説明

通信装置

【課題】登録電話から通信装置をロックしようとして所定の時間内に所定回数当該通信装置に発信した場合の妨害操作を無効にする。
【解決手段】着信検出部29と、ロック処理部31と、予め特定の電話番号を登録して記憶する記憶手段を備え、所定の時間内に着信検出部29が前記記憶手段に登録された電話番号からの着信を、所定回数検出すると、ロック処理部31が通信装置をロック状態にする通信装置において、通信装置は、妨害操作検出手段30を備え、妨害操作検出部30は、着信検出部29が記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内にロック妨害操作を検出した場合、ロック処理部31は、自動的に通信装置をロック状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔ロック機能を有する携帯電話などの通信装置に関するものであり、特に、遠隔ロックのための所定の電話番号を登録しておき、通信装置を紛失した場合に拾得者により不正使用されないように登録した電話番号から該通信装置に発呼することで遠隔から簡単な操作で通信装置の機能をロックできるようにした遠隔ロック機能を有する通信装置において、該ロック機能の作動が妨害されることがないようにした通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展に伴い種々の携帯型の情報通信装置(以下、携帯端末装置という)が広く普及している。このような携帯端末装置は、利用者が外出先からインターネットなどのネットワークを介して種々サービスを提供する情報配信サーバや所望のウェブサイトに接続して当該サービスを受け、あるいは情報を取得したり、自社のネットワークに接続したりして業務上必要な情報を取得することができる。

最近では、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきており、携帯電話の普及率の拡大にはめざましいものがある。携帯電話を利用したデータ通信サービスを提供する事業者も増加しており、携帯電話を利用してバンキング、インターネット販売、ナビゲーション、自動販売機、交通機関やコンビニエンスストアなどの代金決済など、様々なサービスを受けることができるようになってきている。特に携帯電話においては種々のオプションやアプリケーションが搭載可能であり、利用できるサービスの種類も豊富になってきている。
【0003】
また、第3世代と称される携帯電話にはGPS受信機が搭載され、携帯電話自体が位置する現在位置(緯度・経度)を測定することができ、携帯電話を端末装置としたナビゲーションシステムも実用化されている。このような測位システムを利用して、高齢者や児童などの位置確認や、犯罪や火災などの事件、事故における通報時の位置確認などに利用システムも種々検討されている。
【0004】
更に、利用者は、サービス事業者が提供するブラウザやアプリケーション、ゲームソフトのように携帯電話用として開発された様々なアプリケーションなどを自身が所有する携帯電話にインストールして所望のサービスや機能追加のためカスタマイズすることができる。
【0005】
近年、携帯電話の普及に伴い使用者の年齢は下がり、子供にも広がっている。例えば、親が、安全のために外出する子供に携帯電話を持たせ、いつでも自宅と連絡が取れるようにする使い方がある。
【0006】
このように子供に携帯電話を持たせる場合は、携帯電話が備えている各種機能のうち、必要以外の機能に制限(ロック)を掛ける機能(ジュニアモード(登録商標)やキッズモードと称される)が一般に用いられている。このように携帯電話の種々の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードを有する携帯電話は、例えば、下記の特許文献1(特開2005−277930号公報)に開示されている。
【0007】
この機能を利用すると、例えば、着信は無制限で、発信は特定の電話番号にだけ可能にしたり、インターネットを利用するメールサービスやデータ通信サービス機能に制限を設定して利用できないようにしたりすることができる。これにより、子供に持たせた場合は自宅にだけ発信できるように設定することにより、いたずらに電話をかけることができなくなる。また、社員に持たせた場合は、会社にだけ発信できるように設定することにより、私用に使うことができなくなる。
【0008】
また、携帯電話は屋外に携帯して使用するという性質上、盗難されたり紛失したりする
可能性が高い。盗難者に使用されてしまうとその使用料を事業者から請求されることとなる。このような問題を解決するために、下記の特許文献2(特開平11−32369号公報)には携帯電話の各種機能をロックできるようにした携帯型の通信装置が開示されている。
【0009】
この特許文献2に開示された携帯型通信装置は、留守録手段と、「発信機能」や「電話帳機能」等の各種機能を操作する操作部と、各種機能のロックを設定/解除するロック手段/ロック解除手段を備えた携帯型の通信装置に対して、外部の通信装置から発信することにより、留守録手段を起動させ他の通信装置と通信状態としたときに、他の通信装置の遠隔操作でロック手段を作動可能としたものである。
【0010】
