連続した繊維の創傷包帯
それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を創傷内に組み込んで、創傷の壁を分離したままにし、創傷が内側から外側に向かって治癒すること、および滲出物を除去することを含む創傷を処置するための方法。本開示の別の態様によると、創傷包帯装置は、創傷の治癒を促進するように構成され、NWPTシステムと共に使用され得る。この装置は、創傷の周りに実質的に流体を密封するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を創傷の上に画定する創傷カバー、貯留部に流体連通した、創傷の治癒を刺激するために貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した真空源、および創傷と創傷カバーとの間に配置されるパッキング構造体を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、Heagleにより2008年8月8日に出願された米国仮特許出願第61/188,370号、Corleyにより2008年9月11日に出願された同第61/096,105号、およびWatsonにより2009年1月26日に出願された同第61/147,179号に対する優先権、およびこれらの出願の利益を主張する。これらの出願のそれぞれの全内容は、本明細書中に参照として援用される。
【0002】
背景
1.技術分野
本開示は、一般に、創傷包帯(wound dressing)に関し、詳細には、急性および慢性創傷の処置において創傷流体を受け取りかつ保持するための連続した長い繊維の集合体またはトウを含む創傷包帯に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の背景
創傷包帯は、一般に、創傷を保護し治癒を促進するために創傷の上に配置される。褥瘡、潰瘍、および火傷などの滲出創傷の場合、創傷滲出物が産生された時に創傷滲出物を受け取る、保持する、または輸送するためのパッキングまたは充填材を有する包帯を提供することが一般的である。滲出物は、創傷充填材のウィッキング特性によって少なくとも部分的に創傷床から輸送され得る。したがって、創傷充填材は、創傷床から潜在的に有害な細菌を除去することによって治癒を促進すると共に、過度の湿潤環境によって引き起こされ得る周囲皮膚の損傷を防止する。
【0004】
包帯充填材は、後の除去、例えば、包帯が新しい包帯に取り替えられるときのために過剰な滲出物を捕捉し得る。綿などの一部の材料は、繊維または小繊維(例えば、主要な繊維構造から突き出た非常に短いまたは不規則な繊維)が創傷内で脱落する傾向がある。これらの繊維は、包帯が交換されるときに創傷内に残る傾向があり得る。これらの散在繊維の除去は、創傷をさらに損傷し得る人手のかかる方法であり得、これらの散在繊維を放置すると、刺激作用を引き起こし得、そうでない場合は創傷の自然治癒を阻害し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収充填材を備えた包帯を利用し得る1つの技術は、陰圧創傷治療(NWPT)として知られている。吸収材は、陰圧が維持され得る場合、創傷の上の貯留部内に配置することができる。この貯留部により、創傷が大気圧よりも低い圧力下に置かれ、液体滲出物を含む創傷流体が、真空ポンプを連続的に使用しなくても創傷から効果的に吸引される。したがって、真空圧力は、創傷の性質および重症度によって1回または様々な間隔で加えられ得る。この技術は、その領域への血流を促進し、肉芽組織の形成を刺激し、そして健常組織の創傷への遊走を促すことを見出した。NWPT装置もまた、包帯全体を取り替えなくても包帯の吸収材から滲出物を吸引する役割を果たし得る。しかし、NWPT法が完了したら、吸収材を除去しなければならないため、散在繊維によって引き起こされ得る困難に直面する。したがって、NWPTなどの先端的な創傷治療法での使用に適合されたそれらの創傷包帯を含む創傷包帯に使用するのに適した吸収充填材が、役立つであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示の一態様によると、創傷を処置するための方法は、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を使用することを含む。この方法では、創傷包帯を創傷に組み込んで創傷の側面同士を離隔させたままにし、創傷滲出物を除去する。
【0007】
本開示の別の態様によると、創傷包帯装置は、創傷の治癒を促進するように構成され、NWPTシステムと共に使用され得る。この装置は、創傷の周りに実質的に流体を密封するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を創傷の上に画定する(define)創傷カバー、貯留部に流体連通した、創傷の治癒を刺激するために貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した真空源、および創傷と創傷カバーとの間に配置されるパッキング構造体を備える。パッキング構造体は、接触材のシースによって実質的に取り囲まれた充填材のコアを含む。充填材は、創傷流体を受け取るように適合され、かつ創傷から創傷流体を輸送するように適合され得る。接触材のシースは、創傷と直接接触するように適合され、かつ創傷流体のコアを通る通路を可能にするために透過性である。
【0008】
パッキング構造体は、細長いチューブを画定し得、パッキング構造体を分割するように適合された長手方向に離隔した複数の分離機構を示し得る。近接する分離機構間に画定されたポッドは、接触材のシースがポッドの両側の横縁に沿って延在するように閉じた構造をとり得る。分離構造は、パッキング構造体を横断して横方向に延在する穿孔された切り離し線を備え、パッキング機構の幅の約50%〜約300%の距離、近接する分離機構から離隔され得る。
【0009】
本開示の一部の実施形態では、接触材は、方向性開口フィルム(directionally−apertured film)を含み得、充填材は、ポリプロピレントウを含み得る。シースは、方向性開口フィルムの上側シートと下側シートとの間に充填材を封入するために周囲にシールを有する上側シートおよび下側シートを含み得、上側シートおよび下側シートのそれぞれは、方向性開口フィルムの雄側がパッキング構造体への滲出物の流れを促すようにパッキング構造体の内側に向くように配置され得る。他の非接着材料も想定される。別法では、上側シートおよび下側シートの一方は、方向性開口フィルムの雄側がパッキング構造体の内側に向くように配置され得、上側シートおよび下側シートの他方は、方向性開口フィルムの雄側が、パッキング構造体を通る滲出物の流れを促進するようにパッキング構造体の外側に向くように配置され得る。パッキング構造体は、接触材の上側シートと下側シートとの間に充填材を封入するために周囲にシールを有する上側シートおよび下側シートを含み得る。さらに、パッキング構造体は、その周囲領域に向かっていく少なくとも1つの環状型ポッドによって取り囲まれた中心ポッドを画定するために少なくとも1つの内側シールを含み得る。分離機構が、このシールに設けられ得る。パッキング構造体の周囲領域に向かって漸進的に大きくなる複数の環状型ポッドは、概ね同心円状の複数の内側シールを画定し得る。
【0010】
充填材は、接触材の上側シートおよび下側シートの1つに近接したフォーム層、およびこのフォーム層に近接したトウ層を含み得る。フォーム層は、トウ層の両側に配置され得、パッキング構造体を通る創傷流体の流れを促進するためにフォーム層に孔が形成され得る。
【0011】
本開示の別の態様によると、創傷に使用するための創傷包帯は、充填材のコア、およびこのコアを実質的に取り囲んでいる接触材のシースを含む。充填材のコアは、創傷流体を受け取るように適合され、かつ創傷流体を創傷から輸送するようにも適合され得る。接触材は、創傷に直接接触して配置されるように構成され、シースは、創傷流体のコアへの通路およびコアを通る通路を可能にするために透過性である。長手方向に離隔した複数の分離機構は、創傷包帯を分割するように適合され、近接する分離機構が、それらの間にポッドを画定している。複数のポッドが、2次元アレイを画定するように配置され得る。接触材は、方向性開口フィルムを含み得、充填材は、ポリプロピレントウを含み得る。
【0012】
本開示のさらに別の態様によると、創傷に使用するための創傷包帯は、ポリプロピレントウを含む充填材のコア、このコアを実質的に取り囲み、かつ方向性開口フィルムを含む接触材のシース、および接触材のシース内にコアを封入する、接触材のシースの周囲に設けられたシールを含む。
【0013】
本開示の別の態様によると、創傷充填材と共に使用するための陰圧創傷治療装置は、例えば、創傷の周りに実質的に流体を密閉するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を創傷の上に画定する創傷包帯、創傷の治癒を刺激するのを助けるために貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した、貯留部に流体連通した真空源、および創傷包帯内に配置された創傷充填材マトリックスを含み得る。創傷充填材マトリックスは、長手方向軸に沿った長さを画定し、この長手方向軸を横断する複数のループセグメントに構成された少なくとも1つの連続繊維を含む。創傷充填材マトリックスは、長手方向軸に沿って延在した、少なくとも一部のループセグメントに連結された連結セグメントをさらに含む。連結セグメントは、少なくとも1つの連続繊維の完全性を維持して、創傷床に対する配置および創傷床からの除去を促進し得る。連結セグメントは、各ループセグメントに連結され得る。連結セグメントは、様々な大きさおよび種類の創傷に対応するべく、創傷充填材マトリックスのセグメントを提供するために切断されるように適合され得る。連結セグメントは、少なくとも1つの連続繊維を長手方向に越えて延在するハンドルセグメントを画定する寸法にされ得る。
【0014】
連結セグメントおよび少なくとも1つの連続繊維は、異なる材料を含み得る。少なくとも1つの連続繊維は、マルチフィラメントを含み得る。創傷充填材マトリックスの前記少なくとも1つの連続繊維は、非吸収性であり得、添加剤を含み得る。
【0015】
別の実施形態では、創傷包帯装置は、創傷の上に微生物障壁を提供するために創傷を覆うように適合されたカバー層および創傷流体を受け取る創傷充填材マトリックスを含む。創傷充填材マトリックスは、連結セグメントを連続繊維に通して連続繊維を複数のループセグメントに集合されることによって構成されたトウに配置された連続繊維を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み入れられ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、以下に示す実施形態の詳細な説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1Aは、本開示によって形成された創傷包帯装置の断面図である。図1Bは、本開示によって形成された代替の創傷包帯装置の断面図である。
【図2】図2A〜図2Iは、図1Aおよび図1Bに示されている創傷充填材の様々な構成を示す部分直交図である。
【図3】図3A〜図3Gは、図2A〜図2Iに示されている個々の繊維の様々な共押し出し配置を示す模式図である。
【図4】図4A〜図4Fは、図2A〜図2Iの個々の繊維の様々な断面を示す模式図である。
【図5】図5は、本開示の別の態様によって形成されたパッキング構造体を含む創傷包帯装置の断面図である。
【図6】図6A〜図6Cは、図5のパッキング構造体の様々な構成を示す部分斜視図である。
【図7A】図7Aは、パッキング構造体の代替の実施形態の平面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのパッキング構造体の断面図である。
【図7C】図7Cは、方向性開口フィルムの雄側の斜視図である。
【図8】図8Aは、パッキング構造体の別の代替の実施形態の平面図である。図8Bは、図5Aのパッキング構造体の断面図である。
【図9】図9A〜図9Fは、パッキング構造体の別の代替の実施形態の組み立てに使用される製造プロセスを例示する断面模式図である。
【図10】図10A〜図10Cは、パッキング構造体の代替の実施形態の断面図である。
【図11】図11は、パッキング構造体の代替の実施形態の平面図である。
【図12】図12は、本開示の創傷充填材マトリックスの実施形態を示す模式図である。図12Aは、図12の線12A−12Aに沿って切り取られた創傷充填材マトリックスの断面図である。図12Bは、創傷充填材マトリックスの代替の実施形態の、図2Aの図面に類似した断面図である。
【図13】図13A〜図13Iは、本開示の充填材マトリックスのマルチフィラメント繊維の様々な構成を示す部分直交図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示は、それぞれが少なくとも2インチ、一実施形態では、少なくとも4インチ、他の実施形態では、少なくとも6インチ、および少なくとも8インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を使用する創傷の処置に関する。この処置方法では、創傷の中に創傷包帯を組み込んで創傷の両側を離隔させたままにし、創傷滲出物を除去する。
【0018】
詳細には、創傷包帯の繊維は、少なくとも2インチの長さを有するあらゆる繊維であり得る。適切な繊維には、天然繊維および人造繊維が含まれる。
【0019】
適切な繊維の例には、植物、動物、および/または地質学的プロセスによって生成された天然繊維が含まれる。例えば、天然繊維には、アルギネート、キトサン、レーヨン、植物繊維が含まれ、これらは、セルロースの配置から生成され、例えば、綿、麻、ジュート、亜麻、カラムシ、およびサイザル麻などのようにリグニンによって互いに結合され得る。また、木質繊維は、樹木源に由来し、木質繊維には、リグニンを除去して木材構造から繊維を分離させる製造プロセスによって形成される砕木、熱機械パルプ(TMP)、および漂白もしくは非漂白クラフトまたは亜硫酸(sulphite)パルプが含まれる。動物繊維は、主にタンパク質からなり、動物繊維には、例えば、クモの糸、腱、腸線や、カシミヤ、モヘア、およびアンゴラなどのウールおよび毛髪、およびキトサンが含まれる。また、ウラスティナイト(woolastinite)、アタパルガイト、ハロイサイト、およびアスベストなどの天然繊維の鉱物源も存在する。
【0020】
適した人造繊維には、再生繊維および合成繊維が含まれる。再生繊維は、これらの材料を処理して繊維構造を形成することによって天然材料から製造された繊維である。例えば、再生繊維は、レーヨンおよび酢酸セルロースなどの製品を形成するために綿および木材パルプの純セルロースに由来し得る。繊維はまた、グラスファイバーまたは光ファイバーを形成するためのガラスまたは水晶などの鉱物源から再生しても良い。銅、金、または銀などの延性金属は、金属繊維を形成するために延伸され得、ニッケル、アルミニウム、または鉄などのより脆性の材料は、押し出しまたは堆積され得る。
【0021】
合成繊維は、石油化学製品などの合成材料から完全に作製され、通常は、天然繊維または再生繊維よりも強い。合成繊維(および再生アセテート繊維)は、熱可塑性の傾向がある、すなわち熱で柔らかくなる。したがって、これらの繊維は、ひだ、折り目、および複雑な断面などの特徴を加えるために高温で成形され得る。合成繊維は、ポリアミドナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエステル、フェノールホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)のようなポリオレフィンなどの材料から形成され得る。
【0022】
創傷包帯の繊維は、集合され得る。繊維の集合は、任意の既知の方式によって達成することができる。例えば、繊維の集合は、以下の方法のいずれか1つまたは複数によって達成され得る。繊維は、繊維を交絡させる(entangle);または繊維を混合する;または繊維をヤーンで巻く;または繊維を熱で結合する;または繊維を超音波処置する;または高周波(RF)で結合する;または接着する;または結束する;または方法の組合せなどによって集合され得る。
【0023】
さらに、繊維は、創傷滲出物に対して吸収性または非吸収性であり得る。
【0024】
繊維は、一実施形態では、1繊維当たり約3〜約25デニール、別の実施形態では、1繊維当たり約3〜約16デニールのデニールを有し得る。
【0025】
繊維は、例えば、スチームジェット捲縮加工、エアジェット捲縮加工、スタッファーボックス捲縮加工、または自己捲縮などの任意の既知の技術によって捲縮され得る。
【0026】
繊維は、任意の既知の技術によってウィッキング特性および/または疎水性特性を増加させるために処置され得る。例えば、繊維は、Huntsman Chemicalsから入手可能なPHOBOL7811水性フルオロケミカル分散液で処理され得る。この分散液は、ディップ/スクイーズ式パダー(dip and squeeze padder)または同様の適用方法を用いて繊維に適用され得る。分散液の濃度は、繊維に適用される分散液のレベルに調整するために水での希釈によって調整され得る。所望に応じて、他の適切な処置は、Air Productsから入手可能なAIRFLEX 140などの疎水性水性結合剤、シリコーン、およびStahlから入手可能なRU41−773などのポリウレタンの使用も含む。
【0027】
また、繊維の撥水性を向上させる、Goulston Technologiesから入手可能なHYD−REPELなどの溶融添加剤を用いることによって繊維のウィッキング特性および/または疎水性特性を改善することが可能である。すべての繊維を処置しても良いし、コア/シース繊維を、シース内にHYD−REPEL溶融添加剤を入れて生成しても良い。
【0028】
本明細書の繊維は、任意の既知の方法によって、見掛け密度または体積を増やすためにバルキー性または開口性にされ得る。例えば、1つの適した方法が、米国特許第3,328,850号に記載されている。この特許には、本明細書では繊維である材料を、一方が平滑なゴム状表面を有する一対のロールのニップに繊維を通すことによって開口性にされ得ることが記載されている。ロールは、繊維の速度よりも速い速度で移動し、ニップを離れる繊維は、繊維が2つの平行な壁間に制限される空気拡散ゾーンを通過する。繊維は、壁からの空気流に曝される。これは、繊維をバルキー性または開口性にする単に1つの適した方式である。繊維をバルキー性または開口性にする任意の他の手段を利用してもよい。
【0029】
繊維は、創傷の治癒を促進する任意の添加剤または剤と組み合わせるまたは処置され得る。例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、または任意の他の薬剤、抗菌剤、創傷治癒剤、および/または創傷清拭剤などの剤が、感染の発生を低減するため、または他の方法で創傷の治癒を促進するために使用され得る。他の剤には、剤が一定期間に渡って繊維から創傷に放出される徐放処置で使用されるものが含まれる。
【0030】
繊維には、追加の活性成分または剤、例えば、治療剤、感覚刺激剤、および医薬品、例えば、抗菌剤、成長因子、増殖因子、鎮痛薬、組織足場剤(tissue scaffolding agent)、創傷清拭剤、止血薬、抗血栓薬、麻酔薬、抗炎症薬、抗癌剤、血管拡張物質、創傷治癒剤、血管形成剤、抗血管形成剤、免疫強化剤、皮膚密閉剤(skin sealing agent)、およびこれらの組合せなどが含まれ得る。
【0031】
使用され得る適した抗菌剤には、限定されるものではないが、抗菌金属イオン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩、トリクロサン、ポリモキシン(polymoxin)、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシンまたはTobramycin(商標))、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン(bacteriolcin)、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バノクマイシン(vanocmycin)、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジディック酸(nalidizic acid)、シュウ酸、エノキサシン酸(enoxacin acid)、シプロフロキサシン、およびこれらの組合せが含まれる。特定の実施形態では、好適な抗菌剤には、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、PHMB誘導体、例えば、生分解性ビグアナイド(例えば、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PEHMB))、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの変種、例えば、ジナトリウムEDTAまたはテトラナトリウムEDTA、およびこれらの組合せなどの少なくとも1つが含まれ得る。さらなる例示的な実施形態では、抗菌剤は、PHMBであり得る。
【0032】
本明細書では繊維を用いて創傷を処置するための方法は、以下のように構成される。
(a)それぞれが少なくとも2インチ、一実施形態では、少なくとも4インチ、他の実施形態では、少なくとも6インチ、および少なくとも8インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を用意すること、
(b)創傷包帯を、創傷の壁を離隔して維持するのに十分な量で、処置すべき創傷に組み込んで、創傷のその内側から外側への治癒を可能にすること、および
(c)創傷からの滲出物を除去すること。
【0033】
創傷を処置するための本明細書の方法では、創傷包帯の繊維は、創傷滲出物に対して吸収性または非吸収性であり得る。
