説明

通信装置、通信装置の通信方法及び通信装置の通信制御プログラム

【課題】送信側の通信用端末装置のデータ転送の制御を迅速に行うことのできる通信用端末装置、通信方法及び通信用端末装置の通信制御プログラムを提供すること。
【解決手段】端末3Bは、端末3Aと端末3Bの同じ時間のジッタの相関係数を算出する(S21)。相関係数の絶対値が所定の閾値以上の場合には(S22:YES)、端末3Aのジッタの計測データと端末3Bのジッタの計測データの間に相関がある。よって、ネットワークの上り方向と下り方向とで、同時に輻輳が起こる。従って、端末3Bは、端末3BのQoS情報に基づいて、セッション制御部で、同一コーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び第1のコーデックから第2のコーデックへの種別変換の何れかを行い(S23)、ネットワークの輻輳に対応して、通信が効率良くできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の通信方法及び通信装置の通信制御プログラムに関する。詳細には、本発明は、パケットデータの送受信を行う通信装置、通信装置の通信方法及び通信装置の通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端末をネットワークを介して接続し、画像と音声を双方向に送受信することにより、遠隔の地にある者同士の会議を実現するテレビ会議システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、RTP(Real−time Transport Protocol)通信用端末において、RTPでデータを送受信するためのセッションを制御するRTCP(Real−time Transport Control Protocol)を利用したフィードバック情報を受信端末から送信端末にネットワークを介して返送してフィードバックする技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2007−67972号公報
【特許文献2】特開平2007−36960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載のようなRTP通信用端末では、受信端末で検出したネットワークの品質の情報を利用して、同一コーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、第1のコーデックから第2のコーデックへの種別変換等を行うセッション制御をできるだけ迅速に行いたいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、互いにネットワークを介して接続された通信装置間において、送信側の通信装置のデータ転送の制御を行う際に受信側の通信装置からのフィードバック情報を迅速にセッション制御に利用できる通信装置、通信装置の通信方法及び通信装置の通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つのコーデックを含み、データを符号化するメディア処理手段と、パケットデータを送受信するパケット処理手段と、他の通信装置に送信されたパケットデータのジッタと、前記他の通信装置から送信されたパケットデータのジッタの間の相関値を求める相関値算出手段と、当該相関値算出手段によって算出された前記ジッタの相関値が所定値以上の場合に、前記他の通信装置から送信された前記パケットデータのQoS情報に基づいて、使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから別の種類のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うセッション制御手段とを備えた通信装置が提供される。
【0007】
前記通信装置によれば、ネットワークの輻輳に対応して、通信が効率良くできるようにリアルタイムでセッション制御ができる。また、前記通信装置は、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側の端末のQoS情報を受信する必要がないので、セッション制御時に、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側のQoS情報を受信する装置に比べて、セッション制御の時間を短縮することができる。
【0008】
前記パケット処理手段は、RTPパケットを送受信するRTP処理手段と、RTCPパケットを送受信するRTCP処理手段とを備えていてもよい。そして、前記通信装置は、前記RTP処理手段及び前記RTCP処理手段を用いて、遅延、パケット損失率及びジッタのうち1つを計測するQoS情報計測手段を更に有してもよい。
【0009】
RTPおよびRTCPは、一般的な通信機器で使用されるプロトコルである。したがって、この場合、通信装置は特別な装置でなく、一般的な通信機器であっても、QoS情報を取得することができる。
【0010】
