説明

遊技機

【課題】略同一平面上の所定範囲内で任意の方向に操作部材を押圧操作できるようにする。
【解決手段】待機位置Xに保持された操作部材26と、操作部材26を待機位置へと戻し方向に付勢する戻しバネ27と、操作部材26を押圧したときに操作部材26の後退を検知するスイッチ29とを含む操作スイッチ装置20を備え、操作部材26を略同一面上でフローティング可能に支持するフローティング支持手段51を備え、操作部材26を戻しバネ27に抗して略同一面上の異なる方向に操作可能な操作部44を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機では、筐体内に左右方向に3個の回転リールを有するリール式表示装置を配置し、筐体の前面の前面パネルに、各回転リールに対応する左右方向に3個の停止ボタンを有する操作スイッチ装置を配置している。そして、各回転リールが回転を開始した後に、各回転リールに対応する停止ボタンを順次操作して回転リールを停止させて、各回転リールの外周に表示された遊技図柄の内、入賞ラインに対応して停止表示された遊技図柄が所定の大当たり態様の組み合わせのときに多数のメダルを遊技者に対して払い出すようにしている。
【0003】
操作スイッチ装置は通常停止ボタンを前後方向に配置して前から後方へと押圧するのが一般的であるが、近年の操作スイッチ装置では遊技者の操作時の利便性を考慮して二方向からも操作できるようにしたものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
この操作スイッチ装置は、操作パネル部の前上隅内に、その上面側と前面側とに対応して操作部を有する操作部材を配置すると共に、この操作部材を横方向の支軸により回動自在に枢支して、二つの操作部の何れを操作したときにも、操作部材が枢軸廻りに回動して検出スイッチが作動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−198257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この操作スイッチ装置は、二方向から操作部材を操作できるので、一方向のみの場合に比較して操作時の利便性が向上するが、枢軸を通る方向に操作部を押圧したときには操作部材は回動しない。このため遊技者は常に操作部の押圧方向を間違わないように操作しなければならず、例えば押圧方向の間違いを知らずに操作部に大きな押圧力を加えたときには、単に操作部材が回動しないだけでなく、手指に対して非常に大きな衝撃が加わる等の問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、略同一平面上の所定範囲内で任意の方向に操作部材を押圧操作できる操作スイッチ装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、待機位置に保持された操作部材と、該操作部材を前記待機位置へと戻し方向に付勢する戻しバネと、前記操作部材を押圧したときに該操作部材の後退を検知するスイッチとを含む操作スイッチ装置を備えた遊技機において、前記操作部材を略同一面上でフローティング可能に支持するフローティング支持手段を備え、前記操作部材を前記戻しバネに抗して前記略同一面上の異なる方向に操作可能な操作部を備えたものである。
【0009】
前記フローティング支持手段は前記操作部材の前記待機位置を通る操作方向に間隔を置いて配置された第1案内手段と第2案内手段とを備え、前記第1案内手段は前記操作部を前記操作方向に押圧したときに該操作方向に離間し且つ前記操作部を前記操作方向と交差する交差方向に押圧したときに前記操作部材を後退させ、前記第2案内手段は前記操作部の操作方向に応じて前記操作部材を追従させるようにしても良い。
【0010】
前記第1案内手段は前記操作部材と該操作部材を保持する保持部材との一方に設けられたカム部と、他方に設けられ且つ前記操作部を前記交差方向に操作したときに前記カム部に沿って前記操作部材を後退させるカム従動部とを備えても良い。前記第2案内手段は前記操作部材と前記保持部材との一方に設けられた案内部と、他方に設けられ且つ前記案内部内に挿入された突部とを備え、前記スイッチよりも前記第1案内手段側に配置される場合もある。
【0011】
前記操作部は前記操作方向に対応する第1操作面と、該第1操作面の両側に配置され且つ前記交差方向に対応する第2操作面とを備えても良い。前記操作部を有し且つ前記操作部材を保持する保持部材の開口に入る突出部と、該突出部に対して前記略同一面方向の両側で前記保持部材の開口縁に内側から当接して前記開口を塞ぐ塞ぎ部とを備え、前記突出部と前記開口との間に隙間があっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、略同一平面上の所定範囲内で任意の方向に操作部材を押圧操作できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すスロットマシンの斜視図である。
