説明

遊技機及び遊技機の認証方法

【課題】主制御部の処理負担を最小限にして、制御コマンドの通信継続性が確認でき且つ認証に用いる認証情報の解析を困難にする。
【解決手段】主制御部は複数の個体識別値を生成して個体識別値記憶手段に記憶する。主制御部はその中から1つの個体識別値を無作為に選択すると、該個体識別値を付加方式で履歴データに付加して認証情報を生成して周辺部に送信する。一方、周辺部は制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに対応した所定の処理を行うと共に、該制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを、主制御部と同一の履歴生成方式で生成する。周辺部は主制御部から認証情報を受信すると、複数種類の期待値と主制御部と同一の付加方式とに基づいて、受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する。周辺部は抽出した複数の認証用履歴データの中に周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて主制御部の認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を備え、これらの基板間の通信の認証を行う遊技機及び遊技機の認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の基板を備えた遊技機において、これら各基板に対する不正を防止するための様々な技術が提案されている。複数の基板を備えた遊技機とは、たとえば、ぱちんこ遊技機などがある。ぱちんこ遊技機には、遊技機全体の動作を司る主制御基板と、遊技機の各部の動作をおこなう被制御基板(周辺基板)とを備えている。この主制御基板は、周辺基板に制御コマンドを含む制御信号を出力し、その他の周辺基板は、主制御基板から送信された制御信号にしたがって動作を実行する機能を備えている。
【0003】
このような構成の遊技機の場合、主制御基板に対する不正としては、たとえば、正規の主制御基板を不正な制御基板に取り替えたり、主制御基板がおこなう処理を規定したプログラムコードを改ざんしたりといった手法がある。このような不正を防止するため、たとえば、主制御基板内に搭載されたROMに記録されているプログラムデータをROMチェッカによってチェックして、ROMの不正交換などを防止する技術が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
また、特許文献2には、主制御基板からサブ制御基板に制御コマンドを送信し、さらに所定の通信経路における制御コマンドの通信状態を監視するための状態監視コマンドを送信し、サブ制御基板が状態監視コマンドを用いて制御コマンドの正当性を検証し、誤りがあると判定した場合には制御対象の制御を停止する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−333108号公報
【特許文献2】特開2002−18095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の場合、プログラムデータの改ざんは検知できるが、正規の主制御用基板と被制御基板との間に不正な制御基板が接続されてしまうと、この不正な制御基板から出力される不正な制御信号による不正制御を防止することができないという問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献2のように、制御コマンドとは別の状態監視コマンドを主制御基板から被制御基板に送信する場合、遊技機は不正行為(「ゴト」行為)が行われる可能性があり、主制御側と被制御側との間に介在した前記不正な制御基板等によって状態監視コマンドが不正に解析されやすいため、その解析を困難にできないと、特許文献2の構成等を遊技機で実現させるのが困難であった。さらに、送信する際に複雑な暗号化をしてしまうと、正規な主制御基板及び被制御基板の各々の処理が複雑化して処理負担が増加してしまうという問題が生じてしまう。また、主制御部の処理負担を認証処理のために増加させることができないという遊技機の特有の問題もあった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、主制御部の処理負担を最小限にして、制御コマンドの通信継続性に基づく認証ができ且つ認証に用いる認証情報の解析を困難にすることができる遊技機及び遊技機の認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる請求項1記載の遊技機は、複数種類の制御コマンドを送信する主制御部と、前記主制御部によって送信された複数種類の制御コマンドの各々に基づいて所定の処理を行う周辺部と、を備える遊技機において、前記主制御部は、前記主制御部を識別するための複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを、前記主制御部の予め定められた記憶データに基づいて生成する個体識別値生成手段と、前記個体識別値生成手段が生成した前記複数種類の個体識別値を記憶する個体識別値記憶手段と、前記周辺部に送信した前記制御コマンドの履歴を示す履歴データを予め定められた履歴生成方式で生成する履歴データ生成手段と、前記個体識別値記憶手段が記憶している複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択する選択手段と、前記選択手段が選択した個体識別値を予め定められた付加方式で前記履歴データに付加して認証情報を生成する認証情報生成手段と、前記認証情報生成手段が生成した認証情報と前記制御コマンドを前記周辺部に送信する送信手段と、を備え、前記周辺部は、前記主制御部の前記複数種類の個体識別値の各々に一致する複数種類の期待値を記憶する期待値記憶手段と、前記主制御部から前記認証情報と前記制御コマンドを受信する受信手段と、前記主制御部から受信した前記制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを前記主制御部と同一の前記履歴生成方式で生成する周辺側履歴データ生成手段と、前記複数種類の期待値と前記主制御部と同一の前記付加方式とに基づいて、前記受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する認証用履歴データ抽出手段と、前記認証用履歴データ抽出手段が抽出した複数の認証用履歴データの中に前記周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて、前記主制御部の認証を行う認証手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記請求項1に記載した本発明の遊技機によれば、主制御部は、複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを主制御部の予め定められた記憶データに基づいて生成して、個体識別値記憶手段に複数種類の個体識別値として記憶する。主制御部は、遊技機の動作に応じて制御コマンドを周辺部に送信すると、その履歴を示す履歴データを履歴生成方式で生成する。主制御部は、複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択すると、該個体識別値を予め定められた付加方式で履歴データに付加して認証情報を生成して周辺部に送信することができる。一方、周辺部の期待値記憶手段には、主制御部が生成すべき複数種類の個体識別値の各々と一致する複数種類の期待値が予め記憶される。そして、周辺部は、主制御部から制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに対応した所定の処理を行うと共に、主制御部から受信した制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを、主制御部と同一の履歴生成方式で生成する。周辺部は、主制御部から認証情報を受信すると、複数種類の期待値の各々と主制御部と同一の付加方式とに基づいて、受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する。周辺部は、抽出した複数の認証用履歴データの中に周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて主制御部の認証を行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記個体識別値生成手段は、前記遊技機の起動時に、前記複数種類の個体識別値を前記記憶データに基づいて生成するようにしたことを特徴とする。
【0012】
上記請求項2に記載した本発明の遊技機によれば、主制御部は、遊技機の起動に応じて、複数種類の個体識別値を記憶データに基づいて生成して個体識別値記憶手段に記憶することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記主制御部は、前記複数種類の制御コマンドの中から予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出する制御コマンド検出手段と、前記制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記認証情報生成手段が用いる前記付加方式を予め定められた切替方式で切り替える付加方式切替手段と、を備え、前記周辺部は、前記主制御部で予め定められた検出対象制御コマンドの前記主制御部からの受信を検出する周辺側制御コマンド検出手段と、前記周辺側制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記履歴データ抽出手段が用いる前記付加方式を前記主制御部と同一の前記切替方式で切り替える周辺側付加方式切替手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記請求項3に記載した本発明の遊技機によれば、主制御部は、予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出すると、付加方式を予め定められた切替方式で切り替える。その後、主制御部は、切り替えた付加方式で個体識別値を履歴データに付加して認証情報を生成して周辺部に送信することができる。一方、周辺部は、予め定められた検出対象制御コマンドの受信を検出すると、付加方式を主制御部と同一の切替方式で切り替える。その後、周辺部は、切り替えた付加方式と複数種類の期待値に基づいて認証情報から複数の認証用履歴データを抽出し、該抽出した複数の認証用履歴データの中に周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて主制御部の認証を行うことができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の遊技機において、前記主制御部は、前記制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える履歴生成方式切替手段を備え、前記周辺部は、前記周辺側制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記周辺側履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を前記主制御部と同一の前記履歴切替方式で切り替える周辺側履歴生成方式切替手段を備えることを特徴とする。
【0016】
上記請求項4に記載した本発明の遊技機によれば、主制御部は、予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出すると、付加方式を前記切替方式で切り替えると共に、履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える。その後、主制御部は、遊技機の動作に応じて制御コマンドを周辺部に送信すると、当該切り替えた履歴生成方式でその履歴を示す履歴データを生成することができる。一方、周辺部は、予め定められた検出対象制御コマンドの受信を検出すると、付加方式を切り替えると共に、履歴生成方式を主制御部と同一の履歴切替方式で切り替える。その後、周辺部は、主制御部から制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに対応した所定の処理を行うと共に、主制御部から受信した制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを、切り替えた主制御部と同一の履歴生成方式で生成することができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記主制御部は、前記複数種類の制御コマンドの中から予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出する制御コマンド検出手段と、前記制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える履歴生成方式切替手段と、を備え、前記周辺部は、前記主制御部で予め定められた検出対象制御コマンドの前記主制御部からの受信を検出する周辺側制御コマンド検出手段と、前記周辺側制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記周辺側履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を前記主制御部と同一の前記履歴切替方式で切り替える周辺側履歴生成方式切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記請求項5に記載した本発明の遊技機によれば、主制御部は、予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出すると、履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える。その後、主制御部は、遊技機の動作に応じて制御コマンドを周辺部に送信すると、当該切り替えた履歴生成方式でその履歴を示す履歴データを生成することができる。一方、周辺部は、予め定められた検出対象制御コマンドの受信を検出すると、履歴生成方式を主制御部と同一の履歴切替方式で切り替える。その後、周辺部は、主制御部から制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに対応した所定の処理を行うと共に、主制御部から受信した制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを、切り替えた主制御部と同一の履歴生成方式で生成することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の遊技機において、前記履歴データ及び前記周辺側履歴データの各々は、前記複数回分の履歴を示すデータであることを特徴とする。
【0020】
上記請求項6に記載した本発明の遊技機によれば、主制御部は、制御コマンドを周辺部に送信すると、例えば、予め定められた回数分、奇数回、偶数回、等の制御コマンドに基づいた履歴データを生成し、履歴データ記憶手段の履歴データを更新する。一方、周辺部は、主制御部の履歴データに対応した周辺側履歴データを、主制御部から受信した複数の制御コマンドに基づいて生成して更新する。
【0021】
本発明にかかる請求項7記載の遊技機の認証方法は、複数種類の制御コマンドを送信する主制御部と、前記主制御部によって送信された複数種類の制御コマンドの各々に基づいて所定の処理を行う周辺部と、を備える遊技機の認証方法において、前記主制御部は、前記主制御部を識別するための複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを、前記主制御部の予め定められた記憶データに基づいて生成する個体識別値生成工程と、前記個体識別値生成工程で生成した前記複数種類の個体識別値を個体識別値記憶手段に記憶する個体識別値記憶工程と、前記周辺部に送信した前記制御コマンドの履歴を示す履歴データを予め定められた履歴生成方式で生成する履歴データ生成工程と、個体識別値記憶手段が記憶している前記主制御部を識別するための複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択する選択工程と、前記選択工程で選択した個体識別値を予め定められた付加方式で前記履歴データに付加して認証情報を生成する認証情報生成工程と、前記認証情報生成工程で生成した認証情報を前記周辺部に送信する送信工程と、を備え、前記周辺部は、前記主制御部の前記複数種類の個体識別値の各々と一致する複数種類の期待値が期待値記憶手段に予め記憶される期待値記憶工程と、前記主制御部から受信した前記制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを前記主制御部と同一の前記履歴生成方式で生成する周辺側履歴データ生成工程と、前記主制御部から前記認証情報を受信する受信工程と、前記期待値記憶手段が記憶している複数種類の期待値と前記主制御部と同一の前記付加方式とに基づいて、前記受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する認証用履歴データ抽出工程と、前記認証用履歴データ抽出工程で抽出した複数の認証用履歴データの中に前記周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて、前記主制御部の認証を行う認証工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
