説明

連続包装体のピッチ測定装置

【課題】 横シール部で形成した連続包装体の収容部のピッチ測定に際して、測定対象の収容部の切り換えが容易にでき、応答信号量が大きく取れてピッチ測定精度を上げることができ、収容部の中身の充填物が潰れたり包材にピンホールが生じたりしない、連続包装体のピッチ測定装置を提供する。
【解決手段】 搬送ライン上の連続包装体10に、その厚さ方向の一方側から超音波信号を送信する超音波送信手段14aと、その連続包装体10を透過した超音波信号を上記厚さ方向の他方側から受信する超音波受信手段14bと、超音波受信手段14bによって受信した超音波信号の大小に基づき、横シール部10aおよび収容部10bの境界位置10zを認識する境界位置認識手段16と、認識された境界位置10zに基づき収容部10b,10b間のピッチを計測するピッチ計測手段18とを備えたピッチ計測装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略筒状に連続する樹脂製の包材に、その幅方向に沿う横シール部を溶着によって複数形成して、その横シール部間をスープや薬味等の粉末や液体の被包装物充填用の収容部(小袋)とすると共に、その横シール部の切断によって各収容部毎に分割可能な連続包装体(「連包状パウチ」とも称する)に対して、その各収容部間のピッチを測定するピッチ測定装置の改良に関し、連続包装体を扱う配布装置、折り畳み箱詰め装置、巻き取り装置などに使用するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
店頭に並ぶ各種商品は、包装容器や包装用包袋(以下「包装容器等」という)に収納されたものが多く、一般に食品商品は調味料等の小袋(パウチ、包装体)を包装容器等内に同封する。
【0003】
このような小袋には、スープや薬味等の粉末や液体の被包装物が充填装置によって充填・封入される。
【0004】
一般に、その小袋は、包装容器に同封するまでは、各小袋同士が所定の短い間隔をおいて繋がった状態(「連包状」ともいう)の連続包装体の形態で流通や取り扱いが行われている。
【0005】
詳しくは、連続包装体は、図10(a)に示すように、帯状の樹脂製シート材の幅端部を溶着して縦シール部aを形成し、これよって概略筒状に包材bを形成する。その包材bを幅方向に溶着した横シール部c、c…を所定間隔に複数形成して、その横シール部c、c…間を被包装物充填用の収容部d、d…としている。そして、その横シール部c、c…を切断することによって各収容部d、d…毎に分割可能であって、分割され、両端が横シール部で封止された収容部が小袋として包装袋内に入れられる。
【0006】
この場合、この収容部dには図10の(b)に示すように、連続包装体の幅方向に溶着して一の横シール部c(c1)を形成した状態でノズルe等からスープ等の被包装物fを収容部d内に充填する。その後に、図10の(c)に示すように、充填箇所を封止するよう次の横シール部c(c2)を溶着によって形成して被包装物fを樹脂シートの収容部d内に封入する。このようにして、その横シール部c、c…同士の間の収容部dに被包装物fを収容する。
【0007】
その連続包装体の状態で小袋投入場所まで搬送され、連続包装体から個々に分けられた小袋が、配布装置によって包装容器等内に投入される。
【0008】
また、前記の連続包装体は、連包状のまま連続的に箱詰め装置に供給される場合、箱詰め装置は、所定のケースに折り畳んだ状態に収容ケース(収容器)に箱詰めする。
【0009】
上記配付装置や折り畳み箱詰め装置において、上記の連続包装体を取り扱うのに、切断位置や折り畳み位置である横シール部を検出することが必要になる。
また、配布装置や折り畳み装置では、連包状のままの状態で小袋の個数を計測し、箱詰め個数や巻き取り数を管理している。
【0010】
上記のような管理においては、搬送されている連続包装体の収容部間のピッチ測定技術が必要であり、従来、このような収容部のピッチ測定技術には次のものがある。
【0011】
(1)ロール式厚み検知器
連続包装体を2本のロール間にて加圧かつ挟持した状態で搬送させる。横シール部(厚いが薄い)と中身の格納部(厚みがシール部より厚い)との厚み差を利用して、ロールの間隔が厚み差で変化することをON/OFF検知することに基づき、横シール間隔(収容部間のピッチ)を測定する。
【0012】
(2)光学式センサによる小袋の中身検知
光学式センサによって中身格納部と横シール部との光の透過量の差を検知して、この透過量の差によって横シール部を検出して、収容部間のピッチを検出する。
【0013】
(3)光学式センサによるマーク検知
