説明

運動支援の伴奏曲を記録した記録媒体および運動支援の伴奏曲の曲配信方法

【課題】 伴奏曲に合わせて運動する際に、複数種類の伴奏曲を順次再生する場合、および、同じ伴奏曲を繰り返し再生する場合において、現在の伴奏曲の再生が終了して次の再生が開始するまでの曲間においても、連続した運動のリズムを容易につかむことができるようにする。
【解決手段】 伴奏曲中および伴奏曲間にわたって配列された伴奏クロックの配列、伴奏曲中において所定数の伴奏クロックごとにリズム音が同期した楽音波形データの配列、および、伴奏曲間において前記所定数の伴奏クロックごとに同期するとともに伴奏曲のメロディ音とは音色が異なる伴奏リズムの波形データの配列を有し、入力操作によって設定されたテンポに応じて伴奏クロックの読み出し速度を決定し、決定した読み出し速度に基づいて伴奏曲を再生するプログラムによって再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動支援の伴奏曲を記録した記録媒体および運動支援の伴奏曲の曲配信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代のような車社会においては、多くの人々が慢性的な運動不足に陥っている。その結果、糖尿病や脳卒中などの生活習慣病が大きな社会問題になっている。特に、糖尿病の患者は急増しており、予備軍も含めると1600万人を超えたともいわれている。このため、平成17年6月27日の新聞記事によると、厚生労働省が国民向けの運動量などの指針づくりを始める。こうした指針は過去にもつくられたが、あまり効果が上がっていなかったため、最新の研究に基づいて作り直される。新たな指針では、階段の上り下り、自転車に乗るなど、普段の生活でできる運動を検討している。また、運動による生活習慣病の予防効果を指摘する声が近年高まっている。糖尿病を発症するリスクが高い人を対象にした海外での研究例によると、薬による治療では4年間で発症を31%抑えられたのに対し、生活習慣の改善指導のほうが効果は高く、発症を58%抑えられたという報告がある(非特許文献1参照)。
【0003】
階段の上り下りや自転車に乗る運動が注目される理由としては、足は第2の心臓と言われているように、身体のなかでも特に重要な部位であるという認識などによると考えられる。事実、足を鍛えることによって、糖尿病などの成人病が防止できるという専門家の記述も多い。例えば、「運動がなぜ糖尿病を改善するのか」という疑問に対して、運動することは、肥満の解消にも役立ち、インスリンのはたらきをよくする。具体的には次のような運動効果がある。「インスリンの感受性がよくなる」、「運動することでブドウ糖が利用されインスリンの節約になる」、「インスリンのはたらきが活発になる」、「インスリンが増加する」、「善玉コレステロール(HDL)が増えて、脂質が代謝されやすくなる」などと記載されている(非特許文献2参照)。
【0004】
また、足を鍛えることによって、糖尿病などの生活習慣病が防止できるという別の専門家の記述では、「歩くことは万人向けのおすすめ運動である」として、老若男女を問わず、運動の強さを簡単に調整できるという利点が述べられている。また、歩く時間の長さはだいたい30〜40分程度と述べられている。また、体重1kgに対して、1分間当たりの速歩の消費エネルギー(kcal)として、80m/分で「0.0747」、90m/分で「0.0906」、100m/分で「0.1083」、ジョギング(軽)で「0.1384」、ジョギング(強)で「0.1561」のデータが記載されている。このデータによれば、歩くより走るほうが消費エネルギーは大きいことになる(非特許文献3参照)。
【0005】
その一方、走ることは筋肉や骨などを消耗させるとの見解もある。筑波大学体育科学系教授である鈴木正成氏の見解によれば、日本ではプロもアマチュアもトレーニング方法が間違っている。最も重要なのは、荷重に逆らって筋肉を鍛える「抵抗性運動」であると説く。ランニングは「消耗性運動」の代表であり、持久力を高める利点は大きい反面、筋肉も骨も体の脂肪も消耗させる。「抵抗性運動」はその逆で、筋肉や骨を成長させるとのことであると述べている(非特許文献4参照)。
【0006】
上記非特許文献1ないし4の記述を考慮すると、「歩行運動」と「抵抗性運動」との組み合わせが最適な運動であることが分かる。したがって、自転車に乗る運動、自転車のペダルを模擬した器具による足踏運動、階段を上り下りする運動、坂道などの勾配のある道を歩行する運動、床などの平面上に置いた踏み台を上り下りする足踏運動などは、誰でも手軽にできるので、糖尿病などの生活習慣病を防止するために有効である。
【0007】
一方、このような運動は手軽である反面、極めて単調な運動でもある。さらに、薬のような即効性は期待することができない。このため、飽き易く長続きすることができないという問題がある。この対策として、音楽を聴きながら運動することが考えられる。運動に音楽をリンクさせた提案は多く発表されている。
【0008】
例えば、ある提案の運動支援装置においては、少なくとも1つの音楽データを予め記憶し、使用者の目標脈拍数と使用者の現在の脈拍数との差にもとづく補正値によって運動テンポを補正し、その補正した運動テンポにもとづき音楽データを補正し、補正された音楽データにより音楽を再生する構成になっている(特許文献1参照)。したがって、運動の前に使用者が自分に適した運動テンポを設定し、その設定値にもとづいて再生する伴奏曲のテンポを決定し、その伴奏曲に合わせて運動することは可能である。
また、ある提案の運動支援方法および運動支援用オーディオデータ記録媒体においては、家庭用のラジカセやCDプレーヤなどの一般的な再生システムにより再生されるリズム音や楽音などの音楽を聞きながら、踏み台昇降運動などを行う。また、再生される記録媒体には、踏み台の高さ、テンポに関連した運動強度を基準に選択された複数の音楽が記録されている(特許文献2参照)。したがって、運動の前に使用者が自分に適した運動テンポの伴奏曲を選択し、その伴奏曲に合わせて運動することは可能である。
また、ある提案の教習用記録媒体、教習用プログラムおよび教習装置においては、音楽再生を伴って身体運動を教習する(特許文献3参照)。したがって、運動の前に使用者が自分に適した運動テンポと伴奏曲のテンポとを合わせて運動することは可能である。
また、ある提案のペースメーカーにおいては、音楽等のリズム刺激をペースメーカーとして用いて運動する構成が記載されている(特許文献4参照)。したがって、運動の前に使用者が自分に適した運動テンポと伴奏曲のテンポとを合わせて運動することは可能である。
【特許文献1】特開2001−299980号公報
【特許文献2】特開2004−216142号公報
【特許文献3】特開2004−294550号公報
【特許文献4】特開2005−224318号公報
【非特許文献1】朝日新聞平成17年6月27日夕刊、記事「運動の効果実用的に」
【非特許文献2】秋場龍一著「糖尿病は快癒する」株式会社DHC出版、1998年3月2日、p239−240
【非特許文献3】井藤英喜著「血糖値が高い人が読む本」主婦と生活社出版、1999年10月4日、p106−109
【非特許文献4】朝日新聞編集「明日へのカルテ、運動とからだ4」朝日新聞、1993年10月24日、日曜版5面
