説明

遊技機

【課題】遊技機に特定の構造を有する台間機を識別させるとともに液晶などによる表示装置を通じてその使用説明を行うことができる構成を提供する。
【解決手段】遊技者から視認可能な表示装置(19)と、表示態様データ記憶手段(300)に記憶されている表示態様データに従って表示装置(19)を制御する表示制御手段(210)とを備えた遊技機であって、隣接して設けられた遊技機に遊技媒体を供給する台間機の遊技機に面する側に特有の被識別構造(25)がある場合に特定の識別状態を呈する識別構造(50)が台間機に面する側にあり、表示態様データ記憶手段(300)が記憶する表示態様データには被識別構造(25)を有する台間機に係る情報を表す台間機情報データが含まれ、表示制御手段(210)は識別構造(50)がの特定の識別状態を呈しているときには台間機情報データに従って表示装置に当該台間機に係る情報を表示させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特有な被識別構造を有する台間機が隣接して設置された場合にそれを識別し、その識別結果に応じてその台間機に関する所定の情報を表示可能な遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットマシンなどのメダルを遊技媒体とする遊技機において、効率の良い遊技を行いたいという要請、あるいは、なるべく遊技メダルに手を触れないで遊技を行いたいという要請に基づき、遊技メダルを直接、遊技機に供給可能な台間機(メダル貸し出し機)が考案されている(特許文献1参照)。
このような台間機として、本件出願人により、台間機より貸し出されるメダルのみならず遊技機から払い出されたメダルをも遊技者が投入すること(以下、「貸出メダル」と「払出メダル」とを「一括して」投入可能という意味で「一括投入」と称する。)が可能な次世代型のものが提案されている(特願2005−20486及び特願2005−20487参照)。この次世代型台間機は、ベルトによる駆動でメダルを遊技機のメダル投入口へ供給するとともに、タッチセンサによる操作手段を備え、これに触れる時間に応じてベルト駆動の制御が変わるようになっている。また、メダルが供給路で詰まった場合には、ベルト駆動を逆回転させて排出口からメダルを返却する機能も有している。
【0003】
しかし、この次世代型台間機は遊技機の間に組み込まれて設置されるものなので、幅狭で縦長の形状となっている。このため、その前面に取扱説明の表示をする十分なスペースはなく、遊技者に対して使用方法等の情報を詳細に説明できない。
たとえば、ラベルを貼付して取扱説明をするとしても、「タッチセンサを触って投入して下さい」とか「ランプが光ったらエラーなので店員を呼んで下さい」とかのごく簡単な表示しかできないのが現実である。
なお、遊技機の分野において、使用操作説明を可能としているものとして、下記の特許文献2乃至4に記載の技術がある。すなわち、特許文献2記載の技術では、人センサの検知があった場合、ゲーム操作ガイダンスメッセージを表示部に表示させることとしている。また、特許文献3記載の技術では、液晶に遊技方法を表示させるとしている。さらに、特許文献4記載の技術では、説明スイッチを押すと、遊技方法を教える音声が流れることとしている。
【特許文献1】特開2003−299868号公報(図1)
【特許文献2】特開平7−124323号公報
【特許文献3】特開平8−19644号公報
【特許文献4】特開平10−57588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献2乃至4に開示の技術のいずれも、遊技機自身の機能(遊技内容・操作方法等)を説明するに過ぎず、遊技機に付随する設備の説明をするものではない。
そこで本発明は、遊技機に特定の構造を有する台間機を識別させるとともに液晶などによる表示装置を通じてその使用説明を行うことができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、遊技者から視認可能な位置に設けられた表示装置(19)と、前記表示装置(19)における表示態様に係るデータを記憶する表示態様データ記憶手段(300)と、表示態様データ記憶手段(300)に記憶されている表示態様データに従って表示装置(19)を制御する表示制御手段(210)とを備えた遊技機であって、前記遊技機に隣接して設けられ同遊技機に物理的に遊技媒体を供給可能な構造を有する台間機の当該遊技機に面する側に特有の被識別構造(25)があるかどうかに応じて異なる物理的性状を呈するように形成された識別構造(50)が当該台間機に面する側に設けられ、前記表示態様データ記憶手段(300)が記憶する表示態様データには、被識別構造(25)を有する台間機に係る情報を表す台間機情報データが含まれ、前記表示制御手段(210)は、前記識別構造(50)の物理的性状が被識別構造(25)が存在する状態を呈している場合には前記台間機情報データに従って表示装置に当該台間機に係る情報を表示させることが可能に形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る「遊技機」とは、対価と引き替えに遊技者に貸し出されるメダル、コイン、パチンコ玉といった「遊技媒体」を用いて遊技を行うスロットマシン、弾球遊技機等をいう。
「表示装置」とは、遊技機がスロットマシンである場合、図柄を変動表示させるリールとは別に、画像による演出を主として目的とする、液晶、ドットマトリクス、ブラウン管等による装置をいう。また、遊技機が弾球遊技機である場合には、図柄の変動表示目的で使用する表示装置にその機能を兼ね備えさせてもよいし、また別に設けることとしてもよい。
【0007】
スロットマシン(1)は通常、複数の(通常3個)リールが内装される筐体(10)と、これらのリールを外部から視認可能とする図柄表示窓(14)、ベットボタン、スタートレバー及びストップボタンを有する操作部(16)、並びにメダル投入口(11)等を備えた前扉(13)とを備えるが、この表示装置(19)はこれらの筐体(10)と前扉(13)とのいずれに設置されることとしてもよい。ただし、筐体側に設置される場合には、前扉(13)にはこの表示装置(19)を外部から視認可能とする窓部がさらに必要とされる。
「表示態様」とは、上記表示装置(19)において画像により表現される演出等の具体的な態様をいう。
【0008】
