説明

遊技機

【課題】異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段を備えた遊技機において、正確な不正検出を行うことができるようにする。
【解決手段】異常磁気検出手段(磁気センサ60)に、所定の基準磁気状態を記憶する基準磁気状態記憶手段62と、基準磁気状態と現時点における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常信号を出力する異常信号出力手段64とを備える。また、遊技制御装置30は、電源の投入から所定期間経過後に基準磁気状態の記憶に異常が発生したか否かの判定を行い、基準磁気状態の記憶に異常が発生したと判定された場合には、従属制御装置(演出制御装置40)に対して基準磁気状態の記憶に異常が発生したことを示す記憶異常指令を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
不正電波の使用と磁石の使用による双方の不正行為を一台で検出可能で、且つ不正な磁力のみを正確に判別できる不正行為検知装置を備えた遊技機が知られている。この遊技機では、正面側のガラス部近傍に透明な導電性フィルムシートを貼り付け、このシートの両端に一対の電極を接続し、両電極の間に不正磁気検知回路を形成するとともに、不正磁気検知回路は、誘導電流の大きさを測定する検出回路部と、この測定値大きさに基づいて不正磁気を判定出力する出力回路部とを備えた構成となっている(例えば、特許文献1)。また、不正行為に用いられる磁石から発生する磁場と、遊技機に備えられた電気的装置が発生する磁場とを区別して、正確な不正検出が行えるように構成した遊技機も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−282505号公報
【特許文献2】特開昭63−143090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1にある従来例においては、[0018]〜[0021]に記載があるように、発生した磁力線が導電性フィルムシート11に作用すると、微電流が検出回路に流れることで、磁力の存在を判定する構成となっている。そして、発生した微電流の測定値の大小と、予め定めた基準値とを比較して、発生した磁力線が不正なものか否かを判別している。ところが、上記特許文献2にも記載があるように、遊技機には、遊技に必要な電気的装置が数多く備えられ、これらの電気的装置から発生する磁場の大きさは、遊技機の機種毎に異なっている。そのため、これらの電気的装置が作動している中で、不正な磁気のみを検出しなければならないことを考えると、特許文献1の検出回路で用いられる微電流の基準値は、遊技機の機種毎に個別に設定できなくてはならない。したがって、検出された磁気が不正なものか否かを判別するためには、発生した磁気の大きさを比較するための基準値が、機種毎に個別に設定できることが好ましく、かつ、誤った基準値を設定してしまうことが無いように工夫しなくてはならない。
【0005】
本発明の目的は、異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段を備えた遊技機において、正確な不正検出を行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、磁気を発生する電気的駆動源によって動作する可動装置と、
遊技を統括的に制御する遊技制御装置と、
該遊技制御装置からの指令により前記可動装置の動作を制御する従属制御装置と、
異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段と、を備えた遊技機であって、
前記異常磁気検出手段は、
当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態を、基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段と、
前記基準磁気状態と、現時点における当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に前記異常な磁気が発生したものとして前記遊技制御装置に異常信号を出力する異常信号出力手段と、を備え、
前記遊技制御装置は、
電源の投入から所定期間経過後に、前記基準磁気状態記憶手段による前記基準磁気状態の記憶に異常が発生したか否かの判定を行い、
該判定により前記基準磁気状態記憶手段による前記基準磁気状態の記憶に異常が発生したと判定された場合には、前記従属制御装置に対して前記基準磁気状態の記憶に異常が発生したことを示す記憶異常指令を送信するようにしたことを特徴とする。
【0007】
ここで、「異常な磁気」は、例えば、磁石の接近や電波の発射により発生するものであり、異常な磁気が発生している場合は不正行為が行われている可能性が高い状態である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、異常磁気検出手段は、配置環境における磁気状態を基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段と、基準磁気状態と現時点における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常信号を出力する異常信号出力手段とを備えるので、正確な不正検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異常磁気検出手段は、所定の基準磁気状態を記憶する基準磁気状態記憶手段と、基準磁気状態と現時点における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常信号を出力する異常信号出力手段とを備えるので、正確な不正検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した一実施の形態の構成を示す遊技機の正面図である。
【図2】遊技機の制御系の一部を示すブロック図である。
【図3】磁気センサの制御系の一部を示すブロック図である。
【図4】磁気センサのキャリブレーション動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】磁気センサのキャリブレーション動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】メイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】メイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】タイマ割込み2処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】遊技機の電源投入時の処理を説明するためのタイムチャートである。
【図10】タイマ割込み1処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】演出制御装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】演出制御装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】演出制御装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】画面表示割込処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】遊技制御装置及び演出制御装置のコマンド送受信回路を示す図である。
【図16】第2実施形態の遊技機におけるRAMの作業領域を示す図である。
【図17】第2実施形態の遊技機におけるCTC2カウントデータ/停電発生検査用データ記憶領域を説明するための図である。
【図18】第2実施形態の遊技機におけるノンマスカブル処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】第2実施形態の遊技機におけるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】第2実施形態の遊技機におけるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】第2実施形態の遊技機におけるRAMクリアスイッチの操作検出を説明するためのタイムチャートである。
【図22】第2実施形態の遊技機における演出制御装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】第3実施形態の遊技機におけるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】第3実施形態の遊技機におけるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】第3実施形態の遊技機における払出制御メイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図26】第3実施形態の遊技機における払出制御メイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図27】第3実施形態の遊技機におけるタイマ割込み処理を説明するためのフローチャートである。
【図28】第3実施形態の遊技機における通信割込み処理を説明するためのフローチャートである。
【図29】遊技制御装置及び排出・発射制御装置のコマンド送受信回路を示す図である。
【図30】第3実施形態の遊技機における遊技制御装置から排出・発射制御装置に送信されるコマンドのデータ構造を説明するための図である。
【図31】第3実施形態の遊技機における遊技制御装置から排出・発射制御装置に送信されるコマンドを説明するための図である。
【図32】第3実施形態の遊技機におけるコマンドの送信タイミングを説明するためのタイムチャートである。
【図33】第4実施形態の遊技機におけるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図34】第4実施形態の遊技機におけるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図35】第4実施形態の遊技機における電源投入時の処理を説明するためのタイムチャートである。
【図36】第5実施形態の遊技機におけるタイマ割込み1処理を説明するためのフローチャートである。
【図37】第5実施形態の遊技機における磁気エラー監視処理を説明するためのフローチャートである。
【図38】第5実施形態における第1変形例の遊技機での磁気エラー報知の実行を決定するタイミングを説明するためのタイムチャートである。
【図39】第5実施形態における第1変形例の遊技機での磁気エラー報知の実行を決定するタイミングを説明するためのタイムチャートである。
【図40】第5実施形態における第2変形例の遊技機での磁気エラー監視処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明にかかる遊技機の適例としてのパチンコ遊技機について説明を行う。図1に示すように、本実施形態の遊技機100は、矩形枠状に構成された機枠110を備え、機枠110の前面側には、該機枠110に対して前方向へ扉状に回動可能に矩形枠状の前面枠120が軸着されている。
【0012】
前面枠120は、当該前面枠120に備えられる各種部材等の取付用のベースとなる前面枠本体130と、当該前面枠本体130に対して、その前面側に回動可能に軸支されたクリア部材保持枠140と、前面枠本体130の前面のクリア部材保持枠140の下側に取り付けられた発射操作ユニット150とを有する。
【0013】
前面枠本体130は、矩形枠状の機枠110の前面側をちょうど覆うような概略矩形板状に構成されるとともに、その中央から上端部に渡る部分に、遊技盤1を嵌め込んで収容するための開口部が形成されている。この開口部は、前面枠本体130の前後に貫通する略矩形筒状に形成されており、この開口部に遊技盤1が嵌め込まれることで前面枠120に取り付けられるようになっている。このように取り付けられた遊技盤1の前面には、遊技球が流下する遊技領域1aが形成され、前面枠本体130の前側に臨むようになっている。
【0014】
遊技盤1は、各種部材の取付ベースとなる平板状の遊技盤本体1b(木製もしくは合成樹脂製)を備え、該遊技盤本体1bの前面にガイドレール2で囲まれた遊技領域1aを有している。また、遊技盤本体1bの前面であってガイドレール2の外側には、前面構成部材3,3,…が取り付けられている。そして、このガイドレール2で囲まれた遊技領域1a内に発射装置から遊技球(打球;遊技媒体)を発射して遊技を行うようになっている。
【0015】
遊技領域1aの略中央にはセンターケース20が取り付けられている。このセンターケース20に形成された窓部22の後方には、変動表示ゲームをなす特図変動表示ゲームに対応して複数の識別情報を変動表示する飾り特図変動表示ゲームを実行可能な変動表示装置としての表示装置43が配されるようになっている。この表示装置43は、例えば、液晶ディスプレイを備え、表示内容が変化可能な表示部43aがセンターケース20の窓部22を介して遊技盤1の前面側から視認可能となるように配されている。なお、表示装置43は液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであっても良い。
【0016】
また、遊技領域1a内には、普図始動ゲート4と、普通変動表示ゲームをなす普図変動表示ゲームの未処理回数を表示する普図記憶表示器、普通変動表示装置として普図変動表示ゲームを表示する普図表示器5(図2に図示)が設けられている。また、遊技領域1a内には、第1の始動入賞領域をなす第1始動入賞口13と、第2の始動入賞領域をなす普通変動入賞装置7と、が設けられている。そして、遊技球が第1始動入賞口13に入賞した場合は、特図変動表示ゲームとして第1特図変動表示ゲームが実行され、遊技球が普通変動入賞装置7に入賞した場合は、特図変動表示ゲームとして第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
【0017】
また、遊技領域1a内には、変動表示装置として第1特図変動表示ゲームを表示する第1特図表示器8と、変動表示装置として第2特図変動表示ゲームを表示する第2特図表示器9と、が設けられている。また、第1特図変動表示ゲームの未処理回数(第1始動記憶)を表示する第1特図記憶表示器18(図2に図示)と、第2特図変動表示ゲームの未処理回数(第2始動記憶)を表示する第2特図記憶表示器19(図2に図示)が設けられている。なお、普図記憶表示器15、普図表示器5、第1特図表示器8、第2特図表示器9、第1特図記憶表示器18、第2特図記憶表示器19は、遊技状態を表す遊技状態表示LEDと併せて、セグメントLED6として一体に設けられている。なお、特別遊技状態となった場合のラウンド数(2R,15R)を表示するラウンド数表示器(LED)を備えても良い。
【0018】
さらに遊技領域1aには、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉10aを有し、第1特図変動表示ゲーム、第2特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する特別変動入賞装置10、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト穴11が設けられている。この他、遊技領域1aには、一般入賞口12,12,…、打球方向変換部材としての風車14、多数の障害釘(図示略)などが配設されている。
【0019】
普図始動ゲート4内には、該普図始動ゲート4を通過した遊技球を検出するためのゲートSW4a(図2に図示)が設けられている。そして、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート4内を通過すると、普図変動表示ゲームが行われる。また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置7が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート4を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が1加算されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当たりはずれを決定するための当たり判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当たり判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当たりとなって特別の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。なお、普図変動表示ゲームの始動記憶は、LEDを備える普図記憶表示器15にて表示されるようになっている。
【0020】
普図変動表示ゲームは、遊技領域1a内に設けられた普図表示器5で実行されるようになっている。普図表示器5は一つのLEDで構成され、普通識別情報(普図、普通図柄)としての当たりを示す点灯状態と、普通識別情報としてのはずれを示す消灯状態とを交互に繰り返すことで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、点灯状態と消灯状態の何れかの状態とすることで結果を表示するようになっている。なお、表示装置43の表示領域の一部で普図変動表示ゲームを表示するようにしても良く、この場合は普通識別情報として、例えば、数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うようにする。この普図変動表示ゲームの停止表示が特別の結果態様(特定結果)となれば、普図の当りとなって、普通変動入賞装置7の開閉部材7a,7aが所定時間(例えば、0.5秒間)開放される開状態となる。これにより、普通変動入賞装置7に遊技球が入賞しやすくなり、第2特図変動表示ゲームの始動が容易となる。
【0021】
普通変動入賞装置7は左右一対の開閉部材7a,7aを具備し、第1始動入賞口13の下部に配設され、この開閉部材7a,7aは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいて閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。ただし、上方に第1始動入賞口13が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としてのソレノイド(普電SOL7b、図2に図示)によって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置7に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
【0022】
第1始動入賞口13の内部には第1始動口SW13a(図2に図示)が備えられ、この第1始動口SW13aによって遊技球を検出することに基づき、補助遊技としての第1特図変動表示ゲーム(特別変動表示ゲーム)を開始する始動権利が発生するようになっている。また、普通変動入賞装置7の内部には第2始動口SW7d(図2に図示)が備えられ、この第2始動口SW7dによって遊技球を検出することに基づき、補助遊技としての第2特図変動表示ゲーム(特別変動表示ゲーム)を開始する始動権利が発生するようになっている。この第1特図変動表示ゲームを開始する始動権利は、所定の上限数(例えば4)の範囲内で第1始動記憶(特図1始動記憶、第1特図始動記憶)として記憶される。そして、この第1始動記憶は、第1特図記憶表示器18に表示される。また、第2特図変動表示ゲームを開始する始動権利は、所定の上限数(例えば4)の範囲内で第2始動記憶(特図2始動記憶、第2特図始動記憶)として記憶される。そして、この第2始動記憶は、第2特図記憶表示器19にて表示される。なお、以下の説明において、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
【0023】
第1特図変動表示ゲーム、第2特図変動表示ゲームは、遊技領域1a内に設けられた第1特図表示器8(変動表示装置、第1変動表示装置)、第2特図表示器9(変動表示装置、第2変動表示装置)で実行されるようになっており、複数の特別識別情報(特図、特別図柄)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置43にて特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。すなわち、第1特図表示器8、表示装置43が第1特図変動表示ゲーム(第1変動表示ゲーム)を表示する第1変動表示装置をなし、第2特図表示器9、表示装置43が第2特図変動表示ゲーム(第2変動表示ゲーム)を表示する第2変動表示装置をなす。また、第1特図表示器8、第2特図表示器9、表示装置43が、複数の識別情報による変動表示ゲームを表示する変動表示装置をなす。
【0024】
そして、この特図変動表示ゲームの結果として、第1特図表示器8もしくは第2特図表示器9の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置43の表示態様も特別結果態様となる。なお、第1特図表示器8、第2特図表示器9は、別々の表示器でも良いし同一の表示器ででも良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように特図変動表示ゲームが表示される。また、表示装置43も、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームで別々の表示装置や別々の表示領域を使用するとしても良いし、同一の表示装置や表示領域を使用するとしても良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように飾り特図変動表示ゲームが表示される。また、遊技機に第1特図表示器8、第2特図表示器9を備えずに、表示装置43のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。なお、第2始動記憶は第1始動記憶よりも優先的に消化されるようになっており、第2始動記憶がある場合は、第1始動記憶があっても第2特図変動表示ゲームが実行される。ただし、第1特図変動表示ゲームの実行中は、そのゲーム終了を待って第2特図変動表示ゲームが実行される。
【0025】
変動入賞装置としての特別変動入賞装置10は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉10aによって開閉される大入賞口を備えていて、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、開閉扉10aは、例えば、駆動装置としてのソレノイド(大入賞口SOL10b、図2に図示)により駆動される。また、大入賞口の内部(入賞領域)には、該大入賞口に入った遊技球を検出するカウントSW10c(図2に図示)が配設されている。
【0026】
