説明

連続式加熱炉

【課題】水素ガスを用いて金属板の還元処理を行う場合に、還元処理により発生した水蒸気によって再び金属板が酸化することを防止する。
【解決手段】反応炉2の入口開口21から出口開口22に通過する金属板を水素雰囲気中で加熱処理することによって上記金属板に含まれる酸化物を還元すると共に、還元反応によって発生した水蒸気を炉内から排出するために、上記反応炉2内部に上記出口開口22側から上記入口開口21側に向く炉内ガス流Nを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続式加熱炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、粉末圧延法により、ステンレス鋼を帯状の基材とするクラッドシートを製造する場合には、帯状の基材の表面に対して付着されたロウ材組成を有する粉末を焼結処理または溶融処理して帯状の基材表面に対して固着させる加熱処理を行う。
周知のように、ステンレス鋼に対して異種金属材料を固着させるためには、帯状の基材の表面及び異種金属材料に含まれる酸化物(不動態被膜)を除去することが好ましい。このため、上述の焼結処理または溶融処理は、帯状の基材及びロウ材組成を有する粉末が同時に還元処理されるように、水素雰囲気中で行われる。
例えば、特許文献1には、加熱されたステンレス鋼に対して、水素ガスを吹き付けることによって、ステンレス鋼を還元処理する熱処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−278679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述のように、帯状のステンレス鋼の基材や基材表面に固着されたロウ材組成を有する粉末が還元処理されると、同時に水素と酸素が反応して水蒸気が発生する。
ステンレス鋼やニッケルロウ材に含まれるクロム(Cr)は、水との反応により酸化され易い金属である。つまり、帯状の基材及びロウ材に含まれる酸化物を還元処理しても、それによって発生した水蒸気により、クロム(Cr)が再び酸化してしまう。
このように、水素ガスを用いて金属板に含まれる酸化物を還元する場合には、還元の際に発生した水蒸気がクロム(Cr)を含んでいる金属板に触れると、再び金属板に含まれているクロム(Cr)が酸化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、水素ガスを用いて金属板の還元処理を行う連続式加熱炉を使用する場合に、還元処理により連続式加熱炉内で発生した水蒸気によって再び金属板が酸化することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、入口開口から出口開口に通過する金属板を水素雰囲気で加熱処理することによって上記金属板に含まれる酸化物を還元する反応炉と、上記反応炉に水素ガスを供給する水素ガス供給手段と、上記水素ガス供給手段により上記反応炉に供給された上記水素ガスが上記出口開口側から上記入口開口側へと流れるような炉内ガス流を形成するガス流形成手段とを備えるという構成を採用する。
【0007】
本発明においては、ガス流形成手段によって、還元処理が行われる反応炉の出口開口側から入口開口側に向けて炉内にガス流が形成される。
この結果、還元処理によって発生した水蒸気は、炉内ガス流と共に反応炉の出口開口側から入口開口側に流れる。金属板に対する還元処理は、反応炉の出口開口側に向かうにつれて進むことから、上記炉内ガス流によって水蒸気が入口開口側に流れることによって、還元処理が進んだ領域における水蒸気濃度を低減させ、還元処理が進んだ金属板に含まれるクロム(Cr)と水蒸気が反応しクロム(Cr)が酸化することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水素ガスを用いて金属板の還元処理を行う場合に、還元処理により発生した水蒸気によって再び金属板に含まれるクロム(Cr)が酸化することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における連続式加熱炉の概略構成を模式的に示す側断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態における連続式