前記通信装置は、前記相関値算出手段によって算出された前記ジッタの相関値が所定値未満の場合に、前記他の通信装置から送信された、前記他の通信装置で受信された前記パケットデータのQoS情報を取得するQoS情報取得手段を備えていてもよい。この場合、前記セッション制御手段は、前記ジッタの相関値が所定値未満の場合に、前記QoS情報取得手段によって取得された前記他の通信装置のQoS情報に基づいて、前記使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから前記別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行えばよい。
【0011】
この場合、まちがいなくQoS情報を取得してフィードバック制御を行うことができるので、少なくともネットワークが輻輳状態になることを避けることができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つのコーデックを用いて、データを符号化するメディア処理ステップと、パケットデータを送受信するパケット処理ステップと、他の通信装置に送信されたパケットデータのジッタと、前記他の通信装置から送信されたパケットデータのジッタの間の相関値を求める相関値算出ステップと、当該相関値算出ステップで算出された前記ジッタの相関値が所定値以上の場合に、前記他の通信装置から前記パケットデータを受信したときのQoS情報に基づいて、使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うセッション制御ステップとを備えた通信装置の通信方法が提供される。
【0013】
前記通信方法によれば、ネットワークの輻輳に対応して、通信が効率良くできるようにリアルタイムでセッション制御ができる。また、前記通信方法によれば、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側の端末のQoS情報を受信する必要がないので、セッション制御時に、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側のQoS情報を受信する方法に比べて、セッション制御の時間を短縮することができる。
【0014】
前記パケット処理ステップは、RTPパケットを送受信するRTP処理ステップと、RTCPパケットを送受信するRTCPパケット処理ステップとを含んでもよい。そして、前記通信方法は、前記RTP処理ステップ及び前記RTCP処理ステップを用いて、遅延、パケット損失率及びジッタのうち少なくとも1つを計測するQoS情報計測ステップを更に有していてもよい。
【0015】
RTPおよびRTCPは、一般的な通信方法で使用されるプロトコルである。したがって、この場合、特別な通信装置を用いることなく、QoS情報を取得することができる。
【0016】
前記通信方法は、前記相関値算出ステップで算出された前記相関値が所定値未満の場合に、前記他の通信装置から送信された、前記他の通信装置で受信された前記パケットデータのQoS情報を取得するQoS情報取得ステップを備えていてもよい。この場合、前記セッション制御ステップは、前記ジッタの相関値が所定値未満の場合に、前記QoS情報取得ステップで取得された前記他の通信装置のQoS情報に基づいて、前記使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから前記別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行えばよい。
【0017】
この場合、まちがいなくQoS情報を取得してフィードバック制御を行うことができるので、少なくともネットワークが輻輳状態になることを避けることができる。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、通信装置のCPUが実行する通信制御プログラムが提供される。前記通信制御プログラムは、前記通信装置のコンピュータで実行されると、少なくとも1つのコーデックを用いて、データを符号化するメディア処理ステップと、パケットデータを送受信するパケット処理ステップと、他の通信装置に送信されたパケットデータのジッタと、前記他の通信装置から送信されたパケットデータのジッタの間の相関値を求める相関値算出ステップと、当該相関値算出ステップで算出された前記ジッタの相関値が所定値以上の場合に、前記他の通信装置から前記パケットデータを受信したときのQoS情報に基づいて、使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うセッション制御ステップとを含む方法を実行する指示を含む。
【0019】
前記通信制御プログラムによれば、ネットワークの輻輳に対応して、通信が効率良くできるようにリアルタイムでセッション制御ができる。また、前記通信制御プログラムによれば、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側の端末のQoS情報を受信する必要がないので、セッション制御時に、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側のQoS情報を受信するプログラムに比べて、セッション制御の時間を短縮することができる。
【0020】
前記パケット処理ステップは、RTPパケットを送受信するRTP処理ステップと、RTCPパケットを送受信するRTCPパケット処理ステップとを含んでもよい。そして、前記方法は、前記RTP処理ステップ及び前記RTCP処理ステップを用いて、遅延、パケット損失率及びジッタのうち少なくとも1つを計測するQoS情報計測ステップを更に有していてもよい。