光学式センサによって連続包装体に収容部に対応して設けられたマークを検出してこのマークの間隔によって、収容部間のピッチを認識する。出願人はこれに関する技術を特開2004−010107号公報(特許文献1)によって、既に開示している。
【0014】
なお、連続包装体の横シール部自体を良否の判別装置に関して、特開2001−097322号公報(特許文献2)が開示されている。
【特許文献1】特開2004−010107号公報
【特許文献2】特開2001−097322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の連続包装体の収容部ピッチ測定技術において、上記(1)のロール式厚み検知器においては、次の問題点がある。
【0016】
ア)小袋の収容物(中身)が液体の場合、ロールによって中身が収容部内の他部位に逃げて収容部と横シール部との厚み検知がし難い。
【0017】
イ)収容部内にチップ状固形物で収容されている場合それをローラ加圧により潰してしまう恐れがある。
【0018】
ウ)シール部と収容部との厚み差の少ない連続包装体はピッチ測定が不安定である。
エ)高速になると厚み差によってロールがジャンプしてしまい、正確に測定できない。
オ)ワークの種類に応じた加圧力の調整が必要である。
【0019】
また、上記(2)の光学式センサによる中身検知の技術では、収容部の中身が変わったり、包材が異なる場合光の透過量が微妙に異なり、その都度感度調整が必要になるという問題点がある。
【0020】
また、上記(3)の光学式センサによるマーク検知技術では、次の問題点が有る。
カ)予めマークを定ピッチで印刷しておく必要があるため、包材コストが高くなる。
キ)包材の地の色とマークの色により、センサの種類を変更しなければならない場合がある。つまり、一種類のセンサで全ての包材に対応できない場合がありセンサを多数用意しなければならず装置構成が複雑で高価なものになる。
【0021】
本発明は、上記の問題点を解消するためなされたものであって、幅方向に溶着した横シール部で形成した連続包装体の収容部のピッチ測定に際して、測定対象の収容部(包材、ワーク)の切り換えが容易にでき、また、ロール式や光学式に比べて応答信号量が大きく取れてピッチ測定精度を上げることができ、さらに、収容部の中身の充填物が潰れたり包材にピンホールが生じたりしない、連続包装体のピッチ測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、概略筒状に連続する樹脂製の包材に、その幅方向に沿う横シール部を溶着によって複数形成して、その横シール部間を被包装物充填用の収容部とすると共に、その横シール部の切断によって収容部毎に分割可能な連続包装体に対して、その収容部間のピッチを測定する装置において、搬送ライン上の連続包装体に、その厚さ方向の一方側から超音波信号を送信する超音波送信手段と、その連続包装体を透過した超音波信号を上記厚さ方向の他方側から受信する超音波受信手段と、超音波受信手段によって受信した超音波信号の大小に基づき、横シール部および収容部の境界位置を認識する境界位置認識手段と、認識された境界位置に基づいて、収容部間のピッチを計測するピッチ計測手段とを備えたことを特徴とする連続包装体のピッチ測定装置である。
【0023】
本発明においては、超音波送信手段の超音波送信方向と超音波受信手段の超音波受信方向が、連続包装体の厚さ方向に対して傾斜していることが好適である。
本発明においては、収容部間のピッチの規定値を設定する手段または該ピッチの平均値を求める手段を設けており、ピッチ計測手段は、連続包装体の端部同士をテープ部材で繋いだものの収容部間のピッチを、上記設定されたピッチの規定値または前記求めた平均値によって代行させることが好適である。
また、本発明においては、収容部間のピッチの規定値を設定する手段または該ピッチの平均値を求める手段を設けており、境界位置認識手段は、一旦境界位置を認識した後、設定された規定値または平均値の間には境界位置の認識を行わないことが好適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の請求項1〜4記載の連続包装体のピッチ測定装置によれば、超音波送信手段によって、搬送ライン上の連続包装体に、その厚さ方向の一方側から超音波信号を送信し、超音波受信手段によって、その連続包装体を透過した超音波信号を上記厚さ方向の他方側から受信し、境界位置認識手段が、超音波受信手段によって受信した超音波信号の大小に基づき、横シール部および収容部の境界位置を認識して、ピッチ計測手段により上記認識された境界位置に基づいて、収容部間のピッチを計測する。
