説明

遊技機

【課題】特典を付与しないように判断されている場合において、複数の入球口のうち通常入球口に停留している個数が満杯になって、更に遊技媒体が流下してきた場合においても、遊技媒体が特別入球口に入球して特典を付与することを報知する虞を低減する遊技機を提供する。
【解決手段】遊技媒体の停留手段と計数手段が設けられている入球配設体10と、遊技媒体の貯留手段と振分け手段を備え、計数手段110により通常入球口12に停留している遊技媒体を計数して、通常入球口12に停留された遊技媒体の合計数が、通常入球口11の全ての数と合致した場合に、特典を付与する場合には、貯留している残りの遊技媒体を排出し、遊技媒体を特別入球口12に入球させるように振分ける一方、特典を付与しない場合には、通常入球口11に停留している遊技媒体を通常入球口11から排出するようにして、遊技機1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばパチンコ遊技機等の遊技機において、予め定められた個数分の入球することで特典を付与する特別入球口と、入球することで特典を付与しない通常入球口の何れかに振分けるための振分け部材を備えた遊技機が公知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の遊技機は、振分け部材として一つの第一搬送部と五つの第二搬送部を有する回転体を備えるものである。上記遊技機は、第一搬送部で搬送される遊技媒体は特別入球口に入球し、第二搬送部で搬送される遊技媒体は通常入球口に入球するようになっている。遊技者が遊技機を遊技中に、遊技媒体が特別入球口に入球すると、その後の遊技で特典を付与することを遊技者に報知することになる。一方、遊技媒体が通常入球口に入球すると、特典を付与しないことを遊技者に報知することになる。
【0004】
ここで、特別入球口に遊技媒体を入球させて特典を付与するか、或いは特別入球口に遊技媒体を入球させないで特典を付与しないかは、予め判断されている。また、通常入球口では遊技媒体が一時保持された状態で回転体を回転させた後に、遊技媒体を入球させるように形成されている。すなわち遊技媒体は通常入球口に停留させることが可能にする遊技機も想定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−174238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術の場合、例えば、遊技媒体が特別入球口に入球されないと判断されていると共に、通常入球口に遊技媒体を停留する場合に、通常入球口に停留される個数が決まっているため、通常入球口の全てに遊技媒体が停留されている状態になると、更に遊技媒体が流下してきたときに遊技媒体が特別入球口に入ってしまう虞があった。
【0007】
上記のように特典を付与しないように判断されている場合、特別入球口に遊技媒体が入球しないように設定されているため、特別入球口に遊技媒体が入球されてしまっても、その後に特典が付与されることはない。遊技者にとってみれば、特別入球口に入球されたことにより、特典が付与されることを期待していたのに、特典が付与されないので失望してしまう。そのことにより遊技者が遊技機に対して違和感や不信感を持つと、その後の遊技に対する興趣を失うことになりかねない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、特典を付与しないように判断されている場合において、複数の入球口のうち通常入球口に停留している個数が満杯になって、更に遊技媒体が流下してきた場合においても、遊技媒体が特別入球口に入球して特典を付与することを報知する虞を低減する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明遊技機は、請求項1に記載のように、
特典を付与する特典付与手段と、
前記特典を付与するか否かを判断する判断手段と、
遊技媒体を予め定められた個数分貯留可能であると共に、遊技媒体を前記予め定められた個数分内で所定数ずつ排出可能な貯留手段と、
前記貯留手段から排出された遊技媒体を複数の経路に振分け可能な振分け手段と、
遊技媒体を受入れることで前記特典を付与することを報知可能な特別入球口と、遊技媒体を受入れることでは前記特典を付与することを報知しない通常入球口からなる、前記予め定められた個数分の入球口が設けられていると共に、
前記通常入球口に入球した遊技媒体を保持する停留状態と排出状態とに変更可能とする停留手段と、
前記通常入球口で停留される遊技媒体を計数する計数手段と、
が設けられている入球配設体と、
を備える遊技機であって、
前記振分け手段は、前記通常入球口へ遊技媒体を入球させる経路と、前記特別入球口に遊技媒体を入球させる経路に振分け可能に構成され、
前記貯留手段に貯留された前記予め定められた個数分の遊技媒体が、前記所定数ずつ前記振分け手段により特定の経路に振分けられて前記入球配設体の特定の入球口に受入れられるまでの過程を、特典を付与するか否かを報知することの演出として実行するものであり、
前記貯留手段に貯留されている前記予め定められた個数分の遊技媒体が排出可能な状態になった場合に、前記通常入球口を前記停留手段により停留可能状態とすると共に、前記貯留されている遊技媒体を前記所定数ずつ複数回に分けて排出して、前記振分け手段により前記通常入球口に振分けて停留状態とし、遊技媒体で停留状態となった前記通常入球口には、次回に排出された遊技媒体は振り分けないように前記振分け手段を作動し、
前記計数手段により前記通常入球口に停留している遊技媒体を計数して、前記通常入球口に停留された遊技媒体の合計数が、前記通常入球口の全ての数と合致した場合に、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断されていた場合には、前記貯留している残りの遊技媒体を排出し、前記振分け手段により遊技媒体を前記特別入球口に入球させるように振分ける一方、
前記判断手段が前記特典を付与しないと判断されていた場合には、前記通常入球口に停留している遊技媒体を該通常入球口から排出することを要旨とするものである。
【0010】
また本発明遊技機は、請求項2に記載のように、請求項1に係り、
前記通常入球口を複数設けており、
前記貯留手段は、少なくとも一つの前記特別入球口と複数の前記通常入球口分の総計の個数分貯留可能であって、最初に排出された遊技媒体は前記通常入球口に入球して停留状態とし、次に排出された遊技媒体は前記遊技媒体で停留状態となった通常入球口とは異なる通常入球口に入球して停留状態とし、前記排出手段により排出された遊技媒体を前記特別入球口に入球せず、前記複数の通常入球口全てに停留状態となるように順次、前記振分け手段により振分けて入球するように設定し、
前記貯留手段により最後に排出される遊技媒体について、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断されていた場合には、前記貯留手段により貯留されている前記最後の排出される遊技媒体を排出して、前記振分け手段により前記特別入球口に入球させるように振り分ける一方、
