説明

通信装置、通信方法、および、通信プログラム

【課題】第1のネットワークの制御情報として送信された緊急情報を、第2のネットワークに中継する。
【解決手段】通信装置は、受信部、抽出部、生成部、および、送信部を備える。受信部は、第1の通信方式を用いる第1のネットワークから信号を受信する。抽出部は、第1のネットワークの制御チャネルを介して受信した信号から、第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を抽出する。ここで、第2のネットワークは、第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を用いる。生成部は、第2のネットワークに属する通信装置に対して通知情報を通知するために用いられる通知フレームを生成する。送信部は、前記通知フレームを、前記第2のネットワークに属する通信装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、および、通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の方法の一つとして、基地局によって形成されたセルを用いるセルラ通信が行われている。また、複数の通信装置が基地局を介さずにアドホック通信することにより、アドホックネットワークが形成されることもある。しかし、セルラ通信とアドホック通信では、使用されるプロトコルが異なるため、セルラネットワークで送受信されているユーザデータ(U−planeの情報)を、直接、アドホックネットワークに送信することができない。そこで、図1に示すように、セルラ通信で送受信されているパケット中のユーザデータを、アドホック通信で送受信が可能なフレームに含めて、アドホックネットワークに中継する中継装置2が用いられる。
【0003】
図2は、セルラ通信が用いられるシステムからアドホックネットワークにユーザデータが中継される場合に使用されるプロトコルの例を示す。中央装置1は、エンドユーザである通信装置の通信エリアを形成している基地局5に、ユーザデータを送信する。中央装置1と基地局5の間では、Ethernet physical layer(Ether PHY)、Ether media access control(Ether MAC)、Internet Protocol(IP)などのプロトコルを用いた有線の通信が行われる。基地局5は、中央装置1から受信したユーザデータを含むパケットを生成し、3rd Generation(3G) PHYと3G MACを用いてセル中の通信装置や中継装置に送信する。ここで、基地局5は、中央装置1から受信したIPの情報を用いて3G MACの情報を生成する。中継装置2は、基地局5から受信したパケットのデータを含むアドホックフレームを生成し、Local Area Network PHY(LAN PHY)とLAN MACを用いてアドホックネットワーク中の通信装置に送信する。このため、セルラ通信が行われるシステムで送受信されたユーザデータを、アドホックネットワーク中の通信装置が受信もしくは送信することができる。
【0004】
ユーザデータの送信に関連して、放送波を介して受信したコンテンツを無線LAN通信によって配信する方法が提案されている。災害時などに使用される放送システムとして、政府当局の情報を受信し、受信した情報に関するデータをシステムに加入している通信装置に中継されるように送信するシステムも提案されている。また、ブロードキャストシステム情報に含まれる異なるパーティションを、共有ドランスポートチャネルまたはブロードキャストトランスポートチャネルにマッピングする方法が知られている。さらに、無線通信に関連して、利用可能な無線ベアラの設定をモバイル端末に知らせることによって、無線ベアラを確立する際の遅延を短縮する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−28153号公報
【特許文献2】特表2010−530658号公報
【特許文献3】特表2009−514279号公報
【特許文献4】特表2009−519636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で述べたように、IPレイヤ以上のレイヤを用いて送受信されるユーザデータは、中継装置2を用いてセルラネットワークからアドホックネットワークに中継される。しかし、中継装置2は、セルラネットワークで送受信されている制御情報(C−plane)はアドホックネットワークに中継しない。ここで、緊急地震速報などの緊急情報は、セルラネットワーク中では制御情報として放送される。従って、中継装置2は、セルラネットワーク中で放送された緊急情報をアドホックネットワークに中継することができないという問題がある。以上の記載では、セルラネットワークとアドホックネットワークを例として説明したが、通信方式の異なる2つのネットワークの間では、一方のネットワークで用いられる制御情報が他方のネットワークに中継されないため、同様の問題が発生する。
【0007】
本発明は、第1のネットワークの制御情報として送信された緊急情報を、第2のネットワークに中継することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態にかかる通信装置は、受信部、抽出部、生成部、および、送信部を備える。受信部は、第1の通信方式を用いる第1のネットワークから信号を受信する。抽出部は、前記第1のネットワークの制御チャネルを介して受信した信号から、前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を抽出する。ここで、第2のネットワークは、前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を用いる。生成部は、前記第2のネットワークに属する通信装置に対して前記通知情報を通知するために用いられる通知フレームを生成する。送信部は、前記通知フレームを、前記第2のネットワークに属する通信装置に送信する。
【発明の効果】
【0009】
あるシステムで放送された緊急情報が、他のシステムに中継される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ユーザデータが中継される場合の例を示す図である。
【図2】ユーザデータの中継の例を説明する図である。
【図3】制御チャネルを介して送信された通知情報を中継する方法の例を説明する図である。
【図4】中継装置の構成の例を示す図である。
【図5】中継装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図6】通信装置の構成の例を示す図である。
【図7】通信装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図8】SIB10に含まれる情報要素の例を示す図である。
【図9】warningTypeフィールドのフォーマットの例を示す図である。
【図10】災害識別テーブルの例を示す図である。
【図11】SIB11に含まれる情報要素の例を示す図である。
【図12】中継装置で生成されるフレームの例を説明する図である。
【図13】中継装置と第2のネットワークの例を示す図である。
【図14】動作設定テーブルの例を示す図である。
【図15】エンコードテーブルの例を示す図である。
【図16】中継対象の情報かを判定する方法の例を説明するフローチャートである。
【図17】中継対象の情報を受信した中継装置の動作の例を説明するフローチャートである。
【図18】緊急情報を受信した通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
【図19】第1の実施形態による緊急情報の中継方法の例を示す図である。
【図20】第2の実施形態での抽出部の動作を説明するフローチャートである。
【図21】中継装置の構成の例を示す図である。
【図22】通信装置の構成の例を示す図である。
【図23】通信装置を設定する手順の例を示す図である。
【図24】フレームの構成の例を示す図である。
【図25】生成部により生成されるMACメッセージのフォーマットの例を示す図である。
【図26】APIが付加されたMACメッセージの例を示す図である。
【図27】中継対象の情報を受信した中継装置の動作の例を説明するフローチャートである。
【図28】ネットワーク接続部の動作の例を説明するフローチャートである。
【図29】アプリケーション処理部の動作の例を説明するフローチャートである。
【図30】第3の実施形態による緊急情報の中継方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図3は、制御チャネルを介して送信された通知情報を中継する方法の例を説明する。以下の説明では、あるネットワークに属する通信装置に通知するために放送される情報であって、他のネットワークに属する通信装置でも使用される情報を「通知情報」と記載することがある。例えば、基地局から基地局の通信エリア内に位置する携帯電話端末に向けて放送される緊急地震速報などの緊急情報は、通知情報の例である。また、中継装置10は、第1のネットワークで送受信された通知情報を第2のネットワークに属する通信装置40に中継するものとする。なお、第1のネットワークと第2のネットワークは、異なる通信方式を用いているものとする。図3の例では、第1のネットワークでは3G無線による通信が行われ、第2のネットワークではLAN無線による通信が行われているとする。
【0012】
