説明

通信装置

【課題】本発明の目的の1つは、再送制御により所定周期外の再送信が生じ得る場合に、受信動作、送信動作の無駄を少なくすることである。
【解決手段】本発明では、所定の周期で到来するタイミング毎に送信されるデータの受信処理を行う通信装置において、該所定の周期に従って第Mのタイミングで送信されたデ ータを正常に受信できた場合に、正常に受信できたことを示す信号を送信する送信部と、 該送信の後、該所定の周期に従った次の第M+1のタイミングが到来するまでの間に少な くとも前記受信処理とは異なる他の受信処理を行う期間又は受信処理を行わない期間を設 ける制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする通信装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を送受信する通信装置(送信装置、受信装置)、送信方法、受信方法に関する。本発明は、例えば、送信装置から受信装置に送信したデータが、受信装置において正常に受信できなかった場合に、送信装置から再送信を行うような再送制御を導入している場合に適用するのが好適である。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムを初めとする無線通信システムにおいては、送信装置から受信装置に対して無線信号が送信される。無線信号の例としては、例えば、パケットデータ等が挙げられる。パケットデータのデータ部に格納されるデータは種々のデータがあり、文章データ、画像データに限らず、音声データ等も格納されることがある。連続送信を行わない場合は、無線信号の送信は所定周期で行うことが一般的で、例えば、20ms周期で送信が行われる。
【0003】
しかし、送信装置から無線信号を送信したものの、受信装置がその無線信号を正常に受信できるという保証はない。即ち、送受信は無線回線を利用して行われるため、送信信号は、伝搬路の影響(例えばフェージング)を受け、受信装置が送信信号を受信して得られた受信信号に誤りが発生することもある。もちろん、送信信号を誤り訂正符号化することにより受信装置において誤り訂正復号を行って誤りを訂正し、正常な受信データを生成することもできる。しかし、誤りの程度によっては、誤りを完全に訂正できずに、正常な受信データを得ることができない場合がある。
【0004】
そのようなことに配慮して、受信装置において送信信号の受信結果を判定し、その受信結果を送信装置にフィードバックすることで、送信装置から再送信を行う技術がある。
【0005】
図1は、再送制御を導入した場合の従来のデータ送受信処理方法を示す。
【0006】
図のように、送信装置は、20ms周期で次々にデータ(例えば、音声パケットデータ)を送信し、受信装置は、送信されたデータの受信を試みる。そして、受信装置は、正常に受信できた場合は、ACK信号を送信する。送信装置は、ACK信号を受信した場合は、送信が正常に行われたと認識し、次の送信タイミングで他の送信信号(例えば、同じ受信装置宛の次の送信信号)を送信する。しかし、図のように3回目の送信は、無線回線の影響によりエラーとなり、受信装置が正常に受信できなかった場合は、受信装置はNACK信号を送信する。送信装置は、NACK信号を受信した場合は、送信が正常に行われなかったと認識して再送信を実行し、受信装置は再送信されたデータを更に受信する。再送信の受信が成功した場合は、ACK信号が受信装置から送信され、次の送信タイミングで、次のデータが送信される。このように、再送制御を導入することで、初期送信に失敗しても、1回以上の再送信によって送信を成功させることができることとなる。
【0007】
上述した再送制御等について非特許文献1〜3が知られている。
【非特許文献1】3GPP TS25.212
【非特許文献2】3GPP TS25.321
【非特許文献3】3GPP TS36.212
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先に説明したように再送制御を導入することで、送信装置から受信装置に対するデータ伝送を成功させる機会が増えることとなるが、再送制御が行われるため、単純に所定の周期で間欠受信を行うといった制御を行うことができない。
【0009】
従って、本発明の目的の1つは、再送制御により所定周期外の再送信が生じ得る場合に、受信動作、送信動作の無駄を少なくすることである。
【0010】
