説明

遊技機

【課題】電断発生を的確に検知することが可能となり、適切に電断処理が行えるようになる遊技機の提供。
【解決手段】電圧検出手段71が検出した検出電圧レベルが低下していく際に、検出電圧レベルのレベルチェックを行い、予め設定された複数段階のチェック電圧レベルのいずれかの段階に、当該検出電圧レベルが到達したか否かを、チェック電圧低下検知手段72でチェックし、且つ、検出電圧レベルが順次低下せずに到達段階が後戻りした場合、この到達段階の後戻りを電断判定手段73で検知するようにする。そして、段階の後戻りがあった場合は、電圧レベルの瞬間的な低下と判定し、これにより、電断が発生したことを確実に検知できるようにし、ひいては、適切に電断処理を行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置から供給される直流電力で遊技用装置及び制御装置が作動し、制御装置で遊技用装置の遊技動作が制御される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技者に娯楽を提供する遊技機として、外周面に複数種類の図柄が記された複数の回転リールを備え、回転状態の回転リールを遊技者に停止させて図柄を揃えさせる遊技を行うスロットマシンが利用されている。
更に具体的に説明すると、スロットマシンには、遊技媒体としてのメダルが投入される投入口と、周面に複数種類の図柄が記されるとともに回転駆動される複数の回転リールと、これらの回転リールの回転を開始させるために操作されるスタートレバーと、回転リールの回転を停止させるために操作されるストップボタンとが設けられている。
また、スロットマシンには、入賞の際にメダルを払い出す払出装置としてのホッパ装置と、ホッパ装置等の遊技用装置の動作を制御する制御装置と、ホッパ装置等の遊技用装置に電力を供給する電源装置が設けられている。
【0003】
そして、スロットマシンにメダルを投入した後、遊技者がスタートレバー装置を操作すると、複数の回転リールが一斉に回転を開始する。この後、遊技者がストップボタンを押圧操作すると、ストップボタンに対応した回転リールが停止し、すべてストップボタンの押圧操作が完了によってすべての回転リールが停止する。
この際、停止した回転リールの図柄が特定の組合せに揃うと入賞となり、入賞すると、入賞した役に応じた数のメダルを遊技者に払い出す払出動作がホッパ装置によって行われるようになっている。
【0004】
このようなスロットマシンでは、停電で電源装置への電力供給が停止したときのみならず、電源装置のスイッチが切られたときにも、電源装置から出力される電源電圧の低下に基づいて、電源の遮断(以下、「電断」という。)が検出され、この電断が検出されると、これを契機に停電処理がなされるようになっている。
すなわち、電源装置から出力される電源電圧の低下が検知されると、当該電源電圧が予め設定された閾値よりも低くなる前に、その時点における遊技状態について、必要なデータを保存(記憶)し、電源が復帰した後、記憶されたデータに基づき、電断前の遊技状態を再現し、これにより、スロットマシンを電断前の状態に復旧することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−259128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のような遊技機では、電力を供給する商用電力ラインから電源装置に入り込むサージ電圧等のノイズや、遊技用装置の電力を入り切りするスイッチが動作する際に発生するチャタリングの影響によって、電源装置の出力電圧が瞬間的に閾値よりも低い値まで低下低下した後、速やかに定格電圧に復帰することがあり、このような出力電圧の瞬間的な低下が生じると、電断状態に至っていないにもかかわらず、誤って電断処理が行われてしまうおそれがある。
このような電断処理の誤作動が発生すると、遊技が一旦停止してしまい、円滑な遊技の進行が阻害されるので、電断発生を的確に検知できようにして、適切に電断処理が行われるようにしたい、という要望がある。
【0007】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電断発生を的確に検知することが可能となり、適切に電断処理が行えるようになる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、遊技の進行のために稼働される遊技用装置と、この遊技用装置の動作を制御する制御装置(2A)と、一次側で入力した交流電力を整流して二次側から直流電力を出力する電源装置(2B)とを備え、前記電源装置(2B)から供給される直流電力で前記遊技用装置及び前記制御装置(2A)が作動し、前記制御装置(2A)で前記遊技用装置の遊技動作が制御される遊技機(1)であって、前記電源装置(2B)から出力される直流電圧を検出し、検出した直流電圧に基づいて電源が遮断されたことを検知する電断検知手段(70)が設けられ、この電断検知手段(70)には、前記電源装置(2B)から出力される直流電圧を検出するとともに、検出した直流電圧に応じた電気信号である電圧レベル信号を出力する電圧検出手段(71)と、低下していく電圧が通過する電圧レベルとして、予め複数段階のチェック電圧レベルが設定され、前記電圧検出手段(71)からの電圧レベル信号が示す電圧レベルである検出電圧レベルがどのチェック電圧レベルまで到達したか否かを検知し、当該検出電圧レベルが複数段階のチェック電圧レベルのいずれかに到達していた場合には、到達したチェック電圧レベルの段階を示す到達段階信号を出力するチェック電圧低下検知手段(72)と、前記チェック電圧低下検知手段(72)から最初に到達段階信号を受信した後、到達段階信号の示す段階が後戻りすることなく、最終段階の到達段階信号を受信した場合に、前記電源装置(2B)の電源が遮断されたと判定する電断判定手段(73)とが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、電源装置から出力される直流電圧を検出する電圧検出手段を設け、電源装置から出力される直流電圧を検出できるようにし、更に、電圧検出手段が検出した直流電圧の電圧レベルである検出電圧レベルが低下していく際に、検出電圧レベルのレベルチェックを行い、予め複数段階設定されたチェック電圧レベルのいずれかの段階に、当該検出電圧レベルが到達したか否かをチェックするチェック電圧低下検知手段を設けたので、電源装置から出力される直流電圧の変化を段階的且つ時系列順に記憶していくことが可能となる。