また、遊技領域1aに設けられた各一般入賞口12には、一般入賞口12に入った遊技球を検出するための入賞口SW12a(図2に図示)が配設されている。そして、遊技を開始することにより遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が、一般入賞口12,12,…、普通変動入賞装置7、第1始動入賞口13、特別変動入賞装置10等の入賞口の何れかに入賞すると、それぞれの入賞口に対応した所定数の賞球が排出装置55(図2に図示)によって払い出されるようになっている。また、遊技領域1aには、可動装置をなす可動演出装置17が設けられている。この可動演出装置17は、矩形状の演出部材17aが上下に動作可能に構成されており、飾り特図変動表示ゲームの進行に連動して動作するようになっている。
【0027】
また、前面枠本体130の遊技盤1が嵌め込まれる開口部、すなわち前面枠本体130の中央より少し下側から上端部にわたる部分には、前面枠本体130の前側を覆うクリア部材保持枠140が配置されている。このクリア部材保持枠140の一方の側部(遊技機100の前面側から見て左側の側部)は、前面枠本体130の一方の側部に回動可能に軸支されて、扉状に開閉自在とされ、クリア部材保持枠140を開くことにより、遊技盤1の前面側の遊技領域1aの前側を開放可能となっている。
【0028】
また、クリア部材保持枠140には、前面枠本体130の開口部をほぼ閉塞するように、該開口部に嵌め込まれた遊技盤1との間に遊技球が流下可能な遊技領域となる間隔を開けて二重のガラス板144が固定されている。そして、遊技盤1の前面とクリア部材保持枠140に嵌め込まれたクリア部材としてのガラス板144との間で、遊技盤1の前面に設けられたガイドレール2に囲まれた部分が、遊技球が発射されて流下する遊技領域1aとされる。また、クリア部材保持枠140において、遊技機100の前側からガラス板144を介して遊技盤1の前面側の少なくとも遊技領域1aの部分が視認可能となっている。また、クリア部材保持枠140の前面であって、ガラス板144が固定されて遊技領域1aを視認可能とする部分の周囲には、枠装飾装置としての装飾ランプ・LED141、音声を出力するスピーカ145,145などが設けられている。
【0029】
また、前面枠本体130には、該前面枠本体130に軸着されたクリア部材保持枠140の開放端側となる前面側から見て右側の端部の裏面に施錠装置が設けられ、前面側には該施錠装置の鍵穴143が形成されている。この施錠装置は、前面枠本体130の施錠装置であるとともに、クリア部材保持枠140の施錠装置でもあって、鍵穴143に鍵を入れて一方(例えば左回り)に回すと前面枠120の機枠110に対する施錠が解除され、他方(例えば右回り)に回すと前面枠本体130に対するクリア部材保持枠140の施錠が解除されるようになっている。
【0030】
また、前面枠本体130の前面側のクリア部材保持枠140の下側には、発射操作ユニット150が取り付けられている。発射操作ユニット150は、左右側部のうちの一側部となる左側部を前面枠本体130に軸着されて、左右方向に回動して開閉自在な開閉パネル151とその下の下部パネル152とからなる。開閉パネル151は、排出された遊技球を貯留するとともに、遊技球を発射する発射装置56(図2に図示)に遊技球を送る上皿153を有している。この上皿153の周囲には、遊技者が操作可能な演出ボタン158が設けられている。また、開閉パネル151の下側の下部パネル152には、上皿153に収容しきれない遊技球を収容する下皿154及び灰皿155と、遊技領域1aに向けての遊技球の発射操作を行うとともに、該遊技領域1aに遊技球を発射する際の発射勢を調節するための操作ハンドル156、音声を出力するスピーカ157などが設けられている。
【0031】
また、前面枠本体130の裏面側には、遊技機100としての諸機能を実現するための機構として、例えば、遊技盤1に設けられた各種入賞口へ入賞して回収された遊技球や何れの入賞口にも入賞せずにアウト穴11から回収された遊技球を機外の回収球搬送路へ導く遊技球回収機構などが設けられている。
【0032】
また、図2に示すように、遊技機100は、遊技の進行を制御する遊技制御装置30と、この遊技制御装置30からの演出制御指令に基づき制御を行う従属制御装置として、各種の演出に関する制御を行う演出制御装置40や遊技球の排出制御、発射制御を行う排出・発射制御装置50等を備えている。
【0033】
遊技制御装置30は、CPU31aやROM31b、RAM31cなどを備えるワンチップマイコン31を備えるとともに、入力インタフェース(入力I/F)32、出力インタフェース(出力I/F)33、通信インタフェース(通信I/F)34等を備えている。
【0034】
ワンチップマイコン31は、内部のCPU31aが制御部、演算部を備え、遊技に関する演算処理を行うようになっており、例えば、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターンを決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当たり判定用乱数などの各種乱数値などを生成する処理を行う。すなわち、CPU31aが、遊技制御で用いられる乱数値を生成する乱数生成手段をなす。
【0035】
ワンチップマイコン31の内部のRAM31cには、第1始動入賞口13に設けられた第1始動口SW13a、普通変動入賞装置7に設けられた第2始動口SW7dのオン信号などを記憶する記憶領域や、前記各種乱数値の記憶領域、並びに、CPU31aの作業領域等を備えている。すなわち、RAM31cが、遊技プログラムにより遊技制御を含む所定の演算処理の作業領域として必要なデータを記憶する作業領域データ記憶手段をなす。
【0036】
また、ワンチップマイコン31の内部のROM31bには、遊技を制御するための遊技プログラムや制御データが書き込まれている他、上述の各種乱数値に対応して、各特図変動表示ゲームの大当り発生を判定するための大当り判定値、大当りの図柄を決定するための大当り図柄判定値、変動パターンを決定するための変動パターン判定値などが記憶されている。また、普図変動表示ゲームの当たり判定値、普図変動表示ゲームの変動パターン(変動表示時間として第1の変動表示時間、第2の変動表示時間)も記憶されている。すなわち、ROM31bが、遊技プログラムを記憶する遊技プログラム記憶手段をなす。
【0037】
また、CPU31aは、始動入賞に基づいて各特図変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)を開始させる際に、当該特図変動表示ゲームでリーチを発生させるか否かや、識別情報の変動表示時間を含む変動パターンなどを決定する処理を行う。
【0038】
また、入力インタフェース32には、ローパスフィルタ及びバッファーゲートを介して、所定部位を遊技球が通過したことを検出する遊技球検出手段をなす第1特図(特図1)始動口SW13a、第2特図(特図2)始動口SW7d、入賞口SW12a,…、ゲートSW4a、カウントSW10cが接続されている。また、ガラス枠開放SW146、遊技機枠開放SW121、磁気センサ60なども接続されている。そして、入力インタフェース32は、これらから入力された各種信号を中継し、ワンチップマイコン31に対し出力する。なお、ガラス枠開放SW146は、クリア部材保持枠140が開放されていることを検出するものであり、遊技機枠開放SW121は、前面枠120が開放されていることを検出するものである。また、磁気センサ60は、磁気の異常を検出して不正行為の発生を検出するためのものであり、前面枠120もしくは遊技盤1に取り付けられている。
【0039】
また、出力インタフェース33には、ワンチップマイコン31から出力される各種の制御信号が入力される。これら制御信号は、該出力インタフェース33により中継されて、図示しない出力ポート及びドライバを介して、第1特図(特図1)表示器8、第2特図(特図2)表示器9、第1特図(特図1)記憶表示器18、第2特図(特図2)記憶表示器19、普図表示器5、普図記憶表示器、普電SOL7b、大入賞口SOL10b、遊技機外部の管理装置などと接続する外部端子板16、演出制御装置40に出力される。また、通信インタフェースには排出・発射制御装置50が接続され、排出・発射制御装置50から入力された各種信号を中継してワンチップマイコン31に対し出力するとともに、ワンチップマイコン31から出力される各種の制御信号を中継して排出・発射制御装置50に出力する。
【0040】
従属制御装置としての排出・発射制御装置50は、CPU51aやROM51b、RAM51cなどを備えるワンチップマイコン51を備えるとともに、入力インタフェース(入力I/F)52、出力インタフェース(出力I/F)53、通信インタフェース(通信I/F)54等を備えている。
【0041】
入力インタフェース52には、ローパスフィルタ及びバッファーゲートを介して、シュート球切れSW57、オーバーフローSW58、排出球検出SW59などが接続されている。そして、入力インタフェース52は、これらから入力された各種信号を中継し、ワンチップマイコン51に対し出力する。なお、シュート球切れSW57は、島設備から供給された遊技球を排出装置55に誘導するシュートに設けられ、シュート内の遊技球がなくなったことを検出するものである。また、オーバーフローSW58は、下皿154が満杯であることを検出するものである。また、排出球検出SW59は排出装置55により排出される遊技球を検出するものである。
【0042】
また、出力インタフェース53には、ワンチップマイコン51から出力される各種の制御信号が入力される。これら制御信号は、該出力インタフェース53により中継されて、図示しない出力ポート及びドライバを介して、排出装置55、発射装置56に出力される。また、通信インタフェース54には遊技制御装置30が接続され、遊技制御装置30から入力された各種信号を中継してワンチップマイコン51に対し出力するとともに、ワンチップマイコン51から出力される各種の制御信号を中継して遊技制御装置30に出力する。
【0043】
この排出・発射制御装置50は、遊技制御装置30からの賞球制御指令(賞球数データの受信)や、球貸機(図示略)からの球貸制御指令に基づいて、排出装置55に所定数の遊技球(賞球、貸球)を排出させる制御を行う。また、発射装置56による遊技球の発射制御を行うようになっている。
【0044】
従属制御装置としての演出制御装置40は、演算処理用CPU40a、ROM40b、RAM40c等を備えるとともに、入出力インタフェース(入出力I/F)40dを備えている。また、画像や映像データが記憶された画像ROM40e、グラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)40f、音声データが記憶された音ROM40g、音の出力を制御する音LSI40hを備えている。また、リセット信号を出力するリセット信号出力部40iを備えている。
【0045】
この演出制御装置40は、入出力インタフェース40dを介して遊技制御装置30から受信した各種信号(演出制御データ(各種コマンドなど))に基づいて(遊技制御装置30の制御の下に)遊技の演出の制御を行うものである。また、入出力インタフェース40dには、遊技機100の前面に設けられた演出ボタン158からの検出信号が入力されるようになっており、演出制御装置40は、この検出信号に基づき遊技の演出の制御を行うようになっている。
【0046】
さらに、入出力インタフェース40dには、CPU40aから出力される各種の制御信号が入力され、これら制御信号は、該入出力インタフェース40dにより中継されて、図示しない出力ポート及びドライバを介して可動演出装置17を駆動する電気的駆動源をなす役物駆動モータ41や位置を検出する役物位置検出センサ44、遊技盤1や該遊技盤1の前方を覆うクリア部材保持枠140に設けられた装飾用のLEDを備える各種LED基板42などに出力され、遊技の演出が行われるようになっている。なお、CPU40aから出力される制御信号のうち、画像の制御に関する制御信号は、CPU40aからVDP40fに出力され、VDP40fから該制御信号に基づく画像データが表示装置43に出力される。また、音声の制御に関する制御信号は、CPU40aから音LSI40hに出力され、音LSI40hから該制御信号に基づく音声データがスピーカ145,157に出力される。
【0047】
また、遊技制御装置30には、電源供給装置(図示略)から電力が供給されており、その他の装置にも電源供給装置から電力が供給されるようになっている。さらに、電源供給装置には、停電時等の外部からの電力の供給が途絶えた場合でも電力を供給可能とするためのバックアップ電源が備えられ、停電時等に各制御装置の揮発性メモリに保存されたデータの消失を防止するようになっている。
【0048】
図3に示すように、磁気センサ60は、配置環境における磁気の状態を検出して磁石や電波による不正行為を検出するものであり、磁気の状態の検出や異常発生の判定などを行う磁気センサ主回路61を備えている。磁気センサ主回路61は、磁気を検出する回路の他、磁気センサ60の配置環境における磁気状態を基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段62と、基準磁気状態の記憶の開始を指令する基準磁気状態記憶指令手段63とを備える。また、磁気センサ主回路61は、基準磁気状態と現時点における磁気センサ60の配置環境における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常な磁気が発生したものとして検出信号として異常信号を出力する異常信号出力手段64を備える。この磁気センサ主回路61は、図4に示すように、異常な磁気の検出時には出力トランジスタTRをOFFとして出力端子(OUT端子)をONとする。また、異常な磁気を検出していない時(非検出時)には出力トランジスタTRをONとして出力端子(OUT端子)をOFFとする。これにより、遊技制御装置30が出力端子の状態により異常な磁気を検出したか否かを検知できるようになっている。すなわち、磁気センサ60が異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段をなす。
【0049】
また、この磁気センサ60は、電源の投入に基づき、基準磁気状態を記憶するキャリブレーション動作を行うようになっている。このキャリブレーション動作は、磁気センサ60に供給される電圧が所定の値になると、基準磁気状態記憶指令手段63が基準磁気状態記憶手段62に対して基準磁気状態の記憶の開始を指令することで開始されるようになっている(図4のt1)。また、キャリブレーション動作は、開始から所定のキャリブレーション時間(例えば1.5秒)以内で終了するようになっている(図4のt2)。そして、キャリブレーション動作が正常に終了した場合は、図4に示すように、キャリブレーション動作の終了からキャリブレーション時間の終了までの期間(t2からt3)に、出力トランジスタTRをONとして出力端子(OUT端子)がOFFとなるようにする。また、キャリブレーション動作で異常が発生した場合は、図5に示すように、キャリブレーション動作の終了からキャリブレーション時間の終了までの期間(t2からt3)に、出力トランジスタTRをOFFとして出力端子(OUT端子)がONとなるようにする。これにより、遊技制御装置30が出力端子の状態によりキャリブレーション動作が正常に終了したか否かを検出できるようになっている。
【0050】
以上のことから、異常磁気検出手段(磁気センサ60)は、当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態を、基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段62と、基準磁気状態と、現時点における当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常な磁気が発生したものとして遊技制御装置30に検出信号として異常信号を出力する異常信号出力手段64と、を備えるとともに、基準磁気状態記憶手段62は、当該遊技機100の電源の投入に基づき基準磁気状態の記憶を開始することとなる。
【0051】
このような磁気センサ60を備えることで、基準となる磁気状態として、機種毎の差異の他、遊技店における各遊技機の設置環境に応じた設定が可能となり、より正確な不正検出を行うことができる。また、基準磁気状態記憶手段62は、当該遊技機100の電源の投入に基づき基準磁気状態の記憶を開始するので、遊技機の移動や遊技店の改装などにより基準となる磁気状態が変化しても対応でき、常に正確な不正検出を行うことができる。
【0052】
次に、以上のような構成を有する遊技機100における制御処理について説明する。遊技制御装置30では、遊技機100の電源投入に基づき開始される図6,7に示すメイン処理と、メイン処理における電源投入時の処理の実行中に所定時間ごと(例えば、2msecごと)に行われる図8に示すタイマ割込み2処理が行われる。また、メイン処理におけるメインループ処理の実行中に所定時間ごと(例えば、2msecごと)に行われる図10に示すタイマ割込み1処理が行われる。
【0053】
図6,7に示すメイン処理では、遊技機100の電源投入の際に電源投入時の処理(ステップS1からS17)が行われる。この電源投入時の処理では、まず、初期設定処理(ステップS1)が行われる。この初期設定処理(ステップS1)では、割込みを禁止する処理(ステップS1a)を行い、割込みベクタをセットする処理(ステップS1b)を行う。さらにスタックポインタをセットする処理(ステップS1c)を行い、割込みモードを設定する処理(ステップS1d)を行う。その後、RAM31cへのアクセスを許可する処理(ステップS1e)を行い、全出力ポートをOFFにする処理(ステップS1f)を行って、キャリブレーションタイマに初期値をセットする処理(ステップS1g)を行う。
【0054】
初期値設定処理(ステップS1)を行った後、割込みタイマを起動して図8に示すタイマ割込み2処理を有効とする処理(ステップS2)を行う。割込みタイマを起動することにより、所定間隔の割込信号が発生することとなる。すなわち、遊技制御装置30が、所定間隔の割込信号を発生する割込信号発生手段をなす。
【0055】
タイマ割込み2処理では、図8に示すように、まず、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS30)を行う。キャリブレーションタイマは、所定の初期値(例えば0)からタイマ割込み2処理の実行毎に1インクリメントされるようになっており、値が所定値となった場合にタイムアップしたと判定されるようになっている。このキャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS30)において、キャリブレーションタイマがタイムアップした場合(ステップS30;Y)は、タイマ割込み2処理を終了する。また、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS30)において、キャリブレーションタイマがタイムアップしていない場合(ステップS30;N)は、キャリブレーションタイマを更新する処理(ステップS31)を行い、タイマ割込み2処理を終了する。キャリブレーションタイマを更新する処理(ステップS31)では、RAM31cに記憶されたキャリブレーションタイマの値を1インクリメントする処理が行われる。このタイマ割込み2処理により、キャリブレーション時間が終了するまでの時間が計時されることとなる。ここで、タイマ割込み2処理は割込み信号の発生ごとに行われることから、割込信号の発生回数を計数しているとも言える。よって、キャリブレーションタイマの値を記憶しているRAM31cの記憶領域が、割込信号の発生回数を計数するための計数領域をなす。
【0056】
図6に戻り、割込みタイマを起動して図8に示すタイマ割込み2処理を有効とする処理(ステップS2)を行った後、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)を行う。遊技制御装置30のRAM31cは、電源供給装置のバックアップ電源によって、その記憶内容がバックアップされるようになっているが、電源投入時に所要の初期化操作入力を行う初期化操作入力部をなすRAMクリアスイッチがONである場合にはこれを初期化する処理を行う。なお、RAMクリアスイッチは遊技機100の裏面側であって係員が操作可能な位置に設けられている。このRAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)においてRAMクリアスイッチがONである場合(ステップS3;Y)は、初期化の処理(ステップS10からS15)を行う。また、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)においてRAMクリアスイッチがONでない場合(ステップS3;N)は、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)を行う。
【0057】
停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)では、RAM31cの停電復旧検査領域をチェックし、停電復旧であるか否かを判定する。停電復旧検査領域には、後述するように停電により遊技機100の電源が遮断された場合に停電復旧検査領域チェックデータとして所定の値が設定される(ステップS26)ようになっている。よって、この停電復旧検査領域チェックデータをチェックすることで、停電復旧であるか否かを判定することができる。この停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧でない場合(ステップS4;N)は、初期化の処理(ステップS10からS15)を行う。また、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧である場合(ステップS4;Y)は、バックアップされたRAM31cのチェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)を行う。
【0058】
チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常である場合(ステップS5;Y)は、停電復旧時の処理(ステップS6からS9)を行う。また、チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常でない場合(ステップS5;N)は、初期化の処理(ステップS10からS15)を行う。
【0059】
初期化の処理(ステップS10からS15)では、まず、使用するRAMをクリアする処理(ステップS10)を行い、RAMにRAM初期時の初期値をセーブする処理(ステップS11)を行う。その後、乱数更新処理(ステップS12)において特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数を1インクリメントする処理を行い、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS13)を行う。
【0060】
キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS13)においてタイムアップしていない場合(ステップS13;N)は、再び乱数更新処理(ステップS12)を行う。また、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS13)においてタイムアップしている場合(ステップS13;Y)は、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)を行う。すなわち、RAMの初期化の後、キャリブレーションタイマがタイムアップするまでの残り時間で大当り乱数の更新が行われる。このキャリブレーションタイマがタイムアップするまでの残り時間は不定の時間であるため、乱数更新処理(ステップS12)の回数も不定であり、RAMに初期値をセーブした場合でも遊技制御を開始する際の乱数の初期値を不定とすることができる。これにより、乱数値の系列が遊技機の外部からは把握しにくい構成となる。また、タイマ割込み処理ではなくメイン処理で乱数更新処理(ステップS12)が実行されるので、割込信号に基づき乱数値の系列が外部から把握されることを防止できる。
【0061】
キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)では、磁気センサ60の出力端子の状態に基づき判定を行う。このキャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)において、キャリブレーション異常なしである場合(ステップS14;Y)は、RAM初期化コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS15)を行う。後述するように演出制御装置40では、このRAM初期化コマンドの受信に基づき表示部43aに電源投入に係わる表示としてRAM初期化報知画面を表示する処理を行う。
【0062】
その後、タイマ割込み1を有効にする処理(ステップS17)を行って、メインループ処理(ステップS18からS22)を行う。なお、タイマ割込み1を有効にする処理(ステップS17)により後述のタイマ割込み1処理が所定間隔毎に実行されるようになる。
【0063】
また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)において、キャリブレーション異常ありである場合(ステップS14;N)は、キャリブレーション異常コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS16)を行い、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。すなわち、遊技制御装置30が、遊技機100の電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段をなす。また、遊技制御装置30が、記憶完了判定手段により基準磁気状態の記憶が完了したと判定されるまでの期間にて、乱数値の系列決定のための更新を行う乱数値初期化手段をなす。
【0064】
一方、停電復旧時の処理(ステップS6からS9)では、まず、RAMに停電復旧時の初期値を設定する処理(ステップS6)を行う。このとき、例えば、特別変動入賞装置10の作動に係る遊技制御の状態などには初期値は設定されず、停電発生時に状態が維持されるようになっている。すなわち、遊技制御装置30が、停電発生時における変動入賞装置の作動に係わる遊技制御の状態を、停電復帰後に復帰させる遊技制御状態復帰手段をなす。
【0065】
その後、キャリブレーションタイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。このキャリブレーションタイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)においてタイムアップしていない場合(ステップS7;N)は、再びキャリブレーションタイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。また、キャリブレーションタイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)においてタイムアップしている場合(ステップS7;Y)は、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)を行う。この停電復旧時の処理では、停電発生時の状態を維持するために乱数更新処理(ステップS12)は行わないが、キャリブレーションタイマがタイムアップするまで次の処理を待機するようになっている。これにより、磁気センサ60のキャリブレーションが終了するまで遊技制御が開始しないようにすることができる。また、初期化の処理(ステップS10からS15)を行った場合と同じ起動時間とすることができるので常に電源投入から一定時間後に遊技制御が起動でき、違和感がない。
【0066】
キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)では、磁気センサ60の出力端子の状態に基づき判定を行う。このキャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常なしである場合(ステップS8;Y)は、停電復旧コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS9)を行い、タイマ割込み1を有効にする処理(ステップS17)を行って、メインループ処理(ステップS18からS22)を行う。後述するように演出制御装置40では、この停電復旧コマンドの受信に基づき表示部43aに電源投入に係わる表示として通常画面を表示する処理を行う。また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常ありである場合(ステップS8;N)は、キャリブレーション異常コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS16)を行い、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。すなわち、遊技制御装置30が、表示部43aに電源投入に係わる表示を行うための電源投入時関連指令(RAM初期化コマンド、停電復旧コマンド)を演出制御装置40(従属制御装置)へ送信する電源投入時関連指令送信手段をなす。
【0067】
なお、RAM初期化コマンド、停電復旧コマンドは、基準磁気状態の記憶が完了したことを示す記憶完了指令であるとも言える。よって、遊技制御装置30が、当該遊技機100の電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段をなすとも言える。また、遊技制御装置30が、従属制御装置(演出制御装置40)に対して記憶完了指令(RAM初期化コマンド、停電復旧コマンド)を送信する記憶完了指令送信手段をなすとも言える。
【0068】
メインループ処理(ステップS18からS22)では、まず、割込みを禁止する処理(ステップS18)を行い、初期値乱数更新処理(ステップS19)を行って、割込みを許可する処理(ステップS20)を行う。初期値乱数更新処理(ステップS19)では、乱数が一巡した場合に次回の値として設定する初期値乱数を更新する処理を行う。そして、RAMの停電検査領域をチェックする処理(ステップS21)を行い、停電が発生したか否かの判定(ステップS22)を行う。停電検査領域には、停電により遊技機の電源が遮断された場合にチェックデータとして所定の値が設定されるようになっている。よって、停電検査領域をチェックすることで停電が発生したか否かを判定することができる。
【0069】
停電が発生したか否かの判定(ステップS22)において、停電が発生していない場合(ステップS22;N)は、上述の割込みを禁止する処理(ステップS18)に戻り、以降、電源の遮断がなければ割込みを禁止する処理(ステップS18)から停電が発生したか否かの判定(ステップS22)を繰り返し行う。また、停電が発生したか否かの判定(ステップS22)において停電が発生した場合は、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。なお、停電発生の直後はバックアップ電源により停電発生時の処理を実行可能な電力が供給されるようになっている。
【0070】
この停電発生時の処理(ステップS23からS28)では、まず、割り込みを禁止する処理(ステップS23)を行う。そして、全出力ポートをOFFにする処理(ステップS24)を行い、停電発生検査領域をクリアする処理(ステップS25)を行う。さらに、停電復旧検査領域に停電復旧検査領域チェックデータをセーブする処理(ステップS26)を行った後、RAMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS27)を行い、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS28)を行って遊技機の電源遮断を待つ。このように、停電復旧検査領域に停電復旧検査領域チェックデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出することで、電源の遮断の前にRAMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているかを電源投入時に判断することができる。なお、RAM31cにおける遊技制御の作業領域として必要なデータは停電時にも保持され、このデータに基づき停電復旧時の処理が行われる。
【0071】
また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8,S14)において、キャリブレーション異常ありであった場合にも停電発生時の処理(ステップS23からS28)が行われる。この場合は停電ではないため遊技機100には電力が供給されており、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行った後、遊技機100への電源の再投入を待機するリセット待機状態となる。このようにすることにより基準磁気状態の記憶を確実に行わせることができるので、基準磁気状態の記憶がない状態での起動を防止でき、不正行為が検出できないような状態になることを防止できる。
【0072】
以上のことから、遊技制御装置30は、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が失敗したことを検出した場合に、遊技機100への電源の再投入を待機するリセット待機状態となるようにしたこととなる。
【0073】
ここで、図9を参照して遊技機の電源投入の際における処理のタイミングについて説明する。なお、ここでは停電復旧ではない場合もしくは停電復旧であるがRAMクリアスイッチが操作された場合、すなわち、RAMが初期化される場合であって、磁気センサ60のキャリブレーション動作が正常に終了する場合について説明する。
【0074】
遊技機100の電源を投入(t0)すると、略同時に遊技制御装置30にDC5Vが供給される。遊技制御装置30では、電源の供給に基づき遊技プログラムの正当性を判定するための処理であるセキュリティチェックが行われる(t0からta)。すなわち、遊技制御装置30が、遊技プログラムの正当性を判定する遊技プログラム正当性判定手段をなす。このセキュリティチェックが終了した後、遊技プログラムが開始されて図6に示したメイン処理が行われ、電源投入時の処理としてRAM初期化処理(ステップS10、S11)が行われる(taからtb)とともに、乱数更新処理(ステップS12)が行われる(tbからt3)。また、メイン処理ではキャリブレーションタイマによる計時が開始される。
【0075】
磁気センサ60では、遊技機100の電源が投入(t0)された後、DC12Vの電源電圧が所定の値に達すると、基準磁気状態記憶指令手段63が基準磁気状態記憶手段62に対して基準磁気状態の記憶の開始を指令してキャリブレーション動作が開始される(t1)。このキャリブレーション動作は、磁気センサ60の配置環境における磁気状態を基準磁気状態として記憶するためのものであり、所定のキャリブレーション時間(t1からt3)以内の時間(t1からt2)で実行される。そして、キャリブレーション動作の終了からキャリブレーション時間の終了までの期間(t2からt3)に、出力端子からキャリブレーション動作が正常に終了したか否かの情報が出力される。なお、この例ではキャリブレーション動作が正常に終了したものとする。このキャリブレーション時間の終了後、磁気センサ60は磁気検出動作を開始する。
【0076】
また、遊技制御装置30では、磁気センサ60のキャリブレーション時間が終了する際(キャリブレーション時間の終了よりも前)にキャリブレーションタイマによる計時が終了するようになっており、このときに磁気センサ60の出力端子の状態からキャリブレーション動作が正常に終了したか否かを判定する。そして、キャリブレーション動作が正常に終了していた場合は遊技制御を開始する。
【0077】
すなわち、遊技制御装置30が、遊技機100の電源の投入に基づき磁気センサ60の基準磁気状態記憶手段62が基準磁気状態の記憶を行う処理と並行して、遊技制御装置30を初期化する処理を行う初期化手段をなす。このように基準磁気状態記憶手段62が基準磁気状態の記憶を行う処理と並行して当該遊技制御装置30を初期化する処理を行うことで電源投入から遊技制御開始までの時間を短縮することができる。また、遊技プログラム正当性判定手段(遊技制御装置30)による判定処理、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶データを初期化する処理に続いて、基準磁気状態の記憶が完了するまでの期間にて乱数値の系列決定のための更新を行うようにしている。これにより、電源投入から遊技制御開始までの時間を短縮することができるとともに簡素な構成で乱数値の系列決定の攪拌を行うことができ、作業領域データ記憶手段の記憶データの初期化が完了してから基準磁気状態が記憶完了となるまでの時間を有効に活用することができる。
【0078】
以上のことから、当該遊技機100の電源の投入に基づき基準磁気状態記憶手段62が基準磁気状態の記憶を行う処理と並行して当該遊技制御装置30を初期化する処理を行う初期化手段(遊技制御装置30)を備えたこととなる。また、初期化手段(遊技制御装置30)は、当該遊技機100の電源の投入に基づき、基準磁気状態記憶手段62が基準磁気状態の記憶を行う処理と並行して、遊技プログラム正当性判定手段(遊技制御装置30)による判定処理を行い、該判定処理の終了後に作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶データを初期化する処理を行うとともに、作業領域データ記憶手段の記憶データを初期化する処理に続いて、記憶完了判定手段(遊技制御装置30)により基準磁気状態の記憶が完了したと判定されるまでの期間にて、乱数値の系列決定のための更新を行う乱数値初期化手段(遊技制御装置30)を備えたこととなる。
【0079】
磁気センサ60でのキャリブレーション動作が正常に終了していた場合に行われる遊技制御では、図10に示すタイマ割込み1処理が所定時間ごと(例えば、2msecごと)に行われる。このタイマ割込み1処理では、まず、レジスタのデータを待避する処理(ステップS40)を行う。次に、各種センサ(第1始動口SW13a、第2始動口SW7d、ゲートSW4a、入賞口SW12a,12a,…、カウントSW10c、ガラス枠開放SW146、遊技機枠開放SW121、磁気センサ60など)からの入力を処理する入力処理(ステップS41)を行う。そして、各種処理でセットされた出力データに基づき、ソレノイド(大入賞口SOL10b、普電SOL7b)等のアクチュエータの駆動制御を行うための出力の処理を行う出力処理(ステップS42)を行う。
【0080】
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置40等に出力するコマンド送信処理(ステップS43)を行う。そして、乱数更新処理(ステップS44)を行う。この乱数更新処理(ステップS44)では、特図変動表示ゲームの当りはずれを判定するための大当り判定用乱数や、特図変動表示ゲームの大当り図柄を判定するための大当り図柄乱数の更新を行う。なお、特図に関する乱数は、第1特図変動表示ゲーム用の乱数および第2特図変動表示ゲーム用の乱数のそれぞれについて同様の処理がなされる。また、普図変動表示ゲームの当りはずれを判定するための当り乱数や、特図変動表示ゲームでの変動パターンを決定するための変動パターン乱数の更新も行う。なお、乱数が一巡した場合は、次回の値として初期値乱数更新処理(ステップS19)で更新される初期値乱数を設定するようになっている。これにより、乱数の時間的な規則性を崩すことができる。
【0081】
次に、第1始動口SW13a、第2始動口SW7d、ゲートSW4a、入賞口SW12a,12a,…、カウントSW10cから信号の入力があるか否か(遊技球の検出を示す信号が入力されているか否か)の監視や、ガラス枠開放SW146、遊技機枠開放SW121、磁気センサ60などから信号の入力があるか否かに基づくエラーの監視を行う入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS45)を行う。この入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS45)においては、磁気センサ60から異常な磁気の検出を示す異常信号が入力されていた場合に、磁気エラーコマンドを送信バッファにセットする処理が行われる。そして、セットされた磁気エラーコマンドは、次回のコマンド送信処理(ステップS43)において演出制御装置40に対して送信されるようになっている。
【0082】
その後、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS46)を行う。この特図ゲーム処理(ステップS46)においては、第1始動入賞口13に備えられた第1始動口SW13aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してRAM31cに所定の上限数(例えば4)まで第1始動記憶として記憶する処理を行う。同様に、普通変動入賞装置7に備えられた第2始動口SW7dからの遊技球の検出信号の入力に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してRAM31cに所定の上限数(例えば4)まで第2始動記憶として記憶する処理を行う。
【0083】
また、第1始動記憶に基づく第1特図変動表示ゲームの開始時に、第1始動記憶に記憶されている大当り判定用乱数値をROM31bに記憶されている第1特図変動表示ゲーム用の大当り判定値(特定値)と比較し、第1特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理を行う。また、この処理の後に第1始動記憶数を1減算する。同様に、第2始動記憶に基づく第2特図変動表示ゲームの開始時に、第2始動記憶に記憶されている大当り判定用乱数値をROM31bに記憶されている第2特図変動表示ゲーム用の大当り判定値(特定値)と比較し、第2特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理を行う。また、この処理の後に第2始動記憶数を1減算する。また、第1始動記憶及び第2始動記憶の何れの処理においても、変動パターン乱数に基づき変動パターンを決定する処理も行う。また、大当り判定用乱数値が大当り判定値と一致する場合には、大当り図柄乱数に基づき特別結果態様を選択する処理を行う。
【0084】
そして、上述したような始動記憶の判定結果に基づき、第1特図表示器8もしくは第2特図表示器9に、特別識別情報を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。すなわち、遊技制御装置30が、始動記憶に基づき特図変動表示ゲームを実行制御可能な変動表示制御手段をなす。より具体的には、第1始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲームの実行制御を行う第1実行制御手段として、また、第2始動記憶に基づいて第2特図変動表示ゲームの実行制御を行う第2実行制御手段として機能する。なお、第1始動記憶及び第2始動記憶が記憶されている場合に、第2特図変動表示ゲームの実行制御を第1特図変動表示ゲームの実行制御に優先して実行するようになっている。すなわち、遊技制御装置30が、第1始動記憶よりも第2始動記憶を優先消化して実行する変動表示ゲーム制御手段をなす。
【0085】
また、特図変動表示ゲームの結果が大当たりの場合は、特図表示器に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。特図表示器に表示する特別結果態様は大当り判定用乱数値と同時に抽出して記憶される大当り図柄用乱数に基づき決定される。なお、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図表示器にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0086】
また、特別遊技状態を発生させる処理として、例えば、大入賞口SOL10bにより特別変動入賞装置10の開閉扉10aを開放し、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。そして、大入賞口に所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば25秒または0.3秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば15回、2回の何れか)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。これにより、遊技機100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、遊技者に所定の遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生させる遊技機として機能する。
【0087】
その後、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS47)を行う。普図ゲーム処理(ステップS47)では、普図始動ゲート4に備えられたゲートSW4aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM31bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理を行う。そして、普図表示器5で普通識別情報を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図表示器5に特別の結果態様(特定結果)を表示するとともに、普電SOL7bを動作させ、普通変動入賞装置7の開閉部材7a,7aを所定時間(例えば、0.5秒間)上述のように開放する制御を行う。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、普図表示器5にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0088】