尚、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、所定の周期で到来するタイミング毎に送信されるデータの受信処理を行う通信装置において、該所定の周期に従って第Mのタイミングで送信されたデータを正常に受信できた場合に、正常に受信できたことを示す信号を送信する送信部と、該正常に受信できたことを示す信号を送信した場合に、再送制御処理が行われたか否かを判定し、再送制御処理が行われた場合は、正常に受信できたことを示す信号を送信する制御部と、を備えたことを特徴とする通信装置を用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再送制御により所定周期外の再送信が生じ得る場合に、受信動作、送信動作の無駄を少なくするこができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
〔a〕第1実施形態の説明
送信装置から所定の周期で無線信号が送信される場合に、受信装置は、その周期に合わせて受信を行うことでその無線信号を受信することができる。そして、その周期外で送信(再送信)が行われるかどうかについては、受信装置が自身が送信する信号の種類に応じて判定することができる。即ち、ACK信号を送信する場合は周期外での送信(再送)は生じず、NACK信号を送信する場合は、周期外での送信(再送)が生ずる。
【0015】
そこで、この実施形態では、送信周期に合わせて間欠受信制御を行う受信装置において、NACK信号を送信する場合には、ACK信号を送信する場合に対して間欠受信制御による受信動作期間を長く設定することとする。設定する長さの例としては、例えば、再送信(例えば最初の再送信)により送信される無線信号を受信するまでの期間とすることができる。もちろん、再送信に対して更にNACK信号を送信する場合は、更に送信される再送信(2回目の再送信)を受信するまでの期間とすることができる。
【0016】
尚、NACK信号を送信する場合は、送信周期に対応する時間分ずっと受信部の電源をオンにし、ACK信号を送信する場合は、受信が完了することで受信部の電源をオフにして消費電力の削減を図ることもできる。
【0017】
しかし、NACK信号を送信するような受信環境が良好でないと想定されるような状況下につき、送信周期の1/2〜2/3以上の期間、受信部が、再送信の受信を行う期間に割り当て、残りの1/3〜1/2の期間は周辺基地局からの信号の受信品質の測定(サーチ)期間に割り当てることもできる。即ち、他の受信処理を行うように受信処理部を制御することもできる。
【0018】
図2は、送受信処理の第1の例を示す。
【0019】
図のように、送信装置は、例として20msを周期としてデータ(例えば音声パケットデータ)を送信し、受信装置は、その周期に合わせて間欠受信を行う。そして、データを正常に受信でき、ACK信号を送信する場合は、データ受信のための受信動作には所定期間(T1)割り当て、NACK信号を送信する場合は、データ受信のための受信動作には所定期間(T2(T1<T2))割り当てるのである。尚、T2は、少なくとも1回の再送信を受信可能の期間である。再送を複数回行う場合は、最後の再送信を受信し終わるように期間T2をTLに設定してもよい。
【0020】
また、第2の例として、NACK信号を送信したにもかかわらず、送信装置がこのNACK信号を受信できない場合もある。このような場合、再送信は行われないので、更にNACK信号を送信して更なる再送信を期待することもできるが、相当の時間がかかる。
【0021】
そこで、受信装置は、NACK信号を送信したにもかかわらず、再送信を正常に受信しない場合(又は再送信を行うことの事前通知(予告)を受信しない場合)は、次の周期的な送信タイミングが訪れるまでデータの受信動作のために受信部を割り当てないように制御することもできる。即ち、例えば、受信部の電源をオフにしてしまったり、サーチ期間に割り当てることもできる。
【0022】
図3は、送受信処理の第2の例を示す。
【0023】
図のように、最初の送信信号を正常に受信できなかった受信装置は、NACK信号を送信し、再送の受信動作を試みるが、再送信の受信をしなかった(又は再送信を行うことの事前通知を受信しなかった)ため、その後は、受信部を再送データの受信待機状態から開放している。一方、3番目の送信信号についても正常に受信が行われなかったため、受信装置は、NACK信号を送信装置に対して送信する。ここでは、送信装置はNACK信号を受信できたため、再送信を実行する。受信装置は、最初の再送信を受信できたため、ACK信号を送信し、その後、受信部を再送データの受信待機状態から開放している。尚、開放時の動作については、第1の例と同様でもよい。
【0024】
以上が、第1実施形態における第1の例、第2の例の基本的な制御の流れであるが、このような制御に対応した受信装置の構成について図4を用いて説明しておく。
【0025】
図4は、受信装置の構成の1例を示す。
【0026】
1は受信アンテナ、2は受信処理部、3は受信結果判定装置、4は受信制御装置、5はタイマ、6はACK、NACK信号生成装置、7は送信処理部、8は送信アンテナをそれぞれ示す。
