通信装置、通信方法、及び通信プログラム
【課題】短時間で使用可能帯域を特定することができる通信装置、通信方法、及び通信プログラムを提供する。
【解決手段】通信装置は、送信間隔を順次変えながら計測パケットを送信することで、計測帯域範囲R(0)内に使用可能帯域が位置するか判断する。計測帯域範囲R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置すると判断された場合、計測帯域範囲R(0)は、下帯域CL(0)を狭帯域側に帯域移動量B(1)だけ移動させた計測帯域範囲R(1)に更新される。更新された新たな計測帯域範囲R(1)内に使用可能帯域が位置するか、繰り返し判断される。帯域移動量B(n)は、nの値の増加に伴い、増加する。計測帯域範囲R(n)は、更新される回数の増加に伴い、広くなる。計測帯域範囲R(3)内に使用可能帯域が含まれているので、通信装置は、使用可能帯域を特定できる。
【解決手段】通信装置は、送信間隔を順次変えながら計測パケットを送信することで、計測帯域範囲R(0)内に使用可能帯域が位置するか判断する。計測帯域範囲R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置すると判断された場合、計測帯域範囲R(0)は、下帯域CL(0)を狭帯域側に帯域移動量B(1)だけ移動させた計測帯域範囲R(1)に更新される。更新された新たな計測帯域範囲R(1)内に使用可能帯域が位置するか、繰り返し判断される。帯域移動量B(n)は、nの値の増加に伴い、増加する。計測帯域範囲R(n)は、更新される回数の増加に伴い、広くなる。計測帯域範囲R(3)内に使用可能帯域が含まれているので、通信装置は、使用可能帯域を特定できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、及び通信プログラムに関する。より詳細には、通信装置間の通信路における使用可能な帯域を計測できる通信装置、通信方法、及び通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークを介して通信装置がデータを送受信する場合、通信装置は、使用可能な伝送路容量に適した伝送速度でデータを送受信する必要がある(以下、伝送路容量及び伝送速度を「帯域」ともいう。使用可能な伝送路容量を「使用可能帯域」という。)。使用可能帯域は、地域、プロバイダ、時間帯等の状況によって変動する。従って、データを送信する通信装置は、変動する使用可能帯域に合わせて、データを送信する場合の帯域を選択することが望ましい。
【0003】
非特許文献1は、使用可能帯域を特定する方式を開示している。この方式では、送信側の通信装置(以下「送信装置」という。)は、計測パケットの送信間隔を算出するための時間情報を、計測パケットに含める。送信装置は、送信間隔を徐々に変えることで送信時の帯域を変更しながら、複数の計測パケットを連続して送信する。受信側の通信装置(以下「受信装置」という。)は、計測パケットの受信間隔を記憶する。その後、計測パケット内の時間情報に含まれている送信間隔と、受信装置で記憶された受信間隔との差分が算出される。算出された複数の差分の値の変化傾向から、使用可能帯域が特定される。
【0004】
使用可能帯域の特定は、所定の帯域の範囲毎に行われる(以下、帯域の範囲を「計測帯域範囲」という。)。計測パケットを送信する場合に使用される帯域は、計測帯域範囲内から順次選択される。選択された帯域が使用されて計測パケットが送信され、計測帯域範囲内に使用可能帯域があるかが判断される。一の計測帯域範囲内に使用可能帯域がない場合、計測帯域範囲は拡張される。計測帯域範囲よりも使用可能帯域が狭帯域側にある場合、計測帯域範囲は狭帯域側に拡張される。計測帯域範囲よりも使用可能帯域が広帯域側にある場合、計測帯域範囲は広帯域側に拡張される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】インラインネットワーク計測手法 ImTCP およびその応用手法の実装および性能評価 津川 知朗,LE THANH MAN, Cao,長谷川 剛,村田 正幸 電子情報通信学会 技術研究報告 (IN2005-120), pp. 79-84, December 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の方式では、所定量ずつ狭帯域側又は広帯域側に計測帯域範囲が拡げられることで計測帯域範囲が拡張され、使用可能帯域の計測処理が繰り返される。このため、計測帯域範囲と使用可能帯域とが大きく異なっている場合、計測帯域範囲は繰り返し何度も拡張されなければ、計測帯域範囲内に使用可能帯域が含まれる状態とならない。従って、使用可能帯域が特定されるまでに長時間を要してしまう場合があるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、短時間で使用可能帯域を特定することができる通信装置、通信方法、及び通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る通信装置は、ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置であって、複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断手段と、前記第一判断手段において、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段において、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定手段であって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新手段と、前記第一更新手段によって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信手段とを備えている。
【0009】
第一態様によれば、通信装置は、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて新たな帯域移動量を決定するので、使用可能帯域の計測が効率的に繰り返されるように、帯域移動量を変化させることができる。計測帯域範囲に対する使用可能帯域の位置に応じて変化量を調整することで、使用可能帯域に計測帯域範囲を良好に追従させることができる。従って通信装置は、短い時間で効率的且つ確実に使用可能帯域を特定できる。
【0010】
また、第一態様において、前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合に、前記決定手段は、前回決定した前記変化量よりも新たに決定する前記変化量が大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定してもよい。通信装置は、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置すると判断された場合に、変化量を徐々に大きくすることで、計測帯域範囲の増分を徐々に大きくする。これによって、短い時間で計測帯域範囲を広くできるので、当初の計測帯域範囲と使用可能帯域とが大きく離れている場合でも、短時間で使用可能帯域を特定できる。
【0011】
また、第一態様において、前記決定手段は、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分が、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が存在すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分よりも大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定してもよい。計測帯域範囲に対して使用可能帯域が狭帯域側にある場合、計測パケットは常に使用可能帯域を超えた条件で送信されていることになるため、より迅速に使用可能帯域が特定される必要がある。本発明では、このような状態で変化量の増分が相対的に大きくなるので、更に短い時間で計測帯域範囲を広くし、使用可能帯域を特定できる。一方、計測帯域範囲に対して使用可能帯域が広帯域側にある場合、計測パケットは使用可能帯域よりも小さい帯域を使用して送信されている。このような場合、本発明では、変化量の増分は相対的に小さくしている。これにより、計測通信に要する時間を短縮できる。
【0012】
また、第一態様において、前記第一更新手段において前記下帯域又は前記上帯域を移動させた結果、前記下帯域が所定の下閾値よりも小さくなった場合に、前記上帯域を狭帯域側に移動させ、前記上帯域が所定の上閾値よりも大きくなった場合に、前記下帯域を広帯域側に移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第二更新手段を備えていてもよい。計測帯域範囲の上帯域が、計測帯域範囲がとりうる上限(上閾値)に達した場合、下帯域を広帯域側に移動させることができる。また、計測帯域範囲の下帯域が、計測帯域範囲がとりうる下限(下閾値)に達した場合、上帯域を狭帯域側に移動させることができる。これによって、計測帯域範囲を狭くできるので、計測帯域範囲内の計測に要する時間を短縮できる。また、既に計測された帯域が計測帯域範囲から除かれることになり、同じ帯域が重複して計測されないので、効率よく使用可能帯域を計測できる。
【0013】
また、第一態様において、前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の連続回数を特定する特定手段と、前記特定手段において特定された前記連続回数が所定回数以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第三更新手段を備えていてもよい。計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が所定回数連続して位置すると判断された場合、上帯域と下帯域とは、同じ移動量だけ狭帯域側又は広帯域側に移動される。計測帯域範囲は拡張されず、上帯域と下帯域との差分は変化しない。これによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測通信に時間がかかってしまうことを防止できる。従って、計測帯域範囲内の計測を短時間で迅速に行うことができる。
【0014】
また、第一態様において、前記上帯域と前記下帯域との差分を算出する第一算出手段と、前記第一算出手段において算出された前記差分が所定値以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第四更新手段を備えていてもよい。上帯域と下帯域との差分が所定値以上となった場合、差分がこれ以上増大しないように、上帯域及び下帯域が決定される。これによって、計測時間に明確な制限がある場合であっても、計測帯域範囲の計測を確実に所定時間内で実行することができる。
【0015】
また、第一態様において、前記相手装置から受信した計測結果を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記計測結果の偏差を算出する第二算出手段とを備え、前記決定手段は、前記第二算出手段によって算出された前記偏差が大きい場合の前記変化量が、前記偏差が小さい場合の前記変化量と比較して大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定してもよい。計測結果の偏差が大きく、計測結果が大きくばらついている場合、変化量を大きくすることで、短い時間で計測帯域範囲を大きくできる。これによって、計測結果にばらつきがある場合でも、精度よく使用可能帯域を特定できる。
【0016】
本発明の第二態様に係る通信方法は、ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置において実行される通信方法であって、複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップとを備えている。
【0017】
第二態様によれば、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて新たな帯域移動量を決定するので、使用可能帯域の計測が効率的に繰り返されるように、帯域移動量を変化させることができる。計測帯域範囲に対する使用可能帯域の位置に応じて変化量を調整することで、使用可能帯域に計測帯域範囲を良好に追従させることができる。従って通信装置は、短い時間で効率的且つ確実に使用可能帯域を特定できる。
【0018】
本発明の第三態様に係る通信プログラムは、ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するための通信プログラムであって、複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップとをコンピュータに実行させる。
【0019】
第三態様によれば、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて新たな帯域移動量を決定するので、使用可能帯域の計測が効率的に繰り返されるように、帯域移動量を変化させることができる。計測帯域範囲に対する使用可能帯域の位置に応じて変化量を調整することで、使用可能帯域に計測帯域範囲を良好に追従させることができる。従って通信装置は、短い時間で効率的且つ確実に使用可能帯域を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】通信システム100の概要、及び通信装置1の電気的構成を示す図である。
【図2】計測帯域範囲が変化する様子を示す図である。
【図3】メイン処理を示すフローチャートである。
【図4】更新処理を示すフローチャートである。
【図5】第一変形例における、計測帯域範囲が変化する様子を示す図である。
【図6】第一変形例における更新処理を示すフローチャートである。
【図7】第二変形例における、計測帯域範囲が変化する様子を示す図である。
【図8】第二変形例における更新処理を示すフローチャートである。
【図9】第三変形例における更新処理を示すフローチャートである。
【図10】第四変形例におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の通信装置を具現化した一実施の形態である通信装置1、および複数の通信装置1を備えた通信システム100について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0022】
通信システム100について説明する。図1に示すように、通信システム100は、少なくとも2つの通信装置1を備える。通信装置1は、ネットワーク8を介して他の通信装置1と接続する。通信装置1は、他の通信装置1との間で各種データの通信を行う。
【0023】
通信システム100は、複数の拠点のユーザがテレビ会議を行うためのテレビ会議システムである。各通信装置1は、映像データ及び音声データを互いに送受信することで、複数の拠点の映像および音声を共有する。通信装置1は、ネットワーク8を介したデータ通信を実行できるものであればよい。具体的には、テレビ会議を実行するために各拠点に配置される専用のテレビ会議端末であってもよいし、種々の情報処理を行うパーソナルコンピュータであってもよい。
【0024】
通信システム100では、通信相手の通信装置1との間で帯域が計測され、使用可能帯域が特定される。使用可能帯域とは、送信側の通信装置1が送信するデータの伝送速度とほぼ等しい伝送速度で受信側の通信装置1がデータを受信できる最大の伝送速度をいう。使用可能帯域を越える伝送速度でパケットが送信されると、パケットロス、通信遅延等が生じる。一方、伝送速度を低くしすぎると、使用可能帯域を十分に活用することができず、効率が悪い。従って、各通信装置1は、特定された使用可能帯域に合わせて、使用する伝送速度(帯域)を制御する。なお、帯域と、各通信装置1間の伝送速度とを比較するため、帯域の単位として「bps」を用いる。
【0025】
通信装置1の電気的構成について説明する。図1に示すように、通信装置1は、通信装置1の制御を司るCPU10を備えている。CPU10には、ROM11、RAM12、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)13、および入出力インターフェース19が、バス18を介して接続されている。
【0026】
ROM11は、通信装置1を動作させるためのプログラムおよび初期値等を記憶している。RAM12は、制御プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。HDD13は、制御プログラム等の各種の情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。HDD13の代わりに、EEPROMまたはメモリカード等の記憶装置を用いてもよい。
【0027】
入出力インターフェース19には、音声入力処理部21、音声出力処理部22、映像入力処理部23、映像出力処理部24、操作部25、外部通信I/F26、及びドライブ装置27が接続されている。音声入力処理部21は、音声を入力するマイク31からの音声データの入力を処理する。音声出力処理部22は、音声を出力するスピーカ32の動作を処理する。映像入力処理部23は、映像を撮像するカメラ33からの映像データ(動画像データ)の入力を処理する。映像出力処理部24は、映像を表示する表示装置34の動作を処理する。操作部25は、ユーザが通信装置1に各種指示を入力するために用いられる。操作部25は、通信装置1の外部から、入出力インターフェース19へ接続されるものであってもよい。外部通信I/F26は、通信装置1をネットワーク8に接続する。ドライブ装置27は、記憶媒体271に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信装置1のセットアップ時、記憶媒体271に記憶された制御プログラムはドライブ装置27によって読み出され、HDD13に記憶される。
【0028】
本実施形態の通信システム100で用いられる帯域計測方式について、概略的に説明する。通信システム100で用いられる帯域計測方式は、「CaoLe Thanh Man、長谷川剛、村田正幸、「サービスオーバーレイネットワークのためのインラインネットワーク計測に関する一検討」電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2003年1月17日、Vol.102,No.565,p.53−58」に記載されている公知の方式である。なお、本発明を適用できる帯域計測方式は、上記文献に記載されている方式に限られない。パケットの送信間隔および受信間隔を利用した計測方式であれば、本発明の適用は可能である。
