説明

連結金物および屋根の取付構造

【課題】屋根勾配を考慮しながら、屋根芯材と壁部または梁とを連結することが可能な連結金物および屋根の取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材13a,13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部とを連結するものであり、第1固定板部2と第2固定板部3と接続板部4とを備えており、第1固定板部2と接続板部4とが屋根勾配に対応する角度に折曲形成され、第2固定板部3と接続板部4とが屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されていることを特徴とする連結金物1。また、この連結金物1を介して、屋根13を壁部20または梁の上端部に取り付けてなる屋根13の取付構造。これにより、屋根芯材と壁部または梁の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら確実に連結することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材と、棟方向に沿って配置される壁部または梁の上端部とを連結する連結金物および屋根の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一つの勾配屋根に対して、この勾配屋根と直交するようにして少なくとも一つの勾配屋根を形成し、平面視略L字状やT字状、十字状に屋根を形成する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
このように勾配屋根と勾配屋根とが交差するようにして建物の屋根を形成すると、下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に谷隅部が形成される。また、例えば寄棟造りでなる特許文献1に記載の屋根においては、この谷隅部付近に設けられる野地板等の屋根下地板材が平面視において平行四辺形となるように形成されている。したがって、このような平行四辺形の屋根下地板材の下面に設けられる垂木等の屋根芯材は、棟方向に沿って配置される屋根直下の壁部または梁と直角には交差せずに、平面視において所定の角度で斜め方向に交差するように配置されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−125492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このように垂木等の屋根芯材を所定の角度で斜めに配置して壁部または梁と交差する部分で互いに連結する場合、壁部または梁に対する屋根芯材の角度だけでなく、屋根自体の勾配も考慮しなければならないため、これら屋根芯材と壁部または梁とを連結することが困難となり、延いては、上述のような谷隅部を有する屋根を形成することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、屋根勾配を考慮しながら、屋根芯材と壁部または梁とを連結することが可能な連結金物および屋根の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、平面視において棟方向(棟12aの延在方向)に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材13a,13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部とを連結する連結金物1であって、
前記壁部20または梁の上端部の側面に固定される第1固定板部2と、
前記屋根芯材13aの側面に固定される第2固定板部3と、
これら第1固定板部2と第2固定板部3とを接続するとともに、これら第1固定板部2および第2固定板部3と一体形成される接続板部4とを備えており、
前記第1固定板部2と接続板部4とは、屋根勾配に対応する角度に折曲形成されており、
前記第2固定板部3と接続板部4とは、前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記第1固定板部2と接続板部4とは、屋根勾配に対応する角度に折曲形成されており、前記第2固定板部3と接続板部4とは、前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されているので、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら確実に連結することができる。そして、このように、屋根を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部とを確実に連結することができるので、例えば下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に形成される谷隅部(例えば谷隅部14)を有する平面視略L字状や略T字状、略十字状等の屋根を容易かつ確実に形成することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1、図4および図5に示すように、請求項1に記載の連結金物1において、
前記第1固定板部2の上端縁と接続板部4の下端縁とが一体形成されており、これら第1固定板部2の上端縁と接続板部4の下端縁とが接する部分を、これら第1固定板部2と接続板部4とを屋根勾配に対応する角度に折曲形成する際の折曲線5としており、