【0027】
受信アンテナ1は送信装置から送信される周期的な送信信号及び再送される送信信号の受信を行う。受信アンテナで受信された信号は受信処理部2において、送信の際に適用される送信形式に応じた受信処理を施して受信データを復調、復号(誤り訂正復号を含んでもよい)により得る。尚、送信形式は、送信装置から送信される送信予告に含めることもできるし、所定の形式であると推定することもできる。受信処理部2で得られた受信データは、受信結果判定装置3に与えられ、受信が正常に行われたかどうかの判定が行われる。例えば、送信装置が送信データに対して誤り検出符号化処理(CRC演算結果の付加等)を施した場合、それを用いて誤り検出を行い、結果をACK、NACK信号生成装置6に与える。尚、正常に受信できた場合は、受信データは、左側の不図示の受信データ処理部に与えられ、必要に応じてディスプレイに表示されたり、音としてスピーカから出力されたり、外部装置に出力されたりする。尚、正常に受信できなかった場合、そのデータは破棄することもできるが、受信結果判定装置の内部の記憶部にそのデータを記憶しておき、次の再送により受信データとの合成を可能としてもよい。そして、受信処理部は、合成後のデータに基づいて復号を行いその結果を受信判定装置3に与えることとしてもよい(いわゆるハイブリッドARQ方式)。
【0028】
さて、受信結果を取得したACK、NACK信号生成部6は、受信結果が正常に受信できたことを示す場合はACK信号を出力し、受信結果が正常に受信できなかったことを示す場合はNACK信号を出力する。送信装置は、応答信号(ACK信号、NACK信号)について送信処理を施して無線信号を生成し、送信アンテナ8から送信する。応答信号の送信タイミングは、パケットの送信タイミングから所定のオフセット時間経過後とすることもできる。
【0029】
尚、送信アンテナ、受信アンテナはデュプレクサ等を用いて共用アンテナとすることもできる。
【0030】
受信制御装置4は、タイマ5からのタイミング信号に基いて各受信部の制御を行う。尚、他の各部の制御は、制御部9により行われる。
【0031】
図5は、受信装置内の制御フローの1例を示す。尚、この制御は、主として受信制御装置4の制御により実行される。
【0032】
受信制御装置4は、受信動作を開始するように制御し、パケットを受信したか否か判定する(S1)。
【0033】
ここで、受信した場合は、受信パケットは、正しく受信できたかどうかの判定を受信結果判定装置3により行う(S2)。
【0034】
正しく受信できた場合は、ACK信号がACK、NACK信号生成装置6により生成され、送信処理部7、送信アンテナ8から送信される(S3)。
【0035】
一方、正しく受信できなかった場合は、NACK信号が、ACK、NACK信号生成装置6により生成され、送信処理部7、送信アンテナ8から送信され(S5)、受信制御装置4は、再送パケットの受信を行うべく受信処理部2等を電源オフ等にせずに受信待機とする。その後は、S1の判定に戻る。
【0036】
S3でACK信号を送信すると、パケットデータの受信停止処理が行われる(S4)。受信停止処理の例としては、例えば、受処理部等の電源をオフとしたり、サーチ期間に割り当てることが挙げられる。
【0037】
その後、受信制御装置4は、次の送信タイミングに合わせて受信処理部2等を制御して次のパケットの受信を行い、判定S1に戻る。
【0038】
S1の判定で所定の周期の送信タイミングでパケットを受信しなかった場合は、再送を期待してNACK信号を送信後と同様に受信処理部2の電源をオフせずに、再送されるパケットの受信判定を行う(S1)。
【0039】
図6は、受信装置内の制御フローの他の1例を示す。尚、この制御は、受信制御装置等の制御により実行される。
【0040】
受信制御装置4は、送信タイミングに合わせて受信動作を開始するように制御し、パケットを受信したか否か判定を行う(S1)。
【0041】
ここで、パケットを受信した場合は、受信パケットは、正しく受信できたかどうかの判定を受信結果判定装置3により行う(S2)。
【0042】
正しく受信できた場合は、ACK信号がACK、NACK信号生成装置6により生成され、送信処理部7、送信アンテナ8から送信される(S3)。
【0043】
一方、正しく受信できなかった場合は、NACK信号が、ACK、NACK信号生成装置6により生成され、送信処理部7、送信アンテナ8から送信され(S5)、受信制御装置4は、再送パケットの受信を行うべく受信処理部2等を電源オフ等にせずに受信待機とする。その後は、S1の判定に戻る。
【0044】
S1でパケットを受信しなかった場合、及び、S3でACK信号を送信すると、パケットデータの受信停止処理が行われる(S4)。受信停止処理の例としては、例えば、受処理部等の電源をオフとしたり、サーチ期間に割り当てることが挙げられる。