【0034】
さらに、本明細書に記載されるように、創傷包帯の繊維は、1繊維当たり約3〜約25デニールのデニールを有し得る;または体積を増やすように処置され得る;向上したウィッキング性能を得るために処置され得る;または捲縮され得る;またはバルキー性であり得る;または創傷の感染を低減するPHMBなどの添加剤と組み合わせるもしくはこの添加剤で処置され得る。
【0035】
本明細書の方法では、本明細書の繊維を含む創傷包帯を、創傷の壁を離隔して維持するのに十分な量で、創傷に組み込んで、創傷をその内側から外側へ治癒することが可能である。一実施形態では、創傷内に組み込まれる創傷包帯の量は、創傷の容積に対して約25%から、創傷の容積を超える創傷包帯の量までの範囲である。別の実施形態では、創傷内に組み込まれる包帯の量は、創傷の容積の約50%〜約100%の範囲であり、別の実施形態では、創傷包帯は、創傷の容積に等しい量で、創傷の中に組み込まれる。
【0036】
別の実施形態では、創傷の中に組み込まれる創傷包帯は、創傷の壁に圧力を加える。
【0037】
本明細書の方法では、創傷滲出物を創傷から除去する必要がある。創傷滲出物は、任意の既知の技術によって創傷から除去され得る。創傷包帯の繊維が創傷滲出物に対して非吸収性である一実施形態では、創傷滲出物は、陰圧創傷治療(NPWT)などの任意のタイプの真空技術によって除去され得る。創傷包帯の繊維が創傷滲出物に対して吸収性である別の実施形態では、創傷滲出物は、創傷から吸収した含む創傷滲出物を創傷包帯を除去することによって、除去され得る。この場合、創傷滲出物を吸収した創傷包帯の除去の後に、必要に応じて、吸収性繊維からなる新しい創傷包帯を組み込んでも良い。
【0038】
一実施形態では、非吸収性繊維を含む創傷包帯と共に利用され得る技術の一例は、陰圧創傷治療(NPWT)として知られている。非吸収性繊維を含む創傷包帯は、陰圧が維持され得る、創傷の上の貯留部内に配置され得る。貯留部は、創傷を大気圧よりも低くし、真空ポンプを連続的に使用しなくても創傷から液体創傷滲出物を含む創傷流体が効果的に吸引される。真空圧力は、創傷の性質および重症度によって1回または様々な間隔で加えられ得る。
【0039】
様々な捲縮加工法およびバルキング法が、繊維が創傷流体を受け取りかつ輸送し得るように個々の繊維または複数の繊維の各領域への分離を可能にするために企図される。繊維が圧縮空気の乱流に通されて個々の繊維が複数のループおよび螺旋に交絡されるエアジェット捲縮加工プロセスが使用され得る。ループおよび螺旋を形成するだけではなく、繊維が高温スチームの乱流に通されてこれらのループおよび螺旋が熱硬化されるスチームジェット捲縮加工プロセスも使用され得る。別の捲縮加工プロセスは、スタッファーボックス捲縮加工として知られている。スタッファーボックス捲縮加工は、出口が制限された捲縮加工室内に繊維が強制的に送られ得るプロセスである。捲縮加工室に入る繊維の後続部分が、捲縮加工室から出るまで繊維を捲縮加工室内で曲げる力を加えるため、繊維がその捲縮を維持する。これらの捲縮加工プロセスのいずれも使用され得る。
【0040】
創傷を処置するための本明細書に記載される方法では、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を創傷包帯として利用することが有利である。少なくとも2インチの長さを有する個々の繊維は、残りの繊維から分離しにくい傾向を有するものである。これは、創傷内に残り得る解けた繊維を最小限にするものであり、このような繊維は、炎症または他の創傷治癒の障害を引き起こし得る。少なくとも2インチの長さを有する繊維は、解けた繊維が創傷内に残る可能性をさらに最小限にするために集合され得る。
【0041】
さらに、少なくとも2インチの長さを有する繊維は、例えば、捲縮または化学処置によって変更され、創傷治癒に重要な最適な創傷特性を付与し得る。これらの特性には、創傷滲出物の流れ、創傷滲出物の維持、創傷に対する適合性、抗菌特性が含まれる。
【0042】
図1を参照すると、健常な皮膚「s」によって取り囲まれた創傷「w」に使用するための本開示による創傷包帯装置は、全体が10として示されている。この装置10は、創傷「w」と接触して配置された接触層18、接触層18の上の創傷「w」内に配置された創傷包帯100、ならびに創傷包帯100および創傷「w」を覆うために皮膚「s」と接触して配置されたカバー層22を含む。
【0043】
接触増18は、滲出物が接触層18を通って創傷包帯100内に吸引されるのを可能にする開口フィルムから形成され得る。接触層18を通る創傷流体の通路は、滲出物が創傷「w」内に逆流しにくいように実質的に一方向性であり得る。一方向の流れは、フィルム材料から突き出た円錐型形成物などの方向性開口によって促進され得る(例えば、図7を参照)。形成物が創傷包帯100の方向に突き出るように接触層18を配置することにより、滲出物が、創傷「w」から離れる方向に円錐型形成物がずらりと並び、および創傷「w」に向かう方向に収集鉢がずらりと並んだフィルムに接触することが可能となる。また、一方向の流れは、接触層18の吸収特性とは異なる吸収特性を有する材料で接触層18を積層することによって促進され得る。接触層18を除去するときに接触層18が創傷「w」または周囲組織に付着しにくいように非接着材料が選択され得る。接触層18として使用され得る1つの材料が、Tyco Healthcare Group LP(Covidienの名で事業経営中)による商標名XEROFORM(登録商標)で販売されている。
【0044】
創傷包帯100は、接触層18の上の創傷「w」内に配置され、創傷滲出物を受け取りかつ保持することを目的とする。創傷包帯100は、あらゆる創傷「w」の形状をとり得、かつ任意のレベル、例えば、健常な皮膚「s」のレベルまで、または創傷包帯100が健常な皮膚「s」を越えて突き出るように創傷を過剰に満たすレベルまで詰められ得るように適合性である。
【0045】
以下にさらに詳細に説明するように、創傷包帯100は、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する繊維の集合体から形成され得る。
【0046】
カバー層22は、典型的には創傷の手当ての適用において創傷「w」を覆うために使用される様々な形態をとり得る。例えば、カバー層22は、フィルムを周囲の皮膚「s」に固定するために下側に接着コーティングを有する可撓性ポリマーまたは弾性フィルムから形成され得る。したがって、カバー層22は、創傷「w」に汚染物が侵入するのを防止するのに役立つ微生物障壁として機能し得る。開示されている実施形態では、カバー層22は、創傷「w」と大気との間での酸素および水分の交換を促進するために水蒸気透過性膜から形成され得る。十分な水蒸気透過率(MVTR)を提供する膜は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienの名で事業経営中)によって商標名POLYSKIN(登録商標)IIで販売されている透明な膜である。透明な膜は、カバー層22を除去する必要なしに創傷の状態の視覚的な評価を可能にするのに役立つ。別法では、カバー層22は、不透過膜22を含み得る。
【0047】
ここで図1Bを参照すると、本開示の創傷包帯100は、陰圧創傷治療(NPWT)装置24などのあらゆる創傷包帯用途にも使用され得る。このような装置24は、図1Aを参照して説明したように、接触層18および創傷包帯100を有する創傷包帯を含み得る。カバー層22は、このような適用のために特に適合され得る。例えば、カバー層22は、生体適合性接着剤が周囲の皮膚「s」と実質的に流体が密閉されるシールを形成するように、周囲26における生体適合性接着剤の実質的に連続的なバンドを含み得る。したがって、カバー層22は、創傷「w」への汚染物の侵入の防止に役立つ微生物障壁として、および真空貯留部28の完全性の維持に役立つ流体障壁の両方として機能し得る。
【0048】
フランジ34を有する真空ポート30も、貯留部28の真空システムへの連結を容易にするために含められ得る。真空ポート30は、硬質または可撓性の薄型の構成要素として構成され得、取外し可能かつ流体密閉式に真空チューブまたは流体導管36を収容するように適合され得る。フランジ34の下側の接着剤が、真空ポート30をカバー層22へ固定するための機構を提供しても良いし、または別法では、フランジ34を、その上側の接着剤が真空ポート30を固定するように貯留部28(不図示)内に配置しても良い。しかし、真空ポート30が、カバー層22に固定され、真空ポート30の中空内部が、流体導管36と貯留部28との間を流体連通させる。真空ポート30は、カバー層22の予め固定された構成要素として、流体導管36の構成要素として、または全く別個に設けられ得る。別法では、真空ポート30は、流体導管36と流体連通させるために他の設備が設けられる場合は排除しても良い。
【0049】
流体導管36は、貯留部28と収集キャニスター40との間を流体連通させるために真空ポート30から延出している。可撓性の弾性またはポリマー材料から形成されたものを含むあらゆる適した導管が、流体導管36として使用され得る。流体導管36は、例えば、摩擦嵌め、差し込みカップリング、または掛かり付きコネクター(barbed connector)などの従来の気密手段によって真空ポート30、キャニスター40、または他の装置の構成要素に連結され得る。この導管の連結は、永久的にしても良いし、または別法では、迅速取外しまたは他の取外し可能な手段を用いて装置10にある程度の調節適応性を与えても良い。
【0050】
収集キャニスター40は、創傷流体を貯めておくのに適したあらゆる容器を含み得る。例えば、図示されているように硬質ボトルが用いられても良いし、または別法では、可撓性ポリマーパウチが適当であり得る。収集キャニスター40は、創傷排液または破片(debris)を1つにまとめるまたは含むのを助けるために吸収材を含み得る。例えば、超吸収ポリマー(SAP)、シリカゲル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドカリウム、または関連化合物を、キャニスター40内に設けても良い。キャニスター40の少なくとも一部は、創傷滲出物の色、質、および/または量を評価しやすいように透明または半透明にしても良い。したがって、透明または半透明のキャニスターは、キャニスターの残りの容量またはキャニスターをいつ交換すべきかの決定に役立ち得る。
【0051】
真空源50と流体連通させる流体導管36の別の部分が、収集キャニスター40から延びている。真空源50は、陰圧を生成するまたは他の方法で陰圧をNPWT装置24に供給する。真空源50は、創傷「w」の治癒の刺激を助けるのに適した、貯留部28から例えば大気気体または創傷滲出物などの流体を吸引する生体適合性である蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、または他の機構を含み得る。開示される実施形態では、真空源40は、約20mmHg〜約500mmHg、特に約75mmHg〜約125mmHgの大気圧未満の圧力を貯留部28に生成するように適合されている。1つの適した蠕動ポンプは、Tyco Healthcare Group LP(Covidienの名で事業経営中)が製造するKangaroo PET Eternal Feeding Pumpである。
【0052】
ここで図2Aを参照すると、本開示の創傷包帯100は、一般に、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する繊維の束、集合体、またはトウの形態をとり得る。繊維102は、その長さに沿って概ね交差しないように配置され得る。必ずしも平行でなくても良いが、繊維102は、絡み合いまたは織り合いが概ね存在し得ない。繊維102の分離防止に役立つ束を可能にするために少なくとも1つの集合機構104が設けられ得る。1つの集合機構104は、束を局所領域で圧迫するために束の周りに巻き付けられた、または縛り付けられた別個の繊維から形成され得る。別法では、集合機構104は、図2Bに示されているように、複数の位置でトウを固定するのを助けるために束に沿って断続的に配置しても良いし、または図2Cに示されているように、集合機構106を形成するために、別個の繊維を束の周りに螺旋状に巻き付けても良い。
【0053】
トウは、集合機構108を形成するためにセルフシール不織メッシュまたは他の多孔質シートで取り囲まれ得る。セルフシール集合機構108は、繊維102が圧迫によって束縛されるバンドの開口端部から挿入され得るように、弾性または僅かに過小サイズのバンドであり得る。別法では、集合機構108は、平坦なストリップがトウの周りに巻き付けられ得、かつ平坦なストリップが接着要素でそれ自体または繊維102に接着されることによって平坦なストリップが固定され得るように接着要素を含み得る。図2Eに示されているように、集合機構110は、トウの相当な長さに渡って取り囲むように相当な長さの不織メッシュまたは多孔質シートで形成され得る。
【0054】
図2F〜図2Iに示されているように、繊維102は、トウが繊維102の分離に耐えるのに役立つように、図示されているように配置または構成され得る。繊維102をロープのように捩って集合機構112(図2F)を形成しても良いし、または繊維102を様々なプロセスによって交絡させて集合機構114(図2G)を形成しても良い。スチームジェット、エアジェット、またはウォータージェットをトウの局所領域に向けて繊維102を交絡させて集合機構114を形成しても良い。別の交絡プロセスでは、針孔あけと同様の要領で針を使用して繊維102を交絡させる。集合機構116(図2H)は、繊維102を接着剤で単純に結合することによって、または繊維102よりも融解温度が低い結合材料を組み込むことによって形成しても良い。トウを加熱することによって、結合材料を融解して、冷却時に繊維を互いに結合しても良い。結合材料は、詳細を後述するように、コアとシースの配置などの共押し出しで1つまたは複数の個々の繊維に沿って設けても良い。図2Iに示されているように、集合機構118は、詳細を後述するように、ある程度の交絡が得られるように繊維を捲縮することによって形成しても良い。また、繊維102の配置が、図2A〜図2Iに示されている機構の2つ以上を含み得ることも企図される。
【0055】
図3A〜図3Gを参照すると、特殊な特性を有する繊維を形成するために2つ以上の別個のポリマーが共押し出しされ得る。例えば、同心のシースとコアの配置を有する繊維120が図3Aに示されている。コアポリマー122は、シースポリマー124によって取り囲まれている。上述のように、シースポリマー124は、繊維102に結合材を提供するために融解し得るようにコアポリマー122よりも低い融解温度を有し得る。シースとコアの配置の他の適用には、高強度構造のコアポリマー122、および創傷流体のウィッキングを促進するのに役立つ、または後述する任意の有用なポリマー添加剤を受け取るのに適した表面特性を有するシースポリマー124を提供することが含まれ得る。中心からずれたコアポリマー128および対応するシースポリマー130を含む偏心したシースとコアの配置を有する繊維126が図3Bに示されている。コアポリマー128およびシースポリマー130が、温度変化を受けたときに異なる収縮特性を有する場合、自己捲縮繊維126を提供するためにこの配置が使用され得る。加熱されると、繊維126が、冷却されると維持される螺旋状にカールし得るため、通常なら平坦な繊維126に捲縮またはバルクが形成される。このような自己捲縮法は、図3Cに示されているような並列配置を使用することによってさらに容易にされ得る。繊維132は、繊維126に類似しているが、コアポリマー134およびシースポリマー136のそれぞれが繊維132の外面の一部を占有している点が異なる。適切なポリマーが選択されると、並列配置の繊維132は、偏心したシースとコアの配置の繊維126よりも高レベルの潜在的捲縮を付与し得る。
【0056】
図3Dに示されているように、パイとウェッジの配置を有する繊維138は、ポリマー140および142を含む交互ウェッジを含み得る。ウェッジは、機械的撹拌時に構成要素ウェッジに分割され得る。これは、図2Gを参照して上述したように集合機構114を形成するのに役立ち得る。構成要素ウェッジは、繊維138の交絡を助けるマイクロ繊維の局所領域を生成し得る。中空中心コアを含む中空のパイとウェッジの配置を示す繊維144が図3Eに示されている。繊維144は、構成要素ポリマー146、148に分割するのにより少ない撹拌を必要とし得る。
【0057】
図3Fを参照すると、繊維150は、1つまたは複数の「アイランド」ポリマー152が可溶性「シー」ポリマー154によって取り囲まれているアイランド・イン・ザ・シー(islands−in−the−sea)配置を示す。この配置は、製造設備によって効果的に処理される極細アイランドポリマー152のストランドを提供し得る。アイランドポリマー152が適切に配置されたら、可溶性シーポリマーが溶解されて除去される。したがって、約0.04のデニール(約2μmの直径)を有する約37またはそれ以上ものアイランドポリマー152が、1本の繊維150として効果的に処理され得る。
【0058】
繊維156は、図3Gに示されているように「スリーアイランド」配置を有する。この配置は、シーポリマー160によって取り囲まれた3つのアイランドポリマー158を含む。繊維156は、アイランド・イン・ザ・シー配置を有する繊維150と同様の要領で使用され得るが、シースとコアの配置を示す上述の繊維120、126、および132と同様の要領でより一般的に使用され得る。繊維156は、潜在的に不適合のシースポリマー160から剥離されないように、全体として表面積が増大した3つのコアポリマー158を含むとして示され得る。
【0059】
図4A〜図4Fを参照すると、個々の繊維102は、創傷充填材100のウィッキング能力または別の特性を促進するために様々な断面を示し得る。図4Aに示されているように中実の丸い断面は、以下の別の変更された断面と比較すると比較的低コストであるため、殆どの合成繊維の標準であり得る。断面に空洞164を有する繊維162が図4Bに示されている。空洞164は、繊維162の全長に渡って延在し、繊維162の密度および剛性の低下をもたらし、内部に空気を閉じ込めることが可能である。このような断面は、捲縮、交絡、および/またはバルキー化(lofting)プロセスを促進し得る。
【0060】
多葉断面も、図4Cに示されているように使用され得る。3葉繊維168は、中心領域から延出した3つのアーム170を有し、これらが創傷包帯100に剛性および弾性を付与している。図4Dに示されている繊維174が示すリボン断面は、2葉配置を有するとして説明され得る。リボン断面は、曲がる方向、および図3Dおよび図3Eを参照して上述したようにマイクロ繊維に分割され得るセグメント化繊維に適した形状を提供する。このような断面は、他の断面と比較すると比較的少ない撹拌でマクロ繊維構成要素に分割され得る。
【0061】
図4Eに示されているように大幅に改変された断面の繊維178は、Fiber Innovation Technology, Inc.が商標名4DG(商標)で販売している。様々なサイズおよび構成の深い溝180が、その比較的大きい表面積で毛細管ウィッキングの促進を助けるために繊維178の長手方向軸に沿って設けられている。4DG(商標)断面を有する繊維172は、1gの繊維当たり1時間に最大2リットルの水を輸送する能力を実証した。
【0062】
図4Fに示されているような蝶ネクタイ断面を有する繊維184は、図3Bおよび図3Cを参照して上述したように自己捲縮繊維に使用するのに十分に適し得る。異なる熱特性を有するポリマーが、2つのポリマーの質量の中心同士が他の断面よりも比較的長い距離離隔するように配置され得る。このように配置された繊維184は、その加熱およびこれに続く冷却によって形成された螺旋コイルの優れた伸長回復性を示し得る。
【0063】
自己捲縮は、図3Bを参照して上述したポリマーの偏心したコアとシースの配置、または図3Cを参照して説明したような並列配置で達成され得る。自己捲縮トウを形成する別の選択肢では、異なる熱特性を有する全繊維をクリーリング(creeling)プロセスで組み合わせる。捲縮されたトウは、特定のテクスチャーまたはバルクを得るために開口性にされ得る、すなわち捲縮された繊維が分離または離隔され得る。捲縮されたトウは、エアジェットによって、またはスレッド・ロール・アセンブリ(threaded roll assembly)でトウを長手方向に伸長または弛緩させることによって開口性にされ得る。
【0064】
ここで図5を参照すると、本開示による陰圧創傷治療装置が、全体が200として示されている。装置200は、図1Bを参照して上述したように真空源50と流体連通した貯留部28を画定している創傷包帯アセンブリ202を含む。創傷包帯アセンブリ202は、シース214によって実質的に取り囲まれたコア212を含む細長い創傷パッキング構造体210を含む。コア212は、創傷滲出物を受け取り、かつ/または輸送するように適合された包帯または充填材から形成され得、かつ図1Aを参照して上述した、創傷包帯剤100に使用するための任意の材料または構造体を含み得る。シース214は、創傷「w」と接触した状態で配置するように適合された接触材214から形成され得、かつ図1Aを参照して上述した、接触層18に使用するための任意の材料または構造体を含み得る。シース214は、充填材のコア212に対する創傷流体の流入および流出を可能にするために透過性である。パッキング構造体210は、創傷「w」を実質的に満たすために湾曲した経路に従い、かつ創傷「w」の特定の形状に適合するように配置された細長いチューブとして具現され得る。このような細長いチューブは、創傷包帯アセンブリ202が装着されたときに特定のサイズの創傷「w」に適合するように便利にカットできる連続長さで提供され得る。このような配置は、別個および個々のサイズにし、後の接触層18および創傷包帯100を装着する必要がないであろう。
【0065】
