説明

通信装置、SIPサーバ、センタ装置及び通信システム。

【課題】 ネットワークにおける意図的な断線の場合には、断線の検知を行わないようにする技術を提供すること。
【解決手段】 センタ装置160に対して予め定められたデータを送信することにより、センタ装置160において通信路の断線を検知することができるようにした通信装置110と、センタ装置160及び通信装置110との間の呼制御を行うSIPサーバ140と、を備え、通信装置110は、ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、この通信路が切断される前にセンタ装置160に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してセンタ装置に対して予め定められたデータを送信することにより、このセンタ装置において通信路の断線を検知することができるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、通信路の断線の有無を検知するため、通信を行う装置間で特定のパケットの送受信を行い、このようなパケットを受信することができない場合に、通信路が断線しているものと判断する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−230823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、特定のパケットの受信の有無により、断線の有無を判断する技術を用いる場合、通信路上に配置されているルータ等の中継装置を保守、交換等する場合のように、意図的に通信路を遮断するような場合でも、断線を検知してしまい、特に、大規模なネットワークを形成している場合には、意図的な断線なのか否かを判断するのが困難であった。
【0005】
特に、警備システムのような場合は、上記のように中継装置の交換等で、各拠点の通信装置との疎通未確認でのアラームが発生し、中継装置の交換等でのアラームなのか、通信装置故障でのアラームなのかの判別ができず、無駄な労力を発生させる原因にもなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、意図的な断線(中継装置の交換及び電源OFF、自装置(通信装置)の交換及び電源断等)の場合には、断線の検知を行わないようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、通信路の断線を検知する装置に、ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、通信路が切断される前に送信しておく。
【0008】
例えば、本発明は、ネットワークを介してセンタ装置に対して予め定められたデータを送信することにより、前記センタ装置において通信路の断線を検知することができるようにした通信装置であって、前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、前記通信路が切断される前に前記センタ装置に送信する制御部を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、監視状況下で、意図的に監視不要な状態を発生させ、監視側での無駄な監視を減らす技術を提供することができる。
【0010】
これにより、監視状況下において、中継装置の交換及び電源OFFや、自装置(通信装置)の交換及び電源断等を行う場合、通信装置からの操作で簡単に監視を無効化でき、効率のよい監視システムを構築できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の第一の実施形態である通信システム100の概略図である。
【0012】
通信システム100は、通信装置110と、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ140と、センタ装置160と、を備え、SIPサーバ140及びセンタ装置160は、LAN(Local Area Network)190に接続されており、第一のルータ181を介してWAN(Wide Area Network)191に接続することができるようにされている。また、通信装置110は、第二のルータ182を介して、WAN191に接続することができるようにされている。
【0013】
ここで、SIPサーバ140は、センタ装置160と通信装置110間の呼制御を行い、これらの間で相互に情報を送受信することができるようにしている。なお、SIPサーバは、WAN191上に配置されてもよい。
【0014】
また、通信装置110は、ボタン130と、電話機131と、カメラ132と、センサ133と、を備える。
【0015】
図2は、通信装置110の概略図である。
【0016】
通信装置110は、制御部111と、記憶部121と、第一のIF部122と、第二のIF部123と、第三のIF部124と、第四のIF部125と、第五のIF部126と、を備える。
【0017】
制御部111は、全体制御部112と、通信制御部113と、SIP処理部114と、保守制御部115と、ボタン制御部116と、画像制御部117と、音声制御部118と、センサ制御部119と、を備える。
【0018】
全体制御部112は、通信装置110での処理の全体を制御する。
【0019】
通信制御部113は、第一のIF部122を介した情報の送受信を制御する。特に、本実施形態においては、第二のIF部123〜第五のIF部126を介して入力される情報を、予め定められた形式のデータにして第一のIF部122を介して、センタ装置160に送信する処理を行う。
【0020】
SIP処理部114は、SIPに従ったメッセージの生成及び解析を行う。特に、本実施形態においては、後述するボタン制御部116より、ボタンの押圧を検知したことの通知を受け取ると、事前通知であることを識別する識別情報を有するINVITEメッセージを生成し、通信制御部113に出力する。
【0021】
保守制御部115は、通信装置110における保守制御に関する設定処理を行う。例えば、本実施形態においては、センタ装置160が識別可能な事前通知の識別情報の設定と、事前通知の送信間隔や事前通知のリトライ回数等の設定と、を行う。なお、これらの設定は、第一のIF部122を介してWAN191側から入力を受け付けてもよく、また、第二のIF部123を介してボタン130から入力を受け付けてもよく、さらに、図示しない入力部を介して入力を受け付けてもよい。
【0022】
ボタン制御部116は、ボタン130の押圧を検知すると、ボタン130が押圧されたことをSIP処理部114に通知する処理等を行う。
【0023】
画像制御部117は、第三のIF部124から得られる画像データを処理する。例えば、本実施形態においては、カメラ132から得られるNTSC映像のエンコード処理等を行う。
【0024】
音声制御部118は、第四のIF部125から得られる音声データを処理する。例えば、本実施形態においては、電話機131との間の呼制御を行うとともに、電話機131から得られる音声データを圧縮符号化する処理、IPパケット化してWAN191に送信する処理等を行う。
【0025】
センサ制御部119は、第五のIF部126から得られるデータを処理する。例えば、本実施形態においては、センサ133から得られるデータを解析し、異常の検知を行い、異常が検知された場合には、検知した異常を特定する情報を通信制御部113に出力する処理等を行う。
【0026】
記憶部121は、通信装置110での処理に必要な情報を記憶する。
【0027】
第一のIF部122は、第二のルータ182を介して、WAN191との間の情報の送受信を行う。特に、本実施形態においては、センタ装置160との間の論理チャネルの接続処理を行う。
【0028】
また、第一のIF部122は、第二のルータ182との間のリンク状態の監視を行う。
【0029】
第二のIF部123は、ボタン130との間で情報の送受信を行う。特に、本実施形態においては、ボタンの130の押圧信号を受信し、ボタン制御部116に出力する処理を行う。
【0030】
なお、ボタン130は、通信装置110の筐体に取り付けられたものであってもよく、また、有線又は無線を介して通信装置110に接続されたものであってもよい。