【0045】
その後、受信制御装置4は、次の送信タイミングに合わせて受信処理部2等を制御して次のパケットの受信を行い、判定S1を行う。
〔b〕第2実施形態の説明
再送制御において、送信装置は、NACK信号を受信しない場合だけでなく、ACK信号を受信しない場合も再送制御を行うことができる。
【0046】
図7は、送信装置がACK信号を受信しない場合の再送制御について示す。
【0047】
送信装置は、第1実施形態同様に、所定周期(20ms)でパケットを送信する。1番目の送信が成功し、受信装置はACK信号を送信するが、送信装置は、ACK信号を正常に受信できなかった(又はACK信号をNACK信号と誤判定した)。従って、送信装置は、再送を実行する。
【0048】
一方、受信装置は、ACK信号を送信したため、再送信がなされることの期待はしておらず、再送信を受信しない。従って、受信装置は、再送信に対して応答信号(ACK、NACK信号)を送信しないため、送信装置は、更に再送を行う。以降、次の送信タイミングとなるまで、最大再送回数に達するまで無駄な再送が送信されることとなる。
【0049】
そこで、この実施形態では、送信装置は、最初の再送を行った場合、NACK信号を受信しない場合は、次の再送を行わないこととする。即ち、最初の送信については、NACK信号の受信のみならず、ACK信号の非受信の場合も再送を実行するが、最初の再送を行った後は、NACK信号を受信した場合は再送を行うが、ACK信号を非受信の場合は、再送を行わない。
【0050】
これにより、送信装置がACK信号を検出できなかた場合に行われる無駄な再送を抑制することができる。
【0051】
図8は、送信装置の構成の1例を示す。
【0052】
11は受信アンテナ、12は受信処理部、13は再送制御装置、14はパケット生成装置、15はパケット情報生成装置、16は送信処理部、17は送信アンテナをそれぞれ示す。
【0053】
受信アンテナ11は受信装置から送信される種々信号(例えばACK信号、NACK信号)の受信を行う。受信アンテナで受信された信号は受信処理部12において、送信の際に適用される送信形式に応じた受信処理を施して受信データを復調、復号(誤り訂正復号を含んでもよい)により得る。受信処理部12で得られた受信データ(例えばACK信号、NACK信号)は、再送受信制御装置13に与えられる。
【0054】
再送制御装置13は、新規の送信(所定周期毎に行う送信)を行った後、応答信号(ACK信号、NACK信号)の受信予定タイミングにおいてACK信号を受信しなかった場合(NACK信号を受信した場合も含む)に、再送制御を実行する。
【0055】
即ち、パケット生成装置14に格納してある送信データに基いて再送データを生成させ、送信処理部16、送信アンテナ17を介して送信させる。
【0056】
尚、この例では、パケット生成装置14から送信するパケットの形式についての情報がパケット情報生成装置14に与えられ、送信パラメータ(パケットサイズ、符号化方式、変調方式、MIMO適用・非適用等の情報)がパケット情報生成装置15によって生成され、パケットの送信に先立って予告情報(特定の受信装置に対して送信を行うことの通知を含む)として送信処理部16、アンテナ17を介して送信される。
【0057】
送信パラメータにより変調方式を変更する場合は、送信処理部16に対してその変調方式が通知され、送信処理部16は通知された変調方式によりパケットの送信を行う。
【0058】
尚、送信アンテナ、受信アンテナはデュプレクサ等を用いて共用アンテナとすることもできる。
【0059】
ここで、再送制御部13は、最初の送信(新規送信)についてはACK信号を受信しない場合(NACK信号を受信した場合を含む)は、再送を行うが、N回目以後(N回目含む)の再送については、NACK信号を受信しなければ再送を行わない。ここで、Nは2以上の所定値とすることもできる。但し、Nは、最大再送回数より小さい数(最大再送回数−1等)とする。
【0060】
図9は、この送受信処理の第1の例を示す。
【0061】
図のように、最初(新規)のパケットデータの送信は成功し、受信装置はACK信号を送信したものの、送信装置は、(所定の応答信号の受信タイミングで)ACK信号を検出できなかったか又はNACK信号を受信した場合は、再送制御装置13は、再送制御を行う。
【0062】
しかし、受信装置はACK信号を送信したため、再送パケットの受信動作は行わず(受信処理部の電源オフ又はサーチを行い)、応答信号も送信しない。
【0063】
従って、送信装置は、再送についての応答信号の受信タイミングでACK信号もNACK信号も受信しない。このようにNACK信号を受信しない場合、送信装置の再送制御装置13は、再送を行わないように制御する。
【0064】
