説明

遊戯システム

【課題】カードの再利用と装置構成の簡易化とを実現する。
【解決手段】遊戯場内の各メダル貸出装置1において、金額価値がゼロのカードおよび貨幣を受け付けたとき、自装置の識別情報および受け付けた貨幣の金額に応じた金額価値を含む新規カード情報を作成し、この新規カード情報を自装置に登録するとともに、受け付けたカードに新規カード情報を書き込んで発行する。また、メダル貸出装置1が金額価値がゼロより大きいカードを受け付けた状態にあるときには、このカードのカード情報を登録情報と照合し、カード情報が適切であると判別したとき、このカードに記録された金額価値および登録情報中の金額価値を書き換えて、隣接するスロットマシン5へのメダルの貸出処理を実行する。また他のメダル貸出装置1が発行したカードを受け付けた場合には、発行元の装置との通信によりカード情報の照合や登録情報の書換えを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊戯場内において、情報記録部を有するカードに所定の金額価値を書き込んで発行する処理や、発行されたカードを受け付けて前記情報記録部に記録された金額価値に応じた遊戯媒体を遊戯機に貸し出すための遊戯システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリペイドカードの普及に伴い、パチンコホールなどの遊戯場でもプリペイドカードによりパチンコ玉やメダルなどの遊戯媒体を貸し出すようになっている。これらの遊戯場には、金額価値が記録されたプリペイドカードを発行する発券装置やこのプリペイドカードを受け付けて遊戯機に対する遊戯媒体の貸出しを行う遊戯媒体貸出装置が設けられており、顧客が自由に利用できるようになっている。
【0003】
上記の発券装置は、機体内部に、あらかじめ所定の金額価値が記録された磁気カード(以下、単に「カード」という)を多数枚収容するカード収容部を備えるとともに、機体前面に貨幣を投入するための貨幣投入口やカードの発行口などを具備している。
【0004】
前記貨幣投入口に貨幣が投入されると、カード収容部から1枚のカードが繰り出されて搬送路へと運ばれ、カード発行口から発行される。
この発行されたカードが遊戯媒体貸出装置のカード投入口に投入されると、装置内部の制御部は、カードに記録された金額価値を読み取った後、その金額価値情報から所定の金額価値を差し引いて情報の書換えを行うとともに、差し引いた金額価値に応じた遊戯媒体の貸出し処理を行う。
【0005】
上記の書換え処理を受けたカードは、不正使用を防止するために所定位置に穿孔処理などが施された後、外部へと搬出されるもので、このとき金額価値がゼロであれば、カードは廃棄などの処理を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなシステムでは、カード管理会社などの外部から多数枚のカードを購入して運営にあてているが、これらのカードはコスト高となる上、一度の使用で使い捨てられるので、遊戯場の経営効率が悪くなるという問題がある。
またカード発券装置にカード収容部を設ける必要があるため、機構が複雑化し、装置の導入コストも高くなるという問題もある。
【0007】
この発明は、上記問題に着目してなされたもので、機体内部に多数枚のカードを収容する必要がなくなる上、1枚のカードを何度でも再利用することができるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る遊戯システムは、遊戯機の隣に前記遊戯機に電気接続された状態で配備され、機体の前面に、情報記録部を有するカードの受付および受け付けたカードの返却のためのカード出入口と、貨幣を受け付けるための貨幣投入口とが設けられたカード処理装置が、複数台、それぞれ個別の識別情報が付与された状態で通信回線を介して接続されて成る。各カード処理装置は、自装置が発行したカードの情報記録部に記録されたカード情報の登録情報を記憶するための記憶手段と、金額価値がゼロとなったカードおよび貨幣をそれぞれ受け付けた状態にあるとき、自装置の識別情報および受け付けた貨幣の金額に応じた金額価値を含む新規カード情報を作成して、この新規カード情報を前記記憶手段に登録するとともに、受け付けたカードの情報記録部に前記新規カード情報を書き込んで発行する発行処理手段と、ゼロより大きい金額価値が記録されたカードを受け付けた状態にあるとき、このカードの情報記録部に記録されたカード情報の適否を判別し、カード情報が適切であると判別したとき、前記電気接続された遊戯機との通信によりこの遊戯機への遊戯媒体