説明

遊星歯車装置

【課題】 簡単な構造で、固定強度を高めることができる遊星歯車装置を提供すること。
【解決手段】 2列歯車とした内歯歯車121,122のうちの1つと一体構造で、かつ、外周にフランジ部41を設けた第1のケーシング部41と、前記2列歯車とした内歯歯車121,122のうちのもう1つと一体構造で、かつ外周にフランジ部42を設けた第2のケーシング部42とでケーシング本体の少なくとも一部を構成し、前記各フランジ部41,42には位相差微調整後に互いに留められる締結部と、取付部材に固定するための取付部とが設けられ、前記第1のケーシング部41のフランジ部41と前記第2のケーシング部42のフランジ部42とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、締結部を介して互いに締結するとともに、取付部を介して取付部材21に固定して、前記位相差を保持した装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックラッシュ調整機構付の遊星歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊星歯車装置では、歯車の噛み合いをスムーズに行うためにバックラッシュが設けられている。一方、遊星歯車装置は、回転方向が一方向ではなく、正逆回転されながら運転されることが多々ある。このため、回転方向の切り替えに際してバックラッシュ分だけ、回転量が遅れ、回転動力の伝達が不正確になる。
【0003】
そこで、従来この種の遊星歯車装置では、図2に示すように2列の内歯歯車101,102と2列の遊星歯車103,104を用いて、2列の内歯歯車101,102を回転方向に歯面の位相を僅かにずらせてケーシング107にボルト(またはネジ)108とピン109で固定し、内歯歯車101,102における位相差によってこれに噛み合う遊星歯車103,104にも位相差を生じさせることができる。遊星歯車103,104は内歯歯車101,102と太陽歯車105に噛み合いながらキャリア106に設けられた遊星軸106Aに支持されて太陽歯車105の周りを公転運動を行うものである。
したがって、太陽歯車105は一方の遊星歯車103に対しては右歯車で噛み合い、かつその遊星歯車103が内歯歯車101に対しては左歯車で噛み合うように設定できる。そして、太陽歯車105は他方の遊星歯車104に対しては左歯面で噛み合い、かつ、その遊星歯車104が内歯歯車102に対して右歯面で噛み合うように設定できる。
【0004】
上記のような遊星歯車装置の運転において、図3(a)に示すように太陽歯車105の時計方向(A方向)の動力の伝達は、歯面接触関係にある遊星歯車103と内歯歯車101の噛み合いによって行われるが、他方の遊星歯車104と内歯歯車102の噛み合いに関しては、図3(b)のような歯面噛み合い関係であるため、噛み合いが行われない。
すなわち、遊星歯車104に関して、歯面の接触関係が回転方向に対してバックラッシュに相当する間隙c´を介在した状態にし、反対側の歯面に追従回転するだけである。図3(b)の太陽歯車105の反時計方向(B方向)の動力の伝達は、歯面接触関係にある遊星歯車104と内歯歯車102の噛み合いによって行われるが、他方の遊星歯車103と内歯歯車101の噛み合いに関しては、図3(a)のような歯面噛み合い関係であるため、動力の伝達が行われない。
すなわち、遊星歯車103に関して、歯面の接触関係が回転方向に対してバックラッシュに相当する間隙cを介在した状態にし、反対側の歯面に追従回転するだけである。
【0005】
動力を伝達しない側の太陽歯車と内歯歯車が単に追従回転するため、回転が右回転から左回転へ、また、左回転から右回転へ切り替わるとき、内歯歯車101,102および遊星歯車103,104における位相差分だけバックラッシュが吸収される。すなわち、内歯歯車101,102および遊星歯車103,104に位相差を与えることで、遊星歯車装置におけるバックラッシュを0に至る任意のバックラッシュとすることができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平6−3205
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような従来の遊星歯車装置にあっては、元々別々の部品であるケーシング107と内歯歯車101,102とをボルト108で固定しており、また歯車装置自体を被動装置に取り付けるには、ケーシング107をボルト(図示せず)で、図示しない被動装置側の取付部材に取り付ける構造にしている(すなわち、ケーシング107を基準として、内歯歯車固定用のボルト108と歯車装置取り付け用のボルトとが並列の関係にある)ため、次のような問題があった。