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献4においては、複数種類の伴奏曲を順次再生する場合に、現在の伴奏曲の再生が終了して次の伴奏曲の再生が開始するまでの曲間、又は、同じ伴奏曲を繰り返し再生する場合に、伴奏曲の再生が終了して次の再生が開始するまでの曲間については手当がされていない。このため、曲間においては連続した運動のリズムがつかめず、いわゆる「たたらを踏む」おそれが十分にある。何故ならば、曲間においては無音状態である上に、再生が終了するときのリズム(テンポ)と次の再生が開始するときのリズムとが同期していないからである。例えば、床などの平面上に置いて片足づつ昇り降りする足踏運動の場合に、曲間になって運動のリズムがつかめずたたらを踏んだときは、踏み台に昇り損ねたり降り損ねたりして、思わぬ怪我をするおそれもある。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、伴奏曲に合わせて運動する際に、複数種類の伴奏曲を順次再生する場合、および、同じ伴奏曲を繰り返し再生する場合において、現在の伴奏曲の再生が終了して次の再生が開始するまでの曲間においても、連続した運動のリズムを容易につかむことができるようにすることを目的とする。
さらに、本発明は、曲間においても連続した運動のリズムを容易につかめることで、伴奏曲とは異なる情報で伴奏曲のリズムの邪魔にならない情報、例えば、外国語会話の教材、学術的な教材、録音されたラジオドラマ、小説の朗読、その他音の情報を伴奏曲とともに再生して、効率的な時間を過ごせるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
運動支援の伴奏曲を記録した本発明の記録媒体(実施形態においては、図3のメモリ207に相当する)は、伴奏曲中および伴奏曲間にわたって配列された伴奏クロックの配列、伴奏曲中において所定数の伴奏クロックごとにリズム音が同期した楽音波形データの配列、および、伴奏曲間において前記所定数の伴奏クロックごとに同期するとともに伴奏曲のメロディ音とは音色が異なる伴奏リズムの波形データの配列を有し、入力操作によって設定されたテンポに応じて伴奏クロックの読み出し速度を決定し、当該決定した読み出し速度に基づいて伴奏曲を再生するプログラムによって再生される伴奏曲を記録した構成になっている。
【0012】
本発明の記録媒体において、再生するプログラムをさらに記録した構成にしてもよい。
本発明の記録媒体において、入力操作によって設定されたテンポに関係なく所定の読み出し速度に基づいて再生される情報(実施形態においては、英会話の教材に相当する)を記録し、当該情報は、再生するプログラムによって伴奏曲とともに再生されるような構成にしてもよい。
本発明の記録媒体において、記録された伴奏曲の中にはメロディ音の無い特定の音色のリズム音だけで構成された伴奏曲が含まれているような構成にしてもよい。さらに、この場合において、特定の音色は、当該記録媒体に記録されている複数種類の音色の中から、入力操作によって選択された音色であるような構成にしてもよい。
【0013】
通信回線(実施形態においては、インターネットに相当する)によって運動支援の伴奏曲を配信する本発明の曲配信方法は、伴奏曲中および伴奏曲間にわたって配列された伴奏クロックの配列、伴奏曲中において所定数の伴奏クロックごとにリズム音が同期した楽音波形データの配列、および、伴奏曲間において前記所定数の伴奏クロックごとに同期するとともに曲のメロディ音とは音色が異なる伴奏リズムの波形データの配列を有し、入力操作によって設定されたテンポに応じて伴奏クロックの読み出し速度を決定し、当該決定した読み出し速度に基づいて伴奏曲を再生するプログラムによって再生される伴奏曲を配信する構成になっている。
【0014】
本発明の曲配信方法において、再生するプログラムを伴奏曲とともに配信するような構成にしてもよい。
本発明の曲配信方法において、入力操作によって設定されたテンポに関係なく所定の読み出し速度に基づいて再生される情報(実施形態においては、英会話の教材に相当する)を配信し、当該情報は、再生するプログラムによって伴奏曲とともに再生されるような構成にしてもよい。
本発明の曲配信方法において、配信される伴奏曲の中にはメロディ音の無い特定の音色のリズム音だけで構成された伴奏曲が含まれているような構成にしてもよい。さらに、この場合において、特定の音色は、配信された複数種類の音色の中から、入力操作によって選択された音色であるような構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の記録媒体および曲配信方法によれば、伴奏曲に合わせて運動する際に、複数種類の伴奏曲を順次再生する場合、および、同じ伴奏曲を繰り返し再生する場合において、現在の伴奏曲の再生が終了して次の再生が開始するまでの曲間においても、連続した運動のリズムを容易につかむことができるという利点がある。
また、本発明の記録媒体および曲配信方法によれば、曲間においても連続した運動のリズムを容易につかめることで、伴奏曲とは異なる情報で伴奏曲のリズムの邪魔にならない情報を伴奏曲とともに再生して、効率的な時間を過ごせるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、運動支援の伴奏曲を記録した記録媒体を再生する場合の実施形態、あるいは、運動支援の伴奏曲を配信する曲配信方法によって配信された伴奏曲を再生する場合の実施形態について、その伴奏曲を再生する足踏運動支援システムを例に採って、図を参照して説明する。
図1は、足踏運動支援システムの外観を示す図である。図1において、踏み台1は、携帯電話機2が装着された卓上ホルダ3のUSBコネクタ(図示せず)にUSBケーブル4によって接続されている。携帯電話機2は、このUSBコネクタ4および卓上ホルダ3を介して、踏み台1から電力の供給を受けている。なお、この図において、携帯電話機2は、踏み台1の前側に配置されている。すなわち、運動者は携帯電話機2が配置された側と反対側から踏み台1に昇り降りの足踏運動を行う。
【0017】
踏み台1は、床の平面に置かれて、運動者が片足ずつ昇り降りして足踏運動を行うためのものであり、上部踏み台11と下部踏み台12とが重ねられた踏み台を構成し、かつ、容易に分離する構造になっている。図1に示した状態では、高さh1の上部踏み台11と高さh2の下部踏み台12とが重ねられているので、床からの高さは(h1+h2)である。下部踏み台12を取り外した場合には、床からの高さは上部踏み台11のみのh1となる。さらに、取り外した下部踏み台12を上部踏み台11に隣接させて、その下部踏み台12から上部踏み台11に昇り降りして足踏運動を行う場合には、その高さは(h1−h2)となる。第1実施形態においては、h1=15cm、h2=5cmになっている。この結果、踏み台1の高さは、20cm、15cm、および10cmに設定することができる。したがって、運動者は自分に最適な踏み台1の高さを容易に設定することが可能であるので、老若男女を含む様々な使用者に対して最適な足踏みの高さを提供することができる。
【0018】