そして、前述のチェック電圧低下検知手段は、検出電圧レベルが複数段階のチェック電圧レベルのいずれかに到達すると、到達したチェック電圧レベルの段階を示す到達段階信号を出力するように形成され、さらに、最初の到達段階信号が出力された後、到達段階信号の示す段階が後戻りすることなく、最終段階の到達段階信号を受信した場合に、電源装置の電源が遮断されたと判定する電断判定手段を設けたので、電源装置の出力電圧が瞬間的に閾値以下に低下しても、その後、速やかに定格電圧に復帰した場合には、到達段階信号の示す段階が途中で後戻りし、この段階の後戻りにより、電断ではないと判定することができ、サージ電圧等のノイズやチャタリング等の影響で、出力電圧が瞬間的に低下したと判断され、そのまま遊技動作が続行されるようになる。
このため、出力電圧の瞬間的な低下が生じた場合には、電断状態に至っていないとの的確な判定がなされ、誤って電断処理が行われることがなく、換言すると、電断発生を的確に検知することができ、且つ、適切に電断処理を行うこともでき、以上により、前記目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機であるスロットマシンを示す正面図である。
【図2】前記実施形態に係るスロットマシンの内部を示す正面図である。
【図3】前記実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】前記実施形態に係る電断検知手段の概略構成を示すブロック図である。
【図5】前記実施形態に係る電断処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】前記実施形態に係る電断チェック処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の変形例に係る電断チェック処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態である実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(スロットマシン1の概略構成)
本実施形態に係る遊技機としてのスロットマシン1は、図1に示すように、三個の回転リール11の各々に記された複数種類の図柄が所定の組合せとなるように、回転している回転リール11を停止させる遊技を行うものである。また、スロットマシン1は、遊技媒体として金属製のメダルを採用したものであり、メダルの投入によって遊技を開始するように形成されている。
このようなスロットマシン1には、図1の如く、当該スロットマシン1の各種装置を収納するとともに、正面形状が長方形となった筐体2が備えられている。
筐体2は、前面全体が開口された箱状の部材である。そして、筐体2の前面開口は、当該筐体2に回動可能に取り付けられた前扉3で塞がれるようになっている。なお、前扉3は、閉じられると、自動的に施錠されるようになっている。
【0013】
前扉3は、その前面をほぼ二分する上部パネル部4及び下部パネル部5を備えたものとなっている。そして、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダルを貯留する受皿部6Aが一体成形された受皿ユニット6が設けられている。また、上部パネル部4と下部パネル部5との間には、遊技に係る操作を行うための操作卓7が遊技者側に突出するように形成されている。
ここで、上部パネル部4及び下部パネル部5は、意匠的に優れた外観を確保するために、合成樹脂製の化粧板が表面に張り付けられたものとなっている。
【0014】
(上部パネル部4)
上部パネル部4には、図1中、操作卓7の上方且つ幅方向の中央部分において長方形状に形成された表示窓4Aが設けられている。
ここで、筐体2内部に設けられた三個の回転リール11の各々は、その外周面に複数種類の図柄に記されている。そして、各回転リール11の図柄は、筐体2の外部から表示窓4Aを通して目視可能となっている。なお、回転リール11の内部には、回転リール11を内側から照射する、図1には示されていないリール照明部11C が設けられている。
【0015】
上部パネル部4の上端縁部分には、正面形状が左右に細長い逆台形状に形成された演出用照明装置4Bが設けられている。この演出用照明装置4Bは、上部パネル部4の上端縁部分のほぼ中央に配置され、その両端部は、演出用照明装置4Bの角隅部分まで達することなく、その手前の位置で途切れたものとなっている。
また、上部パネル部4の上側における両角近傍には、正面形状が湾曲した帯状に形成されるとともに、漢数字の「八」を描く一対の演出用照明装置4Cが設けられている。これらの演出用照明装置4Cの各々は、その上端部が演出用照明装置4Bの端部近傍に配置されるとともに、その下端側の部分が上部パネル部4の側縁へ向かって斜め下方に延びたものとなっている。
さらに、上部パネル部4の両方の側縁には、その間に表示窓4Aを挟むようにして配置された一対の演出用照明装置4Dが設けられている。
これらの演出用照明装置4B〜4Dの各々は、赤色のレンズの内部に配置された高輝度発光ダイオード等の光源を備え、遊技の進行に応じて、その光源の点灯又は点滅により、遊技における視覚的な演出効果を高めるものである。
【0016】
表示窓4A及び演出用照明装置4Bの間には、遊技の演出用画像を表示する液晶表示装置4Eが設けられている。この液晶表示装置4Eは、動画を含む様々な画像を、遊技の進行に応じて表示するものである。
