説明

通信装置、通信装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 近接無線通信において、複数の通信装置の画面を見ながらそれぞれのキー操作を行うのはユーザにとって使い勝手が良くない。
【解決手段】 通信装置のユーザインタフェース情報と通信相手装置のユーザインタフェース情報とに基づいて、通信装置と通信相手装置とが連携して実現する処理のためのユーザインタフェースを、通信装置と通信相手装置のいずれが提供するかを決定し、決定結果を通信相手装置に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接無線通信環境における情報表示及び入力操作の制御方法を提供する通信装置、通信装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信インタフェースを介して複数の通信装置同士が連携してアプリケーションを実行する通信システムが存在する。特許文献1では、赤外線通信インタフェースを介して携帯電話機同士がファイルを交換するアプリケーションを実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−221355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、ユーザは双方の携帯電話機の画面を見ながら双方のキー操作しなければならなかった。また、最近の携帯電話機には、機器を数センチ以内に近づけて無線通信を行うNFC(NEAR FIELD COMMUNICATION)やTRANSFERJET(登録商標)といった近接無線通信を搭載されているものがある。このような近接無線通信を用いて携帯電話機同士の通信を行う場合、当該携帯電話機をほとんど接触させる程度に近づける必要がある。このような状態で、双方の携帯電話機の画面を見ながら双方のキー操作を行うのはユーザにとって使い勝手が良くなかった。
【0005】
本発明は、通信装置同士を接続する場合して用いる場合に、ユーザにとって使い勝手の良いユーザインタフェースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による通信装置は、通信装置のユーザインタフェース情報と通信相手装置のユーザインタフェース情報とに基づいて、通信装置と通信相手装置とが連携して実現する処理のためのユーザインタフェースを、通信装置と通信相手装置のいずれが提供するかを決定し、決定結果を通信相手装置に通知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信装置同士を接続して用いる場合に、ユーザにとって使い勝手の良いユーザインタフェースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通信システムの構成図。
【図2】通信装置101のブロック図。
【図3】通信装置101の動作を示すフローチャート。
【図4】通信装置101が先表示装置及び優先入力装置として指定された場合のファイル送受信アプリケーションの動作を示すフローチャート。
【図5】通信装置101が優先表示装置及び優先入力装置として指定されなかった場合のファイル送受信アプリケーションの動作を示すフローチャート。
【図6】送信モード選択操作が行われた場合の通信装置101Aと通信装置101Bの間のシーケンス図。
【図7】受信モード選択操作が行われた場合の通信装置101Aと通信装置101Bの間のシーケンス図。
【図8】キー能力による優先入力装置の決定方法を示した図。
【図9】実施形態2に係る通信装置101が優先表示装置及び優先入力装置として指定された場合の動作を示すフローチャート。
【図10】実施形態2に係る通信装置101Aと通信装置101Bの間のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
<<実施形態1>>
(通信システムの構成)
図1は実施形態1に係る通信システムの構成図である。101Aと101Bは通信装置であり、互いに通信相手装置、すなわち通信装置101Aは相手方である通信装置101Bと、通信装置101Bは相手方である通信装置101Aと、通信を行う。図1では通信装置101Aはノート型パーソナルコンピュータ、通信装置101Bでは携帯電話機を想定しているが、本実施形態に係る通信装置101は特にこれらに限定されず、通信装置全般に適用される。本例では、図1に示す通り、通信装置101A及び101Bは、互いに近接無線通信102と、無線LAN通信103が可能である。なお、近接無線通信102は所定の距離(数センチメートルから数十センチメートル)以内に近づけることによって通信が可能となる。近接無線通信102にはNFC(NEAR FILED COMMUNICATION)やTRANSFERJET(登録商標)などの規格が存在する。無線LAN通信103は、近接無線通信102より通信可能距離が長く、通信装置101Aと通信装置101Bが数メートル程度離れていても通信が可能である。