【0031】
第三のIF部124は、カメラ132との間で情報の送受信を行う。特に、本実施形態においては、カメラ132で撮像された映像データを画像制御部117に出力する処理を行う。
【0032】
カメラ132は、動画像又は静画像を撮像する撮像装置であって、有線又は無線を介して通信装置110に接続される。
【0033】
第四のIF部125は、電話機131との間で情報の送受信を行う。特に、本実施形態においては、電話機131のマイク(図示せず)で取得された音声データを音声制御部118に出力する処理を行う。
【0034】
なお、電話機131は、音声を入力するマイクと、音声を出力するスピーカと、を備える装置であって、有線又は無線を介して通信装置110に接続される。
【0035】
第五のIF部126は、センサ133との間で情報の送受信を行う。特に、本実施形態においては、センサ133での検知信号をセンサ制御部119に出力する処理を行う。
【0036】
なお、センサ133は、人を検出するパッシブセンサ、熱を関知する感熱センサ、その他のセンサであって、有線又は無線を介して通信装置110に接続される。
【0037】
図3は、SIPサーバ140の概略図である。
【0038】
SIPサーバ140は、記憶部141と、制御部145と、IF部150と、を備える。
【0039】
記憶部141は、登録情報記憶領域142と、保守情報記憶領域143と、を備える。
【0040】
登録情報記憶領域142には、SIPサーバ140でSIPに従った呼制御を行うために必要な情報が格納される。例えば、SIPサーバ140を介して、呼を確立する装置のアドレス情報が格納される。
【0041】
保守情報記憶領域143には、事前通知を送信してきた通信装置110を特定する情報が格納される。
【0042】
例えば、本実施形態においては、図4(保守情報テーブル143aの概略図)に示すような保守情報テーブル143aが保守情報記憶領域143に記憶される。
【0043】
図示するように、保守情報テーブル143aは、端末装置欄143bを備える。
【0044】
端末装置欄143bには、事前通知を送信してきた通信装置110を識別するための識別情報(ここでは、通信装置110のIPアドレス)を特定する情報が格納される。
【0045】
図3に戻り、制御部145は、全体制御部146と、SIP制御部147と、保守制御部148と、を備える。
【0046】
全体制御部146は、SIPサーバ140での処理の全体を制御する。
【0047】
SIP制御部147は、SIPに従ったメッセージの生成及び解析を行う。特に、本実施形態においては、通信装置110から事前通知であることを識別する識別情報を有するMESSAGEメッセージ若しくはINVITEメッセージを受信し、保守制御部148に当該MESSAGEメッセージ若しくはINVITEメッセージを送信してきた通信装置110を識別する識別情報(ここでは、通信装置110のIPアドレス)と、事前通知を受信したことを示す情報と、を保守制御部148に出力する。
【0048】
また、SIP制御部147は、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかった場合には、当該通信装置110を識別する識別情報(ここでは、通信装置110のIPアドレス)と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部148に出力する。
【0049】
さらに、SIP制御部147は、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信すると、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を送信してきた通信装置110の識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信したことを特定する情報と、を保守制御部148に通知する。
【0050】
保守制御部148は、通信装置110との間の通信を監視する。
【0051】
例えば、保守制御部148は、SIP制御部147より、通信装置110を識別する識別情報と、事前通知を受信したことを示す情報と、の入力を受け付けると、当該通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されていない場合には、当該識別情報を保守情報テーブル143aに登録し、登録されている場合には、当該識別情報を保守情報テーブル143aから削除する。
【0052】
また、保守制御部148は、SIP制御部147より、通信装置110を識別する識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかったことを示す情報と、の入力を受け付けると、当該通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されていない場合には、当該通信装置110を識別するための識別情報と、当該通信装置110にエラーが生じたことを示す情報と、を有する通知情報を生成し、IF部150を介して、センタ装置160に通知する処理を行い、登録されている場合には、このような通知情報を生成し送信する処理を行わずに、処理を終了する。
【0053】
さらに、保守制御部148は、SIP制御部147より、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を送信してきた通信装置110の識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信したことを特定する情報と、を受信すると、当該通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されている場合には、当該識別情報を保守情報テーブル143aから削除する。
【0054】
IF部150は、LAN190を介した情報の送受信を行う。
【0055】
以上に記載したSIPサーバ140は、例えば、図5(コンピュータ900の概略図)に示すような、CPU(Central Processing Unit)901と、メモリ902と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置903と、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等の可搬性を有する記憶媒体904から情報を読み出す読取装置905と、キーボードやマウスなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の送受信装置908と、を備えた一般的なコンピュータ900で実現できる。
【0056】
例えば、記憶部141は、CPU901がメモリ902又は外部記憶装置903を利用することにより実現可能であり、制御部145は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、IF部150は、CPU901が送受信装置908を利用することで実現可能である。
【0057】
この所定のプログラムは、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、送受信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。また、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、送受信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
【0058】
図6は、センタ装置160の概略図である。
【0059】
センタ装置160は、記憶部161と、制御部162と、入力部166と、出力部167と、IF部168と、を備える。
【0060】
記憶部161には、センタ装置160で処理を行う際に必要とされる情報が記憶される。
【0061】
制御部162は、全体制御部163と、監視処理部164と、SIP制御部165と、を備える。
【0062】
全体制御部163は、センタ装置160での処理の全体を制御する。
【0063】