前記判断手段が前記特典を付与しないと判断されていた場合には、前記貯留されている前記最後の排出される遊技媒体を排出することを起因にして前記停留状態となっている複数の前記通常入球口のうち少なくとも一つを排出して空き状態とし、前記最後に排出された遊技媒体は前記空き状態となった前記通常入球口に入球して排出可能とすると共に前記特別入球口に入球しないように前記振分け手段により振り分ける構成であることを要旨とするものである。
【0011】
また本発明遊技機は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に係り、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合には、前記演出で前記特別入球口に入球して前記特典を付与することを報知した後に前記特典を実行し、
前記判断手段が特典を付与しないと判断した場合には、前記演出で前記特別入球口に入球しないようにして演出を終了して前記特典を付与しないことを要旨とするものである。
【0012】
また本発明遊技機は、請求項4に記載のように、請求項1〜3のいずれか1項に係り、
大当たり遊技が実行されるか否かを判定する大当たり判定手段を備え、
前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技が実行されると判定されたときに、前記判断手段は前記特典を付与するか否かを判断し、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合には、前記大当たり遊技中又は終了後に特典を付与する報知を行って、前記特典付与手段は前記大当たり遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態となるように設定する一方、
前記判断手段が前記特典を判断しないと判断した場合には、前記大当たり遊技中又は終了後に特典を付与しない報知を行って、前記大当たり遊技終了後に前記特典付与手段による前記有利な状態とならないように設定することを要旨とするものである。
【0013】
また本発明遊技機は、請求項5に記載のように、請求項1〜3のいずれか1項に係り、
大当たり遊技が実行されるか否かを判定する大当たり判定手段を備え、
前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技が実行されると判定されたときに、前記判断手段は前記特典を付与するか否かを判断し、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合には、前記特典付与手段は特典を付与する報知を行うまでの所定の期間の大当たり遊技の後も大当たり競技が継続して終了するように設定する一方、
前記判断手段が前記特典を付与しないと判断した場合には、特典を付与しない報知を行うまでの所定の期間の大当たりの後に大当たり遊技が継続しないで終了する、又は前記所定の期間の大当たりで得られる有利な状態よりも困難な状態が継続して終了するように設定することを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は、前記貯留手段に貯留されている複数の遊技媒体が排出可能な状態になった場合に、前記通常入球口を前記停留手段により停留可能状態とすると共に、前記貯留されている遊技媒体を所定個数ずつ複数回に分けて排出して、前記振分け手段により前記通常入球口に振分けて停留状態とし、遊技媒体が停留状態となった前記通常入球口には、次回に排出された遊技媒体は振分けないように前記振分け手段を作動させず、前記計数手段により前記通常入球口に停留している遊技媒体を計数して、前記通常入球口に停留している遊技媒体の合計数が、前記通常入球口の数と合致した場合に、前記判断手段が前記特典を付与すると判断とした場合には、前記貯留している残りの遊技媒体を前記振分け手段に排出し、遊技媒体を前記特別入球口に入球させるように振分ける一方、前記判断手段が前記特典を付与しないと判断した場合には、前記通常入球口に停留している遊技媒体を該通常入球口から排出した後に、前記貯留手段に貯留されている残りの遊技媒体を前記振分け手段に排出し、前記特別入球口に入球しないように振分けると共に、前記通常入球口では遊技媒体を停留せずに排出するようにしたことにより、前記判断手段が特典を付与しないように判断した際、複数の入球口のうち全部の通常入球口に遊技媒体が停留して、通常入球口が満杯になった状態で、更に遊技媒体が流下してくる場合においても、通常入球口が満杯になった時点で、通常入球口に停留手段により停留している遊技媒体を排出して、通常入球口を空けることができるので、遊技媒体が特別入球口に入球してしまうことを抑制して、遊技媒体が特別入球口に入球して特典を付与することが報知されてしまう虞を低減することが可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記通常入球口を複数設けており、前記貯留手段は、少なくとも一つの前記特別入球口と複数の前記通常入球口分の総計の個数分貯留可能であって、最初に排出された遊技媒体は前記通常入球口に入球して停留状態とし、次に排出された遊技媒体は遊技媒体で停留状態となった通常入球口とは異なる通常入球口に入球して停留状態とし、前記排出手段により排出された遊技媒体を前記特別入球口に入球せず、前記複数の通常入球口全てに停留状態となるように順次、前記振分け手段により振分け設定し、前記貯留手段により最後に排出される遊技媒体について、前記判断手段が前記特典を付与すると判断されていた場合には、前記貯留手段により貯留されている前記最後の排出される遊技媒体を排出して、前記振分け手段により前記特別入球口に入球させるように振り分ける一方、前記判断手段が前記特典を付与しないと判断されていた場合には、前記貯留されている前記最後の排出される遊技媒体を排出することを起因にして前記停留状態となっている複数の前記通常入球口のうち少なくとも一つを排出して空き状態とし、前記最後に排出された遊技媒体は前記空き状態となった前記通常入球口に入球可能とすると共に前記特別入球口に入球しないように前記振分け手段により振り分ける構成により、貯留された遊技媒体と入球配設体の入球口の数が一致している場合に、最後に振分けられる遊技媒体を判断手段に基づいて特別入球口か通常入球口の何れかに振分けられた遊技媒体を排出することが可能である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合は、前記演出で前記特定入球口に入球して前記特典を付与することを報知した後に前記特典を実行し、前記判断手段が特典を付与しないと判断した場合は、前記演出で前記特定入球口に入球しないようにして演出を終了して前記特典を付与しないように構成したことにより、特典を付与するか否かを、演出を用いて遊技者に認識させることが可能である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、大当たり遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態となることを特典として設定することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、所定長さの大当たり遊技が終了した後も大当たり遊技が継続することを特典として設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の遊技機の一実施例である遊技盤の正面図である。