ここで図6A〜図6Cを参照すると、NWPT装置200(図5)で使用するためのパッキング構造体用に企図された様々な構成が示されている。図6Aに示されているように、パッキング構造体210は、長手方向に延在する長さ「L」および横方向に延在する最大幅「A」を有する細長いチューブを画定している。パッキング構造体210の楕円断面は、パッキング構造体210の長さ「L」に沿って実質的に一貫している。例えば、丸形、六角形、または他の多角形などの他の断面も適当であり得る。シース214は、コア212の周りに継ぎ目のない周囲を提供する押し出しまたは同様のプロセスによって形成され得る。
【0066】
図6Bに示されているパッキング構造体220は、接触材のシース224によって実質的に取り囲まれた充填材のコア222を含む。長手方向に離隔した複数の分離機構226が、パッキング構造体220を分割している。分離機構226は、パッキング構造体220を横断して横方向に延在する穿孔された切り離し線を含み得、この切り離し線により、臨床医が、パッキング構造体220が特定のサイズの創傷「w」を満たすのに適した長さとなるようにパッキング構造体220の一部を切断または切り離して使用し得る。分離機構226は、例えば、パッキング構造体220の幅「B」の約50%〜約300%の距離「D」、離隔され得る。
【0067】
一連のポッド228が、近接する分離機構226間に画定され得る。各ポッド228は、充填材のコア222が分離機構226を通って近接ポッド間に延在する開いた構成を有し得る。したがって、包帯材222の一部は、近接ポッド226が除去されるとパッキング構造体220の横縁に渡って露出され得る。別法では、各ポッド228は、充填材のコア222が分離機構226の近傍で中断された閉じた構成を有し得る。例えば、接触材のシース224は、この接触材のシース224がポッド228の両側の横縁に沿って延在するように、分離機構226の近傍のパッキング構造体220の内部でそれ自体に密閉され得る。閉じたポッド228のこのような配置は、ポッド228の中心領域と比較すると、分離機構226の近傍に柔軟性の向上した領域を提供し得る。柔軟性の向上した領域は、創傷「w」内の湾曲した配置にパッキング構造体220を配置するのを容易にし得る。
【0068】
ここで図6Cを参照すると、パッキング構造体230は、接触材のシース234によって実質的に取り囲まれた充填材のコア232を含む。分離機構236は、パッキング構造体230を横断して横方向に延在するスリットまたは長手方向に離隔した一連のスリットを含み得る。スリット236は、パッキング構造体230がスリット236の近傍で切断または切り離しに対して抵抗が少ないように充填材232の中まで部分的に延びても良い。接触材のシース234は、重なり238が得られるように配置され得る。重なりあ238は、長手方向の接着ボンド、超音波溶接、または同様のシールの適用を容易にしてパッキング構造体230の組み立てを容易し得る。
【0069】
ここで図7Aおよび図7Bを参照すると、パッキング構造体240は、接触材のシース244によって実質的に取り囲まれた充填材のコア242を含む。接触材のシース244は、内部に充填材242を封入するためにシース244の周囲に形成されたヒートシール246を備えた接触材の上側シート244Uおよび下側シート244Lを含む。接着ボンド、超音波溶接、または同様のシールは、別法としてまたはヒートシール246と組み合わせて組み込まれて充填材242を封入しても良い。パッキング構造体240は、一般に、丸形、皿形、またはパック形カプセルであるが、別法として、球形、円筒形、立方体、四面体、および他の多角形を含む様々な形状に形成しても良い。
【0070】
充填材242は、ポリプロピレントウの形態をとる。トウは、多数の一方向の合成繊維の本質的に捩られていない緩んだストランドとして示され得る。連続フィラメントポリプロピレン繊維を、緩く交絡されたボールを形成するように配置して、創傷滲出物を受け取ることができる充填材142を形成し得る。トウは、充填材142の吸収特性、ウィキング特性、または快適特性に影響を与えるために捲縮され、バルク化され、またはバルキー性にされ得る。充填材242のトウの様々なこのようなプロセスおよび配置は、図2A〜図4Fを参照して上述した。
【0071】
シース244は、Richmond,VAに所在のTredegar Film Products,Corp.によって製造されるような非接着性の方向性開口ポリオレフィンフィルムから形成される。これらのフィルムは、創傷「w」と接触しても安全であり、流体の充填材242内への流れを許容する。一方向の流れは、一方向に突き出たフィルム材料における円錐構造形成体の頂部に形成された開口により、このようなフィルムを通って促進される。したがって、このようなフィルムは、図7Cに示されているような雄側と、反対の雌側を有する。流体の流れは、フィルムの雌側から雄側へは促進され、この反対方向では妨げられる。シース244は、このようなフィルムの雄側が、すべての方向からパッキング構造体240の内側に面するように配置され得る。したがって、流体は、パッキング構造体240が創傷「w」内に配置される向きにかかわらず、充填材242内への流れが促進される。別法では、シース244の下側シート244Lは、雄側がパッキング構造体240の内側に面するように向けられ得る一方、シース244の上側シート244Uは、雄側がパッキング構造体240の外側に面するように向けられる。この配置は、パッキング構造体240全体を通過する一方向の流れを促進する。下側シート244Lが創傷「w」に接触するような向きでパッキング構造体240を創傷「w」内に配置することにより、創傷流体は、下側シート244Lの方向性の開口によってパッキング構造体240への流れが促進され、続いて充填材242を介して上側シート244Uまで吸上げられ、そこで方向性の開口がパッキング構造体240からの流出を促進する。次いで、創傷流体が、真空源50によって創傷包帯アセンブリ202から除去されてキャニスター40内に貯められ得る(図5)。上側シート244Uおよび下側シート244Lの向きにかかわらず、シース244は、パッキング構造体240が創傷「w」内に配置されたときに患者に痛みを与えないように、加熱密封されたときに曲げやすく柔軟であるべきである。
【0072】
ここで図8Aおよび図8Bを参照すると、パッキング構造体250は、接触材のシース254によって実質的に取り囲まれた充填材のコア252を含む。複数の環状型内側ヒートシール256が、充填材252の個々のセグメント間に概ね同心円状の配置で形成され、これによりパッキング構造体250が多数のポッドに分割されている。中心ポッド258は、パッキング構造体250の中心に延在し、かつパッキング構造体250の周囲領域に向かって漸進的に大きくなる環状型ポッド260、262によって取り囲まれている。外側ヒートシール264が、最も外側のポッド262を密閉するためにパッキング構造体250の外周の周りに形成されている。穿孔されたリング268が、ポッドに分離機構を付与するために内側ヒートシール256のそれぞれに形成されている。
【0073】
パッキング構造体250は、僅か3つの異なるポッド258、260、および262を含むとして示されているが、あらゆる所望のサイズのパッキング構造体を形成するために任意の数のポッドが、このような配置で形成され得る。ヒートシール256、264は、約1cmまたはそれ未満の幅「X」を有し得、約1インチ〜約2インチの距離「Y」、離隔され得る。使用の際、特定の創傷「w」のサイズが評価されたら、パッキング構造体250が創傷「w」に適したサイズとなるように、外側ポッド、例えば262が、穿孔リング268を用いて除去され得る。
【0074】
パッキング構造体240および250などの構造体を製造するために、図9Aに模式的(断面)に示されているように型‘m’が形成され得る。型‘‘m’’は、所望の数のポッドを形成するために適したサイズおよび間隔のくぼみ‘‘i’’をその上面に含み得る。図9Aに示されている型は、中心ポッドおよび3つの取り囲んでいる環状型ポッドを含む4つの異なるポッドを備えたパッキング構造体を形成するために使用され得る。
【0075】
シース材の平坦なシート254Lが、雄側を上に向けて型‘‘m’’の上に配置され得る(図9B)。Tredegar Film Productsによって製造されるような方向性開口フィルムは、シートの正しい向きを確認できるように各側に異なる色を設けても良いし、または印を付けても良い。次いで、シース材のシート254Lが、くぼみ‘‘i’’の中に引き込まれ得る(図9C)。シース材254Lを引き込むために、型‘‘m’’を介して気流を案内しても良いし、またはシース材254Lを任意の他の適当な手段によって所定の位置に押し込んでも良い。
【0076】
次に、充填材252が、シース材254Lの上のくぼみ‘‘i’’内に配置され得、そして図9Dに示されているようにくぼみに過剰に充填するように配置され得る。中心くぼみ‘‘i’’は、ポリプロピレントウの交絡塊に適合し得る一方、周囲のくぼみ‘‘i’’は、輪状に配置されたトウ材料の捻られたまたは紡糸ロープによって便利に充填され得る。
【0077】
シース材の別のシート254Uが、充填材252の上に配置され得、そして型‘‘m’’におけるくぼみ間の中間空間内に下方に引き込まれ得る(図9E)。シース材の上側シート254Uの雄側は、充填材に向かって、およびシース材の下側シート254Lの雄側に向かって下方に面し得る。次いで、適切なサイズのヒート・シール・リングを有する適切なヒートシーラー‘‘h’’(図9F)が、内側ヒートシール256を形成するために各中間空間の中に押し下げられ得、別のヒート・シール・リングが、同様に外側ヒートシール264を形成し得る。ヒート・シール・リングは、シース材254Uがヒート・シール・リングに付着しにくくなるようにTeflon(登録商標)または同様のコーティングを含み得る。ヒート・シール・リングは、別法では個々に適用しても良いし、またはヒートシール256、264は、充填材252を封入するために充填材252の周りの経路を移動するレーザーまたは超音波溶接機構で形成されたシールで置き換えても良い。
【0078】
充填材252が封入されたら、充填材およびシース材が、さらなる加工のために型‘‘m’’から除去され得る。例えば、この構造体は、パッキング構造体を完成させるために穿孔リング268を形成する別の装置に移され得る。別法では、型‘‘m’’またはヒートシーラー‘‘h’’は、ヒートシール256、264の形成と共に穿孔リング268を形成する穿孔機構(不図示)を含み得る。
【0079】
パッキング構造体の様々な他の実施形態は、上述のプロセスを僅かに変更して形成され得る。例えば、充填材252は、必ずしもくぼみ‘‘i’’に過剰に充填しなくても良く、型‘‘m’’の上面のレベルまでくぼみ‘‘i’’を充填しても良い。また、シース材の上層254Uは、シース材の下層とは異なる材料で置き換えても良い。例えば、シース材の下層254Lは、方向性有孔ポリオレフィンフィルムから形成され得る一方、上層は、ポリプロピレンの有孔または無孔シートから形成され得る。
【0080】
ここで図10Aを参照すると、パッキング構造体260は、接触材のシース264によって実質的に取り囲まれた充填材のコア262を含む。図7Bを参照して上記したシース244と同様に、接触材のシース264は、内部に充填材262を封入するために円周方向部にシール246が形成された接触材の上側シート264Uおよび下側シート264Lを含む。上側シート264Uおよび下側シート264Lは、方向性開口フィルムから形成され得、上記したように向けられ得る。充填材262は、充填材262が少なくとも2つの異なる材料から形成されているという点が特徴であり得る。
【0081】
充填材262は、262Tとして示されているポリプロピレントウの層および262Fとして示されているフォーム層を含む。トウ層262Tは、図7Aを参照して上記した任意の形態をとり得、フォーム層262Fは、ポリウレタン、ポリエステル、またはポリオレフィンフォームなどの弾性の連続気泡フォームから形成され得る。フォーム層262Fは、創傷から創傷流体を受け取るのに有効であり得、また、真空源50(図5を参*照)によって包帯アセンブリ202から創傷流体が除去され得るように創傷流体を容易に放出し得る。フォーム層262Fは、パッキング構造体260における潜在的に痛みを与える圧力点が管理され、創傷「w」の周辺部が内側に向かって均等に引き込まれ得るようにNWPT処置の排出サイクルの際に均一な圧力を有する。フォーム層262Fは、創傷床に対するクッションとなるように、図10Aに示されているようにシース264の下側シート264Lに近接して配置され得る。代替の構造体は、パッキング構造体270を含み、パッキング構造体270は、トウ層272Tの各側にフォーム層272Fを有する充填材272を含み得る。パッキング構造体280も、トウ層282Tの各側にフォーム層282を有する充填材282を含む。滲出物のパッキング構造体280を通る流れを促進するために、孔282Hが各フォーム層282に形成されている。
【0082】
ここで図11を参照すると、パッキング構造体290は、接触材のシース294によって実質的に取り囲まれた充填材のコア292を含む。シール296が、複数のポッド298が2次元アレイに形成されるように接触材のシース294に形成されている。ポッド298は、様々サイズであり得るが、カスタマイズ可能なパッキング構造体290を提供するために、好ましくは長さが約1.25インチ以下、幅が約1.25インチ以下である。創傷「w」の特定の寸法によっては、比較的小さい創傷「w」に合わせるために不必要なポッド298が切り離され得、またはポッド298は、比較的深い創傷「w」に合わせるためにシール296に沿って互いに折り畳まれ得る。不必要なポッド298の除去を容易にする分離機構を提供するために、穿孔(不図示)が、シール296に沿ってシース294に形成され得る。別法では、シース294は、創傷「w」内のパッキング構造体290の強度および完全性を高めるために穿孔を備えなくても良い。したがって、分離機構は、臨床医が充填材のコア292の中まで誤って切り離すことなく容易に切り離せる十分に広いシール296を形成することによって提供され得る。穿孔のないパッキング構造体290は、個々のポッド298がパッキング構造体290から意図せず分離しにくくなることを確実にし、ポッド290が創傷「w」内に意図せず留置される可能性が低下する。
【0083】
本開示の別の態様によると、図12に示されている本開示の創傷充填材マトリックス300は、滲出物を輸送、移送、および/または吸収するのに適した構造体を形成するために天然または人造フィラメントを含む少なくとも1つの連続繊維を含む。前述の通り、連続フィラメントは、ナイロンやレーヨンなどの合成材料の比較的長いストランドを含み、ストランドは、綿などの天然材料によくある突き出た小繊維が実質的に存在しない平滑な連続外面を提供し得る。比較的平滑な表面のため、連続フィラメントから形成されたファブリックやヤーンなどの構造体は、天然フィラメントから形成された構造体よりも治癒創傷床に付着する傾向がかなり低い。また、比較的長さが長いため、連続繊維は、包帯を交換する際に構造体から分離して創傷内に意図せず堆積される傾向がかなり低い。
【0084】
本開示の創傷充填材マトリックス300は、一般に、連続繊維の束、集合体、またはトウの形態をとり得る。図12に例示されているように、創傷充填材マトリックス300は、少なくとも1つの繊維301が配置されている長手方向軸「x」に沿った長さを画定している。繊維301は、長手方向軸「x」を横断するように配置された複数のループセグメント303に構成され得る。連結セグメント305が、長手方向軸「x」に沿って延在し、少なくともいくつか、場合によってはすべてのループセグメント303に連結されている。連結セグメント305は、長手方向軸「x」に平行または一致しても良い。連結セグメント305は、ループセグメント303を成形してマトリックス300に構造を提供するために、繊維301に対して縫い付ける、引き寄せる、結ぶ、集める、接着する(図12A)、または他の方法で貫通(図12B)させてられ得る。連結セグメント305は、繊維301の有効長さを超えて延在させて、創傷充填材マトリックス100の創傷床に対する配置および/または除去を容易にするために、臨床医によって把持され得る延長部307またはハンドルを提供し得る。連結セグメント305は、繊維のフィラメント(複数可)および/または小繊維(複数可)のマトリックス300からの放出を防止するため、創傷「w」から材料を取り出すときに創傷「w」にフィラメントが残る可能性を最小限になる。
【0085】
創傷充填マトリックス300は、様々なサイズの創傷に対応するためにどの所定の長手方向の位置でも切断され得る。この配置では、多数のサイズの創傷が、1つのマトリックス300で対応され得る。加えて、創傷充填材マトリックス300は、特定の創傷の種類、例えば、トンネル状の創傷または深い創傷などに対応するために特定の寸法にカットされ得る。連結セグメント305の部分305aが最後のループから延出するようにマトリックスを長手方向軸に沿った位置(例えば、位置「k」)で切断することが望ましいであろう。これは、縮小されたマトリックスセグメント300aの配置および/または続く除去を容易にし得る。用意された創傷充填材マトリックス300の全長および創傷の種類および/またはサイズによって、創傷充填材マトリックス300は、長手方向軸「x」に沿ったいくつかの位置で切断され得る。
【0086】
創傷充填材マトリックス300の繊維301は、モノフィラメントまたはマルチフィラメント302から形成され得る。モノフィラメントまたは1本のストランドの材料は、マトリックス300に直接織るのに十分な太さである。マルチフィラメントは、図2A〜図2Iで既に例示されたように繊維を形成するために捩られた、結合された、または他の方法で互いに配置された2本以上のストランドの材料である。図13A〜図13Iに示された繊維301の各実施形態は、図2A〜図2Iのマルチフィラメント配置に一致し、図12に示された正弦波(sinusoidal
)構造に配置され、連結セグメント305によって取り付けられ得る。
【0087】
創傷充填材マトリックス100のフィラメント102は、多種多様な形態をとり得る。材料は、一般に、天然繊維および人造繊維を含む2つの基本的な種類に分類され得る。さらに、天然および人造繊維は、当業者の範囲内である吸収性および非吸収性の両方の品種を含む。天然繊維は、植物、動物、および/または地質学的プロセスによって形成される繊維である。例えば、天然繊維は、植物繊維を含み、植物繊維は、セルロースの配置から生成され、綿、麻、ジュート、亜麻、カラムシ、およびサイザル麻のようにリグニンによって互いに結合され得る。また、木質繊維は、樹木源に由来し、木質繊維には、砕木、熱機械パルプ(TMP)、およびリグニンを除去して木質構造から繊維を分離させる製造プロセスによって形成される漂白もしくは非漂白クラフトまたは亜硫酸(sulphite)パルプが含まれる。動物繊維は、主にタンパク質からなり、動物繊維には、例えば、クモの糸、腱、腸線や、カシミヤ、モヘア、およびアンゴラなどのウールおよび毛髪が含まれる。また、ウラスティナイト(wollastinite)、アタパルガイト、ハロイサイト、およびアスベストなどの天然繊維の鉱物源も存在する。
【0088】
人造繊維には、再生繊維および合成繊維が含まれる。再生繊維は、これらの材料を処理して繊維構造を形成することによって天然材料から製造される繊維である。例えば、再生繊維は、レーヨンおよび酢酸セルロースなどの製品を製造するために綿および木材パルプの純セルロースに由来し得る。繊維は、グラスファイバーまたは光ファイバーを形成するためのガラスまたは水晶などの鉱物源から再生しても良い。銅、金、または銀などの延性金属は、金属繊維を形成するために延伸され得、ニッケル、アルミニウム、または鉄などのより脆性の材料は、押し出しまたは堆積され得る。
【0089】
合成繊維は、石油化学製品などの合成材料から完全に形成され、通常は、天然繊維または再生繊維よりも強い。合成繊維(および再生アセテート繊維)は、熱可塑性の傾向がある、すなわち熱で柔らかくなる。したがって、これらの繊維は、ひだ、折り目、および複雑な断面などの特徴を加えるために高温で成形され得る。合成繊維は、ポリアミドナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエステル、フェノールホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)のようなポリオレフィンなどから形成され得る。
【0090】
創傷充填材マトリックス300の連結セグメント305は、上述の種類および材料を含む多種多様な形態もとり得る。連結セグメント305は、繊維101と同じまたは異なる材料から形成され得る。
【0091】
あらゆる市販の繊維または縫合糸材料が創傷マトリックス300に有利に利用され得るため、様々な供給業者が、上述のようなフィラメントを製造し得る。材料の限定的なリストには、限定されるものではないが、ポリオレフィン(例えば、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびこれらの混合物を含むポリエチレンおよびポリプロピレン、ならびにポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー、ならびにポリテトラフルオロエチレンなどのフッ化ポリオレフィンなど);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなど);アクリルポリマーおよびコポリマー;モダクリル;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニルなど);ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテルなど);ハロゲン化ポリビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンなど);ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;芳香族ポリビニル(例えば、ポリスチレンなど);ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテートなど);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマーなど);ポリアミド(例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、およびポリカプロラクタムなど);アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;アラミド、ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;およびスパンデックスからなる群から選択されるポリマーおよびポリマーブレンドが含まれる。
