説明

連続するセクションでのパラメータ依存補正値近似線を決定するための方法およびセンサ装置

補正値近似線の連続するセクションでの決定のための方法の実施形態は、第1のパラメータ値が所定の条件を満たすか、トリガー条件が満たされているとき、センサ装置に関する第1のパラメータ値を有する第1の測定信号値を決定するステップと、第1のパラメータ値を変えて第2のパラメータ値を取得するステップと、第2のパラメータ値を有する第2の信号値を決定するステップと、第2の部分的セクション、第1のパラメータ値、第2のパラメータ値、第1の信号測定値、第2の測定信号値および最初の補正値を示す機能的関連に基づく第2のパラメータ範囲のための補正値近似線の第2の部分的セクションを決定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、多くの技術分野で用いられるような、センサ装置の補正値近似線を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのセンサまたはセンサ装置において、それを使用して検出される測定値の破損は、製造、周囲の状況、動作などによる影響または他の影響のために起こる。センサ、センサ・タイプまたは影響に応じて、それぞれの破損は、もたらされた測定値に異なる影響を及ぼす。単純なオフセット、すなわち一定のまたはパラメータ依存値によるそれぞれの測定値のシフトとは別に、より複雑な破損が起こることもある。例えば、センサに作用する測定量とセンサによって検出されるそれぞれの測定値との間の比率には、パラメータ依存性が示される。また、センサに作用する測定量とセンサによって検出される測定値との間には、パラメータ依存性の非直線的な特性曲線が生じることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これとは別に、改良された補正値近似線を実施することにより測定精度を改良し、それと同時に、センサ製造を容易にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
根本的な課題は、例えば、請求項1または12のうちの1つの方法、請求項13のセンサ装置、請求項21のホール・センサ装置または請求項22のプログラムによる本発明の実施形態によって解決される。
【0005】
本発明の実施形態は、測定精度の改善が改良された補正値近似線を考慮することによって成し遂げられることができるという知見に基づくものであり、このような改良された補正値近似線は、1つの最初の補正値および第1のパラメータ係数に基づいて規定することができる。本発明の実施形態において、これは、連続するセクションで補正値近似線を決定することによって達成され、第1のパラメータ範囲における補正値近似線の第1のサブセクションは、所定の最初の補正値および最初のパラメータ値に関連する第1のパラメータ係数によって予め設定される。
【0006】
センサ装置に関連する第1のパラメータ値の所定の条件または他のトリガー条件が満たされている場合、まずセンサ装置の測定値に対応する、そして、同時に、センサ装置のセンサ素子の第1の測定信号に対応する第1の測定信号値が決定される。センサ装置に関連する第1のパラメータ値を変えることにより、センサ装置に関連する第2のパラメータ値が得られ、第2の測定信号値をこの第2のパラメータ値によって決定することができる。これは、第2のサブセクション、第1のパラメータ値、第2のパラメータ値、第1の測定信号値、第2の測定信号値および最初の補正値を示す機能的関連に基づく第2のパラメータ範囲に対する補正値近似線の第2のサブセクションを規定することを可能にする。本発明の実施形態において、第1のパラメータ値は、補正値近似線の第2のサブセクションの基礎をなす第2のパラメータ範囲にある。
【0007】
測定値または測定信号値とは対照的に、補正値は、特定の状況下において測定技術に使用できるだけである。通常、センサまたはセンサ装置がその測定信号または測定値の変化によって反応する影響の下にセンサまたはセンサ装置がすでにさらされている場合、一般的に、このような補正値はもはや利用できない。これは、多くの場合において、アセンブリまたは他の技術的装置において使用されるセンサに当てはまる。さらに、センサ、センサのタイプおよびセンサの感度にもよるが、このようなセンサを用いても、特別に遮蔽されるか特別に安定化されたスペースの外側で補正値が得られないという結果になる。対応する補正値を決定するために、センサが検知できる影響に関して遮蔽されたスペースまたは特別に安定化されたスペースにおいてセンサを評価することは、多くの場合において避けることができない。例えば、地球の磁界による測定値の破損または変化がすでに予期できるために、センサの感度にもよるが、例えばオフセット値のように、そのような補正値を決定することが磁気的に十分に遮蔽されたスペースにおいてのみ実施できる磁界センサがここに示されている。もちろん、完全な補正値を測定するときに、これらが対応して遮蔽されるか安定化されたスペースにおいて実行されないとき、対応する破損は起こる。
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して次に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】パラメータ依存補正値近似線を決定する方法の実施形態を示すフロー図である。
【図1b】パラメータ依存補正値近似線を決定する方法を用いて決定されるパラメータ依存補正値近似線の例である。
【図2】センサ装置の実施形態を示すブロック図である。
【図3】ホール・センサ装置の実施形態を示すブロック図である。
【図4】温度依存補正値線および補正値近似線の間の比較を示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
測定値の形で対応する測定量への影響を決定することができる多くのセンサにおいて、センサによって得られる測定精度を望ましく改善するために補正値または補正値近似を考慮させる効果によって、測定値はしばしば損なわれる。センサに作用する測定量と比較して測定値の破損という結果となる異なる効果は、基礎をなす測定量に対して測定値の異なる破損という結果となる。おそらくパラメータに依存する単純なオフセット、すなわち、測定量に対して測定値のシフトとは別に、より複雑な破損が発生するかもしれない。測定量の変化に対して測定値の勾配のパラメータ依存または測定値依存の変化とは別に、例えば非線形のような複雑な破損が発生するかもしれない。
【0010】
このような破損を是正するために、対応するセンサを用いて測定するときに、対応する補正値または補正値近似を考慮に入れることは多くの場合望ましい。補正値または補正値近似は、センサ装置とも呼ばれるセンサの測定値の付加的な、乗法的な、またはより複雑な補正として実現される。
【0011】
ホール・センサの温度依存スピニング電流オフセットを把握するために、例えば、センサ装置の測定信号に対するパラメータ依存補正値近似線を連続するセクションで決定するための以下の手順が用いられる。しかしながら、次の説明により、オフセット、測定誤差または誤り信号を有するすべてのセンサ装置に発明の手順を適用することができることが明らかとなり、温度変化とは別に、圧力変化およびいかなる変化した周囲の影響も、測定値に影響または干渉するセンサ・パラメータとして考えられる。
