説明

通信装置、通信制御方法、およびプログラム

【課題】緊急地震速報を受信した後に地震によって停電となった場合であっても、通信装置に格納されているデータを当該通信装置とは別の機器に保存可能とする通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置は、バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続される。通信装置は、CPUと、データを格納するためのメモリと、電子機器と通信するための第1の通信インターフェイスと、外部のネットワークと通信するための第2の通信インターフェイスとを備える。CPUは、第2の通信インターフェイスを用いて、ネットワークから地震速報を受信する。CPUは、地震速報が受信されたことに基づき、第1の通信インターフェイスを用いて、電子機器に対してデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御方法、およびプログラムに関し、特に、緊急地震速報を受信する通信装置、当該通信装置における通信制御方法、および当該通信装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急地震速報が知られている。「緊急地震速報」とは、各地での予測した主要動の到達時刻および震度を可能な限り素早く知らせるための地震動の予報・警報である。なお、当該各地での予測した主要動の到達時刻および震度は、地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた観測データを解析して震源および地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定することによって得られる。
【0003】
特許文献1〜7には、上記緊急地震速報を受信する構成の装置が開示されている。たとえば、特許文献1には、緊急地震速報を受信すると当該緊急地震速報から予測震度や主要動の到達時刻等の情報を算出するとともに子機へ地震検知通知を送信する構成を有する親機が開示されている。また、特許文献4には、通信装置がNTP(Network Time Protocol)サーバに定期的にアクセスすることによりNTPサーバから時刻情報を取得することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−159547号公報
【特許文献2】特開2009−88780号公報
【特許文献3】特開2010−118997号公報
【特許文献4】特開2009−130418号公報
【特許文献5】特開2009−86698号公報
【特許文献6】特開2010−28625号公報
【特許文献7】特開2010−50672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜7に記載の装置では、地震により停電となった場合、当該装置内に格納しているデータをユーザは利用(たとえば視認)することができない。あるいは、停電により上記データが消失するおそれもある。
【0006】
本願発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、緊急地震速報を受信した後に地震によって停電となる前に、通信装置に格納されているデータを、当該通信装置とは別の機器に保存可能とする通信装置、通信制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従うと、通信装置は、バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続されている。通信装置は、プロセッサと、データを格納するためのメモリと、電子機器と通信するための第1の通信インターフェイスと、外部のネットワークと通信するための第2の通信インターフェイスとを備える。プロセッサは、第2の通信インターフェイスを用いて、ネットワークから地震速報を受信する。プロセッサは、地震速報が受信されたことに基づき、第1の通信インターフェイスを用いて、電子機器に対してデータを送信する。
【0008】
好ましくは、通信装置は、複数の電子機器と通信可能に接続されている。メモリは、複数の電子機器に対するデータの送信順序を表した順序情報をさらに格納している。プロセッサは、順序情報における送信順序に従って、各電子機器に対してデータを送信する。
【0009】
好ましくは、プロセッサは、第1の通信インターフェイスを用いて、各電子機器から当該電子機器のバッテリの残容量を表した残容量情報を受信する。プロセッサは、残容量の多い順に送信順序を設定する。
【0010】
好ましくは、プロセッサは、電子機器に対するデータの送信に失敗した場合、当該電子機器に対してデータの再送信を試みることなく、当該電子機器の次の送信順序の電子機器に対してデータを送信する。
【0011】
好ましくは、プロセッサは、地震速報が受信されたことに基づき、第2の通信インターフェイスを用いて、ネットワークから時刻情報を受信する。プロセッサは、各電子機器に対して時刻情報をさらに送信する。
【0012】
好ましくは、メモリは、不揮発性メモリと、揮発性メモリとを含む。データは、第1のデータと第2のデータとを含む。不揮発性メモリは、第1のデータを格納している。揮発性メモリは、第2のデータを格納している。プロセッサは、電子機器の各々において、第1の通信インターフェイスを用いて第1のデータを電子機器に送信した後に第2のデータを当該電子機器に送信する。