上記請求項7に記載した本発明の遊技機の認証方法によれば、主制御部は、例えば、遊技機の起動、所定のタイミングの検出に応じて、複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを主制御部の予め定められた記憶データに基づいて生成して、個体識別値記憶手段に複数種類の個体識別値として記憶する。主制御部は、遊技機の動作に応じて制御コマンドを周辺部に送信すると、その履歴を示す履歴データを履歴生成方式で生成する。主制御部は、複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択すると、該個体識別値を予め定められた付加方式で履歴データに付加して認証情報を生成して周辺部に送信することができる。一方、周辺部の期待値記憶手段には、主制御部が記憶すべき複数種類の個体識別値の各々と一致する複数種類の期待値が予め記憶される。そして、周辺部は、主制御部から制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに対応した所定の処理を行うと共に、主制御部から受信した制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを、主制御部と同一の履歴生成方式で生成する。周辺部は、主制御部から認証情報を受信すると、複数種類の期待値の各々と主制御部と同一の付加方式とに基づいて、受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する。周辺部は、抽出した複数の認証用履歴データの中に周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて主制御部の認証を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、主制御部が制御コマンドの履歴を示す履歴データに、無作為に選択した個体識別値を付加した認証情報を生成して周辺部に送信するようにしたことから、周辺部が認証情報の履歴データを主制御部の認証に用いても、無作為に選択した個体識別値が不規則に変化するため、認証情報の規則性がなくなり、認証情報に対する不正解析の防止を期待することができる。また、主制御部は、複数種類の個体識別値から1つの個体識別値を無作為に選択して履歴データに付加するだけでよいため、主制御部に記憶するプログラムのコード量の増加及び主制御部の処理負荷の増加を抑止することができる。さらに、主制御部が複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを主制御部の記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を主制御部に予め記憶しておく必要がなくなるため、遊技機における主制御部の認証のために予め記憶しておくデータ量の増加を抑制することができる。そして、主制御部は認証情報を生成する前までに複数種類の個体識別値を予め記憶しておくことができるため、認証情報の生成時に複雑な演算を行う必要がなくなり、主制御部の処理負担の増加を防止できる。また、主制御部が遊技機の起動後に個体識別値を生成して記憶するようにしたことから、遊技機が起動していない状態では、主制御部のROM等に個体識別値が記憶されていないため、主制御部における複数種類の個体識別値とその生成方式を、リバースエンジニアリング、逆アセンブル、等で不正に解析することを困難にすることができる。さらに、複数種類の個体識別値の全てを生成するようにすれば、複数種類の個体識別値の全てを主制御部のROM等に記憶しておく必要がないため、個体識別値に対する不正な解析をより一層困難にすることができる。また、遊技機において複数種類の個体識別値を用いる場合、主制御部の処理能力及び処理効率を考慮すると、複数種類の個体識別値の各々をまとめてROM等に予め記憶しておく必要があったため、認証に用いる複数種類の個体識別値が不正に解析されやすくなってしまう可能性があったが、本願発明のように個体識別値生成手段を用いることで、複数種類の個体識別値が不正に解析されることをより一層困難にすることができる。一方、周辺部は、履歴データに基づいて制御コマンドの通信継続性を確認して認証するようにしたことから、不正な制御コマンドによる不正な通信切り替えを検出することができるため、不正な通信切り替え防止に貢献することができる。しかも、周辺部は、認証情報から複数種類の期待値を用いて認証用履歴データを抽出することから、履歴データに正規の個体識別値が付加されていない場合、認証用履歴データと周辺側履歴データは一致しないため、不正を確実に検出することができる。さらに、周辺部が複数種類の期待値の各々と認証情報との全ての組み合わせを確認して主制御部の認証を行うようにしたことから、主制御部は個体識別値を単に選択するだけで良くなり、複雑な処理を盛り込む必要がなくすことができる。また、主制御部が記憶データに基づいて個体識別値を生成しているので、主制御部の記憶データが改ざんされると、周辺部の期待値とは異なる個体識別値を主制御部が生成するため、周辺部は主制御部の認証が成立しなくなり、不正防止に貢献することができる。また、例えば主制御部と周辺部との間に不正基板などが介入するような場合、該不正基板における解析負荷が増大するために処理能力を高くしなければならないため、コストや設計難易度を増大させて、不正基板の製作抑止に貢献することができる。従って、主制御部の処理負担を最小限にして、制御コマンドの通信継続性が確認でき且つ認証に用いる認証情報の解析を困難にすることができる。
【0024】
上述した遊技機において、主制御部は、遊技機の起動に応じて、複数種類の個体識別値のうちの予め定められた少なくとも1つを記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を予め記憶しておく必要がなく、且つ、遊技機の起動直後から、主制御部の認証を行うことができるため、認証情報の認証強度の向上に貢献することができる。また、周辺部の期待値と異なる個体識別値を主制御部が生成した場合は、その起動前に記憶データが改ざんされたと判断することができるため、不正防止に貢献することができる。
【0025】
上述した遊技機において、主制御部及び周辺部は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、付加方式を予め定められた切替方式に基づいて切り替えるようにしたことから、同一の履歴データに同一の個体識別値を付加しても生成する認証情報は異なるため、不正な解析をより一層困難にすることができる。また、検知対象制御コマンドを付加方式の切り替えタイミングとしているので、遊技機の起動後においても、主制御部と周辺部は同期して切り替えることができる。
【0026】
上述した遊技機において、主制御部及び周辺部は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、付加方式を予め定められた切替方式に基づいて切り替えると共に、履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替えるようにしたことから、履歴データに個体識別値を付加する付加方式が切り替えられると共に、履歴データの履歴生成方式も切り替えられるため、生成する認証情報に継続性がなくなり、不正な解析をより一層困難にすることができる。
【0027】
上述した遊技機において、主制御部及び周辺部は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式に基づいて切り替えるようにしたことから、変化する履歴データに同一の個体識別値を付加しても生成する認証情報は異なるため、不正な解析をより一層困難にすることができる。また、検知対象制御コマンドを付加方式の切り替えタイミングとしているので、遊技機の起動後においても、主制御部と周辺部は同期して切り替えることができる。
【0028】
上述した遊技機において、履歴データ及び周辺側履歴データが複数回分の制御コマンドの履歴を示すようにしたことから、認証情報の送信回数を減らしても、その間に生じた制御コマンドの不正を検出することができるため、認証精度の向上を図ることができる。また、履歴データも複雑化するため、不正な解析をより一層困難にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のぱちんこ遊技機の遊技盤の一例を示す正面図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】主制御基板および周辺基板の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】主制御部による演出制御部の制御処理の一部を示すフローチャートである。
【図5】主制御部による演出制御部の制御処理の他の一部を示すフローチャートである。
【図6】大当たり関連コマンドの送信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】演出制御部による図柄変動処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】演出制御部による大当たり時処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】ランプ制御部による図柄変動時のランプ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】主制御部が出力する制御信号のデータフォーマットを模式的に示す説明図である。
【図11】認証情報のデータフォーマットを示す説明図である。
【図12】主制御部による被認証側処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】周辺部による認証側処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】認証情報を用いた場合の認証処理手順例を示すフローチャートである。
【図15】主制御部による被認証側処理2の一例を示すフローチャートである。
【図16】周辺部による認証側処理2の一例を示すフローチャートである。
【図17】認証情報を用いた場合の認証処理手順例2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる遊技機であるぱちんこ遊技機と、このぱちんこ遊技機に搭載されている複数の基板間(主制御基板および周辺基板)の制御信号に含まれる制御コマンドを認証する認証方法および認証プログラムに好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
[実施例1]
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
本発明のぱちんこ遊技機100は、図1に示す遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置に配置された発射部292(図2参照)の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。図示を省略するが、遊技領域103には、遊技球を各種の方向に向けて落下させる複数の釘が設けられている。遊技領域103には、遊技球の落下途中の位置に、遊技球の落下方向を変化させる風車や入賞口が配設されている。
【0032】
遊技盤101の遊技領域103の中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104としては、例えば液晶表示器(LCD)が用いられる。なお、図柄表示部104としては、LCDに限らず、CRT、複数のドラム、などを用いることができる。図柄表示部104の下方には、始動入賞させるための始動入賞口105が配設されている。図柄表示部104の左右には、それぞれ入賞ゲート106が配設されている。
【0033】
入賞ゲート106は、落下する遊技球の通過を検出し、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる抽選を行うために設けられている。図柄表示部104の側部や下方などには普通入賞口107が配設されている。普通入賞口107に遊技球が入賞すると、ぱちんこ遊技機100は普通入賞時の賞球数(例えば10個)の払い出しを行う。遊技領域103の最下部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
【0034】
上述した図柄表示部104は、特定の入賞口に遊技球が入賞したとき(始動入賞時)に、複数の図柄の表示の変動を開始し、所定時間後に図柄の表示の変動を停止する。この停止時に特定図柄(例えば「777」など)に揃ったときに、ぱちんこ遊技機100は大当たり状態となる。そして、ぱちんこ遊技機100は、大当たり状態のとき、遊技盤101の下方に位置する大入賞口109を一定の期間開放させ、この期間開放を所定ラウンド(例えば15ラウンドなど)繰り返し、大入賞口109に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す。
【0035】
ぱちんこ遊技機100は、図2に示す制御部200を備えている。制御部200は、主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203と、を有している。そして、主制御部201は本発明の主制御基板に相当し、演出制御部202と賞球制御部203とはそれぞれ本発明の周辺基板に相当している。そして、主制御部201は、ぱちんこ遊技機100の遊技にかかる基本動作を制御する。演出制御部202は、遊戯中の演出動作を制御する。賞球制御部203は、払い出す賞球数を制御する。
【0036】
主制御部201は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、インタフェース(I/F)214と、を有している。CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムデータに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM212は、プログラムデータ等を記憶する記憶領域を有している。RAM213は、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。I/F214は、各検出部221〜224から各種データを受信するとともに、演出制御部202及び賞球制御部203への各種データの送信を行う。主制御部201は、例えばいわゆる主制御基板によってその機能を実現する。
【0037】
この主制御部201の入力側には、始動入賞口105に入賞した入賞球を検出する始動入賞口検出部221と、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入賞した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口109に入賞した入賞球を検出する大入賞口検出部224と、がI/F214を介して電気的に接続されている。これらの検出部としては、近接スイッチなどを用いて構成できる。
【0038】
この主制御部201の出力側には、大入賞口開閉部231が電気的に接続されており、主制御部201はこの大入賞口開閉部231の開閉を制御する。大入賞口開閉部231は、大当たり時に大入賞口109を一定期間開放する機能であり、ソレノイドなどを用いて構成できる。この大当たりは、生成した乱数(大当たり判定用乱数)に基づいて、所定の確率(例えば300分の1など)で発生するよう予めプログラムされている。
【0039】
演出制御部202は、主制御部201から各種の制御コマンドを含む制御信号を受け取り、このコマンドに基づいて、ROM242に記憶されたプログラムデータを実行して遊技中における演出制御を行う。この演出制御部202は、CPU241と、ROM242と、RAM243と、VRAM244と、インタフェース(I/F)245と、を有している。CPU241は、ぱちんこ遊技機100に対応した演出処理を実行する。RAM243は、CPU241の演出処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。VRAM244は、図柄表示部104に表示させる画像データ等を記憶する。I/F245は、主制御部201からの各種データの受信およびランプ制御部251や音声制御部252への各種データの送信を行う。演出制御部202は、例えばいわゆる演出基板によってその機能を実現する。また、演出制御部202の出力側には、上述した図柄表示部(LCD)104、ランプ制御部251、音声制御部252がI/F245を介して電気的に接続されている。ランプ制御部251はランプ261の点灯を制御する。また、音声制御部252はスピーカ262の音声等の出力を制御する。
【0040】
賞球制御部203は、主制御部201から各種の制御コマンドを含む制御信号を受け取り、このコマンドに基づいて、ROM282に記憶されたプログラムデータを実行して賞球制御を行う。この賞球制御部203は、CPU281と、ROM282と、RAM283と、インタフェース(I/F)284と、を有している。CPU281は、賞球制御の処理を実行する。RAM283は、CPU281の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。I/F284は、主制御部201からの各種データの受信および発射部292との各種データの送受信を行う。賞球制御部203は、例えばいわゆる賞球基板によってその機能を実現する。
【0041】
賞球制御部203は、I/F284を介して接続される払出部291に対して、入賞時の賞球数を払い出す制御を行う。また、賞球制御部203は、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、発射部292における遊技球の発射を制御する。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータなどからなる。賞球制御部203は、この払出部291に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。
【0042】
発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える。賞球制御部203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイドなどを駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
【0043】
