説明

通信装置、通信システム及び通信方法

【課題】異なる複数の地点間の通信において、モニタを通した利用者同士の視線が仮想的に一致する通信装置、通信システム及び通信方法を提供する。
【解決手段】一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示し、所定の角度範囲で回動する表示部14と、第1の利用者が表示部14と正対した際に第1の利用者の正対画像を撮像する位置に配置された第1の撮像部16と、第1の撮像部16の撮像画像を外部に送信し、第2の利用者の画像を外部から受信する通信部12と、通信部12で受信した第2の利用者の画像を解析し、第2の利用者が第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部16に視線を投じていると判断した場合に、表示部14を第1の利用者に対して正対させるよう回動を制御する制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の地点にそれぞれ配置する複数の利用者それぞれが画像及び音声等を互いに通信する際に、画像を介して仮想的に利用者同士の視線を一致させる通信装置、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに遠隔地に位置する異なる複数の地点間で、複数の利用者により画像、音声及びデータ等を通信し、情報を伝達するシステムとして、テレビ電話システム及びテレビ会議システム等がある。これらのシステムでは、ビデオカメラ及びマイクロホンにより利用者を撮像し、利用者の音声を取得している。また、対向の利用者側(以下において、「相手側」という。)から伝送された画像及び音声をモニタ及びスピーカにより出力している。その際、互いにモニタを介して相手側と会話をする関係上、利用者のモニタへの視線が、その利用者を撮像するビデオカメラにできるだけ近接するように、モニタとビデオカメラを配置するのが望ましい。
【0003】
しかしながら、ビデオカメラをモニタの近傍に配置したところで、モニタを注視している利用者の視線は、ビデオカメラへの視線とは一致しない。その結果、ビデオカメラを通して相手側のモニタに表示される利用者の視線は、相手側のモニタを注視する利用者の視線とはずれており、不自然な印象を与える。利用者の視線はモニタの方向のものとなって表示されるためである。このように、ビデオカメラ及びモニタを使用する会話等の通信は、利用者に対して違和感を生じさせる。また、利用者同士が実際に顔を合わせて情報の伝達をする場合と比較して、視線の不自然さが臨場感を損なう。
【0004】
そのため、自然な臨場感で通信を可能にするよう、利用者同士の視線を一致させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−136501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献に記載された技術は、複数の地点それぞれにおいて、通信を実施する利用者は一人であることが前提であり、複数の利用者同士が通信を実施した場合に、視線が一致せず、視線における不自然さが生じるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、多地点間の通信において、モニタを通した利用者同士の視線が一致する通信装置、通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、下記(1)の構成を有する通信装置、下記(2)及び(4)の構成を有する通信システム、下記(3)及び(5)の構成を有する通信方法を提供する。
【0009】
(1)
一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示し、所定の角度範囲で回動する表示部と、
前記第1の利用者が前記表示部と正対した際に前記第1の利用者の正対画像を撮像する位置に配置された第1の撮像部と、
前記第1の撮像部の撮像画像を外部に送信し、前記第2の利用者の画像を外部から受信する通信部と、
前記通信部で受信した前記第2の利用者の画像を解析し、前記第2の利用者が前記第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部に視線を投じていると判断した場合に、前記表示部を前記第1の利用者に対して正対させるよう回動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【0010】
(2)
第1の地点及び第2の地点のそれぞれに配置された通信装置間で映像の通信を行う通信システムであって、
前記通信装置は、
一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して、他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示し、所定の角度範囲で回動する表示部と、
前記第1の利用者が前記表示部と正対した際に前記第1の利用者の正対画像を撮像する位置に配置された第1の撮像部と、
前記第1の撮像部で撮像した画像を外部に送信し、前記第2の利用者の画像を外部から受信する通信部と、
前記通信部で受信した前記第2の利用者の画像を解析し、前記第2の利用者が前記第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部に視線を投じていると判断した場合に、前記表示部を前記第1の利用者に対して正対させるよう回動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【0011】
(3)
第1の地点及び第2の地点のそれぞれに配置された通信装置間で映像の通信を行う通信方法であって、
表示部が、一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して、他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示部により表示する表示ステップと、
第1の撮像部が、前記第1の利用者が前記表示部と正対した際に前記第1の利用者の正対画像を撮像する撮像ステップと、
通信部が、前記撮像ステップで撮像した画像を外部に送信し、前記第2の利用者の画像を外部から受信する通信ステップと、
制御部が、前記通信ステップで受信した前記第2の利用者の画像を解析し、前記第2の利用者が前記第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部に視線を投じていると判断した場合に、前記表示部を前記第1の利用者に対して正対させるよう回動させる回動制御ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。
【0012】
(4)
第1の地点の所定の位置にいる第1の利用者と第2の地点の所定のn(n:自然数)箇所の位置にいるn人の第2の利用者との間で、各利用者の画像を前記第1及び第2の地点にそれぞれ配置された第1及び第2の通信装置を介して通信する通信システムであって、
前記第2の通信装置は、
前記第2の利用者それぞれの画像を撮像する第1〜第nの第2撮像装置群と、前記画像を送信する送信部と、を備え、
前記第1の通信装置は、