その後、遊技機100に設けられ、遊技に関する各種情報を表示するセグメントLED6に関する処理を行うセグメントLED編集処理(ステップS48)を行う。そして、外部の管理装置に出力する信号を出力バッファにセットする処理を行う外部情報編集処理(ステップS49)を行う。次に、割込み終了宣言をする処理(ステップS50)を行い、待避したレジスタのデータを復帰する処理(ステップS51)を行った後、割込みを許可する処理(ステップS52)を行い、タイマ割込み1処理を終了する。
【0089】
以上のことから、遊技制御装置30は、所定間隔の割込信号を発生する割込信号発生手段(遊技制御装置30)を備え、遊技プログラムは、作業領域データ記憶手段(遊技制御装置30)の記憶データを初期化する処理を行い、該初期化の処理の後、所要のループ処理を行う処理を当該遊技機100の電源の投入から割込信号を受けつけるまでの間に行った後に割込信号を受けつけるメイン処理と、メイン処理の実行中に割込信号が発生すると、該メイン処理に割り込んで実行されるタイマ割込処理と、を含んでおり、乱数値初期化手段(遊技制御装置30)の処理は、メイン処理にて実行されるようにしたこととなる。
【0090】
次に演出制御装置40での遊技制御について図11から14を参照して説明する。図11に示すように、演出制御装置40では電源の投入に基づき出力ポートをオフにする処理(ステップS60)を行い、メモリを初期化する処理(ステップS61)を行う。その後、電源投入時の表示画面データを準備する処理(ステップS62)を行い、画面表示割込を許可する処理(ステップS63)を行う。これにより後述する画面表示割込処理で電源投入時の表示画面データが表示装置43に出力され、表示部43aに電源投入時の画像が表示されるようになる。この電源投入時の画像は、磁気センサ60において基準磁気状態を記憶する処理を行っていることを示す画像であって、例えば「キャリブレーション中」の文字を表示する。
【0091】
以上のことから、従属制御装置(演出制御装置40)は、該従属制御装置に電源が供給されると、基準磁気状態を記憶する処理を行っていることを示す情報を表示部43aに表示するようにしたこととなる。
【0092】
次に、遊技制御装置30との接続を確認する処理(ステップS64)を行い、接続があるか否かの判定(ステップS65)を行う。図15には、遊技制御装置30及び演出制御装置40のコマンド送受信回路を示した。ここで、演出制御装置40の送受信回路は、遊技制御装置30と接続されていない場合にはすべてのビットがONとなるようになっており、これにより演出制御装置40において遊技制御装置30との接続の有無を検出できるようになっている。なお、接続の検出の方法はこれに限られず、例えば、遊技制御装置30からの所定の信号の受信により接続の有無を検出するようにしても良い。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、遊技制御装置30との接続がされているか否かを判定する接続判定手段(演出制御装置40)を備えていることとなる。
【0093】
接続があるか否かの判定(ステップS65)において、接続がない場合(ステップS65;N)は、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS66)を行い、初期位置を検出したか否かの判定(ステップS67)を行う。初期化動作を開始する処理(ステップS66)では、装飾役物を駆動する役物駆動モータ41を動作して装飾役物を初期位置に移動させる動作を開始する。また、初期位置を検出したか否かの判定(ステップS67)では、役物位置検出センサ44からの検出信号により装飾役物が初期位置に移動したかを検出する。
【0094】
この初期位置を検出したか否かの判定(ステップS67)において、初期位置を検出していない場合(ステップS67;N)は、再び初期位置を検出したか否かの判定(ステップS67)を行う。また、初期位置を検出したか否かの判定(ステップS67)において、初期位置を検出した場合(ステップS67;Y)は、装飾役物の初期化動作を停止する処理(ステップS68)を行い、テストモードへ移行する。すなわち、遊技制御装置30と接続されていない場合は、遊技機100の製造時や検査時に演出制御装置40を単独で動作させるようにした場合などであり、この場合は、磁気センサ60のキャリブレーション動作を待つ必要がない。よって、この場合にはすぐに装飾役物の初期化動作を行い、演出制御装置単独で装飾役物の初期化動作を確認する場合の確認作業を早くし、演出制御装置40や装飾役物の検査効率を高めることができるようにしている。すなわち、遊技機100の電源投入の際に、接続判定手段(演出制御装置40)によって遊技制御装置30との接続がされていないと判定された場合には、電源投入時関連指令(RAM初期化コマンド、停電復旧コマンド)を受信することなしに電気的駆動源(役物駆動モータ41)を初期状態にする処理を行うようにしたこととなる。
【0095】
一方、接続があるか否かの判定(ステップS65)において、接続がある場合(ステップS65;Y)は、図12に示すように、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS69)を行う。そしてコマンドを受信すると、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)を行う。
【0096】
受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)において受信したコマンドがキャリブレーション異常コマンドであった場合は、キャリブレーション異常を報知する処理(ステップS77)を行い、遊技機の電源遮断を待つ。キャリブレーション異常を報知する処理(ステップS77)では、例えば、「電源を再投入して下さい」の文字を表示部43aに表示する処理を行う。また、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)において受信したコマンドが停電復旧コマンドであった場合は、通常画面に切り替える処理(ステップS76)を行い、装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS73)を行う。
【0097】
また、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)において受信したコマンドがRAM初期化コマンドであった場合は、RAM初期化報知画面に切り替える処理(ステップS71)を行う。これにより、電源投入時の画像がRAM初期化報知画面に切り替えられる。そして、警告音の出力を開始する処理(ステップS72)を行って、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS73)を行う。なお、図6に示すように、遊技制御装置30はRAM初期化コマンドを磁気センサ60のキャリブレーション動作が終了した後に送信するようにしており、図12に示すように、演出制御装置40はRAM初期化コマンドを受信した後に警告音の出力や装飾役物の初期化動作を開始するようにしている。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、電源投入時関連指令(RAM初期化コマンド、停電復旧コマンド)の受信に基づき可動装置(可動演出装置17)に関する所定の対応処理(例えば、初期位置に移動させる処理)を行うようにしたこととなる。
【0098】
これにより、スピーカ145,157や装飾役物の動作が基準磁気状態の記憶に影響を与えることがないようにすることができる。また、基準磁気状態の記憶と並行して乱数値の系列決定のための更新を行う処理である乱数更新処理(ステップS12)が行われる場合、この処理はRAM初期化コマンドが送信された際にはすでに終了しており、RAM初期化報知画面の表示タイミングや警告音の出力タイミングから乱数値の系列が外部から把握されることを防止できる。なお、演出制御装置40に電源が供給されると、基準磁気状態を記憶する処理を行っていることを示す情報を表示部43aに表示する処理である電源投入時の表示画面データを準備する処理(ステップS62)が行われるので、乱数更新タイミングが把握不能でありながらも、遊技機100に電源投入されたことが即時にわかるようになっている。
【0099】
そして、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS73)を行った後、初期位置を検出したか否かの判定(ステップS74)を行い、初期位置を検出していない場合(ステップS74;N)は、再び初期位置を検出したか否かの判定(ステップS74)を行う。また、初期位置を検出した場合(ステップS74;Y)は、装飾役物の初期化動作を停止する処理(ステップS75)を行い、図13に示すように、遊技画面に表示を切り替える処理(ステップS78)を行う。
【0100】
その後、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS79)を行い、コマンドを受信すると、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS80)を行う。
【0101】
受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS80)において受信したコマンドが磁気エラーコマンドであった場合は、報知判断処理(ステップS81)を行い、報知条件が成立したか否かの判定(ステップS82)を行う。磁気エラーコマンドは、磁気センサ60が磁気の異常を検出して遊技制御装置30に異常信号を出力した場合に、遊技制御装置30から演出制御装置40に送信されるコマンドである。すなわち、遊技制御装置30が、異常信号出力手段64から異常信号が出力されている場合に、従属制御装置(演出制御装置40)に対して異常発生の報知を指令する報知指令(磁気エラーコマンド)を送信する報知指令送信手段をなす。この磁気エラーコマンドの受信に基づき行われる報知判断処理(ステップS81)では、遊技機の状態に基づきエラー報知を行う条件である報知条件が成立するかを判断する。遊技機の状態とは、装飾役物の動作状態や入賞の発生の有無、入賞が発生した入賞口の種類などであり、これらを総合して判断することで誤ったエラー報知の発生を防止することができる。
【0102】
そして、報知条件が成立したか否かの判定(ステップS82)において、報知条件が成立した場合(ステップS82;Y)、すなわちエラー報知を行う場合は、磁気検出報知タイマを設定する処理(ステップS83)を行い、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS79)を行う。また、報知条件が成立したか否かの判定(ステップS82)において、報知条件が成立していない場合(ステップS82;N)、すなわちエラー報知を行わない場合は、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS79)を行う。
【0103】
また、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS80)において受信したコマンドが変動表示ゲーム関連コマンドであった場合は、変動表示用画面を初期化する処理(ステップS84)を行う。そして、必要に応じて装飾役物を作動する処理(ステップS85)を行って、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS79)を行う。
【0104】
図14には、演出制御装置40において所定時間ごとに行われる処理である画面表示割込処理を示した。この画面表示割込処理では、まず、表示画面データを出力する処理(ステップS90)を行う。この表示画面データを出力する処理(ステップS90)では、VDP40fにより生成された表示画面データを表示装置43に出力し、表示部43aに画像を表示する処理を行う。その後、磁気検出報知タイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS91)を行う。
【0105】
磁気検出報知タイマは、エラー報知の報知条件の成立に基づき設定されるもので、所定のエラー報知期間を計時するためのものである。この磁気検出報知タイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS91)において、磁気検出報知タイマがタイムアップしている場合(ステップS91;Y)は、磁気検出報知を停止する処理(ステップS94)を行い、画面表示割込処理を終了する。なお、磁気検出報知タイマが設定されていない期間はタイムアップしたものと判定されるようになっている。また、磁気検出報知タイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS91)において、磁気検出報知タイマがタイムアップしていない場合(ステップS91;N)は、所定の異常対応処理として磁気検出報知を実行する処理(ステップS92)を行う。この磁気検出報知を実行する処理(ステップS92)により表示部43aに異常な磁気を検出した旨の表示がなされる。そして、磁気検出報知タイマを更新する処理(ステップS93)を行い、画面表示割込処理を終了する。このような処理により、エラー報知の開始から所定のエラー報知期間だけエラー報知が行われるようになる。このように所定時間経過後にエラー報知が自動的に終了するようにしたことで、報知を解除するための操作が必要ない構成でありながらも、不正行為を警告するための効果は十分にあり、ある程度の誤報知が発生することが予想される環境で用いる遊技機の機能としては最適である。
【0106】
すなわち、異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段(磁気センサ60)からの検出信号を、遊技を統括的に制御する遊技制御装置30に入力するとともに、該遊技制御装置30によって(演出制御装置40を介して)検出信号に基づく所定の異常対応処理が行なわれることとなる。また、表示装置43が異常な磁気の発生を報知する報知手段をなす。また、演出制御装置40が、遊技制御装置30からの指令により、可動装置(可動演出装置17)と報知手段(表示装置43)の動作を制御する従属制御装置をなす。また、従属制御装置(演出制御装置40)は、報知手段(表示装置43)による報知を開始すると、所定の操作入力を必要とせずに、所定時間経過後に該報知手段による報知を停止するようにしたこととなる。
【0107】
なお、所定の異常対応処理として、表示部43aに異常な磁気を検出した旨の表示をするとしたが、この他に、例えば、遊技機100に設けられたスピーカ145,157による音声での報知、発光装置(各種LED基板42のLED)による光での報知などを行うようにしても良い。また、遊技機100が配設される島設備に設けられた表示装置やランプ、遊技店に設けられる管理装置(ホールコンピュータ)での報知を可能とするために遊技機の外部への異常状態の発生に関する情報の出力などを行うようにしても良い。
【0108】
以上のような遊技機100によれば、基準磁気状態と、現時点の磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常な磁気が発生したものとして遊技制御装置30に検出信号として異常信号を出力する磁気センサ60を備えるので、正確な不正検出を行うことができる。また、磁気センサ60が基準磁気状態を記憶するキャリブレーション動作を行う際に、キャリブレーション動作に影響を与える動作を行わないようにしているので、キャリブレーション動作を確実に行うことができ、正確な不正検出を行うことができるようになる。また、キャリブレーション動作と並行して初期化処理などが行われるので、電源投入から遊技制御開始までの時間を短縮することができる。
【0109】
なお、電源投入時の画像に、基準磁気状態の記憶に影響を与える虞のある電磁波を発生させる行為を行わないように要請する情報を表示する(例えば「携帯電話や無線機を使用しないで下さい」の文字を表示)ようにしても良い。このような表示を行うことで、遊技者や店員に注意を促すことができ、基準磁気状態の記憶に支障を与えないようにすることができる。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、当該遊技機の電源の投入から電源投入時関連指令(RAM初期化コマンド、停電復旧コマンド)を受信するまでの期間に、表示部43aにて電磁波を発生させないことを要請する表示をするようにしても良い。
【0110】
次に、この発明の第2実施形態について説明する。なお、基本的には、上述の第1実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本実施形態の遊技機は、キャリブレーション時間を計時するキャリブレーションタイマの値を用いてRAMクリアスイッチの操作を検出するようになっている。また、RAM31cの記憶領域において、キャリブレーションタイマ値の格納領域と停電の発生に基づきチェックデータが格納される停電検査領域とが兼用されるようになっている。
【0111】
図16には、RAM31cの作業領域を示した。CTC2カウントデータを格納する領域は、所定間隔で発生する割込信号の発生回数を計数するための記憶領域であって、この領域に記憶される値がキャリブレーションタイマ値となる。また、図17に示すように、RAM31cの記憶領域において、このCTC2カウントデータを格納する領域と、停電の発生に基づき停電発生検査用データ(停電発生フラグ)が格納される領域とが兼用されるようになっている。これにより、RAM31cの記憶領域を節約することができる。
【0112】
すなわち、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域には、割込信号の発生回数を計数するための計数領域(CTC2カウントデータ記憶領域)が配置されていることとなる。また、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域には、停電が発生したことを記憶する停電発生情報記憶領域(停電発生検査用フラグ記憶領域)が配置されていることとなる。また、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域は、所定の記憶領域が停電発生情報記憶領域(停電発生検査用フラグ記憶領域)と計数領域(CTC2カウントデータ記憶領域)とで兼用されていることとなる。
【0113】
このように記憶領域が配置された本実施形態の遊技機では、停電が発生すると図18に示すノンマスカブル割込み処理により停電発生検査用データが記憶されるようになっている。このノンマスカブル処理では、まず、レジスタを退避する処理(ステップS100)を行い、キャリブレーションタイマ領域の上位と停電発生フラグとの論理和を算出する処理(ステップS101)を行う。その後、算出結果をキャリブレーションタイマ領域(CTC2カウントデータを格納する領域)に格納する処理(ステップS102)を行い、レジスタを復帰する処理(ステップS103)を行う。この処理により停電発生検査用データ(停電発生フラグ)が記憶され、この停電発生検査用データの有無に基づき停電が発生したか否かを判定できるようになる。
【0114】
また、RAM31cの作業領域には、停電復旧時にRAM31c記憶されたデータの正当性を判定するためのチェックサムを記憶する電源断時チェックサムデータ記憶領域が配置されている。停電の発生時にこの電源断時チェックサムデータ記憶領域に格納されるチェックサムデータは、CTC2カウントデータ記憶領域を除く領域となっている。これは、CTC2カウントデータ記憶領域の値が、停電復旧時にチェックサムデータを検査するタイミングによって変化する値であるためである。
【0115】
すなわち、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域には、当該作業領域データ記憶手段に記憶されたデータの正当性を判定するための正当性判定領域(電源断時チェックサムデータ記憶領域)が配置されていることとなる。また、正当性判定領域(電源断時チェックサムデータ記憶領域)には、作業領域データ記憶手段(RAM31c)に係わるチェックサム値が格納されるチェックサム領域(電源断時チェックサムデータ記憶領域)が含まれるとともに、該チェックサム領域には、計数領域(CTC2カウントデータ記憶領域)の値を含まずに演算されたチェックサム値が格納されることとなる。
【0116】
図19,20には、本実施形態の遊技機におけるメイン処理を示した。このメイン処理では、まず、初期設定処理(ステップS1)を行い、割込みタイマを起動して図8に示したタイマ割込み2処理を有効とする処理(ステップS2)を行う。その後、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)を行う。
【0117】
このRAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)において、RAMクリアスイッチがONである場合(ステップS3;Y)は、上述のCTC2カウントデータ記憶領域に格納されたキャリブレーションタイマ値を取得する処理(ステップS110)を行い、この値をCOUNT_ONとする。その後、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS111)を行い、RAMクリアスイッチがONでない場合(ステップS111;N)は、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)を行う。また、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS111)において、RAMクリアスイッチがONである場合(ステップS111;Y)は、現在のキャリブレーションタイマ値(COUNT_ST)からCOUNT_ONを減算する処理(ステップS112)を行い、現在のキャリブレーションタイマ値(COUNT_ST)からCOUNT_ONを減算した値をSW確定回数とする。そして、SW確定回数が所定数であるか否かの判定(ステップS113)を行う。
【0118】
SW確定回数が所定数であるか否かの判定(ステップS113)において、SW確定回数が所定数でない場合(ステップS113;N)は、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS111)に戻る。また、SW確定回数が所定数であるか否かの判定(ステップS113)において、SW確定回数が所定数である場合(ステップS113;Y)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行う。すなわち、キャリブレーションタイマ値は所定のタイマ割込み時間(例えば2msec)毎に更新されるので、減算の結果が所定の値であれば所定期間RAMクリアスイッチがONであることとなり、この場合に初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行うようにしている。RAMクリアスイッチが所定期間操作されたことを検出する処理をこのような処理で行うことで、RAM31cの記憶領域を余分に使用する必要がなく、CPU31aのレジスタのみで処理することができる。
【0119】