上部踏み台11の上面には、左足を乗せるプレート11aおよび右足を乗せるプレート11bが設けられ、図には示していないが、各プレートは内部において2系統のスプリングなどの弾性部材によって支持されているとともに、プレート11aおよびプレート11bのそれぞれに足を乗せた場合には、対応する各弾性部材に圧力が加えられて、プレート11aおよびプレート11bが下側に変位する。その変位量は、弾性部材の弾性力と運動者の体重によって変化する。この変位によって足踏時のクッションの機能を果たすので、運動者の膝や足首および腰にかかる負担を軽減することができる。
【0019】
さらに、上部踏み台11の内部には、プレート11aおよびプレート11bのそれぞれに対応して、左足および右足が乗せられたことを検出する2つのセンサが設けられている。センサとしては、振動や圧力を検出する圧電セラミックス素子、磁石およびコイルからなる誘導型の圧電素子、小さなスプリング(プレート11aおよびプレート11bを支持する弾性部材とは別のもの)および錘によって振動で変位するもの、荷重によってプレート11a,11bの位置が変化するのを光で検出する近接スイッチや光電スイッチなどの光スイッチがある。このようなセンサの中には、プレート11aおよびプレート11bにかかる運動者の体重の圧力によって発電できるものもある。この第1実施形態および後の第2実施形態、第3実施形態においては、圧電セラミックス素子を用いた圧力センサを使用している。なお、足踏運動によって発生する発電電流は交流であるので、直流に変換するための整流回路が発電部に必要になる。また、図には示していないが、上部踏み台11には、電源スイッチや音量調整用のボリュームつまみ、および、家庭用の100ボルトのコンセントに接続するための電源コード用のコネクタが設けられている。
【0020】
踏み台1の上部踏み台11の前側面には、携帯電話機2と接続するUSBケーブル4のコネクタ13が装着されている。以下、USBケーブル4のコネクタ13と結合する踏み台1側の図示しないコネクタもコネクタ13と称する。コネクタ13を有する踏み台1の前側面において、プレート11aに対応する位置には、携帯電話機2に向けて赤外線IRaを発光する発光ダイオード14aがロッドレンズなどのレンズと一体に設けられ、プレート11bに対応する位置には、携帯電話機2に向けて赤外線IRbを発光する発光ダイオード14bがレンズと一体に設けられている。また、その同じ前側面の左端近傍には、ステレオ楽音信号を入力するための入力端子15が設けられている。一方、上部踏み台11の左側面には、ステレオのLチャンネルの楽音を発音するためのスピーカ16aが設けられている。さらに、その左側面には、ヘッドホン装置(図示せず)にステレオ楽音信号を出力するためのヘッドホン端子17が設けられている。なお、この図には示されていないが、上部踏み台11の右側面にも、ステレオのRチャンネルの楽音を発音するためのスピーカ(符号は16bとする)が設けられている。
【0021】
一方、携帯電話機2は、折りたたみ式の構造であり、電波状態、電池残量、時刻、電話およびメールの着信報知などを表示するサブ表示部2a、点滅してメールや電話の着信を報知する発光ダイオード2b、ステレオ楽音信号を出力するためのヘッドホン端子2c、USBコネクタ2d、アンテナ2e、サイドスイッチ2fが設けられている。さらに、この図では見えないが、携帯電話機2内部に設けられて赤外線を送受信する発光部および受光部を保護するための保護部材がアンテナ2eの近傍に設けられている。第1実施形態においては、ヘッドホン端子2cはステレオ用のケーブル18によって踏み台1の入力端子15に接続されている。さらに、図には示していないが、卓上ホルダ3から電源の供給を受ける外部電源入力端子(符号は2gとする)、メイン表示部(符号は2hとする)、複数のスイッチ、データなどを処理する回路の電子部品を搭載した回路基板など設けられている。そして、サブ表示部2a、発光ダイオード2b、メイン表示部2hなどを有する上部本体と、ヘッドホン端子2c、USBコネクタ2d、アンテナ2e、サイドスイッチ2f、スイッチ群、回路基板などを有する下部本体とが、ヒンジによって開閉できる構造になっている。
なお、USBコネクタ2dは4個の端子で構成され、データ入力端子とデータ出力端子のほかに、外部から電源を供給するための2個の電源入力端子がある。したがって、卓上ホルダ3を介さずに、USBコネクタ13およびUSBケーブル4によって踏み台1から直接電源の供給を受ける構成も可能である。
【0022】
次に、踏み台1および携帯電話機2の電気的な構成について説明する。
図2は、踏み台1の内部構成を示すブロック図である。圧力センサ101は、プレート11aにおける左足の押圧によって左足検出信号を発生して出力する。圧力センサ102は、プレート11bにおける右足の押圧によって右足検出信号を発生して出力する。コンパレータ103は、圧力センサ101の出力と所定の閾値とを比較して、左足の押圧によって圧力センサ101で発生した左足検出信号を2値の左足検出信号のパルスに変換して出力する。コンパレータ104は、圧力センサ102の出力と閾値とを比較して、右足の押圧によって圧力センサ102で発生した右足検出信号を2値の右足検出信号のパルスに変換して出力する。発振回路105は、一定の周波数信号を発生して出力する。分周回路106は、発振回路105から出力された周波数信号をさらに低い周波数に分周して、異なる一定の周波数f1およびf2からなる2つの高周波信号を出力する。
【0023】
変調回路107は、周波数f1の高周波信号をコンパレータ103から出力された左足検出信号によって振幅変調して出力し、周波数f2の高周波信号をコンパレータ104から出力された2値の右足検出信号によって振幅変調して出力する。IRLEDドライバ108は、変調回路107から出力された変調された左足検出信号を発光ダイオード14aに出力して、図1に示したように、赤外線IRaを携帯電話機2に向けて発光させる。IRLEDドライバ109は、変調回路107から出力された変調された右足検出信号を発光ダイオード14bに出力して、図1に示したように、赤外線IRbを携帯電話機2に向けて発光させる。このような回路構成は安価であるが、近距離通信方式の1つとして標準化している業界標準団体IrDA( Infrared Data Association )の標準規格のプロトコルに準拠している訳ではないので、後述する携帯電話機2の側では、赤外線を受信した後に特定の信号処理が必要になる。なお、変調方式としては振幅変調に限定するものではない。周波数変調、位相変調などでもよい。あるいは、IrDAの標準規格のプロトコルに準拠した赤外線通信部を踏み台1側に設ける構成でもよい。この場合には、携帯電話機2においてIrDAの標準規格のプロトコルに準拠した赤外線通信部が設けられているので、携帯電話機2の側では特定の信号処理は必要でない。
【0024】
