遊技機
【課題】 ケースと停止ボタンとの隙間に異物が進入するのを困難にすることで、操作基板に放電電流が流れて操作基板が破壊される事態を回避するとともに、主制御基板等に放電電流が流れて誤動作を誘発し不正に出玉が獲得される事態を防止可能とする。
【解決手段】 押下操作されるボタン部42と、このボタン部42が移動可能に収容された収容部113とを備えた操作ユニット100であって、ボタン部42と収容部113とに挟まれた空間は、ボタンヘッド120が露出する外側空間と、操作基板150が配置された内側空間とを連通する連通経路170をなし、この連通経路170は、外側空間から内側空間へ向かう途中で、外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部171を有した。
【解決手段】 押下操作されるボタン部42と、このボタン部42が移動可能に収容された収容部113とを備えた操作ユニット100であって、ボタン部42と収容部113とに挟まれた空間は、ボタンヘッド120が露出する外側空間と、操作基板150が配置された内側空間とを連通する連通経路170をなし、この連通経路170は、外側空間から内側空間へ向かう途中で、外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部171を有した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押下操作されるボタン部を有する操作ユニットを備えた遊技機に関し、特に、ボタン部が移動可能に収容された収容部とそのボタン部とに挟まれた空間に、ラビリンス構造の折り返し部を形成することで、その空間に進入した異物がボタン部の押下方向前方に位置する操作基板に達するのを阻止するとともに、その操作基板に放電電流が流れて破壊される事態を回避可能とし、かつ、遊技の進行を制御する主制御基板や遊技機の演出を行う副制御基板に放電電流を流して誤動作させる行為を防止するスロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機には、遊技の進行に際して遊技者が操作する種々の操作部が設けられている。例えば、スロットマシンには、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに掛けるためのベットボタンや、外周面に図柄が付された複数のリールの回転を始動させるスタートレバー、回転している複数のリールを順次停止させる停止ボタンなどが設けられている。
これらのうち、停止ボタンは、一台のスロットマシンにおいてリールの数と同数(通常三つ)設けられるが、それら複数の停止ボタンは、個々にスロットマシンに取り付けられるのではなく、一つの操作ユニット(停止ボタン装置)として組み込まれた後に、スロットマシンに取り付けられるようになっている。
【0003】
この停止ボタン装置に関しては、次のような技術が提案されている。
例えば、押下操作される停止ボタンが、遊技者により直接押下されるボタンヘッドと、このボタンヘッドを支持するボタンベースとを備え、ボタンヘッド又はボタンベースの一方が、一部にR形状が形成された嵌合孔を有し、他方が、その嵌合孔に嵌合する突起部を有したものがある(例えば、特許文献1参照。)。この構成によれば、嵌合孔の一部にR形状が形成されているので、ボタンヘッドをボタンベースに取り付けるときに、突起部が嵌合孔にスムースに嵌合することから、停止ボタン装置の生産性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−260010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の停止ボタン装置においては、次のような問題があった。
例えば、従来の停止ボタン装置は、図8に示した停止ボタンの断面図に開示するように、停止ボタン210とこれを支持するケース220との間に隙間があることから、ここにリード線などの異物を挿入し、その先端が操作基板230(停止ボタン210の押下操作を検知するためのデバイス回路が配設された基板)の近傍まで達すると、静電気を発生させてデバイス回路に大きな放電電流を流し、さらに、操作基板230からのハーネスを通じて主制御基板又は副制御基板に放電電流を流して、それら主制御基板等の誤動作を誘発して、不正に出玉を獲得するという行為が発生するおそれがあった。ここで、主制御基板等の誤動作には、例えば、出玉率が変動する遊技状態ではないにもかかわらず通常よりも出玉率が高いものとして制御プログラムを動作させるものや、クレジットが満タンではないにもかかわらず満タンであるものと誤認識させるものなどがあり、いずれも出玉が不正に払い出されて遊技ホールの損失につながることから、遊技場業界における大きな問題となっていた。
【0006】
また、停止ボタン210の近傍で発生するおそれがある不正行為には、前述したリード線による不正行為の他に、例えば、電子ライターなどを用いた不正行為がある。これは、電子ライターなどを停止ボタン210に向けて不正に電圧を印加し、操作基板230に大きな放電電流を流して、主制御基板や副制御基板を誤動作させて不正に出玉を獲得するという行為である。この不正行為は、停止ボタン210とケース220との間に隙間があるために、電子ライターなどからの電圧がその隙間を通って操作基板230に到達することで引き起こされる。このため、そのような隙間を有する図8に示した停止ボタン装置200では、当該不正行為を有効に防ぐことはできなかった。
さらに、それらリード線や電子ライターなどを用いて、遊技機の外部から遊技機内部の操作基板230に、静電気や電圧などの電気的な衝撃が加えられると、その操作基板230のデバイス回路に大きな放電電流が流れて、操作基板230自体が破壊されるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、ケースと停止ボタンとの間隙に進入した異物が操作基板の近傍に達するのを阻止するとともに、主制御基板等に放電電流が流れて誤動作を誘発し不正に出玉が獲得される事態を防止し、かつ、遊技機の外部から遊技機内部の操作基板に電気的な衝撃が加えることでその操作基板に放電電流が流れて破壊される事態を回避可能とする遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明の遊技機は、押下操作されるボタン部と、このボタン部が移動可能に収容された収容部とを有する操作ユニットを備えた遊技機であって、操作ユニットは、ボタン部が押下操作されたことを検知する検知手段と、発光によりボタン部を照明する発光手段と、検知手段と発光手段とを搭載する操作基板と、ボタン部が押下操作される方向とは反対の方向へ、当該ボタン部を付勢する付勢手段とを備え、ボタン部は、押下操作が行われる際に操作者が接触するボタンヘッドを有し、ボタン部と収容部とに挟まれた空間は、ボタンヘッドが露出する外側空間と、操作基板が配置された内側空間とを連通する連通経路をなし、この連通経路は、外側空間から内側空間へ向かう途中で、外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部を有し、ボタン部は、付勢手段と連通経路とを隔離する壁部を有した構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機によれば、ボタン部と収容部とに挟まれた空間である連通経路に、外側空間から内側空間へ向かう途中で、外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部(ラビリンス構造)を形成したので、ケースとボタン部との間隙に進入した異物の先端がその折り返し部に当接し、それ以上の進入が制限される。これにより、その異物が操作基板の近傍に達するのを阻止することできる。そして、その異物の先端から発生した静電気により主制御基板等に放電電流が流れて誤動作が誘発されて、不正に出玉が獲得される事態を防止できる。
【0010】
また、電子ライターなどをボタン部に向けて不正に電圧が印加された場合でも、折り返し部により経路長が延伸した連通経路の内部でその電圧を確実に収束させることができる。これにより、その電圧が操作基板に到達しないことから、その電圧の印加にともない操作基板で放電電流が流れる事態を防止できる。しかも、その放電電流が主制御基板等に流れて誤動作し不正に出玉が獲得される事態を防止できる。
さらに、これらのように、リード線や電子ライターなどを用いた不正行為が効果的に防止できることから、遊技機外部から遊技機内部の操作基板に電気的な衝撃が加えられることにより操作基板に大きな放電電流が流れて破壊されるという事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るスロットマシンの制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る停止ボタン装置の分解斜視図である。
【図5】停止ボタンが押下されていない状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)である。
【図6】停止ボタンが押下された状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)である。
【図7】本発明の実施形態に係る停止ボタン装置の他の構成を示す断面図である。
【図8】従来の停止ボタン装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、ここでは、遊技機の代表例であるスロットマシンについて説明する。
【0013】
[スロットマシン本体]
図1は、スロットマシンの外観を示す斜視図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す斜視図、図3は、スロットマシンの制御系の構成を示すブロック図である。
