説明

連結固定具

【課題】簡易に取り付けることができるとともに、安定して固定することの可能な連結固定具を提供する。
【解決手段】第2外部16には、ボルト穴14Aに対向する位置にボルト穴16Aが構成されている。第2外部16のボルト穴16Aに対応する位置で固定空間Rと逆側には、第2外部16と一体的にロッド取付部材22が形成されている。ロッド取付部材22は、長尺筒棒状とされ、筒孔22Aの内面に雌ネジが構成されている。ロッド取付部材22は、挟持ネジ20と同軸的に配置されており、ボルト穴16Aと筒孔22Aとは連続構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場の仮設構造体を構成する際に、鋼材へ引張ロッドを連結固定するため等に用いられる連結固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クランプは、工事現場の仮設構造体を構成する鋼材同士を連結固定したり、特定の位置に孔を穿孔せずに被固定物を固定したりするために用いられている。例えば、特許文献1には、クランプ具に上部が支持された吊りボルトが開示されている。特許文献1では、受け金具を介して吊りボルトに吊り下げ対象物が吊り下げられている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、クランプ具の締め付けボルトと吊り下げボルトの軸が異なる位置にあるため、吊り下げ対象物による荷重で挟持部分に回転モーメントが作用して、クランプ具の固定が不安定になる。
【特許文献1】特開2005−140166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮してなされたものであり、簡易に取り付けることができるとともに、安定して固定することの可能な連結固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る連結固定具は、互いに離間して対向配置され各々対向する面の間に固定空間を構成する第1外部及び第2外部と、前記第1外部と前記第2外部とを連結する連結部と、を有する保持本体と、前記第1外部を貫通し、前記外部の外側から前記固定空間に向かってねじ込まれ、先端部で前記固定空間に配置される固定対象物を挟持する挟持ねじと、前記挟持ねじと同軸方向に配置され、前記第2外部の外側に延出されたロッド取付部材と、を備えている。
【0006】
上記構成の連結固定具では、第1外部と第2外部の間に構成された固定空間に固定対象物を配置して、挟持ネジをねじ込むことにより、挟持ネジの先端部と第2外部との間で固定対象物を挟持する。これにより、保持本体が固定対象物に固定される。第2外部の外側に延出されたロッド取付部材は、挟持ネジと同軸方向に配置されているので、ロッド取付部材に取り付けられる引張ロッドの引張力は、挟持ネジと同軸上で挟持ネジの締結方向と同方向に作用する。したがって、ロッド取付部材へ引張力が作用しても、挟持ネジには、締結方向への力が作用し、安定的に固定対象物への固定を行うことができる。
【0007】
また、挟持ねじを締結することにより、孔の穿孔などを行わずに、簡単に固定対象物への固定を行うことができる。
【0008】
本発明の請求項2に係る連結固定具は、前記ロッド取付部材が、筒状とされ、筒内に雌ネジが構成されていること、を特徴とする。
【0009】
このように、ロッド取付部材を構成することにより、外周面に対応する雄ネジを有するロッドを、ロッド取付部材へ容易に取り付けることができる。
【0010】
本発明の請求項3に係る連結固定具は、前記連結部には、前記固定対象物の端面に当接して前記保持本体の前記挟持ねじ周りの回転を阻止する回転阻止部が設けられていること、を特徴とする。
【0011】
このように、回転阻止部を設けることにより、連結固定具をより安定して固定対象物へ固定することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明に係る連結固定具によれば、簡易に取り付けることができるとともに、安定して固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る連結固定具について図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、連結固定具10は、保持本体12、挟持ネジ20、及び、ロッド取付部材22を備えている。保持本体12は、略コ字状とされている。保持本体12のコ字の一端部である第1外部14と、コ字の他端部である第2外部16とは互いに離間して対向配置されている。第1外部14と第2外部16とは、コ字の中間部である連結部18により連結されている。第1外部14と第2外部16の各々が対向する面の間には、固定空間Rが構成されている。固定空間Rには、固定対象物が配置される。
【0015】
第1外部14には、第2外部16と向き合う位置にボルト穴14Aが構成されている。ボルト穴14Aの内側には、図2に示すように、雌ネジ14Nが構成されている。ボルト穴14Aには、挟持ネジ20がねじ込まれている。挟持ネジ20には、外周に雄ネジ20Nが形成されており、雄ネジ20Nがボルト穴14Aの雌ネジと螺合されている。挟持ネジ20の先端部21は、平坦形状とされており、この先端部21と第2外部16の固定空間R側の面の間に、固定対象物が挟持される。
