説明

通信装置および通信方法

【課題】正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止する。
【解決手段】検出部28が、携帯機21を充電する充電器との接続を検出すると、制御部31は、送信制御部25を制御して、信号を送信する機能を停止させることにより、車載機との信号の送受信を禁止する。さらに、制御部31は、車載機との信号の送受信が禁止されているときに、車載機からの信号を受信制御部24が受信した場合、警告部30を制御して、ユーザに対する警告を行う。本発明は、例えば、パッシブエントリーシステムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および通信方法に関し、特に、正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止することができるようにした通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、車両のエントリーシステムとしては、ハンズフリーでドアの施錠や開錠を自動的に行う、いわゆるパッシブエントリーシステム(PES:Passive Entry System)などが実用化されており、今後さらなる普及が見込まれている。
【0003】
パッシブエントリーシステムは、例えば、ユーザが携帯可能な携帯機と、車載機との間の双方向無線通信が行われ、車載機により携帯機から受信した電磁波(信号)に基づいて携帯機の真正性の確認、携帯機の位置などの解析が行われるなどして車載機の制御により車両ドアの施錠機構の動作(解錠動作や施錠動作)などを自動的に実現するものである。
【0004】
図1を参照して、パッシブエントリーシステムについて説明する。
【0005】
図1のパッシブエントリーシステムでは、例えば、車両11に搭載されている車載機12と、ユーザが携帯可能な携帯機13との間で双方向無線通信が行われる。車両11には、車載機12と接続されるアンテナが車両のドアノブやトランク、室内などにそれぞれ配置され、必要に応じてそれぞれのアンテナがLF波(例えば、100〜200KHz)の信号を送信する。これにより、それらのアンテナの周囲に、車載機12と携帯機13とが通信可能になるLF通信エリア14が形成される。
【0006】
LF通信エリア14内に携帯機13が入ると、携帯機13は、LF波の信号を受信して応答し、車載機12が、携帯機13から送信される信号を受信して、車載機12と携帯機13との間で通信が行われる。パッシブエントリーシステムにおいては、例えば、ユーザが車両11のドアの外側に設けられたスイッチ(図示せず)を操作してドアをアンロックする場合、車載機12と携帯機13とが通信を行った結果、正当なユーザによるアンロック操作であるとき、ドアがアンロックされるようになされている。
【0007】
ところで、例えば、図2に示すように、車両11を駐車場に停車させ、その駐車場に隣接する部屋にユーザが携帯機13を所持したまま移動したとする。このとき、例えば、部屋の窓15を介して車載機12と通信可能な距離に携帯機13が置かれたとき、ユーザ以外の者によるドアをアンロックしようとする操作に応じて、車両のドアがアンロックされてしまうことがある。
【0008】
例えば、特許文献1には、車載機と携帯機との間で行う認証処理と、正規ユーザのバイオメトリクス情報による認証を組み合わせることにより、正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−178032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したようなバイオメトリクス情報を使用する方法よりも、より簡易的な方法で、正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止することが求められている。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面の通信装置は、車載機との通信を行う通信装置であって、前記車載機との信号の送受信を行う送受信手段と、所定の保管領域内に前記通信装置があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、所定の保管領域内に前記通信装置があると判定された場合、前記送受信手段による前記車載機との信号の送受信を禁止する処理を行う処理手段とを備える。
【0013】
本発明の一側面の通信方法は、車載機との通信を行う通信装置の通信方法であって、所定の保管領域内に前記通信装置があるか否かを判定し、所定の保管領域内に前記通信装置があると判定された場合、前記車載機との信号の送受信を禁止する処理を行うステップを含む。
【0014】
本発明の一側面においては、所定の保管領域内に通信装置があるか否かが判定され、所定の保管領域内に通信装置があると判定された場合、車載機との信号の送受信を禁止する処理が行われる。
【0015】
これにより、通信装置が所定の保管領域内にあるときに、ユーザの意図に反して車載機との認証処理が行われることが回避され、正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止することができる。
