説明

速度制御装置

【課題】
ばねの付勢力を動力源とする玩具において、簡易な機構で速度調節を行うことができる速度制御装置を提供すること。
【解決手段】
ゼンマイばね3の付勢力を動力源として動作する可動軸14とケーシング11とによって画成された通路15にゴム体からなるOリング16を設置し、可動軸14が回転動作する際に該可動軸14との間に生じる摺接力によってOリング16が通路15内で該可動軸14の回転動作方向に移動するように構成することで、Oリング16から受ける摩擦抵抗によって、可動軸14の回転動作速度を減速させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるプルバック式の玩具自動車が知られている(例えば、特許文献1)。この玩具自動車によれば、後輪を接地した状態で玩具自動車を後方に移動させると、後輪軸が回転動作してゼンマイばねの付勢力が蓄勢される。続いて、玩具自動車の後方への移動を止めて玩具自動車を放すと、ゼンマイばねに蓄勢された付勢力の解放によって、玩具自動車が前方に向けて走行する。
一方、ゼンマイばねの付勢力を動力源とするゼンマイ駆動ユニットにおいて、回転軸(可動部材)の回転速度を減速或いは増速する調速手段(速度制御装置)を設け、この調速手段によって安定した駆動力の出力を可能としたものが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230723号公報
【特許文献2】特開2007−16709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示された玩具自動車では、付勢力が蓄勢されたゼンマイばねは、最初のうちは速く解け、その後は解ける速度が緩慢となり、ゼンマイばねが解け切った時点で玩具自動車が止まることになる。
しかし、このように付勢力が蓄勢されたゼンマイばねが自然に解けるのに委せることとした場合には、玩具自動車が急発進した後に急激に減速して停車することとなり、全体としての走行継続時間が短くなるという問題がある。
このような問題は、ばねの付勢力を動力源とする玩具自動車の場合に限らず、蓄勢された付勢力を動力源とする装置一般に生じる。
一方、上記特許文献2のゼンマイ駆動ユニットの調速手段は、例えば、入力軸と出力軸とを軸線が同一直線上に並ぶように設け、該入力軸と出力軸とにまたがるように各軸の周囲に遊星歯車や車輪を設けることにより構成されているが、遊星歯車や車輪を軸支する構造が必要となり、複雑であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みて、簡易な構造で速度調節することができる速度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の速度制御装置は、
可動部材と固定部材とによって画成された通路と、前記通路内に設けられた弾性体とを備え、
前記弾性体は、前記通路に設置され、前記可動部材が動作する際に該可動部材との間に生じる摺接力によって前記通路内で該可動部材の動作方向に移動するように構成され、
前記可動部材と前記弾性体との間に生じる摩擦抵抗によって、該可動部材、又は該可動部材と連動する他の部材の速度調節を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の速度制御装置は、請求項1に記載の速度制御装置において、前記通路は、該通路の延在方向に直交する断面積が該通路の延在方向で異なり、該通路内での位置に応じて前記弾性体の弾性変形の度合いを変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の速度制御装置は、請求項2に記載の速度制御装置において、前記可動部材は、ばねの付勢力を動力源として動作するように構成され、前記可動部材は、前記ばねの付勢力を蓄勢する際に一方向に動作し、前記ばねの付勢力の解放によって、前記一方向とは反対の他方向に動作するように構成され、前記通路は、前記可動部材が前記一方向に動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが大きくなり、且つ、前記可動部材が前記他方向に動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが小さくなるように、該通路の延在方向に直交する断面積が該通路の延在方向で異なっていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の速度制御装置は、ゼンマイばねの付勢力を動力源として回転動作する可動軸と固定部材とによって画成された通路と、前記通路内に設けられた弾性体とを備え、
前記可動軸は、前記ゼンマイばねの付勢力を蓄勢する際に一方向に回転動作し、前記ゼンマイばねの付勢力の解放によって、前記一方向とは反対の他方向に回転動作するように構成され、
前記弾性体は、前記通路に設置され、前記可動軸が回転動作する際に該可動軸との間に生じる摺接力によって前記通路内で該可動軸の回転動作方向に移動するように構成され、