【0021】
RTPおよびRTCPは、一般的な通信方法で使用されるプロトコルである。したがって、この場合、特別な通信装置を用いることなく、QoS情報を取得することができる。
【0022】
前記通信制御プログラムは、前記相関値算出ステップで算出された前記相関値が所定値未満の場合に、前記他の通信装置から送信された、前記他の通信装置で受信された前記パケットデータのQoS情報を取得するQoS情報取得ステップを備えていてもよい。この場合、前記セッション制御ステップは、前記ジッタの相関値が所定値未満の場合に、前記QoS情報取得ステップで取得された前記他の通信装置のQoS情報に基づいて、前記使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから前記別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行えばよい。
【0023】
この場合、まちがいなくQoS情報を取得してフィードバック制御を行うことができるので、少なくともネットワークが輻輳状態になることを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】テレビ会議システム1の構成を示すブロックである。
【図2】端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】端末3Bの制御のフローチャートである。
【図4】端末3Bの制御のフローチャートである。
【図5】端末3Aの制御のフローチャートである。
【図6】端末3Aと端末3Bとのジッタの相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態であるテレビ会議システム1について、図面を参照して説明する。はじめに、テレビ会議システム1の構成について、図1を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、テレビ会議システム1は、各地点毎に設けられた複数の端末3と、これら複数の端末3間で開催される会議を統括する会議サーバ4とを備え、これらがネットワーク2を介して相互に接続されている。説明のため、A地点に設置された端末を端末3Aとし、B地点に設置された端末を端末3Bとする。テレビ会議システム1では、端末3間において、ネットワーク2を介して、画像、音声が互いに送受信されることで、遠隔会議が実施される。
【0027】
端末3,端末3A,端末3Bは、ネットワーク2の一例として、IPネットワーク及びアクセスネットワークを介して通信を行う。端末3,端末3A,端末3Bは、RTP通信が可能なものであって、それぞれ、1つ以上のコーデックを有する。音声の場合には、高圧縮コーデックと高音質(低遅延)コーデックとの間の切り替え、映像の場合には、高圧縮コーデックと高画質(低遅延)コーデックとの間の切り替えのために、セッション制御が行われる。又は、複数の異なるメディアのコーデック間での切り替えのために、セッション制御が行われる。
【0028】
図2を参照して、端末3の構成について説明する。端末3A及び端末3Bも端末3と同じ構造となっている。図2に示すように、端末3は、符号化/復号化部10と、制御出力部20と、QoS計測部30と、ネットワーク部40と、セッション制御部50と、パケット変換部60と、ネゴシエーション部51と、呼制御部52と、GUI部13とを含む。
【0029】
次に、各構成の詳細について説明する。ネットワーク部40には、RTP・RTCP部41と、TCP/UDP部42と、IPインターフェース部43とが設けられている。RTP・RTCP部41は、相手方の端末3との間で、RTPパケット及びRTCPパケットを送受信する。TCP/UDP部42は、TCP(Transmission Control Protocol)とUDP(User Datagram Protorol)に基づいてパケットを処理する。IPインターフェース部43は、IP層及び物理層に基づいてパケットを処理する。IPインターフェース部43は、ネットワーク2を介して相手方の端末3との間で、IPパケットを送受信する。
【0030】
符号化/復号化部10には、音声コーデック11と映像コーデック12とが設けられている。音声コーデック11は、マイク17からの音声の入力データを符号化する。また、音声コーデック11は、符号化された音声データを復号化して、図示外の音声増幅回路を経てスピーカから音声を出力することができる。映像コーデック12は、カメラ16からの映像の入力データを符号化する。また、映像コーデック12は、符号化された映像データを復号化して、GUI部13を介して、モニタ14に映像を表示することができる。
【0031】
音声コーデック11及び映像コーデック12は、複数種類のコーデックを備えており、一例として、第1のコーデック及び第2のコーデックを備えている。音声コーデック11では、第1のコーデックとして高音質(低遅延)コーデックを用い、第2のコーデックとして、高音質コーデックよりも音声データのサイズが小さくなる高圧縮コーデックを用いる。また、映像コーデック12は、第1のコーデックとして高画質(低遅延)コーデックを用い、第2のコーデックとして、高画質コーデックよりも映像データのサイズが小さくなる高圧縮コーデックを用いる。
【0032】