上記構成の主制御部201と演出制御部202と賞球制御部203は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出基板、賞球基板)に設けられる。なお、ぱちんこ遊技機100の基板の構成は、これに限らず、例えば、賞球制御部203を、主制御部201又は演出制御部202と同一のプリント基板上に設けるなどの種々異なる構成とすることができる。
【0044】
(主制御基板および周辺基板の機能的構成)
まず、図3を参照して、主制御部201としての機能を有する主制御基板310の機能的構成について説明する。主制御基板310は、周辺基板330を動作させるための制御コマンドを送信する機能部であり、データ記憶部311、個体識別値生成部312、履歴データ生成部313、選択部314、認証情報生成部315、送信部316、を有して構成している。そして、主制御基板310は、周辺基板330とは別の基板で形成されており、周辺基板330への単方向の通信が可能なように電気的に接続されている。
【0045】
データ記憶部311は、本発明の個体識別値記憶手段に相当し、送信した制御コマンドデータ(制御コマンド)、認証情報、複数種類の個体識別値、履歴生成方式データ(履歴生成方式)、付加方式データ、等の各種データを記憶している。データ記憶部311としては、例えば、主制御部201のROM212、RAM213(図2参照)の一部を用いることができる。
【0046】
データ記憶部311は、周辺部に送信した複数の制御コマンドと複数の認証情報を、ログデータとして時系列的に記憶する記憶領域を有している。そして、データ記憶部311に記憶する複数の制御コマンド及び認証情報の数は、任意に設定することができる。また、制御コマンド及び認証情報のデータ記憶部311に記憶するタイミングは、それが確定した時点、周辺部に送信した後、等のタイミングを任意に定めることができる。そして、本実施例では、例えば、大当たりリーチコマンド、大当たり開始コマンド、大当たりコマンド、大当たり終了コマンド、等の複数種類の制御コマンドを履歴対象としてデータ記憶部311に記憶する場合について説明するが、これに代えて、予め定められた1種類の制御コマンドのみを記憶することもできる。
【0047】
データ記憶部311は、後述する個体識別値生成部312が生成した個体識別値と予め定められた個体識別値とのうち、少なくとも前記生成した個体識別値を記憶する。そして、複数種類の個体識別値の各々は、主制御基板310(主制御部)の認証(個体識別)に周辺基板330(周辺部)が用いる値であり、後述する認証情報生成部315によって履歴データに付加されるデータとなっている。なお、本実施例では、データ記憶部311が個体識別値生成部312が生成した個体識別値のみを記憶する場合について説明するが、これに代えて、前記生成した個体識別値と予め定められた個体識別値との双方を複数種類の個体識別値として記憶する実施例とすることもできる。
【0048】
個体識別値生成部312は、本発明の個体識別値生成手段に相当し、主制御基板310を識別するための個体識別値を、主制御基板310の予め定められた記憶データに基づいて生成する。個体識別値生成部312は、前記記憶データと予め定められた1又は複数の個体識別値生成方式で個体識別値を生成するため、該主制御基板310が生成すべき個体識別値と一致する期待値を周辺基板330に記憶しておけば、周辺基板330は個体識別値と期待値とが一致しているか否かを判定することで、主制御基板310の個体識別を認証することができる。
【0049】
なお、記憶データは、主制御部201のROM212等に予め記憶している主制御部201の固有データとなっている。記憶データの一例としては、主制御部201のCPU211が実行するプログラムデータ、予め定められた認証専用の固定データ、等が挙げられ、その場合はぱちんこ遊技機100の製造時等までにデータが確定することになる。そして、記憶データはデータ記憶部311、ROM212、等に記憶されていることから、データ記憶部311、ROM212、等は記憶データ記憶手段として記憶データを記憶している。また、主制御基板310がぱちんこ遊技機100における大当たりを制御するための大当たり関連プログラムデータ(ROM212に記憶しているプログラムデータの一部)は、不正に書き換えられる可能性があるため、該大当たり関連プログラムデータを有する記憶データとすることで、個体識別値生成部312が生成した個体識別値と周辺部の期待値とがデータ改ざんの発生によって一致しなくなるため、主制御基板310における改ざんの発生を検出することができると共に、改ざん防止に貢献することができる。
【0050】
個体識別値生成部312は、予め定められた生成タイミングに個体識別値の生成を行う。該生成タイミングの一例としては、ぱちんこ遊技機100の起動時、予め定められた制御コマンドの発生時又は所定の発生回数の検出時、予め定められた時刻又はぱちんこ遊技機100が起動してから所定時間が経過した時、主制御基板310を認証する毎、等が挙げられる。なお、主制御基板310を認証する毎とは、後述する認証情報を生成するタイミング又は周辺基板330に送信するタイミングを意味している。
【0051】
個体識別値生成部312の個体識別値生成方式の一例としては、ROM212における相異なる所定領域(範囲)の記憶データのチェックサム、その各々の所定領域の奇数番地又は偶数番地の合計値、ROM212に対して予め定められた複数の相異なるアドレスから抽出した格納値、等が挙げられる。なお、個体識別値生成部312の生成タイミング及び個体識別値生成方式については、例えば、ぱちんこ遊技機100の種類毎、スペック毎、等に異なる設定とすることができる。また、個体識別値生成部312の個体識別値生成方式は、個体識別値と履歴データとが一致しないように、後述する履歴データ生成部313の履歴生成方式とは異なる生成方式となっている。その他にも、例えば異なるビットアサイン、生成範囲、等を考慮して設計することができる。
【0052】
また、個体識別値生成部312が複数の個体識別値生成方式を乱数等を用いて無作為に切り替えて生成する実施例とすれば、認証情報に複数の個体識別値を用いることができ、主制御基板310が不正に解析されても、複数の個体識別値は主制御基板310には存在しないため、個体識別値に対する不正な解析が困難となり、主制御部201に対する不正解析の防止に貢献することができる。この場合、周辺基板330にその複数の個体識別値生成方式で生成される全ての個体識別値と一致する複数の期待値を予め記憶しておくことで実施することができる。そして、個体識別値生成部312が生成する個体識別値の数を多くするほど、主制御部201のROM212に予め記憶しておく個体識別値を減らすことができるため、ぱちんこ遊技機100における主制御基板310の認証に関したROM212に記憶するデータ量の増加を抑制し且つ主制御基板310に対する不正解析をより一層困難にすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、本発明の個体識別値生成手段と個体識別値記憶手段の各々を、個体識別値生成部312とデータ記憶部311とで別個に実現する場合について説明するが、これに代えて、個体識別値生成手段と個体識別値記憶手段を一体に実現することもできる。例えば、CPU211を個体識別値生成手段として機能させ、そのCPU211のレジスタ等を個体識別値記憶手段として機能させることで、1つのハードウェアで2つの手段を実現することができる。また、個体識別値生成手段と個体識別値記憶手段を実現するための回路を有する専用のハードウェアとすることもできる。
【0054】
履歴データ生成部313は、本発明の履歴データ生成手段に相当し、主制御基板310から周辺基板(周辺部)330に送信した制御コマンドの履歴を示す履歴データを、予め定められた履歴生成方式で生成する。履歴データ生成部313は、例えば、ぱちんこ遊技機100における制御コマンドの発生(確定)から当該制御コマンドの周辺部への送信までの任意のタイミング、等の予め定められた生成タイミングに、履歴生成方式とデータ記憶部311に記憶している制御コマンドデータとに基づいて履歴データを生成して記憶する。そして、履歴データ生成部313は、所定の送信回数分の制御コマンドデータを、例えば、誤り検出方式、所定の暗号化方式、排他的論理和、等の履歴生成方式に基づいて算出して履歴データを生成する。即ち、履歴生成方式は、制御コマンドに対する履歴データを生成するに当たり、例えば、送信した単独の制御コマンドの遡及数、複数種類の制御コマンドの遡及範囲、等の履歴データの生成対象とする制御コマンドを規定する。そして、履歴データ生成部313が履歴データをチェックサムとして生成する場合、履歴データは単独種類の制御コマンドデータの複数回分の合計値や複数の制御コマンドデータの合計をとった合計値となる。なお、履歴データは、例えば前回や所定回数前等の1回分の制御コマンドをそのまま用いることで、後述する認証情報の生成時の処理を簡単化することができる。
【0055】
なお、本実施例の履歴データ生成部313は、データ記憶部311が記憶している履歴データを、前記生成した履歴データに更新して記憶する場合について説明する。この場合、データ記憶部311は履歴データ記憶手段として機能することになる。これに代えて、例えばCPU211のレジスタ、RAM213の所定記憶領域、等に履歴データを記憶する実施形態とすることもできる。また、履歴データ生成手段とその記憶手段を専用のハードウェアで実現することもできる。そして、履歴データ生成部313が、万一、個体識別値と同一の履歴データを生成した場合、例えば、認証情報生成部315がその履歴データを有する認証情報を生成しない、または、送信部316がその履歴データを有する認証情報を送信せずに破棄する、等の構成とする。または、履歴データ生成部313が、個体識別値とは異なる値の履歴データを生成するように設計する、履歴データのビット調整で対応するなどの種々異なる実施形態とすることができる。
【0056】
選択部314は、本発明の選択手段に相当し、データ記憶部(個体識別値記憶手段)311が記憶している複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択する。選択部314は、乱数等を用いて1つの個体識別値を無作為に選択してRAM213等に記憶する。即ち、選択部314は、複数種類の個体識別値を無作為に切り替えて選択することになる。よって、固定値である複数種類の個体認証値を用いても、選択した個体識別値を不規則に切り替えることができるため、認証情報に用いる個体識別値の不正な解析を困難にすることができる。また、選択部314は、例えば、10回の選択のうち1回だけ予め定めた個体識別値を選択するなど、選択頻度を乱数等の設定で頻度を調整することができる。
【0057】
認証情報生成部315は、本発明の認証情報生成手段に相当し、周辺部が主制御部の認証に用いる認証情報を生成する。認証情報生成部315は、選択部(選択手段)314が選択した個体識別値を、予め定められた付加方式でデータ記憶部311に記憶している最新の履歴データに付加して認証情報を生成する。即ち、認証情報生成部315が生成する認証情報は、履歴データと個体識別値とを付加した合成値である認証データを有している。また、付加方式は、主制御基板310が履歴データに個体識別値を付加するための方式であり、周辺基板330との間で予め定められている。そして、付加方式は、例えば、四則演算、XOR、XNOR、等の複数種類の演算方式の中で予め定められた1つの演算方式であり、主制御基板310及び周辺基板330は、その演算方式を示す付加方式データをデータ記憶部311等に記憶している。また、本実施形態では、最新の履歴データに個体識別値を付加する場合について説明するが、これに代えて、例えば複数の履歴データを時系列的に記憶している場合は所定回数前の履歴データに付加するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0058】
送信部316は、本発明の送信手段に相当し、認証情報生成部315が生成した認証情報と、周辺基板330を制御するための複数種類の制御コマンドとの各々を周辺基板(周辺部)330に送信する。そして、本実施形態の送信部316は、制御コマンドデータを主制御基板310から周辺基板330に制御信号として送信する。送信部316は、例えば、主制御基板310から周辺基板330に送信される制御信号とは別の信号である認証情報信号として認証情報を周辺基板330に送信する。これにより、ぱちんこ遊技機100において、制御信号と認証情報信号とを区別化している。
【0059】
続いて、上述した演出制御部202や賞球制御部203などの周辺部としての機能を有する周辺基板330の機能的構成について説明する。図3に示すように、周辺基板330は、受信部331、周辺側記憶部332、周辺側履歴データ生成部333、認証用履歴データ抽出部334、認証部335を有して構成している。
【0060】
受信部331は、本発明の受信手段に相当し、主制御基板310によって送信された認証情報と制御コマンドデータ(制御コマンド)との各々を受信する。本実施形態の受信部331は、例えば、認証情報に対応した認証情報信号を受信することによって、認証情報を主制御基板310から受信する。また、受信部331は、前記制御信号を受信することによって制御コマンドデータを主制御基板310から受信する。
【0061】
周辺側記憶部332は、本発明の期待値記憶手段に相当している。周辺側記憶部332としては、例えば、演出制御部202のROM242、RAM243(図2参照)の一部を用いることができる。また、周辺側記憶部332は、主制御基板310から受信した複数の制御コマンドと複数の認証情報を、主制御基板310と同様に、ログデータとして時系列的に記憶する記憶領域を有している。
【0062】
周辺側記憶部332は、上述した主制御基板310から受信すべき複数種類の個体識別値、即ち、主制御基板310のデータ記憶部311が記憶すべき複数種類の個体識別値の各々と一致する複数種類の期待値を記憶している。例えば、期待値は、主制御基板310の個体識別値生成部312が生成する1又は複数の個体識別値を計算等によって予め求められ、ぱちんこ遊技機100の製造時等に周辺側記憶部332に予め記憶される(書き込まれる)。なお、周辺側記憶部332がRAM243の場合は、複数種類の期待値をROM242に記憶しておき、ぱちんこ遊技機100の起動時にROM242から周辺側記憶部332に記憶する。
【0063】
これにより、周辺基板330は、認証情報の履歴データに付加された個体識別値が、正規の個体識別値であれば、複数種類の期待値の何れか1つと一致するため、認証情報から履歴データを周辺基板330は抽出することができる。また、認証情報の個体識別値が不正なものであれば、複数種類の期待値の何れとも一致しないため、認証情報から履歴データを周辺基板330は抽出できない。周辺側記憶部332は、主制御部201と同様の履歴生成方式データ及び付加方式データを記憶している。そして、履歴生成方式データは、周辺側履歴データ生成部333が用いる履歴生成方式を示しており、起動時等に初期値が設定されて周辺側記憶部332に記憶される。付加方式データは、認証用履歴データ抽出部334が用いる主制御基板310と同一の付加方式を示している。
【0064】
周辺側履歴データ生成部333は、本発明の周辺側履歴データ生成手段に相当し、主制御基板310から受信した制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを主制御基板310と同一の前記履歴生成方式で生成する。周辺側履歴データ生成部333は、主制御基板310からの制御コマンドの受信時、受信後、等の予め定められた周辺側生成タイミングに、主制御基板310と同一の履歴生成方式と周辺側記憶部332に記憶している制御コマンドデータとに基づいて周辺側履歴データを生成して記憶する。即ち、周辺側履歴データ生成部333は、所定の受信回数分の制御コマンドデータを、例えば誤り検出方式、所定の暗号化方式、排他的論理和、等の履歴生成方式に基づいて算出して履歴データを生成する。よって、周辺側履歴データは、主制御基板310が送信した制御コマンドデータのみを受信していれば、主制御基板310の履歴データと一致することになり、一致していなければ、不正な制御コマンドデータを受信していると判断することができる。
【0065】
なお、本実施例の周辺側履歴データ生成部333は、周辺側記憶部332が記憶している周辺側履歴データを、前記生成した周辺側履歴データに更新して記憶する場合について説明する。この場合、周辺側記憶部332は周辺側履歴データ記憶手段として機能することになる。これに代えて、例えばCPU241,281のレジスタ、RAM243,283の所定記憶領域、等に周辺側履歴データを記憶する実施形態とすることもできる。また、周辺側履歴データ生成手段とその記憶手段を専用のハードウェアで実現することもできる。
【0066】
認証用履歴データ抽出部334は、本発明の認証用履歴データ抽出手段に相当し、複数種類の期待値と主制御基板310と同一の前記付加方式とに基づいて、主制御基板310から受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する。詳細には、認証用履歴データ抽出部334は、認証情報から複数種類の期待値の各々を前記付加方式で削除して複数の認証用履歴データを抽出して周辺側記憶部332に記憶する。即ち、認証用履歴データ抽出部334は、2個の期待値を用いている場合、認証情報から2個の期待値を削除した2個の認証用履歴データを抽出し、また、3個の期待値を用いている場合は3個の認証用履歴データを抽出する。従って、複数の認証用履歴データは、認証情報(認証データ)から複数種類の期待値の各々を削除した値であることから、正規の認証情報を受信していれば、そこから抽出した複数の認証用履歴データのうちの1つは主制御基板310の履歴データとなっている。
【0067】
認証部335は、本発明の認証手段に相当し、認証用履歴データ抽出部334が抽出した複数の認証用履歴データの中に、周辺側記憶部332に記憶している最新の周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて、主制御基板(主制御部)310の認証を行う。認証部335は、周辺側履歴データと一致するものが存在した場合、受信した認証情報の履歴データは正当であると判断できるため、認証を成立させる。また、認証部335は、周辺側履歴データと一致するものが存在しない場合、例えば、不正によって履歴データと周辺側履歴データとが相違している、不正な認証情報が用いられた、等が考えられることから、受信した認証情報の履歴データ又は個体識別値は不正なものであると判断できるため、認証を不成立とする。即ち、認証部335は、主制御基板310(主制御部201)を通信の継続性(履歴データ)に基づいて認証を行っている。
