説明

遊技媒体貸出システム

【課題】自動補給されずに手作業による補給の必要なメダル貸機13を知らせる遊技媒体貸出システムを提供する。
【解決手段】メダル貸機13でメダルの残量が所定量以下となるニアエンプティを検知したとき、メダル補給装置14でメダル貸機13に対するメダルの自動補給を開始する。メダル貸機13でのニアエンプティ検知時からメダルの自動補給を考慮した経過時間が経過時点でもニアエンプティ検知を継続していれば、状態表示ランプ31で補給促進表示を表示する。自動補給されずに手作業による補給の必要なメダル貸機13を知らせ、係員の作業を軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の遊技媒体貸出装置とこれら遊技媒体貸出装置に遊技媒体を自動補給する遊技媒体補給装置とを備えた遊技媒体貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技店には複数の遊技島が設置され、各遊技島には、例えばパチスロ機やパチンコ機などの複数の遊技機が並設されているとともに、各遊技機の側部に遊技媒体を貸し出すための台間機と呼ばれる遊技媒体貸出装置が設置されている。
【0003】
遊技媒体貸出装置は、遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部や貯留されている遊技媒体を払い出す遊技媒体払出部などを備えており、遊技者による貨幣の投入を受け付けて貯留されている遊技媒体を払い出し、遊技者に遊技媒体を貸し出している。
【0004】
また、遊技媒体貸出装置では、遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体の残量を監視し、遊技媒体の残量が所定量以下となるニアエンプティを検知した場合、遊技媒体貸出装置の前面に設けられた表示部などで遊技媒体の補給を促進する補給促進表示を表示している。そして、補給促進表示を確認した係員は、補給用の遊技媒体を用意し、遊技媒体貸出装置の前面の扉を開放して遊技媒体貯留部に手作業で補給している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、遊技媒体を各遊技媒体貸出装置に自動補給するための遊技媒体補給装置を遊技島に設置している場合がある。この遊技媒体補給装置では、補給用の遊技媒体を遊技島の端部から遊技島内に送り込むとともに遊技島に沿って配設されたコンベヤで搬送し、各遊技媒体貸出装置の位置に対応して配設された振分機構によってコンベヤ上の遊技媒体を振り分けて各遊技媒体貸出装置に自動補給している(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この遊技媒体補給装置が設置されている場合、遊技媒体貸出装置でニアエンプティが発生すると、遊技媒体補給装置が動作して自動補給を開始するとともに、遊技媒体貸出装置の表示部などで補給促進表示を表示して係員に通知することができる。
【特許文献1】特開2000−185172号公報(第2頁、図4)
【特許文献2】特開2003−190591号公報(第3−5頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、遊技媒体補給装置が設置されている場合、遊技媒体貸出装置でニアエンプティが発生すると、遊技媒体補給装置が動作して自動補給を開始するとともに、遊技媒体貸出装置の表示部などで補給促進表示を表示できるが、その補給促進表示に気付いた係員が補給用の遊技媒体を用意して遊技媒体貸出装置に手作業で補給しようとすると、自動補給によってニアエンプティが解消されてしまうことがある。
【0008】
また、補給促進表示に係員が気付いても自動補給されることを考慮して遊技媒体の補給をしないと、あるいは補給促進表示をしないと、遊技媒体補給装置の遊技媒体が不足していたり、補給すべき遊技媒体貸出装置が多くて下流位置の遊技媒体補給装置まで遊技媒体が早急に行き渡らなかったり、さらには遊技媒体補給装置が通路詰まりを起こしたりして、補給に時間がかかることがあり、その間に遊技媒体貸出装置の遊技媒体がエンプティとなって遊技媒体を遊技客に貸し出せなくなる可能性がある。
【0009】