【図2】図2は遊技盤の背面図である。
【図3】図3は入球口と第一連絡通路を示す断面図である。
【図4】図4は遊技盤の一部の部品を省略した状態を示す外観斜視図である。
【図5】図5は第二連絡通路の外観斜視図である。
【図6】図6(a)〜(c)は第二連絡通路の作用を示す説明図である。
【図7】図7は回動体演出装置の正面図である。
【図8】図8は回動体演出装置の分解斜視図である。
【図9】図9(a)、(b)は回動体演出装置の作用を説明するための説明図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の遊技機の一実施例である遊技盤の正面図である。図1に示すように、本実施例では遊技機1は、パチンコ遊技機に用いられる遊技盤90であり、遊技媒体としては、遊技球(パチンコ球と呼ばれることもある)を用いるものである。
【0021】
なお、以下の説明において前側(前方)とは遊技機1の正面側のことであり、後側(後方)とは遊技機1の背面側のことであり、上側(上方)とは遊技機1の上側のことであり、下側(下方)とは遊技機1の下側のことである。また左右という場合、遊技機1を正面から見た場合の右側、左側のことである。
【0022】
遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1の骨格は周知の構成が適用できる。例えば、遊技機1は、特に図示しないが、額縁形状の機枠に前面枠が回動自在に支持されてなる。上記前面枠には、遊技盤90が脱着可能に取り付けられている。更に前面枠には、前側から遊技盤90を視認可能とする透明な板が設けられている。また遊技機1には、遊技球を遊技盤90の遊技領域へ発射するための遊技球や、払い出された遊技球を入れる上皿、上皿に入りきらない遊技球を貯めることが可能な下皿、遊技球を発射操作するためのタッチスイッチを備える発射ハンドル等が設けられている。
【0023】
図1に示す遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤90には、発射装置から発射された遊技球をガイドする金属製の薄板からなる帯状のガイドレール91が略円弧形状となるように設けられており、このガイドレール91によって遊技領域の外郭の一部が形成されている。
【0024】
遊技盤90の遊技領域(通常時に遊技球が進入可能な領域)には、表示装置92、始動入賞口931、大入賞口932、アウト口933等が設けられている。
【0025】
表示装置92は、例えば液晶表示装置が用いられる。表示装置92の表示画面(表示部)には、特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置92の表示画面は、遊技盤90に成された開口を通じて視認可能である。
【0026】
また、遊技盤90の遊技領域には、遊技釘(図示しない)が、複数設けられている。遊技領域を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて、落下する経路が様々な態様で変化する。
【0027】
遊技盤90には、表示装置92の表示画面の上方左側に、所定の条件を満たしたときに入球可能となる入球口80が設けられている。入球口80は、通常時は羽根部材801により閉鎖されていて、入球口80に遊技球が入球することはない。入球口80は、所定の条件を満たしたときに羽根部材801が開放し、遊技球が入球することが可能となる。
【0028】
入球口80には、第一連絡通路81、第二連絡通路82、第三連絡通路83、が、順次、接続されている。更に第三連絡通路83には、回動体演出装置2が接続されている。回動体演出装置2は、表示装置92の下方に配置されている。回動体演出装置2には、入球口80から上記連絡通路81、82、83を経由した遊技球が進入することが可能であるが、それ以外の経路からは遊技球が進入しないようになっている。
【0029】
図2は遊技盤の背面図である。図2に示すように、遊技盤90の背面側には、センターベースユニット94が設けられている。センターベースユニット94には、主制御基板941、サブ制御基板942、演出制御基板943、サブドライブ基板944等の各種制御基板(以下これらを一括りにして制御手段と称することもある)や、特に図示しないが、発射装置、球タンク、球払出装置、レール等が取付けられている。
【0030】
遊技機1では、発射ハンドルの操作により、発射装置から遊技領域に遊技球を発射して、遊技領域を流下させることができる。遊技領域を流下する遊技球が、始動入賞口931や大入賞口932等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。遊技球が上記入賞口に入らなかった場合にはアウト口933から排出される。
【0031】
遊技機1が所定の条件を満たしたとき、羽根部材801が動作して入球口80が開放される。上記所定の条件を満たしたときとは、例えば、通常遊技中に回動体演出装置2でリーチ演出を実行することが決定された場合や、大当たりラウンド中に当該大当たりが確変大当たりか否かを報知する演出を回動体演出装置2で実行することが決定された場合等が挙げられる。
【0032】
図3は図1の遊技盤の入球口と第一連絡通路を示す断面図である。図3は羽根部材801が動作して、入球口80が開放した状態を示している。図3に示すように、羽根部材801は、下側が回動軸として上側を左方向に傾けて、入球口80を開放するように形成されている。開放された入球口80は、左上方が開口した状態となる。入球口は、遊技球Bが容易に入球することが可能な大きさに開放される。
【0033】
図3に示すように入球口80は、第一連絡通路81の上方端部に設けられている。第一連絡通路81は、図1に示すように、表示装置92を避けて遊技球Bを第二連絡通路に導入するために、表示装置92の左側に沿うように設けられている。第一連絡通路81は、筒状の通路部として形成され、1個の遊技球が容易に通過可能な大きさに形成されている。第一連絡通路の下方には、遊技球Bを第二連絡通路82に送る出口811が設けられている。
【0034】
図4は図1の遊技盤の一部の部品を省略した状態を示す外観斜視図であり、図5は第二連絡通路の外観斜視図である。図4、5に示すように、第二連絡通路82は、第一連絡通路81の出口811から排出された遊技球を導入する導入口823と、二つの進行方向に分岐させる分岐部820を有する。図5に示すように分岐部820は、送出口824に遊技球を送る貯留部821と、排出口825に遊技球を送る排出通路822に分岐している。
【0035】
貯留部821の送出口824は、第三連絡通路83の入口部301に遊技球を送るようになっている。排出通路822は下方に向かう通路として形成されている。排出口825は排出通路822の下端部に設けられ、排出口825から排出された遊技球は、遊技盤90のアウト口933(図1参照)から排出される。
【0036】
貯留部821の分岐部820側と排出口824側には、特に図示しないが、通路内の遊技球の転動を任意に停止可能とするための開閉部材が設けられている。
【0037】
図6(a)〜(c)は、第二連絡通路の作用を説明するための説明図である。図6(a)〜(c)に示すように、貯留部821は、球停止装置210が設けられ、分岐部820と排出口824との間に三個の遊技球B1〜B3が貯留可能に形成されている。図4及び図5に示すように、貯留部821は、排出口824側が少し低くなるように形成されていて、遊技球B1〜B3が排出口824側に転動するようになっている。