監視処理部164は、SIPサーバ140から送信されてきた通知情報より、通信装置110を識別するための識別情報を取得し、当該識別上により識別される通信装置110を特定する情報を有するエラー通知情報を生成し、出力部167に出力する処理を行う。
【0064】
SIP制御部165は、SIPに従った処理を行う。
【0065】
入力部166は、情報の入力を受け付ける。
【0066】
出力部167は、情報を出力する。
【0067】
IF部168は、LAN190を介した情報の送受信を行う。
【0068】
以上に記載したセンタ装置160は、例えば、図5に示すような一般的なコンピュータ900で実現できる。
【0069】
例えば、記憶部161は、CPU901がメモリ902又は外部記憶装置903を利用することにより実現可能であり、制御部162は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、入力部166は、CPU901が入力装置906を利用することで実現可能であり、出力部167は、CPU901が出力装置907を利用することで実現可能であり、IF部150は、CPU901が送受信装置908を利用することで実現可能である。
【0070】
この所定のプログラムは、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、送受信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。また、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、送受信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
【0071】
図7は、通信システム100において回線断を検知する処理を示すシーケンス図である。
【0072】
まず、通信装置110のSIP処理部114は、通信装置110の位置情報を含むREGISTERメッセージを生成し、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したREGISTERメッセージをSIPサーバ140に送信する(S10)。
【0073】
このようなREGISTERメッセージを受信したSIPサーバ140では、SIP制御部147が、REGISTERメッセージから位置情報を抽出し、登録情報記憶領域142に記憶するとともに、保守制御部148が保守情報テーブル143aの更新処理を行う(S11)。
【0074】
ここで、保守情報テーブル143aの更新処理は、具体的には、まず、SIP制御部147が、REGISTERメッセージに含まれている送信元である通信装置110のアドレス情報を特定して、特定したアドレス情報を保守制御部148に通知する。次に、保守制御部148が、通知されたIPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することにより行う。
【0075】
なお、本ステップS11では、通知されたIPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されていないものとして、次に処理を行う。
【0076】
次に、SIP制御部147は、REGISTERメッセージの応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S12)。
【0077】
そして、通信装置110は、定期的、または、異常を検知した時、人を検知した時等の任意の時に、例えば、カメラ132で撮像された映像データ、電話機131で取得された音声データ、センサ133で取得された検知データを送信するために、SIP処理部114が、センタ装置160への接続要求であるINVITEメッセージを生成して、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したINVITEメッセージをSIPサーバ140に送信する(S13)。
【0078】
INVITEメッセージを受信したSIPサーバ140は、センタ装置160の位置情報を登録情報記憶領域142から取得し、取得した位置情報で特定されるアドレス(センタ装置160のアドレス)にINVITEメッセージを転送する(S14)。
【0079】
そして、INVITEメッセージを受信したセンタ装置160では、SIP制御部165が、180RINGINGの応答メッセージをSIPサーバ140に送信し(S15)、SIPサーバ140は、通信装置110にこの180RINGINGメッセージを転送し呼び出す(S16)。
【0080】
次に、センタ装置160のSIP制御部165は、呼び出しに応答すると、200OKメッセージをSIPサーバ140に送信し(S17)、SIPサーバ140は、通信装置110にこの200OKメッセージを転送する(S18)。
【0081】
200OKメッセージを受信した通信装置110は、SIP処理部114が、ACKメッセージを生成し、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したACKメッセージをSIPサーバ140に送信する(S19)。
【0082】
このようなACKメッセージを受信したSIPサーバ140は、SIP制御部147が、IF部150を介して、ACKメッセージをセンタ装置160に送信することで(S20)、通信装置110と、センタ装置160と、の間にセッションが確立する。
【0083】
そして、通信装置110は、確立したセッションを用いて、センタ装置160にデータを通信する(S21)。
【0084】
このようなデータを受信したセンタ装置160では、全体制御部163が出力部167に受信したデータを出力する(S22)。
【0085】
そして、通信装置110は、定期的に、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)をSIPサーバ140に送信し(S23)、このようなREGISTERメッセージを受信したSIPサーバ140では、保守制御部148が保守情報テーブル143aの更新を行い(S24)、SIP制御部147が、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S25)。
【0086】
このとき、例えば、第二のルータ182が故障して回線が切断された場合には(S26)、通信装置110が、定期的にREGISTERメッセージをSIPサーバ140に送信しても(S27)、SIPサーバ140には、到達しない。
【0087】
そして、SIPサーバ140のSIP制御部147では、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージを受信しなかった場合には、回線断と判断して(S28)、REGISTERメッセージを受信しなかった通信装置110を識別する識別情報と、REGISTERメッセージを受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部148に出力する。
【0088】
これらの情報の入力を受け付けた保守制御部148は、この通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されていない場合には、当該通信装置110を識別するための識別情報と、当該通信装置110にエラーが生じたことを示す情報と、を有する通知情報を生成し、IF部150を介して、センタ装置160に送信する(S29)。
【0089】
そして、センタ装置160では、監視処理部164が、このような通知情報を特定の表示形式にして出力部167に出力する(S30)。
【0090】
図8は、通信システム100において回線断の検知を回避する処理を示すシーケンス図である。このシーケンスでは、第二のルータ182の保守のために、第二のルータ182の電源をOFFにする場合を例に説明するが、このような態様に限定されるわけではなく、通信装置110とWAN191間に物理的又は論理的に配置される装置(リピータ、ブリッジ、レイヤ2スイッチ、レイヤ3スイッチ、ゲートウェイ等)を交換する場合や、収容する装置の接続変えを行う場合や、電源をOFFする場合などでもよい。
【0091】
