説明

遊技情報管理装置

【課題】ノイズ用タイマの作動終了に応じて大当たりの終了判定を行う遊技情報管理装置において、ノイズ用タイマの作動中に受信した遊技信号により特定される遊技情報を精度良く管理し得る遊技情報管理装置を提供する。
【解決手段】大当たり信号が途絶えた場合に作動するノイズ用タイマのタイムアップに応じて大当たりの終了判定を行う管理装置3において、ノイズ用タイマの作動中のスタート検知によっても大当たりの終了判定を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機から出力される遊技信号に基づいて大当たり期間を管理する遊技情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、多数のパチンコ遊技機(以下、遊技機)が設置されており、その一つとして、大当たり抽選の抽選結果に応じた図柄変動を行い、その変動結果にて大当たりを示した場合には、以降の図柄変動を中断し、出玉率が高くなる状態である大当たりを発生させるものがある。この様な遊技機は、大当たり中の入賞に応じて払い出すべき払出玉を大当たり中に払い出し切ることが物理的に難しい為、例えば特許文献1の様に大当たり中であることを示す大当たり信号の出力停止後に所謂遅延タイマを作動させ、その遅延タイマ作動中の払出玉を大当たり中の払出玉とみなして管理している。
【特許文献1】特許第2954732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、大当たり信号は大当たり中に継続的に出力されるが、実際の管理装置ではノイズ等の影響を考慮して上述した遅延タイマとは異なるノイズ用タイマを作動させている。上述した遅延タイマは20秒程度の期間が設定されるのに対して、このノイズ用タイマは2秒程度が設定され、大当たり信号出力停止後は、まずノイズ用タイマを作動させ、そのノイズ用タイマがタイムアップした時に大当たり信号が出力されていなければ、大当たり中以外の状態(通常状態等)へと移行したと(即ち、大当たりの終了を)判定して、遅延タイマを作動させている。
【0004】
管理装置では、大当たり中と大当たり中以外の状態とを区別して管理しており、特許文献1の通り、遅延タイマ作動中の払出玉を大当たり中の遊技情報とみなしてはいるが、大当たり期間自体はノイズ用タイマのタイムアップとその時に受信している大当たり信号の出力状態により判定している。即ち、特許文献1の様に、遅延タイマ作動中に大当たりが発生(大当たり信号の受信を再開)した場合は、大当たり終了後、連続的に大当たりが発生したと判定する。
【0005】
しかしながら、ノイズ用タイマの作動中においては大当たりが継続していると判定してしまう為、ノイズ用タイマ作動中に図柄変動や大当たりが発生した場合に、大当たり後の図柄変動、或いは次の新たな大当たりの発生を正確に判定出来ず、遊技情報に誤差が生じていた。
【0006】
図10は、従来の管理装置による状態判定のタイムチャートである。ノイズ用タイマの作動により信号ノイズによる誤った大当たりの終了判定を防止している。しかしながら、実際の大当たり状態終了後に作動するノイズ用タイマの作動中に、スタート信号と連続的に発生した次の大当たり信号とを受信している為、大当たり間のスタート(図柄変動)を大当たり中のスタートと特定してしまうばかりか、連続的な2つの大当たりを1つの大当たりとして特定している。
【0007】
さて、上記した遊技機は大当たり中に図柄変動を中断する為、図柄変動を行わない。よって、大当たり期間中に図柄変動が行われたことを以て大当たりの終了判定を行うことを発明者は考えた。しかしながら、遊技場に設けられる遊技機には、ごく少数ではあるが大当たり中に図柄変動を行う遊技機も存在する。