「表示態様データ記憶手段」とは、上記表示態様を表す画像データを記憶する手段であって、具体的には、ROMなどの記憶媒体をもってこれに充てることができる。
「表示制御手段」とは、表示態様データ記憶手段に記憶されているデータに従って、表示装置に具体的な表示態様をもって表示をさせる手段であって、具体的には、遊技プログラムを実行することで遊技機の制御の全部又は一部を担うCPUであって、それが表示装置の制御を司る場合、この表示制御手段として機能することとなる。
「台間機」とは、遊技機による遊技に使用される遊技媒体を貸し出すために払い出す装置をいう。そして、遊技媒体払い出し装置として、たとえばメダルを払い出すためのホッパー装置(貸し出しメダル払い出し装置(23))を備えたメダル貸出機(2)などとすることができ、払い出しメダルを隣接する遊技機、たとえばスロットマシンのメダル投入口(11)に直接移送可能に形成されている。
【0009】
「識別構造」は遊技機側に設けられる構造であり、一方、「被識別構造」は台間機側に設けられる構造である。これらは互いに呼応する特有の物理的性状又は構造を備えており、それゆえに前者は後者を識別することが可能となるものである。すなわち、識別構造(50)は、被識別構造(25)が「ある」という物理的性状(「識別状態」と称する。)と「ない」という物理的性状(「非識別状態」と称する。)との両用を呈することとなる。
たとえば、識別構造(50)が出没自在な「突起」状のスイッチとして形成され、この「突起」が突出しているときにはスイッチが「ON」状態になる一方、没入しているときには「OFF」状態になるものである場合には、被識別構造(25)はこの「突起」が嵌入可能な「孔」又は「窪み」のような物理的構造となる。すなわち、このような「特有の」被識別構造たる「孔」又は「窪み」を側面に有する台間機が、遊技機に隣接して設置された場合、識別構造(50)たる「突起」が、被識別構造(25)たる「孔」又は「窪み」に嵌入して突出状態を保つこととなり、これにより、スイッチが「ON」状態となることを通じて、「識別状態」となる。一方、このような「特有の」被識別構造(25)たる「孔」又は「窪み」を側面にもたない台間機が設置された場合には、識別構造(50)たる「突起」は台間機の側面に押圧され没入を余儀なくされ、これによりスイッチは「OFF」状態となることを通じて、「非識別状態」となる。
【0010】
このような被識別構造(25)と識別構造(50)との物理的性状の呼応の例としては他に、被識別構造(25)を発光装置として識別構造(50)を光センサスイッチとすることも可能であるし、また、被識別構造(25)を磁石として識別構造(50)を電磁誘導式スイッチとすることも可能である。いずれの場合も、この物理的性状の有無により「特有の」構造をもった台間機であるかどうかが「識別」可能となる。
前記表示制御手段(210)は、識別構造(50)が「識別状態」又は「非識別状態」を呈していることに応じて「特有の」構造をもった台間機が設置されているかどうかを判定した上で、設置されている場合には台間機情報データに従って表示装置(19)に当該台間機に係る情報を表示させることが可能に形成されている。ここで、「可能」とは、そのような場合には常に表示させることしてもよいし、また、遊技者の操作により表示させたりさせなかったりを選択することを可能な構造としてもよいという趣旨である。たとえば、上記の例でいうと、識別構造(50)たる「突起」の出没状態に応じてスイッチ「ON」状態であればこの表示制御手段(210)は「識別状態」であるから設置されていると判定した上で表示装置(19)に当該台間機に係る情報を表示させる、一方、「OFF」状態であれば「非識別状態」なので設置されていないと判定してそのような情報は表示させない。
【0011】
「台間機情報データ」とは、表示態様データとして構成されるデータであって、「特有の」被識別構造(25)を有する台間機に関する情報を表す。かかる情報の例としては、当該台間機の操作手順や、エラー状態に関する説明がある。
(作用)
遊技機に隣接して台間機を設置する際に、台間機が被識別構造(25)を備えている場合には、遊技機の識別構造(50)は「識別状態」を呈する。一方、台間機が被識別構造(25)を備えていない場合には、遊技機の識別構造(50)は「非識別状態」を呈する。
表示制御手段(210)は、識別構造(50)が「識別状態」であるか「非識別状態」であるかを判定する。ここで、「非識別状態」であると判定した場合は、表示装置(19)に台間機に係る情報が表示されることはない。一方、「識別状態」であると判定した場合には、表示制御手段(210)は表示態様データ記憶手段(300)から表示態様データのうちの台間機情報データを取得し、これに従って台間機に係る情報を表示装置(19)に表示させる。
【0012】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の特徴に加え、前記被識別構造(25)は、所定の径及び深さを有する陥凹部(25)であるとともに、前記識別構造(50)は、弾性体により前記陥凹部(25)内に嵌入可能に突出方向に付勢されているとともに先端部に押圧力を受けることにより没入する出没突起(52)と、前記出没突起(52)が前記陥凹部(25)内へ嵌入した状態で突出している場合には電源回路を導通状態にするための接点(55a, 55b)が接触し、一方、前記出没突起(52)が没入することにより前記接点(55a, 55b)が非接触となるスイッチ機構(55)とを備えるとともに、前記表示制御手段(210)は、前記スイッチ機構(55)により接点(55a, 55b)が接触している状態を認識することで被識別構造(25)の存在を認識することを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項2記載の発明では、台間機が有する被識別構造(25)として「陥凹部」が設けられているとともに、これに対応する遊技機の識別構造(50)として「出没突起」及びこれが没入する際に「接点」が非接触となる「スイッチ機構」が設けられることとなっている。
(作用)
遊技機に隣接して台間機を設置する際に、台間機が被識別構造(25)としての陥凹部(25)を備えている場合には、遊技機の識別構造(50)たる出没突起(52)はこの陥凹部(25)へ嵌入することで突出した状態を保つことになる。そして、これによりスイッチ機構(55)において接点(55a, 55b)が接触状態を保つことで「識別状態」を呈することとなる。一方、台間機が被識別構造(25)としての陥凹部(25)を備えていない場合には、遊技機の識別構造(50)たる出没突起(52)は没入状態となりこれによりスイッチ機構(55)が非接触状態を余儀なくされ、その結果として「非識別状態」を呈することとなる。