【0068】
なお、本実施例では、認証用履歴データ抽出部334が複数の認証用履歴データを抽出した後に、認証部335が複数の認証用履歴データの各々と周辺側履歴データとを比較する場合について説明するが、これに代えて、例えば、認証用履歴データ抽出部334が1つの認証用履歴データを抽出する毎に、認証部335が周辺側履歴データと比較する構成とすることもできる。
【0069】
このように構成した周辺基板330は、主制御基板310から受信した複数種類の制御コマンドの各々に応じて、ぱちんこ遊技機100における所定の処理を行う。周辺基板330は、認証部335が認証成立した場合、前記受信した制御信号が示す制御コマンドに対応した前記所定の処理を行い、また、認証不成立を示している場合は報知を行う。なお、前記所定の処理は、ぱちんこ遊技機100における主制御部201からの複数種類の制御コマンドの各々に対応した処理であり、例えば、はずれ処理、大当たりリーチ処理、大当たり開始処理、大当たりラウンド処理、大当たり終了処理、等の処理が挙げられる。
【0070】
また、本実施形態では、主制御基板310のCPU211が第1コンピュータ、周辺基板330のCPU241,281の各々が第2コンピュータとして機能させる場合について説明する。そして、主制御基板310のROM212は、前記第1コンピュータを請求項中の個体識別値生成手段、履歴データ生成手段、選択手段、認証情報生成手段、送信手段、等の各種手段として機能させるための主制御側認証プログラムを記憶している。また、周辺基板330のROM242,282の各々は、前記第2コンピュータを請求項中の受信手段、周辺側履歴データ生成手段、認証用履歴データ抽出部手段、認証手段、等の各種手段として機能させるための周辺側認証プログラムを記憶している。即ち、主制御側認証プログラムと周辺側認証プログラムによって本発明の認証プログラムを構成している。
【0071】
(ぱちんこ遊技機の基本動作)
上記構成によるぱちんこ遊技機100の基本動作の一例を説明する。主制御部201は、各入賞口に対する遊技球の入賞状況を制御コマンドとして賞球制御部203に出力する。賞球制御部203は、主制御部201から出力された制御コマンドに応じて、入賞状況に対応した賞球数の払い出しを行う。
【0072】
また、主制御部201は、始動入賞口105に遊技球が入賞するごとに、対応する制御コマンドを演出制御部202に出力し、演出制御部202は、図柄表示部104の図柄を変動表示させ、停止させることを繰り返す。そして、主制御部201は、大当たりの発生が決定しているときには、対応する制御コマンドを演出制御部202に出力し、演出制御部202は、所定の図柄で揃えて変動表示を停止させるとともに、大入賞口109を開放する制御を行う。演出制御部202は、大当たり発生期間中、および大当たり発生までの間のリーチ時や、リーチ予告時などには、図柄表示部104に対して、図柄の変動表示に加えて各種の演出表示を行う。このほか、各種役物に対して特定の駆動を行ったり、ランプ261の表示状態を補正するなどの演出を行う。
【0073】
そして、主制御部201は、大当たり発生期間中に、大入賞口109を複数回開放させる。1回の開放が1ラウンドとして、例えば15回のラウンドが繰り返し実行される。1ラウンドの期間は、遊技球が大入賞口109に例えば10個入賞するまでの期間、あるいは所定期間(例えば30秒)とされている。この際、賞球制御部203は、大入賞口109に対する遊技球1個の入賞当たり、例えば15個の賞球数で払い出しを行う。ぱちんこ遊技機100は、大当たり終了後、この大当たり状態を解除し、通常の遊技状態に復帰する。
【0074】
(各制御部による処理の詳細)
次に、各制御部が行う各種処理の詳細について説明する。まず、主制御部201による演出制御部202の制御処理について説明する。なお、図4〜図9においては、演出制御部202の制御処理の手順を明確にするため、認証データおよび付随データについては考慮しないものとする。即ち、図4〜図9の説明において、「コマンドを送信する」とは、「当該コマンドを示すデータ(制御コマンドデータ)を含む制御信号を送信する」との意味であり、例えば認証データや付随データの有無は考慮しないものとする。
【0075】
主制御部201は、図4に示すステップS401において、ぱちんこ遊技機100の電源がオンされたか否かを判定する。主制御部201は、電源がオンされていないと判定した場合(S401:No)、この判定処理を繰り返すことで、ぱちんこ遊技機100の電源がオンされるまで待機する。一方、主制御部201は、電源がオンされたと判定した場合(S401:Yes)、ステップS402の処理に移行する。
【0076】
主制御部201は、ステップS402において、演出制御部202や賞球制御部203などの各周辺部に対して電源オンコマンドを送信し、ステップS403の処理に移行する。この処理によって電源オンコマンドが送信されると、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252、図柄表示部104のそれぞれに対して電源オン時の演出用の制御コマンド(具体的には、ランプの点灯や音声の出力、デモストレーション(デモ)画面の表示などを指示する制御コマンド)を送信する。
【0077】
主制御部201は、ステップS403において、ROM212またはRAM213に記憶している未抽選入賞回数データを参照して、未抽選入賞回数が0回か否かを判別する。未抽選入賞回数とは、始動入賞口105に検出された入賞球の数(入賞回数)から、入賞球に対応する抽選が行われた回数(既抽選回数)を減じた数である。そして、主制御部201は、未抽選入賞回数が0回ではないと判定した場合(S403:No)、ステップS410の処理に移行する。一方、主制御部201は、未抽選入賞回数が0回であると判定した場合(S403:Yes)、ステップS404において、デモが開始されてから経過した時間を計測し、ステップS405の処理に移行する。
【0078】
主制御部201は、デモが開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。主制御部201は、デモが開始されてから所定時間が経過していないと判定した場合(S405:No)、ステップS407の処理に移行する。一方、主制御部201は、デモが開始されてから所定時間が経過したと判定した場合(S405:Yes)、ステップS406において、演出制御部202に客待ちデモコマンドを送信し、ステップS407の処理に移行する。
【0079】
主制御部201は、ステップS407において、始動入賞口検出部221によって入賞球が検出されたか否かを判定する。主制御部201は、入賞球が検出されていないと判定した場合(S407:No)、ステップS404の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、主制御部201は、入賞球が検出されたと判定した場合(S407:Yes)、ステップS408において、デモが開始されてから計測していた時間をクリアし、ステップS409において、未抽選入賞回数に1を加算し、ステップS410の処理に移行する。そして、主制御部201は、ステップS410において、大当たり判定用乱数を取得し、ステップS411において、未抽選入賞回数から1を減算し、図5に示すステップS412の処理に移行する。
【0080】
主制御部201は、ステップS412において、大当たり判定用乱数が大当たり乱数であるか否かを判定する。主制御部201は、大当たり乱数であると判定した場合(S412:Yes)、ステップS413において、演出制御部202に大当たりリーチコマンド(図柄変動コマンド)を送信する。そして、主制御部201は、ステップS414において、図柄変動時間が経過したか否かを判定する。主制御部201は、図柄変動時間が経過していないと判定した場合(S414:No)、この判定処理を繰り返すことで、図柄変動時間が経過するのを待つ。一方、主制御部201は、図柄変動時間が経過したと判定した場合(S414:Yes)、ステップS415において、演出制御部202に図柄停止コマンドを送信し、ステップS416の処理に移行する。
【0081】
主制御部201は、ステップS416において、演出制御部202に大当たり開始コマンドを送信し、続けて、ステップS417において、大当たり中の各ラウンドに対応するコマンド(大当たりコマンド)を演出制御部202に順次送信する。そして、主制御部201は、全てのラウンドの大当たりコマンドの送信が終了すると、ステップS418において、大当たり終了コマンドを演出制御部202に送信し、ステップS422の処理に移行する。
【0082】
また、主制御部201は、ステップS412において、大当たり乱数ではないと判定した場合(S412:No)、ステップS419において、はずれリーチコマンド(図柄変動コマンド)を演出制御部202に送信し、ステップS420の処理に移行する。そして、主制御部201は、ステップS420において、図柄変動時間が経過したか否かを判定する。主制御部201は、図柄変動時間が経過していないと判定した場合(S420:No)、この判定処理を繰り返すことで、図柄変動時間の経過を待つ。一方、主制御部201は、図柄変動時間が経過したと判定した場合(S420:Yes)、ステップS421において、図柄停止コマンドを演出制御部202に送信し、ステップS422の処理に移行する。
【0083】
主制御部201は、ステップS422において、ぱちんこ遊技機100の電源がオフされたか否かを判定する。主制御部201は、電源がオフされていないと判定した場合(S422:No)、図4に示すステップS403の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、主制御部201は、電源がオフされたと判定した場合(S422:Yes)、ステップS423において、終了処理コマンドを演出制御部202に送信し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0084】
上述した図4及び図5中の各種コマンドが、本発明の制御コマンドに相当し、主制御基板310は各種制御コマンドを送信する毎に、その制御コマンドデータをデータ記憶部311に履歴として記憶している。この制御コマンドデータの記憶に応じて、主制御基板310は、データ記憶部311の履歴データを更新する。なお、履歴データの更新については、複数種類の認証情報の生成時に更新するようにすれば、主制御基板310の処理負担を軽減することができる。また、周辺基板330は、各種制御コマンドを受信する毎に、その制御コマンドデータを周辺側記憶部332に履歴として記憶しており、周辺側記憶部332の周辺側履歴データを更新する。
【0085】
次に、ぱちんこ遊技機100における大当たり関連コマンド(大当たりリーチコマンド、大当たり開始コマンド、大当たりコマンド、大当たり終了コマンド)の主制御部201から演出制御部202に対する送信タイミングの一例を、図6の図面を参照して説明する。
【0086】
大当たりリーチコマンドは、実際に大当たりが発生するよりも頻繁に、且つランダムに送信される。また、大当たり開始コマンドは、実際に大当たりが発生した場合に、大当たり状態に移行する際に1度だけ送信される。また、大当たりコマンドは、大当たり状態に移行した後、ラウンド毎に継続的に送信される。また、大当たり終了コマンドは、大当たり状態の全てのラウンドが終了し、通常の状態に移行する際に1度だけ送信される。
【0087】
以下では、図柄変動時(大当たりリーチコマンド(図5のステップS413を参照)または、はずれリーチコマンド(図5のステップS419を参照)を受信した場合)及び、大当たり時の処理を説明する。
【0088】
まず、演出制御部202による図柄変動処理について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。演出制御部202は、図7に示すステップS701において、主制御部201から図柄変動コマンドを受信したか否かを判定する。演出制御部202は、図柄変動コマンドを受信していないと判定した場合(S701:No)、この判定処理を繰り返すことで、図柄変動コマンドの受信を待つ。一方、演出制御部202は、図柄変動コマンドを受信したと判定した場合(S701:Yes)、ステップS702において、変動演出選択用乱数を取得し、ステップS703において、取得した乱数に基づいて変動演出の種類を選択し、ステップS704の処理に移行する。そして、演出制御部202は、ステップS704において、ランプ制御部251や音声制御部252に対して変動演出別の演出開始コマンドを送信し、ステップS705の処理に移行する。
【0089】
演出制御部202は、ステップS705において、演出時間が経過したか否かを判定する。演出制御部202は、演出時間が経過したと判定した場合(S705:Yes)、ステップS707の処理に移行する。一方、演出制御部202は、演出時間が経過していないと判定した場合(S705:No)、ステップS706において、主制御部201から図柄停止コマンドを受信したか否かを判定する。そして、演出制御部202は、図柄停止コマンドを受信していないと判定した場合(S706:No)、ステップS705の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、演出制御部202は、図柄停止コマンドを受信したと判定した場合(S706:Yes)、ステップS707において、ランプ制御部251や音声制御部252に対して演出停止コマンドを送信し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0090】
続いて、演出制御部202による大当たり時処理について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。演出制御部202は、図8に示すステップS801において、主制御部201から大当たり開始コマンド(図5のステップS416を参照)を受信したか否かを判定する。演出制御部202は、大当たり開始コマンドを受信していないと判定した場合(S801:No)、この判定処理を繰り返すことで、大当たり開始コマンドの受信を待つ。一方、演出制御部202は、大当たり開始コマンドを受信したと判定した場合(S801:Yes)、ステップS802において、ランプ制御部251や音声制御部252に対して大当たり開始処理コマンドを送信し、ステップS803の処理に移行する。
【0091】
演出制御部202は、ステップS803において、主制御部201からラウンド別の大当たりコマンド(図5のステップS417を参照)を受信したか否かを判定する。演出制御部202は、大当たりコマンドを受信していないと判定した場合(S803:No)、この判定処理を繰り返すことで、大当たりコマンドの受信を待つ。一方、演出制御部202は、大当たりコマンドを受信したと判定した場合(S803:Yes)、ステップS804において、ランプ制御部251や音声制御部252に対して受信したラウンド別の大当たりコマンドに対応するラウンド別処理コマンドを送信し、ステップS805の処理に移行する。
【0092】
演出制御部202は、ステップS805において、主制御部201から大当たり終了コマンド(図5のステップS418を参照)を受信したか否かを判定する。演出制御部202は、大当たり終了コマンドを受信していないと判定した場合(S805:No)、この判定処理を繰り返すことで、大当たり終了コマンドの受信を待つ。一方、演出制御部202は、大当たり終了コマンドを受信したと判定した場合(S805:Yes)、ステップS806において、ランプ制御部251や音声制御部252に対して大当たり終了処理コマンドを送信し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0093】
続いて、ランプ制御部251によるランプ制御処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、演出制御部202から演出開始コマンドを受信した場合(図柄変動時)の処理について説明する。そして、ランプ制御部251は、図9に示すステップS901において、演出制御部202から演出開始コマンドを受信したか否かを判定する。ランプ制御部251は、演出開始コマンドを受信していないと判定した場合(S901:No)、この判定処理を繰り返すことで、演出開始コマンドの受信を待つ。一方、ランプ制御部251は、演出開始コマンドを受信したと判定した場合(S901:Yes)、ステップS902において、コマンド別に予め用意されているコマンド別データを読み出し、ステップS903の処理に移行する。
【0094】
ランプ制御部251は、ステップS903において、コマンド別の選択ルーチンを実行し、ステップS904において、受信した演出開始コマンドに対応したランプデータをセットし、ステップS905において、ランプ261に対してランプデータを出力し、ステップS906の処理に移行する。そして、この処理によってランプ261は、ランプデータに基づいて点灯又は消灯する。
【0095】
ランプ制御部251は、ステップS906において、演出制御部202から演出停止コマンドを受信したか否かを判定する。ランプ制御部251は、演出停止コマンドを受信していないと判定した場合(S906:No)、この判定処理を繰り返すことで、演出停止コマンドの受信を待つ。一方、ランプ制御部251は、演出停止コマンドを受信したと判定した場合(S906:Yes)、ステップS907において、ランプデータの出力を停止し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0096】
なお、図9にはランプ制御部251の処理を記載したが、音声制御部252による音声制御も、図9の処理とほぼ同様である。音声制御部252による音声制御処理は、例えば、図9の処理において、ステップS904、S905、S907の「ランプデータ」を「音声データ」と読み替えればよい。