この様な遊技機の場合、単純に大当たり期間中の図柄変動により大当たりの終了判定を行うと、大当たり中の図柄変動に応じて直ちに大当たりの終了判定を行ってしまう虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ノイズ用タイマの作動終了に応じて大当たりの終了判定を行う遊技情報管理装置において、ノイズ用タイマの作動中に受信した遊技信号により特定される遊技情報を精度良く管理し得る遊技情報管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遊技機側から出力される遊技信号であって、遊技機にて所定の役物動作を行ったことを特定可能なスタート信号、及び遊技機にて前記役物動作の作動結果に応じて発生する遊技状態である大当たりが発生したことを特定可能な大当たり信号を受信する受信手段と、前記受信手段による大当たり信号の受信が途絶えた場合に作動するノイズ用タイマの作動期間であるノイズ用タイマ期間を設定する設定手段と、前記受信手段による大当たり信号の受信が途絶えた場合に前記ノイズ用タイマの作動を開始させるタイマ手段と、前記受信手段による大当たり信号の受信開始に応じて大当たり期間の開始を判定し、前記タイマ手段によるノイズ用タイマの作動開始後、前記ノイズ用タイマ期間の経過前に前記受信手段による前記大当たり信号の受信が再開された場合には大当たり期間の継続を判定する一方、当該ノイズ用タイマ期間が経過した場合は大当たり期間の終了を判定する判定手段と、前記受信手段が受信した遊技信号、及び前記判定手段による判定結果に応じて遊技情報を管理する管理手段と、を備えた遊技情報管理装置であって、
前記判定手段は、前記タイマ手段による前記ノイズ用タイマの作動開始後、前記ノイズ用タイマ期間の経過前に前記受信手段が前記スタート信号を受信した場合に、前記ノイズ用タイマ期間の経過前であっても大当たり期間の終了を判定するものである(請求項1)。
【0010】
請求項1の遊技情報管理装置において、前記受信手段は、遊技により払い出された遊技媒体数を示す払出媒体数を特定可能な払出媒体信号を前記遊技信号として受信し、前記設定手段は、前記判定手段による大当たり期間の終了判定後に作動する遅延タイマの作動期間である遅延期間を設定し、前記タイマ手段は、前記判定手段による大当たり期間の終了判定後に前記遅延タイマの作動を開始し、前記管理手段は、前記判定手段により判定される大当たり期間、及び前記遅延期間において前記受信手段が受信した前記払出媒体信号に基づいて大当たり期間における前記払出媒体数を管理する一方、前記判定手段による大当たり期間の終了判定の対象となった前記スタート信号の受信に応じて特定される役物作動を、当該判定対象となった大当たり期間後の役物作動として管理するようにしてもよい(請求項2)。
【0011】
請求項2の遊技情報管理装置において、前記タイマ手段は、前記ノイズ用タイマの作動中に、前記所定期間が経過した場合、或いは前記受信手段による前記大当たり信号の受信が再開された場合に、前記ノイズ用タイマの作動を停止し、前記判定手段は、前記ノイズ用タイマの作動が停止している場合には、前記受信手段が前記スタート信号を受信した場合であっても、大当たり期間の終了判定を行わず、前記管理手段は、前記判定手段により判定される大当たり期間において、前記ノイズ用タイマの非作動中に前記受信手段が受信した前記スタート信号に応じて特定される役物作動を、大当たり期間における役物作動として管理するようにしてもよい(請求項3)。
【0012】
請求項1ないし3のいずれかの遊技情報管理装置において、前記設定手段は、前記判定手段による前記スタート信号に応じた大当たり期間の終了判定を行うか否かを、遊技台毎、或いは遊技機グループ毎に遊技場の管理者による設定操作によって設定可能に構成され、前記判定手段は、前記タイマ手段による前記ノイズ用タイマの作動開始後、前記ノイズ用タイマ期間の経過前に前記受信手段が前記スタート信号を受信した場合に、前記設定手段により判定対象となる遊技機、或いは遊技機が属する遊技機グループについて前記スタート信号に応じた大当たり期間の終了判定を行うと設定されていれば前記終了判定を行う一方、終了判定を行わないと設定されていれば前記終了判定を行わないようにしてもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ノイズ用タイマ期間中にスタート信号を受信したときに、大当たり期間の終了を判定するようにしたので、ノイズ用タイマ期間の設定を特別に行わなくとも、大当たり終了後のノイズ用タイマ作動中等のごく短い期間にスタート信号や、連続的に発生する大当たりに応じた大当たり信号を出力する様な遊技性、或いは仕様の遊技機の大当たりの終了判定を精度良く判定出来る。