ステレオアンプ110は、図1に示したケーブル18を介して携帯電話機2から出力されるアナログのステレオ信号を増幅して出力する。スイッチ部111は、後述する電源部からの電源をオン・オフする電源スイッチやステレオアンプ110の増幅率を調整するボリュームつまみ、その他のスイッチなどを備えている。出力切替スイッチ112は、ステレオアンプ110から出力されるステレオ信号の出力先を切り替える。メインアンプ113は、出力切替スイッチ112を介してステレオアンプ110から得られるステレオ信号を増幅して、Lチャンネルスピーカ16aおよびRチャンネルのスピーカ16bに供給する。出力切替スイッチ112は、図1に示したヘッドホン端子17にステレオ用のケーブルが接続されることによって機械的又は電気的に切り替えられるスイッチである。すなわち、図2に示した状態は、ヘッドホン端子17にヘッドホン装置が接続された状態であり、出力切替スイッチ112を介してステレオアンプ110から得られるステレオ信号はヘッドホン装置に供給される。以下、ステレオアンプ110、メインアンプ112、および左右のスピーカ16a,16bによる発音システム、および、ステレオアンプ110および図示しないヘッドホン装置による発音システムをサウンドシステムと称する。
【0025】
発電部114は、上記したように、上部踏み台11におけるプレート11aおよびプレート11bにおける左足および右足の圧力に応じて発電して、図示しない整流回路によって変換された直流電流を出力する。充電電池115は、着脱可能な2次電池で構成され、踏み台1において上記した回路部に定電圧の電源を供給するとともに、外部からの直流電流によって充電される。すなわち、発電部114から出力される直流電流によって充電されるとともに、入力端子116に家庭用の100ボルトの交流電圧が接続された場合には、ACアダプタ117によって100ボルトの交流電圧が低電圧の直流電圧に変換されて、その直流電流によって充電される。さらに、図1に示したように、USBコネクタ13およびUSBケーブル4を介して接続された携帯電話機2内の充電電池が、発電部114、100ボルトの交流電圧が接続された場合のACアダプタ117から出力される直流電流によって充電される。
【0026】
ダイオード118、119、および120は、充電電流の制御を行うためのものである。この実施形態においては、発電部114の出力電圧、充電電池115の定格電圧、ACアダプタ117の出力電圧、および携帯電話機2の充電電池の定格電圧は6.0ボルトである。したがって、充電電池115および携帯電話機2の充電電池が6.0ボルトにフル充電されている状態においては、ダイオード118、119、120の電圧降下分である約0.6ボルトの電圧差のために、充電電池115および携帯電話機2の充電電池への充電は行われない。電力消費によって、充電電池115又は携帯電話機2の充電電池の端子電圧が5.4ボルトより下がったときには、その下がった充電電池に対して充電が行われる。なお、何らかの原因で発電部114又はACアダプタ117の出力電圧が5.4ボルトより下がった場合でも、ダイオード118、119の逆方向特性によって電流が発電部114又はACアダプタ117に逆流することはない。
【0027】
図3は、携帯電話機2の内部構成を示すブロック図である。CPU201は、信号処理専用のDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)を内蔵したLSIで構成されている。CPU201のシステムバス202には、プログラムROM203、ワークRAM204、スイッチ部205、RFブロック206、メモリ207、メイン表示ドライバ208、サブ表示ドライバ209、音声合成メモリ210、インタフェース211が接続されている。CPU201は、これら各部との間で指令およびデータの授受を行ってこの携帯電話機2を制御する。
【0028】
プログラムROM203には、CPU201によって実行される制御プログラムや初期値があらかじめ記憶されている。ワークRAM204には、CPU201によって処理されるデータを一時的にストアするエリア、制御プログラムの実行に必要なレジスタやフラグのエリアが設けられている。スイッチ部205は、電源スイッチ、オフフックスイッチ、オンフックスイッチ、メールスイッチ、発信スイッチ、カーソルスイッチ、決定スイッチ、数字/文字入力スイッチ、および図1に示したサイドスイッチ2fなどのスイッチ群で構成されている。RFブロック206は、アンテナ2eを介して公衆電話交換網のネットワークとの間で通話やメールを送受信したり、インターネットなどのネットワークを介して種々のサイトに接続して通信するための無線送受信部、無線信号処理部など(図示せず)を備えている。メモリ207は、フラッシュROMなどからなる書換え可能な不揮発性メモリで構成され、着脱可能な構造になっている。メモリ207には、複数種類の伴奏曲、伴奏曲を再生するための再生プログラム、および、英会話の教材があらかじめ記録されている。さらに、RFブロック206を介して、外部の曲配信サーバから配信された複数種類の伴奏曲、伴奏曲を再生するための再生プログラム、および、英会話の教材をメモリ207に記録することも可能である。
【0029】
メイン表示ドライバ208には、LCD(液晶ディスプレイ)などからなるメイン表示部2hが接続されており、スイッチ部205の操作に応じたメニュー画面などを表示する。なお、上記各スイッチの中には、そのときの状態に従って、同一のスイッチで複数の機能を兼用するものも含まれているとともに、メイン表示部2hに表示されたアイコンスイッチと連動して、スイッチ機能を果たすものもある。各スイッチの機能については後述する。サブ表示ドライバ209には、図1に示したサブ表示部2aが接続されている。サブ表示部2aも、電話やメールの着信をバックライトの点灯によって報知するとともに、後述する特定のメニューが選択された場合には、その選択メニューを表示する場合もある。音声合成メモリ210は、各種の音声メッセージのデータが記憶されている。
【0030】
CPU201の入出力ポートには、マイク212、スピーカ213、バイブレータ214、赤外線通信部215、並びに、図1に示した発光ダイオード2b、ヘッドホン端子2c、USBコネクタ2dからのデータ入力線およびデータ出力線が接続されている。マイク212は電話の音声を送信し、スピーカ213は電話の音声を受信するとともに、電話の発信時に呼出報知を行う。さらに、スピーカ213、バイブレータ214、および発光ダイオード2bは、電話やメールの着信をそれぞれリンガ音、振動、点滅によって報知する。ヘッドホン端子2cからは、図1に示したケーブル18を介して、アナログのステレオ信号が踏み台1又は携帯電話機2専用のヘッドホン装置に送出される。
【0031】
赤外線通信部215は、通常のモードである通信モード(MODO=0)の場合には、IrDAの標準規格のプロトコルに従って、パソコンや他の携帯電話機との間でファイルや画像などのデータ転送、又は、家電製品の制御が可能である。一方、この第1実施形態における足踏運動のモード(MODE=1)の場合には、図2に示した振幅変調の左足検出信号および右足検出信号を受信できるように、復調処理、周波数分離処理などの特定の信号処理を行う。一方、変形例として上記したように、踏み台1側において、IrDAの標準規格のプロトコルに従ったデータ転送を行う場合には、足踏運動のモード(MODE=1)においてもIrDAの標準規格のプロトコルに従って受信すればよい。いずれにおいても、図1に示したように、踏み台1から送信される2系統の赤外線IRa,IRbを受信して、電気信号に変換した後、2系統の左足検出信号IRaおよび右足検出信号IRbをCPU201に入力する。
【0032】