【0029】
計測原理について説明する。通信装置1は、ネットワーク8を介して他の通信装置1に対して複数の計測パケットを送信する。他の通信装置1は、計測パケットを受信する。以下、計測パケットを送信する通信装置1を「送信装置」といい、計測パケットを受信する通信装置1を「受信装置」という。送信装置が計測パケットを送信する場合に使用される帯域(単位:bps)が使用可能帯域(単位:bps)以下であれば、計測パケットはネットワーク8内で渋滞しない。この場合、送信装置によって送信された計測パケットを受信装置が受信する間隔(受信間隔)は、理想的には送信間隔と同一となる。一方、計測パケットを送信する場合に使用される帯域が使用可能帯域よりも大きければ、計測パケットはネットワーク8内で渋滞し、受信間隔は送信間隔よりも長くなる。
【0030】
送信装置は、送信間隔を徐々に変化させることで、計測パケットの送信時に使用される帯域を変化させる。使用される帯域が使用可能帯域よりも大きい間は、受信間隔が送信間隔よりも長い。しかし、計測パケットの送信時に使用される帯域が使用可能帯域以下となれば、受信間隔と送信間隔とは同一となる。通信装置1は、受信間隔と送信間隔との関係が変化する時点の帯域を、使用可能帯域として特定できる。
【0031】
計測手順について説明する。通信システム100では、大まかに、以下の手順で帯域が計測され、使用可能帯域が特定される。
【0032】
1.計測パケット送受信
送信装置において、所定の計測帯域範囲が特定される。計測帯域範囲とは、異なる二つの帯域によって定義される所定の帯域の範囲である。特定された所定の計測帯域範囲内の帯域のうち、計測パケットを送信する場合に使用される帯域が複数選択される。以下、計測パケットを送信する場合に使用される帯域を「計測帯域」という。其々の計測帯域を使用して送信される計測パケットのデータサイズ及び送信間隔が決定される。決定された送信間隔で、計測パケットが順番に送信装置から送信される。計測パケットには、送信間隔及びデータサイズが格納される。受信装置は、計測パケットを受信する。
【0033】
2.使用可能帯域特定
受信装置は、一連の計測パケットを受信した後、計測パケットを実際に受信した時刻から、受信間隔を算出する。計測パケットに含まれている送信間隔と計測パケットのサイズとから、計測パケットが送信装置において送信された際の伝送速度が算出される。受信間隔と計測パケットのサイズとから、計測パケットが受信装置において受信された際の受信レートか算出される。計測パケットが送信された際の伝送速度(bps)と、計測パケットが受信された際の受信レート(bps)との関係から、「送信間隔/受信間隔」が算出される。「送信間隔/受信間隔」の値が変化する時点が特定される。特定された時点の伝送速度が、使用可能帯域として特定される。「送信間隔/受信間隔」の値の変化時点が検出されなかった場合、計測帯域範囲よりも広帯域側に使用可能帯域があるか、又は、計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域があるかが判断される。結果パケットに、使用可能帯域の特定に関する情報が格納される。受信装置から送信装置に対して、結果パケットが送信される。送信装置では、結果パケットが受信される。
【0034】
3.計測帯域範囲を更新し、上記1.へ戻る。
送信装置では、受信した結果パケットに含まれている情報に基づいて、計測帯域範囲が更新される。例えば、計測帯域範囲内に使用可能帯域があると判断された場合、計測帯域範囲は、使用可能帯域を含むより狭い範囲に縮小される。計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合、計測帯域範囲は狭帯域側に拡張される。計測帯域範囲よりも広帯域側に使用可能帯域があると判断された場合、計測帯域範囲は広帯域側に拡張される。更新された計測帯域範囲に基づいて、繰り返し帯域が計測される。これによって、使用可能帯域の特定が繰り返し試みられる。
【0035】
計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合の計測帯域範囲の更新方法について、図2を参照して説明する。計測帯域範囲をR(n)(nは整数:n=0,1、2・・・)とも表記する。R(n)のうち最も狭帯域側の帯域(以下「下帯域」ともいう。)をCL(n)とも表記する。計測帯域のうち最も広帯域側の帯域(以下「上帯域」ともいう。)をCH(n)とも表記する。R(n)を更新する場合において、CH(n)又はCL(n)を移動させる場合の移動量(以下、「帯域移動量」という。)をB(n)とも表記する。変化量をM(n)とも表記する。変化量は、過去の帯域移動量に対する新たな帯域移動量の変化の程度を示す。計測帯域範囲(R(n))は、狭帯域側の所定の閾値(以下「下閾値」という。WLとも表記する。)と、広帯域側の所定の閾値(以下「上閾値」という。WHとも表記する。)との間で移動可能であるとする。以下詳説する。
【0036】
送信装置において、R(0)が特定される。R(0)内から、計測帯域が複数選択される。選択された計測帯域が使用されて、計測パケットが送信される。受信装置において、計測パケットが受信され、使用可能帯域の特定が試みられる。受信装置は、使用可能帯域の特定に関する情報を結果パケットに格納し、送信装置に対して送信する。送信装置において、結果パケットが受信される。受信された結果パケットに基づき、R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置していると判断されたとする。
【0037】
R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置していると判断されたので、R(0)は狭帯域側に拡張される。CL(0)は、B(1)だけ狭帯域側に移動される。B(1)は、R(0)の幅(CH(0)−CL(0))とM(0)とを乗算することで算出される。
B(1)=(CH(0)−CL(0))×M(0)
なおCH(0)は変化せず、そのまま維持される。これによって計測帯域範囲は、R(0)がB(1)だけ狭帯域側に拡張したR(1)に更新される。
【0038】
更新後のR(1)に基づいて、計測パケットの送受信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(1)よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断されたとする。R(1)は狭帯域側に拡張される。CL(1)は、B(2)だけ狭帯域側に移動される。B(2)は、R(1)の幅(CH(1)−CL(1))とM(1)とを乗算することで算出される。
B(2)=(CH(1)−CL(1))×M(1)
CH(1)は変化せず、そのまま維持される。これによって計測帯域範囲は、R(1)からB(2)だけ狭帯域側に拡張したR(2)に更新される。
【0039】
同様の処理が繰り返され、計測帯域範囲はさらに、R(2)からB(3)(=(CH(2)−CL(2))×M(2))だけ狭帯域側に拡張したR(3)に更新される。R(3)内に使用可能帯域が含まれることになるので、送信装置は、R(3)に基づいて使用可能帯域の計測を行うことで、使用可能帯域を特定できる。
【0040】
なお、計測帯域範囲(R(n))よりも広帯域側に使用可能帯域が位置していると判断された場合も、上述と同様の方法で、変化量(M(n))に基づいて帯域移動量(B(n+1))が算出される。上帯域(CH(n))は、B(n+1)だけ広帯域側に移動される。下帯域(CL(n))は変化せず、そのまま維持される。これによって計測帯域範囲は、R(n)からB(n+1)だけ広帯域側に拡張したR(n+1)に更新される。
【0041】
変化量(M(n))の値は、計測帯域範囲(R(n))に対して狭帯域側又は広帯域側に連続して使用可能帯域が位置すると判断された場合、nの値の増加に比例して大きくなるように調整される。従って、帯域移動量(B(n))の値も、nの値に比例して大きくなる。
M(n)<M(n+1)、B(n)<B(n+1)
通信装置1は、計測帯域範囲に対して狭帯域側又は広帯域側に連続して使用可能帯域が位置すると判断された場合には、変化量を徐々に大きくすることで、帯域移動量を徐々に大きくしている。これによって、短時間で計測帯域範囲を広くし、短時間で使用可能帯を特定できるようにしている。
【0042】
図3及び図4を参照し、通信装置1のうち送信装置のCPU10において実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、使用可能帯域の計測を行う指示がユーザによって操作部25を介して入力された場合において、CPU10において起動され実行される。メイン処理では、変数「N_OVER」が使用される。N_OVERには、計測帯域範囲に対して狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置した場合の連続回数が格納される。
【0043】
メイン処理が起動されると、はじめに、以下に示す一連の通信が実行される(S11)。計測帯域範囲(R(n))が特定される。特定された計測帯域範囲(R(n))に基づいて、計測パケットが受信装置に対して送信される。受信装置において、使用可能帯域の特定が試みられる。使用可能帯域の特定に関する情報が格納された結果パケットが、受信装置から送信され、送信装置において受信される。以下、上述した一連の通信を「計測通信」ともいう。
【0044】
受信された結果パケットに格納された情報に基づいて、計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置しているかが判断される(S13)。計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していると判断された場合(S13:YES)、N_OVERに0が代入されて初期化される(S15)。処理はS11に戻る。
【0045】
計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していないと判断された場合(S13:NO)、計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側又は狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置しているかが判断される(S17)。計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側又は狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置している場合(S17:YES)、N_OVERに1が加算され更新される(S19)。処理はS23に進む。計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側又は狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置していない場合(S17:NO)、N_OVERに1が代入され初期化される(S21)。処理はS23に進む。
【0046】
N_OVERの値に応じて、変化量(M(n))が特定される。N_OVERが1である場合(S23:YES)、M(n)に0.5が代入される(S27)。処理はS33に進む。N_OVERが2である場合(S23:NO、S25:YES)、M(n)に0.75が代入される(S29)。処理はS33に進む。N_OVERが3以上である場合(S25:NO)、M(n)に1.0が代入される(S31)。処理はS33に進む。このように、通信装置1は、計測帯域範囲に対して狭帯域側又は広帯域側に連続して使用可能帯域が位置すると判断された場合には、その連続回数が大きくなるに従い、変化量を徐々に大きくしている。これによって、連続回数が大きくなるに従い、後述で算出される帯域移動量が徐々に大きくなるようにしている。
【0047】
なお本実施形態では、N_OVERが3以上である場合に、M(n)に1.0が一律で代入されているが、本発明はこれに限定されない。N_OVERが3以上である場合、N_OVERに所定値を乗算することでM(n)を特定してもよい。このようにすることで、連続回数が3以上である場合にも、連続回数の増加に応じて帯域移動量を大きくすることができる。
【0048】
計測帯域範囲(R(n))に対して狭帯域側に使用可能帯域が位置しているか、広帯域側に使用可能帯域が位置しているかが判断される(S33)。計測帯域範囲(R(n))に対して狭帯域側に使用可能帯域が位置している場合(S33:YES)、計測帯域範囲(R(n))のうち下帯域(CL(n))は以下のようにして狭帯域側に移動される。これによって、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が特定される。
【0049】
上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1))が算出され決定される(S35)。
B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n)
算出されたB(n+1)をCL(n)から減算することで、CL(n)はB(n+1)だけ狭帯域側に移動される。
CL(n+1)=CL(n)−B(n+1)=CL(n)−(CH(n)−CL(n))×M(n)
CH(n)は変化せずそのまま維持されるので、CH(n+1)としてCH(n)がそのまま使用される。算出されたCL(n+1)とCH(n+1)とで囲まれたR(n+1)が特定される。計測通信(S11参照)に使用された計測帯域範囲(R(n))は、新たな計測帯域範囲(R(n+1))によって更新される(S39)。処理はS43に進む。
【0050】
一方、計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側に使用可能帯域が位置している場合(S33:NO)、計測帯域範囲(R(n))のうち上帯域(CH(n))は以下のようにして広帯域側に移動される。これによって、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が特定される。
【0051】
上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n))が算出され決定される(S37)。算出されたB(n+1)をCH(n)に加算することで、CH(n)はB(n+1)だけ広帯域側に移動される。
CH(n+1)=CH(n)+B(n+1)=CH(n)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
CL(n)は変化せずそのまま維持されるので、CL(n+1)としてCL(n)がそのまま使用される。算出されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれた(R(n+1))が特定される。計測通信(S11参照)に使用された計測帯域範囲(R(n))は、新たな計測帯域範囲(R(n+1))によって更新される(S41)。処理はS43に進む。
【0052】
S43では、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が下帯域(WL)と上帯域(WH)との間に収まるように、R(n+1)の下帯域(CL(n+1))と上帯域(CH(n+1))とを変更する処理(更新処理、図4参照)が実行される(S43)。
【0053】
図4を参照し、更新処理について説明する。メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S51)。狭帯域側に拡張したものである場合(S51:YES)、R(n+1)の下帯域(CL(n+1))が下閾値(WL)未満となっているかが判断される(S52)。CL(n+1)がWL未満となっている場合(S52:YES)、下帯域は下閾値よりも狭帯域側にはみ出していることになる。下帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CL(n+1)にWLが代入され、CL(n+1)が変更される(S53)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。一方、CL(n+1)がWL以上である場合(S52:NO)、下帯域は下閾値と上閾値との間に収まっているので、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0054】
新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S51:NO)、R(n+1)の上帯域(CH(n+1))が上閾値(WH)よりも大きくなっているかが判断される(S58)。CH(n+1)がWHよりも大きくなっている場合(S58:YES)、上帯域は上閾値よりも広帯域側にはみ出していることになる。上帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CH(n+1)にWHが代入され、CH(n+1)が変更される(S59)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。一方、CH(n+1)がWH以下である場合(S58:NO)、上帯域は下閾値と上閾値との間に収まっているので、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0055】
更新処理(S43)の終了後、メイン処理では、処理はS11に戻る。更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))に基づいて、計測通信が繰り返し実行される。N_OVERの増加に伴い、変化量(M(n))は徐々に大きくなるので、帯域移動量(B(n))も、変化量(M(n))の増加に伴い徐々に大きくなる。これによって、短時間で計測帯域範囲(R(n))は広くなる。
【0056】
以上説明したように、通信装置1では、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて帯域移動量を決定することで、効率的に使用可能帯域が計測されるように、帯域移動量を変化させている。具体的には、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置すると判断された場合に、変化量及び帯域移動量を徐々に大きくすることで、計測帯域範囲の増分を徐々に大きくしている。これによって通信装置1は、短い時間で計測帯域範囲を広くできるので、当初の計測帯域範囲と使用可能帯域とが大きく離れている場合でも、短時間で使用可能帯域を特定できる。