基地局5は、中央装置1から有線ネットワークを介して、通知情報を受信する。通知情報は、(User Datagram Protocol)UDP/IP以上のレイヤを用いて送信される。基地局5は、通知情報をRadio Resource Control(RRC)のデータに変換した後、制御チャネルを用いて通信エリア内に位置する通信装置や中継装置10に送信する。基地局5と中継装置10の間では、RRCの他、3G MACと3G PHYが使用される。
【0013】
中継装置10は、制御チャネルを介してフレームを受信すると、受信フレームに通知情報が含まれているかを確認する。すなわち、中継装置10は、制御チャネルを介して受信した情報のうちで、基地局5の通信エリア内に位置する通信装置以外の装置でも使用可能な情報を抽出する。中継装置10は、抽出した情報に基づいて、通信装置40に通知するための変換データを生成する。中継装置10は、通信装置40で通知情報をユーザに通知するために用いられるアプリケーションの種類などを予め認識しており、通信装置40で動作するアプリケーションが処理できる形式の変換データを生成する。以下の説明では、通知情報をユーザに通知するために通信装置40で動作するアプリケーションを「通知アプリケーション」と記載することがある。通信装置40は、中継装置10から受信したフレームを通知アプリケーションで処理することにより、通信装置40のユーザに通知情報を通知する。
【0014】
このように、中継装置10は、第1のネットワーク中の制御チャネルを介して受信した制御情報に含まれる通知情報を、通信装置40で処理できる形式に変換した上で、第2のネットワークに中継する。従って、あるネットワークで制御情報として通知された通知情報が、そのネットワークとは通信システムの異なるネットワークにも通知される。
【0015】
<装置構成>
以下の説明でも、第1のネットワークでは3G無線による通信が行われ、第2のネットワークではLAN無線による通信が行われているとする。また、以下の説明では、通知情報は緊急情報であり、通知アプリケーションは緊急情報の通知に用いられるアプリケーションであるものとする。
【0016】
図4は、中継装置10の構成の例を示す。中継装置10は、中継判断部21、抽出部22、生成部23、ポート設定部24、ブロードキャスト設定部25を備える。さらに、中継装置10は、アンテナ11(11a、11b)、受信機12、U/C−プレーン判断部13、U−プレーン変換部14、送信機15、記憶部16を備える。なお、図4では、図を見やすくするために、第1のネットワークから受信されたフレームが第2のネットワークに中継される際の動作に関わる部分を示している。例えば、中継装置10中で第2のネットワーク側から中継装置10がフレームを受信する際に用いられる受信部や、中継装置10が第1のネットワーク側にフレームを送信する際に用いられる送信部などは図4に示されていない。
【0017】
U/C−プレーン判断部13は、アンテナ11aと受信機12を介して、第1のネットワークから受信したフレームを、ユーザデータを含むフレームと制御情報を通知するフレームに分類する。例えば、U/C−プレーン判断部13は、制御チャネルを介して受信したデータを制御情報とする。U/C−プレーン判断部13は、ユーザデータを含むフレームをU−プレーン変換部14に出力し、制御情報を通知するフレームを中継判断部21に出力する。
【0018】
中継判断部21は、U/C−プレーン判断部13から入力されたフレームに緊急情報が含まれているかを確認し、緊急情報が含まれているフレームを第2のネットワークに中継する対象であると判断する。中継判断部21は、緊急情報が含まれているフレームを抽出部22に出力する。抽出部22は、中継判断部21から入力されたフレームに含まれている緊急情報を抽出する。また、緊急情報が複数のフレームに分割されている場合、抽出部22は、分割された個々の情報を抽出した後で、結合処理を行って、緊急情報を再生する。抽出部22は、得られた緊急情報を生成部23に出力する。中継判断部21、抽出部22の動作については後で詳しく説明する。
【0019】
生成部23は、抽出部22から入力された緊急情報を含むアプリケーションレイヤ情報を生成する。生成部23で生成されるアプリケーションレイヤ情報は、第2のネットワークに属する通信装置40が処理できる形式であるものとする。生成部23は、アプリケーションレイヤ情報をポート設定部24に出力する。
【0020】
ポート設定部24は、通信装置40で使用される通知アプリケーションに対応付けられたポート番号を予め記憶しているものとする。ポート設定部24は、生成部23で生成されたアプリケーションレイヤ情報に、通信装置40との間で用いられる通信方式に応じて、User Datagram Protocol(UDP)ヘッダなどのトランスポートレイヤのヘッダを付加する。このとき、ポート設定部24は、ヘッダ中のポート番号を、通知アプリケーションに対応付けられたポート番号に設定する。ポート設定部24は、ポート番号の設定が終わったセグメントをブロードキャスト設定部25に出力する。ブロードキャスト設定部25は、入力されたセグメントがブロードキャストされるようにアドレスを設定したIPヘッダやMACヘッダを付加する。すなわち、ブロードキャスト設定部25は、フレームの宛先MACアドレスをFF:FF:FF:FF:FF:FFに設定し、宛先のIPアドレスを255.255.255.255に設定する。ブロードキャスト設定部25は、設定後のフレームを送信機15に出力する。
【0021】
U−プレーン変換部14は、U/C−プレーン判断部13からユーザデータを含むフレームを受け取ると、ユーザデータを含むフレームを、第2のネットワークに属する通信装置40で処理されるフォーマットに変換し、適宜、アドレスの設定をする。U−プレーン変換部14は、処理が終了したフレームを送信機15に出力する。送信機15は、ブロードキャスト設定部25やU−プレーン変換部14から受信したフレームを、アンテナ11bを介して第2のネットワークに送信する。記憶部16は、中継装置10での処理に用いられるデータを記憶する。例えば、記憶部16は、通知アプリケーションに設定されているポート番号や通知アプリケーションがデータを認識する認識形式などを記憶することができる。さらに、記憶部16は、災害識別テーブルなどを記憶することもできる。災害識別テーブルについては後述する。
【0022】
図5は、中継装置10のハードウェア構成の例を示す。中継装置10は、アンテナ11(11a、11b)、デュプレクサ31(31a、31b)、Radio frequency(RF)部32(32a〜32d)、Digital Signal Processor(DSP)33、Micro-Processing Unit(MPU)34、メモリ35を備える。デュプレクサ31aは、RF部32aとRF部32bのうちの一方をアンテナ11aに接続する。例えば、RF部32aが受信機12として動作する場合、中継装置10が第1のネットワークからフレームを受信するときに、デュプレクサ31aは、RF部32aとアンテナ11aを接続する。逆に、中継装置10からフレームが第1のネットワークに送信される場合、デュプレクサ31aによって、RF部32bとアンテナ11aが接続される。デュプレクサ31bは、RF部32cとRF部32dのうちの一方をアンテナ11bに接続する。RF部32dが送信機15として動作する場合、中継装置10が第2のネットワークへフレームを送信するときに、デュプレクサ31bは、RF部32dとアンテナ11bを接続する。逆に、中継装置10が第2のネットワークからフレームを受信する場合、デュプレクサ31bは、RF部32cとアンテナ11bを接続する。
【0023】
DSP33とMPU34は、U/C−プレーン判断部13、U−プレーン変換部14、中継判断部21、抽出部22、生成部23、ポート設定部24、ブロードキャスト設定部25として動作する。メモリ35は、記憶部16として動作する。メモリ35は、適宜、中継装置10で動作するプログラムを記憶することもできる。
【0024】
図6は、通信装置40の構成例を示す。通信装置40は、アンテナ41、ネットワーク接続部42と制御部46を備える。図6の例では、通信装置40の中にネットワーク接続部42と制御部46が含まれているが、例えば、ネットワーク接続部42を通信装置40に含めずに、通信装置40に対して着脱可能なデバイスとすることもできる。例えば、ネットワーク接続部42をLANカード、制御部46をコンピュータとすることもできる。
【0025】
ネットワーク接続部42は、受信機43、U−プレーン受信部44、送信機45、U−プレーン送信部47を有する。図6では、図を見やすくするために、通信装置40の一部を図示している。例えば、通信装置40が中継装置10などから制御情報を含むフレームを受信したときに、制御情報を処理するC−プレーン受信部などは図示していない。制御部46は、検出部51、記憶部55、アプリケーション処理部50を備える。また、通信装置40で複数のアプリケーションが動作する場合、制御部46は、アプリケーションごとに1つのアプリケーション処理部50を用いて処理する。図6には、通知アプリケーションのアプリケーション処理部50を図示する。通知アプリケーションのアプリケーション処理部50は、決定部52と出力部53を有する。
【0026】
受信機43はアンテナ41を介してフレームを受信する。U−プレーン受信部44は、受信機43を介して受信したユーザデータを含むフレームを制御部46とU−プレーン送信部47に出力する。U−プレーン送信部47は、U−プレーン受信部44から緊急情報を含むフレームを入力されると、第2のネットワークに属する他の通信装置に通知するためのブロードキャストフレームを生成する。また、通信装置40は、送信機45を介してフレームの送信を行う。
【0027】