充電電池216は、外部から供給される直流電流によって充電される2次電池であり、電源スイッチがオンされると、上記の各回路に約4ボルトの電源を供給する。インタフェース211は、充電電池216の充電を制御する回路であり、外部からの電源供給の有無、および、外部からの電源供給がUSBコネクタ2d又は外部電源入力端子2gのいずれかを検出して、CPU201に検出結果を送出するとともに、約6ボルトの外部電圧を約4ボルトに変換して円滑な充電動作を制御する。ダイオード217、218は、何らかの原因で外部電源の電圧が4ボルトより低くなった場合に、充電電池216から電流が逆流するのを防止する。
なお、USBコネクタ2dにおいて、電源入力端子のほかのデータ入力端子およびデータ出力端子がCPU201の入出力ポートに接続されているが、これについては後の第2実施形態において説明する。
【0033】
足踏運動の開始によって通常モード(MODE=0)から足踏モード(MODE=1)に変化すると、上記したようにCPU201の制御によって、赤外線通信部215は踏み台1から携帯電話機2に対して送信された2系統の赤外線IRaおよびIRbを受信して復調し、左足検出信号IRaおよび右足検出信号IRbとしてCPU201に送出する。図4は、CPU201における信号処理の動作を説明する図である。
【0034】
図4(1)は、踏み台1のプレート11aに左足が乗ったときの左足検出信号IRa、および、踏み台1のプレート11bに右足が乗ったときの右足検出信号IRbを処理するCPU201の動作をハードウェアの回路で示した図である。実際には、この信号処理は足踏運動支援処理のプログラムのソフトウェアによって実行されるのであるが、その動作を分かり易くするために、図4(1)の回路による信号処理として説明する。左足検出信号IRaは、フリップフロップ301のデータ端子D、リセット端子R、およびフリップフロップ302のクロック端子CKに入力される。また、右足検出信号IRbは、フリップフロップ302のデータ端子D、リセット端子R、およびフリップフロップ301のクロック端子CKに入力される。なお、図には示していないが、フリップフロップ301、302のリセット端子Rは、パワーオンリセットによって最初はローレベルになっており、フリップフロップ301,302はともにリセット状態になっている。
【0035】
次に、この回路の動作について説明する。
例えば、左足が先行して所定のテンポで足踏運動が行われている場合には、左足検出信号IRaおよび右足検出信号IRbは図4(2)に示す波形になっている。すなわち、左足がプレート11aに乗るとIRaがローレベルからハイレベルになり、右足がプレート11bに乗るとIRbがローレベルからハイレベルになる。次に、左足がプレート11aから降りるとIRaがハイレベルからローレベルになり、右足がプレート11bから降りるとIRbがハイレベルからローレベルになる。したがって、フリップフロップ301においては、左足がプレート11aに乗ってハイレベルの左足検出信号IRaがデータ端子Dおよびリセット端子Rに入力されると、リセット状態が解除される。次に、クロック端子CKに入力された右足検出信号IRbの立ち上がりに応じて、データ端子Dに入力されているハイレベルの左足検出信号IRaがラッチされて、フリップフロップ301の出力端子Qからの出力信号C1がローレベルからハイレベルに変化する。そして、左足がプレート11aから降ろされて左足検出信号IRaがハイレベルからローレベルに変化したときは、フリップフロップ301のリセット端子Rがローレベルに変化するので、フリップフロップ301がリセットされて、その出力端子Qからの出力信号C1がハイレベルからローレベルに変化する。この結果、フリップフロップ301の出力端子Qからの出力信号C1は、足踏運動のテンポに同期したパルス信号になる。フリップフロップ302においては、クロック端子CKに入力された左足検出信号IRaの立ち上がりのときは、データ端子Dに入力されている右足検出信号IRbは常にローレベルであるので、フリップフロップ302の出力端子Qからの出力信号C2は、ローレベルの状態から変化しない。
【0036】
一方、右足が先行して足踏運動が行われている場合には、左足検出信号IRaおよび右足検出信号IRbは図4(3)に示す波形になっている。すなわち、右足がプレート11bに乗るとIRbがローレベルからハイレベルになり、左足がプレート11aに乗るとIRaがローレベルからハイレベルになる。次に、右足がプレート11bから降りるとIRbがハイレベルからローレベルになり、左足がプレート11aから降りるとIRaがハイレベルからローレベルになる。したがって、フリップフロップ301においては、クロック端子CKに入力された右足検出信号IRbの立ち上がりのときは、データ端子Dに入力されている左足検出信号IRaは常にローレベルであるので、フリップフロップ301の出力端子Qからの出力信号C1は、ローレベルの状態から変化しない。フリップフロップ302においては、右足がプレート11bに乗ってハイレベルの右足検出信号IRbがデータ端子Dおよびリセット端子Rに入力されると、リセット状態が解除される。次に、クロック端子CKに入力された左足検出信号IRaの立ち上がりに応じて、データ端子Dに入力されているハイレベルの右足検出信号IRbがラッチされて、フリップフロップ302の出力端子Qからの出力信号C2がローレベルからハイレベルに変化する。そして、右足がプレート11bから降ろされて右足検出信号IRbがハイレベルからローレベルに変化したときは、フリップフロップ302のリセット端子Rがハイレベルからローレベルに変化するので、フリップフロップ302がリセットされて、その出力端子Qからの出力信号C2がハイレベルからローレベルに変化する。この結果、フリップフロップ302の出力端子Qからの出力信号C2は、足踏運動のテンポに同期したパルス信号になる。
【0037】
このように、図4(1)の回路によれば、足踏運動において先行する足を検出することにより、左足が連続して先行する足踏の歩数、および、右足が連続して先行する足踏の歩数を容易にカウントすることができる。また、出力信号C1,C2の周期によって足踏のテンポを検出することができる。さらに、出力信号C1および出力信号C2のパルスを累積して足踏運動の開始から終了までの足踏総回数を検出することができる。
【0038】
図5(1)〜(3)は、足踏設定画面を示す図である。この画面は、カーソルスイッチによってスクロールされる。足踏設定画面には、基準回数、足踏時間(分)、伴奏曲指定、テンポ指定、足替通知の項目が表示される。そして、図5(1)に示すように、メモリ207から読み出した前回の各設定項目における設定内容を表示する。なお、図11に示す設定内容は、最初はプログラムROM203からメモリ207に転送されたデフォルト値であり、その後は、前回の足踏運動においてメモリ207に設定された値である。
【0039】
図5(1)において、設定内容に応じて各項目にフォーカスする。最初は基準回数にフォーカスする。基準回数とは、伴奏曲の楽音に合わせながら、左足又は右足が先行して連続した足踏運動を行ったときに、足踏回数がこの設定値に近づいたとき、および、足踏回数がこの設定値に達したときに伴奏曲の発音の態様を変化させて、足替のタイミングを運動者に通知するための基準値である。この場合において、左足(又は右足)が先に踏み台1に乗り、右足(又は左足)が続いて踏み台1に乗り、左足(又は右足)が先に踏み台1から降り、右足(又は左足)が続いて踏み台1から降りた状態を足踏の1回と定義する。