図1、図2に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール21a,21b,21cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0014】
スロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部30及び必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成されている。
【0015】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る操作部4が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0016】
操作部4には、メダルが投入されるメダル投入口40と、各リール21a,21b,21cの回転を始動させるスタートレバー41と、回転している各リール21a,21b,21cを停止させる3つの停止ボタン42a,42b,42cと、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに掛けるためのベットボタン43と、クレジットとして貯留されたメダルを遊技の終了時等に精算するための精算ボタン44が設けられている。
また、ベットボタン43には、一回の操作につき一枚のメダルを掛ける1BETボタン43aと、一回のゲームに掛けられるメダルの最大枚数を、一回の操作で掛けるMAXBETボタン43bがある。
【0017】
さらに、前扉1aには、各リール21a,21b,21cに表示された図柄を視認可能とする表示窓5が、操作部4の上側に設けられる。また、前扉1aには、機種の名称等を表す文字や機種に関連するキャラクタの絵柄等が表示される下パネル6が、例えば操作部4の下側に設けられる。さらに、前扉1aには、効果音等が出力されるスピーカ7が、例えば下パネル6の下側に設けられる。
【0018】
筐体1bの中央には、リール21a,21b,21cと、各リール21a,21b,21cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット2が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出するメダル払出装置8が設けられる。メダル払出装置8には、メダルを貯留するホッパー80が設けられ、メダル投入口40より投入されたメダルは、メダルセレクター81により検出されるとともに、ホッパー80に誘導されるようになっている。
【0019】
スロットマシン1では、遊技者によりメダル投入口40からメダルが投入され、スタートレバー41が操作されると、スタート信号が中継基板31を介して制御部30の主制御基板32へ送られる(図3参照)。主制御基板32は、スタート信号を入力すると、所定の遊技プログラムに従いドラムユニット2を駆動して、各リール21a,21b,21cを回転させる制御を行う。
【0020】
また、主制御基板32では、例えばボーナスや小役等を抽選する内部抽選が行われ、各停止ボタン42a,42b,42cが押下操作されたことを示す停止信号を入力すると(図3参照)、その入力のタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール21a,21b,21cの停止制御を行う。
さらに、主制御基板32は、各リール21a,21b,21cを所定の図柄の組合せで停止させると、メダル払出装置8で所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口82から払い出す。
【0021】
また、図3に示すように、ベットボタン43、精算ボタン44、メダルセレクター81からは、ベットボタン押下信号、精算ボタン押下信号、メダル検知信号がそれぞれ出力され、中継基板31を介して主制御基板32へ送信される。そして、主制御基板32からは、演出信号が副制御基板33へ送信される。
さらに、停止ボタン42a、42b、42cが押下操作され、これが操作基板150の操作検知センサ152により検知されると、停止信号が出力され、中継基板31により中継されて、主制御基板32へ送信される。
【0022】
操作基板150は、停止ボタン42a、42b、42cが押下操作される方向の前方に設けられており、リード線などを用いて不正行為が行なわれた場合には、この操作基板150からハーネスを通して主制御基板32や副制御基板33に放電電流が流されて誤動作するおそれがある。
本発明の実施形態に係る停止ボタン装置100は、その不正行為により主制御基板32等が誤動作する事態を防止するために、後述するラビリンス構造(折り返し部171)等を備えている。
以下、その停止ボタン装置100について、図1、図4〜図6を参照して説明する。
【0023】
[停止ボタン装置]
図4は、停止ボタン装置の構成を示す分解斜視図、図5は、停止ボタンが押下操作されていない状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)、図6は、停止ボタンが押下操作された状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)である。
図1、図4に示すように、停止ボタン装置100は、複数の停止ボタン42a,42b,42cと、これら停止ボタン42a,42b,42cを支持するケース110とを備えた停止ボタン用の操作ユニットであり、さらに、図4に示すように、バネ140(140a,140b,140c)、操作基板150、操作基板ケース160などを備えて構成されている。
【0024】
ケース110の正面部111には、円形の開口112(112a,112b,112c)が、停止ボタン42(42a,42b,42c)と同数(図4においては、三つ)穿設されている。また、ケース110の内部には、筒状の収容部113(113a,113b,113c)が、正面部111の開口112のそれぞれから延設されている。
【0025】
停止ボタン42は、押下操作されるボタン部であって、ボタンヘッド120(120a,120b,120c)とボタンベース130(130a,130b,130c)により構成されている。
ボタンヘッド120は、押下操作が行われる際に操作者が接触する部材であって、キャップ状に形成されており、円板状の天板部121と、この天板部121の周縁から直交方向へ延設された環状のスカート部122とを有している。
【0026】
ボタンベース130は、ボタンヘッド120を支持する部材であり、筒状の本体部131のうち、軸方向の一方の端部(上端部132)が、ボタンヘッド120のスカート部122の内側に嵌入する。このとき、その上端部132の側面に形成された一又は二以上の凸状の係合部133が、ボタンヘッド120のスカート部122に形成された被係合部(係止孔)123に係合する。これにより、ボタンヘッド120とボタンベース130は、脱離不能となる。
なお、本実施形態においては、被係合部123の形状を貫通孔としているが、貫通孔に限るものではなく、例えば、溝状あるいは凹状の窪み部分として形成することもできる。
また、ボタンヘッド120のスカート部122の内面に凸状の係合部を形成し、ボタンベース130の本体部131に被係合部を形成して、これら係合部と被係合部とを係合する構成とすることもできる。
【0027】
ボタンベース130の本体部131の他方の端部(下端部134)には、その本体部131の外周面の周方向に沿って環状の突設部135が形成されている。また、この突設部135のうち外側空間(後述)に対向する面には、本体部131の外周面の周方向に沿って環状の凹部136が形成されている。
具体的には、本体部131の外周面又はその外周面の下端部134側の端辺から直交方向外方へ延設された環状の延設部135−1と、この延設部135−1の周縁に沿って、本体部131の外周面に平行な方向へ立設された環状の立設部135−2とにより、突設部135が構成される。また、本体部131の外周面と延設部135−1と立設部135−2が断面コの字状に連接されており、そのコの字状の内側が凹部136として構成される。
このような形状のボタンベース130を筒状の収容部113に挿入すると、図5、図6に示すように、ボタンベース130の凹部136の内側に、収容部113の端部114が挿入部としてボタン部42の押下方向に挿入される。そして、それらボタンベース130の凹部136の内側と収容部113の端部(挿入部)114とで挟まれた空間が、折り返し部171として形成される。
【0028】
折り返し部171は、停止ボタン42と収容部113とに挟まれた空間のうち、U字状に折れ曲がったラビリンス構造の経路である。
停止ボタン42と収容部113とに挟まれた空間は、停止ボタン42が収容されたケース110を外方から見たときに、ボタンヘッド120が露出する空間(ケース110の外側空間)と、ケース110の内側空間とを連通しているが、この連通経路170は、折り返し部171でU字状に折り返されている。つまり、連通経路170は、外側空間から内側空間へ向かう途中で、折り返し部171にて、外側空間へ向かう方向に折り返された形状となっている。
【0029】