【0014】
表示制御手段(210)は、識別構造(50)が「識別状態」であるか「非識別状態」であるかを判定する。ここで、出没突起(52)が没入している場合にはスイッチ機構(55)が非接触状態となり「非識別状態」であると判定され、表示装置(19)に台間機に係る情報が表示されることはない。一方、出没突起(52)が陥凹部(25)へ突出している場合にはスイッチ機構(55)が接触状態となり「識別状態」であると判定され、表示制御手段(210)は表示態様データ記憶手段(300)から表示態様データのうちの台間機情報データを取得し、これに従って台間機に係る情報を表示装置(19)に表示させる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の特徴に加え、前記被識別構造(25)を有する台間機に係る情報とは、当該台間機の操作手順を含むことを特徴とする。
【0015】
これにより、被識別構造(25)を備える台間機が遊技機に隣接して設置された場合には、その台間機に係る情報としての操作手順を表示装置(19)に表示させることができるので、遊技者が容易に台間機の操作を知ることができるようになる。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明の特徴に加え、前記被識別構造(25)を有する台間機に係る情報とは、当該台間機のエラー状態に関する説明を含むことを特徴とする。
これにより、被識別構造(25)を備える台間機が遊技機に隣接して設置された場合には、その台間機に係る情報としてのエラー状態に関する説明を表示装置(19)に表示させることができるので、万一台間機がエラー状態に陥った場合でも遊技者が容易にその旨を知ることができるようになるとともに、適切な対処法をも案内することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記のとおり構成されているため、遊技機に特定の構造を有する台間機を識別させるとともに液晶などによる表示装置を通じてその使用説明を行うことができる構成を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の最良の実施形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(図面の説明)
図1乃至図8は、本発明の実施の形態を示すものである。
図1はスロットマシン1及び台間機としてのメダル貸出機2の概略平面及び正面図、図2はスロットマシン1及びメダル貸出機2の外観斜視図、図3はメダル貸出機2の側面図、図4は一括投入機構3の拡大断面図、図5乃至図7は電源スイッチ機構4の拡大横断面図、図8は電源スイッチの電気回路の概略図である。また、図9は識別構造に係るブロック図、図10及び図11は液晶画面の表示態様を表す模式図である。
【0018】
本実施の形態におけるメダル貸出機2は、スロットマシン1に隣接して設置され、一台のスロットマシンに一機ずつ対応するように設けられている。そして、メダル貸出機2とスロットマシン1の隣接部分には、スロットマシン1を適正な位置に設置することによりメダル貸出機2の電源をONにするための電源スイッチ機構4が設けられている。
(スロットマシン1)
スロットマシン1は、図2に示すように、筐体10及び筐体10の正面側に取り付けられた前扉13から形成され、正面側には回転リール(図示せず)の図柄を視認可能な図柄表示窓14が形成されている。また、この図柄表示窓14の下方でありスロットマシン1の略中央部は、スタートスイッチやストップスイッチなどの操作手段が設けられる操作部16となっている。そしてこの操作部16の正面右端部には、遊技メダルを投入するためのメダル投入口11が設けられている。なお、特に図示しないが、メダル投入口11の下方には、遊技メダルの真贋を判断すると共に投入メダルをカウントするためのメダルセレクターが設けられている。また、スロットマシン1の下部には、払い出しメダルを貯留可能な払い出しメダル皿15が設けられている。
【0019】
ここで、メダル投入口11は、上方から遊技メダルを一枚ずつ投入可能な投入スリット11aと、投入スリットの側方に連通する側方移送通路11bとを有している。この側方移送通路11bは、投入スリット11aから正面右側(メダル貸出機2側)に延設された樋状の通路であって、後述するメダル移送ブロック34から送られてくる遊技メダルを受け入れ投入スリット11aに移送するためのものである。
そして、メダル投入口11から遊技メダルを投入し、スタートスイッチの操作により回転リールを回転させ、ストップスイッチの操作により回転リールを停止させ、このとき、複数の回転リールに表示された図柄が所定の位置態様に停止すると入賞となり、所定枚数のメダルが払い出されるように形成されているものである。
【0020】
一方、前扉13における図柄表示窓14の上方の中央部には、表示手段としての液晶画面19が設けられている。この液晶画面19は、回転リールによる図柄の変動表示により主に展開される遊技の補足的な演出を行ったり、また遊技者に遊技に関する何らかの示唆的な情報(たとえば、大当たりや小当たりの内部抽選に当選している旨)を提供したりするものであるとともに、遊技機の操作法等の周辺情報も提供したりするものである。また、この液晶画面19の向かって右側には、押しボタンとして形成されている切替スイッチ19aが設けられている。この切替スイッチ19aは、液晶画面19による表示を遊技者が切り替えるためのものである。
【0021】
さらに、筐体10のメダル貸出機側の側板には、正面側から背面側に向かって略水平に形成され、側方に開口するスライド溝17が二本設けられている(図1(B)参照)。スライド溝17は、メダル貸出機2に設けられた凸部24を嵌入可能な溝であり、スロットマシン1を手前側から押し込んで設置する際にガイドとなるとともに、スロットマシン1の上下方向の位置決めを行うことができるものである。
(メダル貸出機2)