【図2】同操作スイッチ装置の平面断面図である。
【図3】同要部の側面断面図である。
【図4】同要部の平面断面図である。
【図5】同要部の側面断面図である。
【図6】同被検知部とスイッチとの関係の説明図である。
【図7】同第1案内手段の断面図である。
【図8】同b矢示方向に操作したときの動作説明図である。
【図9】同c矢示方向に操作したときの動作説明図である。
【図10】同d矢示方向に操作したときの動作説明図である。
【図11】同e矢示方向に操作したときの動作説明図である。
【図12】同f矢示方向に操作したときの動作説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態を示す操作スイッチ装置の側面断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態を示す操作スイッチ装置の側面断面図である。
【図15】同平面断面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態を示す操作スイッチ装置の側面断面図である。
【図17】同平面断面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態を示す操作スイッチ装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図12は本発明をスロットマシンに採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、筐体2と、この筐体2の前側に配置された矩形状の前面パネル3とを備えている。筐体2は例えば左右一対の側板4a,4bと、それら左右の側板4a,4bの上下両端側を左右に連結する上板5及び底板6と、背面側を略塞ぐ背板7とにより前側が開放する箱形に形成されている。前面パネル3は筐体2の前側を開閉自在に閉鎖するようにヒンジ(図示省略)を介して開閉、着脱自在に装着されている。
【0015】
筐体2内には、左右方向に3個の回転リール8a〜8cを有するリール式の回転表示手段9が配置されている。各回転リール8a〜8cは外周に複数個の遊技図柄が付されており、図外の駆動モータの駆動により横軸廻りに回転すると共に、個別に停止可能である。なお、筐体2内の下部にはメダルホッパー、メダル払い出し手段等が設けられている。
【0016】
前面パネル3は第1表示窓10、第2表示窓11、操作パネル部12、メダル受け皿13等が配置されている。第1表示窓10、第2表示窓11は前面パネル3の上部に上下に配置されている。第1表示窓10は第2表示窓11の上側にあり、この第1表示窓10に対応して前面パネル3の裏側には液晶表示式等の演出表示手段14が設けられている。第2表示窓11は回転表示手段9に対応しており、各回転リール8a〜8cの外周に付された遊技図柄を第2表示窓11を経て視認するようになっている。
【0017】
操作パネル部12は第2表示窓11の下側に横長状に配置されている。この操作パネル部12の上面側にはメダル投入口15、1ベットボタン16、マックスベットボタン17、クレジット精算ボタン18等が設けられている。操作パネル部12の前面側にはスタートレバー19、操作スイッチ装置20、メダル返却ボタン21が設けられている。
【0018】
操作スイッチ装置20には、図2に示すように、回転リール8a〜8cの回転を停止させるための停止ボタン22a〜22cが各回転リール8a〜8cに対応して左右方向に3個設けられており、この停止ボタン22a〜22cを押圧操作したときに内部のスイッチ23a〜23cがその操作を検知して、対応する回転リール8a〜8cが停止するようになっている。
【0019】
次に停止ボタン22a〜22cを操作部材26、スイッチ23a〜23cをスイッチ29として、操作スイッチ装置20の具体的構造を説明する。この操作スイッチ装置20は、図2〜図5に示すように、ケース状の保持部材25と、この保持部材25内にフローティング可能に設けられ且つ待機位置Xに保持された左右方向に3個の操作部材26と、保持部材25内に設けられ且つ各操作部材26を待機位置Xへと戻し方向に付勢する戻しバネ27と、保持部材25内の基板39に各操作部材26に対応して装着され且つ各操作部材26が押圧により後退したときに被検知片28を介して操作部材26の後退を検出するスイッチ29とを備えている。
【0020】
