説明

速効性と持続性を同時に有する薬剤学的組成物

本発明は、速効性と持続性を同時に有する薬剤学的組成物に関し、水不溶性ポリマーで表面塗布されており、薬学的活性成分;放出制御基剤;薬学的許容担体を含む徐放部と、薬学的活性成分;薬学的許容担体を含む速放部とを含む薬剤学的組成物に関する。本発明の薬剤学的組成物は、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体とを含む徐放部の表面を水不溶性ポリマーで塗布することにより、速放部と分離して、速放部と徐放部が独立した放出特性を示し、使用可能な薬学的活性成分の含有量と種類に制限がなく、かつ、比較的簡単な工程で製造可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速効性と持続性を同時に有する薬剤学的組成物に関し、本発明の薬剤学的組成物は、速放部と徐放部が独立した放出特性を示し、使用可能な薬学的活性成分の含有量と種類に制限がなく、かつ、比較的簡単な工程で製造可能である。
【背景技術】
【0002】
現在、製剤技術の進歩に伴い、患者のコンプライアンスの改善を目的として、様々な薬物を対象に徐放化するための技術の開発が行われている。徐放性製剤は、通常の速放性製剤に比べて、薬効を持続させることにより、医薬の潜在的効力を有効に引き出すと共に、投与回数を減少させることや、副作用または毒性の発現を低減させることができるなど、有効性、安全性における利点が多い。しかし、即効性も要求される鎮痛剤などにおいては、服用後、迅速に有効血中濃度に達して鎮痛効果などを発現する速効性も要求される。したがって、速効性と持続性の双方の特性を兼ね備えた製剤の開発が欠かせないのが実情である。
【0003】
前記速効性および持続性を同時に含む代表的な製剤としては、ヤンセン社により現在市販されているTylenol ERがあり(米国特許第4,820,522号)、前記Tylenol ERは、速放出性の薬物層にウィッキング剤および浸食促進剤を含む一定の薬物分量と、徐放出性の薬物層に活性マトリックス結合剤(ヒドロキシエチルセルロース)およびウィッキング剤(微結晶セルロース)を含む粉末組成物および一定の薬物分量を同時に含有し、特殊錠剤機を用いて打錠した二重層錠剤形態である。
【0004】
このような従来の速放性と徐放性を有する技術は、速放部と徐放部とを積層した多層錠(multi layer)形態と、徐放部を成形後、これを速放部に挿入して二重打錠した核錠(core tablet)形態、および浸透圧(osmotic pump tablet)を利用した形態、そして、押出−球形化(Extrusion and spheronization)工程による球状顆粒の製造などの形態が報告されている。
【0005】
しかし、このような従来の速放性と徐放性を有する技術は、特殊な設備が欠かせなく、工程が複雑である。また、前述した従来の技術は、単なる徐放性形態および速放性と徐放性をすべてマトリックス型の錠剤または圧縮成形を行うことにより、速放部が徐放部に含まれている基剤により崩壊が遅延されたり放出が遅延され、速放部と徐放部が独立して放出性特性を示すことが困難であるという問題があった。さらに、高い含有量が必要な薬物には適用し難いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは、簡単な工程で製造が可能で、薬学的活性成分の含有量と種類に制限がなく、かつ、速放部と徐放部が独立した放出特性を示すことのできる薬剤学的組成物に関して研究を重ねて、本発明に至った。
【0007】
したがって、本発明は、簡単な工程で製造が可能で、薬学的活性成分の含有量と種類に制限がなく、かつ、速放部と徐放部が独立した放出特性を示すことのできる薬剤学的組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、水不溶性ポリマーで表面塗布されており、第1薬学的活性成分;水不溶性ポリマーと水溶性および粘稠性ポリマーからなる群より選択された1種以上の放出制御基剤;薬学的許容担体を含む徐放部と、第2薬学的活性成分;薬学的許容担体を含む速放部とを含む薬剤学的組成物を提供する。
【0009】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の薬剤学的組成物は、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体とを含む徐放部の表面を水不溶性ポリマーで塗布することにより、速放部と分離して、速放部と徐放部が独立した放出特性を示し、使用可能な薬学的活性成分の含有量と種類に制限がなく、かつ、比較的簡単な工程で製造可能であり、pHの変化にほとんど影響を受けずに、徐放部および速放部がそれぞれ独立した放出特性を示す。
【0010】
本発明において、水不溶性ポリマーは、それに限定されないが、好ましくは、任意のpHにおいて、水溶媒に対して0.0001g/ml以下の溶解度を示すものであり得、より好ましくは、水不溶性セルロース、水不溶性セルロースの誘導体、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、ポリアルキルアクリレート(polyalkylacrylate)、およびメタクリル酸−アクリル酸エチル系共重合体からなる群より選択された1種以上であり得る。前記水不溶性セルロースは、好ましくは、アルキルセルロースであり得、より好ましくは、エチルセルロースであり得る。前記水不溶性セルロースの誘導体は、好ましくは、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートフタレート(cellulose acetate phthalate)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(hydroxypropylmethylcellulose phthalate)からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0011】