前記第1の利用者の向きに対応して正対可能な位置に配置された第1〜第nの表示装置群と、前記第1の利用者が前記第1〜第nの表示装置群それぞれに正対した際に前記第1の利用者の正対像を撮像する位置に配置されたn個の第1撮像装置群と、前記第2撮像装置群で撮像した画像を受信する受信部と、を備えると共に、前記第1の利用者に対し、前記受信部で受信した前記第2撮像装置群で撮像した前記第2の利用者の画像を前記第1〜第nの表示装置群にそれぞれ独立して表示するよう構成されることを特徴とする通信システム。
【0013】
(5)
第1の地点の所定の位置にいる第1の利用者と第2の地点の所定のn(n:自然数)箇所の位置にいるn人の第2の利用者との間で、各利用者の画像を前記第1及び第2の地点にそれぞれ配置された第1及び第2の通信装置を介して通信する通信方法であって、
前記第2の通信装置において、第1〜第nの第2撮像装置群が、前記第2の利用者それぞれの画像を撮像する撮像ステップと、
送信部が、前記第2の利用者それぞれの画像を送信する送信ステップと、
前記第1の通信装置において、受信部が、前記送信ステップで送信された前記第2の利用者それぞれの画像を受信する受信ステップと、
第1〜第nの表示装置群が、前記第1の利用者に対し、前記受信ステップで受信した前記第2の利用者それぞれの画像を独立して表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多地点間の通信において、モニタに表示された画像を介して利用者同士の視線が仮想的に一致する通信装置、通信システム及び通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通信装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の機器構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る通信システムのブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の回動をの条件を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの概略図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの概略図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて、通信装置が被写体の目線を仮想的に一致させるフローチャート図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る通信装置のブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムのブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムの概略図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムの概略図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムの概略図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムにおいて、通信装置が被写体の目線を仮想的に一致させるフローチャート図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の概略図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施の形態>
つぎに、図面を参照して、本発明の実施の形態を、(通信装置の構成)、(通信システムの構成)及び(通信システムによる通信方法)の順に説明する。
【0017】
(通信装置の構成)
本発明の第1の実施の形態に係る通信装置は、図1に示すように、解析部11により、送受信部12を介して受信した他方の地点に配置される第2の利用者の画像を解析し、解析結果に基づいて、表示装置13が有する、他方の地点に配置された第2の利用者の画像を表示する表示部14を駆動制御部15が回動させ、表示部14の表示方向と、一方の地点に配置された第1の利用者を撮像し第1の利用者の画像を生成する撮像部16の撮像方向とを一致させる。なお、通信装置10は、異なる複数の地点にそれぞれ配置され、その内の任意の地点間、例えば一方の地点および他方の地点で通信を実施する。また、通信装置10は、異なる複数の地点にそれぞれ配置され、異なる任意の地点間、例えば一方の地点及び他方の地点間で通信を実施する。
【0018】
表示部14は、任意の地点に配置された利用者の画像を表示するもので、その表示部14は例えば、光を透過できる構造を設け、表示部14を透過した利用者の像を表示部14の裏側に配設した撮像部16が撮像するという構成が適用可能である。これは、表示部14が時分割で表示状態と透過状態とを繰り返すことで、表示状態の際に表示部14は他方の地点の利用者の画像を表示し、透過状態の際に表示部14は一方の地点の利用者の像を含む光を透過させる。透過した光は、表示部14の表示面裏側に配置された撮像部16が撮像可能となる。表示部14による光の射出方向と表示部14の表示面裏側に配置された撮像部16の透過入射光との光軸とが一致することから、視線を合わせた表示を行うことが可能となる。
【0019】
撮像部16は、通信装置10を利用する利用者を撮像し、撮像した画像を生成する。ここで、利用者の顔角度とは、図4(b)に示すように、撮像部16に対して利用者の視線方向が為す角度である。例えば、利用者Aの視線方向が撮像部16a2の撮像方向と一致する際、撮像部16a4に対する利用者Aの顔角度はθ度となる。またこのとき撮像部16a2に対する利用者Aの顔角度は0度となる。図5に示すように、撮像部16a2に対する利用者Aの顔角度は、利用者Aが表示部14a1に視線を投じているときは0度となる。また、撮像部16a1に対する利用者Bの顔角度は、利用者Bが表示部14a1に視線を投じているときは0度となる。
【0020】
送受信部12は、一方の地点に配置された通信装置10の撮像部16が撮像して生成した画像を他方の地点に配置された通信装置10に対して送信し、他方の地点に配置された通信装置10の撮像部16が撮像して生成し、送信された画像を受信する。また、送受信部12は、解析部11が解析した利用者の顔角度に対する解析情報を送受信する。
【0021】
解析部11は、通信装置10に配置された撮像部16が撮像した利用者の顔の画像から、撮像部16に対する利用者の顔の角度(顔角度)を解析し、解析情報を出力する。また、本発明の第1の実施の形態に係る解析部11は、図2に示すように中央演算処理装置(CPU)101の一部として構成すればよい。また、解析部11は、専用のハードウェアで構成しても良く、オープンプラットフォーム上で動作する通常のコンピュータシステムのCPUを用いて、ソフトウェアで実質的に等価な機能を有していても構わない。
【0022】
駆動部15は、図4(a)に示すように表示部14をZ軸を中心に回動させる。回動角度は、例えば図5に示すように、表示部14の表示方向が利用者の視線方向と一致するθである。図5に示す本発明の第1の実施の形態に係る通信システム100が通信を実施する際に、利用者同士の視線を表示部14に表示されたお互いの画像を介して仮想的に一致させるために表示部14を回動させる方法は後述する。