これにより、遊技場管理者に管理対象となる遊技機が上述した遊技性等を備えた遊技機か否かを判断させることすら無く、図柄変動数(役物作動数)や大当たり数等を適切に管理し得る様になる。また、大当たり中に図柄変動し得る遊技機についても、ノイズ用タイマ期間の経過前のスタート信号のみが終了判定の対象となるので、高い確率で大当たり中の誤った終了判定を回避出来る。上述した通り、この様な遊技機が市場に少数しかないこと、及び市場の多数を占める大当たり中に図柄変動を行わない遊技機については確実に終了判定が可能になることを考慮すると、大当たりの終了判定を適切に行いつつも、管理対象となる遊技機の遊技性等を考慮してノイズ用タイマ期間の設定等を変更する必要性が激減する。
【0014】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明による大当たりの終了判定に応じて大当たり中の払出の遅れを考慮した遅延タイマが作動する為、信号ノイズにより誤って遅延タイマを作動させること無く適切に遅延タイマを作動させ得る。
請求項3の発明によれば、大当たり中に図柄変動し得る遊技機であっても、その様な遊技機の大当たり期間における図柄変動数を適切に管理し得る。また、ノイズ用タイマが作動を停止している場合は大当たりの終了判定を行わない為、信号ノイズがごく短い期間のみ発生する環境下であれば、大当たりの終了判定の精度を更に高めることが可能となる。
【0015】
請求項4の発明によれば、大当たり中に図柄変動し得る遊技性を備えた遊技機において大当たり信号の信号ノイズが乱発したり、比較的長い期間信号ノイズが発生する場合に大当たり状態の終了の誤判定を行う虞があるが、その様な遊技機、或いは遊技機グループについては設定によりスタート信号による終了判定を行わない様に設定するだけで、上記機能をキャンセルすることができるので、全ての遊技機に対応可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を遊技場用管理システムに適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、システム全体を示す概略図である。遊技機1に対応して貸出装置2が設置されている。管理室には管理装置(遊技情報管理装置に相当)3が設置されている。2台の遊技機1、貸出装置2に対応して中継装置4が設置されている。管理装置3は、中継装置4を介して貸出装置2、遊技機1とLANにより接続されており、中継装置4を介して遊技機側(遊技機1、貸出装置2等)から送信される遊技信号を受信する。
【0017】
遊技機1には、図柄変動用の表示部5、図柄変動開始用の始動口6、大当たり時に開放する大入賞口7、遊技媒体を盤面に発射するためのハンドル8、払出された遊技媒体を受けて貯留する上玉受皿9、この上玉受皿9から溢れた遊技媒体を受けて貯留する下玉受皿10、この下玉受皿10に貯留された遊技媒体を落下するためのレバー11が設けられている。
【0018】
管理対象となる遊技機1の動作について説明する。
(1)始動口6への入賞に応じて大当たり抽選を行い、抽選結果に応じた図柄変動を実行すると共に、その結果に応じて大当たり状態を発生させる。
(2)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/200で、大当たり中も図柄変動を行う。
(3)大当たり中の図柄変動において、対応する抽選結果が大当たりである場合には、大当たりが終了してから図柄変動が確定する程度の長めの図柄変動時間を選択する。
(4)よって、大当たり中の図柄変動にて大当たりとなる場合には、大当たり終了後、その長い図柄変動時間を待って図柄変動を確定させ、次の大当たりを発生させる。
尚、大当たりが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口を開放する。1Rの上限入賞数は9個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数または上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0019】