【0025】
本発明においては、後述する図6に示すように横シール部(10a)と収容部(10b)とでは境界位置の通過回数が異なり(横シール部で2回、収容部で4回)互いの減衰率が大きく違うことを利用して、搬送ライン上の連続包装体における横シール部と収容部とを判別してそれらの境界位置を認識するので、判別結果が収容部に充填された中味の種類(粉末、液体、チップ状固形物等)や包材の材質に影響されることなく、収容部間ピッチを計測できる。
【0026】
また、横シール部と収容部との境界位置を超音波の通過回数によって検出することから、非接触の検出ができるので、従来のロール式や光学式のよりも応差(信号の差異)を大きく取れるため、ピッチ計測が安定する。
また、非接触検出方式であるため、収容部(パウチ)にストレスを与えない。このため、収容部内の充填物を潰したり、包材にピンホールを生じさせたりすることが全くない。
測定装置に消耗品が無く、メンテナンスが容易である。
【0027】
その他、従来の上記(1)で説明したロール式ならびに(2)および(3)で説明した光学式センサの問題点を解消することができる。
【0028】
なお、本発明において、超音波送信手段の超音波送信方向と超音波受信手段の超音波受信方向を、連続包装体の厚さ方向に対して傾斜させることによって、超音波のエコー現象に影響を受けることなく高精度に横シール部および収容部の境界位置を検出できる。つまり、超音波の送信方向が連続包装体の厚さ方向(搬送方向に対して垂直方向)であるときは、超音波送信手段と連続包装体との間で超音波の反射が繰り返され、超音波受信に障害が生じる。これに対して、超音波受信手段の超音波受信方向を、連続包装体の厚さ方向に対して傾斜させることによって、送信手段から放射された超音波は、連続包装体で反射しても再び送信手段に帰ることが無く、反射波の影響無く高精度に境界位置の検出ができる。
【0029】
また、収容部間のピッチの規定値を設定する手段または該ピッチの平均値を求める手段を設け、ピッチ計測手段が、連続包装体の端部同士をテープ部材で繋いだものの収容部間のピッチを、上記設定されたピッチの規定値または前記求めた平均値によって代行させるものにすれば、連続包装体同士の連結部分で張り合わせた粘着テープによって超音波の透過量が十分でなく横シール部および収容部の境界位置の誤検出する虞があってもその信号を上記規定値または平均値により代行させ、次の検出した境界位置が許容される誤差内であることを確認するなどして境界位置を誤検出することがないので、装置を停止させることなく運転を継続することができる。
【0030】
また、境界位置認識手段が、一旦横シール部を認識した後、設定された規定値または平均値の間には横シール部および収容部の境界位置の認識を行わないものにすれば、顆粒状体を含んだ被包装物の場合に収容部であってその顆粒状態が超音波の伝搬の橋渡しをして超音波が受信されても境界位置の認識を行わないので、境界位置を誤検出することがなく、装置を停止させることなく運転を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0032】
図1〜図9は本発明に係る連続包装体のピッチ測定装置の実施形態の説明図である。
【0033】
図1は実施形態に係る連続包装体のピッチ測定装置が採用された折り畳み箱詰め装置の正面視説明図、図2は前記箱詰め装置の左側面視図、図3は前記ピッチ連続包装体のピッチ測定装置の正面視説明図、図4は該ピッチ測定装置の右側面視説明図、図5はピッチ測定装置の電気制御系のブロック図、図6〜図8はピッチ測定装置の作動の原理的な説明図、図9はピッチ測定装置の動作説明のフローチャートである。
【0034】
なお、以下の説明において「右」、「左」は、図1に示す箱詰め装置に正対して右側、左側をいう。また、この箱詰め装置には、収容部(小袋)10bの複数繋がった連続包装体10を折り畳んで箱状の収容器12に収容するものである。
【0035】
図1〜図2に示すように、実施形態に係る連続包装体のピッチ測定装置は、概略筒状に連続するポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂製の包材に、その幅方向に沿う横シール部10aを溶着によって複数形成して、その横シール部10a,10a間を被包装物充填用の収容部10bとすると共に、その横シール部10aの切断によって収容部10b毎に分割して小袋とすることが可能な連続包装体10に対して、その収容部10b,10b間のピッチを測定する装置ものである。
【0036】