加熱炉の概略構成を模式的に示す側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における連続式加熱炉の変形例における概略構成を模式的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る連続式加熱炉及び水素還元方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の連続式加熱炉1は、例えば、ステンレス鋼からなる帯状の基材X(金属板)の表裏面に対してクラッド層(ロウ材層)を形成するものであり、帯状の基材Xの表裏面に付着されたロウ材組成を有する粉末を焼結処理または溶融処理して当該帯状の基材Xの表裏面にクラッド層として固着させるものである。
【0012】
この連続式加熱炉1は、図1に示すように、搬送部2a、加熱部2b及び冷却部2cにて構成された反応炉2と、水素ガス供給装置3(水素ガス供給手段)と、カーテン4(ガス流形成手段)と、露点計5と、水素濃度計6とを備えており、連続加熱炉1の上流側と下流側には搬送ローラ2dが設置されている。
【0013】
搬送部2aは、帯状の基材Xが通過する搬送室2a1と、搬送室2a1内に配置された搬送ローラ2a2とを有する。搬送ローラ2a2は、帯状の基材Xの搬送を行う駆動ローラである。なお、搬送ローラ2a2は、配置位置が図1に示す配置に限られるものではなく、また駆動ローラではなく従動ローラであっても良い。
【0014】
加熱部2bは、帯状の基材Xが通過する加熱室2b1と、加熱室2b1内を通過する帯状の基材Xを加熱するために加熱室2b1の外周に配置されたヒータ2b2とを有する。具体的には、加熱室2b1内では、ヒータ2b2によって加熱室2b1の外壁が直接的に加熱され、その結果、加熱室2b1の外壁からの輻射により間接的に帯状の基材Xが加熱され、帯状の基材Xの表裏面に付着されたロウ材組成を有する粉末が焼結処理または溶融処理される。
なお、加熱部2bは、帯状の基材Xの表裏面に付着されたロウ材組成を有する粉末を焼結処理または溶融処理させるために必要であれば、帯状の基材Xの進行方向に直列して複数配列される。本実施形態の連続式加熱炉1においては、図1に示すように、2つの加熱部2bが配列されているが、2つ以上の加熱部2bを配列することも可能である。
【0015】
冷却部2cは、帯状の基材Xが通過する冷却室2c1と、冷却室2c1を囲むように配置され、冷却室2c1内を通過する帯状の基材Xを冷却する水冷ジャケット2c2とを有する。具体的には、冷却部2cでは、水冷ジャケット2c2によって冷却室2c1の外壁が直接的に冷却され、その結果、冷却室2c1の外壁からの輻射により間接的に帯状の基材Xが冷却され、帯状の基材Xの表裏面に付着され、焼結処理または溶融処理されたロウ材組成を有する粉末層部が冷やされて、焼結または溶融後に凝固することでクラッド層を形成し、帯状の基材Xに固着される。
なお、冷却部2cは、帯状の基材Xの表裏面に付着されたロウ材組成を有する粉末を焼結処理後または溶融処理後の冷却させるために必要であれば、帯状の基材Xの進行方向に直列して複数配列される。本実施形態の連続式加熱炉1においては、図1に示すように、2つの冷却部2cが配列されているが、2つ以上の冷却部2cを配列することも可能である。
【0016】
本実施形態では、上流側(入口開口21側)から下流側(出口開口22側)に向かうにつれて、加熱部2b、搬送部2a、加熱部2b、冷却部2c、搬送部2a、冷却部2cの順に配置されている。そして、搬送室2a1、加熱室2b1及び冷却室2c1の外壁によって、反応炉2(図の斜線部分)が構成されている。
【0017】
反応炉2内では、入口開口21から出口開口22に通過する帯状の基材Xを加熱処理した後に冷却し、帯状の基材Xの表裏面に付着したロウ材組成を有する粉末を焼結処理または溶融処理させることで、帯状の基材Xの表裏面に対してクラッド層の形成が行われる。また、本実施形態において反応炉2内では、上記加熱処理を水素雰囲気中で行い、これによってロウ材組成を有する粉末の焼結処理または溶融処理と同時に帯状の基材Xとロウ材組成を有する粉末に含まれる酸化物の還元処理が行われる。
【0018】