【0013】
好ましくは、プロセッサは、地震速報を受信したことに基づき、第2のデータを不揮発性メモリに格納する。
【0014】
本発明の他の局面に従うと、通信制御方法は、バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続される通信装置における通信制御方法である。通信制御方法は、通信装置が、ネットワークから地震速報を受信するステップと、通信装置が、地震速報が受信されたことに基づき、通信インターフェイスを用いて、電子機器に対して通信装置のメモリに格納されているデータを送信するステップとを備える。
【0015】
本発明のさらに他の局面に従うと、プログラムは、バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続される通信装置を制御するためのプログラムである。プログラムは、ネットワークから地震速報を受信するステップと、地震速報が受信されたことに基づき、通信インターフェイスを用いて、電子機器に対して通信装置のメモリに格納されているデータを送信するステップとを、通信装置のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、緊急地震速報を受信した後に地震によって停電となる前に、通信装置に格納されているデータを、当該通信装置とは別の機器である電子機器に保存可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】通信システムの概略を説明するための図である。
【図2】通信システムで実行される処理の概要を説明するためのシーケンスチャートである。
【図3】親機のハードウェア構成の概略を表した図である。
【図4】子機のハードウェア構成の概略を表した図である。
【図5】親機がメモリに格納しているデータテーブルを表した図である。
【図6】親機が緊急地震速報を受信した後の、親機および子機の画面遷移図である。
【図7】親機におけるデータ処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】バッテリの残容量を用いる場合における通信システムで実行される処理の概要を説明するためのシーケンスチャートである。
【図9】親機が格納する他のデータテーブルを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態に係る通信システムについて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
なお、以下の説明では、通信装置の一例として親子電話の親機を、電子機器の一例として当該親子電話の子機を挙げて説明する。ただし、通信装置および電子機器は、電話機の親機および子機に限定されるものではなく、それぞれ、ファクシミリの親機および子機、無線LANの親機および子機、その他の通信システムの親機および子機であってもよい。
【0020】
さらには、通信装置および電子機器は、親機と子機との関係を有していなくてもよい。通信装置は電子機器にデータを送信可能な装置であり、かつ電子機器は通信装置から当該データを受信可能な機器であればよい。なお、通信装置と電子機器とは、互いにデータの送受信を行なう構成であることが好ましい。
【0021】
<A.システム構成>
図1は、通信システム1の概略を説明するための図である。図1を参照して、通信システム1は、親子電話(つまりコードレス電話)システムである。通信システム1は、親機10と、複数の子機21〜23とを備える。なお、以下の説明では、子機が複数の場合を例に挙げて説明するが、子機が1台であってもよい。
【0022】
親機10は、無線通信によって各子機21〜23と通信可能に接続されている。また、親機10は、外部のネットワーク90と通信可能に接続されている。なお、親機10とネットワーク90との間の通信は、たとえば、PSTN(Public Switched Telephone Networks),WiFi(Wireless Fidelity),LAN(Local Area Network)により実現される。親機10は、ネットワーク90から緊急地震速報を受信可能に構成されている。
【0023】
親機10は、商用電源から電力の供給を受ける。親機10は、当該電力の供給を受けることにより動作する。親機10は、バッテリを備えていないため、電力の供給が停止すると動作を停止する。したがって、親機10への電力の供給が停止した場合、ユーザは、親機10からの発呼、親機10に格納されているデータの視認等ができなくなる。
【0024】
各子機21〜23は、充電可能なバッテリ(図4参照)を内蔵している。各子機21〜23は、商用電源からの電力によりバッテリの充電を行なう。詳しくは、各子機21〜23は、それぞれ充電器21a〜23aによってバッテリの充電を行なう。充電器21a〜23aは、それぞれ子機21〜23の載置台としても機能している。
【0025】
ユーザは、親機10への電力の供給が行なわれている状態では、親機10を携帯できない。より正確には、ユーザは、商用電源からの電源の供給を受けるためのコード(図示せず)の届く範囲でしか親機10を利用できない。一方、各子機21〜23が上記のようにバッテリを備えるため、ユーザは、各子機21〜23の電源がオンの状態であっても、各子機21〜23を携帯できる。
【0026】
<B.親機の処理の概要>