【0023】
なお、表示部14は例えば、表面前方に平板状のハーフミラーが配設された構成が適用可能である。表示された画像をハーフミラーを透過して視認可能にすると共に、ハーフミラーを介して表示部14と反対側に配置した利用者の像を含んだ反射光を、ハーフミラーの表面で反射させ撮像部16に送ることで、撮像部16は利用者を撮像可能である。この場合、利用者が表示部14を見る視線と反射前のハーフミラーの入射光の光軸とが一致することから、視線を合わせた表示を行うことが可能となる。
【0024】
また、表示部14は例えば、表示部14の全面に渡って微小な孔を設け、各微小孔に対して光ファイバーの一端部を臨ませ、光ファイバーの他端部を表示部14の周辺に配置された撮像部16に接続する構成も適用可能である。この場合、各微小孔に対して臨む光ファイバーの一端部それぞれは、利用者の像を含む表示部14への入射光を、表示部14上の対応する位置において捕らえることが可能なため、視線を合わせた表示を行うことが可能となる。
【0025】
つぎに、図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置10の機器構成として、中央演算処理装置101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103及び入出力インタフェース109が、バス110を介して接続されている。入出力インタフェース109には、入力装置104、表示装置105、通信制御装置106、記憶装置107、リムーバブルディスク108及び撮像装置111が接続されている。
【0026】
中央演算処理装置101は、入力装置104からの入力信号に基づいてROM102から通信装置10等を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、さらに記憶装置107に記憶されたオペレーティングシステムを読み出す。
【0027】
入力装置104は、利用者が各種の操作を入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスにより構成されており、利用者の操作に基づいて入力信号を作成し、入出力インタフェース109及びバス110を介して中央演算処理装置101に送信される。
【0028】
表示装置105は、中央演算処理装置101からバス110及び入出力インタフェース109を介して表示装置105において表示させる出力信号を受信する。図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る表示装置105は、図1に示す表示装置13に該当する。
【0029】
通信制御装置106は、LANカードやモデム等の装置であり、通信装置10等をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続する。
【0030】
記憶装置107は、中央演算処理装置101で実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0031】
リムーバブルディスク108は、ディスクドライブによって読み書きされた信号を、入出力インタフェース109及びバス110を介して中央演算処理装置101と送受信する。
【0032】
撮像装置111は、撮像光学系及び撮像素子とを有し、人間の眼で被写体を捉えるのと同じ様に被写体を捉えて画像データを生成する。図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置111は、図1に示す撮像部16に該当する。
【0033】
(通信システムの構成)
本発明の第1の実施の形態に係る通信システムは、異なる複数の地点にそれぞれ配置された通信装置10によって構成される。例えば、2地点間の通信について説明すると、図3、図5及び図6に示すように、地点I及び地点IIの間において、それぞれの地点に配置された第1の通信装置10a及び第2の通信装置10bが、通信システム100を構成する。図3に示すように、撮像部16aは、地点Iに配置された通信装置10aを利用している利用者A及びBを撮像し、生成した画像を送受信部12aは地点IIに配置された通信装置10bの送受信部12bに送信する。さらに、通信装置10aの利用者A及びBの画像を受信した送受信部12bは、撮像部16aが生成した画像及び画像を撮像した撮像部の情報を解析部11bに送信する。解析部11bは、受信した画像から利用者の顔の角度を解析する。解析結果を元に、駆動部15a1,15a2,15b1,15b2は表示部14a1,14a2,14b1,14b2を回動させる。
【0034】
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る通信システム100の機器構成及び配置条件等を、図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6に示すように、地点Iに配設された通信装置10aにおける撮像部16a、表示装置13a及び通信装置10aの利用者A,B等は予め設定された所定の位置に配置される。すなわち、図5に示すように、撮像部16a1は表示部14a1を介して利用者Bを撮像する。撮像部16a2は表示部14a1を介して利用者Aを撮像する。撮像部16a3は表示部14a2を介して利用者Bを撮像する。撮像部16a4は表示部14a2を介して利用者Aを撮像する。
【0035】
また、図4(a)に示す表示部14のように、図5に示す表示部14a1は表示部14a1のXY平面の中心において、鉛直方向を中心として時計回り及び反時計回りに少なくともθ度の範囲で回動可能であり、表示面の表示方向を利用者A及びBに指向させることができる。図4(a)及び図5に示すように、例えば表示部14a1は一点鎖線の表示部14a1と、実線の表示部14a1とは、それぞれ回動前後の姿勢を示す。この際の回動する角度はθ度である。
【0036】
さらに、利用者Aは撮像部16a2及び撮像部16a4からθ度を為して撮像される。すなわち、利用者Aが撮像部16a2の方向に顔を向けて、撮像部16a2が利用者Aの正面画像を撮像する際には、撮像部16a4は利用者Aのθ度における像を撮ることができる。このときの撮像部16a2に対する利用者Aの顔角度は0度であり、撮像部16a4に対する利用者Aの顔角度はθ度である。また、利用者Aが撮像部16a4の方向に顔を向けて、撮像部16a4が利用者Aの正面画像を撮像する際には、撮像部16a2は利用者Aのθ度における像を撮ることができる。このときの撮像部16a2に対する利用者Aの顔角度はθ度であり、撮像部16a4に対する利用者Aの顔角度は0度である。
【0037】
同様にして、撮像部16b1は表示部14b1を介して利用者Dを撮像する。撮像部16b2は表示部14b1を介して利用者Cを撮像する。撮像部16b3は表示部14b2を介して利用者Dを撮像する。撮像部16b4は表示部14b2を介して利用者Cを撮像する。
【0038】
