説明

連続成形機におけるロールライン

連続成形機におけるロールラインを開示する。少なくとも二つのセグメントロールライン(1,2)が鋼材を移送するために設けられる。各セグメントロールライン(1,2)は、ロール体(3,4)と、ロール体(3,4)を支持するためのベアリング(5)と、ベアリング収容部(6)とを備える。ロール体(3,4)は、二つの軸端部(7,8,9,10)およびリング(11)を有する。セグメントロールライン(1,2)の隣接軸端部(8,9)は、少なくとも部分的にリングの貫通孔内に配置されており、かつトルク伝達要素(t1)を介して接続されている。トルク伝達要素(T1)を潤滑化するために潤滑油を収容するための密閉室(12)が設けられている。密閉室(12)は貫通孔内にありかつリング(11)と第1および第2の隣接軸端部(8,9)の周表面との間に配置された封止要素(s1,s2)によって密閉されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材の連続成形に関するものである。より詳細には、本発明は連続成形機におけるロールラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼材の連続成形は、高温かつ大きな温度変化によって特徴付けられる、要求の多いプロセスである。さらに鋼材ストランドの水冷およびスチームは非常に腐食性のある環境をもたらすものである。駆動されるロールラインに応じて、ロールラインはいくつかのセグメントに区分されており、そこでは機械的連結によってそのセグメントを接続させることが必要となっている。これら機械的連結は、多くの場合グリースによって潤滑化させられている。この連結は、この連結を確実にしかつ保持するために、連続して潤滑化させられる。
【0003】
当該技術分野において、適切な潤滑を提供するために潤滑システムを使用することが公知となっている。潤滑システムは、潤滑油の導入および排出のためのパイプおよび潤滑油ポンプを備える。潤滑システムに関する限定的な事項として、パイプおよび/またはポンプの損傷などの潤滑システムがダメージを受けるという可能性があることが挙げられる。もしこのようなことが起こった場合、連結部は潤滑されないようになり、程度の低い連結しか実施されなくなるか、さらには連結自体が得られなくなってしまう恐れがある。加えて潤滑システムは、連続成形機における不必要な空間を占めるものでもある。また潤滑システムは例えば故障時においては環境に悪影響を及ぼすことがある。さらに潤滑システムは大量の潤滑油を消費する。
【0004】
したがって、1)運転信頼性、2)環境性、3)ロールライン/連続成形機における空間の節約性、および4)潤滑油の使用におけるより良い効率性を得るなどの理由により潤滑システムを設けないという解決策を有することが利点となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によって連続成形機のためのロールラインが提供される。本発明は、潤滑システムを使用しない(つまり再潤滑が不要な)ロールラインを有するという解決策を提供する。それゆえ、一度のみの潤滑を伴うロールラインを提供することが求められている。本発明の効果として、1)潤滑システムを必要としないため、運転信頼性が増大されること、2)環境に対して良い影響をもたらすこと、3)例えば小型性のレベルまたは負荷を増大させる性質をもたらす、連続成形機に関する空間が省略されること、ならびに4)潤滑油の有用性が改善されることが挙げられる。これらは本発明によって得られる。
【0006】
ロールラインは、鋼材を移送するための、少なくとも一つの軸線に沿って配置された少なくとも二つのセグメントロールラインを備えている。各セグメントロールラインは、鋼材を支持するように鋼材と接触するロール体と、ロール体を支持するためのベアリングと、ベアリングを収容するためのベアリングハウジングとを備えており、ロール体は二つの軸端部を有している。さらにロールラインは貫通孔が形成されたリングを備えており、少なくとも二つのセグメントロールラインの第1および第2の隣接軸端部は、少なくとも部分的にリングの貫通孔内に位置させられ、第1の隣接軸端部と第2の隣接軸端部とは、少なくとも一つのトルク伝達要素を介して接続されている。
