説明

通信装置

【課題】接続許否の入力は、通信を行なう装置の一方で行なう通信装置を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に係る通信装置は、通信装置に係る情報と第2の通信装置に係る情報とを参照する所定のアルゴリズムに従って作成した情報の表示と接続許可の入力とを経て通信装置を認証する第2の通信装置との間で、互いに認証の後に通信を行なう通信装置であって、第2の通信装置との間の通信リンクを確立した後、通信装置に係る情報を第2の通信装置に送信すると共に第2の通信装置から送信された第2の通信装置に係る情報を受信し、通信装置に係る情報と第2の通信装置に係る情報とを参照する所定のアルゴリズムに従って作成した情報を表示して、接続許可の入力なしに第2の通信装置を認証する認証制御手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルートゥース(登録商標。Bluetooth)等の近距離無線通信を介した通信を行う通信装置は、その通信の際、まず、対向機、即ち、その通信網を介して通信する装置との間にリンクを確立する。次に、そのリンクを介した通信により、その対向機が通信すべき装置であることの認証処理をする。
【0003】
認証の一方式は、SSP(Secure Simple Pairing)であって、通信装置は、通信装置に係る情報及び対向機に係る情報から6桁の数字等を算出して表示し、接続の許否の入力を促す。対向機も同じ動作によって6桁の数字等を算出して表示し、接続の許否の入力を促す。表示された2つの数字等が等しいことを確認した使用者による接続許可の入力を経て、通信装置は対向機を認証する。対向機も同じように使用者の接続許可の入力を経て通信装置を認証する。このように、互いに認証することによって、認証が行われる。
【0004】
通信を行なう双方の装置でのこの2つの数字の比較(Numeric Comparison)を伴う認証を行えば、中間者(MITM、Man-in-the-middle)による通信装置と対向機との間で通信されるデータの抜き出しや改ざんを防ぐことができ、適切な認証を行なうことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「ブルートゥース仕様書2.1版+EDR[0巻](Bluetooth Specification Version 2.1+EDR [vol 0])」、ブルートゥースSIG(Bluetooth SIG)、2007年7月26日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、装置の使用者は、通信を行なう双方の装置で接続の許否の入力を行なう必要がある問題点があった。双方の装置で接続の許否の入力を行うと手間がかかり、双方の装置でその許否の判断に必要な情報の表示を行えば、一方の装置での装置の使用者の入力によって、充分なセキュリティの確保が可能である。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、接続の許否の入力は、通信を行なう装置の一方で行なう通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る通信装置は、通信装置に係る情報と第2の通信装置に係る情報とを参照する所定のアルゴリズムに従って作成した情報の表示と接続許可の入力とを経て通信装置を認証する前記第2の通信装置との間で、互いに認証の後に通信を行なう通信装置であって、前記第2の通信装置との間の通信リンクを確立した後、前記通信装置に係る情報を前記第2の通信装置に送信すると共に前記第2の通信装置から送信された前記第2の通信装置に係る情報を受信し、前記通信装置に係る情報と前記第2の通信装置に係る情報とを参照する前記所定のアルゴリズムに従って作成した情報を表示して、接続許可の入力なしに前記第2の通信装置を認証する認証制御手段を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る近距離無線通信機器情報の構成の一例を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る認証機能による認証の制御動作のフローチャート。