【0057】
なお本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述では、計測帯域範囲を拡張する場合の変化量は、狭帯域側に拡張する場合と広帯域側に拡張する場合とで同一であった。従って帯域移動量も、計測帯域範囲を狭帯域側に拡張する場合と広帯域側に拡張する場合とで同一となった。本発明はこれに限定されない。計測帯域範囲を狭帯域側に拡張する場合の帯域移動量が、広帯域側に拡張する場合の帯域移動量と比較して大きくなるように、変化量が定められてもよい。
【0058】
計測帯域範囲に対して使用可能帯域が狭帯域側にある場合、計測パケットは、常に使用可能帯域を超えた条件で送信されていることになる。このため、計測通信によって過剰な通信負荷をネットワークにかけていることになる。従って、過剰な通信負荷を早期に軽減させるために、より迅速に使用可能帯域が特定される必要がある。ここで、計測帯域範囲を狭帯域側に拡張する場合の変化量を相対的に大きくすることで、帯域移動量は相対的に大きくなる。従って、より短時間で計測帯域範囲を広くし、使用可能帯域を特定できるので、計測通信による過剰負荷を早期に軽減させることができる。
【0059】
一方、計測帯域範囲に対して使用可能帯域が広帯域側にある場合、計測パケットは、使用可能帯域よりも小さい帯域を使用して送信されていることになる。この場合、ネットワークには使用可能な帯域が残されているので、使用可能帯域を早期に特定する必要性は低い。従って、計測帯域範囲を広帯域側に拡張する場合の変化量を相対的に小さくし、帯域移動量を相対的に小さくする。これによって、計測帯域範囲は小さくなるので、計測通信に要する時間を短縮できる。
【0060】
また、計測帯域範囲に対して狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置している場合にのみ、計測帯域範囲を狭帯域側に拡張してもよい。計測帯域範囲に対して広帯域側に連続して使用可能帯域が位置している場合には、計測帯域範囲は拡張されなくてもよい。これによって、計測帯域範囲は狭い状態で維持される可能性が高くなる。従って、計測パケットの通信によって占有される帯域の増加をより効果的に防止できる。
【0061】
<第一変形例>
以下、本発明の第一変形例について説明する。第一変形例では、使用可能帯域が下閾値(WL)よりも狭帯域側にあるか、上閾値(WH)よりも広帯域側にある場合の処理が示されている。第一変形例では、計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新された結果、下帯域(CL(n+1))が下閾値(WL)よりも小さくなった場合、上帯域(CH(n+1))を狭帯域側に移動させることで、新たな計測帯域範囲(R(n+1))を狭くする。また、上帯域(CH(n+1))が上閾値(WH)よりも大きくなった場合、下帯域(CL(n+1))を広帯域側に移動させることで、新たな計測帯域範囲(R(n+1))を狭くする。これらによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測通信に時間がかかってしまうことを防止している。
【0062】
計測帯域範囲(R(n))よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合の計測帯域範囲の更新方法について、図5を参照して説明する。送信装置において、R(0)が特定される。R(0)内から、計測帯域が複数選択される。選択された計測帯域に基づいて、計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置していると判断されたとする。R(0)のうちCL(0)は、B(1)だけ狭帯域側に移動される。CH(0)は変化せず、そのまま維持される。計測帯域範囲は、R(0)がB(1)だけ狭帯域側に拡張したR(1)に更新される。更新後のR(1)に基づいて、計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。以上の処理が繰り返されることで、計測帯域範囲はB(2)、B(3)の順で狭帯域側に拡張され、R(2)、R(3)の順で更新される。以上までの処理は、上述した実施形態と同じである。
【0063】
R(3)のうちCL(3)がWLに近い状態となっており、同様の方法で計測帯域範囲がR(4)に更新された場合に、CL(4)がWLよりも小さくなったとする。この場合、更新後のR(4)のうちCL(4)は、WLで固定される。代わりに、CH(3)をB(4)だけ狭帯域側に移動させることで、CH(4)が特定される。R(4)の幅は、R(3)と比べて狭くなる。R(4)に基づいて計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(4)よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断される。CL(5)はWLで固定され、代わりに、CH(4)をB(5)だけ狭帯域側に移動させることで、CH(5)が特定される。R(5)の幅は、R(3)及びR(4)と比べてさらに狭くなる。
【0064】
なお、上閾値(WH)よりも広帯域側に使用可能帯域が位置する場合も、上述と同様の方法に基づいて、計測帯域範囲(R(n))は更新される。
【0065】
以上のように通信装置1は、計測帯域範囲の下帯域が下閾値に達した場合、上帯域を狭帯域側に移動させることができる。同様に、計測帯域範囲の上帯域が上閾値に達した場合、下帯域を広帯域側に移動させることができる。これによって通信装置1は、計測帯域範囲を狭くできるので、計測帯域範囲に基づいた計測通信に要する時間を短縮できる。また、既に計測された帯域が計測帯域範囲から除かれることになり、同じ帯域が重複して計測されないので、効率よく使用可能帯域を計測できる。さらに、計測帯域範囲は使用可能帯域に近い位置で保持されるので、使用可能帯域が変動し、下閾値〜上閾値の範囲内に位置することとなった場合、素早く使用可能帯域を検出することができる。
【0066】
図6を参照し、第一変形例における更新処理について説明する。更新処理は、図3のメイン処理から呼び出される。メイン処理は、上述した実施形態と同一である。メイン処理において、計測通信に使用された計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新されている。計測帯域範囲(R(n))の狭帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、下帯域(CL(n))は狭帯域側に移動されている。計測帯域範囲(R(n))の広帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、上帯域(CH(n))は広帯域側に移動されている。
【0067】
第一変形例において更新処理が起動されると、初めに、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S51)。狭帯域側に拡張したものである場合(S51:YES)、新たな計測帯域範囲(R(n+1))の下帯域(CL(n+1))が下閾値(WL)未満となっているかが判断される(S52)。CL(n+1)がWL以上である場合(S52:NO)、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。CL(n+1)がWL未満となっている場合(S52:YES)、下帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CL(n+1)にWLが代入され、CL(n+1)が変更される(S53)。
【0068】
下帯域が下閾値に達しているので、上帯域(CH(n+1))は以下のようにして狭帯域側に移動される(S54)。上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1))が算出される
B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n)
算出されたB(n+1)をCH(n+1)から減算することで、CH(n+1)はB(n+1)だけ狭帯域側に移動される。
CH(n+1)=CH(n+1)−B(n+1)=CH(n+1)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
【0069】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(以下、THR1と表記する。)以下であるかが判断される(S55)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1よりも大きい場合(S55:NO)、処理はS57に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1以下である場合(S55:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、上帯域(CH(n+1))は変更される(S56)。
CH(n+1)=CL(n+1)+THR1
計測帯域範囲(R(n+1))は、常に所定閾値(THR1)以上となる。これによって、計測帯域範囲(R(n+1))が徐々に狭くなった場合であっても、計測帯域範囲(R(n+1))は十分確保される。
【0070】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S57)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0071】
一方、メイン処理で更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S51:NO)、新たな計測帯域範囲(R(n+1))の上帯域(CH(n+1))が上閾値(WH)よりも大きいかが判断される(S58)。CH(n+1)がWH以下である場合(S58:NO)、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。CH(n+1)がWHよりも大きい場合(S58:YES)、上帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CH(n+1)にWHが代入され、CH(n+1)が変更される(S59)。
【0072】
上帯域が上閾値に達しているので、下帯域(CL(n+1))が以下のようにして広帯域側に移動される(S60)。上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1=(CH(n)−CL(n))×M(n))が算出される。算出されたB(n+1)をCL(n+1)に加算することで、CL(n+1)はB(n+1)だけ広帯域側に移動される。
CL(n+1)=CL(n+1)+B(n+1)=CL(n+1)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
【0073】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(THR1)以下であるかが判断される(S61)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1よりも大きい場合(S61:NO)、処理はS57に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1以下である場合(S61:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、CL(n+1)は変更される(S62)。
CL(n+1)=CH(n+1)−THR1
このように更新後の計測帯域範囲(R(n+1))は、常に所定閾値(THR1)以上となる。
【0074】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S57)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0075】
以上説明したように、通信装置1は、計測帯域範囲の下帯域が下閾値に達した場合、上帯域を狭帯域側に移動させることができる。同様に通信装置1は、計測帯域範囲の上帯域が上閾値に達した場合、下帯域を広帯域側に移動させることができる。これによって通信装置1は、計測帯域範囲を狭くできるので、計測帯域範囲に基づいた計測通信に要する時間を短縮できる。
【0076】
なお第二変形例では、計測帯域範囲の下帯域が下閾値に達した場合の上帯域の帯域移動量、及び、計測帯域範囲の上帯域が上閾値に達した場合の下帯域の帯域移動量は、変化量に基づいて決定されていた。本発明はこれに限定されない。帯域移動量は一律に定められていてもよい。また、帯域移動量は、計測通信が繰り返される毎に小さくなるように定められてもよい。これによって、計測帯域範囲が急速に狭くなってしまうことを防止できる。
【0077】
<第二変形例>
以下、本発明の第二変形例について説明する。第二変形例では、計測帯域範囲(R(n))に対して使用可能帯域が狭帯域側又は広帯域側に2回以上連続して位置している場合、計測帯域範囲(R(n))のうち下帯域(CL(n))と上帯域(CH(n))との両方を同量移動させる。これによって、計測帯域範囲(R(n))を維持したまま、全体を狭帯域側又は広帯域側に移動させる。
【0078】
計測帯域範囲(R(n))よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合の計測帯域範囲の更新方法について、図7を参照して説明する。送信装置において、R(0)が特定される。R(0)内から、計測帯域が複数選択される。選択された計測帯域に基づいて、計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(0)よりも狭帯域側に、使用可能帯域が位置していると判断されたとする。R(0)のうちCL(0)は、B(1)だけ狭帯域側に移動される。CH(0)は変化せず、そのまま維持される。計測帯域範囲は、R(0)がB(1)だけ狭帯域側に拡張したR(1)に更新される。以上までの処理は、上述した実施形態と同じである。
【0079】
更新後のR(1)に基づいて、計測通信が実行され、再度、R(1)よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断されたとする。R(1)よりも狭帯域側に2回連続して使用可能帯域が位置していることになる。R(1)のうちCL(1)及びCH(1)は、B(2)だけ狭帯域側に移動される。計測帯域範囲は、R(1)の幅が保持されつつ、B(2)だけ狭帯域側に移動したR(2)に更新される。R(2)に基づいて計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。上述と同様の処理が繰り返され、計測帯域範囲はさらに、R(2)の幅を保持しつつ、R(2)をB(3)だけ狭帯域側に移動したR(3)に更新される。R(3)内に使用可能帯域が含まれることになるので、通信装置1は、使用可能帯域を特定する。
【0080】
なお、R(n)よりも広帯域側に使用可能帯域が位置すると判断された場合も、上述と同様の方法に基づいて、(R(n))は更新される。
【0081】
以上のように、計測帯域範囲の狭帯域側に使用可能帯域が所定回数以上連続して位置すると判断された場合、下帯域と上帯域とは、同じ帯域移動量だけ狭帯域側に移動される。同様に、計測帯域範囲の広帯域側に使用可能帯域が所定回数以上連続して位置すると判断された場合、下帯域と上帯域とは、同じ帯域移動量だけ広帯域側に移動される。計測帯域範囲は拡張されず、下帯域と上帯域との差分は変化しない。これによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測通信に時間がかかってしまうことを防止し、計測帯域範囲内の計測を短時間で迅速に行うことができる。
【0082】
図8を参照し、第二変形例における更新処理について説明する。更新処理は、図3のメイン処理から呼び出される。メイン処理は、上述した実施形態と同一である。メイン処理において、計測通信に使用された計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新されている。計測帯域範囲(R(n))の狭帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、下帯域(CL(n))は狭帯域側に移動されている。計測帯域範囲(R(n))の広帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、上帯域(CH(n))は広帯域側に移動されている。
【0083】
更新処理が起動されると、初めに、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S71)。狭帯域側に拡張したものである場合(S71:YES)、N_OVERが2以上であるかが判断される(S73)。N_OVERが1以下である場合(S73:NO)、処理はS81に進む。
【0084】
N_OVERが2以上である場合(S73:YES)、計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置する状態が2回以上連続していることになる。この場合、上帯域(CH(n+1))が以下のようにして移動される(S77)。
【0085】
メイン処理(図3参照)においてR(n)をR(n+1)に更新した際における、下帯域(CL(n))の狭帯域側への帯域移動量(B(n+1))が特定される。
B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n)
CH(n)は、特定されたB(n+1)と同量分狭帯域側に移動される。
CH(n+1)=CH(n)−B(n+1)=CH(n)−(CH(n)−CL(n))×M(n)
これによってR(n+1)は、R(n)の幅を保持しつつR(n)を狭帯域側に移動させたものとなる。
【0086】
R(n+1)の下帯域(CL(n+1))が、下閾値(WL)未満となっているかが判断される(S81)。CL(n+1)がWL以上である場合(S81:NO)、処理はS85に進む。CL(n+1)がWL未満となっている場合(S81:YES)、下帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CL(n+1)にWLが代入され、CL(n+1)が変更される(S83)。