【0012】
本発明の実施形態および機能モードが詳述される前に、表現を単純化するために、類似の機能または等しい機能を有する素子、回路およびその他の物は,同じまたは類似の参照符号で示されることを指摘しておく。さらに、別途明示的に示されない限り、類似の機能または同じ機能を有する素子、物および回路に関する記載に対応するセクションが相互に交換可能であることを指摘しておく。さらに、表現を単純化するために、参照が個々の素子または物になされない限り、参照符号を集約することは実施形態において数回起こっている解析の過程において使用される。これも、説明の簡略化およびより明白な構築に貢献する。
【0013】
図1a、1bおよび2〜4を参照すると、パラメータ依存補正値近似線を連続するセクションで決定する方法の実施形態が記載され、図1aはこの方法の実施形態のフロー図を示し、図1bは対応するパラメータ依存補正値近似線の実施形態を示し、図2は対応するセンサまたは対応するセンサ装置をブロック図として示すものである。しかしながら、まず、発明の方法の実施例は、図1aおよび1bを参照して検討される。
【0014】
図1aにフロー図として示されるパラメータ依存補正値近似線を連続するセクションで決定する方法の実施形態は、一般に第1のパラメータ範囲215−1にある最初のパラメータ値p0に対して最初の補正値AWおよび第1のパラメータ係数pK1が設定される、すなわち連続試験において測定され、センサに保存されるという事実に基づく。区分された補正値近似線240の第1のサブセクション240−1は、第1のパラメータ係数pK1および最初の補正値AWに基づいて与えられる。
【0015】
図1bは、パラメータpに従う実施形態に基づいて、補正値および補正値近似値の対応する図面を用いてこれを示している。このように、図1bは補正値線200を示し、それは通常、測定動作中にもはや利用できず、最初のパラメータ値p0において最初の補正値AW(絶対値)を示す。最初のパラメータ値p0は、図式的に図1bに示される状況におけるパラメータ値pに関して、p0−Δpとp0+Δpとの間のパラメータ区間に伸びる第1のパラメータ範囲215−1にある。
【0016】
図1bに示される状況において、補正値近似線240の第2のサブセクション240−2が本発明の実施形態によって規定される第2のパラメータ範囲215−2は、補正値近似線240の第1のサブセクション240−1が定められる第1のパラメータ範囲215−1に接している。
【0017】
ここで示されている本発明の例において、第1および第2のパラメータ範囲215−1,215−2は互いに接しており、その結果、パラメータ値に関する測定解像度、量子化解像度またはそれぞれのセンサに固有の別の解像限界を考慮すると、第1および第2のパラメータ範囲215−1,215−2間にパラメータ値はない。
【0018】
この方法(ステップS100)を始めると、ステップS110において、センサ装置に関連する第1のパラメータ値p1が所定の条件を満たし、または、トリガー条件が満たされ、ステップS120において、第1のパラメータ値p1における第1の測定信号値MW1が決定されることがわかる。次に、ステップS130において、センサに関連する第1のパラメータ値p1が変えられて、第2のパラメータ値p2が得られる。ステップS140において、第2の測定信号値MW2は、第2のパラメータ値p2において決定され、ステップS150において、補正値近似線240の第2のサブセクション240―2は、ステップS160における方法終了の前に、第1および第2のパラメータ値p1およびp2、第1および第2の測定信号値MW1およびMW2および最初の補正値AWを考慮して、第2のサブセクション240−2を示す機能的関連に基づいて規定される。しかしながら、ステップS110において、第1のパラメータ値が所定の条件も満たさないし、トリガー条件も満たされないとわかった場合、ステップS160に直行する。
【0019】
パラメータ値p1(第1のパラメータ値)およびp2(第2のパラメータ値)において決定される測定信号値MW1(第1の測定信号値)およびMW2(第2の測定信号値)を用いて、次の関係に基づいて、少なくともパラメータ値p1がある第2のパラメータ範囲215−2におけるパラメータ係数pK2が規定される。

図1bに示される状況において補正値近似線240の第1のサブセクションに連続的に続く補正値近似線240の第2のサブセクション240―2の記載は、パラメータ係数pK2に基づいて行われる。
【0020】
図1bに示される状況において、2つの隣接しているパラメータ範囲215−1、215−2の場合、補正値近似線240の第1および第2のサブセクション240−1,240−2は互いに連続的であり、また、測定値または測定信号に関してすでに言及される解像限界が考慮されなければならない。後述するように、連続するセクションで決定されたパラメータ依存補正値近似線240は、1つまたはそれ以上のさらなるパラメータ範囲に関して1つまたはそれ以上のさらなるサブセクションを含む。
【0021】
図2は、センサ100として実施される本発明の実施形態を示す。センサ100は、それぞれの測定値に対応する測定信号を供給するための第1のセンサ素子110を含む。ここで、第1のセンサ素子110は、それぞれの測定信号を検出するように構成される処理回路120に接続される。さらに、処理回路120は、パラメータ値に対応するパラメータ信号を供給するための第2のセンサ素子に接続される。
【0022】
さらに、処理回路120は、測定信号、そこに含まれる測定値、パラメータ信号およびそこに含まれるパラメータ値に基づいて、連続するセクションでパラメータ依存補正値近似線を決定するために前述した方法を実行するように構成されている。特別な実施形態として、さらに、センサ100は、実際の測定値検出のために使われる第1のセンサ素子110のパラメータ値を変えることができる任意の構成要素(図2に破線で示す)としてのパラメータ値変更手段140を含む。対応するパラメータを変えるかまたは実際にセンサ100(または、第1のセンサ素子110)のパラメータ値を決定することは、本発明の実施形態において、この目的のために、第1のセンサ素子110に空間的にできるだけ近く、理想的には直に隣接するように配置された第2のセンサ素子130によって実行される。もし該当するならば、パラメータ値の局所的に限られた変化を引き起こすために、これは同様に任意のパラメータ変更手段140にも適用される。
【0023】
パラメータ変更手段140の対応する実施が必要でないならば、処理回路120は、例えば、供給パワーを増加あるいは減少させるなどのように変更することにより、間接的に、第1のセンサ素子110の対応するパラメータ変化を生じさせる。
【0024】