【図4】本発明の実施形態に係る認証機能による認証に必要な情報と、接続の許否を入力するためのソフトキーとの表示の一例を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る認証機能による認証に必要な情報の表示の一例を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係る認証機能のイニシエーターとレスポンダー毎の処理の概要を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る通信装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る通信装置の一例である移動通信装置の構成を示すブロック図である。この移動通信装置は、ブルートゥース(R)方式の近距離無線通信を行ない、用いるプロファイル、言い替えると、通信の種類は任意であるが、以後、カーナビ装置との間で通信し、その装置を用いたハンズフリー通話、その装置からのダイヤルアップ、その装置との間のデータ転送等を例にとる。
【0012】
この移動通信装置は、装置全体の制御を行う制御部11と、移動通信網通信部12と、移動通信網に属する基地局(図示せず)との間で無線信号の送受信を行うアンテナ12aと、移動通信網制御部13と、通話部14と、受話音声を出力するスピーカ14aと、送話音声を入力するマイクロフォン14bと、使用者に情報を視覚的に提示する表示部15と、表示部15の表示画面に接して設置されたタッチパッド16と、使用者からの操作指示を入力するキー入力部16aと、近距離無線通信部17と、ブルートゥース(R)方式の近距離無線信号の送受信を行うアンテナ17aと、近距離無線制御部18と、機器情報記憶部19とからなる。
【0013】
なお、表示部15及びタッチパッド16は、タッチパネルを構成する。また、近距離無線制御部18には、リンク確立機能18aと、認証機能18bと、プロファイル機能18cと、機器情報登録機能18dとが含まれる。機器情報記憶部19には、近距離無線通信機器情報が記憶される。近距離無線通信機器情報は、ブルートゥース(R)方式の近距離無線通信が可能な対向機に係る情報である。
【0014】
ここで、図2に示す一例を参照して、機器情報記憶部19に記憶される近距離無線通信機器情報の詳細を説明する。この近距離無線通信機器情報は、デバイスカテゴリ19aと、サービスカテゴリ19bと、デバイスアドレス19cと、デバイス名19dとが関連付けられた情報であり、図中、各行が1台の対向機に係る情報である。デバイスカテゴリ19aは、その対向機の種類であって、「ヘッドセット」、「パソコン周辺機器」(パソコンのインターフェース、例えば、USBインターフェースに装着され、近距離無線信号の送受信を行う機器。ドングルと呼ばれることもある。)、「携帯電話」、「カーナビ」等である。
【0015】
サービスカテゴリ19bは、上記対向機が近距離無線信号の送受信によって提供するサービスであり、「音声通信」(ハンズフリー通話を含む。)、「ダイヤルアップ」、「ファイル転送」等の1つ、又は、複数である。なお、このサービスカテゴリ19bは、ブルートゥース(R)方式のプロファイルとほぼ対応する。即ち、「音声通信」は、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)や、HFP(Hands-Free Profile)プロファイルに、「ダイヤルアップ」は、DUN(Dial-up Networking Profile)プロファイルに、「ファイル転送」は、OPP(Object Push Profile) や、BIP(Bit Map Profile)等に、それぞれ対応する。そこで、サービスカテゴリ19bに加え、又は、代えて、近距離無線通信機器情報は、プロファイル名を含んでも良い。
【0016】
デバイスアドレス19cは、近距離無線信号の送受信の際に対向機を識別するために用いられる対向機を一意に識別する48ビットであり、図中には、8ビット毎に16進数表記とし、それらの表記の間に「:」を挿入して示した。デバイス名19dは、上記対向機を使用者が容易に識別するための情報であり、例えば、その対向機の型番である。
【0017】
なお、実施形態に係る移動通信装置に係る情報は、近距離無線通信機器情報には含まれないが、もし含まれるとすると、例えば、デバイスカテゴリ19aは「携帯電話」、サービスカテゴリ19bは、「音声通信」、「ダイヤルアップ」、「ファイル転送」となり、この移動通信装置は、ダイヤルアップを含む音声通話サービスと、ファイル転送サービスとを提供する。近距離無線通信機器情報は、機器情報登録機能18dによって記憶されるが、移動通信装置の製造時に記憶されていても良い。
【0018】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る移動通信装置の各部の機能を、図1を参照して説明する。
【0019】
移動通信網通信部12は、アンテナ12aが基地局から受信した無線信号から高周波信号を得て、この高周波信号を移動通信網制御部13に送信する。また、移動通信網制御部13から送信された高周波信号をアンテナ12aに送信する。
【0020】