そして、このピッチ計測装置は、搬送ライン上の連続包装体10に、その厚さ方向の一方側から超音波信号を送信する超音波送信手段14aと、その連続包装体10を透過した超音波信号を上記厚さ方向の他方側から受信する超音波受信手段14bと、超音波受信手段14bによって受信した超音波信号の大小に基づき、横シール部10aおよび収容部10bの境界位置10zを認識する境界位置認識手段16と、認識された境界位置10zに基づいて、収容部10b,10b間のピッチを計測するピッチ計測手段18とを備えたものである。
【0037】
上記の超音波送信手段14aと超音波受信手段14bは、前記折り畳み箱詰め装置の前面側にそれぞれのセンサヘッドが設けられたピッチ検出ユニット44が構成されている。
【0038】
詳しくは、前記折り畳み箱詰め装置は、下部に水平方向に展開する矩形厚板状のベース体20を有し、このベース体20はその下面四隅にそれぞれ移動用のキャスタ22および設置固定用の固定脚部24が設けられる。
【0039】
ベース体20上には、前側に収容器12を載置して前後動させる台車手段26が、また、後側にリフトハウジング部28およびリフト駆動部30がそれぞれ設けられる。
【0040】
ベース体20上の後側に設置されたリフトハウジング部28は、ベース体20とほぼ同幅で前後方向の厚みのある下部ハウジング32が箱状に立設して固定され、その下部ハウジング32上に上下に長い直方体形状の上部ハウジング34がさらに立設して固定されている。
【0041】
上部ハウジング34の前面側部に、概略直方体形状の連続包装体処理用ハウジング部36がリフト駆動部30によって上下動可能に設置されている。この処理用ハウジング部36は、上部ハウジング34よりも上下方向長さが短くなっている。リフト駆動部30は、上部ハウジング34の前面側に設けられたリニアガイド38と図示しない駆動アクチュエータを有しており、リニアガイド38によって処理用ハウジングを支持・誘導しかつ駆動アクチュエータの駆動力によって上下移動させる。図1には、処理用ハウジング36の上限移動軌跡を符号36uによって示している。
【0042】
前記処理用ハウジング部36へは、向かって右方向の図示しない貯留ボックス(プールボックス)から5つのガイドロール40a〜40eを経由して連続包装体10が送りこまれる。そのガイドロール40a〜40eのうちの右側3つ(40a〜40c)はリフトハウジング部28に固定(下部ハウジング32右肩部に固定)のブラケット42aに回動自在に軸支されており、また、中央寄りの2つのガイドロール40d〜40eは前記処理用ハウジング部36に固定のブラケット42bに回動自在に軸支され、処理用ハウジング部36と共に上下移動する(図1に符号40du〜40euによってガイドロール40d〜40eの上限移動軌跡を示している)。
【0043】
なお、下部ハウジング32に固定のブラケット42aには、ピッチ計測装置の境界位置認識手段16、ピッチ計測手段18、規定値設定手段60、および平均値算出手段62の機能を実現する後述するCPU54等が筐体Aに覆われて設置・固定されており、これら手段14と18の筐体Aは箱詰め装置の向かって右側に固定されるので、操作者が右手によって操作が容易にできる。この筐体Aには、また、操作者側に向かって各種表示をする表示部であると共に、表面に手指による接触によって各種データまたは設定を入力する入力部であるタッチパネル式の設定表示部52が設けられる。
【0044】
また、ガイドロール40a〜40eは、連続包装体10を幅方向から挟むフランジとそのフランジ間軸の周面にスポンジを設けており、そのスポンジを当てることによって連続包装体10に無理な力や疵が生じるのを防止し、スムーズな送りを実現する。
【0045】
連続包装体10は、これらガイドロール40a〜40eを経由して、前記処理用ハウジング部36前面側に上から下に向けて送り込む。
【0046】
前記処理用ハウジング部36の前面側には、上から順にピッチ検出ユニット44、コロガイドユニット46、左右揺動アーム48が配設されている。
【0047】
図3、図4にはピッチ検出ユニット44の超音波送信手段14aと超音波受信手段14bのセンサヘッドの取付け状態を詳細に示す。
図3、図4に示すように、ピッチ検出ユニット44の前面側には、上から下に向けて連続包装体10が搬送されており、その連続包装体10の幅方向、厚さ方向が折り畳み箱詰め装置の前後方向、左右方向に沿っている。上記超音波送信手段14aである超音波送信器のセンサヘッドの超音波送信ラインと超音波受信手段14bである超音波受信器のセンサヘッドの超音波受信ラインとは一致し、かつ、連続包装体10を挟んで対向している。
【0048】