第1のコーデック及び第2のコーデックとしては、周知の各種のコーデックの中から適宜選択して使用すれば良い。一例として、音声コーデック11では、第1のコーデック(高音質コーデック)としてG.711を用い、第2のコーデック(高圧縮コーデック)として、G.723.1を用いれば良い。また、映像コーデック12は、第1のコーデック(高画質コーデック)としてH.261を用い、第2のコーデック(高圧縮コーデック)として、H.264を用いれば良い。
【0033】
制御出力部20には、帯域制御部21と、パケットサイズ制御部22と、符号化方法制御部23と、誤り訂正制御部24が設けられている。帯域制御部21は、TCPを使用した場合に輻輳を起こさないように帯域を制御する。また、パケットサイズ制御部22は、パケット変換部60を制御してパケットのサイズを制御する。符号化方法制御部23は、符号化/復号化部10を制御する。誤り訂正制御部24は、符号化/復号化部10による複合化の際に生じる符号の誤り訂正の制御を行う。
【0034】
ネゴシエーション部51は、全二重通信と半二重通信との切替を行う。また、呼制御部52は、相手側の端末の呼び出しを制御する。
【0035】
QoS(Quality of Service)計測部30は、ジッタ計測部31と、エラー発生率計測部32と、帯域計測部33と、パケットロス計測部34と、遅延時間計測部35とを備えている。QoS計測部30は、RTP/RTCPベースのQoS情報を計測し、QoS情報に基づくR値を算出する。ここで、QoS情報は、例えば、以下のようなものである。
(1)遅延:直近のRTCPパケットの送受信から得られるRTT(Round-trip time)の1/2の値(相加平均遅延、最大遅延)
(2)通話開始からの累積パケット損失数(CNOPL:Cumulative Number Of Packets Lost)(パケット損失率)
(3)ジッタ:パケット到着間隔の揺らぎ(相加平均ジッタ、最大ジッタ)
【0036】
計測されたQoS情報に基づいて、ITU−T勧告G.107で規定されたR値を算出する。具体的なR値の算出手順を以下に示す。
R=Ro−Is−Id−Ie,eff+A
【0037】
Ro、Is、Aの各値は、測定を行う端末に応じて予め測定し設定された既知の値である。Idは、T、Tr、Taの各値および端末に応じて予め測定し設定された既知の値を使用し、ITU−T勧告G.107記載の手順で求められる。
【0038】
Ie,effは、適用する音声コーデック種別により予め設定された値と、Ppl、Ieの各値を使用し、ITU−T勧告G.107記載の手順で求められる。以下に、T、Tr、Ta、Ppl、Ieの各値の算出手順を示す。
【0039】
RTCP送受信履歴から得られる往復遅延時間(RTT)及びジッタバッファの再生開始情報(JitterNrm)を用いて、以下の値を得る。
Tr=RTT
T=Tr/2
Ta=Tr/2+JitterNrm
【0040】
次に、パケット受信履歴から得られるネットワーク内パケットロス数(NPL)、ジッタバッファ履歴から得られるバッファ内パケットロス数(JBPL)、総パケット数(Npackets)を用いて、以下の値を得る。
Ppl=((NPL+JBPL)/Npackets)×100.0
【0041】
最後に、コーデック種別及び前述のPplを用いて、ITU−T G.113 TableI2-I3値に基づいてIe値を得る。
【0042】
セッション制御部50は、端末3の主制御を司っており、CPU53と、RAM54と、ROM55とを備え、符号化/復号化部10、制御出力部20、QoS計測部30、ネットワーク部40、ネゴシエーション部51、及び呼制御部52を制御する。このセッション制御部50は、QoS情報に基づくR値を所定閾値と比較して、その比較結果に応じてセッション制御をする。セッション制御の一例としては、以下の変換のいずれかを行う。
(1)同一コーデックにおける符号化速度変換
(2)送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換
(3)パケット転送優先度変換
(4)第1のコーデックから第2のコーデックへの種別変換
【0043】
パケット変換部60は、符号化/復号化部10で符号化されたデータを所定の単位のパケットに変換する。
【0044】
次に、図1に示す端末3Aと端末3Bとの間で、音声データや映像データのパケットを送受信してテレビ会議を行った場合のセッション制御の例を、図3乃至図5のフローチャートと、表1及び図6に示すグラフを参照して説明する。
【0045】
図3、図4及び図5に示すフローチャートを参照して、端末3Aと端末3Bと間の通信の制御に関して説明する。端末3Aと端末3Bは、通信の開始時にネットワーク2を介して接続する(図3:S11、図5:S31)。端末3Aと端末3Bは、RTPの仕様として、サンプリングクロックの同期を行う(図3:S12、図5:S32)。
【0046】
端末3Aと端末3Bは、QoS情報の測定の計測を行い、計測結果を互いに相手側の端末に送信する(図3:S112、図5:S132)。具体的には、端末3Aと端末3Bとの間で、制御パケットであるRTCP(Real Time Control Protocol)パケットを送受信することにより、各種伝送状態パラメータを端末3A及び端末3Bで各々計測する(図3:S112、図5:S132)。
【0047】