すなわち、特許文献2に開示された携帯型の通信装置は、留守録手段を利用して他の通信機器からの遠隔操作によって、ダイヤルロックや電話帳ロック等の各種動作を行なえるように構成したものであり、これにより、キーロックをかけ忘れた状態のまま装置が盗難されても他の電話機から遠隔操作でキーロックすることができるため、他人による不正な利用を防止することができるようになる。
【0011】
更に、下記の特許文献3(特開2007−135153号公報には、携帯電話に特定の電話番号、例えば、携帯電話の所持者の両親の携帯電話や家庭に設置された固定電話の電話番号を登録しておき、紛失時には登録した電話番号の電話機から携帯電話に発呼し、携帯電話が該特定の電話機からの着信を検出したことにより、該紛失した携帯電話を機能ロックする携帯電話が開示されている。
【0012】
すなわち、この特許文献3に開示された携帯電話は、複数の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードと、携帯電話が動作しないようにロックする動作モードを有する携帯電話において、携帯電話は、着信検出部と、ロック処理部と、予め特定の電話番号を登録して記憶する記憶手段を備え、着信検出部が記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出すると、ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−277930号公報(図1)
【特許文献2】特開平11−32369号公報(図3、段落[0049]〜[0051])
【特許文献3】特開2007−135153号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記特許文献3に開示された携帯電話の遠隔ロック機能においては、携帯電話に登録された電話番号の電話機から着信があった場合に携帯電話に設定した所定の機能をロックするものであるが、機能をロックするための条件として、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出した場合に機能ロックを能動化するようにした携帯電話も提案されている。このようにすれば、登録電話からの着信と機能ロックのための着信とを区別することができるようになる。
【0015】
しかしながら、携帯電話を紛失した際に登録電話から携帯電話をロックしようとして所定の時間内に所定回数当該携帯電話に発信した場合、携帯電話の不正取得者が次のような操作を行った場合には、携帯電話の機能ロックが妨害されるという問題点が生じる。すなわち、携帯電話の不正取得者が登録電話を含む他の電話機からの着信に対して直ちに携帯電話の電源をオフして所定時間内の複数回の着信ができないようにした場合、あるいは、他の電話機からの着信に対して直ちに着信拒否の設定をして所定時間内の複数回の着信ができないようにした場合である。このような操作が行われた場合には、所定時間内に所定回数登録電話から着信があった場合という条件が成立しなくなり、携帯電話の遠隔ロックが妨害され不正使用の防止ができないという問題点が生じる。
【0016】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出した場合に機能ロックを能動化するようにした通信装置において、登録電話番号の電話機からの着信を検出した後、所定の時間内に上記のような遠隔ロック妨害操作を検出した場合には、ロック機能を自動的に能動化するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出した場合に機能ロックを能動化するようにした通信装置において、登録電話から通信装置をロックしようとして所定の時間内に所定回数当該通信装置に発信した場合の妨害操作を無効にするようにした通信装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の通信装置は、着信検出部と、装置をロック状態又は解除するロック処理部と、電話番号を記憶する記憶手段を備え、所定の時間内に前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を所定回数検出すると、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にする通信装置において、前記通信装置は妨害操作検出部を備え、前記妨害操作検出部は、前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内にロック妨害操作を検出した場合、前記ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にすることを特徴とする。
請求項2に記載の通信装置は、着信検出部と、装置をロック状態又は解除するロック処理部と、電話番号を記憶する記憶手段と、操作部と、を備え、所定の時間内に前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を所定回数検出すると、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にする通信装置において、前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に前記操作部より電源オフの操作を検出した場合、前記ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にすることを特徴とする。