折り畳み箱詰め装置において、前面側から見て左側が超音波送信手段14aで右側が超音波受信手段14bの配置となっている。これらの配置は一例であって左右いずれを送信側、受信側に割り当てても検出結果に相違はない。
【0049】
また、上記の連続包装体10を厚さ方向から挟んで左右には、対の板状体からなるガイド部材50,50が対向しかつ連続包装体10に平行にネジ(50b、50b…)固定によって配設されている。このガイド部材50,50には、上記超音波送信手段14aのセンサヘッドと超音波受信手段14bのセンサヘッドの先端側に対向する箇所に超音波の伝搬に干渉しないように、信号通過孔50a,50aとして2条の長孔が形成されている。ガイド部材50,50によって連続包装体10製品をばらつくこと無く送ることができる。
【0050】
また、超音波送信手段14aの超音波送信方向と超音波受信手段14bの受信方向に沿うラインは、連続包装体10の厚さ方向に対して傾斜している。このように連続包装体10の厚さ方向に対して傾斜させることによって、超音波のエコー現象に影響を受けることなく高精度に横シール部10aを検出できる。
【0051】
つまり、超音波にはエコー現像があるため、もしもセンサヘッドが連続包装体10製品に垂直に取り付けられていて、超音波の送信方向が連続包装体10の厚さ方向(搬送方向に対して垂直方向)であるときは、超音波送信手段14aと連続包装体10との間で超音波の反射が繰り返され、超音波受信に障害が生じる。これに対して、実施形態では図3に示すように、超音波受信手段14bの超音波受信方向を、連続包装体10の厚さ方向に対して10〜45°傾斜させて設置する。この傾斜設置によって、超音波送信手段14aから放射された超音波は、連続包装体10で反射しても再び送信手段に帰ることが無く、反射波の影響無く高精度に横シール部10aの検出ができる。
【0052】
コロガイドユニット46は、円盤状のローラ(軸方向長さが連続包装体10の幅よりも短い)が対で設けられ、図示しない駆動部によって駆動されており、連続包装体10の縦シール部を噛み込んでその連続包装体10に下向きの搬送力を与える。連続包装体10の縦シール部は、連続包装体10の幅方向で処理用ハウジング部36側に形成されているものとする。
【0053】
左右揺動アーム48は、内部に空間を有する樋状構造であって上端が処理用ハウジング部36下部前面側を軸中心にして左右に揺動するものであって、揺動中心軸48a付近の入り口側に棒状の対のローラ48b,48bが設けられる。左右揺動アームは48は、連続包装体10を入り口側の棒状の対のローラ48b,48bで挟み、更に、左右揺動アーム48内部の空間を通して出口側の対のローラ48c,48cで挟んで誘導し、そして収容器12内に収容する。
【0054】
収容器12に収容の際には、左右揺動アーム48が所定ピッチによって往復揺動して連続包装体10を降り畳みながら収容する。
【0055】
ここで、前記ベース体20上の台車手段26は、その上に、重量検出手段の重量センサを設けている。台車手段26は、初期状態において収容器12を載せた状態で最も後ろ側に位置しており、上記左右揺動アーム48の揺動によって収容器12内に折り畳んで収容された連続包装体10が規定量になると、台車手段26は連続包装体10の幅程度前方に移動して、収容器12への連続包装体10の収容位置を奥側に変化させるようになっている。
【0056】
これにより、連続包装体10を収容器12内に複数列折り畳んで収容し、収容空間に無駄を生じさせない。
【0057】
台車手段26上には、上記箱状の収容器12を載置する載置台26aと共にこの載置台26a下面部に連続包装体10の重量を検出する検出センサ部を設けている。台車手段26はベース体20表面に設けたレール26b上を検出センサ部および載置台26aが前後動可能になっている。
検出センサ部はその本体上の検出板に加わる荷重によった位置変位に基づき重量検出をするものであり、載置台26aは、重量検出センサ部の検出板に固定された構造を呈している。この載置台26a上に前記収容器12が載置される。
なお、この重量検出センサ部の検出値は各種データが適宜の表示部にデジタル表示される。
【0058】
設定表示部52は、表示媒体が液晶表示装置であり、マンマシンインターフェイスはその液晶表示装置の表面に操作者が手指またはライトペンによって押圧・接触することによって各種入力ができるようになっている。その他、キーボードやジョイスティックをインターフェイスとして設けても良い。
また、本実施形態において「ボタン」または「キー」といった場合には、具体的なボタンやキーと共に、上記設定表示部52の表示画面上にアイコン表示される仮想的なボタンやキーを含むものである。