保持部材25は、図2〜図5に示すように、上下方向の略中央部が山形状に突出し且つ左右方向に長い横長状の操作カバー30と、この操作カバー30の裏側に装着された左右方向に長い横長状のケース体31とを備えている。操作カバー30には上下方向に長い角孔状の開口33が各操作部材26に対応して左右方向に3個形成されている。なお、開口33の外周には裏側に屈曲する開口縁34が設けられている。ケース体31には各開口33側から反対側の裏側へと凹入する第1収容部35と、この第1収容部35の後端から段部38を介して裏側へと凹入する第2収容部36とを有する。
【0021】
基板39はケース体31の裏側の開口内に左右方向に配置され、取り付けボス41等を介してケース体31に裏側から着脱自在に固定されている。この基板39には、図2〜図5に示すように、各操作部材26を検知するスイッチ29、各操作部材26の操作部44側を発光させる発光体42、外部接続用のコネクタ45等が前面側に装着され、裏側から保護カバー46により覆われている。発光体42は回転リール8a〜8cの回転開始後に停止操作可能になったときに点灯して操作部材26の操作部44側を発光させるようになっている。
【0022】
スイッチ29は被検知片28を非接触で検知する非接触式であり、例えば被検知片28が光を遮光したときに操作部材26を検知する光透過式の光センサが用いられている。そして、このスイッチ29は操作部材(停止ボタン22a〜22c)26の停止操作を検知したときに、その操作部材(停止ボタン22a〜22c)26に対応する発光体42を消灯し、回転リール8a〜8cを停止させるようになっている。なお、スイッチ29は被検知片28が光を反射したときに操作部材26を検知する光反射式でも良い。またその他の非接触式でも良いし、接触式でも良い。
【0023】
被検知片28は、図6(A)に示すように、スイッチ29の投受光等による検知位置Yの近傍に、第1被検知部47aと、この第1被検知部47aの幅方向の一端から後方へと略直角状に突出する第2被検知部47bと、第1被検知部47a及び第2被検知部47bの隅部に斜め方向に配置された第3被検知部47cとを有し、操作部材26が待機位置Xにあるときには、各被検知部47a〜47cによって形成された切り欠き部47dに各スイッチ29の検知位置Yが位置している。なお、第1被検知部47a、第2被検知部47b、第3被検知部47cは円弧状に設けてもよい。また被検知片28の後端側には、図6(B)に示すように、切り欠き部47dを挟んでコ字状に遮光又は反射用の被検知部47b,47cを配置してもよい。
【0024】
操作部材26は、図3〜図5に示すように、操作部44を有し且つ第1収容部35内に配置された第1部材49と、この第1部材49の裏側に着脱自在に結合されて一体化され且つ第2収容部36内に配置された第2部材50とを有し、保持部材25との間のフローティング支持手段51を介して前後及び上下を含む略同一面上でフローティング可能に支持され、操作部44を戻しバネ27に抗して略同一面上の異なる方向に押圧操作したときにもフローティング範囲内で後退して、その後退をスイッチ29が検知するようになっている。
【0025】
第1部材49は図3〜図5に示すように中空状であって、操作カバー30の開口33に裏側から入る突出部54と、突出部54の前面に形成され且つ開口33から前面に露出する操作部44と、突出部54の後端から外周に拡がって設けられ且つ開口33を裏側から塞ぐ塞ぎ部55と、塞ぎ部55の裏側に設けられた周壁部56とを有する。
【0026】
突出部54の前端側の操作部44は、図3〜図5に示すように、操作カバー30に対応して側面視山形状であり、その上下方向の中央に突出する中央操作面(第1操作面)44aが、この中央操作面44aの上下両側に傾斜操作面(第2操作面)44b,44cが夫々設けられており、前後及び上下方向の略同一面上で前側から操作部44を任意の方向に操作できるようになっている。塞ぎ部55、開口縁34は操作カバー30に対応して上下方向の略中央が前となる側面視山形状であって、戻しバネ27の付勢により塞ぎ部55が開口縁34に当接して操作部材26を待機位置Xに保持するようになっている。なお、開口縁34の左右両側の側部34aと塞ぎ部55の左右両側の側部55aと戻しバネ27とにより、操作部材26を待機位置Xに保持する待機位置保持手段57が構成されている。
【0027】
突出部54は、図3〜図5に示すように、待機位置Xのときに開口33の略中央に配置され、この突出部54の上下両側には開口33の上下の開口縁34との間に所定の隙間Z1,Z2があり、その両側の隙間Z1,Z2の範囲内で操作部材26の操作部44は上下方向に移動可能である。塞ぎ部55は隙間Z1,Z2の範囲内で突出部54が上下方向に移動したときにも、開口33を裏側から塞ぐ大きさになっている。
【0028】