【0011】
(通信装置の構成)
図2は実施形態1に係る通信装置101のブロック図である。通信装置101は上述したようにノート型パーソナルコンピュータを想定した通信装置101Aと携帯電話装置を想定した通信装置101Bがあるが、図2では、個々に特徴的な構成は省略しており、通信装置101として共通に持つ構成に限定して記載している。
【0012】
201は通信装置101全体の制御を行う通信装置制御部である。202は近接無線通信102のリンク制御やデータ伝送の制御を行なう近接無線通信制御部である。203は無線LAN通信103の通信制御を行う無線LAN通信制御部である。204は通信装置101が近接無線通信102と無線LAN通信103のどちらで通信を行っているかを判定する通信判定部である。205は、通信装置101が自らの表示器210の表示能力を示す表示情報を格納する表示能力情報保存部である。表示情報は例えば解像度・表示パネルの大きさ・色域など通信装置101が有する表示器210の能力に関する情報である。表示器210が「タッチパネル」であるかどうかも表示能力情報保存部205に格納されている場合もある。
【0013】
206は、通信装置101が、自らのキー211の入力能力に関するキー情報を格納するキー能力情報保存部である。キー211の入力能力の情報とは、例えば「キーなし」「複数キー」「テンキー」「キーボード」「テンキー+キーボード」など自通信装置101が持っているキー211のタイプで表される。キー211が「タッチパネル」であるかどうかもキー能力情報保存部206に格納されている場合もある。さらに、表示器210の表示能力の情報、又はキーの入力情報には、通信装置101がバッテリーで駆動しているか否かを示す情報を含めておいてもよい。
【0014】
207は表示能力情報保存部205およびキー能力情報保存部206等に格納されているユーザインタフェース情報を通信装置101間で送受信するUI能力送受信部である。208は近接無線通信102又は無線LAN通信103で接続している通信装置101のなかから、他の装置から情報を受信してまとめて表示する優先表示装置を決定する優先表示装置決定部である。209は近接無線通信102又は無線LAN通信103で接続している通信装置101のなかから、入力を受け付け、他の装置へ受け付けた入力の情報を送信する優先入力装置を決定する優先入力装置決定部である。210は表示を行う表示器、211は入力を行うキーである。212は画像ファイル等が記憶されている記憶メディアである。213はアプリケーションの制御を行うアプリケーション制御部である。
【0015】
214は他の通信装置101から表示情報を受信して取得する表示情報受信部、215は他の通信装置101へ表示情報の送信を行う表示情報送信部である。216は他の通信装置101からのキー情報を受信して取得するキー情報受信部、217は他の通信装置101へのキー情報の送信を行うキー情報送信部である。218はアプリケーションを実行する通信装置101の組み合わせにより集中表示を行うか分散表示を行うかを判断する機器組み合わせ判定部である。219はアプリケーションによって集中表示を行うか分散表示を行うかを判断するアプリケーション判定部である。
【0016】
上記構成において、優先表示装置決定部208および優先入力装置決定部209は全ての通信装置101が備えている必要はなく、システムで少なくとも1つの通信装置101が備えていればよい。
【0017】
(システムの動作)
以下、図1のシステム構成図、図2のブロック図、図3、図4、図5のフローチャート、及び図6、図7のシーケンス図に基づいて、通信装置101の動作を説明する。なお、図3は、実施形態1に係る通信装置101の動作を示すフローチャートである。図4は、実施形態1に係る通信装置101が優先表示装置及び優先入力装置として指定された場合の、ファイル送受信アプリケーションの動作を示すフローチャートである。図5は、実施形態1に係る通信装置101が優先表示装置及び優先入力装置として指定されなかった場合のファイル送受信アプリケーションの動作を示すフローチャートである。図6は、実施形態1における、通信装置101Aによる通信装置Bへ情報を送信するための操作(送信モード選択操作)が行われた場合の、通信装置101Aと通信装置101Bの間のシーケンス図である。図7は、実施形態1における、通信装置101Aが通信装置101Bから情報を受信するための操作(受信モード選択操作)が行われた場合の通信装置101Aと通信装置101Bの間のシーケンス図である。
【0018】
図6において、まず、ユーザが通信装置101Aと通信装置101Bを近づけることにより、近接無線通信102の無線リンクが確立する(M601)。通信装置101A及び通信装置101Bでは、近接無線通信102の無線リンク確立(M601)を監視している(S302)。無線リンク確立が行われると(S302のYes)、1以上の通信装置101から、1つの通信装置101へUI情報(ユーザインタフェース情報)を通知するUI能力通知メッセージが送信される。なお、UI情報の送信先の1つの通信装置101は、優先表示装置及び優先入力装置を決定する通信装置101である。すなわち、優先表示装置及び優先入力装置を決定する通信装置101は、それ以外の通信装置101からUI情報に関する情報を受信して収集する。