の貸出を行うとともに、受け付けたカードの情報記録部に記録されたカード情報の金額価値および当該カードの登録情報の金額価値を書き換える貸出処理手段と、前記カード出入口より受け付けたカードを、遊戯者の返却操作に応じてカード出入口に返却するカード返却手段と、他のカード処理装置から所定のカード情報の照合を要求する照合要求コマンドを受信したとき、このコマンドが示す照合対象のカード情報を自装置の記憶手段の登録情報と照合して、その照合結果に基づき前記照合対象のカード情報の適否を示す応答情報を、前記照合要求コマンドを送信したカード処理装置に返送する第1の応答手段と、他のカード処理装置から、自装置の記憶手段の登録情報中の金額価値を書き換えることを指示する書換え指示コマンドを受信したとき、このコマンドに応じて該当する登録情報の金額価値を書き換えた後に、書換えが終了した旨を示す応答情報を前記書換え指示コマンドを送信したカード処理装置に返送する第2の応答手段とを備える。
【0009】
前記貸出処理手段は、ゼロより大きい金額価値と自装置の識別情報とを含むカード情報が記録されているカードを受け付けた状態にあるときには、このカードのカード情報を自装置の記憶手段に記憶された登録情報と照合して当該カード情報の適否を判別し、当該カード情報が適切であると判別したとき、前記受け付けたカードの情報記録部および自装置の記憶手段に記憶されている当該カードの登録情報の各金額価値を、現在値から遊戯媒体の貸出数に応じた値を差し引いた値に書き換える。またゼロより大きい金額価値と他のカード処理装置の識別情報とを含むカードを受け付けた状態にあるときには、この識別情報が付与されたカード処理装置に前記照合要求コマンドを送信して当該カード処理装置からの応答情報を確認することにより前記カード情報の適否を判別し、当該カード情報が適切であると判別したとき、前記照合要求コマンドの送信対象としたカード処理装置に、前記受け付けたカードの登録情報の金額価値を現在値から前記遊戯媒体の貸出数に応じた値に差し引いた値に書き換える旨を指示する書換え指示コマンドを送信した後に、当該カード処理装置から前記書換えが終了した旨を示す応答情報を受信したことに応じて、前記受け付けたカードの情報記録部の金額価値を、現在値から前記遊戯媒体の貸出数に応じた値を差し引いた値に書き換える。
【0010】
上記の構成において、システム内の所定のカード処理装置が金額価値がゼロとなったカードおよび貨幣を受け付けたとき、このカード処理装置において、自装置の識別情報および受け付けた貨幣の金額に応じた金額価値を含む新規カード情報が作成され、この新規カード情報が当該カード処理装置の記憶手段に登録される。また、受け付けたカードの情報記録部に新規カード情報が書き込まれて発行される。
【0011】
発行されたカードを発行元の装置で受け付けた場合には、この装置において、自装置の記憶手段の登録情報により受け付けたカードのカード情報を照合してその適否を判別する。そしてカード情報が適切であると判別すると、電気接続された遊戯機との通信によりこの遊戯機への遊戯媒体の貸出処理を行うとともに、貸し出された遊戯媒体の数に応じて受け付けたカードの情報記録部および自装置の記憶手段に登録された当該カードの登録情報を書き換える。
【0012】
一方、発行されたカードを発行元以外のカード処理装置で受け付けた場合には、このカード処理装置では、受け付けたカードのカード情報中の識別情報に基づき、発行元のカード処理装置に照合要求コマンドを送信し、このコマンドに対する発行元のカード処理装置からの応答情報を確認することによりカード情報の適否を判別する。そしてカード情報が適切であると判別すると、発行元のカード処理装置に書換え指示コマンドを送信することによって、発行元の装置の記憶手段に登録された前記カードの登録情報の金額価値を書き換えさせる。そして、発行元のカード処理装置から上記の書換えが終了した旨を示す応答情報を受信したことに応じて、受け付けたカードの情報記録部の金額価値を書き換える。
【0013】
上記の処理によれば、使い切って金額価値がゼロとなったカードに新規のカード情報を書き込んで発行することができる。また発行されたカードは、発行元のカード処理装置に限らず、システム内の全てのカード処理装置で使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、情報記録部に記録された金額価値がゼロになったカードおよび貨幣を受け付けたカード処理装置において、受け付けた貨幣に応じた金額価値を含む新規のカード情報を作成し、この新規カード情報を自装置に登録するとともに、受け付けたカードの情報記録部に新規カード情報を書き込んで発行することにより、使い終わったカードを新たなカードとして使用できるようにしたから、カード処理装置の機体内部に多数枚のカードを収容する必要がなくなり、カードを何度でも再利用することが可能となる。よって、装置構成を簡易化できるとともに、カード運用コストを大幅に削減することが可能となる。