【0007】
一実施形態において、リングは好ましくは一体部材から構成されている。リングが例えば二つの部材から構成されている場合には、より空間を消費する解決法が導かれるだろう。さらにロールラインは、少なくとも一つのトルク伝達要素を潤滑するべく潤滑油を収容するための密閉室を備えており、密閉室は、貫通孔内にありかつリングと第1および第2の隣接軸端部の周表面との間に配置された封止要素によって密閉されており、かつ封止要素の少なくとも一つと、少なくとも一つの封止要素が封止する表面との間で相対的な軸移動が可能となっている。本発明は、少なくとも一つのトルク伝達要素の不必要性を導くものである。密閉室は、ロールラインの耐用期間中は少なくとも一つのトルク伝達要素と接続して潤滑油を保持する。このため、再潤滑システムは必要とされない。さらにこのロールラインは潤滑油を移送するためのパイプおよびポンプが存在しないため、公知のロールラインよりもコンパクトとなる。
【0008】
一実施形態において、ロールラインは、第1の隣接軸端部の周表面とリングとの間に第1の中間リングをさらに備えている。トルクを伝達するために、第1の隣接軸端部と第2の隣接軸端部との間に少なくとも三つのトルク伝達要素が設けられている。この第1のトルク伝達要素は、第2の隣接軸端部の周表面とリングとの間のトルクを伝達する。この第2のトルク伝達要素は、第1の中間リングとリングとの間のトルクを伝達する。この第3のトルク伝達要素は、第1の中間リングと第1の隣接軸端部の周表面とリングとの間でトルクを伝達する。中間リングはいくつかの利点を有するものであってもよい。例えば、ロールラインにおいて伝達されるトルクが高い場合、トルク伝達要素における力を低減させるより大きな「てこ作用」を有することが良好であろう。
【0009】
一実施形態において、ロールラインが第1の中間リングを備える場合、密閉室は、
−a)第2の隣接軸端部の周表面とリングとの間に配置された第1の封止要素、
−b)第1の中間リングとリングとの間に配置された第2の封止要素、
−c1)中間リングと第1の隣接軸端部の周表面のひとつとの間に配置された第3の封止要素、あるいは、
−c2)第2の隣接軸端部の軸方向側面、
によって密閉されている。
【0010】
一実施形態において、ロールラインが第1の中間リングを備えている場合、ロールラインは、
− 第2の隣接軸の周表面とリングとの間の第2の中間リング、
− 第1の隣接軸端部と第2の隣接軸端部との間のトルクを伝達するための第4のトルク伝達要素であって、第2の中間リングと第2の隣接軸端部の周表面との間でトルクを伝達する第4のトルク伝達要素、および、
− 第1のトルク伝達要素が第2の中間リングとリングとの間でトルクを伝達する構成、をさらに備えている。第2の中間リングは、少なくとも二つのセグメントロールラインの間の接続性をさらに改善しうる。上述したように中間リングは例えば、より大きな「てこ作用」を実現することに関して有利であるが、以下に述べる他の理由からも良好と言える。
【0011】
一実施形態において、ロールラインは第1および第2の中間リングを備えており、密閉室は:
−a)第2の中間リングとリングとの間に配置された第1の封止要素、
−b)第1の中間リングとリングとの間に配置された第2の封止要素、
ならびに以下のうちのひとつ、すなわち、
−c1)第1の中間リングと第2の中間リングとの間に配置された第3の封止要素、あるいは、
−c2)第1の中間リングと第1の隣接軸端部の外周表面との間に配置された第3の封止要素、および第2の中間リングと第2の隣接軸端部の外周表面との間に配置された第4の封止要素、
によって密閉されている。
【0012】