【0040】
前回の設定値を変更する場合には、フォーカスされている項目でカーソルスイッチにより変更する設定値を選択する。例えば、図5(1)における前回の基準回数は25になっているが、右カーソルスイッチがオンされると、図5(2)に示すように、前回の基準回数の数値にフォーカスするとともに、他の基準値の候補を示すメニュー画面がウインドウ表示される。そして、最初の候補「35」にフォーカスする。次に、下カーソルスイッチがオンされると、次の候補「30」にフォーカス位置が移動する。ここで決定スイッチがオンされると、基準回数が25から30に変更される。この後は、フォーカス位置は足踏時間に移動する。カーソルスイッチのオン操作によって、伴奏曲指定にフォーカス位置が移動すると、図5(3)に示すように、伴奏曲のリスト画面がウインドウ表示される。
【0041】
なお、メモリ207に記録された伴奏曲は、実際の演奏曲をPCM録音した後に、足踏運動支援に最適なように独特の編集加工を施したものであるが、そのフォーマットはCDの曲データのフォーマットと同様に、ステレオの片チャンネル当たり、44.1kHzサンプリング、16ビット/サンプルになっている。したがって、通常に再生する場合には、1秒間に約44100個のPCM波形データが読み出されて再生される。この場合において、複数の伴奏曲が選択された場合には、運動者の指定によってこれらの伴奏曲が順次に又はランダムに再生され、1つの伴奏曲が選択された場合には、その伴奏曲が繰り返し再生される。その他、プログラム再生などについても可能であるが、本発明には関係ないので説明は省略する。
なお、伴奏曲の中にはメロディ音およびリズム音を含む通常の音楽のほかに、特定の音色の伴奏曲、例えば、メトロノーム、カスタネット、シンバル、太鼓など、リズム音だけで構成された伴奏曲も含まれている。運動者は、1つ以上の音色を選択して再生することができる。
【0042】
図6に、メモリ207に記録された伴奏曲の配列を示す。伴奏曲のデータは、チャンネル(ch)1の伴奏クロック、チャンネル2の伴奏リズム、チャンネル3のメロディ、チャンネル4のリズムで構成されている。なお、チャンネル4のリズムは、実際にはドラム、ベース、コードのチャンネルに分かれているが、ここでは説明を簡潔にするために1つのチャンネルとする。また、図17においては、メロディおよびリズムのPCM波形データが記録されている部分を曲中部分と称し、それ以外を1曲目が始まる前も含めて曲間部分と称する。
【0043】
図6において、曲間部分には、各アドレスに伴奏クロックが配置され、伴奏クロックの10個ごとに伴奏リズムの波形データが配置されている。一方、曲中部分においては、この図では詳細には記載していないが、2205個のPCM波形データごとのアドレスに伴奏クロックが配置され、曲間部分と同様に伴奏クロックの10個ごとに伴奏リズムの波形データが配置されている。すなわち、22050個のPCM波形データごとに伴奏リズムの波形データが配置されている。したがって、44.1kHzサンプリング、16ビット/サンプルのPCM波形データは、1秒間に44100個のPCM波形データが再生されるので、曲間部分や後述する足替予告を行う場合には、曲中部分においても、PCM波形データに代えて伴奏リズムの波形データを読み出して発音する。したがって、伴奏リズムの波形データを発音した場合には、22050個の発音しないPCM波形データごとに、その波形データの音色のリズム音が1秒間に2個のテンポで発音される。
【0044】
図6に示すように、曲間部分においては、伴奏クロックのアドレスを1以上の整数とした場合には、アドレス1、アドレス11、アドレス21のように、10個の伴奏クロックのアドレスごとに伴奏リズムがある。ここで、NULLと記載されている部分には、データのない空き状態を示している。当然のことであるが、曲間部分におけるチャンネル3のメロディおよびチャンネル4のリズムはNULLになっている。伴奏リズムは、例えば、ドラムのみ、ベースのみ、ティンパニのみ、トライアングルのみ、タンバリンのみの打楽器の単純なリズム音色、若しくは、2つ以上の打楽器を組み合わせたリズム音色、又は、メトロノームの「タック」、「タック」…の音色、若しくは、電子音の短い「ピッ」、「ピッ」…という非音楽的な音色などで構成され、曲の中の楽器の音色にない最適な音色が決定される。
【0045】
図6において、曲間部分における最後の伴奏リズムのアドレスを(10j+1)とすると、アドレス(10j+1)から始まる伴奏クロックが10個読み出されて、次のアドレス(10j+11)の伴奏クロックに同期して、1曲目のチャンネル4のリズム音の最初の極大値のPCM波形データが配列される。したがって、アドレス(10j+1)の伴奏リズムの波形データによる発音と、伴奏曲のリズム音の最初の極大値の波形データによる発音との周期が設定されたテンポの周期と一致する。曲が開始した後の曲中部分においては、伴奏クロックと次の伴奏クロックとの間に、チャンネル3のメロディおよびチャンネル4のリズムからなる多数のPCM波形データが記憶されているので、上記したように、曲中部分においては、各アドレスに伴奏クロックがあるのではなく、PCM波形データの2205ごとに伴奏クロックがあり、伴奏クロックの10個ごとに伴奏リズムがある。
【0046】
アドレス(1000j+1)が1曲目のリズム音の最後の極大値である場合、すなわち、曲中部分の最後の伴奏リズムのアドレスを(1000j+1)とすると、その後の曲の終了であるアドレスdには曲の終了を識別するためのデータであるENDがチャンネル3,4に記憶されているとともに、その曲全体のメロディおよびリズムの音色並びに伴奏リズムの音色とは異なる音色の効果音がチャンネル2に記憶されている。この効果音は足替のタイミングに読み出されて出力される。効果音としては、例えば、メトロノームの「チーン」の音色、又は、電子音の長い「ピーッ」という音色などで構成される。したがって、曲中部分および曲間部分にかかわらず、足替のタイミングにおいては、アドレスdの効果音が発音される。しかし、曲が終了したときが、ちょうど足替のタイミングである場合を除けば、アドレスdの効果音を発音することはない。アドレス(1000j+1)のメロディおよびリズムを発音したときから、伴奏曲のメロディ音およびリズム音の音量が極大値から減少して消音するまでのPCM波形データを読み出して発音し、アドレスdの効果音を発音することなくスキップして1曲目が終った後は、テンポに応じた周期であるアドレス(1010j+1)の伴奏リズムが読み出されて発音され、その後は、1曲目の前の曲間部分と同様に、テンポに応じた周期で10個の伴奏クロックごとに、曲間部分における伴奏リズムが読み出されて発音される。
【0047】