【0087】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(THR1)以下であるかが判断される(S85)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1よりも大きい場合(S85:NO)、処理はS89に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1以下である場合(S85:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、上帯域(CH(n+1))は変更される(S87)。
CH(n+1)=CL(n+1)+THR1
【0088】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S89)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0089】
一方、メイン処理で更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S71:NO)、N_OVERが2以上であるかが判断される(S75)。N_OVERが1以下である場合(S75:NO)、処理はS91に進む。
【0090】
N_OVERが2以上である場合(S75:YES)、計測帯域範囲よりも広帯域側に使用可能帯域が位置する状態が2回以上連続していることになる。この場合、下帯域(CL(n+1))が以下のようにして移動される(S79)。
【0091】
メイン処理(図3参照)においてR(n)をR(n+1)に更新した際における、上帯域(CH(n))の広帯域側への帯域移動量(B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n))が特定される。CL(n)は、特定されたB(n+1)と同量分広帯域側に移動される。
CL(n+1)=CL(n)+B(n+1)=CL(n)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
これによって、R(n+1)は、R(n)の幅を保持しつつR(n)を広帯域側に移動させたものとなる。
【0092】
R(n+1)の上帯域(CH(n+1))が、上閾値(WH)よりも大きいかが判断される(S91)。CH(n+1)がWH以下である場合(S91:NO)、処理はS95に進む。CH(n+1)がWHよりも大きい場合(S91:YES)、CH(n+1)にWHが代入され、CH(n+1)が変更される(S93)。
【0093】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(THR1)以下であるかが判断される(S95)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1よりも大きい場合(S95:NO)、処理はS89に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1以下である場合(S95:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、下帯域(CL(n+1))は変更される(S97)。
CL(n+1)=CH(n+1)−THR1
【0094】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S89)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0095】
以上説明したように、第二変形例では、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が2回数連続して位置すると判断された場合、下帯域と上帯域とは、同じ移動量だけ狭帯域側又は広帯域側に移動される。計測帯域範囲は拡張されない。これによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測に時間がかかってしまうことを防止できるので、計測帯域範囲内の計測を短時間で迅速に行うことができる。
【0096】
またメイン処理では、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置すると判断された場合の連続回数の増加に伴い、変化量が徐々に大きくなっている。従って上述した実施形態では、計測帯域範囲は急激に増加する。これに対して第二変形例では、計測帯域範囲を固定し、計測帯域範囲全体を狭帯域側又は広帯域側に移動させることができる。これによって通信装置1は、計測通信に必要な時間をさらに短時間できる。
【0097】
上述では、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が2回数連続して位置すると判断された場合に、下帯域及び上帯域の両方を移動させていた。本発明はこれに限定されない。閾値となる連続回数は、3回以上であってもよい。
【0098】
上述では、連続回数が所定回数以上となった場合、変化量に基づいて帯域移動量が定められていた。本発明はこれに限定されない。連続回数が所定回数以上となった後は、帯域移動量は一律に定められてもよい。
【0099】
<第三変形例>
以下、第三変形例について説明する。第三変形例では、メイン処理(図3参照)によって更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が所定閾値(以下「THR2」ともいう。)以上となった場合、新たな計測帯域範囲(R(n+1))を狭くする。これによって、計測帯域範囲(R(n))の幅が極端に広くなることを防止する。上述の第二変形例と同一の処理部分は、同一符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図9を参照し、第三変形例における更新処理について説明する。更新処理は、図3のメイン処理から呼び出される。メイン処理は、上述した実施形態と同一である。メイン処理において、計測通信に使用された計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新されている。計測帯域範囲(R(n))の狭帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、下帯域(CL(n))は狭帯域側に移動されている。計測帯域範囲(R(n))の広帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、上帯域(CH(n))は広帯域側に移動されている。
【0101】
更新処理が起動されると、初めに、メイン処理(図3参照)において更新された新たなR(n+1)の上帯域(CH(n+1))と下帯域(CL(n+1))との差分が算出される(S101)。これによって、R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が特定される。
【0102】
新たな計測帯域範囲(R(n+1))が元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S103)。狭帯域側に拡張したものである場合(S103:YES)、S101で算出された幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR2以上であるかが判断される(S105)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2以上である場合(S105:YES)、上帯域(CH(n+1))は帯域移動量(B(n+1)だけ狭帯域側に移動される(S107)。B(n+1)は、メイン処理(図3参照)において下帯域(CL(n))を狭帯域側に移動させた場合の帯域移動量と同一である。処理はS81に進む。一方、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2未満である場合(S105:NO)、処理はS81に進む。S81、S83、S85、S87、及びS89の処理は、第二変形例と同一である。
【0103】
新たな計測帯域範囲(R(n+1))が元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S103:NO)、S101で算出された幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR2以上であるかが判断される(S109)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2以上である場合(S109:YES)、下帯域(CL(n+1))は帯域移動量(B(n+1)だけ広帯域側に移動される(S111)。B(n+1)は、メイン処理(図3参照)において上帯域(CL(n))を広帯域側に移動させた場合の帯域移動量と同一である。処理はS91に進む。一方、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2未満である場合(S109:NO)、処理はS91に進む。S91、S93、S95、S97、及びS89の処理は、第二変形例と同一である。
【0104】
以上説明したように、上帯域と下帯域との差分が所定閾値(THR2)以上となった場合、計測帯域範囲の幅がこれ以上増大しないように、上帯域又は下帯域が調整される。これによって、計測通信に明確な制限がある場合であっても、確実に所定時間内で計測通信を実行することができる。
【0105】
<第四変形例>
以下、第四変形例について説明する。第四変形例では、計測通信によって特定された使用可能帯域の履歴に基づいて、使用可能帯域の偏差(単位:%)が算出される。算出された偏差に基づいて、変化量(M(n))が特定される。使用可能帯域のばらつきが大きい場合に計測帯域範囲(R(n))をより広くすることで、計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域捕捉される可能性を高めることができるので、精度よく使用可能帯域を特定できる。
【0106】
図10を参照し、第四変形例におけるメイン処理について説明する。メイン処理は、通信装置1のうち送信装置のCPU10において実行される。上述した実施形態と同一の処理を示す部分には、同一符号を付し、説明を省略している。メイン処理が起動されると、はじめに、計測帯域範囲(R(n))が特定され、計測通信が実行される。受信装置から送信された結果パケットが受信される。使用可能帯域の特定に関する情報が結果パケットから抽出される。抽出された情報は、HDD13に記憶される(S121)。
【0107】
受信された結果パケットに格納された情報に基づいて、計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置しているかが判断される(S123)。計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していると判断された場合(S123:YES)、処理はS121に戻る。計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していないと判断された場合(S123:NO)、HDD13に記憶された情報のうち、特定された使用可能帯域が抽出される。抽出された使用可能帯域の偏差が算出される(S125)。
【0108】
算出された偏差に基づいて、変化量(M(n))が特定される。偏差が30%未満である場合(S127:YES)、M(n)に0.5が代入される(S131)。処理はS33に進む。偏差が30%以上60%未満である場合(S127:NO、S129:YES)、M(n)に0.75が代入される(S133)。処理はS33に進む。偏差が60%以上である場合(S129:NO)、M(n)に1.0が代入される(S135)。処理はS33に進む。S33、S35、S37、S39、S41、及びS43の処理は、上述の実施形態と同一である。S43では、上述の実施形態、第一変形例、第二変形例、及び第三変形例における更新処理のいずれかが呼び出される。
【0109】
以上説明したように、第四変形例では、計測結果の偏差が大きく、使用可能帯域の計測結果が大きくばらついている程、変化量を大きくする。これによって通信装置1は、短い時間で計測帯域範囲を大きくできる。従って、使用可能帯域の計測結果にばらつきがある場合でも、通信装置1は精度よく使用可能帯域を特定できる。
【0110】
なお上述では、使用可能帯域の偏差に基づいて、変化量M(n)が決定されていた。本発明はこれに限定されない。使用可能帯域の散らばり具合(ばらつき)を表す他のパラメータに基づいて、変化量M(n)が決定されてもよい。
【0111】
なお、図3のS11の処理を行うCPU10が本発明の「送信手段」に相当し、S13の処理を行うCPU10が本発明の「第一判断手段」に相当し、S23、S25、S27、S29、S31、S35、及びS37の処理を行うCPU10が本発明の「決定手段」に相当し、S33の処理を行うCPU10が本発明の「第二判断手段」に相当し、S39、及びS41の処理を行うCPU10が本発明の「第一更新手段」に相当する。図6のS57の処理を行うCPU10が本発明の「第二更新手段」に相当する。図3のS19の処理を行うCPU10が本発明の「特定手段」に相当する。図8のS89の処理を行うCPU10が本発明の「第三更新手段」に相当する。図9のS101の処理を行うCPU10が本発明の「第一算出手段」に相当し、S89の処理を行うCPU10が本発明の「第四更新手段」に相当する。図10のS125の処理を行うCPU10が本発明の「第二算出手段」に相当し、S127、S129、S131、S133、及びS135の処理を行うCPU10が本発明の「決定手段」に相当する。
【0112】
図3のS11の処理が本発明の「送信ステップ」に相当し、S13の処理が本発明の「第一判断ステップ」に相当し、S23、S25、S27、S29、S31、S35、及びS37の処理が本発明の「決定ステップ」に相当し、S33の処理が本発明の「第二判断ステップ」に相当し、S39、及びS41の処理が本発明の「第一更新ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0113】
1 通信装置
10 CPU
13 HDD
100 通信システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、及び通信プログラムに関する。より詳細には、通信装置間の通信路における使用可能な帯域を計測できる通信装置、通信方法、及び通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークを介して通信装置がデータを送受信する場合、通信装置は、使用可能な伝送路容量に適した伝送速度でデータを送受信する必要がある(以下、伝送路容量及び伝送速度を「帯域」ともいう。使用可能な伝送路容量を「使用可能帯域」という。)。使用可能帯域は、地域、プロバイダ、時間帯等の状況によって変動する。従って、データを送信する通信装置は、変動する使用可能帯域に合わせて、データを送信する場合の帯域を選択することが望ましい。
【0003】
非特許文献1は、使用可能帯域を特定する方式を開示している。この方式では、送信側の通信装置(以下「送信装置」という。)は、計測パケットの送信間隔を算出するための時間情報を、計測パケットに含める。送信装置は、送信間隔を徐々に変えることで送信時の帯域を変更しながら、複数の計測パケットを連続して送信する。受信側の通信装置(以下「受信装置」という。)は、計測パケットの受信間隔を記憶する。その後、計測パケット内の時間情報に含まれている送信間隔と、受信装置で記憶された受信間隔との差分が算出される。算出された複数の差分の値の変化傾向から、使用可能帯域が特定される。
【0004】
使用可能帯域の特定は、所定の帯域の範囲毎に行われる(以下、帯域の範囲を「計測帯域範囲」という。)。計測パケットを送信する場合に使用される帯域は、計測帯域範囲内から順次選択される。選択された帯域が使用されて計測パケットが送信され、計測帯域範囲内に使用可能帯域があるかが判断される。一の計測帯域範囲内に使用可能帯域がない場合、計測帯域範囲は拡張される。計測帯域範囲よりも使用可能帯域が狭帯域側にある場合、計測帯域範囲は狭帯域側に拡張される。計測帯域範囲よりも使用可能帯域が広帯域側にある場合、計測帯域範囲は広帯域側に拡張される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】インラインネットワーク計測手法 ImTCP およびその応用手法の実装および性能評価 津川 知朗,LE THANH MAN, Cao,長谷川 剛,村田 正幸 電子情報通信学会 技術研究報告 (IN2005-120), pp. 79-84, December 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の方式では、所定量ずつ狭帯域側又は広帯域側に計測帯域範囲が拡げられることで計測帯域範囲が拡張され、使用可能帯域の計測処理が繰り返される。このため、計測帯域範囲と使用可能帯域とが大きく異なっている場合、計測帯域範囲は繰り返し何度も拡張されなければ、計測帯域範囲内に使用可能帯域が含まれる状態とならない。従って、使用可能帯域が特定されるまでに長時間を要してしまう場合があるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、短時間で使用可能帯域を特定することができる通信装置、通信方法、及び通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る通信装置は、ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置であって、複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断手段と、前記第一判断手段において、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段において、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定手段であって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新手段と、前記第一更新手段によって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信手段とを備えている。
【0009】