【0019】
優先表示装置及び優先入力装置を決定する通信装置101は、通信を行う通信装置101の中からUI能力通知メッセージの送受信の前に決定される。例えば、近接無線通信102を実行する複数の通信装置101の中で以下の基準に基づいて、優先表示装置及び優先入力装置の決定を行う通信装置101を決定する。
【0020】
(1)マスタ側とスレーブ側の関係がある場合はマスタ側であるか否か
(2)リーダ/ライタ側とICタグ側の関係がある場合はリーダ/ライタ側であるか否か
(3)イニシエータ側(通信を開始する側)とレスポンダ側(通信の開始を検知して無線リンクを確立する側)の関係がある場合はイニシエータ側であるか否か
(4)優先表示装置決定部208・優先入力装置決定部209を有しているか否か
また、複数の通信装置101の間でネゴシエーションを行い、処理能力の高い方、又はMACアドレスの大きい方(又は小さい方)の通信装置101を優先表示装置及び優先入力装置の決定を行う通信装置101としてもよい。
【0021】
以下、通信装置101Aが、優先表示装置および優先入力装置を決定する通信装置101として決定された場合の例について説明を行う。ただし、通信装置101Bが優先表示装置および優先入力装置を決定する通信装置101として決定された場合でも処理の内容は同様である。
【0022】
通信装置101Bは、表示能力情報保存部205に格納されている表示能力、及びキー能力情報保存部206に格納されているキー能力を含んだUI情報の通知メッセージを通信装置101Aへ送信する(M602)。通知メッセージには通信装置101Bがバッテリーで動作しているかどうかの情報も含んでいてもよい。
【0023】
ここで、通信装置101Aでは、近接無線通信102の無線リンクを確立した後に(S302のYes)、通知メッセージの受信を監視する(S303)。M602で通知メッセージを受信し、通信装置101BのUI情報を取得すると(S303のYes)、優先表示装置決定部208による優先表示装置の決定(S304)および優先入力装置決定部209による優先表示装置の決定(S305)を行う。なお、優先表示装置の決定(S304)と優先入力装置の決定(S305)の処理は、どちらが先に実行されてもよい。
【0024】
通信装置101Aは、通知メッセージに含まれている表示能力と表示能力情報保存部205に格納されている通信装置101Aの表示能力を比較して優先表示装置を決定する。例えば、以下の1つ又は複数を組み合わせた基準に基づいて、優先表示装置となる通信装置101を選択して決定する。
【0025】
(1)バッテリー動作であるか否か
(2)表示器210の解像度の高低
(3)表示器210の表示パネルの大小
(4)表示器210の色域の広狭
(5)表示器210の消費電力の高低
(6)表示器210がタッチパネルであるか否か
例えば、上述の(1)の基準を用いて、特にバッテリー動作でない通信装置101を優先表示装置として決定することにより、情報の表示をすることによる電力消費を考慮する必要がなくなる。また、(2)の基準を用いて、解像度が高い通信装置101を選択することで、全ての通信相手装置からの情報を表示可能であることを担保することができる。また、(2)の基準で、例えば表示する情報量が少なく解像度が低くても問題がない場合は、解像度が低い通信装置101を選択することにより、例えば表示に係る消費電力を削減することができる。(3)の基準を用いて、表示パネルが大きい通信装置101を選択することにより、ユーザにとって視認性が最も高い表示をすることが可能となる。また、(3)の基準において、表示パネルが小さいものを選択するようにすると、パネル自体の消費電力が小さい通信装置101を選択できる確率が高まる。さらに、(4)の基準において、色域が広い通信装置101を選択すると、表現力が最も高い通信装置101により表示を行うこととなり、ユーザの視認性が高まる。また、(4)の基準で、色域が狭いものを選択すると、処理すべき情報量が減り、消費電力を削減することが可能となる。(5)の基準を用いて、消費電力が低い通信装置101を選択すると、他の機能へ電力を割り当てることが可能となり、装置全体として多彩な機能を実現することができる。また、(5)において、消費電力が高い通信装置101は、最も高い表現力で情報を表示する確率が高く、これを選択することで、ユーザの視認性を高めることが可能となる。さらに、(6)の基準を用いて、タッチパネルの通信装置101を選択すると、ユーザが情報を見ながら画面をタッチすることにより、容易に操作することが可能となる。さらに、(6)で、タッチパネルを用いない通信装置101を選択すると、タッチパネルの操作に慣れないユーザにとって使い勝手が向上する。なお、これらの基準は、ユーザによって設定することができるようにしてもよい。