したがって、遊技媒体貸出装置でニアエンプティが発生したときに遊技媒体貸出装置の表示部などで補給促進表示を表示しても、係員にとっては手作業による補給が本当に必要なのかどうかが判別できないまま無駄でも補給の準備作業をしなければならず、係員の作業に負担がかかる問題がある。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、手作業による補給の必要な遊技媒体貸出装置を知らせることができる遊技媒体貸出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の遊技媒体貸出システムは、遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部、この遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体を払い出す遊技媒体払出部、遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体の残量が所定量以下となるニアエンプティを検知する遊技媒体残量検知部、この遊技媒体残量検知部で検知されるニアエンプティの情報を送信する送信手段、遊技媒体の補給を促進する補給促進表示を表示する表示部、遊技媒体残量検知部でニアエンプティを検知したときに送信手段でニアエンプティの情報を送信させ、ニアエンプティの検知時から予め設定された経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば表示部で補給促進表示を表示させる制御部を有する複数の遊技媒体貸出装置と、これら遊技媒体貸出装置の送信手段から送信されてくるニアエンプティの情報を受信してそのニアエンプティの情報を送信した遊技媒体貸出装置に遊技媒体を自動補給する遊技媒体補給装置とを具備しているものである。
【0012】
請求項2記載の遊技媒体貸出システムは、請求項1記載の遊技媒体貸出システムにおいて、ニアエンプティの検知時から表示部で補給促進表示を表示するまでの経過時間と遊技媒体を貸し出す取引回数との少なくとも一方を設定する設定手段を具備しているものである。
【0013】
請求項3記載の遊技媒体貸出システムは、請求項1または2記載の遊技媒体貸出システムにおいて、制御部は、表示部で補給促進表示を表示させてから所定時間経過してもニアエンプティが解消されないときに、表示部で通常の補給促進表示から緊急の補給促進表示の表示に切り換えさせるものである。
【0014】
請求項4記載の遊技媒体貸出システムは、遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部、この遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体を払い出す遊技媒体払出部、遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体の残量が所定量以下となるニアエンプティを検知する遊技媒体残量検知部、この遊技媒体残量検知部で検知されるニアエンプティの情報を送信する送信手段、遊技媒体の補給を促進する補給促進表示を補給の緊急度合に応じて切り換えて表示可能とする表示部、遊技媒体残量検知部でニアエンプティを検知したときに送信手段でニアエンプティの情報を送信させるとともに表示部で低い緊急度合に応じた補給促進表示を表示させ、ニアエンプティの検知時から予め設定された経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば表示部の表示を高い緊急度合に応じた補給促進表示に切り換える制御部を有する複数の遊技媒体貸出装置と、これら遊技媒体貸出装置の送信手段から送信されてくるニアエンプティの情報を受信してそのニアエンプティの情報を送信した遊技媒体貸出装置に遊技媒体を自動補給する遊技媒体補給装置とを具備しているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の遊技媒体貸出システムによれば、遊技媒体貸出装置の遊技媒体残量検知部でニアエンプティを検知したときに遊技媒体補給装置が遊技媒体の自動補給を開始しても、表示部で補給促進表示を直ぐに表示せず、ニアエンプティの検知時から遊技媒体の自動補給を考慮した経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば表示部で補給促進表示を表示させるので、自動補給されずに手作業による補給の必要な遊技媒体貸出装置を知らせることができ、係員の作業を軽減できる。
【0016】
請求項2記載の遊技媒体貸出システムによれば、請求項1記載の遊技媒体貸出システムの効果に加えて、ニアエンプティの検知時から表示部で補給促進表示を表示するまでの経過時間と遊技媒体を貸し出す取引回数との少なくとも一方であって、つまり経過時間のみ、取引回数のみ、経過時間と取引回数との両方を任意に設定できるので、例えば遊技媒体貸出装置の設置数などの状況を考慮して遊技媒体がエンプティにならず係員の作業も軽減できるように適切に設定できる。
【0017】