図2は、通信システム1で実行される処理の概要を説明するためのシーケンスチャートである。図2を参照して、ステップS202において、親機10は、ネットワーク90から緊急地震速報を受信する。ステップS204において、親機10は、子機21に対して、親機10に格納されているデータを送信する。ステップS206において、親機10は、子機22に対して、親機10に格納されているデータを送信する。ステップS208において、親機10は、子機23に対して、親機10に格納されているデータを送信する。
【0027】
典型的には、親機10は、各子機21〜23と対して、ユニキャストでデータを送信する。親機10が、子機に対してデータを送信する順序は、親機10において予め設定されている。図2の場合、子機21が1番、子機22が2番、子機23が3番と親機10において設定されている例を挙げている。
【0028】
また、「親機10に格納されているデータ」とは、親機10の不揮発性メモリ、および親機の揮発性メモリに格納されている各種のデータである。親機10の不揮発性メモリに格納されているデータとしては、たとえば、電話帳データ、メールアドレス等が挙げられる。また、親機10の揮発性メモリに格納されているデータとしては、たとえば、着信履歴、発信履歴、メールの受信履歴、メールの送信履歴等が挙げられる。
【0029】
以上のように、親機10は、緊急地震速報を受信したことに基づき、親機10に格納されているデータを各子機21〜23に送信する。それゆえ、各子機21〜23の少なくとも1台の子機は、地震による揺れが発生するまでに親機10に格納されているデータを受信することが可能となる。すなわち、緊急地震速報を受信した後に地震によって停電となる前に、親機10に格納されているデータを子機に保存可能となる。
【0030】
したがって、ユーザは、緊急地震速報を受信した後に地震により停電が発生した場合(つまり、親機10への電力供給が停止した場合)であっても、データを受信した子機を利用することによって、親機10に格納されているデータと同じデータを利用することができる。典型的には、ユーザは、子機に対して、親機10に格納されているデータと同じデータを読み出させるとともに当該読み出したデータを当該子機のディスプレイに表示させる操作を行なうことにより、当該データの内容を視認できる。
【0031】
以下、上記の処理を実現するための通信システム1の具体的に構成について説明する。
<C.ハードウェア構成>
(c1.親機10)
図3は、親機10のハードウェア構成の概略を表した図である。図3を参照して、親機10は、CPU(Central Processing Unit)110と、メモリ120と、ディスプレイ130と、操作キー140と、スピーカ150と、マイク160と、音声信号処理回路170と、通信インターフェイス180と、アンテナ189と、通信インターフェイス190とを備える。
【0032】
メモリ120は、揮発性メモリ121と、不揮発性メモリ122とを含む。不揮発性メモリ122としては、たとえば、フラッシュメモリが挙げられる。
【0033】
揮発性メモリ121は、データ121dを格納している。データ121dは、たとえば、着信履歴、発信履歴、メールの送信履歴、メールの受信履歴である。不揮発性メモリ122は、データ122dを格納している。データ122dは、たとえば、電話帳、メールアドレスである。また、不揮発性メモリ122は、データ122d以外に、OS(Operating System)、各種のプログラム、後述するデータテーブル900(図5参照)を格納している。
【0034】
CPU110は、メモリ120に格納されているOSおよび各種のプログラムを実行する。ディスプレイ130は、メモリ120に格納されている各種の情報を表示する。
【0035】
操作キー140は、ユーザからの各種の入力を受け付ける。操作キー140は、ユーザから、たとえば、電話番号の入力、メールアドレスの入力、電話番号の読み出し、メールアドレスの読み出し、メールの送信指示を受け付ける。
【0036】
スピーカ150は、音声等の音を出力する。マイク160は、音声等の音を集音する。
音声信号処理回路170は、マイク160から入力されたアナログ信号を、CPU110が処理できるようにデジタル信号に変換する。また、音声信号処理回路170は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、スピーカ150を介して当該アナログ信号に基づく出力を行なう。
【0037】
通信インターフェイス180は、アンテナ189に接続されている。通信インターフェイス180は、アンテナ189を用いて、各子機21〜23と通信を行なう。通信インターフェイス190は、ネットワーク90と通信するためのインターフェイスである。
【0038】
なお、メモリ120と、ディスプレイ130と、操作キー140と、音声信号処理回路170と、通信インターフェイス180と、通信インターフェイス190とは、CPU110とデータの送受信が可能なように接続されている。
【0039】
CPU110は、通信インターフェイス190を用いて、ネットワーク90から緊急地震速報を受信する。CPU110は、緊急地震速報を受信したことに基づき、メモリ120からデータ121dおよびデータ122dを読み出す。具体的には、データ122dを揮発性メモリ121の領域に一旦読み出した後、データ121dとデータ122dとを、揮発性メモリ121から読み出す。次いで、CPU110は、通信インターフェイス180を用いて、データ121d,122dを、各子機21〜23に予め定められた順序で送信する。
【0040】