本発明において、水溶性および粘稠性ポリマーは、それに限定されないが、好ましくは、任意のpHにおいて、水溶媒に対して0.01g/ml以上の溶解度を示し、かつ、10%w/v、20℃の水溶液で水溶媒を吸収し、乾燥状態を基準として1mPas以上の粘度の変化を示すものであり得、より好ましくは、前記水溶性および粘稠性ポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロース(hydroxylalkylcellulose)、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース(hydroxypropylalkylcellulose)、ポリアルキレンオキシド(polyalkyleneoxide)、ナトリウムアルギネート(sodium alginate)、ポビドン(povidone)、天然または合成ゴム(gum)類、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、およびナトリウムカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose sodium)からなる群より選択された1種以上であり得る。最も好ましくは、前記水溶性および粘稠性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose)およびヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)の中から選択された1種以上であり得る。
【0012】
本発明の薬剤学的組成物は、水不溶性ポリマーで表面塗布された徐放部および速放部を含む。
【0013】
前記本発明の薬剤学的組成物は、徐放部と速放部とが混合された形態であり、徐放部と速放部がそれぞれ独立した放出特性を示すために、徐放部の表面を水不溶性ポリマーで塗布することにより、速放部と分離したものである。
【0014】
前記徐放部と速放部がそれぞれ独立した放出特性を示すために、それに限定されないが、好ましくは、前記徐放部の表面を水溶性および粘稠性ポリマーで追加的に塗布することができ、より好ましくは、前記徐放部の表面を水溶性および粘稠性ポリマーで1次塗布し、水不溶性ポリマーで2次塗布することができる。
【0015】
本発明の実施例では、徐放部の表面を、1)水不溶性ポリマーで塗布するか(<実施例9−1>ないし<実施例68>)、2)水溶性および粘稠性ポリマーで塗布し、水不溶性ポリマーで追加塗布するか(<実施例1−1>ないし<実施例8>)、または3)、水不溶性ポリマーで塗布した後、水溶性および粘稠性ポリマーで塗布し、水不溶性ポリマーで追加塗布し(<実施例69>)、これを速放部と混合することにより、本発明の薬剤学的組成物を製造した。
【0016】
前記徐放部は、第1薬学的活性成分;水不溶性ポリマー、水溶性および粘稠性ポリマーからなる群より選択された1種以上の放出制御基剤;薬学的許容担体を含み、前記速放部は、第2薬学的活性成分;薬学的許容担体を含む。
【0017】
特に、前記徐放部内の、第1薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体とは、それに限定されないが、好ましくは混合されていてもよい。
【0018】
また、前記徐放部の放出制御を目的として、前記のように、水不溶性ポリマー、水溶性および粘稠性のあるポリマーからなる群より選択された1種以上を使用することができ、より精密な放出制御のために、親水性伝達体物質または疎水性伝達体物質を追加的に使用することができる。
【0019】
前記親水性伝達体物質は、それに限定されないが、ポリアルキレングリコールおよびカルボキシビニル親水性ポリマーの中から選択された1種以上であり得、より好ましくは、分子量が400〜6,000のポリエチレングリコール、カルボマー(CarbopolTM)、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどであり得る。
【0020】
前記疎水性伝達体物質は、それに限定されないが、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸(モノ−、ジ−、トリ−)グリセリド、ワックス類、水素添加されたひまし油、水素添加された植物性油からなる群より選択された1種以上であり得る。前記脂肪酸アルコールは、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールなどであり得、脂肪酸エステルは、グリセリルモノステアレート、グリセロールモノオレエート、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン、トリパルミチン、セチルエステルワックス、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルベヘネート(Compritol 888 ATOTM)であり得、ワックス類は、ミツロウ、カルナバワックス、グリコワックス、およびカスターワックスであり得る。
【0021】
前記徐放部および速放部は、それに限定されないが、好ましくは、それぞれ独立した顆粒形態を呈することができ、本発明の薬剤学的組成物は、前記顆粒が混合されていてもよい。
【0022】
本発明の実施例では、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体とが混合された徐放性組成物に、通常薬剤学的組成物の製造に使用される結合液を用いて顆粒形態で製造し、薬学的活性成分と薬学的許容担体とが混合された速放性組成物も同様に、結合液を用いて顆粒形態で製造した。
【0023】
このように、本発明の薬剤学的組成物を製造するために、徐放部および速放部をそれぞれ製造して混合すればよく、特別な工程を必要とせず、マトリックス形態で錠剤または圧縮成形するための別の工程を必要とせず、工程が極めて簡単である。