遊技機側からは次の遊技信号が出力される。
アウト信号=使用玉を回収するアウトBOXから出力。回収(使用、打込)玉10玉に対して1パルスなので、アウト信号数×10を使用媒体数(アウト)として特定する。尚、遊技機1から出力しても良い(使用媒体信号)。
セーフ信号(払出媒体信号に相当)=遊技機1から出力。払出10玉に対して1パルスなので、セーフ信号数×10を払出媒体致(セーフ)として特定する。尚、補給装置からの補給信号をセーフ信号としても良い。
スタート信号=遊技機1から出力。始動口への入賞により変動(動作)する表示部(役物)における図柄変動(役物作動、スタート処理)1回につき1パルスなので、スタート信号数を図柄変動数(スタート)として特定する。
大当たり信号=遊技機1から出力。大当たり中にレベル出力する状態信号。
【0020】
管理装置3は、CPUを主体とする制御部(設定手段、タイマ手段、判定手段、管理手段に相当)、HDD,RAM、ROM等からなる記憶部(設定手段、管理手段に相当)、I/Oからなる送受信部(受信手段に相当)、モニタ、プリンタ等からなる出力部、キーボード、マウス等からなる操作部(設定手段に相当)から構成されている。
管理装置3は、中継装置4を介して遊技機1、貸出装置2等と各種遊技情報の送受信、或いは設定情報等の送受信を行うことで、遊技情報を管理すると共に、ノイズ用タイマ等の各種設定値を設定可能となっている。
【0021】
図2は、管理装置3の設定情報記憶領域を示している。設定情報記憶領域には、「機種名」に対応して、「ノイズ用タイマ」、「遅延タイマ」、「スタート終了」の各項目が設定さており、それらの項目の意味は次の通りである。
ノイズ用タイマ=大当たり状態中に大当たり信号の検出停止により作動させるタイマ。このタイマの作動期間(ノイズ用タイマ期間に相当)中、或いは大当たり信号受信中を大当たり状態期間(大当たりフラグ=1)と判定する。
遅延タイマ=大当たりの終了判定後に(ノイズ用タイマのタイムアップ、ノイズ用タイマ作動中のスタート検知により)作動させるタイマ。このタイマ作動期間(遅延期間に相当)中のアウト、セーフは、前回大当たり時アウト(Tアウト)、セーフ(Tセーフ)として判定する。
スタート終了=ノイズ用タイマ作動中のスタート検知により、大当たり状態の終了判定を行うか否か。有の場合はスタート検知、或いはノイズ用タイマのタイムアップにより大当たり状態の終了を判定し、無の場合はノイズ用タイマのタイムアップのみで大当たり状態の終了を判定する。
【0022】
管理装置3は、遊技機1毎に大当たり毎の履歴データを作成する履歴記憶部を備えている。
図3は、管理装置3の履歴記憶部を示している。履歴記憶部には、「NO」に対応して、「大当たり」、「通常アウト」、「通常セーフ」、「通常スタート」、「Tアウト」、「Tセーフ」、「Tスタート」の各項目が設定されており、それらの項目の意味は次の通りである。
NO=レコードのナンバー。尚、合計欄は各遊技情報の営業開始時からの累計。平均欄は累計を大当たり回数にて除した、大当たり1回当たりの平均値を示す。
大当たり=営業開始時からの大当たり回数。
通常アウト=大当たり状態以外の遊技状態(通常状態)における打込玉数(アウト)
通常セーフ=通常状態における払出玉数(セーフ)。
通常スタート=通常状態における図柄変動数(スタート)。
Tアウト=大当たり状態におけるアウト。
Tセーフ=大当たり状態におけるセーフ。
Tスタート=大当たり状態におけるスタート。
【0023】
次に、上記構成の作用について説明する。
管理装置3は、図2の設定情報記憶領域におけるスタート終了が無と設定されている機種に関しては、従来同様に大当たり信号のみに応じてノイズ用タイマを作動させる。これに対して、スタート終了が有に設定されている機種に関しては、以下に説明する様に、大当たり信号とスタート信号との組み合わせによりノイズ用タイマを作動させ大当たり期間を判定する。
【0024】
図4は、管理装置3の動作のうち本発明に関連した動作を示すフローチャートである。管理装置3は、大当たり信号受信処理(A1)、スタート信号受信処理(A2)、アウト(セーフ)信号受信処理(A3)を繰返して実行している。
遊技者が遊技機1で遊技を開始すると、遊技機側からアウト(セーフ)玉の発生に応じてアウト(セーフ)信号が出力される。