メダル貸出機2は、スロットマシン1の側面側に隣接して設置される箱型の装置であって、金銭と引き替えに遊技メダルを貸し出すと共に、貸し出しメダル及び遊技者が投入するメダルをスロットマシン1のメダル投入口11に投入するためのものである。すなわち、メダル貸出機2は、図3に示すように、外箱20に、紙幣カウンター22及び貸し出しメダル払い出し装置23が内蔵されているとともに、正面側には一括投入機構3が取り付けられているものである。
【0022】
外箱20は、直方形状の箱体であり、スロットマシン設置側の側面には、前記スロットマシン1のスライド溝17に嵌入可能な凸部24が設けられている。凸部24は、前後に連続する突条であっても、突起であってもよい。また、外箱20の正面上方には、メダル貸出機2が通電状態であることを報知するためのパイロットランプ26が設けられている。パイロットランプ26は、メダル貸出機2の主電源がONとなった場合に、内蔵された電球や発光ダイオードなどの発光体が点灯するものであり、このパイロットランプ26の点灯により、紙幣カウンター22や貸し出しメダル払い出し装置23や一括投入機構3が作動可能であることを知ることができる。
【0023】
なお、パイロットランプ26は、必ずしもメダル貸出機2に設けなくともよく、例えば島設備に設けて、島設備に固定されているメダル貸出機2の通電状態を報知可能であればよい。また、通電報知手段としては、上記パイロットランプ26に限られず、視覚又は聴覚に訴えて通電状態を報知できるものであればよい。
紙幣カウンター22は、外箱20の正面下方に設けられた紙幣投入口21から投入された紙幣を読み取って、貸し出しメダル払い出し装置23に所定枚数の遊技メダルを払い出させるためのものである。なお、メダル貸出機としては、紙幣投入口21及び紙幣カウンター22の他に、硬貨投入口や硬貨カウンター、釣り銭払い出し口などを有していてもよい。また、プリペイドカード投入口とカードリーダーを有していてもよい。
【0024】
貸し出しメダル払い出し装置23は、遊技メダルを払い出すためのいわゆるホッパー装置であり、特に図示しないが、遊技メダルを貯留しておくためのタンクと、タンクに貯留されている遊技メダルを一枚ずつ排出可能な送り出し円板を有している。送り出し円板は、駆動モータに回転可能に軸止されており遊技メダルが嵌入可能な孔が形成されている。そして、この孔に入った遊技メダルを、回転に伴い一枚ずつ装置の外に排出するようになっている。また、貸し出しメダル払い出し装置23には排出メダルをカウントするためのセンサが設けられていて、所定枚数の遊技メダルを払い出したら駆動モータが停止するように形成されている。
【0025】
(一括投入機構3)
一括投入機構3は、前記貸し出しメダル払い出し装置23から払い出される遊技メダル、及び遊技者が投入する遊技メダルを、スロットマシン1のメダル投入口11に一括投入するための機構である。具体的には、一括投入機構3は、図1及び図4に示すように、大きく分けて、メダル貸出機2の外箱20の正面に取り付けられた本体カバー30と、本体カバー30の内部に設けられたメダル送り装置32とから構成されている。
本体カバー30は、図2、図3に示すように、メダル貸出機2の外箱20の正面略中央部から手前側(スロットマシン1を正面から見た場合の手前側。以下同じ)に突出する箱形部材であり、上方に開口する一括投入開口31が形成され、図4に示すように、内部にはメダル送り装置32が内蔵されている。
【0026】
そして、本体カバー30の正面側下端部には、図4に示すように、メダル移送ブロック34が取り付け板を介して取り付けられており、メダル移送ブロック34の上方には、メダル送り装置32のメダル送り出し部及びメダル移送ブロック34のメダル通路35に連通するメダル落下口33が形成されている。また、本体カバー30の底部奥側には、メダル送り装置32から排出される異物やリセットメダルを受け止める排出貯留箱90が収納されており、この排出貯留箱90の上方には、リセット開口36が形成されている。そして、リセット開口36の上方には、排出機構80が設置されている。さらに、排出機構80の上方には、貸し出しメダル払い出し装置23から払い出されるメダルを受け入れるための貸し出しメダル受入口37が形成されている。
【0027】
ここで、メダル送り装置32は、一括投入開口31から投入されたメダルをメダル移送ブロック34に送り出すための装置であり、駆動モータ32dにより回転するローラ32aに掛け渡した搬送ベルト32bと、搬送ベルト32bの上にある遊技メダルを一枚ずつ分離するための逆転ローラ32cを備えている。また、一括投入開口31の周囲には、特に図示しないがタッチセンサが設けられていて、このタッチセンサに触れることにより、駆動モータ32dが駆動し、ローラ32aが図4に示す黒矢印方向に回転するようになっている。
また、前記排出機構80は、ソレノイド81の作動で開閉板82を開くことにより、メダル送り装置34のベルト上及び開閉板82の上にあるメダルや異物などを、リセット開口36から排出させるためのものである。
【0028】
メダル移送ブロック34は、前記メダル送り装置32から送り出された遊技メダルをスロットマシン1のメダル投入口11に移送するための部材であって、遊技メダルが一枚ずつ通過可能なメダル通路35を有するブロック部材である。そして、スロットマシン1を適正位置に設置した場合には、メダル移送ブロック34の端部34a(図2参照)がメダル投入口11の側方移送通路11bと合致するようになっている。さらに、メダル移送ブロック34の背面側に固定されている取り付け板は、本体カバー30に対して前後方向に摺動可能に形成されていおり、メダル移送ブロック34の前後方向の取り付け位置を微調整することができる。これにより、隣接するスロットマシン1のメダル投入口11との僅かな位置ずれを修正することができるようになっている。
【0029】
なお、端部34aと側方移送通路11bが合致して、メダル移送ブロック34のメダル通路35と側方移送通路11bが連通し、遊技メダルを適正に投入できる状態となった場合には、メダル貸出機2が通電状態となるように形成されているものであるが、これについいては後述する。
(遊技メダルの移送)
上記構成を有する一括投入機構3の遊技メダルの移送過程を説明する。