本発明の実施形態は、センサ100の測定結果の改良が、センサ100の製造方法または較正方法を単純化すると同時に、絶対補正値を決定するための複合連続試験を最初のパラメータ値における1つの最初の補正値に制限することができることによって成し遂げられるという基本的な考えに基づくものである。補正値近似線は、少なくとも第1および第2のパラメータ範囲に関して、少なくとも第1のサブセクションおよび第2のサブセクションを有する連続したセクションで決定あるいは規定されるものであり、ここで、第1のサブセクションは所定の最初の補正値および所定の最初のパラメータ係数に基づくものである。パラメータ値に関して、例えば第1のサブセクションの第1のパラメータ範囲に続くかそれに隣接する補正値近似線の第2のパラメータ範囲およびそれぞれの第2のサブセクションのために、第2のサブセクションは、第1のパラメータ値における第1の測定信号値および第2のパラメータ値における第2の測定信号値を決定することによって規定される。ここで、第2のパラメータ値は、それぞれのパラメータ値を変えることによって、第1のパラメータ値から明らかになる。説明したように、一方では補正値と補正値近似値との間、他方では測定値と測定信号値の間にかなりの相違があるので、第2のサブセクションは所定の最初の補正値に基づいて間接的にまたは直接的に規定される。
【0025】
結果として生じる効果は、本発明の実施形態において、最初の補正値および第1のパラメータ係数を決定するための簡単な較正方法が両方とも進行中に行われることができるということであり、較正試験において決定されるこれらの2つの値だけに基づく補正値近似線と比較して、大幅に改善した測定精度が得られる。さらに、本発明の実施形態は、大きなパラメータ範囲に比べて改良された補償を可能にし、例えば、自動車分野、航海分野、航空分野および多くの他の技術的適用などにおけるセンサに関して現われる。連続するセクションでパラメータ依存補正値近似線を決定する方法およびそれぞれのセンサとして行われる本発明の実施形態を用いることにより、測定精度は、補外法を用いて利用できるだけである操作用パラメータに比べて、範囲において著しく改善される。
【0026】
別の言い方をすると、本発明の実施形態は、最初の補正値およびパラメータ係数が連続試験または対応する較正および試験測定において決定されない動作パラメータ範囲においてセンサを使用することを可能にする。本発明の実施形態の別の利点は、センサに起こるエージング効果の補償は、例えば、センサをスイッチオンにしたとき、対応するCPU(中央演算装置)の指示または他の処理装置の指示に応答して、所定時間経過後に、定期的にパラメータ依存補正値近似線を決定することによって行われるということである。このようにして確定したパラメータ係数、またはこのようにして決定された補正値近似線のサブセクションは、更なる利用のために記憶装置に保存することができる。このように、本発明の実施形態は、必要に応じて、補正値近似線またはそのサブセクションの監視および任意に補正することを定期的に実行することができる。
【0027】
図3および4に例示された本発明の実施形態において、ホール・センサまたはホール・センサ装置が例として示される場合であっても、これは本発明の一実施形態にすぎず、制限であると解釈すべきではない。図3および4に示した実施形態は、補正値近似としてのオフセット補償におけるパラメータ値として温度または温度値が用いられる磁界センサに関するものである。本発明の実施形態は、もちろんホール・センサおよびそのオフセット値の温度依存性に限られるものではなく、複数の異なるセンサおよび対応するパラメータに適用されることができる。
【0028】
例えば、ホール・センサは、ほとんど、大きなおよび強く温度に依存するオフセットを示す。このようなオフセットは、基本的にいわゆるスピニング電流方式(SC)を使用して低減することができるが、スピニング電流オフセットの温度依存性はしばしば残ることがある。スピニング電流方式は、特定のクロック周波数で、センサのホール・センサ素子でホール電圧を検出するための測定方向を継続的に周期的に(例えば、90°の角度で)回転し、360度の完全なターンのすべての測定信号を合計するというものである。
【0029】
図3は、第1のセンサ素子110としてのホール・センサ素子を含むホール・センサ100のブロック図を示す。図3に示される本発明の実施形態において、ホール・センサ素子110は、例えば、各オフセットが90°ごとである4つの端子を介してホール・センサ素子110のセンサ信号を制御し、評価するための処理回路120に接続される。本発明において、互いに接続される2つの構成要素は、(例えば、抵抗器、増幅器のような)他の構成要素を介して直接的または間接的に各々に接続される構成要素であるように構成されている。
【0030】
さらに、ホール・センサ100は、第2のセンサ素子としての温度センサ素子130を含み、図3に示した実施形態では、それは抵抗素子である。特定の実施に応じて、温度センサ素子は、例えば半導体化合物に基づくPTC(正温度係数)抵抗素子、NTC(負温度係数)抵抗素子または他のそれぞれの抵抗素子とすることができる。さらに、ホール・センサ100は、パラメータ変更手段140として、スイッチで切り替え可能な熱源としての加熱素子140を含む。このような加熱素子は、例えば、対応する電気抵抗を有する抵抗素子として実施することができる。
【0031】
オフセット温度係数TK(パラメータ係数)およびオフセットの絶対値AW(最初の補正値)が温度センサ素子130を用いた連続試験におけるチップ上で1つの温度T0(最初のパラメータ値)だけで規定されることが、本発明の実施形態の特徴である。連続試験中の異なる温度でのさらなる測定値はもはや必要とされなくて、このように保存されることができる。連続試験較正の第1の試験測定から始まって、完全な動作温度範囲にわたる較正は、センサ100の動作中に行われるだけである。
【0032】
すでに記載された以下の機能モードがここで使用される。オフセットの周知の値AWおよびTKから始まって、センサ100は、連続試験温度に近い実質的にオフセットのない動作をする。温度センサ素子130を用いて、動作温度は、処理回路120によって動作中にモニタすることができる。温度が特定の大きさΔTで変化すると、他のオフセット温度係数、すなわち第2のパラメータ係数がチップ上で規定される。このようにして、温度に関連するオフセット線は、いくつもの直線または他の機能的関連にわたって、原則としてシミュレーションされるかまたは近似される。
【0033】
図4は、センサ100のオフセット線(補正値線)と、連続するセクションでの補正値近似線としての3つの直線によってシミュレーションされるオフセット線との間の模式的な比較を示す。より明確に言うと、図4は、温度Tに基づく補正値および補正値近似値を示したものである。ここで、図4に示される線200は、通常動作中に、もはや利用できないホール・センサ100の実際のオフセット線を示す。ホール・センサ100のこの本当のオフセット線とは別に、温度T0での連続試験における絶対値AWおよび温度係数TKによって決定された第1の近似直線210が、さらに図4において示される。近似直線210は、第1の温度範囲215−1における近似補正値線240の第1のサブセクション240−1を示す。周知あるいは所定の絶対値AWおよび温度係数TKのこの出発点を基礎として、更なる温度係数TK2,TK3,・・・が、オフセット線200をシミュレーションするか近似するように、異なる温度で決定されることができる。
【0034】