親機10における処理は、各ハードウェアおよびCPU110により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、不揮発性メモリ122に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカードその他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、ICカードリーダライタその他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス190を介してダウンロードされた後、不揮発性メモリ122に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU110によって不揮発性メモリ122から読み出され、さらに不揮発性メモリ122に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU110は、そのプログラムを実行する。
【0041】
同図に示される親機10を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、不揮発性メモリ122、メモリカードその他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、親機10の各ハードウェアの動作は周知であるので、さらなる詳細な説明は繰り返さない。
【0042】
なお、記録媒体としては、DVD-ROM、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。
【0043】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0044】
(c2.子機21〜23)
図4は、子機21のハードウェア構成の概略を表した図である。図4を参照して、子機21は、CPU210と、メモリ220と、ディスプレイ230と、操作キー240と、スピーカ250と、マイク260と、音声信号処理回路270と、通信インターフェイス280と、アンテナ289と、バッテリ290とを備える。
【0045】
メモリ220は、揮発性メモリ221と、不揮発性メモリ222とを含んでいる。不揮発性メモリ122は、OS(Operating System)、各種のプログラムを格納している。
【0046】
CPU110は、メモリ120に格納されているOSおよび各種のプログラムを実行する。ディスプレイ230は、メモリ220に格納されている各種の情報を表示する。
【0047】
操作キー240は、ユーザからの各種の入力を受け付ける。操作キー140は、ユーザから、たとえば、電話番号の入力等を受け付ける。
【0048】
スピーカ250は、音声等の音を出力する。マイク260は、音声等の音を集音する。
音声信号処理回路270は、マイク260から入力されたアナログ信号を、CPU210が処理できるようにデジタル信号に変換する。また、音声信号処理回路270は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、スピーカ250を介して当該アナログ信号に基づく出力を行なう。
【0049】
通信インターフェイス280は、アンテナ289に接続されている。通信インターフェイス280は、アンテナ289を用いて、親機10と通信を行なう。バッテリ290は、子機21を動作させるための電力を、子機21の各部に供給する。
【0050】
なお、メモリ220と、ディスプレイ230と、操作キー240と、音声信号処理回路270と、通信インターフェイス280と、バッテリ290とは、CPU110とデータの送受信が可能なように接続されている。
【0051】
CPU210は、通信インターフェイス180を用いて、親機10からデータ121d、122dを受信する。CPU210は、受信したデータ121d,122dをメモリ220に格納する。
【0052】
なお、子機22,23については、子機21と同様のハードウェア構成を有するため、子機22,23についてのハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0053】
<D.データの送信順序について>
図5は、親機10がメモリ120に格納しているデータテーブル900を表した図である。詳しくは、図5は、データ121d、122dの送信順序を説明するための図である。
【0054】
図5を参照して、データテーブル900においては、子機IDと、送信順序とが対応付けて格納されている。
【0055】
子機ID(Identification)は、子機21〜23のいずれかの子機を特定するための情報である。以下では、子機21のIDが「001」とし、子機22のIDが「002」とし、子機23のIDが「003」として説明する。
【0056】
この場合、親機10は、データテーブル900を参照して、データ121d,122dを、最初に子機21に送信する。次いで、親機10は、データ121d,122dを子機22に送信する。最後に、親機10は、データ121d,122dを子機23に送信する。
【0057】
データテーブル900における送信順序は、たとえば、親機10が子機を認識した順序である。また、送信順序をユーザが設定できるように親機10を構成してもよい。たとえば、ユーザが、子機IDが「001」である子機21に対する送信順序を「1」から「2」に、子機IDが「002」である子機21に対する送信順序を「2」から「1」に変更することにより、親機10は、子機22、子機21、子機23の順に、データ121d,122dを送信することになる。