【0026】
通信装置101Aは、さらに、通知メッセージに含まれているキー能力とキー能力情報保存部206に格納されている自通信装置101のキー能力を比較して、優先入力装置を決定する。例えば、以下の1つ又は複数を組み合わせた基準に基づき、優先入力装置とする通信装置101を選択して決定する。
【0027】
(1)バッテリー動作であるか否か
(2)キー211がタッチパネルであるか否か
また、図8に例示するような、キーの入力能力による優先入力装置の決定方法に基づいて優先入力装置を決定してもよい。図8に例示するキー能力による優先入力装置の決定方法を説明する。通信装置101Aがテンキーとキーボードを備えており、通信装置101Bが携帯電話機でテンキーのみの場合は、表の一番右の列(5列目)の3行目を参照し、通信装置101Aを優先入力装置と決定する。また、通信装置Aと通信装置Bの両者ともに入力の能力がテンキーのみの場合は、表の3行3列目を参照し、A及びBのいずれかを優先入力装置と決定する。なお、図8の例では、より多彩な操作が可能な入力装置を有する通信装置を、優先入力装置としているため、ユーザが使いやすい入力装置を選択することができる。
【0028】
上述の例では、優先表示装置の決定には表示能力の比較を行っているが、図8に示したキー能力の比較を組み合わせて、又はキー能力のみの比較で優先表示装置を決定してもよい。同じく優先入力装置の決定にも表示能力(解像度・表示パネルの大きさ・色域・消費電力)の比較を組み合わせて、又は表示能力のみの比較で優先入力装置を決定してもよい。
【0029】
通信装置101Aは、決定結果、すなわち優先表示装置と優先入力装置の情報(MACアドレス等の識別子など)を、UI選択の通知メッセージで通信装置101Bに通知する(S306、M603)。
【0030】
通信装置101Aは、優先表示装置の決定処理の結果、自装置を優先表示装置として選択したかどうかを判断する(S307)。自装置を優先表示装置として選択した場合(S307でYes)、通信相手装置である通信装置101Bからの情報を収集して、自らが表示すべき情報と併せて表示する連携表示モードを開始する(S308)。一方、通信装置101Aが優先表示装置として選択されなかった場合(S307でNo)、通信装置101Bへ表示すべき情報を提供し、自らは表示を行わない非選択側表示モードを開始する(S309)。また、通信装置101Aは、優先入力装置の決定処理において、自装置を優先入力装置として選択したかどうかを判断する(S310)。優先入力装置として選択された場合は、入力された操作情報に基づいて自らの動作を制御すると共に、当該操作情報を通信装置101Bへ送信し、通信装置101Bをも制御する連携入力モードを開始する(S308)。一方、通信装置101Aが優先入力装置として選択されなかった場合は、通信装置101Bから受信した操作情報に基づき自らの動作を制御する非選択側入力モードを開始する(S309)。
【0031】
通信装置101Bは、通信装置101Aより受信したUI選択の通知メッセージ(M603)の内容から、自機器が優先表示装置として選択されたかどうかを判断する。そして、通信装置101Aと同様、優先表示装置として選択された場合は連携表示モードを開始し、優先表示装置として選択されなかった場合は非選択側表示モードを開始する。また、通信装置101Bは、通信装置101Aより受信したUI選択の通知メッセージ(M603)の内容から、自装置が優先入力装置として選択されたどうかを判断する。優先入力装置として選択された場合は連携入力モードを開始し、優先入力装置として選択されなかった場合は非選択側入力モードを開始する。
【0032】
この処理の後、通信装置101A及び通信装置101Bは、連携表示モード・非選択側表示モードおよび連携入力モード・非選択入力モードのモードに応じた表示・入力動作を行う(S313)。
【0033】
モードに応じた表示・入力動作の例として、以下では、ファイル送受信アプリケーションの動作を説明する。なお、以下の例では、通信装置101Aが連携表示モードかつ連携入力モード、すなわち優先表示装置かつ優先入力装置として選択されているものとし、通信装置101Bは非選択側表示モード・非選択側入力モードであるものとして説明する。
【0034】
連携表示モードかつ連携入力モードである通信装置101Aは、表示器210を表示可能な状態にし、キー211の入力を受け付ける状態にする。一方、通信装置101B、すなわち非選択側表示モードかつ非選択入力モードの通信装置101は、表示器210における表示を中止し、なおかつキー211におけるユーザ操作の受付をも中止する。なお、通信装置101Bは、通信装置101Bが非選択側表示モードである旨や表示器210が無効となっていることをユーザへ報知するために、その旨を表示器210に表示してもよい。例えば、『表示は無効になっています』『他の装置の表示を参照してください』などを表示してもよい。
【0035】