【0016】
また、通信装置を充電する充電器との接続を検出する接続検出手段をさらに備えることができ、判定手段は、接続検出手段により充電器との接続が検出されると、所定の保管領域内に通信装置があると判定する。
【0017】
これにより、通信装置が所定の保管領域内にあることを確実に検出することができる。
【0018】
また、所定の保管領域に出入りする際に通過する通過口で出力されている信号を検出する信号検出手段をさらに備えることができ、判定手段は、信号検出手段により検出される信号に基づいて、所定の保管領域内に通信装置があるか否かを判定する。
【0019】
これにより、通過口を通過するだけで車載機との信号の送受信を禁止することができ、ユーザの手間を省くことができる。
【0020】
また、処理手段は、送受信手段による信号の送信または受信の少なくとも一方を停止することにより、車載機との信号の送受信を禁止することができる。また、送受信手段から出力される信号を妨害する妨害信号を発信する妨害信号発信手段をさらに備えることができ、処理手段は、送受信手段から出力される信号を妨害する妨害信号を、妨害信号発信手段から発信させることにより、車載機との信号の送受信を禁止する。
【0021】
これにより、車載機との信号の送受信を確実に禁止することができる。
【0022】
処理手段により車載機との信号の送受信が禁止されているときに、車載機からの信号を送受信手段が受信した場合に警告を行う警告手段をさらに備えることができる。
【0023】
これにより、車両の盗難に対するセキュリティを強化することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面によれば、正規のユーザ以外の者による車両の不正利用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】パッシブエントリーシステムについて説明する図である。
【図2】ユーザの意図に反して、車両のドアがアンロックされることを説明する図である。
【図3】本発明を適用した携帯機の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】携帯機と充電器の接続を説明する図である。
【図5】携帯機により車両の不正利用を防止する処理を説明するフローチャートである。
【図6】携帯機と充電器の構成例を示すブロック図である。
【図7】携帯機および充電器により車両の不正利用を防止する処理を説明するフローチャートである。
【図8】LF通信エリアについて説明する図である。
【図9】LF通信エリアを利用して、車両の不正利用を防止する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図3は、本発明を適用した携帯機の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0028】
図3において、携帯機21は、アンテナ22および23、受信制御部24、送信制御部25、メモリ26、コネクタ27、検出部28、バッテリ29、警告部30、並びに、制御部31を備えて構成される。
【0029】
アンテナ22および23は、それぞれ異なる周波数帯域の電波を送受信することができるように構成されており、例えば、アンテナ22は、LF(Low Frequency)帯域の電波を受信し、アンテナ23は、UHF(Ultra High Frequency)帯域の電波を送信するように構成されている。アンテナ22は、車載機12(図1)から送信された電波を受信して、その電波に応じた信号を受信制御部24に供給し、アンテナ23は、送信制御部25から供給される信号に応じた電波を送信する。
【0030】
受信制御部24は、アンテナ22から供給される信号を復調して制御部31に供給する。送信制御部25は、制御部31の制御に従い、制御部31から供給される信号を変調してアンテナ23に供給する。
【0031】
メモリ26は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などとして構成され、車両11を特定する車両ID(Identification)や、必要な情報などを適宜記憶するようになされている。
【0032】
コネクタ27は、携帯機21を充電器に接続する際に利用される。例えば、図4に示すような充電器41が、携帯機21のユーザの部屋内の所定の保管場所に設置されており、図4の矢印の方向に沿ってユーザが携帯機21を充電器41に載置させると、携帯機21のコネクタ27が、充電器41のコネクタ42に接続される。このように、携帯機21を充電器41に載置させることにより、コネクタ27および42を介して、携帯機21と充電器41とが電気的に接続される。
【0033】
検出部28は、コネクタ27を介して携帯機21が充電器41に接続されると、充電器41との接続を検出し、その旨を示す検出信号を制御部31に供給する。また、検出部28は、携帯機21と充電器41との接続が解除されると、充電器41との接続の解除を検出し、その旨を示す検出信号を制御部31に供給する。
【0034】