【0097】
(制御信号のデータフォーマット)
次に、主制御部201が出力する通常の制御信号の一例を説明する。
【0098】
図10において、通常の制御信号1010は、制御コマンドデータ1001と付随データ1002とを有している。制御コマンドデータ1001は、例えばリーチコマンドや大当たり開始コマンド、ラウンド別コマンドなどの各コマンド固有のデータである。また、付随データ1002は、制御コマンドデータ1001に付随するデータであり、例えば、入賞した遊技球の数などの制御コマンドデータ1001に基づく処理に必要なデータである。
【0099】
(認証情報のデータフォーマット)
次に、上述した制御信号1010とは異なる認証情報信号が認証情報を有する場合の一例を説明する。なお、本実施形態では、主制御部201が周辺部に認証情報信号を出力することで、認証情報を主制御部201から周辺部に送信する場合を前提に説明する。
【0100】
図11において、認証情報1020は、識別部1021と、データ部1022と、を有して構成している。そして、識別部1021は、認証情報1020を識別することが可能な識別データが設定される。識別データの一例としては、1種類の認証コマンドが挙げられ、例えば16進数の0xA0、0xB0、等の値が設定される。これにより、周辺部は、識別部1021に基づいて認証情報1020を識別することができる。そして、認証コマンドは、上述した制御コマンドデータ1001の制御コマンドと異なるコマンドとすることで、制御コマンドデータ1001との区別化を図っている。
【0101】
データ部1022は、上述した履歴データに個体識別値が付加された認証データが設定される。なお、本実施形態では、認証情報1020が識別部1021とデータ部1022を有する場合について説明するが、これに代えて、識別部1021を排除して、データ部1022のみで認証情報1020を構成することもできる。
【0102】
なお、本実施例では、認証情報1020が識別部1021とデータ部1022を有する構成の場合について説明するが、これに代えて、例えば、データ部1022のみを有する構成、データ部1022と他の付随データが設定される付随データ部とを有する構成、等の種々異なる構成とすることができる。
【0103】
(付加方式の一例)
履歴データへの個体識別値の付加方法を規定する付加方式は、例えば、四則演算、XOR、XNOR等の中から1つの演算方式をぱちんこ遊技機100において予め定めておく。そして、付加方式を四則演算の「+」と定めた場合、主制御基板310は、選択した個体識別値を履歴データに加算した認証データをデータ部1022にセットして認証情報1020を生成する。一方、周辺基板330は、受信した認証情報1020のデータ部1022にセットされたデータから複数種類の期待値の各々を減算して複数の認証用履歴データを抽出する。そして、複数種類の期待値の各々は複数種類の個体識別値と一致していることから、周辺基板330がその期待値を削除すれば、抽出した複数の認証用データの中に1つの正規の履歴データが抽出できたことになるため、それは周辺側履歴データと一致している筈である。
【0104】
また、付加方式を四則演算の「−」と定めた場合、主制御基板310は、選択した個体識別値を履歴データから減算した認証データをデータ部1022にセットして認証情報1020を生成する。一方、周辺基板330は、受信した認証情報1020のデータ部1022にセットされたデータから複数種類の期待値の各々を加算して複数の認証用履歴データを抽出する。このように実施しても、複数種類の期待値は複数種類の個体識別値と一致していることから、周辺基板330がその期待値を加算すれば、抽出した複数の認証用データの中に1つの正規の履歴データが抽出できたことになるため、それは周辺側履歴データと一致している筈である。
【0105】
よって、付加方式は、周辺基板330が逆演算可能な演算方式であれば、どのような演算方式を用いてもよい。また、本実施形態では、主制御基板310が履歴データに個体識別値のみを付加する場合について説明するが、これに代えて、個体識別値と周辺基板330との間で予め定められた付加用データ(例えば、所定の値)の双方を付加するなどの種々異なる実施形態とすることができる。
【0106】
(認証情報信号の送受信に関する処理)
以下に、主制御部201と周辺部との間で行う上記認証情報信号の通信例を説明する。まず、主制御部201のCPU211(第1コンピュータ)による認証情報信号の送信手順の一例を、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0107】
ぱちんこ遊技機100の電源がON(投入)されると、主制御部201は図12に示す被認証側処理を実行し、ステップS1200において、上記個体識別値生成部312で説明したように、1又は複数の個体識別値を生成してデータ記憶部311に記憶し、その後ステップS1201の処理に進む。なお、主制御部201が複数の個体識別値を用い且つその一部を生成する場合、一部の個体識別値を生成し、残りの生成しない個体識別値は予め定められた値を前記生成しない個体識別値とする。
【0108】
主制御部201は、ステップS1201において、データ記憶部311に記憶されている制御コマンドデータに基づいて、制御コマンドが発生しているか否かを判定する。主制御部201は、制御コマンドが発生していないと判定した場合(S1201:No)、ステップS1203の処理に進む。一方、主制御部201は、制御コマンドが発生していると判定した場合(S1201:Yes)、ステップS1202において、データ記憶部311の履歴生成方式データと該履歴生成方式が生成対象とする制御コマンドデータに基づいて、履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶し、その後ステップS1203の処理に進む。
【0109】
主制御部201は、ステップS1203において、予め定められた認証タイミングであるか否かを判定する。主制御部201は、認証タイミングではないと判定した場合(S1203:No)、ステップS1209の処理に進む。一方、主制御部201は、認証タイミングであると判定した場合(S1203:Yes)、ステップS1204の処理に進む。
【0110】
主制御部201は、ステップS1204において、乱数、抽出用ソフトウェア、等に基づいて、データ記憶部311に記憶している複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択してRAM213等に記憶し、その後ステップS1205の処理に進む。そして、主制御部201は、ステップS1205において、前記選択した個体識別値を、データ記憶部311に記憶している最新の履歴データに前記付加方式で付加した認証データ(合成値)を生成し、その後ステップS1206に進む。
【0111】
主制御部201は、ステップS1206において、識別部1021に認証コマンドC、データ部1022に前記認証データを設定した認証情報1020を生成してデータ記憶部311に記憶し、その後ステップS1207の処理に進む。そして、主制御部201は、ステップS1207において、前記今回生成した認証情報1020を、周辺部との間で予め定められた暗号化方法で暗号化し、ステップS1208において、前記暗号化した認証情報1020に基づいて認証情報信号を生成して送信部316から周辺部に対して送信し、その後ステップS1209の処理に進む。なお、主制御部201と周辺部との間で暗号化が不要な場合は、ステップS1207の処理を削除して、認証情報1020をそのまま周辺部に送信する。
【0112】
主制御部201は、ステップS1209において、ぱちんこ遊技機100の電源がオフされたか否かを判定する。そして、主制御部201は、電源がオフされていないと判定した場合(S1209:No)、ステップS1201の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、主制御部201は、電源がオフされたと判定した場合(S1209:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0113】
続いて、周辺部のCPU241,281(第2コンピュータ)による前記認証情報信号の受信処理の手順を、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0114】
周辺部は、図13に示す認証側処理を実行すると、ステップS1301において、周辺側記憶部332を参照して主制御部201から制御コマンドを受信しているか否かを判定する。周辺部は、制御コマンドを受信していないと判定した場合(S1301:No)、ステップS1303の処理に進む。一方、周辺部は、制御コマンドを受信していると判定した場合(S1301:Yes)、ステップS1302において、主制御部201と同様に、周辺側記憶部332の履歴生成方式データと該履歴生成方式が生成対象とする制御コマンドデータに基づいて、周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶し、その後ステップS1303の処理に進む。
【0115】
周辺部は、ステップS1303において、受信部331によって主制御部201から認証情報(認証情報信号)1020を受信したか否かを判定する。周辺部は、認証情報1020を受信していないと判定した場合(S1303:No)、ステップS1310の処理に進む。一方、周辺部は、認証情報1020を受信したと判定した場合(S1303:Yes)、ステップS1304の処理に進む。
【0116】
周辺部は、ステップS1304において、受信した認証情報1020を主制御部201の前記暗号化方式に対応した復号化方式で復号化し、該認証情報1020のデータ部1022から認証データを抽出し、該認証データから複数種類の期待値の各々を前記付加方式データの逆の方式に基づいて削除して複数の認証用履歴データを抽出し、該抽出した複数の認証用履歴データを周辺側記憶部332に記憶し、その後ステップS1305の処理に進む。なお、主制御部201と周辺部との間で暗号化が不要な場合は、ステップS1304における復号化処理を削除する。
【0117】
周辺部は、ステップS1305において、前記抽出した複数の認証用履歴データの各々と周辺側記憶部332に記憶している最新の周辺側履歴データを比較し、周辺側履歴データと一致する認証用履歴データが存在したか否かの判定結果を周辺側記憶部332等に記憶し、その後ステップS1306に進む。
【0118】
周辺部は、ステップS1306において、一致する認証用履歴データが存在したと判定した場合(S1306:Yes)、主制御部201の履歴データと周辺側履歴データが一致しており、通信の継続性は正当であることから、ステップS1307において、主制御部201の認証を成立させ、その後ステップS1310の処理に進む。一方、周辺部は、一致する認証用履歴データが存在していないと判定した場合(S1306:No)、通信の継続性が正当ではない、又は、不正な認証情報1020であることから、ステップS1308において、主制御部201に対する認証を不成立とし、ステップS1309において、例えばスピーカ262(図2参照)等から報知信号を出力し、その後ステップS1310の処理に進む。
【0119】
周辺部は、ステップS1310において、ぱちんこ遊技機100の電源がオフされたか否かを判定する。そして、周辺部は、電源がオフされていないと判定した場合(S1310:No)、ステップS1301の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、周辺部は、電源がオフされたと判定した場合(S1310:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0120】
(認証処理の手順例)
次に、ぱちんこ遊技機100において、主制御基板310と周辺基板330が2つの個体識別値及び期待値を用いる場合の認証例を、図14の図面を参照して説明する。
【0121】
まず、前提条件として、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2をデータ記憶部311に予め記憶しておき、付加方式を「+」としている。一方、周辺基板330は、主制御基板310の個体識別値A1、A2と一致する2つの期待値B1、B2を周辺側記憶部332に予め記憶しておき、主制御基板310の付加方式が「+」であることを記憶している。即ち、周辺基板330は、主制御基板310とは逆の付加方式である「−」を記憶している。
【0122】
図14において、被認証者である主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の起動等に応じて個体識別値A1、A2を生成し、該生成した個体識別値A1、A2をデータ記憶部311に記憶する(S1400)。その後、主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の動作に応じて制御コマンドを周辺基板330に送信すると、該制御コマンドをデータ記憶部311に記憶する(S1401)。そして、主制御基板310は、該送信した制御コマンドと前記履歴生成方式に基づいて履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶する(S1402)。一方、周辺基板330は、制御コマンドを受信すると、該受信した制御コマンドを周辺側記憶部332に記憶すると共に、該制御コマンドに対応した所定の処理を行う(S1451)。そして、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、該受信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶する(S1452)。
【0123】
その後、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2のうち、無作為に1つの個体識別値A1を選択すると(S1403)、該選択した個体識別値A1を最新の履歴データに加算(付加)した認証データC1を有する認証情報1020を生成して周辺基板330に送信する(S1404)。一方、周辺基板330は、受信した認証情報1020の認証データC1から複数の期待値B1、B2の各々を減算(削除)して認証用履歴データC1−B1、C1−B2を抽出し、該認証用履歴データC1−B1、C1−B2と最新の周辺側履歴データが一致するか否かに基づいて、主制御基板310との制御コマンドの通信の継続性に基づく認証を行う(S1453)。その結果、認証情報1020は個体識別値A1が付加された認証データC1を有していることから、当該個体識別値A1と一致する期待値B1を削除した認証用履歴データC1−B1が主制御基板310の履歴データとなるため、認証情報1020は正規のものであれば、認証用履歴データC1−B1が周辺側履歴データと一致することになる。
【0124】
主制御基板310は、次の制御コマンドを周辺基板330に送信すると、該制御コマンドをデータ記憶部311に記憶する(S1405)。そして、主制御基板310は、該送信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶する(S1406)。一方、周辺基板330は、制御コマンドを受信すると、該受信した制御コマンドを周辺側記憶部332に記憶すると共に、該制御コマンドに対応した所定の処理を行う(S1454)。そして、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、該受信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶する(S1455)。
【0125】
その後、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2のうち、無作為に1つの個体識別値A2を選択すると(S1407)、該選択した個体識別値A2を最新の履歴データに加算(付加)した認証データC2を有する認証情報1020を生成して周辺基板330に送信する(S1408)。一方、周辺基板330は、受信した認証情報1020の認証データC2から複数の期待値B1、B2の各々を減算(削除)して認証用履歴データC2−B1、C2−B2を抽出し、該認証用履歴データC2−B1、C2−B2と最新の周辺側履歴データが一致するか否かに基づいて、主制御基板310との制御コマンドの通信の継続性に基づく認証を行う(S1456)。その結果、認証情報1020は個体識別値A2が付加された認証データC2を有していることから、当該個体識別値A2と一致する期待値B2を削除した認証用履歴データC2−B2が主制御基板310の履歴データとなるため、認証情報1020は正規のものであれば、認証用履歴データC2−B2が周辺側履歴データと一致することになる。
【0126】
主制御基板310は、次の制御コマンドを周辺基板330に送信すると、該制御コマンドをデータ記憶部311に記憶する(S1409)。そして、主制御基板310は、該送信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶する(S1410)。一方、周辺基板330は、制御コマンドを受信すると、該受信した制御コマンドを周辺側記憶部332に記憶すると共に、該制御コマンドに対応した所定の処理を行う(S1457)。そして、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、該受信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶する(S1458)。
【0127】
その後、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2のうち、無作為に1つの個体識別値A2を選択すると(S1411)、該選択した個体識別値A2を最新の履歴データに加算(付加)した認証データC3を有する認証情報1020を生成して周辺基板330に送信する(S1412)。一方、周辺基板330は、受信した認証情報1020の認証データC3から複数の期待値B1、B2の各々を減算(削除)して認証用履歴データC3−B1、C3−B2を抽出し、該認証用履歴データC3−B1、C3−B2と最新の周辺側履歴データが一致するか否かに基づいて、主制御基板310との制御コマンドの通信の継続性に基づく認証を行う(S1459)。その結果、認証情報1020は個体識別値A2が付加された認証データC3を有していることから、当該個体識別値A2と一致する期待値B2を削除した認証用履歴データC3−B2が主制御基板310の履歴データとなるため、認証情報1020は正規のものであれば、認証用履歴データC3−B2が周辺側履歴データと一致することになる。そして、以降も同様の処理を行う。