図10は、送信装置内の制御フローの1例を示す。尚、この制御は、主として再送制御装置13の制御により実行される。
【0065】
送信装置(再送制御装置13)は、送信すべき送信パケットがあるか否か判定する(S1)。
【0066】
ここで、無しと判定するとS1に戻り、有ると判定すると、パケット生成装置は、新規パケットの送信を行う(S2)ように、送信パケットを送信処理部16に与え、送信アンテナ17から送信させる。尚、パケットの送信に先行して、受信装置に対して送信パラメータ情報がパケット情報生成装置15により生成され、同様に、送信処理部17、送信アンテナ17を介して送信される。
【0067】
そして、再送制御装置13は、送信カウンタの設定値iを0に設定する(S3)。尚、カウンタは、再送制御装置13が備えている。
【0068】
次に、再送制御装置13は、応答信号を受信したか否か判定し、ACK信号を受信した場合は、S1に戻り、次の送信パケットの有無を判定する。
【0069】
一方、応答信号がNACK信号であった場合は、再送制御装置13は、再送パケットの送信を行うように制御し(S5)、カウンタの設定値iを1だけインクリメントし、S4の判定に戻る。
【0070】
S4の判定において、応答信号としてACK信号もNACK信号も検出できなかった場合は、DTX(無応答)と判断して、カウンタの値iが所定値kより大きいか否か判断する(S6)。kは例えば2以上の自然数で、最大再送回数より小さい値とする。
【0071】
そして、S6で、カウンタの設定値がkより大きい場合は、再送制御装置13は、再送処理に移行せず、S1に戻り、次のパケットの送信を行うこととなる。
【0072】
一方、S6でカウンタの設定値がk以下であれば、再送パケットの送信を行い(S5)、カウンタ値iを1だけインクリメントし、S4に戻る。
【0073】
以上のようにすれば、送信装置と受信装置との間で受信結果の認識違いが生じても、無駄な再送回数を減らすことができることとなる。
【0074】
次に、図11は、この送受信処理の第2の例を示す。
【0075】
図のように、最初(新規)のパケットデータの送信は成功し、受信装置はACK信号を送信したものの、送信装置は、(所定の応答信号の受信タイミングで)ACK信号を検出できなかったか又はNACK信号を受信した場合は、再送制御装置13は、再送制御を行う。
【0076】
受信装置はACK信号を送信するものの、送信装置がACK信号を検出できないこともあることを想定して、再送パケットが送信されるかどうかも判断する。このとき、パケット情報生成装置15により送信予告の有り無しで判断することもできるし、実際パケットの受信を試みて判断することもできる。
【0077】
受信装置は、再送が行われないことを検出すると、受信部の電源をオフにしたり、サーチ期間に割り当てる。
【0078】
一方、受信装置は、ACK信号を送信したにもかかわらず再送処理が行われたことを検出すると、再送パケットが正常に受信できた場合も受信できなかった場合もACK信号を送信する。既に正常な受信が完了しているため、更なる再送は要さないからである。
【0079】
従って、このACK信号が送信装置で受信されることで、送信装置の再送制御装置13は、更なる再送を行わないように制御することとなる。
【0080】
図12は、受信装置内の制御フローの1例を示す。尚、この制御は、主として受信制御装置4の制御により実行される。即ち、図4に示した構成の受信装置を用いてよい。
【0081】
送受信装置(受信制御装置4)は、所定周期の新規パケットの送信タイミングに合わせて受信動作を開始するように制御し、パケットを受信したか否か判定する(S1)。
【0082】
ここで、受信した場合は、受信パケットは、正しく受信できたかどうかの判定を受信結果判定装置3により行う(S2)。
【0083】
正しく受信できた場合は、ACK信号がACK、NACK信号生成装置6により生成され、送信処理部7、送信アンテナ8から送信される(S3)。
【0084】
一方、正しく受信できなかった場合は、NACK信号が、ACK、NACK信号生成装置6により生成され、送信処理部7、送信アンテナ8から送信され(S6)、受信制御装置4は、再送パケットの受信を行うべく受信処理部2等を電源オフ等にせずに受信待機とする。その後は、S1の判定に戻る。
【0085】
S3でACK信号を送信すると、受信制御装置4は、再送パケットを受信したか否かの判定を行う(S4)。ここで再送パケットの送信処理が行われなかった場合(送信予告を受信しなかった場合、再送パケットを実際に受信しなかった場合)は、パケットデータの受信停止処理が行われる(S5)。受信停止処理の例としては、例えば、受処理部等の電源をオフとしたり、サーチ期間に割り当てることが挙げられる。
【0086】