通信装置101Aは、ファイル送受信アプリケーションが起動されている間、送信モード選択操作(M604)又は受信モード選択操作(M701)が通信装置101のユーザより行われたかどうかの監視を行う(S402、S406)。通信装置101Aにおいて、ファイル送受信アプリケーションの画面において、ユーザがメニューから通信装置101Bへのファイル送信を実行する送信モードを選択した場合(M604)の動作を説明する。送信モード選択操作(M604)が実行されると、通信装置101Aは記憶メディア212にあるファイルのリストを表示する(S403、M605)。ファイルのリストの表示方法はファイルそのものだけでなくフォルダなどの階層形式の表示でもよい。通信装置101Aは、リストを表示すると、通信装置101のユーザのファイル選択操作(M606)を監視する(S404)。そして、ファイル選択操作(M606)が行われた場合、選択されたファイルを通信装置101Bに送信する(S405、M607)。通信装置101Bではファイルを受信した場合にファイルを記憶メディア212に格納する。
【0036】
続いて、通信装置101Aにおいて、ファイル送受信アプリケーションの画面で、ユーザがメニューより通信装置Bからのファイル受信を実行する受信モードを選択した場合(M701)の動作を説明する。通信装置101Aではファイルリスト要求を通信装置101Bへ送信する(S411、M702)。
【0037】
通信装置101Bでは、ファイルリスト要求(M702)又はファイル要求(M704)を通信装置101Aから受信したかどうかの監視を行っている(S502、S504)。通信装置101Bは、通信装置101Aよりファイルリスト要求(M702)を受信した場合(S502でYes)、記憶メディア212にあるファイルのリストを送信する(S503、M703)。
【0038】
通信装置101Aは、ファイルリストの受信(M703)を監視しており(S407)、ファイルリスト(M703)を受信した場合(S407のYes)、受信したファイルリストの内容を表示器210に表示する(S412)。ファイルリストの表示方法はファイルそのもののリストの表示に限らず、フォルダなどの階層形式の表示でもかまわない。通信装置101Aは、ユーザによるファイル選択操作(M606)を監視し(S408)、ファイル選択操作(M606)が行われた場合、選択されたファイルを指定するファイル要求を通信装置101Bに送信する(M704)。
【0039】
ここで、通信装置101Bは、ファイルリスト要求(M702)又はファイル要求(M704)を通信装置101Aから受信したかどうかの監視を行っている(S502、S504)。通信装置101Bは、通信装置101Aよりファイル要求(M704)を受信した場合(S504でYes)、指定されたファイルを記憶メディア212より取り出し通信装置101Aに送信する(S505、M607)。
【0040】
上述の実施形態1においては、優先表示装置と優先入力装置が同一の場合の例を示した。優先表示装置と優先入力装置が同一でない場合について、優先表示装置が通信装置101Aで優先入力装置が通信装置101Bの場合の例について、以下簡単に説明する。
【0041】
通信装置101A、すなわち連携表示モードかつ非選択側入力モードの通信装置101は、表示器210を表示可能な状態にし、キー211の入力は受け付けない状態にする。通信装置101B、すなわち非選択側表示モードで連携入力モードの通信装置101は、表示器210は表示を行わない状態にし、キー211の入力を受け付ける状態にする。通信装置101Bは、入力されたキー情報を通信装置101Aに送信する。通信装置101Aは、通信装置101Aより受信したキー情報を自通信装置101Aのキー211から入力された場合と同様の処理を行う。
【0042】
実施形態1の構成により、通信装置101Aと通信装置101Bを近接させて近接無線通信102を用いてファイル交換を行う場合に、片方の通信装置101の表示画面を見ながらキーの操作を行えばよくなるため、ユーザの操作が容易となる。
【0043】
上述の説明では、ファイル送受信アプリケーションの例を示したが、印刷アプリケーションでも同様の処理を行うことができる。具体的には、ファイル送受信アプリケーションでは受信したファイルを記憶メディア212に格納していたが、印刷アプリケーションでは受信したファイルを印刷する。このように、本実施形態に係る構成は、ファイル送受信アプリケーションだけでなく、印刷やその他のアプリケーションにも容易に適用することができる。
【0044】
<<実施形態2>>
図9は実施形態2に係る通信装置101が、優先表示装置、及び優先入力装置として指定された場合の動作を示すフローチャートである。図10は、実施形態2に係る通信装置101Aと通信装置101Bとの間のシーケンス図である。以下、図1のシステム構成図、図2のブロック図、図3、図9のフローチャート、図10のシーケンス図に基づいて、実施形態2における通信システムと通信装置101の動作を説明する。なお、優先表示装置と優先入力装置の決定を行い、連携表示モード・非選択側表示モードおよび連携入力モード・非選択入力モードで動作を開始するまでは実施形態1の方法と同様である。