QoS計測部30は、上述のように、RTP/RTCPベースのQoS情報を計測し、QoS情報に基づくR値を算出する。RTPおよびRTCPは、一般的な通信機器で使用されるプロトコルである。したがって、この場合、端末3Aおよび端末3Bは特別な装置でなく、一般的な通信機器であっても、QoS情報を取得することができる。尚、端末3Aで計測されたQoS情報は、端末3Aのセッション制御部50のRAM54に記憶され、端末3Bで計測されたQoS情報は、端末3Bのセッション制御部50のRAM54に記憶される。この時に、互いに相手側の端末にもQoS情報は各々送信される。端末3Aでは、端末3Bから受信されたQoS情報が、端末3Aのセッション制御部50のRAM54に記憶される。端末3Bでは、端末3Aから受信されたQoS情報が、端末3Bのセッション制御部50のRAM54に記憶される。
【0048】
次いで、端末3Aは、端末3Bに対して、テスト用のRTPパケットを一定間隔で所定時間送出する(図5:S33)。端末3Bも、端末3Aに対してテスト用のRTPパケットを一定間隔毎に、所定時間送出する(図3:S13)。一例として、1チックタイム(TICK TIME)を一定間隔とし、15チックタイムを所定時間とすればよい。1チックタイムとは、1つのRTPパケットを送出するタイムスタンプの最小分解能を1とする時間をいう。RTPパケットでは、1チックタイム毎に1つのパケットが送出される。
【0049】
端末3Aでは、端末3Bからのテスト用のパケットを受信し、端末3Bからのテスト用のパケットを受信完了すると(図5:S34:YES)、端末3Bから受信した受信パケットの間隔のゆらぎ(ジッタ)を計測する(S35)。
【0050】
端末3Aにおけるジッタの計測方法は、例えば、以下の通りである。端末3Bは時刻TB1に端末3AにRTPパケットを送信する(図3:S13)。送信されるRTPパケットのRTPヘッダのタイムスタンプフィールドには、送信時刻TB1が含まれる。端末3Aは時刻TA1に当該パケットを受信する。端末3Bは、時刻TB1から一定間隔(一例として、1チックタイム)後の時刻TB2に、端末3AにRTPパケットを送信する(S13)。送信されるRTPパケットのRTPヘッダのタイムスタンプフィールドには、送信時刻TB2が含まれる。端末3Aは時刻TA2に当該パケットを受信する。端末3AのCPU53は、一定時間パケットを受信しなかったらテスト用のパケット受信完了と判断する(S34:YES)。CPU53は、連続した2つの受信パケットのジッタを計測する(S35)。
【0051】
最初のパケットの通信遅延時間(D1)は、通信遅延時間(D1)=TA1−TB1の式により求められる。次のパケットの通信遅延時間(D2)は、通信遅延時間(D2)=TA2−TB2の式により求められる。ジッタ(J1)は、ジッタ(J1)=D2−D1の式により求められる。求められたジッタ(J1)は、時刻TB2のタイムスタンプを付けて、端末3AのRAM54に格納される(S36)。
【0052】
端末3Aでは、ジッタの計測データが一定量溜まらない間は(S37:NO)、CPU53はステップS33の処理に戻り、ステップS33〜S36の処理を繰り返す。端末3AのRAM54に格納されたデータの一覧を表1に示す。
【表1】

【0053】
端末3Bでも、端末3A端末と同様の処理が行われる。具体的には、端末3Bは、端末3Aから送信されたテスト用のRTPパケットの受信を行い、受信が完了すると(図3:S14:YES)、前記と同様の計算で端末3Aから受信したパケットの間隔のゆらぎ(ジッタ)を計測する(S15)。求められたジッタ(J1)は、受信されたパケット毎に、タイムスタンプを付けて、端末3BのRAM54に格納される(S16)。端末3Bでは、ジッタの計測データが一定量溜まらない間は(S17:NO)、CPU53はステップS13の処理に戻り、ステップS14〜S16の処理を繰り返す。端末3BのRAM54に格納されたデータの一覧を表2に示す。
【表2】

【0054】
端末3Aでは、ジッタの計測データが一定量溜まると(S37:YES)、CPU53は、表1に示すジッタの計測データを端末3Bへ送信する(S38)。その後、CPU53は、テレビ会議の通常の処理(ネゴシエーション部51によるメディアの種類の指示等のネゴシエーション処理)を行う(S39)。次いで、CPU53は、端末3Bに対するデータ転送の制御を行い、音声および映像のパケットを送出する(S40)。CPU53は、システムが終了するまで(S41:NO)、ステップS40〜S41の処理を繰り返し、システムが終了する場合には(S41:YES)、上記処理を終了する。
【0055】
端末3Bでは、ジッタの計測データが一定量溜まった後に(図3:S17:YES)、CPU53は、端末3Aから送信されたジッタの計測データを受信するまで待機する(S18:NO)。端末3Aからのジッタの計測データの受信が完了すると(図3:S18:YES)、CPU53は、受信された端末3Aのジッタの計測データと、端末3Bのジッタの計測データの同じ時刻のデータを取り出す(図4:S19)。CPU53は、同じ時刻のデータが無い部分は線形補完してデータを作成する(図4:S20)。線形補完して作成した端末3Aのジッタと端末3Bのジッタの比較テーブルを表3に示す。また、グラフを図6に示す。表3では、チックタイム「0」は、タイムスタンプ「100」を基準として、タイムスタンプから「100」を引いたものである。従って、タイムスタンプ「101」は「1」、タイムスタンプ「110」は「10」、タイムスタンプ「115」は「15」となっている。