請求項3記載の遊技媒体貸出システムによれば、請求項1または2記載の遊技媒体貸出システムの効果に加えて、表示部で補給促進表示を表示させてから所定時間経過してもニアエンプティが解消されないときに、表示部で通常の補給促進表示から緊急の補給促進表示の表示に切り換えるので、補給の優先順位を表示できる。
【0018】
請求項4記載の遊技媒体貸出システムによれば、遊技媒体貸出装置の遊技媒体残量検知部でニアエンプティを検知したときに、遊技媒体補給装置が遊技媒体の自動補給を開始するとともに、表示部で低い緊急度合に応じた補給促進表示を表示させ、ニアエンプティの検知時から遊技媒体の自動補給を考慮した経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば表示部の表示を高い緊急度合に応じた補給促進表示に切り換えるので、自動補給されずに手作業による補給の必要な遊技媒体貸出装置を知らせることができ、係員の作業を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1に遊技媒体貸出システムの遊技島の構成を示し、遊技店内に設置される遊技島11には、遊技媒体としてメダルを使用するパチスロ機である複数台の遊技機12が並列に設置されているとともに、各遊技機12の一側部に台間機である遊技媒体貸出装置としてのメダル貸機13が設置され、さらに、各遊技機12およびメダル貸機13にメダルを自動補給する遊技媒体補給装置としてのメダル補給装置14が設置されている。
【0021】
図2に遊技媒体貸出システムの全体の構成を示し、各遊技島11には島コントローラ15が1台ずつ設置され、この島コントローラ15により、遊技島11内の各メダル貸機13と通信し、各メダル貸機13での売上情報などを取得して管理する。さらに、各島コントローラ15は遊技店の事務所などに設置される管理コンピュータ16と通信し、この管理コンピュータ16により、遊技店の営業中に各島コントローラ15から売上情報を収集し、所定のタイミングで集計する。
【0022】
また、図1および図2に示すように、遊技機12では、遊技者がメダルを投入して遊技し、獲得されるメダルつまり賞メダルを払い出す。遊技機12の前面には、メダルを投入する図示しない投入口、図柄や文字が表示された3つのドラム20が臨む窓部21、遊技時に回転する各ドラム20を停止させる操作ボタン22、獲得されるメダルが払い出される受皿23が配設されている。遊技機12の内部には、獲得されるメダルつまり賞メダルを払い出すメダル投出装置が内蔵されている。
【0023】
また、図3に示すように、メダル貸機13の前面には、上部から順に上部扉27、メダル補給扉28および下部扉29がそれぞれ開閉可能に配設され、これら各扉27〜29が係員の持つ鍵によって施錠、解錠可能とする。
【0024】
上部扉27には、紙幣を長手方向に1枚ずつ挿入する紙幣挿入口30、メダル貸機13の状態を表示する表示部としての状態表示ランプ31、例えば3桁の英数字を表示可能とする情報表示部32が配設されている。状態表示ランプ31は、正常時の待機状態で消灯し、エラー時やメダルのニアエンプティ時などに点滅する。情報表示部32は、7セグ×3桁の表示器で、正常時の待機状態には幾何学模様のランニング表示を行い、貸出動作中はメダル投出動作に合わせてカウントダウン表示を行い、エラー発生時にはエラーコードを表示し、メダルのニアエンプティ時やエンプティ時も所定のコードを表示する。また、上部扉27の内側には、紙幣挿入口30に挿入された紙幣を識別して例えば千円紙幣などの正規の対象紙幣のみを取り込むとともにそれ以外の紙幣を紙幣挿入口30に戻して返却する紙幣識別部33、この紙幣識別部33から取り込まれる正規の対象紙幣を収納する紙幣収納部34を有する紙幣処理部35が配設されている。
【0025】
下部扉29の内側には、メダルを貯留するホッパなどで構成される遊技媒体貯留部としてのメダル貯留部36、紙幣処理部35への紙幣の投入金額に応じてメダル貯留部36に貯留されているメダルを所定枚数分投出して貸し出すメダル投出部37を有する遊技媒体払出部としてのメダル払出部38が配設されている。メダル貯留部36には、メダルの貯留量が所定以下に減少したニアエンプティを検知する遊技媒体残量検知部としてのメダル残量検知部39が配設されている。メダル残量検知部39は、検知光をメダルで遮光するか否かで検知する光学式、メダルを通じて通電するか否かで検知する通電式などの検知方式が用いられ、メダルのニアエンプティのほか、メダルが満杯となるフルを検知するメダル残量検知部が配設されている。
【0026】
下部扉29には、メダル払出部38から払い出されるメダルを遊技機12の受皿23に払い出すノズル40が取り付けられている。
【0027】
メダル補給扉28は、メダル貯留部36の上方に臨んで設けられていてメダル貯留部36内のメダルの貯留量が減少した場合に係員が手作業でメダルを補給する手動補給口41を開閉可能とする。