第2部材50は、図3〜図5に示すように、前端側が第1部材49の周壁部56に挿入された裏側から結合された外周壁部59と、この外周壁部59の内側に一体に形成された前広がり状の反射壁部60とを備えている。外周壁部59側には両側のスリット部59aを介して係合爪62が設けられ、この係合爪62の爪部62aが第2収容部36の係合部61に対して裏側から係脱自在に係合している。係合爪62は外周壁部59の内外方向、即ち爪部62aが係合部61に係脱する方向に弾性変形可能である。
【0029】
反射壁部60内には後壁孔63を経て挿入された発光体42が配置され、操作部材26が操作可能になって発光体42が発光したとき、その光を第1部材49側に反射させるようになっている。外周壁部59と反射壁部60との間には周方向に複数の補強リブ65が設けられ、この補強リブ65を介して第2部材50の裏側に戻しバネ27が当接している。戻しバネ27は例えば圧縮コイルバネであり、その後端は第2収容部36の後壁部36aに当接して、その後壁部36aに環状に形成されたバネ支持部66により保持されている。
【0030】
第2部材50には、後方に突出する一対の被検知片28が設けられており、その一方の被検知片28に対応してスイッチ29が設けられている。なお、被検知片28はスイッチ29に対応して1個あればよい。
【0031】
フローティング支持手段51は、図3〜図5に示すように、操作部材26の前後方向(待機位置Xを通る操作部材26の長手方向)に所定の間隔を置いて配置された第1案内手段52と第2案内手段53とを備え、この両案内手段52,53により操作部材26を協働してフローティング可能に支持するようになっている。
【0032】
第1案内手段52は操作部44を前後方向又は前後方向の近い方向に押圧したときに離間し且つ操作部44を中央操作方向と交差する交差方向に押圧したときに操作部材26を後退させるもので、図7に示すように、第1部材49の左右両側で保持部材25の開口縁34に設けられたカム部67と、第1部材49の左右両側に設けられ且つ操作部44を前後方向と交差する交差方向に操作したときにカム部67に沿って後退方向に案内されるカム従動部68とを備えている。
【0033】
カム部67は開口縁34の上下方向の略中央部に前側へと凹入状に形成された第1カム面67aと、この第1カム面67aの上下両側に傾斜状に形成された第2カム面67b及び第3カム面67cを有する。カム従動部68は突出部54の左右両側で上下方向の略中央から前側に突出しており、各カム面67a〜67cに対して上下方向に摺動自在に当接している。
【0034】
第2案内手段53は、図3〜図5に示すように、保持部材25の第2収容部36の左右両側に設けられ且つ後端側から前側へと凹入状に切り欠き形成された案内部70と、操作部材26の第2部材50の左右両側に設けられ且つ案内部70内に挿入された突部71とを有する。案内部70は第2収容部36の左右の係合部61の前側でその上下略中央に裏側から凹入状に設けられ、また突部71は係合爪62の外側に設けられている。突部71は案内部70内を前後方向に相対移動自在であり、案内部70の上下の案内面70a,70bとの間に上下方向の隙間があり、その範囲内で上下方向に移動し、また突部71廻りに相対回動可能である。
【0035】
なお、案内部70の上下の案内面70a,70bは後ろ側が上下に若干広がり、突部71は前後方向に長くなっているが、案内部70の上下の案内面70a,70bを略平行とし、突部71を円形状にしてもよい。
【0036】
このような構成のスロットマシンにおいて、スタートレバー19を操作すると、回転表示手段9の回転リール8a〜8cが回転する。回転リール8a〜8cの回転開始から所定時間が経過して停止ボタン22a〜22cを停止操作できる状態になると、各操作部材26内の発光体42が点灯して操作部44を発光させて、遊技者に対して停止操作が可能な状態であることが報知される。そして、遊技者が適宜タイミングで3個の操作部材26を順次押圧操作すると、各スイッチ29からの信号により、対応する回転リール8a〜8cが回転を順次停止し、また発光体42が消灯して操作部材26の停止操作の完了を報知する。
【0037】
操作部材26は通常は戻しバネ27を含む保持手段により待機位置Xに保持されている。操作部材26は戻しバネ27により戻り方向に図3のa矢示方向に付勢されているため、山形状の塞ぎ部55の前面が山形状の開口縁34の裏面に当接して待機位置Xに保持されている。操作部材26が待機位置Xにある場合には、例えば図3に示すように、被検知片28の各被検知部47a〜47cがスイッチ29の検知位置Yから外れており、スイッチ29は非検知状態にある。
【0038】
操作部材26を操作する際には操作部44を後方へと押圧するが、操作部材26がフローティング支持手段51により略同一平面上でフローティング状態に支持されているので、そのフローティング範囲内で操作部44を任意の方向に押圧する。すると操作部材26が戻しバネ27に抗してフローティングしながら後退し、被検知片28の第1被検知部47a〜第3被検知部47cの何れかがスイッチ29の検知位置Yに対応してスイッチ29の光を遮光又は反射することとなり、スイッチ29が操作部材26の後退を検知する。
