説明

通信装置及び通信装置用アンテナ

携帯電話(10)のような通信装置は、RF回路とフィード端子及び短絡端子を持つPIFAアンテナとを有する。導電性の自己支持部材(18)が前記RF回路の接点と前記アンテナとの間の接続を達成するために設けられる。前記部材(18)は、前記RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー(24,26)及び短絡ピラー(22)、並びに前記アンテナの前記端子との圧力接続を形成するアンテナインターフェース(28)を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話のような通信装置、及び前記通信装置で使用するアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
PIFA(板状逆Fアンテナ、Planar Inverted-F Antenna)は、低SAR性能を示し、ハウジング部により形成された空間内の電話回路の上に取り付けられるので、携帯電話の製造者に評判が良くなっている。結果として、PIFAは、ヘリカルアンテナが使用された場合のように前記ハウジングから飛び出す。通常、PIFAから電話回路を含むプリント回路基板(PCB)への電気接続は、短絡タブ(shorting tab)及び1以上のフィードタブ(feed tab)を有する。通常、PCB又はアンテナ天板とのインターフェースのいずれかにおいて圧力接続が行われる。
【0003】
国際特許出願明細書WO01/37369は、接地(又は短絡)素子及びフィード素子を構成する2つの折り曲げられた直角の脚を持つフレックスフィルム又は金属薄板からなるアンテナを開示している。前記脚の他端は、遊離しており、折り返されてU字形接触領域を提供する。使用において、U字形接触領域は、PCBに設けられた接点と並べられ、アセンブリは、明確な高精度、高接点圧力を達成するように固定される。この明細書は、前記脚の間に延在するインピーダンス整合素子の提供をも開示する。
【0004】
Kevin Boyle, “Radiating and Balanced Mode Analysis of PIFA Shorting Pins”, IEEE AP-S International Symposium and USNC/URSI National Radio Science Meeting, San Antonio, Texas, 16-21 June, Vol.4, pp.508-511において、従来のPIFAのフィード及び短絡ピンには著しいコモン及び差動モード電流が存在することが示されている。これは、フィード及び短絡ピンの圧力接続の品質に要望をつけ、近くの支持構造において損失を生じる。
【0005】
更に、K. R. Boyle, “Differentially Slotted and Differentially Filled PIFAs”, Electronics Letters Vol.39, No.1, pp.9-10, Jan. 2003により、フィードピンと短絡ピンとの間の隙間は、帯域幅拡大共振回路の一部を形成するように充填されることができることが示されている。これは、フィード及び短絡ピンにおいて循環電流を増加する傾向にある。共振回路の残り、即ちディスクリートキャパシタ(discrete capacitor)はPCB(又はモジュール)上に配置される。したがって、PCBとフィード及び短絡ピンとの間のインターフェースは更にクリティカルになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、PCBとフィード及び短絡ピンとの間のインターフェースをよりクリティカルでないものにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、RF回路及びアンテナを有する通信装置が設けられ、前記RF回路は、前記RF回路を前記アンテナに接続する結合手段を含み、前記結合手段は、前記RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー(feed pillar)及び短絡ピラー(shorting pillar)、並びに前記アンテナとの圧力接続を形成するアンテナインターフェースを持つ導電性の自己支持部材(self supporting member)を有する。
【0008】
本発明の第2の態様によると、RF回路構成要素を持つ支持部材とRF出力部をアンテナに接続する結合手段とを有するRFモジュールが設けられ、前記結合手段は、前記RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー及び短絡ピラー、並びに前記アンテナに結合するアンテナインターフェースを持つ導電性の自己支持部材を有する。
【0009】
本発明の第3の態様によると、少なくとも1つのRFフィード端子及び短絡端子を持つ信号伝播及び/又は受信素子と、RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー及び短絡ピラー、並びに前記少なくとも1つのRFフィード端子及び前記短絡端子に対する圧力接続を提供するアンテナインターフェースを持つ導電性の自己支持素子とを有するアンテナが設けられる。
【0010】
前記自己支持部材は、全てのクリティカルな領域がPCB又はモジュールの一部であるような前記アンテナインターフェースを移動するように機能する。前記フィード及び短絡ピラーを含む前記自己支持部材は、前記RF回路の一部である比較的小さな構成要素であり、したがってうまく制御される。自己支持構成要素である前記部材の利点は、支持構造に関する損失を受けないことである。前記RF回路のそれぞれの接点に対する前記ピラーの実質的に永久的な接続は、直接的なはんだ付けにより達成されることができる。これは、前記はんだ付けがうまく制御され、再現可能であることができ、したがって高電流と組み合わせた貧弱な接続による問題を避けることができるという利点を持つ。前記アンテナは、差動モード電流がもはや存在しない点でこの自己支持構成要素にインターフェースされる。
【0011】
本発明は、添付図面を参照して例によってここに記載される。
【0012】
図面において、同じ参照符号は対応するフィーチャを示すために使用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すると、デュアル規格、例えばGSM及びDSCの携帯電話10は、電話10の動作に必要とされるプログラムされたマイクロコントローラを含むRF、AF及び他の構成要素を持つプリント回路基板14を収容するハウジング12を有する。簡略且つ明確にするために、上述の他の構成要素は、本発明の理解に必要とされないので図示されない。
【0014】
デュアルバンドPIFA16は、自己支持導電性フィード構成要素18及び3つの取り付けポスト(mounting post)を使用してPCB14上にある。他の図示されていない実施例において、前記PIFAは、電話10のバックカバーにより支持され、フィード構成要素18に隣接する。
【0015】