つぎに、撮像部16a2への光入射方向の延長線上に利用者Aが配置されるため、利用者Aによる表示部14a1への視線と利用者Aによる撮像部16a2への視線とは一致する。このとき、撮像部16a2の撮像方向と利用者Aから撮像部16a2への視線方向とが対向するため、利用者Aが表示部14a1に視線を投じた際には、撮像部16a2は利用者Aが撮像部16a2に視線を投じた像を撮ることが可能となる。ここで、表示部14a1,14a2,14b1,14b2にはそれぞれ利用者C,D,A,Bの画像を常時表示する。したがって、利用者Aが表示部14a1に表示された利用者Cの画像に視線を投じることで、撮像部16a2は利用者Aの視線が撮像部16a2に投じられた像を撮ることができる。撮像部16a2の撮像方向と利用者Aによる撮像部16a2への視線方向が一致した利用者Aの像を表示部14b1が表示することで、表示された利用者Aの画像の視線方向と、表示部14b1の表示方向とは、表示部14b1の表示面の表示方向が表示面に直交するため一致する。以下、表示部の表示面に直交する方向を表示方向と記載する。そのため、表示部14b1の表示方向の延長線上に配置された利用者へ、表示部14b1が表示した利用者Aの画像の視線は投じられる。よって、表示部14b1の表示方向が利用者Cに向いており、利用者Cが表示部14b1に表示された利用者Aの画像に視線を投じた際には、利用者Cは表示部14b1が表示する利用者Aの画像と視線を一致させることができる。
【0039】
一方、利用者Aが顔の方向を変化させ、表示部14a2に視線を投じた場合、利用者Aは表示部14a2に表示された利用者Dの画像に視線を投じることになる。このとき、撮像部16a4は利用者Aの視線方向と撮像方向とが一致した利用者Aを撮像し、画像を生成することができる。また、撮像部16a2とは利用者Aを介してθ度の角度で配置された撮像部16a4の撮像方向に利用者Aが視線を投じることで、撮像部16a2は、正面からθ度の角度で斜めにずれた利用者Aを撮像する。送受信部12aは、撮像部16a4が撮像した画像と、該当する画像を生成したのは撮像部16a4であるという付加情報とを、地点IIに配置された通信装置10bの送受信部12bに送信する。また、送受信部12aは撮像部16a2が撮像した画像と、該当する画像を生成したのは撮像部16a2であるという付加情報とを、送受信部12bに送信する。表示部14b1は撮像部16a4が撮像した利用者Aの画像を表示する。
【0040】
つづいて、解析部11bは、撮像部16a4が撮像した利用者Aの画像を解析し、利用者Aの顔角度を算出する。図6に示すように、利用者Aが表示部14a2が表示された画像に視線を投じた際には、利用者Aの撮像部16a4に対する顔角度は0度となる。また、解析部11bは、撮像部16a2が撮像した利用者Aの画像を解析し、利用者Aの顔角度を算出する。図6に示すように、撮像部16a2から利用者Aへの撮像方向と、利用者Aから撮像部16a4への視線方向とが為す角度はθ度であるため、撮像部16a2に対する利用者Aの顔角度はθ度となる。解析部11bは、撮像部16a4が撮像した利用者Aの画像、該当する利用者Aの画像を撮像した撮像部は撮像部16a4であるという付加情報(以下において、「撮像実施機器情報」という。)、撮像部16a4が撮像した利用者Aの顔角度、撮像部16a2が撮像した利用者Aの画像、該当する利用者Aの画像に対する撮像実施機器情報及び撮像部16a2が撮像した利用者Aの顔角度を元に、利用者Aは利用者Dの画像に視線を投じていることを判別し、表示部14b1の表示方向が利用者Aの視線の対象である利用者Dの方向へ向くようθ度回転させるため、駆動部15b1を制御する。
【0041】
このようにして、図5及び図6に示すように、駆動部15b1は、利用者Aが表示部14a2に視線を投じるまでは、利用者Cの方向へ表示方向を向けていた表示部14b1を、利用者Aが表示部14a2に視線を投じた際に、利用者Dの方向へ表示方向が向くよう回動させる。解析部11bによる利用者Aの顔角度の解析により、回動させる角度はθ度である。θ度は、表示部14b1の利用者Cへの表示方向と、表示部14b1の利用者Dへの表示方向によって為される角度である。表示部14b1がθ度回動した結果、表示部14b1に表示された利用者Aの画像の視線方向は、表示部14b1の表示方向と同一のため利用者Dに向く。利用者Dが表示部14b1に視線を投じることによって、利用者Dの視線と表示部14b1に表示された利用者Aの画像の視線は一致する。
【0042】
(通信システムによる通信方法)
つぎに、本発明の第1の実施の形態に係る通信システム100において、異なる複数の地点にそれぞれ配置された通信装置10が互いに通信をする際、通信装置10の利用者同士の視線を一致させる方法について、図5及び6に示す概略図及び図7に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
【0043】
ここで、初期条件として、表示部14a1,14a2,14b1,14b2にはそれぞれ利用者C,D,A,Bを表示している。また、利用者Aは撮像部16a2及び16a4の撮像方向の延長線上に、利用者Bは撮像部16a1及び16a3の撮像方向の延長線上に,利用者Cは撮像部16b2及び16b4の撮像方向の延長線上に,利用者Dは撮像部16b1及び16b3の撮像方向の延長線上に、それぞれ配置される。さらにまた、表示部14a1の表示方向、撮像部16a2の撮像方向及び利用者Aによる撮像部16a2への視線方向は一致する。表示部14a2の表示方向、撮像部16a3の撮像方向及び利用者Bによる撮像部16a3への視線方向は一致する。表示部14b1の表示方向、撮像部16b2の撮像方向及び利用者Cによる撮像部16b2への視線方向は一致する。表示部14b2の表示方向、撮像部16b3の撮像方向及び利用者Dによる撮像部16b3への視線方向は一致する。また、利用者Aを介して、撮像部16a2及び撮像部16a4の撮像方向はθ度の角度を為す。利用者Bを介して、撮像部16a1及び撮像部16a3の撮像方向はθ度の角度を為す。利用者Cを介して、撮像部16b2及び撮像部16b4の撮像方向はθ度の角度を為す。利用者Dを介して、撮像部16b1及び撮像部16b3の撮像方向はθ度の角度を為す。
【0044】
このような状態において、利用者Aが、利用者Dの画像を表示する表示部14a2に視線を投じた際の通信システム100における通信方法を示す。
【0045】
(イ)ステップS101において、撮像部16a2及び16a4は利用者Aを撮像し、利用者Aの画像をそれぞれ生成する。ステップS102において、送受信部12aは、撮像部16a2及び16a4が撮像した利用者Aの画像、それぞれの画像に対する撮像実施機器情報を地点IIに配置された通信装置10bの送受信部12bに送信する。ステップS103において、送受信部12bは、撮像部16a2及び16a4が撮像した利用者Aの画像及びそれぞれの画像に対する撮像実施機器情報を受信する。
【0046】
(ロ)ステップS104において、表示部14b1は、撮像部16a4が撮像した利用者Aの画像を表示する。ステップS105において、解析部11bは、撮像部16a2及び16a4が撮像した利用者Aの画像、それぞれの画像に対する撮像実施機器情報を元に、撮像部16a2に対する利用者Aの顔角度はθ度、撮像部16a4に対する利用者Aの顔角度は0度であることを解析し、利用者Aは利用者Dの画像に視線を投じていることを判別する。
【0047】
(ハ)ステップS106において、ステップS105の解析結果に基づいて、解析部11bは、駆動部15b1を、表示部14b1の表示方向が利用者Aの視線の対象である利用者Dの方向へ向くようθ度回転させる。