【0092】
様々なポリマー添加物が、創傷「w」の治癒を促進するために、個々のモノフィラメントもしくはマルチフィラメント102、上述の任意のフィラメント、またはマトリックス300に添加され得る。例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)または他の薬剤、抗菌剤、創傷治癒剤、および創傷清拭剤(wound debriding agent)などの剤が、感染の発生を低減するため、または創傷「w」の治癒を他の方法で促進するために使用され得る。このような剤には、剤が一定期間に渡ってマトリックス材料から創傷内に放出される徐放処置で使用される剤が含まれ得る。加水分解安定剤を、剤の放出を制御するため、またはトウの完全性を維持するために組み込んでも良い。また、湿潤剤を、湿潤創傷環境を向上させるために添加しても良い。
【0093】
他の添加剤も、マトリックス100の創傷からの除去を促進し得る。滑らかな表面(slicker surface)を備えるフィラメント102を提供するために、例えば、シリコーン、またはPTFEなどのフルオロポリマーが添加され得る。滑らかな表面は、トウが創傷「w」の形状に楽に適合できるようにするのに役立ち得る。相溶化剤および接着促進剤などのさらに他の添加剤が、創傷充填材マトリックス100の構成を容易にし得る。相変化物質、ナノ粒子、紫外線吸収剤および日焼け止め、汚れ防止剤、または難燃剤などのさらに他の添加剤は、創傷マトリックス300で別の有用性を見出し得る。
【0094】
互いにマルチフィラメントを組み合わせて繊維を形成するための様々な種類の製造プロセスが存在する。かなりの長さの巻き付けられたフィラメントの連続的な供給を可能にするのを助けるために、組み合わせられてスプールに巻き付けられる各フィラメントを供給することが便利であろう。スプールは、通常は、一般にクリールと呼ばれるアレイに取り付けられる。クリールは、スプールがスピンドルを中心に回転して長いフィラメントを送り出せるように、内部空洞を備えたスプールを受け取る、ベースフレームから垂直方向に突き出た複数のスピンドルを含み得る。このような製造プロセスは、フィラメントを組み合わせて特定の特性を有するトウを形成する機会を提供する。1つまたは複数のスプールに、クリール上の他のスプールとは異なる特性を有するフィラメントが単純に巻き付けられ得る。
【0095】
例えば、フィラメント当たり3、11、または18デニールなどのフィラメント当たりのデニールが異なるフィラメントが組み合わせられて、特定の合計デニール、例えば、約1000〜約10,000の繊維が形成され得る。フィラメント当たりのデニールは、取り付けまたは取り外しの圧力がかかったときのマトリックス100の流体流動特性および弾性を制御するために便利に調整され得る。また、比較的低い融解温度を有するフィラメントの正確な数が、このようなフィラメントが融解したときに示し得る接着特性を正確に制御するためにクリーリング(creeling)プロセスに含められ得る。高いテナシティのPETを有するポリプロピレンなどの異なるポリマーの混合も、トウの強度およびウィッキング能力などのトウの特性を制御するために企図される。上述の添加剤または治癒剤でコーティングされた1本のフィラメントまたは任意の数のフィラメントが、創傷「w」の治癒を促進するために繊維に組み込まれ得る。任意の量の上述の任意のフィラメントの任意の数の組合せがまとめられて、望ましい正確な特性を有するトウを形成し得る。
【0096】
また、異なる要領で配置された他の材料または同様の材料が、クリーリングプロセスで繊維内に挿入され得る。例えば、多孔質膜チューブが、マルチフィラメント繊維の中に挿入されまたはその表面に配置されて、結合機能が付与され得る。また、捻られたフィラメント、捲縮パターンが異なるフィラメント、または間隔が異なる捲縮パターンが組み合わされて、マトリックス300として使用するための繊維を形成され得る。
【0097】
様々な捲縮加工法およびバルキング法が、トウが創傷流体を受け取りかつ輸送し得るようにトウの繊維の各領域への分離を可能にするために企図される。エアジェットもしくはスチームジェット捲縮加工プロセス、または上述の任意の捲縮加工プロセスが、繊維をS型またはZ型に捲縮するために使用され得る。これらのS型またはZ型捲縮は、捲縮された繊維が、文字「S」または文字「Z」に類似したジグザグパターンを形成するような捲縮の方向を指す。
【0098】
自己捲縮は、図3Bを参照して上述したポリマーの偏心したコアとシースの配置または図3Cを参照して上述したような並列配置で達成され得る。自己捲縮繊維を形成するための別の選択肢では、熱特性が異なる全フィラメントをクリーリングプロセスで組み合わせる。捲縮された繊維は、特定のテクスチャーまたはバルクを得るために開口性にされ得る、すなわち捲縮された繊維のループセグメントが分離または離隔され得る。捲縮された繊維のループセグメントは、エアジェットによって、またはスレッド・ロール・アセンブリで繊維を長手方向に伸長または弛緩させることによって開口性にされ得る。
【0099】
本開示の実施形態は、フィラメント当たりのデニールが約6〜約10、例えば、約8である丸い断面のポリプロピレンフィラメントから主に形成されたマルチフィラメント繊維トウを含む。この繊維は、S型またはZ型捲縮に捲縮され得、ループセグメントは、エアジェットによって、または伸長および弛緩によってバルキー性または開口性にされ得る。この繊維は、約300デニールのヤーンを示すように十分な数の個々のフィラメントを含むマルチフィラメントヤーンからクリール(creel)され得る。約300デニールのヤーンの約100のスプールが、約30,000の合計トウデニールを形成するためにクリールされ得る。約30のスプールのヤーンが、PHMBなどの抗菌剤で処理され得る一方、残りの約270のスプールのヤーンは未処理とし得る。この繊維は、トウから突き出た緩んだフィラメントの影響を最小限にするために、スパンポリプロピレン不織ウェブ内に封入され得る。代替案は、封入ではなくエアジェット交絡された同様の繊維、および実質的にすべてのヤーンまたはフィラメントがPHMBで処置された繊維を含む。
【0100】
したがって、このようなトウの創傷「w」からの一体的な除去が保証され得、通常なら創傷「w」内に残っている包帯材料に気付かないであろう。
【0101】
前述の開示は、明確にするためまたは理解のために、例示および例によって一部を詳細に説明したが、一定の変形および変更が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることは明らかであろう。例えば、創傷充填材マトリックス300が、創傷包帯10の他の構成要素と別に使用され得る、またはカバー層22および/または接触層18と組み合わせて使用され得ることも想定される。創傷充填材マトリックス300は、陰圧治療を用いない創傷帯具として、例えば、従来の適用における創傷カバーとして使用され得る。他の使用法も想定される。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、Heagleにより2008年8月8日に出願された米国仮特許出願第61/188,370号、Corleyにより2008年9月11日に出願された同第61/096,105号、およびWatsonにより2009年1月26日に出願された同第61/147,179号に対する優先権、およびこれらの出願の利益を主張する。これらの出願のそれぞれの全内容は、本明細書中に参照として援用される。
【0002】
背景
1.技術分野
本開示は、一般に、創傷包帯(wound dressing)に関し、詳細には、急性および慢性創傷の処置において創傷流体を受け取りかつ保持するための連続した長い繊維の集合体またはトウを含む創傷包帯に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の背景
創傷包帯は、一般に、創傷を保護し治癒を促進するために創傷の上に配置される。褥瘡、潰瘍、および火傷などの滲出創傷の場合、創傷滲出物が産生された時に創傷滲出物を受け取る、保持する、または輸送するためのパッキングまたは充填材を有する包帯を提供することが一般的である。滲出物は、創傷充填材のウィッキング特性によって少なくとも部分的に創傷床から輸送され得る。したがって、創傷充填材は、創傷床から潜在的に有害な細菌を除去することによって治癒を促進すると共に、過度の湿潤環境によって引き起こされ得る周囲皮膚の損傷を防止する。
【0004】
包帯充填材は、後の除去、例えば、包帯が新しい包帯に取り替えられるときのために過剰な滲出物を捕捉し得る。綿などの一部の材料は、繊維または小繊維(例えば、主要な繊維構造から突き出た非常に短いまたは不規則な繊維)が創傷内で脱落する傾向がある。これらの繊維は、包帯が交換されるときに創傷内に残る傾向があり得る。これらの散在繊維の除去は、創傷をさらに損傷し得る人手のかかる方法であり得、これらの散在繊維を放置すると、刺激作用を引き起こし得、そうでない場合は創傷の自然治癒を阻害し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収充填材を備えた包帯を利用し得る1つの技術は、陰圧創傷治療(NWPT)として知られている。吸収材は、陰圧が維持され得る場合、創傷の上の貯留部内に配置することができる。この貯留部により、創傷が大気圧よりも低い圧力下に置かれ、液体滲出物を含む創傷流体が、真空ポンプを連続的に使用しなくても創傷から効果的に吸引される。したがって、真空圧力は、創傷の性質および重症度によって1回または様々な間隔で加えられ得る。この技術は、その領域への血流を促進し、肉芽組織の形成を刺激し、そして健常組織の創傷への遊走を促すことを見出した。NWPT装置もまた、包帯全体を取り替えなくても包帯の吸収材から滲出物を吸引する役割を果たし得る。しかし、NWPT法が完了したら、吸収材を除去しなければならないため、散在繊維によって引き起こされ得る困難に直面する。したがって、NWPTなどの先端的な創傷治療法での使用に適合されたそれらの創傷包帯を含む創傷包帯に使用するのに適した吸収充填材が、役立つであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示の一態様によると、創傷を処置するための方法は、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を使用することを含む。この方法では、創傷包帯を創傷に組み込んで創傷の側面同士を離隔させたままにし、創傷滲出物を除去する。
【0007】
本開示の別の態様によると、創傷包帯装置は、創傷の治癒を促進するように構成され、NWPTシステムと共に使用され得る。この装置は、創傷の周りに実質的に流体を密封するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を創傷の上に画定する(define)創傷カバー、貯留部に流体連通した、創傷の治癒を刺激するために貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した真空源、および創傷と創傷カバーとの間に配置されるパッキング構造体を備える。パッキング構造体は、接触材のシースによって実質的に取り囲まれた充填材のコアを含む。充填材は、創傷流体を受け取るように適合され、かつ創傷から創傷流体を輸送するように適合され得る。接触材のシースは、創傷と直接接触するように適合され、かつ創傷流体のコアを通る通路を可能にするために透過性である。
【0008】
パッキング構造体は、細長いチューブを画定し得、パッキング構造体を分割するように適合された長手方向に離隔した複数の分離機構を示し得る。近接する分離機構間に画定されたポッドは、接触材のシースがポッドの両側の横縁に沿って延在するように閉じた構造をとり得る。分離構造は、パッキング構造体を横断して横方向に延在する穿孔された切り離し線を備え、パッキング機構の幅の約50%〜約300%の距離、近接する分離機構から離隔され得る。
【0009】
本開示の一部の実施形態では、接触材は、方向性開口フィルム(directionally−apertured film)を含み得、充填材は、ポリプロピレントウを含み得る。シースは、方向性開口フィルムの上側シートと下側シートとの間に充填材を封入するために周囲にシールを有する上側シートおよび下側シートを含み得、上側シートおよび下側シートのそれぞれは、方向性開口フィルムの雄側がパッキング構造体への滲出物の流れを促すようにパッキング構造体の内側に向くように配置され得る。他の非接着材料も想定される。別法では、上側シートおよび下側シートの一方は、方向性開口フィルムの雄側がパッキング構造体の内側に向くように配置され得、上側シートおよび下側シートの他方は、方向性開口フィルムの雄側が、パッキング構造体を通る滲出物の流れを促進するようにパッキング構造体の外側に向くように配置され得る。パッキング構造体は、接触材の上側シートと下側シートとの間に充填材を封入するために周囲にシールを有する上側シートおよび下側シートを含み得る。さらに、パッキング構造体は、その周囲領域に向かっていく少なくとも1つの環状型ポッドによって取り囲まれた中心ポッドを画定するために少なくとも1つの内側シールを含み得る。分離機構が、このシールに設けられ得る。パッキング構造体の周囲領域に向かって漸進的に大きくなる複数の環状型ポッドは、概ね同心円状の複数の内側シールを画定し得る。
【0010】
充填材は、接触材の上側シートおよび下側シートの1つに近接したフォーム層、およびこのフォーム層に近接したトウ層を含み得る。フォーム層は、トウ層の両側に配置され得、パッキング構造体を通る創傷流体の流れを促進するためにフォーム層に孔が形成され得る。
【0011】
本開示の別の態様によると、創傷に使用するための創傷包帯は、充填材のコア、およびこのコアを実質的に取り囲んでいる接触材のシースを含む。充填材のコアは、創傷流体を受け取るように適合され、かつ創傷流体を創傷から輸送するようにも適合され得る。接触材は、創傷に直接接触して配置されるように構成され、シースは、創傷流体のコアへの通路およびコアを通る通路を可能にするために透過性である。長手方向に離隔した複数の分離機構は、創傷包帯を分割するように適合され、近接する分離機構が、それらの間にポッドを画定している。複数のポッドが、2次元アレイを画定するように配置され得る。接触材は、方向性開口フィルムを含み得、充填材は、ポリプロピレントウを含み得る。
【0012】
本開示のさらに別の態様によると、創傷に使用するための創傷包帯は、ポリプロピレントウを含む充填材のコア、このコアを実質的に取り囲み、かつ方向性開口フィルムを含む接触材のシース、および接触材のシース内にコアを封入する、接触材のシースの周囲に設けられたシールを含む。
【0013】
本開示の別の態様によると、創傷充填材と共に使用するための陰圧創傷治療装置は、例えば、創傷の周りに実質的に流体を密閉するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を創傷の上に画定する創傷包帯、創傷の治癒を刺激するのを助けるために貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した、貯留部に流体連通した真空源、および創傷包帯内に配置された創傷充填材マトリックスを含み得る。創傷充填材マトリックスは、長手方向軸に沿った長さを画定し、この長手方向軸を横断する複数のループセグメントに構成された少なくとも1つの連続繊維を含む。創傷充填材マトリックスは、長手方向軸に沿って延在した、少なくとも一部のループセグメントに連結された連結セグメントをさらに含む。連結セグメントは、少なくとも1つの連続繊維の完全性を維持して、創傷床に対する配置および創傷床からの除去を促進し得る。連結セグメントは、各ループセグメントに連結され得る。連結セグメントは、様々な大きさおよび種類の創傷に対応するべく、創傷充填材マトリックスのセグメントを提供するために切断されるように適合され得る。連結セグメントは、少なくとも1つの連続繊維を長手方向に越えて延在するハンドルセグメントを画定する寸法にされ得る。
【0014】
連結セグメントおよび少なくとも1つの連続繊維は、異なる材料を含み得る。少なくとも1つの連続繊維は、マルチフィラメントを含み得る。創傷充填材マトリックスの前記少なくとも1つの連続繊維は、非吸収性であり得、添加剤を含み得る。
【0015】
別の実施形態では、創傷包帯装置は、創傷の上に微生物障壁を提供するために創傷を覆うように適合されたカバー層および創傷流体を受け取る創傷充填材マトリックスを含む。創傷充填材マトリックスは、連結セグメントを連続繊維に通して連続繊維を複数のループセグメントに集合されることによって構成されたトウに配置された連続繊維を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み入れられ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、以下に示す実施形態の詳細な説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1Aは、本開示によって形成された創傷包帯装置の断面図である。図1Bは、本開示によって形成された代替の創傷包帯装置の断面図である。
【図2】図2A〜図2Iは、図1Aおよび図1Bに示されている創傷充填材の様々な構成を示す部分直交図である。
【図3】図3A〜図3Gは、図2A〜図2Iに示されている個々の繊維の様々な共押し出し配置を示す模式図である。
【図4】図4A〜図4Fは、図2A〜図2Iの個々の繊維の様々な断面を示す模式図である。
【図5】図5は、本開示の別の態様によって形成されたパッキング構造体を含む創傷包帯装置の断面図である。
【図6】図6A〜図6Cは、図5のパッキング構造体の様々な構成を示す部分斜視図である。
【図7A】図7Aは、パッキング構造体の代替の実施形態の平面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのパッキング構造体の断面図である。
【図7C】図7Cは、方向性開口フィルムの雄側の斜視図である。
【図8】図8Aは、パッキング構造体の別の代替の実施形態の平面図である。図8Bは、図5Aのパッキング構造体の断面図である。
【図9】図9A〜図9Fは、パッキング構造体の別の代替の実施形態の組み立てに使用される製造プロセスを例示する断面模式図である。
【図10】図10A〜図10Cは、パッキング構造体の代替の実施形態の断面図である。
【図11】図11は、パッキング構造体の代替の実施形態の平面図である。
【図12】図12は、本開示の創傷充填材マトリックスの実施形態を示す模式図である。図12Aは、図12の線12A−12Aに沿って切り取られた創傷充填材マトリックスの断面図である。図12Bは、創傷充填材マトリックスの代替の実施形態の、図2Aの図面に類似した断面図である。
【図13】図13A〜図13Iは、本開示の充填材マトリックスのマルチフィラメント繊維の様々な構成を示す部分直交図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示は、それぞれが少なくとも2インチ、一実施形態では、少なくとも4インチ、他の実施形態では、少なくとも6インチ、および少なくとも8インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を使用する創傷の処置に関する。この処置方法では、創傷の中に創傷包帯を組み込んで創傷の両側を離隔させたままにし、創傷滲出物を除去する。
【0018】
詳細には、創傷包帯の繊維は、少なくとも2インチの長さを有するあらゆる繊維であり得る。適切な繊維には、天然繊維および人造繊維が含まれる。
【0019】
適切な繊維の例には、植物、動物、および/または地質学的プロセスによって生成された天然繊維が含まれる。例えば、天然繊維には、アルギネート、キトサン、レーヨン、植物繊維が含まれ、これらは、セルロースの配置から生成され、例えば、綿、麻、ジュート、亜麻、カラムシ、およびサイザル麻などのようにリグニンによって互いに結合され得る。また、木質繊維は、樹木源に由来し、木質繊維には、リグニンを除去して木材構造から繊維を分離させる製造プロセスによって形成される砕木、熱機械パルプ(TMP)、および漂白もしくは非漂白クラフトまたは亜硫酸(sulphite)パルプが含まれる。動物繊維は、主にタンパク質からなり、動物繊維には、例えば、クモの糸、腱、腸線や、カシミヤ、モヘア、およびアンゴラなどのウールおよび毛髪、およびキトサンが含まれる。また、ウラスティナイト(woolastinite)、アタパルガイト、ハロイサイト、およびアスベストなどの天然繊維の鉱物源も存在する。
【0020】
適した人造繊維には、再生繊維および合成繊維が含まれる。再生繊維は、これらの材料を処理して繊維構造を形成することによって天然材料から製造された繊維である。例えば、再生繊維は、レーヨンおよび酢酸セルロースなどの製品を形成するために綿および木材パルプの純セルロースに由来し得る。繊維はまた、グラスファイバーまたは光ファイバーを形成するためのガラスまたは水晶などの鉱物源から再生しても良い。銅、金、または銀などの延性金属は、金属繊維を形成するために延伸され得、ニッケル、アルミニウム、または鉄などのより脆性の材料は、押し出しまたは堆積され得る。
【0021】
合成繊維は、石油化学製品などの合成材料から完全に作製され、通常は、天然繊維または再生繊維よりも強い。合成繊維(および再生アセテート繊維)は、熱可塑性の傾向がある、すなわち熱で柔らかくなる。したがって、これらの繊維は、ひだ、折り目、および複雑な断面などの特徴を加えるために高温で成形され得る。合成繊維は、ポリアミドナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエステル、フェノールホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)のようなポリオレフィンなどの材料から形成され得る。