まず、一括投入開口31から遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダル送り装置34の搬送ベルト32bの後方部上面と開閉板82の上面に積み重なるように落下し、一括投入機構3の内部空間に貯留される。また、メダル貸出機2に紙幣を投入した場合には、貸し出しメダル払い出し装置23から遊技メダルが払い出され、貸し出しメダル受入口37を通って、一括投入機構3の内部空間(搬送ベルト32b及び開閉板82の上側)に貯留される。次に、一括投入開口31の周囲を手で押さえると、タッチセンサが反応して、メダル送り装置32が作動を開始する。すなわち、駆動モータ32dが駆動して、搬送ベルト32bが前方に移動開始する。
【0030】
搬送ベルト32bが移動開始すると、搬送ベルト32bの後方部上面に乗っている遊技メダルが前方に移動し、搬送ベルト32bにより前方に移送された遊技メダルのうち、搬送ベルト32bの上面に乗っている遊技メダルは、搬送ベルト32bと逆転ローラ32cの下面との間の間隙をすり抜けて、一枚ずつ、メダル落下口33へと移送される。一方、搬送ベルト32bの上方に重なっている遊技メダルは、逆転ローラ32cと接触することにより、奥方向に蹴り戻される。 メダル送り装置32から送り出された遊技メダルは、メダル落下口33に誘導されつつ下方に落下する。そして、メダル移送ブロック34のメダル通路35を通って排出される。排出された遊技メダルは側方移送通路11bを通って、投入スリット11aに投入される。
【0031】
なお、メダル送り装置32に残留している遊技メダルをスロットマシン1に投入したくない場合には、所定のリセットスイッチを操作すると、排出装置80のソレノイド81が作動して開閉板82を開くとともに、メダル送り装置32の駆動モータが逆転駆動する。これにより、搬送ベルト32bの上面にある遊技メダルは後方に移動し、開閉板82が開くことにより、リセット開口36から下方に落下する。このようにしてメダル送り装置32から排出された遊技メダルは、排出貯留箱90に貯留されるので、排出貯留箱90を手前側に引き抜いて、中に貯まったメダルを取り出せばよい。なお、メダル送り装置40内部に、ゴミなどの異物が混入した場合にも、上記したのと同様にして取り出すことができる。
【0032】
(電源スイッチ機構4)
電源スイッチ機構4は、スロットマシン1が適正位置に設置されることにより、メダル貸出機2を通電状態にするための装置であり、図1に示すように、スロットマシン1とメダル貸出機2の隣接する当接部に設けられた接触スイッチ機構であり、具体的には、図5に示すように、メダル貸出機2のスロットマシン側の側面に設けられた貸出機側スイッチ機構40と、スロットマシン1のメダル貸出機側の側面に設けられた識別構造50とを有している。
貸出機側スイッチ機構40は、メダル貸出機2の外箱20の側面に形成された被識別構造としての陥凹部25の内部に設けられた押圧スイッチであって、スロットマシン1とメダル貸出機2との位置決めが適正に行われたことを確認するための位置決め確認手段として機能する。具体的には、貸出機側スイッチ機構40は、一方の端部に平板状の当接部41、他方の端部には主電源70(図8参照)と接続する接点45aを備える柱状の摺動体42と、この摺動体42を外箱20の外側方向に付勢するバネ43を有している。
【0033】
前記摺動体42は、摺動体42に固定されたストッパー44が陥凹部25の内側に突出する突部に係止されて、バネ43の付勢力により陥凹部25から飛び出してしまわないようになっている。そして、摺動体42は、無負荷状態では、端部に設けられた接点45aが、メダル貸出機2の内部に設けられ主電源70と接続する接点45bと非接触となるよう位置している。また、摺動体42がストッパー44により陥凹部25内に係止されて最大限外側に位置しているとき、当接部41は、陥凹部25から突出しないようになっている。これは、陥凹部25の開口側に、後述する突出体51が嵌入可能な空間を確保するためである。
そして、当接部41が押圧力を受けると、バネ43は圧縮され、摺動体42が外箱20の内部側に移動し、接点45aと接点45bが接触して、メダル貸出機2が通電状態となり、当接部41にかかる押圧力がなくなると、圧縮されていたバネ43の復元力により摺動体42が外箱20の外部側に移動し、接点45aと接点45bが非接触となり、メダル貸出機2が非通電状態となるよう形成されているものである。
【0034】
なお、陥凹部25の手前側端部には、内側から外側に向かって傾斜する傾斜部25Aが形成されている。これは、スロットマシン1を定位置から取り出す場合に、陥凹部25に嵌入している突出体51が、スロットマシン1の移動に伴い前方に移動することにより陥凹部25の内壁に引っかかって破損しないようにするためのものである。
識別構造50は、スロットマシン1が適正位置に設置されることにより、特有な被識別構造たる陥凹部25を有する台間機2の存在を識別するための機構であり、スロットマシン1の筐体10の側面に形成された凹部18の内部に、一方の端部に先端が半球状に形成された出没突起52及び他方の端部にはストッパー54を備える棒状の摺動体51と、前記出没突起52を筐体10の外側方向に付勢するバネ53を有している。そして、ストッパー54は、摺動体51がバネ53の付勢力により凹部18から飛び出してしまわないように摺動体51の端部を係止しているとともに、サブ制御部200(図9参照)と接続する接点55aが設けられている。
【0035】
摺動体51は、無負荷状態では、ストッパー54に設けられた接点55aが、スロットマシン1の内部に設けられ同じく後述のサブ制御部200と接続する接点55bと接触するよう位置している。これらの接点55a, 55bによりスイッチ機構55が構成される。また、摺動体51がストッパー54により凹部18内に係止されて最大限外側に位置しているとき、出没突起52は凹部18から突出している。
そして、出没突起52が押圧力を受けると、バネ53は圧縮され、摺動体51が筐体10の内部側に移動し、接点55aと接点55bとが隔離して、スイッチ機構55が非接触状態となる。一方、出没突起52にかかる押圧力がなくなると、圧縮されていたバネ53の復元力により摺動体51が筐体10の外部側に移動し、接点55aと接点55bとが接触し、スイッチ機構55が接触状態となるよう形成されているものである。
【0036】
なお、前記貸出機側スイッチ機構40と識別構造50は、メダル貸出機2の凸部24とスロットマシン1のスライド溝17を係合させたときに、高さ方向の位置が合致する位置に設けられている。また、貸出機側スイッチ機構40と識別構造50の前後方向の設置位置は、スロットマシン1のメダル投入口11の側方移送通路11bの側端部と、メダル貸出機2のメダル移送ブロック34の端部34aが位置一致して、メダル移送ブロック34のメダル通路35から排出される遊技メダルが支障なく側方移送通路11bに転送可能となるような位置に設定されている。