さらにこの発明では、カードの金額価値がゼロになったカードをカード処理装置内に再投入して、即座に新たなカードとして発行することが可能であり、遊戯者の利便性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施例にかかる遊戯システムの構成を示す説明図である。
【図2】メダル貸出装置の外観を示す斜面図である。
【図3】メダル貸出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】発券装置の外観を示す斜面図である。
【図5】発券装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】カード情報のデータ構成例を示す説明図である。
【図8】コマンド文のデータ構成例を示す説明図である。
【図9】カード情報を送信する際の送信情報の内容を示す説明図である。
【図10】応答文のデータ構成例を示す説明図である。
【図11】金額価値の書換え情報を送信する際の送信情報の内容を示す説明図である。
【図12】メダル貸出装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図13】発券装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、この発明の一実施例にかかる遊戯システムの構成を示す。
この遊戯システムは、特定の遊戯場内に配備された複数のメダル貸出装置1と発券装置2を、双方向型の通信回線L1により制御装置3に電気接続して成るもので、さらに制御装置3は、公衆回線などの通信回線L2を介してカード会社のセンター装置6に接続される。
【0017】
前記各メダル貸出装置1は、それぞれスロットマシン5に隣接して設けられており、各スロットマシン5とメダル貸出装置1との間は、コード線7により電気接続されている。各メダル貸出装置1は、プリペイドカードを発行すると共に、発行されたカードを受け付けて隣接するスロットマシン5へのメダルの貸出しを行うためのもので、機体前面には、紙幣投入口8とともに、カードの投入および返却を行うためのカード出入口9が設けられている。
【0018】
前記発券装置2は、プリペイドカードの発行専用機であって、前記メダル貸出装置1と同様、機体前面に紙幣投入口10やカード出入口11を備えている。
【0019】
この遊戯システムは、同じカードを何度も再利用するように構成されており、前記メダル貸出装置1や発券装置2は、紙幣投入口8,10より所定の紙幣(この実施例では千円札とする)を、カード出入口9,11より金額価値がゼロのカードを、それぞれ受け付けた後、このカードの情報記録部に、投入紙幣の金額に応じた金額価値,発券番号などのカード情報を書き込み、カード出入口9,11へと返却するよう構成されている。
【0020】
なお、上記の金額価値がゼロのカードは、遊戯客各人が所定金額(例えば百円)を預け入れるなどして遊戯場より交付されたものである。
【0021】
各メダル貸出装置1は、自装置の発行したカード以外に、他のメダル貸出装置1や発券装置2で発行されたカードも受け付け可能であり、カード出入口9より投入されたプリペイドカードからそのカードが保有する金額価値を含む記録情報(以下「カード情報」という)を読み取って、後述する照合処理を行なう。この結果、投入されたカードが適正なプリペイドカードであったとき、メダル貸出装置1の制御部は、このプリペイドカードから差し引く金額価値(以下これを「差引き金額データ」という)を所定の度数に変換する。
【0022】
各スロットマシン5は、周面に複数の図柄がそれぞれ表示された3個のリール(図示せず)を備えており、その前面には、始動レバー12,リール毎の停止釦スイッチ13,メダル貸出スイッチ14,度数表示器15,メダル枚数表示器16などが設けられるとともに、機内には、CPUを制御主体として構成各部を電気制御する制御回路部17が組み込まれている。
【0023】
前記度数表示器15はメダル貸出装置1と電気接続されており、メダル貸出装置1で前記差引金額データの度数変換処理が行われたとき、この度数データを表示する。このとき遊戯者によりメダル貸出スイッチ14が押操作されると、制御回路部17は、メダル貸出装置1側の制御部に制御信号を出力する。