第一態様によれば、通信装置は、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて新たな帯域移動量を決定するので、使用可能帯域の計測が効率的に繰り返されるように、帯域移動量を変化させることができる。計測帯域範囲に対する使用可能帯域の位置に応じて変化量を調整することで、使用可能帯域に計測帯域範囲を良好に追従させることができる。従って通信装置は、短い時間で効率的且つ確実に使用可能帯域を特定できる。
【0010】
また、第一態様において、前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合に、前記決定手段は、前回決定した前記変化量よりも新たに決定する前記変化量が大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定してもよい。通信装置は、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置すると判断された場合に、変化量を徐々に大きくすることで、計測帯域範囲の増分を徐々に大きくする。これによって、短い時間で計測帯域範囲を広くできるので、当初の計測帯域範囲と使用可能帯域とが大きく離れている場合でも、短時間で使用可能帯域を特定できる。
【0011】
また、第一態様において、前記決定手段は、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分が、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が存在すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分よりも大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定してもよい。計測帯域範囲に対して使用可能帯域が狭帯域側にある場合、計測パケットは常に使用可能帯域を超えた条件で送信されていることになるため、より迅速に使用可能帯域が特定される必要がある。本発明では、このような状態で変化量の増分が相対的に大きくなるので、更に短い時間で計測帯域範囲を広くし、使用可能帯域を特定できる。一方、計測帯域範囲に対して使用可能帯域が広帯域側にある場合、計測パケットは使用可能帯域よりも小さい帯域を使用して送信されている。このような場合、本発明では、変化量の増分は相対的に小さくしている。これにより、計測通信に要する時間を短縮できる。
【0012】
また、第一態様において、前記第一更新手段において前記下帯域又は前記上帯域を移動させた結果、前記下帯域が所定の下閾値よりも小さくなった場合に、前記上帯域を狭帯域側に移動させ、前記上帯域が所定の上閾値よりも大きくなった場合に、前記下帯域を広帯域側に移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第二更新手段を備えていてもよい。計測帯域範囲の上帯域が、計測帯域範囲がとりうる上限(上閾値)に達した場合、下帯域を広帯域側に移動させることができる。また、計測帯域範囲の下帯域が、計測帯域範囲がとりうる下限(下閾値)に達した場合、上帯域を狭帯域側に移動させることができる。これによって、計測帯域範囲を狭くできるので、計測帯域範囲内の計測に要する時間を短縮できる。また、既に計測された帯域が計測帯域範囲から除かれることになり、同じ帯域が重複して計測されないので、効率よく使用可能帯域を計測できる。
【0013】
また、第一態様において、前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の連続回数を特定する特定手段と、前記特定手段において特定された前記連続回数が所定回数以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第三更新手段を備えていてもよい。計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が所定回数連続して位置すると判断された場合、上帯域と下帯域とは、同じ移動量だけ狭帯域側又は広帯域側に移動される。計測帯域範囲は拡張されず、上帯域と下帯域との差分は変化しない。これによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測通信に時間がかかってしまうことを防止できる。従って、計測帯域範囲内の計測を短時間で迅速に行うことができる。
【0014】
また、第一態様において、前記上帯域と前記下帯域との差分を算出する第一算出手段と、前記第一算出手段において算出された前記差分が所定値以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第四更新手段を備えていてもよい。上帯域と下帯域との差分が所定値以上となった場合、差分がこれ以上増大しないように、上帯域及び下帯域が決定される。これによって、計測時間に明確な制限がある場合であっても、計測帯域範囲の計測を確実に所定時間内で実行することができる。
【0015】
また、第一態様において、前記相手装置から受信した計測結果を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記計測結果の偏差を算出する第二算出手段とを備え、前記決定手段は、前記第二算出手段によって算出された前記偏差が大きい場合の前記変化量が、前記偏差が小さい場合の前記変化量と比較して大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定してもよい。計測結果の偏差が大きく、計測結果が大きくばらついている場合、変化量を大きくすることで、短い時間で計測帯域範囲を大きくできる。これによって、計測結果にばらつきがある場合でも、精度よく使用可能帯域を特定できる。
【0016】
本発明の第二態様に係る通信方法は、ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置において実行される通信方法であって、複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップとを備えている。
【0017】
第二態様によれば、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて新たな帯域移動量を決定するので、使用可能帯域の計測が効率的に繰り返されるように、帯域移動量を変化させることができる。計測帯域範囲に対する使用可能帯域の位置に応じて変化量を調整することで、使用可能帯域に計測帯域範囲を良好に追従させることができる。従って通信装置は、短い時間で効率的且つ確実に使用可能帯域を特定できる。
【0018】
本発明の第三態様に係る通信プログラムは、ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するための通信プログラムであって、複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップとをコンピュータに実行させる。
【0019】
第三態様によれば、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて新たな帯域移動量を決定するので、使用可能帯域の計測が効率的に繰り返されるように、帯域移動量を変化させることができる。計測帯域範囲に対する使用可能帯域の位置に応じて変化量を調整することで、使用可能帯域に計測帯域範囲を良好に追従させることができる。従って通信装置は、短い時間で効率的且つ確実に使用可能帯域を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】通信システム100の概要、及び通信装置1の電気的構成を示す図である。
【図2】計測帯域範囲が変化する様子を示す図である。
【図3】メイン処理を示すフローチャートである。
【図4】更新処理を示すフローチャートである。
【図5】第一変形例における、計測帯域範囲が変化する様子を示す図である。
【図6】第一変形例における更新処理を示すフローチャートである。
【図7】第二変形例における、計測帯域範囲が変化する様子を示す図である。
【図8】第二変形例における更新処理を示すフローチャートである。
【図9】第三変形例における更新処理を示すフローチャートである。
【図10】第四変形例におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の通信装置を具現化した一実施の形態である通信装置1、および複数の通信装置1を備えた通信システム100について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0022】
通信システム100について説明する。図1に示すように、通信システム100は、少なくとも2つの通信装置1を備える。通信装置1は、ネットワーク8を介して他の通信装置1と接続する。通信装置1は、他の通信装置1との間で各種データの通信を行う。
【0023】
通信システム100は、複数の拠点のユーザがテレビ会議を行うためのテレビ会議システムである。各通信装置1は、映像データ及び音声データを互いに送受信することで、複数の拠点の映像および音声を共有する。通信装置1は、ネットワーク8を介したデータ通信を実行できるものであればよい。具体的には、テレビ会議を実行するために各拠点に配置される専用のテレビ会議端末であってもよいし、種々の情報処理を行うパーソナルコンピュータであってもよい。
【0024】
通信システム100では、通信相手の通信装置1との間で帯域が計測され、使用可能帯域が特定される。使用可能帯域とは、送信側の通信装置1が送信するデータの伝送速度とほぼ等しい伝送速度で受信側の通信装置1がデータを受信できる最大の伝送速度をいう。使用可能帯域を越える伝送速度でパケットが送信されると、パケットロス、通信遅延等が生じる。一方、伝送速度を低くしすぎると、使用可能帯域を十分に活用することができず、効率が悪い。従って、各通信装置1は、特定された使用可能帯域に合わせて、使用する伝送速度(帯域)を制御する。なお、帯域と、各通信装置1間の伝送速度とを比較するため、帯域の単位として「bps」を用いる。
【0025】
通信装置1の電気的構成について説明する。図1に示すように、通信装置1は、通信装置1の制御を司るCPU10を備えている。CPU10には、ROM11、RAM12、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)13、および入出力インターフェース19が、バス18を介して接続されている。
【0026】
ROM11は、通信装置1を動作させるためのプログラムおよび初期値等を記憶している。RAM12は、制御プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。HDD13は、制御プログラム等の各種の情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。HDD13の代わりに、EEPROMまたはメモリカード等の記憶装置を用いてもよい。
【0027】
入出力インターフェース19には、音声入力処理部21、音声出力処理部22、映像入力処理部23、映像出力処理部24、操作部25、外部通信I/F26、及びドライブ装置27が接続されている。音声入力処理部21は、音声を入力するマイク31からの音声データの入力を処理する。音声出力処理部22は、音声を出力するスピーカ32の動作を処理する。映像入力処理部23は、映像を撮像するカメラ33からの映像データ(動画像データ)の入力を処理する。映像出力処理部24は、映像を表示する表示装置34の動作を処理する。操作部25は、ユーザが通信装置1に各種指示を入力するために用いられる。操作部25は、通信装置1の外部から、入出力インターフェース19へ接続されるものであってもよい。外部通信I/F26は、通信装置1をネットワーク8に接続する。ドライブ装置27は、記憶媒体271に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信装置1のセットアップ時、記憶媒体271に記憶された制御プログラムはドライブ装置27によって読み出され、HDD13に記憶される。
【0028】
本実施形態の通信システム100で用いられる帯域計測方式について、概略的に説明する。通信システム100で用いられる帯域計測方式は、「CaoLe Thanh Man、長谷川剛、村田正幸、「サービスオーバーレイネットワークのためのインラインネットワーク計測に関する一検討」電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2003年1月17日、Vol.102,No.565,p.53−58」に記載されている公知の方式である。なお、本発明を適用できる帯域計測方式は、上記文献に記載されている方式に限られない。パケットの送信間隔および受信間隔を利用した計測方式であれば、本発明の適用は可能である。
【0029】
計測原理について説明する。通信装置1は、ネットワーク8を介して他の通信装置1に対して複数の計測パケットを送信する。他の通信装置1は、計測パケットを受信する。以下、計測パケットを送信する通信装置1を「送信装置」といい、計測パケットを受信する通信装置1を「受信装置」という。送信装置が計測パケットを送信する場合に使用される帯域(単位:bps)が使用可能帯域(単位:bps)以下であれば、計測パケットはネットワーク8内で渋滞しない。この場合、送信装置によって送信された計測パケットを受信装置が受信する間隔(受信間隔)は、理想的には送信間隔と同一となる。一方、計測パケットを送信する場合に使用される帯域が使用可能帯域よりも大きければ、計測パケットはネットワーク8内で渋滞し、受信間隔は送信間隔よりも長くなる。
【0030】
送信装置は、送信間隔を徐々に変化させることで、計測パケットの送信時に使用される帯域を変化させる。使用される帯域が使用可能帯域よりも大きい間は、受信間隔が送信間隔よりも長い。しかし、計測パケットの送信時に使用される帯域が使用可能帯域以下となれば、受信間隔と送信間隔とは同一となる。通信装置1は、受信間隔と送信間隔との関係が変化する時点の帯域を、使用可能帯域として特定できる。
【0031】
計測手順について説明する。通信システム100では、大まかに、以下の手順で帯域が計測され、使用可能帯域が特定される。
【0032】
1.計測パケット送受信
送信装置において、所定の計測帯域範囲が特定される。計測帯域範囲とは、異なる二つの帯域によって定義される所定の帯域の範囲である。特定された所定の計測帯域範囲内の帯域のうち、計測パケットを送信する場合に使用される帯域が複数選択される。以下、計測パケットを送信する場合に使用される帯域を「計測帯域」という。其々の計測帯域を使用して送信される計測パケットのデータサイズ及び送信間隔が決定される。決定された送信間隔で、計測パケットが順番に送信装置から送信される。計測パケットには、送信間隔及びデータサイズが格納される。受信装置は、計測パケットを受信する。
【0033】
2.使用可能帯域特定
受信装置は、一連の計測パケットを受信した後、計測パケットを実際に受信した時刻から、受信間隔を算出する。計測パケットに含まれている送信間隔と計測パケットのサイズとから、計測パケットが送信装置において送信された際の伝送速度が算出される。受信間隔と計測パケットのサイズとから、計測パケットが受信装置において受信された際の受信レートか算出される。計測パケットが送信された際の伝送速度(bps)と、計測パケットが受信された際の受信レート(bps)との関係から、「送信間隔/受信間隔」が算出される。「送信間隔/受信間隔」の値が変化する時点が特定される。特定された時点の伝送速度が、使用可能帯域として特定される。「送信間隔/受信間隔」の値の変化時点が検出されなかった場合、計測帯域範囲よりも広帯域側に使用可能帯域があるか、又は、計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域があるかが判断される。結果パケットに、使用可能帯域の特定に関する情報が格納される。受信装置から送信装置に対して、結果パケットが送信される。送信装置では、結果パケットが受信される。
【0034】
3.計測帯域範囲を更新し、上記1.へ戻る。
送信装置では、受信した結果パケットに含まれている情報に基づいて、計測帯域範囲が更新される。例えば、計測帯域範囲内に使用可能帯域があると判断された場合、計測帯域範囲は、使用可能帯域を含むより狭い範囲に縮小される。計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合、計測帯域範囲は狭帯域側に拡張される。計測帯域範囲よりも広帯域側に使用可能帯域があると判断された場合、計測帯域範囲は広帯域側に拡張される。更新された計測帯域範囲に基づいて、繰り返し帯域が計測される。これによって、使用可能帯域の特定が繰り返し試みられる。
【0035】
計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合の計測帯域範囲の更新方法について、図2を参照して説明する。計測帯域範囲をR(n)(nは整数:n=0,1、2・・・)とも表記する。R(n)のうち最も狭帯域側の帯域(以下「下帯域」ともいう。)をCL(n)とも表記する。計測帯域のうち最も広帯域側の帯域(以下「上帯域」ともいう。)をCH(n)とも表記する。R(n)を更新する場合において、CH(n)又はCL(n)を移動させる場合の移動量(以下、「帯域移動量」という。)をB(n)とも表記する。変化量をM(n)とも表記する。変化量は、過去の帯域移動量に対する新たな帯域移動量の変化の程度を示す。計測帯域範囲(R(n))は、狭帯域側の所定の閾値(以下「下閾値」という。WLとも表記する。)と、広帯域側の所定の閾値(以下「上閾値」という。WHとも表記する。)との間で移動可能であるとする。以下詳説する。
【0036】
送信装置において、R(0)が特定される。R(0)内から、計測帯域が複数選択される。選択された計測帯域が使用されて、計測パケットが送信される。受信装置において、計測パケットが受信され、使用可能帯域の特定が試みられる。受信装置は、使用可能帯域の特定に関する情報を結果パケットに格納し、送信装置に対して送信する。送信装置において、結果パケットが受信される。受信された結果パケットに基づき、R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置していると判断されたとする。
【0037】
R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置していると判断されたので、R(0)は狭帯域側に拡張される。CL(0)は、B(1)だけ狭帯域側に移動される。B(1)は、R(0)の幅(CH(0)−CL(0))とM(0)とを乗算することで算出される。
B(1)=(CH(0)−CL(0))×M(0)