さらに、本発明の薬剤学的組成物に用いられる薬学的活性成分の場合、その含有量や種類に制限はない。本発明の薬剤学的組成物は、徐放部および速放部がそれぞれ分離されて混合されており、前記薬学的活性成分は、徐放部、速放部にそれぞれ含まれており、速効性を要する薬学的活性成分、持続性を要する薬学的活性成分を制限なくそれぞれ独立して使用することができる。
【0024】
また、従来、当業界において一般に用いられていたコア物質に薬学的活性成分を塗布する場合、塗布量に制限があったものの、本発明の薬剤学的組成物は、徐放部または速放部の製造時に薬学的活性成分の含有量を調整することにより、薬学的活性成分の含有量を容易に調整することができ、その含有量にも制限はない。
【0025】
さらに、本発明の薬剤学的組成物は、徐放部に含まれている水不溶性ポリマーと水溶性および粘稠性ポリマーからなる群より選択された1種以上の放出制御基剤の含有量を調整することにより、徐放部に含まれている薬学的活性成分の放出程度を制御することができ、また、本発明の薬剤学的組成物は、徐放部と速放部との混合比を調整することにより、初期放出量と持続放出量を容易に調整することができる。
【0026】
本発明の薬剤学的組成物において、徐放部内の第1薬学的活性成分は、単一または複合成分であり得、それに限定されないが、好ましくは、アセトアミノフェン(acetaminophen)、トラマドール(tramadol)、ナイアシン(Niacin)、ピタバスタチン(Pitavastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、レバミピド(Rebamipide)、メトホルミン(Metformin)、グリメピリド(Glimepiride)、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、シタグリプチン(Sitagliptin)、ボグリボース(Voglibose)、レボスルピリド(Levosulpiride)、モサプリド(Mosapride)、トリメブチン(Trimebutine)、イトプリド(Itopride)、シロスタゾール(Cilostazol)、リマプロスト(Limaprost)、サルポグレラート(Sarpogrelate)、ニフェジピン(Nifedipine)、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、テルミサルタン(Telmisartan)、オルメサルタン(Olmesartan)、カンデサルタン(Candesartan)、ベニジピン(Benidipine)、カルベジロール(Carvedilol)、アテノロール(Atenolol)、バラシクロビル(Valaciclovir)、コリンアルホスセラート(Choline Alfoscerate)、アセチルカルニチン(Acetyl−l−carnitine)、ベンラファクシン(Venlafaxine)、リスペリドン(Risperidone)、クエチアピン(Quetiapine)、ガバペンチン(Gabapentin)、プレガバリン(Pregabalin)、レベチラセタム(Levetiracetam)、リバスチグミン(Rivastigmine)、アセクロフェナク(Aceclofenac)、エペリゾン(Eperisone)、ベポタスチン(Bepotastine)、アシクロビル(Acyclovir)、およびこれらの薬剤学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0027】
また、本発明の薬剤学的組成物において、速放部内の第2薬学的活性成分は、単一または複合成分であり得、それに限定されないが、好ましくは、アセトアミノフェン(acetaminophen)、トラマドール(tramadol)、ナイアシン(Niacin)、ピタバスタチン(Pitavastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、レバミピド(Rebamipide)、メトホルミン(Metformin)、グリメピリド(Glimepiride)、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、シタグリプチン(Sitagliptin)、ボグリボース(Voglibose)、レボスルピリド(Levosulpiride)、モサプリド(Mosapride)、トリメブチン(Trimebutine)、イトプリド(Itopride)、シロスタゾール(Cilostazol)、リマプロスト(Limaprost)、サルポグレラート(Sarpogrelate)、ニフェジピン(Nifedipine)、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、テルミサルタン(Telmisartan)、オルメサルタン(Olmesartan)、カンデサルタン(Candesartan)、ベニジピン(Benidipine)、カルベジロール(Carvedilol)、アテノロール(Atenolol)、バラシクロビル(Valaciclovir)、コリンアルホスセラート(Choline Alfoscerate)、アセチルカルニチン(Acetyl−l−carnitine)、ベンラファクシン(Venlafaxine)、リスペリドン(Risperidone)、クエチアピン(Quetiapine)、ガバペンチン(Gabapentin)、プレガバリン(Pregabalin)、レベチラセタム(Levetiracetam)、リバスチグミン(Rivastigmine)、アセクロフェナク(Aceclofenac)、エペリゾン(Eperisone)、ベポタスチン(Bepotastine)、アシクロビル(Acyclovir)、およびこれらの薬剤学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0028】
前記徐放部内の薬学的活性成分と速放部内の薬学的活性成分とは同一でも異なっていてもよく、当業者が容易に必要に応じて選択することができる。
また、それに限定されないが、好ましくは、薬剤学的組成物の用途または目的の疾患に応じて、下記表1に記載の組成で活性成分を構成することができる。
【0029】
【表1】