一実施形態において、第1および第2の隣接軸端部を角度がついた非整列状態へもたらし得るようにするために、少なくとも一つのトルク伝達要素が設けられている。例えば、リングと隣接軸端部との間に中間リングが設けられた場合、中間リングとリングとの間の複数のトルク伝達要素のうちのいずれかあるいは両方が、二つの隣接軸端部間に非整列状態をもたらし得るよう構成されてもよい。例えば、トルク伝達要素はカーブ状の歯部/スプラインであってもよいが、トルク伝達要素は他の非整列状態をもたらし得るデザインであってもよい。
【0013】
一実施形態において、ロールラインは、密閉室に接続する可動部を有する圧力補償手段をさらに備えている。密閉室における圧力変化は可動部を動作させるようにする。高い圧力変化を含む苛酷な環境が原因となって潤滑油の体積は変化しうる。そのため圧力が増大しすぎないように密閉室内の容積が変化することが必要となる。圧力が増大しすぎると、潤滑油は封止要素のある位置で密閉室から漏出する。圧力補償手段は密閉室から潤滑油が漏出しないことを確実なものとする。ゆえに、密閉室における圧力変化は密閉室における容積の変化を引き起こすようになっている。
【0014】
一実施形態において、圧力補償手段の可動部は少なくとも一つの弾性膜あるいは前後に移動可能なピストンによって構成されている。代替例として例えば前後に移動可能なピストンを含むダンピング手段が挙げられる。一実施形態において、可動部は封止部上に位置する。「可動部」との語は、少なくとも一つの動作可能な部分が存在することを意味しており、例えば上述したように膜が設けられてもよく、このものにおいて、可動部は圧力の増大または低減に応じて内側にまたは外側にふくらむ部分である。
【0015】
一実施形態において、圧力補償手段は、可動部の動作中にエネルギーを吸収/放出できるエネルギー吸収/放出手段を備えている。それゆえこの実施形態において、可動部はエネルギーを貯めておくことができる。さらなる実施形態において、エネルギー吸収/放出手段がエネルギーを放出した場合、潤滑油は少なくとも一つのトルク伝達要素へと押し進められる。したがって、圧力補償手段の可動部が密閉室内の容積を増加させるように動作させられると、圧力補償手段はエネルギーを吸収する。このエネルギーは、圧力が低下したときに、すなわち潤滑油の体積が低下したときに、潤滑油を元に戻すように使用される。このため、潤滑油の体積が低下した後に、少なくとも一つのトルク伝達要素が潤滑化されることが確実なものとなる。
【0016】
一実施形態において、圧力補償手段の可動部は、少なくとも一つの弾性膜あるいはスプリングに接続されたピストンによって構成されている。潤滑油の漏出がない状態を確実なものとするために、膜またはスプリングに吸収されたエネルギーから生じる密閉室における圧力が、封止要素を開放するのに要求される圧力以下である必要がある。
【0017】
一実施形態において、圧力補償手段の可動部は、
− リングの外面の外側、あるいはリングの貫通孔内部、に配置されている。
【0018】
一実施形態において、少なくとも一つのトルク伝達手段は、
− スプライン、非円形接続部、側面スプライン、または雄/雌接続部のいずれかひとつである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】二つのセグメントロールラインを示すロールラインの横断面図である。
【図2】本発明のロールラインの一実施形態の横断面図である。
【図3】本発明のロールラインの他の実施形態の横断面図である。
【図4】本発明の圧力補償手段の実施例を含む、ロールラインの他の実施形態の横断面図である。
【図5】本発明の圧力補償手段の実施例を含む、ロールラインの他の実施形態の横断面図である。