【0022】
創傷包帯の繊維は、集合され得る。繊維の集合は、任意の既知の方式によって達成することができる。例えば、繊維の集合は、以下の方法のいずれか1つまたは複数によって達成され得る。繊維は、繊維を交絡させる(entangle);または繊維を混合する;または繊維をヤーンで巻く;または繊維を熱で結合する;または繊維を超音波処置する;または高周波(RF)で結合する;または接着する;または結束する;または方法の組合せなどによって集合され得る。
【0023】
さらに、繊維は、創傷滲出物に対して吸収性または非吸収性であり得る。
【0024】
繊維は、一実施形態では、1繊維当たり約3〜約25デニール、別の実施形態では、1繊維当たり約3〜約16デニールのデニールを有し得る。
【0025】
繊維は、例えば、スチームジェット捲縮加工、エアジェット捲縮加工、スタッファーボックス捲縮加工、または自己捲縮などの任意の既知の技術によって捲縮され得る。
【0026】
繊維は、任意の既知の技術によってウィッキング特性および/または疎水性特性を増加させるために処置され得る。例えば、繊維は、Huntsman Chemicalsから入手可能なPHOBOL7811水性フルオロケミカル分散液で処理され得る。この分散液は、ディップ/スクイーズ式パダー(dip and squeeze padder)または同様の適用方法を用いて繊維に適用され得る。分散液の濃度は、繊維に適用される分散液のレベルに調整するために水での希釈によって調整され得る。所望に応じて、他の適切な処置は、Air Productsから入手可能なAIRFLEX 140などの疎水性水性結合剤、シリコーン、およびStahlから入手可能なRU41−773などのポリウレタンの使用も含む。
【0027】
また、繊維の撥水性を向上させる、Goulston Technologiesから入手可能なHYD−REPELなどの溶融添加剤を用いることによって繊維のウィッキング特性および/または疎水性特性を改善することが可能である。すべての繊維を処置しても良いし、コア/シース繊維を、シース内にHYD−REPEL溶融添加剤を入れて生成しても良い。
【0028】
本明細書の繊維は、任意の既知の方法によって、見掛け密度または体積を増やすためにバルキー性または開口性にされ得る。例えば、1つの適した方法が、米国特許第3,328,850号に記載されている。この特許には、本明細書では繊維である材料を、一方が平滑なゴム状表面を有する一対のロールのニップに繊維を通すことによって開口性にされ得ることが記載されている。ロールは、繊維の速度よりも速い速度で移動し、ニップを離れる繊維は、繊維が2つの平行な壁間に制限される空気拡散ゾーンを通過する。繊維は、壁からの空気流に曝される。これは、繊維をバルキー性または開口性にする単に1つの適した方式である。繊維をバルキー性または開口性にする任意の他の手段を利用してもよい。
【0029】
繊維は、創傷の治癒を促進する任意の添加剤または剤と組み合わせるまたは処置され得る。例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、または任意の他の薬剤、抗菌剤、創傷治癒剤、および/または創傷清拭剤などの剤が、感染の発生を低減するため、または他の方法で創傷の治癒を促進するために使用され得る。他の剤には、剤が一定期間に渡って繊維から創傷に放出される徐放処置で使用されるものが含まれる。
【0030】
繊維には、追加の活性成分または剤、例えば、治療剤、感覚刺激剤、および医薬品、例えば、抗菌剤、成長因子、増殖因子、鎮痛薬、組織足場剤(tissue scaffolding agent)、創傷清拭剤、止血薬、抗血栓薬、麻酔薬、抗炎症薬、抗癌剤、血管拡張物質、創傷治癒剤、血管形成剤、抗血管形成剤、免疫強化剤、皮膚密閉剤(skin sealing agent)、およびこれらの組合せなどが含まれ得る。
【0031】
使用され得る適した抗菌剤には、限定されるものではないが、抗菌金属イオン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩、トリクロサン、ポリモキシン(polymoxin)、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシンまたはTobramycin(商標))、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン(bacteriolcin)、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バノクマイシン(vanocmycin)、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジディック酸(nalidizic acid)、シュウ酸、エノキサシン酸(enoxacin acid)、シプロフロキサシン、およびこれらの組合せが含まれる。特定の実施形態では、好適な抗菌剤には、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、PHMB誘導体、例えば、生分解性ビグアナイド(例えば、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PEHMB))、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの変種、例えば、ジナトリウムEDTAまたはテトラナトリウムEDTA、およびこれらの組合せなどの少なくとも1つが含まれ得る。さらなる例示的な実施形態では、抗菌剤は、PHMBであり得る。
【0032】
本明細書では繊維を用いて創傷を処置するための方法は、以下のように構成される。
(a)それぞれが少なくとも2インチ、一実施形態では、少なくとも4インチ、他の実施形態では、少なくとも6インチ、および少なくとも8インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を用意すること、
(b)創傷包帯を、創傷の壁を離隔して維持するのに十分な量で、処置すべき創傷に組み込んで、創傷のその内側から外側への治癒を可能にすること、および
(c)創傷からの滲出物を除去すること。
【0033】
創傷を処置するための本明細書の方法では、創傷包帯の繊維は、創傷滲出物に対して吸収性または非吸収性であり得る。
【0034】
さらに、本明細書に記載されるように、創傷包帯の繊維は、1繊維当たり約3〜約25デニールのデニールを有し得る;または体積を増やすように処置され得る;向上したウィッキング性能を得るために処置され得る;または捲縮され得る;またはバルキー性であり得る;または創傷の感染を低減するPHMBなどの添加剤と組み合わせるもしくはこの添加剤で処置され得る。
【0035】
本明細書の方法では、本明細書の繊維を含む創傷包帯を、創傷の壁を離隔して維持するのに十分な量で、創傷に組み込んで、創傷をその内側から外側へ治癒することが可能である。一実施形態では、創傷内に組み込まれる創傷包帯の量は、創傷の容積に対して約25%から、創傷の容積を超える創傷包帯の量までの範囲である。別の実施形態では、創傷内に組み込まれる包帯の量は、創傷の容積の約50%〜約100%の範囲であり、別の実施形態では、創傷包帯は、創傷の容積に等しい量で、創傷の中に組み込まれる。
【0036】
別の実施形態では、創傷の中に組み込まれる創傷包帯は、創傷の壁に圧力を加える。
【0037】
本明細書の方法では、創傷滲出物を創傷から除去する必要がある。創傷滲出物は、任意の既知の技術によって創傷から除去され得る。創傷包帯の繊維が創傷滲出物に対して非吸収性である一実施形態では、創傷滲出物は、陰圧創傷治療(NPWT)などの任意のタイプの真空技術によって除去され得る。創傷包帯の繊維が創傷滲出物に対して吸収性である別の実施形態では、創傷滲出物は、創傷から吸収した含む創傷滲出物を創傷包帯を除去することによって、除去され得る。この場合、創傷滲出物を吸収した創傷包帯の除去の後に、必要に応じて、吸収性繊維からなる新しい創傷包帯を組み込んでも良い。
【0038】
一実施形態では、非吸収性繊維を含む創傷包帯と共に利用され得る技術の一例は、陰圧創傷治療(NPWT)として知られている。非吸収性繊維を含む創傷包帯は、陰圧が維持され得る、創傷の上の貯留部内に配置され得る。貯留部は、創傷を大気圧よりも低くし、真空ポンプを連続的に使用しなくても創傷から液体創傷滲出物を含む創傷流体が効果的に吸引される。真空圧力は、創傷の性質および重症度によって1回または様々な間隔で加えられ得る。
【0039】
様々な捲縮加工法およびバルキング法が、繊維が創傷流体を受け取りかつ輸送し得るように個々の繊維または複数の繊維の各領域への分離を可能にするために企図される。繊維が圧縮空気の乱流に通されて個々の繊維が複数のループおよび螺旋に交絡されるエアジェット捲縮加工プロセスが使用され得る。ループおよび螺旋を形成するだけではなく、繊維が高温スチームの乱流に通されてこれらのループおよび螺旋が熱硬化されるスチームジェット捲縮加工プロセスも使用され得る。別の捲縮加工プロセスは、スタッファーボックス捲縮加工として知られている。スタッファーボックス捲縮加工は、出口が制限された捲縮加工室内に繊維が強制的に送られ得るプロセスである。捲縮加工室に入る繊維の後続部分が、捲縮加工室から出るまで繊維を捲縮加工室内で曲げる力を加えるため、繊維がその捲縮を維持する。これらの捲縮加工プロセスのいずれも使用され得る。
【0040】
創傷を処置するための本明細書に記載される方法では、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を創傷包帯として利用することが有利である。少なくとも2インチの長さを有する個々の繊維は、残りの繊維から分離しにくい傾向を有するものである。これは、創傷内に残り得る解けた繊維を最小限にするものであり、このような繊維は、炎症または他の創傷治癒の障害を引き起こし得る。少なくとも2インチの長さを有する繊維は、解けた繊維が創傷内に残る可能性をさらに最小限にするために集合され得る。
【0041】
さらに、少なくとも2インチの長さを有する繊維は、例えば、捲縮または化学処置によって変更され、創傷治癒に重要な最適な創傷特性を付与し得る。これらの特性には、創傷滲出物の流れ、創傷滲出物の維持、創傷に対する適合性、抗菌特性が含まれる。
【0042】
図1を参照すると、健常な皮膚「s」によって取り囲まれた創傷「w」に使用するための本開示による創傷包帯装置は、全体が10として示されている。この装置10は、創傷「w」と接触して配置された接触層18、接触層18の上の創傷「w」内に配置された創傷包帯100、ならびに創傷包帯100および創傷「w」を覆うために皮膚「s」と接触して配置されたカバー層22を含む。
【0043】
接触増18は、滲出物が接触層18を通って創傷包帯100内に吸引されるのを可能にする開口フィルムから形成され得る。接触層18を通る創傷流体の通路は、滲出物が創傷「w」内に逆流しにくいように実質的に一方向性であり得る。一方向の流れは、フィルム材料から突き出た円錐型形成物などの方向性開口によって促進され得る(例えば、図7を参照)。形成物が創傷包帯100の方向に突き出るように接触層18を配置することにより、滲出物が、創傷「w」から離れる方向に円錐型形成物がずらりと並び、および創傷「w」に向かう方向に収集鉢がずらりと並んだフィルムに接触することが可能となる。また、一方向の流れは、接触層18の吸収特性とは異なる吸収特性を有する材料で接触層18を積層することによって促進され得る。接触層18を除去するときに接触層18が創傷「w」または周囲組織に付着しにくいように非接着材料が選択され得る。接触層18として使用され得る1つの材料が、Tyco Healthcare Group LP(Covidienの名で事業経営中)による商標名XEROFORM(登録商標)で販売されている。
【0044】
創傷包帯100は、接触層18の上の創傷「w」内に配置され、創傷滲出物を受け取りかつ保持することを目的とする。創傷包帯100は、あらゆる創傷「w」の形状をとり得、かつ任意のレベル、例えば、健常な皮膚「s」のレベルまで、または創傷包帯100が健常な皮膚「s」を越えて突き出るように創傷を過剰に満たすレベルまで詰められ得るように適合性である。
【0045】
以下にさらに詳細に説明するように、創傷包帯100は、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する繊維の集合体から形成され得る。
【0046】
カバー層22は、典型的には創傷の手当ての適用において創傷「w」を覆うために使用される様々な形態をとり得る。例えば、カバー層22は、フィルムを周囲の皮膚「s」に固定するために下側に接着コーティングを有する可撓性ポリマーまたは弾性フィルムから形成され得る。したがって、カバー層22は、創傷「w」に汚染物が侵入するのを防止するのに役立つ微生物障壁として機能し得る。開示されている実施形態では、カバー層22は、創傷「w」と大気との間での酸素および水分の交換を促進するために水蒸気透過性膜から形成され得る。十分な水蒸気透過率(MVTR)を提供する膜は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienの名で事業経営中)によって商標名POLYSKIN(登録商標)IIで販売されている透明な膜である。透明な膜は、カバー層22を除去する必要なしに創傷の状態の視覚的な評価を可能にするのに役立つ。別法では、カバー層22は、不透過膜22を含み得る。
【0047】
ここで図1Bを参照すると、本開示の創傷包帯100は、陰圧創傷治療(NPWT)装置24などのあらゆる創傷包帯用途にも使用され得る。このような装置24は、図1Aを参照して説明したように、接触層18および創傷包帯100を有する創傷包帯を含み得る。カバー層22は、このような適用のために特に適合され得る。例えば、カバー層22は、生体適合性接着剤が周囲の皮膚「s」と実質的に流体が密閉されるシールを形成するように、周囲26における生体適合性接着剤の実質的に連続的なバンドを含み得る。したがって、カバー層22は、創傷「w」への汚染物の侵入の防止に役立つ微生物障壁として、および真空貯留部28の完全性の維持に役立つ流体障壁の両方として機能し得る。
【0048】
フランジ34を有する真空ポート30も、貯留部28の真空システムへの連結を容易にするために含められ得る。真空ポート30は、硬質または可撓性の薄型の構成要素として構成され得、取外し可能かつ流体密閉式に真空チューブまたは流体導管36を収容するように適合され得る。フランジ34の下側の接着剤が、真空ポート30をカバー層22へ固定するための機構を提供しても良いし、または別法では、フランジ34を、その上側の接着剤が真空ポート30を固定するように貯留部28(不図示)内に配置しても良い。しかし、真空ポート30が、カバー層22に固定され、真空ポート30の中空内部が、流体導管36と貯留部28との間を流体連通させる。真空ポート30は、カバー層22の予め固定された構成要素として、流体導管36の構成要素として、または全く別個に設けられ得る。別法では、真空ポート30は、流体導管36と流体連通させるために他の設備が設けられる場合は排除しても良い。
【0049】
流体導管36は、貯留部28と収集キャニスター40との間を流体連通させるために真空ポート30から延出している。可撓性の弾性またはポリマー材料から形成されたものを含むあらゆる適した導管が、流体導管36として使用され得る。流体導管36は、例えば、摩擦嵌め、差し込みカップリング、または掛かり付きコネクター(barbed connector)などの従来の気密手段によって真空ポート30、キャニスター40、または他の装置の構成要素に連結され得る。この導管の連結は、永久的にしても良いし、または別法では、迅速取外しまたは他の取外し可能な手段を用いて装置10にある程度の調節適応性を与えても良い。
【0050】
収集キャニスター40は、創傷流体を貯めておくのに適したあらゆる容器を含み得る。例えば、図示されているように硬質ボトルが用いられても良いし、または別法では、可撓性ポリマーパウチが適当であり得る。収集キャニスター40は、創傷排液または破片(debris)を1つにまとめるまたは含むのを助けるために吸収材を含み得る。例えば、超吸収ポリマー(SAP)、シリカゲル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドカリウム、または関連化合物を、キャニスター40内に設けても良い。キャニスター40の少なくとも一部は、創傷滲出物の色、質、および/または量を評価しやすいように透明または半透明にしても良い。したがって、透明または半透明のキャニスターは、キャニスターの残りの容量またはキャニスターをいつ交換すべきかの決定に役立ち得る。
【0051】
真空源50と流体連通させる流体導管36の別の部分が、収集キャニスター40から延びている。真空源50は、陰圧を生成するまたは他の方法で陰圧をNPWT装置24に供給する。真空源50は、創傷「w」の治癒の刺激を助けるのに適した、貯留部28から例えば大気気体または創傷滲出物などの流体を吸引する生体適合性である蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、または他の機構を含み得る。開示される実施形態では、真空源40は、約20mmHg〜約500mmHg、特に約75mmHg〜約125mmHgの大気圧未満の圧力を貯留部28に生成するように適合されている。1つの適した蠕動ポンプは、Tyco Healthcare Group LP(Covidienの名で事業経営中)が製造するKangaroo PET Eternal Feeding Pumpである。
【0052】
ここで図2Aを参照すると、本開示の創傷包帯100は、一般に、それぞれが少なくとも2インチの長さを有する繊維の束、集合体、またはトウの形態をとり得る。繊維102は、その長さに沿って概ね交差しないように配置され得る。必ずしも平行でなくても良いが、繊維102は、絡み合いまたは織り合いが概ね存在し得ない。繊維102の分離防止に役立つ束を可能にするために少なくとも1つの集合機構104が設けられ得る。1つの集合機構104は、束を局所領域で圧迫するために束の周りに巻き付けられた、または縛り付けられた別個の繊維から形成され得る。別法では、集合機構104は、図2Bに示されているように、複数の位置でトウを固定するのを助けるために束に沿って断続的に配置しても良いし、または図2Cに示されているように、集合機構106を形成するために、別個の繊維を束の周りに螺旋状に巻き付けても良い。
【0053】
トウは、集合機構108を形成するためにセルフシール不織メッシュまたは他の多孔質シートで取り囲まれ得る。セルフシール集合機構108は、繊維102が圧迫によって束縛されるバンドの開口端部から挿入され得るように、弾性または僅かに過小サイズのバンドであり得る。別法では、集合機構108は、平坦なストリップがトウの周りに巻き付けられ得、かつ平坦なストリップが接着要素でそれ自体または繊維102に接着されることによって平坦なストリップが固定され得るように接着要素を含み得る。図2Eに示されているように、集合機構110は、トウの相当な長さに渡って取り囲むように相当な長さの不織メッシュまたは多孔質シートで形成され得る。
【0054】
図2F〜図2Iに示されているように、繊維102は、トウが繊維102の分離に耐えるのに役立つように、図示されているように配置または構成され得る。繊維102をロープのように捩って集合機構112(図2F)を形成しても良いし、または繊維102を様々なプロセスによって交絡させて集合機構114(図2G)を形成しても良い。スチームジェット、エアジェット、またはウォータージェットをトウの局所領域に向けて繊維102を交絡させて集合機構114を形成しても良い。別の交絡プロセスでは、針孔あけと同様の要領で針を使用して繊維102を交絡させる。集合機構116(図2H)は、繊維102を接着剤で単純に結合することによって、または繊維102よりも融解温度が低い結合材料を組み込むことによって形成しても良い。トウを加熱することによって、結合材料を融解して、冷却時に繊維を互いに結合しても良い。結合材料は、詳細を後述するように、コアとシースの配置などの共押し出しで1つまたは複数の個々の繊維に沿って設けても良い。図2Iに示されているように、集合機構118は、詳細を後述するように、ある程度の交絡が得られるように繊維を捲縮することによって形成しても良い。また、繊維102の配置が、図2A〜図2Iに示されている機構の2つ以上を含み得ることも企図される。
【0055】
図3A〜図3Gを参照すると、特殊な特性を有する繊維を形成するために2つ以上の別個のポリマーが共押し出しされ得る。例えば、同心のシースとコアの配置を有する繊維120が図3Aに示されている。コアポリマー122は、シースポリマー124によって取り囲まれている。上述のように、シースポリマー124は、繊維102に結合材を提供するために融解し得るようにコアポリマー122よりも低い融解温度を有し得る。シースとコアの配置の他の適用には、高強度構造のコアポリマー122、および創傷流体のウィッキングを促進するのに役立つ、または後述する任意の有用なポリマー添加剤を受け取るのに適した表面特性を有するシースポリマー124を提供することが含まれ得る。中心からずれたコアポリマー128および対応するシースポリマー130を含む偏心したシースとコアの配置を有する繊維126が図3Bに示されている。コアポリマー128およびシースポリマー130が、温度変化を受けたときに異なる収縮特性を有する場合、自己捲縮繊維126を提供するためにこの配置が使用され得る。加熱されると、繊維126が、冷却されると維持される螺旋状にカールし得るため、通常なら平坦な繊維126に捲縮またはバルクが形成される。このような自己捲縮法は、図3Cに示されているような並列配置を使用することによってさらに容易にされ得る。繊維132は、繊維126に類似しているが、コアポリマー134およびシースポリマー136のそれぞれが繊維132の外面の一部を占有している点が異なる。適切なポリマーが選択されると、並列配置の繊維132は、偏心したシースとコアの配置の繊維126よりも高レベルの潜在的捲縮を付与し得る。