【0039】
例えば操作部44の上下方向の略中央の中央操作面44aを正面から図8のb矢示方向に操作すると、戻しバネ27に抗して操作部材26がb矢示方向へと略真っ直ぐに後退する。このときフローティング支持手段51を構成する第1案内手段52側では、カム従動部68が第1カム面67aから後方へと離れ、また第2案内手段53側では突部71が案内部70内を後方へとb矢示方向に移動する。そして、操作部材26がb矢示方向に後退すると、その第1被検知部47a又は第3被検知部47cが図8に示すようにスイッチ29の検知位置Yに進入するため、スイッチ29が操作部材26の後退を検知する。
【0040】
操作部44の上下方向の略中央の中央操作面44aの上近傍又はその上側の傾斜操作面44bを図9のc矢示方向に操作すると、その操作方向が第2案内手段53の前近傍に向いているため、操作部材26が戻しバネ27に抗して若干下降しながら後退する。そして、第2案内手段53の突部71が案内部70の下側に当接しながら、その案内部70の内面に沿って後方に摺動する。これによって被検知片28の第1被検知部47aが図9に示すようにスイッチ29の検知位置Yに進入するため、スイッチ29が操作部材26の後退を検知する。なお、このとき第1案内手段52側では、カム従動部68が第1カム面67aから後方へと離れて行く。
【0041】
操作部44の上下方向の略中央の操作面44aの下近傍又はその下側の傾斜操作面44cを図10のd矢示方向に操作すると、その操作方向が第2案内手段53の前近傍に向いているため、操作部材26は戻しバネ27に抗して若干上昇しながら後退する。そして、第2案内手段53の突部71が案内部70の上側に当接しながら、その案内部70の内面に沿って後方に摺動する。これによって被検知片28の第1被検知部47a又は第3被検知部47cが図10に示すようにスイッチ29の検知位置Yに進入するため、スイッチ29が操作部材26の後退を検知する。なお、このとき第1案内手段52側では、カム従動部68が第1カム面67aから後方へと離れて行く。
【0042】
操作部44の上側の傾斜操作面44bを図11のe矢示方向に操作すると、操作部材26の第1案内手段52側に下向きの力が作用するため、カム従動部68が第1カム面67aから第3カム面67cに沿って下方へと摺動し、そのカム面67a,67cにより後方へと押圧される。一方、第2案内手段53側では、操作部材26の後部に上向きの力が作用し、突部71が案内部70の上側の案内面70aに当接しながら後方へと摺動する。このため図11に示すように操作部材26が後退しながら前が下り後ろが上がる。これによって被検知片28の第2被検知部47b又は第3被検知部47cが図11に示すようにスイッチ29の検知位置Yに進入するため、スイッチ29が操作部材26の後退を検知する。
【0043】
操作部44の下側の傾斜操作面44cを図12のf矢示方向に操作すると、操作部材26の第1案内手段52側に上向きの力が作用するため、カム従動部68がカム面67a,67bに沿って上方へと摺動し、そのカム面67a,67bにより後方へと押圧される。一方、第2案内手段53側では、操作部材26の後部に下向きの力が作用し、突部71が案内部70の下側の案内面70bに当接しながら後方へと摺動する。このため図12に示すように操作部材26が後退しながら前が上がり後ろが下る。これによって被検知片28の第1被検知部47aが図12に示すようにスイッチ29の検知位置Yに進入し、スイッチ29が操作部材26の後退を検知する。
【0044】
このように構成すれば、操作部44を略同一面上でb〜fのどの方向に押圧操作した場合にも、フローティング支持手段51によるフローティング範囲内で戻しバネ27に抗して操作部材26を後退させて、その操作部材26の後退をスイッチ29で検知することができる。従って、略同一面上で操作部44を任意の方向に操作できるので、操作部材26の操作時の利便性が向上すると共に、特定の方向に操作部材26を押圧操作したときに手指に大きな衝撃が加わる等の問題もなく、操作部材26を容易且つ安全に操作することできる。
【0045】
また操作カバー30の開口33は上下方向に長く、操作部材26の操作部44側が上下方向の操作力を加えた場合には、操作カバー30の開口33内で操作部44が上下方向に移動するが、操作部材26には突出部54の外周に開口33を閉塞する塞ぎ部55があるので、開口33内での隙間の発生を防止できる。
【0046】
しかも、塞ぎ部55は待機位置Xでは操作カバー30の開口縁34に当接しているが、接離自在に当接するカム部67とカム従動部68とを備えたカム式の第1案内手段52に採用しており、操作部44を介して操作部材26を後方へと真っ直ぐに操作した場合は勿論のこと、操作部材26の操作部44側が上下に移動する方向に操作した場合にも、第1案内手段52のカム部67とカム従動部68との間のカム作用により操作部材26を後方へと後退させるため、塞ぎ部55が開口縁34の裏側を摺動する場合の擦過痕の発生等を防止できる。