【表3】

【0056】
CPU53は、同じ時間のデータの相関係数を算出する(図4:S21)。相関係数は、例えば、ピアソンの積率相関係数(Pearson product-moment correlation coefficient)を用いることができる。ピアソンの積率相関係数は、2組の数値からなるデータ列(x,y)=(xi,yi)(i=1,2,3,・・・n)が与えられた時に、以下の式(1)により求められる。ここで、相関係数は「−1」〜「1」の値を取り、「1」だと相関が一致していることになる。この例では、相関係数は「0.8」となった。

・・・(1)
【0057】
相関係数の絶対値が所定の閾値(例えば、0.7)以上の場合には(S22:YES)、端末3Aのジッタの計測データと端末3Bのジッタの計測データの間に相関がある。よって、ネットワーク2でパケットが送信される際、上り方向(端末3Bから端末3Aへの送信方向)と、下り方向(端末3Aから端末3Bへの送信方向)とで、同時に輻輳が起こると考えられる。言い換えると、ネットワーク2のパケットの上りと下りの経路が同じであると考えられる。従って、図3のステップS112で計測され、RAM54に記憶された端末3BのQoS情報に基づいて、セッション制御部50(図2参照)で、(1)同一コーデックにおける符号化速度変換、(2)送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、(3)パケット転送優先度変換、(4)第1のコーデックから第2のコーデックへの種別変換の何れかを行い、ネットワーク2の輻輳の可能性に対応して、通信が効率良くできるようにする(S23)。
【0058】
ステップS23の処理では、例えば、QoS情報に基づくR値と閾値(例えば、80)とが比較され、その結果に基づいてセッション制御が行われる。QoS情報のR値が80未満の場合には、同一コーデックにおける符号化速度変換を行い通信が効率良くできるようにしてもよい。また、QoS情報のR値が80以上の場合には、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換を行い通信が効率良くできるようにしてもよい。また、QoS情報のR値が80以上の場合には、コーデックの種別を、例えば、第1のコーデックから第2のコーデックに変換して通信が効率良くできるようにしてもよい。また、パケット転送優先度変換を行って、通信が効率良くできるようにしても良い。例えば、QoS情報のR値が80未満の場合には、音声パケットが優先されるが、80以上であれば、音声パケットと映像パケットとが同じ優先度で時系列に送信される。
【0059】
相関係数の絶対値が所定の閾値未満の場合には(S22:NO)、CPU53は、図3のステップS112で端末3Aから送信され、端末3BのRAM54に記憶された端末3AのQoS情報を取得する(S27)。端末3AのQoS情報に基づいて、セッション制御部50(図2参照)で、上記同様にセッション制御を行う(S28)。この場合、端末3Bはまちがいなく端末3AのQoS情報を取得してフィードバック制御を行うことができるので、少なくともネットワークが輻輳状態になることを避けることができる。その後、CPU53は、テレビ会議の通常の処理(ネゴシエーション部51によるメディアの種類の指示等のネゴシエーション処理)を行う(S24)。CPU53は、端末3Aに対するデータ転送の制御を行い、音声および映像のパケットを送出する(S25)。CPU53は、システムが終了するまで(S26:NO)、ステップS25及びS26の処理を繰り返し、システムが終了する場合には(S26:YES)、上記処理を終了する。
【0060】
以上の説明において、図1に示す端末3、端末3A及び3Bが本発明の「通信装置」に相当する。図2に示す符号化/復号化部10が本発明の「メディア処理手段」に相当し、図2に示すネットワーク部40が本発明の「パケット処理手段」に相当する。また、図4のステップS21の処理を実行するCPU53が、本発明の「相関値算出手段」に相当する。図2に示すセッション制御部50が本発明の「セッション制御手段」に相当する。図2に示すRTP・RTCP部41が本発明の「RTP処理手段」及び「RTCP処理手段」に相当する。図2に示すQoS計測部30が本発明の「QoS情報計測手段」に相当する。図4のステップS27の処理を実行するCPU53が、本発明の「QoS情報取得手段」に相当する。
【0061】
符号化/復号化部10が実行する処理工程が、本発明の「メディア処理工程」に相当する。図2に示すパケット変換部60が行う処理工程が発明の「パケット処理工程」に相当する。また、CPU53が行う図4及び図7のステップS21の処理工程が、本発明の「相関値算出工程」に相当する。図2に示すセッション制御部50が行う図4及び図7のステップS23又はS28の処理工程が本発明の「セッション制御工程」に相当する。図2に示すRTP・RTCP部41が行う処理工程が本発明の「RTP処理工程」及び「RTCP処理工程」に相当する。図2に示すQoS計測部30が行う図3のステップS112の処理工程が本発明の「QoS情報計測工程」に相当する。CPU53が行う図4及び図7のステップS27の処理工程が、本発明の「QoS情報読込工程」に相当する。