なおCH(0)は変化せず、そのまま維持される。これによって計測帯域範囲は、R(0)がB(1)だけ狭帯域側に拡張したR(1)に更新される。
【0038】
更新後のR(1)に基づいて、計測パケットの送受信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(1)よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断されたとする。R(1)は狭帯域側に拡張される。CL(1)は、B(2)だけ狭帯域側に移動される。B(2)は、R(1)の幅(CH(1)−CL(1))とM(1)とを乗算することで算出される。
B(2)=(CH(1)−CL(1))×M(1)
CH(1)は変化せず、そのまま維持される。これによって計測帯域範囲は、R(1)からB(2)だけ狭帯域側に拡張したR(2)に更新される。
【0039】
同様の処理が繰り返され、計測帯域範囲はさらに、R(2)からB(3)(=(CH(2)−CL(2))×M(2))だけ狭帯域側に拡張したR(3)に更新される。R(3)内に使用可能帯域が含まれることになるので、送信装置は、R(3)に基づいて使用可能帯域の計測を行うことで、使用可能帯域を特定できる。
【0040】
なお、計測帯域範囲(R(n))よりも広帯域側に使用可能帯域が位置していると判断された場合も、上述と同様の方法で、変化量(M(n))に基づいて帯域移動量(B(n+1))が算出される。上帯域(CH(n))は、B(n+1)だけ広帯域側に移動される。下帯域(CL(n))は変化せず、そのまま維持される。これによって計測帯域範囲は、R(n)からB(n+1)だけ広帯域側に拡張したR(n+1)に更新される。
【0041】
変化量(M(n))の値は、計測帯域範囲(R(n))に対して狭帯域側又は広帯域側に連続して使用可能帯域が位置すると判断された場合、nの値の増加に比例して大きくなるように調整される。従って、帯域移動量(B(n))の値も、nの値に比例して大きくなる。
M(n)<M(n+1)、B(n)<B(n+1)
通信装置1は、計測帯域範囲に対して狭帯域側又は広帯域側に連続して使用可能帯域が位置すると判断された場合には、変化量を徐々に大きくすることで、帯域移動量を徐々に大きくしている。これによって、短時間で計測帯域範囲を広くし、短時間で使用可能帯を特定できるようにしている。
【0042】
図3及び図4を参照し、通信装置1のうち送信装置のCPU10において実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、使用可能帯域の計測を行う指示がユーザによって操作部25を介して入力された場合において、CPU10において起動され実行される。メイン処理では、変数「N_OVER」が使用される。N_OVERには、計測帯域範囲に対して狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置した場合の連続回数が格納される。
【0043】
メイン処理が起動されると、はじめに、以下に示す一連の通信が実行される(S11)。計測帯域範囲(R(n))が特定される。特定された計測帯域範囲(R(n))に基づいて、計測パケットが受信装置に対して送信される。受信装置において、使用可能帯域の特定が試みられる。使用可能帯域の特定に関する情報が格納された結果パケットが、受信装置から送信され、送信装置において受信される。以下、上述した一連の通信を「計測通信」ともいう。
【0044】
受信された結果パケットに格納された情報に基づいて、計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置しているかが判断される(S13)。計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していると判断された場合(S13:YES)、N_OVERに0が代入されて初期化される(S15)。処理はS11に戻る。
【0045】
計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していないと判断された場合(S13:NO)、計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側又は狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置しているかが判断される(S17)。計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側又は狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置している場合(S17:YES)、N_OVERに1が加算され更新される(S19)。処理はS23に進む。計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側又は狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置していない場合(S17:NO)、N_OVERに1が代入され初期化される(S21)。処理はS23に進む。
【0046】
N_OVERの値に応じて、変化量(M(n))が特定される。N_OVERが1である場合(S23:YES)、M(n)に0.5が代入される(S27)。処理はS33に進む。N_OVERが2である場合(S23:NO、S25:YES)、M(n)に0.75が代入される(S29)。処理はS33に進む。N_OVERが3以上である場合(S25:NO)、M(n)に1.0が代入される(S31)。処理はS33に進む。このように、通信装置1は、計測帯域範囲に対して狭帯域側又は広帯域側に連続して使用可能帯域が位置すると判断された場合には、その連続回数が大きくなるに従い、変化量を徐々に大きくしている。これによって、連続回数が大きくなるに従い、後述で算出される帯域移動量が徐々に大きくなるようにしている。
【0047】
なお本実施形態では、N_OVERが3以上である場合に、M(n)に1.0が一律で代入されているが、本発明はこれに限定されない。N_OVERが3以上である場合、N_OVERに所定値を乗算することでM(n)を特定してもよい。このようにすることで、連続回数が3以上である場合にも、連続回数の増加に応じて帯域移動量を大きくすることができる。
【0048】
計測帯域範囲(R(n))に対して狭帯域側に使用可能帯域が位置しているか、広帯域側に使用可能帯域が位置しているかが判断される(S33)。計測帯域範囲(R(n))に対して狭帯域側に使用可能帯域が位置している場合(S33:YES)、計測帯域範囲(R(n))のうち下帯域(CL(n))は以下のようにして狭帯域側に移動される。これによって、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が特定される。
【0049】
上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1))が算出され決定される(S35)。
B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n)
算出されたB(n+1)をCL(n)から減算することで、CL(n)はB(n+1)だけ狭帯域側に移動される。
CL(n+1)=CL(n)−B(n+1)=CL(n)−(CH(n)−CL(n))×M(n)
CH(n)は変化せずそのまま維持されるので、CH(n+1)としてCH(n)がそのまま使用される。算出されたCL(n+1)とCH(n+1)とで囲まれたR(n+1)が特定される。計測通信(S11参照)に使用された計測帯域範囲(R(n))は、新たな計測帯域範囲(R(n+1))によって更新される(S39)。処理はS43に進む。
【0050】
一方、計測帯域範囲(R(n))に対して広帯域側に使用可能帯域が位置している場合(S33:NO)、計測帯域範囲(R(n))のうち上帯域(CH(n))は以下のようにして広帯域側に移動される。これによって、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が特定される。
【0051】
上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n))が算出され決定される(S37)。算出されたB(n+1)をCH(n)に加算することで、CH(n)はB(n+1)だけ広帯域側に移動される。
CH(n+1)=CH(n)+B(n+1)=CH(n)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
CL(n)は変化せずそのまま維持されるので、CL(n+1)としてCL(n)がそのまま使用される。算出されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれた(R(n+1))が特定される。計測通信(S11参照)に使用された計測帯域範囲(R(n))は、新たな計測帯域範囲(R(n+1))によって更新される(S41)。処理はS43に進む。
【0052】
S43では、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が下帯域(WL)と上帯域(WH)との間に収まるように、R(n+1)の下帯域(CL(n+1))と上帯域(CH(n+1))とを変更する処理(更新処理、図4参照)が実行される(S43)。
【0053】
図4を参照し、更新処理について説明する。メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S51)。狭帯域側に拡張したものである場合(S51:YES)、R(n+1)の下帯域(CL(n+1))が下閾値(WL)未満となっているかが判断される(S52)。CL(n+1)がWL未満となっている場合(S52:YES)、下帯域は下閾値よりも狭帯域側にはみ出していることになる。下帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CL(n+1)にWLが代入され、CL(n+1)が変更される(S53)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。一方、CL(n+1)がWL以上である場合(S52:NO)、下帯域は下閾値と上閾値との間に収まっているので、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0054】
新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S51:NO)、R(n+1)の上帯域(CH(n+1))が上閾値(WH)よりも大きくなっているかが判断される(S58)。CH(n+1)がWHよりも大きくなっている場合(S58:YES)、上帯域は上閾値よりも広帯域側にはみ出していることになる。上帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CH(n+1)にWHが代入され、CH(n+1)が変更される(S59)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。一方、CH(n+1)がWH以下である場合(S58:NO)、上帯域は下閾値と上閾値との間に収まっているので、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0055】
更新処理(S43)の終了後、メイン処理では、処理はS11に戻る。更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))に基づいて、計測通信が繰り返し実行される。N_OVERの増加に伴い、変化量(M(n))は徐々に大きくなるので、帯域移動量(B(n))も、変化量(M(n))の増加に伴い徐々に大きくなる。これによって、短時間で計測帯域範囲(R(n))は広くなる。
【0056】
以上説明したように、通信装置1では、計測帯域範囲と使用可能帯域との位置関係に応じて調整される変化量に基づいて帯域移動量を決定することで、効率的に使用可能帯域が計測されるように、帯域移動量を変化させている。具体的には、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置すると判断された場合に、変化量及び帯域移動量を徐々に大きくすることで、計測帯域範囲の増分を徐々に大きくしている。これによって通信装置1は、短い時間で計測帯域範囲を広くできるので、当初の計測帯域範囲と使用可能帯域とが大きく離れている場合でも、短時間で使用可能帯域を特定できる。
【0057】
なお本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述では、計測帯域範囲を拡張する場合の変化量は、狭帯域側に拡張する場合と広帯域側に拡張する場合とで同一であった。従って帯域移動量も、計測帯域範囲を狭帯域側に拡張する場合と広帯域側に拡張する場合とで同一となった。本発明はこれに限定されない。計測帯域範囲を狭帯域側に拡張する場合の帯域移動量が、広帯域側に拡張する場合の帯域移動量と比較して大きくなるように、変化量が定められてもよい。
【0058】
計測帯域範囲に対して使用可能帯域が狭帯域側にある場合、計測パケットは、常に使用可能帯域を超えた条件で送信されていることになる。このため、計測通信によって過剰な通信負荷をネットワークにかけていることになる。従って、過剰な通信負荷を早期に軽減させるために、より迅速に使用可能帯域が特定される必要がある。ここで、計測帯域範囲を狭帯域側に拡張する場合の変化量を相対的に大きくすることで、帯域移動量は相対的に大きくなる。従って、より短時間で計測帯域範囲を広くし、使用可能帯域を特定できるので、計測通信による過剰負荷を早期に軽減させることができる。
【0059】
一方、計測帯域範囲に対して使用可能帯域が広帯域側にある場合、計測パケットは、使用可能帯域よりも小さい帯域を使用して送信されていることになる。この場合、ネットワークには使用可能な帯域が残されているので、使用可能帯域を早期に特定する必要性は低い。従って、計測帯域範囲を広帯域側に拡張する場合の変化量を相対的に小さくし、帯域移動量を相対的に小さくする。これによって、計測帯域範囲は小さくなるので、計測通信に要する時間を短縮できる。
【0060】
また、計測帯域範囲に対して狭帯域側に連続して使用可能帯域が位置している場合にのみ、計測帯域範囲を狭帯域側に拡張してもよい。計測帯域範囲に対して広帯域側に連続して使用可能帯域が位置している場合には、計測帯域範囲は拡張されなくてもよい。これによって、計測帯域範囲は狭い状態で維持される可能性が高くなる。従って、計測パケットの通信によって占有される帯域の増加をより効果的に防止できる。
【0061】
<第一変形例>
以下、本発明の第一変形例について説明する。第一変形例では、使用可能帯域が下閾値(WL)よりも狭帯域側にあるか、上閾値(WH)よりも広帯域側にある場合の処理が示されている。第一変形例では、計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新された結果、下帯域(CL(n+1))が下閾値(WL)よりも小さくなった場合、上帯域(CH(n+1))を狭帯域側に移動させることで、新たな計測帯域範囲(R(n+1))を狭くする。また、上帯域(CH(n+1))が上閾値(WH)よりも大きくなった場合、下帯域(CL(n+1))を広帯域側に移動させることで、新たな計測帯域範囲(R(n+1))を狭くする。これらによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測通信に時間がかかってしまうことを防止している。
【0062】
計測帯域範囲(R(n))よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合の計測帯域範囲の更新方法について、図5を参照して説明する。送信装置において、R(0)が特定される。R(0)内から、計測帯域が複数選択される。選択された計測帯域に基づいて、計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(0)よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置していると判断されたとする。R(0)のうちCL(0)は、B(1)だけ狭帯域側に移動される。CH(0)は変化せず、そのまま維持される。計測帯域範囲は、R(0)がB(1)だけ狭帯域側に拡張したR(1)に更新される。更新後のR(1)に基づいて、計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。以上の処理が繰り返されることで、計測帯域範囲はB(2)、B(3)の順で狭帯域側に拡張され、R(2)、R(3)の順で更新される。以上までの処理は、上述した実施形態と同じである。
【0063】
R(3)のうちCL(3)がWLに近い状態となっており、同様の方法で計測帯域範囲がR(4)に更新された場合に、CL(4)がWLよりも小さくなったとする。この場合、更新後のR(4)のうちCL(4)は、WLで固定される。代わりに、CH(3)をB(4)だけ狭帯域側に移動させることで、CH(4)が特定される。R(4)の幅は、R(3)と比べて狭くなる。R(4)に基づいて計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(4)よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断される。CL(5)はWLで固定され、代わりに、CH(4)をB(5)だけ狭帯域側に移動させることで、CH(5)が特定される。R(5)の幅は、R(3)及びR(4)と比べてさらに狭くなる。
【0064】
なお、上閾値(WH)よりも広帯域側に使用可能帯域が位置する場合も、上述と同様の方法に基づいて、計測帯域範囲(R(n))は更新される。
【0065】
以上のように通信装置1は、計測帯域範囲の下帯域が下閾値に達した場合、上帯域を狭帯域側に移動させることができる。同様に、計測帯域範囲の上帯域が上閾値に達した場合、下帯域を広帯域側に移動させることができる。これによって通信装置1は、計測帯域範囲を狭くできるので、計測帯域範囲に基づいた計測通信に要する時間を短縮できる。また、既に計測された帯域が計測帯域範囲から除かれることになり、同じ帯域が重複して計測されないので、効率よく使用可能帯域を計測できる。さらに、計測帯域範囲は使用可能帯域に近い位置で保持されるので、使用可能帯域が変動し、下閾値〜上閾値の範囲内に位置することとなった場合、素早く使用可能帯域を検出することができる。
【0066】
