受信側通信端末200から受信確認信号を受信しなくなった場合も、コンテンツデータを受信側通信端末200と同期を取ることなく再生し続けるため、同期再生中に、受信側通信他端末200が配信エリアから離脱した場合でも、非同期でコンテンツ再生を継続することができる。
【0032】
図4は、配信側通信端末100と受信側通信端末200が、同期をとってコンテンツを再生している状態で、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏外へ移動後、配信圏内に復帰した時に、受信通信端末200側から同期をとるときのシーケンス図である。
【0033】
ユーザAとユーザBが図2に示すシーケンスに従いコンテンツを同期再生している状況において、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信範囲外へ移動すると、配信側通信端末100は、受信側通信端末200から、同期再生信号に対する受信確認信号が戻ってこなくなるため、近距離無線通信を利用した同期再生信号を停止する。また、配信側通信端末100は、受信確認信号が得られなかったので、コンテンツデータを自端末のタイミングで非同期に再生する。一方、受信側通信端末200は、配信側通信端末100からの同期再生信号を受け取ることが出来なくなると、近距離無線通信での通信を停止し、配信側通信端末100から転送されたコンテンツデータを自端末のタイミングで再生する。
【0034】
両通信端末が非同期でコンテンツを再生中に、再度、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏内に復帰した場合は、受信側のユーザBが配信側のユーザAに近づいて、口頭でシェアリングの許可を求め、端末間の認証処理を行う。配信側通信端末100は、近距離送受信部2を起動させて、待ち受け状態にする。受信側通信端末200は自端末の近距離送受信部202を起動させて、周囲に存在する近距離送受信可能な装置の中から配信側通信端末100を選択し、記憶部4に格納されているプロフィールデータの一部をPINコードとして送信する。配信側通信端末100はアドレス帳等から受信側通信端末200を特定すると共に転送コンテンツデータの転送履歴などからコンテンツデータを転送するか判断し、認証確認を受信側通信端末200へ送信する。受信側通信端末200は、認証確認を受けて、同期要求信号を配信側通信端末100に送信する。配信側通信端末100は受信側通信端末200の同期要求信号を基準に自端末の音楽再生時間を制御し、受信側通信端末200の同期要求信号に修正した同期再生信号を送信することで、機器間の同期を実現する。また、このシーケンスで同期タイミングを受信側通信端末200に合わせず、配信側通信端末100と合わせることもできる。
【0035】
このように、図4に示す実施形態によれば、受信側通信端末200は、記憶したデータを配信側通信端末100と同期を取ることなく再生している際に、配信側通信端末100に対して、コンテンツデータの再生を自端末(受信側通信端末200)と同期させるための同期要求信号を送信し、また、配信側通信端末100は、受信側通信端末200から同期要求信号を受信した場合、当該同期要求信号に合わせて受信側通信端末200との同期再生を再開するため、両通信端末の再同期時に、受信側通信端末200の再生タイミングにあわせた再同期が可能になる。
【0036】
図5は、配信側通信端末100と受信側通信端末200が、同期をとってコンテンツを再生している状態で、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏外へ移動後、配信圏内に復帰した時に、配信通信端末100側から同期をとるときのシーケンス図である。
【0037】
ユーザAとユーザBが図2に示すシーケンスに従いコンテンツを同期再生している状況において、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信範囲外へ移動すると、配信側通信端末100は、受信側通信端末200から、同期再生信号に対する受信確認信号が戻ってこなくなるが、近距離無線通信を利用した同期再生信号を停止せずに、一定間隔で同期再生信号の信号を送り続ける。この場合、配信側通信端末100の近距離無線装置2を同期再生信号送信タイミング以外では停止、スリープ状態にすることで消費電力の削減することができる。配信側通信端末100は、同期再生信号の送信を継続する一方で、コンテンツの再生については、受信確認信号が得られなかったので自端末のタイミングで非同期に再生する。一方、受信側通信端末200は、配信側通信端末100からの同期再生信号を受け取ることが出来なくなると、配信側通信端末100から転送されたコンテンツデータを自端末のタイミングで非同期に再生する。なお、この場合、受信側通信端末200も近距離無線通信での通信を停止することはない。
【0038】
両通信端末が非同期でコンテンツを再生中に、再度、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏内に復帰した場合は、受信側通信端末200は、配信側通信端末100からの同期再生信号を受信し、当該同期再生信号に応じた受信確認信号を配信側通信端末100に送ることで、自動的に、両通信端末が同期を取ることができる。なお、同期再生信号や受信確認信号にPINコードを含めておくと、認証に係るステップを省略できる。この場合も設定によって、受信側通信端末200の同期に合わせることも可能である。