このように連通経路170に折り返し部171を設けたことにより、リード線等を用いた不正行為を阻止できる。例えば、停止ボタン42と収容部113との間隙にリード線などの異物をケース110の外側空間から挿入した場合、その異物の先端が折り返し部171における凹部136の底部(延設部135−1の上面)に当接し、それ以上の進入が制限される。また、その当接した異物の先端がその凹部136の底部に沿って外方へ折れ曲がると、今度は立設部135−2の内側面に当接して、それ以上の進入が制限される。さらに、その当接した異物の先端が立設部135−2の内側面に沿ってヘアピン状に折れ曲がって進入したとしても、その先端は操作基板150から離れる方向へ伸延していくため、操作基板150への接近を回避できる。このようにして、異物の先端が操作基板150の近傍に達するのを阻止できるので、その先端から発生した静電気により操作基板150に放電電流が流れて操作基板150が破壊する事態を回避できる。しかも、放電電流が操作基板150を通じて主制御基板32又は副制御基板33に流れて誤動作する事態を防止できる。
【0030】
さらに、本体部131の外周面の周方向に沿って環状の凹部136が形成されており、かつ、収容部113の端部(挿入部)114がその本体部131の外周面を周方向に取り囲んでいるので、それら凹部136と端部114との間隙部である折り返し部171も、本体部131の外周面の周方向に沿って環状に形成される。これにより、異物がボタンヘッド120の周囲のどこから挿入されても、その先端が凹部136の底部に必ず当接するので、それ以上の進入を確実に阻止できる。
しかも、収容部113の端部(挿入部)114は、図5、図6に示すように、ボタン部42が押下操作されていない状態においても、また、押下操作された状態においても、ボタンベース130の凹部136の内側に挿入された状態となっている。これにより、それらいずれの状態においても、折り返し部171が形成される(図5においては、折り返し部171が閉塞する)ことから、ボタン部42が押下状態又は非押下状態のいずれであっても、連通経路170に挿入された異物を折り返し部171に必ず当接させることができ、それ以上の進入を阻止することができる。
【0031】
加えて、連通経路170に折り返し部171を設けたことで、連通経路170が蛇行した経路となり、停止ボタン42のボタンヘッド120の周囲から連通経路170を通って操作基板150に至るまでの距離が長くなる。これにより、例えば、電子ライターなどがボタンヘッド120に向けられて不正に電圧が印加された場合でも、その影響が連通経路170内で収束し、操作基板150までは届かない。このことから、その印加した電圧により操作基板150に大きな放電電流が流れて主制御基板32や副制御基板33を誤動作させて不正に出玉を獲得するという行為を防止できる。
しかも、折り返し部171が、本体部131の外周面の周方向に沿って環状に形成されているので、その外周面のどの箇所でも連通経路170の距離が長くなっている。このため、電子ライターなどがボタンヘッド120のどの部分に向けられても、印加された電圧を連通経路170内で収束させることができ、主制御基板32等に大きな放電電流が流れる事態を確実に防止できる。
【0032】
このように、連通経路170に折り返し部171を設けたことで、リード線や電子ライターなどを用いた不正行為を効果的に防止することができる。よって、それらリード線や電子ライターなどを用いて、スロットマシン(遊技機)1の外部からスロットマシン1の内部の操作基板150に、静電気や電圧などの電気的な衝撃を加えることで、その操作基板150のデバイス回路に大きな放電電流が流れて、操作基板150自体が破壊されるといった事態を回避できる。
【0033】
バネ140は、圧縮コイルバネからなり、各停止ボタン42a,42b,42cを押下操作される方向とは反対の方向へ付勢する付勢手段である。このバネ140は、一方が、操作基板ケース160に立設されて操作基板150の挿通孔151に挿通されたバネ支え部161に嵌合して支持されており、他方が、停止ボタン42のボタンベース130の係止部(バネ支持溝)138に係入している。係止部138は、ボタンベース130の本体部131における下端部134側の側面の開口周縁に形成された環状の溝である。この係止部138と連通経路170との間は、本体部131の下端部134及び延設部135−1が壁部として隔てている。この構成を換言すると、バネ140の外側に壁部(下端部134及び延設部135−1)が位置し、この壁部の外側に連通経路170が位置する構成となっている。これにより、係止部138に係止したバネ140と連通経路170とは壁部によって隔離され、そのバネ140が連通経路170に露出することがないので、導電性のバネ140が連通経路170に露出することでリード線からの放電電流がバネ140を介して操作基板150に流れるという事態を回避できる。なお、ボタンベース130の本体部131の内面と係止部138との間に位置する内壁部139は、省略することができる。
【0034】
操作基板150は、ケース110の内側空間において、ケース110の裏面側に沿って配置される。操作基板150の前面には、停止ボタン42の押下操作を検知するための操作検知センサ152(152a,152b,152c)が搭載されている。この操作検知センサ152は、例えばフォトインタラプタにより構成することができる。フォトインタラプタは、発光部と受光部とを備えており、停止ボタン42の押下にともなって操作検知片137(ボタンベース130の立設部135−2の側面に形成された凸部)がそれら発光部と受光部との間を遮断したことを検知すると検知信号を出力する。この検出信号は、中継基板31を介して主制御基板32へ送られる(図3参照)。これにより、主制御基板32は、リール21(21a,21b,21c)の回転を停止するように制御する。
【0035】
また、操作基板150の前面には、LED153(153a,153b,153c)が搭載されている。LED153は、所定のタイミングで発光して、停止ボタン42のボタンヘッド120を照明する発光手段である。このLED153は、図5、図6に示すように、停止ボタン42のボタンヘッド120のほぼ中心を通る軸上に設けられている。なお、このLED153を囲むようにして、バネ140が設けられている。
操作基板ケース160は、操作基板150の裏面側を覆う。この操作基板ケース160は、裏面側からネジ孔163に挿通されるネジ162により、操作基板150とともにケース110に対して固定される。
【0036】
次に、停止ボタン42が押下操作されていない状態と押下操作された状態について、図5、図6を参照して説明する。
例えば、停止ボタン42が押下操作されていない状態では、図5に示すように、バネ140により、停止ボタン42が押下方向とは反対の方向へ付勢されている。ただし、収容部113の端部114側の側面の開口周縁がボタンベース130の凹部136の底面に当接するので、停止ボタン42は、それ以上の付勢方向への移動が制限される。なお、このように停止ボタン42が押下操作されていないときに当接する収容部113の端部114側の側面の開口周縁とボタンベース130の凹部136の底面とを第一当接部とする。また、この第一当接部が当接することで、連通経路170が当該部分で閉塞する。
【0037】
これに対し、停止ボタン42が押下操作された状態では、図6に示すように、バネ140による付勢の方向とは反対の方向に停止ボタン42が押下されている。この押下により、収容部113の内面に周方向に形成された環状の凸部115に、ボタンヘッド120のスカート部122の端面が当接する。これにより、停止ボタン42は、それ以上の押下方向への移動が制限される。なお、停止ボタン42が押下操作されたときに当接する収容部113の凸部115と、ボタンヘッド120のスカート部122の端面とを第二当接部とする。また、この第二当接部が当接することで、連通経路170が当該部分で閉塞する。
【0038】
このように、停止ボタン42が押下操作されていない状態では、第一当接部が当接して、当該部分で連通経路170が閉塞し、一方、停止ボタン42が押下操作された状態では、第二当接部が当接して、当該部分で連通経路170が閉塞する。つまり、停止ボタン42が押下操作されていない場合と押下操作された場合のいずれにおいても、連通経路170が閉塞することから、いずれの場合においても、連通経路170に進入した異物をその閉塞箇所で遮蔽することができ、操作基板150の近傍に達するのを阻止できる。これにより、放電電流による操作基板150の破壊を回避でき、主制御基板32又は副制御基板33の誤動作を誘発する事態を防止できる。
【0039】
また、以上のような構成は、ボタンヘッド120とボタンベース130が、収容部113を挟み込むようにして係合することにより実現される。具体的には、図5、図6に示すように、ボタンヘッド120とボタンベース130が収容部113の内部で係合している状態では、ボタンヘッド120のスカート部122とボタンベース130の突設部135との間に収容部113の凸部115や端部114が位置しており、それらボタンヘッド120とボタンベース130により凸部115や端部114が挟まれた状態となっている。そして、ボタン部42が押下操作されたときには、ボタンヘッド120のスカート部122の底部が凸部115に当接し(第二当接部)、一方、ボタン部42が押下操作されていないときには、収容部113の端部(挿入部)114が、ボタンベース130の突設部135の凹部136の底面に当接する(第一当接部)。つまり、ボタン部42のスカート部122とボタンベース130の突設部135との間に、収容部113の凸部115や端部(挿入部)114が挟まれた状態になっていることから、ボタン部42が押下方向又はその反対方向に移動すると、第一当接部又は第二当接部のいずれかが必ず当接して連通経路170の当該部分が閉塞される。これにより、その連通経路170に進入した異物が当該部分からさらに進入するのを確実に阻止できる。
【0040】
なお、図4〜図6に示す停止ボタン装置100は、停止ボタン42のボタンベース130に突設部135と凹部136とを設けて折り返し部171を形成しているが、例えば、ケース110の収容部に突設部と凹部とを設けて折り返し部を形成することもできる。具体的には、図7に示すように、停止ボタン装置100’のケース110の収容部113’において、その筒状の本体部116の内面の周方向に沿って環状の突設部117が形成されており、この突設部117のうち外側空間に対向する面には、本体部116の内面の周方向に沿って環状の第一凹部118が形成されている。