まず、通信装置110のボタン制御部116が、ボタン130の押圧を検知すると(S40)、SIP処理部114は、事前通知であることを識別することのできるメッセージ、例えば、本実施形態においては、図9(事前通知を示すINVITEメッセージ193の概略図)に示すようなINVITEメッセージ193(若しくは図10に示すMESSAGEメッセージ194)を生成して、SIPサーバ140に送信する(S41)。
【0092】
ここで、図9に示すように、事前通知を示すINVITEメッセージ193は、「h=」の行(任意の行)が設けられており、この行に「Notification of audit!」のテキストデータが記述されている場合には、事前通知であることを示している。
【0093】
このようなINVITEメッセージ193を受信したSIPサーバ140では、SIP制御部147が、INVITEメッセージ193に「h=」の行が設けられており、この行に「Notification of audit!」のテキストデータが記述されているか否かを確認し(S42)、このようなテキストデータが記述されている場合には、保守情報テーブル143aを更新する(S43)。
【0094】
ここで、保守情報テーブル143aの更新は、INVITEメッセージ193に格納されている通信装置110のSIPURIから、登録情報記憶領域142に格納されている当該通信装置110のIPアドレスを特定して、当該IPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されていない場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aに登録し、登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することで行う。今回の場合は、通信装置110とSIPサーバ140間での回線の断線監視にかかる説明であるので、事前通知を受信したSIPサ−バ140は、通信装置110との間の回線断の監視を行わない動作状態となる。
【0095】
そして、SIP制御部147は、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S44)。
【0096】
このような事前通知を行った後で、通信システム100の管理者等が、第二のルータ182の保守のために、第二のルータ182の電源をOFFすると(S45)、通信装置110が、定期的にREGISTERメッセージをSIPサーバ140に送信しても(S46、S47)、このようなREGISTERメッセージがSIPサーバ140に到達しない。
【0097】
このような場合において、SIPサーバ140のSIP制御部147が、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージを受信しなかったときには、回線断と判断して(S48)、REGISTERメッセージを受信しなかった通信装置110を識別する識別情報と、REGISTERメッセージを受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部148に出力する。
【0098】
これらの情報の入力を受け付けた保守制御部148は、この通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されている場合には、図7のステップS29に示すような通知情報を生成せずに処理を終了する(S49)。
【0099】
そして、第二のルータ182の保守が完了し、電源がONにされた場合には(S50)、通信装置110からのREGISTERメッセージがSIPサーバ140に到達し(S51)、SIPサーバ140のSIP制御部147が、REGISTERメッセージに含まれている送信元である通信装置110のアドレス情報を特定して、特定したアドレス情報を保守制御部148に通知し、保守制御部148が、保守情報テーブル143aの更新を行う(S52)。
【0100】
具体的には、SIP制御部147は、REGISTERメッセージに格納されている通信装置110のSIPURIから、登録情報記憶領域142に格納されている当該通信装置110のIPアドレスを特定して、特定したIPアドレスを保守制御部148に通知する。そして、保守制御部148は、通知されたIPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することで保守情報テーブル143aの更新を行う。今回の場合は、通信装置110とSIPサーバ140間での回線の断線監視にかかる説明であるので、REGISTERメッセージS51を受信したSIPサ−バ140は、通信装置110との間の回線断の監視を再開するようになる。
【0101】
また、このようなREGISTERメッセージを受信したSIPサーバ140では、SIP制御部147が、REGISTERメッセージから位置情報を抽出し、登録情報記憶領域142に記憶するとともに、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S53)。
【0102】
以上のように、本実施形態によれば、ネットワークを意図的に切断する場合に、回線断の警告が出ないようにすることができる。
【0103】
なお、以上に記載した実施形態においては、例えば、図8のステップS41における事前通知を、INVITEメッセージ193を用いて通知しているが、このような態様に限定されず、他のメッセージを使用して通知することも可能である。例えば、図10(事前通知を示すMESSAGEメッセージ194の概略図)に示すMESSAGEメッセージ194を使用して、事前通知を行うことも可能である。
【0104】
ここで、図10に示すように事前通知を示すMESSAGEメッセージ194は、「Notification of audit!」のテキストデータを記述する行194aが設けられており、このような行が設けられているか否かにより、SIPサーバ140のSIP制御部147は、事前通知であることを識別することができる。
【0105】
以上に記載した実施形態においては、SIPサーバ140の保守情報記憶領域143に記憶されている保守情報テーブル143aに通信装置110のIPアドレスを格納しているが、このような態様に限定されず、例えば、通信装置110のSIPURIを格納するようにしてもよい。
【0106】
また、以上に記載した実施形態においては、SIPサーバ140において、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)が受信される度に、保守情報テーブル143aを確認して、REGISTERメッセージを送信してきた通信装置110のIPアドレスがあるか否かを確認して、通知情報の送信を再開するか否かを判断するようにしているが、このような態様に限定されず、例えば、図11に示すシーケンスのように、通信装置110からの二度目の事前通知の有無により、通知情報の送信を再開するか否かを判断するようにしてもよい。
【0107】
図11は、通信システム100において回線断の検知を回避する処理を示すシーケンス図である。このシーケンスでは、第二のルータ182の保守のために、第二のルータ182の電源をOFFにする場合を例に説明するが、このような態様に限定されるわけではない。
【0108】
まず、通信装置110のボタン制御部116が、ボタン130の押圧を検知すると(S60)、SIP処理部114は、事前通知であることを識別することのできるメッセージ、例えば、本実施形態においては、図9に示すようなINVITEメッセージ193(若しくは図10に示すMESSAGEメッセージ194)を生成して、SIPサーバ140に送信する(S61)。
【0109】
このようなINVITEメッセージ193を受信したSIPサーバ140では、SIP制御部147が、INVITEメッセージ193に「h=」の行が設けられており、この行に「Notification of audit!」のテキストデータが記述されているか否かを確認し(S62)、このようなテキストデータが記述されている場合には、保守情報テーブル143aを更新する(S63)。
【0110】
ここで、保守情報テーブル143aの更新は、INVITEメッセージ193に格納されている通信装置110のSIPURIから、登録情報記憶領域142に格納されている当該通信装置110のIPアドレスを特定して、当該IPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されていない場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aに登録し、登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することで行う。