図7は、管理装置3によるアウト(セーフ)信号受信処理を示すフローチャートである。管理装置3は、大当たりフラグが0の通常状態でアウト(セーフ)信号を受信したときは(D1:YES、D2:YES)、遅延タイマが作動中でないことを確認してから(D3:NO)、通常アウト(通常セーフ)を加算する(D5)。
【0025】
遊技機1でスタート入賞に応じて図柄変動が行われると、遊技機1からスタート信号が出力される。
図6は、管理装置3によるスタート信号受信処理を示すフローチャートである。管理装置3は、大当たりフラグが0の通常状態でスタート信号を受信(スタート検知)したときは(C1:YES、C2:NO)、通常スタートを加算する(C9)。
【0026】
遊技機1で大当たりが発生すると、遊技機側から大当たり信号が出力される。
図5は、管理装置3による大当たり信号受信処理を示すフローチャートである。管理装置3は、大当たりフラグ=1か(B1)、大当たり信号の受信を開始したか(B9)、遅延タイマの作動中か(B12)を判断している。大当たり信号の受信を開始したときは(B9:YES)、大当たりフラグを1としてから(B10)、遅延タイマが作動中かを判断する(B11)。通常状態で大当たりが発生した場合は、遅延タイマは停止しているので(B11:NO)、リターンする。
【0027】
ここで、管理装置3は、上述のように大当たりフラグ=1となった場合は(B1:YES)、次のようにして大当たり状態の継続判定を行う。即ち、ノイズ用タイマが作動中か(B2)、大当たり信号の受信を終了した(途絶えた)か(B3)を判断するようになり、大当たり信号の受信が終了した場合には(B3:YES)、ノイズ用タイマの作動を開始してから(B4)、ノイズ用タイマがタイムアップしたか(B5)、大当たり信号の受信を再開したか(B15)を判断するようになる。
【0028】
ノイズ用タイマの作動中に(B2:YES)、大当たり信号の受信を再開した場合は(B15:YES)、大当たりが継続しているとして、大当たりフラグを1のままノイズ用タイマの作動を停止する(B16)。一方、ノイズ用タイマの作動中に(B2:YES)、ノイズ用タイマがタイムアップした場合は(B5:YES)、大当たりが終了したとして、大当たりフラグを0とし(B6)、図3の履歴記憶部に新レコードを作成して(B7)、遅延タイマの作動を開始する(B8)。
【0029】
管理装置3は、図7のアウト(セーフ)信号受信処理において、大当たりフラグが1の状態でアウト、セーフ信号を受信したときは(D1:YES、D2:NO)、大当たり中のデータとしてTアウト(Tセーフ)を加算する(D6)。また、図6のスタート信号受信処理において、大当たりフラグが1の状態でスタート信号を受信したときに(C1:YES、C2:YES)、ノイズ用タイマの作動が停止しているときは(C3:NO)、Tスタートを加算する(C8)。ノイズ用タイマが作動中であったときは(C3:YES)、ノイズ用タイマを停止してから(C4)、大当たりが終了したとして大当たりフラグを0とし(C5)、図3の履歴記憶部に新レコードを作成し(C6)、遅延タイマの作動を開始する(C7)。即ち、遊技機1から大当たり終了後のノイズ用タイマの作動中にスタート信号が出力された場合は、従来の構成では図10に示すように大当たりの終了を判定できなかったが、上述のように大当たりの終了を判定するようにした。
【0030】
遅延タイマの作動中は(D3:YES)、アウト、セーフについては前大当たりのデータとして遊技情報を更新するが(D4)、スタートに関しては、遅延タイマの作動に関わりなく通常状態時の遊技情報として更新する(C9)。尚、そのスタート検知は大当たり後のスタートとして作成した新レコードの通常スタートを加算する。
【0031】
管理装置3は、図5の大当たり信号受信処理において、遅延タイマの作動中に大当たり信号を受信したとき(B9:YES、B11:YES)、或いは遅延タイマがタイムアップしたときは(B13:YES)、遅延タイマの作動を停止する(B14)。
図8は、管理装置3による状態判定を示すタイムチャートである。ノイズ用タイマの作動中にスタート信号を受信しているが、スタート信号の受信により大当たりの終了判定を行う為、大当たりが連続的に発生しても前後の大当たりを区分けし、更にその間のスタートを大当たり間のスタートと特定出来る。