(スロットマシン1の設置とメダル貸出機2の電源入力)
次に、上記構成を有する電源スイッチ機構4の作用を説明する。
【0037】
まず、島設備に設置されたメダル貸出機2は、スロットマシン1が隣接して設置されていない状態(旧台を撤去した状態)では、図5に示すように、貸出機側スイッチ機構40の摺動体42がバネ43により外箱20の外側方向に押し出されているので、接点45aが接点45bと接触していない。そのため、電源回路が遮断されており(図8参照)、メダル貸出機2を主電源70と接続しても、あるいは主電源70と接続したうえで本体の電源スイッチ(図示せず)をONにしても、通電状態にはならない。従って、パイロットランプ26は主電源を入れても点灯しない。
一方、これから設置されるスロットマシン1は、図5に示すように、識別構造50の出没突起52がバネ53により筐体10の外側方向に押し出されているので、接点55aと接点55bとは互いに接触している。このスロットマシン1を、前記メダル貸出機2の隣に配置し、外箱20に形成された凸部24の正面側をスロットマシン1のスライド溝17の背面側に嵌入させる。これにより、メダル貸出機2に対するスロットマシン1の上下方向の位置決めを行うことができ、例えば床面が水平でない場合であっても、貸出機側スイッチ機構40と識別構造50の高さ方向の位置がずれないようにすることができる。そして、スロットマシン1をメダル貸出機2の側面に沿って奥方向に移動させる。このとき、識別構造50の突出体51は、図6に示すように、出没突起52が外箱20の側面に当接することにより凹部18の内部に没入している。これにより、バネ53が圧縮されて摺動体51は筐体10の内部側に移動し、接点55aと接点55bとが非接触となる。
【0038】
図6の状態からさらにスロットマシン1を奥側に移動させると、やがてスロットマシン1の凹部18とメダル貸出機2の陥凹部25の前後方向の位置が合致する。すると、凹部18の内部に没入している突出体51は、バネ52の復元力により陥凹部25の内部に突出する。このとき、スロットマシン1とメダル貸出機2との位置決めが完了する。すなわち、メダル移送ブロック34の端部34aと側方移送通路11bの上下方向及び前後方向の位置が合致する。さらにこのとき、図7に示すように、筐体10の側板表面から突出した突出体51の出没突起52が、陥凹部25の内部にある貸出機側スイッチ機構40の当接部41を押圧し、摺動体42が移動して接点45a, 45bが接触する。このとき、電源回路がつながって、メダル貸出機2が通電状態となり、パイロットランプ26が点灯する。同時に、識別構造50の側の接点55a, 55bも接触してスイッチ機構55が接触状態となる。この識別構造50におけるスイッチ機構55の接触状態は、電気的信号としてサブ制御部200へ送られることとなる。
【0039】
一方、スロットマシン1の押入が不十分で、突出体51が陥凹部25に突出していない状態では、接点45a, 45bが接触していないので電源回路は遮断されたままであり、メダル貸出機2を作動させることができない。従って、メダル貸出機2のメダル排出部(メダル移送ブロック34の側端部)と、スロットマシン1のメダル受入部(側方移送通路11b)とが完全に合致しないままメダル貸出機2が作動して、スロットマシン1に供給されるべき遊技メダルがメダル投入口11に転送されずにこぼれ落ちてしまうという事態は発生し得ない。
さらに、台交換のため、スロットマシン1を設置位置から取り出す場合には、スロットマシン1を手前側に移動させることにより、突出体51が陥凹部25の手前側端部に形成された傾斜部25Aに当接しつつ凹部18内に押し戻され、陥凹部25から抜け出して図6に示す状態となる。これにより、スロットマシン1は、突出体51と陥凹部25の係合に阻止されることなく、また突出体51が陥凹部25の内壁と噛み合って破損することなく、手前側に移動可能となる。突出体51が陥凹部25から脱することにより当接部41への押圧力が無くなり、摺動体42はバネ43の復元力により外箱20の外部側に移動する。これにより、接点45a,45bの接触が離れ、電源回路が遮断されて、メダル貸出機2が非通電状態となり、パイロットランプ26は消灯する。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、スロットマシン1がメダル貸出機2に対して適位置に設置されることによりメダル貸出機2が通電状態となるので、上記したようなメダル移送のトラブルを防ぐことができるとともに、パイロットランプ26により適正な位置決めを確実に視認でき、設置作業がより効率的になる。
また、スロットマシン1が適位置に無いとき、あるいはスロットマシン1が隣に設置されていないときには、メダル貸出機2が非通電状態となるので、過ってメダル貸出機2を作動させてしまい、遊技メダルを床に零してしまうというトラブルも防ぐことができる。
ところで、メダル貸出機2の電源回路中に、図8に示すようなジャンパースイッチ60を設けてもよい。これは、ジャンパースイッチ60をONにすることにより、接点45a,45bの接触状態如何にかかわらず、メダル貸出機2を通電状態にできるようにしたものである。このように形成することにより、当接部41が押圧されなくても主電源のONによりメダル貸出機2を通電状態にすることができ、識別構造50を有していないスロットマシンが隣接設置される場合に不都合のないようにすることができる。
【0041】
なお、上記実施の形態では、スロットマシン1の設置時のガイド手段として、スロットマシン1にスライド溝17、メダル貸出機2に凸部24を設けてあったが、スロットマシン1に凸部、メダル貸出機2にスライド溝17を設けてもよい。そして、メダル貸出機2の構成は上記実施の形態に記載したものに限られず、スロットマシン1に隣接設置されスロットマシン1に遊技メダルを供給可能な構成を有していればよい。