【0007】
被動装置動作時に、伝達トルク(外力)は、ケーシング107−被動装置間と、ケーシング107−内歯歯車101,102間に作用する。この時、何らかの理由で少しでも許容範囲を超えた伝達トルクが加わると、ケーシング107と被動装置間の締結部か、ケーシング107−内歯歯車101,102間の締結部のどちらか強度の低い方が破壊される。
それゆえ、内歯歯車101,102同士の位相差調整値を保つためには、ケーシング107−内歯歯車101,102間のボルト108による固定強度を、ケーシング107−被動装置間のボルトによる固定強度よりも大きくしなければならない。
【0008】
しかし、内歯歯車101,102を固定するためのボルト108は、ケーシング107を被動装置に固定するためのボルトに対して内側に配置されるため、ネジの配置されるピッチ径が小さくなり、またネジ径も小さくなり、ケーシング107−被動装置間の固定力を上回ることが設計上困難であった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決し、簡単な構造で、固定強度を高めることができる遊星歯車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、ケーシング本体と、キャリアの遊星軸に回転自在に支持された遊星歯車と、該遊星歯車に噛み合う内歯歯車及び太陽歯車を備え、前記内歯歯車を2列歯車とし、この2列歯車の歯面に回転方向の位相差を付与した遊星歯車装置において、前記2列歯車とした内歯歯車のうちの1つと一体構造で、かつ、外周にフランジ部を設けた第1のケーシング部と、前記2列歯車とした内歯歯車のうちのもう1つと一体構造で、かつ外周にフランジ部を設けた第2のケーシング部とで前記ケーシング本体の少なくとも一部を構成し、前記各フランジ部には位相差微調整後に互いに留められる締結部と、取付部材に固定するための取付部とが設けられ、前記第1のケーシング部のフランジ部と前記第2のケーシング部のフランジ部とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、前記締結部を介して互いに締結するとともに、前記取付部を介して取付部材に固定して、前記位相差を保持したことにある。
また、本発明は、前記第1および第2のケーシング部は、それぞれ内歯歯車とフランジ部とに軸方向の段差部を形成し、これら段差部を介して互いに組み合わせて前記2列歯車を構成したことにある。
さらに、本発明は、前記第1のケーシング部は、内周面側に、半径方向の凹部を形成し、該凹部に前記遊星歯車装置のキャリアと遊星枠を支持する軸受けを配置したことにある。
またさらに、本発明は、前記フランジ部には位相差微調整後にネジ止めをするためのネジ孔と、遊星歯車装置を前記取付部に取り付けるためのボルト孔が設けられ、前記第1のケーシングのフランジ部と前記第2のケーシングのフランジ部とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、前記ネジ孔にネジを螺着して前記第1のケーシングのフランジ部と前記第2のケーシングのフランジ部とを固定して前記位相差を保持し、前記ボルト孔に取付ボルトを挿通して前記取付部材に螺着して、前記位相差をより強固に保持することにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1によると、被動装置への遊星歯車装置取付けに使用するボルト締結力をバックラッシュ調整のために、相対的に回転移動した内歯歯車の固定にも使用することで、バックラッシュ調整の解除に対する耐久力を高めることができる。
また、遊星歯車装置取付けに使用するボルト締結力をバックラッシュ調整のために相対的に回転移動した内歯歯車の固定にも使用できるので、内歯歯車固定用部材の締結力が従来に比してかなり小さくても良いため、内歯歯車固定用部材を小さくできる。また、補助ネジも不要である。そのため省スペースになり、設計の自由度も高まる。
さらに、内歯歯車間を固定する固定用部材に対して、被動装置の取付部材に遊星歯車装置を取付ける締結部材は、フランジ部を利用して固定用部材の外側に容易に配置することができ、締結部材の径を大きくすることができるため強固な構造にすることができる。