図6を参照し、第一変形例における更新処理について説明する。更新処理は、図3のメイン処理から呼び出される。メイン処理は、上述した実施形態と同一である。メイン処理において、計測通信に使用された計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新されている。計測帯域範囲(R(n))の狭帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、下帯域(CL(n))は狭帯域側に移動されている。計測帯域範囲(R(n))の広帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、上帯域(CH(n))は広帯域側に移動されている。
【0067】
第一変形例において更新処理が起動されると、初めに、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S51)。狭帯域側に拡張したものである場合(S51:YES)、新たな計測帯域範囲(R(n+1))の下帯域(CL(n+1))が下閾値(WL)未満となっているかが判断される(S52)。CL(n+1)がWL以上である場合(S52:NO)、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。CL(n+1)がWL未満となっている場合(S52:YES)、下帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CL(n+1)にWLが代入され、CL(n+1)が変更される(S53)。
【0068】
下帯域が下閾値に達しているので、上帯域(CH(n+1))は以下のようにして狭帯域側に移動される(S54)。上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1))が算出される
B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n)
算出されたB(n+1)をCH(n+1)から減算することで、CH(n+1)はB(n+1)だけ狭帯域側に移動される。
CH(n+1)=CH(n+1)−B(n+1)=CH(n+1)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
【0069】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(以下、THR1と表記する。)以下であるかが判断される(S55)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1よりも大きい場合(S55:NO)、処理はS57に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1以下である場合(S55:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、上帯域(CH(n+1))は変更される(S56)。
CH(n+1)=CL(n+1)+THR1
計測帯域範囲(R(n+1))は、常に所定閾値(THR1)以上となる。これによって、計測帯域範囲(R(n+1))が徐々に狭くなった場合であっても、計測帯域範囲(R(n+1))は十分確保される。
【0070】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S57)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0071】
一方、メイン処理で更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S51:NO)、新たな計測帯域範囲(R(n+1))の上帯域(CH(n+1))が上閾値(WH)よりも大きいかが判断される(S58)。CH(n+1)がWH以下である場合(S58:NO)、更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。CH(n+1)がWHよりも大きい場合(S58:YES)、上帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CH(n+1)にWHが代入され、CH(n+1)が変更される(S59)。
【0072】
上帯域が上閾値に達しているので、下帯域(CL(n+1))が以下のようにして広帯域側に移動される(S60)。上帯域(CH(n))、下帯域(CL(n))、及び変化量(M(n))に基づいて、帯域移動量(B(n+1=(CH(n)−CL(n))×M(n))が算出される。算出されたB(n+1)をCL(n+1)に加算することで、CL(n+1)はB(n+1)だけ広帯域側に移動される。
CL(n+1)=CL(n+1)+B(n+1)=CL(n+1)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
【0073】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(THR1)以下であるかが判断される(S61)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1よりも大きい場合(S61:NO)、処理はS57に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1以下である場合(S61:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、CL(n+1)は変更される(S62)。
CL(n+1)=CH(n+1)−THR1
このように更新後の計測帯域範囲(R(n+1))は、常に所定閾値(THR1)以上となる。
【0074】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S57)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0075】
以上説明したように、通信装置1は、計測帯域範囲の下帯域が下閾値に達した場合、上帯域を狭帯域側に移動させることができる。同様に通信装置1は、計測帯域範囲の上帯域が上閾値に達した場合、下帯域を広帯域側に移動させることができる。これによって通信装置1は、計測帯域範囲を狭くできるので、計測帯域範囲に基づいた計測通信に要する時間を短縮できる。
【0076】
なお第二変形例では、計測帯域範囲の下帯域が下閾値に達した場合の上帯域の帯域移動量、及び、計測帯域範囲の上帯域が上閾値に達した場合の下帯域の帯域移動量は、変化量に基づいて決定されていた。本発明はこれに限定されない。帯域移動量は一律に定められていてもよい。また、帯域移動量は、計測通信が繰り返される毎に小さくなるように定められてもよい。これによって、計測帯域範囲が急速に狭くなってしまうことを防止できる。
【0077】
<第二変形例>
以下、本発明の第二変形例について説明する。第二変形例では、計測帯域範囲(R(n))に対して使用可能帯域が狭帯域側又は広帯域側に2回以上連続して位置している場合、計測帯域範囲(R(n))のうち下帯域(CL(n))と上帯域(CH(n))との両方を同量移動させる。これによって、計測帯域範囲(R(n))を維持したまま、全体を狭帯域側又は広帯域側に移動させる。
【0078】
計測帯域範囲(R(n))よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断された場合の計測帯域範囲の更新方法について、図7を参照して説明する。送信装置において、R(0)が特定される。R(0)内から、計測帯域が複数選択される。選択された計測帯域に基づいて、計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。R(0)よりも狭帯域側に、使用可能帯域が位置していると判断されたとする。R(0)のうちCL(0)は、B(1)だけ狭帯域側に移動される。CH(0)は変化せず、そのまま維持される。計測帯域範囲は、R(0)がB(1)だけ狭帯域側に拡張したR(1)に更新される。以上までの処理は、上述した実施形態と同じである。
【0079】
更新後のR(1)に基づいて、計測通信が実行され、再度、R(1)よりも狭帯域側に使用可能帯域があると判断されたとする。R(1)よりも狭帯域側に2回連続して使用可能帯域が位置していることになる。R(1)のうちCL(1)及びCH(1)は、B(2)だけ狭帯域側に移動される。計測帯域範囲は、R(1)の幅が保持されつつ、B(2)だけ狭帯域側に移動したR(2)に更新される。R(2)に基づいて計測通信が実行され、使用可能帯域の特定が試みられる。上述と同様の処理が繰り返され、計測帯域範囲はさらに、R(2)の幅を保持しつつ、R(2)をB(3)だけ狭帯域側に移動したR(3)に更新される。R(3)内に使用可能帯域が含まれることになるので、通信装置1は、使用可能帯域を特定する。
【0080】
なお、R(n)よりも広帯域側に使用可能帯域が位置すると判断された場合も、上述と同様の方法に基づいて、(R(n))は更新される。
【0081】
以上のように、計測帯域範囲の狭帯域側に使用可能帯域が所定回数以上連続して位置すると判断された場合、下帯域と上帯域とは、同じ帯域移動量だけ狭帯域側に移動される。同様に、計測帯域範囲の広帯域側に使用可能帯域が所定回数以上連続して位置すると判断された場合、下帯域と上帯域とは、同じ帯域移動量だけ広帯域側に移動される。計測帯域範囲は拡張されず、下帯域と上帯域との差分は変化しない。これによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測通信に時間がかかってしまうことを防止し、計測帯域範囲内の計測を短時間で迅速に行うことができる。
【0082】
図8を参照し、第二変形例における更新処理について説明する。更新処理は、図3のメイン処理から呼び出される。メイン処理は、上述した実施形態と同一である。メイン処理において、計測通信に使用された計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新されている。計測帯域範囲(R(n))の狭帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、下帯域(CL(n))は狭帯域側に移動されている。計測帯域範囲(R(n))の広帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、上帯域(CH(n))は広帯域側に移動されている。
【0083】
更新処理が起動されると、初めに、新たな計測帯域範囲(R(n+1))が元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S71)。狭帯域側に拡張したものである場合(S71:YES)、N_OVERが2以上であるかが判断される(S73)。N_OVERが1以下である場合(S73:NO)、処理はS81に進む。
【0084】
N_OVERが2以上である場合(S73:YES)、計測帯域範囲よりも狭帯域側に使用可能帯域が位置する状態が2回以上連続していることになる。この場合、上帯域(CH(n+1))が以下のようにして移動される(S77)。
【0085】
メイン処理(図3参照)においてR(n)をR(n+1)に更新した際における、下帯域(CL(n))の狭帯域側への帯域移動量(B(n+1))が特定される。
B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n)
CH(n)は、特定されたB(n+1)と同量分狭帯域側に移動される。
CH(n+1)=CH(n)−B(n+1)=CH(n)−(CH(n)−CL(n))×M(n)
これによってR(n+1)は、R(n)の幅を保持しつつR(n)を狭帯域側に移動させたものとなる。
【0086】
R(n+1)の下帯域(CL(n+1))が、下閾値(WL)未満となっているかが判断される(S81)。CL(n+1)がWL以上である場合(S81:NO)、処理はS85に進む。CL(n+1)がWL未満となっている場合(S81:YES)、下帯域が下閾値と上閾値との間に収まるように、CL(n+1)にWLが代入され、CL(n+1)が変更される(S83)。
【0087】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(THR1)以下であるかが判断される(S85)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1よりも大きい場合(S85:NO)、処理はS89に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1以下である場合(S85:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、上帯域(CH(n+1))は変更される(S87)。
CH(n+1)=CL(n+1)+THR1
【0088】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S89)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0089】
一方、メイン処理で更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))が、元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S71:NO)、N_OVERが2以上であるかが判断される(S75)。N_OVERが1以下である場合(S75:NO)、処理はS91に進む。
【0090】
N_OVERが2以上である場合(S75:YES)、計測帯域範囲よりも広帯域側に使用可能帯域が位置する状態が2回以上連続していることになる。この場合、下帯域(CL(n+1))が以下のようにして移動される(S79)。
【0091】
メイン処理(図3参照)においてR(n)をR(n+1)に更新した際における、上帯域(CH(n))の広帯域側への帯域移動量(B(n+1)=(CH(n)−CL(n))×M(n))が特定される。CL(n)は、特定されたB(n+1)と同量分広帯域側に移動される。
CL(n+1)=CL(n)+B(n+1)=CL(n)+(CH(n)−CL(n))×M(n)
これによって、R(n+1)は、R(n)の幅を保持しつつR(n)を広帯域側に移動させたものとなる。
【0092】
R(n+1)の上帯域(CH(n+1))が、上閾値(WH)よりも大きいかが判断される(S91)。CH(n+1)がWH以下である場合(S91:NO)、処理はS95に進む。CH(n+1)がWHよりも大きい場合(S91:YES)、CH(n+1)にWHが代入され、CH(n+1)が変更される(S93)。
【0093】
R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、所定閾値(THR1)以下であるかが判断される(S95)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1よりも大きい場合(S95:NO)、処理はS89に進む。幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR1以下である場合(S95:YES)、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR1となるように、下帯域(CL(n+1))は変更される(S97)。
CL(n+1)=CH(n+1)−THR1
【0094】
メイン処理(図3参照)において更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))は、上述した処理によって変更されたCH(n+1)とCL(n+1)とで囲まれる(R(n+1))に再度更新される(S89)。更新処理は終了し、処理はメイン処理(図3参照)に戻る。
【0095】
以上説明したように、第二変形例では、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が2回数連続して位置すると判断された場合、下帯域と上帯域とは、同じ移動量だけ狭帯域側又は広帯域側に移動される。計測帯域範囲は拡張されない。これによって、計測帯域範囲が広くなり過ぎてしまって計測に時間がかかってしまうことを防止できるので、計測帯域範囲内の計測を短時間で迅速に行うことができる。
【0096】
またメイン処理では、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が連続して位置すると判断された場合の連続回数の増加に伴い、変化量が徐々に大きくなっている。従って上述した実施形態では、計測帯域範囲は急激に増加する。これに対して第二変形例では、計測帯域範囲を固定し、計測帯域範囲全体を狭帯域側又は広帯域側に移動させることができる。これによって通信装置1は、計測通信に必要な時間をさらに短時間できる。
【0097】
上述では、計測帯域範囲の狭帯域側又は広帯域側に使用可能帯域が2回数連続して位置すると判断された場合に、下帯域及び上帯域の両方を移動させていた。本発明はこれに限定されない。閾値となる連続回数は、3回以上であってもよい。
【0098】
上述では、連続回数が所定回数以上となった場合、変化量に基づいて帯域移動量が定められていた。本発明はこれに限定されない。連続回数が所定回数以上となった後は、帯域移動量は一律に定められてもよい。
【0099】
<第三変形例>
以下、第三変形例について説明する。第三変形例では、メイン処理(図3参照)によって更新された新たな計測帯域範囲(R(n+1))の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が所定閾値(以下「THR2」ともいう。)以上となった場合、新たな計測帯域範囲(R(n+1))を狭くする。これによって、計測帯域範囲(R(n))の幅が極端に広くなることを防止する。上述の第二変形例と同一の処理部分は、同一符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図9を参照し、第三変形例における更新処理について説明する。更新処理は、図3のメイン処理から呼び出される。メイン処理は、上述した実施形態と同一である。メイン処理において、計測通信に使用された計測帯域範囲(R(n))が新たな計測帯域範囲(R(n+1))に更新されている。計測帯域範囲(R(n))の狭帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、下帯域(CL(n))は狭帯域側に移動されている。計測帯域範囲(R(n))の広帯域側に使用可能帯域が位置していた場合、上帯域(CH(n))は広帯域側に移動されている。