また、本発明においては、電源スイッチ機構4は、メダル貸出機2が単体で設置されている状態、又はメダル貸出機2の隣にスロットマシン1を設置する最中はメダル貸出機2を非通電状態とし、スロットマシン1が適位置に設置された場合には、メダル貸出機2を通電状態とすることができるようになっている。つまり、スロットマシン1の設置作業中にメダル貸出機2が作動することにより、スロットマシン1が適位置に設置されたのを知ることが可能である。従って、報知手段としてのパイロットランプ26は、必ずしも設けなくともよい。例えば、非通電状態にしたメダル貸出機2の貸し出しメダル払い出し装置23をONにして(メダルが払い出し可能な状態にして)おき、メダル貸出機2が通電状態となると、自動的に貸し出しメダル払い出し装置23が作動するように設定しておく。そして、スロットマシン1の設置作業中に、メダルがメダル投入口11に転送されることにより、スロットマシン1が適位置に配置されたのを確認することができる。すなわち、貸し出しメダル払い出し装置23を報知手段として機能させてもよいのである。このように形成することにより、メダルの移送状況を実際に確認でき、メダル投入口11とメダル移送ブロック34の位置の微調整も同時に点検できるという利点がある。
【0042】
この場合、貸し出しメダル払い出し装置23から払い出されるメダルは、移送ノズルなどを通して直接メダル投入口11に移送されるように形成されていてもよいし、上記実施形態のように、払い出しに係るメダルがメダル送り装置32によりメダル移送ブロック34に送り出されるようになっていてもよい。後者の場合には、メダル送り装置32は、装置内に払い出されたメダルを検知して作動するように形成しておくとよい。なお、自動的に(すなわち紙幣の投入によらないで)作動開始した貸し出しメダル払い出し装置23を停止させるには、例えば一定枚数払い出したら自動的にホッパーの駆動を停止させたり、一定時間ホッパーを駆動させた後に自動的に駆動停止させるよう、予めメダル貸出機2の制御装置にプログラムしておけばよい。あるいは、作動中の貸し出しメダル払い出し装置23の作動を停止させるためのストップボタンを設けてもよい。このようにすれば、位置決め完了により払い出しを開始した貸し出しメダル払い出し装置23がメダルを排出し続けるという不都合をなくすことができる。
【0043】
さらに、本発明は、スロットマシン以外の遊技機に対応する台間機にも応用することができる。例えば、パチンコ球などの遊技球を用いてスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機に遊技球を供給可能な球貸し機に利用することができる。また、遊技機への遊技媒体供給機能の有無にかかわらず、台間機の隣に遊技機を設置する場合の位置決め手段として利用してもよい。
(遊技制御の概略)
スロットマシン1の内部には、スロットマシン1における遊技の主要部分の動作を制御するためのメイン制御部100及びそれ以外の補助的な部分の動作を制御するためのサブ制御部200(図9参照)が内蔵されている。
【0044】
上記メイン制御部100及びサブ制御部200は、図示しないが、各々CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えた制御基盤として形成されている。そして、各々のCPUが対応するROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各装置としての機能を発揮するものである。
メイン制御部100は、スタートスイッチ及びストップスイッチの操作により、回転リールの回転及び停止を制御するためのものである。また、スタートスイッチの操作を契機に所定の抽選処理を行い、その抽選結果に応じて回転リールの停止制御をするものであるが、これらの詳細については割愛する。
【0045】
サブ制御部200は、主として演出制御に関するものであって、液晶画面19並びにその他の図示しないランプ及びスピーカ等の表示装置を制御するためのものである。サブ制御部200には、I/Oを介してメイン制御部100からの制御信号が入力される。ここで、メイン制御部100の内部データの信頼性を担保するため、メイン制御部100とサブ制御部200との間での信号のやりとりは、一方通行となるように設定されている。すなわち、メイン制御部100からサブ制御部200に向かっては出力信号のみが送出されるが、このサブ制御部200からメイン制御部100に向かってはいかなる信号も送出されないように設定されている。これにより、当選率等の抽選に関するデータを有するメイン制御部100のデータ保護を容易かつ確実なものとしている。
【0046】
サブ制御部200は、メイン制御部100からの制御信号が入力されると、その制御信号に応じて所定のプログラムを実行することで、表示制御手段210として機能し、ROM内にデータ構造として形成されている表示態様データ記憶手段300から適切な表示態様データを取得し、それに従った画像を表示装置たる液晶画面19に表示させることとなっている。
そして、このサブ制御部200には、I/Oを介して、前記識別構造50のスイッチ機構55からの信号も入力される。
すなわち、図7に示すように、スロットマシン1側の識別構造50の出没突起52が、メダル貸出機2側の被識別構造たる陥凹部25の内部に突出した状態では、識別構造50側の接点55a, 55bが接触してスイッチ機構55が接触状態となる。この識別構造50におけるスイッチ機構55の接触状態は、電気的信号としてサブ制御部200へ送られる。そして、サブ制御部200の表示制御手段210はこの信号を受信すると、表示態様データ記憶手段300から、表示態様データとしての台間機情報データを取得し、それに従った画像を表示装置たる液晶画面19に表示させる。
【0047】
具体的には、図10(A)に示すように、液晶画面19には、遊技に関する情報を選択するための通常アイコン19bに加えて、メダル貸出機2に関する情報を選択するための特定アイコン19cが表示される。遊技者は切替スイッチ19aを操作して、選択カーソル19dを移動させ、図10(B)に示すように、これを特定アイコン19cに合わせて切替スイッチ19aで選択すると、図11(A)に示すように、台間機情報データとしての台間機情報19eが液晶画面19に表示される。
なお、メダル貸出機2に関する情報を液晶画面19に表示できる場合であっても、遊技者が切替スイッチ19aで「非表示」の旨を操作したときには、その操作情報はサブ制御部200に入力され、それを受けて表示制御手段210は当該情報を液晶画面19に表示しないこととすることができる。さらに、この状態から遊技者が切替スイッチ19aで「表示」の旨を操作したときには、その操作情報はやはりサブ制御部200に入力され、それを受けて表示制御手段210は当該情報を液晶画面19に表示することとなる。
【0048】
