運搬台車
【課題】荷台を格子状に形成することにより荷台の軽量化を図りつつ、荷台上の荷物の滑りを抑制して、汎用性と使い勝手等に優れた運搬台車を提供する。
【解決手段】上面に平坦な載置面を形成し得る平面視方形状の荷台と、垂直な一対の支柱と該支柱の上部を連結する握持部を有して荷台の一端に配設されたハンドルと、荷台の四隅下面に取付けられた車輪と、を備えた運搬台車であって、前記荷台は、例えばアルミニウム材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止め7が一体形成された前後及び左右の角パイプ2bを格子状に連結することで形成されると共に、滑り止め7が各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることを特徴とする。
【解決手段】上面に平坦な載置面を形成し得る平面視方形状の荷台と、垂直な一対の支柱と該支柱の上部を連結する握持部を有して荷台の一端に配設されたハンドルと、荷台の四隅下面に取付けられた車輪と、を備えた運搬台車であって、前記荷台は、例えばアルミニウム材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止め7が一体形成された前後及び左右の角パイプ2bを格子状に連結することで形成されると共に、滑り止め7が各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプが格子状に連結された荷台の載置面に各種荷物が載置されると共に、荷台の一端にハンドルが例えば折り畳み可能に配設された運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、格子状に形成された荷台上に各種荷物を載置して運搬するための運搬台車としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示のものがある。特許文献1に開示の運搬台車は、扁平な複数本の角パイプを格子状に連結することで前部荷台と後部荷台からなる荷台を骨格構造で構成して、荷台の軽量化等を図るようにしたものである。また、特許文献2に開示の運搬台車は、4本のL型アングルをコーナ部材で連結することにより、連結部材とコーナ部材とにより略格子状の荷台を形成し、コーナ部材の垂直な側壁やL型アングルの側壁により荷台上の荷物の転落を防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−157626号公報
【特許文献2】特開2002−2496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の運搬台車にあっては、格子状の荷台により荷台の軽量化は図れるものの、荷台を形成する各角パイプの上面が平滑面で形成されているため、荷台上に載置される荷物の荷台上における滑りや移動あるいは落下を防止することが難しく、運搬時に荷物に気を配る必要がある等、運搬作業自体が面倒となり易い。また、特許文献2に開示の運搬台車は、L型アングルやコーナ部材の垂直な側壁により荷台上の荷物の落下は防止できるものの、荷台上に該荷台より大きな荷物を載せた場合に、荷物の移動等を防止することが難しく、台車の汎用性と使い勝手が劣るという不都合を有している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、荷台を格子状に形成することにより荷台の軽量化を図りつつ、荷台上の荷物の滑りを抑制して、汎用性と使い勝手等に優れた運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、上面に平坦な載置面を形成し得る平面視方形状の荷台と、垂直な一対の支柱と該支柱の上部を連結する握持部を有して前記荷台の一端に配設されたハンドルと、前記荷台の四隅下面に取付けられた車輪と、を備えた運搬台車であって、前記荷台は、金属材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止めが一体形成された前後及び左右の角パイプを格子状に連結することで形成されると共に、前記滑り止めが各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記前後の角パイプのうちの反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプは、1本の角パイプを平面視コ字状に折曲げることにより形成されていることを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、前記ハンドルの一対の支柱が、前記角パイプと同一材料で形成されて、その荷台側の側面に滑り止めが一体形成されていることを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、前記角パイプが、アルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、前記滑り止めが複数条のスリットもしくは突条で形成されていることを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、前記複数条のスリットもしくは突条からなる滑り止め間に平滑面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、荷台が金属材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止めが一体形成された前後及び左右の角パイプを格子状に連結することで形成されると共に、滑り止めが各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされているため、荷台の軽量化を図りつつ、角パイプの上面に一体形成した滑り止めにより、荷台上の荷物の前後方向や左右方向への移動を抑制できると共に、滑り止めが荷台上に突出することがなく各種大きさの荷物に対応できる等、汎用性と使い勝手に優れた運搬台車を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、前後の角パイプのうちの反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプが、1本の角パイプを平面視略コ字状に折曲げることにより形成されているため、角パイプの溶接等の連結部の数を低減させて、荷台の構成を簡略化して安価に形成し得ると共に、コーナ部に所定のアールを簡単に形成できて、運搬台車のデザイン性と安全性を向上させることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、ハンドルの一対の支柱が角パイプと同一材料で形成されて、その荷台側の側面に滑り止めが一体形成されているため、運搬台車に使用される部材の共通化が図れてコストダウンが可能になると共に、支柱に接触する状態で荷台上に載置された荷物の左右方向の移動を支柱の滑り止めでも抑制できて、荷台上の荷物の滑りを確実に防ぐことができる。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、角パイプがアルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、滑り止めが複数条のスリットもしくは突条で形成されているため、アルミニウム材の使用で荷台の一層の軽量化が図れると共に、複数条のスリットや突条で荷台上の荷物の滑りをより一層抑制することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、複数条のスリットもしくは突条からなる滑り止め間に平滑面が形成されているため、平滑面により荷台のデザイン性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係わる運搬台車の一実施形態示す略正面側から見た斜視図
【図2】同その背面図
【図3】同平面図
【図4】同ブレーキ機構の要部を示す一部破断した背面図
【図5】同その側面図
【図6】同固定ロッドを示す背面図
【図7】同操作レバーを示す側面図
【図8】同ハンドルの支柱下部を示す側面図
【図9】同ハンドルの支柱の回動動作を示す側面図
【図10】同荷台の角パイプを示す平面図
【図11】同図10のA−A線に沿った断面図
【図12】同ハンドルを折り畳んだ状態を示す図1と同様の斜視図
【図13】同その背面図
【図14】同ブレーキ部の側面図
【図15】同本発明の変形例を示す荷台の平面図
【図16】同図15のB−B線矢視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図14は、本発明に係わる運搬台車の一実施形態を示している。図1〜図3に示すように、運搬台車1は、平面視長方形状の荷台2と、この荷台2の長手方向の一端側に折り畳み可能に配設されたハンドル3と、前記荷台2の四隅下面に配設された一対の固定車輪4及び一対の自由車輪5と、前記ハンドル3と荷台2との間に配設されたブレーキ機構6(図3には図示せず)を備えている。
【0015】
前記荷台2は、アルミニウム製の複数本(図では5本)の断面長方形状(もしくは方形状)の角パイプ2a〜2c、すなわち横方向の角パイプ2aと、平面視コ字条の外周パイプからなる角パイプ2bと、3本の縦パイプからなる角パイプ2cを、溶接等により連結することで格子状に形成されている。そして、各角パイプ2a〜2cの上面によって、荷台2が例えば長さが750mmで幅が480mm程度の載置面を有するように形成されている。また、各角パイプ2a〜2cは、アルミニウム材を押出し成形することにより、図10及び図11に示すように、その上面に凹凸状の滑り止め7が各角パイプ2a〜2cの長手方向の全長に亘って一体形成されている。
【0016】