【0048】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る通信システム100は、異なる複数の地点にそれぞれ配置された通信装置10を利用可能な複数の利用者同士が通信する際に、お互いの利用者同士の画像を介して視線が一致するように支援することができる。そのため、同時刻、異なる場所に配置された利用者同士による通信は、同一の場所で意思の伝達を実施しているかに極めて近い臨場感を生成することが可能となり、円滑なコミュニケーションを図ることができる。
【0049】
<第2の実施の形態>
(通信装置の構成)
本発明の第2の実施の形態に係る通信装置は、図8に示すように、送受信部22を介して受信した他方の地点に配置される第2の利用者の画像を一方の地点に配置された第1の利用者に対して表示し、他方の地点に配置された第2の利用者の人数と同数であり、複数の第2の利用者の画像を同時に重複せずに表示する複数の表示部24と、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部24の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部26とを備える。また、通信装置20は、異なる複数の地点にそれぞれ配置され、異なる任意の地点間、例えば一方の地点及び他方の地点間で通信を実施する。
【0050】
表示部24は、図10に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置10の表示部14と異なり、固定された2枚の表示面を有する。2枚の表示面はそれぞれ、異なる地点に配置された通信装置を利用する複数の利用者の中から異なる利用者の画像を表示する。また表示装置24は、複数の表示面の表示方向がそれぞれ異なる利用者に向くよう構成される。
【0051】
(通信システムの構成)
本発明の第2の実施の形態に係る通信システムは、第1の実施の形態に係る通信システム100と同様に、異なる複数の地点にそれぞれ配置された通信装置20によって構成される。例えば、2地点間の通信において説明すると、図9、図10、図11及び図12に示すように、地点I及び地点IIの間において、それぞれの地点に配置された第1の通信装置20a及び第2の通信装置20bが、通信システム200を構成する。図9に示すように、撮像部26aは、地点Iに配置された通信装置20aを利用している利用者A及びBを撮像し、生成した画像を送受信部22aは地点IIに配置された通信装置20bの送受信部22bに送信する。さらに、通信装置20aの利用者A及びBの画像を受信した送受信部22bは、撮像部26aが生成した画像を表示部24bに送信し、表示部24bは受信した画像を表示する。
【0052】
ここで、本発明の第2の実施の形態に係る通信システム200の機器構成及び配置条件等を、図10、図11及び図12を用いて説明する。図10、図11及び図12に示すように、地点Iに配設された通信装置20aにおける撮像部26a、表示部24a及び通信装置20aの利用者A,B等は予め設定された所定の位置に配置される。すなわち、撮像部26a1は表示部24a2を介して利用者Bを撮像する。撮像部26a2は表示部24a1を介して利用者Aを撮像する。撮像部26a3は表示部24a4を介して利用者Bを撮像する。撮像部26a4は表示部24a3を介して利用者Aを撮像する。
【0053】
表示部24a1の表示方向は撮像部26a2の撮像方向と同一であり、撮像部26a2への光入射方向の延長線上に利用者Aが配置されるため、利用者Aによる表示部24a1への視線と利用者Aによる撮像部26a2への視線とは一致する。このとき、撮像部26a2の撮像方向と利用者Aから撮像部26a2による撮像部26a2への視線方向は対抗一致するため、利用者Aが表示部24a1に視線を投じた歳には、撮像部26a2は利用者Aが撮像部26a2に視線を投じた像を撮ることが可能となる。ここで、表示部24a1,24a2は利用者Cの、表示部24a3,24a4は利用者Dの、表示部24b1,24b2は利用者Aの、表示部24b3,24b4は利用者Bの画像を常時表示する。したがって、利用者Aが表示部24a1に表示された利用者Cの画像に視線を投じることで、撮像部26a2は利用者Aの視線が撮像部26a2に投じられた像を撮ることができる。撮像部26a2の撮像方向と利用者Aによる撮像部24a2への視線方向とが一致した利用者Aの像を表示部24b1が表示することで、表示された利用者Aの画像の視線方向と、表示部24b1の表示方向とは、表示部24b1の表示面の表示方向が表示面に直交するため一致する。そのため、表示部24b1の表示方向の延長線上に配置された利用者Cへ、表示部24b1が表示した利用者Aの画像の視線は投じられる。
【0054】
一方、図11に示すように、利用者Aが顔の方向を変化させ、表示部24a3に視線を投じた場合、利用者Aは表示部24a3に表示された利用者Dの画像に視線を投じることになる。このとき、撮像部26a4は利用者Aの視線方向と撮像方向とが一致した利用者Aを撮像し、画像を生成することができる。また、撮像部26a2とは利用者Aを介してθ’度の角度で配置された撮像部26a4の撮像方向に利用者Aが視線を投じることで、撮像部26a2は正面からθ’度の角度で斜めにずれた利用者Aを撮像する。表示部24b2は撮像部26a4が撮像した利用者Aの正面画像を表示し、表示部24b1は撮像部26a2が撮像した利用者Aの斜めθ’度にずれた像を表示する。
【0055】
なお、より実際の対話状態に近づけるために、利用者が表示部へ視線を投じた際の視線方向と異なる表示方向の表示部に表示された画像が各利用者に視認できないよう、図10に示すように、各表示部は遮蔽板27a1,27a2,27b1,27b2を備えることも可能である。遮蔽板27a1は、表示部24a1が表示する画像を利用者Bから遮蔽し、表示部24a2が表示する画像を利用者Aから遮蔽する。遮蔽板27a2は、表示部24a3が表示する画像を利用者Bから遮蔽し、表示部24a4が表示する画像を利用者Aから遮蔽する。遮蔽板27b1は、表示部24b1が表示する画像を利用者Dから遮蔽し、表示部24b2が表示する画像を利用者Cから遮蔽する。遮蔽板27b2は、表示部24b3が表示する画像を利用者Dから遮蔽し、表示部24b4が表示する画像を利用者Cから遮蔽する。
【0056】
また、同様の理由で、図12に示すように、各表示部は遮蔽フィルタ28a1,28a2,28a3,28a4,28b1,28b2,28b3,28b4を備えることも可能である。遮蔽フィルタ28a1は表示部24a1の表示面に配置され、利用者Bからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28a2は表示部24a2の表示面に配置され、利用者Aからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28a3は表示部24a3の表示面に配置され、利用者Bからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28a4は表示部24a4の表示面に配置され、利用者Aからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28b1は表示部24b1の表示面に配置され、利用者Dからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28b2は表示部24b2の表示面に配置され、利用者Cからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28b3は表示部24b3の表示面に配置され、利用者Dからの視認を遮蔽する。遮蔽フィルタ28b4は表示部24b4の表示面に配置され、利用者Cからの視認を遮蔽する。