それら突設部117と第一凹部118について、さらに具体的に説明すると、本体部116の内面又は端辺から直交内側に延設された環状の延設部117−1と、この延設部117−1の内側周縁に沿って本体部116の内面に平行に立設された立設部117−2とにより、突設部117が構成される。また、本体部116の内面と延設部117−1と立設部117−2が断面コの字状に連接しており、そのコの字状の内側が第一凹部118として構成される。
そして、停止ボタン42を収容部113’に収容すると、停止ボタン42のボタンベース130の側面に突設形成された第一挿入部181が、収容部113’の第一凹部118の内側に向かって、ボタン部42の押下方向に移動可能に挿入される。そして、これら収容部113’の第一凹部118と停止ボタン42の第一挿入部181とで挟まれた空間が、第一折り返し部171−1として形成される。
【0041】
また、停止ボタン42のボタンベース130の外周面には、この外周面の周方向に沿って、ケース110の内側空間に向かう方向に開口した環状の第二凹部136’が形成されている。
そして、停止ボタン42を収容部113’に収容すると、収容部113’の立設部117−2の端部117−3が第二挿入部として、停止ボタン42の第二凹部136’の内側に向かって、ボタン部42の押下方向に挿入される。そして、それら停止ボタン42の第二凹部136’と収容部113’の立設部117−2の端部(第二挿入部)117−3とで挟まれた空間が、第二折り返し部171−2として形成される。
【0042】
これら第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2とを設けたことにより、例えば、収容部113’と停止ボタン42との間隙にリード線などの異物がケース110の外側空間から挿入された場合に、その異物の先端が第一折り返し部171−1における第一凹部118の底部(延設部117−1の上面)に当接するので、それ以上の進入が制限される。また、その当接した異物の先端がその第一凹部118の底部に沿って外方へ折れ曲がると、今度は立設部117−2の内側面に当接するので、それ以上の進入が制限される。さらに、その当接した異物の先端が立設部117−2の内側面に沿ってヘアピン状に折れ曲がって進入したとしても、その先端は停止ボタン42の第二凹部136’の底部に当接するので、それ以上の進入が制限される。このように、異物の進入に対して制限を加える構造が幾つも形成されていることから、異物の先端が操作基板150の近傍に達することを確実に阻止できる。
【0043】
また、第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2とを設けたことにより、外側空間から連通経路170を介して操作基板150に至るまでの距離が長くなる。しかも、第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2は、いずれも本体部131の外周面の周方向に沿って環状に形成されているので、その外周面のどの箇所でも連通経路170の距離が長くなっている。このため、電子ライターなどがボタンヘッド120に向けられて不正に電圧が印加された場合でも、また、その電子ライターなどが向けられる方向がボタンヘッド120のどの部分であっても、印加された電圧を連通経路170内で収束させることができ、主制御基板32等に大きな放電電流が流れる事態を確実に防止できる。
【0044】
このように、連通経路170に第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2とを設けたことで、リード線や電子ライターなどを用いた不正行為を効果的に防止できる。よって、それらリード線や電子ライターなどを用いて、スロットマシン(遊技機)1の外部からスロットマシン1の内部の操作基板150に、静電気や電圧などの電気的な衝撃を加えることで、その操作基板150のデバイス回路に大きな放電電流が流れて、操作基板150自体が破壊されるといった事態を回避できる。
【0045】
また、ボタンベース130の第一挿入部181は、ボタン部42が押下操作されていない状態においても、また、押下操作された状態においても、収容部113’の第一凹部118の内側に挿入された状態となっている。このことは、停止ボタン42の第二凹部136’に対する収容部113’の端部(第二挿入部)117−3の挿入状態についても同じである。これらにより、ボタン部42が押下状態又は非押下状態のいずれであっても、第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2の両方が形成されることから、連通経路170に挿入された異物を第一折り返し部171−1又は第二折り返し部171−2のいずれかに必ず当接させることができ、それ以上の進入を阻止することができる。
なお、図7に示す停止ボタン装置100’においても、バネ140が係入する係止部(バネ支持溝)138と連通経路170との間は、ボタンベース130の本体部131の下端部134が壁部となって隔てている。これにより、その係止部138に係止した導電性のバネ140が連通経路170に露出しないので、リード線からの放電電流がバネ140を介して操作基板150に流れるという事態を回避できる。
また、ボタンベース130の本体部131の内面と係止部138との間に位置する内壁部139は、省略することができる。
【0046】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、遊技機の例としてスロットマシンを挙げたが、パチンコ機やパロットなどであってもよい。
また、図4〜図6においては、停止ボタンのボタンベースにおける突設部の形状を断面コの字状としたが、これに限るものではなく、例えば、V字状、U字状、W字状、上方に開口したC字状、E字状などとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、押下操作されるボタン部を有する操作ユニットを備えたスロットマシンなどの遊技機に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 スロットマシン(遊技機)
42(42a,42b,42c) 停止ボタン(ボタン部)
100、100’ 停止ボタン装置(操作ユニット)
113、113’ 収容部
117 突設部
118 凹部
120(120a,120b,120c) ボタンヘッド
130(130a,130b,130c) ボタンベース
135 突設部
136、136’ 凹部
150 操作基板
170 連通経路
171、171−1、171−2 折り返し部
【技術分野】
【0001】
本発明は、押下操作されるボタン部を有する操作ユニットを備えた遊技機に関し、特に、ボタン部が移動可能に収容された収容部とそのボタン部とに挟まれた空間に、ラビリンス構造の折り返し部を形成することで、その空間に進入した異物がボタン部の押下方向前方に位置する操作基板に達するのを阻止するとともに、その操作基板に放電電流が流れて破壊される事態を回避可能とし、かつ、遊技の進行を制御する主制御基板や遊技機の演出を行う副制御基板に放電電流を流して誤動作させる行為を防止するスロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機には、遊技の進行に際して遊技者が操作する種々の操作部が設けられている。例えば、スロットマシンには、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに掛けるためのベットボタンや、外周面に図柄が付された複数のリールの回転を始動させるスタートレバー、回転している複数のリールを順次停止させる停止ボタンなどが設けられている。
これらのうち、停止ボタンは、一台のスロットマシンにおいてリールの数と同数(通常三つ)設けられるが、それら複数の停止ボタンは、個々にスロットマシンに取り付けられるのではなく、一つの操作ユニット(停止ボタン装置)として組み込まれた後に、スロットマシンに取り付けられるようになっている。
【0003】
この停止ボタン装置に関しては、次のような技術が提案されている。
例えば、押下操作される停止ボタンが、遊技者により直接押下されるボタンヘッドと、このボタンヘッドを支持するボタンベースとを備え、ボタンヘッド又はボタンベースの一方が、一部にR形状が形成された嵌合孔を有し、他方が、その嵌合孔に嵌合する突起部を有したものがある(例えば、特許文献1参照。)。この構成によれば、嵌合孔の一部にR形状が形成されているので、ボタンヘッドをボタンベースに取り付けるときに、突起部が嵌合孔にスムースに嵌合することから、停止ボタン装置の生産性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−260010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の停止ボタン装置においては、次のような問題があった。
例えば、従来の停止ボタン装置は、図8に示した停止ボタンの断面図に開示するように、停止ボタン210とこれを支持するケース220との間に隙間があることから、ここにリード線などの異物を挿入し、その先端が操作基板230(停止ボタン210の押下操作を検知するためのデバイス回路が配設された基板)の近傍まで達すると、静電気を発生させてデバイス回路に大きな放電電流を流し、さらに、操作基板230からのハーネスを通じて主制御基板又は副制御基板に放電電流を流して、それら主制御基板等の誤動作を誘発して、不正に出玉を獲得するという行為が発生するおそれがあった。ここで、主制御基板等の誤動作には、例えば、出玉率が変動する遊技状態ではないにもかかわらず通常よりも出玉率が高いものとして制御プログラムを動作させるものや、クレジットが満タンではないにもかかわらず満タンであるものと誤認識させるものなどがあり、いずれも出玉が不正に払い出されて遊技ホールの損失につながることから、遊技場業界における大きな問題となっていた。