液晶表示装置4Eの下側における両角近傍には、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部4Fがそれぞれ設けられている。
【0017】
(操作卓7)
操作卓7は、遊技における操作に必要な各種のスイッチ類が配置されたものである。
すなわち、操作卓7における図1中右端の部分には、前扉3の施錠を解除するための鍵が挿入される鍵穴7Aが設けられている。この鍵穴7Aの左斜め上方には、メダルを投入するためのメダル投入口7Bが開口されたメダル投入部7Cが設けられている。
メダル投入口7Bの左斜め下方には、三個の回転リール11のそれぞれを停止させる際に操作される三個のストップボタン30が設けられている。これら三個のストップボタン30のうち、左端に配置されているストップボタン30の左斜め上方には、一度の操作で最大枚数のメダルを賭けることができるマックスベットボタン7Eが設けられている。
また、左端のストップボタン30の左方であって、マックスベットボタン7Eの左斜め下方の位置には、三個の回転リール11を一斉に回転させる際に操作されるスタートレバー7Fが設けられている。このスタートレバー7Fの左斜め上方には、1回の操作で留されている1枚のメダルを賭けることができる、換言すると、メダルを1枚ずつ賭ける際に操作されるベットボタン7Gが設けられている。
さらに、ベットボタン7Gの左斜め下方には、精算時に貯留されているメダルを払い出させる精算ボタン7Hが設けられている。
なお、図1に示されていないが、操作卓7及び表示窓4Aの間には、7セグメントのLEDを含んで構成された中央表示装置が設けられ、さらに、前扉3の裏側には、中央表示装置の動作を制御するための電子回路が形成された中央表示基板8Aが設けられている。
【0018】
(下部パネル部5及び受皿ユニット6)
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを表す象徴するキャラクター等が描かれたパネル5Aが設けられている。
受皿ユニット6には、メダルを貯留する前述の受皿部6Aに加えて、入賞時に受皿部6Aへ向かって払い出されるメダルを排出させるメダル払出口6Bと、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部6Cとが設けられている。
【0019】
(筐体2内蔵の遊技用装置)
次いで、筐体2内に設けられている遊技用装置等の装置について簡単に説明する。
筐体2の内部には、図2に示すように、メダル投入口7Bに投入されたメダルを選別するメダルセレクタ8、三個の回転リール11が回転自在に支持するとともに、これらの回転リール11のそれぞれを駆動する図2には示されていないステッピングモータ11A を備えた回胴装置10等の遊技用装置、及び、内部に多数のメダルを貯留させる容器部21を備えるとともに受皿部6Aに向かってメダルを排出するホッパ装置20、遊技用装置の遊技動作やホッパ装置20の動作を制御するマイクロコンピュータからなるCPUを備えたメイン制御基板2A、遊技の演出を行うための演出用装置(例えば、液晶表示装置4E)を制御するサブ制御基板2D、並びに、これらの装置に電力を供給する電源装置2B等の装置が設けられている。
【0020】
(スロットマシン1の制御系)
次に、スロットマシン1の動作を制御する制御系について説明する。
スロットマシン1は、回胴装置10等の遊技用装置の遊技動作を制御する制御装置を備えている。すなわち、スロットマシン1は、制御装置として、図3に示すように、スロットマシン1で行われる遊技に係る動作を制御するメイン制御基板2Aと、主に遊技の演出に係る動作を制御するサブ制御基板2Dとを備えている。
なお、スロットマシン1に備えられている回胴装置10以外の装置等も、これらのメイン制御基板2A及びサブ制御基板2Dのいずれかで制御されるようになっている。
【0021】
メイン制御基板2Aは、図3の如く、マイクロコンピュータを利用したCPU61、ROM62及びRAM63等の記憶手段、停電時にRAM63へ電力を供給するための電池を有するバックアップ電源63A 、並びに、外部装置との信号の送受信を行うためのI/F回路64を含んで構成されたハードウェアに、遊技用装置の動作を制御するためソフトウェアがインストールされたものである。
【0022】
このようなメイン制御基板2Aには、回胴装置10に設けられている回胴装置基板11B を介して、三個のステッピングモータ11A が電気的に接続されている。ここで、回胴装置基板11B は、ステッピングモータ11A への電力を入り切りするスイッチ回路が形成されたものとなっている。メイン制御基板2Aは、回胴装置基板11B へ起動信号及び停止信号を送出し、三つの回転リール11のそれぞれについて、その回転を開始させたり停止させたりするようになっている。
【0023】
また、メイン制御基板2Aには、前述した中央表示基板8Aを介して、メダルセレクタ8、1ベットボタン7G、マックスベットボタン7E、スタートレバー7F、三つのストップボタン30(ストップボタン)及び、精算ボタン7Hが電気的に接続されている。
これにより、メイン制御基板2Aは、メダルセレクタ8、1ベットボタン7G、マックスベットボタン7E、スタートレバー7F、三つのストップボタン30、及び、精算ボタン7Hのそれぞれから送出される信号を個別に受信できるようになっている。
【0024】
さらに、メイン制御基板2Aには、電源装置2Bに設けられている電源制御基板2Eを介して、ホッパ装置20及び電源装置2Bが電気的に接続されている。
メイン制御基板2Aは、電源制御基板2Eへ払出信号及び払出停止信号を送出し、ホッパ装置20にメダルの払い出しを開始させたり停止させたりする、すなわち、ホッパ装置20の動作制御を行う機能を備えている。
【0025】
また、メイン制御基板2Aには、電源制御基板2Eを介して、電源装置2Bからの電力が供給されるようになっている。