前記第2固定板部3の側縁部と接続板部4の側縁部とが一体形成されており、これら第2固定板部3の側縁部と接続板部4の側縁部とが接する部分を、これら第2固定板部3と接続板部4とを前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成する際の折曲線6としていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記第1固定板部2の上端縁と接続板部4の下端縁とが接する部分を前記折曲線5としているので、この折曲線5の部分を中心に前記第1固定板部2と接続板部4とを折り曲げることによって、これら第1固定板部2と接続板部4とを確実に屋根勾配に対応する角度に折曲形成できる。
また、前記第2固定板部3の側縁部と接続板部4の側縁部とが接する部分を前記折曲線6としているので、この折曲線6の部分を中心に前記第2固定板部3と接続板部4とを折り曲げることによって、これら第2固定板部3と接続板部4とを確実に前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成できる。
これによって、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら、より確実に連結することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項2に記載の連結金物1において、
前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部は、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5よりも上方に位置していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部は、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5よりも上方に位置しているので、前記接続板部4の、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部から左右方向に沿って剪断力が作用する部分の位置と、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5に沿って剪断力が作用する部分の位置とがずれることになる。
これによって、例えば、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部と、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5の端部とが当接するように形成された金物よりも、前記接続板部4付近に作用する剪断力を確実に分散できるので、屋根を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部との連結強度を高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材13a,13aと、これら複数の屋根芯材13a,13aの上面に取り付けられるとともに平面視において平行四辺形状に形成される屋根下地板材13bとを有する屋根13を、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結金物1を介して、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部に取り付けてなる屋根13の取付構造であって、
前記壁部20または梁の上端面には、前記屋根13の屋根勾配に沿って傾斜する傾斜面21aを有する結合桁21が設けられており、
前記第1固定板部2は、この結合桁21と前記壁部20または梁の上端部の側面とに固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材13a,13aと、これら複数の屋根芯材13a,13aの上面に取り付けられるとともに平面視において平行四辺形状に形成される屋根下地板材13bとを有する屋根13を、前記連結金物1を介して、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部に取り付けるので、前記屋根芯材13aと、壁部20または梁の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら、より一層確実に連結することができる。そして、このように、屋根を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部とを連結することができるので、例えば下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に形成される谷隅部を有する平面視略L字状や略T字状、略十字状等の屋根を、より一層容易かつ確実に形成することが可能となる。
また、前記壁部20または梁の上端面に、前記屋根13の屋根勾配に沿って傾斜する傾斜面21aを有する結合桁21が設けられているので、この結合桁21の傾斜面21a上に前記複数の屋根芯材13a,13aを載せることで、前記屋根13を所定の角度に勾配を付けて前記壁部20または梁の上端部に設置することができる。
また、前記第1固定板部2は、前記結合桁21と前記壁部20または梁の上端部の側面とに固定されているので、前記第1固定板部2を、単に前記結合桁21だけに固定した場合や、前記壁部20または梁の上端部の側面だけに固定した場合に比して、確実かつ強固に固定することができる。これによって、屋根を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20または梁の上端部との連結強度を、より高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図2および図3に示すように、請求項4に記載の屋根13の取付構造において、