曲間部分が終って2曲目に入ったときは、曲間部分の最後に発音した伴奏リズムのアドレスを(10k+1)とすると、2曲目の最初のアドレスeにかかわらず、アドレス(10k+1)から2曲目のリズム音の最初の極大値のPCM波形データのアドレス(20k+1)までが、設定されたテンポに対応する周期となる。したがって、2曲目の最初のアドレスeからアドレス(20k+1)の前のアドレスまでには、(20k−e)個のPCM波形データを読み出して発音する。このように、複数の伴奏曲を順に再生する場合には、任意の伴奏曲の曲中部分においては、リズム音の極大値すなわち音量エンベロープの山が設定されたテンポで発音され、曲が終了して次の伴奏曲が開始するまでの曲間部分においては、伴奏リズムの波形データが設定されたテンポで発音され、次の伴奏曲が開始すると、その伴奏曲のリズム音の極大値が設定されたテンポで発音される。すなわち、テンポが設定されたときは、そのテンポの周期に対応して伴奏曲のリズム音の極大値若しくは伴奏リズム、又は足替タイミングにおける効果音が、その設定されたテンポの周期で発音される。
【0048】
すなわち、図6に示した伴奏曲の配列は、メロディ音およびリズム音の楽音を含む曲を構成する離散した且つシーケンシャルな伴奏曲の波形データ群の配列であるチャンネル3およびチャンネル4の配列、2205個の伴奏曲の波形データごとに伴奏曲の波形データに同期した伴奏クロックのチャンネル1の配列、曲の前後(又は、曲の前だけでもよい)においても、所定数(図6では10個)の伴奏クロックに同期した特定の音色からなる伴奏リズムの波形データのチャンネル2の配列、および、曲間部分に伴奏曲の波形データ群の音色とは異なる音色からなるチャンネル3の効果音の波形データ、および、効果音の波形データに同期したチャンネル1の伴奏クロックの配列で構成されている。さらに、伴奏リズムの周期と曲のリズム音の音量が極大となる楽音波形データの周期とが同期して配列されている。すなわち、再生された伴奏曲において、リズム音の音量エンベロープの山である極大値は、22050個ごとの波形データに同期するようになっている。
【0049】
図7は、携帯電話機2から赤外線を受信して楽音を発生するヘッドホン装置5の構造を示す図である。ヘッドホン装置5には、左スピーカ51aおよび右スピーカ51bが左右方向に弾性を有する支持部材52によって固定されている。なお、図には示していないが、各スピーカ51a,51bの上下方向の位置を調整するアジャスタが支持部材52に設けられている。支持部材52の中央には、携帯電話機2から受信した伴奏曲のPCM波形データやその他のデータを処理する信号処理部53が設けられている。この信号処理部53には、電源スイッチ53a、電源オンで発光するインジケータ53b、着脱可能に収容された充電電池53cなどが設けられている。また、左スピーカ51aの下部には、図28に示したように、携帯電話機2からの上向きの赤外線IRcを受光するために、レンズおよびフォトダイオードなどからなる受光部54が設けられている。さらに、左スピーカ51aおよび右スピーカ51bの外側面からは、ヘッドホン装置5を運動者が頭に装着した場合に、顔の左右の前方に棒55a,55bが突き出している。そして、棒55a,55bの先端部の内側には、赤や緑などの可視光を発光する発光ダイオード56a,56bが設けられている。この棒55a,55bは足替通知のためのオプション部品であり、着脱可能なように各スピーカ51a,51bにおいてコネクタで接続されている。したがって、このような棒55a,55bが目の横にあるのが邪魔な運動者は、容易に抜き取ることができる。
【0050】
8(1)は、運動者が、腰のベルト8に固定した専用ケース9に収容した携帯電話機2のヘッドホン端子2cとヘッドホン装置5とをアナログのステレオ用のケーブル18で接続して、英会話を聞きながら足踏運動を行っている様子を示す図である。英会話の再生速度は規定の速度であり、設定された伴奏曲のテンポには関係しない。また、英会話の再生と伴奏曲の再生とが同時に行われても、一方が他方の邪魔にはならない。このことは、左脳と右脳との機能の違いが理由であると言われているが、生理学的に明確な形で証明されてはいない。しかし、発明者および他の者によって実践された足踏運動と同時進行での英会話の聞き取りにおいて、一方が他方の邪魔にはならないことが検証されている。しかも、英会話の修得において、単に英語を聞き流すだけで著しい効果が得られることが最近注目されているので、本発明のように、伴奏曲に合わせて運動しながら英会話が修得できることは、効率的な時間の過ごし方として優れた効果が期待できる。
【0051】
図8において、踏み台1の構成は図1の場合とほとんど同じであるが、踏み台1はブルートゥース(Bluetooth)の通信機能を具備しており、その前側面に設けられた送信アンテナ20から、左足検出信号および右足検出信号をブルートゥースの無線信号によって携帯電話機2に送信する。もちろん、これを受信する携帯電話機2もブルートゥースの機能を具備している。ブルートゥースについては、すでに携帯電話機にも用いられているほど一般的になってきているので詳細な説明は省略するが、周波数ホッピング型スペクトル拡散方式の近距離無線通信(LWI)によってデータの送受信を行なうもので、クラス3では最大1mWの電力で数メートルから10メートルの伝送範囲をカバーする。
【0052】
図8(1)に示す構成は、ケーブル18が運動者の上半身にだけしかないので、足踏運動の邪魔になることがない。ブルートゥースの通信方式は、赤外線の通信方式に比べて、現在のところは広く普及するまでには至ってないが、赤外線の場合よりも通信距離が長い上、赤外線のような直線的な志向性がないので、新しい近距離無線通信として期待されている。したがって、近い将来には携帯電話機の一般的な近距離通信として普及することが予想される。この結果、ブルートゥースを搭載した携帯電話機が安価に購入できるようになれば、図8(1)に示した構成の足踏運動支援システムがローコストで実現できる。
【0053】
図8(2)は、図8(1)の場合と同様に、運動者が、腰のベルト8に固定した専用ケース9に収容した携帯電話機2のヘッドホン端子2cとヘッドホン装置5とをアナログのステレオ用のケーブル18で接続して、足踏運動を行う場合の一部を示す図である。ただし、足踏のカウントは踏み台1側で行う構成になっている。踏み台1は、上面のプレート11aに加わる荷重の検出に応じて左足検出信号を発生し、上面のプレート11bに加わる荷重の検出に応じて右足検出信号を発生する。そして、携帯電話機2から足踏の基準回数Nをカウントアップ値のプリセットデータとして赤外線によって受信する。そして、左足検出信号又は右足検出信号の連続した回数が基準回数Nに達したときは、携帯電話機2に対して足替信号を赤外線IRによって送信する。ところが、携帯電話機2の赤外線の送受信は、上側面すなわちアンテナ2e側で行うので、図8(2)に示すように、ベルト8に固定された専用ケース9に携帯電話機2を上下逆にして収容する。この場合には、赤外線を受光する受光部の保護部材2i、ヘッドホン端子2cおよび足踏の開始および停止を行うためのサイドスイッチ2fの部分、および、サブ表示部2aの部分に対応する専用ケース9に開口部を設ける。
【0054】
図8(2)に示す構成も、図8(1)の場合と同様に、ケーブル18が運動者の上半身にだけしかないので、足踏運動の邪魔になることがない。また、図8(2)に示す構成は、現在ほとんどの携帯電話機に搭載されている赤外線通信機能を利用できるという利点がある。なお、図には示していないが、踏み台1における赤外線の発光部および受光部は、図1に示したような前側面方向でなく、図8(1)に示した踏み台1のブルートゥースのアンテナ20のような構造で、上方向に赤外線IRを発光するとともに、携帯電話機2から送信される基準回数Nの赤外線を上から受光する構成にする。