その後、受信制御装置4は、次の送信タイミングに合わせて受信処理部2等を制御して次のパケットの受信を行い、判定S1に戻る。
【0087】
尚、S4でACK信号を送信したにもかかわらず、再送パケットの送信処理が行われたことを検出した場合は、S3に戻ってACK信号の送信を行うことで送信装置が更に再送を行ってしまうことを抑制する。
【0088】
尚、S4からS3に戻るルートは1回だけに制限することもできるし、所定値Nに達するまでそのルートをたどることを許容してもよい。尚、所定値Nは、最大再送回数―1以下の値とする。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】従来のデータ送受信処理方法
【図2】送受信処理の第1の例
【図3】送受信処理の第2の例
【図4】受信装置の構成の1例
【図5】受信装置内の制御フローの1例
【図6】受信装置内の制御フローの他の1例
【図7】送信装置がACK信号を受信しない場合の再送制御
【図8】送信装置の構成の1例
【図9】送信処理の第1の例
【図10】送信装置内の制御フローの1例
【図11】送受信装置の第2の例
【図12】受信装置内の制御フローの1例
【符号の説明】
【0090】
1 受信アンテナ
2 受信処理部
3 受信結果判定装置
4 受信制御装置
5 タイマ
6 ACK、NACK信号生成装置
7 送信処理部
8 送信アンテナ
9 制御部
11 受信アンテナ
12 受信処理部
13 再送制御装置
14 パケット生成装置
15 パケット情報生成装置
16 送信処理部
17 送信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周期で到来するタイミング毎に送信されるデータの受信処理を行う通信装置において、
該所定の周期に従って第Mのタイミングで送信されたデータを正常に受信できた場合に、正常に受信できたことを示す信号を送信する送信部と、
該正常に受信できたことを示す信号を送信した場合に、再送制御処理が行われたか否かを判定し、再送制御処理が行われた場合は、正常に受信できたことを示す信号を送信する制御部と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記判定は、前記データの送信予告又は再送された前記データの実際の受信に基いて行う、ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
所定の周期で到来するタイミング毎に送信されるデータの受信処理を行う通信装置において、
該所定の周期に従って第Nのタイミングで送信されたデータを正常に受信できなかった場合に、正常に受信できなかったことを示す信号を送信する送信部と、
該送信の後、該所定の周期に従った次の第N+1のタイミングが到来するまでの間に該第Nのタイミングで送信されたデータの再送信についての受信制御を行い、該再送信について正常に受信できた際に、該所定の周期に従った第N+1のタイミングが到来するまでに間に少なくとも前記受信処理とは異なる他の受信処理を行う期間を設ける制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記受信処理は、基地局から送信される信号の受信処理であり、
前記他の受信処理は、前記基地局の周辺基地局から送信される信号の受信処理である、
ことを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
所定の周期で到来するタイミング毎に送信されるデータの受信処理を行う通信装置において、
該所定の周期に従って第Mのタイミングで送信されるデータがなかった場合に、該所定の周期に従った次の第M+1のタイミングが到来するまでの間に少なくとも前記受信処理とは異なる他の受信処理を行う期間又は受信処理を行わない期間を設ける制御を行う制御部と、
該所定の周期に従って第Mのタイミングで送信されたデータを正常に受信できた場合に、正常に受信できたことを示す信号を送信する送信部と、
該第Mのタイミングで送信されたデータを受信した際に、該所定の周期に従った次の第M+1のタイミングが到来するまでの間に少なくとも前記受信処理とは異なる他の受信処理を行う期間又は受信処理を行わない期間を設ける制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−110015(P2012−110015A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6613(P2012−6613)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2007−208765(P2007−208765)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】