バッテリ29は、携帯機21の各部に電力を供給する。また、バッテリ29には、コネクタ27を介して接続される充電器41からの電力が検出部28を介して供給され、その電力により充電される。
【0035】
警告部30は、例えば、警報音を出力するブザーや小型の液晶ディスプレイなどを備えており、制御部31の制御に従って、警報音を出力したり、警告メッセージ(ユーザの意図しない状態でLF波を受信した旨のメッセージ)を表示したりして、ユーザに対する警告を行う。
【0036】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などから構成される、いわゆるマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに展開し実行することにより、携帯機21の動作を制御する。
【0037】
例えば、図1の車載機12は、車両11のドアの外側に設けられたスイッチが操作されると、ドアをアンロックするために必要な認証処理を開始するリクエスト信号を送信する。携帯機21の位置がLF通信エリア14内であれば、受信制御部24がリクエスト信号を受信して、制御部31に供給する。そして、制御部31は、そのリクエスト信号に応答して、メモリ26に記憶されている車両IDを読み出し、車両IDを含むアンサ信号を生成して、送信制御部25を介してアンサ信号を送信させる。または、制御部31は、携帯機21固有のIDなどをアンサ信号として送信するようにしてもよい。
【0038】
また、制御部31は、ユーザにより携帯機21が充電器41(図4)に接続され、充電器41に接続された旨を示す検出信号が検出部28から供給されると、送信制御部25を制御して、信号を送信する機能を停止させる。その後、携帯機21と充電器41との接続が解除され、充電器41との接続が解除された旨を示す検出信号が検出部28から供給されると、制御部31は、送信制御部25を制御して、信号を送信する機能を起動させる。このように、信号を送信する機能が停止されている間、携帯機21からアンサ信号などの送信が禁止される。
【0039】
即ち、充電器41は、ユーザの部屋内に設置されており、携帯機21が充電器41に接続されているということは、携帯機21が部屋内にあるということである。このとき、ユーザは車両11を使用する意図がなく、携帯機21が部屋内にあるとき、携帯機21は保管されている状態となっているので、この部屋内を、携帯機21の保管領域ということができる。従って、携帯機21が保管領域にあるとき、携帯機21から信号の送信が禁止される。
【0040】
さらに、制御部31は、携帯機21が充電器41に接続されている間に、図1の車載機12からの信号を受信制御部24が受信すると、警告部30を制御して、ユーザに対する警告を行う。例えば、携帯機21が充電器41に接続されている間に、車載機12が、ドアをアンロックするために必要な認証処理を開始するリクエスト信号を送信して、そのリクエスト信号を受信制御部24が受信したとする。通常、ユーザが車両11のドアをアンロックするときには、携帯機21を携帯しているので、携帯機21が充電器41に接続されていることはない。従って、携帯機21が充電器41に接続されている状態で、受信制御部24が、そのリクエスト信号を受信したということは、正規なユーザ以外の者による操作であると判断することができる。
【0041】
従って、この場合、制御部31は、警告部30を制御して、警告部30が備えるブザーから警報音を出力させたり、小型の液晶ディスプレイに警告メッセージを表示させることで、ユーザに対して、正規なユーザ以外の者による操作が行われたことを通知する。なお、警告部30は、警報音の出力、および警告メッセージの表示の両方を行ってもよく、いずれか一方だけを行ってもよい。
【0042】
次に、図5は、携帯機21により車両11の不正利用を防止する処理を説明するフローチャートである。
【0043】
例えば、ユーザがパッシブエントリーシステムを利用して車両11のドアをロックすると処理が開始され、ステップS11において、制御部31は、携帯機21が充電器41に接続されたか否かを判定し、充電器41に接続されたと判定されるまで、処理を待機する。
【0044】
その後、ユーザにより携帯機21が充電器41に接続され、検出部28が、充電器41との接続を検出した旨を示す検出信号を制御部31に供給すると、ステップS11において、制御部31は、携帯機21が充電器41に接続されたと判定し、処理はステップS12に進む。
【0045】
ステップS12において、制御部31は、送信制御部25を制御して、信号を送信する機能を停止させる。これにより、携帯機21からの信号の送信が禁止される。また、制御部31は、受信制御部24が信号を受信したときに警告を行う機能をONにする。
【0046】
ステップS12の処理後、処理はステップS13に進み、制御部31は、受信制御部24がリクエスト信号を受信したか否かを判定する。
【0047】
ステップS13において、制御部31が、受信制御部24がリクエスト信号を受信したと判定した場合、即ち、受信制御部24が受信したリクエスト信号が供給された場合、処理はステップS14に進み、制御部31は、警告部30を制御して、ユーザに対する警告を行う。
【0048】