【0038】
第二連絡通路82は、入口823から貯留部821と排出通路822までの間を、遊技球が一個ずつ転動することが可能な大きさの筒状に形成されている。第二連絡通路82は、全体が筒状に形成されているので、内部の遊技球が、貯留部の排出口824又は排出通路の出口825以外の通路部分から外に飛び出さないようになっている。
【0039】
図6(a)に示すように、第二連絡通路82の分岐部820の貯留部側821に、貯留部821へ向かう遊技球を検知することが可能な球検知装置210が設けられている。球検知装置210により、分岐部820を通過して貯留部821に送られる遊技球の数を検出することができる。
【0040】
また貯留部821の球停止装置220は、複数個の遊技球を貯留し、貯留した遊技球を一個ずつ送り出すことが可能に構成されている。球停止装置220は、貯留部821の底面側に配置される第一突出部221と第二突出部222からなる作用部223と、該作用部223を駆動させるためのソレノイド224と可動部225からなる駆動部226を備えている。作用部223はソレノイドの通電をオンオフさせることで上下動する可動部225に接続されている。
【0041】
球停止装置220の第一突出部221は、貯留部821の出口側の一番目の遊技球B1の出口側に突出する位置に形成されている。第二連絡通路82の貯留部821の底面には、第一突出部221と第二突出部222が進退可能とするための切り欠きが設けられている。第一突出部221と第二突出部222は、切り欠きから貯留部821内に突出すように形成されている。
【0042】
第一突出部221は、ソレノイド224がオフの状態では、貯留部821の通路内に突出して、一番目の遊技球B1が通路内で停止するようになっている。球停止装置220の駆動部226は、ソレノイド224の通電がオフの状態では、可動部225が上方に位置している。第一突出部225は、遊技球を3個まで貯留して停止するこが可能な位置に突出している。
【0043】
第二連絡通路82の分岐部820側に開閉装置が設けられている(図示せず)。この開閉装置が開いている時は、遊技球は貯留部821側に優先的に送られる。この開閉装置を閉じると、分岐部820の遊技球は、排出通路822に送られる。例えば、球検知装置210が三個の遊技球を検知して、遊技球が貯留部821に貯留されたら、開閉装置を閉じる。四番目以降の遊技球は貯留部821側に送られず排出通路822に誘導される。
【0044】
球停止装置220は、遊技球が三個貯留されると、遊技球を1個ずつ送出口824側に送るようになっている。図6(b)に示すように、第一突出部221は、ソレノイド224に通電されてオンの状態になって可動部225が吸引され下方に移動した際に、先端が通路から退避する方向に回動する。第一突出部221の先端が、貯留部821の通路から退避すると、一番目に貯留されている遊技球B1の停止が解除されて、排出口824側に転動可能となる。
【0045】
図6(b)に示すように、球停止装置220の第二突出部222は、ソレノイド224に通電されオンの状態になって可動部225が吸引されて下方に移動した際に、先端が通路内に進入する方向に回動する。第二突出部222の先端は、二番目に貯留された遊技球B2の貯留部送出口側に進入するようになっている。一番目の遊技球B1が貯留部821を送出口824側に転動するが、第二突出部222が二番目に貯留された遊技球B2の転動を停止する。
【0046】
図6(c)に示すように、ソレノイド224の通電を停止すると、第一突出部221が貯留部内に進入し、第二突出部222が貯留部内から外部に退避する。その結果、第二突出部222により転動が停止されていた二番目の遊技球B2が転動可能となり、第一突出部221に停止される位置まで転動する。三番目に貯留されていた遊技球B3も、遊技球一個分だけ出口側に移動する。
【0047】
貯留部の送出口824には開閉装置が設けられている(図示せず)。図6(c)に示す状態で上記開閉装置を開くと一番目に貯留されていた遊技球B1が送出口から第三連絡通路に送り出される。このように、球停止装置220を駆動させることで、貯留部に貯留された遊技球を1個ずつ、送出口824から第三連絡通路84に送り出すことが可能である。
【0048】
球停止装置220は、例えば、上記第二突出部222の突出位置を変えることで、送出口824に送る遊技球の数を所定の数にすることができる。また送出口824に設けた開閉装置の開閉を制御することで、貯留部821に貯留した遊技球を送出口824から第三連絡通路83に送る遊技球の数を調節することが可能である。第二連絡通路82及び第三連絡通路84は、回動体演出装置2の特別球受部12や特定球受部11に遊技球を案内するための案内通路である。貯留部821第三連絡通路83に送る遊技球の数を調節することで、上記特別球受部12又は特定球受部11に、一度に案内される遊技球の数を所定の数に調節することができる。球停止装置は、遊技媒体数調整部に相当する。
【0049】
第三連絡通路83は、第二連絡通路82の遊技球の送出口824から送られた遊技球を受け入れた後、駆動機構でシーソーのように傾動させて、遊技球を左右に揺動させることが可能である。第三連絡通路83は、傾動後停止して、左右のいずれか一方の出口から遊技球を送出することで、遊技球を左右の二つの進路に振分けることが可能である。第三連絡通路83は、傾動した後に左右の一方の端部が低くなる状態で停止して、左右の出口のうちの低くなった方の出口が送出口となる。
【0050】
遊技球が入球口80から回動体演出装置2まで導かれる経路は、以下の通りである。所定の条件を満たしたときに、羽根部材801が可動して入球口80を開放して、遊技領域に発射された遊技球が入球口80に入りやすくなる。入球口80から入球した遊技球は、表示装置92の左側に配置された第一連絡通路81内を通って下方に落下する。この第一連絡通路81の出口は、表示装置92の左下に配置された第二連絡通路82の入口に繋がっている。
【0051】
第一連絡通路81の出口から出た遊技球は、第二連絡通路82内に入る。図5に示すように、第二連絡通路82は、途中で第三連絡通路83への排出口824に繋がる貯留部821と、アウト口933に繋がる排出通路822に分岐している。貯留部821に3個の遊技球が貯留されると、その後の遊技球は分岐部まで流下した遊技球は、アウト口933へ繋がる通路822から排出される。
【0052】
貯留部821に貯留された3個の遊技球は、第二連絡通路82の排出口の手前に設けられた図示されないシャッターの開閉操作により、1個ずつ第三連絡通路83内に送り込まれる。第三連絡通路83は、両方の出口部310、320の変位部材410、420を第二状態に変位させた状態になっていて、遊技球が1個保持された状態で傾動させる。通路本体部300を所定の回数、左右に傾動させて、一方に傾いた状態で停止させる。遊技球は第一出口部310又は第二出口部の一方から回動体10に送られる。
【0053】
図4に示すように、第三連絡通路83の第一出口部310と第二出口部320に対応する所定の位置には、回動体演出装置2の第一受入口84aと第二受入口85aの二つの受入口が設けられている。回動体演出装置2は、第一出口部310から第一受入口84aへ、第二出口部320から第二受入口85aへ、それぞれ遊技球が送られるように、二つの受入口が配置されている。