【0059】
図5は、連続包装体のピッチ測定装置における制御ブロック図を示す。
【0060】
図5に示すように、ピッチ計測装置は、中央処理ユニット(CPU)54、ROM(Read Only Memory)56およびRAM(Random Access Memory)58とによって、各種手段を構成するようになっている。
ピッチ計測装置は、搬送ライン上の連続包装体10に、その厚さ方向の一方側から超音波信号を送信する超音波送信機能と、その連続包装体を透過した超音波信号を上記厚さ方向の他方側から受信する超音波受信機能と、超音波受信機能によって受信した超音波信号の大小に基づき、横シール部を認識する横シール部認識機能と、認識された横シール部に基づいて、収容部間のピッチを計測するピッチ計測機能とを、主に、ROM56に記憶されたプログラムによって実現する。
【0061】
〔境界位置認識手段16、ピッチ計測手段18〕
境界位置認識手段16およびピッチ計測手段18は、実施形態ではそのCPU54、ROM56およびRAM58がコンピュータやシーケンサーによって構成され、それらはタッチパネル式の設定表示部52がリフトハウジング部28の下部ハウジング32の右側部に設けられた筐体に格納設定される。
【0062】
〔横シール部と収容部と判別、境界位置の認識〕
図6は、横シール部10aおよび収容部10bとの境界位置10z周辺の断面視説明図であり、図6に基づき、境界位置認識手段16によって行う連続包装体10の横シール部10aの認識を説明する。
【0063】
超音波送信手段14aおよび超音波受信手段14bはいずれも音響インピーダンスが整合されている。また、連続包装体10の包材10cと空気10d、包材10cと被包装物(充填物)10eのいずれでもインピーダンスの不整合があるため、超音波はそれぞれの境界を透過する際に大きく減衰する。
【0064】
つまり、超音波は、空気や液体(収容部内に充填されている被包装物)および固体(収容部の包材)の中を伝搬するときと比べて、お互いの境界を通過する際に大きく減衰する。シール部(横シール部10a)は包材が溶着されて一体化しているので超音波の通過する境界が「包材10cと空気10dの境界」が表裏で2箇所あるのに比べて、収容部10bは「包材10cと被包装物10eの境界、包材10cと空気10dの境界」と超音波の通過する境界が4箇所ある。したがって、超音波の透過量が横シール部10aに対して、収容部10bの透過量はさらに激減する。
【0065】
この境界位置認識手段16は、この収容部10bの大きな減衰を利用して、横シール部10aおよび収容部10bの境界位置10zを認識する。
このような原理の超音波の減衰率の差異によって境界位置を認識する方式の境界位置認識手段16によると、検出精度が、包材の種類に影響されないため、アルミニウム包材、PET包材、ビニル包材等全ての種類包材に対応することが可能である。
また、被包装物は液体、粉体を問わない。空気のみ充填したしても正確に検出ができる。
【0066】
〔ピッチ計測原理〕
図7は連続包装体10の搬送に際しての超音波センサヘッドを通過する様子を示すものである。
図7に基づき、ピッチ計測手段18によって行う、上記認識された境界位置に基づいて、収容部間のピッチの計測を説明する。
【0067】
ここで、収容部10bの搬送は、コロガイドユニット46の対のローラを駆動するステッピングモータやサーボモータに位置を認識したパルスを与えて行う。したがって、超音波受信手段14bの出力する電気信号の変化する位置を境界位置と認識できる。実施形態の超音波受信手段14bは、収容部10bに対応して超音波透過量が小さいときにオン(ON)信号を出力し、横シール部10aに対応して超音波透過量が大きいときにオフ(OFF)信号を出力する。オフ信号からオン信号に切り替わるときの位置情報を取得すれば、境界位置を認識することができる。
【0068】
実施形態のピッチ計測装置を搭載した連続包装体10のカット装置とした場合では、連続包装体10の搬送において、超音波受信手段14b出力の電気信号がオフからオンに変遷する位置を取得し、その位置がカッター位置よりT寸法(横シール部の長さの半分)手前に達するまで搬送し、シール部を切断する。また、その搬送中に現れた次のオフからオンに変遷する位置を順次取得する方法で制御する。
【0069】
また、実施形態では、収容部10b,10b間のピッチの規定値を設定する規定値設定手段60および該ピッチの平均値を求める平均値算出手段62を設けている。この規定値設定手段60および平均値算出手段62の機能は、上記のROM56に記憶されたプログラムにしたがってCPU54およびRAM58によって達成されるものである。