温度が例えば閾値温度Tg=T0+ΔTを上回って、このように第1の温度範囲215−1を離れると、ホール・センサ100の第1の測定信号値MW1は、前述の方法で対応する温度値T1(第1のパラメータ値)で最初に決定される。次に、加熱素子140を制御することによって、温度は、第2のパラメータ値となる温度値T2での第2の(測定)信号値MW2を検出するために、例えば温度値ΔTと比較して小さい他の値だけ増加することができる。温度T1での第1の測定値MW1および温度T2での測定値MW2を用いて、補正値近似線240のサブセクション240−2としての対応する近似直線の勾配としての次式にしたがって、(T0+ΔT)より高い温度での第2の温度範囲215−2における第2の温度係数が得られる。

【0035】
このように、図4においても示されているように、補正値近似線の第2のサブセクション240−2は、例えば、温度Tg=(T0+ΔT)で連続している近似直線210および第2の近似直線220によって第2の温度係数TK2に基づいて決定することができる。温度T0−ΔTより低い温度Tでの第3の温度範囲215−3(第3のパラメータ範囲または他のパラメータ範囲)も同様に対処することによって、第3の近似直線230として図4に示される連続したセクションで決定される補正値近似線240の第3のサブセクション240−3が規定または決定されることができる。ここで、温度T0−ΔTおよびT0+ΔTの間の温度範囲は第1の温度範囲または第1のパラメータ範囲を示し、前述の第1の温度値より低い温度範囲または前述の第2の温度値より高い温度範囲は、それぞれ第2および第3の温度範囲を示し、それを用いて、ホール・センサ100のオフセットがシミュレーションされる。図4において、このオフセット・シミュレーションは、区分された補正値近似線240としての3つの直線を用いて太線で強調されている。
【0036】
さらに、図4は、温度T0+ΔTより高い、および温度T0−ΔTより低い温度範囲において成し遂げられる改良を示すオフセット・シミュレーション240に基づいて、前述の方法を用いた較正の後の残余のオフセットの線250を示す。このように、これらの2つの領域において、残余のオフセット線250は、T0−ΔTとT0+ΔTの間の第1の温度範囲内の線に比べて明らかに折れており、それはセンサ100の精度の改善を示している。
【0037】
温度係数TK、ここでは温度係数TK1のこのオンチップ較正の根拠は、スイッチで切り替え可能な熱源140である。これを用いて、ホール・センサは、動作中に加熱されることができる。温度差ΔTEMPおよび測定値差ΔMWがわかれば、温度係数を決定することができる。
【0038】
すでに言及された重要な効果は、絶対値AWだけが図4と関連して記載されている本発明の実施形態におけるフィールドフリー領域において測定されなければならないという事実である。温度係数TK、TK1、TK2は、良好な近似において、それぞれの電流測定値と無関係であるため、絶対値AWとは対照的に、印加している磁界で測定されることができる。ホール・センサ100の特定の実施および利用により、加熱素子140による温度変化の間、センサ100が一定の磁界または少なくとも平均して変化しない磁界にさらされることは望ましい。このように、例えば一定の磁界値周辺で周期的に変化している磁界の場合、このような変化する磁界の期間にわたる積分は、第1および第2の測定信号値を決定する基準を作ることができる。
【0039】
図4に示される実施形態においてすでに示したように、それぞれのサブセクションを含む2つ以上の温度範囲またはパラメータ範囲は、もちろん、補正値線をシミュレーションするために使用することができる。基本的に、より多くの温度係数TKが測定されるか決定されるほど、より正確なシミュレーションおよび潜在的に発生しているより少ない残余のオフセットが得られる。
【0040】
図3および図4に関連する本発明の実施形態は、それぞれの温度係数TKのオンチップ決定を用いたホール・センサ100における温度依存オフセットの自動較正を示している。加熱素子140を使用するのとは別に、図3に示される本発明の実施形態の場合のように、他のいかなる回路部分、すなわち第1のセンサ素子110またはホール・センサ110自体さえもスイッチで切り替え可能な熱源として用いられることができる。たとえば、ホール・センサ素子110の消費パワーが高いほど、それぞれのホール・センサにおける加熱は急速である。これに対応して、1つまたはいくつかの温度係数を急速に決定することができる。基本的に、例えばスイッチング回路部分をオフにすることによって、通常動作(正常動作モードまたは状態)の間の温度値と比較して、ホール・センサ素子の温度を低下させることができる。このような場合、温度変化のそれぞれの徴候を考慮することは、方程式(2)を使用するかまたは温度係数を決定することに関して留意しなければならない。これは、この場合、負の温度変化があることが提供されなければならないことを意味する。例えば、電気抵抗器または他のスイッチで切り替え可能な熱源のような加熱素子を使用するのとは別に、温度変化は、センサ、センサ装置、センサ素子または回路の他の部分のパワーの増減よっても発生する。もちろん、ペルチェ素子などの冷却素子をここで用いることもできる。
【0041】
前述したように、測定値を修正するかまたは連続するセクションでパラメータ依存補正値近似線を決定するときに、温度とは異なるパラメータを使用することができる。温度とは別に、環境または動作に応じた圧力、機械的な変形または他のパラメータが用いられてもよい。この例は、電圧、電流などであり、化学環境パラメータ(例えば、環境の酸素含有量)であってもよい。
【0042】
前述のパラメータの1つまたはいくつかが、センサ、センサ装置またはそれぞれのセンサ素子自体に影響を及ぼすときに、それは対応するセンサ素子120で決定されることができ、潜在的に他のパラメータにより直接的または間接的に影響されることができ、パラメータ依存補正値近似線の連続するセクションでの対応する決定は本発明の実施形態を用いて実行されることができる。センサ、センサ装置またはセンサ素子自体への圧力または他の機械的影響の場合、例えば、ピエゾ素子をパラメータ変更手段140として用いることができる。
【0043】
図4で説明したような近似直線を用いるのとは別に、他の機能的関連が、形式的に補正値近似線のパラメータ依存を記載するために使われることもできる。すでに議論したように、絶対補正値は通常利用できないが、パラメータ係数およびサブセクションから決定される他の補正値近似を用いて、数学関数または得ることができない本当の補正値線をシミュレーションする機能的関連を規定することができる。対応する公式および数学的関連が、補正値近似線のサブセクションにおいて用いられることもできる。2つのパラメータ値p1(第1のパラメータ値)およびp2(第2のパラメータ値)を用いて決定される測定信号値MW1(第1の測定信号値)およびMW2(第2の測定信号値)を用いて、少なくともパラメータ値p1があるそれぞれのパラメータ範囲215のパラメータ係数pKは、方程式(1)に基づいて規定することができる。これらのパラメータ係数pKに基づいて、補正値近似線のサブセクションは、多項関数、有理関数(2つの多項式の商)、指数関数、双曲線関数、調和関数または対応する関数の他の組合せによって記載されることができる。
【0044】
自然数NについてのN次多項式の場合、これは、より詳細に説明される。多項式は、次式に基づく。