【0047】
第2案内手段53は案内部70と突部71とにより、前後方向に相対移動可能で且つ接触位置を支点として相対回動可能に構成すると共に、被検知片28の後端よりも第1案内手段52側に配置しているため、案内部70と突部71との間の余裕を小さくしながらも被検知片28の後端の動き量を大きくすることができる。
【0048】
図13は本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態では、操作部材26の後端から後方に突出する上下一対の被検知片28の夫々に対応してスイッチ29が設けられている。両被検知片28は上下に略対象に構成されている。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0049】
操作部材26の上下方向の略中央に係合爪62、第2案内手段53を配置した場合、被検知片28は操作部材26の上下方向の略中央から外れた位置に配置することになる。しかし、係合爪62、第2案内手段53の略中央の両側に一対の被検知片28を略対象に配置し、この各被検知片28に対応してスイッチ29を設けることにより、操作部材26の前下がりのフローティング動作、前上がりのフローティング動作を略均等に検知することができる。
【0050】
この実施形態の場合には、2個のスイッチ29の内、何れか一方が被検知部28を検知したときに操作部材26を操作したことになるが、2個のスイッチ29の出力の組み合わせによって、操作部材26の操作方向を判別することもできる。
【0051】
図14、図15は本発明の第3の実施形態を例示する。第2案内手段53は保持部材25の第2収容部36の両側に形成された前後方向の長孔状の案内部70と、操作部材26の第2部材50の外周壁部59に形成された突部71とを備えている。突部71は弾性片79の外側に設けられ、案内部70に対して係脱自在に係合している。弾性片79は後端に係脱用の操作部79aを有し、外周壁部59の一部に設けられている。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0052】
このように第2案内手段53の案内部70は長孔状に構成してもよい。また弾性片79に突部71を設け、その突部71を長孔状の案内部70に係合させることにより、第2案内手段53で抜け止めを兼用することもできる。
【0053】
図16、図17は本発明の第4の実施形態を例示する。操作部材26は操作部44、突出部54、塞ぎ部55及び周壁部56を一体に備えた一体構造の中空体により構成され、その周壁部56の後端から後方に被検知片28が突出している。被検知片28は操作部材26の上下方向の略中央に配置され、この被検知片28に対応して基板39にスイッチ29が設けられている。
【0054】
戻しバネ27は円錐状の圧縮コイルバネであって、第1収容部35と第2収容部36との間の段部38と、操作部材26の塞ぎ部55の裏側等の適当箇所との間に設けられている。第2案内手段53は第2収容部36に形成された凹部80と、操作部材26の周壁部56に形成された突部71とを被検知片28を挟んで上下両側に備えている。各凹部80の反対側の案内面80a,80bにより案内部70が構成されている。なお、第1の実施形態の係合爪62、係合部61、反射壁部60に相当する構成はない。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0055】
この実施形態のように操作部材26は一体に構成してもよい。また戻しバネ27に円錐状の圧縮コイルバネを使用して、操作部材26の操作部44に近い側に配置することも可能である。被検知片28を略中央に配置し、この両側に分けて第2案内手段53を設けてもよい。
【0056】
図18は本発明の第5の実施形態を例示する。この実施形態では、操作部材26は操作部44が操作パネル部12の上面部12aと前面部12bとの隅部に位置するように、操作部材26を傾斜させて配置されている。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0057】
このようにすれば、操作部44を操作部材26の長手方向である斜め下方に押圧する操作を中心に、操作部44を上面部12a又は前面部12bに略沿う方向に操作することもできる。従って、操作部材26はこのように斜め下方に向けて配置してもよい。