【0054】
第三連絡通路83が左に傾いた状態で停止すると、遊技球は左側の出口部310から第一受入口84aを通り第一ルート84に送られ、第一落下口841から回動体演出装置2の回動体10に落下する。また第三連絡通路83が右に傾いた状態で停止すると、遊技球は右側の出口部320から第二受入口85aを通り第二ルート85に送られ、第二落下口851から回動体演出装置2の回動体10に落下する。以下、回動体演出装置2について説明する。
【0055】
図7は回動体演出装置を示す正面図であり、図8は回動体演出装置の分解斜視図である。図7及び図8に示すように、回動体演出装置2は、遊技状態に応じて回動する回動体10と、該回動体10の下方に設けられるベース部材20と、このベース部材20に支持された開閉部材30と、閉塞部材40、軸部材50、ステッピングモータ60、開閉部材駆動部70、ベース部材20の所定の位置に固定された計数スイッチ110等を有する。回動体演出装置2が、入球配設体に相当する。また計数スイッチ110が、停留部の遊技媒体の個数を計数する計数手段に相当する。
【0056】
また図7に示すように、回動体10の周囲には、回動体10以外をカバーする外装材としての筐体22が設けられ、更に回動体10の表面全体をカバーし、第一落下口841と第二落下口842とが一体に形成された透明なカバー部材23が、筐体22の上に設けられている(図4参照)。
【0057】
回動体10は、回動体演出装置2の上方に位置する円盤状に形成された部材であって、前方に向かって段々と低くなるように傾斜している。回動体10は、ステッピングモータ60に接続されていて回動可能に形成されている。ステッピングモータ60はサブ制御基板に電気的に接続され、回動と停止を制御することが可能に形成されている。
【0058】
回動体10には、五個の特定球受部11と、一個の特別球受部12が設けられている。球受部11、12は、遊技球が通過することが可能な大きさに形成された貫通孔である。回動体10は底面がベース部材20により支持されている。球受部11、12は遊技球を停留することが可能であり、遊技球が球受部11、12に停留された状態で回動させることができる。
【0059】
球受部11、12は、回動体10の回動中心から略等距離のほぼ同一円周上に形成され、且つ周方向において略等間隔に並ぶように形成されている。特定球受部11と特別球受部12とは、ほぼ同一円周上に設けられている。六個の球受部は、いずれも回動体10を回動させて所定の位置で停止させた場合に、第一落下口841の直下に来るように配置される。回動体10の表面は、第一落下口841の部分と第二落下口842以外はカバー部材23で覆われている。
【0060】
このカバー部材23により、第一落下口841から落下した遊技球は、一つの特定球受部11又は特別球受部12に一個の遊技球のみが停留した状態で回動するように形成されている。第一落下口841から、二個の遊技球が落下した場合、一個の特定球受部に一個目の遊技球が入球し、回動体10が回動して次の特定球受部11が第一落下口841の下に来た時に、二個目の遊技球がその球受部11に入球するようになっている。
【0061】
特定球受部11に入球して停留された遊技球は、特定入球部211から排出することができる。特定入球部211には開閉部材30が設けられていて、該部材を開閉することで特定球受部11に貯留された遊技球を任意に排出することが可能に形成されている。また特別球受部12に入球して貯留された遊技球は、特別入球部212から排出される。
【0062】
回動体10の後面には閉塞部材40が固定されている。閉塞部材40は、円の一部が切り欠かれた板状の部材である。閉塞部材40は、特定球受部11の下側の開口の一部を覆う。一方、閉塞部材40に形成された上記切り欠きは特別球受部12の下側開口縁の形状に沿って形成されている。特別球受部12は閉塞部材40に重なっていない特別球受部12に遊技球が保持された状態で特別入球部の真上に位置したときには遊技球は排出されるが、特定球受部11に遊技球が保持された状態で、特別入球部212の真上に位置したときに遊技球は排出されない。
【0063】
また、回動体10の裏面中央には、軸部材50が固定されている。軸部材50は、その前側端部が回動体10に固定され、後側端部がステッピングモータ60に連結されている。なお、回動体10の下面中央と軸部材50の間には、上記閉塞部材40が介在されており、軸部材50とステッピングモータ60との間には、開閉部材30やベース部材20が介在されている。軸部材50は、これらの部材の中央に形成された貫通孔を通じて、回動体10とステッピングモータ60が繋がれている。ステッピングモータ60を駆動させることによって回動体10を回動させることができる。
【0064】
ベース部材20は、回動体10を支持する丸い盆状の回動体支持部21を有する。周囲を囲む回動体支持部21の環状の側壁216は回動体10の外周よりもやや大きく形成されており、回動体10はこの側壁216の内側を回動する。この回動体支持部21の底面には、一部が扇形状の窪みHを有する。ベース部材20には、特定球受部11に停留された遊技球が通過可能な大きさの開口部からなる特定入球部211が形成されている。ベース部材20の窪みHの外側には、特別球受部12に停留された遊技球が通過可能な大きさの開口部からなる特別入球部212が形成されている。
【0065】
特定入球部211は開閉部材30により開閉可能に形成されている。開閉部材30は、扇形の一部が切り欠かれた形状の板状体である。扇形の中心側には、貫通孔である支持孔31が形成されている。この支持孔31がベース部材20の開閉部材支持軸214が係合されることにより、開閉部材30は回動自在にベース部材20に支持されている。開閉部材支持軸214はベース部材20の窪みH内に設けられているから、この窪みHの内側が開閉部材30の回動可能な範囲となる。つまり、開閉部材30は、その一方側の側面が窪みHの一方側の側面に接触する位置(特定入球部211を閉状態とする位置)から、他方側の側面が窪みHの他方側の側面に接触する位置(特定入球部211を開状態とする位置)まで回動可能である。
【0066】
また、開閉部材30の裏面には、下方に向かって突出する連繋軸32が形成されている。連繋軸32は、ベース部材20に形成されたガイド孔215に挿通されている。ガイド孔215に挿通されることによりベース部材20の裏面から突出した連繋軸32には、開閉部材駆動部70の出力部72が係合される。開閉部材駆動部70の駆動源としてソレノイド71を用いて、出力部72を進退動作させる。連繋軸32は、出力軸の先端の二股状の部分の間に係合されている。出力部72が進退動作することにより、連繋軸32がガイド孔215に案内されつつ、開閉部材30が回動する。
【0067】
開閉部材30の外側は大きく切り欠かれている。この切り欠かれた部分33の存在により、開閉部材30が開き特定入球部211が開状態となる。開閉部材30は、ソレノイド71をオンにすることで開閉部材30を回動させて開状態とすることで特定入球部211を開くことができる。特定球受部11に停留されている遊技球が、開閉部材30が開状態となっている特定入球部211の上部に来ると、重力で遊技球が落下して排出される。開閉部材30のソレノイド71をオフにすると、開閉部材30が元の位置に回動して特定入球部211が閉じた状態となり特定入球部211に停留されている遊技球が排出されない状態となる。