ここで、pはパラメータ値であり、f(p)はパラメータ値pにおける多項式の値であり、akは実数値係数であり、kは0およびNの間の範囲の整数である。サブセクションを直線(N=1)として表す場合、2つのパラメータ(a0、a1)がサブセクションのそれぞれに設定されなければならない。したがって、直線の場合、2つの条件が、サブセクションのそれぞれの線に作られることになる。放物線(N=2)の場合、3つの条件を含む3つのパラメータが対応して設定される。一般的に言うと、N次多項式の場合、サブセクションの各々のために同じ数のパラメータが決定されなければならないため、(N+1)の条件がサブセクションの各々に作られる。ここで、各パラメータ範囲において、少なくとも1つの条件が、方程式(1)に従ってパラメータ係数によって実現されることができる。決定される多項式の更なる係数の数に応じて、例えば、サブセクションの基礎をなしているパラメータ範囲のそれぞれの境界の個々のサブセクションの微分可能性に関連する、および/または多項線のための絶対値としての最初の補正値に関連する個々のサブセクションの連続性に、更なる条件が作られることになる。それぞれの多項式または機能的関連の高次導関数に関する(更なる)境界条件として連続性または微分可能性を要求することも可能である。
【0045】
この説明において、連続および微分可能というのは、数学的感覚において意味するものであり、ノイズ、量子化効果または解像度を制限する他の効果に起因する対応する急変は、このように考慮されていない。違う言い方をすると、これは、連続するセクションで決定されるパラメータ依存補正値近似線において、または個々のパラメータ範囲内で、そのサブセクションがあれば連続的であり、それぞれのパラメータ範囲または各補正値近似値のためのパラメータ範囲のすべてのパラメータのために、この値周辺ですべての(数学的に定義可能な)区間に対して、それぞれのパラメータ値を含む別の(数学的に定義可能な)区間があり、その結果、この更なる区間の中のすべてのパラメータ値のために、それぞれの補正値近似値が第1の区間の中にあることを意味する。ここで、前述したように、ノイズ、解像度または量子化に関する制限は、小さい値まで、または、大きな値までそれらの量に関して制限されるそれぞれの区間という結果になる。共通点において、この説明で、ここの微分可能性は、補正値近似線の(数学的に定義可能な)導関数またはそのサブセクションの連続性を意味する。このような数学的に定義可能な導関数が実用的な方法で定められないとき、この説明で、微分可能性の用語は対応する示差曲線まで広げられ、隣接するパラメータのパラメータ値および補正値近似値に関する差が考慮される。また、ノイズ、解像度および量子化に関する前述の所見は、ここでもあてはまる。
【0046】
次数を考慮している図4に示された実施形態(多項式の次数N=1)の場合、例えば、補正値近似線の第1の部分的セクションは、次の方程式によって記載することができる。

ここにおいて、図4において例示される実施例とは対照的に、温度Tではなくパラメータpが想定されている。ここで、f1(p)はパラメータ値pを有する第1の部分的セクションの値、pk1は第1のパラメータ係数、およびp0は最初のパラメータ値であり、較正測定値および/または試験測定値の最初の補正値f0は、対応するセンサ100に対する連続検査において決定されたものである。パラメータ値pがパラメータ値に関する閾値pgを上回り、補正値近似線の第2の部分的セクションが定められるかまたは定められることになっている第2のパラメータ範囲に変わると、決定すべきパラメータのための2つの先に述べた条件に基づいて、補正値近似線に関する2つの境界条件を定めて、対応するパラメータを決定する必要がある。パラメータ境界値pgを有する2つの直接接するパラメータ範囲の場合、方程式(3)(N=1で)による一般次数式の係数は、パラメータ値p1,p2と共に測定値MW1,MW2による方程式(1)の対応する適用にしたがって傾斜および/またはパラメータ係数に基づいて決定される。直線の係数に関する第2の境界条件として、さらに、全体の補正値近似線の連続性が要求される。個々の部分的セクションの多項式記述に基づいて、この要求は、個々のパラメータ範囲の中で容易に満たされる。このように、直線の第2の係数は、補正値近似線の2つの部分的セクションの間の境界パラメータ値pgで連続要件に基づいて決定される。このように、第2の部分的セクションについて、以下のような結果が得られる。

ここにおいて、pk2は方程式(1)に従って決定される第2のパラメータ範囲のための第2のパラメータ係数であり、f2(p)は第2の部分的セクションの基礎をなす第2のパラメータ範囲におけるパラメータ値pのための第2の部分的セクションの値である。
【0047】
あるいは、もちろん、本発明の他の実施形態において、直線の係数に関する他の第2の条件を設定することができる。また、たとえば、第2の部分的セクションを示す直線が推定され、最初のパラメータ値p0を有する最初の補正値f0を通過しなければならなかったという要請もあったかもしれない。この場合、方程式(5)の代わりに、基本的に方程式(4)に対応する方程式は、f1(p)の代わりに第2の部分的セクションf2(p)の値、および第1のパラメータ係数pk1の代わりに第2のパラメータ係数pk2が使われなければなかったという結果となる。
【0048】
このように、連続するセクションで決定されたパラメータ依存補正値近似線の2つの部分的セクションだけでなく定めることが可能である。すでに図4において示されるように、基礎をなす部分的セクションを有する多くのパラメータ範囲を導入することはむしろ可能である。個々の部分的セクションの基礎をなしている使用される機能的関連に応じて、全体として補正値近似線の横断的および/または多角的説明(セクションによる)が結果として得られる。連続的なおよび微分可能な補正値近似線の使用の場合には、もし適用できるならば、対応するパラメータ範囲の境界で微分可能な「なめらかな」線が結果として得られる。このような適用は、放物線状の(多項次数N=)機能的関連を用いることによって、すでに達成される。
【0049】
本発明の実施形態の具体的な実施に応じて、それとは別に、補正値近似線の異なるパラメータ範囲および関連する部分的セクションの数を制限することは明らかである。したがって、例えばメモリ空間を保存するか、効率的実装を保証するか、較正プロセスの数を制限するために、例えば、最大認められるオペレーションパラメータ範囲および/またはパラメータ範囲を50、30、20または10パラメータ範囲より多くのものに分類しないことが望ましい。換言すれば、本発明のいくつかの実施形態において、最大認められるパラメータ範囲は、補正値近似線の個々のパラメータ範囲および関連した部分的セクションの所定数に最大限に分類されることができ、ここで、この所定数は概して2より大きい自然数である。
【0050】