請求項2によると、前記第1のケーシング部を、それぞれ内歯歯車とフランジ部とに軸方向の段差部を形成し、これら段差部を介して互いに組み合わせているので、組み付けが確実でケーシング部の強度を向上することができる。
請求項3によると、前記第1および第2のケーシング部の内周面側に、半径方向の凹部を形成し、該凹部に前記遊星歯車装置のキャリアと遊星枠を支持する軸受けを配置したので、ケーシング部を径方向に縮小することができ、全体をコンパクトな構造にできる。
請求項4によると、第1のケーシングのフランジ部と第2のケーシングのフランジ部とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、ネジ孔にネジを螺着して第1のケーシングのフランジ部と第2のケーシングのフランジ部とを固定して前記位相差を保持し、ボルト孔に取付ボルトを挿通して取付部材に螺着して、前記位相差をより強固に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は2段遊星歯車装置を示す縦断面図である。
【0013】
図1において、1は入力軸で、外部モータ等により回転駆動される。入力軸1には、太陽歯車2が設けられており、この太陽歯車2が遊星歯車3に噛合している。遊星歯車3は第3のケーシング43に装着された内歯歯車5に噛合して、この内歯歯車5の内周面に沿って遊星運動をするものである。この遊星歯車3の遊星軸6はキャリア7に装着されており、遊星歯車3の遊星運動によってキャリア7を回転させるものである。
【0014】
8は、キャリア7の軸線上に設けられた太陽歯車であり、上下2列に設けられた2列遊星歯車91,92に噛合して配置されている。これら2列遊星歯車91,92は、キャリア13に装着された遊星軸11に回転自在に支持されている。これら2列遊星歯車91,92は、太陽歯車8の周囲に同心状に配置された上下2列の環状の内歯歯車121,122に噛合して遊星運動をするものである。
【0015】
前記遊星軸11は、キャリア10に挿通され、遊星歯車91,92の遊星運動とともにキャリア10を回転駆動させるものである。
【0016】
前記キャリア10には、前記遊星軸11と対称位置に、キャリア13に向けてスペーサ部14が延出して設けられており、このスペーサ部14に形成されたネジ孔14aを介してネジ15がキャリア13に螺着されている。このスペーサ部14は前記キャリア10の円周方向に沿って一定間隔で複数箇所に設けることも可能である。スペーサ部14は、前記キャリア10とキャリア13との間隔を一定間隔で保持することができる。
【0017】
前記遊星歯車91,92に噛合する内歯歯車121,122は、前記ケーシング本体4を構成する、それぞれ第1および第2のケーシング部41,42と一体構造に形成されており、かつ、これらケーシング部41,42の外周面には、周縁に沿ってフランジ部41,42が突設されている。前記第1のケーシング部41および第2のケーシング部42は、それぞれ内歯歯車121,122とフランジ部41,42とに軸方向の段差部41a、41b,42a、42bをそれぞれ形成し、これら段差部41b,42aを組み合わせて2列の環状の内歯歯車121,122を形成している。内歯歯車121は、前記第1のケーシング部41が一体構造に形成されており、この第1のケーシング部41の内周面側に半径方向の凹部41cを円周方向に沿って形成し、この凹部41cに配置された軸受け16を介して前記キャリア13の外周面を回転自在に支持している。
【0018】
また、内歯歯車122は、第3のケーシング部43と、フランジ部42を、ネジ17を介して締結されて一体構造に形成されている。
第3のケーシング部43は、内歯歯車122の段差部42bの背面側に組みつけられており、この第3のケーシング部43の内周面側に半径方向の凹部42cを円周方向に沿って形成し、この凹部42cに軸受け18を配置し、この軸受け18を介して前記キャリア10の外周面を回転自在に支持している。
【0019】
前記各フランジ部41,42には位相差微調整後に互いに留められる締結部としてのネジ孔41d,42dと、取付部材に固定するための取付部としてのボルト孔41e,42eとが設けられている。
前記第1のケーシング部41のフランジ部41と前記第2のケーシング部42のフランジ部42とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、前記ネジ孔41d,42dに固定用部材としてのネジ19を介してフランジ部41,42相互を締結している。