【0070】
〔連続包装体10同士の繋ぎへの対応〕
ピッチ計測手段18は、連続包装体10の長さ方向端部同士をテープ部材で繋いだものの場合、収容部10b間のピッチを、上記設定されたピッチの規定値または前記求めた平均値によって代行させるようになっている。
【0071】
つまり、小袋カット装置等に供給される連続包装体10は、一般に箱詰め状態出供給され、箱と箱との間では連続包装体10同士の連結が行われる。このとき粘着テープによって張り合わせが行われるが、粘着テープの素材、張り合わせ状態によっては、シール位置においても超音波透過量が十分でなくなり、電気信号がオフせず、位置情報の取得に障害が生じる。これに対して、それまでの収容部ピッチの平均値または基準設定値で代行させ、次のオフからオンに変遷する位置が許容される誤差内であることを確認し、停止することなく、自動運転を継続できるようにしている。
【0072】
このように上記設定されたピッチの規定値または前記求めた平均値によって代行させるものにすることによって、連続包装体10,10同士の連結部分で張り合わせた粘着テープによって超音波の透過量が十分でなく横シール部10aおよび収容部10bの境界位置10zを誤検出する虞があってもその信号を上記規定値または平均値により代行させ、次の境界位置10z検出位置が許容される誤差内であることを確認するなどして境界位置10zを誤検出することがないので、装置を停止させることなく運転を継続することができる。
【0073】
〔顆粒状体の被包装物を含んだ連続包装体10への対応〕
図8は顆粒状体を含む連続包装体10の搬送に際しての超音波センサヘッドを通過する様子を示すものである。
【0074】
図8に基づき、境界位置認識手段16によって行う、境界位置認識を説明する。
境界位置認識手段16は、一旦境界位置10zを認識した後、設定された規定値または平均値の間には境界位置10zの認識を行わない。
顆粒状の被包装物を含んだ連続包装体10の場合、収容部10bであっても顆粒が包材間の超音波伝搬の橋渡しをして、超音波受信手段14bの検出信号が横シール部10aの検出信号と同様にオフになることがある。このため、連続包装体10の収容部10b間の距離(ピッチ)が境界位置認識手段16に設定表示部52から設定入力し、一旦、オフからオンへの変遷を認識した後、設定された規定値(または算出した平均値)の間には横シール部および収容部の境界位置の認識を行わない(オン信号があっても無視する)ものにしている。
【0075】
このようにして、顆粒状体を含んだ被包装物の場合に収容部であってその顆粒状態が超音波の伝搬の橋渡しをして超音波が受信されても境界位置の認識を行わないので、境界位置を誤検出することがなく、装置を停止させることなく運転を継続することができる。
【0076】
次に、上記した実施の形態に係るピッチ計測装置の作動を説明する。
【0077】
図9は、前記箱詰め装置の動作説明のフローチャートを示す。
なお、各手順のステップ〜は「S〜」と略記する。
【0078】
予め、折り畳み箱詰め装置に連続包装体(連包小袋)10を仕掛ける。この場合に、製品の連続包装体10は、粉体や液体の充填された連包状の小袋である。装置には、連続包装体10の送り機構やシール位置認識機構が有り、これらの各部に製品を通す。
【0079】
そして、ピッチ計測装置の電源をオンした後にピッチの規定値を設定する(S1)。
【0080】
次いで、それまでの測定したピッチの平均値の算出する(S2)。
【0081】
連続包装体10の送り位置を認識して搬送する(S3)。
【0082】
超音波送信手段14aおよび超音波受信手段14bによって超音波信号の送信および受信を行う(S4)。
【0083】
超音波受信手段14bのオン・オフ信号を図示しないインターフェイスを経由してCPU54に入力する(S5)。
【0084】
連続包装体10の収容部10b内の被収容物が顆粒状体をであるか否かを判断する(S6)。顆粒状体でなければ(S6:No)連続包装体10同士の繋ぎ部分か否かを判断し(S7)、繋ぎ部分であれば(S7:Yes)、設定されたピッチの規定値または算出してピッチの平均値によって境界位置認識を代行する(S8)。
【0085】
一方、繋ぎ部分でなければ(S7:No)、超音波受信手段14bの出力がオフからオンになった位置を境界位置と認識する(S9)。
【0086】
S8およびS9の処理後は、収容部10b,10b同士のピッチ計測を行う(S10)。そして、S2に戻る。
【0087】