【0024】
この制御信号が入力されると、メダル貸出装置1の制御部では、前記差引き金額データを用いてカードに記憶されたカード情報の書換え処理を行うとともに、スロットマシン5の回路制御部17に処理終了を示す制御信号を伝送する。制御回路部17は、この制御信号を受けて機体を前記度数データ分のメダルが投入された状態に設定し、ゲームの開始に待機する。
【0025】
なお、メダル貸出装置1には必ずしもスロットマシン5に電気接続するタイプのものを用いる必要はなく、プリペイドカードの投入に応じて実物のメダルを貸し出す構成の装置を用いても良い。
【0026】
制御装置3は、各メダル貸出装置1や発券装置2で発行されたカードのカード情報を適宜受信するほか、各装置におけるカード利用数や精算金額などのデータを受信して処理し、その処理結果をモニタ18などに出力する。またこの処理結果は、適宜、回線L2を介してカード会社のセンター装置6に送信され、精算処理などの管理に利用される。
なお上記遊戯システムにおける各装置には、その装置を識別するための識別番号(詳細は後述する)が設定されている。この識別番号は、制御装置3のデータ収集用に用いられるほか、後述するように、発行されるカードのカード情報や他の装置へ送信するコマンド文中に組み込まれる。
【0027】
図2は前記メダル貸出装置1の外観を示すもので、前面の上扉19には表示ランプ22と前記貨幣投入口8が、中扉20には操作スイッチ23と返却スイッチ24と前記カード出入口9とが、下扉21には投入金額表示部25が、それぞれ設けられている。上扉19,中扉20,下扉21は開閉可能となっており、上扉19と下扉21とには、それぞれ施錠用の錠26,27が設けられている。
【0028】
前記表示ランプ22は、機体の動作状態を報知するためのもので、通常時は消灯しており、機体内に異常が発生したときに点滅または点灯する。
前記操作スイッチ23は、発行されたカードをすぐに内部に投入する際に使用されるもので、この操作スイッチ23の押操作により、カード出入口9に搬出されたカードは、再び内部に取り込まれる。
返却スイッチ24は、カード出入口22から内部に取り込まれたカードの処理を中止して、外部に返却する際に使用される。
【0029】
投入金額表示部25は、通常は紙幣投入口8に投入された紙幣の金額を表示するほか、適宜この装置におけるカードの総売上などの情報を表示する。
【0030】
図3は、上記メダル貸出装置1の電気的構成を示すもので、制御・演算の主体であるCPU28と、プログラムが格納されるROM29と、前記カード情報などの各種データが記憶されるRAM30とから成る制御部37を備えている。CPU28には、バス60を介して、前記した表示ランプ22,投入金額表示部25,操作スイッチ23,返却スイッチ24のほか、紙幣取込機構31,紙幣判別器32,カード搬送機構33,カード検知器34,磁気ヘッド35,送受信部36などが接続されている。
【0031】
前記紙幣取込機構31および紙幣判別器32は、ともに前記貨幣投入口8の内側に設けられており、紙幣取込機構31は、受け付けられた紙幣を内部に取り込み、図示しない収納部へと搬送する。紙幣判別器32は、投入された紙幣について真偽を判別すると共に、決められた金種であるかどうかを判別し、その判別結果をCPU28へと出力する。
【0032】
カード搬送機構33,カード検知器34,磁気ヘッド35は、いずれも前記カード出入口9の内側に設けられる。カード搬送機構33は、投入されたカードを内部へ取り込んだり、外部へ返却するためのもので、このカードの搬出入は、カード検知器34により検知される。磁気ヘッド35は取り込まれたカードに対しカード情報の読み書きを実行する。
また送受信部36は、他の各装置との間で情報の送受信を行うために用いられる。
【0033】
図4は、前記発券装置2の外観を示すもので、機体の前面には、前記紙幣投入口10,カード出入口11のほか、表示ランプ38,39,返却スイッチ40などが配備されている。
【0034】
前記第1の表示ランプ38は、機体の動作状態を報知するためのもので、通常時は点灯しており、機体内に異常が発生したときに点滅し、発行動作を中止しているときは消灯する。
第2の表示ランプ39は、カードの発行動作中のみ点灯動作する。
【0035】
図5は、上記の発券装置2の電気的構成を示すもので、CPU41,ROM42,RAM43から成る制御部45に、バス44を介して、前記表示ランプ38,39,返却スイッチ40のほか、紙幣判別器46,紙幣取込機構47,カード判別器48,カード搬送機構49,磁気ヘッド50,送受信部51などが接続されている。
