説明

遊技機

【課題】 大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見する。
【解決手段】内部乱数カウンタC1の値が起点値C0から一周すると起点値用カウンタCiを用いて内部乱数カウンタC1や起点値C0を変更すると共に起点値変更済フラグF2を値1に設定し、保留球格納エリアには、各カウンタ値と共に起点値変更済フラグF2の値を格納する。保留球格納エリアの内部乱数カウンタ値が大当たりの値であると判定されたときに、起点値変更済フラグ値が値1である場合には通常用の演出態様で大当たりを実行し値1でない場合には特別用の演出態様で大当たりを実行する。したがって、リセット指示に伴って起点値C0にデフォルト値が設定されてから内部乱数カウンタC1の値が一周して起点値C0が変更されるより前に大当たりとなったときには、通常用とは異なる特別用の演出態様で大当たりを実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機としては、1カウントずつ定期的に一定の数値範囲をカウントする乱数カウンタを備え、始動口への入賞信号を検出したときの乱数カウンタの値が予め定められた大当たり値である場合に大当たりを発生させる遊技機が一般に知られている。こうした遊技機においては、メイン制御基板との間で通信可能な位置に所謂「ぶら下げ基板」を設置し、このぶら下げ基板を用いて乱数カウンタが大当たり値となるタイミングで始動口への入賞信号をメイン制御基板へ出力することにより不当に大当たりを発生させる不正行為が問題となっている。こうした不正行為への対策として、乱数カウンタの初期値を予測できない値に繰り返し変更することにより、ぶら下げ基板側で乱数カウンタの値を把握できないようにするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−167212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の遊技機では、乱数カウンタの初期値を予測できない値に定期的に変更するものの、電源投入時やリセット時における初期値は所定の値(例えば、値0)となってしまうから、この直後に大当たり値となるタイミングで始動口への入賞信号を出力することにより、不当な大当たりが発生してしまう虞がある。したがって、こうした不正行為にも対応できる遊技機を実現することが望ましい。
【0005】
本発明の遊技機は、大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見することを目的の一つとする。また、本発明の遊技機は、ぶら下げ基板を用いた不正行為により適切に対応することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
手段1.本発明の遊技機は、
所定の当たり条件の成立に伴って遊技者に有利な特別遊技を実行する遊技機であって、
所定の起点値を起点として所定範囲の数値を循環的にカウントするカウンタと、
所定のタイミングで前記所定の起点値を変更する起点値変更手段と、
所定のリセット指示に伴って前記所定の起点値に既定値を設定する既定値設定手段と、
所定条件が成立したときの前記カウンタの値が所定の当たり値であるか否かを判定する当たり判定手段と、
該判定により前記カウンタの値が所定の当たり値であると判定されたときに、該カウンタの値までカウントする起点となった直近の前記所定の起点値が前記起点値変更手段により変更されていた場合には第1の当たり処理を実行し、該直近の前記所定の起点値が前記既定値設定手段により設定されていた場合には該第1の当たり処理とは異なる第2の当たり処理を実行する当たり処理実行手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の遊技機では、カウンタの値が所定の当たり値であると判定されたときに、直近の起点値が起点値変更手段により変更されていた場合には第1の当たり処理を実行し既定値設定手段により設定されていた(即ち、起点値変更手段により変更されていない)場合には第1の当たり処理とは異なる第2の当たり処理を実行する。即ち、リセット指示に伴って起点値に既定値が設定されてから起点値変更手段による起点値の変更がなされることなく当たりとなったときには、第1の当たり処理とは異なる第2の当たり処理を実行することができる。したがって、ぶら下げ基板などを用いて不正なリセット指示を出力して起点値に既定値を設定することにより当たりのタイミング(カウンタの値が所定の当たり値となるタイミング)を把握しても、起点値変更手段により起点値が変更された後には当たりのタイミングを把握することができず、起点値変更手段により起点値が変更される前には当たりを発生させても第2の当たり処理を実行するようにすることができる。この結果、大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見することができると共にぶら下げ基板等を用いた不正行為により適切に対応することができる。ここで「所定のリセット指示」としては、遊技機の電源を投入したときになされる指示やリセットボタンを押下したときになされる指示などが含まれる。
【0009】
手段2.手段1記載の遊技機であって、前記カウンタによるカウント周期とは異なるカウント周期で前記所定範囲の数値を循環的にカウントする起点値用カウンタを備え、前記起点値変更手段は前記所定のタイミングにおける前記起点値用カウンタの値に基づいて前記所定の起点値を変更する手段である遊技機。ここで「前記カウンタによるカウント周期とは異なるカウント周期」としては、例えば、カウンタと同じタイミングでカウントすると共にカウンタの次回のカウントまでの空き時間にもカウントするようなカウント周期などを挙げることができる。
【0010】
手段3.手段1または2記載の遊技機であって、前記起点値変更手段は、前記所定のタイミングとして前記カウンタの値が前記所定の起点値からカウントされて所定数周したタイミングで該所定の起点値を変更する手段である遊技機。なお「所定数周」としては、例えば、一周や二周などを挙げることができる。
【0011】
手段4.手段1ないし3いずれか記載の遊技機であって、前記既定値設定手段は、前記所定の起点値に前記既定値として値0を設定する手段である遊技機。
【0012】