【0032】
図9は、管理装置3による状態判定において大当たり中に図柄変動を行う遊技機の状態判定を行った場合のタイムチャートである。大当たり中にスタート信号を受信しても、大当たり信号受信中(ノイズ用タイマ非作動中)は大当たりの終了判定を行わない為、誤った大当たり終了判定を行わないばかりか、大当たり中のスタートを精度良く特定出来る。つまり、ノイズ用タイマの時間としては、信号ノイズの最大連続期間よりも長く、連続的に発生する大当たり間の最低期間よりも短い設定値とすれば良い。
【0033】
しかしながら、信号ノイズは遊技場の遊技島内の環境や遊技機種の特性等により異なる為、設定値を大凡判断出来る熟練した管理装置メーカの従業員であっても適切な設定を行うことは難しい。そして、通常、この様な設定は遊技機1の入替等に伴い遊技場の管理者(従業員)が行う為、その困難度は更に高まる。
【0034】
また、遊技場の環境や、遊技機種によっては上記条件を満たすことが出来ないケースも想定し得る。例えば、スタート信号を図柄変動確定時ではなく、図柄変動開始時に出力する仕様の遊技機1であればスタートが異常値となる虞がある。また、意外性を演出する為に大当たり後のごく短い期間にて大当たりを連続的に発生させる様な遊技性の遊技機1であればスタート、及び大当たり回数が共に異常値となる虞がある。
【0035】
本実施形態では、図9の様な大当たり中に図柄変動し得る遊技機1の大当たり状態を判定するケースを例示したが、市場の多くの遊技機1は大当たり状態中には図柄変動を行わない。即ち、ノイズ用タイマを4秒等の長めの期間に設定し、スタートによる大当たり終了を判定する設定を行っておけば、図9の様な遊技機1以外については面倒な設定を遊技機1の入替毎に行う必要がなくなり利便性に富む。
【0036】
図9の様な遊技機1の大当たりやスタートを適切に判定したい場合のみ、ノイズ用タイマを短めに設定したり、上記条件を満たし得る設定値が定まらない場合にスタート終了を無に設定したりすれば良い。
尚、図9の遊技機1を対象としても、ノイズ用タイマ作動中のみスタートに応じて大当たりの終了判定を行う為、大当たりの終了判定、及び大当たり中のスタートの特定を精度良く実行することが可能になる。
【0037】
そして、管理装置3は、図3の履歴記憶部により履歴データを集計し、遊技機1毎の累計遊技情報、及び大当たり平均遊技情報を集計する。尚、周知の構成である為、図示はしなかったが、遊技機種毎、或いは遊技場全体での遊技情報も図3の履歴記憶部と同様に集計する。
【0038】
このような実施形態によれば、管理装置3は、大当たり信号が途絶えた場合に作動するノイズ用タイマのタイムアップに応じて大当たりの終了判定を行う際に、ノイズ用タイマの作動中のスタート検知によっても大当たりの終了判定を行うので、ノイズ用タイマ期間の設定を特別に行わなくとも、大当たり終了後のノイズ用タイマ作動中等のごく短い期間にスタート信号や、連続的に発生する大当たりに応じた大当たり信号を出力する様な遊技性、或いは仕様の遊技機の大当たりの終了判定を精度良く判定出来る為、遊技場管理者に管理対象となる遊技機が上述した遊技性等を備えた遊技機か否かを判断させることすら無く、図柄変動数(役物作動数)や大当たり数等を適切に管理し得る様になる。
【0039】
また、大当たりの終了判定の対象となったスタート検知により特定されるスタート(図柄変動)を大当たり中におけるスタートではないと判定するようにしたので、大当たり直後のスタートを精度良く振分けられる。更に、上述した大当たりの終了判定に応じて大当たり中の払出の遅れを考慮した遅延タイマが作動する為、信号ノイズにより誤って遅延タイマを作動させること無く適切に遅延タイマを作動させ得る。
【0040】
また、大当たり期間中におけるノイズ用タイマ非作動中のスタート検知を大当たり中のスタートとして管理するようにしたので、大当たり中に図柄変動し得る遊技機であっても、その様な遊技機の大当たり期間における図柄変動数を適切に管理し得る。また、ノイズ用タイマが作動を停止している場合は大当たりの終了判定を行わない為、信号ノイズがごく短い期間のみ発生する環境下であれば、大当たりの終了判定の精度を更に高めることが可能となる。