図21には、このような処理によりRAMクリアスイッチが所定期間操作されたことを検出する例を示した。まず初めに、RAMクリアスイッチがON(ポート入力状態がHigh)となった際のキャリブレーションタイマ値がCOUNT_ONとして記憶される。その後、次回の割込信号が発生した時にもRAMクリアスイッチがON(ポート入力状態がHigh)であれば、この期間のRAMクリアスイッチの状態がHと確定される。以降、割込信号が発生した時にRAMクリアスイッチがON(ポート入力状態がHigh)であれば、順次その期間のRAMクリアスイッチの状態がHと確定される。このようにRAMクリアスイッチの状態がHと確定される回数は、そのときのキャリブレーションタイマ値(COUNT_ST)からCOUNT_ONを減算することで求められ、この値がSW確定回数となる。そして、SW確定回数が所定回数(N回)となった際にRAMクリアスイッチが所定期間操作されたと判定し、RAMクリアスイッチの操作に基づく処理(RAMの初期化処理)を行うようにしている。
【0120】
以上のことから、所要の初期化操作入力を行う初期化操作入力部(RAMクリアスイッチ)が設けられ、初期化手段(遊技制御装置30)は、計数領域(CTC2カウントデータ記憶領域)を、初期化操作入力部の操作に基づく信号入力が所定時間継続していることを判定するための領域として用い、当該遊技機100の電源投入の際に信号入力が所定時間継続していた場合に作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域を初期化するようにしたこととなる。
【0121】
図19に戻り、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)において、RAMクリアスイッチがONでない場合(ステップS3;N)は、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)を行う。この停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧でない場合(ステップS4;N)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行う。また、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧である場合(ステップS4;Y)は、上述の電源遮断時チェックサムデータ格納領域にバックアップされたRAM31cのチェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)を行う。
【0122】
チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常である場合(ステップS5;Y)は、停電復旧時の処理(ステップS6、S9)を行う。また、チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常でない場合(ステップS5;N)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行う。
【0123】
初期化の処理(ステップS10、S11、S15)では、まず、使用するRAMをクリアする処理(ステップS10)を行い、RAMにRAM初期時の初期値をセーブする処理(ステップS11)を行う。その後、RAM初期化コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS15)を行い、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。後述するように演出制御装置40では、RAM初期化コマンドの受信に基づき表示部43aに電源投入に係わる表示としてRAM初期化報知画面を表示する処理を行う。すなわち、初期化手段(遊技制御装置30)は、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域を初期化した際に初期化報知指令(RAM初期化コマンド)を従属制御装置(演出制御装置40)に送信するようにしたこととなる。
【0124】
一方、停電復旧時の処理(ステップS6、S9)では、まず、RAMに停電復旧時の初期値を設定する処理(ステップS6)を行い、停電復旧コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS9)を行って、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。
【0125】
このキャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)では、CTC2カウントデータ記憶領域の値を参照し、値が所定の値になった場合にタイムアップしたと判定する。このキャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)においてタイムアップしていない場合(ステップS7;N)は、再びキャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。また、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)においてタイムアップしている場合(ステップS7;Y)は、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)を行う。
【0126】
キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常なしである場合(ステップS8;Y)は、装飾役物初期化コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS114)を行い、タイマ割込み1を有効とする処理(ステップS17)を行って、メインループ処理(ステップS18からS22)を行い、遊技制御を開始する。
【0127】
すなわち、遊技制御装置30が、計数領域(CTC2カウントデータ記憶領域)の値が所定の値になった後に遊技制御を開始する遊技制御開始手段をなす。また、遊技制御装置30が、当該遊技機100の電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段をなす。また、遊技制御装置30が、記憶完了判定手段(遊技制御装置30)によって基準磁気状態の記憶が完了したと判定された場合に、従属制御装置(演出制御装置40)に対して記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を送信する記憶完了指令送信手段をなす。なお、遊技制御開始手段は、計数領域の値が所定の値になった直後ではなく、記憶完了判定手段(遊技制御装置30)によって基準磁気状態の記憶が完了したと判定された後に遊技制御を開始するようにしている。以上のことから、初期化手段(遊技制御装置30)は、割込信号の発生が開始された後に、計数領域(CTC2カウントデータ記憶領域)以外の領域を初期化するとともに、計数領域の値が所定の値になった後に遊技制御を開始する遊技制御開始手段(遊技制御装置30)を含み、記憶完了判定手段(遊技制御装置30)は、基準磁気状態の記憶完了の判定を、遊技制御開始手段が遊技制御を開始する前に行うようにしたこととなる。
【0128】
また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常ありである場合(ステップS8;N)は、キャリブレーション異常コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS16)を行い、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。
【0129】
メインループ処理(ステップS18からS22)では、まず、割込みを禁止する処理(ステップS18)を行い、初期値乱数更新処理(ステップS19)を行って、割込みを許可する処理(ステップS20)を行う。そして、RAMの停電検査領域をチェックする処理(ステップS21)を行い、停電が発生したか否かの判定(ステップS22)を行う。
【0130】
この停電が発生したか否かの判定(ステップS22)では、まず、キャリブレーションタイマ領域の上位と停電フラグマスクデータとの論理積を算出する処理(ステップS22a)を行い、算出結果が停電発生フラグと一致するか否かの判定(ステップS22b)を行う。そして、算出結果が停電発生フラグと一致するか否かの判定(ステップS22b)において、算出結果が停電発生フラグと一致する場合(ステップS22b;Y)は、停電が発生したと判定(ステップS22;Y)する。また、算出結果が停電発生フラグと一致するか否かの判定(ステップS22b)において、算出結果が停電発生フラグと一致しない場合(ステップS22b;N)は、停電が発生していないと判定(ステップS22;N)する。すなわち、停電が発生した場合に図18に示すノンマスカブル処理によって停電発生検査用フラグ記憶領域に格納される停電発生フラグの有無を判定することで、停電が発生したか否かを判定している。
【0131】
停電が発生したか否かの判定(ステップS22)において、停電が発生していない場合(ステップS22;N)は、上述の割込みを禁止する処理(ステップS18)に戻り、以降、電源の遮断がなければ割込みを禁止する処理(ステップS18)から停電が発生したか否かの判定(ステップS22)を繰り返し行う。また、停電が発生したか否かの判定(ステップS22)において停電が発生した場合は、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。なお、停電発生の直後はバックアップ電源により停電発生時の処理を実行可能な電力が供給されるようになっている。
【0132】
停電発生時の処理(ステップS23からS28)では、まず、割り込みを禁止する処理(ステップS23)を行う。そして、全出力ポートをOFFにする処理(ステップS24)を行い、停電発生検査領域をクリアする処理(ステップS25)を行う。さらに、停電復旧検査領域に停電復旧検査領域チェックデータをセーブする処理(ステップS26)を行った後、RAMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS27)を行う。このチェックサムデータは、電源断時チェックサムデータ記憶領域に格納される。そして、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS28)を行って遊技機の電源遮断を待つ。
【0133】
また、本実施形態の遊技機100における演出制御装置40での処理では、図12に示す処理に替えて図22に示す処理を行う。図11に示す接続があるか否かの判定(ステップS65)において、接続がある場合(ステップS65;Y)は、図22に示すように、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS69)を行う。そしてコマンドを受信すると、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)を行う。
【0134】
受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)で、受信したコマンドがRAM初期化コマンドであった場合は、RAM初期化報知画面に切り替える処理(ステップS71)を行う。これにより、電源投入時の画像がRAM初期化報知画面に切り替えられる。そして、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS120)を行う。そしてコマンドを受信すると、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS121)を行う。
【0135】
受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS121)で、受信したコマンドがキャリブレーション異常コマンドであった場合は、キャリブレーション異常を報知する処理(ステップS77)を行い、遊技機100の電源遮断を待つ。キャリブレーション異常を報知する処理(ステップS77)では、例えば、「電源を再投入して下さい」の文字を表示部43aに表示する処理を行う。
【0136】
また、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS121)で、受信したコマンドが装飾役物初期化コマンドであった場合は、警告音の出力を開始する処理(ステップS72)を行って、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS73)を行う。なお、図9に示すように、遊技制御装置30は装飾役物初期化コマンドを磁気センサ60のキャリブレーション動作が終了した後に送信するようにしており、図22に示すように、演出制御装置40は装飾役物初期化コマンドを受信した後に警告音の出力や装飾役物の初期化動作を開始するようにしている。これにより、スピーカ145,157や可動演出装置17の動作が基準磁気状態の記憶に支障を与えることを防止できる。
【0137】
以上のことから、従属制御装置(演出制御装置40)は、記憶完了指令の受信に基づき可動装置(可動演出装置17)に関する所定の対応処理(例えば、初期位置に移動させる処理)を行うようにしたこととなる。また、音声を出力する音声出力手段(スピーカ145,157)を備え、該音声出力手段の制御を従属制御装置(演出制御装置40)が行うように構成され、初期化手段(遊技制御装置30)は、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶領域を初期化した際に初期化報知指令(RAM初期化コマンド)を従属制御装置に送信し、従属制御装置は、初期化報知指令を受信した場合には、記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を受信した後に作業領域データ記憶手段の記憶領域が初期化されたことを報知する音声を音声出力手段から出力するように制御するようにしたこととなる。
【0138】
そして、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS73)を行った後、初期位置を検出したか否かの判定(ステップS74)を行い、初期位置を検出していない場合(ステップS74;N)は、再び初期位置を検出したか否かの判定(ステップS74)を行う。また、初期位置を検出した場合(ステップS74;Y)は、装飾役物の初期化動作を停止する処理(ステップS75)を行い、図13に示すように、遊技画面に表示を切り替える処理(ステップS78)を行う。
【0139】
一方、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)で、受信したコマンドが停電復旧コマンドであった場合は、通常画面に切り替える処理(ステップS76)を行い、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS122)を行う。そしてコマンドを受信すると、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS123)を行う。
【0140】
受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS123)で、受信したコマンドがキャリブレーション異常コマンドであった場合は、キャリブレーション異常を報知する処理(ステップS77)を行い、遊技機100の電源遮断を待つ。また、受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS123)で、受信したコマンドが装飾役物初期化コマンドであった場合は、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作を開始する処理(ステップS73)を行う。
【0141】
また、本実施形態の遊技機100では、電源投入時から装飾役物初期化コマンドの受信までの期間に表示される電源投入時の画像、RAM初期化報知画面及び通常画面に、基準磁気状態の記憶に影響を与える虞のある電磁波を発生させる行為を行わないように要請する情報を表示する(例えば「携帯電話や無線機を使用しないで下さい」の文字を表示)ようにしている。このような表示を行うことで、遊技者や店員に注意を促すことができ、基準磁気状態の記憶に支障を与えないようにすることができる。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、当該遊技機の電源の投入から記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を受信するまでの期間に、表示部43aにて電磁波を発生させないことを要請する表示をするようにしたこととなる。
【0142】
なお、図19に示すメイン処理において、RAM初期化コマンドを送信する処理(ステップS15)を行った後、キャリブレーションタイマがタイムアップする(ステップS7;Y)までの期間において、上述の第1実施形態の遊技機100と同様に特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数を攪拌する乱数更新処理(図6のステップS12)を行うようにしても良い。
【0143】
次に、この発明の第3実施形態について説明する。なお、基本的には、上述の第1実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本実施形態の遊技機は、キャリブレーション時間の終了まで遊技球の発射や排出を不能とするようにしている。
【0144】
図23,24には、本実施形態の遊技機におけるメイン処理を示した。このメイン処理では、まず、初期設定処理(ステップS1)を行い、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)を行う。
【0145】
このRAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)において、RAMクリアスイッチがONである場合(ステップS3;Y)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S13からS15、S134)を行う。また、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)において、RAMクリアスイッチがONでない場合(ステップS3;N)は、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)を行う。この停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧でない場合(ステップS4;N)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S13からS15、S134)を行う。また、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧である場合(ステップS4;Y)は、バックアップされたRAM31cのチェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)を行う。
【0146】
チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常である場合(ステップS5;Y)は、停電復旧時の処理(ステップS6からS9、S130からS133)を行う。また、チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常でない場合(ステップS5;N)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S13からS15、S134)を行う。
【0147】
初期化の処理(ステップS10、S11、S13からS15、S134)では、まず、使用するRAMをクリアする処理(ステップS10)を行い、RAMにRAM初期時の初期値をセーブする処理(ステップS11)を行う。その後、キャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS13)を行い、キャリブレーションは終了していない場合(ステップS13;N)は、再びキャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS13)を行う。また、キャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS13)において、キャリブレーションが終了した場合(ステップS13;Y)は、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)を行う。なお、上述の第1実施形態では、初期設定処理(ステップS1)の後に割込みタイマを起動して図8に示したタイマ割込み2処理を有効とする処理(ステップS2)を行うことでキャリブレーション時間を計時するようにしていたが、ここではメイン処理中の処理にてキャリブレーション時間を計時するようにしている。もちろん上述の第1実施形態と同様の処理により計時するようにしても良い。
【0148】
キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)において、キャリブレーション異常なしである場合(ステップS14;Y)は、RAM初期化コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS15)を行う。その後、発射許可コマンドを、従属制御装置をなす排出・発射制御装置50に送信する処理(ステップS134)を行い、図24に示す割込みタイマを起動する処理(ステップS135)を行って、メインループ処理(ステップS18からS22)を行う。また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS14)において、キャリブレーション異常ありである場合(ステップS14;N)は、図24に示すキャリブレーション異常コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS16)を行い、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。
【0149】
すなわち、遊技制御装置30が、当該遊技機100の電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段をなす。また、遊技制御装置30が、従属制御装置(排出・発射制御装置50)に対して記憶完了指令(発射許可コマンド)を送信する記憶完了指令送信手段をなす。
【0150】
一方、停電復旧時の処理(ステップS6からS9、S130からS133)では、まず、RAMに停電復旧時の初期値を設定する処理(ステップS6)を行う。このとき、例えば、特別変動入賞装置10の作動に係る遊技制御の状態などには初期値は設定されず、停電発生時に状態が維持されるようになっている。すなわち、遊技制御装置30が、停電発生時における変動入賞装置の作動に係わる遊技制御の状態を、停電復帰後に復帰させる遊技制御状態復帰手段をなす。
【0151】
そして、キャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS7)を行う。このキャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS7)において、キャリブレーションは終了していない場合(ステップS7;N)は、再びキャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS7)を行う。また、キャリブレーションは終了したか否かの判定(ステップS7)において、キャリブレーションが終了した場合(ステップS7;Y)は、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)を行う。