移動通信網制御部13は、移動通信網通信部12からの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得たデジタル音声信号を通話部14へ、制御信号を制御部11へ、それぞれ送信する。更には、移動通信網制御部13は、通話部14から送信されたデジタル音声信号と、制御部11から送信された制御信号とを変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを移動通信網通信部12に送信する。また、ダイヤルアップを含むハンズフリー通話の際、移動通信網制御部13は、近距離無線制御部18との間でデジタル音声信号及び制御信号を送受する。
【0021】
通話部14は、移動通信網制御部13から送信されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bが送信するアナログ音声信号を増幅し、それをデジタル音声信号に変換して移動通信網制御部13へ送信する。
【0022】
表示部15は、使用者に操作を促す表示や、使用者が操作した内容の表示や、装置の動作状態の表示等に用いられる有機ELディスプレーや、LCD(Liquid Crystal Display)であって、制御部11及び装置の各部に制御されて、文字、数字、更に、アイコンを含む画像データを表示する。画像の一部は操作を識別するソフトキーであり、タッチパッド16のその画像に対応する位置への接触は、その位置と関係付けられた所定の動作をさせるための入力操作とされる。メニューや、アイコンもソフトキーに含まれる。
【0023】
タッチパッド16は、表示部15の表示画面の大きさと略等しい大きさであって、指やスタイラスペン(以後、指及びスタイラスペンを指等と称する。)が接触されたこと、及び、接触がなくなったことを検出する。なお、接触とは、距離が所定の閾値未満であることを含む。そして、接触が検出された際、タッチパッド16は、接触が検出された位置を制御部11に通知する。このように、表示部15及びタッチパッド16は、タッチパネルとして動作する。なお、タッチパッド16が接触を検出する方式は、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁波の指等による反射を検出する方式等、任意の方式である。
【0024】
キー入力部16aは、装置の使用者によって押下操作されるキースイッチからなり、そのキーが押下されると、そのキーの識別子を制御部11に通知する。キーは、電源のオン、オフキー、通話の際の音量の調整キー、通話の着呼、発信、終話キー等の限られた指示を入力するためのキーからなる。
【0025】
近距離無線通信部17は、アンテナ17aを介して受信した近距離無線信号を近距離無線制御部18に送信する。また、近距離無線制御部18から送信された近距離無線信号を、アンテナ17aを介して送信する。
【0026】
近距離無線制御部18は、制御部11からの制御に基づき、近距離無線通信に係る制御を行なう。即ち、まず、リンク確立機能18aに対向機との間の通信リンクの確立をさせる。ここで、リンク確立は、移動通信装置が要求して行なう場合と、要求を受信して行なう場合とがある。ここで、リンク確立を要求する装置をイニシエーター、リンク確立要求を受信する装置をレスポンダーと称する。次に、その対向機が通信すべき装置であることの認証を認証機能18bにさせ、対向機の認証に成功した、即ち、その対向機は通信すべき装置であると判断され、かつ、対向機は移動通信装置の認証に成功した場合、その装置との間で指定されたプロファイルによる通信をプロファイル機能18cに行わせる。
【0027】
対向機の認証に失敗した、即ち、その対向機は通信すべき装置でないと判断された場合、又は、対向機は移動通信装置の認証に失敗した場合、近距離無線制御部18は、その装置との間で通信を行わない。また、リンク確立機能18aによって対向機との間にリンクが確立されなかった場合、近距離無線制御部18は、近距離無線通信を行わない。
【0028】
リンク確立機能18aは、1つの対向機を選択し、その対向機との間のリンクを確立する。自装置をレスポンダーとしてリンクを確立する場合、リンク確立機能18aは、リンク確立の要求を送信した対向機との間のリンクを確立する。ここで、その対向機のデバイスアドレスが得られ、更に、デバイスカテゴリと、サービスカテゴリと、デバイス名を問い合わせて得る。
【0029】
自装置をイニシエーターとしてリンクを確立する場合、リンク確立機能18aは、近距離無線通信部17を制御して、所定の探索時間に渡って対向機の探索をさせ、周辺に存在する送受信可能な対向機のデバイスアドレスを得る。次に、探索された対向機のそれぞれについて、デバイスカテゴリと、サービスカテゴリと、デバイス名を問い合わせて、問い合わせに応じて得られた結果及びデバイスアドレスの中の1つ又は複数の情報を表示部15に一覧表示させ、その表示に対してタッチパッド16からの指示入力がされた対向機に要求して、その対向機との間のリンクを確立する。