また、前記ボルト孔41e,42eに締結部材としてのボルト20を挿通して位相差を保持した状態で、図示しない被動装置の取付部材21にナット20aにより螺着してフランジ部41,42を被動装置の取付部材21に固定している。取付部材21には、ボルト20を挿通するためのボルト孔(図示せず)が形成されており、ボルト20にナット20aを螺合することによって遊星歯車装置が被動装置の取付部材21に固定されている。
【0020】
次に、上記遊星歯車装置の動作を説明する。
モータ等の動力源から回転動力が入力軸1に伝達されると、入力軸1の回転は、入力軸1に装着された太陽歯車2から遊星歯車3に伝達される。
遊星歯車3は第3のケーシング43に装着された内歯歯車5に噛合して、この内歯歯車5の内周面に沿って遊星運動を行う。この遊星歯車3の遊星軸6はキャリア7に装着されており、キャリア7を一定の速度で回転駆動させる。キャリア7の回転とともに、キャリア7の軸線上に設けられた太陽歯車8が回転し、2列遊星歯車91,92を2列内歯歯車121,122に沿って公転運動させる。2列遊星歯車91,92の公転運動に伴って、遊星軸11を太陽歯車8の周囲を回転させる。遊星軸11の回転と共にキャリア13を回転駆動し、キャリア13から回転出力を取り出すことができる。
【0021】
このときの作用を説明すると、2列内歯歯車121,122を相対的に回転させ、バックラッシュを調整された、2列遊星歯車91,92がキャリア13から正方向、及び逆方向の伝達トルクを発生するとき、内歯歯車121,122間には、調整方向と反対方向の相対的な力が働き、バックラッシュの調整を解除しようとする。
一方、ネジ19は、バックラッシュ調整後に内歯歯車121,122間を固定するために設けられているが、内歯歯車121,122のボルト孔41e,42eを通して被動装置の取付部材21にボルト20およびナット20aにより取付けることにより、内歯歯車121,122間に加わる調整を解除しようとする力に対して大きな抵抗力を与えることができる。内歯歯車121,122間を固定するネジ19に対して、被動装置の取付部材21に遊星歯車装置を取付けるボルト20は、フランジ部41,42を利用してネジ19の外側に容易に配置することができ、ボルト径を大きくすることができるため効果が大きい。
【0022】
上記実施の形態によれば以下の効果を奏することができる。
被動装置の取付部材21に対する遊星歯車装置の取付けに使用するボルト締結力をバックラッシュ調整のために相対的に回転移動した内歯歯車121,122の固定にも使用することで、バックラッシュ調整の解除に対する耐久力を高めることができる。
また、遊星歯車装置取付けに使用するボルト締結力をバックラッシュ調整のために相対的に回転移動した内歯歯車121,122の固定にも使用できるので、内歯歯車121,122固定用ネジ19の締結力は従来に比してかなり小さくても良いため、内歯歯車固定用ネジ19を小さくできる。また、補助ネジも不要である。そのため省スペースになり、設計の自由度も高まる。
さらに、前記第1および第2のケーシング部41,42を、それぞれ内歯歯車121,122とフランジ部41,42とに軸方向の段差部41a、41b,42a、42bを形成し、これら互いに組み合わさる段差部41b,42aを介して互いに組み合わせているので、組み付けが確実でケーシング部41,42の強度を向上することができる。
またさらに、前記第1および第2のケーシング部41,42の内周面側に、半径方向の凹部41c,42cを形成し、該凹部41c,42cに前記遊星歯車装置のキャリア13とキャリア10を支持する軸受け16,18を配置したので、ケーシング部41,42を径方向に縮小することができ、全体をコンパクトな構造にできる。
また、第1のケーシング41のフランジ部41と第2のケーシング42のフランジ部42とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、ネジ孔41d,42dにネジ19を螺着して第1のケーシング41のフランジ部41と第2のケーシング42のフランジ部42とを固定して前記位相差を保持し、ボルト孔41e,42eに取付ボルト20を挿通して取付部材21に螺着して、前記位相差をより強固に保持することができる。