【0030】
本発明の実験例では、薬学的活性成分として、アセトアミノフェンまたはトラマドールを使用し、徐放部の表面を水不溶性ポリマーで塗布するか、水溶性かつ粘稠性のあるポリマーで塗布し、水不溶性ポリマーで追加塗布して製造された本発明の薬剤学的組成物の放出特性を確認した結果、徐放部と速放部がそれぞれ独立した放出特性を示し(図1のアセトアミノフェン参照)、pHの変化に影響を受けずに(図2参照)、徐放部および速放部の含有量と、徐放部の水不溶性ポリマーの塗布量に応じて放出特性の調整が可能であり(図7)、特に、従来公知の前記速効性および持続性を同時に含む代表的な製剤のTylenol ERと極めて類似の放出特性を示し(図10)、速放部と徐放部の組成比率を調整し、薬学的活性成分の初期放出性を円滑に制御することができる(図11〜図12)。
【0031】
また、薬学的活性成分として、ロスバスタチン、ピタバスタチン、アトルバスタチンカルシウムまたはナイアシンを使用し、徐放部の表面を水不溶性ポリマーで塗布することにより製造された本発明の薬剤学的組成物の場合にも、徐放部と速放部がそれぞれ独立した放出特性を示した(図13〜図15参照)。
【0032】
さらに、前記ロスバスタチン、ピタバスタチン、アトルバスタチンカルシウムまたはナイアシンのみならず、前記表1に記載のその他多様な活性成分を用いて製造された本発明の薬剤学的組成物の場合にも、徐放部と速放部がそれぞれ独立した放出特性を示すため、薬学的活性成分の種類に制限なく使用することができる(表7および表8、図16参照)。
【0033】
本発明の薬剤学的組成物の剤形は、それに限定されないが、好ましくは、錠剤であり得る。本発明の薬剤学的組成物は、徐放部と速放部に薬学的許容担体を混合して打錠することにより錠剤形態で製造可能であり、前記錠剤は、打錠時に特殊錠剤機を用いる必要がなく、比較的簡単な工程で製造可能である。
【0034】
本発明において、薬学的許容担体は、それに限定されないが、好ましくは、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤の中から選択された1種以上であり得、前記賦形剤、崩壊剤および滑沢剤は、当業者が容易に選択することができる。より好ましくは、前記賦形剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、セルラクトース(cellactose)、コリドン(kollidon)、ケイ化微結晶セルロース(silicified microcrystalline cellulose)の中から選択された1種以上を使用することができ、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロースを、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用することができる。
【0035】
本発明の薬剤学的組成物は、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体とを含む徐放部の表面を水不溶性ポリマーで塗布することにより、徐放部と分離して、速放部と徐放部が独立した放出特性を示し、速放部と徐放部の組成比率を調整し、薬学的活性成分の初期放出性を円滑に制御することができ、使用可能な薬学的活性成分の含有量と種類に制限がなく、比較的簡単な工程で製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】<実施例1−1>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図2】<実施例1−2>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物のpH1.2およびpH6.8における、時間に応じたトラマドールHClおよびアセトアミノフェンの溶出率を測定して示したものである。
【図3】<実施例2>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図4】<実施例3>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図5】<実施例4>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図6】<実施例5>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図7】<実施例6>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間および水不溶性基剤の噴霧量に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図8】<実施例7>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図9】<実施例8>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図10】<実施例9−1>ないし<実施例9−3>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである(比較例:Tylenol ER)。
【図11】<実施例10>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図12】<実施例11>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図13】<実施例12>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図14】<実施例13>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図15】<実施例14>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物の水における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【図16】<実施例69>の組成を有する本発明の薬剤学的組成物のpH6.8における、時間に応じた溶出率を測定して示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