【0045】
図10のシーケンス図は、通信装置101Aが連携表示モードかつ連携入力モードで動作する場合、すなわち優先表示装置かつ優先入力装置として選択されている場合のシーケンス図である。なお、通信装置101Bは、非選択側表示モード・非選択側入力モードで動作するものとする。したがって、図9のフローチャートは、優先表示装置、及び優先入力装置として指定された通信装置である通信装置101Aの動作を示す。
【0046】
本実施形態においては、通信装置101Aは自装置制御モードと相手方装置制御モードとのいずれかで動作することができる。ここで、自装置制御モードにおいては、通信装置101Aは、キー211の入力を自通信装置101Aの制御に使用し、また自通信装置101Aで動作しているアプリケーションを自通信装置101Aの表示器210に表示する。一方、相手方装置制御モードにおいては、通信装置101Aは、通信相手装置101Bから表示情報を受信すると、その受信した表示情報を表示器210に表示する。また、通信装置101Aのキー211を用いてキー入力が行われると、そのキー情報を通信装置101Bに送信し、通信装置101Bを制御することができる。すなわち、自装置制御モードでは自通信装置101Aを、相手方装置制御モードでは通信相手装置101Bを、それぞれ連携入力モードで動作する通信装置101上で操作することができる。
【0047】
通信装置101Aは自装置制御モードで動作中、通信装置101A自身のキー211により、相手方装置制御モードへの切替を要求する相手装置選択操作(M1001)の入力があったかを監視する(S902)。通信装置101Aは、キー211による相手装置選択操作(M1001)を検知すると(S902でYes)、制御切替要求メッセージを通信装置101Bに送信し(M1002)相手方装置制御モードに遷移する(S903)。
【0048】
相手方装置制御モードでは、通信装置101Aは、通信相手装置101Bから表示情報を受信すると(S904のYes)、その受信した表示情報を表示器210に表示する(S905、M1004)。なお、通信装置101Aは、受信した表示情報のみを表示してもよいし、自通信装置101A内で動作しているアプリケーションによる表示と受信した表示情報とを合成して表示してもよい。例えば、通信相手装置101Bの表示情報を大画面で表示し、自通信装置101Aの表示情報をピクチャーインピクチャー方式で表示してもよいし、その逆でもよい。
【0049】
また、通信装置101Aのキー211を用いてキー入力(M1005)が行われた場合(S906のYes)、通信装置101Bに対してキー情報を送信する(S907、M1006)。通信装置101Bは、通信装置101B内で動作しているアプリケーションによる表示情報がある場合には、通信装置101Aに対して表示情報(M1003)を送信する。また、通信装置101Bは、通信装置101Aよりキー情報(M1006)を受信すると、キー入力情報としてアプリケーションで処理を行う。通信装置101Bで動作しているアプリケーションが一連の制御を終了し、それ以上のキー入力が必要なくなると、ユーザインタフェースを通信装置101Aに明け渡すために、通信装置101Aに対して制御切替要求(M1007)を送信する。通信装置101Aは、通信装置101Bより制御切替要求を受信(M1007)した場合(S908のYes)、自装置制御モードに遷移する(S909)。
【0050】
以上により、近接無線通信102を用いて通信装置101Aと通信装置101Bを接触させている場合に、片方の通信装置101の表示器210とキー211を切り替えながら両方の通信装置101で使用できるという効果がある。
【0051】
<<実施形態3>>
実施形態1および実施形態2において、近接無線通信102の中断又は切断が発生した場合は以下の処理をおこなう。非選択側表示モードで動作している通信装置101、すなわち優先表示装置でない通信装置101は、優先表示装置に対して表示情報を送信するのを停止し、当該表示情報を自通信装置101に表示する。例えば、実施形態1においてはファイルリスト(M703)の送信を行わず、自通信装置101の表示器210にファイルリストを表示する。また、例えば、実施形態2においては、表示情報(M1003)の送信行わずに、自通信装置101の表示器210に表示する。
【0052】
連携表示モードで動作する通信装置101、すなわち優先表示装置である通信装置101は、自通信装置101の表示器210への受信した表示情報の表示を停止する。例えば、実施形態1においてファイルリスト(M703)の受信が完了していたとしても、自通信装置101の表示器210にファイルリストを表示しない。また、例えば、実施形態2において表示情報(M1003)の受信が完了していたとしても、それを表示器210に表示しない。
【0053】