請求項3に記載の通信装置は、請求項2に記載の通信装置であり、前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に前記操作部より電源オフの操作を検出した場合、前記ロック処理部が自動的に前記通信装置をロック状態にすると共に通信装置の電源がオフとなり、続いて前記操作部から電源オン操作があると、前記ロック処理部は装置のロック状態を維持することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の通信装置は、着信検出部と、装置をロック状態又は解除するロック処理部と、電話番号を記憶する記憶手段と、操作部と、を備え、所定の時間内に前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を所定回数検出すると、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にする通信装置において、前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に前記操作部より電源オフの操作を検出した場合、当該電源オフ操作を無効とすると共に前記ロック処理部が自動的に前記通信装置をロック状態にすることを特徴とする。
請求項5に記載の通信装置は、請求項4に記載の通信装置であり、更に装置の現在位置を検出する現在位置検出部と、送信部を有し、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にすると、前記現在位置検出部が自動的に通信装置の現在位置を検出し、検出した現在位置を前記送信部が所定の宛先に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1にかかる発明においては、通信装置は、妨害操作検出部を備え、妨害操作検出部は、着信検出部が記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内にロック妨害操作を検出した場合、ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にするものであるから、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出して通信装置をロックする際に、不正取得者による妨害操作を排除にすることができ、通信装置の遠隔ロックを正常に行うことができるようになる。
【0021】
また、請求項2にかかる発明においては、通信装置は、操作部を備え、操作部は、着信検出部が記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に電源オフ操作を検出した場合、ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にするものであるから、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出して通信装置をロックする際に、不正取得者による妨害操作を排除にすることができ、通信装置の遠隔ロックを正常に行うことができるようになる。
【0022】
また、請求項3にかかる発明においては、更に電源オフから電源オンの操作があった際にロック状態を維持するため、不正取得者による妨害操作を排除にすることができ、通信装置の遠隔ロックを正常に行うことができるようになる。
【0023】
また、請求項4にかかる発明においては、通信装置は、操作部を備え、操作部は、着信検出部が記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に電源オフ操作を検出した場合、ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にすると共に電源オン状態を維持するものであるから、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出して通信装置をロックする際に、不正取得者による妨害操作を排除にすることができ、通信装置の遠隔ロックを正常に行うことができるようになる。
【0024】
また、請求項5にかかる発明においては、ロック状態になると自動的に現在位置情報を特定の相手先に送信するものであるから、ユーザは紛失した通信装置がどこにあるかを知ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1にかかる通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の通信装置の外観を示す外観図である。
【図3】通信装置の機能制限を設定する機能制限テーブルのデータ構成を示す図である。