【0128】
以上説明したぱちんこ遊技機100によれば、主制御基板310が制御コマンドの履歴を示す履歴データに、無作為に選択した個体識別値を付加した認証情報1020を生成して周辺基板330に送信するようにしたことから、周辺基板330が認証情報1020の履歴データを主制御基板310の認証に用いても、無作為に選択した個体識別値が不規則に変化するため、認証情報1020の規則性がなくなり、認証情報1020に対する不正解析の防止を期待することができる。また、主制御基板310は、複数種類の個体識別値から1つの個体識別値を無作為に選択して履歴データに付加するだけでよいため、主制御基板310に記憶するプログラムのコード量の増加及び主制御基板310の処理負荷の増加を抑止することができる。さらに、主制御基板310が複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを主制御基板310の記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を主制御基板310に予め記憶しておく必要がなくなるため、ぱちんこ遊技機100における主制御基板310の認証のために予め記憶しておくデータ量の増加を抑制することができる。そして、主制御基板310は認証情報を生成する前までに複数種類の個体識別値を予め記憶しておくことができるため、認証情報1020の生成時に複雑な演算を行う必要がなくなり、主制御基板310の処理負担の増加を防止できる。一方、周辺基板330は、履歴データに基づいて制御コマンドの通信継続性を確認して認証するようにしたことから、不正な制御コマンドによる不正な通信切り替えを検出することができるため、不正な通信切り替え防止に貢献することができる。しかも、周辺基板330は、認証情報1020から複数種類の期待値を用いて認証用履歴データを抽出することから、履歴データに正規の個体識別値が付加されていない場合、認証用履歴データと周辺側履歴データは一致しないため、不正を確実に検出することができる。さらに、周辺基板330が複数種類の期待値の各々と認証情報1020との全ての組み合わせを確認して主制御基板310の認証を行うようにしたことから、主制御基板310は個体識別値を単に選択するだけで良くなり、複雑な処理を盛り込む必要がなくすことができる。また、主制御基板310が記憶データに基づいて個体識別値を生成しているので、主制御基板310の記憶データが改ざんされると、周辺基板330の期待値とは異なる個体識別値を主制御基板310が生成するため、周辺基板330は主制御基板310の認証が成立しなくなり、不正防止に貢献することができる。また、例えば主制御基板310と周辺基板330との間に不正基板などが介入するような場合、該不正基板における解析負荷が増大するために処理能力を高くしなければならないため、コストや設計難易度を増大させて、不正基板の製作抑止に貢献することができる。従って、主制御基板310の処理負担を最小限にして、制御コマンドの通信継続性が確認でき且つ認証に用いる認証情報1020の解析を困難にすることができる。
【0129】
上述したぱちんこ遊技機100において、主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の起動に応じて、複数種類の個体識別値のうちの予め定められた少なくとも1つを記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を予め記憶しておく必要がなく、且つ、ぱちんこ遊技機100の起動直後から、主制御基板310の認証を行うことができるため、認証情報1020の認証強度の向上に貢献することができる。また、周辺基板330の期待値と異なる個体識別値を主制御基板310が生成した場合は、その起動前に記憶データが改ざんされたと判断することができるため、不正防止に貢献することができる。
【0130】
また、上述したぱちんこ遊技機100において、履歴データ及び周辺側履歴データが複数回分の制御コマンドの履歴を示すようにすれば、認証情報1020の送信回数を減らしても、その間に生じた制御コマンドの不正を検出することができるため、認証精度の向上を図ることができる。そして、履歴データ及び周辺側履歴データを過去の履歴データを演算した値とすることで、不正な解析者による解析をより一層困難とすることができる。
【0131】
[実施例2]
以下に、上述したぱちんこ遊技機100の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1の構成と同一部分については、同一の符号を付して異なる部分のみを詳細に説明する。
【0132】
(主制御基板および周辺基板の機能的構成)
まず、ぱちんこ遊技機100は、図3に示すように、主制御部201としての機能を有する主制御基板310と、上述した演出制御部202や賞球制御部203などの周辺部としての機能を有する周辺基板330と、を有して構成している。そして、主制御基板310は周辺基板330と単方向通信が可能なように電気的に接続されている。
【0133】
主制御基板310は、上述した実施例1のデータ記憶部311、個体識別値生成部312、履歴データ生成部313、選択部314、認証情報生成部315、送信部316と、図3中の破線で示す制御コマンド検出部316と、付加方式切替部317と、を有して構成している。
【0134】
制御コマンド検出部316は、本発明の制御コマンド検出手段に相当し、ぱちんこ遊技機100における複数種類の制御コマンドの中から予め定められ且つデータ記憶部311に記憶している検出対象制御コマンド情報に設定されている検出対象制御コマンドの発生又は周辺基板330への送信を検出する。また、制御コマンド検出部316は、ぱちんこ遊技機100の起動、最初の認証情報2010の生成又は送信、等に応じて検出を開始することができる。なお、検出対象制御コマンドとしては、複数種類の制御コマンドの中の1種類の制御コマンドとしても良いし、2種類以上の制御コマンドとしても良い。
【0135】
付加方式切替部317は、本発明の付加方式切替手段に相当し、制御コマンド検出部316の検出対象制御コマンドの検出に応じて、前記認証情報生成部315が用いる前記付加方式を予め定められた切替方式で切り替える。本実施形態では、切替方式として、複数の付加方式をテーブルとした切替情報をデータ記憶部311に記憶している。なお、切替情報の一例としては、相異なる付加方式D1、D2とその順番を規定するテーブル等が挙げられる。そして、付加方式切替部317は、制御コマンド検出部316の検出に応じて、前記切替情報に基づいてデータ記憶部311に記憶している付加方式データを付加方式D1、D2で切り替える。これにより、認証情報生成部315はデータ記憶部311の付加方式データを参照することで、付加方式切替部317によって切り替えられた付加方式で履歴データに個体識別値を付加して認証情報1020を生成することになる。
【0136】
続いて、周辺基板330は、実施例1と同様に、受信部331、周辺側記憶部332、周辺側履歴データ生成部333、認証用履歴データ抽出部334、認証部335と、図3中の破線で示す周辺側制御コマンド検出部336と、周辺側付加方式切替部337とを有して構成している。
【0137】
周辺側制御コマンド検出部336は、本発明の周辺側制御コマンド検出手段に相当し、ぱちんこ遊技機100における複数種類の制御コマンドの中から予め定められ且つ周辺側記憶部332に予め記憶している主制御基板310と同一の前記検出対象制御コマンド情報に設定されている検出対象制御コマンドの主制御基板310からの受信を検出する。また、周辺側制御コマンド検出部336は、ぱちんこ遊技機100の起動、主制御基板310からの最初の認証情報2010の受信、等に応じて検出を開始することができる。なお、検出対象制御コマンドとしては、主制御基板310と同様に、複数種類の制御コマンドの中の1種類の制御コマンドとしても良いし、2種類以上の制御コマンドとしても良い。
【0138】
周辺側付加方式切替部337は、本発明の周辺側付加方式切替手段に相当し、周辺側制御コマンド検出部336の検出に応じて、前記履歴データ抽出部334が用いる前記付加方式を前記主制御基板310と同一の前記切替方式(切替情報)で切り替える。即ち、周辺基板330は、主制御基板310と同一の前記切替情報を周辺側記憶部332に予め記憶している。そして、周辺側付加方式切替部337は、主制御基板310と同様に、周辺側制御コマンド検出部336の検出対象制御コマンドの検出に応じて、前記認証用履歴データ抽出部334が用いる前記付加方式を予め定められた切替方式で切り替える。これにより、前記認証用履歴データ抽出部334は周辺側記憶部332の付加方式データを参照することで、周辺側付加方式切替部337によって切り替えられた付加方式で認証情報1020から複数の認証用履歴データを抽出することになる。
【0139】
また、本実施形態では、主制御基板310のCPU211が第1コンピュータ、周辺基板330のCPU241,281の各々が第2コンピュータとして機能させる場合について説明する。そして、主制御基板310のROM212は、前記第1コンピュータを請求項中の個体識別値生成手段、履歴データ生成手段、選択手段、認証情報生成手段、送信手段、制御コマンド検出手段、付加方式切替手段、等の各種手段として機能させるための主制御側認証プログラムを記憶している。また、周辺基板330のROM242,282の各々は、前記第2コンピュータを請求項中の受信手段、周辺側履歴データ生成手段、認証用履歴データ抽出部手段、認証手段、周辺側制御コマンド検出手段、周辺側付加方式切替手段、等の各種手段として機能させるための周辺側認証プログラムを記憶している。即ち、主制御側認証プログラムと周辺側認証プログラムによって本発明の認証プログラムを構成している。
【0140】
(認証情報信号の送受信に関する処理2)
以下に、主制御部201と周辺部との間で行う上記認証情報信号の通信例を説明する。まず、主制御部201のCPU211(第1コンピュータ)による認証情報信号の送信手順2の一例を、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0141】
ぱちんこ遊技機100の電源がON(投入)されると、主制御部201は図15に示す被認証側処理を実行し、ステップS1500において、上記個体識別値生成部312で説明したように、1又は複数の個体識別値を生成してデータ記憶部311に記憶し、その後ステップS1501の処理に進む。なお、主制御部201が複数の個体識別値を用い且つその一部を生成する場合、一部の個体識別値を生成し、残りの生成しない個体識別値は予め定められた値を前記生成しない個体識別値とする。
【0142】
主制御部201は、ステップS1501において、データ記憶部311に記憶されている制御コマンドに基づいて、制御コマンドが発生しているか否かを判定する。そして、主制御部201は、制御コマンドが発生していないと判定した場合(S1501:No)、ステップS1505の処理に進む。一方、主制御部201は、制御コマンドが発生していると判定した場合(S1501:Yes)、ステップS1502において、データ記憶部311の履歴生成方式データと該履歴生成方式が生成対象とする制御コマンドデータに基づいて、履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶し、その後ステップS1503の処理に進む。
【0143】
主制御部201は、ステップS1503において、前記発生した制御コマンドが、前記データ記憶部311に記憶している検出対象制御コマンド情報が示す検出対象制御コマンドであるか否かを判定する。主制御部201は、検出対象制御コマンドではないと判定した場合(S1503:No)、ステップS1505の処理に進む。一方、主制御部201は、検出対象制御コマンドであると判定した場合(S1503:Yes)、ステップS1504において、前記切替情報を参照して複数の付加方式を切り替え、該切り替えた付加方式を示すようにデータ記憶部311の付加方式データを更新し、その後ステップS1505の処理に進む。
【0144】
主制御部201は、ステップS1505において、予め定められた認証タイミングであるか否かを判定する。主制御部201は、認証タイミングではないと判定した場合(S1505:No)、ステップS1511の処理に進む。一方、主制御部201は、認証タイミングであると判定した場合(S1505:Yes)、ステップS1506の処理に進む。
【0145】
主制御部201は、ステップS1506において、乱数、抽出用ソフトウェア、等に基づいて、データ記憶部311に記憶している複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に抽出してRAM213等に記憶し、その後ステップS1507の処理に進む。そして、主制御部201は、ステップS1507において、前記抽出した個体識別値を、データ記憶部311に記憶している最新の履歴データに、前記付加方式データが示す付加方式で付加した認証データ(合成値)を生成し、その後ステップS1508に進む。
【0146】
主制御部201は、ステップS1508において、識別部1021に認証コマンドC、データ部1022に認証データを設定した認証情報1020を生成してデータ記憶部311に記憶し、その後ステップS1509の処理に進む。そして、主制御部201は、ステップS1509において、前記今回生成した認証情報1020を、周辺部との間で予め定められた暗号化方法で暗号化し、ステップS1510において、前記暗号化した認証情報1020に基づいて認証情報信号を生成して送信部316から周辺部に対して送信し、その後ステップS1511の処理に進む。なお、主制御部201と周辺部との間で暗号化が不要な場合は、ステップS1509の処理を削除して、認証情報1020をそのまま周辺部に送信する。
【0147】
主制御部201は、ステップS1511において、ぱちんこ遊技機100の電源がオフされたか否かを判定する。そして、主制御部201は、電源がオフされていないと判定した場合(S1511:No)、ステップS1501の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、主制御部201は、電源がオフされたと判定した場合(S1511:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0148】
続いて、周辺部のCPU241,281(第2コンピュータ)による前記認証情報信号の受信処理の手順2を、図16のフローチャートを参照して説明する。
【0149】
周辺部は、図16に示す認証側処理を実行すると、ステップS1601において、周辺側記憶部332を参照して主制御部201から制御コマンドを受信しているか否かを判定する。周辺部は、制御コマンドを受信していないと判定した場合(S1601:No)、ステップS1605の処理に進む。一方、周辺部は、制御コマンドを受信していると判定した場合(S1601:Yes)、ステップS1602において、主制御部201と同様に、周辺側記憶部332の履歴生成方式データと該履歴生成方式が生成対象とする制御コマンドデータに基づいて、周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶し、その後ステップS1603の処理に進む。
【0150】
周辺部は、ステップS1603において、前記受信した制御コマンドが、前記周辺側記憶部332に記憶している検出対象制御コマンド情報が示す検出対象制御コマンドであるか否かを判定する。周辺部は、検出対象制御コマンドではないと判定した場合(S1603:No)、ステップS1605の処理に進む。一方、周辺部は、検出対象制御コマンドであると判定した場合(S1603:Yes)、ステップS1604において、主制御部201と同様に、前記切替情報を参照して複数の付加方式を切り替え、該切り替えた付加方式を示すように周辺側記憶部332の付加方式データを更新し、その後ステップS1605の処理に進む。
【0151】
周辺部は、ステップS1605において、受信部331によって主制御部201から認証情報(認証情報信号)1020を受信したか否かを判定する。周辺部は、認証情報1020を受信していないと判定した場合(S1605:No)、ステップS1612の処理に進む。一方、周辺部は、認証情報1020を受信したと判定した場合(S1605:Yes)、ステップS1606の処理に進む。
【0152】
周辺部は、ステップS1606において、受信した認証情報1020を主制御部201の前記暗号化方式に対応した復号化方式で復号化し、該認証情報1020のデータ部1022から認証データを抽出し、該認証データから複数種類の期待値の各々を前記付加方式データの逆の方式に基づいて削除して複数の認証用履歴データを抽出し、該抽出した複数の認証用履歴データを周辺側記憶部332に記憶し、その後ステップS1607の処理に進む。なお、主制御部201と周辺部との間で暗号化が不要な場合は、ステップS1606における復号化処理を削除する。
【0153】
周辺部は、ステップS1607において、前記抽出した複数の認証用履歴データと周辺側記憶部332に記憶している最新の周辺側履歴データを比較し、周辺側履歴データと一致する認証用履歴データが存在したか否かの判定結果を周辺側記憶部332等に記憶し、その後ステップS1608に進む。
【0154】
周辺部は、ステップS1608において、一致するものが存在した場合(S1608:Yes)、履歴データが一致しており、通信の継続性は正当であることから、ステップS1609において、主制御部201の認証を成立させ、その後ステップS1612の処理に進む。一方、周辺部は、一致するものが存在しない場合(S1608:No)、通信の継続性が正当ではない、又は、不正な認証情報であることから、ステップS1610において、主制御部201に対する認証を不成立とし、ステップS1611において、例えばスピーカ262(図2参照)等から報知信号を出力し、その後ステップS1612の処理に進む。