【0039】
このように、図5に示す実施形態によれば、受信側通信端末200は、記憶したデータを配信側通信端末200と同期を取ることなく再生している際に、配信側通信端末200から同期再生信号を受信した場合、当該同期再生信号に基づいて配信側通信端末100との同期再生を再開するため、非同期再生後に配信側通信端末100との同期再生を行うことが可能になる。
【0040】
図6は、配信側通信端末100と受信側通信端末200が、同期をとってコンテンツを再生している状態で、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏外へ移動後、配信圏内に復帰した時に、受信側通信端末200から同期要求信号を受け取るときのシーケンス図である。
【0041】
ユーザAとユーザBが図2に示すシーケンスに従いコンテンツを同期再生している状況において、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信範囲外へ移動すると、配信側通信端末100は、受信側通信端末200から、同期再生信号に対する受信確認信号が戻ってこなくなるが、近距離無線通信を利用した同期再生信号を停止しない。しかし、配信側通信端末100は、コンテンツの再生については、受信確認信号が得られなかったので自端末のタイミングで非同期に再生する。一方、受信側通信端末200は、配信側通信端末100からの同期再生信号を受け取ることが出来なくなると、配信側通信端末100から転送されたコンテンツデータを自端末のタイミングで非同期に再生する。なお、この場合、受信側通信端末200も近距離無線通信での通信を停止せずに、配信側通信端末100に対して同期要求信号を一定間隔で送信する。この場合、受信側通信端末200の近距離無線装置を同期要求信号送信タイミング以外では停止、スリープ状態にすることで消費電力の削減になる。
【0042】
両通信端末が非同期でコンテンツを再生中に、再度、受信側通信端末200が配信側通信端末100の配信圏内に復帰した場合は、配信側通信端末100は、受信側通信端末200からの同期要求信号を受信し、当該同期要求信号に応じた同期再生信号を受信側通信端末200に送ることで、自動的に、両通信端末が同期を取ることができる。なお、同期再生信号、受信確認信号や同期要求にPINコードを含めておくと、認証に係るステップを省略できる。この場合も設定によって、受信側通信端末200の同期に合わせることも可能である。
【0043】
このように、図6に示す実施形態によれば、受信側通信端末200は、記憶したデータを配信側通信端末100と同期を取ることなく再生している際に、配信側通信端末100に対して、コンテンツデータの再生を自端末(受信側通信端末200)と同期させるための同期要求信号を送信し、また、配信側通信端末100は、受信側通信端末200から同期要求信号を受信した場合、当該同期要求信号に合わせて受信側通信端末200との同期再生を再開するため、両通信端末の再同期時に、受信側通信端末200の再生タイミングにあわせた再同期が可能になる。
【0044】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成要素は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成要素を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0045】
本実施例では音楽配信を前提に説明しているが、動画像、静止画像でも連続的に(順番)に楽しむシステムであれば、同様の効果が得られることが判る。
【0046】
また、配信側の通信端末で視聴中のコンテンツがランダム再生等になっている場合は、曲毎にデータを転送することも出来るが、ランダム再生を解除しコンテンツデータを転送する方がスムースな音楽視聴が可能となる。また、同期再生に関しては、配信側および受信側の各通信端末において再生速度に誤差が生じないと考える場合は、同期差再生の最初のみ同期処理を行う方法と、各曲毎に再同期を掛ける方法が考えられる。後者の場合は、配信側の通信端末が未視聴部分のアルバム収録曲を受信側の通信端末へ転送するときに、配信側の通信端末における、各曲の頭出し予想時間(各曲をどの時間から再生開始するか)を埋め込んでおくことで再同期させる方法であれば、頻繁に同期再生信号を送る必要が無くなる。また、受信側の通信端末のキー入力部は、例えば、同期を乱す「一時停止」等のキー入力は禁止することも考えられる。
【0047】
また、通信端末の望ましい形態としては、2種類の近距離送受信部を搭載する構成が考えられる。まず、認証のためのPINコードを受け渡す方法として赤外線通信を行うことで、通信端末同士の赤外線通信の受発光部を近づけることで記憶部に格納されているPINコードとして送信できるので、配信側の通信端末を選択する必要はなくなるとともに、受発光部を近づけることで配信側の通信端末も受信側の通信端末も相手を認識することが出来る。次にコンテンツデータの送信は、IEEE802.11xxやブルートゥース等の近距離無線通信を使うことで通信端末同士を向き合わせる必要性が無くなり利便性が向上する。
【0048】