そして、ホッパ装置20は、払出動作を行うと、その払出動作の開始から終了するまでの間、払出動作を行っていることを示す払出動作信号をメイン制御基板2Aへ送出するようになっている。
【0026】
ここで、電源装置2Bは、電力会社からの交流電力を電圧降圧したものが一次側に供給され、この一次側に供給された交流電力を整流し、その二次側から直流電力を出力するものとなっている。
スロットマシン1に設けられている回胴装置10等の遊技用装置、並びに、制御装置としてのメイン制御基板2A及びサブ制御基板2Dは、この電源装置2Bから供給される直流電力で作動するようになっている。
【0027】
また、電源装置2Bには、図示しないが、メイン制御基板2Aに電力を出力する一対の電力出力端子が設けられている。これら一対の電力出力端子には、当該電力出力端子の間の電圧を計測する電圧検出手段71が設けられている。
電圧検出手段71は、電源装置2Bから出力される直流電圧を検出するとともに、検出した直流電圧に応じた電気信号である電圧レベル信号を出力する電気計測器である。
メイン制御基板2Aには、電圧検出手段71の電圧レベル信号を出力する出力端子が接続されている。これにより、メイン制御基板2Aは、電圧検出手段71から出力される電圧レベル信号を受信することができるようになっている。
【0028】
サブ制御基板2Dは、図3の如く、マイクロコンピュータを利用したCPU65、ROM66及びRAM67等の記憶手段、メイン制御基板2Aとの通信を行うI/F回路68、並びに、外部装置へ信号を送信するためのI/F回路69を含んで構成されたハードウェアに、演出動作制御を行うためのソフトウェアがインストールされたものである。
換言すると、サブ制御基板2Dは、メイン制御基板2Aからの指令に基づいて、音声出力部4F, 6C及び液晶表示装置4E等による演出動作を制御するものとなっている。なお、メイン制御基板2A及びサブ制御基板2Dは、互いのI/F回路64及びI/F回路68を通じて通信を行うようになっている。
このようなサブ制御基板2Dには、前述したリール照明部11C 、演出用照明装置4B,4C,4D、音声出力部4F, 6C及び液晶表示装置4Eが電気的に接続されている。
【0029】
(電断検知手段70)
続いて、電源装置2Bのスイッチが切られた等により、電源が遮断された状態、いわゆる電断状態になったか否かを検知する電断検知手段70について説明する。
電断検知手段70は、電源装置2Bから出力される直流電圧を検出し、検出した直流電圧に基づいて電源が遮断されたことを検知するものである。図4には、電断検知手段70の概略構成が示されている。
電断検知手段70は、図4に示すように、電源装置2Bが出力する電圧を検出する前述の電圧検出手段71と、電源装置2Bが出力する電圧が低下していく際に、電圧が所定のチェック電圧レベルに到達したか否かを検知していくチェック電圧低下検知手段72と、電源装置2Bの電源が遮断されたか否かを判定する電断判定手段73とを備えたものとなっている。
【0030】
電断検知手段70のうち、チェック電圧低下検知手段72及び電断判定手段73は、メイン制御基板2Aに設けられたCPU61にインストールされたソフトウェアによって形成されたものである。
このCPU61には、チェック電圧低下検知手段72及び電断判定手段73に加えて、電断判定手段73が電断であると判定した際に、その時点における遊技状態を再現するために必要なデータである再現用データをRAM63に保存(記憶)させる電断処理手段61A が設けられている。この電断処理手段61A も、チェック電圧低下検知手段72及び電断判定手段73と同様に、CPU61にインストールされたソフトウェアによって形成されたものである。
【0031】
そして、RAM63は、遊技状態を再現するために必要な再現用データを記憶する再現用データ記憶手段となっている。
メイン制御基板2A及びサブ制御基板2Dは、電源が復帰すると、RAM63に記憶された再現用データに基いて電断前の遊技状態を再現するものとなっている。
これにより、メイン制御基板2A及びサブ制御基板2Dは、電断が生じた後、電源が復帰した際に、回胴装置10等の遊技用装置やホッパ装置20を含む各装置を電断前の状態に復旧させるようになっている。
【0032】
チェック電圧低下検知手段72は、電圧検出手段71からの電圧レベル信号が示す電圧レベルである検出電圧レベルに基づいて、電源装置2Bの出力する電圧が所定のチェック電圧レベルに到達したか否かを検知するものである。
すなわち、チェック電圧低下検知手段72には、低下していく電圧が通過する電圧レベルとして、予め4段階のチェック電圧レベル「1」〜「4」が設定されている。なお、定格電圧の電圧レベルは、チェック電圧レベル「0」となっている。
そして、チェック電圧低下検知手段72は、所定の周期で、電圧検出手段71から電圧レベル信号が示す検出電圧レベルがチェック電圧レベル「1」〜「4」のどこまで到達したか否かを検知する機能を備えている。
また、チェック電圧低下検知手段72は、検出電圧レベルがチェック電圧レベル「1」〜「4」のいずれかに到達したことを検知した場合、到達したチェック電圧レベル「1」〜「4」の段階を表す数値「1」〜「4」を示す到達段階信号を出力する機能を有するものとなっている。
【0033】
電断判定手段73は、チェック電圧低下検知手段72から到達段階信号を受信し、この到達段階信号に基づいて電断が発生したか否かを判定するものとなっている。
すなわち、電断判定手段73は、チェック電圧低下検知手段72から最初に到達段階信号を受信した後、到達段階信号の示す段階が後戻りすることなく、最終段階、すなわち、第4段階を表す数値「4」を示す到達段階信号を受信した場合に、電源装置2Bの電源が遮断されたと判定するように形成されたものとなっている。
この際、電断判定手段73は、到達段階信号の示す段階が後戻りしたか否かを判定する際に、二桁の数字からなる時系列データを作成するとともに、予め用意された判定テーブルを参照するように形成されている。
【0034】