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態では、端末3Aのジッタの計測データと端末3Bのジッタの計測データの相関係数の絶対値が所定の閾値(一例として、0.7)以上の場合には、端末3Aのジッタの計測データと端末3Bのジッタの計測データの間に相関がある。よって、ネットワーク2でパケットが送信される際、上り方向(端末3Bから端末3Aへの送信方向)と、下り方向(端末3Aから端末3Bへの送信方向)とで、同時に輻輳が起こると考えられる。言い換えると、ネットワーク2のパケットの上りと下りの経路が一致していると考えられる。したがって、端末3Bでは、端末3BのQoS情報に基づいてセッション制御部50(図2参照)で、(1)同一コーデックにおける符号化速度変換、(2)送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、(3)パケット転送優先度変換、(4)第1のコーデックから第2のコーデックへの種別変換の何れかを行い、ネットワーク2輻輳の可能性に対応して、通信が効率良くできるようにリアルタイムで制御ができる。
【0063】
本実施の形態では、セッション制御時に、端末3Bが端末3AにQoS情報を送信するように要求して、端末3AのQoS情報を受信する必要がない。したがって、セッション制御時に、相手側の端末にQoS情報を送信するように要求して、相手側のQoS情報を受信するものに比べて、セッション制御時間を短縮することができる。
【0064】
本発明は、上記の実施の形態に限られず各種の変形が可能である。例えば、前述の実施形態では、端末3Bで計測されたQoS情報を用いてITU−T勧告G.107に基づいて算出されたR値が閾値と比較され、比較結果に基づいてセッション制御(図4のS23)が行われている。しかしながら、必ずしもR値を算出してセッション制御に使用する必要はなく、端末3Bで計測されたQoS情報をそのまま使用してもよい。
【0065】
例えば、QoS情報として計測された遅延が所定の閾値以上の場合、原理遅延がより低いコーデックを使用するセッション制御を行ってもよい。具体的には、第1の音声コーデックとしてG.711を用い、第2の音声コーデックとして、G.723.1を用いている場合、第1音声のコーデックの方が、第2の音声コーデックよりも原理遅延が低い。よって、遅延が閾値以上の場合には第1の音声コーデックを使用し、遅延が閾値未満の場合には第2の音声コーデックを使用すればよい。
【0066】
また、QoS情報として計測されたジッタを使用してもよい。ジッタが大きくなった場合、ネットワーク2において利用可能な帯域が狭くなる。よって、ジッタが所定の閾値以上の場合には圧縮率がより高いコーデックを使用し、ジッタが所定の閾値未満の場合には高音質のコーデックを使用するセッション制御を行ってもよい。前述の第1、第2の音声コーデックの例では、第2の音声コーデック(G.723.1)の圧縮率の方が高く、第1の音声コーデック(G.711)の方が高音質である。よって、ジッタが閾値以上の場合には第2の音声コーデックを使用し、遅延が閾値以下の場合には第1の音声コーデックを使用すればよい。
【0067】
さらに、QoS情報として計測されたパケット損失率を使用してもよい。パケット損失率が所定の閾値以上の場合、ロストパケットを優先して再送し、パケット損失率が閾値未満の場合、特定のパケットに優先度はつけず、すべてのパケットを時系列で順に送信してもよい。この場合、パケット損失率が大きい場合にはロストパケットを早く再送できるので、音声再生や映像表示のリアルタイム性が向上する。相手側の端末のバッファ内のデータがすべて再生される前にロストパケットが到達する可能性があるため、パケットロス耐性が向上する。
【符号の説明】
【0068】
1 テレビ会議システム
2 ネットワーク
3 端末
3A 端末
3B 端末
4 会議サーバ
10 復号化部
11 音声コーデック
12 映像コーディック
20 制御出力部
21 帯域制御部
22 パケットサイズ制御部
23 符号化方法制御部
30 QoS計測部
31 ジッタ計測部
32 エラー発生率計測部
33 帯域計測部
34 パケットロス計測部
35 遅延時間計測部
40 ネットワーク部
41 RTP・RTCP部
42 TCP/UDP部
43 IPインターフェース部
50 セッション制御部
60 パケット変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコーデックを含み、データを符号化するメディア処理手段と、
パケットデータを送受信するパケット処理手段と、
他の通信装置に送信されたパケットデータのジッタと、前記他の通信装置から送信されたパケットデータのジッタの間の相関値を求める相関値算出手段と、
当該相関値算出手段によって算出された前記ジッタの相関値が所定値以上の場合に、前記他の通信装置から送信された前記パケットデータのQoS情報に基づいて、使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから別の種類のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うセッション制御手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記パケット処理手段は、RTPパケットを送受信するRTP処理手段と、RTCPパケットを送受信するRTCP処理手段とを備え、