検出部51は、U−プレーン受信部44から入力されたフレームに含まれているポート番号を確認して、緊急情報を検出する。すなわち、フレームが入力されると、検出部51は、UDPヘッダのポート番号を確認し、ポート番号が通知アプリケーションに対応付けられた番号である場合、緊急情報を検出したと判断する。さらに、検出部51は、緊急情報を含むフレームに含まれているユーザデータを、決定部52に出力する。なお、検出部51は、緊急情報を含んでいないフレームについても、ポート番号に応じて、フレームに含まれているユーザデータを対応付けられたアプリケーションに出力するものとする。
【0028】
決定部52は、検出部51から入力された緊急情報を解析し、さらに、緊急情報をユーザに感知させるための出力処理の方法を決定する。出力部53は、決定部52の指示に応じて出力処理を行う。出力部53は、例えば、画面への出力表示、警報音の出力などを行う。記憶部55は、例えば、災害識別テーブル、動作設定テーブル、エンコードテーブル等を記憶し、適宜、通信装置40での処理に用いられるデータを記憶する。さらに、記憶部55は、通知アプリケーションがデータを認識する認識形式も記憶する。災害識別テーブル、動作設定テーブル、エンコードテーブルについては、後で説明する。
【0029】
図7は、通信装置40のハードウェア構成の例を示す図である。通信装置40は、デュプレクサ61、RF部62(62a、62b)、DSP63、メモリ64、インタフェース(INF)65、71、Central Processing Unit(CPU)72、ハードディスク73、表示部75、音声出力部76を備える。デュプレクサ61、RF部62、DSP63、メモリ64、インタフェース(INF)65は、ネットワーク接続部42として動作する。一方、制御部46は、インタフェース71、CPU72、ハードディスク73、表示部75、音声出力部76を含む。
【0030】
RF部62bは、受信機43として動作する。RF部62aは送信機45として動作し、デュプレクサ61は、通信装置40がフレームを受信するときはRF部62bとアンテナ41を接続する。一方、中継装置10からフレームが送信される場合、RF部62aとアンテナ41が接続される。DSP63は、U−プレーン受信部44およびU−プレーン送信部47として動作する。
【0031】
ハードディスク73は、通知アプリケーションのプログラムを記憶している。CPU72は、通知アプリケーションのプログラムを実行することにより、検出部51、決定部52、出力部53として動作する。また、表示部75、音声出力部76も出力部53として動作する。表示部75は、決定部52の指示に応じて、緊急情報を画面(図示せず)に表示する。音声出力部76は、決定部52の指示に応じて、緊急情報の受信を通知するためのアラーム音を出力する。ハードディスク73は、記憶部55としても動作する。
【0032】
<第1の実施形態>
以下、第2のネットワークがLAN無線によるアドホックネットワークである場合を例として説明する。ここでは、第1のネットワークにおいて、緊急情報が報知情報によって通知されるものとする。報知情報は、複数のブロック(SIB、System Information Block)に分類されており、SIB10とSIB11の2つのブロックを介して緊急情報が通知されるものとする。SIB10により災害が発生したことと、発生した災害の種類が通知される。SIB11により、発生した災害についての情報が通知される。例えば、SIB10で地震の発生が通知される場合、SIB11によって、発生した地震の震源地や最大震度などが通知される。なお、以下の説明は動作の例であって、例えば、手順(4)と手順(5)の順序を入れ替えるなど、実装に応じて変形が加えられる場合がある。また、緊急情報の本文を画面に表示すると通信装置40の負荷が大きくなる場合などでは、手順(16)が省略される場合がある。
【0033】
(1)基地局5は、報知情報を含むフレームを、通信エリア内に位置する装置に送信する。基地局5の通信エリア内の中継装置10では、基地局5から送信されたフレームを受信機12が受信する。
【0034】
(2)受信機12は、受信した報知情報をU/C−プレーン判断部13に出力する。U/C−プレーン判断部13は、入力されたフレームがC−プレーンのフレームであることを認識し、中継判断部21に出力する。
【0035】
(3)中継判断部21は、U/C−プレーン判断部13から入力されたフレーム中の報知情報のSIB10を確認する。図8に示すように、SIB10には、serialNumber、warningType、messageIdentifier、などの情報要素が含まれている。中継判断部21は、warningTypeフィールドのビット列を用いて、第2のネットワークに中継するかを決定する。
【0036】
図9は、warningTypeフィールドのフォーマットの例を示す。図9に示すように、warningTypeフィールドは2バイトのビット列で、Warning Type Value、警告音フラグ、ポップアップフラグ、パディングを含む。Warning Type ValueはwarningTypeフィールドの上位7ビットで、緊急情報によって通知される災害の種類を表す。警告音フラグとポップアップフラグは、基地局5の通信エリア内に位置する通信装置に対して、緊急情報を受信したときの動作を指示する情報である。警告音フラグとポップアップフラグによる動作設定については後述する。
【0037】
中継判断部21は、Warning Type Valueのビット列をキーとして、災害識別テーブルを検索することにより、第2のネットワークに中継するかを決定する。図10(a)は、災害識別テーブルの例を示す。災害識別テーブルは、Warning Type Valueに対応付けて、通知される災害の種類が記録されている。図10(a)の例では、Warning Type Valueが「0000000」であれば地震、「0000001」であれば津波、「0000010」であれば地震と津波の発生を表す。さらに、Warning Type Valueが「0000100」の緊急情報は、洪水や竜巻など、地震と津波以外の災害の発生を通知する。また、Warning Type Valueが「0000011」の緊急情報はテスト送信である。ここでは、中継判断部21は、warningTypeの値が0000000〜0000100である場合に、緊急情報を第2のネットワークに中継することを決定するものとする。
【0038】
中継判断部21は、判断結果をserialNumber(図8参照)の値と対応付けて、抽出部22や生成部23に出力する。ここで、serialNumberは個々の緊急情報を識別する値であり、緊急情報ごとに異なる値が割り当てられる。このため、同じ地域に2種類以上の緊急情報が流れた場合でも、中継装置10は、緊急情報ごとに中継することができる。
【0039】
(4)緊急情報を第2のネットワークに中継することを決定すると、中継判断部21は、警告音フラグとポップアップフラグの値を取得し、serialNumberの値に対応付けて生成部23に出力する。警告音フラグは、緊急情報を受信した装置が、ユーザが緊急情報の発生を感知できるようにするために、警告音を発生するかを表す。ポップアップフラグは、緊急情報を受信した装置が、ユーザが緊急情報を視認できるようにするために、画面に緊急情報を表示するかを示す。中継判断部21が警告音フラグとポップアップフラグの値を生成部23に出力することにより、後述するように、緊急情報を受信した通信装置40に対して、第1のネットワーク中で緊急情報を受信した通信装置と同様の動作を指示できる。
【0040】
(5)中継判断部21は、U/C−プレーン判断部13から入力された報知情報に含まれるSIB11を、抽出部22に出力する。SIB11に含まれる情報要素の例を図11に示す。SIB11は、serialNumber、warningMessageSegment、dataCodingSchemeなどの情報要素を含む。緊急情報についての詳しい内容は、warningMessageSegmentフィールドに含まれている。そこで、抽出部22は、warningMessageSegmentフィールドに記録されている情報を抽出し、serialNumberに対応付けて生成部23に出力する。また、warningMessageSegmentフィールドに格納されている情報は、dataCodingSchemeの値で特定される言語の文字列である。そこで、抽出部22は、dataCodingSchemeの値も抽出して、serialNumberに対応付けて生成部23に出力する。
【0041】
(6)生成部23は、中継判断部21から中継することを通知されたserialNumberの緊急情報について、抽出部22から入力された情報を用いて、通信装置40に送信するアプリケーションレイヤ情報を生成する。複数の緊急情報が放送されている場合、生成部23は、serialNumberの値が同じデータを用いて1つのアプリケーションレイヤ情報を生成する。すなわち、生成部23は、緊急情報を含むユーザデータを生成する。
【0042】