【0028】
メダル貸機13の背部側には、メダル貯留部36の上方に臨んでメダル補給装置14によってメダルを自動補給する自動補給口42が配設され、メダル貸機13の下部側に電源部や制御部などが配置される電装ユニット43が配設されている。
【0029】
図4に示すように、メダル貸機13は、制御部45を有し、この制御部45には、状態表示ランプ31、情報表示部32、紙幣処理部35、メダル払出部38が接続され、さらに、制御部45の設定の切り換えなどを操作する操作部46、時計機能である計時部47、各種の設定事項などを記憶するメモリ部48、電源を供給する電源部49、島コントローラ15およびこの島コントローラ15を通じて管理コンピュータ16と通信する通信インターフェース部50、メダル補給装置14と通信する送信手段としての外部出力部51が接続されている。
【0030】
メモリ部48は、紙幣処理部35に投入される対象紙幣毎のメダルの払出枚数(例えば、千円=50枚)や、ニアエンプティ検知後の表示条件などを記憶する。
【0031】
通信インターフェース部50は、島コントローラ15およびこの島コントローラ15を通じて管理コンピュータ16と通信し、売上情報を管理コンピュータ16などに送信し、管理コンピュータ16で設定されるニアエンプティ検知後の表示条件などを受信する。
【0032】
外部出力部51は、メダル補給装置14と通信し、ニアエンプティ検知時にニアエンプティの情報としてメダル補給信号をメダル補給装置14に送信する。
【0033】
そして、制御部45は、メダル残量検知部39でニアエンプティを検知したときに、外部出力部51からメダル補給装置14にメダル補給信号を送信させるが、状態表示ランプ31は消灯状態のままとして補給促進表示を表示せず、予め設定されたニアエンプティ検知後の表示条件に基づきニアエンプティの検知時からメダルの自動補給を考慮した経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば状態表示ランプ31を点灯させて通常の補給促進表示を表示させる機能、状態表示ランプ31で補給促進表示を表示させてから所定時間経過してもニアエンプティが解消されないときに、状態表示ランプ31で通常の補給促進表示から緊急の補給促進表示の表示に切り換えさせる機能を有している。状態表示ランプ31で通常の補給促進表示は点灯、緊急の補給促進表示は点滅させたり点灯色を変える。
【0034】
ニアエンプティ検知後の表示条件は、図5に示すように、ニアエンプティの検知時からの経過時間条件と、ニアエンプティの検知時からのメダルを貸し出す取引回数条件とがあり、これら経過時間条件と取引回数条件とのいずれか一方または両方を選択設定可能とするとともに、経過時間条件ではその時間を、取引回数条件ではその回数をそれぞれ任意に設定可能とする。
【0035】
このニアエンプティ検知後の表示条件の設定は、メダル貸機13が複数台あるため、管理コンピュータ16によって一括して設定する。すなわち、図2に示すように、管理コンピュータ16は、ニアエンプティの検知時から遅らせて状態表示ランプ31で補給促進表示を表示させるまでの時間やメダルを貸し出す取引回数を任意に設定する設定手段16aの機能を有している。
【0036】
また、図1に示すように、メダル補給装置14は、遊技島11の一端の島端に設置されたメダル補給装置本体55を有し、このメダル補給装置本体55には、補給用のメダルを貯留する補給用メダル貯留部、この補給用メダル貯留部に貯留されているメダルを送出するメダル送出部などが内蔵されている。
【0037】
遊技島11にはメダル補給装置本体55のメダル送出部から送出されるメダルを遊技島11の一端から他端に向けて搬送する搬送ベルトなどを備えたメダル搬送部56が設置され、このメダル搬送部56にはメダル搬送部56で搬送するメダルを各遊技機12および各メダル貸機13に振り分けて自動補給するメダル振分部57が設置されている。各メダル振分部57は、メダル搬送部56上からメダルを振り分けるための振分部材、この振分部材を駆動するソレノイドなどの駆動部を有している。各メダル振分部57で振り分けたメダルは各補給通路58を通じて遊技機12の自動補給口やメダル貸機13の自動補給口42に導いて自動補給する。
【0038】
遊技島11にはメダル搬送部56の最下流位置まで搬送されたメダル、各遊技機12および各メダル貸機13から回収されるメダルをメダル補給装置本体55の補給用メダル貯留部に搬送する回収搬送部59が配設されている。
【0039】