さらに、内歯歯車121,122間を固定する締結部材としてのネジ19に対して、被動装置の取付部材21に遊星歯車装置を取付ける取付部材としてのボルト20は、フランジ部41,42を利用してネジ19の外側に容易に配置することができ、ボルト径を大きくすることができるため、強固な構造にすることができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、内歯歯車122は、第3のケーシング部43と、フランジ部42を、ネジ17を介して締結されて一体構造に形成しているが、内歯歯車121と同様に第3のケーシング部43と一体成形したものを用いることもできる。また、遊星歯車装置を被動装置の取付部材21に固定する手段として、上記実施の形態では、ボルト20にナット20aを用いたが、タップによって取付部材21に雌ネジを形成してネジ留めすることもできるなど、種々の方法で遊星歯車装置を被動装置の取付部材21に取付けることができる。また、上記実施の形態で、ネジ17,19、ボルト20などの締結手段としては、ネジあるいはボルトのいずれを用いても良く、あるいは他の締結部材を用いることもできる。等、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態による遊星歯車装置を示す縦断面図である。
【図2】従来の遊星歯車装置を示す部分断面図である。
【図3】歯面の噛み合い状態を示し、(a)は太陽歯車の時計方向の動力の伝達を示す概念断面図、(b)は太陽歯車の反時計方向の動力の伝達を示す概念断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 入力軸
2 太陽歯車
3 遊星歯車
1 第1のケーシング
2 第2のケーシング
3 第3のケーシング
7,10,13 キャリア
8 太陽歯車
1,92 遊星歯車
11 遊星軸
121,122 内歯歯車
41,42 フランジ部
41a、41b,42a、42b 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング本体と、キャリアの遊星軸に回転自在に支持された遊星歯車と、該遊星歯車に噛み合う内歯歯車及び太陽歯車を備え、前記内歯歯車を2列歯車とし、この2列歯車の歯面に回転方向の位相差を付与した遊星歯車装置において、
前記2列歯車とした内歯歯車のうちの1つと一体構造で、かつ、外周にフランジ部を設けた第1のケーシング部と、前記2列歯車とした内歯歯車のうちのもう1つと一体構造で、かつ外周にフランジ部を設けた第2のケーシング部とで前記ケーシング本体の少なくとも一部を構成し、前記各フランジ部には位相差微調整後に互いに留められる締結部と、取付部材に固定するための取付部とが設けられ、前記第1のケーシング部のフランジ部と前記第2のケーシング部のフランジ部とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、前記締結部を介して互いに締結するとともに、前記取付部を介して取付部材に固定して、前記位相差を保持したことを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項2】
前記第1および第2のケーシング部は、それぞれ内歯歯車とフランジ部とに軸方向の段差部を形成し、これら段差部を介して互いに組み合わせて前記2列歯車を構成したことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。
【請求項3】
前記第1のケーシング部は、内周面側に、半径方向の凹部を形成し、該凹部に前記遊星歯車装置のキャリアを支持する軸受けを配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の遊星歯車装置。
【請求項4】
前記フランジ部には位相差微調整後にネジ止めをするためのネジ孔と、遊星歯車装置を前記取付部に取り付けるためのボルト孔が設けられ、
前記第1のケーシングのフランジ部と前記第2のケーシングのフランジ部とを微小角度回転させて適当な位相差を付与した後、前記ネジ孔にネジを螺着して前記第1のケーシングのフランジ部と前記第2のケーシングのフランジ部とを固定して前記位相差を保持し、前記ボルト孔に取付ボルトを挿通して前記取付部材に螺着して、前記位相差をより強固に保持することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遊星歯車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−286299(P2008−286299A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131431(P2007−131431)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】