ただし、下記の実施形態は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施形態に限定されるものではない。
【0038】
<実施例>
速効性と持続性を同時に有する薬剤学的組成物の製造
1)持続性を有する徐放部の製造
下記表2および表3に記載された<実施例1−1>ないし<実施例8>により、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体との混合物に結合液を噴霧して徐放性顆粒を製造し、前記製造された顆粒に、水溶性かつ粘稠性のあるポリマーを噴霧液として製造し(5%w/w、エタノールと水を8:2で混合する)、噴霧して、1次コーティングした後、水不溶性ポリマーを噴霧液として製造し(6%w/w、エタノールと水を9:1で混合する)、噴霧して、2次コーティングすることにより、持続性を有する徐放部を製造した。
【0039】
また、下記表3〜表5−2に記載された<実施例9−1>ないし<実施例68>により、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体との混合物に結合液を噴霧して徐放性顆粒を製造し、製造された顆粒に、水不溶性ポリマーを噴霧液として製造し(6%w/w、エタノールと水を9:1で混合する)、噴霧して、コーティングすることにより、持続性を有する徐放部を製造した。
【0040】
これに加え、下記表6に記載された<実施例69>により、薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体との混合物に結合液を噴霧して徐放性顆粒を製造し、製造された顆粒に、水不溶性ポリマーを噴霧液として製造し(6%w/w、エタノールと水を9:1で混合する)、噴霧して、1次コーティングした後、水溶性かつ粘稠性のあるポリマーを噴霧液として製造し(5%w/w、エタノールと水を8:2で混合する)、噴霧して、2次コーティングし、水不溶性ポリマーを噴霧液として製造し(6%w/w、エタノールと水を9:1で混合する)、噴霧して、3次コーティングすることにより、持続性を有する徐放部を製造した。
【0041】
具体的には、<実施例1−1>ないし<実施例11>と<実施例69>では、アセトアミノフェン(acetaminophen)およびトラマドール(tramadol HCl)を放出薬物とし、<実施例15>ないし<実施例68>では、表5−1に記載された徐放部の活性成分を放出薬物とし、コロイド二酸化ケイ素(colloidal silicon dioxide)、メタクリル酸−アクリル酸エチル系共重合体(登録商標:Eudragit)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose)、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)、糊化デンプン(pregelatinized starch)、ポリエチレンオキシド(polyethyleneoxide)、ナトリウムクロスカルメロース(croscarmellose sodium)、およびエチルセルロース(ethylcellulose)の中から選択された1種以上を混合した後、結合液を噴霧して徐放性顆粒を製造した。
【0042】
前記製造された徐放性顆粒に水溶性かつ粘稠性のあるポリマーを噴霧して、前記徐放性顆粒を1次コーティングし、前記1次コーティングされた徐放性顆粒に水不溶性ポリマーを噴霧して、2次コーティングした(<実施例1−1>ないし<実施例8>)。
あるいは、前記製造された徐放性顆粒に水不溶性ポリマーのみを噴霧してコーティングした(<実施例9−1>ないし<実施例11>、および<実施例15>ないし<実施例68>)。
【0043】
あるいは、前記製造された徐放性顆粒に水不溶性ポリマーを噴霧して、前記徐放性顆粒を1次コーティングし、前記1次コーティングされた徐放性顆粒に水溶性および粘稠性ポリマーを噴霧して、2次コーティングした後、前記2次コーティングされた徐放性顆粒に水不溶性ポリマーで追加噴霧して、3次コーティングした(<実施例69>)。
【0044】
前記水溶性かつ粘稠性のあるポリマーとしては、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)、およびポリエチレンオキシド(polyethyleneoxide)の中から選択された1種以上を使用した。前記水不溶性ポリマーは、エチルセルロース(ethylcellulose)、メタクリル酸−アクリル酸エチル系共重合体(登録商標:Eudragit)、および微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)の中から選択された1種以上を使用した。
【0045】
一方、下記表4に記載された<実施例12>ないし<実施例14>により、徐放性混合物に結合液を噴霧して徐放性顆粒を製造し、前記製造された顆粒に水不溶性ポリマーを噴霧してコーティングすることにより、持続性を有する徐放部を製造した。
【0046】
具体的には、<実施例12>ないし<実施例14>では、ナイアシン(Niacin)を放出薬物とし、メタクリル酸−アクリル酸エチル系共重合体(登録商標:Eudragit)およびヒドロキシエチルセルロースを混合した後、結合液を噴霧して徐放性顆粒を製造した後、水不溶性ポリマーのエチルセルロースを前記徐放性顆粒に噴霧してコーティングした。