前記通路には、前記可動軸の前記一方向への回転動作の際に前記弾性体の移動を途中で阻止するストッパが形成され、前記通路は、前記可動軸が前記一方向に回転動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが大きくなり、且つ、前記可動軸が前記他方向に回転動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが小さくなるように、該通路の延在方向に直交する断面積が前記ストッパ側で小さくなっており、
前記可動軸と前記弾性体との間に生じる摩擦抵抗によって、該可動軸、又は該可動軸と連動する部材の速度調節を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の速度制御装置は、請求項1から4いずれか一項に記載の速度制御装置において、前記弾性体はOリングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、弾性体は、可動部材が動作する際に該可動部材との間に生じる摺接力によって通路内で該可動部材の動作方向に移動する。その際に、可動部材が弾性体から受ける摩擦抵抗によって可動部材の負荷トルクが変化し、可動部材の動作速度が変更させられる。この可動部材の動作速度の変更によって、可動部材の速度調節が行えることになる。
【0012】
請求項2の発明によれば、通路は、該通路の延在方向に直交する断面積が該通路の延在方向で異なり、該通路内での位置に応じて弾性体の弾性変形の度合いを変化させるように構成されているので、
通路内の弾性体の位置に応じて、可動部材の負荷トルクが変化し、可動部材の動作速度が変更させられる。この可動部材の動作速度の変更によって、可動部材の速度調節が行えることになる。
【0013】
請求項3の発明によれば、可動部材が一方向(ばねの付勢力が蓄勢される方向)に動作する際に弾性体の弾性変形の度合いが大きくなり、且つ、可動部材が他方向に動作する際に弾性体の弾性変形の度合いが小さくなるように構成されているので、蓄勢された付勢力が解放される初期において可動部材に対する摩擦抵抗が大きく、その後は摩擦抵抗が小さくなる。したがって、可動部材の動きを滑らかにすることができるとともに、ばねの付勢力の解放時間を長くすることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、可動軸が一方向(ばねの付勢力が蓄勢される方向)に回転動作する際に弾性体の弾性変形の度合いが大きくなり、且つ、可動軸が他方向に回転動作する際に弾性体の弾性変形の度合いが小さくなるように構成されているので、蓄勢された付勢力が解放される初期において可動部材に対する摩擦抵抗が大きく、その後は摩擦抵抗が小さくなる。したがって、可動部材の動きを滑らかにすることができるとともに、ゼンマイばねの付勢力の解放時間を長くすることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、弾性体がOリングであるため、変形し易いので、精度誤差をあまり気にすることなく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の速度制御装置を備えた玩具自動車のシャーシー部分の斜視図である。
【図2】図1の玩具自動車の動力伝達機構の分解斜視図である。
【図3】図2の動力伝達機構の作動を示した模式図で、(A)はゼンマイばねの付勢力を蓄勢する場合を示し、(B)は玩具自動車が走行する場合を示している。
【図4】図1の玩具自動車に搭載された速度制御装置の分解斜視図である。
【図5】図4の速度制御装置の蓋板を取り除いた状態の正面図である。
【図6】第2実施形態の速度制御装置の分解斜視図である。
【図7】図5の速度制御装置の蓋板を取り除いた状態の正面図である。
【図8】第3実施形態の速度制御装置の蓋板を取り除いた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る速度制御装置を玩具自動車に適用した場合について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示した玩具自動車1は、いわゆるプルバック式の玩具自動車で、後輪軸2(図2参照)の上方に速度制御装置10を備えている。この玩具自動車1は、ゼンマイばね3(図2参照)の付勢力を後輪軸2に伝達して後輪4を駆動させるように構成されている。
【0019】
次に、玩具自動車1の動力源及び動力伝達機構について説明する。
玩具自動車1は、動力伝達機構として歯車列20を備えている。歯車列20は、図2に示すように、軸21に固着された大小の歯車21a,21bと、軸22に固着された大小の歯車22a,22bと、軸23に固着された歯車23aと、軸24に固着された大小の歯車24a,24bと、後輪軸2に固着された歯車2aとによって構成されている。
【0020】