一方、スロットマシン1に隣接して設置されるメダル貸出機2に被識別構造たる陥凹部25がない場合は、スロットマシン1側の識別構造50の出没突起52は、凹部18内に没入し、図6の左側に示すような状態を保つことになる。この状態では、識別構造50の接点55a, 55bは互いに隔離してスイッチ機構55は非接触状態となる。そうすると、この識別構造50におけるスイッチ機構55の接触状態としての電気的信号はサブ制御部200へ送られることはない。よって、サブ制御部200の表示制御手段210は表示態様データとしての台間機情報データを取得することなく、それに従った画像を表示装置たる液晶画面19に表示させることもない。すなわち、図11(B)に示すように、液晶画面19には通常アイコン19bは表示されるものの、メダル貸出機2に被識別構造があったとすれば特定アイコン19cが表示されていたであろう箇所(図10参照)には何も表示されないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシン1及びメダル貸出機2の概略平面及び正面図である。
【図2】本発明の実施の形態であって、スロットマシン1及びメダル貸出機2の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態であって、メダル貸出機2の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態であって、一括投入機構3の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態であって、電源スイッチ機構4の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態であって、スロットマシン設置中の電源スイッチ機構4の拡大断面図である。
【図7】本発明の実施の形態であって、スロットマシン設置後の電源スイッチ機構4の拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態であって、電源スイッチの電気回路の概略図である。
【図9】本発明の実施の形態であって、識別構造に係るブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態であって、液晶画面の表示態様を表す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態であって、液晶画面の表示態様を表す模式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 スロットマシン(遊技機)
10 筐体 11 メダル投入口
11a 投入スリット 11b 側方移送通路
13 前扉 14 図柄表示窓
15 払い出しメダル皿 16 操作部
17 スライド溝 18 凹部
19 液晶画面(表示装置) 19a 表示切替スイッチ
19b 通常アイコン 19c 特定アイコン
19d 選択カーソル 19e 台間機情報
2 メダル貸出機(台間機)
20 外箱 21 紙幣投入口
22 紙幣カウンター 23 貸し出しメダル払い出し装置
24 凸部 25 陥凹部(被識別構造)
26 パイロットランプ(報知手段)
3 一括投入機構
30 本体カバー 31 一括投入開口
32 メダル送り装置 32a ローラ
32b 搬送ベルト 32c 逆転ローラ
32d 駆動モータ 33 メダル落下口
34 メダル移送ブロック(移送手段) 35 メダル通路
36 リセット開口 37 貸し出しメダル受入口
4 電源スイッチ機構
40 貸出機側スイッチ機構
41 当接部 42 摺動体
43 バネ 44 ストッパー
45a, 45b 接点
50 識別構造
51 摺動体 52 出没突起
53 バネ 54 ストッパー
55 スイッチ機構 55a, 55b 接点
60 ジャンパースイッチ 70 主電源
80 排出機構 81 ソレノイド
82 開閉板 90 排出貯留箱
100 メイン制御部 200 サブ制御部
210 表示制御手段 300 表示態様データ記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者から視認可能な位置に設けられた表示装置と、
前記表示装置における表示態様に係るデータを記憶する表示態様データ記憶手段と、
表示態様データ記憶手段に記憶されている表示態様データに従って表示装置を制御する表示制御手段とを備えた遊技機であって、
前記遊技機に隣接して設けられ同遊技機に物理的に遊技媒体を供給可能な構造を有する台間機の当該遊技機に面する側に特有の被識別構造があるかどうかに応じて異なる物理的性状を呈するように形成された識別構造が当該台間機に面する側に設けられ、
前記表示態様データ記憶手段が記憶する表示態様データには、被識別構造を有する台間機に係る情報を表す台間機情報データが含まれ、
前記表示制御手段は、前記識別構造の物理的性状が被識別構造が存在する状態を呈している場合には前記台間機情報データに従って表示装置に当該台間機に係る情報を表示させることが可能に形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記被識別構造は、所定の径及び深さを有する陥凹部であるとともに、
前記識別構造は、
弾性体により前記陥凹部内に嵌入可能に突出方向に付勢されているとともに先端部に押圧力を受けることにより没入する出没突起と、
前記出没突起が前記陥凹部内へ嵌入した状態で突出している場合には電源回路を導通状態にするための接点が接触し、一方、前記出没突起が没入することにより前記接点が非接触となるスイッチ機構とを備えるとともに、
前記表示制御手段は、前記スイッチ機構により接点が接触している状態を認識することで被識別構造の存在を認識することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記被識別構造を有する台間機に係る情報とは、当該台間機の操作手順を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記被識別構造を有する台間機に係る情報とは、当該台間機のエラー状態に関する説明を含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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