【0155】
周辺部は、ステップS1612において、ぱちんこ遊技機100の電源がオフされたか否かを判定する。そして、周辺部は、電源がオフされていないと判定した場合(S1612:No)、ステップS1601の処理に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、周辺部は、電源がオフされたと判定した場合(S1612:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0156】
(認証処理における付加方式の切り替え手順例)
次に、ぱちんこ遊技機100において、主制御基板310と周辺基板330が2つの個体識別値及び期待値を用いる場合の認証例を、図17の図面を参照して説明する。
【0157】
まず、前提条件として、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2をデータ記憶部311に予め記憶しておき、付加方式D1が「+」、付加方式D2が「−」としている。一方、周辺基板330は、主制御基板310の個体識別値A1、A2と一致する2つの期待値B1、B2を周辺側記憶部332に予め記憶しておき、主制御基板310と同一の付加方式D1、D2を記憶している。そして、主制御基板310及び周辺基板330は、初期設定を付加方式D1とし、前記切替情報は付加方式D1、D2の順番での切り替えを示している。
【0158】
図17において、被認証者である主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の起動等に応じて個体識別値A1、A2を生成し、該生成した個体識別値A1、A2をデータ記憶部311に記憶する(S1700)。その後、主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の動作に応じて制御コマンドを周辺基板330に送信すると、該制御コマンドをデータ記憶部311に記憶する(S1701)。そして、主制御基板310は、該送信した制御コマンドと前記履歴生成方式に基づいて履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶する(S1702)。一方、周辺基板330は、制御コマンドを受信すると、該受信した制御コマンドを周辺側記憶部332に記憶すると共に、該制御コマンドに対応した所定の処理を行う(S1751)。そして、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、該受信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶する(S1752)。
【0159】
その後、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2のうち、無作為に1つの個体識別値A1を選択すると(S1703)、付加方式データには付加方式D1が設定されていることから、該選択した個体識別値A1を最新の履歴データに加算(付加)した認証データC1を有する認証情報1020を生成して周辺基板330に送信する(S1704)。一方、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、付加方式データには付加方式D1が設定されていることから、受信した認証情報1020の認証データC1から複数の期待値B1、B2の各々を減算(削除)して認証用履歴データC1−B1、C1−B2を抽出し、該認証用履歴データC1−B1、C1−B2と最新の周辺側履歴データが一致するか否かに基づいて、主制御基板310との制御コマンドの通信の継続性に基づく認証を行う(S1753)。その結果、認証情報1020は個体識別値A1が付加された認証データC1を有していることから、当該個体識別値A1と一致する期待値B1を削除した認証用履歴データC1−B1が主制御基板310の履歴データとなるため、認証情報1020は正規のものであれば、認証用履歴データC1−B1が周辺側履歴データと一致することになる。
【0160】
主制御基板310は、次の制御コマンドを周辺基板330に送信すると、該制御コマンドをデータ記憶部311に記憶する(S1705)。そして、主制御基板310は、該送信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶する(S1706)。一方、周辺基板330は、制御コマンドを受信すると、該受信した制御コマンドを周辺側記憶部332に記憶すると共に、該制御コマンドに対応した所定の処理を行う(S1754)。そして、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、該受信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶する(S1755)。
【0161】
その後、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2のうち、無作為に1つの個体識別値A2を選択すると(S1707)、付加方式データには付加方式D1が設定されていることから、該選択した個体識別値A2を最新の履歴データに加算(付加)した認証データC2を有する認証情報1020を生成して周辺基板330に送信する(S1708)。一方、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、付加方式データには付加方式D1が設定されていることから、受信した認証情報1020の認証データC2から複数の期待値B1、B2の各々を減算(削除)して認証用履歴データC2−B1、C2−B2を抽出し、該認証用履歴データC2−B1、C2−B2と最新の周辺側履歴データが一致するか否かに基づいて、主制御基板310との制御コマンドの通信の継続性に基づく認証を行う(S1756)。その結果、認証情報1020は個体識別値A2が付加された認証データC2を有していることから、当該個体識別値A2と一致する期待値B2を削除した認証用履歴データC2−B2が主制御基板310の履歴データとなるため、認証情報1020は正規のものであれば、認証用履歴データC2−B2が周辺側履歴データと一致することになる。
【0162】
主制御基板310は、次の制御コマンドを周辺基板330に送信すると、該制御コマンドをデータ記憶部311に記憶する(S1709)。そして、主制御基板310は、該送信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて履歴データを生成してデータ記憶部311に記憶する(S1710)。そして、主制御基板310は、前記検出対象制御コマンド情報が示す検出対象制御コマンドを検出すると(S1711)、データ記憶部311の付加方式データが付加方式D1を示していることから、前記切替情報が示す次の付加方式D2に切り替え、該付加方式D2を示すように前記付加方式データを更新する(S1712)。
【0163】
一方、周辺基板330は、制御コマンドを受信すると、該受信した制御コマンドを周辺側記憶部332に記憶すると共に、該制御コマンドに対応した所定の処理を行う(S1757)。そして、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、該受信した制御コマンドと履歴生成方式に基づいて周辺側履歴データを生成して周辺側記憶部332に記憶する(S1758)。そして、周辺基板330は、周辺側記憶部332の前記検出対象制御コマンド情報が示す検出対象制御コマンドの受信を検出すると(S1759)、周辺側記憶部332の付加方式データが付加方式D1を示していることから、前記切替情報が示す次の付加方式D2に切り替え、該付加方式D2を示すように前記付加方式データを更新する(S1760)。
【0164】
その後、主制御基板310は、2つの個体識別値A1、A2のうち、無作為に1つの個体識別値A2を選択すると(S1713)、付加方式データには付加方式D2が切り替えられて設定されていることから、該選択した個体識別値A2を最新の履歴データから減算(付加)した認証データC3を有する認証情報1020を生成して周辺基板330に送信する(S1714)。一方、周辺基板330は、主制御基板310と同様に、付加方式データには付加方式D2が切り替えられて設定されていることから、受信した認証情報1020の認証データC3に複数の期待値B1、B2の各々を加算(削除)して認証用履歴データC3+B1、C3+B2を抽出し、該認証用履歴データC3+B1、C3+B2と最新の周辺側履歴データが一致するか否かに基づいて、主制御基板310との制御コマンドの通信の継続性に基づく認証を行う(S1761)。その結果、認証情報1020は個体識別値A2が付加された認証データC3を有していることから、当該個体識別値A2と一致する期待値B2を削除した認証用履歴データC3+B2が主制御基板310の履歴データとなるため、認証情報1020は正規のものであれば、認証用履歴データC3+B2が周辺側履歴データと一致することになる。そして、以降も同様の処理を行う。
【0165】
以上説明したぱちんこ遊技機100によれば、実施例1と同様に、主制御基板310が制御コマンドの履歴を示す履歴データに、無作為に選択した個体識別値を付加した認証情報1020を生成して周辺基板330に送信するようにしたことから、周辺基板330が認証情報1020の履歴データを主制御基板310の認証に用いても、無作為に選択した個体識別値が不規則に変化するため、認証情報1020の規則性がなくなり、認証情報1020に対する不正解析の防止を期待することができる。また、主制御基板310は、複数種類の個体識別値から1つの個体識別値を無作為に選択して履歴データに付加するだけでよいため、主制御基板310に記憶するプログラムのコード量の増加及び主制御基板310の処理負荷の増加を抑止することができる。さらに、主制御基板310が複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを主制御基板310の記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を主制御基板310に予め記憶しておく必要がなくなるため、ぱちんこ遊技機100における主制御基板310の認証のために予め記憶しておくデータ量の増加を抑制することができる。そして、主制御基板310は認証情報を生成する前までに複数種類の個体識別値を予め記憶しておくことができるため、認証情報1020の生成時に複雑な演算を行う必要がなくなり、主制御基板310の処理負担の増加を防止できる。一方、周辺基板330は、履歴データに基づいて制御コマンドの通信継続性を確認して認証するようにしたことから、不正な制御コマンドによる不正な通信切り替えを検出することができるため、不正な通信切り替え防止に貢献することができる。しかも、周辺基板330は、認証情報1020から複数種類の期待値を用いて認証用履歴データを抽出することから、履歴データに正規の個体識別値が付加されていない場合、認証用履歴データと周辺側履歴データは一致しないため、不正を確実に検出することができる。さらに、周辺基板330が複数種類の期待値の各々と認証情報1020との全ての組み合わせを確認して主制御基板310の認証を行うようにしたことから、主制御基板310は個体識別値を単に選択するだけで良くなり、複雑な処理を盛り込む必要がなくすことができる。また、主制御基板310が記憶データに基づいて個体識別値を生成しているので、主制御基板310の記憶データが改ざんされると、周辺基板330の期待値とは異なる個体識別値を主制御基板310が生成するため、周辺基板330は主制御基板310の認証が成立しなくなり、不正防止に貢献することができる。また、例えば主制御基板310と周辺基板330との間に不正基板などが介入するような場合、該不正基板における解析負荷が増大するために処理能力を高くしなければならないため、コストや設計難易度を増大させて、不正基板の製作抑止に貢献することができる。従って、主制御基板310の処理負担を最小限にして、制御コマンドの通信継続性が確認でき且つ認証に用いる認証情報1020の解析を困難にすることができる。
【0166】
上述したぱちんこ遊技機100において、主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の起動に応じて、複数種類の個体識別値のうちの予め定められた少なくとも1つを記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を予め記憶しておく必要がなく、且つ、ぱちんこ遊技機100の起動直後から、主制御基板310の認証を行うことができるため、認証情報1020の認証強度の向上に貢献することができる。また、周辺基板330の期待値と異なる個体識別値を主制御基板310が生成した場合は、その起動前に記憶データが改ざんされたと判断することができるため、不正防止に貢献することができる。
【0167】
また、上述したぱちんこ遊技機100によれば、主制御基板310及び周辺基板330は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、付加方式を予め定められた切替方式に基づいて切り替えるようにしたことから、同一の履歴データに同一の個体識別値を付加しても生成する認証情報1020は異なるため、不正な解析をより一層困難にすることができる。また、検知対象制御コマンドを付加方式の切り替えタイミングとしているので、ぱちんこ遊技機100の起動後においても、主制御基板310と周辺基板330は同期して切り替えることができる。
【0168】
さらに、上述したぱちんこ遊技機100において、履歴データ及び周辺側履歴データが複数回分の制御コマンドの履歴を示すようにすれば、認証情報1020の送信回数を減らしても、その間に生じた制御コマンドの不正を検出することができるため、認証精度の向上を図ることができる。そして、履歴データ及び周辺側履歴データを過去の履歴データを演算した値とすることで、不正な解析者による解析をより一層困難とすることができる。
【0169】
[実施例3]
上述した実施例2のぱちんこ遊技機100は、主制御基板310及び周辺基板330が、検出対象制御コマンドの検出に応じて、付加方式を切り替える場合について説明したが、実施例3では、付加方式及び履歴生成方式の双方を切り替える場合について説明する。
【0170】
以下に、実施例3のぱちんこ遊技機100の一例を説明する。なお、上述した実施例2の構成と同一部分については、同一の符号を付して異なる部分のみを詳細に説明する。
【0171】
(主制御基板および周辺基板の機能的構成)
主制御基板310は、上述した実施例2のデータ記憶部311、個体識別値生成部312、履歴データ生成部313、選択部314、認証情報生成部315、送信部316、制御コマンド検出部316、付加方式切替部317と、図3中の破線で示す履歴生成方式切替部318と、を有して構成している。
【0172】
履歴生成方式切替部318は、本発明の履歴生成方式切替手段に相当し、前記制御コマンド検出部316の検出に応じて、前記履歴データ生成部313が用いる前記履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える。本実施形態では、履歴切替方式として、複数の履歴生成方式をテーブルとした履歴切替情報を前記切替情報と共にデータ記憶部311に記憶している。なお、履歴切替情報の一例としては、前記切替情報と同様に、相異なる履歴生成方式とその切り替え順番を規定するテーブル等が挙げられる。そして、履歴生成方式切替部318は、前記制御コマンド検出部316の検出に応じて、前記履歴切替情報に基づいてデータ記憶部311に記憶している履歴生成方式データを切り替える。これにより、前記履歴データ生成部313は、データ記憶部311の履歴生成方式データを参照することで、履歴生成方式切替部318によって切り替えられた履歴生成方式で履歴データを生成することになる。
【0173】
続いて、周辺基板330は、上述した実施例2の受信部331、周辺側記憶部332、周辺側履歴データ生成部333、認証用履歴データ抽出部334、認証部335、周辺側制御コマンド検出部336、周辺側付加方式切替部337と、図3中の破線で示す周辺側履歴生成方式切替部338と、を有して構成している。
【0174】
周辺側履歴生成方式切替部338は、本発明の周辺側履歴生成方式切替手段に相当し、周辺側制御コマンド検出部336の検出に応じて、前記周辺側履歴データ生成部333が用いる前記履歴生成方式を前記主制御基板310と同一の前記履歴切替方式(履歴切替情報)で切り替える。即ち、周辺基板330は、主制御基板310と同一の前記履歴切替情報を周辺側記憶部332に予め記憶している。そして、周辺側履歴生成方式切替部338は、主制御基板310と同様に、周辺側制御コマンド検出部336の検出対象制御コマンドの検出に応じて、前記周辺側履歴データ生成部333が用いる前記履歴生成方式データを予め定められた履歴切替方式で切り替える。これにより、前記周辺側履歴データ生成部333は周辺側記憶部332の履歴生成方式データを参照することで、周辺側履歴生成方式切替部338によって切り替えられた履歴生成方式で周辺側履歴データを生成することになる。
【0175】
また、本実施形態では、主制御基板310のCPU211が請求項中の第1コンピュータ、周辺基板330のCPU241,281の各々が請求項中の第2コンピュータとして機能させる場合について説明する。そして、主制御基板310のROM212は、前記第1コンピュータを請求項中の個体識別値生成手段、履歴データ生成手段、選択手段、認証情報生成手段、送信手段、制御コマンド検出手段、付加方式切替手段、履歴生成方式切替手段、等の各種手段として機能させるための主制御側認証プログラムを記憶している。また、周辺基板330のROM242,282の各々は、前記第2コンピュータを請求項中の受信手段、周辺側履歴データ生成手段、認証用履歴データ抽出部手段、認証手段、周辺側制御コマンド検出手段、周辺側付加方式切替手段、周辺側履歴生成方式切替手段、等の各種手段として機能させるための周辺側認証プログラムを記憶している。即ち、主制御側認証プログラムと周辺側認証プログラムによって認証プログラムを構成している。