また、非選択側入力モードで動作中の通信装置101は、自通信装置101のキー211の入力を受け付ける状態にする。近接無線通信102の中断又は切断が発生した場合に上記処理を行うことによって、表示処理やキー入力処理ができなくなってしまうというということが回避できるという効果がある。
【0054】
実施形態1および実施形態2において、通信装置101Aおよび通信装置101Bが無線LAN通信103を介して通信を開始した場合は優先表示装置や優先入力装置の動作を行わない。すなわち連携表示モード・非選択側表示モードや連携入力モード・非選択側入力モードの動作を行わず、通常動作を行う。すなわち、以下の1つ又は複数の動作を実行しない。
【0055】
(1)優先表示装置の決定と優先入力装置の決定
(2)優先表示装置と優先入力装置の情報の通知
(3)優先表示装置でない通信装置101から優先表示装置である通信装置への表示情報の送信(ファイルリスト及び表示情報の送信)
(4)優先表示装置として決定されなかった通信装置から受信した表示情報の表示(受信したファイルリスト及び表示情報の表示)
(5)優先入力装置として決定された通信装置101で入力されたキー情報に基づく情報の送信(選択されたファイル、ファイル要求、キー情報の送信)
また、優先入力装置以外の通信装置101のキー211の入力を受け付けたり、優先表示装置以外の通信装置101の表示器210を表示可能とすることにより、通常動作を行うこととしてもよい。
【0056】
これにより、以下の効果が得られる。通信装置101Aと通信装置101Bが近接無線通信102を介して接触して使用されている場合はいずれかの通信装置101のみの表示器210とキー211が有効になる。また、通信装置101Aと通信装置101Bが無線LAN通信103を介して離れて使用されている場合は双方の通信装置101の表示器210およびキー211が有効になる。したがって、使用形態に応じて使いやすいユーザインタフェースが提供されるという効果がある。
【0057】
<<実施形態4>>
実施形態1および実施形態2において、通信装置101の組み合わせ、又は実行するアプリケーションによっては連携表示モード及び非選択表示モード、又は連携入力モード及び非選択入力モードの動作を行わず、通常動作を行うようにしてもよい。例えば、以下の場合に表示器210の共有、すなわち連携表示モード、非選択表示モードを行わず、通常表示動作を行う。
【0058】
(1)分散表示機器リストに通信相手装置101が該当する場合
(2)集中表示機器リストに通信相手装置101が該当しない場合
(3)実行するアプリケーションが分散表示アプリケーションリストに該当する場合
(4)実行するアプリケーションが集中表示アプリケーションリストに該当しない場合
なお、分散表示機器リストは、複数の機器のそれぞれが情報表示を行うべき機器の組み合わせのリストであり、集中表示機器リストは、1つの機器において情報表示を行うべき機器の組み合わせのリストである。分散表示アプリケーションリストは、複数の機器が協働して実行するアプリケーションのうち、情報表示をそれぞれの機器において行うべきアプリケーションのリストである。また、集中表示アプリケーションリストは、複数の機器が協働して実行するアプリケーションのうち、情報表示を1つの機器において行うべきアプリケーションのリストである。なお、これらのリストは、予め作成しておき、通信装置101に保存しておけばよいが、通信の確立の度に外部ネットワークへ問い合わせてもよい。
【0059】
また、以下の場合にキー211の共有、すなわち連携入力モード・非選択入力モードを行わず、通常入力動作を行う。
【0060】
(1)分散入力機器リストに通信相手装置101が該当する場合
(2)集中入力機器リストに通信相手装置101が該当しない場合
(3)実行するアプリケーションが分散入力アプリケーションリストに該当する場合
(4)実行するアプリケーションが集入力アプリケーションリストに該当しない場合
分散入力機器リストは、複数の機器のそれぞれがユーザの操作の受け付けを行うべき機器の組み合わせのリストであり、集中入力機器リストは、1つの機器においてユーザの操作の受け付けを行うべき機器の組み合わせのリストである。分散入力アプリケーションリストは、複数の機器が協働して実行するアプリケーションのうち、ユーザの操作の受け付けをそれぞれの機器において行うべきアプリケーションのリストである。また、集中入力アプリケーションリストは、複数の機器が協働して実行するアプリケーションのうち、ユーザの操作の受け付けを1つの機器において行うべきアプリケーションのリストである。
【0061】
なお、機器の組み合わせで判定する場合は、通信装置101の間で判定のための機器情報の交換を行う。例えば、分散表示機器リストの例として『大型プリンタ、大型ディスプレイ』などがあげられ、集中表示機器リストの例として『携帯電話機、スマートフォン』などがあげられる。また、例えば、分散入力機器リストの例として『大型プリンタ』などがあげられ、集中入力機器リストの例としえ『コードレスキーボード、テンキーパッド』などがあげられる。
【0062】