【図4】機能設定モードを設定する際の通信装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】遠隔から通信装置をロックする際の通信装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための通信装置を例示するものであって、本発明をこの通信装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の通信装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明の実施例1にかかる通信装置の構成を示す図である。以下の実施例においては、通信装置として携帯電話10を例に本発明を説明する。図2は図1の携帯電話10の外観を示す外観図である。図1のブロック図には、携帯電話10は、通話部11と本発明に係る操作制御部21から構成されている。通話部11は、マイク12とスピーカ13と無線部14とから構成されており、無線部14は、アンテナ、送受信回路、変復調回路、圧縮伸長回路、音声コーデック等を含んでおり、無線部14を介してマイク12から入力された音声を音声信号として送信し、通話の相手方の音声信号を受信してスピーカ13に出力する。
【0028】
操作制御部21は、主制御部22、表示部23、操作部24、機能制御部25、機能制限テーブル26、モード制御部27、モード記憶部29、着信検出部29、妨害操作検出手部30、ロック処理部31を備えて構成されている。主制御部22は、マイクロコンピュータ、RAM、ROM等からなりコンピュータ装置として機能し、無線部14および操作制御部21の上記各部を制御する。また、表示部23、操作部24は、携帯電話10における通話のための表示および操作の他に、インターネット網を介したデータ通信のための操作および表示にも使用される。操作部24は、通話時に電話番号入力をするため、また、電子メールをはじめとするインターネット網を介した各種のデータ通信サービスを利用するために所望の文字列を入力するために使用される。
【0029】
操作部24には、通話キー241、機能選択キー243、テンキー245が設けられ、通話時にはテンキー245を操作して電話番号を入力し、通話キー241を操作すると発信できる。また、テンキー245には英文字、カタカナ、ひらがなの文字が割り当てられ、図示していない英数カナ変換制御部により文字コード変換が行われる。文字コード変換は、入力モードが英数カナあるいはかな漢字変換モードであるかによりそれぞれ操作されたキーに応じた入力文字コードに変換される。機能選択キー243は携帯電話10の所定の機能を有効にするキーであり、メーカー、機種によりこのキーに割当てられる機能は異なる。
【0030】
図2は、図1に示す携帯電話10の外観を示す図である。携帯電話10は液晶表示ユニットなどで構成された表示部23と操作部24とを備えており、操作部24には通話キー241と機能選択キー243と複数のテンキー245が設けられ、また、参照番号を付していないモードキーや表示部23に表示された画面の特定表示画像を操作するためのカーソルキーなどを備えている。
【0031】
携帯電話10は、子供に持たせる場合に機能制限を設定して動作させる「機能制限モード」いわゆる「ジュニアモード(登録商標)」、携帯電話の紛失時などに発信機能などを禁止する「ロックモード」を有している。機能制限モードにおいて制限を設ける機能は、表示部23に設定入力画面を表示し、表示された機能のうち制限を加える機能を選択し、制限に条件をつける場合には制限条件を入力することによって決定することができる。このようにして選択された機能、入力された条件は機能制限テーブル26に記憶され、機能制御部25は機能制限テーブル26に記憶された情報に基づいて携帯電話10に許可された機能のみを動作させる。
【0032】
図3は機能制限テーブル26のデータ構成を示す図である。図3に示すように機能制限テーブル26は機能コード欄261、機能名称欄262、条件欄263、制限欄264を備えており、機能制限を設定する場合ユーザは制限しようとする機能を選択し、制限欄264にオン(ON)、オフ(OFF)を設定する。オンに設定された機能は制限され、オフが設定された機能が制限されない。
【0033】
例えば、図3において、発信は携帯電話10からの発信機能を示し、制限欄264にオンが設定されており機能が制限される。条件欄263には機能制限の条件として登録電話番号が設定されている。登録電話番号は携帯電話10に発信を許可する電話番号であり、例えば、親の携帯電話番号や家庭の固定電話の電話番号など、子供に発信を許可する電話番号を設定する。この登録電話番号は特定の記憶領域に記憶してもよく、電話帳に登録した電話番号に発信を許可する登録電話番号を示すフラグを記憶しておく方法でもよい。電子メールの発信機能についても同様の設定がなされている。
【0034】
着信の機能については制限欄264にオフが設定されており、携帯電話10への着信は無条件に許可される。留守電録音、メール着信についても同様の設定がなされている。電話帳の機能、データ通信アプリの機能については制限欄264にオンが設定されており、条件欄263には何も設定されておらず、無条件に使用が制限される。すなわち、電話帳に新規に電話番号登録したりメールアドレスを登録したりすることは禁止される。また、インターネットを経由した種々のデータ通信サービスを利用することも禁止される。
【0035】