【0058】
<E.画面遷移>
図6は、親機10が緊急地震速報を受信した後の、親機10および子機21〜23の画面遷移図である。図6(a)〜(c)は、親機10における画面遷移を説明するための図である。図6(d),(e)は、各子機21〜23における画面遷移を説明するための図である。
【0059】
図6(a)を参照して、親機10が緊急地震速報を受信すると、親機10は、ディスプレイ130に緊急地震速報を受信したことを示す表示を行なう。図6(b)を参照して、親機10は、送信順序が1番の子機に対してデータ121d,122dの送信を開始すると、ディスプレイ130にデータの送信中であることを示す表示を行なう。図6(c)を参照して、親機10は、全ての子機21〜23に対してデータ121d,122dの送信が終了すると、ディスプレイ130に送信が終了したことを示す表示を行なう。
【0060】
図6(d)を参照して、各子機21〜23は、データ121d,122dの受信を開始すると、ディスプレイ230にデータの受信中であることを示す表示を行なう。図6(e)を参照して、各子機21〜23は、データ121d,122dの受信が終了すると、ディスプレイ130に受信が終了したことを示す表示を行なう。
【0061】
<F.制御構造>
図7は、親機10におけるデータ処理の流れを示したフローチャートである。より詳しくは、図7は、データ121dよりもデータ122dを先に送信するよう構成された場合におけるフローチャートである。データ122dをデータ121dよりも先に送信する理由は、データ121dよりもデータ122dの方が、ユーザにとって重要な情報であるためである。
【0062】
図7を参照して、ステップS702において、親機10は、ネットワーク90から緊急地震速報を受信する。ステップS704において、親機10は、親機10の子機が存在するか否かを判断する。
【0063】
親機10は、子機が存在しないと判断した場合(ステップS704においてNO)、一連の処理を終了する。親機10は、子機が存在すると判断した場合(ステップS704においてYES)、ステップS706において、不揮発性メモリ122に格納されているデータ122dを、一旦、ワークエリアとしても機能する揮発性メモリ121に読み出す。具体的には、親機10のCPU110は、データ122dをテンポラリデータとして処理する。
【0064】
ステップS708において、親機10は、変数kの値を1に設定する。なお、変数kは、メモリ120に予め格納されている。ステップS710において、親機10は、不揮発性メモリ122から揮発性メモリ121に読み出されたデータ122dを、送信順序がk番目の子機に送信する。ステップS712において、親機10は、緊急地震速報を受信する以前から揮発性メモリ121に格納されているデータ121dを、送信順序がk番目の子機に送信する。
【0065】
ステップS714において、親機10は、全ての子機21〜23に対して、データ121d,122dを送信したか否かを判断する。親機10は、全ての子機21〜23に対してデータ121d,122dを送信したと判断した場合(ステップS714においてYES)、一連の処理を終了する。親機10は、全ての子機21〜23に対してデータ121d,122dを送信していないと判断した場合(ステップS714においてNO)、ステップS716において、変数kの値を“1”だけ増加させる。つまり、親機10は、変数kの値をインクリメントする。
【0066】
<G.親機10におけるデータ処理のまとめ>
以上のように、親機10は、バッテリを内蔵した電話機である子機と通信可能に接続される。親機10は、CPU110と、データを格納するためのメモリ120と、子機と通信するための通信インターフェイス180と、外部のネットワーク90と通信するための通信インターフェイス190とを備える。CPU110は、通信インターフェイス190を用いて、ネットワーク90から地震速報を受信する。CPU110は、地震速報が受信されたことに基づき、通信インターフェイス180を用いて、子機に対して上記データを送信する。
【0067】
以上のように、親機10は、緊急地震速報を受信したことに基づき、親機10に格納されているデータを子機に送信する。それゆえ、子機は、地震による揺れが発生するまでに、親機10に格納されているデータを受信することが可能となる。したがって、ユーザは、緊急地震速報を受信した後に地震により停電が発生した場合(つまり、親機10への電力供給が停止した場合)であっても、当該子機を利用することによって、親機10に格納されているデータと同じデータを利用することができる。典型的には、ユーザは、親機10に格納されているデータと同じデータを読み出させ、かつ当該読み出したデータを親機10のディスプレイに表示させる操作を子機に対して行なうことにより、当該データの内容を視認できる。
【0068】
詳しくは、親機は、複数の子機21〜23と通信可能に接続されている。メモリ120は、前記複数の子機に対するデータの送信順序を表した順序情報をさらに格納している。CPU110は、順序情報における送信順序に従って、各子機21〜23に対してデータを送信する。
【0069】
したがって、ユーザが送信順序を予め認識しておくことにより、地震が発生するまでにデータの受信が完了した可能性の高い子機を容易に判断できる。
【0070】