更に具体的に説明すると、電断判定手段73は、チェック電圧低下検知手段72から到達段階信号を受け取ると、その一つ前に受け取った前回の到達段階信号が示す数字と、たった今受け取った今回の到達段階信号が示す数字とで時系列データを作成するようになっている。時系列データは、左側の桁が0から3までの整数のうちの一つからなり、右側の桁が0から4までの整数のうちの一つからなる二桁の数字列である。
【0035】
メイン制御基板2Aに設けられているROM62は、到達段階信号の示す段階が後戻りしたか否かを電断判定手段73が判定する際に参照される判定テーブルを記憶した判定テーブル記憶手段となっている。
ここで、電断判定手段73は、到達段階信号の示す段階が後戻りした場合、例えば、「10」、「21」、及び「32」等、左側の桁の数字が右側の桁の数字よりも大きい時系列データを作成するようになっている。
そして、判定テーブルは、多数の時系列データのうち、例えば、「01」、「12」、及び「14」等、左側の桁の数字が右側の桁の数字よりも小さくされた時系列データのみを含んだデータテーブルである。換言すると、判定テーブルは、到達段階信号の示す段階が後戻りした際に作成される時系列データをまったく含んでいないものとなっている。
電断判定手段73は、到達段階信号の示す段階が後戻りした際に作成される時系列データをまったく含んでいない判定テーブルを参照し、その時に作成した時系列データが判定テーブルに含まれている場合にのみ、電断が生じたと判定するものとなっている。
【0036】
次いで、本実施形態に係る電断処理について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態に係る電断処理は、遊技動作を制御する遊技制御処理と並行して、メイン制御基板2Aによって処理されるものとなっている。換言すると、本電断処理は、遊技制御処理の実行中に、遊技制御処理に割り込んで実行されるものとなっている。
本電断処理が開始されると、図5に示すように、最初にステップS1000における再現用データの退避処理が行われる。
【0037】
すなわち、CPU61は、遊技制御処理を実行しながら、遊技状態を再現するために必要な再現用データをレジスタ等の一時記憶手段に記憶させるとともに、遊技状態が変化する毎に、記憶している再現用データを更新するものとなっている。
そして、本電断処理が開始されて、ステップS1000が実行されると、ステップS1000では、再現用データの更新処理が中止され、その時点で一時記憶手段に記憶されている再現用データが本電断処理でRAM63に保存(記憶)すべきものとして退避させられる。この再現用データの退避処理が完了したら、次のステップS2000へ進む。
【0038】
ステップS2000では、電圧検出手段71が検出した電源装置2Bの出力電圧のレベルに基づいて電断が生じたか否かを検証する電断チェック処理が行われる。この電断チェック処理については、後で詳しく説明する。電断チェック処理が完了したら、次のステップS3000へ進む。
【0039】
ステップS3000では、電断判定手段73が受信した最新の到達段階信号が示す到達段階の値が最終段階の値、具体的には、「4」であるか否かが判定される。
このステップS3000で最新の到達段階値が「4」であると判定されなかった場合には、次のステップS4000をスキップして、ステップS5000へ進む。
一方、ステップS3000で最新の到達段階値が「4」であると判定された場合には、次のステップS4000へ進む。
【0040】
ステップS4000では、遊技状態を再現するために必要な再現用データをRAM63に記憶させて保存する電断用記憶処理が行われる。この電断用記憶処理が完了したら、次のステップS5000へ進む。
ステップS5000では、チャタリング等の影響を回避するために、所定の時間が経過するまで待機する待機処理が行われる。この待機処理が完了したら、換言すると、ステップS5000が開始されてから所定の時間が経過したら、次のステップS6000へ進む。
【0041】
ステップS6000では、ステップS1000において中止した再現用データの更新処理を再開させる。この再現用データの更新処理が再開されたら、メインルーチンへ戻り、遊技制御処理が再開される。
【0042】
次いで、電断処理のステップS2000で行われる電断チェック処理について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
電断チェック処理が開始されると、最初に、ステップS2100で、前回の到達段階の値として用いられる到達段階値を更新する前回の到達段階値の更新処理が行われる。
具体的に説明すると、その時点で電断判定手段73が受信した最新の到達段階信号が示す到達段階の値、換言すると、最新の到達段階値を、今回の電断チェック処理で前回の到達段階値として利用するために、この最新の到達段階値を前回の到達段階値としてレジスタ等の一時記憶手段に記憶させる。このような前回の到達段階値の更新処理が完了したら、次のステップS2200へ進む。
【0043】
ステップS2200では、電源装置2Bが出力する電圧の電圧レベルが低下し、チェック電圧レベル「1」〜「4」の何れかに到達し、チェック電圧低下検知手段72から新たな到達段階信号が出力されたか否かが判定される。要するに、ステップS2200では、到達段階信号が新たに出力されたか否かが判定される。
このステップS2200で到達段階信号が新たに出力されたと判定されなかった場合には、電断チェック処理が一旦終了となり、電断処理のステップS3000へ戻る。
一方、ステップS2200で到達段階信号が新たに出力されたと判定された場合には、次のステップS2300へ進む。
【0044】
ステップS2300では、チェック電圧低下検知手段72から出力された新たな到達段階信号が示す到達段階の値を読み取り、この値を、今回の到達段階値としてレジスタ等の一時記憶手段に保存(記憶)させる。今回の到達段階値の読取保存処理が行われる。この今回の到達段階値の読取保存処理が完了したら、次のステップS2400へ進む。
【0045】