【0068】
特別球受部12は特別入球口に相当する。特定球受部11は通常入球口に相当する。ベース部材20及び閉塞部材40及び開閉部材30が遊技媒体を停留した状態で維持する停留手段に相当する。
【0069】
回動体10を回動させて所定の位置で停止することにより、第一球受部841の直下に位置する球受部を、特別球受部12とするか、或いは特定球受部11のいずれにするかを選択することができる。第一落下位置841から落下する遊技球を、特別球受部12に入球させて特別入球部212から排出させるか又は特定球受部11に入球させて特定入球部211から排出させるか、いずれの入球部から排出させるかを振分けすることが可能である。この振分けは、ステッピングモータ60で回動体10の回動と停止を制御して、入球させたい球受部が第一落下口の直下となるようにすればよい。回動体10は遊技球を特別入球口又は通常入球口のいずれかに振分ける振分部に相当する。またステッピングモータ60は振分部作動手段に相当する。
【0070】
またステッピングモータ60によって回動体10の回動方向位置を検出するとともに、第三連絡通路83の左側の送球口831あるいは右側の送球口832から遊技球が送球されるタイミング等を調節することによって、狙った球受部11、12に遊技球を入球させることも可能である。
【0071】
図7に示すように、回動体10は、五個の特定球受部11が、特別球受部12と繋がる一個の特定球受部11(X)と、特別球受部12に対し独立した四個の特定球受部11(Y)から構成されている。第二落下口852は、回動体10の中央の略真上に位置する。四個の特定球受部11(Y)は、孔の上側の開口縁が回動体10の上面に位置するように形成されている。また、五個の特定球受部11のうちの一個の特定球受部11(X)と特別球受部12は、孔の上側の開口縁が回動体10の上面よりも窪んだ凹部14の底面に位置するように形成されている。
【0072】
凹部14は、回動体10の中央を通って回動体10を二分割するような直線状に形成されており、その一方側の端部に特別球受部12が、他方側の端部に特定球受部11Xが形成されている。第二落下口851から落下した遊技球は、回動体10に形成された凹部14の中央に落下する。凹部に落下した遊技球は、特定球受部11(X)又は特別球受部12のいずれか一方に入球する。
【0073】
したがって、凹部14内に入り込んだ遊技球は、特定球受部11(X)および特別球受部12の一方に必ず入球することになる。第二落下口851を経由して遊技球を特定球受部11或いは特別球受部12に落下させて、遊技球を特別入球部212又は特定入球部211のいずれへ入球させるかを振分けすることも可能である。
【0074】
計数スイッチ110はベース部材10の裏側に固定されている。計数スイッチ110は、球受部11に停留している遊技球を検知することができる。回動体10をステッピングモータ60で回動させながら、計数を行うことで、計数スイッチ110の上方を通過した遊技球を検出することができる。計数スイッチ110で遊技球を検知した信号は、サブ制御基板942に送られ、検知した数を合算して特定球受部11に停留している遊技球の数をカウントするようになっている。
【0075】
またサブ制御基板942は、開閉部材駆動部70のソレノイド71に接続され、合算した上記遊技球が、予め定められた個数以内の所定個数に到達した場合に、排出手段により特定球受部11に停留した遊技球を排出することが可能である。
【0076】
図9(a)、(b)は、回動体演出装置の作用を説明するための説明図である、例えば、図9に示すように、回動体10の特定球受部11が五個設けられ、一個の特別球受部12を有し、五個の特定球受部11に遊技球が入球したことを計数スイッチがカウントした場合、開閉部材を開放して回動体を回転させ、特定球受部11の遊技球を順次排出する。このように上記の予め定められた個数とは、全部の特定球受部11の個数とすることができる。また定められた個数以内の所定個数とは、特定球受部11の個数とすることができる。このように設定することで、特定球受部11に遊技球が満杯になった場合に、遊技球を排出して、特別球受部に遊技球が入球してしまうのを防止できる。
【0077】
制御基板で遊技球を特別入球部211に排出しないように設定された場合、図9(a)に示すように、特定球受部11が満杯になってしまうと、そのままの状態では、次に遊技球が回動体10に送られた場合、遊技球は特別球受部12に入球してしまう。特別球受部12に入球すると、特別入球部212から排出されてしまう。しかし、上記のように、特定球受部の遊技球を排出手段により排出することで、遊技球が特別入球部212から排出される虞を低減することができる。
【0078】
回動体10に導入される遊技球の入球部を特別入球部212にするか、或いは特定入球部211にするかは、遊技機の主制御基板941とサブ制御基板942等の制御基板により設定されている。以下、遊技機の制御について説明する。
【0079】
例えば所定条件が成立した場合、特別遊技判断手段としての主制御基板941が、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判断する。その判断結果が特別遊技を実行すると判断した場合、サブ制御基板942に特別遊技の実行コマンドを送信する。サブ制御基板942は、回動体10の特別球受部12が第一落下口841の直下となる位置で停止するように、ステッピングモータ60を制御して、回動体10を所定の位置に停止させ、遊技球を特別球受部12に落下させ、特別入球部212から排出させる。
【0080】
更に、サブ制御基板942は、表示装置92の表示部に特別遊技が実行されることを表示させるための報知実行コマンドを送信する。演出制御基板943では、報知実行コマンドを受け取ると、表示装置92に遊技者に特別遊技が実行されることを報知するための表示を行う。表示装置92に特別遊技の実行を報知するための表示を行うことが、特別遊技報知手段を実行することである。
【0081】
表示装置92に特別遊技が実行されることを表示した後、特別遊技を実行する。この特別遊技が、特典の付与の一形態である。特別遊技の実行とは、大当たり遊技の終了後に確率変動状態(確変状態)に突入することや、大当たり遊技の終了後にいわゆる時間短縮状態(時短状態)に突入すること等である。すなわち、遊技者に有利な遊技状態となることが「特典」の付与である。
【0082】
特別遊技報知手段とは、遊技者が認識可能とするための画像表示、光、音等の各種の手段である。例えば特別遊技報知手段の実行とは、例えば表示装置に特別遊技状態が実行されることを遊技者が認識可能な画像等を表示することが挙げられる。
【0083】
なお、特別遊技状態が実行されるか否かは、予め制御手段による内部抽選によって決定されている。例えば、特別遊技状態に突入する際等には貯留手段により貯留されている遊技球(本実施例では、三個+三個の計六個)を一個ずつ排出し、一つの特定球受部11に入球させて特定球受部11に停留状態にする。その後、次に貯留手段により貯留された遊技球を一個排出して、遊技球が停留してない特定球受部11に入球させて当該特定球受部11に停留状態にする。残りの四個の遊技球のうち三個の遊技球も前述同様に順に残りの特定球受部11に入球させて停留状態とし、貯留手段に貯留された最後の残り一個の遊技球を特別球受部12に入球するように設定されている。本実施例では、はじめに三個貯留して一個ずつ排出し、その後、零個となった場合に再度三個貯留して一個ずつ排出する構成であり、結果、計六個貯留したことになる。