【0047】
2)速効性を有する速放部の製造
下記表2〜表4に記載された<実施例1−1>ないし<実施例14>と、表5−1〜表6に記載された<実施例15>ないし<実施例69>により、速放性混合物に結合液を噴霧して速放性顆粒を製造した。
【0048】
具体的には、下記表2、表3および表6に記載された<実施例1−1>ないし<実施例9−3>と<実施例69>では、アセトアミノフェンを放出薬物とし、表3に記載された<実施例10>と<実施例11>では、アセトアミノフェンおよびトラマドールを放出薬物とし、ラクトース(lactose)、ナトリウムクロスカルメロース(croscarmellose sodium)、コロイド二酸化ケイ素(colloidal silicon dioxide)、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、糊化デンプン、低置換のヒドロキシプロピルセルロース(low−substituted hydroxypropylcellulose)、粉末セルロース(Powdered Cellulose)の中から選択された1種以上を混合した後、結合液を噴霧して速放性顆粒を製造した。
【0049】
一方、下記表4に記載された<実施例12>ないし<実施例14>と、表5−1および表5−2に記載された<実施例15>ないし<実施例68>では、速放部の活性成分を放出薬物とし、速放性混合物に結合液を噴霧して速放性顆粒を製造した。
【0050】
具体的には、<実施例12>ないし<実施例14>と、<実施例15>ないし<実施例68>では、表4および表5−1に記載された速放部の活性成分を放出薬物とし、コロイド二酸化ケイ素、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、メタケイ酸アルミン酸マグネシュム(magnesium aluminometasilicate)、および第三リン酸カルシウム(tribasic calcium phosphate)の中から選択された1種以上を混合した後、結合液を噴霧して速放性顆粒を製造した。
【0051】
3)速効性と持続性を同時に有する薬剤学的組成物の製造
3−1)実施例12ないし14、17ないし19、22、23、32ないし36、38ないし42、44ないし48、50ないし54、68
【0052】
上記1)および2)と同様の方法で製造するが、下記表4、表5−1および表5−2に記載されているように、複合活性成分として、第1薬学的活性成分で徐放部を製造し、第2薬学的活性成分で速放部を製造し、製造された徐放部と速放部に賦形剤および崩壊剤を添加し、これに滑沢剤を追加添加した後、打錠して、硬度12〜20kpを有する錠剤を製造した。具体的には、賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用した。
【0053】
3−2)実施例16、21、31、37、43、49、56、57
上記1)と同様の方法で製造するが、下記表5−1および表5−2に記載されているように、単一活性成分で徐放部のみを製造し、製造された徐放部に賦形剤および崩壊剤を添加し、これに滑沢剤を追加添加した後、打錠して、硬度12〜20kpを有する錠剤を製造した。具体的には、前記賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用した。
【0054】
3−3)実施例15、24ないし30、55、58ないし67
上記1)および2)と同様の方法で製造するが、表5−1および表5−2に記載されているように、単一活性成分で徐放部と速放部を製造し、製造された速放部と徐放部に賦形剤および崩壊剤を添加し、これに滑沢剤を追加添加した後、打錠して、硬度12〜20kpを有する錠剤を製造した。具体的には、前記賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用した。
【0055】
3−4)実施例20
上記1)と同様の方法で製造するが、表5−1および表5−2に記載されているように、複合活性成分で徐放部のみを製造し、製造された徐放部に賦形剤および崩壊剤を添加し、これに滑沢剤を追加添加した後、打錠して、硬度12〜20kpを有する錠剤を製造した。具体的には、前記賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用した。
【0056】
3−5)実施例1−1ないし9−3、69
上記1)および2)と同様の方法で製造するが、表2、表3および表6にそれぞれ記載されているように、第1薬学的活性成分(トラマドール)で徐放部のみを製造し、第2薬学的活性成分(アセトアミノフェン)で徐放部と速放部を製造し、製造された徐放部に賦形剤および崩壊剤を添加し、これに滑沢剤を追加添加した後、打錠して、硬度12〜20kpを有する錠剤を製造した。具体的には、前記賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用した。
【0057】
3−6)実施例10および11
上記1)および2)と同様の方法で製造するが、表3に記載されているように、第1薬学的活性成分(トラマドール)で徐放部と速放部を製造し、第2薬学的活性成分(アセトアミノフェン)で徐放部と速放部を製造し、製造された徐放部に賦形剤および崩壊剤を添加し、これに滑沢剤を追加添加した後、打錠して、硬度12〜20kpを有する錠剤を製造した。具体的には、前記賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、崩壊剤としてナトリウムクロスカルメロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)を使用した。
【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5−1a】