【0030】
ここで、リンク確立機能18aは、得られたデバイスアドレスがデバイスアドレス19cとして機器情報記憶部19に記憶されている対向機を探索しても良い。また、探索された対向機に係る情報一覧表示の際、デバイスアドレスがデバイスアドレス19cとして機器情報記憶部19に記憶されている対向機に係る情報を冒頭において表示させ、又は、その情報のみを一覧表示させも良い。
【0031】
リンク確立をレスポンダーとして行ったか、また、イニシエーターとして行ったかは、リンク確立後の動作に影響を与えない。しかしながら、レスポンダーはサービスを提供するサーバ装置であり、常にリンク確立の要求を受信し続ける、そして、イニシエーターはそのサービスの提供を受けるクライアント装置であり、サービスの提供を受ける際に、リンク確立の要求を送信することが多い。
【0032】
更に、サービスの提供を受ける処理は、装置の使用者の意思、即ち、タッチパッド16への接触を契機として開始されることが多い。そこで、使用者はイニシエーターのみへ意思の入力をし、イニシエーターはサーバ装置からサービスの提供を受けることができることによって、使用者は使い易いと感じる。なお、いずれの装置がサービスの提供をしているかは、使用者が受ける印象に依存する面があり、装置の機能からは、双方がサービスを提供していることも多い。
【0033】
プロファイル機能18cは、近距離無線通信部17を制御して、対向機との間で指定されたプロファイルによる通信を行なう。プロファイルは、プロトコルスタックを用いて実装される。
【0034】
機器情報登録機能18dは、認証機能18bによる認証を経て近距離無線信号の送受信を行った対向機に係る情報を近距離無線通信機器情報として機器情報記憶部19に記憶させる。又は、認証機能18bに対向機の認証をさせる。そして、認証に成功した対向機に係る情報を近距離無線通信機器情報として記憶させる。この場合、その対向機との間の通信を行なうことなく、認証に成功した後、その対向機との間のリンクは切断される。
【0035】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る移動通信装置における近距離無線通信に係る認証の動作を説明する。ここで、移動通信装置が近距離無線通信を行なう際、レスポンダーとして行なうか、イニシエーターとして行なうかは任意である。そこで、移動通信装置がレスポンダーである場合の動作と、イニシエーターである場合の動作とを説明することによって、移動通信装置が対向機と通信する場合の、双方の装置の動作の説明を兼ねる。
【0036】
図3に示すフローチャートを参照して、認証機能18bによる認証の制御動作を説明する。認証機能18bは、認証制御動作を開始し(ステップS101)、対向機との間で自装置の能力を送受し合って交換する(ステップS102)。ここで、装置の能力とは、装置の使用者に文字列データを報知、例えば、表示することの可否と、装置の使用者から接続許否を、例えば、タッチパッドや、キーを介して入力することの可否である。また、通信しようとしているプロファイルが認証を要するか否かである。これらは、自装置と、対向機それぞれのデバイスカテゴリと、サービスカテゴリとによっても略判断可能であり、これらを用いても良い。
【0037】
ここで、イニシエーターは、上記文字列データの表示が可、上記接続許否の入力が可、レスポンダーは、上記文字列データの表示が可、上記プロファイルは認証を要するものであって、以下に説明する認証が行われるとする。なお、認証に関し、認証機能18bは、対向機との間で如何なる認証を行なうかの通信を経て、以下に説明する認証に代えて、周知の方式の認証を行い、又は、認証制御動作を行うことなく、認証に成功したとして制御動作を終了する(図示せず)。
【0038】
次に、認証機能18bは、自装置がイニシエーターであるか、レスポンダーであるかを判断する(ステップS103)。イニシエーターである場合、6桁の数字と、対向機のデバイス名とを表示部15に表示させる(ステップS104)。ここで、6桁の数字は、自装置のデバイスアドレス、対向機のデバイスアドレス、イニシエーターによって決定された公開鍵情報、及び、イニシエーターが備える時計部(図示せず)が示す時刻等によって所定のアルゴリズムで算出される。そこで、自装置と、対向機とは、同じ数字を得る。
【0039】