【0084】
一方、上記主制御基板941の内部抽選による判断結果が、特別遊技状態に突入しない時等のように特別遊技を実行しないという判断の場合、貯留手段により貯留されている遊技球(本実施例では、三個+三個の計六個)を一個ずつ排出し、一つの特定球受部11に入球させて当該特定球受部11に停留状態にする。その後、次に停留手段により貯留された遊技球を一個排出して、遊技球が停留してない特定球受部11に入球させて当該特定球受部11に停留状態にする。残りの四個の遊技球のうち三個の遊技球も前述同様に順に残りの特定球受部11に入球させて停留状態とし、その後、五つの特定球受部11に停留された遊技球を排出して、空きの状態とし、貯留手段に貯留された最後の残り一個の遊技球を特別球受部12に入球させず、空きとなると共に停留状態でない特定球受部11に遊技球を入球させて排出する。本実施例では、はじめに三個貯留して一個ずつ排出し、その後、零個となった場合に再度三個貯留して一個ずつ排出する構成であり、結果、計六個貯留したことになる。
【0085】
この場合、主制御基板941は、サブ制御基板942に特別遊技を実行しないコマンドを送信する。サブ制御基板942は、回動体10の特定球受部11が第一落下口941の直下となる位置で停止するように、ステッピングモータ60を制御して、回動体10を所定の位置で停止させる。遊技球を第一連絡通路、第二連絡通路、第三連絡通路等の案内通路を通過させ、第一落下口841から遊技球を特定球受部11に落下させる。特定球受部11に遊技球を停留させた状態で回動体10を回動させて、特定入球部211の上に来たら開閉装置を開状態として、停留した遊技球を特定入球部211から排出させる。
【0086】
すなわち、主制御基板941が特別遊技を実行しないことを判断した場合には、サブ制御基板942は、特別球受部12に遊技球が入球しないように設定する。遊技球は、特別球受部12に入球しなければ、特別入球部212から排出されることはない。そして、サブ制御基板941は、特別遊技報知手段を実行せず、特典を付与しないし、特別遊技も実行しない。
【0087】
上記主制御基板941が特別遊技を実行せず、サブ制御基板942が遊技球を特別球受部12に入球させないと判断した場合、特定球受部11に停留している遊技球が5個であることをカウントしたら、開閉部材30を駆動させて特定入球部212を開いて、回動体10を回動させながら停留している遊技球を全部排出させる。そのあと、貯留されている残り一個の遊技球を特定球受部11に入球させて排出する。
【0088】
本実施例では、停留部に停留している遊技媒体の個数が、停留部の凹部の合計数と同数となった場合に、停留している遊技媒体を排出するようにしたが、停留している遊技媒体を排出するタイミングは、停留部の凹部の合計数以下であれば、任意の数に設定することができる。
【0089】
本実施例では計数スイッチは、ベース部材に固定して、回動体を回動させて遊技媒体の数を計数するように構成したが、回動体の回転を停止して、計数スイッチ側を回転させて、停留部の遊技媒体の数を計数するように構成してもよい。なお、本実施例では、大当たり中(ラウンド中)に特典を付与するか否かの演出を行っているが、例えば、大当たり遊技終了後で次の変動がはじまるまでのインターバル期間中に特典を付与するか否かの演出を行ってもよい。
【0090】
また、本実施例では、回動体の円周方向に沿って特別入球口及び通常入球口を設けて回動体を回動させる構成にしているが、それに限るものではなく、左右や上下など多用な方向に移動させる移動体であって、移動体に沿って直列や並列など多様な配列で特別入球口及び通常入球口を多様な位置に複数設ける構成でもよい。
【0091】
また、本実施例では、開閉部材と排出孔を一つ設けて、回動体を回動することで通常入賞口に停留状態となっている遊技媒体を一個ずつ排出する構成にしているが、各々の通常入球口に開閉部材と排出孔を設けて、各々の開閉部材を開放して、通常入球口に停留している遊技媒体を排出孔から排出する構成でもよい。
【0092】
また特典を付与しないと判断した場合、通常入賞口に停留された遊技媒体全てを排出した後に残り一個の遊技媒体を任意の通常排出口に入球させて排出する構成にしているが、例えば、通常入球口に停留された遊技媒体のうち少なくとも一つだけを排出して、空き状態とし、その空き状態となった通常入球口から残り一個の遊技媒体を排出する構成でもよい。また、特別入球口と通常入球口は各々少なくとも一個あればよい。
【0093】
なお、本発明の「特典を付与するか否か」とは、例えば、本実施例のように、特典を付与するか否かに拘わらずに、一定の大当たりの終了後に、確変や時短などを付加するか否かなどの構成や、大当たり中に報知手段により特典を付与するか否かの報知を行った後、当該大当たりが継続して実行される(特典を付与する)と継続しない(特典を付与しない)構成等も含まれる。なお、ここでいう「継続しない」言葉の定義として、全く大入賞口が開放せず大当たりが終了するものや、大入賞口が高速で開閉して、遊技球が入球しない或いは困難な状態なども含む。すなわち特典を付与する場合よりも特典を付与することが困難であることも含まれる。
【0094】
具体的には、例えば大当たり遊技が所定のラウンドに突入した際に、次のラウンドに大当たり遊技が継続することを「特典の付与」とし、当該所定のラウンドで大当たり遊技が終了することを「特典を付与せず」として設定すればよい。つまり、所定長さの大当たり遊技が終了した後も大当たり遊技が継続することを「特典の付与」とし、所定長さの大当たり遊技の終了をもって大当たり遊技が終了することを「特典を付与せず」として設定してもよい。判断手段(主制御基板941)によって特典を付与すると判断された場合、特典付与手段(主制御基板941)は、所定長さの大当たり遊技が終了しても大当たり遊技が継続するように設定する。かかる構成は、例えば、予め大当たり遊技の長さ(大当たりラウンド数)が複数設定されている場合において、その大当たり遊技の長さが遊技者に分からないようにして、大当たり遊技が長く継続することを遊技者に期待させつつ大当たり遊技を楽しませるといった演出に用いることができる。
【0095】
なお、ここでいう大当たり遊技の終了には、当該所定のラウンドが終了した後、入賞口(入球口80や大入賞口932)が全く開放しない状態となるものだけでなく、入賞口が高速で開閉動作して遊技球が入球困難な状態(大当たり遊技が継続した場合よりも入賞口への遊技球の入球が困難な状態)となることなどを含む。すなわち、大量の遊技球の獲得が見込めない実質的に大当たり遊技が終了しているとみなされる状態に突入する場合も「大当たり遊技の終了」に含む。
【0096】
また、大当たり遊技が実行されること(大当たりに当選したこと)自体を「特典」として設定することも可能である。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
2 回動体演出装置(入球配設体)
10 回動体