【0062】
【表5−1b】

【0063】
【表5−1c】

【0064】
【表5−1d】

【0065】
【表5−1e】

【0066】
【表5−1f】

【0067】
【表5−2a】

【0068】
【表5−2b】

【0069】
【表5−2c】

【0070】
【表6a】

【0071】
【表6b】

【0072】
<実験例>
本発明の薬剤学的組成物の溶出実験
1)実験方法
上記実施例で製造された錠剤を対象に溶出試験を実施した。具体的には、溶出試験は、大韓薬典(韓国食品医薬品安全庁、第9改定、p1172)の一般試験法における溶出試験第2法により実施し、pH1.2、pH6.8、または水を溶出液とし、50回転/分の条件下、6時間実施した。溶出試験開始後15分、30分、45分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分、480分、600分の間隔で5mlずつの溶出液を取ってろ過し、そのろ液を検液としてHPLC法で分析し、その結果を図1〜図15に示した。この時、比較例として、速効性と持続性を同時に有する代表的な薬剤のTylenol ER錠(韓国ヤンセン社製;アセトアミノフェン650mg含有、二層錠)を使用した。
【0073】
2)実験の結果
前記実験の結果を図1〜図16に示すように、本発明の薬剤学的組成物は、徐放部および速放部がそれぞれ独立して制御され、速効性と持続性を同時に有し、pHの変化に敏感でなく、薬物の種類にも制限なく使用できることが分かる。
【0074】
具体的には、図1は、上記<実施例1−1>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが線形的な持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0075】
図2は、上記<実施例1−2>の組成物のpH1.2およびpH6.8における、時間に応じた溶出実験の結果であって、<実施例1−1>の徐放部顆粒からヒドロキシエチルセルロースおよびEudragitの組成を異にした組成物において、徐放部にのみ含まれているトラマドールと、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが、pHの変化に影響されずに、持続性、速効性で放出される結果を確認することができる。
【0076】
図3は、上記<実施例2>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部を水不溶性ポリマーのみで顆粒した場合の組成物において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが初期放出率の高い持続性で放出される結果を確認することができる。
【0077】
図4は、上記<実施例3>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、<実施例2>で徐放部2次噴霧液に親水性伝達体物質のポリエチレングリコールを添加した場合の組成物において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0078】
図5は、上記<実施例4>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部を微結晶セルロースとヒドロキシプロピルセルロースで顆粒した場合の組成物において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0079】
図6は、上記<実施例5>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部顆粒に塗布される噴霧液からタルク(Talc)を除外した場合の組成物において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0080】
図7は、上記<実施例6>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。特に、前記図7は、徐放部を塗布した水不溶性ポリマーのエチルセルロース塗布量の変化により、アセトアミノフェンおよびトラマドールの持続性および速効性で放出量が変化可能であることを確認することができる。
【0081】
図8は、上記<実施例7>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部顆粒からラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)およびカルシウムカーボネート(calcium carbonate)を除外した場合の組成物において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0082】
図9は、上記<実施例8>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部でアセトアミノフェンとトラマドールを別個に顆粒した場合において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0083】
図10は、上記<実施例9−1>ないし<実施例9−3>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部顆粒を構成する混合物中の基剤の種類を異にした場合の組成物において、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが放出パターンをTylenol ERと比較した結果、極めて類似の放出特性を示すことを確認することができる。
【0084】
図11と図12は、上記<実施例10>および<実施例11>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、<実施例10>は、速放部と徐放部を3:2で組成した場合、<実施例11>は、速放部と徐放部を2:3で組成した場合の、徐放部および速放部に含まれているアセトアミノフェンが持続性および速効性で放出される結果、徐放部にのみ含まれているトラマドールが持続性で放出される結果を確認することができる。
【0085】
図13は、上記<実施例12>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部および速放部に含まれているナイアシンが持続性および速効性で放出される結果、速放部にのみ含まれているロスバスタチンが速効性で放出される結果を確認することができる。
【0086】
図14は、上記<実施例13>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部および速放部に含まれているナイアシンが持続性および速効性で放出される結果、速放部にのみ含まれているピタバスタチンが速効性で放出される結果を確認することができる。
【0087】
図15は、上記<実施例14>の組成物の水における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部および速放部に含まれているナイアシンが持続性および速効性で放出される結果、速放部にのみ含まれているアトロバスタチンが速効性で放出される結果を確認することができる。
【0088】
図16は、上記<実施例69>の組成物のpH6.8における、時間に応じた溶出実験の結果であり、下記表7および表8は、上記<実施例15>ないし<実施例40>および<実施例41>ないし<実施例69>の組成物のpH6.8における、時間に応じた溶出実験の結果であって、徐放部に含まれている活性成分が持続性で放出される結果、速放部にのみ含まれている活性成分が速効性で放出される結果を確認することができる。
【0089】
このように、本発明の薬剤学的組成物は、速放部と徐放部がそれぞれ分離されて混合されることにより、徐放部の影響により速放部の崩壊が遅延されたり活性成分の放出が遅延されるなどの問題が生じることなく、速放部と徐放部がそれぞれ独立して放出特性を示すことができ、さらに、活性成分が速放部と徐放部にそれぞれ含有されて独立して放出されるため、速効性を要するか持続性を要する活性成分の含有量と種類に制限を受けることなく広範囲に適用可能であり、pHの変化にも安定した溶出特性を示すため、改善された治療効果を期待することができる。
【0090】
【表7】