なお、これら各部の構成は、前記メダル貸出装置1と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
図6は、制御装置3の電気的構成を示すもので、CPU51,ROM52,RAM53から成る制御部55にバス54を介して入力部56,表示回路57,送受信部58,59などが接続される。
【0037】
ROM52は、他装置やカード会社との通信や情報処理に関するプログラムなどを記憶し、RAM53内には、各メダル貸出装置1や発券装置2で発行されたカードのカード情報など、各種データが記憶される。入力部56は、キーボードなどから成り、適宜、処理に必要なデータを入力するために用いられる。表示回路57は、前記モニタ18にデータ処理結果などを表示させるためのものである。
【0038】
第1の送受信部58は、通信回線L1に接続され、前記メダル貸出装置1や発券装置2との情報のやりとりを行うために用いられる。第2の送受信部59は、通信回線L2に接続され、カード会社のセンター装置との間で情報のやりとりを行うために用いられる。
【0039】
図7は、前記カードの情報記録部に記憶されるカード情報の構成例を示す。
なお図中の各矩形は、それぞれキャラクタコードを表現するための1バイト分のデータを意味するもので、ここでは説明の都合上、各データの内容を具体的なキャラクタの形で矩形内に表現している。
【0040】
このカード情報は、24バイトのデータ構成をとるもので、このうち最上位の2バイトにより西暦の下2桁を示すデータYRが、つぎの2バイトにより月を表すデータMTが、さらにつぎの2バイトにより日を表すデータDTが、それぞれ表されており、これらデータYR,MT,DTによりカードの発行日が示される。
【0041】
つぎの3バイトのデータはこの遊戯システムが導入された遊戯場の店番号SNを示し、続く3バイトのデータはこのカード発行元の端末装置を示す識別番号PNを、その次の8バイトのデータはカードに付与された発行番号NBを、それぞれ示す。
さらに続く2ビットで、発行時にカードに与えられた金額価値VL が、最後の2ビットで現在このカードが有する金額価値VLが、それぞれ表される。
なお、この金額価値を表すデータVL ,VLの1バイト目は千の単位を、2バイト目は百の単位を、それぞれ表現する。
【0042】
発行時のカード情報では、前記金額価値VL とVLとはともに千円を示すデータ「10」となっている。この後、このカードがいずれかのメダル貸出装置1に投入されてメダルの貸出処理が行われると、図示例のように、貸し出されたメダル枚数に応じて金額価値VLの書換えが行われる。
なおこのカードの発行元のメダル貸出装置1や発券装置2のRAM30,43にも、上記と同様の構成のカード情報が記憶される。
【0043】
つぎに、メダル貸出装置1や発券装置2におけるカード照合処理について説明する。
この遊戯システムでは、各発行カードは、この遊戯場において発行当日限り有効になるよう設定されており、そのカード情報は、前記したように、発行元のメダル貸出装置1や発券装置2のRAM30,43内に記憶される。各メダル貸出装置1や発券装置2は、投入されたカードのカード情報を読み取った後、自装置で発行されたプリペイドカードであればそのカード情報を内部の記憶情報と照合してカードの適否を判別する。
【0044】
一方、投入されたカードが他のメダル貸出装置1または発券装置2で発行されたカードであった場合は、カードを保有するメダル貸出装置1や発券装置2(以下「カード保有側の装置」という)は、そのカードから読み取ったカード情報を用いて所定のコマンド文を作成し、これを前記通信回線L1を介してカードの発行元のメダル貸出装置1または発券装置2(以下「カード発行元の装置」という)に送信する。この送信を受けたカード発行元の装置では、送信されたカード情報を内部の記憶情報と照合し、その照合結果を示す応答文をカード保有側の装置に返送する。
【0045】
さらにカード保有側の装置がメダル貸出装置1である場合、前記の照合処理により保有カードが適正と判断され、かつこのカードが金額価値を有するカードであれば、前記した差引金額データに基づく金額情報の書換え処理、および隣接するスロットマシン5へのメダル貸出処理へと移行する。このときこの装置は、金額価値の書換えにかかる情報を含むコマンド文を作成し、これをカード発行元の装置に送信する。この送信を受けてカード発行元の装置は、記憶された金額情報の書換え処理を行った後、カード保有側の装置に、処理が終了したことを示す所定の応答文を返送する。カード保有側の装置は、この応答文の受信に応じて受け付けたカードの金額価値を書き換えるとともに、前記した処理終了を示す制御信号をスロットマシン5の制御回路部14に出力してメダルの貸出しを実行する。