【図6】トルク伝達手段としてスプラインを備える二つの中間リングを含む、本発明の他の実施形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、本発明によるロールラインの横断面図を示す。ロールラインは、鋼材を移送するための、一つの軸線Aに沿って配置された少なくとも二つのセグメントロールライン1,2を備える。各セグメントロールラインは、鋼材と支持状態と接触するロール体3,4と、ロール体3,4を支持するためのベアリング5と、ベアリング5を収容するためのベアリングハウジング6とを備えており、ロール体3,4は二つの軸端部7,8,9,10を有している。ロールラインはさらに貫通孔Aが存在するリング11を備える。少なくとも二つのセグメントロールライン1,2の第1および第2の隣接軸端部8,9は、少なくとも部分的にリング11の貫通孔内部に位置している。第1および第2の隣接軸端部8,9は、少なくとも一つのトルク伝達手段t1と接続されている。少なくとも一つのトルク伝達手段t1は、さまざまな様式で設計されていてもよい。例えばトルク伝達手段はスプライン/歯部、側面スプライン、あるいは雄/雌連結部であってもよい。側面スプラインとは、二つの隣接した軸端部8,9の端面に配置されるスプラインコネクションを意味する。さらにロールラインは、少なくとも一つのトルク伝達要素t1を潤滑化させるための潤滑油を収容するべく、密閉室12を備える。密閉室12は、貫通孔内にあり、かつリングと第1および第2の隣接軸端部の周表面との間に配置された封止要素s1,s2によって密閉されている。封止要素s1,s2の少なくとも一方と、少なくとも一つの封止要素s1,s2が密閉する表面のうちの一つとの間で、相対的な軸移動が可能となっている。
【0021】
図2には、二つの隣接軸端部8,9の間の接続状態の一実施形態の横断面図を示す。この実施形態において、リング11と第1の隣接軸端部8との間に第1の中間リング13が配置されている。第1のトルク伝達要素t1はリングと第2の隣接軸端部9との間に配置されており、第2のトルク伝達要素t2はリング11と第1の中間リング13との間に配置されており、第3のトルク伝達要素t3は第1の中間リング13と第1の隣接軸端部8との間に配置されている。これらトルク伝達要素は例えばスプラインであってもよい。またトルク伝達手段は非整列状態を可能とするものであってもよい。例えばトルク伝達要素t2は、非整列状態を可能にする屈曲歯部コネクションであってもよい。さらに封止要素s1,s2およびs3は密閉室12を形成する。封止部s1はリング11と第2の隣接軸端部9との間を封止しており、封止部s2はリング11と第1の中間リング13との間を封止しており、封止部s3は第1の中間リング13と第1の隣接軸端部8との間を封止している。一実施形態において、封止部s3は、第1の中間リング13と第2の隣接軸端部9の側面との間で封止しているが、これについては図示していない。
【0022】
図3には、二つの隣接軸端部8,9の間の接続状態の他の実施形態の拡大横断面図を示す。この実施形態において、第1および第2の中間リング13,14は、リングと二つの隣接軸端部8,9との間の間に設けられている。第1のトルク伝達要素t1は、リングと第2の中間リング14との間に設けられており、第2のトルク伝達要素t2は、リング11と第1の中間リング13との間に設けられており、第3のトルク伝達要素t3は、第1の中間リング13と第1の隣接軸端部8との間に設けられており、かつ、第4のトルク伝達手段t4は、第2の中間リング14と第2の隣接軸端部9との間に設けられている。さらに封止要素s1,s2,s3およびs4が密閉室12を構成している。封止部s1は、リング11と第2の中間リング14との間を封止し、封止部s2は、リング11と第1の中間リング13との間を封止し、封止部s3は、第1の中間リング13と第1の隣接端部8との間を封止し、かつ封止部s4は、第2の中間リング14と第2の隣接端部9との間を封止している。一実施形態においては三つの封止部のみが設けられている。そうした実施形態において、封止部s3およびs4の代わりに、封止部s1およびs2が図3に示されるように封止しており、第1および第2の中間リング13および14の間を封止する第3の封止部が設けられており、第3の封止部は、第1および第2のトルク伝達手段t1およびt2のための密閉室を形成するものである。ある状況においては、トルク伝達要素のいくつかの潤滑が行われればよい。例えば第2および第2のトルク伝達要素t1およびt2が二つの軸隣接端部8,9が整列しないことを許容し、かつトルク伝達要素t3,t4が二つの軸隣接端部8,9が整列しないことを許容しない場合、トルク伝達要素t1およびt4の潤滑を行うことのみが必要となり得る。