【0055】
図8(1)および図8(2)に示した構成においては、携帯電話機2は踏み台1から充電電池に対して充電電流を受けていない。この場合には、携帯電話機2の充電電池を、図2に示した踏み台1の充電電池115と同じ仕様として、踏み台1で十分に充電された充電電池を携帯電話機2に装着し、踏み台1の電源はACアダプタ117を介して屋内のコンセントから供給する。あるいは、踏み台1に2個の充電電池を装着して充電できるようにして、充電された1つを携帯電話機2に装着すれば、屋内のコンセントに接続する必要はない。
【0056】
以上のように、上記実施形態によれば、本発明の伴奏曲は、伴奏曲中および伴奏曲間にわたって配列された伴奏クロックの配列、伴奏曲中において所定数の伴奏クロックごとにリズム音が同期した楽音波形データの配列、および、伴奏曲間において前記所定数の伴奏クロックごとに同期するとともに伴奏曲のメロディ音とは音色が異なる伴奏リズムの波形データの配列を有し、入力操作によって設定されたテンポに応じて伴奏クロックの読み出し速度を決定し、当該決定した読み出し速度に基づいて伴奏曲を再生するプログラムによって再生される。したがって、伴奏曲に合わせて運動する際に、複数種類の伴奏曲を順次再生する場合、および、同じ伴奏曲を繰り返し再生する場合において、現在の伴奏曲の再生が終了して次の再生が開始するまでの曲間においても、連続した運動のリズムを容易につかむことができる。
さらに、上記実施形態によれば、伴奏曲とともに英会話の教材が記録されているので、運動者は足踏運動をしながら、英会話の練習をすることができる。したがって、曲間においても連続した運動のリズムを容易につかめることで、伴奏曲とは異なる情報で伴奏曲のリズムの邪魔にならない英会話を伴奏曲とともに再生して、効率的な時間を過ごせる。英会話の他にも、他の外国語会話の教材、学術的な教材、録音されたラジオドラマ、小説の朗読、その他音の情報を伴奏曲とともに再生することにより、効率的な時間を過ごせる。
【0057】
なお、本発明の伴奏曲を再生する装置としては、踏み台1および携帯電話機2によって、あるいはヘッドホン装置5をさらに加えて、様々な変形例が考えられる。この明細書に記載した実施形態および変形例に基づいて、当業者が容易に想到できるものであれば、本発明の技術的な範疇であると言える。例えば、本願における特許請求の範囲には、記録媒体の発明および曲配信方法の発明のカテゴリを記載しているが、記録媒体に記録された伴奏曲およびネットワークを介して配信された伴奏曲を再生する装置についても、上記実施形態に記載した装置に限らず様々な態様の装置が可能であり、いわゆる物の発明のカテゴリについても、本発明の技術的な範疇に含まれると解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の伴奏曲を再生するための足踏運動支援システムの外観図。
【図2】図1の踏み台の内部構成のブロック図。
【図3】図1の携帯電話機の内部構成のブロック図。
【図4】図3の携帯電話機の信号処理を説明する図。
【図5】図3の携帯電話機の足踏設定画面の図。
【図6】本発明の伴奏曲の配列を示す図。
【図7】本発明の伴奏曲を再生するためのヘッドホン装置の外観を示す図。
【図8】本発明の伴奏曲を再生して運動する状態を示す図。
【符号の説明】
【0059】
1 踏み台
2 携帯電話機
5 ヘッドホン装置
206 RFブロック
207 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動支援の伴奏曲を記録した記録媒体であって、
伴奏曲中および伴奏曲間にわたって配列された伴奏クロックの配列、伴奏曲中において所定数の伴奏クロックごとにリズム音が同期した楽音波形データの配列、および、伴奏曲間において前記所定数の伴奏クロックごとに同期するとともに伴奏曲のメロディ音とは音色が異なる伴奏リズムの波形データの配列を有し、入力操作によって設定されたテンポに応じて伴奏クロックの読み出し速度を決定し、当該決定した読み出し速度に基づいて伴奏曲を再生するプログラムによって再生される伴奏曲を記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
請求項1の記録媒体において、前記再生するプログラムをさらに記録したことを特徴とする。
【請求項3】
請求項1又は2の記録媒体において、入力操作によって設定されたテンポに関係なく所定の読み出し速度に基づいて再生される情報を記録し、当該情報は、前記再生するプログラムによって前記伴奏曲とともに再生されることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項の記録媒体において、記録された伴奏曲の中にはメロディ音の無い特定の音色のリズム音だけで構成された伴奏曲が含まれていることを特徴とする。
【請求項5】
請求項4の記録媒体において、前記特定の音色は、当該記録媒体に記録されている複数種類の音色の中から、入力操作によって選択された音色であることを特徴とする。
【請求項6】
通信回線によって運動支援の伴奏曲を配信する曲配信方法であって、
伴奏曲中および伴奏曲間にわたって配列された伴奏クロックの配列、伴奏曲中において所定数の伴奏クロックごとにリズム音が同期した楽音波形データの配列、および、伴奏曲間において前記所定数の伴奏クロックごとに同期するとともに曲のメロディ音とは音色が異なる伴奏リズムの波形データの配列を有し、入力操作によって設定されたテンポに応じて伴奏クロックの読み出し速度を決定し、当該決定した読み出し速度に基づいて伴奏曲を再生するプログラムによって再生される伴奏曲を配信することを特徴とする曲配信方法。
【請求項7】
請求項6の曲配信方法において、前記再生するプログラムを伴奏曲とともに配信することを特徴とする。
【請求項8】
請求項6又は7の曲配信方法記において、入力操作によって設定されたテンポに関係なく所定の読み出し速度に基づいて再生される情報を配信し、当該情報は、前記再生するプログラムによって前記伴奏曲とともに再生されることを特徴とする。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項の曲配信方法において、配信される伴奏曲の中にはメロディ音の無い特定の音色のリズム音だけで構成された伴奏曲が含まれていることを特徴とする。
【請求項10】
請求項9の曲配信方法において、前記特定の音色は、配信された複数種類の音色の中から、入力操作によって選択された音色であることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−86553(P2007−86553A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276964(P2005−276964)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303015653)有限会社ラルゴ (23)
【Fターム(参考)】