このとき、滑り止め7は、例えば図11(a)に示すように断面三角形状のスリット7aで形成されるか、あるいは図11(b)に示すように断面三角形状の突条7bで形成されている。また、各角パイプ2〜2cには、スリット7aもしくは突条7bが複数条併設状態で形成された滑り止め7が2条形成され、この滑り止め7間には平滑面8が形成されている。なお、各角パイプ2a〜2cに設けられる滑り止め7のスリット7aや突条7bは、断面三角形状に限らず断面台形状で良いし、滑り止め7の条数も2条に限らず角パイプ2〜2cの大きさによっては3条以上設けることも勿論可能である。
【0017】
また、荷台2の角パイプ2aを除く外周パイプとなる角パイプ2bは、1本の角パイプを2箇所で90度折曲げることにより平面視略コ字状に形成されて、その折曲部には平面視で所定のアールが形成されている。そして、荷台2の角パイプ2bの縦方向部分と各角パイプ2cに縦方向ホ(図10参照)に指向する滑り止め7が設けられて、荷台2上に載置される荷物の横方向(側方)への滑りが抑制されている。また、角パイプ2bの横方向部分に横方向へ(図10参照)に指向する滑り止め7が設けられて、荷台2上に載置される荷物の前方(反ハンドル3方向)への滑りが抑制されるようになっている。
【0018】
前記ハンドル3は、図1〜図3に示すように、荷台2の一端側両端に垂直状態で配設された一対の支柱3aと、この支柱3aの上部を連結し荷台2の外方向に略水平状態で固定された丸パイプからなり平面視略コ字状の握持部3bと、支柱3aの高さ方向の中間部分と上部を連結する一対の連結パイプ3c等を有している。このハンドル3の支柱3aは、前記荷台2の角パイプ2a〜2cと同一形状の角パイプが使用され、その荷台2側の表面に前記角パイプ2a〜2cと同様の凹凸状の滑り止め7が一体形成されている。なお、支柱3aの上部で前記握持部3bの近傍には、後述するブレーキ機構6の操作レバー16が上下方向に回動可能に配設されている。また、支柱3aの上端開口には、樹脂製のキャップ3dが装着されている。
【0019】
そして、支柱3aは、荷台2の角パイプ2bの両端部上に溶接固定された断面コ字状のブラケット9にそれぞれ回動可能に支持されている。すなわち、図8及び図9に示すように、支柱3aは、その下端に斜めに切断された傾斜部10が形成されると共に、各ブラケット9の一対の側壁に回動軸11により矢印イ方向に回動可能に支持されている。また、一対のブラケット9の各側壁で前記回動軸11の斜め後方下部には、傾斜状態のガイド孔12がそれぞれ形成され、この4つのガイド孔12には、1本の固定ロッド13が水平状態で挿通されている。この固定ロッド13は、その両端部が各ブラケット9の外側の側壁外に位置して図示しない座金及びピンによりガイド孔12からの抜けが防止された状態でガイド孔12に遊嵌されている。
【0020】
また、図6に示すように、固定ロッド13のブラケット9内側の側壁外にはスプリング係止孔(もしくはスプリング係止部)が設けられ、このスプリング係止孔と前記回動軸11のブラケット9の内側の側壁外に突出した部分に設けたスプリング係止孔(もしくはスプリング係止部)との間に、固定ロッド用スプリング14が係止されている。この固定ロッド用スプリング14により、固定ロッド13が常時回動軸11側に引っ張られ、通常、固定ロッド13が前記ガイド孔12の上端に当接するようになっている。この状態で、図8の実線で示すように、固定ロッド13が支柱3aの後面下端に当接して係合し、支柱3aの矢印イ方向への回動が禁止されるようになっている。
【0021】
そして、この固定ロッド13は、その中間部分を例えば運搬台車1を使用する作業員が足で図6の矢印トの如く下方に押すことにより、図9の矢印ロの如く固定ロッド用スプリング14の付勢力(引張力)に抗してガイド孔12に沿って下方に移動し、固定ロッド13と支柱3aの後面下端との係合状態が解除されて、支柱3aが矢印イ方向に回動、すなわち後述するようにハンドル3が折り畳み状態に設定されるようになっている。
【0022】
前記固定車輪4と自由車輪5は、図1〜図3及び図5に示すように、それぞれ車輪の外周部がゴム材で形成された取付板4a、5a付きのキャスターで形成されている。そして、荷台2の一端両側(ハンドル3側)の下面に取付けられる一対の固定車輪4は、その回動方向が荷台2の長手方向(前後方向)にのみ回転自在となっている。また、荷台2の他端両側(反ハンドル側)の下面に取付けられる一対の自由車輪5は、固定車輪4と同方向に回転自在でかつ平面視で360度回転自在となっている。
【0023】
前記ブレーキ機構6は、前記ハンドル3の握持部3b近傍に回動可能に配設されて前記握持部3bと略同様の平面視形状を有する丸パイプからなる操作レバー16と、下端に設けたブレーキ部17aが前記固定車輪4の外周面4bに当接して固定車輪4の回転を阻止可能なブレーキロッド17と、このブレーキロッド17aの上端と前記操作レバー16とを連結する連結ロッド18と、前記ブレーキロッド17を常時押圧方向に付設するスプリング19等を有している。