【0023】
図4には、二つの隣接軸端部8,9の間の接続状態の二つの実施形態の拡大断面図を示す。これらの実施形態において、圧力補償手段15がリング11にあるいは隣接軸端部8に設けられている。これらの実施形態における圧力補償手段15は膜である。圧力補償手段は可動部16を備えており、この実施形態においては、可動部16は、圧力補償手段15と同じものである。こうした場合において、圧力補償手段はリング11に設けられている場合、圧力補償手段と密閉室12との間には接続部、穴が存在する。圧力補償手段15は隣接軸端部9上にも設けられてよい。圧力補償手段15はエネルギー吸収/放出手段を有していてもよい。膜15が弾性を有する場合、膜15は、潤滑油の体積が減少した場合に潤滑油を押し戻すべくエネルギーを使用するためにエネルギーを吸収するものであってもよい。あるいは、エネルギー吸収/放出手段はスプリングによって支持されたポジションに設けられている。
【0024】
図5には、二つの隣接軸端部8,9の間の接続部の他の実施形態の拡大断面図を示す。圧力補償手段15は隣接軸端部8上に設けられている。この実施形態において、可動部16は、圧力変化に応じて動作可能な、密閉室12の容積変化をもたらすピストンである。さらにこの実施形態において、スプリング17は、可動部16の動作中にエネルギーを吸収/放出するために可動部16に接続されている。他の実施形態においては、圧力補償手段15は、エネルギーを吸収/放出する能力を持たないダンパー(緩衝器)であってもよい。他の実施形態において圧力補償手段15は、封止要素のうちの少なくとも一つの中に含まれていてもよく、それはエネルギーを吸収/放出する能力を有していても、有していなくともよい。
【0025】
図6には、本発明の実施形態の拡大断面図を示す。二つの隣接軸端部8,9と、リング11と、二つの中間リング13,14と、トルク伝達手段t1,t2,t3およびt4は設けられている。さらに封止要素s1,s2,s3,s3’およびs4が図示されている。一実施形態において、三つの封止要素(s1,s2およびs3’)が設けられている。この実施形態では図6に示される封止要素s3およびs4は存在しない。加えてトルク伝達手段t1およびt2は潤滑油を収容するための密閉室内に配置されており、かつトルク伝達手段t3およびt4は密閉室の外側に設けられている。いくつかの場合においては、トルク伝達要素t1およびt2の潤滑を行うことだけが必要とされており、特にトルク伝達要素t1およびt2が不整列を許容する場合、この実施形態においては、トルク伝達要素t1およびt2の潤滑が行われる(トルク伝達手段1およびt2は隣接軸端部8,9の不整列を許容するために屈曲した形状を有するスプラインを備えている)。封止要素s3’に関して、封止効果が影響を受けないように軸方向の大きな変位を許容できることが重要となり得る。例えば封止要素s3’は、軸方向の変位を許容するよう軸方向に屈曲可能なV字形状を有する封止部であってもよい。他の実施形態においては封止要素s1,s2,s3およびs4は設けられているが、封止要素3’は存在しない。この場合において、すべてのトルク伝達要素が、潤滑油を収容するための密閉室内に設けられている。さらに伝達手段t3およびt4はこの図においては屈曲形状を有していないスプラインとなっている。ただし伝達手段t3およびt4は屈曲形状を有するスプラインであってもよい。加えて、圧力補償手段15が図示されている。一実施形態において、圧力補償手段15はリング11に設けられている。他の実施形態においては、圧力補償手段15は隣接軸端部の一方に組み込まれていてもよい(この場合は軸端部8)。他の実施形態においては、図示されているように二つの圧力補償手段15が設けられている。この図面に関するすべての実施形態において圧力補償手段は膜であり、ゆえに可動部16も膜である。この膜は弾性を有しており、それによって、密閉室内の潤滑油の体積が低下したときに潤滑油を押し戻すために、エネルギーが吸収/放出されるようになる。この実施形態において圧力補償手段15は軸8,9の孔内に設けられていてもよい。この実施形態において、圧力補償手段15は膜でありかつリング11に設けられているか、あるいは膜はリングの全周にわたってまたはリングの一部にわたって延在していてもよい。膜はプランジャーであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1,2 セグメントロールライン