【0101】
更新処理が起動されると、初めに、メイン処理(図3参照)において更新された新たなR(n+1)の上帯域(CH(n+1))と下帯域(CL(n+1))との差分が算出される(S101)。これによって、R(n+1)の幅(CH(n+1)−CL(n+1))が特定される。
【0102】
新たな計測帯域範囲(R(n+1))が元の計測帯域範囲(R(n))を狭帯域側に拡張したものであるか、広帯域側に拡張したものであるかが判断される(S103)。狭帯域側に拡張したものである場合(S103:YES)、S101で算出された幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR2以上であるかが判断される(S105)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2以上である場合(S105:YES)、上帯域(CH(n+1))は帯域移動量(B(n+1)だけ狭帯域側に移動される(S107)。B(n+1)は、メイン処理(図3参照)において下帯域(CL(n))を狭帯域側に移動させた場合の帯域移動量と同一である。処理はS81に進む。一方、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2未満である場合(S105:NO)、処理はS81に進む。S81、S83、S85、S87、及びS89の処理は、第二変形例と同一である。
【0103】
新たな計測帯域範囲(R(n+1))が元の計測帯域範囲(R(n))を広帯域側に拡張したものである場合(S103:NO)、S101で算出された幅(CH(n+1)−CL(n+1))が、THR2以上であるかが判断される(S109)。幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2以上である場合(S109:YES)、下帯域(CL(n+1))は帯域移動量(B(n+1)だけ広帯域側に移動される(S111)。B(n+1)は、メイン処理(図3参照)において上帯域(CL(n))を広帯域側に移動させた場合の帯域移動量と同一である。処理はS91に進む。一方、幅(CH(n+1)−CL(n+1))がTHR2未満である場合(S109:NO)、処理はS91に進む。S91、S93、S95、S97、及びS89の処理は、第二変形例と同一である。
【0104】
以上説明したように、上帯域と下帯域との差分が所定閾値(THR2)以上となった場合、計測帯域範囲の幅がこれ以上増大しないように、上帯域又は下帯域が調整される。これによって、計測通信に明確な制限がある場合であっても、確実に所定時間内で計測通信を実行することができる。
【0105】
<第四変形例>
以下、第四変形例について説明する。第四変形例では、計測通信によって特定された使用可能帯域の履歴に基づいて、使用可能帯域の偏差(単位:%)が算出される。算出された偏差に基づいて、変化量(M(n))が特定される。使用可能帯域のばらつきが大きい場合に計測帯域範囲(R(n))をより広くすることで、計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域捕捉される可能性を高めることができるので、精度よく使用可能帯域を特定できる。
【0106】
図10を参照し、第四変形例におけるメイン処理について説明する。メイン処理は、通信装置1のうち送信装置のCPU10において実行される。上述した実施形態と同一の処理を示す部分には、同一符号を付し、説明を省略している。メイン処理が起動されると、はじめに、計測帯域範囲(R(n))が特定され、計測通信が実行される。受信装置から送信された結果パケットが受信される。使用可能帯域の特定に関する情報が結果パケットから抽出される。抽出された情報は、HDD13に記憶される(S121)。
【0107】
受信された結果パケットに格納された情報に基づいて、計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置しているかが判断される(S123)。計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していると判断された場合(S123:YES)、処理はS121に戻る。計測帯域範囲(R(n))内に使用可能帯域が位置していないと判断された場合(S123:NO)、HDD13に記憶された情報のうち、特定された使用可能帯域が抽出される。抽出された使用可能帯域の偏差が算出される(S125)。
【0108】
算出された偏差に基づいて、変化量(M(n))が特定される。偏差が30%未満である場合(S127:YES)、M(n)に0.5が代入される(S131)。処理はS33に進む。偏差が30%以上60%未満である場合(S127:NO、S129:YES)、M(n)に0.75が代入される(S133)。処理はS33に進む。偏差が60%以上である場合(S129:NO)、M(n)に1.0が代入される(S135)。処理はS33に進む。S33、S35、S37、S39、S41、及びS43の処理は、上述の実施形態と同一である。S43では、上述の実施形態、第一変形例、第二変形例、及び第三変形例における更新処理のいずれかが呼び出される。
【0109】
以上説明したように、第四変形例では、計測結果の偏差が大きく、使用可能帯域の計測結果が大きくばらついている程、変化量を大きくする。これによって通信装置1は、短い時間で計測帯域範囲を大きくできる。従って、使用可能帯域の計測結果にばらつきがある場合でも、通信装置1は精度よく使用可能帯域を特定できる。
【0110】
なお上述では、使用可能帯域の偏差に基づいて、変化量M(n)が決定されていた。本発明はこれに限定されない。使用可能帯域の散らばり具合(ばらつき)を表す他のパラメータに基づいて、変化量M(n)が決定されてもよい。
【0111】
なお、図3のS11の処理を行うCPU10が本発明の「送信手段」に相当し、S13の処理を行うCPU10が本発明の「第一判断手段」に相当し、S23、S25、S27、S29、S31、S35、及びS37の処理を行うCPU10が本発明の「決定手段」に相当し、S33の処理を行うCPU10が本発明の「第二判断手段」に相当し、S39、及びS41の処理を行うCPU10が本発明の「第一更新手段」に相当する。図6のS57の処理を行うCPU10が本発明の「第二更新手段」に相当する。図3のS19の処理を行うCPU10が本発明の「特定手段」に相当する。図8のS89の処理を行うCPU10が本発明の「第三更新手段」に相当する。図9のS101の処理を行うCPU10が本発明の「第一算出手段」に相当し、S89の処理を行うCPU10が本発明の「第四更新手段」に相当する。図10のS125の処理を行うCPU10が本発明の「第二算出手段」に相当し、S127、S129、S131、S133、及びS135の処理を行うCPU10が本発明の「決定手段」に相当する。
【0112】
図3のS11の処理が本発明の「送信ステップ」に相当し、S13の処理が本発明の「第一判断ステップ」に相当し、S23、S25、S27、S29、S31、S35、及びS37の処理が本発明の「決定ステップ」に相当し、S33の処理が本発明の「第二判断ステップ」に相当し、S39、及びS41の処理が本発明の「第一更新ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0113】
1 通信装置
10 CPU
13 HDD
100 通信システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置であって、
複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断手段と、
前記第一判断手段において、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断手段と、
前記第二判断手段において、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定手段であって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新手段と、
前記第一更新手段によって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合に、
前記決定手段は、
前回決定した前記変化量よりも新たに決定する前記変化量が大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分が、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が存在すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分よりも大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第一更新手段において前記下帯域又は前記上帯域を移動させた結果、前記下帯域が所定の下閾値よりも小さくなった場合に、前記上帯域を狭帯域側に移動させ、前記上帯域が所定の上閾値よりも大きくなった場合に、前記下帯域を広帯域側に移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第二更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の連続回数を特定する特定手段と、
前記特定手段において特定された前記連続回数が所定回数以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第三更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記上帯域と前記下帯域との差分を算出する第一算出手段と、
前記第一算出手段において算出された前記差分が所定値以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第四更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記相手装置から受信した計測結果を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記計測結果の偏差を算出する第二算出手段と
を備え、
前記決定手段は、
前記第二算出手段によって算出された前記偏差が大きい場合の前記変化量が、前記偏差が小さい場合の前記変化量と比較して大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置において実行される通信方法であって、
複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、
前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、
前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。
【請求項9】
ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するための通信プログラムであって、
複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、
前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、
前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップと
をコンピュータに実行させるための通信プログラム。
【請求項1】
ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置であって、
複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断手段と、
前記第一判断手段において、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断手段と、
前記第二判断手段において、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定手段であって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新手段と、
前記第一更新手段によって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合に、
前記決定手段は、
前回決定した前記変化量よりも新たに決定する前記変化量が大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分が、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が存在すると判断される状態が連続した場合の前記変化量の増分よりも大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第一更新手段において前記下帯域又は前記上帯域を移動させた結果、前記下帯域が所定の下閾値よりも小さくなった場合に、前記上帯域を狭帯域側に移動させ、前記上帯域が所定の上閾値よりも大きくなった場合に、前記下帯域を広帯域側に移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第二更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記第一更新手段によって前記計測帯域範囲が繰り返し更新されながら、前記送信手段において繰り返し複数の前記計測パケットが送信された場合であって、前記第一判断手段において前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断され、且つ、前記第二判断手段において前記計測帯域範囲よりも広帯域側又は狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断される状態が連続した場合の連続回数を特定する特定手段と、
前記特定手段において特定された前記連続回数が所定回数以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第三更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記上帯域と前記下帯域との差分を算出する第一算出手段と、
前記第一算出手段において算出された前記差分が所定値以上となった場合であって、前記第一更新手段において前記下帯域を狭帯域側に第一移動量分移動させた場合に、前記上帯域を狭帯域側に前記第一移動量分移動させ、前記上帯域を広帯域側に第二移動量分移動させた場合に、前記下帯域を広帯域側に前記第二移動量分移動させることで、前記計測帯域範囲を更新する第四更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記相手装置から受信した計測結果を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記計測結果の偏差を算出する第二算出手段と
を備え、
前記決定手段は、
前記第二算出手段によって算出された前記偏差が大きい場合の前記変化量が、前記偏差が小さい場合の前記変化量と比較して大きくなるように、前記変化量を特定し、前記帯域移動量を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測する通信装置において実行される通信方法であって、
複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、
前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、
前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。
【請求項9】
ネットワークに接続する他の通信装置である相手装置に対して、送信間隔を順次変化させながら複数の計測パケットを送信することで、前記ネットワークにおける使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するための通信プログラムであって、
複数の前記計測パケットを送信することで、帯域の計測範囲である計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれるか判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が含まれないと判断された場合に、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置するか、又は、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置するかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記計測帯域範囲よりも狭帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も狭帯域側の帯域である下帯域を狭帯域側に移動させる場合の帯域の移動量である帯域移動量を決定し、前記計測帯域範囲よりも広帯域側に前記使用可能帯域が位置すると判断された場合に、前記計測帯域範囲のうち最も広帯域側の帯域である上帯域を広帯域側に移動させる場合の前記帯域移動量を決定する決定ステップであって、過去の前記計測帯域範囲に対する、新たに決定する前記計測帯域範囲の変化の程度を示す変化量を特定し、特定された前記変化量に基づいて、前記帯域移動量を決定する決定ステップと、
前記決定ステップによって決定された前記帯域移動量に基づいて、前記下帯域及び前記上帯域のうち一方を移動させることで前記計測帯域範囲を更新する第一更新ステップと、
前記第一更新ステップによって更新された計測帯域範囲内に前記使用可能帯域が存在するかを判断するために、複数の前記計測パケットを送信する送信ステップと
をコンピュータに実行させるための通信プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−54675(P2012−54675A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194014(P2010−194014)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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