搬送ローラ2dは、搬送ローラ2a2と同じく、帯状の基材Xの搬送を行う駆動ローラであり、反応炉2の外部に複数設けられている。本実施形態においては、搬送ローラ2dは、入口開口21の外側と出口開口22の外側とにそれぞれ1つずつ設けられている。なお、搬送ローラ2dは、配置位置が図1に示す配置に限られるものではなく、また駆動ローラではなく従動ローラであっても良い。
【0019】
水素ガス供給装置3は、反応炉2に水素ガスGを供給するものであり、帯状の基材Xに含まれる酸化物の還元反応が起こる還元反応領域の下流側に位置する搬送室2a1に接続されている。ここで、本実施形態において還元反応領域は、下流側(出口開口22側)に位置する加熱室2b1から、上流側(入口開口21側)に位置する冷却室2c1の間である(図1参照)。なお、還元反応領域では、反応炉2において最も温度が高く、ロウ材組成を有する粉末の焼結処理または溶融処理が行われているので、加熱部2bと冷却部2cとの間に搬送部2aを設けて帯状の基材Xに搬送ローラ2a2を接触させることはできない。
【0020】
また、本実施形態において水素ガス供給装置3は、露点計5の計測結果と水素濃度計6の計測結果とに基づいて反応炉2への水素ガスGの供給量を調節する。
具体的には、水素ガス供給装置3は、露点及び水素濃度と水素ガスGの適正供給量とが関連付けられたテーブルを予め記憶しており、当該テーブルに基づいて反応炉2への水素ガスGの供給量を調節する。
なお、ここで言う水素ガスGの適正供給量とは、還元反応領域における還元反応が十分に進む量で、かつ還元処理に用いられない無効ガスを出さない量の範囲で設定される供給量である。
【0021】
カーテン4は、反応炉2において、水素ガス供給装置3から供給された水素ガスGの供給位置に対して、出口開口22側の反応炉内を帯状の基材Xが通過する開口部断面積を入口開口21側よりも、相対的に小さくするために設置し、出口開口22側から入口開口21側に向く炉内ガス流Nを形成するものである。
このカーテン4は、図1に示すように、帯状の基材Xに押されることによって容易に撓むシート部材であり、出口開口22に設けられている。
そして、カーテン4は、出口開口22を塞いで開口部の断面積を狭くし、これによって反応炉2の出口開口22側の圧力を反応炉2の入口開口21側の圧力よりも相対的に高めることにより炉内ガス流Nを形成する。
つまり、本実施形態においてカーテン4は、水素ガスGの供給位置よりも出口開口22側に配置されて出口開口22側の流体抵抗を入口開口21側よりも高めることによって、炉内ガス流Nを形成する。
【0022】
なお、出口開口22における帯状の基材Xは、冷却部2cを通過しているものの、数百度の高温である。このため、カーテン4としては、帯状の基材Xと触れた際に損傷が生じない耐熱材料で形成することが好ましい。例えば、カーテン4は、ステンレス箔によって形成することができる。
【0023】
露点計5は、反応炉2の内部の露点を計測するものであり、本実施形態においては図1に示すように、上流側(入口開口21側)に位置する搬送室2a1に配置されている。
そして、このような露点計5は、水素ガス供給装置3と電気的に接続されており、計測した露点を示す信号(計測結果)を出力する。
【0024】
水素濃度計6は、反応炉2の内部の水素濃度を計測するものであり、本実施形態においては図1に示すように、上流側(入口開口21側)に位置する搬送室2a1に配置されている。
そして、このような水素濃度計6は、水素ガス供給装置3と電気的に接続されており、計測した水素濃度を示す信号(計測結果)を出力する。
【0025】
次に、このように構成された本実施形態の連続式加熱炉1の動作(水素還元方法)について説明する。
なお、本実施形態の連続式加熱炉1においては、帯状の基材Xが、入口開口21側の搬送ローラ2dにて搬送されて、反応炉2の入口開口21から連続的に反応炉2の内部に取り込まれ、出口開口22側の搬送ローラ2dにて搬送されて、反応炉2の出口開口22から連続的に反応炉2の外部に排出される。
【0026】
反応炉2の入口開口21から反応炉2の内部に取り込まれた帯状の基材Xは、搬送ローラ2a2にて搬送されつつ、加熱室2b2内で加熱処理される。これによって、帯状の基材Xの表裏面に付着されたロウ材組成を有する粉末が焼結処理または溶融処理される。
続いて、帯状の基材Xは、冷却室2c1内で冷却処理される。焼結処理または溶融処理されたロウ材組成を有する粉末部は、冷却処理によって、帯状の基材Xの表裏面にクラッド層として固着形成される。