【0006】
また、停止ボタン210の近傍で発生するおそれがある不正行為には、前述したリード線による不正行為の他に、例えば、電子ライターなどを用いた不正行為がある。これは、電子ライターなどを停止ボタン210に向けて不正に電圧を印加し、操作基板230に大きな放電電流を流して、主制御基板や副制御基板を誤動作させて不正に出玉を獲得するという行為である。この不正行為は、停止ボタン210とケース220との間に隙間があるために、電子ライターなどからの電圧がその隙間を通って操作基板230に到達することで引き起こされる。このため、そのような隙間を有する図8に示した停止ボタン装置200では、当該不正行為を有効に防ぐことはできなかった。
さらに、それらリード線や電子ライターなどを用いて、遊技機の外部から遊技機内部の操作基板230に、静電気や電圧などの電気的な衝撃が加えられると、その操作基板230のデバイス回路に大きな放電電流が流れて、操作基板230自体が破壊されるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、ケースと停止ボタンとの間隙に進入した異物が操作基板の近傍に達するのを阻止するとともに、主制御基板等に放電電流が流れて誤動作を誘発し不正に出玉が獲得される事態を防止し、かつ、遊技機の外部から遊技機内部の操作基板に電気的な衝撃が加えることでその操作基板に放電電流が流れて破壊される事態を回避可能とする遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明の遊技機は、押下操作されるボタン部と、このボタン部が移動可能に収容された収容部とを有する操作ユニットを備えた遊技機であって、操作ユニットは、ボタン部が押下操作されたことを検知する検知手段と、発光によりボタン部を照明する発光手段と、検知手段と発光手段とを搭載する操作基板と、ボタン部が押下操作される方向とは反対の方向へ、当該ボタン部を付勢する付勢手段とを備え、ボタン部は、押下操作が行われる際に操作者が接触するボタンヘッドを有し、ボタン部と収容部とに挟まれた空間は、ボタンヘッドが露出する外側空間と、操作基板が配置された内側空間とを連通する連通経路をなし、この連通経路は、外側空間から内側空間へ向かう途中で、外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部を有し、ボタン部は、付勢手段と連通経路とを隔離する壁部を有した構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機によれば、ボタン部と収容部とに挟まれた空間である連通経路に、外側空間から内側空間へ向かう途中で、外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部(ラビリンス構造)を形成したので、ケースとボタン部との間隙に進入した異物の先端がその折り返し部に当接し、それ以上の進入が制限される。これにより、その異物が操作基板の近傍に達するのを阻止することできる。そして、その異物の先端から発生した静電気により主制御基板等に放電電流が流れて誤動作が誘発されて、不正に出玉が獲得される事態を防止できる。
【0010】
また、電子ライターなどをボタン部に向けて不正に電圧が印加された場合でも、折り返し部により経路長が延伸した連通経路の内部でその電圧を確実に収束させることができる。これにより、その電圧が操作基板に到達しないことから、その電圧の印加にともない操作基板で放電電流が流れる事態を防止できる。しかも、その放電電流が主制御基板等に流れて誤動作し不正に出玉が獲得される事態を防止できる。
さらに、これらのように、リード線や電子ライターなどを用いた不正行為が効果的に防止できることから、遊技機外部から遊技機内部の操作基板に電気的な衝撃が加えられることにより操作基板に大きな放電電流が流れて破壊されるという事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るスロットマシンの制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る停止ボタン装置の分解斜視図である。
【図5】停止ボタンが押下されていない状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)である。
【図6】停止ボタンが押下された状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)である。
【図7】本発明の実施形態に係る停止ボタン装置の他の構成を示す断面図である。
【図8】従来の停止ボタン装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、ここでは、遊技機の代表例であるスロットマシンについて説明する。
【0013】
[スロットマシン本体]
図1は、スロットマシンの外観を示す斜視図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す斜視図、図3は、スロットマシンの制御系の構成を示すブロック図である。
図1、図2に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール21a,21b,21cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0014】
スロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部30及び必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成されている。
【0015】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る操作部4が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0016】
操作部4には、メダルが投入されるメダル投入口40と、各リール21a,21b,21cの回転を始動させるスタートレバー41と、回転している各リール21a,21b,21cを停止させる3つの停止ボタン42a,42b,42cと、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに掛けるためのベットボタン43と、クレジットとして貯留されたメダルを遊技の終了時等に精算するための精算ボタン44が設けられている。
また、ベットボタン43には、一回の操作につき一枚のメダルを掛ける1BETボタン43aと、一回のゲームに掛けられるメダルの最大枚数を、一回の操作で掛けるMAXBETボタン43bがある。
【0017】
さらに、前扉1aには、各リール21a,21b,21cに表示された図柄を視認可能とする表示窓5が、操作部4の上側に設けられる。また、前扉1aには、機種の名称等を表す文字や機種に関連するキャラクタの絵柄等が表示される下パネル6が、例えば操作部4の下側に設けられる。さらに、前扉1aには、効果音等が出力されるスピーカ7が、例えば下パネル6の下側に設けられる。
【0018】
筐体1bの中央には、リール21a,21b,21cと、各リール21a,21b,21cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット2が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出するメダル払出装置8が設けられる。メダル払出装置8には、メダルを貯留するホッパー80が設けられ、メダル投入口40より投入されたメダルは、メダルセレクター81により検出されるとともに、ホッパー80に誘導されるようになっている。
【0019】
スロットマシン1では、遊技者によりメダル投入口40からメダルが投入され、スタートレバー41が操作されると、スタート信号が中継基板31を介して制御部30の主制御基板32へ送られる(図3参照)。主制御基板32は、スタート信号を入力すると、所定の遊技プログラムに従いドラムユニット2を駆動して、各リール21a,21b,21cを回転させる制御を行う。
【0020】
また、主制御基板32では、例えばボーナスや小役等を抽選する内部抽選が行われ、各停止ボタン42a,42b,42cが押下操作されたことを示す停止信号を入力すると(図3参照)、その入力のタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール21a,21b,21cの停止制御を行う。
さらに、主制御基板32は、各リール21a,21b,21cを所定の図柄の組合せで停止させると、メダル払出装置8で所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口82から払い出す。
【0021】
また、図3に示すように、ベットボタン43、精算ボタン44、メダルセレクター81からは、ベットボタン押下信号、精算ボタン押下信号、メダル検知信号がそれぞれ出力され、中継基板31を介して主制御基板32へ送信される。そして、主制御基板32からは、演出信号が副制御基板33へ送信される。
さらに、停止ボタン42a、42b、42cが押下操作され、これが操作基板150の操作検知センサ152により検知されると、停止信号が出力され、中継基板31により中継されて、主制御基板32へ送信される。
【0022】