【0046】
図8は、前記コマンド文の構成例を示す。
図中の各矩形は、図7と同様、それぞれキャラクタコードを表現するための1バイト分のデータを意味するもので、このうち先頭の1バイトは、この信号がコマンド文であることを示すキャラクタ「*」を表現する。
つぎの3バイト分のデータは、コマンド文の対象となるカード発行元の装置の識別番号YNを、続く3バイト分のデータは、カード保有側の装置の識別番号MNを、それぞれ示す。
【0047】
つぎの数バイト分のデータは、具体的な送信情報SIを示すもので、つぎに続く2バイト分のデータで、ここまでの各バイトについて所定の演算を行って求めたチェックサムCM1が表された後、最後の1バイトにコマンド文の最後を意味するキャリッジリターンコードが付加される。
【0048】
図9は、カード保有側の装置が保有カードより読み取ったカード情報を送信する際の送信情報SIの構成例を示す。
まず先頭の1バイトにより、保有するカードの情報を送信することを示すコードCD(図示例では「J」)が示された後、続く6バイトによりカード発行日を示すデータYR,MT,DTが示される。さらにつぎの8バイトでカードのコード番号NBが、続く2バイトでカードが現在保有する金額価値VLが、それぞれ表現される。なお、前記コード番号NBは、各装置の制御部により決定される。
【0049】
上記のコマンド文は通信回線L1を介して各装置に送信されるが、このうち前記識別番号YNにより特定される装置(図8の例では識別番号「100」の装置)のみがコマンド文を認識して、図10に示すような応答文を返送する。
この応答文は、この信号が応答文であることを示すキャラクタ「!」と、1バイト分の応答情報RI,2バイト分のチェックサムCM2,および応答文の最後を示すキャリッジリターンコードにより構成される。
【0050】
上記図9の送信情報SIを含むコマンド文を受信したカード発行元の装置は、この送信情報SIをRAM内に記憶するカード情報と照合し、両者が合致したときは前記応答情報RIとして「1」のコードを返送する。
なお照合の結果、受信した送信情報SIのデータがRAM内に存在しない場合は、カード発行元の装置は、応答情報RIとして「2」のコードを送信する。また受信した送信情報SIの金額価値VLがRAM内の該当するカード情報と合致しない場合は、カード発行元の装置は、応答情報として「3」のコードを返送すると共に、RAM内の該当するカード情報を消去するなどの無効処理を実行する。
【0051】
図11は、カード保有側の装置(この場合、メダル貸出装置1のみを示す)が保有カードの金額価値情報を書き換える際に出力する送信情報SIの一例を示す。
最初の1バイトは、金額価値の書換え情報を送信することを示すコードCD(図示例の場合「K」)であって、このコードに続き、カード発行日YR,MT,DT,カード番号NB,現在の金額価値VLが順に示された後、書き換え後の金額価値VLNEW が付加されている。
【0052】
この情報送信を受けたカード発行元の装置は、上記の送信情報SIについて再びRAM内のカード情報との照合処理を行い、該当する情報が見つかったときは、前記金額価値VLNEW を用いて前記の金額価値VLの書換え処理を行った後、応答情報RIとして「1」のコードを返送する。このコードの返送を受けて、カード保有側の装置では、カードの金額価値VLをVLNEW に書き換える。
【0053】
なお照合の結果、受信した送信情報SIのデータがRAM内に存在しない場合は、カード発行元の装置は、応答情報として「2」のコードを送信する。また受信した送信情報SIの金額価値VLがRAM内の該当するカード情報と合致しない場合は、カード発行元の装置は、応答情報として「3」のコードを返送すると共に、RAM内の該当するカード情報を消去するなどの無効処理を実行する。
【0054】
なお各装置間での通信の他に、制御装置3からは、適宜日時や店番号に関わる情報を含むコマンド文が送出されており、各メダル貸出装置1や発券装置2は、これらのコマンド文を受信して、自装置内に記憶する。また各メダル貸出装置1および発券装置2は、所定の時間毎に、RAM30,43内に記憶されたカード情報を含むコマンド文を作成して制御装置3へと送信しており、制御装置4は受信したカード情報を、バックアップ用のデータとして、RAM53内に格納する。
【0055】
図12は、前記メダル貸出装置1の制御手順を示す。