図4は、この表示の一例を示し、この表示は、6桁の数字と、対向機のデバイス名とからなる6桁数字及びデバイス名表示15aと、接続許可ソフトキー15bと、接続拒否ソフトキー15cとからなる。ここで、「Remote Device B」は、レスポンダーのデバイス名である。なお、これらのソフトキーは、次に説明する接続の許否を入力するためのソフトキーである。
【0040】
使用者は、6桁数字及びデバイス名表示15aに含まれる6桁の数字がレスポンダーに表示された数字と等しく、かつ、それに含まれるデバイス名が通信させたい対向機のデバイス名と等しい場合、接続を許可する旨を入力し、それ以外の場合、接続を拒否する旨を入力する。ここで、ソフトキーが6桁数字及びデバイス名表示15aと同時に表示されることによって、使用者が、6桁数字及びデバイス名表示15aを視認しつつソフトキーへ接触することができ、接続の許否を入力することが容易である。
【0041】
認証機能18bは、上記表示に対してタッチパッド16を介して接続を許可する旨又は拒否する旨を入力し(ステップS105)、その入力を判断し(ステップS106)、許可する旨である場合、認証に成功したことを近距離無線制御部18内に通知し(ステップS107)、認証制御動作を終了する(ステップS108)。なお、この終了は、後述するようにレスポンダーでも認証が成功しているので、お互いに認証が成功した認証動作の正常終了となる。ステップS106の入力が拒否する旨である場合、認証に失敗したことを近距離無線制御部18内に通知し(ステップS109)、認証制御動作を終了する(ステップS108)。なお、この終了は、レスポンダーとの間でお互いに認証が成功していないので、認証動作の中止となる。
【0042】
ステップS103で、レスポンダーである場合、認証機能18bは、6桁の数字と、対向機のデバイス名とを表示部15に表示させる(ステップS110)。ここで、6桁の数字は、ステップS104の動作説明で述べた通りである。上記公開鍵情報と、上記時刻とは、イニシエーターからの送信により得るので、レスポンダーである場合、対向機であるイニシエーターが表示する数字と同じ数字を表示する。そして、認証に成功したことを近距離無線制御部18内に通知し(ステップS111)、認証制御動作を終了する(ステップS108)。なお、この終了は、イニシエーターが認証動作を正常終了している場合と、中止している場合とに応じ、正常終了となり、また、中止となる。中止となる場合、認証に失敗したことを改めて近距離無線制御部18内に通知しても良い(図示せず)。
【0043】
以上説明したように、レスポンダーは、認証動作の終了の状況によって、間接的ながらイニシエーターで入力された接続の許否を認識し、その許否と同じ入力がされた場合と同じ動作をすることによって、イニシエーターとレスポンダーとの間で互いに認証し合うことも、認証し合わないこともできる。なお、イニシエーターで入力された接続の許否は、その他に、以下のような方法で認識することができる。第1に、認証動作の終了前に、イニシエーターから認証制御動作に係る信号を所定の時間に渡って受信しない場合、接続を拒否する入力がされたと認識する。第2に、イニシエーターが入力された接続の許否をレスポンダーに送信し、レスポンダーは、その許否を受信して、接続の許否と認識する。
【0044】
図5は、このステップS110で行われる表示の一例を示し、この表示は、6桁の数字と、対向機のデバイス名とからなる6桁数字及びデバイス名表示15dからなる。6桁数字及びデバイス名表示15d中の6桁の数字は、図4を参照して説明した6桁数字及びデバイス名表示15a中の6桁の数字と同じである。また、「Remote Device B」は、イニシエーターのデバイス名である。なお、この表示は、接続許可ソフトキーと、接続拒否ソフトキーとを含まない。使用者による接続の許否を入力する必要がないからである。
【0045】
従来から知られたSSP方式による認証においては、自装置がレスポンダーである場合にも、ステップS105のタッチパッド16から接続の許否を入力するステップを要していた。そのため、通信を行わせる使用者は、2つの装置で接続の許否を入力する必要があったが、上述した認証機能18bの制御動作では、1つの装置で接続の許否を入力すれば良い。通信を行わせる使用者は、イニシエーターへ通信を行わせる旨を入力していることが多いので、その入力に引き続き、イニシエーターの表示とレスポンダーの表示とを視認してそれらの表示に含まれる6桁の数字が等しいこと等を確認した後、続いてイニシエーターへ接続の許否を入力するのであり、近距離無線通信に係る認証に不慣れな使用者であっても操作が容易である。また、2回の同様な入力によって、使用者が不安を覚えることはない効果が得られる。
【0046】