ステップS2400では、CPU61に内蔵されたタイマの計時値tが休止時間Tに達したか否かが判定される。要約すると、ステップS2400では、タイマ計時値t≧休止時間Tが成立に至ったか否かが判定される。
このステップS2400でタイマ計時値t≧休止時間Tが成立に至ったと判定されなかった場合には、タイマ計時値t≧休止時間Tが成立するまで、ステップS2400が繰り返し実行される。換言すると、この場合には、休止時間Tが経過するまで、ステップS2400で待機する待機処理が行われる。
この待機処理により、予め設定された休止時間Tよりも長い時間をおいて、次の電断チェック処理が開始されるようになる。
一方、ステップS2400でタイマ計時値t≧休止時間Tが成立に至ったと判定された場合には、次のステップS2450へ進む。
【0046】
ステップS2450では、CPU61に内蔵されたタイマの計時値tを「0」にリセットした後、当該タイマに計時をスタートさせるタイマ計時値tリセット及びスタート処理が行われる。そして、このタイマ計時値tリセット及びスタート処理が完了したら、次のステップS2500へ進む。
【0047】
ステップS2500では、ステップS2300で読み取られた今回の到達段階値を、ステップS2100で更新された前回の到達段階値と比較し、今回の到達段階値が前回の到達段階値から1つ多くなったか否か、換言すると、到達段階が一つ進んだか否かが判定される。
このステップS2500で、到達段階が一つ進んだと判定された場合には、電断チェック処理が一旦終了となり、電断処理のステップS3000へ戻る。
一方、ステップS2500で、到達段階が一つ進んだと判定されなかった場合には、次のステップS2550へ進む。
【0048】
ステップS2550では、ステップS2300で読み取られた今回の到達段階値と、ステップS2100で更新された前回の到達段階値とを比較し、今回の到達段階値と前回の到達段階値とが同じであるか否か、換言すると、到達段階が前回と同じであるか否かが判定される。
このステップS2550で、到達段階が前回と同じであると判定された場合には、電断チェック処理が一旦終了となり、電断処理のステップS3000へ戻る。
一方、ステップS2550で、到達段階が前回と同じであると判定されなかった場合には、次のステップS2600へ進む。
【0049】
ステップS2600では、ステップS2300で読み取られた今回の到達段階値と、ステップS2100で更新された前回の到達段階値とから、二桁の数字からなる時系列データを作成する到達段階値の時系列データの作成処理が行われる。この到達段階値の時系列データの作成処理が完了したら、次のステップS2610へ進む。
【0050】
ステップS2610では、予め選択された複数の時系列データを含んでいるとともに、ROM62に記憶されている判定テーブルを読み取る時系列データの判定テーブルの読取処理が行われる。この時系列データの判定テーブルの読取処理が完了したら、次のステップS2620へ進む。
【0051】
ステップS2620では、ステップS2600で作成された時系列データが、ステップS2610で読み取られた判定テーブルの中にあるか否かが判定される。
換言すると、ステップS2620では、到達段階信号の示す段階が後戻りした際に作成される時系列データをまったく含んでいない判定テーブルに、ステップS2600で作成された時系列データが含まれているか否かが判定される。
【0052】
ここで、電源装置2Bが出力する電圧の電圧レベルが後戻りせずに低下した場合、すなわち、電断が発生しない場合には、到達段階信号の示す段階番号が「0」かた「4」へ後戻りすることなく進行するので、この場合には、ステップS2600で作成された時系列データは、必ず判定テーブルに含まれることとなる。
一方、電源装置2Bが出力する電圧の電圧レベルが瞬間的に低下した場合、すなわち、電断ではなく、チャッタリングやノイズによる瞬間的な電圧低下の場合には、到達段階信号の示す段階番号が後戻り、例えば、「3」から「2」へ後戻りするので、この場合には、ステップS2600で作成された時系列データが判定テーブルには含まれない。
【0053】
そして、ステップS2620で、当該時系列データが判定テーブル中にあると判定された場合には、電断が発生しているので、このステップS2620の完了後、電断チェック処理を終了し、電断処理のステップS3000へ移行し、その次のステップS4000で、再現用データを記憶する電断用記憶処理が行われる。
一方、ステップS2620で、当該時系列データが判定テーブル中にあると判定されなかった場合には、電断が発生しなかったと判定され、次のステップS2700へ進む。
【0054】
ステップS2700では、ステップS2620で電断が発生しなかったと判定されたため、ステップS2300で読み取られた今回の到達段階値、ステップS2100で更新された前回の到達段階値、及び、ステップS2600で作成された時系列データをクリアする到達段階値及び時系列データのクリア処理が行われる。
この到達段階値及び時系列データのクリア処理によって、今回の到達段階値、前回の到達段階値、及び、時系列データは、それぞれ初期値である「0」、「0」及び「00」に戻される。
【0055】
このような到達段階値及び時系列データのクリア処理が終了したら、電断チェック処理が終了となり、ステップS2620において、電断が発生しなかったと判定されために、ステップS2700で最新の到達段階値が「0」とされた状態で、電断処理のステップS3000へ戻ることとなる。
そして、電断処理のステップS3000が処理される際には、最新の到達段階値が最終段階の値である「4」でないので、ステップS3000では、最新の到達段階値が最終段階の値であると判定されず、ステップS4000がスキップされた後、電断処理が終了し、この後、遊技動作を制御するために、メインルーチンへ戻り、遊技制御処理が再開される。