前記制御装置3からの各種のコマンド文により、装置の初期設定がなされると、CPU28は、ステップ1(図中「ST1」で示す)で、カード出入口9へのカードの投入に待機する。
【0056】
前記ステップ1が「YES」となると、CPU28は、前記カード搬送機構33を作動させて投入されたカードを内部へと取り込み、磁気ヘッド35を用いてこのカードの情報記録部に記録されたカード情報を読み取る(ステップ2)。
つぎのステップ3で、CPU28は、このカード情報のフォーマットが前記図7に示した様式であるか否かをチェックし、この判定が「YES」であれば、さらにつぎのステップ4で、読み取られたカード情報からこのカードの発行日,店番号,カードを発行した装置の識別番号,金額価値を確認する。
【0057】
前記識別番号より、このカードが自装置で発行されたものと確認されたとき、CPU28は、読み取ったカード情報をRAM30内に記憶された情報と照合し、その情報の適否を判定する。
一方、カードが他の装置で発行されたものであると判別されたとき、CPU28は、読み取ったカード情報をもとに前記したコマンド文を作成し、このコマンド文をカード発行元の装置へと送信する。その結果、カード発行元の装置よりコード「1」の応答情報を含む応答文が返送されたとき、保有するカードのカード情報が適切であると判定し、コード「2」または「3」の応答情報が返送されたとき、保有するカードのカード情報は不適であると判定する(ステップ5)。
【0058】
ステップ5の判定が「YES」のとき、CPU28は、つぎのステップ6で、カードに金額価値が残っているか否かをチェックし、この判定が「YES」のとき、ステップ10のメダル貸出処理へと移行する。
この場合、保有カードが他の装置で発行されたものであれば、CPU28は前記した情報通信により、カード発行元の装置におけるカード情報の書換えを確認した後、保有カードの金額価値の書換えとメダルの貸出処理とを行う。また保有カードが自装置で発行されたものであれば、RAM30内のカード情報の書換え後に、カード情報の書換え処理とメダルの貸出処理とが実行される。
【0059】
一方、カードの金額価値がゼロであったとき、CPU28はつぎのステップ7で紙幣投入口8からの紙幣の投入の有無をチェックする。この判定が「YES」であれば、CPU28は、自装置の識別番号と投入された紙幣の金額(この場合は千円)に応じた金額価値とを含む新たなカード情報を作成し、これをRAM30内に格納する。
【0060】
つぎのステップ9で、CPU28は、磁気ヘッド35を用いて前記のカード情報を保有カードの情報記録部に記録した後、カード搬送機構33を駆動させてカードをカード出入口9へと返却する。
なお、投入されたカードのフォーマットが図7の様式でなかった場合はステップ3の判定が、カードの発行日が当日でなかった場合または店番号が遊戯場の店番号と異なる場合はステップ5の判定が、それぞれ「NO」となり、カードは直ちにカード出入口9へと返却される。また金額価値がゼロのカードが投入された後に返却スイッチ24が操作されると、ステップ6,ステップ7の判定がともに「NO」となり、同様にステップ11のカード返却処理へと移行する。
【0061】
図13は、前記発券装置2の制御手順を示すもので、ステップ1〜9の手順は図12のステップ1〜9の手順と同様であり、ここではその詳細な説明は省略する。
なお投入されたカードが適正なものでなかった場合は、ステップ3,5のいずれかが「NO」となってステップ10のカード返却処理へと移行する。またカードに金額価値が残っていた場合(ステップ6が「YES」のとき)、またはカード投入後に返却スイッチ40が操作された場合(ステップ7が「NO」のとき)もステップ10へと移行する。
【0062】
上記の実施例では、金額価値がゼロのカードに新たに金額価値を書き込むことにより、使い切ったカードを再利用するようにしているが、これに限らず、金額価値が残っているカードに、さらに所定の金額価値を追加するように設定しても良い。また遊戯客に最初に交付されるカードに、遊戯場側のサービスとして、所定の金額価値を書き込むようにしても良い。また遊戯客へのカードの交付とカードの回収とを行う専用の装置を設け、所定の金額の投入があればカードを交付し、カードの投入があればカードを回収するとともに交付時に投入された金額を返却するようにしても良い。
【0063】