図12は、中継装置10で生成されるフレームの例を説明する図である。図12(a)は、生成部23が生成するアプリケーションレイヤ情報のフォーマットの例を示す。アプリケーションレイヤ情報は、緊急情報識別子、ポップアップフラグ、アラームフラグ、アプリケーション制御情報、エンコード、緊急情報の本文を含む。生成部23は、緊急情報識別子を、SIB10のWarning Type Valueフィールドに記録されていた7ビットのビット列とする。ポップアップフラグは、SIB10に記録されていたポップアップフラグの値である。アラームフラグは、SIB10に記録されていた警告音フラグの値である。アプリケーション制御情報は、通信装置40で動作するアプリケーションの制御に用いられる情報である。生成部23は、通信装置40で動作するアプリケーションに応じて、アプリケーション制御情報を生成する。エンコードは、緊急情報の本文が記録されている言語を特定する情報である。生成部23は、エンコードのフィールドに、dataCodingSchemeの値を記録する。緊急情報の本文として、warningMessageSegmentフィールドに記録されている情報が用いられる。生成部23は、生成したアプリケーションレイヤ情報を、ポート設定部24に出力する。以後、手順(7)、(8)により、アプリケーションレイヤ情報をペイロードに含むフレームが生成される。
【0043】
(7)ポート設定部24は、アプリケーションレイヤ情報にトランスポートレイヤのヘッダを付加する。トランスポートレイヤのプロトコルとしてUDPが用いられる場合、図12(b)に示すように、ポート設定部24は、アプリケーションレイヤ情報にUDPヘッダを付加する。UDPヘッダは、宛先ポート番号を含む。そこで、ポート設定部24は、通信装置40で動作する通知アプリケーションに対応付けられているポート番号を宛先ポート番号に設定する。ポート設定部24は、トランスポートヘッダを付加したアプリケーションレイヤ情報をブロードキャスト設定部25に出力する。
【0044】
(8)ブロードキャスト設定部25は、ポート設定部24から入力されたデータにIPヘッダとMACヘッダを付加することにより、図12(c)に示すようなフレームを生成する。ブロードキャスト設定部25は、IPヘッダを付加する際に、宛先IPアドレスを255.255.255.255のブロードキャストアドレスに設定する。すなわち、緊急情報を含むパケットについて、ブロードキャスト設定部25は、サブネットワークマスクが同じ通信装置40へのローカルブロードキャスト送信が行われるようにIPアドレスを設定する。次に、ブロードキャスト設定部25は、MACアドレスの宛先アドレスをFF:FF:FF:FF:FF:FF:に設定して、ブロードキャスト送信が行われるようにする。
【0045】
(9)ブロードキャスト設定部25は、アドレスの設定が終了したフレームを、送信機15に出力する。このとき、ブロードキャスト設定部25は、出力するフレームはユーザデータを含むフレームであることを送信機15に通知する。送信機15は、緊急情報が含まれたフレームを、第2のネットワークに向けて送信する。なお、送信機15は、制御チャネルを介さずに緊急情報を含むフレームを送信する。
【0046】
(10)図13は、中継装置10と第2のネットワークの例を示す。図13の例では、第2のネットワークは、通信装置40a〜40fを含むアドホックネットワークである。以下の説明では、通信装置40a〜40fのいずれも予め通知アプリケーションが起動されており、待ち受け状態にあるものとする。
【0047】
手順(9)で中継装置10からフレームがブロードキャスト送信されると、中継装置10から1ホップ目に位置している全ての通信装置40が、中継装置10から緊急情報を含むフレームを受信する。図13の例では、通信装置40a〜40cの3台の通信装置40が緊急情報を受信する。
【0048】
(11)以下の手順では、通信装置40bの動作を例として、緊急情報を含むフレームを受信した通信装置40の動作を説明するが、通信装置40aおよび40cの動作も通信装置40bの動作と同様である。通信装置40bのU−プレーン受信部44は、アンテナ41と受信機43を介して、緊急情報を含むフレームを受信する。U−プレーン受信部44は、緊急情報を含むフレームを検出部51とU−プレーン送信部47に出力する。
【0049】
(12)通信装置40bのU−プレーン送信部47は、U−プレーン受信部44から入力されたフレームを、第2のネットワーク中の他の通信装置40a、40c〜40fにブロードキャスト送信するために、ヘッダの情報を変更する。U−プレーン送信部47は、処理後のフレームを送信機45に出力する。送信機45は、アンテナ41を介して、U−プレーン送信部47から入力されたフレームをブロードキャスト送信する。
【0050】
(13)検出部51は、入力されたフレームに設定されている宛先ポート番号を確認して、対応するアプリケーションにデータを出力する。ここでは、宛先ポート番号は通知アプリケーションに対応付けられた番号に設定されているので、検出部51は、緊急情報を検出したと判断する。そこで、検出部51は、緊急情報を含むアプリケーションレイヤ情報を決定部52に出力する。
【0051】
(14)決定部52は、アプリケーションレイヤ情報(図12(a))に含まれているポップアップフラグとアラームフラグの値を確認して、指示されている動作の設定を確認する。このとき、決定部52は動作設定テーブルを用いる。動作設定テーブルの例を図14に示す。図14の例では、アラームフラグの値が「1」であれば、緊急情報を受信した通信装置40が警告音を発生させる。一方、アラームフラグの値が「0」であれば、緊急情報を受信した通信装置40は警告音を発生させない。また、ポップアップフラグの値が「1」であれば、緊急情報を受信した通信装置40は、緊急情報を画面に表示する。一方、ポップアップフラグの値が「0」であれば、緊急情報を受信しても、通信装置40は緊急情報の内容を画面に表示しない。決定部52は、ポップアップフラグとアラームフラグの値で指定されている動作を記憶する。
【0052】
(15)緊急情報を画面に表示する場合、決定部52は、アプリケーションレイヤ情報(図12(a))に含まれている緊急情報識別子をキーとして、災害識別テーブルを検索する。ここで、通信装置40(40a〜40f)は、図10(b)に示す災害識別テーブルを記憶部55に保持しているものとする。決定部52は、緊急情報識別子に対応付けられた災害の種類を取得し、手順(14)で得られた情報と共に、出力部53に出力する。
【0053】
(16)出力部53は、決定部52からの指示に応じて処理を行う。例えば、警告音の発生が指示されると、出力部53は、警告音を発生させる。さらに、画面への表示が指示されると、決定部52から通知された災害種別を画面に表示する。
【0054】
(17)手順(14)で、緊急情報を画面に表示する設定であることが確認されている場合、決定部52は、さらに、エンコードフィールドの値と緊急情報の本文をアプリケーションレイヤ情報から取得する。決定部52は、エンコードフィールドの値をキーとして、エンコードテーブルを検索する。エンコードテーブルの例を図15に示す。決定部52は、エンコードテーブルから特定された言語として、緊急情報の本文を文字列に変換する。決定部52は、得られた文字列を出力部53に出力し、画面への表示を指示する。出力部53は、決定部52から入力された文字列を画面に表示する。
【0055】
次に、本実施形態での各装置の処理を、フローチャートを参照しながら説明する。図16は、中継対象の情報かを判定する方法の例を説明するフローチャートである。図16は、手順(3)での中継装置10の動作の例を表す。まず、中継装置10は、第1のネットワークから情報を受信すると、U/C−プレーン判断部13は、U-プレーンの情報であるかを確認する(ステップS1、ステップS2)。受信したフレームがU-プレーンのフレームである場合、U/C−プレーン判断部13は、フレームをU−プレーン変換部14に出力し、U−プレーン変換部14はフレームを処理する(ステップS2でYes、ステップS3)。一方、受信したフレームがU-プレーンのフレームではない場合、U/C−プレーン判断部13は、フレームを中継判断部21に出力する。中継判断部21は、SIB10に含まれている情報を確認することにより、受信したフレームは緊急情報を含んでいるかを確認する(ステップS4)。緊急情報が含まれている場合、緊急情報を含むフレームを中継対象に設定する(ステップS4でYes、ステップS5)。一方、フレームに緊急情報が含まれていない場合、中継処理を終了する(ステップS4でNo、ステップS6)。
【0056】
図17は、中継対象の情報を受信した中継装置10の動作の例を説明するフローチャートである。図17は、手順(4)〜(9)での中継装置10の動作の例を表す。緊急情報を含むRRC情報を受信すると、中継判断部21や抽出部22は、緊急情報を取得して、生成部23に出力する(ステップS12)。生成部23は、中継判断部21と抽出部22から入力されたデータを用いて、通知アプリケーションで処理される情報(アプリケーションレイヤ情報)を生成する(ステップS13)。次に、ポート設定部24は、アプリケーションレイヤ情報に、通知アプリケーションに対応するポート番号を含むトランスポートレイヤのヘッダを付す(ステップS14)。その後、中継装置10は、アプリケーションレイヤ情報を含むフレームを、第2のネットワークに向けてブロードキャスト送信する(ステップS15)。
【0057】
図18は、緊急情報を受信した通信装置40の動作の例を説明するフローチャートである。図18は、手順(11)〜(16)での通信装置40の動作の例を表す。なお、図18は通信装置40の動作の一例であり、例えば、ステップS24、S25の前に、ステップS26、S27が行われるなどの変更が加えられる場合がある。また、ステップS24とS26の判定の後で、判定結果に応じてステップS25とS27の処理が行われるように動作が変形される場合もある。さらに、ステップS28の処理は、実装に応じて、ステップS22でYesと判定された後の任意のタイミングで行われてもよい。
【0058】