【0091】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性ポリマーで表面塗布されており、
第1薬学的活性成分;水不溶性ポリマーと水溶性および粘稠性ポリマーからなる群より選択された1種以上の放出制御基剤;薬学的許容担体を含む徐放部と、
第2薬学的活性成分;薬学的許容担体を含む速放部とを含むことを特徴とする薬剤学的組成物。
【請求項2】
前記水不溶性ポリマーは、任意のpHにおいて、水溶媒に対して0.0001g/ml以下の溶解度を示すことを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項3】
前記水溶性および粘稠性ポリマーは、任意のpHにおいて、水溶媒に対して0.01g/ml以上の溶解度を示し、かつ、10%w/v、20℃の水溶液で水溶媒を吸収し、乾燥状態を基準として1mPas以上の粘度の変化を示すことを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項4】
前記徐放部は、追加的に水溶性および粘稠性ポリマーで表面塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項5】
前記徐放部および速放部は、それぞれ独立した顆粒形態を呈しており、これら顆粒が混合されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項6】
前記徐放部内の、第1薬学的活性成分と放出制御基剤と薬学的許容担体とは、混合されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項7】
前記徐放部内の第1薬学的活性成分は、単一または複合成分であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項8】
前記速放部内の第2薬学的活性成分は、単一または複合成分であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項9】
前記第1薬学的活性成分は、アセトアミノフェン(acetaminophen)、トラマドール(tramadol)、ナイアシン(Niacin)、ピタバスタチン(Pitavastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、レバミピド(Rebamipide)、メトホルミン(Metformin)、グリメピリド(Glimepiride)、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、シタグリプチン(Sitagliptin)、ボグリボース(Voglibose)、レボスルピリド(Levosulpiride)、モサプリド(Mosapride)、トリメブチン(Trimebutine)、イトプリド(Itopride)、シロスタゾール(Cilostazol)、リマプロスト(Limaprost)、サルポグレラート(Sarpogrelate)、ニフェジピン(Nifedipine)、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、テルミサルタン(Telmisartan)、オルメサルタン(Olmesartan)、カンデサルタン(Candesartan)、ベニジピン(Benidipine)、カルベジロール(Carvedilol)、アテノロール(Atenolol)、バラシクロビル(Valaciclovir)、コリンアルホスセラート(Choline Alfoscerate)、アセチルカルニチン(Acetyl−l−carnitine)、ベンラファクシン(Venlafaxine)、リスペリドン(Risperidone)、クエチアピン(Quetiapine)、ガバペンチン(Gabapentin)、プレガバリン(Pregabalin)、レベチラセタム(Levetiracetam)、リバスチグミン(Rivastigmine)、アセクロフェナク(Aceclofenac)、エペリゾン(Eperisone)、ベポタスチン(Bepotastine)、アシクロビル(Acyclovir)、およびこれらの薬剤学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の薬剤学的組成物。
【請求項10】
前記第2薬学的活性成分は、アセトアミノフェン(acetaminophen)、トラマドール(tramadol)、ナイアシン(Niacin)、ピタバスタチン(Pitavastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、レバミピド(Rebamipide)、メトホルミン(Metformin)、グリメピリド(Glimepiride)、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、シタグリプチン(Sitagliptin)、ボグリボース(Voglibose)、レボスルピリド(Levosulpiride)、モサプリド(Mosapride)、トリメブチン(Trimebutine)、イトプリド(Itopride)、シロスタゾール(Cilostazol)、リマプロスト(Limaprost)、サルポグレラート(Sarpogrelate)、ニフェジピン(Nifedipine)、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、テルミサルタン(Telmisartan)、オルメサルタン(Olmesartan)、カンデサルタン(Candesartan)、ベニジピン(Benidipine)、カルベジロール(Carvedilol)、アテノロール(Atenolol)、バラシクロビル(Valaciclovir)、コリンアルホスセラート(Choline Alfoscerate)、アセチルカルニチン(Acetyl−l−carnitine)、ベンラファクシン(Venlafaxine)、リスペリドン(Risperidone)、クエチアピン(Quetiapine)、ガバペンチン(Gabapentin)、プレガバリン(Pregabalin)、レベチラセタム(Levetiracetam)、リバスチグミン(Rivastigmine)、アセクロフェナク(Aceclofenac)、エペリゾン(Eperisone)、ベポタスチン(Bepotastine)、アシクロビル(Acyclovir)、およびこれらの薬剤学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする請求項8に記載の薬剤学的組成物。
【請求項11】
前記水不溶性ポリマーは、水不溶性セルロース、水不溶性セルロースの誘導体、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、ポリアルキルアクリレート(polyalkylacrylate)、およびメタクリル酸−アクリル酸エチル系共重合体からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の薬剤学的組成物。
【請求項12】
前記水溶性および粘稠性ポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロース(hydroxylalkylcellulose)、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース(hydroxypropylalkylcellulose)、ポリアルキレンオキシド(polyalkyleneoxide)、ナトリウムアルギネート(sodium alginate)、ポビドン(povidone)、天然または合成ゴム(gum)類、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、およびナトリウムカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose sodium)からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の薬剤学的組成物。
【請求項13】
前記薬剤学的組成物の剤形は、錠剤であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−507356(P2013−507356A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533089(P2012−533089)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006910
【国際公開番号】WO2011/049309
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(509202019)ユンジン・ファーム・カンパニー・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Yungjin Pharm. Co. Ltd.
【Fターム(参考)】