【0027】
一方、反応炉2の内部には、水素ガス供給装置3から水素ガスGが供給され、水素ガスGで満たされる。このため、帯状の基材Xの温度が最も高温になる領域で、還元反応が進行する。
より詳細には、当該還元処理によって、帯状の基材X及びロウ材組成を有する粉末に含まれる酸化物(特に、クロム酸化物)の還元反応が進行する。
このため、帯状の基材Xに対して良好に固着されたクラッド層を有するクラッドシートが製造される。
【0028】
また、反応炉2の出口開口22にカーテン4が設けられているため、反応炉2の内部の出口開口22側の圧力が高まり、出口開口22側から入口開口21側に流れる水素ガスG及び還元反応により発生した水蒸気等の炉内ガス流Nが形成される。つまり、本実施形態の連続式加熱炉1及び水素還元方法では、還元反応領域にて反応炉2の出口開口22側から入口開口21側に向けて炉内ガス流Nが形成される。
この結果、還元処理によって発生した水蒸気は、炉内ガス流Nと共に反応炉2の出口開口22側から入口開口21側に向かって流れる。帯状の基材X及びロウ材組成を有する粉末に対する還元処理は、反応炉2の出口開口22側に寄るに連れて進むことから、炉内ガス流Nによって水蒸気が入口開口21側に流れることによって、還元処理が進行中の領域及び還元処理が完了した領域における水蒸気濃度を低減させ、還元処理が進んだ帯状の基材Xが水蒸気との反応によって酸化されることを防ぐことができる。
【0029】
以上のように、本実施形態の連続式加熱炉1及び水素還元方法によれば、還元処理が進んだ帯状の基材Xが水蒸気と酸化反応することを防ぐことができ、還元処理により発生した水蒸気によって再び帯状の基材Xが酸化することを防止することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態の連続式加熱炉1においては、出口開口22にカーテン4を設置することによって炉内ガス流Nを形成する構成を採用している。このため、簡易な構成で炉内ガス流Nを形成することができる。
【0031】
また、本実施形態の連続式加熱炉1においては、水素ガス供給装置3が、還元反応領域の下流端で、かつ、酸化反応領域の下流端が位置する箇所から反応炉2に水素ガスGを供給する。
このため、還元処理が完了した領域および還元反応領域に対して常に水素濃度の高い(すなわち水蒸気濃度の低い)水素ガスを供給することができ、より確実に帯状の基材Xが酸化することを防止することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態の連続式加熱炉1においては、露点計5の計測結果と水素濃度計6の計測結果とに基づいて反応炉2への水素ガスGの供給量を調節する。
このため、反応炉2に供給する水素ガスGの供給量を常に還元処理に適した量に合わせることが可能となる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0034】
図2に示すように、本実施形態の連続式加熱炉1Aは、上記第1実施形態の連続式加熱炉1が備えるカーテン4に換えて、吸引ポンプのような炉内ガス吸引装置7(ガス流形成手段)を備えている。
この炉内ガス吸引装置7は、上記カーテン4と同様に、出口開口22側から入口開口21側に向く炉内ガス流Nを形成するものである。
【0035】
より詳細には、炉内ガス吸引装置7は、還元反応領域よりも入口開口21寄りで反応炉2に接続されている。
そして、炉内ガス吸引装置7は、反応炉2の内部の気体を引き抜くことによって、反応炉2の入口開口21側の圧力を反応炉2の出口開口22側の圧力よりも低くし、これによって炉内ガス流Nを形成する。
【0036】
このような構成を採用する本実施形態の連続式加熱炉1Aによれば、上記第1実施形態の連続式加熱炉1と同様に、入口開口21側から出口開口22側に流れる炉内ガス流Nによって、帯状の基材Xが酸化することを防止することが可能となる。
【0037】
さらに、本実施形態の連続式加熱炉1Aによれば、炉内ガス吸引装置7を用いて反応炉2から気体を強制排気することによって炉内ガス流Nを形成している。
このため、より確実に炉内ガス流Nを形成することができ、還元処理が完了した領域および還元反応領域の水蒸気濃度を低下させて帯状の基材Xが酸化することを防止することが可能となる。
【0038】