【0056】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、電源装置2Bから出力される直流電圧を検出する電圧検出手段71を設け、電圧検出手段71で電源装置2Bから出力される直流電圧を検出できるようにし、更に、電圧検出手段71が検出した直流電圧の電圧レベルである検出電圧レベルが低下していく際に、検出電圧レベルのレベルチェックを行い、予め複数段階設定されたチェック電圧レベルのいずれかの段階に、当該検出電圧レベルが到達したか否かを、チェック電圧低下検知手段72でチェックするようにしたので、電源装置2Bから出力される直流電圧の変化を段階的且つ時系列順に記憶していくことが可能となる。
【0057】
そして、前述のチェック電圧低下検知手段72は、検出電圧レベルが複数段階のチェック電圧レベルのいずれかに到達すると、到達したチェック電圧レベルの段階を示す到達段階信号を出力するように形成され、さらに、最初の到達段階信号が出力された後、到達段階信号の示す段階が後戻りすることなく、最終段階の到達段階信号を受信した場合に、電断判定手段73で電源装置2Bの電源が遮断されたと判定するようにしたので、電源装置2Bの出力電圧が瞬間的に閾値以下に低下しても、その後、速やかに定格電圧に復帰した場合には、到達段階信号の示す段階が途中で後戻りし、この段階の後戻りにより、電断ではないと判定することができ、サージ電圧等のノイズやチャタリング等の影響で、出力電圧が瞬間的に低下したと判断され、そのまま遊技動作が続行されるようになる。
このため、出力電圧の瞬間的な低下が生じた場合には、電断状態に至っていないとの的確な判定がなされ、誤って電断処理が行われることがなく、換言すると、電断発生を的確に検知することができ、且つ、適切に電断処理を行うことができる。
【0058】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
例えば、電断が生じたか否かをチェックする電断チェック処理としては、前記実施形態で示した手順で行うものに限らず、前記実施形態とは異なる手順で電断が生じたか否かをチェックするものでもよく、要するに、到達段階信号の示す段階が後戻りしたことに基づいて電断が生じたか否かを判定できればよい。
【0059】
図7には、前記実施形態とは異なる電断チェック処理の手順が示されている。以下に、この電断チェック処理の手順について詳しく説明する。
【0060】
本電断チェック処理では、図7に示すように、最初に、ステップS2100において、電源装置2Bが出力する電圧の電圧レベルが低下し、チェック電圧レベル「1」〜「4」の何れかに到達し、チェック電圧低下検知手段72から新たな到達段階信号が出力されたか否かが判定される。要するに、ステップS2100では、到達段階信号が新たに出力されたか否かが判定される。
このステップS2100で到達段階信号が新たに出力されたと判定されなかった場合には、電断チェック処理が一旦終了となり、電断処理のステップS3000へ戻る。
一方、ステップS2100で到達段階信号が新たに出力されたと判定された場合には、次のステップS2200へ進む。
【0061】
ステップS2200では、CPU61に内蔵されたタイマの計時値tを「0」にリセットした後、当該タイマに計時をスタートさせるタイマ計時値tリセット及びスタート処理が行われる。そして、このタイマ計時値tリセット及びスタート処理が完了したら、次のステップS2210へ進む。
【0062】
ステップS2210では、チェック電圧低下検知手段72から出力された新たな到達段階信号が示す到達段階の値を読み取り、この新たに読み取った今回の到達段階値で、レジスタ等の一時記憶手段に保存(記憶)されている古い今回の到達段階値の更新を行う今回の到達段階値の読取更新処理が行われる。この今回の到達段階値の読取更新処理が完了したら、次のステップS2220へ進む。
【0063】
ステップS2220では、ステップS2210で更新された今回の到達段階値と、レジスタ等の一時記憶手段に保存(記憶)されている前回の到達段階値とを比較し、今回の到達段階値と前回の到達段階値とが同じであるか否か、換言すると、到達段階が前回と同じであるか否かが判定される。
なお、前回の到達段階値を記憶するための一時記憶手段は、前回の到達段階値の初期値として「0」が記憶されたものとなっており、その後、新たな前回の到達段階値が生じると、その値に記憶が更新されるようになっている。
このステップS2220で、到達段階が前回と同じであると判定されなかった場合には、ステップS2300へジャンプする。
一方、ステップS2220で、到達段階が前回と同じであると判定された場合には、次のステップS2230へ進む。
【0064】
ステップS2230では、CPU61に内蔵されたタイマの計時値tが休止時間Tに達したか否かが判定される。要約すると、ステップS2230では、タイマ計時値t≧休止時間Tが成立に至ったか否かが判定される。
このステップS2230でタイマ計時値t≧休止時間Tが成立に至ったと判定されなかった場合には、ステップS2210へ戻る。
一方、ステップS2230でタイマ計時値t≧休止時間Tが成立に至ったと判定された場合には、ステップS2400へジャンプする。
【0065】
前述ステップS2220において、到達段階が前回と同じであると判定されなかった場合に到達したステップS2300では、ステップS2210で更新された今回の到達段階値と、一時記憶手段に記憶されている前回の到達段階値とから、二桁の数字からなる時系列データを作成する到達段階値の時系列データの作成処理が行われる。この到達段階値の時系列データの作成処理が完了したら、次のステップS2310へ進む。
【0066】
ステップS2310では、予め選択された複数の時系列データを含んでいるとともに、ROM62に記憶されている判定テーブルを読み取る時系列データの判定テーブルの読取処理が行われる。この時系列データの判定テーブルの読取処理が完了したら、次のステップS2320へ進む。
【0067】
ステップS2320では、ステップS2300で作成された時系列データが、ステップS2310で読み取られた判定テーブルの中にあるか否かが判定される。