より具体的に、移動通信装置はイニシエーターであり、レスポンダーは、ナビゲーション装置を兼ねた車載のハンズフリー装置であり、ハンズフリー通話のみならず、ダイヤルアップに係る通信も行わせるので通信料の発生が伴い、認証が必要である例を説明する。移動通信装置の使用者は、自動車に乗り込んだ後、移動通信装置を操作して、上記ハンズフリー装置をハンズフリー通話サービスを提供する通信相手として選択する。そして、移動通信装置の表示とハンズフリー装置の表示を視認して、接続を許可する旨を移動通信装置へ入力するのみであり、操作は容易である。
【0047】
図6を参照して、イニシエーターとレスポンダー毎の処理を説明する。ここで、図3に示すフローチャートの動作ステップの番号を参照する。イニシエーター、レスポンダー共、ステップS101で認証動作を開始し、それぞれ、ステップS104で図4を参照して説明したように、又は、ステップS110で図5を参照して説明したように、6桁の数字と対向機のデバイス名を表示する。
【0048】
その後、イニシエーターは、使用者による6桁の数字と対向機のデバイス名との確認を経て、ステップS105の接続許否の入力をする。その入力に従ったステップS107の認証成功の通知か、ステップS109の認証失敗の通知を行って、ステップS108で認証動作を終了する。一方、レスポンダーは、6桁の数字と対向機のデバイス名を表示した後、直ちにステップS111で認証成功の通知を行って、ステップS108で認証動作を終了する。
【0049】
(変形例)
以上の説明で、レスポンダーである場合、認証機能18bは、常に認証に成功したとするとしたが、これに限るものではない。イニシエーターの情報が近距離無線通信機器情報として機器情報記憶部19に記憶されている場合、認証に成功したとしても良い。なぜなら、近距離無線通信機器情報に含まれる対向機は、過去に認証を経ているので信頼して良いと判断されるからである。また、イニシエーターであるか、レスポンダーであるかを問わず、対向機に係る情報が近距離無線通信機器情報として機器情報記憶部19に記憶されている場合、使用者による接続の許否を入力を経ずに認証に成功したとしても良い。
【0050】
以上の説明は、イニシエーターは接続を許可する旨又は拒否する旨を入力し、レスポンダーは入力しないとしたが、これに限るものではない。逆に、レスポンダーは入力し、イニシエーターは入力しないとしても良い。また、認証機能18bは、ステップS102の能力を送受し合って交換で得られた装置の仕様に従って、いずれで入力するかを決定しても良い。即ち、一方の装置は、装置の使用者から接続許否を入力することができない場合、その装置は入力せず、他方の装置は入力するとすれば良い。この決定は、ステップS103の動作の変形によって容易に実装可能である。この変形によれば、イニシエーターであるかレスポンダーであるかを問わず、接続の許否を入力するための手段を備えた装置で入力が求められ、その手段を備えない装置では入力が求められない効果が得られる。
【0051】
更には、イニシエーター及びレスポンダーの双方が接続の許否を入力するためのソフトキーを表示し、いずれの装置からの入力でも良いとしても良い。この場合、入力した装置の認証機能18bは、入力があった旨を、又は、入力された接続の許否を他方の装置の認証機能18bに送信する。他方の装置の認証機能18bは、これらの情報を受信した場合、認証に成功したとして、認証制御動作を終了する。また、接続が拒否された旨を受信した場合、認証に失敗したとして、認証制御動作を終了する。
【0052】
以上の説明は、タッチパネルを備えた移動通信装置に本発明を適用した例を用いたが、本発明は、当然にタッチパッド16を備えず、又は、備えたとしても、キー入力部16aに代えてキー入力部16aより多数のキーからなる第2のキー入力部を備えた装置に適用することが可能である。ここで、第2のキー入力部は、キースイッチからなり、例えば、通信相手の電話番号等を指定し、また、トグル式の入力方式によってひらがな文字、アルファベット文字及び記号文字を入力するための数字キーと、カーソル移動や、表示のスクロール指示を示す矢印キーや、決定キー、着呼キー、終話キー、電源投入及び切断キーを含む複数の機能キーとを含む。
【0053】
以上の説明は、近距離無線通信は、ブルートゥース(R)方式による通信であると説明したが、これに限るものではない。装置の使用者が通信する2つの装置を同時に視認できる程度の近距離での通信であれば、無線LAN等、如何なる方式による通信であっても良い。また、以上の説明は、本発明を移動通信装置に適用した例を用いたが、本発明は、当然に近距離無線通信を介した通信を行うあらゆる装置、例えば、パソコンや、PDAや、音声出力装置に適用することが可能である。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0055】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