【0041】
更に、スタート検知による大当たりの終了判定を遊技機、或いは遊技機グループ毎に設定可能としたので、大当たり中に図柄変動し得る遊技性を備えた遊技機において大当たり信号の信号ノイズが乱発したり、比較的長い期間信号ノイズが発生する場合に大当たり状態の終了の誤判定を行う虞があるが、その様な遊技機、或いは遊技機グループについては設定によりスタート信号による終了判定を行わない様に設定するだけで、上記機能をキャンセルすることができるので、全ての遊技機に対応可能となる。
(他の実施形態)
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
管理装置3の処理の一部、或いは全てを中継装置4等に行わせても良い。また、管理装置3の構成を貸出装置2や所謂呼出ランプに設けて、遊技者向けの遊技情報を管理する構成に本発明を適用するようにしても良い。即ち、遊技情報管理装置とは中継装置4を含めた管理者向けの遊技情報を管理する管理装置により構成される概念も、呼出ランプ等、遊技者向けの遊技情報を管理する遊技機装置により構成される概念をも含む概念である。
【0043】
図3の履歴情報に基づいて遊技情報を管理したが、累計値のみを管理対象としても良い。また、遊技者向けの遊技情報を管理する場合等に、大当たり終了毎に遊技情報を初期化する等して、履歴情報1回分の記憶領域等により遊技情報を管理しても良い。
ノイズ用タイマの作動を大当たり信号、或いはスタート信号に応じて停止する構成としたが、大当たり期間の継続、或いは終了判定さえ行えば停止しなくとも良い。この場合、ノイズ用タイマ期間の経過によりノイズ用タイマの作動を停止し、再度の大当たり信号の受信終了に応じてノイズ用タイマ期間を初期化すれば良い。
【0044】
遅延タイマ作動中は、アウト、セーフのいずれについても前回の大当たり中の遊技情報としたが、各々別途の遅延タイマを設けたり、アウトについては設定値を設け、大当たり中のアウトに一律に設定値を加算したりする構成としても良い。勿論、遅延タイマを設けず、設定値をアウト、セーフの各々に加算する構成としても良い。この場合、大当たりが終了判定されるまでのアウト、セーフに設定値を加算することになる。
【0045】
管理対象となる遊技機1について、大当たり中に図柄変動を行わない遊技機1や、大当たり確率が向上する所謂確変状態、或いは始動口の入賞率が高くなる所謂時短状態等の大当たり状態以外で、遊技者にとって有利となる状態である特別遊技状態を発生させる遊技機等を対象としても良い。後者の場合、特別遊技状態であることを特定可能な特別遊技状態信号により特別遊技状態であることを特定し、特別遊技状態である期間の遊技情報を通常情報と区別して管理する周知の構成に対応しても良い。尚、この特別遊技状態も通常状態の概念に相当する。
【0046】
設定とは、設定操作に基づき変動可能な設定は元より、設定操作により変更出来ない固定的な設定も含まれる。
図2の設定情報記憶領域におけるスタート種別について遊技機種毎に設定することを例示したが、遊技機毎に、或いは遊技島毎に設定しても良い。また、グループとして遊技機種を例示したが、遊技島やメーカが同一等どの様な単位でグループを組んでも良い。尚、別途、遊技機IDとグループIDとを対応付ける周知のグループ設定を行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態におけるシステム全体を示す概略図
【図2】管理装置の設定情報記憶領域を示す図
【図3】管理装置の履歴記憶部を示す図
【図4】管理装置の動作を示すフローチャート
【図5】管理装置による大当たり信号受信処理を示すフローチャート
【図6】管理装置によるスタート信号受信処理を示すフローチャート
【図7】管理装置によるアウト(セーフ)信号受信処理を示すフローチャート
【図8】管理装置による状態判定を示すタイムチャート
【図9】大当たり中に図柄変動を行う遊技機の状態判定を行った場合を示す図8相当図
【図10】従来の管理装置による状態判定を示す図8相当図