通信装置40に電源が投入された後、通知アプリケーションは、常駐サービスとして待ち受け状態にあるものとする(ステップS21)。検出部51は、通知アプリケーションに対応するポートを指定したフレームを受信したかを確認する(ステップS22)。通知アプリケーションに対応するポートを指定したフレームを受信するまで、通知アプリケーションは、待ち受け状態を継続する(ステップS22でNo、ステップS21)。一方、通知アプリケーションに対応するポートを指定したフレームを受信した場合、検出部51は、通知アプリケーションで処理する情報を受信したと認識して、アプリケーションレイヤ情報を決定部52に出力する(ステップS23)。決定部52は、アプリケーションレイヤ情報に含まれているポップアップフラグの値を確認する(ステップS24)。ポップアップフラグの値が1である場合、決定部52は、緊急情報識別子に対応付けられている災害情報を、災害識別テーブル(図10(b))を用いて取得する。決定部52は、取得した情報を出力部53に出力し、画面に災害情報を出力させる(ステップS24でYes、ステップS25)。例えば、地震の発生を通知する緊急情報が中継された場合、通信装置40の画面に「地震発生」という文字列が表示される。一方、ポップアップフラグが0の場合は、画面への表示は行われない(ステップS24でNo)。次に、決定部52は、アラームフラグの値を確認する(ステップS26)。アラームフラグが1である場合、決定部52からの指示に従って、出力部53は、警告音を発生する(ステップS26でYes、ステップS27)。一方、アラームフラグが0である場合、警告音を発生しない(ステップS26でNo)。その後、通信装置40は、緊急情報を含むフレームをブロードキャスト送信する(ステップS28)。なお、図18の例では、緊急情報識別子の情報だけが画面に表示される場合を例として述べたが、前述のように、緊急情報識別子の情報と緊急情報の本文の両方が表示されるように通信装置40の動作が変形される場合もある。
【0059】
前述のように、中継装置10は第1のネットワークの制御情報として受信した緊急情報を、通信装置40で処理できる形式のユーザデータとして第2のネットワークに中継する。このため、図19に示すように、第1のネットワークの制御情報として通知された通知情報が、通信システムの異なる第2のネットワークに通知される。第1の実施形態により緊急情報が中継される様子を図19に示す。なお、図19では、通信装置40で処理できる形式のユーザデータを「変換データ」として表している。
【0060】
このように、制御情報として通知された緊急情報が、通信システムの異なる複数のネットワークをまたいで通知されるため、緊急情報の通知が容易になる。例えば、複数のコンピュータがアドホックネットワークを形成していて、中継装置10もアドホックネットワークに参加しているとする。さらに、中継装置10は基地局5の通信エリア内に位置しているとする。この状態で基地局5が、通信エリア内に位置する通信装置や中継装置10に緊急情報を通知すると、中継装置10は、緊急情報をアドホックネットワークに属するコンピュータAで処理可能な形式に変換した上で、ユーザデータとして中継する。このため、コンピュータAに緊急情報が通知され、例えば、コンピュータAの画面に緊急情報が表示されたとする。その後、コンピュータAは、アドホックネットワークに属する他のコンピュータにも緊急情報を含むフレームをブロードキャストする。このため、アドホックネットワークに属する全てのコンピュータにおいて、緊急情報が通知され、緊急情報で指示されたとおりに緊急情報の表示などが行われる。また、本実施形態では、災害の種類を表示した後で、緊急情報の本文を表示しているので、災害の発生をユーザに迅速に通知することができる。
【0061】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、複数のフレームを用いて緊急情報が通知される場合に、中継装置10で本文の情報をまとめてから中継する方法について説明する。例えば、緊急情報の本文の長さが長い場合、1つのフレームで緊急情報が通知できないことが考えられる。そこで、第2の実施形態では、抽出部22は、緊急情報が1つのフレームで通知されているかを確認する。さらに、緊急情報が複数のフレームを用いて通知されている場合、抽出部22は、個々のフレームに含まれている情報を結合してアプリケーションレイヤ情報を生成する。以下の説明では、緊急情報の本文が複数のフレームを用いて通知されている場合、1つのフレームに含まれている緊急情報の本文を「情報セグメント」と記載することがある。
【0062】
以下、図11を参照しながら、抽出部22の動作を説明する。第1の実施形態で述べたとおり、緊急情報の本文は、SIB11のwarningMessageSegmentフィールドで通知される。通知されるデータが1つのフレームに含まれるwarningMessageSegmentに入りきらない場合、緊急情報が複数の情報セグメントに分けられ、複数のフレームにより通知される。個々のフレームは、情報セグメントを1つずつ通知する。
【0063】
抽出部22は、warningMessageSegmentNumberの値とwarningMessageSegmentTypeフィールドを用いて、緊急情報が複数の情報セグメントに分けられているかを確認する。warningMessageSegmentTypeは、フレームに含まれている情報セグメントが緊急情報の末尾の情報セグメントであるかを示す。緊急情報の末尾の情報セグメントを含まないフレームでは、warningMessageSegmentTypeフィールドの値はnotLastSegmentに設定される。一方、緊急情報の末尾の情報セグメントを含むフレームでは、warningMessageSegmentTypeフィールドの値がlastSegmentに設定される。従って、warningMessageSegmentTypeフィールドの値がnotLastSegmentであるSIB11を受信すると、抽出部22は、緊急情報が複数の情報セグメントに分かれていると判断する。抽出部22は、warningMessageSegmentフィールドに記録されている本文を、warningMessageSegmentNumberの値に対応付けて保持する。
【0064】
ここで、warningMessageSegmentNumberの値は、緊急情報の先頭に近い情報セグメントから順に大きな値になるように付され、0〜63の整数をとる。つまり、warningMessageSegmentNumberの値は情報セグメントの順序を表している。例えば、フレームAに含まれている情報セグメントのwarningMessageSegmentNumberが0で、フレームBに含まれている情報セグメントのwarningMessageSegmentNumberが1であるとする。すると、抽出部22は、フレームAに含まれている情報セグメントの続きのデータは、フレームBに含まれている情報セグメントであると認識できる。
【0065】
抽出部22は、warningMessageSegmentTypeフィールドの値がLastSegmentであるSIB11を受信するまで、warningMessageSegmentフィールドに記録されている本文を、warningMessageSegmentNumberの値に対応付けて取得する処理を繰り返す。その後、warningMessageSegmentTypeフィールドの値がLastSegmentであるSIB11を受信すると、取得したwarningMessageSegmentフィールドの内容を、warningMessageSegmentNumberの値が大きくなる順に結合する。
【0066】
図20は、第2の実施形態での抽出部22の動作を説明するフローチャートである。抽出部22は、中継判断部21から中継の対象であることが通知されたserialNumberの値と同じserialNumberを含むSIB11を受信すると、緊急情報の本文(情報セグメント)を抽出する(ステップS31)。なお、抽出部22は、個々の情報セグメントに対応付けて、warningMessageSegmentNumberの値を記憶するものとする。次に、抽出部22は、処理対象としているフレームのwarningMessageSegmentTypeフィールドの値がLastSegmentであるかを確認する(ステップS32)。LastSegmentに設定されていない場合、抽出部22は受信処理を継続し、ステップS31〜S33の処理を繰り返す(ステップS32でNo、ステップS33)。一方、処理対象のフレームがLastSegmentに設定されている場合、抽出部22はこれまでに抽出した情報セグメントを結合する(ステップS34)。なお、情報セグメントを結合する際、warningMessageSegmentTypeフィールドの値が小さいほど緊急情報の先頭に近くなるように処理が行われる。セグメントの結合処理が終わると、結合された情報を用いて、生成部23、ポート設定部24、ブロードキャスト設定部25により、ブロードキャストフレームが生成される。生成されたフレームは、送信機15より送信される(ステップS35)。
【0067】
なお、第2の実施形態でも、中継判断部21、生成部23、ポート設定部24、ブロードキャスト設定部25、アンテナ11、受信機12、U/C−プレーン判断部13、U−プレーン変換部14、送信機15の処理は第1の実施形態と同様である。また、通信装置40の動作も、第1の実施形態と同様である。
【0068】
このように、第1のネットワークから第2のネットワークに緊急情報を中継するときに、中継装置10が緊急情報の本文を1つのフレームにまとめてから中継すると、通信装置40は、受信順序を調整しなくても良い。このため、通信装置40の処理負担が小さくなる。