本発明の実施形態において、それとは別に、エージング効果を補償する可能性がある。この目的のために、トリガー条件が満たされることができ、それはパラメータ依存補正値近似線の連続するセクションでの対応する決定の実行につながる。これによって、例えば通常の区間で、すなわち、例えば、所定の時限が経過するとき、センサをスイッチオンにするか、あらゆるn番目のスイッチをオンにするときに、連続するセクションでパラメータ依存補正値近似線の決定のための方法が実行され、ここで、nは、1以上の整数である。この時点であるパラメータ値に応じて、そして前述の方法によれば、補正値近似線の第2の部分的セクションが決定され、それはいくつかのパラメータ範囲による最大限利用できるパラメータ範囲のより細かい分類につながる。また、本発明の更なる実施形態において、もし適用できるならば、所定の第1のパラメータ係数は、メモリに記憶され、それに応じてこの値を書き換えおよび/または記憶することができるセンサ100に含まれる限り、適応されるか再調整される。このように、例えば、処理回路120は、不揮発性メモリにこれらの値を格納することができ、これらの値は、例えば、エージングの傾向があり、したがって、再調整のために利用できる。このような不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリ、EEPROMメモリ(電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ)である。しかしながら、センサ100が典型的には供給電圧から切り離されない「通常のセンサ生活」にある場合、不揮発性メモリの実装は揮発性メモリと置き換えられることもできる。第1のパラメータ係数が新しく決定される場合、もし適用できるならば、更に連続性または他の境界条件を満たすために、(必要である限り)再び更なる部分的セクションを決定することが望ましい。
【0051】
特に、図3および4に関連して、本発明の実施形態が1つのホール・センサ素子110を有するホール・センサ100の形で記載されていた場合であっても、本発明の実施形態は、もちろん1つのセンサ素子を有するセンサまたはホール・センサ100に限られるものではない。更なる実施形態において、いくつかのホール・センサ素子が、図3において例示される1つのホール・センサ素子110の代用として用いられることができる。同様に、例えば、直列、並列回路またはより複雑な回路の形で相互接続することができる。さらに、異なる(ホール)センサ・タイプが相互接続できる。
【0052】
さらに、本発明の実施形態は、ホール・センサに限られていない。すなわち、例えば、いかなる磁気抵抗センサ(xMRセンサ)、すなわち、AMRセンサ(異方性磁気抵抗)、GMRセンサ(巨大磁気抵抗)、TMRセンサ(トンネル磁気抵抗)またはEMRセンサ(異常磁気抵抗)などのような他の磁界センサを使用することができる。しかしながら、例えば、圧力センサ、加速度センサ、または機械的、電気的、輻射条件または物理的影響に反応するセンサのような他のセンサが、本発明の実施形態の範囲内で使用可能である。それに加えて、対応するセンサ100は、化学的あるいは生物学的影響および変化に反応するものでもよい。
【0053】
本発明の異なる実施形態において、補正値近似線に基づいて、第2のセンサ素子130のパラメータ信号に応じて出力信号を補正することによって、センサ100は、例えば、処理回路120の助けを借りて、第1のセンサ素子110から受け取る測定信号をセンサ100の出力信号に変えることができる。この目的のために、例えば、第1の測定素子110の測定信号に含まれる測定値は、加算および/または減算、乗算によって、またはパラメータ信号の対応するパラメータ値における補正値近似線の値による分割によって変えられてもよい。このように、例えば、オフセット補償および/またはスケーリング補償が実行される。
【0054】
本発明の実施形態は、それに加えて、集積回路(IC)として、個々の、個別の電気および電子の回路素子を用いた、または、両方の技術の組合せの慎重な実装として、実現されてもよい。それに加えて、本発明の実施形態は、アナログおよび/またはデジタル信号処理に基づいて実行されることができる。それぞれの実施に応じて、例えば、アナログ/デジタル変換器、デジタルフィルタおよびおそらくデジタル/アナログ変換器の実施が望ましい。また、本発明の異なる実施形態は、アナログ・プリアンプ、アンプ、電気フィルタおよび他のアナログ部品を含むことができる。
【0055】
それに加えて、本発明の実施形態は、より大きい集積回路において、または、個々のセンサICとしても実施されることができる。また、応用分野に応じて個々のプロセッサ回路またはプロセッサを含む、いわゆるASIC(特定用途向け集積回路)の実現も可能である。このような場合、例えば、パラメータ依存補正値線の連続するセクションでの決定のための方法の実施形態または本発明の他の実施形態は、プロセッサまたは処理回路で動くソフトウェアまたはファームウェアにおいて実施されることができる。この例は、ASICとして、または、対応するセンサ、センサ素子および/またはセンサ装置を有するICとして製造されるインテリジェントセンサである。
【0056】
このように、本発明の実施形態は、ホール・センサにおけるオフセット低減を可能にし、例えば高温要件を有する自動車(自動車分野における応用)の分野で関心をもたれている。特にホール・センサ100における上述の機能は、上で説明されるように、もちろん温度依存性あるいはパラメータ依存性のオフセットを有するいかなるセンサにも適用することができる。このように、温度依存性あるいはパラメータ依存性のオフセットの自動較正は、対応するオフセットを有するいかなるセンサにも適用することができる。
【0057】
状況に応じて、発明の方法の実施形態は、ハードウェアにおいて、または、ソフトウェアにおいて実施されることができる。実現は、発明の方法の実施形態が実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協同することができる電子的に読み込み可能な制御信号を有するデジタル記憶媒体、特にフレキシブルディスク、CDまたはDVDにおいて可能である。一般に、本発明の実施形態は、ソフトウェアプログラム製品がコンピュータまたはプロセッサで動くときに、発明の方法の実施形態を実行するための機械可読キャリアに格納されるプログラムコードを有するコンピュータ・プログラム製品および/またはソフトウェアプログラム製品および/またはプログラム製品にある。換言すれば、本発明の実施形態は、プログラムがプロセッサで動くときに、方法の実施形態を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータ・プログラムおよび/またはソフトウェアプログラムおよび/またはプログラムとして実現される。プロセッサは、ここでコンピュータ、チップカード(スマートカード)、ASIC、インテリジェントセンサまたは他の集積回路によって形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置(100)の測定信号補正のためのパラメータ依存補正値近似線(240)を連続するセクションで決定する方法であり、最初のパラメータ値(AW)に関して最初の補正値(p0)および第1のパラメータ係数(PK1)が与えられ、補正値近似線(240)は、最初の補正値(AW)および第1のパラメータ係数(PK1)に基づく第1のパラメータ範囲(215−1)のための第1の部分的セクション(240−1)を含む方法であって、
第1のパラメータ値(P1)が所定の条件を満たしているか、トリガー条件が満たされているとき、センサ装置(100)に関連する第1のパラメータ値(P1)を有する第1の測定信号値を決定するステップ、
センサ装置に関連する第1のパラメータ値(P1)を変えてセンサ装置に関連する第2のパラメータ値(P2)を得るステップ、