11 制御部
15 表示部
15a、15d 6桁数字及びデバイス名表示
15b 接続許可ソフトキー
15c 接続拒否ソフトキー
17 近距離無線通信部
18 近距離無線制御部
18a リンク確立機能
18b 認証機能
18c プロファイル機能
18d 機器情報登録機能
19 機器情報記憶部
19a デバイスカテゴリ
19b サービスカテゴリ
19c デバイスアドレス
19d デバイス名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置に係る情報と第2の通信装置に係る情報とを参照する所定のアルゴリズムに従って作成した情報の表示と接続許可の入力とを経て通信装置を認証する前記第2の通信装置との間で、互いに認証の後に通信を行なう通信装置であって、
前記第2の通信装置との間の通信リンクを確立した後、前記通信装置に係る情報を前記第2の通信装置に送信すると共に前記第2の通信装置から送信された前記第2の通信装置に係る情報を受信し、前記通信装置に係る情報と前記第2の通信装置に係る情報とを参照する前記所定のアルゴリズムに従って作成した情報を表示して、接続許可の入力なしに前記第2の通信装置を認証する認証制御手段を備えた
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2の通信装置からの前記通信リンク確立の要求に応じてその通信リンクを確立する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の通信装置からのサービス提供の要求に応じてそのサービスを提供するサーバ装置である
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
通信装置に係る情報と第2の通信装置に係る情報とを参照する所定のアルゴリズムに従って作成した情報の表示を経て接続許可の入力なしに通信装置を認証する前記第2の通信装置との間で、互いに認証の後に通信をする通信装置であって、
前記第2の通信装置との間の通信リンクを確立した後、前記通信装置に係る情報を前記第2の通信装置に送信すると共に前記第2の通信装置から送信された前記第2の通信装置に係る情報を受信し、前記通信装置に係る情報と前記第2の通信装置に係る情報とを参照する前記所定のアルゴリズムに従って作成した情報を表示した後、接続許可の入力がされた場合、前記第2の通信装置を認証する認証制御手段を備えた
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
前記第2の通信装置に前記通信リンクの確立を要求する
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2の通信装置にサービス提供を要求するクライアント装置である
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
通信装置に係る情報と第2の通信装置に係る情報とを参照する所定のアルゴリズムに従って作成した情報の表示と接続許可の入力とを経て、又は、前記情報の表示と通信装置が前記第2の通信装置を認証した旨の受信とを経て通信装置を認証する前記第2の通信装置との間で、互いに認証の後に通信を行なう通信装置であって、
前記第2の通信装置との間の通信リンクを確立した後、前記通信装置に係る情報を前記第2の通信装置に送信すると共に前記第2の通信装置から送信された前記第2の通信装置に係る情報を受信し、前記通信装置に係る情報と前記第2の通信装置に係る情報とを参照する前記所定のアルゴリズムに従って作成した情報を表示した後、接続許可の入力がされた場合、又は、前記第2の通信装置が通信装置を認証した旨を受信した場合、前記第2の通信装置を認証する認証制御手段を備えた
ことを特徴とする通信装置。
【請求項8】
前記認証制御手段は、前記第2の通信装置との間で互いに認証した場合、前記第2の通信装置に係る情報を記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1、請求項4、又は、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信は、ブルートゥース方式の通信である
ことを特徴とする請求項1、請求項4、又は、請求項7に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−39347(P2012−39347A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177057(P2010−177057)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】