操作基板150は、停止ボタン42a、42b、42cが押下操作される方向の前方に設けられており、リード線などを用いて不正行為が行なわれた場合には、この操作基板150からハーネスを通して主制御基板32や副制御基板33に放電電流が流されて誤動作するおそれがある。
本発明の実施形態に係る停止ボタン装置100は、その不正行為により主制御基板32等が誤動作する事態を防止するために、後述するラビリンス構造(折り返し部171)等を備えている。
以下、その停止ボタン装置100について、図1、図4〜図6を参照して説明する。
【0023】
[停止ボタン装置]
図4は、停止ボタン装置の構成を示す分解斜視図、図5は、停止ボタンが押下操作されていない状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)、図6は、停止ボタンが押下操作された状態を示す断面図(図4のA−A要部断面図)である。
図1、図4に示すように、停止ボタン装置100は、複数の停止ボタン42a,42b,42cと、これら停止ボタン42a,42b,42cを支持するケース110とを備えた停止ボタン用の操作ユニットであり、さらに、図4に示すように、バネ140(140a,140b,140c)、操作基板150、操作基板ケース160などを備えて構成されている。
【0024】
ケース110の正面部111には、円形の開口112(112a,112b,112c)が、停止ボタン42(42a,42b,42c)と同数(図4においては、三つ)穿設されている。また、ケース110の内部には、筒状の収容部113(113a,113b,113c)が、正面部111の開口112のそれぞれから延設されている。
【0025】
停止ボタン42は、押下操作されるボタン部であって、ボタンヘッド120(120a,120b,120c)とボタンベース130(130a,130b,130c)により構成されている。
ボタンヘッド120は、押下操作が行われる際に操作者が接触する部材であって、キャップ状に形成されており、円板状の天板部121と、この天板部121の周縁から直交方向へ延設された環状のスカート部122とを有している。
【0026】
ボタンベース130は、ボタンヘッド120を支持する部材であり、筒状の本体部131のうち、軸方向の一方の端部(上端部132)が、ボタンヘッド120のスカート部122の内側に嵌入する。このとき、その上端部132の側面に形成された一又は二以上の凸状の係合部133が、ボタンヘッド120のスカート部122に形成された被係合部(係止孔)123に係合する。これにより、ボタンヘッド120とボタンベース130は、脱離不能となる。
なお、本実施形態においては、被係合部123の形状を貫通孔としているが、貫通孔に限るものではなく、例えば、溝状あるいは凹状の窪み部分として形成することもできる。
また、ボタンヘッド120のスカート部122の内面に凸状の係合部を形成し、ボタンベース130の本体部131に被係合部を形成して、これら係合部と被係合部とを係合する構成とすることもできる。
【0027】
ボタンベース130の本体部131の他方の端部(下端部134)には、その本体部131の外周面の周方向に沿って環状の突設部135が形成されている。また、この突設部135のうち外側空間(後述)に対向する面には、本体部131の外周面の周方向に沿って環状の凹部136が形成されている。
具体的には、本体部131の外周面又はその外周面の下端部134側の端辺から直交方向外方へ延設された環状の延設部135−1と、この延設部135−1の周縁に沿って、本体部131の外周面に平行な方向へ立設された環状の立設部135−2とにより、突設部135が構成される。また、本体部131の外周面と延設部135−1と立設部135−2が断面コの字状に連接されており、そのコの字状の内側が凹部136として構成される。
このような形状のボタンベース130を筒状の収容部113に挿入すると、図5、図6に示すように、ボタンベース130の凹部136の内側に、収容部113の端部114が挿入部としてボタン部42の押下方向に挿入される。そして、それらボタンベース130の凹部136の内側と収容部113の端部(挿入部)114とで挟まれた空間が、折り返し部171として形成される。
【0028】
折り返し部171は、停止ボタン42と収容部113とに挟まれた空間のうち、U字状に折れ曲がったラビリンス構造の経路である。
停止ボタン42と収容部113とに挟まれた空間は、停止ボタン42が収容されたケース110を外方から見たときに、ボタンヘッド120が露出する空間(ケース110の外側空間)と、ケース110の内側空間とを連通しているが、この連通経路170は、折り返し部171でU字状に折り返されている。つまり、連通経路170は、外側空間から内側空間へ向かう途中で、折り返し部171にて、外側空間へ向かう方向に折り返された形状となっている。
【0029】
このように連通経路170に折り返し部171を設けたことにより、リード線等を用いた不正行為を阻止できる。例えば、停止ボタン42と収容部113との間隙にリード線などの異物をケース110の外側空間から挿入した場合、その異物の先端が折り返し部171における凹部136の底部(延設部135−1の上面)に当接し、それ以上の進入が制限される。また、その当接した異物の先端がその凹部136の底部に沿って外方へ折れ曲がると、今度は立設部135−2の内側面に当接して、それ以上の進入が制限される。さらに、その当接した異物の先端が立設部135−2の内側面に沿ってヘアピン状に折れ曲がって進入したとしても、その先端は操作基板150から離れる方向へ伸延していくため、操作基板150への接近を回避できる。このようにして、異物の先端が操作基板150の近傍に達するのを阻止できるので、その先端から発生した静電気により操作基板150に放電電流が流れて操作基板150が破壊する事態を回避できる。しかも、放電電流が操作基板150を通じて主制御基板32又は副制御基板33に流れて誤動作する事態を防止できる。
【0030】
さらに、本体部131の外周面の周方向に沿って環状の凹部136が形成されており、かつ、収容部113の端部(挿入部)114がその本体部131の外周面を周方向に取り囲んでいるので、それら凹部136と端部114との間隙部である折り返し部171も、本体部131の外周面の周方向に沿って環状に形成される。これにより、異物がボタンヘッド120の周囲のどこから挿入されても、その先端が凹部136の底部に必ず当接するので、それ以上の進入を確実に阻止できる。
しかも、収容部113の端部(挿入部)114は、図5、図6に示すように、ボタン部42が押下操作されていない状態においても、また、押下操作された状態においても、ボタンベース130の凹部136の内側に挿入された状態となっている。これにより、それらいずれの状態においても、折り返し部171が形成される(図5においては、折り返し部171が閉塞する)ことから、ボタン部42が押下状態又は非押下状態のいずれであっても、連通経路170に挿入された異物を折り返し部171に必ず当接させることができ、それ以上の進入を阻止することができる。
【0031】
加えて、連通経路170に折り返し部171を設けたことで、連通経路170が蛇行した経路となり、停止ボタン42のボタンヘッド120の周囲から連通経路170を通って操作基板150に至るまでの距離が長くなる。これにより、例えば、電子ライターなどがボタンヘッド120に向けられて不正に電圧が印加された場合でも、その影響が連通経路170内で収束し、操作基板150までは届かない。このことから、その印加した電圧により操作基板150に大きな放電電流が流れて主制御基板32や副制御基板33を誤動作させて不正に出玉を獲得するという行為を防止できる。
しかも、折り返し部171が、本体部131の外周面の周方向に沿って環状に形成されているので、その外周面のどの箇所でも連通経路170の距離が長くなっている。このため、電子ライターなどがボタンヘッド120のどの部分に向けられても、印加された電圧を連通経路170内で収束させることができ、主制御基板32等に大きな放電電流が流れる事態を確実に防止できる。
【0032】
このように、連通経路170に折り返し部171を設けたことで、リード線や電子ライターなどを用いた不正行為を効果的に防止することができる。よって、それらリード線や電子ライターなどを用いて、スロットマシン(遊技機)1の外部からスロットマシン1の内部の操作基板150に、静電気や電圧などの電気的な衝撃を加えることで、その操作基板150のデバイス回路に大きな放電電流が流れて、操作基板150自体が破壊されるといった事態を回避できる。
【0033】
バネ140は、圧縮コイルバネからなり、各停止ボタン42a,42b,42cを押下操作される方向とは反対の方向へ付勢する付勢手段である。このバネ140は、一方が、操作基板ケース160に立設されて操作基板150の挿通孔151に挿通されたバネ支え部161に嵌合して支持されており、他方が、停止ボタン42のボタンベース130の係止部(バネ支持溝)138に係入している。係止部138は、ボタンベース130の本体部131における下端部134側の側面の開口周縁に形成された環状の溝である。この係止部138と連通経路170との間は、本体部131の下端部134及び延設部135−1が壁部として隔てている。この構成を換言すると、バネ140の外側に壁部(下端部134及び延設部135−1)が位置し、この壁部の外側に連通経路170が位置する構成となっている。これにより、係止部138に係止したバネ140と連通経路170とは壁部によって隔離され、そのバネ140が連通経路170に露出することがないので、導電性のバネ140が連通経路170に露出することでリード線からの放電電流がバネ140を介して操作基板150に流れるという事態を回避できる。なお、ボタンベース130の本体部131の内面と係止部138との間に位置する内壁部139は、省略することができる。