第2のパラメータ値(P2)を有する第2の測定信号値を決定するステップ、および
第1のパラメータ値(P1)および第2のパラメータ値(P2)、第1および第2の測定信号値および最初の補正値(AW)を考慮して第2の部分的セクションを示す機能的関連に基づいて第2のパラメータ範囲(215−2)のための補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)を決定するステップを含み、
第1のパラメータ範囲(215−1)が第2のパラメータ範囲(215−2)と隣接するように、補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)が決定され、
補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)および第2の部分的セクション(240−2)が互いに連続的に接している、方法。
【請求項2】
補正値近似線(240)の更なる部分的セクション(240−3)が更なるパラメータ範囲(215−3)のために決定され、その結果、更なるパラメータ範囲(215−3)が第1のパラメータ範囲(215−1)または第2のパラメータ範囲(215−2)に隣接する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更なるパラメータ範囲(215−3)が第1のパラメータ範囲(215−1)に隣接するように、補正値近似線(240)の更なる部分的セクション(240−3)が決定され、さらに、
更なるパラメータ範囲(215−3)の更なる第1のパラメータ値のための更なる第1の測定信号を決定するステップ、
更なる第1のパラメータ値を変えて更なる第2のパラメータ値を得るステップ、
更なる第2のパラメータ値を有する更なる第2の測定信号を決定するステップ、および
更なる第1のおよび更なる第2のパラメータ値、更なる第1のおよび更なる第2の測定値および第1の部分的セクション(240−1)を考慮して更なる部分的セクション(240−3)を示す機能的関連に基づいて更なるパラメータ範囲(215−3)のための補正値近似線(240)の更なる部分的セクション(240−3)を決定するステップを含み、
補正値近似線の更なる部分的セクション(240−3)が第1の部分的セクション(240−1)と連続的に接するように決定が実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
更なるパラメータ範囲(215−3)が第2のパラメータ範囲(215−2)と隣接するように、補正値近似線(240)の更なる部分的セクション(240−3)が決定され、さらに、
更なるパラメータ範囲(215−3)の更なる第1のパラメータ値のための更なる第1の測定信号を決定するステップ、
更なる第1のパラメータ値を変えて更なる第2のパラメータ値を得るステップ、
更なる第2のパラメータ値における更なる第2の測定信号を決定するステップ、および
更なる第1のおよび更なる第2のパラメータ値、更なる第1のおよび更なる第2の測定信号値および第2の部分的セクション(240−2)を考慮して更なる部分的セクション(240−3)を示す機能的関連に基づいて更なるパラメータ範囲(215−3)のための補正値近似線(240)の更なる部分的セクション(240−3)を決定するステップを含み、
補正値近似線(240)の更なる部分的セクション(240−3)が第2の部分的セクション(240−2)と連続的に隣接するように決定が実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
パラメータ値として、温度値または圧力値が用いられる、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
第1のパラメータ値が第1のパラメータ範囲にないときに所定の条件が満たされる、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
センサ装置(100)をスイッチオンすることにより、またはスイッチオンした後に、トリガー条件が満たされる、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)または第2の部分的セクション(240−2)は、次の機能的関連に基づいて示され、

ここで、pはパラメータ値であり、f(p)はパラメータ値pを有する補正値近似線の第1または第2のセクションの値であり、Nは多項式の次数を示す自然数であり、akはkに応じた実数定数であり、kは0とNとの間の整数である、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
N=1、2または3である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
補正値近似線の第1のセクションは、次の機能的関連に基づいて示され、

補正値近似線の第2のセクションは、次の機能的関連に基づいて示され、

ここで、pはパラメータ値であり、f1(P)はパラメータ値pを有する補正値近似線の第1のセクションの値であり、f2(p)はパラメータ値pを有する補正値近似線の第2のセクションの値であり、pk1は第1のパラメータ係数であり、f0は最初の補正値であり、pk2は第1のパラメータ値、第2のパラメータ値、第1の測定信号値および第2の測定信号値に基づく第2のパラメータ係数であり、pgは閾値パラメータ値であって、補正値近似線の第1のセクションの基礎をなすパラメータ範囲は、補正値近似線の第2のセクションの基礎をなす補正値近似線の第2のセクションの基礎をなす補正値近似線の第2のセクションに隣接している、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第1のパラメータ値を変えるステップは、加熱素子(140)を制御するステップと、冷却素子(140)を制御するステップと、圧力素子(140)を制御するステップと、センサ装置、センサ装置(100)のセンサ素子(110)またはセンサ装置(100)の一部の供給パワーを増加させるステップ、またはセンサ装置(100)、センサ装置(100)のセンサ素子(110)またはセンサ装置(100)の一部の供給パワーを減少させるステップとを含む、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ホール・センサ装置(100)の測定信号補正のための温度依存補正値近似線(240)を連続するセクションで決定する方法であり、最初の温度値T0に関して最初の補正値(AW)および第1の温度係数(TK)が与えられ、補正値近似線(240)は、最初の補正値(AW)および第1の温度係数(TK)に基づく第1の温度領域(215−1)に関する第1の部分的セクション(240−1)を含む方法であって、
第1の温度値が所定の条件を満たすか、トリガー条件が満たされるとき、ホール・センサ装置(100)に関連する第1の温度値を有する第1の測定信号を決定するステップ、
ホール・センサ装置(100)に関連する第1の温度値を変えてホール・センサ装置(100)に関連する第2の温度値を受信するステップ、
第2の温度値を有する第2の測定信号値を決定するステップ、および