携帯電話10は上記の機能制限モードの他に携帯電話の置き忘れや紛失に備え、不使用時に発信等の機能を使用できないようにロックするロックモードを有しており、機能制限モードを設定した場合、ロックモードは解除しておくようにされる。この理由は先に述べたように子供が機能制限モードに設定した携帯電話10を誤って操作し、ロックモードに設定してしまうと、暗証番号やパスワードを知らされていなかったり、忘れてしまったりした場合にロックモードを解除できず、緊急時に親への通話連絡ができないなどの不都合を生じるためである。
【0036】
機能制限モードやロックモードの設定状況はモード記憶部28に記憶され、モード制御部27はモード記憶部28に記憶された設定に従って携帯電話10の動作を制御する。上記のように機能制限モードが設定され、ロックモードが解除された状態で、子供が携帯を置き忘れたり、紛失したりすると、拾得者によって携帯電話が不正に使用され、その料金を負担しなければならない場合が生じる。
【0037】
従って携帯電話10の紛失や置き忘れが起こった場合、何らかの方法で当該携帯電話10をロックモードに設定できることが必要である。この場合、他の電話機から紛失した携帯電話に発信して当該携帯電話10をロックモードに設定するために暗証番号やパスワードを用いると、とっさの場合にロックモードへの設定処理が行えないことがある。長期間使用していないと暗証番号やパスワードを忘れることがあり、また、これを記録したメモなどが見つけられないこともあるからである。
【0038】
そこで、携帯電話10には、親の携帯電話や家庭の固定電話、親の勤務先の電話など特定の電話番号が遠隔ロックのーために登録され、当該登録した特定の電話番号の電話からの着信が所定時間(例えば、5分間)の内に、所定回数着信(例えば、着信3回)があったことを検出し、携帯電話10のロックモードをオンする、すなわち携帯電話10をロックするように構成されている。
【0039】
このため、携帯電話10は着信検出部29とロック処理部31を備えている。着信検出部29は、前述したように携帯電話10に予め設定された特定の電話番号の電話機、例えば、親の携帯電話からの着信か否かを検出し、所定の時間内に所定の回数着信があったか否かを検出する。着信検出部29が予め設定された特定の電話番号の電話からの着信が所定の時間内に所定の回数あったことを検出すると、ロック処理部31は携帯電話10の機能をロックする。ロック処理は全てのキー入力を無効にする処理でよいが、電話の発信を禁止、あるいは、データ通信機能の起動を禁止する処理でもよい。
【0040】
ここで、携帯電話10を不正に入手した第3者が、携帯電話10がロックされることを妨害する操作を行うことが考えられる。例えば、携帯電話10に登録電話番号またはその他の電話番号の電話機から着信があった場合に、前記所定の時間(5分)内に、携帯電話10の電源をOFFにする操作、あるいは、着信があった電話番号に対して着信拒否の設定をする操作などである。このような操作が行われると、登録電話番号から携帯電話10を遠隔ロックするために、所定時間内に所定回数の発呼を行っても、携帯電話10において所定回数の着信を検出できず、ロック条件が満たされなくなってしまう。
【0041】
そこで、本実施例においては、このような妨害操作を検出する妨害操作検出部30が設けられており、妨害操作検出部30は、携帯電話10に登録電話番号またはその他の電話番号の電話機から着信があった際に、所定の時間(5分)内に、携帯電話10の電源をOFFにする操作、あるいは、着信があった電話番号に対して着信拒否の設定をする操作がなされたか否かを検出する。なお、妨害操作検出部30は、着信検出部29が登録電話からの着信を検出した場合にのみ妨害操作を検出するように動作するように構成される。
【0042】
そのような操作があった場合には、妨害操作検出部30からの信号を受けて、ロック処理部31は次のようにロック処理を行う。すなわち、電源OFF操作が検出された場合は、ロック処理部31は、自動的に携帯電話10をロック状態にする。そして、電源が再度ONされた時には、携帯電話10のロックを解除するための暗証番号等の入力を要求する。ロック解除の暗証番号が入力されなければロック状態が解除できず、不正所持者による不正使用はできなくなる。
【0043】
また、ロック処理部31は妨害操作検出部30から、所定時間内の着信拒否設定を検出したことを示す信号を受けると、ロック処理部31は、自動的に携帯電話10をロック状態にする。この際、着信拒否の設定オン検出と同時に携帯電話をロック状態にするが、実際にはその電話番号は着信拒否されない。従って、登録電話番号の所定回数の着信を検出すると、通常のロック状態と同様になる。
【0044】
更に、妨害操作検出部30は、前述のような妨害操作を検出するのみならず、電源OFFによる妨害操作を不能ならしめるため、着信検出部29が登録電話からの初回の着信を検出した後、所定時間内の電源OFF操作や着信拒否設定操作を禁止するように構成することができる。このようにすれば、妨害操作そのものが実行できなくなり、登録電話からの遠隔ロックが妨害されることがなくなる。
【0045】
次に、携帯電話10の動作を図4、図5に示すフローチャートを参照して説明する。図4は、機能制限モードを設定する際の携帯電話の動作手順を示すフローチャートであり、図5は携帯電話10を紛失したり、置き忘れたりした場合に親が遠隔から携帯電話をロックする際の携帯電話の動作手順を示すフローチャートである。