前記屋根13は、前記複数の屋根芯材13a,13aと、棟方向に沿って配置されるとともに該複数の屋根芯材13a,13aと交差するようにして設けられる複数の横芯材13c,13cとによって、平行四辺形枠状に組み立てられた枠体の上面に、前記屋根下地板材13bを取り付けてなる建築用屋根パネルによって構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記屋根13は、建築用屋根パネルによって構成されているので、前記壁部20が前記屋根13と同質のパネルで構成されたものである場合に、屋根13と壁部20とを容易に連結することができる。
また、前記屋根13をパネル化した状態で輸送したり現場施工できるので、施工効率の工場を図ることができる。さらに、予め前記連結金物1を前記複数の屋根芯材13a,13aに取り付けておくこともできるので、この連結金物1の第1固定板部2と前記壁部20または梁の上端部の側面とが当接するようにして位置決めしながら、前記屋根13を前記壁部20または梁の上端部に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1固定板部と接続板部とは、屋根勾配に対応する角度に折曲形成されており、第2固定板部と接続板部とは、屋根芯材の棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されているので、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される屋根芯材と、棟方向に沿って配置される壁部または梁の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら確実に連結することができる。そして、このように、屋根を構成する屋根芯材と、棟方向に沿って配置される壁部または梁の上端部とを確実に連結することができるので、例えば下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に形成される谷隅部を有する平面視略L字状や略T字状、略十字状等の屋根を容易かつ確実に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の連結金物の一例を示す正面図である。
【図2】建築用屋根パネルの割付を説明するための屋根の平面図である。
【図3】建築用屋根パネルと壁部との取付態様を示す斜視図である。
【図4】図1に示す連結金物の取付態様を示す側面図である。
【図5】同、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態においては、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらの建築用パネルを組み立てて構築するパネル工法が採用されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の工法等も採用することができる。
【0019】
また、この建築用パネルとは、縦横の框材(芯材)が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
【0020】
図1は本発明に係る連結金物の一例を示す正面図である。
図1において符号1は、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される屋根パネル13の複数の屋根芯材13a,13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部とを連結する連結金物を示す。この連結金物1は、前記壁部20の上端部の側面に固定される第1固定板部2と、前記屋根芯材13aの側面に固定される第2固定板部3と、これら第1固定板部2と第2固定板部3とを接続するとともに、これら第1固定板部2および第2固定板部3と一体形成される接続板部4とを備えている。
また、前記第1固定板部2と接続板部4とは、屋根勾配に対応する角度に折曲形成されており、前記第2固定板部3と接続板部4とは、前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されている。
なお、この連結金物1は、図1に示す向きのものだけでなく、左右対称に形成されたものもあり、取付位置や条件等に応じて適宜選択して使用する。
【0021】
また、図1,図4および図5に示すように、前記第1固定板部2の上端縁と接続板部4の下端縁とが一体形成されており、これら第1固定板部2の上端縁と接続板部4の下端縁とが接する部分を、これら第1固定板部2と接続板部4とを屋根勾配に対応する角度に折曲形成する際の折曲線5としている。
さらに、前記第2固定板部3の側縁部と接続板部4の側縁部とが一体形成されており、これら第2固定板部3の側縁部と接続板部4の側縁部とが接する部分を、これら第2固定板部3と接続板部4とを前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成する際の折曲線6としている。
なお、前記折曲線5は、正面視において山折りされる部分であり、前記折曲線6は、正面視において谷折りされる部分である。
【0022】
前記第1固定板部2は、この第1固定板部2と前記接続板部4とが接する部分から下方に向かうにつれて徐々に広くなるように形成される上端部2bと、この上端部の下部に位置するとともに矩形状に形成される矩形状部2cとからなる。
この矩形状部2cには、第1固定板部2を前記壁部20の上端部の側面に止着固定するための止着材を挿通する孔部2aが複数形成されている。
【0023】
前記第2固定板部3は、互いに隣り合う直角部3b,3bを上端部に有する台形状に形成されたものであり、台形状に形成された該第2固定板部3の長辺部分が前記接続板部4に接するように設けられている。