【0057】
(通信システムによる通信方法)
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る通信システム200において、異なる複数の地点にそれぞれ配置された通信装置20が互いに通信をする際、通信装置20の利用者同士の視線を一致させる方法について、図10、図11及び12に示す概略図及び図13に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
【0058】
ここで、初期条件として、表示部24a1,24a2は利用者Cの、表示部24a3,24a4は利用者Dの、表示部24b1,24b2は利用者Aの、表示部24b3,24b4は利用者Bの画像を常時表示している。また、利用者Aは撮像部26a2及び26a4の撮像方向の延長線上に、利用者Bは撮像部26a1及び26a3の撮像方向の延長線上に,利用者Cは撮像部26b2及び26b4の撮像方向の延長線上に,利用者Dは撮像部26b1及び26b3の撮像方向の延長線上に、それぞれ配置される。さらにまた、表示部24a1の表示方向、撮像部26a2の撮像方向及び利用者Aによる撮像部26a2への視線方向は一致する。表示部24a2の表示方向、撮像部26a1の撮像方向及び利用者Bによる撮像部26a1への視線方向は一致する。表示部24a3の表示方向、撮像部26a4の撮像方向及び利用者Aによる撮像部26a4への視線方向は一致する。表示部24a4の表示方向、撮像部26a3の撮像方向及び利用者Bによる撮像部26a3への視線方向は一致する。表示部24b1の表示方向、撮像部26b2の撮像方向及び利用者Cによる撮像部26b2への視線方向は一致する。表示部24b2の表示方向、撮像部26b1の撮像方向及び利用者Dによる撮像部26b1への視線方向は一致する。表示部24b3の表示方向、撮像部26b4の撮像方向及び利用者Cによる撮像部26b4への視線方向は一致する。表示部24b4の表示方向、撮像部26b3の撮像方向及び利用者Dによる撮像部26b3への視線方向は一致する。また、利用者Aを介して、撮像部26a2及び撮像部26a4の撮像方向はθ度の角度を為す。利用者Bを介して、撮像部26a1及び撮像部26a3の撮像方向はθ度の角度を為す。利用者Cを介して、撮像部26b2及び撮像部26b4の撮像方向はθ度の角度を為す。利用者Dを介して、撮像部26b1及び撮像部26b3の撮像方向はθ度の角度を為す。
【0059】
このような状態において、利用者Aが、利用者Dの画像を表示する表示部24a3に視線を投じた際の通信システム200における通信方法を示す。
【0060】
(イ)ステップS201において、撮像部26a2及び26a4は利用者Aを撮像し、利用者Aの画像をそれぞれ生成する。撮像部26a4は、撮像方向と利用者Aの視線方向が一致した像を撮る。また、撮像部26a2は、利用者Aの視線方向が撮像部26a2とはθ’度ずれた像を撮る。ステップS202において、送受信部22aは、撮像部26a2及び26a4が撮像した利用者Aの画像を地点IIに配置された通信装置20bの送受信部22bに送信する。ステップS203において、送受信部22bは、撮像部26a2及び26a4が撮像した利用者Aの画像を受信する。
【0061】
(ロ)ステップS204において、表示部24b1は、撮像部26a2が撮像した利用者Aの画像、すなわち、表示部24b1の表示方向とはθ’度視線方向がずれた利用者Aの画像を表示する。このとき、表示部24b1に表示された利用者Aの画像の視線方向は、撮像部26b1の撮像方向と平行である。また、表示部24b2は、撮像部26a4が撮像した利用者Aの画像、すなわち、表示部24b2の表示方向及び利用者Dによる表示部24b2への視線方向と一致した利用者Aの画像を表示する。
【0062】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る通信システム200は、
一方の利用者と他方の利用者が通信を行う通信状態において、
一方の利用者が他方の利用者の画像に視線を投じた際、常に他方の利用者に対して視線を投じている一方の利用者の画像が表示されるため、他方の利用者が一方の利用者の画像に対して視線を投じることによって、他方の利用者は一方の利用者の画像と視線を一致させることができる。また、通信システム200は、利用者の視線の方向が表示部が表示する画像として反映されるため、一方の利用者が他方の利用者の画像へ視線を投じてから他方の利用者が、一方の利用者による視線を投じた画像を視認可能になるまで、時間的なギャップが著しく小さく、利用者間でお互いの画像を介して視線を一致させることによる違和感を低減することができる。
【0063】
<第3の実施の形態>
(通信装置及び通信システムの構成)
本発明の第3の実施の形態に係る通信装置及び通信システムは、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置及び通信システムと、図14及び図15に示すように、撮像部36a1〜36a9,36b1〜36b9,46a1〜46a9,46b1〜46b9、表示部34a1〜34a9,34b1〜34b9,44a1〜44a9,44b1〜44b9、遮蔽盤37a1〜37a6,37b1〜37b6、遮蔽フィルタ47a1〜47a9,47b1〜47b9利用者等の数及び配置が異なる。
【0064】
本発明の第3の実施の形態に係る通信装置及び通信システム40は、図14に示すように、地点I及び地点IIにそれぞれ3人の利用者が配置され通信を実施する際の構成となる。図14に示すように、地点Iに配置された通信装置30aを、利用者A,B,Cが利用する。また、地点IIに配置された通信装置30bを利用者A’,B’,C’が利用する。
【0065】
利用者Aから表示部34a1への視線方向と表示部34a1の表示方向及び36a3から利用者Aへの撮像方向は一致する。利用者Aから表示部34a5への視線方向と表示部34a5の表示方向及び36a5から利用者Aへの撮像方向は一致する。利用者Aから表示部34a9への視線方向と表示部34a9の表示方向及び36a7から利用者Aへの撮像方向は一致する。同様に、利用者Bから表示部34a3への視線方向と表示部34a3の表示方向及び36a1から利用者Bへの撮像方向は一致する。利用者Bから表示部34a8への視線方向と表示部34a8の表示方向及び36a8から利用者Bへの撮像方向は一致する。利用者Bから表示部34a4への視線方向と表示部34a4の表示方向及び36a6から利用者Bへの撮像方向は一致する。さらに、利用者Cから表示部34a6への視線方向と表示部34a6の表示方向及び36a4から利用者Cへの撮像方向は一致する。利用者Cから表示部34a2への視線方向と表示部34a2の表示方向及び36a2から利用者Cへの撮像方向は一致する。利用者Cから表示部34a7への視線方向と表示部34a7の表示方向及び36a9から利用者Cへの撮像方向は一致する。
【0066】