メダル補給装置14は、メダル補給装置本体55内に、このメダル補給装置14を制御する制御部、各メダル貸機13の外部出力部51に信号線60により接続されて各遊技機12や各メダル貸機13から出力されるメダル補給信号を入力する外部入力部を備えている。制御部は、外部入力部にメダル補給信号を入力することによりメダルの自動補給動作を開始し、また、メダルが補給されたために外部入力部にメダル補給信号の入力がなくなることによりメダルの自動補給動作を停止する。
【0040】
次に、遊技媒体貸出システムの補給促進表示に関して説明する。
【0041】
まず、ニアエンプティ検知後の表示条件の設定について説明する。
【0042】
管理コンピュータ16の設定手段16aにより、ニアエンプティ検知後の表示条件として、例えば、ニアエンプティの検知時からの経過時間を設定する。この経過時間は、ニアエンプティ状態における残存のメダルにより、メダル切れが発生しない範囲で任意に設定可能とするもので、ここでは90秒(図5参照)に設定されるものとする。
【0043】
管理コンピュータ16は、設定手段16aで設定したニアエンプティ検知後の表示条件を一括して各メダル貸機13に送信する。
【0044】
各メダル貸機13では、管理コンピュータ16から送信されてきたニアエンプティ検知後の表示条件をメモリ部48に記憶する。
【0045】
続いて、ニアエンプティ検知後の補給促進表示について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
あるメダル貸機13でニアエンプティを検知すると(ステップ1)、このメダル貸機13からメダル補給装置14にメダル補給信号を出力する(ステップ2)。このとき、状態表示ランプ31は消灯状態である正常表示を維持するため、ニアエンプティになったことを表示しない。
【0047】
メダル補給信号を入力したメダル補給装置14では、メダルの自動補給動作を開始し、補給用メダル貯留部から送出したメダルをメダル搬送部56で搬送するとともにニアエンプティとなった自動補給対象のメダル貸機13に該当するメダル振分部57で振り分け、メダルを自動補給対象のメダル貸機13に自動補給する。
【0048】
自動補給対象のメダル貸機13では、自動補給によってニアエンプティが解除されたか確認し(ステップ3)、未解除であれば(ステップ3の未解除)、ニアエンプティ検知後の表示条件、ここではニアエンプティの検知時からの時間が90秒経過したか確認する(ステップ4)。
【0049】
ニアエンプティの検知時からの時間が90秒経過する前に(ステップ4の合致せず)、メダル貸機13にメダルが自動補給されてニアエンプティが解除されれば(ステップ3の解除)、メダル貸機13からのメダル補給信号の出力を停止する(ステップ5)。
【0050】
メダル補給装置14では、メダル補給信号の入力がなくなることにより、自動補給動作を停止する。
【0051】
また、メダル補給装置14のメダルが不足していたり、補給すべきメダル貸機13が多くて下流位置のメダル貸機13までメダルが早急に行き渡らなかったり、さらにはメダル補給装置14が通路詰まりを起こしたりして、補給に時間がかかることがある。
【0052】
このような場合、ニアエンプティの検知時からの時間が90秒経過するメダル貸機13が発生し(ステップ4の合致する)、このメダル貸機13では、状態表示ランプ31を点灯させて通常の補給促進表示を表示する(ステップ6)。
【0053】
係員は、状態表示ランプ31の点灯にて通常の補給促進表示を確認することにより、補給用のメダルを用意して補給対象のメダル貸機13の場所に行き、鍵でメダル補給扉28を解錠して開き、開口した手動補給口41から補給用のメダルを投入してメダル貯留部36に補給する。
【0054】
このメダル貸機13では、状態表示ランプ31を点灯して通常の補給促進表示を表示してから一定時間以内にニアエンプティが解除されるまでは(ステップ7の未解除、ステップ8の一定時間以内)、状態表示ランプ31の点灯による通常の補給促進表示を継続する。
【0055】
このメダル貸機13で一定時間以内にニアエンプティが解除されると(ステップ7の解除)、メダル補給信号の出力を停止し(ステップ9)、状態表示ランプ31を消灯させて正常表示を表示する(ステップ10)。
【0056】
また、状態表示ランプ31を点灯して補給促進表示を表示するメダル貸機13が複数あった場合などに、係員が他のメダル貸機13のメダル補給作業をしている間に、状態表示ランプ31を点灯して通常の補給促進表示を表示してから一定時間以上経過する場合がある(ステップ8の一定時間以上経過)。この場合には、状態表示ランプ31の点滅や点灯色を変えるなどして通常の補給促進表示から緊急用の補給促進表示に切り換えて表示する(ステップ11)。
【0057】
そのため、係員は、緊急用の補給促進表示を確認して、仮に複数のメダル貸機13の状態表示ランプ31で補給促進表示を表示していても、緊急用の補給促進表示を表示しているメダル貸機13に優先的にメダルを補給する。