【0046】
親が携帯電話10を子供に手渡す前にユーザが機能制限を設定する場合、図4のフローチャートに示すように、ステップS11の処理において操作部24を操作して制限モード設定の処理を選択する。ステップS12の処理において表示部23に表示された機能一覧からを制限する機能を選択し、次いでステップS13の処理において操作部24を操作してオン・オフ設定、条件設定を行う(図3参照)。
【0047】
次に、ステップS14の処理においてユーザが設定処理を終了したか否かを判別する。設定処理が終了していなければステップS12の処理に戻り、設定処理を終了する処理が行われていれば、主制御部22は処理を終了する。
【0048】
機能制限モードに設定した携帯電話10を紛失したり、置き忘れたりした場合に親が携帯電話10を遠隔からロックモードに設定する際は、図5に示すフローチャートにおいて、親は予め携帯電話10に登録してある電話番号、すなわち、自分の携帯電話や家庭の固定電話あるいは勤務先の電話から携帯電話10に電話をかける。
【0049】
携帯電話10はステップS21の処理において着信があったか否かを検出する。着信がなければステップS21の処理を繰り返す。着信が検出されると、着信検出部29は携帯電話10に予め登録された電話番号の電話機からの着信か否かをステップS22の処理において判別する。登録された電話番号の電話機からの着信でない場合には、ステップS32の処理に進み、携帯電話10は通常の着信処理を行い、着信処理が終了すればステップS21の処理に戻る。
【0050】
ステップS22の判別処理において、登録された電話番号の電話機からの着信であることが検出されると、着信検出部29は、タイマのカウント処理を開始し(ステップS23)、着信回数のカウントを1加算する(ステップS24)。なお、着信回数をカウントするカウンタの初期値はゼロである。
【0051】
次いで、ステップS25の処理において妨害操作検出部30は、妨害操作(電源OFFの操作あるいはS21ステップで着信のあった相手先を着信拒否相手先として登録する操作)があるか否かを検出する。妨害操作が行われたことを検出すると、ステップS34の処理に進み、ロック処理部31は携帯電話10をロック(ロックモードをオンに設定)して処理を終了する。
【0052】
一方、ステップS25の処理において、妨害操作が検出されない場合はステップS26の処理に進み、着信検出部29は、着信があったか否かを検出する。着信がなければステップS25の処理に戻る。着信が検出されると、着信検出部29は携帯電話10に予め登録された電話番号の電話機からの着信か否かをステップS27の処理において判別する。登録された電話番号の電話機からの着信でない場合には、ステップS33の処理に進み、携帯電話10は通常の着信処理を行い、着信処理が終了すればステップS25の処理に戻る。
【0053】
登録された電話番号の電話機からの着信が検出されると(ステップS27のYES)、着信回数のカウントを1加算8(ステップS28)して、ステップS29の処理で所定の着信回数(この場合は5回を例にしている)に達したかを判別する。所定の回数に達したならば、ステップS34の処理に進み、ロック処理部31は携帯電話10をロック(ロックモードをオンに設定)して処理を終了する。
【0054】
所定の回数に達していなければ、ステップS30に進み、タイマカウントが所定の時間をカウントアップしたかを判別する。カウントアップしていなければ(ステップS30のNO)ステップし25の処理に戻る。
【0055】
ステップS30の判別処理で、タイマカウントが所定の時間をカウントアップしていれば(ステップS30のYES)、ステップS31の処理で着信検出部29は、タイマカウント、回数カウントを初期値にクリアしてステップS21の処理に戻す。例えば、タイマカウントの初期値はゼロであり、カウントアップ値が5分である場合には、5分を経過すると初期値にクリアされる。
【0056】
なお、図5の処理手順は、妨害操作検出部30が妨害操作を検出する例を示す手順を説明したが、前述したように妨害検出部30が登録電話からの着信検出により、妨害操作(電源OFF操作や着信拒否設定操作)を無効とすることもできる。この場合は、図5のステップS25の妨害操作検出の処理に変えて、妨害操作を禁止する(無効にする)処理とすればよい。これにより携帯電話10の不正使用者による妨害操作ができなくなる。
【0057】
以上説明したように、本発明にかかる通信装置によれば、所定の時間内に所定の回数登録された電話番号の電話機からの着信を検出して通信装置をロックする際に、不正取得者による妨害操作を排除にすることができ、通信装置の遠隔ロックを正常に行うことができるようになる。
【0058】
なお、上記の実施例においては、通信装置として携帯電話の種々の機能の有効、無効を設定できる構成の、いわゆるキッズ携帯を例にとって、遠隔ロックにより当該有効にされた機能をロックする説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、一般的な構成の携帯電話を含む各種の通信装置に適用することが可能である。
【0059】
又、以上説明した実施形態に限らず以下のような構成としても良い。