【0176】
(認証情報信号の送受信に関する他の処理)
以下に、上述した構成において、主制御部201と周辺部との間で行う上記認証情報信号の通信例を説明する。まず、主制御部201のCPU211(第1コンピュータ)による認証情報信号の他の送信手順の一例を、上述した図15のフローチャートを参照して説明する。なお、図15に示すフローチャートの基本処理は同一であるため、異なる部分のみを説明する。
【0177】
ぱちんこ遊技機100の電源がON(投入)されると、主制御部201は図15に示す被認証側処理を実行し、ステップS1500〜S1503の処理が終了すると、主制御部201は、ステップ1504において、前記切替情報を参照して複数の付加方式を切り替え、該切り替えた付加方式を示すようにデータ記憶部311の付加方式データを更新すると共に、前記履歴切替情報を参照して複数の履歴生成方式を切り替え、該切り替えた履歴生成方式を示すようにデータ記憶部311の履歴生成方式データを更新し、その後ステップS1505の処理に進む。以降は、上述したステップS1505〜S1511の処理を実行する。
【0178】
続いて、周辺部のCPU241,281(第2コンピュータ)による前記認証情報信号の他の受信処理の手順を、図16のフローチャートを参照して説明する。なお、図16に示すフローチャートの基本処理は同一であるため、異なる部分のみを説明する。
【0179】
周辺部は、図16に示す認証側処理を実行し、ステップS1601〜S1603の処理を終了すると、ステップ1604において、前記切替情報を参照して複数の付加方式を切り替え、該切り替えた付加方式を示すように周辺側記憶部332の付加方式データを更新すると共に、前記履歴切替情報を参照して複数の履歴生成方式を切り替え、該切り替えた履歴生成方式を示すように周辺側記憶部332の履歴生成方式データを更新し、その後ステップS1605の処理に進む。以降は、上述したステップS1605〜S1612の処理を実行する。
【0180】
(付加方式及び履歴生成方式の切り替え手順例)
次に、ぱちんこ遊技機100において、主制御基板310と周辺基板330が2つの個体識別値及び期待値を用いる場合の認証例は、主制御基板310が図17のステップS1712、周辺基板330が図17のステップS1760のみを以下のように変更する。
【0181】
主制御基板310は、前記検出対象制御コマンド情報が示す検出対象制御コマンドを検出すると(S1711)、データ記憶部311の付加方式データが付加方式D1を示していることから、前記切替情報が示す次の付加方式D2に切り替え、該付加方式D2を示すように前記付加方式データを更新すると共に、前記履歴切替情報が示す次の履歴生成方式に切り替え、これを示すように前記履歴生成方式データを更新する(S1712)。
【0182】
一方、周辺基板330は、周辺側記憶部332の前記検出対象制御コマンド情報が示す検出対象制御コマンドの受信を検出すると(S1759)、周辺側記憶部332の付加方式データが付加方式D1を示していることから、前記切替情報が示す次の付加方式D2に切り替え、該付加方式D2を示すように前記付加方式データを更新すると共に、前記履歴切替情報が示す次の履歴生成方式に切り替え、これを示すように前記履歴生成方式データを更新する(S1760)。そして、以降も同様の処理を行う。
【0183】
以上説明したぱちんこ遊技機100によれば、実施例2と同様に、主制御基板310が制御コマンドの履歴を示す履歴データに、無作為に選択した個体識別値を付加した認証情報1020を生成して周辺基板330に送信するようにしたことから、周辺基板330が認証情報1020の履歴データを主制御基板310の認証に用いても、無作為に選択した個体識別値が不規則に変化するため、認証情報1020の規則性がなくなり、認証情報1020に対する不正解析の防止を期待することができる。また、主制御基板310は、複数種類の個体識別値から1つの個体識別値を無作為に選択して履歴データに付加するだけでよいため、主制御基板310に記憶するプログラムのコード量の増加及び主制御基板310の処理負荷の増加を抑止することができる。さらに、主制御基板310が複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを主制御基板310の記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を主制御基板310に予め記憶しておく必要がなくなるため、ぱちんこ遊技機100における主制御基板310の認証のために予め記憶しておくデータ量の増加を抑制することができる。そして、主制御基板310は認証情報を生成する前までに複数種類の個体識別値を予め記憶しておくことができるため、認証情報1020の生成時に複雑な演算を行う必要がなくなり、主制御基板310の処理負担の増加を防止できる。一方、周辺基板330は、履歴データに基づいて制御コマンドの通信継続性を確認して認証するようにしたことから、不正な制御コマンドによる不正な通信切り替えを検出することができるため、不正な通信切り替え防止に貢献することができる。しかも、周辺基板330は、認証情報1020から複数種類の期待値を用いて認証用履歴データを抽出することから、履歴データに正規の個体識別値が付加されていない場合、認証用履歴データと周辺側履歴データは一致しないため、不正を確実に検出することができる。さらに、周辺基板330が複数種類の期待値の各々と認証情報1020との全ての組み合わせを確認して主制御基板310の認証を行うようにしたことから、主制御基板310は個体識別値を単に選択するだけで良くなり、複雑な処理を盛り込む必要がなくすことができる。また、主制御基板310が記憶データに基づいて個体識別値を生成しているので、主制御基板310の記憶データが改ざんされると、周辺基板330の期待値とは異なる個体識別値を主制御基板310が生成するため、周辺基板330は主制御基板310の認証が成立しなくなり、不正防止に貢献することができる。また、例えば主制御基板310と周辺基板330との間に不正基板などが介入するような場合、該不正基板における解析負荷が増大するために処理能力を高くしなければならないため、コストや設計難易度を増大させて、不正基板の製作抑止に貢献することができる。従って、主制御基板310の処理負担を最小限にして、制御コマンドの通信継続性が確認でき且つ認証に用いる認証情報1020の解析を困難にすることができる。
【0184】
上述したぱちんこ遊技機100において、主制御基板310は、ぱちんこ遊技機100の起動に応じて、複数種類の個体識別値のうちの予め定められた少なくとも1つを記憶データに基づいて生成するようにしたことから、前記生成する個体識別値を予め記憶しておく必要がなく、且つ、ぱちんこ遊技機100の起動直後から、主制御基板310の認証を行うことができるため、認証情報1020の認証強度の向上に貢献することができる。また、周辺基板330の期待値と異なる個体識別値を主制御基板310が生成した場合は、その起動前に記憶データが改ざんされたと判断することができるため、不正防止に貢献することができる。
【0185】
また、上述したぱちんこ遊技機100によれば、主制御基板310及び周辺基板330は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、付加方式を予め定められた切替方式に基づいて切り替えるようにしたことから、同一の履歴データに同一の個体識別値を付加しても生成する認証情報1020は異なるため、不正な解析をより一層困難にすることができる。また、検知対象制御コマンドを付加方式の切り替えタイミングとしているので、ぱちんこ遊技機100の起動後においても、主制御部と周辺部は同期して切り替えることができる。
【0186】
さらに、上述したぱちんこ遊技機100によれば、主制御基板310及び周辺基板330は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、付加方式を予め定められた切替方式に基づいて切り替えると共に、履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替えるようにしたことから、履歴データに個体識別値を付加する付加方式が切り替えられると共に、履歴データの履歴生成方式も切り替えられるため、生成する認証情報1020に継続性がなくなり、不正な解析をより一層困難にすることができる。
【0187】
また、上述したぱちんこ遊技機100において、履歴データ及び周辺側履歴データが複数回分の制御コマンドの履歴を示すようにすれば、認証情報1020の送信回数を減らしても、その間に生じた制御コマンドの不正を検出することができるため、認証精度の向上を図ることができる。そして、履歴データ及び周辺側履歴データを過去の履歴データを演算した値とすることで、不正な解析者による解析をより一層困難とすることができる。
【0188】
続いて、上述した実施例2のぱちんこ遊技機100は、複数種類の付加方式を検出対象制御コマンドの検出に応じて切り替える場合について説明したが、この「付加方式」を「履歴生成方式」に置き換えることで、主制御基板310及び周辺基板330は、検出対象制御コマンドの検出に応じて、履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式に基づいて切り替えることができることから、変化する履歴データに同一の個体識別値を付加しても生成する認証情報は異なるため、不正な解析をより一層困難にすることができる。また、検知対象制御コマンドを付加方式の切り替えタイミングとできるので、ぱちんこ遊技機100の起動後においても、主制御基板310と周辺基板330は同期して切り替えることができる。なお、履歴生成方式の切り替え方法は、実施例3の切り替え方法を用いることで実現できる。
【0189】
なお、本実施形態で説明した主制御部及び周辺部の制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な電送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0190】
以上のように、本発明は、主制御部への不正が懸念される遊技機やその遊技機に搭載される制御基板に有用であり、特に、ぱちんこ遊技機、スロット遊技機、雀球遊技機、その他各種の遊技機に適用することができる。これらの遊技機においても、上記各実施の形態と同様に構成することにより、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0191】
100 ぱちんこ遊技機
310 主制御基板
311 データ記憶部
312 個体識別値生成部
313 履歴データ生成部
314 選択部
315 認証情報生成部
316 送信部
317 制御コマンド検出部
318 付加方式切替部
319 履歴生成方式切替部
330 周辺基板
331 受信部
332 周辺側記憶部
333 周辺側履歴データ生成部
334 認証用履歴データ抽出部
335 認証部
336 周辺側制御コマンド検出部
337 周辺側付加方式切替部
338 周辺側履歴生成方式切替部
1020 認証情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の制御コマンドを送信する主制御部と、前記主制御部によって送信された複数種類の制御コマンドの各々に基づいて所定の処理を行う周辺部と、を備える遊技機において、
前記主制御部は、
前記主制御部を識別するための複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを、前記主制御部の予め定められた記憶データに基づいて生成する個体識別値生成手段と、
前記個体識別値生成手段が生成した前記複数種類の個体識別値を記憶する個体識別値記憶手段と、
前記周辺部に送信した前記制御コマンドの履歴を示す履歴データを予め定められた履歴生成方式で生成する履歴データ生成手段と、
前記個体識別値記憶手段が記憶している複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した個体識別値を予め定められた付加方式で前記履歴データに付加して認証情報を生成する認証情報生成手段と、
前記認証情報生成手段が生成した認証情報と前記制御コマンドを前記周辺部に送信する送信手段と、を備え、
前記周辺部は、
前記主制御部の前記複数種類の個体識別値の各々に一致する複数種類の期待値を記憶する期待値記憶手段と、
前記主制御部から前記認証情報と前記制御コマンドを受信する受信手段と、
前記主制御部から受信した前記制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを前記主制御部と同一の前記履歴生成方式で生成する周辺側履歴データ生成手段と、
前記複数種類の期待値と前記主制御部と同一の前記付加方式とに基づいて、前記受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する認証用履歴データ抽出手段と、
前記認証用履歴データ抽出手段が抽出した複数の認証用履歴データの中に前記周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて、前記主制御部の認証を行う認証手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記個体識別値生成手段は、前記遊技機の起動時に、前記複数種類の個体識別値を前記記憶データに基づいて生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記主制御部は、
前記複数種類の制御コマンドの中から予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出する制御コマンド検出手段と、
前記制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記認証情報生成手段が用いる前記付加方式を予め定められた切替方式で切り替える付加方式切替手段と、を備え、
前記周辺部は、
前記主制御部で予め定められた検出対象制御コマンドの前記主制御部からの受信を検出する周辺側制御コマンド検出手段と、
前記周辺側制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記履歴データ抽出手段が用いる前記付加方式を前記主制御部と同一の前記切替方式で切り替える周辺側付加方式切替手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記主制御部は、前記制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える履歴生成方式切替手段を備え、
前記周辺部は、前記周辺側制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記周辺側履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を前記主制御部と同一の前記履歴切替方式で切り替える周辺側履歴生成方式切替手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記主制御部は、
前記複数種類の制御コマンドの中から予め定められた検出対象制御コマンドの発生又は送信を検出する制御コマンド検出手段と、
前記制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を予め定められた履歴切替方式で切り替える履歴生成方式切替手段と、を備え、
前記周辺部は、
前記主制御部で予め定められた検出対象制御コマンドの前記主制御部からの受信を検出する周辺側制御コマンド検出手段と、
前記周辺側制御コマンド検出手段の検出に応じて、前記周辺側履歴データ生成手段が用いる前記履歴生成方式を前記主制御部と同一の前記履歴切替方式で切り替える周辺側履歴生成方式切替手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項6】
前記履歴データ及び前記周辺側履歴データの各々は、前記複数回分の履歴を示すデータであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
複数種類の制御コマンドを送信する主制御部と、前記主制御部によって送信された複数種類の制御コマンドの各々に基づいて所定の処理を行う周辺部と、を備える遊技機の認証方法において、
前記主制御部は、
前記主制御部を識別するための複数種類の個体識別値のうちの少なくとも1つを、前記主制御部の予め定められた記憶データに基づいて生成する個体識別値生成工程と、
前記個体識別値生成工程で生成した前記複数種類の個体識別値を個体識別値記憶手段に記憶する個体識別値記憶工程と、
前記周辺部に送信した前記制御コマンドの履歴を示す履歴データを予め定められた履歴生成方式で生成する履歴データ生成工程と、
個体識別値記憶手段が記憶している前記主制御部を識別するための複数種類の個体識別値の中から1つの個体識別値を無作為に選択する選択工程と、
前記選択工程で選択した個体識別値を予め定められた付加方式で前記履歴データに付加して認証情報を生成する認証情報生成工程と、
前記認証情報生成工程で生成した認証情報を前記周辺部に送信する送信工程と、を備え、
前記周辺部は、
前記主制御部の前記複数種類の個体識別値の各々と一致する複数種類の期待値が期待値記憶手段に予め記憶される期待値記憶工程と、
前記主制御部から受信した前記制御コマンドの履歴を示す周辺側履歴データを前記主制御部と同一の前記履歴生成方式で生成する周辺側履歴データ生成工程と、
前記主制御部から前記認証情報を受信する受信工程と、
前記期待値記憶手段が記憶している複数種類の期待値と前記主制御部と同一の前記付加方式とに基づいて、前記受信した認証情報から複数の認証用履歴データを抽出する認証用履歴データ抽出工程と、
前記認証用履歴データ抽出工程で抽出した複数の認証用履歴データの中に前記周辺側履歴データと一致するものが存在するか否かの判定結果に基づいて、前記主制御部の認証を行う認証工程と、を備えることを特徴とする遊技機の認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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