【0058】
緊急用の補給促進表示を表示したメダル貸機13では、ニアエンプティが解除されるまでその緊急用の補給促進表示を継続する(ステップ12の未解除)。
【0059】
緊急用の補給促進表示を表示したメダル貸機13でニアエンプティが解除されると(ステップ12の解除)、メダル補給信号の出力を停止し(ステップ9)、状態表示ランプ31を消灯させて正常表示を表示する(ステップ10)。
【0060】
このように、メダル貸機13でニアエンプティを検知したときにメダル補給装置14がメダルの自動補給を開始しても、状態表示ランプ31で補給促進表示を直ぐに表示せず、ニアエンプティの検知時からメダルの自動補給を考慮した経過時間の経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば状態表示ランプ31で補給促進表示を表示させるので、自動補給されずに手作業による補給の必要なメダル貸機13を知らせることができ、係員の作業を軽減できる。
【0061】
また、設定手段16aにより、ニアエンプティの検知時から状態表示ランプ31で補給促進表示を表示するまでの経過時間を任意に設定できるので、メダル貸機13の設置数などの状況を考慮してメダルがエンプティにならず係員の作業も軽減できるように適切に設定できる。
【0062】
また、状態表示ランプ31で補給促進表示を表示させてから所定時間経過してもニアエンプティが解消されないときに、状態表示ランプ31で通常の補給促進表示から緊急の補給促進表示の表示に切り換えるので、補給の優先順位を表示できる。
【0063】
なお、管理コンピュータ16の設定手段16aにより、ニアエンプティ検知後の表示条件として、ニアエンプティの検知時からの経過時間を設定するのに代えて、メダルの貸し出しの取引回数を設定してもよい。この取引回数は、例えば、1取引=1000円=メダル50枚で、ニアエンプティ検知時にメダル貯留部36内に500枚程度のメダルが残存している場合には、10回程度の取引が可能であるが、誤差や余裕を考慮して5取引程度に設定するのが好ましい。
【0064】
また、『経過時間(例:90秒)』と『取引回数(例:5回)』の両方を『する』に設定し、早いタイミングの条件を合致した方に応じて補給促進表示をするようにしてもよい。
【0065】
また、ニアエンプティ検知後の表示条件は、任意に設定できれば、遊技店の状況などに応じて詳細かつ適切に設定できるが、多くの場合には固定でも対応でき、この固定の場合には設定の手間を省くことができる。
【0066】
また、メダル貸機13でニアエンプティを検知したときに、メダル補給装置14がメダルの自動補給を開始するとともに、状態表示ランプ31で低い緊急度合に応じた補給促進表示を表示させ、ニアエンプティの検知時からメダルの自動補給を考慮した経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば状態表示ランプ31の表示を高い緊急度合に応じた補給促進表示に切り換えるようにしてもよく、この場合にも、自動補給されずに手作業による補給の必要なメダル貸機13を知らせることができ、係員の作業を軽減できる。状態表示ランプ31による低い緊急度合の補給促進表示から高い緊急度合の補給促進表示への表示の区別は、例えば、状態表示ランプ31を点滅させる場合にはその点滅速度を早くするように変化させたり、発光色の場合には黄色から赤色に変化させたり、これら点滅と発光色とを組み合わせてもよい。また、状態表示ランプ31による低い緊急度合の補給促進表示から高い緊急度合の補給促進表示への表示切換タイミングは、上述したように設定手段16aによって任意に設定しても、あるいは固定でもよい。
【0067】
また、ニアエンプティ検知後の表示条件の設定は、各メダル貸機13毎に設定してもよい。例えば、メダル補給装置14のメダル搬送部56の上流側に位置していてメダルを迅速に自動補給しやすいメダル貸機13については、ニアエンプティの検知時から状態表示ランプ31で補給促進表示を表示するまでの経過時間や取引回数を多く設定することにより、補給促進表示の表示を遅らせ、係員の作業を軽減し、逆に、メダル搬送部56の下流側に位置していて自動補給が行き渡りにくい場合があるメダル貸機13については、ニアエンプティの検知時から状態表示ランプ31で補給促進表示を表示するまでの経過時間や取引回数を少なく設定することにより、補給促進表示の表示を早くし、メダル切れを防止できる。
【0068】
また、遊技媒体貸出装置としては、遊技機12がメダルの貸し出しを別途必要とする現金機の場合に対応したメダル貸出機能を有するメダル貸機13に限らず、遊技機がメダル貸出機能を有するCR機の場合に対応したメダル貸機である所謂CRユニットでもよい。
【0069】