表示部34a1,34a2,34a3はそれぞれ利用者C’を常に表示する。表示部34a4,34a5,34a6はそれぞれ利用者B’を常に表示する。表示部34a7,34a8,34a9はそれぞれ利用者A’を常に表示する。
【0067】
なお、遮蔽板37a1は利用者Aによる表示部34a2の視認を遮る。遮蔽板37a2は利用者Bによる表示部34a2の視認を遮る。遮蔽板37a3は利用者Bによる表示部34a5の視認を遮る。遮蔽板37a4は利用者Cによる表示部34a5の視認を遮る。
遮蔽板37a5は利用者Cによる表示部34a8の視認を遮る。遮蔽板37a6は利用者Aによる表示部34a8の視認を遮る。また、図15に示すように、表示部の表示を表示方向以外の視線から遮るために、遮蔽板の代わりに遮蔽フィルタを使用することも可能である。遮蔽フィルタ47a1,47a5,47a9は利用者A以外からの視線を遮る。遮蔽フィルタ47a3,47a4,47a8は利用者B以外からの視線を遮る。遮蔽フィルタ47a2,47a6,47a7は利用者C以外からの視線を遮る。
【0068】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る通信システムでは、複数の地点に配置された利用者が3人の場合でも、表示部及び撮像部の台数、配置及び配置方向、利用者の配置等を調整して設定及び構成することで、一方の地点に配置された利用者は他方の地点に配置された利用者とそれぞれお互いの画像を介して仮想的に視線を一致させる通信が実施可能である。
【0069】
なおこのようにして、表示部及び撮像部の台数、配置及び配置方向、利用者の配置等を調整して設定及び構成することで、4以上の複数の利用者がそれぞれお互いの画像を介して仮想的に視線を一致させる通信が実施可能である。
【0070】
<その他の実施の形態>
上記のように、本発明は本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。
【0071】
上記によれば、以下のような通信装置、通信システム及び通信方法が記載されている。
【0072】
一方の地点に配置された第1の利用者に対して、他方の地点に配置された第2の利用者の画像を表示する表示部14と、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部16と、第1の利用者の画像を送信し、第2の利用者の画像を受信する送受信部12と、受信した第2の利用者の画像を解析し、撮像方向と視線方向とが為す角度である第2の利用者の顔角度を算出し、複数の第1の利用者の中から第2の利用者が視線を投じている第1の利用者を判別する解析部11と、解析部11による解析結果に基づいて、第2の利用者が視線を投じている第1の利用者の画像を表示する表示部14の表示方向を、第2の利用者の配置方向に回動させる駆動部15とを備え、表示部14が表示した第2の利用者の画像の視線方向と第1の利用者による表示部14への視線方向とを対向させることを特徴とする通信装置10。
【0073】
異なる一方及び他方の地点に位置する利用者の間で、通信ネットワークを介して映像及び音声情報の通信がなされる通信システム100であって、一方の地点に配置された第1の利用者に対して、他方の地点に配置された第2の利用者の画像を表示する表示部14と、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部16と、第1の利用者の画像を送信し、第2の利用者の画像を受信する送受信部12と、受信した第2の利用者の画像を解析し、撮像方向と視線方向とが為す角度である第2の利用者の顔角度を算出し、複数の第1の利用者の中から第2の利用者が視線を投じている第1の利用者を判別する解析部11と、解析部11による解析結果に基づいて、第2の利用者が視線を投じている第1の利用者の画像を表示する表示部14の表示方向を、第2の利用者の配置方向に回動させる駆動部15とを備え、表示部14が表示した第2の利用者の画像の視線方向と第1の利用者による表示部14への視線方向とを対向させる第1の通信装置10と、他方の地点に配置された第2の利用者に対して、一方の地点に配置された第1の利用者の画像を表示する表示部14と、第2の利用者を撮像し、第2の利用者の画像を生成し、第2の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第2の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部16と、第2の利用者の画像を送信し、第1の利用者の画像を受信する送受信部12と、受信した第1の利用者の画像を解析し、撮像方向と視線方向とが為す角度である第1の利用者の顔角度を算出し、複数の第2の利用者の中から第1の利用者が視線を投じている第2の利用者を判別する解析部11と、解析部11による解析結果に基づいて、第1の利用者が視線を投じている第2の利用者の画像を表示する表示部14の表示方向を、第1の利用者の配置方向に回動させる駆動部15とを備え、表示部14が表示した第1の利用者の画像の視線方向と第2の利用者による表示部14への視線方向とを対向させる第2の通信装置10とにより構成されることを特徴とする通信システム100。
【0074】
表示部14が、一方の地点に配置された第1の利用者に対して、他方の地点に配置された第2の利用者の画像を表示するステップと、撮像部16が、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置されるステップと、送受信部12が、第1の利用者の画像を送信し、第2の利用者の画像を受信するステップと、解析部11が、受信した第2の利用者の画像を解析し、撮像方向と視線方向とが為す角度である第2の利用者の顔角度を算出し、複数の第1の利用者の中から第2の利用者が視線を投じている第1の利用者を判別するステップと、駆動部15が、解析部11による解析結果に基づいて、第2の利用者が視線を投じている第1の利用者の画像を表示する表示部14の表示方向を、第2の利用者の配置方向に回動させるステップとを含み、表示部14が表示した第2の利用者の画像の視線方向と第1の利用者による表示部14への視線方向とを対向させることを特徴とする通信方法。
【0075】
一方の地点に配置された第1の利用者に対して表示し、他方の地点に配置された第2の利用者の人数と同数であり、複数の第2の利用者の画像を同時に重複せずに表示する複数の表示部14と、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部16と、第1の利用者の画像を送信し、第2の利用者の画像を受信する送受信部12とを備え、表示部14は、表示部14の表示方向と第1の利用者による表示部14への視線方向とを対向させることを特徴とする通信装置10。
【0076】