【0034】
操作基板150は、ケース110の内側空間において、ケース110の裏面側に沿って配置される。操作基板150の前面には、停止ボタン42の押下操作を検知するための操作検知センサ152(152a,152b,152c)が搭載されている。この操作検知センサ152は、例えばフォトインタラプタにより構成することができる。フォトインタラプタは、発光部と受光部とを備えており、停止ボタン42の押下にともなって操作検知片137(ボタンベース130の立設部135−2の側面に形成された凸部)がそれら発光部と受光部との間を遮断したことを検知すると検知信号を出力する。この検出信号は、中継基板31を介して主制御基板32へ送られる(図3参照)。これにより、主制御基板32は、リール21(21a,21b,21c)の回転を停止するように制御する。
【0035】
また、操作基板150の前面には、LED153(153a,153b,153c)が搭載されている。LED153は、所定のタイミングで発光して、停止ボタン42のボタンヘッド120を照明する発光手段である。このLED153は、図5、図6に示すように、停止ボタン42のボタンヘッド120のほぼ中心を通る軸上に設けられている。なお、このLED153を囲むようにして、バネ140が設けられている。
操作基板ケース160は、操作基板150の裏面側を覆う。この操作基板ケース160は、裏面側からネジ孔163に挿通されるネジ162により、操作基板150とともにケース110に対して固定される。
【0036】
次に、停止ボタン42が押下操作されていない状態と押下操作された状態について、図5、図6を参照して説明する。
例えば、停止ボタン42が押下操作されていない状態では、図5に示すように、バネ140により、停止ボタン42が押下方向とは反対の方向へ付勢されている。ただし、収容部113の端部114側の側面の開口周縁がボタンベース130の凹部136の底面に当接するので、停止ボタン42は、それ以上の付勢方向への移動が制限される。なお、このように停止ボタン42が押下操作されていないときに当接する収容部113の端部114側の側面の開口周縁とボタンベース130の凹部136の底面とを第一当接部とする。また、この第一当接部が当接することで、連通経路170が当該部分で閉塞する。
【0037】
これに対し、停止ボタン42が押下操作された状態では、図6に示すように、バネ140による付勢の方向とは反対の方向に停止ボタン42が押下されている。この押下により、収容部113の内面に周方向に形成された環状の凸部115に、ボタンヘッド120のスカート部122の端面が当接する。これにより、停止ボタン42は、それ以上の押下方向への移動が制限される。なお、停止ボタン42が押下操作されたときに当接する収容部113の凸部115と、ボタンヘッド120のスカート部122の端面とを第二当接部とする。また、この第二当接部が当接することで、連通経路170が当該部分で閉塞する。
【0038】
このように、停止ボタン42が押下操作されていない状態では、第一当接部が当接して、当該部分で連通経路170が閉塞し、一方、停止ボタン42が押下操作された状態では、第二当接部が当接して、当該部分で連通経路170が閉塞する。つまり、停止ボタン42が押下操作されていない場合と押下操作された場合のいずれにおいても、連通経路170が閉塞することから、いずれの場合においても、連通経路170に進入した異物をその閉塞箇所で遮蔽することができ、操作基板150の近傍に達するのを阻止できる。これにより、放電電流による操作基板150の破壊を回避でき、主制御基板32又は副制御基板33の誤動作を誘発する事態を防止できる。
【0039】
また、以上のような構成は、ボタンヘッド120とボタンベース130が、収容部113を挟み込むようにして係合することにより実現される。具体的には、図5、図6に示すように、ボタンヘッド120とボタンベース130が収容部113の内部で係合している状態では、ボタンヘッド120のスカート部122とボタンベース130の突設部135との間に収容部113の凸部115や端部114が位置しており、それらボタンヘッド120とボタンベース130により凸部115や端部114が挟まれた状態となっている。そして、ボタン部42が押下操作されたときには、ボタンヘッド120のスカート部122の底部が凸部115に当接し(第二当接部)、一方、ボタン部42が押下操作されていないときには、収容部113の端部(挿入部)114が、ボタンベース130の突設部135の凹部136の底面に当接する(第一当接部)。つまり、ボタン部42のスカート部122とボタンベース130の突設部135との間に、収容部113の凸部115や端部(挿入部)114が挟まれた状態になっていることから、ボタン部42が押下方向又はその反対方向に移動すると、第一当接部又は第二当接部のいずれかが必ず当接して連通経路170の当該部分が閉塞される。これにより、その連通経路170に進入した異物が当該部分からさらに進入するのを確実に阻止できる。
【0040】
なお、図4〜図6に示す停止ボタン装置100は、停止ボタン42のボタンベース130に突設部135と凹部136とを設けて折り返し部171を形成しているが、例えば、ケース110の収容部に突設部と凹部とを設けて折り返し部を形成することもできる。具体的には、図7に示すように、停止ボタン装置100’のケース110の収容部113’において、その筒状の本体部116の内面の周方向に沿って環状の突設部117が形成されており、この突設部117のうち外側空間に対向する面には、本体部116の内面の周方向に沿って環状の第一凹部118が形成されている。
それら突設部117と第一凹部118について、さらに具体的に説明すると、本体部116の内面又は端辺から直交内側に延設された環状の延設部117−1と、この延設部117−1の内側周縁に沿って本体部116の内面に平行に立設された立設部117−2とにより、突設部117が構成される。また、本体部116の内面と延設部117−1と立設部117−2が断面コの字状に連接しており、そのコの字状の内側が第一凹部118として構成される。
そして、停止ボタン42を収容部113’に収容すると、停止ボタン42のボタンベース130の側面に突設形成された第一挿入部181が、収容部113’の第一凹部118の内側に向かって、ボタン部42の押下方向に移動可能に挿入される。そして、これら収容部113’の第一凹部118と停止ボタン42の第一挿入部181とで挟まれた空間が、第一折り返し部171−1として形成される。
【0041】
また、停止ボタン42のボタンベース130の外周面には、この外周面の周方向に沿って、ケース110の内側空間に向かう方向に開口した環状の第二凹部136’が形成されている。
そして、停止ボタン42を収容部113’に収容すると、収容部113’の立設部117−2の端部117−3が第二挿入部として、停止ボタン42の第二凹部136’の内側に向かって、ボタン部42の押下方向に挿入される。そして、それら停止ボタン42の第二凹部136’と収容部113’の立設部117−2の端部(第二挿入部)117−3とで挟まれた空間が、第二折り返し部171−2として形成される。
【0042】
これら第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2とを設けたことにより、例えば、収容部113’と停止ボタン42との間隙にリード線などの異物がケース110の外側空間から挿入された場合に、その異物の先端が第一折り返し部171−1における第一凹部118の底部(延設部117−1の上面)に当接するので、それ以上の進入が制限される。また、その当接した異物の先端がその第一凹部118の底部に沿って外方へ折れ曲がると、今度は立設部117−2の内側面に当接するので、それ以上の進入が制限される。さらに、その当接した異物の先端が立設部117−2の内側面に沿ってヘアピン状に折れ曲がって進入したとしても、その先端は停止ボタン42の第二凹部136’の底部に当接するので、それ以上の進入が制限される。このように、異物の進入に対して制限を加える構造が幾つも形成されていることから、異物の先端が操作基板150の近傍に達することを確実に阻止できる。
【0043】
また、第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2とを設けたことにより、外側空間から連通経路170を介して操作基板150に至るまでの距離が長くなる。しかも、第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2は、いずれも本体部131の外周面の周方向に沿って環状に形成されているので、その外周面のどの箇所でも連通経路170の距離が長くなっている。このため、電子ライターなどがボタンヘッド120に向けられて不正に電圧が印加された場合でも、また、その電子ライターなどが向けられる方向がボタンヘッド120のどの部分であっても、印加された電圧を連通経路170内で収束させることができ、主制御基板32等に大きな放電電流が流れる事態を確実に防止できる。
【0044】
このように、連通経路170に第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2とを設けたことで、リード線や電子ライターなどを用いた不正行為を効果的に防止できる。よって、それらリード線や電子ライターなどを用いて、スロットマシン(遊技機)1の外部からスロットマシン1の内部の操作基板150に、静電気や電圧などの電気的な衝撃を加えることで、その操作基板150のデバイス回路に大きな放電電流が流れて、操作基板150自体が破壊されるといった事態を回避できる。
【0045】