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は遊技機、3は管理装置(遊技情報管理装置、設定手段、タイマ手段、判定手段、管理手段、受信手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機側から出力される遊技信号であって、遊技機にて所定の役物動作を行ったことを特定可能なスタート信号、及び遊技機にて前記役物動作の作動結果に応じて発生する遊技状態である大当たりが発生したことを特定可能な大当たり信号を受信する受信手段と、
前記受信手段による大当たり信号の受信が途絶えた場合に作動するノイズ用タイマの作動期間であるノイズ用タイマ期間を設定する設定手段と、
前記受信手段による大当たり信号の受信が途絶えた場合に前記ノイズ用タイマの作動を開始させるタイマ手段と、
前記受信手段による大当たり信号の受信開始に応じて大当たり期間の開始を判定し、前記タイマ手段によるノイズ用タイマの作動開始後、前記ノイズ用タイマ期間の経過前に前記受信手段による前記大当たり信号の受信が再開された場合には大当たり期間の継続を判定する一方、当該ノイズ用タイマ期間が経過した場合は大当たり期間の終了を判定する判定手段と、
前記受信手段が受信した遊技信号、及び前記判定手段による判定結果に応じて遊技情報を管理する管理手段と、を備えた遊技情報管理装置であって、
前記判定手段は、前記タイマ手段による前記ノイズ用タイマの作動開始後、前記ノイズ用タイマ期間の経過前に前記受信手段が前記スタート信号を受信した場合に、前記ノイズ用タイマ期間の経過前であっても大当たり期間の終了を判定することを特徴とする遊技情報管理装置。
【請求項2】
前記受信手段は、遊技により払い出された遊技媒体数を示す払出媒体数を特定可能な払出媒体信号を前記遊技信号として受信し、
前記設定手段は、前記判定手段による大当たり期間の終了判定後に作動する遅延タイマの作動期間である遅延期間を設定し、
前記タイマ手段は、前記判定手段による大当たり期間の終了判定後に前記遅延タイマの作動を開始し、
前記管理手段は、前記判定手段により判定される大当たり期間、及び前記遅延期間において前記受信手段が受信した前記払出媒体信号に基づいて大当たり期間における前記払出媒体数を管理する一方、前記判定手段による大当たり期間の終了判定の対象となった前記スタート信号の受信に応じて特定される役物作動を、当該判定対象となった大当たり期間後の役物作動として管理することを特徴とする請求項1記載の遊技情報管理装置。
【請求項3】
前記タイマ手段は、前記ノイズ用タイマの作動中に、前記所定期間が経過した場合、或いは前記受信手段による前記大当たり信号の受信が再開された場合に、前記ノイズ用タイマの作動を停止し、
前記判定手段は、前記ノイズ用タイマの作動が停止している場合には、前記受信手段が前記スタート信号を受信した場合であっても、大当たり期間の終了判定を行わず、
前記管理手段は、前記判定手段により判定される大当たり期間において、前記ノイズ用タイマの非作動中に前記受信手段が受信した前記スタート信号に応じて特定される役物作動を、大当たり期間における役物作動として管理することを特徴とする請求項2記載の遊技情報管理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記判定手段による前記スタート信号に応じた大当たり期間の終了判定を行うか否かを、遊技台毎、或いは遊技機グループ毎に遊技場の管理者による設定操作によって設定可能に構成され、
前記判定手段は、前記タイマ手段による前記ノイズ用タイマの作動開始後、前記ノイズ用タイマ期間の経過前に前記受信手段が前記スタート信号を受信した場合に、前記設定手段により判定対象となる遊技機、或いは遊技機が属する遊技機グループについて前記スタート信号に応じた大当たり期間の終了判定を行うと設定されていれば前記終了判定を行う一方、終了判定を行わないと設定されていれば前記終了判定を行わないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の遊技情報管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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