【0058】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明はこの各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態では操作部材26の長手方向を前後方向又は斜め方向に向けて配置しているが、操作部44が上面側となるように上下方向に向けて配置することも可能である。
【0059】
操作部材26のフローティング動作を安定化させる上では、操作部材26の長手方向に配置された第1案内手段52と第2案内手段53とによりフローティング支持手段51を構成するのが望ましいが、操作部材26の操作部44の近傍に配置された第1案内手段52と同様の機構によりフローティング支持手段51を構成してもよい。戻しバネ27は圧縮コイルバネの他、引っ張りバネ、つる巻きバネ等を使用してもよい。
【0060】
第1案内手段52は、操作部44を待機位置Xを通る操作方向に押圧したときにその操作方向に離間し、且つ操作部44をその操作方向と交差する交差方向に押圧したときに操作部材26を後退させる構成であればよく、カム部67を操作部材26に、カム従動部68を保持部材25に夫々設けてもよい。第2案内手段53は操作部44の操作方向に応じて操作部材26を追従させるものであればよく、待機位置Xを通る操作方向の長孔状の案内部70を操作部材26に設け、この案内部70に入る突部71を保持部材25に設けてもよい。
【0061】
更に各実施形態はスロットマシンの停止ボタン22a〜22cについて例示しているが、スロットマシンに限らず、パチンコ機、アレンジボール機、雀球機その他の各種の遊技機においても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0062】
20 操作スイッチ装置
25 保持部材
26 操作部材
27 戻しバネ
28 被検知部
29 スイッチ
44 操作部
44a 中央操作面(第1操作面)
44b,44c 傾斜操作面(第2操作面)
51 フローティング支持手段
52 第1案内手段
53 第2案内手段
54 突出部
55 塞ぎ部
67 カム部
68 カム従動部
70 案内部
71 突部
X 待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機位置に保持された操作部材と、該操作部材を前記待機位置へと戻し方向に付勢する戻しバネと、前記操作部材を押圧したときに該操作部材の後退を検知するスイッチとを含む操作スイッチ装置を備えた遊技機において、前記操作部材を略同一面上でフローティング可能に支持するフローティング支持手段を備え、前記操作部材を前記戻しバネに抗して前記略同一面上の異なる方向に操作可能な操作部を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記フローティング支持手段は前記操作部材の前記待機位置を通る操作方向に間隔を置いて配置された第1案内手段と第2案内手段とを備え、前記第1案内手段は前記操作部を前記操作方向に押圧したときに該操作方向に離間し且つ前記操作部を前記操作方向と交差する交差方向に押圧したときに前記操作部材を後退させ、前記第2案内手段は前記操作部の操作方向に応じて前記操作部材を追従させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1案内手段は前記操作部材と該操作部材を保持する保持部材との一方に設けられたカム部と、他方に設けられ且つ前記操作部を前記交差方向に操作したときに前記カム部に沿って前記操作部材を後退させるカム従動部とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第2案内手段は前記操作部材と前記保持部材との一方に設けられた案内部と、他方に設けられ且つ前記案内部内に挿入された突部とを備え、前記スイッチよりも前記第1案内手段側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記操作部は前記操作方向に対応する第1操作面と、該第1操作面の両側に配置され且つ前記交差方向に対応する第2操作面とを備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の遊技機。
【請求項6】
前記操作部を有し且つ前記操作部材を保持する保持部材の開口に入る突出部と、該突出部に対して前記略同一面方向の両側で前記保持部材の開口縁に内側から当接して前記開口を塞ぐ塞ぎ部とを備え、前記突出部と前記開口との間に隙間があることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−13647(P2013−13647A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149876(P2011−149876)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】