【0056】
図3Dに示されているように、パイとウェッジの配置を有する繊維138は、ポリマー140および142を含む交互ウェッジを含み得る。ウェッジは、機械的撹拌時に構成要素ウェッジに分割され得る。これは、図2Gを参照して上述したように集合機構114を形成するのに役立ち得る。構成要素ウェッジは、繊維138の交絡を助けるマイクロ繊維の局所領域を生成し得る。中空中心コアを含む中空のパイとウェッジの配置を示す繊維144が図3Eに示されている。繊維144は、構成要素ポリマー146、148に分割するのにより少ない撹拌を必要とし得る。
【0057】
図3Fを参照すると、繊維150は、1つまたは複数の「アイランド」ポリマー152が可溶性「シー」ポリマー154によって取り囲まれているアイランド・イン・ザ・シー(islands−in−the−sea)配置を示す。この配置は、製造設備によって効果的に処理される極細アイランドポリマー152のストランドを提供し得る。アイランドポリマー152が適切に配置されたら、可溶性シーポリマーが溶解されて除去される。したがって、約0.04のデニール(約2μmの直径)を有する約37またはそれ以上ものアイランドポリマー152が、1本の繊維150として効果的に処理され得る。
【0058】
繊維156は、図3Gに示されているように「スリーアイランド」配置を有する。この配置は、シーポリマー160によって取り囲まれた3つのアイランドポリマー158を含む。繊維156は、アイランド・イン・ザ・シー配置を有する繊維150と同様の要領で使用され得るが、シースとコアの配置を示す上述の繊維120、126、および132と同様の要領でより一般的に使用され得る。繊維156は、潜在的に不適合のシースポリマー160から剥離されないように、全体として表面積が増大した3つのコアポリマー158を含むとして示され得る。
【0059】
図4A〜図4Fを参照すると、個々の繊維102は、創傷充填材100のウィッキング能力または別の特性を促進するために様々な断面を示し得る。図4Aに示されているように中実の丸い断面は、以下の別の変更された断面と比較すると比較的低コストであるため、殆どの合成繊維の標準であり得る。断面に空洞164を有する繊維162が図4Bに示されている。空洞164は、繊維162の全長に渡って延在し、繊維162の密度および剛性の低下をもたらし、内部に空気を閉じ込めることが可能である。このような断面は、捲縮、交絡、および/またはバルキー化(lofting)プロセスを促進し得る。
【0060】
多葉断面も、図4Cに示されているように使用され得る。3葉繊維168は、中心領域から延出した3つのアーム170を有し、これらが創傷包帯100に剛性および弾性を付与している。図4Dに示されている繊維174が示すリボン断面は、2葉配置を有するとして説明され得る。リボン断面は、曲がる方向、および図3Dおよび図3Eを参照して上述したようにマイクロ繊維に分割され得るセグメント化繊維に適した形状を提供する。このような断面は、他の断面と比較すると比較的少ない撹拌でマクロ繊維構成要素に分割され得る。
【0061】
図4Eに示されているように大幅に改変された断面の繊維178は、Fiber Innovation Technology, Inc.が商標名4DG(商標)で販売している。様々なサイズおよび構成の深い溝180が、その比較的大きい表面積で毛細管ウィッキングの促進を助けるために繊維178の長手方向軸に沿って設けられている。4DG(商標)断面を有する繊維172は、1gの繊維当たり1時間に最大2リットルの水を輸送する能力を実証した。
【0062】
図4Fに示されているような蝶ネクタイ断面を有する繊維184は、図3Bおよび図3Cを参照して上述したように自己捲縮繊維に使用するのに十分に適し得る。異なる熱特性を有するポリマーが、2つのポリマーの質量の中心同士が他の断面よりも比較的長い距離離隔するように配置され得る。このように配置された繊維184は、その加熱およびこれに続く冷却によって形成された螺旋コイルの優れた伸長回復性を示し得る。
【0063】
自己捲縮は、図3Bを参照して上述したポリマーの偏心したコアとシースの配置、または図3Cを参照して説明したような並列配置で達成され得る。自己捲縮トウを形成する別の選択肢では、異なる熱特性を有する全繊維をクリーリング(creeling)プロセスで組み合わせる。捲縮されたトウは、特定のテクスチャーまたはバルクを得るために開口性にされ得る、すなわち捲縮された繊維が分離または離隔され得る。捲縮されたトウは、エアジェットによって、またはスレッド・ロール・アセンブリ(threaded roll assembly)でトウを長手方向に伸長または弛緩させることによって開口性にされ得る。
【0064】
ここで図5を参照すると、本開示による陰圧創傷治療装置が、全体が200として示されている。装置200は、図1Bを参照して上述したように真空源50と流体連通した貯留部28を画定している創傷包帯アセンブリ202を含む。創傷包帯アセンブリ202は、シース214によって実質的に取り囲まれたコア212を含む細長い創傷パッキング構造体210を含む。コア212は、創傷滲出物を受け取り、かつ/または輸送するように適合された包帯または充填材から形成され得、かつ図1Aを参照して上述した、創傷包帯剤100に使用するための任意の材料または構造体を含み得る。シース214は、創傷「w」と接触した状態で配置するように適合された接触材214から形成され得、かつ図1Aを参照して上述した、接触層18に使用するための任意の材料または構造体を含み得る。シース214は、充填材のコア212に対する創傷流体の流入および流出を可能にするために透過性である。パッキング構造体210は、創傷「w」を実質的に満たすために湾曲した経路に従い、かつ創傷「w」の特定の形状に適合するように配置された細長いチューブとして具現され得る。このような細長いチューブは、創傷包帯アセンブリ202が装着されたときに特定のサイズの創傷「w」に適合するように便利にカットできる連続長さで提供され得る。このような配置は、別個および個々のサイズにし、後の接触層18および創傷包帯100を装着する必要がないであろう。
【0065】
ここで図6A〜図6Cを参照すると、NWPT装置200(図5)で使用するためのパッキング構造体用に企図された様々な構成が示されている。図6Aに示されているように、パッキング構造体210は、長手方向に延在する長さ「L」および横方向に延在する最大幅「A」を有する細長いチューブを画定している。パッキング構造体210の楕円断面は、パッキング構造体210の長さ「L」に沿って実質的に一貫している。例えば、丸形、六角形、または他の多角形などの他の断面も適当であり得る。シース214は、コア212の周りに継ぎ目のない周囲を提供する押し出しまたは同様のプロセスによって形成され得る。
【0066】
図6Bに示されているパッキング構造体220は、接触材のシース224によって実質的に取り囲まれた充填材のコア222を含む。長手方向に離隔した複数の分離機構226が、パッキング構造体220を分割している。分離機構226は、パッキング構造体220を横断して横方向に延在する穿孔された切り離し線を含み得、この切り離し線により、臨床医が、パッキング構造体220が特定のサイズの創傷「w」を満たすのに適した長さとなるようにパッキング構造体220の一部を切断または切り離して使用し得る。分離機構226は、例えば、パッキング構造体220の幅「B」の約50%〜約300%の距離「D」、離隔され得る。
【0067】
一連のポッド228が、近接する分離機構226間に画定され得る。各ポッド228は、充填材のコア222が分離機構226を通って近接ポッド間に延在する開いた構成を有し得る。したがって、包帯材222の一部は、近接ポッド226が除去されるとパッキング構造体220の横縁に渡って露出され得る。別法では、各ポッド228は、充填材のコア222が分離機構226の近傍で中断された閉じた構成を有し得る。例えば、接触材のシース224は、この接触材のシース224がポッド228の両側の横縁に沿って延在するように、分離機構226の近傍のパッキング構造体220の内部でそれ自体に密閉され得る。閉じたポッド228のこのような配置は、ポッド228の中心領域と比較すると、分離機構226の近傍に柔軟性の向上した領域を提供し得る。柔軟性の向上した領域は、創傷「w」内の湾曲した配置にパッキング構造体220を配置するのを容易にし得る。
【0068】
ここで図6Cを参照すると、パッキング構造体230は、接触材のシース234によって実質的に取り囲まれた充填材のコア232を含む。分離機構236は、パッキング構造体230を横断して横方向に延在するスリットまたは長手方向に離隔した一連のスリットを含み得る。スリット236は、パッキング構造体230がスリット236の近傍で切断または切り離しに対して抵抗が少ないように充填材232の中まで部分的に延びても良い。接触材のシース234は、重なり238が得られるように配置され得る。重なりあ238は、長手方向の接着ボンド、超音波溶接、または同様のシールの適用を容易にしてパッキング構造体230の組み立てを容易し得る。
【0069】
ここで図7Aおよび図7Bを参照すると、パッキング構造体240は、接触材のシース244によって実質的に取り囲まれた充填材のコア242を含む。接触材のシース244は、内部に充填材242を封入するためにシース244の周囲に形成されたヒートシール246を備えた接触材の上側シート244Uおよび下側シート244Lを含む。接着ボンド、超音波溶接、または同様のシールは、別法としてまたはヒートシール246と組み合わせて組み込まれて充填材242を封入しても良い。パッキング構造体240は、一般に、丸形、皿形、またはパック形カプセルであるが、別法として、球形、円筒形、立方体、四面体、および他の多角形を含む様々な形状に形成しても良い。
【0070】
充填材242は、ポリプロピレントウの形態をとる。トウは、多数の一方向の合成繊維の本質的に捩られていない緩んだストランドとして示され得る。連続フィラメントポリプロピレン繊維を、緩く交絡されたボールを形成するように配置して、創傷滲出物を受け取ることができる充填材142を形成し得る。トウは、充填材142の吸収特性、ウィキング特性、または快適特性に影響を与えるために捲縮され、バルク化され、またはバルキー性にされ得る。充填材242のトウの様々なこのようなプロセスおよび配置は、図2A〜図4Fを参照して上述した。
【0071】
シース244は、Richmond,VAに所在のTredegar Film Products,Corp.によって製造されるような非接着性の方向性開口ポリオレフィンフィルムから形成される。これらのフィルムは、創傷「w」と接触しても安全であり、流体の充填材242内への流れを許容する。一方向の流れは、一方向に突き出たフィルム材料における円錐構造形成体の頂部に形成された開口により、このようなフィルムを通って促進される。したがって、このようなフィルムは、図7Cに示されているような雄側と、反対の雌側を有する。流体の流れは、フィルムの雌側から雄側へは促進され、この反対方向では妨げられる。シース244は、このようなフィルムの雄側が、すべての方向からパッキング構造体240の内側に面するように配置され得る。したがって、流体は、パッキング構造体240が創傷「w」内に配置される向きにかかわらず、充填材242内への流れが促進される。別法では、シース244の下側シート244Lは、雄側がパッキング構造体240の内側に面するように向けられ得る一方、シース244の上側シート244Uは、雄側がパッキング構造体240の外側に面するように向けられる。この配置は、パッキング構造体240全体を通過する一方向の流れを促進する。下側シート244Lが創傷「w」に接触するような向きでパッキング構造体240を創傷「w」内に配置することにより、創傷流体は、下側シート244Lの方向性の開口によってパッキング構造体240への流れが促進され、続いて充填材242を介して上側シート244Uまで吸上げられ、そこで方向性の開口がパッキング構造体240からの流出を促進する。次いで、創傷流体が、真空源50によって創傷包帯アセンブリ202から除去されてキャニスター40内に貯められ得る(図5)。上側シート244Uおよび下側シート244Lの向きにかかわらず、シース244は、パッキング構造体240が創傷「w」内に配置されたときに患者に痛みを与えないように、加熱密封されたときに曲げやすく柔軟であるべきである。
【0072】
ここで図8Aおよび図8Bを参照すると、パッキング構造体250は、接触材のシース254によって実質的に取り囲まれた充填材のコア252を含む。複数の環状型内側ヒートシール256が、充填材252の個々のセグメント間に概ね同心円状の配置で形成され、これによりパッキング構造体250が多数のポッドに分割されている。中心ポッド258は、パッキング構造体250の中心に延在し、かつパッキング構造体250の周囲領域に向かって漸進的に大きくなる環状型ポッド260、262によって取り囲まれている。外側ヒートシール264が、最も外側のポッド262を密閉するためにパッキング構造体250の外周の周りに形成されている。穿孔されたリング268が、ポッドに分離機構を付与するために内側ヒートシール256のそれぞれに形成されている。
【0073】
パッキング構造体250は、僅か3つの異なるポッド258、260、および262を含むとして示されているが、あらゆる所望のサイズのパッキング構造体を形成するために任意の数のポッドが、このような配置で形成され得る。ヒートシール256、264は、約1cmまたはそれ未満の幅「X」を有し得、約1インチ〜約2インチの距離「Y」、離隔され得る。使用の際、特定の創傷「w」のサイズが評価されたら、パッキング構造体250が創傷「w」に適したサイズとなるように、外側ポッド、例えば262が、穿孔リング268を用いて除去され得る。
【0074】
パッキング構造体240および250などの構造体を製造するために、図9Aに模式的(断面)に示されているように型‘m’が形成され得る。型‘‘m’’は、所望の数のポッドを形成するために適したサイズおよび間隔のくぼみ‘‘i’’をその上面に含み得る。図9Aに示されている型は、中心ポッドおよび3つの取り囲んでいる環状型ポッドを含む4つの異なるポッドを備えたパッキング構造体を形成するために使用され得る。
【0075】
シース材の平坦なシート254Lが、雄側を上に向けて型‘‘m’’の上に配置され得る(図9B)。Tredegar Film Productsによって製造されるような方向性開口フィルムは、シートの正しい向きを確認できるように各側に異なる色を設けても良いし、または印を付けても良い。次いで、シース材のシート254Lが、くぼみ‘‘i’’の中に引き込まれ得る(図9C)。シース材254Lを引き込むために、型‘‘m’’を介して気流を案内しても良いし、またはシース材254Lを任意の他の適当な手段によって所定の位置に押し込んでも良い。
【0076】
次に、充填材252が、シース材254Lの上のくぼみ‘‘i’’内に配置され得、そして図9Dに示されているようにくぼみに過剰に充填するように配置され得る。中心くぼみ‘‘i’’は、ポリプロピレントウの交絡塊に適合し得る一方、周囲のくぼみ‘‘i’’は、輪状に配置されたトウ材料の捻られたまたは紡糸ロープによって便利に充填され得る。
【0077】
シース材の別のシート254Uが、充填材252の上に配置され得、そして型‘‘m’’におけるくぼみ間の中間空間内に下方に引き込まれ得る(図9E)。シース材の上側シート254Uの雄側は、充填材に向かって、およびシース材の下側シート254Lの雄側に向かって下方に面し得る。次いで、適切なサイズのヒート・シール・リングを有する適切なヒートシーラー‘‘h’’(図9F)が、内側ヒートシール256を形成するために各中間空間の中に押し下げられ得、別のヒート・シール・リングが、同様に外側ヒートシール264を形成し得る。ヒート・シール・リングは、シース材254Uがヒート・シール・リングに付着しにくくなるようにTeflon(登録商標)または同様のコーティングを含み得る。ヒート・シール・リングは、別法では個々に適用しても良いし、またはヒートシール256、264は、充填材252を封入するために充填材252の周りの経路を移動するレーザーまたは超音波溶接機構で形成されたシールで置き換えても良い。
【0078】
充填材252が封入されたら、充填材およびシース材が、さらなる加工のために型‘‘m’’から除去され得る。例えば、この構造体は、パッキング構造体を完成させるために穿孔リング268を形成する別の装置に移され得る。別法では、型‘‘m’’またはヒートシーラー‘‘h’’は、ヒートシール256、264の形成と共に穿孔リング268を形成する穿孔機構(不図示)を含み得る。
【0079】
パッキング構造体の様々な他の実施形態は、上述のプロセスを僅かに変更して形成され得る。例えば、充填材252は、必ずしもくぼみ‘‘i’’に過剰に充填しなくても良く、型‘‘m’’の上面のレベルまでくぼみ‘‘i’’を充填しても良い。また、シース材の上層254Uは、シース材の下層とは異なる材料で置き換えても良い。例えば、シース材の下層254Lは、方向性有孔ポリオレフィンフィルムから形成され得る一方、上層は、ポリプロピレンの有孔または無孔シートから形成され得る。
【0080】
ここで図10Aを参照すると、パッキング構造体260は、接触材のシース264によって実質的に取り囲まれた充填材のコア262を含む。図7Bを参照して上記したシース244と同様に、接触材のシース264は、内部に充填材262を封入するために円周方向部にシール246が形成された接触材の上側シート264Uおよび下側シート264Lを含む。上側シート264Uおよび下側シート264Lは、方向性開口フィルムから形成され得、上記したように向けられ得る。充填材262は、充填材262が少なくとも2つの異なる材料から形成されているという点が特徴であり得る。
【0081】
充填材262は、262Tとして示されているポリプロピレントウの層および262Fとして示されているフォーム層を含む。トウ層262Tは、図7Aを参照して上記した任意の形態をとり得、フォーム層262Fは、ポリウレタン、ポリエステル、またはポリオレフィンフォームなどの弾性の連続気泡フォームから形成され得る。フォーム層262Fは、創傷から創傷流体を受け取るのに有効であり得、また、真空源50(図5を参*照)によって包帯アセンブリ202から創傷流体が除去され得るように創傷流体を容易に放出し得る。フォーム層262Fは、パッキング構造体260における潜在的に痛みを与える圧力点が管理され、創傷「w」の周辺部が内側に向かって均等に引き込まれ得るようにNWPT処置の排出サイクルの際に均一な圧力を有する。フォーム層262Fは、創傷床に対するクッションとなるように、図10Aに示されているようにシース264の下側シート264Lに近接して配置され得る。代替の構造体は、パッキング構造体270を含み、パッキング構造体270は、トウ層272Tの各側にフォーム層272Fを有する充填材272を含み得る。パッキング構造体280も、トウ層282Tの各側にフォーム層282を有する充填材282を含む。滲出物のパッキング構造体280を通る流れを促進するために、孔282Hが各フォーム層282に形成されている。
【0082】
ここで図11を参照すると、パッキング構造体290は、接触材のシース294によって実質的に取り囲まれた充填材のコア292を含む。シール296が、複数のポッド298が2次元アレイに形成されるように接触材のシース294に形成されている。ポッド298は、様々サイズであり得るが、カスタマイズ可能なパッキング構造体290を提供するために、好ましくは長さが約1.25インチ以下、幅が約1.25インチ以下である。創傷「w」の特定の寸法によっては、比較的小さい創傷「w」に合わせるために不必要なポッド298が切り離され得、またはポッド298は、比較的深い創傷「w」に合わせるためにシール296に沿って互いに折り畳まれ得る。不必要なポッド298の除去を容易にする分離機構を提供するために、穿孔(不図示)が、シール296に沿ってシース294に形成され得る。別法では、シース294は、創傷「w」内のパッキング構造体290の強度および完全性を高めるために穿孔を備えなくても良い。したがって、分離機構は、臨床医が充填材のコア292の中まで誤って切り離すことなく容易に切り離せる十分に広いシール296を形成することによって提供され得る。穿孔のないパッキング構造体290は、個々のポッド298がパッキング構造体290から意図せず分離しにくくなることを確実にし、ポッド290が創傷「w」内に意図せず留置される可能性が低下する。
【0083】
本開示の別の態様によると、図12に示されている本開示の創傷充填材マトリックス300は、滲出物を輸送、移送、および/または吸収するのに適した構造体を形成するために天然または人造フィラメントを含む少なくとも1つの連続繊維を含む。前述の通り、連続フィラメントは、ナイロンやレーヨンなどの合成材料の比較的長いストランドを含み、ストランドは、綿などの天然材料によくある突き出た小繊維が実質的に存在しない平滑な連続外面を提供し得る。比較的平滑な表面のため、連続フィラメントから形成されたファブリックやヤーンなどの構造体は、天然フィラメントから形成された構造体よりも治癒創傷床に付着する傾向がかなり低い。また、比較的長さが長いため、連続繊維は、包帯を交換する際に構造体から分離して創傷内に意図せず堆積される傾向がかなり低い。
【0084】
本開示の創傷充填材マトリックス300は、一般に、連続繊維の束、集合体、またはトウの形態をとり得る。図12に例示されているように、創傷充填材マトリックス300は、少なくとも1つの繊維301が配置されている長手方向軸「x」に沿った長さを画定している。繊維301は、長手方向軸「x」を横断するように配置された複数のループセグメント303に構成され得る。連結セグメント305が、長手方向軸「x」に沿って延在し、少なくともいくつか、場合によってはすべてのループセグメント303に連結されている。連結セグメント305は、長手方向軸「x」に平行または一致しても良い。連結セグメント305は、ループセグメント303を成形してマトリックス300に構造を提供するために、繊維301に対して縫い付ける、引き寄せる、結ぶ、集める、接着する(図12A)、または他の方法で貫通(図12B)させてられ得る。連結セグメント305は、繊維301の有効長さを超えて延在させて、創傷充填材マトリックス100の創傷床に対する配置および/または除去を容易にするために、臨床医によって把持され得る延長部307またはハンドルを提供し得る。連結セグメント305は、繊維のフィラメント(複数可)および/または小繊維(複数可)のマトリックス300からの放出を防止するため、創傷「w」から材料を取り出すときに創傷「w」にフィラメントが残る可能性を最小限になる。