3,4 ロール体
5 ベアリング
6 ベアリングハウジング
7 隣接軸端部
8 第1の隣接軸端部
9 第2の隣接軸端部
10 隣接軸端部
11 リング
12 密閉室
13 第1の中間リング
14 第2の中間リング
15 圧力補償手段
16 可動部
17 スプリング
s1,s2,s3,s3’,s4 封止要素
t1 第1のトルク伝達手段
t2 第2のトルク伝達手段
t3 第3のトルク伝達手段
t4 トルク伝達手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続成形機におけるロールラインであって、
前記ロールラインは:
− 鋼材を移送するための、一つの軸線(A)に沿って配置された少なくとも二つのセグメントロールライン(1,2)であって、前記セグメントロールライン(1,2)のそれぞれが、前記鋼材と支持可能な状態で接触するロール体(3,4)と、前記ロール体(3,4)を支持するためのベアリング(5)と、前記ベアリング(5)を収容するためのベアリングハウジング(6)とを具備してなり、前記ロール体(3,4)が二つの軸端部(7,8,9,10)とを有するようになっている、少なくとも二つのセグメントロールライン(1,2)と
− 貫通孔が設けられたリング(11)と、
− 前記少なくとも二つのセグメントロールライン(1,2)の第1および第2の隣接軸端部(8,9)であって、少なくとも部分的に前記リング(11)の前記貫通孔内に位置させられ、前記第1および第2の隣接軸端部(8,9)は少なくとも一つのトルク伝達要素(t1)を介して接続されている、第1および第2の隣接軸端部(8,9)と、
− 前記少なくとも一つのトルク伝達要素(t1)を潤滑化させるための潤滑油を収容するための密閉室(12)であって、前記密閉室(12)は、前記貫通孔内に位置させられており、かつ前記リング(11)と前記第1および第2の隣接軸端部(8,9)の周表面との間に配置された封止要素(s1,s2)によって密閉されている、密閉室(12)と、
を具備してなり、
− 前記封止要素(s1,s2)のうちの少なくとも一方と、前記少なくとも一つの封止要素(s1,s2)が密閉する前記表面の一方との間で相対軸動作が可能となっていることを特徴とするロールライン。
【請求項2】
− 前記第1の隣接軸端部(8)の周表面と前記リング(11)との間における第1の中間リング(13)と、前記第1および第2の隣接軸端部(8,9)の間のトルクを伝達するための少なくとも三つのトルク伝達要素(t1,t2,t3)と、をさらに具備してなり、
− 前記第1のトルク伝達要素(t1)は、前記第2の隣接軸端部(9)の前記周表面と前記リング(11)との間のトルクを伝達し、
− 前記第2のトルク伝達要素(t2)は、前記第1の中間リング(13)と前記リング(11)との間のトルクを伝達し、かつ、
− 前記第3のトルク伝達要素(t1)は、前記第1の中間リング(13)と前記第1の隣接軸端部(8)の前記周表面との間のトルクを伝達するものであることを特徴とする請求項1に記載のロールライン。
【請求項3】
前記密閉室(12)は、
−a) 前記第2の隣接軸端部(9)の前記周表面と前記リング(11)との間に配置された第1の封止要素(s1)と、
−b) 前記第1の中間リング(13)と前記リング(11)との間に配置された第2の封止要素(s2)と、
−c1) 前記中間リング(13)と前記第1の隣接軸端部(8)の前記周表面の一方との間に配置された第3の封止要素(s3)、あるいは、−c2) 前記第2の隣接軸端部(9)の軸方向側面と、
によって密閉されていることを特徴とする請求項2に記載のロールライン。
【請求項4】