図2を参照すると、構成要素18は、全体的に金属、例えば銅であるか、又は金属で被覆された絶縁材料、例えばプラスチック若しくはセラミックであってもよい。図示されたデュアルフィードの例において、構成要素18は、真ん中の短絡又は接地ピラー22と、それぞれGSM及びDCS信号用の外側のフィードピラー24及び26を有する。前記携帯電話が単一の規格の電話である場合、1つのフィードピラーのみが必要とされる。
【0016】
ピラー22、24及び26の自由な端部は、RF構成要素を持つPCB14の一部のそれぞれの接触パッド(図示されない)に固定、例えばはんだ付けされる。はんだ付けは、標準的な正確なピック・アンド・プレイス技術が使用されることを可能にする。これは、大幅に正確且つ再現可能な共振構造の製造を可能にする。
【0017】
構成要素18の上面は、アンテナインターフェース28を有する。アンテナ16との接触は圧力接続による。図3は、アンテナインターフェース28に対して弾性的に圧力をかける複数のばね接触部30を持つアンテナの例を示す。インターフェース28の大きな利用可能な領域、及びここでの差動モード電流の欠如は、このインターフェースの品質を向上する。ここでインターフェースは、アンテナインピーダンスの再現性を向上し、これはRF性能パラメータの一貫性を向上する。
【0018】
図示された前記実施例の変更例において、フィードピラー24、26と短絡ピラー22との間の隙間32、34は、帯域幅拡大共振回路の一部を形成するように充填されてもよい。前記共振回路の残り、例えばディスクリートキャパシタは、PCB14上に配置される。したがって、前記フィード及び短絡ピラーと前記PCBとの間のインターフェースは、更にクリティカルになる。必要に応じて、1以上の共振キャパシタ、例えばキャパシタ36(図2)は、構成要素18の金属で被覆された絶縁材料、例えばセラミックに埋め込まれてもよい。
【0019】
本明細書及び請求項において、要素に先行する単語“1つの”は、複数のこのような要素の存在を除外しない。更に、単語“有する”は、リストされた要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外しない。
【0020】
この開示を読むことにより、他の変更例が当業者に明らかである。このような変更例は、通信装置及び構成部分の設計、製造及び使用で既知であり、且つここに既に記載されたフィーチャの代わりに又は加えて使用されることができる他のフィーチャを含んでもよい。請求項は特定のフィーチャの組み合わせで本明細書に記載されているが、本明細書の開示の範囲は、請求項に現在記載されているのと同じ発明に関するか否かに関わらず、及び本発明と同じ技術的問題の一部又は全てを軽減するか否かに関わらず、明示的若しくは暗示的のいずれかでここに開示された新規のフィーチャ又はフィーチャの新規の組み合わせ、又はこれらの一般化をも含むと理解されるべきである。本出願人は、新しい請求項が、本明細書又は本明細書から派生した他の明細書の手続処理の間にこのようなフィーチャ及び/又はこのようなフィーチャの組み合わせで考案されるかもしれないとここで予告する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】自己支持構成要素によりPCB上のRF回路に接続されたデュアルバンドアンテナを持つ携帯電話の略図である。
【図2】デュアルバンドアンテナと使用する自己支持構成要素の斜視図である。
【図3】アンテナと自己支持構成要素との間の電気接続を達成する一実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF回路及びアンテナを有する通信装置において、前記RF回路が、前記RF回路を前記アンテナに接続する結合手段を含み、前記結合手段が、前記RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー及び短絡ピラー、並びに前記アンテナとの圧力接続を形成するアンテナインターフェースを持つことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記アンテナがデュアルバンドのデュアルフィードアンテナを有し、前記自己支持部材が前記短絡ピラーの両側に1つずつ配置された2つのフィードピラーを持つことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記自己支持部材が金属であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記自己支持部材が、金属被覆された絶縁材料を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記自己支持部材が、少なくとも1つの埋め込まれたキャパシタを持つ金属被覆された絶縁材料を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
前記アンテナがPIFAであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
RF回路構成要素とRF出力部をアンテナに接続する結合手段とを持つ支持部材を有するRFモジュールにおいて、前記結合手段が、前記RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー及び短絡ピラー、並びに前記アンテナに結合するアンテナインターフェースを持つ導電性の自己支持部材を有することを特徴とするRFモジュール。
【請求項8】
前記アンテナがデュアルバンドのデュアルフィードアンテナを有し、前記自己支持部材が、前記短絡ピラーの両側に1つずつ配置された2つのフィードピラーを持つことを特徴とする、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
前記自己支持部材が金属であることを特徴とする、請求項7又は8に記載のモジュール。
【請求項10】
前記自己支持部材が、金属被覆された絶縁材料を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載のモジュール。
【請求項11】
前記自己支持部材が、少なくとも1つの埋め込まれたキャパシタを持つ金属被覆された絶縁材料を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載のモジュール。
【請求項12】
少なくとも1つのRFフィード端子及び短絡端子を持つ信号伝播及び/又は受信素子と、RF回路のそれぞれの接点に実質的に永久に接続される少なくとも1つのフィードピラー及び短絡ピラー、並びに前記少なくとも1つのRFフィード端子及び前記短絡端子との圧縮接続を提供するアンテナインターフェースを持つ導電性の自己支持素子とを有するアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−516635(P2007−516635A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518395(P2006−518395)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002235
【国際公開番号】WO2005/006493
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】