この第2固定板部3には、この第2固定板部3を前記屋根芯材13aの側面に止着固定するための止着材を挿通する孔部3aが複数形成されている。
【0024】
なお、前記第1固定板部1の矩形状部2cの両側縁部2d,2eのうちの一方の側縁部2dが、前記第2固定板部3と接続板部4とが接する部分よりも、第2固定板部3の中央側に位置している。つまり、前記矩形状部2cの一方の側縁部2dは前記第2固定板部3の下方に位置している。
【0025】
前記接続板部4は、互いに隣り合う直角部4a,4aを前記第2固定板部3側端部に有する台形状に形成されたものであり、前記互いに隣り合う直角部4a,4a間に延在する側辺部分が前記第2固定板部3に接するように設けられている。
【0026】
なお、この接続板部4の前記互いに隣り合う直角部4a,4a間に延在する側辺部分は、前記第2固定板部3の長辺部分よりも長くなるように設定されている。したがって、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部は、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5よりも上方に位置していることとなる。
これにより、前記接続板部4の、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部から左右方向に沿って剪断力が作用する部分の位置と、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5に沿って剪断力が作用する部分の位置とがずれることになる。
【0027】
次に、本実施の形態の連結金物1を介して、屋根パネル13を、前記壁部20の上端部に取り付けてなる屋根の取付構造について説明する。
なお、本実施の形態においては、前記屋根パネル13を前記壁部20の上端部に取り付けるものとするが、これに限られるものではなく、棟に平行する梁等の水平材の上端部に取り付けるようにしてもよいものとする。
【0028】
ここで、建物の屋根10は、図2に示すように、主屋根11と、この主屋根11の端部から該主屋根11の棟方向と直交する方向に突出するように設けられる付属屋根12とによって、平面視略L字状の寄棟造りの屋根であり、複数の屋根パネル10a〜10g,13を適宜割り付けることによって形成されている。
なお、図2中に示す破線部分は、屋根10の直下に位置する壁部20または梁等の水平材の位置を示している。
【0029】
前記複数の屋根パネル10a〜10gは、平面視において三角形状または矩形状に形成されている。
三角形状に形成された大きさの異なる各屋根パネル10a,10b,10cは、屋根10の隅棟部近傍に配置されている。
また、矩形状に形成された大きさの異なる各屋根パネル10d,10e,10f,10gは、前記主屋根11の棟や付属屋根12の棟12a、これら主屋根11および付属屋根12の軒先部の近傍に配置されている。
【0030】
また、前記屋根パネル13は、図2に示すように、前記主屋根11と付属屋根12とが交差することによって下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に形成される谷隅部14の近傍に配置されている。
また、この屋根パネル13は、図3に示すように、前記複数の屋根芯材13a,13aと、棟方向に沿って配置されるとともに該複数の屋根芯材13a,13aと交差するようにして設けられる複数の横芯材13c,13cとによって、平行四辺形枠状に組み立てられた枠体の上面に、前記屋根下地板材13bを取り付けてなるものである。
なお、本実施の形態の屋根パネル13の勾配は、1/2に設定されている。
【0031】
前記壁部20は、図3および図4に示すように、建築用壁パネルによって構成されている。つまり、図4に示す横印材20aを含む枠体の表裏両面に面材20bを取り付けてなるものである。
また、この壁部20の上端面には、前記屋根パネル13の屋根勾配に沿って傾斜する傾斜面21aを有する結合桁21が設けられており、この結合桁21の傾斜面21a上に前記複数の屋根芯材13a,13aを載せることで、前記屋根パネル13を所定の角度に勾配を付けて前記壁部20の上端部に設置できるようになっている。
【0032】
そして、前記連結金物1の第1固定板部2は、止着材によって、この結合桁21と前記壁部20の上端部の側面とに固定されており、前記第1固定板部2を、単に前記結合桁21だけに固定した場合や、前記壁部20または梁の上端部の側面だけに固定した場合に比して、確実かつ強固に固定することができる。
また、前記第2固定板部3は、この第2固定板部3の上端縁が、前記屋根芯材13aの側面の上端縁と平行するようにして前記屋根芯材13aの側面に固定されている。
【0033】
また、前記連結金物1の第1固定板部2と接続板部4とは、図4に示すように、前述した屋根勾配に対応する角度に折曲形成されている。
本実施の形態の屋根勾配は1/2に設定されているので、前記第1固定板部2と接続板部4との間の内角部分の角度A1が、約153度に設定されている。これにより、これら第1固定板部2と接続板部4とを確実に屋根勾配に対応する角度に折曲形成できる。
【0034】
なお、屋根勾配を1/2に設定した場合は、前記第1固定板部2と接続板部4との間の内角部分の角度A1が約153度に設定されることになるが、屋根勾配が変更されることによって、前記第1固定板部2と接続板部4との間の内角部分の角度A1も変更される。
例えば、1/3勾配であれば約162度、2/3勾配であれば約146度に設定されることになる。
【0035】