表示器210の共有、すなわち連携表示モード・非選択表示モードを行わず、通常表示動作を行う場合は、以下の1つ又は複数の動作を実行しない。
【0063】
(1)優先表示装置の決定
(2)優先表示装置の情報の通知
(3)優先表示装置でない通信装置101から優先表示装置である通信装置への表示情報の送信(ファイルリスト、表示情報の送信)
(4)優先表示装置でない通信装置から受信した表示情報の表示(受信したファイルリスト、表示情報の表示)
また、優先表示装置でない通信装置101の表示器210を表示可能とすることにより、通常表示動作としてもよい。
【0064】
一方、キー211の共有、すなわち連携入力モード・非選択入力モードを行わず、通常表示動作を行う場合は、以下の1つ又は複数の動作を行わないことによって実現する。
【0065】
(1)優先入力装置の決定
(2)優先入力装置の情報の通知
(3)優先入力装置である通信装置101で入力されたキー情報に基づく情報の送信(選択されたファイル、ファイル要求、キー情報の送信)
また、優先入力装置でない通信装置101のキー211の入力を受け付けることにより、通常入力動作としてもよい。
【0066】
上記実施形態を実施することによって実施形態1実施形態2の効果に加えて、機器の組み合わせおよびアプリケーションに応じて、表示器210およびキー211の最適な制御をすることができる。
【0067】
実施形態1および実施形態2では1対1通信の例を示したが、1以上の通信装置101が同時に近接無線通信102により接続している場合であれば、上述の実施形態に係る技術を適用することができる。この場合は複数の通信装置101の中から優先表示装置や優先入力装置を決定する。優先表示装置決定部208および優先入力装置決定部209はネットワーク上の1つの通信装置101で有していればよく、また優先表示装置決定部208および優先入力装置決定部209のみの機能を有している通信装置101がネットワーク上にあってもよい。
【0068】
<<その他の実施形態>>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
前記通信装置のユーザインタフェース情報を記憶する記憶手段と、
通信相手装置のユーザインタフェース情報を取得する取得手段と、
前記通信装置のユーザインタフェース情報と前記通信相手装置のユーザインタフェース情報とに基づいて、前記通信装置と前記通信相手装置とが連携して実現する処理のためのユーザインタフェースを、前記通信装置と前記通信相手装置のいずれが提供するかを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果を、前記通信相手装置に通知する通知手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記決定手段は、ユーザ操作の受け付けを、前記通信装置と前記通信相手装置のいずれが提供するかを決定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記通信装置の情報および前記通信相手装置の情報の表示を、前記通信装置と前記通信相手装置のいずれが提供するかを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記決定手段により、前記通信相手装置が前記処理のためのユーザインタフェースを提供すると決定された場合、前記通信装置におけるユーザ操作の受け付けを中止することをユーザに報知する報知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記決定手段により、前記通信装置が前記処理のためのユーザインタフェースを提供すると決定された場合、前記通知手段は、前記通信相手装置におけるユーザ操作の受け付けの中止を通知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
自らが用いるユーザインタフェース情報を記憶する記憶手段を有する通信装置の制御方法であって、
通信相手装置のユーザインタフェース情報を取得する取得工程と、
前記通信装置のユーザインタフェース情報と前記通信相手装置のユーザインタフェース情報とに基づいて、前記通信装置と前記通信相手装置とが通信することで実現する処理のためのユーザインタフェースを、前記通信装置と前記通信相手装置のいずれが提供するかを決定する決定工程と、
前記決定工程における決定結果を、前記通信相手装置に通知する通知工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置として動作させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−5120(P2013−5120A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132706(P2011−132706)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】