そして、後輪4を接地した状態で、玩具自動車1を後方に移動させると、図1に示すように、後輪軸4が図1の矢印X方向に回転動作し、後輪軸2が図3(A)の矢印方向に回転動作する。すると、後輪軸2の回転動力は、図3(A)に示すように、歯車2a,24a,23aを介して歯車21bに伝達され、軸21が矢印方向に回転動作する。
ゼンマイばね3は軸21に一端が係止され、他端が玩具自動車1のフレーム1a(図1参照)に係止されているので、軸21の回転動作によって、ゼンマイばね3の付勢力が蓄勢される。
なお、この際、歯車2a,24a,24bからの動力によってフレーム1aに形成された長孔25内を軸22が移動することで、歯車22aが逃げるので、歯車24bからの動力は歯車21aには伝達されない。
【0021】
一方、ゼンマイばね3に付勢力が蓄勢された状態で、玩具自動車1を放すと、ゼンマイばね3の付勢力によって、軸21が、図3(B)の矢印方向に回転動作する。すると、軸21の回転動力は、歯車21a,22bを介して歯車24bに伝達される。この結果、軸24が矢印方向に回転動作し、歯車24a,2aを介し後輪軸2が矢印方向に回転動作する。
これによって、後輪4が回転動作し、玩具自動車1が前進する。
なお、この際、歯車21bからの動力によってフレーム1aに形成された長孔26内を軸23が移動することで、歯車23aが逃げるので、歯車21aからの動力は歯車24aには伝達されない。
【0022】
次に、第1実施形態の速度制御装置10について説明する。
速度制御装置10は、図4に示すように、玩具自動車1のフレーム1aに固定して設けられたケーシング11と、ケーシング11内に設置される弾性体としてのOリング16とを備えている。このOリング16は例えばゴム製である。
ケーシング11は、基板11aと蓋板11bとから構成されている。この基板11aと蓋板11bとは図示はしないがねじ止めによって互いに組み付けられている。このため、基板11aには雌ねじが形成されたボス111aが形成され、蓋板11bには雄ねじを挿通するためのねじ孔111bが形成されている。
【0023】
基板11aの表面には、図4及び図5に示すように、軸14が挿入される軸孔12が形成されている。また、基板11aには、軸孔12の周りにリブ13a,13bが形成されている。
このうちリブ13aは、軸孔12の周囲にほぼ1周に亘って延在しているとともに、軸孔12に挿入された軸14までの距離が、通路15の一端部で最大となり、その一端部を除く部分では該距離が小さく且つ一定となるように延在している。リブ13aと、軸孔12に挿入された軸14までの距離は、通路15の一端部で最大で、他端部に向けて徐々に小さくなるように設定してもよい。
また、リブ13bは、基板11aの上部に形成されている。リブ13bは、Oリング16の移動を阻止する役目を有している。このため、リブ13bは、1つのボス111aから軸孔12の近傍まで延在している。このリブ13bの通路15に面する各面がストッパを構成している。
そして、軸孔12に挿入された軸14、基板11a、リブ13a,13b、及び蓋板11bによって画成された通路15にはOリング16が設置されている。このOリング16の外径は、リブ13aと軸孔12に挿入された軸14との最大距離よりも小さい。そして、通路15内に設置されたOリング16は、通路15の一端部に位置する状態では、弾性圧縮されず、通路15の他端部に移動する際に軸14とリブ13aとによって挟持されて弾性圧縮されるようになっている。

【0024】
蓋板11bは、基板11aの表面を覆うもので、蓋板11bからOリング16が離脱するのを防止する働きを有している。この蓋板11bは、上述のように、基板11aにねじ止めされるものであるが、蓋板11bは基板11aに接着剤その他によって固着されていてもよい。ただし、蓋板11bは、Oリング16の交換ができるようにねじ止め又はそれ以外の方法によって、基板11aに着脱可能となっていることが好ましい。このようにすれば、玩具自動車1の場合、大きさ又は弾性率の異なるOリング16を適宜に交換して使用することで、遊びにバリエーションを持たせることが可能となる。
【0025】
また、実施形態の場合、速度制御装置10は、軸14と、軸14に固着された歯車14a(図1参照)と、後輪軸2に固着された歯車2bとを備えている。ただし、これらは必ず設けなくてはいけないものではない。軸14に代えて、後輪軸2を軸孔12に直接挿通できるのであれば、軸14及び歯車2bは不要である。
【0026】
Oリング16は、回転動作する軸14との間に生じる摺接力によって、ケーシング11の通路15内で軸14の回転動作方向に移動する。
具体的に説明すれば、後輪4を接地した状態で、玩具自動車1を後方に移動させると、軸14が一方向に回転動作する。その結果、Oリング16は、軸14との間に生じる摺接力によって、ケーシング11内で軸14の回転動作方向(この場合には通路15が狭まる方向)に移動してリブ13bへの突当りによって停止させられる。この場合、通路15が狭まる方向にOリング16が移動するので、Oリング16が弾性圧縮される。
