説明

連結構造

【課題】簡素な構造で、組立作業が容易であり、汎用性にも優れた、モータとポンプとの連結構造を提供する。
【解決手段】連結構造10においては、駆動用電源として直流電流を使用するモータ11の回転軸13の先端側に当該回転軸13と同軸上に設けられた中空軸部15の穴部17内に、アキシャルピストン型の高圧ポンプ12の回転軸14の先端部14aが挿入されている。また、モータ11の中空軸部15の穴部17と、当該穴部17に挿入された高圧ポンプ12の回転軸14の先端部14aと、の間のトルク伝達手段として、穴部17と先端部14aとの間にキー16が挿入されている。モータ11とポンプ12とをそれぞれの回転軸13,14が同軸上で連結可能な対向姿勢に保つため、モータ11のケーシング23とポンプ12のケーシング20とを繋ぐ結合手段24が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプとこれを駆動するモータとを同軸上で連結する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
海水淡水化施設や浄水施設において使用される高圧ポンプとしては、従来、プランジャポンプが主流であったが、近年、小型・軽量で高性能のアキシャルピストン型の高圧ポンプ(例えば、デンマークのダンフォス社の水圧ポンプなど)を使用する試みもなされている。この場合、モータとポンプとの連結構造として、例えば、図5に示すような構造が採用されている。
【0003】
図5に示す連結構造50においては、モータ51の回転軸52と、高圧ポンプ53の被駆動軸54とが同軸をなすように対向配置してカップリング55で連結するとともに、モータ51のフランジ51fとポンプ53のフランジ53fとの間にブラケット56を介在させ、それぞれのフランジ51f,53fがボルト(図示せず)によってブラケット56に固定されている。モータ51の回転軸52と高圧ポンプ53との間のトルク伝達手段として、カップリング55内にキー57が設けられている。また、ブラケット56の一部に組立用窓58が開設され、組立用窓58の外側に窓カバー59が付設されている。
【0004】
一方、本発明に関連する先行技術として、例えば、特許文献1記載の「着脱式モータ」や特許文献2記載の「多連式プランジャポンプ」などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−341717号公報
【特許文献2】特開2001−234850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5に示す連結構造50は、モータ51の回転軸52と高圧ポンプ53の被駆動軸54とを連結するカップリング55だけでなく、モータ51とポンプ53とを一体化するブラケット56が必要であるため、部品点数が多く、構造も複雑である。また、カップリング55による連結作業は、ブラケット56に開設された組立用窓58を利用して行わなければならないので、作業性が悪い。
【0007】
一方、特許文献1,2に記載されている連結構造は、図5に示す連結構造よりも複雑で部品点数も多く、組立作業が困難である。また、これらの連結構造は、所定の技術分野に特化したものであるため、汎用性に欠ける。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、簡素な構造で、組立作業が容易であり、汎用性にも優れた連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の連結構造は、モータとポンプとをそれぞれの回転軸が同軸上で連結可能な対向姿勢に保つため前記モータのケーシングと前記ポンプのケーシングとを繋ぐ結合手段と、一方の前記回転軸の先端部を同軸上で挿入して一体的に連結するため他方の前記回転軸の先端側に開設された中空軸部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすれば、一方の回転軸の先端部を他方の回転軸に開設された中空軸部内に挿入して一体的に連結し、前記モータのケーシングと前記ポンプのケーシングと結合手段で繋ぐことによってモータとポンプとを連結することができる。これにより、モータの回転軸とポンプの回転軸とは同軸上で一体的に連続した状態となるので、モータを稼動させるとその回転軸の駆動力によってポンプの回転軸が回転し、ポンプを作動させることができる。本発明の連結構造は、回転軸同士を連結するカップリングなどの連結部品が不要であるため、部品点数が少なく、簡素な構造であり、組立作業が容易で、汎用性にも富んでいる。
【0011】
ここで、前記結合手段として、前記中空軸部を包囲する領域において前記モータのケーシングから前記ポンプに向かって一体的に突設された周壁部と、前記ポンプのケーシングに設けられたポンプフランジを前記周壁部に固定するため前記周壁部に設けられたフランジと、を備え、前記モータの回転軸の先端側に前記中空軸部を設けることが望ましい。