【0085】
創傷充填マトリックス300は、様々なサイズの創傷に対応するためにどの所定の長手方向の位置でも切断され得る。この配置では、多数のサイズの創傷が、1つのマトリックス300で対応され得る。加えて、創傷充填材マトリックス300は、特定の創傷の種類、例えば、トンネル状の創傷または深い創傷などに対応するために特定の寸法にカットされ得る。連結セグメント305の部分305aが最後のループから延出するようにマトリックスを長手方向軸に沿った位置(例えば、位置「k」)で切断することが望ましいであろう。これは、縮小されたマトリックスセグメント300aの配置および/または続く除去を容易にし得る。用意された創傷充填材マトリックス300の全長および創傷の種類および/またはサイズによって、創傷充填材マトリックス300は、長手方向軸「x」に沿ったいくつかの位置で切断され得る。
【0086】
創傷充填材マトリックス300の繊維301は、モノフィラメントまたはマルチフィラメント302から形成され得る。モノフィラメントまたは1本のストランドの材料は、マトリックス300に直接織るのに十分な太さである。マルチフィラメントは、図2A〜図2Iで既に例示されたように繊維を形成するために捩られた、結合された、または他の方法で互いに配置された2本以上のストランドの材料である。図13A〜図13Iに示された繊維301の各実施形態は、図2A〜図2Iのマルチフィラメント配置に一致し、図12に示された正弦波(sinusoidal
)構造に配置され、連結セグメント305によって取り付けられ得る。
【0087】
創傷充填材マトリックス100のフィラメント102は、多種多様な形態をとり得る。材料は、一般に、天然繊維および人造繊維を含む2つの基本的な種類に分類され得る。さらに、天然および人造繊維は、当業者の範囲内である吸収性および非吸収性の両方の品種を含む。天然繊維は、植物、動物、および/または地質学的プロセスによって形成される繊維である。例えば、天然繊維は、植物繊維を含み、植物繊維は、セルロースの配置から生成され、綿、麻、ジュート、亜麻、カラムシ、およびサイザル麻のようにリグニンによって互いに結合され得る。また、木質繊維は、樹木源に由来し、木質繊維には、砕木、熱機械パルプ(TMP)、およびリグニンを除去して木質構造から繊維を分離させる製造プロセスによって形成される漂白もしくは非漂白クラフトまたは亜硫酸(sulphite)パルプが含まれる。動物繊維は、主にタンパク質からなり、動物繊維には、例えば、クモの糸、腱、腸線や、カシミヤ、モヘア、およびアンゴラなどのウールおよび毛髪が含まれる。また、ウラスティナイト(wollastinite)、アタパルガイト、ハロイサイト、およびアスベストなどの天然繊維の鉱物源も存在する。
【0088】
人造繊維には、再生繊維および合成繊維が含まれる。再生繊維は、これらの材料を処理して繊維構造を形成することによって天然材料から製造される繊維である。例えば、再生繊維は、レーヨンおよび酢酸セルロースなどの製品を製造するために綿および木材パルプの純セルロースに由来し得る。繊維は、グラスファイバーまたは光ファイバーを形成するためのガラスまたは水晶などの鉱物源から再生しても良い。銅、金、または銀などの延性金属は、金属繊維を形成するために延伸され得、ニッケル、アルミニウム、または鉄などのより脆性の材料は、押し出しまたは堆積され得る。
【0089】
合成繊維は、石油化学製品などの合成材料から完全に形成され、通常は、天然繊維または再生繊維よりも強い。合成繊維(および再生アセテート繊維)は、熱可塑性の傾向がある、すなわち熱で柔らかくなる。したがって、これらの繊維は、ひだ、折り目、および複雑な断面などの特徴を加えるために高温で成形され得る。合成繊維は、ポリアミドナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエステル、フェノールホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)のようなポリオレフィンなどから形成され得る。
【0090】
創傷充填材マトリックス300の連結セグメント305は、上述の種類および材料を含む多種多様な形態もとり得る。連結セグメント305は、繊維101と同じまたは異なる材料から形成され得る。
【0091】
あらゆる市販の繊維または縫合糸材料が創傷マトリックス300に有利に利用され得るため、様々な供給業者が、上述のようなフィラメントを製造し得る。材料の限定的なリストには、限定されるものではないが、ポリオレフィン(例えば、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびこれらの混合物を含むポリエチレンおよびポリプロピレン、ならびにポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー、ならびにポリテトラフルオロエチレンなどのフッ化ポリオレフィンなど);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなど);アクリルポリマーおよびコポリマー;モダクリル;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニルなど);ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテルなど);ハロゲン化ポリビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンなど);ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;芳香族ポリビニル(例えば、ポリスチレンなど);ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテートなど);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマーなど);ポリアミド(例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、およびポリカプロラクタムなど);アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;アラミド、ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;およびスパンデックスからなる群から選択されるポリマーおよびポリマーブレンドが含まれる。
【0092】
様々なポリマー添加物が、創傷「w」の治癒を促進するために、個々のモノフィラメントもしくはマルチフィラメント102、上述の任意のフィラメント、またはマトリックス300に添加され得る。例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)または他の薬剤、抗菌剤、創傷治癒剤、および創傷清拭剤(wound debriding agent)などの剤が、感染の発生を低減するため、または創傷「w」の治癒を他の方法で促進するために使用され得る。このような剤には、剤が一定期間に渡ってマトリックス材料から創傷内に放出される徐放処置で使用される剤が含まれ得る。加水分解安定剤を、剤の放出を制御するため、またはトウの完全性を維持するために組み込んでも良い。また、湿潤剤を、湿潤創傷環境を向上させるために添加しても良い。
【0093】
他の添加剤も、マトリックス100の創傷からの除去を促進し得る。滑らかな表面(slicker surface)を備えるフィラメント102を提供するために、例えば、シリコーン、またはPTFEなどのフルオロポリマーが添加され得る。滑らかな表面は、トウが創傷「w」の形状に楽に適合できるようにするのに役立ち得る。相溶化剤および接着促進剤などのさらに他の添加剤が、創傷充填材マトリックス100の構成を容易にし得る。相変化物質、ナノ粒子、紫外線吸収剤および日焼け止め、汚れ防止剤、または難燃剤などのさらに他の添加剤は、創傷マトリックス300で別の有用性を見出し得る。
【0094】
互いにマルチフィラメントを組み合わせて繊維を形成するための様々な種類の製造プロセスが存在する。かなりの長さの巻き付けられたフィラメントの連続的な供給を可能にするのを助けるために、組み合わせられてスプールに巻き付けられる各フィラメントを供給することが便利であろう。スプールは、通常は、一般にクリールと呼ばれるアレイに取り付けられる。クリールは、スプールがスピンドルを中心に回転して長いフィラメントを送り出せるように、内部空洞を備えたスプールを受け取る、ベースフレームから垂直方向に突き出た複数のスピンドルを含み得る。このような製造プロセスは、フィラメントを組み合わせて特定の特性を有するトウを形成する機会を提供する。1つまたは複数のスプールに、クリール上の他のスプールとは異なる特性を有するフィラメントが単純に巻き付けられ得る。
【0095】
例えば、フィラメント当たり3、11、または18デニールなどのフィラメント当たりのデニールが異なるフィラメントが組み合わせられて、特定の合計デニール、例えば、約1000〜約10,000の繊維が形成され得る。フィラメント当たりのデニールは、取り付けまたは取り外しの圧力がかかったときのマトリックス100の流体流動特性および弾性を制御するために便利に調整され得る。また、比較的低い融解温度を有するフィラメントの正確な数が、このようなフィラメントが融解したときに示し得る接着特性を正確に制御するためにクリーリング(creeling)プロセスに含められ得る。高いテナシティのPETを有するポリプロピレンなどの異なるポリマーの混合も、トウの強度およびウィッキング能力などのトウの特性を制御するために企図される。上述の添加剤または治癒剤でコーティングされた1本のフィラメントまたは任意の数のフィラメントが、創傷「w」の治癒を促進するために繊維に組み込まれ得る。任意の量の上述の任意のフィラメントの任意の数の組合せがまとめられて、望ましい正確な特性を有するトウを形成し得る。
【0096】
また、異なる要領で配置された他の材料または同様の材料が、クリーリングプロセスで繊維内に挿入され得る。例えば、多孔質膜チューブが、マルチフィラメント繊維の中に挿入されまたはその表面に配置されて、結合機能が付与され得る。また、捻られたフィラメント、捲縮パターンが異なるフィラメント、または間隔が異なる捲縮パターンが組み合わされて、マトリックス300として使用するための繊維を形成され得る。
【0097】
様々な捲縮加工法およびバルキング法が、トウが創傷流体を受け取りかつ輸送し得るようにトウの繊維の各領域への分離を可能にするために企図される。エアジェットもしくはスチームジェット捲縮加工プロセス、または上述の任意の捲縮加工プロセスが、繊維をS型またはZ型に捲縮するために使用され得る。これらのS型またはZ型捲縮は、捲縮された繊維が、文字「S」または文字「Z」に類似したジグザグパターンを形成するような捲縮の方向を指す。
【0098】
自己捲縮は、図3Bを参照して上述したポリマーの偏心したコアとシースの配置または図3Cを参照して上述したような並列配置で達成され得る。自己捲縮繊維を形成するための別の選択肢では、熱特性が異なる全フィラメントをクリーリングプロセスで組み合わせる。捲縮された繊維は、特定のテクスチャーまたはバルクを得るために開口性にされ得る、すなわち捲縮された繊維のループセグメントが分離または離隔され得る。捲縮された繊維のループセグメントは、エアジェットによって、またはスレッド・ロール・アセンブリで繊維を長手方向に伸長または弛緩させることによって開口性にされ得る。
【0099】
本開示の実施形態は、フィラメント当たりのデニールが約6〜約10、例えば、約8である丸い断面のポリプロピレンフィラメントから主に形成されたマルチフィラメント繊維トウを含む。この繊維は、S型またはZ型捲縮に捲縮され得、ループセグメントは、エアジェットによって、または伸長および弛緩によってバルキー性または開口性にされ得る。この繊維は、約300デニールのヤーンを示すように十分な数の個々のフィラメントを含むマルチフィラメントヤーンからクリール(creel)され得る。約300デニールのヤーンの約100のスプールが、約30,000の合計トウデニールを形成するためにクリールされ得る。約30のスプールのヤーンが、PHMBなどの抗菌剤で処理され得る一方、残りの約270のスプールのヤーンは未処理とし得る。この繊維は、トウから突き出た緩んだフィラメントの影響を最小限にするために、スパンポリプロピレン不織ウェブ内に封入され得る。代替案は、封入ではなくエアジェット交絡された同様の繊維、および実質的にすべてのヤーンまたはフィラメントがPHMBで処置された繊維を含む。
【0100】
したがって、このようなトウの創傷「w」からの一体的な除去が保証され得、通常なら創傷「w」内に残っている包帯材料に気付かないであろう。
【0101】
前述の開示は、明確にするためまたは理解のために、例示および例によって一部を詳細に説明したが、一定の変形および変更が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることは明らかであろう。例えば、創傷充填材マトリックス300が、創傷包帯10の他の構成要素と別に使用され得る、またはカバー層22および/または接触層18と組み合わせて使用され得ることも想定される。創傷充填材マトリックス300は、陰圧治療を用いない創傷帯具として、例えば、従来の適用における創傷カバーとして使用され得る。他の使用法も想定される。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷を処置するための方法であって、
(a)それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を用意するステップと、
(b)前記創傷包帯を、処置すべき前記創傷の壁を離隔して維持するのに十分な量で、前記創傷内に組み込み、これにより前記創傷のその内側から外側への治癒を可能にするステップと、
(c)前記創傷からの滲出物を除去するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記繊維が、交絡、混合、ヤーンでの巻き付け、熱結合、超音波処置、高周波(RF)結合、接着、結束、またはこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの技術によって集合させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維が、前記創傷滲出物に対して吸収性または非吸収性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維が、その体積を増加させるために処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維が、そのウィッキング能力を向上させるために処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維が捲縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維がバルキー性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維が、前記創傷の治癒を促進する剤と組み合わせられる、または前記剤で処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記剤が、抗菌剤、薬剤、創傷清拭剤、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記剤が、抗菌金属イオン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩、トリクロサン、ポリモキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオルシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バノクマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジディック酸、シュウ酸、エノキサシン酸、シプロフロキサシン、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、PHMB誘導体、生分解性ビグアナイド、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PEHMB)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジナトリウムEDTA、テトラナトリウムEDTA、およびこれらの組合せからなる群から選択される抗菌剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記剤が、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PEHMB)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイドの誘導体、クロルヘキシジン塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される抗菌剤である、請求項9に記載方法。
【請求項12】
各繊維が、少なくとも4インチの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維が、繊維当たり約3〜約25のデニールを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記処置すべき創傷内に組み込まれる前記創傷包帯の量が、前記創傷の容積に対して約25%から、前記創傷の前記容積を超える量までである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記処置すべき創傷内に組み込まれる前記創傷包帯の量が、前記創傷の容積に対して約50%〜約100%である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記創傷内に組み込まれる前記創傷包帯の量が、前記創傷の容積に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記処置すべき創傷内に組み込まれる前記創傷包帯が、前記創傷の壁に対して圧力を加える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記滲出物が、真空によって前記創傷から除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記繊維が、前記創傷滲出物に対して非吸収性であり、前記創傷滲出物が、真空法によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記真空法が、陰圧創傷治療である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記繊維が、前記創傷滲出物に対して吸収性であり、前記創傷滲出物が、前記創傷から吸収された創傷滲出物を含む前記創傷包帯を除去することによって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
各繊維が、少なくとも約6インチの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
各繊維が、少なくとも約8インチの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
滲出創傷の治癒を促進するための装置であって、
前記創傷の周りに実質的に流体を密封するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を前記創傷の上に画定する創傷カバーと、
前記貯留部に流体連通した真空源であって、前記創傷の治癒を刺激するために前記貯留部に適切な陰圧を加えるのに適している、真空源と、
前記創傷と前記創傷カバーとの間に配置されるパッキング構造体であって、接触材のシースによって実質的に取り囲まれた充填材のコアを備え、前記充填材が、創傷流体を受け取るように適合され、前記接触材が、前記創傷に直接接触して配置するように適合され、そして創傷流体の通過を可能にするために透過性である、パッキング構造体と、を含む、装置。
【請求項25】
前記パッキング構造体が、細長いチューブを画定する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記パッキング構造体が、前記パッキング構造体を分割するように適合された長手方向に離隔した複数の分離機構をさらに含み、近接する分離機構が、それらの間にポッドを画定する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ポッドのそれぞれが、前記接触材のシースが前記ポッドの相反する横縁に沿って延在するように密閉される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記分離機構が、前記パッキング構造体を横断して横方向に延在する穿孔された切り離し線を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
近接する分離機構が、前記パッキング機構の幅の約50%〜約300%の距離離隔している、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