手段5.手段1ないし4いずれか記載の遊技機であって、前記当たり処理実行手段は、前記第1の当たり処理として第1の演出態様を用いた特別遊技を実行し、前記第2の当たり処理として該第1の演出態様とは異なる第2の演出態様を用いた特別遊技を実行する手段である遊技機。こうすれば、第1の当たり処理と第2の当たり処理とで、特別遊技の演出態様を異なるものとすることができる。ここで「演出態様」としては、音声の出力態様や各種ランプの表示態様,表示画面の表示態様などを挙げることができる。
【0013】
手段6.手段1ないし5いずれか記載の遊技機であって、前記当たり処理実行手段は、前記第1の当たり処理として第1の当たり信号を所定の外部機器へ出力し、前記第2の当たり処理として該第1の当たり信号とは異なる第2の当たり信号を該所定の外部機器へ出力する手段である遊技機。こうすれば、第1の当たり処理と第2の当たり処理とで異なる当たり信号を外部機器へ出力することができる。この結果、外部機器側では、大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見することができる。ここで「所定の外部機器」としては、ホール内の遊技機の状態を管理するホールコンピュータや各遊技機に設置された呼出ランプなど、遊技機との間で通信可能な各種の機器を挙げることができる。この場合、遊技機は、当たり信号を含む各種の情報を前記所定の外部機器へ出力するための出力端子などを有する外部出力手段を備えるものとしてもよい。
【0014】
手段7.手段1ないし6いずれか記載の遊技機であって、前記所定条件が成立したときの前記カウンタの値と該カウンタの値までカウントする起点となった直近の前記所定の起点値が前記起点値変更手段により変更されていたか前記既定値設定手段により設定されていたかを示す起点値区分とを記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は前記記憶手段に記憶されているカウンタの値が所定の当たり値であるか否かを判定する手段であり、前記当たり処理実行手段は前記記憶手段に記憶されている起点値区分が前記所定の起点値が前記起点値変更手段により変更されていたことを示す値である場合には第1の当たり処理を実行し該起点値区分が前記所定の起点値が前記既定値設定手段により設定されていたことを示す値である場合には第2の当たり処理を実行する手段である遊技機。この場合、前記記憶手段は、前記所定条件の成立毎に複数の前記カウンタの値と前記起点値区分とを記憶するものとすることもできる。
【0015】
手段8.手段7記載の遊技機であって、前記記憶手段は前記既定値設定手段により前記所定の起点値に既定値が設定されてから前記起点値変更手段により該所定の起点値が変更されたか否かを示す起点値変更済フラグを記憶する手段であり、前記起点値区分は前記所定条件が成立したときの該起点値変更済フラグの値に基づいて設定される区分である遊技機。この場合、前記起点値区分は、前記起点値変更済みフラグの値そのものを設定するものとすることもできる。
【0016】
手段9.手段1ないし8いずれか記載の遊技機であって、前記遊技機はパチンコ機である遊技機。パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えておりそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示手段における識別要素の変動表示が開始すること、また、特別遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込み等も含む)が付与されること等が挙げられる。なお、こうしたパチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【0017】
手段10.手段1ないし8いずれか記載の遊技機であって、前記遊技機はスロットマシンである遊技機。こうした本発明の遊技機としてのスロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別要素からなる識別要素列を変動表示した後に識別要素を確定表示する表示手段と、作動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別要素の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因してあるいは所定時間経過することにより識別要素の変動が停止され、その停止時の確定識別要素が特定識別要素であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備える遊技機」を挙げることができる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。こうしたスロットマシンにおいて、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【0018】
手段11.手段1ないし8いずれか記載の遊技機であって、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機。このパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別要素からなる識別要素列を変動表示した後に識別要素を確定表示する表示手段と、作動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別要素の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因してあるいは所定時間経過することにより識別要素の変動が停止され、その停止時の確定識別要素が特定識別要素であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用すると共に識別要素の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」を挙げることができる。こうした遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【0019】
手段9ないし11に記載したように、本発明の遊技機としては、パチンコ機やスロットマシン,パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機などを挙げることができるが、この他、種々の遊技機に適用することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見することができると共にぶら下げ基板等を用いた不正行為により適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機20を正面から見た外観図である。