さらに、前記連結金物1の第2固定板部3と接続板部4とは、図5に示すように、前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されている。本実施の形態の第2固定板部3と接続板部4との折曲げ角度A2は、本実施の形態の屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応して、約132度に設定されている。
なお、上述のように前記第2固定板部3の上端縁は、前記屋根芯材13aの側面の上端縁と平行しているので、屋根勾配が変更された場合は、角度A1だけでなく、角度A2も屋根勾配に応じて適宜変更されることになる。また、この角度A2は、平面視における前記屋根芯材13aの前記棟12aに対する角度によっても適宜変更されるものであり、上述のように、本実施の形態では角度A2は約132度に設定されている。
【0036】
また、本実施の形態では、前記棟12aから軒先まで屋根勾配に沿って2枚の屋根パネル13,13が並設されてなる列が、前記棟12aの長さ方向に沿って2列並列されており、計4枚の屋根パネル13が使用されている。
また、前記棟12aに当接する屋根パネル13,13は、上端部が前記棟12aに固定されており、下端部が軒先側の屋根パネル13,13に連結されており、中央部分は、図示しない桁材等によって支持されているものとする。
【0037】
また、本実施の形態の連結金物1を用いて、屋根パネル13を前記壁部20の上端部に取り付ける際は、平面視において、前記棟12aに平行に立設された壁部20の上端部に、予め前記結合桁21を取り付けておく。
続いて、前記屋根パネル13を、前記複数の屋根芯材13a,13aが前記結合桁21の傾斜面21aに沿って傾斜するようにして該結合桁21の傾斜面21a上に載せる。
その後、角度A1および角度A2が予め折曲形成された連結金物1の第1固定板部2を前記結合桁21と前記壁部20の上端部の側面とに固定し、第2固定板部3を前記屋根芯材13aの側面に固定して、前記屋根芯材13aと前記壁部20とを連結する。このようにして、前記屋根パネル13を前記壁部20の上端部に取り付けることができる。
【0038】
また、以上の取付方法以外の方法で屋根パネル13を前記壁部20の上端部に取り付けしてもよいものとする。
すなわち、予め、前記第2固定板部3を前記屋根芯材13aの側面に取り付けておき、前記連結金物1の第1固定板部2と前記壁部20の上端部の側面とが当接するようにして位置決めしながら、前記屋根パネル13を前記結合桁21の傾斜面21a上に載せ、その後、前記第1固定板部2を前記結合桁21と前記壁部20の上端部の側面とに固定して、前記屋根芯材13aと前記壁部20とを連結する。このような方法でも、前記屋根パネル13を前記壁部20の上端部に取り付けることができる。
【0039】
本実施の形態によれば、前記第1固定板部2と接続板部4とは、屋根勾配に対応する角度に折曲形成されており、前記第2固定板部3と接続板部4とは、前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されているので、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら確実に連結することができる。そして、このように、屋根パネル13を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部とを確実に連結することができるので、下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に形成される谷隅部14を有する平面視略L字状に形成された屋根10を容易かつ確実に形成することが可能となる。
【0040】
また、前記第1固定板部2の上端縁と接続板部4の下端縁とが接する部分を前記折曲線5としているので、この折曲線5の部分を中心に前記第1固定板部2と接続板部4とを折り曲げることによって、これら第1固定板部2と接続板部4とを確実に屋根勾配に対応する角度に折曲形成できる。
また、前記第2固定板部3の側縁部と接続板部4の側縁部とが接する部分を前記折曲線6としているので、この折曲線6の部分を中心に前記第2固定板部3と接続板部4とを折り曲げることによって、これら第2固定板部3と接続板部4とを確実に前記屋根芯材13aの棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成できる。
これによって、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら、より確実に連結することができる。
【0041】
また、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部は、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5よりも上方に位置しているので、前記接続板部4の、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部から左右方向に沿って剪断力が作用する部分の位置と、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5に沿って剪断力が作用する部分の位置とがずれることになる。
これによって、例えば、前記第2固定板部3と接続板部4との間の折曲線6の下端部と、前記第1固定板部2と接続板部4との間の折曲線5の端部とが当接するように形成された金物よりも、前記接続板部4付近に作用する剪断力を確実に分散できるので、屋根を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部との連結強度を高めることができる。
【0042】