ステップS14の処理後、または、ステップS13において、制御部31が、受信制御部24がリクエスト信号を受信していないと判定した場合、処理はステップS15に進み、制御部31は、携帯機21と充電器41との接続が解除されたか否かを判定する。
【0049】
ステップS15において、制御部31が、携帯機21と充電器41との接続が解除されていないと判定した場合、処理はステップS13に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0050】
一方、ステップS15において、制御部31が、携帯機21と充電器41との接続が解除されたと判定した場合、処理はステップS16に進む。例えば、検出部28が、充電器41との接続が解除されたことを検出し、その旨を示す検出信号を制御部31に供給すると、制御部31は、携帯機21と充電器41との接続が解除されたと判定する。
【0051】
ステップS16において、制御部31は、送信制御部25を制御して、信号を送信する機能を起動させる。また、制御部31は、受信制御部24が信号を受信したときに警告を行う機能をOFFにし、処理は終了する。
【0052】
以上のように、携帯機21では、充電器41との接続に応じて車載機12との通信が禁止されるので、携帯機21が充電器41に接続されているとき、即ち、携帯機21が部屋内にあるとき、正規なユーザ以外の者による車両11の不正利用を防止することができる。これにより、例えば、正規なユーザ以外の者により車両11のドアのアンロックが防止されるので、車両11の盗難を防止することができる。
【0053】
さらに、警告部30により警告を行うことにより、ユーザが注意を促すことができ、車両11の盗難に対するセキュリティを強化することができる。
【0054】
なお、携帯機21は、警告部30を利用しての警告機能を備えてなくてもよく、例えば、充電器41に接続された際に、信号を送信する機能を停止させるだけでもよい。即ち、携帯機21からの信号の送信が禁止されるだけでも、携帯機21と車載機12との間での認証処理が行われないので、例えば、車両11のドアがアンロックされることはなく、車両11が不正に利用されることを防止することができる。
【0055】
また、例えば、携帯機21では、信号を送信する機能を停止させる他、車両11から発信される信号(LF信号)を受信制御部24が受信する機能を停止させてもよい。例えば、制御部31は、図5のステップS11において、充電器41に接続されたと判定された場合、受信制御部24がLF信号を受信する機能を停止することができる。このように、受信制御部24がLF信号を受信する機能を停止させることによっても、携帯機21と車載機12との間での認証処理が行われないので、車両11が不正に利用されることを防止することができる。
【0056】
なお、携帯機21を充電器41に接続させる他、例えば、非接触近接通信などを利用して、部屋内に設置された非接触通信装置(図示せず)の通信エリア内に携帯機21が置かれた場合に、信号を送信する機能を停止するようにすることができる。
【0057】
さらに、例えば、送信制御部25から送信される信号と同帯域の妨害電波を発信し、その妨害電波により、図1の車載機12が信号を受信することを防止するようにしてもよい。
【0058】
即ち、図6を参照して、充電器41から妨害電波を発信する例について説明する。
【0059】
図6は、携帯機21および充電器41のブロック図である。なお、図6の携帯機21は、図3の携帯機21と同一の構成である。
【0060】
図6の充電器41は、コネクタ42、電源部43、および妨害電波発信部44を備えて構成される。
【0061】
コネクタ42は、携帯機21のコネクタ27と接続され、携帯機21と充電器41とを電気的に接続する。電源部43は、コネクタ27および42を介して、バッテリ29に電力を供給し、バッテリ29を充電させる。妨害電波発信部44は、コネクタ27および42を介しての制御部31の制御に従い、妨害電波を発信する。
【0062】
次に、図7を参照して、携帯機21および充電器41により車両11の不正利用を防止する処理について説明する。
【0063】
例えば、ユーザがパッシブエントリーシステムを利用して車両11のドアをロックすると処理が開始され、ステップS21において、制御部31は、図5のステップS11と同様に、携帯機21が充電器41に接続されたか否かを判定し、充電器41に接続されたと判定されるまで、処理を待機する。
【0064】
ステップS21において、制御部31が、携帯機21が充電器41に接続されたと判定した場合、処理はステップS22に進む。
【0065】
ステップS22において、制御部31は、コネクタ27および42を介して妨害電波発信部44を制御し、妨害電波を発信する機能を起動させるとともに、受信制御部24が信号を受信したときに警告を行う機能をONにする。
【0066】
ステップS22の処理後、処理はステップS23に進み、制御部31は、受信制御部24がリクエスト信号を受信したか否かを判定し、受信制御部24がリクエスト信号を受信したと判定された場合、処理はステップS24に進む。
【0067】