【0111】
そして、SIP制御部147は、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S64)。
【0112】
このような事前通知を行うことで、通信装置110のSIP処理部114は、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)の送信を停止する(S65)。
【0113】
また、このような事前通知を行った後で、通信システム100の管理者等は、第二のルータ182の保守のために、第二のルータ182の電源をOFFする(S66)。
【0114】
このような状況において、SIPサーバ140のSIP制御部147が、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかったときには、回線断と判断して(S67)、REGISTERメッセージを受信しなかった通信装置110を識別する識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部148に出力する。
【0115】
これらの情報の入力を受け付けた保守制御部148は、この通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されている場合には、図7のステップS29に示すような通知情報を生成せずに処理を終了する(S68)。
【0116】
そして、第二のルータ182の保守が完了し、電源がONにされた場合には(S69)、通信システム100の管理者等は、ボタン130を押圧する。
【0117】
通信装置110のボタン制御部116が、ボタン130の押圧を検知すると(S70)、SIP処理部114は、事前通知であることを識別することのできるメッセージ、例えば、本実施形態においては、図9に示すようなINVITEメッセージ193(若しくは図10に示すMESSAGEメッセージ194)を生成して、SIPサーバ140に送信する(S71)。
【0118】
このようなINVITEメッセージ193を受信したSIPサーバ140では、SIP制御部147が、INVITEメッセージ193に「h=」の行が設けられており、この行に「Notification of audit!」のテキストデータが記述されているか否かを確認し(S72)、このようなテキストデータが記述されている場合には、保守情報テーブル143aを更新する(S73)。ここでは、二度目の事前通知であるので、通信装置110のIPアドレスを保守情報テーブル143aから削除する。
【0119】
そして、通信装置110のSIP処理部114は、通信装置110の位置情報を含むREGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)の生成を再開し、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したREGISTERメッセージをSIPサーバ140に送信する(S75)。
【0120】
このようなREGISTERメッセージを受信したSIPサーバ140では、SIP制御部147が、REGISTERメッセージから位置情報を抽出し、登録情報記憶領域142に記憶するとともに、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S76)。
【0121】
以上のように、ボタン130の押圧により、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)の送信を再開するようにすることで、回線断時に無駄なメッセージの送信を回避し、無駄にトラヒックの資源を浪費するのを防止することができる。
【0122】
また、図11に記載のシーケンスでは、ボタン130の押圧により、回線断からの復帰を確認するようにしているが、このような態様に限定されず、例えば、電源を切断等するルータと、通信装置110と、が直接接続されている場合には、通信装置110においてルータのLANインタフェースポートのリンク状態を監視し、リンクダウンからリンクアップになったときに、事前通知を示すINVITEメッセージ193を送信するようにしてもよい。
【0123】
さらに、SIPサーバ140において、通信装置110毎に、通信装置110と、当該通信装置110が接続されているルータと、を特定する経路情報を記憶しておくことで、一の通信装置110から事前通知が通知された際に、当該一の通信装置110と同じルータに接続されている他の通信装置110を識別する情報を保守情報テーブル143aに格納しておくことで、保守を行うルータに接続されている一の通信装置110からの事前通知により、当該ルータに接続されている他の通信装置110についても回線断の通知を行わないようにすることができる。このような場合には、一の通信装置110において回線断からの復帰が検出された場合に、当該一の通信装置110に接続されているルータに接続されている他の通信装置110についても回線断からの回復を検知して、保守情報テーブル143aを更新する。
【0124】
さらに、本実施形態においては、SIPサーバ140において保守情報テーブル143aを記憶しておき、SIPサーバ140において、回線断の通知をセンタ装置160に送信しないようにしているが、このような態様に限定されず、例えば、保守情報テーブル143aと同様なテーブルをセンタ装置160に記憶しておき、保守情報テーブル143aに格納されている通信装置110の通知情報に対応するエラー情報は、監視処理部164が、出力部167に出力しないようにすることも可能である。
【0125】
また、本願発明において、疎通確認をREGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)、事前通知をINVITEメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)で行っているが、通信装置110とSIPサーバ140(若しくはセンタ装置160)間で識別できる独自メッセージを使用しても同様の効果が得られる。
【0126】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
【0127】
本発明の第二の実施形態は、第一の実施形態と比較して、SIPサーバ240と、センタ装置260と、が異なっているため、以下これらに関連する事項について説明する。なお、本実施形態における通信装置110は、REGISTERメッセージとMESSAGEメッセージを周期的にSIPサーバ240に送信するものとする。
【0128】
図12は、SIPサーバ240の概略図である。
【0129】
SIPサーバ240は、記憶部241と、制御部245と、IF部150と、を備え、第一の実施形態と比較して、記憶部241及び制御部245が異なっているため、以下これらに関連する事項について説明する。
【0130】
記憶部241は、登録情報記憶領域142を備え、第一の実施形態と比較して、保守情報記憶領域が設けられていない。
【0131】
なお、登録情報記憶領域142には、第一の実施形態と同様に、SIPサーバ140でSIPに従った呼制御を行うために必要な情報が格納される。
【0132】
制御部245は、全体制御部146と、SIP制御部247と、を備え、第一の実施形態と比較して、保守制御部は設けられていない。
【0133】
全体制御部146は、第一の実施形態と同様に、SIPサーバ140での処理の全体を制御する。
【0134】
SIP制御部247は、SIPに従った処理を行う。
【0135】
なお、本実施形態におけるSIPサーバ240は、第一の実施形態とは異なり、通常のSIPに従った処理を行うサーバを用いればよい。
【0136】
図13は、センタ装置260の概略図である。
【0137】
センタ装置260は、記憶部261と、制御部262と、入力部166と、出力部167と、IF部168と、を備え、第一の実施形態と比較して、記憶部261及び制御部262が異なっているため、以下これらに関連する事項について説明する。