また、取付構造において、平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材13a,13aと、これら複数の屋根芯材13a,13aの上面に取り付けられるとともに平面視において平行四辺形状に形成される屋根下地板材13bとを有する屋根パネル13を、前記連結金物1を介して、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部に取り付けるので、前記屋根芯材13aと、壁部20の上端部とを、屋根勾配を考慮しながら、より一層確実に連結することができる。そして、このように、屋根パネル13を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部とを連結することができるので、下方に傾斜する屋根面同士が当接する部分に形成される谷隅部14を有する平面視略L字状に形成された屋根10を、より一層容易かつ確実に形成することが可能となる。
また、前記壁部20の上端面に、前記屋根パネル13の屋根勾配に沿って傾斜する傾斜面21aを有する結合桁21が設けられているので、この結合桁21の傾斜面21a上に前記複数の屋根芯材13a,13aを載せることで、前記屋根パネル13を所定の角度に勾配を付けて前記壁部20の上端部に設置することができる。
また、前記第1固定板部2は、前記結合桁21と前記壁部20の上端部の側面とに固定されているので、前記第1固定板部2を、単に前記結合桁21だけに固定した場合や、前記壁部20の上端部の側面だけに固定した場合に比して、確実かつ強固に固定することができる。これによって、屋根を構成する屋根芯材13aと、棟方向に沿って配置される壁部20の上端部との連結強度を、より高めることができる。
【0043】
また、前記屋根パネル13は、建築用屋根パネルによって構成されており、前記壁部20が前記屋根パネル13と同質のパネルで構成されたものであるから、屋根パネル13と壁部20とを容易に連結することができる。
また、前記屋根13をパネル化した状態で輸送したり現場施工できるので、施工効率の工場を図ることができる。さらに、予め前記連結金物1を前記複数の屋根芯材13a,13aに取り付けておくこともできるので、この連結金物1の第1固定板部2と前記壁部20または梁の上端部の側面とが当接するようにして位置決めしながら、前記屋根パネル13を前記壁部20の上端部に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 連結金物
2 第1固定板部
3 第2固定板部
4 接続板部
5 折曲線
6 折曲線
13 屋根(建築用屋根パネル)
13a 屋根芯材
13b 屋根下地板材
14 谷隅部
20 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材と、棟方向に沿って配置される壁部または梁の上端部とを連結する連結金物であって、
前記壁部または梁の上端部の側面に固定される第1固定板部と、
前記屋根芯材の側面に固定される第2固定板部と、
これら第1固定板部と第2固定板部とを接続するとともに、これら第1固定板部および第2固定板部と一体形成される接続板部とを備えており、
前記第1固定板部と接続板部とは、屋根勾配に対応する角度に折曲形成されており、
前記第2固定板部と接続板部とは、前記屋根芯材の棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成されていることを特徴とする連結金物。
【請求項2】
請求項1に記載の連結金物において、
前記第1固定板部の上端縁と接続板部の下端縁とが一体形成されており、これら第1固定板部の上端縁と接続板部の下端縁とが接する部分を、これら第1固定板部と接続板部とを屋根勾配に対応する角度に折曲形成する際の折曲線としており、
前記第2固定板部の側縁部と接続板部の側縁部とが一体形成されており、これら第2固定板部の側縁部と接続板部の側縁部とが接する部分を、これら第2固定板部と接続板部とを前記屋根芯材の棟方向に対する延在方向に対応する角度に折曲形成する際の折曲線としていることを特徴とする連結金物。
【請求項3】
請求項2に記載の連結金物において、
前記第2固定板部と接続板部との間の折曲線の下端部は、前記第1固定板部と接続板部との間の折曲線よりも上方に位置していることを特徴とする連結金物。
【請求項4】
平面視において棟方向に対して所定角度で斜めに配置される複数の屋根芯材と、これら複数の屋根芯材の上面に取り付けられるとともに平面視において平行四辺形状に形成される屋根下地板材とを有する屋根を、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結金物を介して、棟方向に沿って配置される壁部または梁の上端部に取り付けてなる屋根の取付構造であって、
前記壁部または梁の上端面には、前記屋根の屋根勾配に沿って傾斜する傾斜面を有する結合桁が設けられており、
前記第1固定板部は、この結合桁と前記壁部または梁の上端部の側面とに固定されていることを特徴とする屋根の取付構造。
【請求項5】
請求項4に記載の屋根の取付構造において、
前記屋根は、前記複数の屋根芯材と、棟方向に沿って配置されるとともに該複数の屋根芯材と交差するようにして設けられる複数の横芯材とによって、平行四辺形枠状に組み立てられた枠体の上面に、前記屋根下地板材を取り付けてなる建築用屋根パネルによって構成されていることを特徴とする屋根の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−248798(P2010−248798A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99671(P2009−99671)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】