【0016】
第2外部16には、ボルト穴14Aに対向する位置にボルト穴16Aが構成されている。第2外部16のボルト穴16Aに対応する位置で固定空間Rと逆側には、第2外部16と一体的にロッド取付部材22が形成されている。ロッド取付部材22は、長尺筒棒状とされ、筒孔22Aの内面に雌ネジが構成されている。ロッド取付部材22は、挟持ネジ20と同軸的に配置されており(この軸を「軸S」とする)、ボルト穴16Aと筒孔22Aとは連続構成されている。ロッド取付部材22の先端部分には、ナット24が配置されている。
【0017】
ロッド取付部材22の筒孔22Aには、外周に雄ネジ26Nの形成された引張ロッド26の一端をねじ込み可能とされている。
【0018】
連結固定具10をH型鋼40に固定する際には、まず、図2及び図3に示すように、引張ロッド26をロッド取付部材22に取り付ける。次に、第1外部14がH型鋼40のフランジ40Fの内側に配置されるようにして、固定空間Rにフランジ40Fを挿入して、フランジ40Fの端面が連結部18の内側壁に当接されるように配置する。そして、挟持ネジ20を締結して挟持ネジ20の先端面と第2外部16の固定空間R側の面との間で、フランジ40Fを挟持する。このようにして、連結固定具10は、H型鋼40に固定される。
【0019】
本実施形態の連結固定具10によれば、H型鋼40に引張ロッド26を連結する際に、H型鋼40にねじ孔等を穿孔する必要がなく、挟持ねじ20を締結することにより簡単に取り付けることができる。
【0020】
また、第2外部16の外側に延出されたロッド取付部材22は、挟持ネジ20と同軸S方向に配置されているので、ロッド取付部材22に取り付けられる引張ロッド26の引張力は、挟持ネジ20と同軸S上で挟持ネジ20の締結方向と同方向に作用する。したがって、ロッド取付部材22へ引張力が作用しても、挟持ネジ20に締結方向への力が作用し、安定的にH型鋼40への固定を行うことができる。
【0021】
なお、本実施形態の連結部18には、図4に示すように、回転阻止部30を設けてもよい。回転阻止部30は、連結部18を挟んで両側に挟持ねじ20及びロッド取付部材22の軸S方向に対して直交する方向に平行な当接面32を有している。当接面32は、連結部18の固定空間R側の面と面一とされている。
【0022】
このように、回転阻止部30を設けることにより、保持本体12の軸S周りの回転を阻止することができる。
【0023】
また、図5に示すように、保持本体12の全体を幅広として、固定対象物へ当接される面積を広くすることもできる。本構成によれば、連結部18の内側が固定対象物へ当接されることにより、保持本体12の軸S周りの回転を阻止することができる。また、第1外部14及び第2外部16の固定対象物への当接面積が広くなるので、確実に固定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る連結固定具の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る連結固定具の側断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る連結固定具が、H型鋼に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る連結固定具の変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る連結固定具の他の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
10 連結固定具
12 保持本体
14 第1外部
16 第2外部
18 連結部
20 挟持ネジ
21 先端部
22 ロッド取付部材
22A 筒孔
26 引張ロッド
30 回転阻止部
S 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して対向配置され各々対向する面の間に固定空間を構成する第1外部及び第2外部と、前記第1外部と前記第2外部とを連結する連結部と、を有する保持本体と、
前記第1外部を貫通し、前記外部の外側から前記固定空間に向かってねじ込まれ、先端部で前記固定空間に配置される固定対象物を挟持する挟持ねじと、
前記挟持ねじと同軸方向に配置され、前記第2外部の外側に延出されたロッド取付部材と、
を備えた連結固定具。
【請求項2】
前記ロッド取付部材は、筒状とされ、筒内に雌ネジが構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の連結固定具。
【請求項3】
前記連結部には、前記固定対象物の端面に当接して前記保持本体の前記挟持ねじ周りの回転を阻止する回転阻止部が設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の連結固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−127406(P2010−127406A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303455(P2008−303455)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】