換言すると、ステップS2320では、到達段階信号の示す段階が後戻りした際に作成される時系列データをまったく含んでいない判定テーブルに、ステップS2300で作成された時系列データが含まれているか否かが判定される。
このステップS2320で、当該時系列データが判定テーブル中にあると判定された場合には、ステップS2500へ進む。
一方、ステップS2320で、当該時系列データが判定テーブル中にあると判定されなかった場合には、電断が発生しなかったと判定され、次のステップS2400へ進む。
【0068】
ステップS2400では、ステップS2320で電断が発生しなかったと判定されたため、一時記憶手段に記憶されている今回の到達段階値及び前回の到達段階値、並びに、ステップS2300で作成された時系列データをクリアする到達段階値及び時系列データのクリア処理が行われる。
この到達段階値及び時系列データのクリア処理によって、今回の到達段階値、前回の到達段階値、及び、時系列データは、それぞれ初期値である「0」、「0」及び「00」に戻される。
【0069】
このような到達段階値及び時系列データのクリア処理が終了したら、電断チェック処理が終了となり、ステップS2320において、電断が発生しなかったと判定されために、ステップS2400で最新の到達段階値が「0」とされた状態で、電断処理のステップS3000へ戻ることとなる。
そして、電断処理のステップS3000が処理される際には、最新の到達段階値が最終段階の値である「4」でないので、ステップS3000では、最新の到達段階値が最終段階の値であると判定されず、ステップS4000がスキップされた後、電断処理が終了し、この後、遊技動作を制御するために、メインルーチンへ戻り、遊技制御処理が再開される。
【0070】
前述ステップS2320において、当該時系列データが判定テーブル中にあると判定された場合に到達したステップS2500では、電断判定手段73が受信した最新の到達段階信号が示す到達段階の値が最終段階の値、具体的には、「4」であるか否かが判定される。
このステップS2500で最新の到達段階値が「4」であると判定されなかった場合には、次のステップS2600へ進む。
【0071】
ステップS2600では、レジスタ等の一時記憶手段に保存されている前回の到達段階値を更新する前回の到達段階値の更新処理が行われる。
具体的には、一時記憶手段に保存されている前回の到達段階値を、一時記憶手段に保存されている今回の到達段階値に置き換える処理が行われる。この前回の到達段階値の更新処理が完了したら、次のステップS2210へ戻る。
以上のようなステップS2210からステップS2600までの手順は、タイマ計時値tが休止時間Tに到達するまでの間、最新の到達段階値が「4」になるまで何度も繰り返されることとなる。
【0072】
一方、ステップS2500で最新の到達段階値が「4」であると判定された場合には、電断が発生しているので、このステップS2500の完了後、電断チェック処理を終了し、電断処理のステップS3000へ移行し、その後、その次のステップS4000で、再現用データを記憶する電断用記憶処理が行われる。この後、ステップS5000及びステップS6000が完了すると、遊技動作を制御するために、メインルーチンへ戻り、遊技制御処理が再開される。
このような手順の電断チェック処理を採用しても、前記実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0073】
また、遊技機としては、スロットマシンに限らず遊技場やゲームセンター等に設置されるアーケードテレビゲーム機や、遊技球を遊技媒体として利用するパチンコ機でもよく、要するに、本発明は、入賞時に遊技媒体を遊技者に払い出す機能を有する遊技機全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 遊技機としてのスロットマシン
2A 制御装置としてのメイン制御基板
2B 電源装置
70 電断検知手段
71 電圧検出手段
72 チェック電圧低下検知手段
73 電断判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行のために稼働される遊技用装置と、この遊技用装置の動作を制御する制御装置と、一次側で入力した交流電力を整流して二次側から直流電力を出力する電源装置とを備え、前記電源装置から供給される直流電力で前記遊技用装置及び前記制御装置が作動し、前記制御装置で前記遊技用装置の遊技動作が制御される遊技機であって、
前記電源装置から出力される直流電圧を検出し、検出した直流電圧に基づいて電源が遮断されたことを検知する電断検知手段が設けられ、この電断検知手段には、
前記電源装置から出力される直流電圧を検出するとともに、検出した直流電圧に応じた電気信号である電圧レベル信号を出力する電圧検出手段と、
低下していく電圧が通過する電圧レベルとして、予め複数段階のチェック電圧レベルが設定され、所定の周期で、前記電圧検出手段からの電圧レベル信号が示す電圧レベルである検出電圧レベルがどのチェック電圧レベルまで到達したか否かを検知し、当該検出電圧レベルが複数段階のチェック電圧レベルのいずれかに到達していた場合には、到達したチェック電圧レベルの段階を示す到達段階信号を出力するチェック電圧低下検知手段と、
前記チェック電圧低下検知手段から最初に到達段階信号を受信した後、到達段階信号の示す段階が後戻りすることなく、最終段階の到達段階信号を受信した場合に、前記電源装置の電源が遮断されたと判定する電断判定手段とが設けられていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−115366(P2011−115366A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275248(P2009−275248)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】