【0012】
このような構成とすれば、フランジを有するポンプであれば、ポンプ側に機械加工や部品付加をすることなく、モータとポンプとを連結することが可能となるため、組立作業がさらに容易となり、汎用性も高まる。
【0013】
また、前記結合手段を所定位置に固定するための脚部を前記結合手段に設けることが望ましい。
【0014】
このような構成とすれば、一体的に連結されたモータ及びポンプを、他の固定用部材を用いることなく所定位置に固定することが可能となるため、実用性が高まる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、簡素な構造で、組立作業が容易であり、汎用性にも富んだ連結構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態である連結構造を示す一部切欠平面図である。
【図2】図1に示す連結構造の一部切欠側面図である。
【図3】その他の実施形態である連結構造を示す一部切欠側面図である。
【図4】その他の実施形態である連結構造を示す一部切欠側面図である。
【図5】従来の連結構造を示す一部切欠平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。図1,図2に示すように、本実施形態の連結構造10においては、駆動用電源として直流電流を使用するモータ11の回転軸13の先端側に当該回転軸13と同軸上に設けられた中空軸部15の穴部17内に、アキシャルピストン型の高圧ポンプ12(例えば、デンマークのダンフォス社の水圧ポンプ)の回転軸14の先端部14aが挿入されている。また、モータ11の中空軸部15の穴部17と、当該穴部17に挿入された高圧ポンプ12の回転軸14の先端部14aと、の間のトルク伝達手段として、穴部17と先端部14aとの間にキー16が挿入されている。
【0018】
モータ11とポンプ12とをそれぞれの回転軸13,14が同軸上で連結可能な対向姿勢に保つため、モータ11のケーシング23とポンプ12のケーシング20とを繋ぐ結合手段24が設けられている。結合手段24は、モータ11の正面側の回転軸13の周囲において、中空軸部15を取り囲む状態でモータ11のケーシング23と一体的に設けられた筒状の周壁部19と、ポンプ12のケーシング20に一体的に形成されたポンプフランジ18を周壁部19に固定するため周壁部19の前縁側に設けられたフランジ21と、を備えている。
【0019】
図1に示すように、ポンプ12のフランジ18正面をモータ11の周壁部19のフランジ21正面に接合し、複数のボルト(図示せず)で締め付けることにより、モータ11とポンプ12とが、それぞれの回転軸13,14が同軸上で連結可能な対向姿勢に固定されている。
【0020】
図2に示すように、結合手段24のフランジ21の下側には、断面L字状の支持脚25がフランジ21と一体的に形成されている。支持脚25下端の接地部25aを所定の固定部材26に当接させボルト27などで締め付けることにより、モータ11及びポンプ12を所定位置に固定することができる。
【0021】
連結構造10においては、ポンプ12の回転軸14の先端部14aをモータ11の回転軸13に開設された中空軸部15の穴部17内に挿入して一体的に連結し、モータ11のケーシング23とポンプ12のケーシング20と結合手段25で繋ぐことによってモータ11とポンプ12とを容易に連結することができる。
【0022】
また、連結構造10は、回転軸13,14同士を連結するカップリングなどの連結部品を使用する必要がないため、部品点数が少なく、簡素な構造であり、組立作業が容易で、汎用性にも富んでいる。
【0023】
さらに、連結構造10においては、結合手段24として、中空軸部15を包囲する領域においてモータ11のケーシング23からポンプ12に向かって一体的に突設された周壁部19と、ポンプ12のケーシング20に形成されたポンプフランジ18を周壁部19に固定するため周壁部19に設けられたフランジ21と、を備え、モータ11の回転軸13の先端側に中空軸部15を設けている。
【0024】
従って、ポンプフランジ18を有するポンプ12であれば、ポンプ12側に機械加工や部品付加をすることなく、モータ11とポンプ12とを連結することが可能であり、組立作業は極めて容易であり、汎用性も高い。
【0025】
一方、結合手段24を所定位置(固定部材26上)に固定するための脚部25を結合手段24に設けているため、一体的に連結されたモータ11及びポンプ12を、他の固定用部材を用いることなく所定位置に固定することができ、実用性にも優れている。
【0026】