【0152】
キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常ありである場合(ステップS8;N)は、図24に示すキャリブレーション異常コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS16)を行い、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常なしである場合(ステップS8;Y)は、停電復旧コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS9)を行う。その後、発射許可コマンドを従属制御装置をなす排出・発射制御装置50に送信する処理(ステップS130)を行い、遊技制御開始タイマをセットする処理(ステップS131)を行う。この遊技制御開始タイマをセットする処理(ステップS131)では、遊技制御開始タイマに所定の初期値を設定する。
【0153】
そして、遊技制御開始タイマを1デクリメントする処理(ステップS132)を行い、遊技制御開始タイマがタイムアップしたかを判定する処理(ステップS133)を行う。遊技制御開始タイマがタイムアップしたかを判定する処理(ステップS133)では、遊技制御開始タイマの値を参照し、値が0である場合にタイムアップしたと判定する。この遊技制御開始タイマがタイムアップしたかを判定する処理(ステップS133)において遊技制御開始タイマがタイムアップしていない場合(ステップS133;N)は、遊技制御開始タイマを1デクリメントする処理(ステップS132)に戻る。また、遊技制御開始タイマがタイムアップしたかを判定する処理(ステップS133)において、遊技制御開始タイマがタイムアップしている場合(ステップS133;Y)は、図24に示す割込みタイマを起動する処理(ステップS135)を行って、メインループ処理(ステップS18からS22)を行う。すなわち、遊技制御状態復帰手段(遊技制御装置30)は、記憶完了指令を送信してから、所定時間経過後(遊技制御開始タイマがタイムアップした後)に遊技制御の状態を復帰させるようにしたこととなる。
【0154】
すなわち、基準磁気状態の記憶に影響を与えないようにするために、排出・発射制御装置50では記憶完了指令を受信した後に発射装置56を作動可能状態とするが、記憶完了指令の送信と同時に遊技制御の状態が復帰すると、発射された遊技球が変動入賞装置などに到達するまでの時間は遊技者が実質的に遊技を行えない時間となる。例えば、特別遊技状態において動作する大入賞口の特別変動入賞装置10の場合、所定数の遊技球が入賞するか、開放から所定の開放時間の経過が経過するかの何れかの条件が成立することにより大入賞口が閉鎖されるが、上述の遊技者が実質的に遊技を行えない時間が上記開放時間に含まれてしまうと遊技者にとっては不利となってしまう。しかし、遊技制御状態復帰手段が、記憶完了指令を送信してから所定時間経過後に遊技制御の状態を復帰させるようにすることで、停電復帰して遊技制御が復帰する前に遊技球の発射が復帰でき、このような遊技者にとって不利な状況が発生することを防止することができる。
【0155】
また、演出制御装置40では、図11から13に示す処理を行う。このうち図12に示す受信したコマンドに基づき処理を分岐する処理(ステップS70)において受信したコマンドが停電復旧コマンドであった場合に行われる通常画面に切り替える処理(ステップS76)では、遊技制御開始タイマにより設定される時間に合わせた表示をする処理を行う。遊技制御開始タイマにより設定される時間に合わせた表示は、遊技制御の状態の復帰タイミングに関する情報を表示するとともに、遊技制御の状態の復帰タイミングよりも前に、遊技者に遊技球の発射を促す情報を表示する。例えば、このような表示としては、遊技制御開始タイマで遊技制御の開始を待機する時間が5秒である場合は、4秒からカウントダウンを行う表示をし、遊技制御の開始1秒前に遊技者に遊技球の発射を開始させるようにする。これにより、発射した遊技球が例えば特別変動入賞装置10に到達するころに遊技制御が開始されるようになり、上述したような遊技者にとって不利な状況が発生することを防止できる。すなわち、遊技制御状態復帰手段(遊技制御装置30)は、(停電復旧コマンドの送信により演出制御装置40を介して)遊技制御の状態の復帰タイミングに関する情報を表示部43aに表示するとともに、遊技制御の状態の復帰タイミングよりも前に、遊技者に遊技球の発射を促す情報を表示部43aに表示するようにしている。
【0156】
次に、排出・発射制御装置50における制御処理について図25から32を参照して説明する。排出・発射制御装置50では、遊技機100の電源投入に基づき開始される図25,26に示す払出制御メイン処理と、払出制御メイン処理の実行中に所定時間ごと(例えば、2msecごと)に行われる図27に示すタイマ割込み処理と、通信の発生ごとに行われる図28に示す通信割込み処理と、が行われる。
【0157】
図25,26に示すメイン処理では、遊技機100の電源投入の際に電源投入時の処理(ステップS140からS156)が行われる。なお、排出・発射制御装置50は、遊技球の発射や払出が全て禁止された状態で起動するようになっている。電源投入時の処理では、まず、割込みを禁止する処理(ステップS140)を行い、割込みベクタをセットする処理(ステップS141)を行う。さらに割込みモードを設定する処理(ステップS142)を行い、全出力ポートをOFFにする処理(ステップS143)を行って、スタックポインタをセットする処理(ステップS144)。
【0158】
その後、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS145)を行う。排出・発射制御装置50のRAM51cは、電源供給装置のバックアップ電源によって、その記憶内容がバックアップされるようになっているが、電源投入時に所要の初期化操作入力を行う初期化操作入力部をなすRAMクリアスイッチがONである場合にはこれを初期化する処理を行う。このRAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS145)においてRAMクリアスイッチがONである場合(ステップS145;Y)は、初期化の処理(ステップS149、S150)を行う。また、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS145)においてRAMクリアスイッチがONでない場合(ステップS145;N)は、停電復旧であるか否かの判定(ステップS146)を行う。
【0159】
停電復旧であるか否かの判定(ステップS146)では、RAM51cの停電復旧検査領域をチェックし、停電復旧であるか否かを判定する。停電復旧検査領域には、後述するように停電により遊技機100の電源が遮断された場合に停電復旧検査領域チェックデータとして所定の値が設定される(ステップS165)ようになっている。よって、この停電復旧検査領域チェックデータをチェックすることで、停電復旧であるか否かを判定することができる。この停電復旧であるか否かの判定(ステップS146)において、停電復旧でない場合(ステップS146;N)は、初期化の処理(ステップS149、S150)を行う。また、停電復旧であるか否かの判定(ステップS146)において、停電復旧である場合(ステップS146;Y)は、バックアップされたRAM51cのチェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS147)を行う。
【0160】
チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS147)において、チェックサムが正常である場合(ステップS147;Y)は、停電復旧時の処理としてRAMに停電復旧時の初期値を設定する処理(ステップS148)を行う。また、このとき後述する受信監視タイマの初期値がセットされる。その後、割込みタイマを起動する処理(ステップS151)を行い、割込みを許可する処理(ステップS152)を行って、図26に示す発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)を行う。
【0161】
また、チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS147)において、チェックサムが正常でない場合(ステップS147;N)は、初期化の処理(ステップS149、S150)を行う。初期化の処理(ステップS149、S150)では、まず、使用するRAMをクリアする処理(ステップS149)を行い、RAMにRAM初期時の初期値をセーブする処理(ステップS150)を行う。また、このとき後述する受信監視タイマの初期値がセットされる。その後、割込みタイマを起動する処理(ステップS151)を行い、割込みを許可する処理(ステップS152)を行って、図26に示す発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)を行う。
【0162】
この発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)において、発射許可コマンドを受信している場合(ステップS153;Y)は、メインループ処理(ステップS157からS161)を行う。すなわち、従属制御装置(排出・発射制御装置50)は、当該遊技機100の電源の投入に基づき発射装置56を作動不能状態に設定して初期化処理を開始し、記憶完了指令(発射許可コマンド)を受信すると発射装置56を作動可能状態に変化させることとなる。また、当該遊技機100の電源投入の際に、賞球情報保持手段(排出・発射制御装置50)に排出が完了していない賞球の情報が保持されていた場合には、記憶完了指令を受信するまで賞球排出制御を待機するようにしたこととなる。上述したように発射許可コマンドは、基準磁気状態の記憶が完了した後に排出・発射制御装置50に送信されるものであり、排出・発射制御装置50がこの発射許可コマンドを受信した後に遊技球の排出や発射を可能とすることで、発射球、排出球や発射装置56、排出装置55の動作によって、基準磁気状態の記憶に支障を与えないようにすることができる。
【0163】
また、発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)において、発射許可コマンドを受信していない場合(ステップS153;N)は、受信監視タイマを更新する処理(ステップS154)を行い、受信監視タイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS155)を行う。この受信監視タイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS155)において、受信監視タイマがタイムアップしていない場合(ステップS155;N)は、再び発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)を行う。また、受信監視タイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS155)において、受信監視タイマがタイムアップしている場合(ステップS155;Y)は、遊技制御装置30と接続される排出・発射制御装置50の送受信回路の全てのビットがオンであるか否かの判定(ステップS156)を行う。なお、一度受信監視タイマがタイムアップした後は、常に受信監視タイマがタイムアップしている(ステップS155;Y)と判定されるようになっている。
【0164】
図29には、遊技制御装置30及び排出・発射制御装置50のコマンド送受信回路を示した。ここで、排出・発射制御装置50の送受信回路は、遊技制御装置30と接続されていない場合にはすべてのビットがONとなるようになっており、これにより排出・発射制御装置50において遊技制御装置30との接続の有無を検出できるようになっている。なお、接続の検出の方法はこれに限られず、例えば、遊技制御装置30からの所定の信号の受信により接続の有無を検出するようにしても良い。すなわち、従属制御装置(排出・発射制御装置50)は、遊技制御装置30との接続がされているか否かを判定する接続判定手段(排出・発射制御装置50)を備えている。
【0165】
全てのビットがオンであるか否かの判定(ステップS156)において、全てのビットがオンでない場合(ステップS156;N)、すなわち、遊技制御装置30と接続されている場合は、再び発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)を行う。また、全てのビットがオンであるか否かの判定(ステップS156)において、全てのビットがオンである場合(ステップS156;Y)、すなわち、遊技制御装置30と接続されていない場合は、メインループ処理(ステップS157からS161)を行う。遊技制御装置30と接続されていない場合は、遊技機100の製造時や検査時に排出・発射制御装置50を単独で動作させるようにした場合などであり、この場合はすぐに遊技球の発射や排出を可能として、排出・発射制御装置単独で発射装置56や排出装置55の動作を確認する場合に確認作業が早くなり、排出・発射制御装置50や発射装置56、排出装置55の製造時の検査効率を高めることができるようにしている。すなわち、当該遊技機100の電源投入の際に、接続判定手段(排出・発射制御装置50)によって遊技制御装置30との接続がされていないと判定された場合には、記憶完了指令を受信することなしに発射装置56を作動可能状態に変化させるようにしている。
【0166】
ここで、受信監視タイマは、遊技制御装置30から送信される発射許可コマンドを確実に受信できるようにするために設定されるものである。上述したように遊技制御装置30は磁気センサ60のキャリブレーションの終了を待って発射許可コマンドを送信する処理(ステップS130、S134)を行うようになっている。よって、遊技制御装置30が発射許可コマンドを送信する処理(ステップS130、S134)よりも、排出・発射制御装置50で発射許可コマンドを受信したか否かの判定(ステップS153)が行われるタイミングが早くなる。このため、受信監視タイマにより遊技制御装置30が発射許可コマンドを送信する処理(ステップS130、S134)を行うまでの時間を確保し、発射許可コマンドを確実に受信できるようにしている。また、遊技機100の電源投入後、排出・発射制御装置50は遊技制御装置30よりも早く起動するため、遊技制御装置30が起動するまでの時間を確保して、遊技制御装置30との接続を確認するための全てのビットがオンであるか否かの判定(ステップS156)を行う際に誤判定してしまうことを防止するようにしている。
【0167】
メインループ処理(ステップS157からS161)では、まず、発射装置56の制御に関する処理である発射制御判定処理(ステップS157)を行う。その後、球貸機からの球貸し要求を処理する球貸し制御処理(ステップS158)を行い、入賞口への入賞により発生する賞球に関する処理を行う賞球制御処理(ステップS159)を行う。そして、排出装置55の制御に関する処理である払出制御処理(ステップS160)を行い、停電が発生したか否かの判定(ステップS161)を行う。
【0168】
この停電が発生したか否かの判定(ステップS161)において、停電が発生していない場合(ステップS161;N)は、発射制御判定処理(ステップS157)に戻り、以降、電源の遮断がなければ発射制御判定処理(ステップS157)から停電が発生したか否かの判定(ステップS161)を繰り返し行う。また、停電が発生したか否かの判定(ステップS161)において、停電が発生した場合(ステップS161;Y)は、停電発生時の処理(ステップS162からS167)を行う。なお、停電発生の直後はバックアップ電源により停電発生時の処理を実行可能な電力が供給されるようになっている。
【0169】
この停電発生時の処理(ステップS162からS167)では、まず、割り込みを禁止する処理(ステップS162)を行う。そして、全出力ポートをOFFにする処理(ステップS163)を行い、停電発生検査領域をクリアする処理(ステップS164)を行う。さらに、停電復旧検査領域に停電復旧検査領域チェックデータをセーブする処理(ステップS165)を行った後、RAMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS166)を行い、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS167)を行って遊技機の電源遮断を待つ。また、この停電発生時の処理(ステップS162からS167)において、払い出しが完了していない賞球や貸球がある場合は、その情報がバックアップされるようになっている。すなわち、排出・発射制御装置50が、排出が完了していない賞球の情報を停電時にも保持する賞球情報保持手段(排出・発射制御装置50)を有している。
【0170】
図27に示すように、所定時間ごと(例えば、2msecごと)に行われるタイマ割込み処理では、まず、レジスタのデータを待避する処理(ステップS170)を行い、割込みマスクレジスタを設定する処理(ステップS171)を行う。次に、割込み終了を設定する処理(ステップS172)を行い、レジスタのデータを退避する処理(ステップS173)を行って、割込み許可を設定する処理(ステップS174)を行う。そして、各種処理でセットされた出力データに基づき、排出装置55や発射装置56の制御を行うための出力の処理を行う出力処理(ステップS175)を行い、各種センサ(シュート球切れSW57、オーバーフローSW58、排出球検出SW59など)からの入力を処理する入力処理(ステップS176)を行う。
【0171】
次に、各種処理でセットされたタイマを更新するタイマ更新処理(ステップS177)を行い、要求監視処理(ステップS178)、入力監視処理(ステップS179)を行う。次に、排出装置55に出力する信号を出力バッファにセットする処理を行う払出ユニット出力編集処理(ステップS180)を行い、外部の管理装置に出力する信号を出力バッファにセットする処理を行う外部情報出力編集処理(ステップS181)を行う。その後、レジスタのデータを復帰する処理(ステップS182)を行って、割込みマスクレジスタを設定する処理(ステップS183)行い、レジスタのデータを復帰する処理(ステップS184)を行ってタイマ割込み処理を終了する。
【0172】
図28には、通信割込み処理を示した。この通信割込み処理はストローブ信号がOFFからONになることに基づき開始される処理である。ここで、通信割込み処理で処理されることとなる遊技制御装置30から送信されるコマンドについて説明する。図30に示すように、遊技制御装置30から送信されるコマンドは、8ビットのうちBD0からBD3の4ビットを用いて送信されるようになっている。図31に示すように、一つのコマンドは、第1コマンド(負論理データ)と、該第1コマンドをビット反転した第2コマンド(正論理データ)との一対のデータにより構成されている。このコマンドは、図32に示すように、ストローブ信号の立ち上がり(OFFからON)のタイミングで第1コマンド(負論理データ)が送信され、ストローブ信号の立ち下がり(ONからOFF)で第2コマンド(正論理データ)が送信される。そして、受信した第1コマンドと第2コマンドが矛盾しない場合(一方の反転ビットが他方に一致する場合)に正しくコマンドを受信したと判定するようになっている。
【0173】
図28に示すように、この通信割込み処理では、まず、レジスタのデータを退避する処理(ステップS190)を行い、ポートからデータを読み込む処理(ステップS191)を行う。その後、STB(ストローブ)信号がOFFであるか否かの判定(ステップS192)を行う。
【0174】
STB信号がOFFであるか否かの判定(ステップS192)において、STB(ストローブ)信号がOFFである場合(ステップS192;Y)は、割込み終了宣言を行う処理(ステップS202)を行う。そして、レジスタのデータを復帰する処理(ステップS203)を行い、割込みを許可する処理(ステップS204)を行って、通信割込み処理を終了する。すなわち、通信割込み処理はSTB信号がONとなったことにより開始されるが、ここでSTB信号がOFFである場合は、例えばノイズなどにより誤って開始された場合であり、この場合は通信割込み処理を終了させるようにしている。また、STB信号がOFFであるか否かの判定(ステップS192)において、STB(ストローブ)信号がOFFでない場合(ステップS192;N)は、受信コマンドの有効ビット以外をマスクする処理(ステップS193)を行う。
【0175】
受信コマンドの有効ビット以外をマスクする処理(ステップS193)では、第1コマンドを構成するビット以外をマスクする処理を行い、その後、第1コマンドをセットする処理(ステップS194)を行って、ストローブ信号監視回数をセットする処理(ステップS195)を行う。次に、ポートからコマンドを取得する処理(ステップS196)を行い、STB信号がOFFであるか否かの判定(ステップS197)を行う。このSTB信号がOFFであるか否かの判定(ステップS197)においてSTB信号がOFFでない場合(ステップS197;N)は、ストローブ信号監視回数を1デクリメントする処理(ステップS200)を行い、ストローブ信号監視回数が0であるか否かの判定(ステップS201)を行う。
【0176】
ストローブ信号監視回数が0であるか否かの判定(ステップS201)において、ストローブ信号監視回数が0でない場合(ステップS201;N)は、ポートからコマンドを取得する処理(ステップS196)に戻る。また、ストローブ信号監視回数が0であるか否かの判定(ステップS201)において、ストローブ信号監視回数が0である場合(ステップS201;Y)は、割込み終了宣言を行う処理(ステップS202)を行う。そして、レジスタのデータを復帰する処理(ステップS203)を行い、割込みを許可する処理(ステップS204)を行って、通信割込み処理を終了する。すなわち、この場合は、所定時間内に第2コマンドを受信できなかった場合である。
【0177】
一方、STB信号がOFFであるか否かの判定(ステップS197)において、STB信号がOFFである場合(ステップS197;Y)は、取得コマンドの反転ビットが第1コマンドと一致するか否かの判定(ステップS198)を行う。すなわちこの場合は、ポートから取得したコマンドがストローブ信号の立ち下がりのタイミングで送信されたコマンドであり、このコマンドが先に受信した第1コマンドと矛盾がないかを検査する。
【0178】
取得コマンドの反転ビットが第1コマンドと一致するか否かの判定(ステップS198)において、取得コマンドの反転ビットが第1コマンドと一致しない場合(ステップS198;N)は、割込み終了宣言を行う処理(ステップS202)を行う。そして、レジスタのデータを復帰する処理(ステップS203)を行い、割込みを許可する処理(ステップS204)を行って、通信割込み処理を終了する。すなわち、この場合は、受信したコマンドが第1コマンドと矛盾する場合であり、この場合にはコマンドを無効として通信割込み処理を終了する。また、取得コマンドの反転ビットが第1コマンドと一致するか否かの判定(ステップS198)において、取得コマンドの反転ビットが第1コマンドと一致する場合(ステップS198;Y)は、コマンドを受信バッファにセーブする処理(ステップS199)を行う。その後、割込み終了宣言を行う処理(ステップS202)を行う。そして、レジスタのデータを復帰する処理(ステップS203)を行い、割込みを許可する処理(ステップS204)を行って、通信割込み処理を終了する。この通信割込み処理で受信した発射許可コマンドや賞球コマンドに基づき、遊技球の発射制御の開始処理や遊技球の排出制御が行われるようになっている。