【図2】実施例のパチンコ機20の遊技盤30の構成の概略を示す構成図である。
【図3】実施例のパチンコ機20の電気的接続を例示するブロック図である。
【図4】特別図柄表示装置40の表示図の一例を示す説明図である。
【図5】特別図柄表示装置40の特別遊技動画の一例を示す説明図である。
【図6】メインルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】変動終了処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】カウンタ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】ハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】各カウンタ値や起点値変更済フラグF2の値がカウンタ用バッファを介して保留球格納エリアに格納される様子を示す説明図である。
【図13】保留球格納エリアの一例を示す説明図である。
【図14】表示コマンド決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態としての遊技機として機能するパチンコ機20を正面から見た外観図であり、図2はパチンコ機20の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3は実施例のパチンコ機20の電気的接続を例示するブロック図である。実施例のパチンコ機20は、図1に示すように、前面枠22にはめ込まれたガラスに覆われた遊技盤30と、遊技球を貯留する上受け皿24および下受け皿26と、遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ツマミ28と、パチンコ機20全体を制御するメイン制御装置70(図3参照)とを備える。
【0024】
遊技盤30は、図2に示すように、遊技盤30の中央の上部に配置された普通図柄表示装置32と、遊技盤30の左右部に各々配置され遊技球の通過を検知する普通図柄始動口スイッチ36a,36bを有する普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bと、普通図柄表示装置32の下側に配置された特別図柄表示装置40と、特別図柄表示装置40の下側に配置され遊技球の入賞を検知する特別図柄始動口スイッチ44を有する始動口42と、始動口42に取り付けられ開閉可能なチューリップ式の普通電動役物46と、始動口42の下側に配置され開閉可能な大入賞口50と、遊技盤30の左右下部に計4個配置された普通入賞口60a〜60dと、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するアウト口69とを備える。
【0025】
普通図柄表示装置32は、背後に設けられた図示しないランプの点灯を切り換えることにより変動表示する「○」および「×」の図柄32a,32bと、この「○」および「×」の図柄32a,32bの上側に配置された4個の普通図柄変動保留ランプ33a〜33dとを備える。「○」および「×」の図柄32a,32bは、遊技球が普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bを通過したのを検知したときに変動表示の開始がなされ、所定時間(例えば、30秒間)変動表示後に「○」および「×」の図柄32a,32bのいずれかを点灯した状態で変動表示を終了する。普通図柄変動保留ランプ33a〜33dは、普通図柄表示装置32による「○」および「×」の図柄32a,32bの変動表示の最中に遊技球が普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bを通過するごとに左側から順に一つずつ点灯され、普通図柄表示装置32による「○」および「×」の図柄32a,32bの変動表示が開始される毎に点灯とは逆の順に消灯されることにより、変動表示の最中に遊技球が普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bを通過した回数を最大4回まで保留回数として示す。
【0026】
始動口42に設けられたチューリップ式の普通電動役物46は、普通図柄表示装置32による変動表示が「○」の図柄32aで停止したときにチューリップを所定時間(例えば、0.5秒間)開くものとして構成されている。
【0027】
特別図柄表示装置40は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、図3に示す表示用制御装置90により表示内容が制御されている。特別図柄表示装置40は、通常、図4に例示するように、キャラクタと数字とから構成される左,中,右の3個の図柄L,M,Rを表示しており、遊技球が始動口42に入賞するのを検知したときにこの3個の図柄L,M,Rを変動表示させる。そして、所定の変動時間が終了したときに、3個の図柄L,M,Rを図柄L,図柄R,図柄Mの順に変動表示を停止し、3個の図柄L,M,Rが一致したときに大当たりとして特別遊技動画を表示する。特別遊技動画の一例を図5に示す。
【0028】
遊技盤30には、普通図柄表示装置32と特別図柄表示装置40との間に4個の特別図柄変動保留ランプ41a〜41dが設けられている。この特別図柄変動保留ランプ41a〜41dは、特別図柄表示装置40による3個の図柄L,M,Rの変動表示の最中や特別遊技動画を表示している最中に遊技球が始動口42に入賞するごとに左側から順に一つずつ点灯され、特別図柄表示装置40による3個の図柄L,M,Rの変動表示が開始される毎に点灯とは逆の順に消灯されることにより、変動表示の最中や特別遊技動画を表示している最中に始動口42に入賞した球数を最大4個まで保留球数として示す。
【0029】
大入賞口50は、通常は遊技球を受け入れない閉状態とされており、遊技球の入賞をカウントする10カウントスイッチ54(図3参照)や大入賞口50の中央部に設けられたVゾーン56に遊技球が入賞したのを検出するVカウントスイッチ58(図3参照)が取り付けられている。この大入賞口50は、大当たりのときに、特別遊技として図3に示す大入賞口駆動装置52によって遊技球を受け入れやすい開状態と通常の閉状態とが繰り返される。より具体的には、開状態の大入賞口50に遊技球が10球入賞したことを10カウントスイッチ54により検出するか開状態になってから所定時間(例えば、30秒)が経過したときに1回のラウンドを終了して大入賞口50を閉状態とし、このラウンド中に大入賞口50に入賞した遊技球がVゾーン56を通過したことを条件として最大15ラウンドまで繰り返される。