また、ボタンベース130の第一挿入部181は、ボタン部42が押下操作されていない状態においても、また、押下操作された状態においても、収容部113’の第一凹部118の内側に挿入された状態となっている。このことは、停止ボタン42の第二凹部136’に対する収容部113’の端部(第二挿入部)117−3の挿入状態についても同じである。これらにより、ボタン部42が押下状態又は非押下状態のいずれであっても、第一折り返し部171−1と第二折り返し部171−2の両方が形成されることから、連通経路170に挿入された異物を第一折り返し部171−1又は第二折り返し部171−2のいずれかに必ず当接させることができ、それ以上の進入を阻止することができる。
なお、図7に示す停止ボタン装置100’においても、バネ140が係入する係止部(バネ支持溝)138と連通経路170との間は、ボタンベース130の本体部131の下端部134が壁部となって隔てている。これにより、その係止部138に係止した導電性のバネ140が連通経路170に露出しないので、リード線からの放電電流がバネ140を介して操作基板150に流れるという事態を回避できる。
また、ボタンベース130の本体部131の内面と係止部138との間に位置する内壁部139は、省略することができる。
【0046】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、遊技機の例としてスロットマシンを挙げたが、パチンコ機やパロットなどであってもよい。
また、図4〜図6においては、停止ボタンのボタンベースにおける突設部の形状を断面コの字状としたが、これに限るものではなく、例えば、V字状、U字状、W字状、上方に開口したC字状、E字状などとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、押下操作されるボタン部を有する操作ユニットを備えたスロットマシンなどの遊技機に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 スロットマシン(遊技機)
42(42a,42b,42c) 停止ボタン(ボタン部)
100、100’ 停止ボタン装置(操作ユニット)
113、113’ 収容部
117 突設部
118 凹部
120(120a,120b,120c) ボタンヘッド
130(130a,130b,130c) ボタンベース
135 突設部
136、136’ 凹部
150 操作基板
170 連通経路
171、171−1、171−2 折り返し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下操作されるボタン部と、このボタン部が移動可能に収容された収容部とを有する操作ユニットを備えた遊技機であって、
前記操作ユニットは、
前記ボタン部が押下操作されたことを検知する検知手段と、
発光により前記ボタン部を照明する発光手段と、
前記検知手段と前記発光手段とを搭載する操作基板と、
前記ボタン部が押下操作される方向とは反対の方向へ、当該ボタン部を付勢する付勢手段とを備え、
前記ボタン部は、前記押下操作が行われる際に操作者が接触するボタンヘッドを有し、
前記ボタン部と前記収容部とに挟まれた空間は、前記ボタンヘッドが露出する外側空間と、前記操作基板が配置された内側空間とを連通する連通経路をなし、
この連通経路は、前記外側空間から前記内側空間へ向かう途中で、前記外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部を有し、
前記ボタン部は、前記付勢手段と前記連通経路とを隔離する壁部を有した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ボタン部又は前記収容部の一方に、外周面の周方向に沿って又は内面の周方向に沿って形成された環状の凹部を有し、
前記ボタン部又は前記収容部の他方に、前記凹部に対して、前記ボタン部の押下方向に移動可能に挿入する挿入部を有し、
前記凹部と前記挿入部とで挟まれた空間が前記折り返し部を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記ボタン部が押下操作されていないときに、前記ボタン部の一部と前記収容部の一部が当接して、それ以上前記ボタン部が前記押下操作の方向とは反対の方向へ移動するのを制限し、かつ、前記連通経路を当該部分で閉塞する第一当接部と、
前記ボタン部が押下操作されたときに、前記ボタン部の他の一部と前記収容部の他の一部が当接して、それ以上前記ボタン部が前記押下操作の方向へ移動するのを制限し、かつ、前記連通経路を当該部分で閉塞する第二当接部とを有した
ことを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記ボタン部は、前記ボタンヘッドが係合するボタンベースを有し、
前記ボタンヘッドと前記ボタンベースは、前記収容部を挟み込むようにして係合し、
前記収容部は、内面の周方向に沿って形成された環状の凸部を有し、
前記収容部の前記凸部と前記ボタンヘッドの底部は、前記ボタン部が押下操作されたときに当接する前記第二当接部を構成し、
前記収容部又は前記ボタン部の一方に形成された前記挿入部と他方に形成された前記凹部は、前記ボタン部が押下操作されなかったときに当接する前記第一当接部を構成する
ことを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記発光手段は、前記ボタン部の前記ボタンヘッドのほぼ中心を通る軸上に設けられ、
前記付勢手段は、前記発光手段を囲むように設けられ、
前記壁部は、前記付勢手段の外側に位置し、
前記連通経路は、前記壁部の外側に位置する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記操作基板からの信号を中継する中継基板と、遊技の進行を制御する主制御基板とを備え、
前記操作基板からの信号が、前記中継基板を介して前記主制御基板へ送信される
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遊技機。
【請求項1】
押下操作されるボタン部と、このボタン部が移動可能に収容された収容部とを有する操作ユニットを備えた遊技機であって、
前記操作ユニットは、
前記ボタン部が押下操作されたことを検知する検知手段と、
発光により前記ボタン部を照明する発光手段と、
前記検知手段と前記発光手段とを搭載する操作基板と、
前記ボタン部が押下操作される方向とは反対の方向へ、当該ボタン部を付勢する付勢手段とを備え、
前記ボタン部は、前記押下操作が行われる際に操作者が接触するボタンヘッドを有し、
前記ボタン部と前記収容部とに挟まれた空間は、前記ボタンヘッドが露出する外側空間と、前記操作基板が配置された内側空間とを連通する連通経路をなし、
この連通経路は、前記外側空間から前記内側空間へ向かう途中で、前記外側空間へ向かう方向に折り返す折り返し部を有し、
前記ボタン部は、前記付勢手段と前記連通経路とを隔離する壁部を有した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ボタン部又は前記収容部の一方に、外周面の周方向に沿って又は内面の周方向に沿って形成された環状の凹部を有し、
前記ボタン部又は前記収容部の他方に、前記凹部に対して、前記ボタン部の押下方向に移動可能に挿入する挿入部を有し、
前記凹部と前記挿入部とで挟まれた空間が前記折り返し部を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記ボタン部が押下操作されていないときに、前記ボタン部の一部と前記収容部の一部が当接して、それ以上前記ボタン部が前記押下操作の方向とは反対の方向へ移動するのを制限し、かつ、前記連通経路を当該部分で閉塞する第一当接部と、
前記ボタン部が押下操作されたときに、前記ボタン部の他の一部と前記収容部の他の一部が当接して、それ以上前記ボタン部が前記押下操作の方向へ移動するのを制限し、かつ、前記連通経路を当該部分で閉塞する第二当接部とを有した
ことを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記ボタン部は、前記ボタンヘッドが係合するボタンベースを有し、
前記ボタンヘッドと前記ボタンベースは、前記収容部を挟み込むようにして係合し、
前記収容部は、内面の周方向に沿って形成された環状の凸部を有し、
前記収容部の前記凸部と前記ボタンヘッドの底部は、前記ボタン部が押下操作されたときに当接する前記第二当接部を構成し、
前記収容部又は前記ボタン部の一方に形成された前記挿入部と他方に形成された前記凹部は、前記ボタン部が押下操作されなかったときに当接する前記第一当接部を構成する
ことを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記発光手段は、前記ボタン部の前記ボタンヘッドのほぼ中心を通る軸上に設けられ、
前記付勢手段は、前記発光手段を囲むように設けられ、
前記壁部は、前記付勢手段の外側に位置し、
前記連通経路は、前記壁部の外側に位置する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記操作基板からの信号を中継する中継基板と、遊技の進行を制御する主制御基板とを備え、
前記操作基板からの信号が、前記中継基板を介して前記主制御基板へ送信される
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−249808(P2012−249808A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124491(P2011−124491)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】
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