より詳しくは、メモリ120は、不揮発性メモリ122と、揮発性メモリ121とを含む。上記データは、データ122dとデータ121dとを含む。不揮発性メモリ122は、データ122dを格納している。揮発性メモリ121は、データ121dを格納している。CPU110は、子機21〜23の各々において、通信インターフェイス180を用いてデータ122dを子機に送信した後にデータ121dを子機に送信する(図5のステップS710,712)。
【0071】
上述したように、一般的には、揮発性メモリ121に格納されたデータ121dよりも不揮発性メモリ122に格納されたデータ122dの方が、ユーザにとって重要なデータである。したがって、親機10は、先にデータ122dを子機に送信することにより、重要な方のデータを、いち早く子機に保存することが可能となる。
【0072】
<H.変形例>
(1)子機に対するデータの送信に失敗した場合、当該子機に対してデータの再送信を試みることなく、当該子機の次の送信順序の子機に対してデータを送信するように、親機を構成してもよい。
【0073】
或る子機に対するデータの送信に成功しなかった場合、親機10は、当該データを当該子機に再送信しても、再度、データ送信に失敗する可能性が多分にある。このため、親機10は、当該子機にデータを再送信することなく、送信順序が次の子機にデータを送信することにより、少しでも多くの子機が親機10に格納されたデータを受信可能となる。
【0074】
(2)通信インターフェイス180を用いて、各子機21〜23から当該子機のバッテリの残容量を表した残容量情報を受信し、残容量の多い順に送信順序を設定するように、親機10を構成してもよい。以下、当該構成について説明する。
【0075】
図8は、バッテリの残容量を用いる場合における通信システム1で実行される処理の概要を説明するためのシーケンスチャートである。図8を参照して、ステップS802において、親機10は、ネットワーク90から緊急地震速報を受信する。
【0076】
ステップS804において、親機10は、子機21に対して、子機21のバッテリの残容量の通知を要求する。ステップS806において、親機10は、子機21から、子機21のバッテリの残容量を表した残容量情報を受信する。
【0077】
ステップS808において、親機10は、子機22に対して、子機22のバッテリの残容量の通知を要求する。ステップS810において、親機10は、子機22から、子機22のバッテリの残容量を表した残容量情報を受信する。
【0078】
ステップS812において、親機10は、子機23に対して、子機23のバッテリの残容量の通知を要求する。ステップS814において、親機10は、子機23から、子機23のバッテリの残容量を表した残容量情報を受信する。
【0079】
なお、親機10は、たとえば子機のIDの順に従って、バッテリの残容量を要求する信号を各子機21に送信する。ただし、バッテリの残容量を要求する信号の送信順序は、特に限定されるものではない。
【0080】
ステップS816において、親機10は、各子機21〜23から送信された残容量情報に基づいて、データ121d,122dの送信順序を決定する。具体的には、親機10は、バッテリの残容量が多い順に、データ121d,122dの送信順序を決定する。
【0081】
図9は、親機10が格納するデータテーブル900Aを表した図である。図9を参照して、データテーブル900Aは、子機IDと、バッテリの残容量と、送信順序とが対応付けられている。親機10は、各子機21〜23から残容量情報を受信すると、当該残容量情報に基づいて、当該バッテリの残容量のデータ欄に各子機のバッテリの残容量を格納する。親機10は、データテーブル900Aにおける各子機21〜23のバッテリの残容量から、データ121d,122dの送信順序を決定する。以下では、子機IDが「001」の子機21の送信順序が2番、子機IDが「002」の子機22の送信順序が1番、子機IDが「003」の子機23の送信順序が3番と決定された場合を例に挙げて説明する。
【0082】
図8に戻って、ステップS818において、親機10は、送信順序が1番の子機22に対して、親機10に格納されているデータ121d,122dを送信する。ステップS820において、親機10は、送信順序が2番の子機21に対して、親機10に格納されているデータ121d,122dを送信する。ステップS822において、親機10は、送信順序が3番の子機23に対して、親機10に格納されているデータ121d,122dを送信する。
【0083】
以上のように、親機10が、バッテリの残容量の多い子機から順に親機10に格納されたデータを送信することにより、バッテリの残容量を考慮しない場合比べて長い時間、ユーザは親機10から受信したデータを子機にて視認可能となる。
【0084】
(3)地震速報が受信されたことに基づき通信インターフェイス190を用いてネットワーク90から時刻情報を受信し、データ121d、122dに加えて、各子機21〜23に対して当該時刻情報をさらに送信するように、親機10を構成してもよい。親機10は、たとえばNTPサーバから時刻情報を受信する。
【0085】
子機21〜23の時計は、時間が経過すると進んだり遅れたりすることが多い。このため、親機10が、緊急地震速報を受信したことに基づき時刻情報を子機に送信することにより、ユーザは、当該子機にてより正確な時刻を知ることが可能となる。
【0086】
(4)地震速報を受信したことに基づき、揮発性メモリ121のデータ121dを不揮発性メモリ122に格納するように、親機10を構成してもよい。
【0087】
これにより、緊急地震速報を受信した後に地震により停電が発生した場合(つまり、親機10への電力供給が停止した場合)であっても、ユーザは、電源供給が回復したときには、データ121dの内容を確認することが可能となる。