なお、炉内ガス吸引装置7で吸引した気体には、水素ガス供給装置3から反応炉2に供給した水素ガスが多く残存するため、水素ガスを他の成分(例えば水蒸気)から分離し、再び反応炉2に戻しても良い。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、帯状の基材Xがステンレス鋼である構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、帯状の基材Xが水素を用いて還元可能であり、かつ当該還元によって発生する水蒸気によって再び酸化する金属板であれば適用することができる。
【0041】
また、上記実施形態においては、露点計5と水素濃度計6とを備え、これらの計測結果から水素ガスGの供給量を設定する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、露点計5及び水素濃度計6のいずれか一方のみを設置する構成を採用することもできる。
また、露点計5と水素濃度計6の配置位置も変更することが可能である。
【0042】
また、本発明においては、上述のカーテン4と炉内ガス吸引装置7の両方を用いる構成を採用することも可能である。
また、カーテン4の配置位置は、水素ガスGの供給位置よりも下流側であればよく、例えば、図3に示すように、冷却室2cの内部とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1……連続式加熱炉、2……反応炉(図の斜線部分)、3……水素ガス供給装置(水素ガス供給手段)、4……カーテン(ガス流形成手段)、5……露点計、6……水素濃度計、7……炉内ガス吸引装置(ガス流形成手段)、21……入口開口、22……出口開口、G……水素ガス、X……帯状の基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口から出口開口に通過する金属板を水素雰囲気中で加熱処理することによって前記金属板に含まれる酸化物を還元処理する反応炉と、
前記反応炉に水素ガスを供給する水素ガス供給手段と、
前記水素ガス供給手段により前記反応炉に供給された前記水素ガスが前記出口開口側から前記入口開口側へと流れるような炉内ガス流を形成するガス流形成手段と
を備えることを特徴とする連続式加熱炉。
【請求項2】
前記水素ガス供給手段は、前記酸化物の還元反応が起こる還元反応領域よりも前記出口開口側から、前記反応炉に水素ガスを供給することを特徴とする請求項1記載の連続式加熱炉。
【請求項3】
前記ガス流形成手段は、前記酸化物の還元反応が起こる還元反応領域よりも前記入口開口側の圧力に対して、前記還元反応領域よりもが前記出口開口側の圧力が相対的に高くなるように、前記反応炉内の上流と下流とで圧力差を形成することにより、前記炉内ガス流を形成することを特徴とする請求項1または2記載の連続式加熱炉。
【請求項4】
前記ガス流形成手段は、前記反応炉内の前記炉内ガス流の前記出口開口側に向かう方向の流体抵抗を高めるために、前記水素ガスの供給位置よりも前記出口開口側における前記反応炉内の最小断面積を、前記水素ガスの供給位置よりも前記入口開口側における前記反応炉内の最小断面積よりも、相対的に小さくすることを特徴とする請求項3記載の連続式加熱炉。
【請求項5】
前記ガス流形成手段は、前記酸化物の還元反応が起こる還元反応領域よりも前記入口開口側で前記反応炉に接続される炉内ガス吸引装置であることを特徴とする請求項3記載の連続式加熱炉。
【請求項6】
前記反応炉の内部の露点を計測する露点計または前記反応炉の内部の水素濃度を計測する水素濃度計またはこれら両者を備え、
前記水素ガス供給手段は、前記露点計または前記水素濃度計の少なくとも一方の計測結果に基づいて前記水素ガスの供給量を設定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の連続式加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233238(P2012−233238A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103139(P2011−103139)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】