− 第2の隣接軸端部(9)の前記周表面と前記リング(11)との間における第2の中間リング(14)と、
− 前記第1および第2の隣接軸端部(8,9)の間でトルクを伝達するための第4のトルク伝達要素(t4)であって、前記第2の中間リング(14)と前記第2の隣接軸端部(9)の前記周表面との間のトルクを伝達する前記第4のトルク伝達要素(t4)と、
をさらに具備してなり、かつ、
− 前記第1のトルク伝達要素(t1)は、前記第2の中間リング(14)と前記リング(11)との間のトルクを伝達するものであることを特徴とする請求項2に記載のロールライン。
【請求項5】
前記密閉室(12)は、
−a) 前記第2の中間リング(14)と前記リング(11)との間に配置された第1の封止要素(s1)と:
−b) 前記第1の中間リング(13)と前記リング(11)との間に配置された第2の封止要素(s2)と:
−c1) 前記第1および第2の中間リング(13,14)の間に配置された第3の封止要素(s3)、あるいは、
−c2) 前記第1の中間リング(11)と前記第1の隣接軸端部(8)の前記周表面との間に配置された第3の封止要素(s3)、および、第2の中間リング(14)と第2の隣接軸端部(9)の前記周表面との間に配置された第4の封止要素(s4)、
のうちの一方と:
によって密閉されていることを特徴とする請求項4に記載のロールライン。
【請求項6】
前記少なくとも一つのトルク伝達要素(t1,t2,t3,t4)は、前記第1または第2の隣接軸端部(8,9)が不整列状態となることを許容するために設けられていることを特徴とする請求項1に記載のロールライン。
【請求項7】
− 前記密閉室(12)と接続された可動部(16)を具備してなる圧力補償手段(15)をさらに具備してなり、このものにおいて、前記密閉室(12)における圧力変化が可動部(16)の動作を引き起こすようになっていることを特徴とする請求項1に記載のロールライン。
【請求項8】
前記圧力補償手段(15)は、前記可動部(16)の作動中にエネルギーを吸収/放出できるエネルギー吸収/放出手段を具備してなることを特徴とする請求項7に記載のロールライン。
【請求項9】
前記エネルギー吸収/放出手段はエネルギーを放出するとき、潤滑油は、少なくとも一つのトルク伝達要素(t1,t2,t3,t4)の方へ押されるようになっていることを特徴とする請求項8に記載のロールライン。
【請求項10】
前記可動部(16)は
− 弾性膜、あるいは、
− ピストン:
のうちの少なくとも一つによって構成されていることを特徴とする請求項7に記載のロールライン。
【請求項11】
前記可動部(16)は
− 弾性膜、あるいは、
− スプリングに接続されたピストン:
のうちの少なくとも一つによって構成されていることを特徴とする請求項8に記載のロールライン。
【請求項12】
前記可動部(16)は、
− 前記リング(11)の外面の外側、あるいは、
− 前記リング(11)の貫通孔内、
におけるポジションに配置されていることを特徴とする請求項7に記載のロールライン。
【請求項13】
少なくとも一つのトルク伝達要素(t1,t2,t3,t4)は、
− スプライン、
− 非円形接続部、
− 側面スプライン、あるいは、
− 雄/雌接続部、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のロールライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−527660(P2011−527660A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517375(P2011−517375)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000245
【国際公開番号】WO2010/005354
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(508282993)アクティエボラゲット・エスコーエッフ (42)
【Fターム(参考)】