また、遊技媒体貸出装置で貸し出す遊技媒体としては、パチスロ機に対応したメダルに限らず、パチンコ機に対応したパチンコ玉でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施の形態を示す遊技媒体貸出システムの遊技島の構成図である。
【図2】同上遊技媒体貸出システムの全体の構成図である。
【図3】同上遊技媒体貸出システムのメダル貸機を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図4】同上遊技媒体貸出システムのメダル貸機のブロック図である。
【図5】同上遊技媒体貸出システムのニアエンプティ後の表示条件の設定例を示す説明図である。
【図6】同上遊技媒体貸出システムの補給促進表示に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
13 遊技媒体貸出装置としてのメダル貸機
14 遊技媒体補給装置としてのメダル補給装置
16a 設定手段
31 表示部としての状態表示ランプ
36 遊技媒体貯留部としてのメダル貯留部
38 遊技媒体払出部としてのメダル払出部
39 遊技媒体残量検知部としてのメダル残量検知部
45 制御部
51 送信手段としての外部出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部、この遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体を払い出す遊技媒体払出部、遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体の残量が所定量以下となるニアエンプティを検知する遊技媒体残量検知部、この遊技媒体残量検知部で検知されるニアエンプティの情報を送信する送信手段、遊技媒体の補給を促進する補給促進表示を表示する表示部、遊技媒体残量検知部でニアエンプティを検知したときに送信手段でニアエンプティの情報を送信させ、ニアエンプティの検知時から予め設定された経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば表示部で補給促進表示を表示させる制御部を有する複数の遊技媒体貸出装置と、
これら遊技媒体貸出装置の送信手段から送信されてくるニアエンプティの情報を受信してそのニアエンプティの情報を送信した遊技媒体貸出装置に遊技媒体を自動補給する遊技媒体補給装置と
を具備していることを特徴とする遊技媒体貸出システム。
【請求項2】
ニアエンプティの検知時から表示部で補給促進表示を表示するまでの経過時間と遊技媒体を貸し出す取引回数との少なくとも一方を設定する設定手段を具備している
ことを特徴とする請求項1記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項3】
制御部は、表示部で補給促進表示を表示させてから所定時間経過してもニアエンプティが解消されないときに、表示部で通常の補給促進表示から緊急の補給促進表示の表示に切り換えさせる
ことを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
遊技媒体を貯留する遊技媒体貯留部、この遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体を払い出す遊技媒体払出部、遊技媒体貯留部に貯留されている遊技媒体の残量が所定量以下となるニアエンプティを検知する遊技媒体残量検知部、この遊技媒体残量検知部で検知されるニアエンプティの情報を送信する送信手段、遊技媒体の補給を促進する補給促進表示を補給の緊急度合に応じて切り換えて表示可能とする表示部、遊技媒体残量検知部でニアエンプティを検知したときに送信手段でニアエンプティの情報を送信させるとともに表示部で低い緊急度合に応じた補給促進表示を表示させ、ニアエンプティの検知時から予め設定された経過時点でもニアエンプティの検知が継続されていれば表示部の表示を高い緊急度合に応じた補給促進表示に切り換える制御部を有する複数の遊技媒体貸出装置と、
これら遊技媒体貸出装置の送信手段から送信されてくるニアエンプティの情報を受信してそのニアエンプティの情報を送信した遊技媒体貸出装置に遊技媒体を自動補給する遊技媒体補給装置と
を具備していることを特徴とする遊技媒体貸出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−29377(P2007−29377A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216190(P2005−216190)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】