【0179】
また、本実施形態の遊技機100は、磁気センサ60により前面枠120の開閉状態の検出が可能となっている。前面枠120は、一方の側部(遊技機100の前面側から見て左側の側部)が遊技店の島設備に固定される機枠110に回動可能に軸支されて扉状に開閉自在とされている。また、磁気センサ60は、前面枠120もしくは遊技盤1に取り付けられており、前面枠120を機枠110に対して開閉することで、磁気センサ60の配置状態(向きや位置)が変化するようになっている。そして、磁気センサ60は、機枠110に対して前面枠120を開閉することに伴う配置状態(向きや位置)の変化による磁気状態の変化(磁場の強さの変化や磁場の方向の変化)に基づき異常信号出力手段64が遊技制御装置30に対して異常信号を出力するようになっている。
【0180】
磁気センサ60のキャリブレーション動作は、遊技機100を使用する状態である機枠110に対して前面枠120を閉鎖した状態で行うため、この状態からの変化、すなわち前面枠120の開放に伴う磁気状態の変化に基づき異常信号が出力されるようになる。これにより磁気センサ60によって、不正に与えられた磁気だけでなく、前面枠120の開閉も検出できるようになる。
【0181】
また、磁気センサ60の基準磁気状態記憶手段62が記憶する基準磁気状態に、磁気センサ60の配置環境における地磁気の状態(磁場の方向)を含むようにしても良い。前面枠120は機枠110に対して一方の側部が軸着されているので、機枠110に対して前面枠120を開放することで前面枠120もしくは遊技盤1に取り付けた磁気センサ60は地磁気の磁場方向に対する向きが変化することとなる。よって、変化に基づき異常信号出力手段64が遊技制御装置30に異常信号を出力するようにすることで、前面枠120の開放状態を検出できるようになる。
【0182】
すなわち、遊技機100には開閉部材(前面枠120)が備えられ、基準磁気状態記憶手段62に記憶される基準磁気状態は、異常磁気検出手段(磁気センサ60)の配置環境における地磁気の状態を含んでおり、異常信号出力手段64は、異常磁気検出手段の配置方向が変化すると遊技制御装置30に異常信号を出力し、開閉部材に異常磁気検出手段を備えるようにしても良い。
【0183】
なお、磁気センサ60により前面枠120の機枠110に対する開閉を検出可能とするとしたが、クリア部材保持枠140の開閉状態を検出できるようにしても良い。また、機枠110側に別途磁気センサ60を設けて前面枠120の開閉に伴う磁気変化により前面枠120の開閉状態を検出できるようにしても良い。
【0184】
以上のことから、開状態と閉状態とに配置状態が変更可能な開閉部材(前面枠120)を備えるとともに当該開閉部材に異常磁気検出手段(磁気センサ60)を備え、異常信号出力手段64は、開閉部材の配置状態の変化に伴う磁気状態の変化に基づき遊技制御装置30に異常信号を出力するようにしたこととなる。
【0185】
次に、この発明の第4実施形態について説明する。なお、基本的には、上述の第1実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本実施形態の遊技機100は、演出制御装置40が遊技機100の電源の投入に基づき電気的駆動源(役物駆動モータ41)を駆動させない状態で初期化処理を開始し、記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を受信すると電気的駆動源を初期状態にする処理を行うようになっている。また、記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)は、遊技制御が開始してから所定時間の経過後に送信されるようになっている。
【0186】
図33,34には、本実施形態の遊技機におけるメイン処理を示した。このメイン処理では、まず、初期設定処理(ステップS1)を行い、演出制御装置40に接続確認コマンドを送信する処理(ステップS210)を行う。この接続確認コマンドは、演出制御装置40において遊技制御装置30との接続があるか否かを判定するためのものである。すなわち、遊技制御装置30は、基準磁気状態記憶手段62が基準磁気状態の記憶を行う処理と並行して従属制御装置(演出制御装置40)へ接続確認指令(接続確認コマンド)を送信するようにしたこととなる。その後、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)を行う。
【0187】
このRAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)において、RAMクリアスイッチがONである場合(ステップS3;Y)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行う。また、RAMクリアスイッチがONであるか否かの判定(ステップS3)においてRAMクリアスイッチがONでない場合(ステップS3;N)は、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)を行う。
【0188】
停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧でない場合(ステップS4;N)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行う。また、停電復旧であるか否かの判定(ステップS4)において、停電復旧である場合(ステップS4;Y)は、バックアップされたRAM31cのチェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)を行う。
【0189】
チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常である場合(ステップS5;Y)は、停電復旧時の処理(ステップS6、S9)を行う。また、チェックサムは正常であるか否かの判定(ステップS5)において、チェックサムが正常でない場合(ステップS5;N)は、初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を行う。
【0190】
初期化の処理(ステップS10、S11、S15)では、まず、使用するRAMをクリアする処理(ステップS10)を行い、RAMにRAM初期時の初期値をセーブする処理(ステップS11)を行う。その後、RAM初期化コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS15)を行い、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。
【0191】
一方、停電復旧時の処理(ステップS6、S9)では、まず、RAMに停電復旧時の初期値を設定する処理(ステップS6)を行い、停電復旧コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS9)を行って、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。
【0192】
キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)においてタイムアップしていない場合(ステップS7;N)は、再びキャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)を行う。また、キャリブレーションタイマはタイムアップしたか否かの判定(ステップS7)においてタイムアップしている場合(ステップS7;Y)は、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)を行う。
【0193】
キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常ありである場合(ステップS8;N)は、キャリブレーション異常コマンドを演出制御装置40に送信する処理(ステップS16)を行い、停電発生時の処理(ステップS23からS28)を行う。
【0194】
また、キャリブレーション異常なしか否かの判定(ステップS8)において、キャリブレーション異常なしである場合(ステップS8;Y)は、装飾役物初期化コマンドを演出制御装置40に送信する準備を行う処理(ステップS211)を行い、割込みタイマを起動する処理(ステップS212)を行って、メインループ処理(ステップS18からS22)を行う。この装飾役物初期化コマンドを演出制御装置40に送信する準備を行う処理(ステップS211)で準備された装飾役物初期化コマンドは、所定時間の経過後に演出制御装置40に送信される。このように、遊技制御が開始してから所定時間経過後に記憶完了指令の送信の処理を行うことで、作業領域データ記憶手段の記憶データの初期化が完了したタイミングから、可動演出装置17が初期化のために作動してしまうタイミングまでの間に時間的余裕を持たせることができ、この期間に電源を切ることができる。また、この期間では遊技制御が開始しているので電源を切るタイミングがわかりやすい。
【0195】
すなわち、遊技制御装置30が、電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段をなす。また、遊技制御装置30が、基準磁気状態の記憶が完了したと判定された場合に、従属制御装置に対して記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を送信する記憶完了指令送信手段をなす。また、遊技制御装置30が、当該遊技機100の電源投入の際に初期化操作入力(RAMクリアスイッチの操作)が行われた場合に、作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶データを初期化する処理を行う初期化手段をなす。また、初期化手段(遊技制御装置30)は、基準磁気状態記憶手段62が基準磁気状態の記憶を行う処理と並行して作業領域データ記憶手段(RAM31c)の記憶データを初期化する処理を行い、且つ、該初期化の処理(ステップS10、S11、S15)を、記憶完了判定手段(遊技制御装置30)によって基準磁気状態の記憶が完了したと判定される(ステップS8)以前に完了させるようにしたこととなる。また、遊技制御装置30は、初期化手段(遊技制御装置30)による初期化の処理の後に遊技制御を開始し、記憶完了指令送信手段(遊技制御装置30)は、遊技制御が開始してから所定時間経過後に記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)の送信の処理を行うようにしたこととなる。
【0196】
演出制御装置40では、図11,13,22に示す処理が行われる。このうち、図11における遊技制御装置30との接続を確認する処理(ステップS64)では、遊技制御装置30から送信される接続確認コマンドの受信の有無に基づき接続の有無を判定するようになっている。このような構成とすることで、遊技制御装置30の接続判定を、簡素な構成で実現することができる。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、遊技制御装置30との接続がされているか否かを判定する接続判定手段(演出制御装置40)を備えていることとなる。また、接続判定手段(演出制御装置40)は、当該遊技機100の電源投入の際に接続確認指令(接続確認コマンド)を受信した場合に、遊技制御装置30が接続されていると判定するようにしたこととなる。
【0197】
また、接続があるか否かの判定(ステップS65)において、接続がない場合(ステップS65;N)は、可動演出装置17などの装飾役物の初期化動作(ステップS66からS68)を行い、テストモードへ移行する。遊技制御装置30と接続されていない場合は、遊技機100の製造時や検査時に演出制御装置40を単独で動作させるようにした場合などであり、この場合は、磁気センサ60のキャリブレーション動作を待つ必要がない。よって、この場合にはすぐに装飾役物の初期化動作を行い、演出制御装置単独で装飾役物の初期化動作を確認する場合の確認作業を早くし、演出制御装置40や装飾役物の検査効率を高めることができるようにしている。すなわち、遊技機100の電源投入の際に、接続判定手段(演出制御装置40)によって遊技制御装置30との接続がされていないと判定された場合には、記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を受信することなしに電気的駆動源(役物駆動モータ41)を初期状態にする処理を行うようにしたこととなる。
【0198】
また、遊技制御装置30と接続されている場合には、図22に示すように、遊技制御装置30でRAMの初期化が完了した際に送信されるRAM初期化コマンドを受信すると、電源投入時の表示画面からRAM初期化報知画面に切り替える処理(ステップS71)が行われる。そして、磁気センサ60のキャリブレーションが終了し、遊技制御が開始してから所定時間経過後に記憶完了指令をなす装飾役物初期化コマンドを受信した後に装飾役物の初期化動作を開始する(ステップS73)ようになっている。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、当該遊技機100の電源の投入に基づき電気的駆動源(役物駆動モータ41)を駆動させない状態で初期化処理を開始し、記憶完了指令(装飾役物初期化コマンド)を受信すると電気的駆動源を初期状態にする処理を行うようにしている。
【0199】
また、RAMの初期化が終わってから装飾役物が初期化動作を開始するまでに時間があり、この期間を表示部43aにRAM初期化報知画面を表示することで報知するようにしている。これにより、装飾役物の初期化動作を行わずにRAMの初期化のみを行って遊技機100の電源を切ることができる。
【0200】
次に、図35を参照して遊技機の電源投入の際における処理のタイミングについて説明する。なお、ここでは停電復旧ではない場合もしくは停電復旧であるがRAMクリアスイッチが操作された場合、すなわち、RAMが初期化される場合であって、磁気センサ60のキャリブレーション動作が正常に終了する場合について説明する。
【0201】
遊技機100の電源を投入(t0)すると、略同時に遊技制御装置30にDC5Vが供給される。遊技制御装置30では、電源の供給に基づき遊技プログラムの正当性を判定するための処理であるセキュリティチェックが行われる(t0からta)。このセキュリティチェックが終了した後、遊技プログラムが開始されて図33に示したメイン処理が行われ、電源投入時の処理としてRAM初期化処理(ステップS10、S11)が行われる(taからtb)。このRAM初期化処理が終了した際(tb)、遊技制御装置30から演出制御装置40にRAM初期化コマンドが送信される。その後、キャリブレーションの終了を待つ(tbからt3)。なお、この期間に第1実施形態の遊技機と同様に乱数更新処理を行っても良い。
【0202】
磁気センサ60では、遊技機100の電源が投入(t0)された後、DC12Vの電源電圧が所定の値に達すると、基準磁気状態記憶指令手段63が基準磁気状態記憶手段62に対して基準磁気状態の記憶の開始を指令してキャリブレーション動作が開始される(t1)。このキャリブレーション動作は所定のキャリブレーション時間(t1からt3)以内の時間(t1からt2)で実行される。そして、キャリブレーション動作の終了からキャリブレーション時間の終了までの期間(t2からt3)に、出力端子からキャリブレーション動作が正常に終了したか否かの情報が出力される。なお、この例ではキャリブレーション動作が正常に終了したものとする。このキャリブレーション時間の終了後、磁気センサ60は磁気検出動作を開始する。
【0203】
また、遊技制御装置30では、磁気センサ60のキャリブレーション時間が終了する際(キャリブレーション時間の終了よりも前)にキャリブレーションタイマによる計時が終了するようになっており、このときに磁気センサ60の出力端子の状態からキャリブレーション動作が正常に終了したか否かを判定する。そして、キャリブレーション動作が正常に終了していた場合は遊技制御を開始する。また、遊技制御装置30は、キャリブレーションが正常に終了した際(t3)に装飾役物初期化コマンドを送信する準備を行い(ステップS211)、所定時間の経過後に装飾役物初期化コマンドを演出制御装置40に送信する(t4)。
【0204】
演出制御装置40は、遊技機100の電源を投入(t0)後、DC5Vが供給されると起動し、初期化処理(図11のステップS60からS65、図22のS69からS71)を行い、装飾役物初期化コマンドの受信を待つ(図22のステップS121)。そして、装飾役物初期化コマンドの受信に基づき装飾役物の初期化動作を行い(t4からt5)、その後通常動作となる。
【0205】
このとき、演出制御装置40は、電源の投入からRAM初期化コマンドを受信するまでの期間(t0からtb)において、表示部43aに電源投入時の画面を表示する。そして、RAM初期化コマンドの受信から装飾役物初期化コマンドを受信するまでの期間(tbからt4)において、表示部43aにRAM初期化報知画面を表示するようになっている。よって、RAM初期化報知画面を表示している期間(tbからt4)の間に遊技機100の電源を切れば、装飾役物の初期化動作を行わずにRAMの初期化のみを行って遊技機100の電源を切ることができる。
【0206】
次に、この発明の第5実施形態について説明する。なお、基本的には、上述の第1実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本実施形態の遊技機100は、磁気センサ60に関する処理を行う磁気エラー監視処理(ステップS230)を行うようになっている。
【0207】
図36には、本実施形態の遊技機100におけるタイマ割込み1処理を示した。このタイマ割込み1処理は、図10に示したタイマ割込み1処理に、磁気センサ60に関する処理を行う磁気エラー監視処理(ステップS230)を加えたものとなっている。
【0208】
この磁気エラー監視処理(ステップS230)では、図37に示すように、まず、磁気エラー検出タイマを更新する処理(ステップS240)を行い、磁気エラー検出タイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS241)を行う。この磁気エラー検出タイマは磁気エラー検出のスキャンタイミング(例えば、500msec)を設定するためのものである。その後、磁気センサ60の状態を取得する処理(ステップS242)を行い、磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)を行う。
【0209】
磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)では、磁気センサ60の異常信号出力手段64から出力される異常信号を受信している場合に磁気センサ60がONであると判定するようになっている。この磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)において、磁気センサ60がONでない場合(ステップS243;N)は、磁気エラー検出タイマにタイマ値をセットする処理(ステップS245)を行い、磁気エラー監視処理を終了する。また、磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)において、磁気センサ60がONである場合(ステップS243;Y)は、磁気エラーコマンドを設定する処理(ステップS244)を行う。そして、磁気エラー検出タイマにタイマ値をセットする処理(ステップS245)を行い、磁気エラー監視処理を終了する。ここで設定された磁気エラーコマンドは、後に演出制御装置40に送信される。すなわち、遊技制御装置30は、異常信号出力手段64から異常信号が出力されている場合に、従属制御装置(演出制御装置40)に対して異常発生の報知を指令する報知指令(磁気エラーコマンド)を送信する報知指令送信手段をなす。報知指令送信手段(遊技制御装置30)は、異常信号出力手段64からの異常信号の受信に対応して従属制御装置(演出制御装置40)に対し報知指令(磁気エラーコマンド)を送信するようにしている。
【0210】
演出制御装置40では、図11から14に示す処理が行われる。そして、図13に示すように、磁気エラーコマンドを受信した場合は、報知判断処理(ステップS81)を行い、報知条件が成立したか否かの判定(ステップS82)を行う。磁気エラーコマンドの受信に基づき行われる報知判断処理(ステップS81)では、装飾役物の動作状態や入賞の発生の有無、入賞が発生した入賞口の種類などを総合して判断し、エラー報知を行う報知条件が成立するか否かを決定する。そして、報知条件が成立したか否かの判定(ステップS82)において、報知条件が成立した場合(ステップS82;Y)、すなわちエラー報知を行う場合は、磁気検出報知タイマを設定する処理(ステップS83)を行い、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS79)を行う。また、報知条件が成立したか否かの判定(ステップS82)において、報知条件が成立していない場合(ステップS82;N)、すなわちエラー報知を行わない場合は、遊技制御装置30からのコマンドの受信を待つ処理(ステップS79)を行う。
【0211】
エラー報知は、図14に示す画面表示割込処理における磁気検出報知を実行する処理(ステップS92)により、表示部43aに異常な磁気を検出した旨の表示をすることで行われる。また、エラー報知は所定のエラー報知期間だけ行われる。このように所定時間経過後にエラー報知が自動的に終了するようにしたことで、報知を解除するための操作が必要ない構成でありながらも、不正行為を警告するための効果は十分にあり、ある程度の誤報知が発生することが予想される環境で用いる遊技機の機能としては最適である。すなわち、従属制御装置(演出制御装置40)は、報知手段(表示装置43)による報知を開始すると、所定の操作入力を必要とせずに、所定時間経過後に該報知手段による報知を停止するようにしたこととなる。
【0212】
なお、所定の異常対応処理として、表示部43aに異常な磁気を検出した旨の表示をするとしたが、この他に、例えば、遊技機100に設けられたスピーカ145,157による音声での報知、発光装置(各種LED基板42のLED)による光での報知などを行うようにしても良い。また、遊技機100が配設される島設備に設けられた表示装置やランプ、遊技店に設けられる管理装置(ホールコンピュータ)での報知を可能とするために遊技機の外部への異常状態の発生に関する情報の出力などを行うようにしても良い。
【0213】
次に、図38,39を参照して本実施形態の遊技機の第1変形例について説明する。本変形例の遊技機100は、可動演出装置17を間欠動作している際の可動演出装置17の動作態様と磁気エラーコマンドの受信態様とに基づいて磁気エラー報知を行うか否かを決定するようにしている。