11 特定球受部(通常入球口)
12 特別球受部(特別入球口)
20 ベース部材
30 開閉部材
40 閉塞部材
50 軸部材
60 ステッピングモータ
70 開閉部材駆動部
82 第二連絡通路(貯留手段)
83 第三連絡通路(振分け手段)
90 遊技盤
110 計数スイッチ(計数手段)
211 特定入球部(遊技媒体許容部)
212 特別入球部(遊技媒体特典許容部)
941 主制御基板
942 サブ制御基板
B 遊技球(遊技媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特典を付与する特典付与手段と、
前記特典を付与するか否かを判断する判断手段と、
遊技媒体を予め定められた個数分貯留可能であると共に、遊技媒体を前記予め定められた個数分内で所定数ずつ排出可能な貯留手段と、
前記貯留手段から排出された遊技媒体を複数の経路に振分け可能な振分け手段と、
遊技媒体を受入れることで前記特典を付与することを報知可能な特別入球口と、遊技媒体を受入れることでは前記特典を付与することを報知しない通常入球口からなる、前記予め定められた個数分の入球口が設けられていると共に、
前記通常入球口に入球した遊技媒体を保持する停留状態と排出状態とに変更可能とする停留手段と、
前記通常入球口で停留される遊技媒体を計数する計数手段と、
が設けられている入球配設体と、
を備える遊技機であって、
前記振分け手段は、前記通常入球口へ遊技媒体を入球させる経路と、前記特別入球口に遊技媒体を入球させる経路に振分け可能に構成され、
前記貯留手段に貯留された前記予め定められた個数分の遊技媒体が、前記所定数ずつ前記振分け手段により特定の経路に振分けられて前記入球配設体の特定の入球口に受入れられるまでの過程を、特典を付与するか否かを報知することの演出として実行するものであり、
前記貯留手段に貯留されている前記予め定められた個数分の遊技媒体が排出可能な状態になった場合に、前記通常入球口を前記停留手段により停留可能状態とすると共に、前記貯留されている遊技媒体を前記所定数ずつ複数回に分けて排出して、前記振分け手段により前記通常入球口に振分けて停留状態とし、遊技媒体で停留状態となった前記通常入球口には、次回に排出された遊技媒体は振り分けないように前記振分け手段を作動し、
前記計数手段により前記通常入球口に停留している遊技媒体を計数して、前記通常入球口に停留された遊技媒体の合計数が、前記通常入球口の全ての数と合致した場合に、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断されていた場合には、前記貯留している残りの遊技媒体を排出し、前記振分け手段により遊技媒体を前記特別入球口に入球させるように振分ける一方、
前記判断手段が前記特典を付与しないと判断されていた場合には、前記通常入球口に停留している遊技媒体を該通常入球口から排出することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記通常入球口を複数設けており、
前記貯留手段は、少なくとも一つの前記特別入球口と複数の前記通常入球口分の総計の個数分貯留可能であって、最初に排出された遊技媒体は前記通常入球口に入球して停留状態とし、次に排出された遊技媒体は前記遊技媒体で停留状態となった通常入球口とは異なる通常入球口に入球して停留状態とし、前記排出手段により排出された遊技媒体を前記特別入球口に入球せず、前記複数の通常入球口全てに停留状態となるように順次、前記振分け手段により振分けて入球するように設定し、
前記貯留手段により最後に排出される遊技媒体について、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断されていた場合には、前記貯留手段により貯留されている前記最後の排出される遊技媒体を排出して、前記振分け手段により前記特別入球口に入球させるように振り分ける一方、
前記判断手段が前記特典を付与しないと判断されていた場合には、前記貯留されている前記最後の排出される遊技媒体を排出することを起因にして前記停留状態となっている複数の前記通常入球口のうち少なくとも一つを排出して空き状態とし、前記最後に排出された遊技媒体は前記空き状態となった前記通常入球口に入球して排出可能とすると共に前記特別入球口に入球しないように前記振分け手段により振り分ける構成であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合には、前記演出で前記特別入球口に入球して前記特典を付与することを報知した後に前記特典を実行し、
前記判断手段が特典を付与しないと判断した場合には、前記演出で前記特別入球口に入球しないようにして演出を終了して前記特典を付与しないことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
大当たり遊技が実行されるか否かを判定する大当たり判定手段を備え、
前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技が実行されると判定されたときに、前記判断手段は前記特典を付与するか否かを判断し、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合には、前記大当たり遊技中又は終了後に特典を付与する報知を行って、前記特典付与手段は前記大当たり遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態となるように設定する一方、
前記判断手段が前記特典を判断しないと判断した場合には、前記大当たり遊技中又は終了後に特典を付与しない報知を行って、前記大当たり遊技終了後に前記特典付与手段による前記有利な状態とならないように設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
大当たり遊技が実行されるか否かを判定する大当たり判定手段を備え、
前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技が実行されると判定されたときに、前記判断手段は前記特典を付与するか否かを判断し、
前記判断手段が前記特典を付与すると判断した場合には、前記特典付与手段は特典を付与する報知を行うまでの所定の期間の大当たり遊技の後も大当たり競技が継続して終了するように設定する一方、
前記判断手段が前記特典を付与しないと判断した場合には、特典を付与しない報知を行うまでの所定の期間の大当たりの後に大当たり遊技が継続しないで終了する、又は前記所定の期間の大当たりで得られる有利な状態よりも困難な状態が継続して終了するように設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103063(P2013−103063A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250595(P2011−250595)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【特許番号】特許第5200153号(P5200153)
【特許公報発行日】平成25年5月15日(2013.5.15)
【出願人】(599104196)株式会社サンセイアールアンドディ (597)
【Fターム(参考)】