続いて、この状態から玩具自動車1を放すと、ゼンマイばね3の付勢力が解放され、軸14が先ほどとは反対の方向に回転動作し、Oリング16は、軸14との間に生じる摺接力によって、ケーシング11内で軸14の回転動作方向(この場合には通路15が広くなる方向)に移動する。この場合、通路15が広くなる方向にOリング16が移動するので、Oリング16の圧縮度合いが小さくなり、Oリング16は膨らんだ状態(復元状態)となる。
【0027】
以上のように、ゼンマイばね3の付勢力が畜勢された状態では通路15の幅が狭い箇所にОリング16が存在し、この状態からゼンマイばね3の付勢力が解放されて、通路15の幅が広い箇所に向けてОリング16が移動する。この場合、通路15の幅が狭い箇所にОリング16が存在している間は、軸14とОリング16との摩擦抵抗が大きく、通路15の幅が広い箇所にОリング16が移動したときは、軸14とОリング16との摩擦抵抗が小さくなる。したがって、この玩具自動車1によれば、次のような効果が得られることになる。
すなわち、玩具自動車1が前進を始める際には、軸14の回転動作がOリング16の摩擦抵抗によって抑制されるので、ゼンマイばね3の付勢力の解放が緩慢となり、玩具自動車1の急発進が抑制される。一方、通路15の幅が広い箇所にОリング16が移動すると、ゼンマイばね3の付勢力が減少するが、Oリング16の摩擦抵抗も減少する。
この結果、ゼンマイばね3の解ける時間が長くなるとともに、玩具自動車1が滑らかに走行することとなる。
【0028】
次に、第2実施形態の速度制御装置について説明する。
図6及び図7は、本発明に係る速度制御装置の第2実施形態を示している。この第2実施形態の速度制御装置30も例えば図1に示す玩具自動車1に搭載可能である。
この第2実施形態の速度制御装置30が第1実施形態の速度制御装置10と異なる点は、第1実施形態の速度制御装置10の通路15に相当する通路35の幅が同じとなっていて、且つ、無端となっていることである。
すなわち、基板31aには、図6に示すように、中心に軸孔32が形成され、その軸孔32を囲むように通路形成用のリブ33が形成されている。このリブ33は、図7に示すように、軸孔32に挿入された軸34(可動軸:第1実施形態の軸14に相当)と同心に形成されている。また、基板31aには、蓋板31bが取り付けられ、軸34、基板31a、リブ33及び蓋板31bによって、円状の通路35が形成されている。そして、通路35にはOリング36が設置されている。この場合、Oリング36は、軸34とリブ33とで挟持されて弾性圧縮された状態となる。なお、基板31aの表面と蓋板31bの内面の距離は一定であり、その距離はOリング36の厚みよりも僅かに大きく設定されている。
第2実施形態の速度制御装置30は、その他の点では、第1実施形態の速度制御装置10と同じとなっている。
【0029】
この第2実施形態の速度制御装置によれば、次のような効果が得られることになる。
Oリング36が軸34とリブ33との間で挟持され弾性圧縮された状態にあり、Oリング36は軸34との間に生じる摺接力によって軸34の回転動作方向に移動するが、その際に、Oリング36からの摩擦抵抗も受けることになる。したがって、軸34の回転動作速度を遅くすることができる。
【0030】
次に、第3実施形態の速度制御装置について説明する。
図8は、本発明に係る速度制御装置の第3実施形態を示している。この第3実施形態の速度制御装置40も例えば図1に示す玩具自動車1に搭載可能である。
この第3実施形態40の速度制御装置40が第1実施形態の速度制御装置10と異なる点は、第1実施形態の速度制御装置10の通路15に相当する通路45が楕円状又は長円状で且つ無端となっていることである。
すなわち、基板41aには、中心に軸孔42が形成され、その軸孔42を囲むように通路形成用のリブ43が形成されている。また、基板41aには蓋板(図示せず)が取り付けられ、軸44(可動軸:第1実施形態の軸14に相当)、基板41a、リブ43及び蓋板によって、楕円状又は長円状の通路45が形成されている。そして、通路45には、ゴム体であるOリング46が設置されている。この場合、Oリング36は、軸44とリブ43とで挟持されて弾性圧縮された状態となる。なお、基板41aの表面と蓋板の内面の距離は一定であり、その距離はOリング46の厚みよりも僅かに大きく設定されている。
第3実施形態の速度制御装置40は、その他の点では、第1実施形態の速度制御装置10と同じとなっている。
【0031】
この第3実施形態の速度制御装置40によれば、次のような効果が得られることになる。