第1および第2の温度値、第1および第2の測定信号値および最初の補正値(AW)を考慮して第2の部分的セクション(240−2)を示す機能的関連に基づいて第2の温度範囲(215−2)のための補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)を決定するステップを含み、
第1の温度範囲(215−1)が第2の温度範囲(215−2)と隣接するように、補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)が決定され、
補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)および第2の部分的セクション(240−2)が連続的に隣接している、方法。
【請求項13】
測定信号を供給するための第1のセンサ素子(110)、
パラメータ信号を供給するための第2のセンサ素子(130)、および
第1のセンサ素子(110)および第2のセンサ素子(120)に接続され、第1のセンサ素子(110)から測定信号を検出し、第2のセンサ素子(120)からパラメータ信号を検出する処理回路(120)を含み、さらに、
第1のパラメータ値が所定の条件を満たすか、トリガー条件が満たされるとき、センサ装置(100)に関連する第1のパラメータ値を有し第1のパラメータ信号に対応する第1の測定信号を決定し、
センサ装置(100)に関連する第1のパラメータ値を変えて、センサ装置(100)に関連し第2のパラメータ信号に対応する第2のパラメータ値を取得し、
第2のパラメータ値を有する第2の測定信号値を決定し、
第1および第2のパラメータ値、第1および第2の測定信号値および最初の補正値(AW)を考慮して、第2の部分的セクション(240−2)を示す機能的関連に基づく第2のパラメータ範囲における補正値近似線の第2の部分的セクションを決定し、
第1のパラメータ範囲(215−1)における補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)が、所定の最初の補正値(AW)および第1の所定のパラメータ係数(TK)に基づいており、
第1のパラメータ範囲(215−1)が第2のパラメータ範囲(215−2)と隣接するように、補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)が決定され、
補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)および第2の部分的セクション(240−2)が連続的に隣接する、センサ装置(100)。
【請求項14】
処理回路(120)は、センサ装置(100)、第1のセンサ素子(110)、第2のセンサ素子(130)またはセンサ装置(100)の一部の供給パワーを増加させることにより、またはセンサ装置(100)、第1のセンサ素子(110)、第2のセンサ素子(130)またはセンサ装置(100)の一部の供給パワーを減少させることにより、第1のパラメータ値を変える、請求項13に記載のセンサ装置(100)。
【請求項15】
さらに、処理回路(120)に接続される更なるパラメータ変更手段(140)を含み、処理回路(140)は、第1のパラメータ値を変えさせるためのパラメータ変更手段に信号を供給する、請求項13または請求項14に記載のセンサ装置(100)。
【請求項16】
パラメータ変更手段(140)は、第1のセンサ素子(110)に関するパラメータ変化を実現可能にするために第1のセンサ素子(110)に近接して配置される、請求項15に記載のセンサ装置(100)。
【請求項17】
パラメータ変更手段(114)は、加熱素子、圧電素子、冷却素子またはペルチェ素子を含む、請求項15または請求項16に記載のセンサ装置(100)。
【請求項18】
第1のセンサ素子(110)は、ホール・センサを含む、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載のセンサ装置(100)。
【請求項19】
第2のセンサ素子(130)は、温度センサ、PTC抵抗素子、NTC抵抗素子、圧力センサ素子または圧電素子を含む、請求項13ないし請求項18のいずれかに記載のセンサ装置(100)。
【請求項20】
処理回路(120)が測定信号に基づいて出力信号を出力し、出力信号は、補正値近似線に応じてパラメータ信号に含まれるパラメータ値に応じて補正される、請求項13ないし請求項19のいずれかに記載のセンサ装置(100)。
【請求項21】
測定信号を供給するためのホール・センサ素子(110)、
温度信号を供給するための温度センサ素子(130)、および
ホール・センサ素子(110)および温度センサ素子(120)に接続され、ホール・センサ素子(110)から測定信号を検出し、温度センサ素子(130)から温度信号を検出する処理回路を含み、さらに、
第1の温度値が所定の条件を満たすか、トリガー条件が満たされるとき、ホール・センサ装置(100)またはホール・センサ素子(110)に関連する第1の温度値を有し、第1の温度信号に対応する第1の測定信号を決定し、
ホール・センサ装置(100)またはホール・センサ素子(110)に関連する第1の温度値を変えて、ホール・センサ装置(100)またはホール・センサ素子(110)に関連し、第2の温度信号に対応する第2の温度値を取得し、
第2の温度値を有する第2の測定信号値を決定し、
第1および第2の温度値、第1および第2の測定信号値および最初の補正値を考慮して、第2の部分的セクション(240−2)を示す機能的関連に基づく第2の温度範囲(215−2)における補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)を決定し、
第1の温度範囲(215−1)における補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)が、所定の最初の補正値(AW)および第1の所定の温度係数(TK)に基づいており、
第1の温度範囲(215−1)が第2の温度範囲(215−2)と隣接するように、補正値近似線(240)の第2の部分的セクション(240−2)が決定され、
補正値近似線(240)の第1の部分的セクション(240−1)および第2の部分的セクション(240−2)が連続的に隣接する、ホール・センサ装置(100)。
【請求項22】
プログラムがプロセッサで実行されるときに、請求項1または請求項12のうちの1つの方法を実行するためのプログラムコードを有する、プログラム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−539496(P2010−539496A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525236(P2010−525236)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007472
【国際公開番号】WO2009/036923
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(591037214)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ (259)
【Fターム(参考)】