接触材が、方向性開口フィルムを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記シースが、前記方向性開口フィルムの上側シートと下側シートとの間に前記充填材を封入するために周囲にシールを有する前記上側シートおよび前記下側シートを備え、前記上側シートおよび前記下側シートのそれぞれは、前記方向性開口フィルムの雄側が前記パッキング構造体への滲出物の流れを促進するように前記パッキング構造体の内側に向けられている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記パッキング構造体が、接触材の上側シートと下側シートとの間に前記充填材を封入するために周囲にシールを有する前記上側シートおよび前記下側シートを備え、前記上側シートおよび前記下側シートの一方は、前記方向性開口フィルムの雄側が前記パッキング構造体の内側に向けられ、前記上側シートおよび前記下側シートの他方は、前記方向性開口フィルムの雄側が前記パッキング構造体の外側に向けられている、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記充填材が、前記創傷流体を移送するように適合されたポリプロピレントウを含む、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記パッキング構造体が、接触材の上側シートと下側シートとの間に前記充填材を封入するために周囲にシールを有する前記上側シートおよび前記下側シートを備える、請求項24に記載の装置。
【請求項35】
前記パッキング構造体が、その円周方向部に向かっていく少なくとも1つの環状型ポッドによって取り囲まれた中心ポッドを画定するために少なくとも1つの内側シールをさらに備えており、前記少なくとも1つの内側シールに分離機構が設けられている、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの内側シールが、前記パッキング構造体の前記円周方向部に向かって漸進的に大きくなる複数の環状型ポッドを画定する概ね同心円状の複数のシールを備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記充填材が、接触材の前記上側シートおよび前記下側シートの1つに近接したフォーム層、および前記フォーム層に近接したトウ層を備える、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
フォーム層が、前記トウ層の各側に配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
創傷流体の前記パッキング構造体を通る流れを促進するために前記フォーム層に孔が形成されている、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
創傷に使用するための創傷包帯であって、
創傷流体を受け取るように適合された充填材のコアと、
前記コアを実質的に取り囲んでいる接触材のシースであって、前記接触材が、前記創傷に直接接触して配置されるように適合され、前記シースが、前記創傷流体の前記コアへの通路を可能にするために透過性である、接触材のシースと、
前記創傷包帯を分割するように適合された長手方向に離隔した複数の分離機構であって、近接する分離機構が、それらの間にポッドを画定している、複数の分離機構と、を含む、創傷包帯。
【請求項41】
複数のポッドが、2次元アレイを画定するために配置されている、請求項40に記載の創傷包帯。
【請求項42】
前記充填材が、ポリプロピレントウを備え、前記接触材のシースが、方向性開口フィルムを備える、請求項40に記載の創傷包帯。
【請求項43】
創傷に使用するための創傷包帯であって、
ポリプロピレントウを含む充填材のコアと、
前記コアを実質的に取り囲んでいる接触材のシースであって、方向性開口フィルムを含む、接触材のシースと、
前記接触材のシース内に前記コアを封入する、前記接触材のシースの周囲のシールと、を含む、創傷包帯。
【請求項44】
陰圧創傷治療装置であって、
創傷の周りに実質的に流体を密閉するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を前記創傷の上に画定する創傷包帯と、
前記貯留部に流体連通した真空源であって、前記創傷の治癒を刺激するのを助けるために前記貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した、真空源と、
前記創傷包帯内に配置された創傷充填材マトリックスであって、長手方向軸に沿った長さを画定し、かつ前記長手方向軸を横断する複数のループセグメントに構成された少なくとも1つの連続繊維を含み、前記長手方向軸に沿って延在し、かつ少なくとも一部の前記ループセグメントに連結された連結セグメントを備える、創傷充填材マトリックスと、を含む、陰圧創傷治療装置。
【請求項45】
前記連結セグメントが、各ループセグメントに連結されている、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記連結セグメントが、前記創傷充填材マトリックスのセグメントを提供するために切断されるように適合されている、請求項44に記載の装置。
【請求項47】
前記連結セグメントが、前記少なくとも1つの連続繊維を長手方向に越えて延在するハンドルセグメントを画定する寸法である、請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記連結セグメントおよび前記少なくとも1つの連続繊維が異なる材料を含む、請求項44に記載の装置。
【請求項49】
前記少なくとも1つの連続繊維がマルチフィラメントを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項50】
前記創傷充填材マトリックスの前記少なくとも1つの連続繊維が非吸収性である、請求項44に記載の装置。
【請求項51】
前記マトリックスの前記少なくとも1つの連続繊維が添加剤を含む、請求項44に記載の装置。
【請求項52】
創傷包帯装置であって、
創傷の上に微生物障壁を提供するために前記創傷を覆うように適合されたカバー層と、
創傷流体を受け取りかつ保持するための吸収マトリックスであって、連結セグメントを連続繊維に通して前記連続繊維を複数のループセグメントに集合させることによって構成されたトウに配置された前記連続繊維を含む、吸収マトリックスと、を含む、創傷包帯装置。
【請求項1】
創傷を処置するための方法であって、
(a)それぞれが少なくとも2インチの長さを有する複数の繊維を含む創傷包帯を用意するステップと、
(b)前記創傷包帯を、処置すべき前記創傷の壁を離隔して維持するのに十分な量で、前記創傷内に組み込み、これにより前記創傷のその内側から外側への治癒を可能にするステップと、
(c)前記創傷からの滲出物を除去するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記繊維が、交絡、混合、ヤーンでの巻き付け、熱結合、超音波処置、高周波(RF)結合、接着、結束、またはこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの技術によって集合させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維が、前記創傷滲出物に対して吸収性または非吸収性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維が、その体積を増加させるために処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維が、そのウィッキング能力を向上させるために処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維が捲縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維がバルキー性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維が、前記創傷の治癒を促進する剤と組み合わせられる、または前記剤で処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記剤が、抗菌剤、薬剤、創傷清拭剤、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記剤が、抗菌金属イオン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩、トリクロサン、ポリモキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオルシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バノクマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジディック酸、シュウ酸、エノキサシン酸、シプロフロキサシン、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、PHMB誘導体、生分解性ビグアナイド、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PEHMB)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジナトリウムEDTA、テトラナトリウムEDTA、およびこれらの組合せからなる群から選択される抗菌剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記剤が、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PEHMB)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイドの誘導体、クロルヘキシジン塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される抗菌剤である、請求項9に記載方法。
【請求項12】
各繊維が、少なくとも4インチの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維が、繊維当たり約3〜約25のデニールを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記処置すべき創傷内に組み込まれる前記創傷包帯の量が、前記創傷の容積に対して約25%から、前記創傷の前記容積を超える量までである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記処置すべき創傷内に組み込まれる前記創傷包帯の量が、前記創傷の容積に対して約50%〜約100%である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記創傷内に組み込まれる前記創傷包帯の量が、前記創傷の容積に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記処置すべき創傷内に組み込まれる前記創傷包帯が、前記創傷の壁に対して圧力を加える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記滲出物が、真空によって前記創傷から除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記繊維が、前記創傷滲出物に対して非吸収性であり、前記創傷滲出物が、真空法によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記真空法が、陰圧創傷治療である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記繊維が、前記創傷滲出物に対して吸収性であり、前記創傷滲出物が、前記創傷から吸収された創傷滲出物を含む前記創傷包帯を除去することによって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
各繊維が、少なくとも約6インチの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
各繊維が、少なくとも約8インチの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
滲出創傷の治癒を促進するための装置であって、
前記創傷の周りに実質的に流体を密封するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を前記創傷の上に画定する創傷カバーと、
前記貯留部に流体連通した真空源であって、前記創傷の治癒を刺激するために前記貯留部に適切な陰圧を加えるのに適している、真空源と、
前記創傷と前記創傷カバーとの間に配置されるパッキング構造体であって、接触材のシースによって実質的に取り囲まれた充填材のコアを備え、前記充填材が、創傷流体を受け取るように適合され、前記接触材が、前記創傷に直接接触して配置するように適合され、そして創傷流体の通過を可能にするために透過性である、パッキング構造体と、を含む、装置。
【請求項25】
前記パッキング構造体が、細長いチューブを画定する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記パッキング構造体が、前記パッキング構造体を分割するように適合された長手方向に離隔した複数の分離機構をさらに含み、近接する分離機構が、それらの間にポッドを画定する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ポッドのそれぞれが、前記接触材のシースが前記ポッドの相反する横縁に沿って延在するように密閉される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記分離機構が、前記パッキング構造体を横断して横方向に延在する穿孔された切り離し線を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
近接する分離機構が、前記パッキング機構の幅の約50%〜約300%の距離離隔している、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
接触材が、方向性開口フィルムを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記シースが、前記方向性開口フィルムの上側シートと下側シートとの間に前記充填材を封入するために周囲にシールを有する前記上側シートおよび前記下側シートを備え、前記上側シートおよび前記下側シートのそれぞれは、前記方向性開口フィルムの雄側が前記パッキング構造体への滲出物の流れを促進するように前記パッキング構造体の内側に向けられている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記パッキング構造体が、接触材の上側シートと下側シートとの間に前記充填材を封入するために周囲にシールを有する前記上側シートおよび前記下側シートを備え、前記上側シートおよび前記下側シートの一方は、前記方向性開口フィルムの雄側が前記パッキング構造体の内側に向けられ、前記上側シートおよび前記下側シートの他方は、前記方向性開口フィルムの雄側が前記パッキング構造体の外側に向けられている、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記充填材が、前記創傷流体を移送するように適合されたポリプロピレントウを含む、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記パッキング構造体が、接触材の上側シートと下側シートとの間に前記充填材を封入するために周囲にシールを有する前記上側シートおよび前記下側シートを備える、請求項24に記載の装置。
【請求項35】
前記パッキング構造体が、その円周方向部に向かっていく少なくとも1つの環状型ポッドによって取り囲まれた中心ポッドを画定するために少なくとも1つの内側シールをさらに備えており、前記少なくとも1つの内側シールに分離機構が設けられている、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの内側シールが、前記パッキング構造体の前記円周方向部に向かって漸進的に大きくなる複数の環状型ポッドを画定する概ね同心円状の複数のシールを備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記充填材が、接触材の前記上側シートおよび前記下側シートの1つに近接したフォーム層、および前記フォーム層に近接したトウ層を備える、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
フォーム層が、前記トウ層の各側に配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
創傷流体の前記パッキング構造体を通る流れを促進するために前記フォーム層に孔が形成されている、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
創傷に使用するための創傷包帯であって、
創傷流体を受け取るように適合された充填材のコアと、
前記コアを実質的に取り囲んでいる接触材のシースであって、前記接触材が、前記創傷に直接接触して配置されるように適合され、前記シースが、前記創傷流体の前記コアへの通路を可能にするために透過性である、接触材のシースと、
前記創傷包帯を分割するように適合された長手方向に離隔した複数の分離機構であって、近接する分離機構が、それらの間にポッドを画定している、複数の分離機構と、を含む、創傷包帯。
【請求項41】
複数のポッドが、2次元アレイを画定するために配置されている、請求項40に記載の創傷包帯。
【請求項42】
前記充填材が、ポリプロピレントウを備え、前記接触材のシースが、方向性開口フィルムを備える、請求項40に記載の創傷包帯。
【請求項43】
創傷に使用するための創傷包帯であって、
ポリプロピレントウを含む充填材のコアと、
前記コアを実質的に取り囲んでいる接触材のシースであって、方向性開口フィルムを含む、接触材のシースと、
前記接触材のシース内に前記コアを封入する、前記接触材のシースの周囲のシールと、を含む、創傷包帯。
【請求項44】
陰圧創傷治療装置であって、
創傷の周りに実質的に流体を密閉するシールを形成することによって陰圧が維持され得る貯留部を前記創傷の上に画定する創傷包帯と、
前記貯留部に流体連通した真空源であって、前記創傷の治癒を刺激するのを助けるために前記貯留部に適切な陰圧を加えるのに適した、真空源と、
前記創傷包帯内に配置された創傷充填材マトリックスであって、長手方向軸に沿った長さを画定し、かつ前記長手方向軸を横断する複数のループセグメントに構成された少なくとも1つの連続繊維を含み、前記長手方向軸に沿って延在し、かつ少なくとも一部の前記ループセグメントに連結された連結セグメントを備える、創傷充填材マトリックスと、を含む、陰圧創傷治療装置。
【請求項45】
前記連結セグメントが、各ループセグメントに連結されている、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記連結セグメントが、前記創傷充填材マトリックスのセグメントを提供するために切断されるように適合されている、請求項44に記載の装置。
【請求項47】
前記連結セグメントが、前記少なくとも1つの連続繊維を長手方向に越えて延在するハンドルセグメントを画定する寸法である、請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記連結セグメントおよび前記少なくとも1つの連続繊維が異なる材料を含む、請求項44に記載の装置。
【請求項49】
前記少なくとも1つの連続繊維がマルチフィラメントを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項50】
前記創傷充填材マトリックスの前記少なくとも1つの連続繊維が非吸収性である、請求項44に記載の装置。
【請求項51】
前記マトリックスの前記少なくとも1つの連続繊維が添加剤を含む、請求項44に記載の装置。
【請求項52】
創傷包帯装置であって、
創傷の上に微生物障壁を提供するために前記創傷を覆うように適合されたカバー層と、
創傷流体を受け取りかつ保持するための吸収マトリックスであって、連結セグメントを連続繊維に通して前記連続繊維を複数のループセグメントに集合させることによって構成されたトウに配置された前記連続繊維を含む、吸収マトリックスと、を含む、創傷包帯装置。
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A−12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図7C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A−12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図7C】
【公表番号】特表2011−530344(P2011−530344A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522259(P2011−522259)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/053081
【国際公開番号】WO2010/017437
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/053081
【国際公開番号】WO2010/017437
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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