【0030】
遊技盤30には、この他、発射された遊技球を円弧上に導くレール62や遊技盤30の中央部に導く左右の肩部に配置されたランプ風車64a,64b,普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bの近傍に配置された風車66a,66b,特別図柄表示装置40の両横に取り付けられた計8個のインジケータ68a〜68hなども取り付けられている。なお、遊技球をガイドしたり弾いたりしてその遊技性を高める複数の釘については図示を省略した。
【0031】
メイン制御装置70は、CPU72を中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPU72には電源を供給する電源回路73の他に、処理プログラムを記憶するROM74や一時的にデータを記憶するRAM76,所定周波数の矩形波を出力するクロック回路78,入出力処理回路80がバス82によって接続されている。メイン制御装置70には、普通図柄始動口スイッチ36a,36bからの入賞信号や特別図柄始動口スイッチ44からの始動信号,10カウントスイッチ54からのカウント信号,Vカウントスイッチ58からのV信号,普通入賞スイッチや賞球カウントスイッチなどの他の入出力装置88からの入力信号などが入出力処理回路80を介して入力されている。また、メイン制御装置70からは、普通図柄表示装置32への駆動信号や大入賞口駆動装置52への駆動信号,普通図柄変動保留ランプ33a〜33dや特別図柄変動保留ランプ41a〜41d,インジケータ68a〜68hへの点灯信号,普通電動役物46への駆動信号,スピーカ86が接続された音声用制御装置84への制御信号,特別図柄表示装置40の表示制御を司る表示用制御装置90への制御信号,賞球の払い出しを司る賞球制御装置などの他の入出力装置88への駆動信号などが入出力処理回路80を介して出力されている。
【0032】
次に、こうして構成されたパチンコ機20の動作について説明する。図6は、メイン制御装置70により実行されるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、2msec毎)に繰り返し実行される。
【0033】
[メインルーチン]
メインルーチンが実行されると、メイン制御装置70のCPU72は、図7に例示する始動入賞処理(ステップS100),図8に例示する変動開始処理(ステップS102),図9に例示する変動終了処理(ステップS104),図10に例示するカウンタ更新処理(ステップS106)を実行し、その後、図11に例示するハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理(ステップS108)を繰り返し実行する。説明の容易のために、まず、カウンタ更新処理とハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理とを説明し、その後、その他の各処理について説明する。
【0034】
[カウンタ更新処理]
カウンタ更新処理では、図10に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、内部乱数カウンタC1,リーチ乱数カウンタC2,当たり図柄カウンタC3,変動パターンカウンタC4の各々のカウンタをインクリメントする処理を実行する(ステップS240)。内部乱数カウンタC1は、大当たりか否かを判定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜629までを順に値1ずつインクリメントする。リーチ乱数カウンタC2は、リーチ遊技を行なうか否かを判定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜11までを順に値1ずつインクリメントする。当たり図柄カウンタC3は、大当たりのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(当たり図柄)を決定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜11までを順に値1ずつインクリメントする。変動パターンカウンタC4は、特別図柄表示装置40の左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示させるパターンを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜99までを順に値1ずつインクリメントする。いずれのカウンタも、最大値に達した後再び値0に戻るループカウンタである。
【0035】
こうして各カウンタを更新すると、内部乱数カウンタC1の値が起点値C0と一致するか否かを判定する(ステップS242)。ここで起点値C0は、内部乱数カウンタC1をインクリメントする起点となった値であり、デフォルト値としては値0が設定されている。したがって、この判定は、内部乱数カウンタC1の値を起点値C0からインクリメントされて再び起点値C0となったか否か(値が一周したか否か)を判定するものである。
【0036】
この判定により、内部乱数カウンタC1の値が起点値C0と一致するときには、起点値用カウンタCiの値を内部乱数カウンタC1と起点値C0とに設定すると共に(ステップS244)、起点値C0が変更されたことを示す起点値変更済フラグF2に値1を設定する(ステップS246)。即ち、内部乱数カウンタC1の値が一周して起点値C0となったときには起点値用カウンタCiの値を新たな起点として内部乱数カウンタC1がインクリメントされるようにするのである。なお、起点値用カウンタCiは、ハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理において更新されるカウンタであり、RAM76の所定領域に設定されたバッファに格納されている。詳細は後述する。また、起点値変更済フラグF2は、デフォルト値として値0が設定されており、ステップS246により値1が設定されると、パチンコ機20の電源がオフされたりリセットボタンが押下されたりしない限りは値1が保持される。