さらに上記の実施例では、発行されたカードをスロットマシン用のメダル貸出装置1で使用するように構成しているが、これに限らず、このカードを他の遊戯機用の遊戯媒体の貸出装置や、遊戯機以外の装置でも共通に使用できるよう構成しても良い。この場合も各遊戯媒体貸出装置に、前記メダル貸出装置1と同様のカード発行機能を配備しておけば、遊戯者は、使い切ったカードを装置内に再投入して即座に新たなカードを発行することができるので、カード発行処理のために移動する必要がなくなり、遊戯者の利便性は大幅に向上する。
【符号の説明】
【0064】
1 メダル貸出装置
2 発券装置
8 紙幣投入口
9 カード出入口
28 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯機の隣に前記遊戯機に電気接続された状態で配備され、機体の前面に、情報記録部を有するカードの受付および受け付けたカードの返却のためのカード出入口と、貨幣を受け付けるための貨幣投入口とが設けられたカード処理装置が、複数台、それぞれ個別の識別情報が付与された状態で通信回線を介して接続されて成るシステムであって、
各カード処理装置は、
自装置が発行したカードの情報記録部に記録されたカード情報の登録情報を記憶するための記憶手段と、
金額価値がゼロとなったカードおよび貨幣をそれぞれ受け付けた状態にあるとき、自装置の識別情報および受け付けた貨幣の金額に応じた金額価値を含む新規カード情報を作成して、この新規カード情報を前記記憶手段に登録するとともに、受け付けたカードの情報記録部に前記新規カード情報を書き込んで発行する発行処理手段と、
ゼロより大きい金額価値が記録されたカードを受け付けた状態にあるとき、このカードの情報記録部に記録されたカード情報の適否を判別し、カード情報が適切であると判別したとき、前記電気接続された遊戯機との通信によりこの遊戯機への遊戯媒体の貸出を行うとともに、受け付けたカードの情報記録部に記録されたカード情報の金額価値および当該カードの登録情報の金額価値を書き換える貸出処理手段と、
前記カード出入口より受け付けたカードを、遊戯者の返却操作に応じてカード出入口に返却するカード返却手段と、
他のカード処理装置から所定のカード情報の照合を要求する照合要求コマンドを受信したとき、このコマンドが示す照合対象のカード情報を自装置の記憶手段の登録情報と照合して、その照合結果に基づき前記照合対象のカード情報の適否を示す応答情報を、前記照合要求コマンドを送信したカード処理装置に返送する第1の応答手段と、
他のカード処理装置から、自装置の記憶手段の登録情報中の金額価値を書き換えることを指示する書換え指示コマンドを受信したとき、このコマンドに応じて該当する登録情報の金額価値を書き換えた後に、書換えが終了した旨を示す応答情報を前記書換え指示コマンドを送信したカード処理装置に返送する第2の応答手段とを備え、
前記貸出処理手段は、
ゼロより大きい金額価値と自装置の識別情報とを含むカード情報が記録されているカードを受け付けた状態にあるときには、このカードのカード情報を自装置の記憶手段に記憶された登録情報と照合して当該カード情報の適否を判別し、当該カード情報が適切であると判別したとき、前記受け付けたカードの情報記録部および自装置の記憶手段に記憶されている当該カードの登録情報の各金額価値を、現在値から遊戯媒体の貸出数に応じた値を差し引いた値に書き換えるようにし、
ゼロより大きい金額価値と他のカード処理装置の識別情報とを含むカードを受け付けた状態にあるときには、この識別情報が付与されたカード処理装置に前記照合要求コマンドを送信して当該カード処理装置からの応答情報を確認することにより前記カード情報の適否を判別し、当該カード情報が適切であると判別したとき、前記照合要求コマンドの送信対象としたカード処理装置に、前記受け付けたカードの登録情報の金額価値を現在値から前記遊戯媒体の貸出数に応じた値に差し引いた値に書き換える旨を指示する書換え指示コマンドを送信した後に、当該カード処理装置から前記書換えが終了した旨を示す応答情報を受信したことに応じて、前記受け付けたカードの情報記録部の金額価値を、現在値から前記遊戯媒体の貸出数に応じた値を差し引いた値に書き換える、遊戯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−72637(P2009−72637A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6816(P2009−6816)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【分割の表示】特願平7−347927の分割
【原出願日】平成7年12月14日(1995.12.14)
【出願人】(501341646)クリエイションカード株式会社 (23)
【Fターム(参考)】