【0069】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、緊急情報がMACヘッダ(メディアアクセス制御ヘッダ)とMACメッセージ(メディアアクセス制御メッセージ)によって伝達される場合について説明する。第3の実施形態では、第2のネットワークは、無線LANネットワークであり、第2のネットワークに属する通信装置は、インフラストラクチャモードで動作するものとする。
【0070】
図21は、中継装置80の構成の例を示す。中継装置80は、生成部81、アンテナ11(11a、11b)、受信機12、U/C−プレーン判断部13、U−プレーン変換部14、送信機15、記憶部16、中継判断部21、抽出部22、ブロードキャスト設定部25を備える。生成部81は、抽出部22で抽出された緊急情報をMACレイヤの情報に変換する。さらに、生成部81は、制御情報を通知するフレームを生成する。生成部81の動作については、後で詳しく述べる。アンテナ11、受信機12、U/C−プレーン判断部13、U−プレーン変換部14、送信機15、中継判断部21、抽出部22、ブロードキャスト設定部25の動作は、第1もしくは第2の実施形態と同様である。記憶部16は、緊急情報を通知するフレームについてのMACヘッダの設定や、MACメッセージのフォーマット、災害識別テーブルなどを記憶しているものとする。
【0071】
図22は、通信装置90の構成の例を示す。通信装置90は、U/C−プレーン判断部92、LAN MAC受信部93、制御部94、アプリケーション処理部95、アンテナ41、受信機43、U−プレーン受信部44を備える。アプリケーション処理部95は、記憶部96、決定部97、出力部98を有する。なお、図22には、図を見やすくするために、通信装置90のうち、第3の実施形態に関する動作に関連する部分を図示している。通信装置90も、送信機45などを備えており、データの送信を行うことができるものとする。
【0072】
U/C−プレーン判断部92は、アンテナ41と受信機43を介して受信したフレームを、ユーザデータを含むフレームと制御情報を通知するフレームに分類する。U/C−プレーン判断部92は、制御チャネルを介して受信したデータを制御情報として、LAN MAC受信部93に出力する。一方、U/C−プレーン判断部92は、ユーザデータを含むフレームをU−プレーン変換部14に出力する。
【0073】
LAN MAC受信部93は、制御情報を通知するフレームについて、MACヘッダを参照することにより、緊急情報を通知するフレームであるかを確認する。LAN MAC受信部93は、緊急情報が含まれているフレームを制御部94に出力する。一方、緊急情報が含まれていないフレームは、制御情報の処理に用いられる。制御部94は、LAN MAC受信部93から入力されたフレームのMACメッセージに、通知アプリケーションのApplication Program Interface(API)を付与してから、アプリケーション処理部95に出力する。
【0074】
決定部97は、制御部94から入力されたMACメッセージを処理し、さらに、緊急情報をユーザに感知させるための出力処理の方法を決定する。ここで、決定部97はMACメッセージのフォーマットを認識し、MACメッセージ中の情報を処理するものとする。出力部98は、決定部97の指示に応じて、画面への表示、警報音の出力などの処理を行う。記憶部96は、災害識別テーブル、動作設定テーブル、エンコードテーブル等を記憶し、適宜、アプリケーション処理部95での処理に用いられるデータを記憶する。災害識別テーブル、動作設定テーブル、エンコードテーブルは第1の実施形態と同様である。また、U−プレーン受信部44の動作等は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
ところで、第3の実施形態では、緊急情報がMACレイヤの情報として受信されるため、ネットワーク接続部91で緊急情報を含むフレームを検出したことを契機として、通知アプリケーションが動作を開始することになる。すなわち、ネットワーク接続部91でMACフレーム中の緊急情報をアプリケーション処理部95で処理できる形式に変換する。そこで、例えば、ネットワーク接続部91に、予め、緊急情報の処理に対応したドライバなどを読み込ませておくことができる。例えば、ネットワーク接続部91がLANカードなどのLAN無線デバイスであり、アプリケーション処理部95がコンピュータである場合、ユーザは、図23に示す手順によって通信装置90を得ることができる。まず、ユーザは、LAN無線デバイスをコンピュータに接続する(ステップS41)。次に、ユーザは、緊急情報の放送に対応したドライバを、LAN無線デバイスにインストールする(ステップS42)。さらに、ユーザにより、緊急情報の放送に対応したアプリケーション(通知アプリケーション)を、コンピュータにインストールする(ステップS43)。ステップS42とS43でインストールしたドライバとアプリケーションが緊急情報の放送に対応して設定されると、LAN無線デバイスとコンピュータは、通信装置90として動作できる。
【0076】
以下、図面を参照しながら第3の実施形態で行われる処理について説明する。
(21)中継装置80が、基地局5から緊急情報を含むフレームを受信したかを確認する方法は、第1の実施形態で説明した手順(1)〜(3)と同様である。
【0077】
(22)緊急情報を第2のネットワークに中継することを決定すると、中継判断部21は、警告音フラグとポップアップフラグの値を取得し、serialNumberの値に対応付けて生成部81に出力する。
【0078】
(23)中継判断部21は、U/C−プレーン判断部13から入力された報知情報に含まれるSIB11を、抽出部22に出力する。抽出部22は、warningMessageSegmentフィールドに記録されている情報を抽出し、serialNumberに対応付けて生成部81に出力する。また、warningMessageSegmentフィールドに格納されている情報を記録している言語の特定に用いるために、抽出部22は、dataCodingSchemeの値を抽出して、serialNumberに対応付けて生成部81に出力する。
【0079】
(24)生成部81は、緊急情報を通知するフレームを生成する。このとき、生成部81は、適宜、記憶部16からフォーマットを読み込むことができる。緊急情報を通知するフレームのフォーマットの例を図24(a)に示す。緊急情報を通知するフレームは、MACヘッダ、MACメッセージ、Frame Check Sequence(FCS)を含む。MACヘッダは、フレーム制御フィールド、デュレーション/IDフィールド、宛先アドレス、送信元アドレス、Basic Service Set Identifier(BSSID)、シーケンス制御フィールドを含む。生成部81は、緊急情報を通知するフレームについては、フレーム制御フィールドに緊急情報を含むことを示す情報を記録する。
【0080】
図24(b)に、緊急情報を通知するフレームのフレーム制御フィールドのフォーマットの例を示す。フレーム制御フィールドは、プロトコルバージョン情報、タイプ、サブタイプ、ToDS、FromDS、More Flagment(More Flag)、Retry、電力管理、MoreData、Wired Equivalent Privacy(WEP)、Orderを含む。生成部81は、図24(b)に示すように、プロトコルバージョン情報を示す2ビットを「11」に設定するものとする。なお、緊急情報を通知しないフレームでは、プロトコルバージョン情報の値は「00」に設定されるものとする。緊急情報を通知しないフレームのフォーマットを図24(c)と図24(d)に示す。図24(d)は図24(c)のフレームのフレーム制御フィールドを拡大して示している。
【0081】
図25は、生成部81により生成されるMACメッセージのフォーマットの例を示す。MACメッセージには、緊急情報識別子、ポップアップフラグ、アラームフラグ、予約領域(Reserve)、エンコード、緊急情報の本文が含まれる。生成部81は、緊急情報識別子を、SIB10のWarning Type Valueフィールドの値とする。さらに、生成部81は、ポップアップフラグを、SIB10中のポップアップフラグの値とし、アラームフラグを、SIB10中の警告音フラグの値とする。予約領域は、オプション設定等を行う際に用いられる。生成部81は、エンコードのフィールドに、dataCodingSchemeの値を記録する。また、緊急情報の本文は、warningMessageSegmentフィールドに記録されている情報とされる。
【0082】
(25)生成部81は、生成したフレームを、ブロードキャスト設定部25に出力する。ブロードキャスト設定部25は、生成部81から入力されたフレームの宛先アドレスをブロードキャストアドレスに設定する。すなわち、ブロードキャスト設定部25は、MACヘッダの宛先アドレスフィールドの値を、FF:FF:FF:FF:FF:FF:に設定する。
【0083】
(26)ブロードキャスト設定部25は、アドレスの設定が終了したフレームを、送信機15に出力する。このとき、ブロードキャスト設定部25は、出力するフレームは制御情報を含むフレームであることを送信機15に通知する。送信機15は、緊急情報が含まれたフレームを、制御チャネルを介して、第2のネットワークに送信する。
【0084】
(27)手順(26)で中継装置80からフレームがブロードキャスト送信されると、第2のネットワーク中の通信装置90が、緊急情報を含むフレームを受信する。
【0085】
(28)通信装置90に備えられた受信機43は、受信したフレームをU/C−プレーン判断部92に出力する。U/C−プレーン判断部92は、入力されたフレームがC−プレーンのフレームであることを認識し、LAN MAC受信部93に出力する。