【0037】
そして、ステップS242において内部乱数カウンタC1の値が起点値C0と一致しないと判定されときやステップS246において起点値変更済フラグF2に値1が設定されたときには、各カウンタC1〜C4をRAM76のバッファに格納して(ステップS248)、本ルーチンを終了する。
【0038】
[ハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理]
ハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理では、図11に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、ハズレ図柄左カウンタClをインクリメントする処理を実行する(ステップS250)。ハズレ図柄左カウンタClは、ハズレのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(ハズレ図柄)のうち左の図柄Lを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜図柄の数から値1を減じた数までを順に値1ずつインクリメントする。続いてハズレ図柄左カウンタClが値0であるかを判定し(ステップS252)、ハズレ図柄左カウンタClが値0であるときには、ハズレ図柄右カウンタCrをインクリメントする(ステップS254)。ハズレ図柄右カウンタCrは、ハズレのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(ハズレ図柄)のうち右の図柄Rを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例ではハズレ図柄左カウンタClと同様に0〜図柄の数から値1を減じた数までを順に値1ずつインクリメントする。同様に、ハズレ図柄右カウンタCrが値0であるかを判定し(ステップS256)、ハズレ図柄右カウンタCrが値0であるときには、ハズレ図柄中カウンタCmをインクリメントする(ステップS258)。ここで、ハズレ図柄中カウンタCmは、ハズレのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(ハズレ図柄)のうち中の図柄Mを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例ではハズレ図柄左カウンタClやハズレ図柄右カウンタCrと同様に0〜図柄の数から値1を減じた数までを順に値1ずつインクリメントする。
【0039】
各ハズレ図柄カウンタCl,Cr,Cmをインクリメントするか、ステップS252でハズレ図柄左カウンタClが値0でないと判定されたときか、ステップS256でハズレ図柄右カウンタCrが値0でないと判定されたときは、ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrとが一致するかを判定する(ステップS260)。ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrとが一致しないときには、各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,CrをRAM76の所定領域に設定されたハズレ図柄バッファに格納する(ステップS262)。一方、ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrとが一致するときには、ハズレ図柄中カウンタCmも一致するかを判定する(ステップS264)。ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrは一致するがハズレ図柄中カウンタCmは異なるときには、各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,CrをRAM76の所定領域に設定されたハズレリーチ図柄バッファに格納する(ステップS266)。なお、各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crの全てが一致するときは、ハズレ図柄ではないから各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crのハズレ図柄バッファやハズレリーチ図柄バッファへの格納を行なわない。
【0040】
そして、起点値用カウンタCiをインクリメントして(ステップS268)、本ルーチンを終了する。起点値用カウンタCiは、前述したように、内部乱数カウンタC1の起点値C0を変更する際に用いられるカウンタであり、内部乱数カウンタC1の数値範囲(即ち、実施例では0〜629)を順に値1ずつインクリメントするループカウンタである。
【0041】
このハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理は、図6に例示したメインルーチンのフローチャートから解るように、所定時間経過毎にメインルーチンが実行されるまでの空き時間に繰り返し実行される。したがって、内部乱数カウンタC1やリーチ乱数カウンタC2などの他のカウンタがメインルーチンが実行される毎にカウントアップするのに対して、ハズレ図柄左カウンタClや起点値用カウンタCiはメインルーチンが実行される毎に加えて、空き時間に繰り返し実行される毎にカウントアップする。また、この空き時間はステップS100〜S106の処理に要した時間によって決まる不定な時間であるから、ハズレ図柄左カウンタClや起点値用カウンタCiは予測できない値となるのである。したがって、前述したカウンタ更新処理のステップS244において内部乱数カウンタC1に起点値用カウンタCiが設定されると、ぶら下げ基板等では内部乱数カウンタC1の値を予測することができなくなる。
【0042】
[始動入賞処理]
始動入賞処理では、図7に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、遊技球が始動口42に入賞したか否かを判定する(ステップS200)。この判定は、特別図柄始動口スイッチ44がオンとされたか否かによって行なうことができる。遊技球が始動口42に入賞したと判定されると、保留球数Nが4未満であるか否かを調べる(ステップS202)。前述したように、実施例では保留球数は最大4個までだからである。
【0043】