ステップS24において、制御部31は、妨害電波発信部44を制御して妨害電波を発信させる。これにより、例えば、リクエスト信号に応答して送信制御部25がアンサ信号を送信しても、妨害電波発信部44から発信される妨害電波によって、車載機12がアンサ信号を受信することが妨害され、携帯機21と車載機12との間で認証処理が行われることが禁止される。また、制御部31は、警告部30を制御して、ユーザに対する警告を行う。
【0068】
ステップS24の処理後、または、ステップS23において、制御部31が、受信制御部24がリクエスト信号を受信していないと判定した場合、処理はステップS25に進み、制御部31は、携帯機21と充電器41との接続が解除されたか否かを判定する。
【0069】
ステップS25において、制御部31が、携帯機21と充電器41との接続が解除されていないと判定した場合、処理はステップS23に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0070】
一方、ステップS25において、制御部31が、携帯機21と充電器41との接続が解除されたと判定した場合、処理はステップS26に進み、制御部31は、妨害電波発信部44を制御して、妨害電波を発信する機能を停止させる。また、制御部31は、受信制御部24が信号を受信したときに警告を行う機能をOFFにし、処理は終了する。
【0071】
以上のように、妨害電波発信部44により妨害電波を発信させることによっても、車載機12との通信を禁止させることができるので、正規なユーザ以外の者による車両11の不正利用を防止することができる。
【0072】
また、例えば、携帯機21が充電器41に接続されているとき以外でも、携帯機21が部屋内にあるときには、信号を送信する機能を停止するようにすることで、車両11の不正利用を防止することができる。
【0073】
例えば、ユーザが家屋に出入りする際に通過する玄関(通過口)に、LF波を出力するLF送信機を設置し、そのLF送信機から出力されるLF波によるLF通信エリアを利用して、制御部31は、携帯機21が部屋内にあるか否かを判断することができる。そして、その判断に従って、制御部31は、信号を送信する機能を停止することができる。
【0074】
即ち、図8に示すように、ユーザの家屋の玄関に設置されているドア51の外側にLF通信エリア52が生成され、ドア51の内側にLF通信エリア53が形成されるように、2台のLF送信機(図示せず)が玄関に設置されているとする。この場合、携帯機21を携帯したユーザが玄関を通過するときに、LF通信エリア52および53を通過した順序に基づいて、制御部31は、携帯機21が部屋内に移動したのか、または、部屋外に移動したのかを判断することができる。
【0075】
例えば、受信制御部24が、LF通信エリア52におけるLF波を受信し、具体的には、LF通信エリア52を形成するLF送信機のIDを含む応答要求信号を受信し、その後、一定時間(ユーザが玄関を通過する程度の時間)内に、LF通信エリア53におけるLF波を受信した場合、携帯機21が部屋外から部屋内に移動したと判断される。一方、受信制御部24が、LF通信エリア53におけるLF波を受信した後、一定時間内に、LF通信エリア52におけるLF波を受信した場合、携帯機21が部屋内から部屋外に移動したと判断される。
【0076】
また、受信制御部24が、LF通信エリア52におけるLF波を受信しただけで、その後、一定時間内に、信号の受信がなかった場合、携帯機21は部屋外にあると判断される。一方、受信制御部24が、LF通信エリア53におけるLF波を受信しただけで、その後、一定時間内に、信号の受信がなかった場合、携帯機21は部屋内にあると判断される。なお、これらの場合、携帯機21からの信号の送信に関する機能は変更されない。
【0077】
次に、図9は、LF通信エリア52および53を利用して、車両11の不正利用を防止する処理を説明するフローチャートである。
【0078】
例えば、ユーザがパッシブエントリーシステムを利用して車両11のドアをロックすると処理が開始され、ステップS31において、制御部31は、携帯機21が部屋外から部屋内に移動したか否かを判定し、携帯機21が部屋外から部屋内に移動したと判定されるまで、処理を待機する。
【0079】
上述したように、受信制御部24が、LF通信エリア52におけるLF波を受信した後、一定時間内に、LF通信エリア53におけるLF波を受信すると、ステップS31において、制御部31は、携帯機21が部屋外から部屋内に移動したと判定し、処理はステップS32に進む。
【0080】
ステップS32乃至S34の処理は、図5のステップS12乃至S14の処理と同様であり、その説明は省略する。
【0081】
ステップS34の処理後、または、ステップS33において、制御部31が、受信制御部24がリクエスト信号を受信していないと判定した場合、処理はステップS35に進み、制御部31は、携帯機21が部屋内から部屋外に移動したか否かを判定する。
【0082】
ステップS35において、制御部31が、携帯機21が部屋内から部屋外に移動していないと判定した場合、処理はステップS33に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0083】