異なる一方及び他方の地点に位置する利用者の間で、通信ネットワークを介して映像及び音声情報の通信がなされる通信システム100であって、一方の地点に配置された第1の利用者に対して表示し、他方の地点に配置された第2の利用者の人数と同数であり、複数の第2の利用者の画像を同時に重複せずに表示する複数の表示部14と、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部16と、第1の利用者の画像を送信し、第2の利用者の画像を受信する送受信部12とを備え、表示部14は、表示部の表示方向と第1の利用者による表示部14への視線方向とを対向させる第1の通信装置10と、他方の地点に配置された第2の利用者に対して表示し、一方の地点に配置された第1の利用者の人数と同数であり、複数の第1の利用者の画像を同時に重複せずに表示する複数の表示部14と、第2の利用者を撮像し、第2の利用者の画像を生成し、第2の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第2の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置される撮像部16と、第2の利用者の画像を送信し、第1の利用者の画像を受信する送受信部12とを備え、表示部14は、表示部14の表示方向と第2の利用者による表示部14への視線方向とを対向させる第2の通信装置10と、とにより構成されることを特徴とする通信システム100。
【0077】
表示部14が、一方の地点に配置された第1の利用者に対して表示し、他方の地点に配置された第2の利用者の人数と同数であり、複数の第2の利用者の画像を同時に重複せずに表示するステップと、撮像部16が、第1の利用者を撮像し、第1の利用者の画像を生成し、第1の利用者の視線方向が表示部14の表示方向と対向するとき、同時に第1の利用者の視線方向と撮像方向が対向するように配置されるステップと、送受信部12が、第1の利用者の画像を送信し、第2の利用者の画像を受信するステップとを含み、表示するステップは、表示部14の表示方向と第1の利用者による表示部14への視線方向とを対向させることを特徴とする通信方法。
【0078】
しかし例えば、撮像部16及び表示部14は一体となった構成に変更可能である。また、一つの地点に配置された通信装置が同時に複数の地点それぞれ配置された通信装置と通信する形態も可能であり、複数の地点に配置される利用者の人数がそれぞれ異なっても構わない。
【0079】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0080】
A,B,C,D…利用者
10、20…通信装置
11、21…解析部
12、22…送受信部
13…表示装置
14、24…表示部
15…駆動部
16…撮像部
100、200…通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示し、所定の角度範囲で回動する表示部と、
前記第1の利用者が前記表示部と正対した際に前記第1の利用者の正対画像を撮像する位置に配置された第1の撮像部と、
前記第1の撮像部の撮像画像を外部に送信し、前記第2の利用者の画像を外部から受信する通信部と、
前記通信部で受信した前記第2の利用者の画像を解析し、前記第2の利用者が前記第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部に視線を投じていると判断した場合に、前記表示部を前記第1の利用者に対して正対させるよう回動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
第1の地点及び第2の地点のそれぞれに配置された通信装置間で映像の通信を行う通信システムであって、
前記通信装置は、
一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して、他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示し、所定の角度範囲で回動する表示部と、
前記第1の利用者が前記表示部と正対した際に前記第1の利用者の正対画像を撮像する位置に配置された第1の撮像部と、
前記第1の撮像部で撮像した画像を外部に送信し、前記第2の利用者の画像を外部から受信する通信部と、
前記通信部で受信した前記第2の利用者の画像を解析し、前記第2の利用者が前記第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部に視線を投じていると判断した場合に、前記表示部を前記第1の利用者に対して正対させるよう回動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
第1の地点及び第2の地点のそれぞれに配置された通信装置間で映像の通信を行う通信方法であって、
表示部が、一方の地点の所定位置にいる第1の利用者に対して、他方の地点の所定位置にいる第2の利用者の画像を表示部により表示する表示ステップと、
第1の撮像部が、前記第1の利用者が前記表示部と正対した際に前記第1の利用者の正対画像を撮像する撮像ステップと、
通信部が、前記撮像ステップで撮像した画像を外部に送信し、前記第2の利用者の画像を外部から受信する通信ステップと、
制御部が、前記通信ステップで受信した前記第2の利用者の画像を解析し、前記第2の利用者が前記第2の利用者の画像を撮像している第2の撮像部に視線を投じていると判断した場合に、前記表示部を前記第1の利用者に対して正対させるよう回動させる回動制御ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。
【請求項4】
第1の地点の所定の位置にいる第1の利用者と第2の地点の所定のn(n:自然数)箇所の位置にいるn人の第2の利用者との間で、各利用者の画像を前記第1及び第2の地点にそれぞれ配置された第1及び第2の通信装置を介して通信する通信システムであって、
前記第2の通信装置は、
前記第2の利用者それぞれの画像を撮像する第1〜第nの第2撮像装置群と、前記画像を送信する送信部と、を備え、
前記第1の通信装置は、
前記第1の利用者の向きに対応して正対可能な位置に配置された第1〜第nの表示装置群と、前記第1の利用者が前記第1〜第nの表示装置群それぞれに正対した際に前記第1の利用者の正対像を撮像する位置に配置されたn個の第1撮像装置群と、前記第2撮像装置群で撮像した画像を受信する受信部と、を備えると共に、前記第1の利用者に対し、前記受信部で受信した前記第2撮像装置群で撮像した前記第2の利用者の画像を前記第1〜第nの表示装置群にそれぞれ独立して表示するよう構成されることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
第1の地点の所定の位置にいる第1の利用者と第2の地点の所定のn(n:自然数)箇所の位置にいるn人の第2の利用者との間で、各利用者の画像を前記第1及び第2の地点にそれぞれ配置された第1及び第2の通信装置を介して通信する通信方法であって、
前記第2の通信装置において、第1〜第nの第2撮像装置群が、前記第2の利用者それぞれの画像を撮像する撮像ステップと、
送信部が、前記第2の利用者それぞれの画像を送信する送信ステップと、
前記第1の通信装置において、受信部が、前記送信ステップで送信された前記第2の利用者それぞれの画像を受信する受信ステップと、
第1〜第nの表示装置群が、前記第1の利用者に対し、前記受信ステップで受信した前記第2の利用者それぞれの画像を独立して表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−40962(P2011−40962A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186017(P2009−186017)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】