保留球数Nが4未満のときには、保留球数Nをカウントアップすると共に特別図柄変動保留ランプ41a〜41dを左から順に1つ点灯し(ステップS204,S206)、図10のカウンタ更新処理のステップS248や図11のハズレ図柄カウンタ・起点値用カウンタ更新処理のステップS262でRAM76のバッファに格納された内部乱数カウンタ値,リーチ乱数カウンタ値,当たり図柄カウンタ値,ハズレ図柄カウンタ値や起点値変更済フラグF2の値を同じくRAM76の所定領域に設定された保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する(ステップS208)。各カウンタ値や起点値変更済フラグF2の値がバッファを介して保留球格納エリアに格納される様子を図12に示し、保留球格納エリアの構造の一例を図13に示す。図示するように、保留球格納エリアは、内部乱数カウンタ値,リーチ乱数カウンタ値,当たり図柄カウンタ値,ハズレ図柄カウンタ値,起点値変更済フラグ値を1つずつ格納可能な1つの実行エリアと4つの保留エリアとから構成されている。
【0044】
各カウンタ値などの保留球格納エリアへの格納処理を終了した後や、ステップS200で始動口42に遊技球は入賞していないと判定されたとき、あるいはステップS202で保留球数Nが4未満と判定されなかったときには、保留球数Nが値0より大きいか否かを判定すると共に(ステップS210)、特別図柄表示装置40で左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示中であるか否か、あるいは、大当たり中であるか否かを判定する(ステップS212)。保留球数Nが値0でなく、特別図柄表示装置40が変動表示中でもなく、大当たり中でもないときには、変動許可フラグF1に値1をセットして(ステップS214)、本ルーチンを終了し、保留球数Nが値0であったり、特別図柄表示装置40が変動表示中であったり、大当たり中であるときには、変動許可フラグF1のセットを行なわずに本ルーチンを終了する。
【0045】
[変動開始処理]
変動開始処理では、図8に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、変動許可フラグF1が値1であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS220)。変動許可フラグF1が値1でないときには、保留球数Nが値0であるか特別図柄表示装置40によって左,中,右の3個の図柄L,M,Rが変動表示中であるか、大当たり中であるかのいずれかの場合であると判断して、本ルーチンを終了する。
【0046】
変動許可フラグF1が値1のときには、特別図柄変動保留ランプ41a〜41dを右側から順に1つ消灯すると共に(ステップS222)、保留球数Nを値1だけデクリメントし(ステップS224)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトする処理を行なう(ステップS226)。このデータシフト処理は、図13に例示する保留球格納エリアの4つの保留エリアに格納されているデータを実行エリア側にワンブロックシフトさせる処理である。即ち、保留エリアAのデータを実行エリアに、保留エリアBのデータを保留エリアAに、保留エリアCのデータを保留エリアBに、保留エリアDのデータを保留エリアCに移動させる処理である。
【0047】
次に特別図柄表示装置40に左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示させた後に変動表示停止時の図柄を設定する停止図柄コマンドと特別図柄表示装置40による左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動パターンコマンドとからなる表示コマンドの決定処理を行ない(ステップS227)、決定した表示コマンドを入出力処理回路80を介して表示用制御装置90に送信し(ステップS228)、変動許可フラグF1に値0をセットして(ステップS229)、本ルーチンを終了する。表示コマンドを受信した表示用制御装置90は、表示コマンドのうちの変動パターンコマンドに従って特別図柄表示装置40の左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示すると共に後述する確定コマンドを受信したときに停止図柄コマンドに従って特別図柄表示装置40の左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動表示を停止する。なお、ステップS227の表示コマンド決定処理は、図14に例示するフローチャートを用いて行なわれる。
【0048】
[表示コマンド決定処理]
表示コマンド決定処理では、図14に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている内部乱数カウンタC1の値が大当たりか否かを判定する(ステップS300)。この大当たり判定は、内部乱数カウンタC1の値が大当たりの値、例えば「7」か「307」のいずれかであるか否かを判定することにより行なわれる。実施例では、内部乱数カウンタC1は0〜629までを順にカウントアップしているから、大当たりの確率は1/315となる。大当たりと判定されると、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている当たり図柄カウンタC3の値を停止図柄コマンドに設定し(ステップS310)、各種リーチパターンの中からRAM76に格納されている変動パターンカウンタC4の値に基づいていずれかのリーチパターンを選択しそのパターンを変動パターンコマンドに設定するという大当たり時変動パターンコマンド決定処理を行い(ステップS312)、本ルーチンを終了する。
【0049】