Oリング46が軸44とリブ43との間の距離が最大となる箇所で僅かに圧縮された状態にあり、Oリング46は軸44との間に働く摺接力によって軸44の回転動作方向に移動するが、その際に、軸44とリブ43との間の距離が小さくなる箇所でOリング46から大きな摩擦抵抗を受けることになる。したがって、軸44の回転動作速度を遅くすることができるとともに、軸44の回転動作速度が大きくなったり小さくなったりを繰り返すことになる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態では、弾性体の例としてOリングを説明したが、弾性体であればOリングでなくてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、速度制御装置を玩具自動車に適用した例を示したが、玩具自動車に限定されることなく、装置(他の玩具を含む)にも適用が可能である。
【0035】
また、上記実施形態では、軸14,34,44のような回転動作体の速度制御を行う場合を説明したが、直動部品の速度制御を行う場合にも適用できる。
【0036】
また、上記実施形態では、動力源としてゼンマイばね3を例に挙げたが、その他のばねであってもよい。また、動力源としてモータその他の動力源を持ちする場合にも適用できる。この場合には、速度制御によって、可動部材、又は該可動部材に連動する部材を適切な速度で動作させたり、可動部材、又は該可動部材に連動する部材に面白みのある動作をさせることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 玩具自動車
2 後輪軸
3 ゼンマイばね
4 後輪
10 速度制御装置
14 軸
15 通路
16 Oリング
30 速度制御装置
34 軸
35 通路
36 Oリング
40 速度制御装置
44 軸
45 通路
46 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材と固定部材とによって画成された通路と、前記通路内に設けられた弾性体とを備え、
前記弾性体は、前記通路に設置され、前記可動部材が動作する際に該可動部材との間に生じる摺接力によって前記通路内で該可動部材の動作方向に移動するように構成され、
前記可動部材と前記弾性体との間に生じる摩擦抵抗によって、該可動部材、又は該可動部材と連動する他の部材の速度調節を行うことを特徴とする速度制御装置。
【請求項2】
前記通路は、該通路の延在方向に直交する断面積が該通路の延在方向で異なり、該通路内での位置に応じて前記弾性体の弾性変形の度合いを変化させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の速度制御装置。
【請求項3】
前記可動部材は、ばねの付勢力を動力源として動作するように構成され、前記可動部材は、前記ばねの付勢力を蓄勢する際に一方向に動作し、前記ばねの付勢力の解放によって、前記一方向とは反対の他方向に動作するように構成され、前記通路は、前記可動部材が前記一方向に動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが大きくなり、且つ、前記可動部材が前記他方向に動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが小さくなるように、該通路の延在方向に直交する断面積が該通路の延在方向で異なっていることを特徴とする請求項2に記載の速度制御装置。
【請求項4】
ゼンマイばねの付勢力を動力源として回転動作する可動軸と固定部材とによって画成された通路と、前記通路内に設けられた弾性体とを備え、
前記可動軸は、前記ゼンマイばねの付勢力を蓄勢する際に一方向に回転動作し、前記ゼンマイばねの付勢力の解放によって、前記一方向とは反対の他方向に回転動作するように構成され、
前記弾性体は、前記可動軸と前記固定部材とによって挟持されて弾性変形した状態で前記通路に設置され、前記可動軸が回転動作する際に該可動軸との間に生じる摺接力によって前記通路内で該可動軸の回転動作方向に移動するように構成され、
前記通路には、前記可動軸の前記一方向への回転動作の際に前記ゴム体の移動を途中で阻止するストッパが形成され、前記通路は、前記可動軸が前記一方向に動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが大きくなり、且つ、前記可動軸が前記他方向に動作する際に前記弾性体の弾性変形の度合いが小さくなるように、該通路の延在方向に直交する断面積が前記ストッパ側で小さくなっており、
前記可動軸と前記ゴム体との間に生じる摩擦抵抗によって、該可動軸、又は該可動軸と連動する部材の速度調節を行うことを特徴とする速度制御装置。
【請求項5】
前記弾性体はOリングであることを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載の速度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−37037(P2012−37037A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180719(P2010−180719)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】