【0086】
(29)LAN MAC受信部93は、受信したフレームのMACヘッダを参照し、フレーム制御フィールドの上位2ビットを取得する。得られたビット列が「11」である場合、LAN MAC受信部93は、受信したフレームが緊急情報を含むと判断し、制御部94に出力する。一方、得られたビット列の値が「11」ではない場合、LAN MAC受信部93は、C-プレーン受信部(図示せず)にフレームを出力し、制御情報として使用させる。
【0087】
(30)制御部94は、LAN MAC受信部93から入力されたフレームのMACメッセージに、通知アプリケーションのAPIを付加する。図26に、制御部94によってAPIが付加されたMACメッセージの例を示す。
【0088】
(31)制御部94は、APIを付加したMACメッセージを、決定部97に入力する。決定部97は、MACメッセージに通知アプリケーションに対応付けられたAPIが含まれているかを確認する。通知アプリケーションに対応付けられたAPIが含まれていない場合、決定部97は、MACメッセージの処理を行わずに廃棄する。一方、通知アプリケーションに対応付けられたAPIが含まれている場合、決定部97は、MACメッセージ中のポップアップフラグとアラームフラグの値を確認して、緊急情報により指示されている動作を認識する。このとき、決定部97は、動作設定テーブル(図14)を用いる。
【0089】
(32)緊急情報を画面に表示する場合、決定部97は、MACメッセージ中の緊急情報識別子をキーとして、災害識別テーブル(図10(b))を検索する。決定部97は、緊急情報識別子に対応付けられた災害の種類を取得し、手順(31)で得られた情報と共に、出力部98に出力する。さらに、決定部97は、エンコードフィールドの値とエンコードテーブルから緊急情報が記録されている言語を認識する。さらに、決定部97は、MACメッセージ中の緊急情報の本文、認識した言語の文字列に変換する。決定部97は、変換により得られた文字列も、出力部98に出力する。
【0090】
(33)出力部98は、決定部97からの指示に応じて、画面への表示や警告音の発生などの処理を行う。
【0091】
図27は、中継対象の情報を受信した中継装置80の動作の例を説明するフローチャートである。図27は、手順(21)〜(26)での中継装置80の動作の例を表す。緊急情報を含むRRC情報を受信すると、中継判断部21や抽出部22は、緊急情報を取得して、生成部81に出力する(ステップS51、S52)。生成部81は、中継判断部21と抽出部22から入力されたデータを含むMACメッセージを生成し、緊急情報を含むことを示すMACヘッダを付加する(ステップS53)。次に、ブロードキャスト設定部25は生成部81で生成されたフレームがブロードキャスト送信されるように設定する。その後、中継装置80は、緊急情報を含むフレームを、制御チャネルを介して第2のネットワークに向けてブロードキャスト送信する(ステップS54)。
【0092】
図28は、ネットワーク接続部91の動作の例を説明するフローチャートである。LAN MAC受信部93は、U/C−プレーン判断部92から、C−プレーンのフレームを受信する。LAN MAC受信部93は、受信したフレームのMACヘッダに、緊急情報を含むフレームであることを示す情報が含まれているかを確認する。フレーム中に緊急情報を含むことを示すMACヘッダを検出すると、LAN MAC受信部93は、緊急情報を含むMACメッセージを制御部94に出力する(ステップS61、S62)。制御部94は、LAN MAC受信部93から入力されたMACメッセージに、通知アプリケーションに対応したAPIを付加する(ステップS63)。制御部94は、APIを付加したMACメッセージを、通知アプリケーションのアプリケーション処理部95に出力する(ステップS64)。
【0093】
図29は、アプリケーション処理部95の動作の例を説明するフローチャートである。なお、図29は通信装置90の動作の一例であり、例えば、ステップS74、S75の前に、ステップS76、S77が行われるなどの変更が加えられる場合がある。
【0094】
通信装置90に電源が投入された後、通知アプリケーションは、常駐サービスとして待ち受け状態にあるものとする(ステップS71)。決定部97は、通知アプリケーションに対応するAPIを含むMACメッセージを受信したかを確認する(ステップS72)。通知アプリケーションに対応するAPIを含むMACメッセージを受信するまで、通知アプリケーションは、待ち受け状態を継続する(ステップS72でNo、ステップS71)。一方、通知アプリケーションに対応するAPIを含むMACメッセージを受信した場合、決定部97は、緊急情報を含むMACメッセージを取得したと認識する(ステップS73)。ステップS74〜S77では、図18を参照しながら説明したステップS24〜S27の処理と同様の処理がアプリケーション処理部95で行われる。決定部97からの指示に応じて出力部98での処理が終わると、通信装置90は、緊急情報を含むフレームの処理が終了したと認識し、待ち受け状態に戻る(ステップS78、S71)。
【0095】
前述のように、中継装置80は第1のネットワークの制御情報として基地局5から受信した緊急情報を、MACレイヤの情報を用いて第2のネットワークに中継する。また、緊急情報は、通信装置90で処理できる形式の制御情報としてブロードキャスト送信されている。このため、図30(a)に示すように、第1のネットワークの制御情報として通知された通知情報が、通信システムの異なる第2のネットワークに通知される。なお、図30(a)では、通信装置90で処理できる形式のMACレイヤの情報を「変換MAC」として表している。
【0096】
第3の実施形態では、MACレイヤの情報を用いて緊急情報が通知されるので、第1の実施形態に比べて、低いレイヤで緊急情報が通知されることになる。このため、第1の実施形態に比べて、緊急情報を含むフレームを受信してから、通信装置90が緊急情報を認識するまでの時間は、通信装置40に比べて短くなることが期待される。従って、ユーザへの緊急情報の通知や、他の通信装置90への緊急情報の通知が、第1の実施形態よりも早くなる可能性がある。
【0097】
図30(b)は、第3の実施形態が用いられるシステムの例を示す。図30(b)では、第2のネットワークは、無線LANネットワークであり、第1のネットワークは、3GPP(Third Generation Partnership Project)の規格に沿った通信が行われるネットワークである。災害通知センタから、GW(gateway)を介して、オペレータネットワーク中の通信装置に、緊急情報が通知される。すると、オペレータネットワークに含まれる基地局は、基地局の通信エリア内の通信装置に緊急情報を通知する。このとき、基地局からモバイルルータも、緊急情報を含むフレームを受信したとする。モバイルルータは、3GPPに対応している装置に対しては、3GPPの端末として動作するが、モバイルルータの通信エリア内に位置するLAN端末との間で無線LAN通信も行っているとする。すると、モバイルルータは、基地局から受信した通知情報を含むフレームを第3の実施形態に沿って生成し、無線LAN装置にブロードキャスト送信する。すると、LAN端末は、モバイルルータによって中継されたフレームにより、緊急情報を受信できる。
【0098】
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
【0099】
中継の対象とする緊急情報の選択は、実装に応じて変形される場合がある。例えば、中継判断部21は、テスト送信された緊急情報を中継しないように判断することもできる。さらに、Warning Type Valueが予約領域に指定されている場合(Warning Type Valueが0000101〜1111111)についても、特定の災害等に割り当てられた場合に、中継判断部21が中継の対象として選択するように動作が変形されることがある。
【0100】
中継判断部21がSIB11に含まれているserialNumberの値を確認し、第2のネットワークに中継する対象とした緊急情報の内容を伝えるSIB11を、抽出部22に出力することもできる。
【0101】
複数の緊急情報が流れたときは、serialNumberの値によって、個々の緊急情報が区別される。生成部23もしくは生成部81は、ポップアップフラグ、警告音フラグ、warningMessageSegmentフィールド、dataCodingScheme、Warning Type Valueのいずれも同じserialNumberの値に関連付けられていることを確認して、フレームを生成する。
【0102】
第1および第2の実施形態についても、中継装置10は、通信装置40がインフラストラクチャモードで動作するネットワークに、緊急情報を中継することができるものとする。さらに、第1および第2の実施形態で用いるトランスポートレイヤのプロトコルは、UDPには限られず、アプリケーションのポート番号を含む任意のプロトコルに変更される場合がある。
【0103】
なお、通知アプリケーションは、例えば、電子メールソフトなど、ユーザが頻繁に用いるアプリケーションと連動するように変形される場合もある。この場合、中継装置10、80は、電子メールのフォーマットに合わせて通知フレームを生成する。例えば、電子メールの件名は、緊急情報識別子が表す災害情報とされる。中継装置10、80は、適宜、災害識別テーブルを用いて、電子メールの件名を設定する。通知フレームを受信した通信装置40、90で動作する通知アプリケーションは、緊急情報を含むメールを受信したことを認識すると、受信したフレームに含まれている緊急情報を、電子メールソフトを用いて表示する。また、通知アプリケーションは、画面への緊急情報の表示を、電子メールソフトの新規メール通知機能に行わせることができる。この場合、所定の設定が行われている電子メールソフトが、通知アプリケーションからの要求に応じて、新規メールの着信と同様の形式で、緊急情報を表示する。また、通知アプリケーションは、電子メールソフトにより、アラーム音を発生させることもできる。