一方、ステップS300で大当たりではないと判定されると、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC2の値がリーチ当たりか否かを判定する(ステップS302)。このリーチ当たり判定は、リーチ乱数カウンタC2の値がリーチ当たりの値、例えば「7」であるか否かを判定することにより行なわれる。実施例では、リーチ乱数カウンタC2は0〜11までを順にカウントアップされるからリーチ当たりの確率は1/12となる。リーチ当たりと判定されると、RAM76の所定領域に設定されたハズレリーチ図柄バッファに格納されているハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crの値を停止図柄コマンドに設定し(ステップS320)、各種リーチパターンの中からRAM76に格納されている変動パターンカウンタC4の値に基づいていずれかのリーチパターンを選択しそのパターンを変動パターンコマンドに設定するというハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理を行い(ステップS322)、本ルーチンを終了する。なお、ステップS302でリーチ当たりでないと判定されると、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crの値を停止図柄コマンドに設定し(ステップS330)、所定の変動パターン(例えば左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動表示を開始した後、7秒後に左図柄Lを停止し、8秒後に右図柄Rを停止し、9秒後に中図柄Mを停止するパターン)を変動パターンコマンドに設定し(ステップS332)、本ルーチンを終了する。
【0050】
[変動終了処理]
変動終了処理では、図9に例示するように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、大当たり中であるか否かを判定する(ステップS230)。ここで、大当たり中には、大当たりの際の特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機20の各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当たり中ではないと判定されると、変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する(ステップS232)。この処理は、変動開始処理で説明したように各変動パターンはパターン毎に変動時間が設定されているから、その時間を経過したかを判定することにより行なわれる。変動時間が終了しているときには、変動表示の停止と確認のために設定されている停止図柄を確定コマンドとして表示用制御装置90に送信し(ステップS234)、停止図柄が大当たりか否かを判定する(ステップS235)。この大当たりの判定は、変動開始処理におけるステップS227の表示コマンド決定処理(図14)で行なわれているからその判定結果を用いるものとしてもよいし、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている内部乱数カウンタC1の値を用いて判定するものとしてもよい。
【0051】
そして、大当たりと判定されたときには、さらに、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている起点値変更済フラグ値が値1であるか否か(即ち、起点値C0がデフォルト値から変更されたか否か)を判定し(ステップS236)、起点値変更済フラグ値が値1である場合には通常用の大当たり実行コマンドを音声用制御装置84や表示用制御装置90などに送信し(ステップS237)、起点値変更済フラグ値が値1でない場合には特別用の大当たり実行コマンドを音声用制御装置84や表示用制御装置90などに送信して(ステップS238)、本ルーチンを終了する。音声用制御装置84や表示用制御装置90では、通常用の大当たり実行コマンドを受信すると通常用の演出態様で大当たりを実行し、特別用の大当たり実行コマンドを受信すると通常用とは異なる特別用の演出態様で大当たりを実行する。通常用の演出態様と特別用の演出態様は、各種ランプやインジケータ68a〜68hなどの点灯パターンを異なるものとしたり、スピーカ86から発せられる効果音を異なるものとしたり、特別図柄表示装置40に表示される特別遊技動画の内容を異なるものとした。より具体的には、インジケータ68a〜68hの点灯パターンは、通常用の演出態様では上側から下側に順に点滅させるパターンとすると共に特別用の演出態様では全てのインジケータ68a〜68hを同時に点滅させるパターンとし、スピーカ86から発せられる効果音は、特別用の演出態様では通常用の演出態様で発する効果音に重ねて特別用の効果音を発するものとし、特別図柄表示装置40に表示される特別遊技動画の内容は、通常用の演出態様では背景を青色とすると共に特別用の演出態様では背景を赤色とするものとした。勿論、通常用の演出態様と特別用の演出態様とは、ここに例示した以外の態様であっても構わない。なお、ステップS230で大当たり中と判定されたときやステップS232で変動時間が終了していないと判定されたとき、あるいはステップS235の大当たり判定で大当たりでないと判定されたときには、判定後に本ルーチンを終了する。
【0052】
ここで、ぶら下げ基板等を用いて不当な大当たりを発生させる場合を考える。この場合、ぶら下げ基板等から不正なリセット指示信号(リセットボタンの押下に相当する信号)をメイン制御装置70に出力して起点値C0をデフォルト値(値0)とし、この起点値C0が変更されるより前(即ち、内部乱数カウンタC1の値が一周するより前)における大当たりのタイミングで不正な始動指示信号(特別図柄始動口スイッチ44のオン信号に相当する信号)をメイン制御装置70へ出力することにより不当な大当たりを発生させることができてしまう。しかしながら、この場合、起点値C0の変更がなされておらず、保留球格納エリアの起点値変更済フラグ値はデフォルト値(値0)のままであるから、特別用の大当たり実行コマンドが音声用制御装置84や表示用制御装置90などに送信され通常用の演出態様とは異なる特別用の演出態様で大当たりが実行されることになる。
【0053】