また、曲と曲の間で近距離送受信部を起動させて認証をとる事で試聴を許可する構成をとると、近距離に存在する受信側の通信端末に対しては試聴を許可する一方、近距離通信範囲外に移動した受信側通信端末に対しては、現在試聴している曲の終了までのみ試聴を許可し、記憶部に格納されている残りの曲は試聴不可にすることもできる。この場合、曲の終了と配信側の通信端末との近距離通信が途絶えたことをトリガーにして、受信側の通信端末の記憶部に格納されているコンテンツデータを削除することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信端末を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る動作シーケンスを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る動作シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る動作シーケンスを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る動作シーケンスを示す図である。
【図7】1人のユーザが1つの通信端末のコンテンツを視聴する様子を示す図である。
【図8】2人のユーザが1つの通信端末のコンテンツを視聴する様子を示す図である。
【図9】2人のユーザが各自の通信端末にてコンテンツを視聴する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 送受信部
2 近距離送受信部
3 キー入力部
4 記憶部
5 マイク
6 表示部
7 スピーカ
8 音楽再生部
9 イヤホン部
10 動画像再生部
11 時間計測部
50 制御部
100 通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生視聴可能なデータを記憶する記憶部と、
他端末と近距離無線通信により通信を行う近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信部が自端末と前記他端末とで同期再生を行う前記データを前記他端末から全て受信し、前記記憶部が前記受信したデータを記憶した後に、前記近距離無線通信部が前記他端末から受信する同期再生信号に基づき、前記記憶したデータの前記他端末との同期再生を開始するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部はさらに、前記同期再生の開始後に、
前記近距離無線通信部が前記同期再生信号を受信している場合、前記記憶したデータを前記同期再生信号に基づいて前記他端末と同期再生するように制御し、
前記近距離無線通信部が前記同期再生信号を受信しなくなった場合、前記記憶したデータを前記他端末と同期を取ることなく再生し続けるように制御する、通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記記憶したデータを前記他端末と同期を取ることなく再生している際に、前記近距離無線通信部が前記他端末から前記同期再生信号を受信した場合、前記同期再生信号に基づいて前記他端末との同期再生を再開するように制御する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶したデータを前記他端末と同期を取ることなく再生している際に、前記近距離無線通信部が前記他端末に対して、前記他端末における前記データの再生を自端末と同期させるための同期要求信号を送信するように制御する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
他端末と近距離無線通信により通信を行う近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信部が自端末と前記他端末とで同期再生を行う再生視聴可能なデータを前記他端末に全て送信し、前記データの送信が終了した後に、前記他端末における前記データの再生を自端末と同期させるための同期再生信号を、前記他端末に送信するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部はさらに、
前記近距離無線通信部が、前記他端末から送信される受信確認信号を受信している場合、前記データを前記他端末と同期再生するように制御し、
前記近距離無線通信部が、前記他端末から送信される受信確認信号を受信しなくなった場合、前記データを前記他端末と同期を取ることなく再生し続けるように制御する、通信端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記近距離無線通信部が、前記他端末から送信される受信確認信号を受信した場合、前記同期再生信号を送信し、前記受信確認信号を受信しなくなった場合、前記同期再生信号の送信を停止するように制御し、前記同期再生信号の送信を停止している際に、前記近距離無線通信部が、前記他端末から自端末における前記データの再生を前記他端末と同期させるための同期要求信号を受信した場合、前記同期要求信号に基づいて前記他端末との同期再生を再開するように制御する、請求項4に記載の通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109621(P2010−109621A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278898(P2008−278898)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】