次に、図3に基づいて、本発明のその他の実施形態について説明する。図3に示す連結構造30は、モータ31とポンプ32とをそれぞれの回転軸33,34が同軸上で連結可能な対向姿勢に保つためモータ31のケーシング35とポンプ32のケーシング36とを繋ぐ結合手段37と、ポンプ32の回転軸34の先端部34aを同軸上で挿入して一体的に連結するためモータ31の回転軸33の先端側に形成された中空軸部38と、を備えている。
【0027】
結合手段37は、互いに平行に対向する一対の壁部37a,37bと、壁部37a,37bの周縁部分を閉塞する周壁部37cと、壁部37a,37bの下端部分に設けられた接地部37d,37eと、を備えた箱体状の部材である。接地部37d,37eの下面を所定の固定部材39上に当接させ、複数のボルト37jで締め付けることより、結合手段37を固定部材39に固定することができる。
【0028】
一方の壁部37aに設けられた貫通孔37fにモータ31の回転軸33を通し、凹状部37gにケーシング35の正面部35aを嵌入させ、複数のボルト35cでフランジ35bを壁部37aに接合することによってモータ31が結合手段37に固定されている。
【0029】
また、他方の壁部37bに設けられた貫通孔37hにポンプ32の回転軸34を通すとともに先端部34aをモータ31の中空軸部38の穴部38a内に挿入連結し、凹状部37iにケーシング36の正面部36aを嵌入させ、複数のボルト36cでフランジ36bを壁部37bに接合することによってポンプ32が結合手段37に固定されている。
【0030】
モータ31の回転軸33の中空軸部38とポンプ32の回転軸34の先端部34aとの間のトルク伝達手段はキー(図示せず)を用いているが、これに限定するものではなく、スプライン機構やセレーション機構を採用することもできる。
【0031】
次に、図4に基づいて、本発明のその他の実施形態である連結構造40について説明する。図4に示すように、連結構造40においては、ポンプ32の回転軸34の先端部34aを同軸上でモータ41の回転軸43の先端側に挿入して一体的に連結するため、モータ41の回転軸43の先端側に、穴部48aを有する中空軸部48を設けている。本実施形態の連結構造40では、モータ41の回転軸43の外径と中空軸部48の外径とを略同一とすることにより、回転軸43の外周に拡径部分が生じることを回避している。その他の部分の構造、機能などは図3に示す連結構造30と同様であるため、図3と同じ符号を付して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の連結構造は、モータで駆動されるポンプを使用する各種産業分野において広く使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10,30,40 連結構造
11,31,41 モータ
12,32 ポンプ
13,14,33,34,43 回転軸
14a,34a 先端部
15,38,48 中空軸部
16 キー
17,38a,48a 穴部
19 周壁部
18 ポンプフランジ
20,21,23,35,36 ケーシング
24,37 結合手段
25 支持脚
25a,37d,37e 接地部
35a,36a 正面部
35b フランジ
26,39 固定部材
27,37j,35c,36c ボルト
37a,37b 壁部
37c 周壁部
37f 貫通孔
37g,37i 凹状部
37h 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータとポンプとをそれぞれの回転軸が同軸上で連結可能な対向姿勢に保つため前記モータのケーシングと前記ポンプのケーシングとを繋ぐ結合手段と、一方の前記回転軸の先端部を同軸上で挿入して一体的に連結するため他方の前記回転軸の先端側に形成された中空軸部と、を備えたことを特徴とする連結構造。
【請求項2】
前記結合手段として、前記中空軸部を包囲する領域において前記モータのケーシングから前記ポンプに向かって一体的に突設された周壁部と、前記ポンプのケーシングに設けられたポンプフランジを前記周壁部に固定するため前記周壁部に設けられたフランジと、を備え、前記モータの回転軸の先端側に前記中空軸部を設けた請求項1記載の連結構造。
【請求項3】
前記結合手段を所定位置に固定するための脚部を前記結合手段に設けた請求項1または2記載の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−228004(P2012−228004A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91369(P2011−91369)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(398018777)株式会社弁天 (15)
【出願人】(399102839)博多港管理株式会社 (16)
【Fターム(参考)】