【0138】
記憶部261は、保守情報記憶領域270を備える。
【0139】
保守情報記憶領域270には、事前通知を送信してきた通信装置110を特定する情報が格納される。
【0140】
例えば、本実施形態においては、図4(保守情報テーブル143aの概略図)に示すような保守情報テーブル143aが保守情報記憶領域143に記憶される。
【0141】
制御部262は、全体制御部163と、監視処理部164と、SIP制御部265と、保守制御部271と、を備え、第一の実施形態と比較して、SIP制御部265及び保守制御部271が異なっているため、以下これらに関連する事項について説明する。
【0142】
SIP制御部265は、SIPに従った処理を行う。特に、本実施形態においては、通信装置110から事前通知であることを識別する識別情報を有するMESSAGEメッセージ若しくはINVITEメッセージを受信し、保守制御部148に当該MESSAGEメッセージ若しくはINVITEメッセージを送信してきた通信装置110を識別する識別情報(ここでは、通信装置110のIPアドレス)と、事前通知を受信したことを示す情報と、を保守制御部271に出力する。
【0143】
また、SIP制御部265は、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかった場合には、当該通信装置110を識別する識別情報(ここでは、通信装置110のIPアドレス)と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部271に出力する。
【0144】
さらに、SIP制御部147は、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信すると、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を送信してきた通信装置110の識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信したことを特定する情報と、を保守制御部271に通知する。
【0145】
保守制御部271は、通信装置110との間の通信を監視する。
【0146】
例えば、保守制御部271は、SIP制御部265より、通信装置110を識別する識別情報と、事前通知を受信したことを示す情報と、の入力を受け付けると、当該通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されていない場合には、当該識別情報を保守情報テーブル143aに登録し、登録されている場合には、当該識別情報を保守情報テーブル143aから削除する。
【0147】
また、保守制御部271は、SIP制御部265より、通信装置110を識別する識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信しなかったことを示す情報と、の入力を受け付けると、当該通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されていない場合には、当該通信装置110を識別するための識別情報と、当該通信装置110にエラーが生じたことを示す情報と、を有する通知情報を生成して監視処理部164に出力する処理を行い、登録されている場合には、このような通知情報を生成し送信する処理を行わずに、処理を終了する。
【0148】
さらに、保守制御部271は、SIP制御部265より、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を送信してきた通信装置110の識別情報と、REGISTERメッセージ(若しくはMESSAGEメッセージ)を受信したことを特定する情報と、を受信すると、当該通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されている場合には、当該識別情報を保守情報テーブル143aから削除する。
【0149】
図14は、第二の実施形態である通信システムにおいて回線断を検知する処理を示すシーケンス図である。
【0150】
まず、通信装置110のSIP処理部114は、通信装置110の位置情報を含むREGISTERメッセージを生成し、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したREGISTERメッセージをSIPサーバ240に送信する(S80)。
【0151】
このようなREGISTERメッセージを受信したSIPサーバ240では、SIP制御部247が、REGISTERメッセージから位置情報を抽出し、登録情報記憶領域142に記憶する(S81)。
【0152】
次に、SIP制御部247は、REGISTERメッセージの応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部150を介して、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S82)。
【0153】
そして、通信装置110は、定期的、または、異常を検知した時、人を検知した時等の任意の時に、例えば、カメラ132で撮像された映像データ、電話機131で取得された音声データ、センサ133で取得された検知データを送信するために、SIP処理部114が、センタ装置160への接続要求であるINVITEメッセージを生成して、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したINVITEメッセージをSIPサーバ240に送信する(S83)。
【0154】
INVITEメッセージを受信したSIPサーバ240は、センタ装置260の位置情報を登録情報記憶領域142から取得し、取得した位置情報で特定されるアドレス(センタ装置260のアドレス)にINVITEメッセージを転送する(S84)。
【0155】
そして、INVITEメッセージを受信したセンタ装置260では、SIP制御部265が、180RINGINGの応答メッセージをSIPサーバ240に送信し(S85)、SIPサーバ240は、通信装置110にこの180RINGINGメッセージを転送し呼び出す(S86)。
【0156】
次に、センタ装置260のSIP制御部265は、呼び出しに応答すると、200OKメッセージをSIPサーバ240に送信し(S87)、SIPサーバ240は、通信装置110にこの200OKメッセージを転送する(S88)。
【0157】
200OKメッセージを受信した通信装置110は、SIP処理部114が、ACKメッセージを生成し、通信制御部113及び第一のIF部122を介して、生成したACKメッセージをSIPサーバ240に送信する(S89)。
【0158】
このようなACKメッセージを受信したSIPサーバ240は、SIP制御部247が、IF部150を介して、ACKメッセージをセンタ装置260に送信することで(S90)、通信装置110と、センタ装置260と、の間にセッションが確立する。
【0159】
そして、通信装置110は、確立したセッションを用いて、センタ装置260にデータを通信する(S91)。
【0160】
このようなデータを受信したセンタ装置260では、全体制御部163が出力部167に受信したデータを出力する(S92)。
【0161】
そして、通信装置110は、定期的に、MESSAGEメッセージをSIPサーバ240に送信し(S93)、このようなMESSAGEメッセージを受信したSIPサーバ240は、受信したMESSAGEメッセージをセンタ装置260に転送する(S94)。
【0162】
このようなMESSAGEメッセージを受信したセンタ装置260では、保守制御部271が保守情報テーブル143aの更新を行い(S95)、SIP制御部265が、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部168を介して、200OKメッセージをSIPサーバ240に送信し(S96)、SIPサーバ240は、通信装置110に200OKメッセージを通信装置110に転送する(S97)。
【0163】