ここで、連続包装体10の収容部10b内の顆粒状体の被包装物が収容されている場合(S6:Yes)、前回の境界位置から設定値または平均値の長さ送りによって過ぎたか否かを判断する(S11)。過ぎたのであればS7に進む。一方、過ぎていないのであれば、超音波受信手段14bのオン信号を無視して(S12)、S2に戻る。
【0088】
以上説明したように、実施形態の連続包装体10の収容部ピッチ計測装置によれば、幅方向に溶着した横シール部10aで形成した連続包装体10の収容部10b同士のピッチ測定に際して、測定対象の収容部(包材、ワーク)の切り換えが容易にできる。
また、ロール式や光学式に比べて応答信号量が大きく取れてピッチ測定精度を上げることができる。
さらに、収容部の中身の充填物が潰れたり包材にピンホールが生じたりしないという優れた作用効果を奏する。
【0089】
なお、本発明の連続包装体のピッチ計測装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施形態に係るピッチ計測装置が採用された折り畳み箱詰め装置の正面視説明図である。
【図2】上記箱詰め装置の左側面視図である。
【図3】上記ピッチ計測装置のピッチ検出ユニットの詳細正面視説明図である。
【図4】上記ピッチ検出ユニットの右側面視説明図である。
【図5】前記ピッチ計測装置の電気制御系のブロック図である。
【図6】上記連続包装体の横シール部と収容部の境界位置の説明図である。
【図7】上記ピッチ計測装置の計測例の説明図である。
【図8】上記ピッチ計測装置の他の計測例の説明図である。
【図9】上記ピッチ計測装置の制御作動を説明するフローチャートである。
【図10】(a)〜(c)は従来の連続包装体の説明図である。
【符号の説明】
【0091】
10 連続包装体
10a 横シール部
10b 収容部
10z 横シール部と収容部の境界位置
12 収容器
14a 超音波送信手段
14b 超音波受信手段
16 境界位置認識手段
18 ピッチ計測手段
44 ピッチ検出ユニット
46 コロガイドユニット
48 左右揺動アーム
50 ガイド部材
50a 信号通過孔
52 設定表示部
54 CPU(中央処理ユニット)
56 ROM
58 RAM
60 規定値設定手段
62 平均値算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略筒状に連続する樹脂製の包材に、その幅方向に沿う横シール部を溶着によって複数形成して、その横シール部間を被包装物充填用の収容部とすると共に、その横シール部の切断によって収容部毎に分割可能な連続包装体に対して、その収容部間のピッチを測定する装置において、
搬送ライン上の連続包装体に、その厚さ方向の一方側から超音波信号を送信する超音波送信手段と、
その連続包装体を透過した超音波信号を上記厚さ方向の他方側から受信する超音波受信手段と、
超音波受信手段によって受信した超音波信号の大小に基づき、横シール部および収容部の境界位置を認識する境界位置認識手段と、
認識された境界位置に基づいて、収容部間のピッチを計測するピッチ計測手段とを備えたことを特徴とする連続包装体のピッチ測定装置。
【請求項2】
超音波送信手段の超音波送信方向と超音波受信手段の超音波受信方向が、連続包装体の厚さ方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の連続包装体のピッチ測定装置。
【請求項3】
収容部間のピッチの規定値を設定する手段または該ピッチの平均値を求める手段を設けており、
ピッチ計測手段は、連続包装体の端部同士をテープ部材で繋いだものの収容部間のピッチを、上記設定されたピッチの規定値または前記求めた平均値によって代行させることを特徴とする請求項1または2に記載の連続包装体のピッチ測定装置。
【請求項4】
収容部間のピッチの規定値を設定する手段または該ピッチの平均値を求める手段を設けており、
境界位置認識手段は、一旦境界位置を認識した後、設定された規定値または平均値の間には境界位置の認識を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の連続包装体のピッチ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−10353(P2007−10353A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188480(P2005−188480)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(591272343)株式会社三橋製作所 (13)
【Fターム(参考)】