【0214】
可動演出装置17(装飾役物)を動作すると、可動演出装置17を動作する電気的駆動源(役物駆動モータ41)の動作による磁気状態の変化を磁気センサ60が検出し、遊技制御装置30から演出制御装置40に磁気エラーコマンドが送信される。演出制御装置40では、このような場合における磁気エラーコマンドの受信を、可動演出装置17の動作に基づくものであるとし、エラー報知を行わない(報知条件が成立しない)ようにしている。しかし、可動演出装置17の動作に合わせて磁気を発生する不正行為が行われている場合、このような不正行為を検出できない虞がある。このため、可動演出装置17を間欠動作し、可動演出装置17の動作態様と磁気エラーコマンドの受信態様とに基づいて磁気エラー報知を行うか否かを決定するようにしている。すなわち、間欠動作のタイミングを早くしたり不規則にしたりすると、可動演出装置17の動作に合わせて不正行為を行おうとしている遊技者が可動演出装置17の動作に追従できずに、可動演出装置17が動作していないときにも磁気による不正行為を行う可能性がある。このとき、可動演出装置17の動作態様と磁気エラーコマンドの受信態様とに矛盾が生じるため、不正行為を検出することができる。なお、間欠動作は遊技の演出に関連して行う場合の他、不正行為を検出することを目的として、例えば、所定時間毎に行ったり、可動演出装置17が動作していない状態で磁気エラーコマンドを受信した場合に行ったりしても良い。
【0215】
このような不正行為の検出を行うため、演出制御装置40では、磁気エラーコマンドに基づく役物動作判定を行う。この役物動作判定は、磁気エラーコマンドを受信した際に動作状態と判定するとともに、連続する2回の磁気エラー検出のスキャンタイミングにおいていずれも磁気エラーコマンドを受信している場合に、その期間を動作状態と判定するようになっている。
【0216】
図38には、異常が検出されない場合を示した。磁気エラー検出のスキャンタイミングa(t10)において可動演出装置17が動作していない時は、磁気状態が基準状態にあるため磁気エラーコマンドは出力されない。その後、可動演出装置17の動作を開始する(t11)と磁気状態が変化し、スキャンタイミングb(t12)において磁気状態の異常が検出されて磁気エラーコマンドが送信される。また、これに基づき役物動作判定が動作状態と判定される。次のスキャンタイミングc(t13)においても可動演出装置17の動作が継続しており、磁気状態の異常が継続している場合には、再び磁気エラーコマンドが送信される。また、これに基づき、スキャンタイミングbから継続して役物動作判定は動作状態と判定される。
【0217】
その後、可動演出装置17の動作が終了する(t15)と磁気状態が基準状態に戻り、次のスキャンタイミングd(t16)では磁気エラーコマンドは送信されない。これに基づき、スキャンタイミングbでの磁気エラーコマンドの受信開始からスキャンタイミングcでの磁気エラーコマンドの受信終了までの期間(t12からt14)を役物動作判定において役物動作と確定する。
【0218】
次のスキャンタイミングe(t17)では、可動演出装置17が動作しておらず、磁気状態が基準状態にあるため磁気エラーコマンドは出力されない。その後、可動演出装置17が再び動作を開始する(t18)と磁気状態が変化し、次のスキャンタイミングf(t19)において磁気状態の異常が検出されて磁気エラーコマンドが送信される。また、これに基づき役物動作判定が動作状態と判定される。その後、可動演出装置17の動作が終了する(t21)と磁気状態が基準状態に戻り、次のスキャンタイミングg(t22)では磁気エラーコマンドは送信されない。これに基づき、前回のスキャンタイミングfでの磁気エラーコマンドの受信開始から受信終了までの期間(t19からt20)を役物動作判定において役物動作と確定する。
【0219】
スキャンタイミングaからgの期間では、可動演出装置17の動作期間(t11からt15、t18から21)内に役物動作判定で動作状態と判定された期間(t12からt14、t19からt20)があることとなる。すなわち、可動演出装置17の動作態様と磁気エラーコマンドの受信態様とに矛盾がなく、この場合にはエラー報知は行わない。
【0220】
図39には、異常が検出される場合を示した。磁気エラー検出のスキャンタイミングh(t30)において可動演出装置17が動作していない時は、磁気状態が基準状態にあるため磁気エラーコマンドは出力されない。その後、可動演出装置17の動作を開始する(t31)と磁気状態が変化し、スキャンタイミングi(t32)において磁気状態の異常が検出されて磁気エラーコマンドが送信される。また、これに基づき役物動作判定が動作状態と判定される。そして、可動演出装置17の動作が終了する(t33)と磁気状態が基準状態に戻るはずであるが、何らかの原因(例えば不正行為)による磁気状態の異常が検出されているため、このスキャンタイミングj(t34)では磁気エラーコマンドが送信されている。これに基づき、スキャンタイミングiから継続して役物動作判定は動作状態と判定される。さらに、次のスキャンタイミングk(t35)でも何らかの原因(例えば不正行為)による磁気状態の異常が検出されているため、磁気エラーコマンドが送信されており、これに基づき、スキャンタイミングjから継続して役物動作判定は動作状態と判定される。
【0221】
その後、可動演出装置17の動作を再び開始する(t36)と磁気状態が変化し、次のスキャンタイミングl(t37)において磁気状態の異常が検出されて磁気エラーコマンドが送信される。また、これに基づき、スキャンタイミングkから継続して役物動作判定は動作状態と判定される。ここで、スキャンタイミングhからlの期間では、可動演出装置17は2回動作しているにもかかわらず、役物動作判定では動作状態であるのは1回と判定されており、可動演出装置17の動作態様と磁気エラーコマンドの受信態様とに矛盾が生じている。そして、このような矛盾が検出された場合に報知条件が成立したものとしてエラー報知を行うようになっている(t39)。
【0222】
すなわち、演出制御装置40が報知指令(磁気エラーコマンド)を受信した場合に、可動装置(可動演出装置17)の動作状態に基づいて報知手段(表示装置43)による報知を行うか否かを決定する報知実行決定手段をなす。また、報知実行決定手段(演出制御装置40)は、可動装置(可動演出装置17)が間欠動作している際における可動装置の動作態様と報知指令(磁気エラーコマンド)の受信態様とに基づいて報知手段(表示装置43)による報知を行うか否かを決定するようにしたこととなる。
【0223】
次に、図40を参照して本実施形態の遊技機の第2変形例について説明する。本変形例の遊技機100は、所定部位を遊技球が通過したことを検出する遊技球検出手段と、磁気センサ60からの異常検出と、に基づき磁気エラーコマンドを出力するか否かを決定するようにしている。
【0224】
本変形例の遊技機では、図37に示す磁気エラー監視処理に替えて図40に示す磁気エラー監視処理を行う。この磁気エラー監視処理では、まず、磁気エラー検出タイマを更新する処理(ステップS240)を行い、磁気エラー検出タイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップS241)を行う。その後、磁気センサ60の状態を取得する処理(ステップS242)を行い、磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)を行う。
【0225】
磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)では、磁気センサ60の異常信号出力手段64から異常信号を受信している場合に磁気センサ60がONであると判定するようになっている。この磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)において、磁気センサ60がONでない場合(ステップS243;N)は、磁気エラー検出タイマにタイマ値をセットする処理(ステップS245)を行い、磁気エラー監視処理を終了する。また、磁気センサ60がONであるか否かの判定(ステップS243)において、磁気センサ60がONである場合(ステップS243;Y)は、入賞口及びゲートSWの状態を取得する処理(ステップS250)を行う。
【0226】
入賞口及びゲートSWの状態を取得する処理(ステップS250)では、所定部位を遊技球が通過したことを検出する遊技球検出手段をなす第1特図(特図1)始動口SW13a、第2特図(特図2)始動口SW7d、入賞口SW12a,…、ゲートSW4a、カウントSW10cにおける遊技球の検出状態を取得する。その後、ONしたSWがあるか否かの判定(ステップS251)を行う。
【0227】
ONしたSWがあるか否かの判定(ステップS251)において、ONしたSWがない場合(ステップS251;N)は、磁気エラー検出タイマにタイマ値をセットする処理(ステップS245)を行い、磁気エラー監視処理を終了する。また、ONしたSWがあるか否かの判定(ステップS251)において、ONしたSWがある場合(ステップS251;Y)は、磁気エラーコマンドを設定する処理(ステップS244)を行う。そして、磁気エラー検出タイマにタイマ値をセットする処理(ステップS245)を行い、磁気エラー監視処理を終了する。ここで設定された磁気エラーコマンドは、後に演出制御装置40に送信される。
【0228】
このように、遊技球検出手段による検出と、異常信号出力手段64から異常信号の出力が同期して発生した場合に磁気エラーコマンドを送信するので、誤った異常判定が行われる機会を減らすことができる。すなわち、異常信号出力手段64から異常信号が出力された場合でも、遊技球検出手段による検出と無関係であれば不正に遊技される虞がないと考えられるため誤って異常判定する機会を減らすことができる。
【0229】
以上のことから、遊技球を発射して遊技が行われる遊技領域1aが形成されるとともに、該遊技領域1aには、所定部位を遊技球が通過したことを検出する遊技球検出手段(第1特図(特図1)始動口SW13a、第2特図(特図2)始動口SW7d、入賞口SW12a,…、ゲートSW4a、カウントSW10c)が備えられ、報知指令送信手段(遊技制御装置30)は、遊技球検出手段による検出と、異常信号出力手段64から異常信号の出力が同期して発生した場合に、報知指令(磁気エラーコマンド)を送信するようにしたこととなる。
【0230】
なお、遊技球を検出した遊技球検出手段の種類によって磁気エラー報知を行うか否かを決定するようにしても良い。この場合、遊技制御装置30は、磁気エラーコマンドに遊技球を検出した遊技球検出手段の種類に関する情報を含めて演出制御装置40に送信するようにする。そして、演出制御装置40では、図13に示す報知判断処理(ステップS81)において、磁気エラーコマンド含まれる遊技球を検出した遊技球検出手段の種類に関する情報に基づき、報知条件が成立するか否か(磁気エラー報知を行うか否か)を決定する。この決定においては、例えば、遊技球を検出した遊技球検出手段が、普図始動ゲートに設けられたゲートSWである場合は、遊技店の損害が少ないため報知を行わないとする。また、遊技球を検出した遊技球検出手段が、第1始動入賞口13に設けられた第1特図始動口SW13aである場合は、遊技店の損害が大きくなるため報知を行うようにする。このようにすることで、報知手段による報知を行うか否かの決定の判断が、例えば、遊技球検出手段の重要度(単なるゲートは重要度が低く、始動口は重要度が高いなど)に対応して行われるため、適切な判断が行えるようになる。
【0231】
以上のことから、報知指令送信手段(遊技制御装置30)は、遊技球を検出した遊技球検出手段(第1特図(特図1)始動口SW13a、第2特図(特図2)始動口SW7d、入賞口SW12a,…、ゲートSW4a、カウントSW10c)の種類に対応付けられた報知指令を送信し、報知実行決定手段(演出制御装置40)は、受信した報知指令(磁気エラーコマンド)に対応付けられた遊技球検出手段の種類に基づいて、報知手段(表示装置43)による報知を行うか否かを決定することとなる。
【0232】
以上のような遊技機100は、磁気を発生する電気的駆動源によって遊技領域1aに遊技球の発射を行う発射装置56と、遊技を統括的に制御する遊技制御装置30と、発射装置56の動作に係わる制御を行う従属制御装置(排出・発射制御装置50)と、異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段(磁気センサ60)と、を備えた遊技機100であって、異常磁気検出手段は、当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態を、基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段62と、基準磁気状態と、現時点における当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常な磁気が発生したものとして遊技制御装置30に異常信号を出力する異常信号出力手段64と、を備えるとともに、基準磁気状態記憶手段は、当該遊技機100の電源の投入に基づき基準磁気状態の記憶を開始し、遊技制御装置30は、当該遊技機100の電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段(遊技制御装置30)と、基準磁気状態の記憶が完了したと判定された場合に、従属制御装置に対して記憶完了指令を送信する記憶完了指令送信手段(遊技制御装置30)と、を備え、従属制御装置は、当該遊技機100の電源の投入に基づき発射装置56を作動不能状態に設定して初期化処理を開始し、記憶完了指令を受信すると発射装置56を作動可能状態に変化させるようにしている。
【0233】
したがって、異常磁気検出手段は、配置環境における磁気状態を基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段62と、基準磁気状態と現時点における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に異常信号を出力する異常信号出力手段64とを備えるので、正確な不正検出を行うことができる。すなわち、基準となる磁気状態として、機種毎の差異の他、遊技店における各遊技機の設置環境に応じた設定が可能となり、より正確な不正検出を行うことができる。また、基準磁気状態記憶手段62は、当該遊技機100の電源の投入に基づき基準磁気状態の記憶を開始するので、遊技機の移動や遊技店の改装などにより基準となる磁気状態が変化しても対応でき、常に正確な不正検出を行うことができる。
【0234】
また、遊技制御装置30は、当該遊技機100の電源の投入から所定期間経過後に、基準磁気状態記憶手段62による基準磁気状態の記憶が完了したか否かを判定する記憶完了判定手段と、基準磁気状態の記憶が完了したと判定された場合に、従属制御装置に対して記憶完了指令を送信する記憶完了指令送信手段と、を備え、従属制御装置は、当該遊技機100の電源の投入に基づき発射装置56を作動不能状態に設定して初期化処理を開始し、記憶完了指令を受信すると発射装置56を作動可能状態に変化させるので、発射球や発射装置56の動作によって、基準磁気状態の記憶に支障を与えないようにすることができる。
【0235】
また、遊技領域1aには、遊技球を受け入れ可能な変動入賞装置(特別変動入賞装置10)が備えられ、遊技制御装置30は、遊技制御の作業領域として必要なデータを停電時にも保持可能な作業領域データ記憶手段(RAM31c)と、停電発生時における変動入賞装置の作動に係わる遊技制御の状態を、停電復帰後に復帰させる遊技制御状態復帰手段(遊技制御装置30)と、を備えるとともに、遊技制御状態復帰手段は、記憶完了指令を送信してから、所定時間経過後に遊技制御の状態を復帰させるようにしている。
【0236】
したがって、遊技制御装置30は、遊技制御の作業領域として必要なデータを停電時にも保持可能な作業領域データ記憶手段と、停電発生時における変動入賞装置の作動に係わる遊技制御の状態を、停電復帰後に復帰させる遊技制御状態復帰手段と、を備えるとともに、遊技制御状態復帰手段は、記憶完了指令を送信してから所定時間経過後に遊技制御の状態を復帰させるので、停電復帰して遊技制御が復帰する前に、遊技球の発射が復帰できる。
【0237】
すなわち、基準磁気状態の記憶に影響を与えないようにするために、従属制御装置では記憶完了指令を受信した後に発射装置を作動可能状態とするが、記憶完了指令の送信と同時に遊技制御の状態が復帰すると、発射された遊技球が変動入賞装置に到達するまでの時間は遊技者が実質的に遊技を行えない時間となる。例えば、特別遊技状態において動作する大入賞口の変動入賞装置の場合、所定数の遊技球が入賞するか、開放から所定の開放時間の経過が経過するかの何れかの条件が成立することにより大入賞口が閉鎖されるが、上述の遊技者が実質的に遊技を行えない時間が上記開放時間に含まれてしまうと遊技者にとっては不利となってしまう。しかし、遊技制御状態復帰手段が、記憶完了指令を送信してから所定時間経過後に遊技制御の状態を復帰させるようにすることで、停電復帰して遊技制御が復帰する前に遊技球の発射が復帰でき、このような遊技者にとって不利な状況が発生することを防止することができる。
【0238】
また、所要の遊技情報を表示する表示部43aが備えられ、遊技制御状態復帰手段(遊技制御装置30)は、遊技制御の状態の復帰タイミングに関する情報を表示部に表示するとともに、遊技制御の状態の復帰タイミングよりも前に、遊技者に遊技球の発射を促す情報を表示部43aに表示するようにしている。
【0239】
したがって、遊技制御状態復帰手段は、遊技制御の状態の復帰タイミングに関する情報を表示部43aに表示するとともに、遊技制御の状態の復帰タイミングよりも前に、遊技者に遊技球の発射を促す情報を表示部43aに表示するので、遊技者に適切な発射タイミングを知らせることができる。
【0240】
また、遊技球を排出する排出装置55を備え、従属制御装置(排出・発射制御装置50)は、遊技制御装置30からの賞球排出指令に基づいて排出装置55を作動させて賞球排出制御を行うとともに、排出が完了していない賞球の情報を停電時にも保持する賞球情報保持手段(排出・発射制御装置50)を有し、且つ、当該遊技機100の電源投入の際に、賞球情報保持手段に排出が完了していない賞球の情報が保持されていた場合には、記憶完了指令を受信するまで賞球排出制御を待機するようにしている。
【0241】
したがって、従属制御装置は、遊技制御装置30からの賞球排出指令に基づいて排出装置55を作動させて賞球排出制御を行うとともに、排出が完了していない賞球の情報を停電時にも保持する賞球情報保持手段を有し、且つ、当該遊技機100の電源投入の際に、賞球情報保持手段に排出が完了していない賞球の情報が保持されていた場合には、記憶完了指令を受信するまで賞球排出制御を待機するので、排出球や排出装置55の動作によって、基準磁気状態の記憶に支障を与えないようにすることができる。
【0242】
また、従属制御装置(排出・発射制御装置50)は、遊技制御装置30との接続がされているか否かを判定する接続判定手段(排出・発射制御装置50)を備え、当該遊技機100の電源投入の際に、接続判定手段によって遊技制御装置30との接続がされていないと判定された場合には、記憶完了指令を受信することなしに発射装置56を作動可能状態に変化させるようにしている。
【0243】
したがって、従属制御装置は、遊技制御装置30との接続がされているか否かを判定する接続判定手段を備え、当該遊技機100の電源投入の際に、接続判定手段によって遊技制御装置30との接続がされていないと判定された場合には、記憶完了指令を受信することなしに発射装置56を作動可能状態に変化させるので、従属制御装置単独で発射装置56の初期化動作を確認する場合に確認作業が早くなり、従属制御装置や発射装置56の製造時の検査効率を高めることができる。
【0244】
また、開状態と閉状態とに配置状態が変更可能な開閉部材(前面枠120)を備えるとともに当該開閉部材に異常磁気検出手段(磁気センサ60)を備え、異常信号出力手段64は、開閉部材の配置状態の変化に伴う磁気状態の変化に基づき遊技制御装置30に異常信号を出力するようにしている。
【0245】
したがって、異常信号出力手段64は、開閉部材の配置状態の変化に伴う磁気状態の変化に基づき遊技制御装置30に異常信号を出力するので、異常磁気検出手段によって、不正に与えられた磁気だけでなく、開閉扉の開閉も検出できる。
【0246】
なお、本発明の遊技機100は、遊技機として、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機及びスロットマシンに適用可能である。
【0247】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、上述の実施形態及び変形例の構成を組み合わせて適用しても良い。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0248】
1a 遊技領域
10 特別変動入賞装置(変動入賞装置)
30 遊技制御装置(記憶完了判定手段、記憶完了指令送信手段、遊技制御状態復帰手段)
31c RAM(作業領域データ記憶手段)
43 表示装置
43a 表示部
50 排出・発射制御装置(従属制御装置、賞球情報保持手段、接続判定手段)
55 排出装置
56 発射装置
60 磁気センサ(異常磁気検出手段)
62 基準磁気状態記憶手段
64 異常信号出力手段
100 遊技機
120 前面枠(開閉部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気を発生する電気的駆動源によって動作する可動装置と、
遊技を統括的に制御する遊技制御装置と、
該遊技制御装置からの指令により前記可動装置の動作を制御する従属制御装置と、
異常な磁気の発生を検出する異常磁気検出手段と、を備えた遊技機であって、
前記異常磁気検出手段は、
当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態を、基準磁気状態として記憶する基準磁気状態記憶手段と、
前記基準磁気状態と、現時点における当該異常磁気検出手段の配置環境における磁気状態とを比較して、予め定められた許容範囲を外れる相違が検出された場合に前記異常な磁気が発生したものとして前記遊技制御装置に異常信号を出力する異常信号出力手段と、を備え、
前記遊技制御装置は、
電源の投入から所定期間経過後に、前記基準磁気状態記憶手段による前記基準磁気状態の記憶に異常が発生したか否かの判定を行い、
該判定により前記基準磁気状態記憶手段による前記基準磁気状態の記憶に異常が発生したと判定された場合には、前記従属制御装置に対して前記基準磁気状態の記憶に異常が発生したことを示す記憶異常指令を送信するようにしたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−61327(P2012−61327A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254909(P2011−254909)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【分割の表示】特願2009−35382(P2009−35382)の分割
【原出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】