ここで、保守情報テーブル143aの更新処理は、具体的には、まず、SIP制御部265が、MESSAGEメッセージに含まれている送信元である通信装置110のアドレス情報を特定して、特定したアドレス情報を保守制御部271に通知する。次に、保守制御部271が、通知されたIPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することにより行う。
【0164】
なお、本ステップS95では、通知されたIPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されていないものとして、次の処理を行う。
【0165】
また、通信装置110は、定期的に、REGISTERメッセージをSIPサーバ240に送信し(S98)、このようなREGISTERメッセージを受信したSIPサーバ240では、SIP制御部247が登録情報記憶領域142に記憶されている情報を更新し(S99)、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S100)。
【0166】
このとき、例えば、第二のルータ182が故障して回線が切断された場合には(S101)、通信装置110が、定期的に、MESSAGEメッセージやREGISTERメッセージをSIPサーバ140に送信しても(S102、S103)、SIPサーバ240には、到達しない。
【0167】
そして、SIPサーバ240のSIP制御部247は、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージを受信しなかった場合には、登録情報記憶領域142に記憶されている通信装置110に関する登録情報を削除する(S104)。
【0168】
また、センタ装置260のSIP制御部265では、予め定められた期間、通信装置110からのMESSAGEメッセージを受信しなかった場合には、回線断と判断して(S105)、MESSAGEメッセージを受信しなかった通信装置110を識別する識別情報と、MESSAGEメッセージを受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部271に出力する。
【0169】
これらの情報の入力を受け付けた保守制御部271は、この通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されていない場合には、当該通信装置110を識別するための識別情報と、当該通信装置110にエラーが生じたことを示す情報と、を有する通知情報を生成し、監視処理部164に出力し、監視処理部164は、通知情報を予め定められた形式に加工して、出力部167に出力する(S106)。
【0170】
図15は、第二の実施形態における通信システムにおいて回線断の検知を回避する処理を示すシーケンス図である。このシーケンスでは、第二のルータ182の保守のために、第二のルータ182の電源をOFFにする場合を例に説明するが、このような態様に限定されるわけではなく、通信装置110とWAN191間に物理的又は論理的に配置される装置(リピータ、ブリッジ、レイヤ2スイッチ、レイヤ3スイッチ、ゲートウェイ等)を交換する場合や、収容する装置の接続変えを行う場合や、電源をOFFする場合などでもよい。
【0171】
まず、通信装置110のボタン制御部116が、ボタン130の押圧を検知すると(S110)、SIP処理部114は、事前通知であることを識別することのできるメッセージ、例えば、本実施形態においては、図9(事前通知を示すINVITEメッセージ193の概略図)に示すようなINVITEメッセージ193(若しくは図10に示すMESSAGEメッセージ194)を生成して、SIPサーバ240に送信する(S111)。
【0172】
そして、SIPサーバ240は、このようなINVITEメッセージ193をセンタ装置260に転送する(S112)。
【0173】
このようなINVITEメッセージ193を受信したセンタ端末260では、SIP制御部265が、INVITEメッセージ193に「h=」の行が設けられており、この行に「Notification of audit!」のテキストデータが記述されているか否かを確認し(S113)、このようなテキストデータが記述されている場合には、保守情報テーブル143aを更新する(S114)。
【0174】
ここで、保守情報テーブル143aの更新は、INVITEメッセージ193の送信元となっている通信装置110のIPアドレスを特定して、当該IPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されていない場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aに登録し、登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することで行う。今回の場合は、通信装置110とSIPサーバ140間での回線の断線監視にかかる説明であるので、事前通知を受信したSIPサ−バ140は、通信装置110との間の回線断の監視を行わない動作状態となる。
【0175】
そして、SIP制御部265は、応答メッセージである200OKメッセージを生成して、IF部168を介して、200OKメッセージをSIPサーバ240に送信し(S115)、SIPサーバ240は、200OKメッセージを通信装置110に転送する(S116)。
【0176】
このような事前通知を行った後で、通信システム100の管理者等が、第二のルータ182の保守のために、第二のルータ182の電源をOFFすると(S117)、通信装置110が、定期的に、MESSAGEメッセージやREGISTERメッセージをSIPサーバ240に送信しても(S118、S119、S120)、このようなREGISTERメッセージはSIPサーバ240に到達しない。
【0177】
そして、SIPサーバ240のSIP制御部247は、予め定められた期間、通信装置110からのREGISTERメッセージを受信しなかった場合には、登録情報記憶領域142に記憶されている通信装置110に関する登録情報を削除する(S121)。
【0178】
また、センタ装置260のSIP制御部265では、予め定められた期間、通信装置110からのMESSAGEメッセージを受信しなかったときには、回線断と判断して(S122)、MESSAGEメッセージを受信しなかった通信装置110を識別する識別情報と、MESSAGEメッセージを受信しなかったことを示す情報と、を保守制御部271に出力する。
【0179】
これらの情報の入力を受け付けた保守制御部271は、この通信装置110の識別情報が、保守情報テーブル143aに登録されているか否かを特定し、登録されている場合には、図7のステップS29に示すような通知情報を生成せずに処理を終了する(S123)。
【0180】
そして、第二のルータ182の保守が完了し、電源がONにされた場合には(S124)、通信装置110からのREGISTERメッセージがSIPサーバ240に到達し(S51)、SIPサーバ240のSIP制御部247が、REGISTERメッセージに含まれている送信元である通信装置110のアドレス情報を特定して、登録情報記憶領域142にアドレス情報等の必要な情報を登録して(S126)、200OKメッセージを通信装置110に送信する(S127)。
【0181】
また、通信装置110が定期的に送信するMESSAGEメッセージもSIPサーバ240に到達し(S128)、SIPサーバ240は、当該MESSAGEメッセージをセンタ装置260に転送する(S129)。
【0182】
このようなMESSAGEメッセージを受信したセンタ装置260では、保守制御部271が、MESSAGEメッセージに含まれている送信元である通信装置110のアドレス情報を特定して、特定したアドレス情報を保守制御部271に通知し、保守制御部271が、保守情報テーブル143aの更新を行う(S130)。
【0183】
具体的には、SIP制御部271は、MESSAGEメッセージの送信元である通信装置110のIPアドレスを特定して、特定したIPアドレスを保守制御部271に通知する。そして、保守制御部271は、通知されたIPアドレスが保守情報テーブル143aに登録されている場合には、当該IPアドレスを保守情報テーブル143aから削除することで保守情報テーブル143aの更新を行う。今回の場合は、通信装置110とSIPサーバ140間での回線の断線監視にかかる説明であるので、REGISTERメッセージS51を受信したSIPサ−バ140は、通信装置110との間の回線断の監視を再開するようになる。