(1)本実施例装置では、S21ステップにおいて着信のあった相手先をS25ステップにおいて着信拒否相手先として登録する操作を行い、S34ステップにおいてロックモードを設定する構成としたが、S25ステップにおける着信拒否相手先の登録は実際には行わずにロックモード設定となる構成としも良い。
(2)本実施例装置では、S21ステップにおいて着信のあった相手先をS25ステップにおいて着信拒否相手先として登録する操作を行い、S34ステップにおいてロックモードを設定する構成としたが、S25ステップにおける着信拒否相手先の登録は実際には行わずに、且つ表示部には着信拒否設定が完了した旨を表示し、あたかも着信拒否が登録されたように第三者に見せる構成としても良い。
(3)本実施例装置では、S25ステップにおいて電源オフする操作があると、S34ステップにおいてロックモードを設定する構成としたが、電源オフ操作があっても電源オフを禁止し、電源オンの状態を維持する構成としても良い。
(4)更に、例えばGPSシステム等により、現在位置の情報を受信可能とし、ロックモードを設定すると、自動的にGPSにより受信した現在位置を、特定の相手先に送信する構成としてもよい。より具体的には、現在位置の情報を添付データとして、特定の相手先にメールを送信する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10・・・通信装置(携帯電話)
11・・・通話部
12・・・マイク
13・・・スピーカ
14・・・無線部
21・・・操作制御部
22・・・主制御部
23・・・表示部
24・・・操作部
25・・・機能制御部
26・・・機能制限テーブル
27・・・モード制御部
28・・・モード記憶部
29・・・着信検出部
30・・・妨害操作検出部
31・・・ロック処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信検出部と、装置をロック状態又は解除するロック処理部と、電話番号を記憶する記憶手段を備え、所定の時間内に前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を所定回数検出すると、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にする通信装置において、
前記通信装置は妨害操作検出部を備え、前記妨害操作検出部は、前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内にロック妨害操作を検出した場合、前記ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にすることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
着信検出部と、装置をロック状態又は解除するロック処理部と、電話番号を記憶する記憶手段と、操作部と、を備え、所定の時間内に前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を所定回数検出すると、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にする通信装置において、
前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に前記操作部より電源オフの操作を検出した場合、前記ロック処理部は、自動的に前記通信装置をロック状態にすることを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置であり、
前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に前記操作部より電源オフの操作を検出した場合、前記ロック処理部が自動的に前記通信装置をロック状態にすると共に通信装置の電源がオフとなり、続いて前記操作部から電源オン操作があると、前記ロック処理部は装置のロック状態を維持することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
着信検出部と、装置をロック状態又は解除するロック処理部と、電話番号を記憶する記憶手段と、操作部と、を備え、所定の時間内に前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を所定回数検出すると、前記ロック処理部が通信装置をロック状態にする通信装置において、
前記着信検出部が前記記憶手段に記憶された電話番号からの着信を検出した後、所定の時間内に前記操作部より電源オフの操作を検出した場合、当該電源オフ操作を無効とすると共に前記ロック処理部が自動的に前記通信装置をロック状態にすることを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通信装置であり、
更に装置の現在位置を検出する現在位置検出部と、送信部を有し、
前記ロック処理部が通信装置をロック状態にすると、前記現在位置検出部が自動的に通信装置の現在位置を検出し、検出した現在位置を前記送信部が所定の宛先に送信することを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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