【0088】
(5)全ての子機21〜23に対して、不揮発性メモリ122に格納されたデータ122dを送信した後に、全ての子機21〜23に対して、揮発性メモリ121に格納されたデータ121dを送信するように、親機10を構成してもよい。
【0089】
(6)通信インターフェイス180と通信インターフェイス190とが、モジュールとして一体化されて構成されてもよい。
【0090】
(7)「親機10に格納されているデータ」として、上記では、電話帳データ、メールアドレス、着信履歴、発信履歴、メールの受信履歴、メールの発信履歴を挙げたが、これらに限定されるものではない。これら以外にも、「親機10に格納されているデータ」には、通信装置の種類に応じた各種のデータ(たとえば、ファクシミリ通信データ、ダウンロードした画像データ、音声データ)が含まれる。
【0091】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 通信システム、10 親機、21〜23 子機、21a〜23a 充電器、90 ネットワーク、120,220 メモリ、121,221 揮発性メモリ、121d,122d データ、122,222 不揮発性メモリ、130,230 ディスプレイ、140,240 操作キー、150,250 スピーカ、160,260 マイク、170,270 音声信号処理回路、180,190,280 通信インターフェイス、189,289 アンテナ、290 バッテリ、900,900A データテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続される通信装置であって、
プロセッサと、
データを格納するためのメモリと、
前記電子機器と通信するための第1の通信インターフェイスと、
外部のネットワークと通信するための第2の通信インターフェイスとを備え、
前記プロセッサは、
前記第2の通信インターフェイスを用いて、前記ネットワークから地震速報を受信し、
前記地震速報が受信されたことに基づき、前記第1の通信インターフェイスを用いて、前記電子機器に対して前記データを送信する、通信装置。
【請求項2】
前記通信装置は、複数の前記電子機器と通信可能に接続されており、
前記メモリは、前記複数の電子機器に対する前記データの送信順序を表した順序情報をさらに格納しており、
前記プロセッサは、前記順序情報における送信順序に従って、各前記電子機器に対して前記データを送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1の通信インターフェイスを用いて、各前記電子機器から当該電子機器のバッテリの残容量を表した残容量情報を受信し、
前記残容量の多い順に前記送信順序を設定する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電子機器に対する前記データの送信に失敗した場合、当該電子機器に対して前記データの再送信を試みることなく、当該電子機器の次の送信順序の電子機器に対して前記データを送信する、請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記地震速報が受信されたことに基づき、前記第2の通信インターフェイスを用いて、前記ネットワークから時刻情報を受信し、
各前記電子機器に対して前記時刻情報をさらに送信する、請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記メモリは、不揮発性メモリと、揮発性メモリとを含み、
前記データは、第1のデータと第2のデータとを含み
前記不揮発性メモリは、前記第1のデータを格納しており、
前記揮発性メモリは、前記第2のデータを格納しており、
前記プロセッサは、前記電子機器の各々において、前記第1の通信インターフェイスを用いて前記第1のデータを前記電子機器に送信した後に前記第2のデータを当該電子機器に送信する、請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記地震速報を受信したことに基づき、前記第2のデータを前記不揮発性メモリに格納する、請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続される通信装置における通信制御方法であって、
前記通信装置が、ネットワークから地震速報を受信するステップと、
前記通信装置が、前記地震速報が受信されたことに基づき、前記通信インターフェイスを用いて、前記電子機器に対して前記通信装置のメモリに格納されているデータを送信するステップとを備える、通信制御方法。
【請求項9】
バッテリを内蔵した電子機器と通信可能に接続される通信装置を制御するためのプログラムであって、
ネットワークから地震速報を受信するステップと、
前記地震速報が受信されたことに基づき、前記通信インターフェイスを用いて、前記電子機器に対して前記通信装置のメモリに格納されているデータを送信するステップとを、前記通信装置のプロセッサに実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62671(P2013−62671A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199595(P2011−199595)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】