【0184】
そして、センタ装置260のSIP制御部265は、200OKメッセージをSIPサーバ240に送信し(S131)、SIPサーバ240は、当該200OKメッセージを通信装置110に転送する(S132)。
【0185】
以上のように、本実施形態によれば、センタ装置260において保守情報を管理して、ネットワークを意図的に切断する場合に、回線断の警告が出ないようにすることができる。
【0186】
なお、以上に記載した実施形態においては、例えば、図15のステップS111における事前通知を、INVITEメッセージ193を用いて通知しているが、このような態様に限定されず、他のメッセージを使用して通知することも可能である。例えば、図10に示すMESSAGEメッセージ194を使用して、事前通知を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】通信システムの概略図。
【図2】通信装置の概略図。
【図3】SIPサーバの概略図。
【図4】保守情報テーブルの概略図。
【図5】コンピュータの概略図。
【図6】センタ装置の概略図。
【図7】通信システムにおいて回線断を検知する処理を示すシーケンス図。
【図8】通信システムにおいて回線断の検知を回避する処理を示すシーケンス図。
【図9】事前通知を示すINVITEメッセージの概略図。
【図10】事前通知を示すMESSAGEメッセージの概略図。
【図11】通信システムにおいて回線断の検知を回避する処理を示すシーケンス図。
【図12】SIPサーバの概略図。
【図13】センタ装置の概略図。
【図14】通信システムにおいて回線断を検知する処理を示すシーケンス図。
【図15】通信システムにおいて回線断の検知を回避する処理を示すシーケンス図。
【符号の説明】
【0188】
100 通信システム
110 通信装置
111 制御部
112 全体制御部
113 通信制御部
114 SIP制御部
115 保守制御部
116 ボタン制御部
117 画像制御部
118 音声制御部
119 センサ制御部
121 記憶部
140、240 SIPサーバ
141、241 記憶部
142 登録情報記憶領域
143 保守情報記憶領域
145、245 制御部
146 全体制御部
147、247 SIP制御部
148 保守制御部
160、260 センタ装置
161、261 記憶部
162、262 制御部
163 全体制御部
164 監視処理部
165、265 SIP制御部
270 保守情報記憶領域
271 保守制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してセンタ装置に対して予め定められたデータを送信することにより、前記センタ装置において通信路の断線を検知することができるようにした通信装置であって、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、前記通信路が切断される前に前記センタ装置に送信する制御部を備えること、
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記制御部は、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、SIPメッセージに含めて前記センタ装置に送信すること、
を特徴とする通信装置。
【請求項3】
ネットワークを介してセンタ装置に対して予め定められたデータを送信することにより、前記センタ装置において通信路の断線を検知することができるようにした通信装置を中継するSIPサーバであって、
通信装置より、前記予め定められたデータが予め定められた期間受信しない場合に、断線したことを特定する情報を、前記センタ装置に送信する処理と、
通信装置より、前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、前記通信路が切断される前に受信する処理と、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を送信してきた通信装置より、前記予め定められたデータを、前記予め定められた期間受信しない場合であっても、前記断線したことを特定する情報を、前記センタ装置に送信しないようにする処理と、を行う制御部を備えること、
を特徴とするSIPサーバ。
【請求項4】
請求項3に記載のSIPサーバであって、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を送信してきた通信装置を特定する情報を保守情報として記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記予め定められたデータを、前記予め定められた期間受信しない通信装置を特定する情報が前記保守情報に含まれている場合には、前記断線したことを特定する情報を、前記センタ装置に送信しないこと、
を特徴とするSIPサーバ。
【請求項5】
ネットワークを介して接続された通信装置から予め定められたデータを受信することにより、通信路の断線を検知することができるようにしたセンタ装置であって、
通信装置より、前記予め定められたデータが予め定められた期間受信しない場合に、断線したことを特定する情報を出力部に出力する処理と、
通信装置より、前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、前記通信路が切断される前に受信する処理と、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を送信してきた通信装置より、前記予め定められたデータを、前記予め定められた期間受信しない場合であっても、前記断線したことを特定する情報を前記出力部に出力しないようにする処理と、を行う制御部を備えること、
を特徴とするセンタ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のセンタ装置であって、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を送信してきた通信装置を特定する情報を保守情報として記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記予め定められたデータを、前記予め定められた期間受信しない通信装置を特定する情報が前記保守情報に含まれている場合には、前記断線したことを特定する情報を前記出力部に出力しないこと、
を特徴とするセンタ装置。
【請求項7】
ネットワークに接続されたセンタ装置と、当該センタ装置に対して予め定められたデータを送信することにより、前記センタ装置において通信路の断線を検知することができるようにした通信装置と、当該センタ装置と通信装置との間の呼制御を行うSIPサーバと、を備える通信システムであって、
前記通信装置の制御部は、前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、前記通信路が切断される前に前記センタ装置に送信し、
前記SIPサーバの制御部は、
通信装置より、前記予め定められたデータが予め定められた期間受信しない場合に、断線したことを特定する情報を、前記センタ装置に送信する処理と、
通信装置より、前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を、前記通信路が切断される前に受信する処理と、
前記ネットワークでの通信路が切断されることを示す情報を送信してきた通信装置より、前記予め定められたデータを、前記予め定められた期間受信しない場合であっても、前記断線したことを特定する情報を、前記センタ装置に送信しないようにする処理と、を行うこと、
を特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−302892(P2009−302892A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155007(P2008−155007)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】