前記通信装置は、前記RTP処理手段及び前記RTCP処理手段を用いて、遅延、パケット損失率、及びジッタのうち少なくとも1つを計測するQoS情報計測手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置は、前記相関値算出手段によって算出された前記ジッタの相関値が所定値未満の場合に、前記他の通信装置から送信された、前記他の通信装置で受信された前記パケットデータのQoS情報を取得するQoS情報取得手段とを備え、
前記セッション制御手段は、前記ジッタの相関値が所定値未満の場合に、前記QoS情報取得手段によって取得された前記他の通信装置のQoS情報に基づいて、前記使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから前記別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
少なくとも1つのコーデックを用いて、データを符号化するメディア処理ステップと、
パケットデータを送受信するパケット処理ステップと、
他の通信装置に送信されたパケットデータのジッタと、前記他の通信装置から送信されたパケットデータのジッタの間の相関値を求める相関値算出ステップと、
当該相関値算出ステップで算出された前記相関値が所定値以上の場合に、前記他の通信装置から前記パケットデータを受信したときのQoS情報に基づいて、使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うセッション制御ステップと
を備えたことを特徴とする通信装置の通信方法。
【請求項5】
前記パケット処理ステップは、RTPパケットを送受信するRTP処理ステップと、RTCPパケットを送受信するRTCP処理ステップとを備え、
前記通信方法は、前記RTP処理ステップ及び前記RTCP処理ステップを用いて、遅延、パケット損失率、及びジッタのうち少なくとも1つを計測するQoS情報計測ステップを更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
前記通信方法は、前記相関値算出ステップで算出された前記相関値が所定値未満の場合に、前記他の通信装置から送信された、前記他の通信装置で受信された前記パケットデータのQoS情報を取得するQoS情報取得ステップを備え、
前記セッション制御ステップは、前記QoS情報取得ステップで取得された前記他の通信装置のQoS情報に基づいて、前記使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから前記別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うことを特徴とする請求項4または5に記載の通信方法。
【請求項7】
少なくとも1つのコーデックを用いて、データを符号化するメディア処理ステップと、
パケットデータを送受信するパケット処理ステップと、
他の通信装置に送信されたパケットデータのジッタと、前記他の通信装置から送信されたパケットデータのジッタの間の相関値を求める相関値算出ステップと、
当該相関値算出ステップで算出された前記相関値が所定値以上の場合に、前記他の通信装置から前記パケットデータを受信したときのQoS情報に基づいて、使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから別の種類のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うセッション制御ステップと
を備えたことを特徴とする通信装置のCPUが実行する通信制御プログラム。
【請求項8】
前記パケット処理ステップは、RTPパケットを送受信するRTP処理ステップと、RTCPパケットを送受信するRTCP処理ステップとを備え、
前記通信制御プログラムは、前記RTP処理ステップ及び前記RTCP処理ステップを用いて、遅延、パケット損失率、及びジッタのうち少なくとも1つを計測するQoS情報計測ステップを更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の通信装置のCPUが実行する通信制御プログラム。
【請求項9】
前記通信制御プログラムは、前記相関値算出ステップで算出された前記相関値が所定値未満の場合に、前記他の通信装置から送信された、前記他の通信装置で受信された前記パケットデータのQoS情報を取得するQoS情報取得ステップを更に備え、
前記セッション制御ステップは、前記QoS情報取得ステップで取得された前記他の通信装置のQoS情報に基づいて、前記使用中のコーデックにおける符号化速度変換、送信パケット長変換若しくはパケット送信間隔変換、パケット転送優先度変換、及び前記使用中のコーデックから前記別のコーデックへの種別変換のうちいずれか1つを行うことを特徴とする請求項7または8に記載の通信装置のCPUが実行する通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−119098(P2010−119098A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237800(P2009−237800)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】