【符号の説明】
【0104】
1 中央装置
2、10、80 中継装置
5 基地局
11、41 アンテナ
12、43 受信機
13、92 U/C−プレーン判断部
14、44 U−プレーン変換部
15、45 送信機
16、55、96 記憶部
21 中継判断部
22 抽出部
23、81 生成部
24 ポート設定部
25 ブロードキャスト設定部
31、61 デュプレクサ
32、62 RF部
33、63 DSP
34 MPU
35、64 メモリ
40、90 通信装置
42、91 ネットワーク接続部
46、94 制御部
47 U−プレーン送信部
50、95 アプリケーション処理部
51 検出部
52、97 決定部
53、98 出力部
65、71 インタフェース
72 CPU
73 ハードディスク
74 アプリケーション
75 表示部
76 音声出力部
93 LAN MAC受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方式を用いる第1のネットワークから信号を受信する受信部と、
前記第1のネットワークの制御チャネルを介して受信した信号から、前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を用いる第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を抽出する抽出部と、
前記第2のネットワークに属する通信装置に対して前記通知情報を通知するために用いられる通知フレームを生成する生成部と、
前記通知フレームを、前記第2のネットワークに属する通信装置に送信する送信部
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
ユーザに前記通知情報を通知するために、前記第2のネットワークに属する通信装置で動作する通知アプリケーションがデータを認識する認識形式を記憶する記憶部
をさらに備え、
前記生成部は、前記通知フレームに、前記通知情報を前記認識形式に対応したデータとして含める
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2のネットワークに属する通信装置でユーザに前記通知情報を通知するために動作する通知アプリケーションにより、前記通知情報の検知に用いられるメディアアクセス制御ヘッダの設定である通知設定を記憶する記憶部
をさらに備え、
前記生成部は、前記通知フレームのメディアアクセス制御ヘッダを前記通知設定に設定すると共に、前記通知情報を前記通知フレームのメディアアクセス制御メッセージに記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通知情報が第1のセグメントと第2のセグメントに分割され、前記第1のセグメントは第1の報知情報により放送され、前記第2のセグメントは第2の報知情報により放送されている場合、
前記抽出部は、
前記第1の報知情報から前記第1のセグメントを抽出し、
前記第2の報知情報から前記第2のセグメントを抽出し、
前記第1のセグメントと前記第2のセグメントを結合することにより、前記通知情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1のネットワークに属する基地局から通知される災害を識別する災害識別子を記録した災害識別テーブルと、
前記災害識別テーブルに記録された災害識別子を含むフレームを、前記第1のネットワークから前記第2のネットワークに中継すると判断すると共に、前記抽出部に出力する中継判断部
をさらに備え、
前記抽出部は、前記検出部から入力されたフレームから、前記通知情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
第1のネットワークと第2のネットワークが形成されている場合に、前記第2のネットワークに属する通信装置であって、
前記第1のネットワークで送受信されたデータを前記第2のネットワークに中継する中継装置で生成されたフレームを受信する受信部と、
前記第1のネットワークの制御チャネルを介して前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、前記第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を、前記フレームから検出する検出部と、
前記通知情報を解析するとともに、前記通知情報をユーザに感知させるための出力処理の方法を決定する決定部と、
前記決定部の指示に応じて前記出力処理を行う出力部
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
前記通知情報が制御情報の送受信に用いられる制御チャネルを介して受信した受信制御フレームに含まれている場合、前記決定部が処理対象として認識するための処理識別子を、前記受信制御フレームで通知されたデータに付加する制御部
をさらに備え、
前記決定部は、前記処理識別子が付されているデータを解析することにより、前記決定部で行われる出力方法を決定する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記受信制御フレームのメディアアクセス制御ヘッダの値が、メディアアクセス制御メッセージに前記通知情報が含まれていることを示す値である場合、前記処理識別子を、前記受信制御フレームに付加し、
前記決定部は、前記処理識別子が付加されたメディアアクセス制御メッセージを解析することにより、前記決定部で行われる出力方法を決定する
ことを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
第1の通信方式を用いる第1のネットワークから信号を受信し、
前記第1のネットワークの制御チャネルを介して受信した信号から、前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を用いる第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を抽出し、
前記第2のネットワークに属する通信装置に対して前記通知情報を通知するために用いられる通知フレームを生成し、
前記通知フレームを、前記第2のネットワークに属する通信装置に送信する
処理を、前記第1のネットワークと前記第2のネットワークの間でデータを中継する中継装置が行うことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
第1の通信方式を用いる第1のネットワークから信号を受信し、
前記第1のネットワークの制御チャネルを介して受信した信号から、前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を用いる第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を抽出し、
前記第2のネットワークに属する通信装置に対して前記通知情報を通知するために用いられる通知フレームを生成し、
前記通知フレームを、前記第2のネットワークに属する通信装置に送信する
処理を、前記第1のネットワークと前記第2のネットワークの間でデータを中継する中継装置に行わせることを特徴とする通信プログラム。
【請求項11】
第1のネットワークで送受信されたデータを、前記第1のネットワークと異なる通信方式が用いられる第2のネットワークに中継する中継装置で生成されたフレームを受信し、
前記第1のネットワークの制御チャネルを介して前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、前記第2のネットワークに属する通信装置でも使用される通知情報を、前記フレームから検出し、
前記通知情報を解析するとともに、前記通知情報をユーザに感知させるための出力処理の方法を決定し、
前記決定部の指示に応じて前記出力処理を行う
処理を、前記第2のネットワークに属する通信装置が行うことを特徴とする通信方法。
【請求項12】
第1のネットワークで送受信されたデータを、前記第1のネットワークと異なる通信方式が用いられる第2のネットワークに中継する中継装置で生成されたフレームを受信し、
前記第1のネットワークの制御チャネルを介して前記第1のネットワークに属する通信装置に通知するために放送され、前記第2のネットワークに属する通信装置でも使用される前記第1のネットワークに属する通知情報を、前記フレームから検出し、
前記通知情報を解析するとともに、前記通知情報をユーザに感知させるための出力処理の方法を決定し、
前記決定部の指示に応じて前記出力処理を行う
処理を、前記第2のネットワークに属する通信装置に行わせることを特徴とする通信プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図1】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−26929(P2013−26929A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161377(P2011−161377)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】