一方、上述したように、受信制御部24が、LF通信エリア53におけるLF波を受信した後、一定時間内に、LF通信エリア52におけるLF波を受信すると、ステップS35において、制御部31は、携帯機21が部屋内から部屋外に移動したと判定し、処理はステップS36に進む。
【0084】
ステップS36において、制御部31は、図5のステップS16と同様に、送信制御部25を制御して信号を送信する機能を起動させ、受信制御部24が信号を受信したときに警告を行う機能をOFFにして、処理は終了する。
【0085】
以上のように、LF通信エリア52および53を利用して車載機12との通信が禁止されるので、車載機12との通信を禁止させるために充電器41に接続するなどの手間を省くことができるとともに、車載機12との通信を確実に禁止させることができる。
【0086】
なお、携帯機21が、図6の妨害電波発信部44を内蔵していてもよく、例えば、携帯機21が部屋外から部屋内に移動したと判定されたときに、制御部31が、携帯機21に内蔵されている妨害電波発信部44を制御して、妨害電波を発信する機能を起動させることで、携帯機21と車載機12との間での認証処理が行われることを禁止してもよい。
【0087】
また、携帯機21が、家屋の鍵と兼用であり、携帯機21を利用してドア51(図8)の施錠を開閉することができる場合、携帯機21によりドア51を開錠させる操作に応じて、車載機12との通信を禁止するようにすることができる。
【0088】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、一つのCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
11 車両, 12 車載機, 13 携帯機, 14 LF通信エリア, 21 携帯機, 22および23 アンテナ, 24 受信制御部, 25 送信制御部, 26 メモリ, 27 コネクタ, 28 検出部, 29 バッテリ, 30 警告部, 31 制御部, 41 充電器, 42 コネクタ, 43 電源部, 44 妨害電波発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機との通信を行う通信装置において、
前記車載機との信号の送受信を行う送受信手段と、
所定の保管領域内に前記通信装置があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、所定の保管領域内に前記通信装置があると判定された場合、前記送受信手段による前記車載機との信号の送受信を禁止する処理を行う処理手段と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記通信装置を充電する充電器との接続を検出する接続検出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記接続検出手段により前記充電器との接続が検出されると、所定の保管領域内に前記通信装置があると判定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記所定の保管領域に出入りする際に通過する通過口で出力されている信号を検出する信号検出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記信号検出手段により検出される信号に基づいて、所定の保管領域内に前記通信装置があるか否かを判定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記送受信手段による信号の送信または受信の少なくとも一方を停止することにより、前記車載機との信号の送受信を禁止する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送受信手段から出力される信号を妨害する妨害信号を発信する妨害信号発信手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記送受信手段から出力される信号を妨害する妨害信号を、前記妨害信号発信手段から発信させることにより、前記車載機との信号の送受信を禁止する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記処理手段により前記車載機との信号の送受信が禁止されているときに、前記車載機からの信号を前記送受信手段が受信した場合に警告を行う警告手段
をさらに備える請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
車載機との通信を行う通信装置の通信方法において、
所定の保管領域内に前記通信装置があるか否かを判定し、
所定の保管領域内に前記通信装置があると判定された場合、前記車載機との信号の送受信を禁止する処理を行う
ステップを含む通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−215001(P2010−215001A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60956(P2009−60956)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】