以上説明した実施例のパチンコ機20によれば、大当たりと判定されたときに、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている起点値変更済フラグ値が値1である(起点値C0がデフォルト値から変更されている)場合には通常用の大当たり実行コマンドを音声用制御装置84や表示用制御装置90などに送信し、起点値変更済フラグ値が値1でない(起点値C0がデフォルト値から変更されていない)場合には特別用の大当たり実行コマンドを音声用制御装置84や表示用制御装置90などに送信し、演出態様の異なる大当たりを実行することができる。即ち、リセット指示に伴って起点値C0にデフォルト値が設定されてから内部乱数カウンタC1の値が一周して起点値C0が変更されるより前に大当たりとなったときには、通常用とは異なる特別用の演出態様で大当たりを実行することができる。したがって、ぶら下げ基板等を用いて不正なリセット指示を出力して起点値C0をデフォルト値とすることにより大当たりのタイミング(内部乱数カウンタC1の値が大当たりの値となるタイミング)を把握しても、カウンタ更新処理のステップS244で起点値C0が予測できない起点値用カウンタCiの値に変更された後には大当たりのタイミングを把握することができず、起点値C0が変更される前には大当たりを発生させても特別用の演出態様で大当たりを実行するようにすることができる。この結果、大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見することができると共にぶら下げ基板等を用いた不正行為により適切に対応することができる。
【0054】
実施例のパチンコ機20では、内部乱数カウンタC1の値が一周して起点値C0と一致するときに起点値C0を変更すると共に起点値変更済フラグF2に値1を設定するものとしたが、起点値変更済フラグF2に値1を設定するタイミングはこれに限られず、例えば、内部乱数カウンタC1の値が一周するより前であっても、大当たりの値のうち大きい方の値(実施例では「307」)を超えていれば起点値変更済フラグF2に値1を設定しても構わない。即ち、内部乱数カウンタC1の値が起点値C0が変更される直前の大当たり値を超えていれば、その後、起点値C0が変更されるより前に大当たりの値となることはないから、予め起点値変更済フラグF2に値1を設定してしまっても構わないのである。
【0055】
実施例のパチンコ機20では、内部乱数カウンタC1の値が一周して起点値C0となったタイミングで起点値C0を起点値用カウンタCiの値に変更するものとしたが、起点値C0を変更するタイミングはその他のタイミングであってもよく、例えば、内部乱数カウンタC1の値が二周したタイミングや三周したタイミング,内部乱数カウンタC1の値が一周して起点値C0となる直前の値となったタイミングや直後の値となったタイミングなどでもよい。また、メインルーチンが実行される毎に加えて空き時間に繰り返し実行される毎にカウントアップする起点値用カウンタCiを用いて起点値C0を変更するものとしたが、ぶら下げ基板等により予測できない値に変更することができればよいから、その他の手法で起点値C0を変更するものとしても構わない。
【0056】
実施例のパチンコ機20では、大当たりと判定されたときに、起点値変更済フラグ値が値1である場合には通常用の大当たり実行コマンドを送信して通常用の演出態様で大当たりを実行し起点値変更済フラグ値が値1でない場合には特別用の大当たり実行コマンドを送信して特別用の演出態様で大当たりを実行するものとしたが、大当たりと判定されたときの起点値変更済フラグ値に応じて異なる処理を行なうものであればよい。例えば、演出態様などは同じものとし、通常用の大当たり信号と特別用の大当たり信号とをホールコンピュータや呼出ランプなどの外部機器へ出力するものとしてもよい。こうすれば、ホールコンピュータや呼出ランプなどの外部機器側で、大当たりタイミングを把握して不当に大当たりを発生させる不正行為をより適切に発見することができる。
【0057】
実施例では、「第1種(セブン機)」に属する機種のパチンコ機であるパチンコ機20を例に説明したが、所定の当たり条件の成立に伴って遊技者に有利な特別遊技を実行する遊技機であればよいから、「第2種(羽根物)」や「第3種(権利物)」に属する機種のパチンコ機などにも適用することができるのは勿論であり、スロットマシンやパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合機などの他の遊技機にも適用することもできる。
【0058】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
20 パチンコ機、22 前面枠、24 上受け皿、26 下受け皿、28 発射ツマミ、30 遊技盤、32 普通図柄表示装置、32a,32b 「○」および「×」の図柄、33a〜33d 普通図柄変動保留ランプ、34a,34b 普通図柄表示装置作動ゲート、36a,36b 普通図柄始動スイッチ、40 特別図柄表示装置、41a〜41d 特別図柄変動保留ランプ、42 始動口、44 特別図柄始動スイッチ、46 普通電動役物、50 大入賞口、52 大入賞口駆動装置、54 10カウントスイッチ、56 Vゾーン、58 Vカウントスイッチ、60a〜60d 普通入賞口、62 レール、64a,64b ランプ風車、66a,66b 風車、68a〜68h インジケータ、69 アウト口、70 メイン制御装置、72 CPU、73 電源回路、74 ROM、76 RAM、78 クロック回路、80 入出力処理回路、82 バス、84 音声用制御装置、86 スピーカ、88 他の入出力装置、90 表示用制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の当たり条件の成立に伴って遊技者に有利な特別遊技を実行する遊技機であって、
所定の起点値を起点として所定範囲の数値を循環的にカウントするカウンタと、
所定のタイミングで前記所定の起点値を変更する起点値変更手段と、
所定のリセット指示に伴って前記所定の起点値に既定値を設定する既定値設定手段と、
所定条件が成立したときの前記カウンタの値が所定の当たり値であるか否かを判定する当たり判定手段と、
該判定により前記カウンタの値が所定の当たり値であると判定されたときに、該カウンタの値までカウントする起点となった直近の前記所定の起点値が前記起点値変更手段により変更されていた場合には第1の当たり処理を実行し、該直近の前記所定の起点値が前記既定値設定手段により設定されていた場合には該第1の当たり処理とは異なる第2の当たり処理を実行する当たり処理実行手段と、
を備える遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−250082(P2012−250082A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209285(P2012−209285)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2010−202868(P2010−202868)の分割
【原出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】