【0024】
前記操作レバー16は、図7に示すように、その両基端部が一対の支柱3aの上部に回動軸20により回動可能に支持されると共に、ハンドル3の握持部3bに対して所定角度を有して傾斜状態とされて、作業員が握持部3bを握りつつ操作レバー16の回動操作が可能となっている。そして、操作レバー16の支柱3a内に位置する端部に、前記連結ロッド18の上端がピン等からなる回動軸25により回動可能に連結されている。
【0025】
前記連結ロッド18は、直径5mm程度のアルミ棒等で形成されて一対の支柱3a内を挿通され、図4に示すように、その下端がL字状に折り曲げられて、支柱3aの内側壁に設けたガイド孔21(図2参照)から支柱3aの外部(内側)に引き出されている。そして、支柱3aから引き出された連結ロッド18の下端には、ピン等からなる回動軸22を介して前記ブレーキロッド17の上端が回動可能に連結されている。なお、連結ロッド18の回動軸22は、支柱3aをブラケット9に回動可能に支持する前記回動軸11と略同軸位置に設定されている。
【0026】
前記ブレーキロッド17は、ブラケット9の内側の側壁外面に固定されたガイド部材23に上下動可能に支持されている。このとき、ガイド部材23は、図4及び図6に示すように、ブラケット9に溶接固定される固定部23aと、この固定部23に垂直状態で固定されて内部にガイド孔を有する略円筒形状のガイド部23bを有している。そして、ブレーキロッド17の上部がガイド部23bのガイド孔に上下動可能に挿通されている。また、ブレーキロッド17は、直径10mm程度のアルミ棒等で形成され、図4及び図5に示すように、その下部を内側方向と外側方向に90度折曲げることにより、先端部(下端)に固定車輪4の外周面4bと平行な円柱状のブレーキ部17aが一体形成されている。なお、ブレーキ部17aは、固定車輪4の斜め後方の外周面4bに当接するように設定されている。
【0027】
また、ブレーキロッド17のブレーキ部17a上方には、スプリング支持板24(図4参照)が設けられ、このスプリング支持板24と前記ガイド部材23のガイド部23bの下面との間のブレーキロッド17には、圧縮状態の前記スプリング19が嵌挿されている。このスプリング19により、ブレーキロッド17が図4及び図5の矢印ハ方向に常時付勢、すなわちブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bに所定圧で常時当接して、固定車輪4の回転を阻止するように設定されている。なお、ブレーキロッド17の先端に一体形成されるブレーキ部17aは、断面円形に形成されるが、例えば図5の二点鎖線aで示すように、プレス等により上下に平坦面17bを形成して所定のブレーキ性能が得られるように構成しても良い。
【0028】
次に、このように構成された運搬台車1の使用方法の一例について説明する。先ず、通常の使用状態である荷物の運搬時には、図1に示すように、ハンドル3を起立状態に設定する。このハンドル3の起立状態では、図8の実線で示すように、固定ロッド13が固定ロッド用スプリング14の付勢力でガイド孔12の上端に位置し、該固定ロッド13が支柱3aの後面下端に係合して矢印イ方向への回動が禁止されている。
【0029】
また、操作レバー16から手を離した非操作時においては、操作レバー16に連結ロッド18を介して連結されたブレーキロッド17が、スプリング19の付勢力により下方に押圧されてブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bに所定圧で当接して、固定車輪4の回転が阻止されている。これにより、運搬台車1はロックされて、その移動が禁止された状態となっている。このとき、ブレーキロッド17の円柱状のブレーキ部17aが固定車輪4のゴム製の外周面4aにその幅方向から所定圧で当接することで、ブレーキ部17aによる固定車輪4の外周面4aへの食い込み等による傷付きが防止された状態で該固定車輪4の回転が阻止されている。
【0030】
この状態で、荷台2上に荷物を載置し、ハンドル3の握持部3bを握りつつ操作レバー16を下方に回動操作すると連結ロッド18が上昇する。このとき、連結ロッド18は、その下端が支柱3aの下部内側に設けたガイド孔21に沿って移動することになる。そして、連結ロッド18が上昇すると、この連結ロッド18の下端に連結されているブレーキロッド17が、スプリング19の付勢力に抗して上昇し、図5に実線で示すように、そのブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4aから所定距離L離間する。
【0031】
このブレーキ部17aの離間により固定車輪4が回転可能となり、握持部3bを握りながら操作レバー16を下方に回動操作しつつハンドル3を所定方向に押したり引っ張ることにより、運搬台車1を所定方向に移動させることができる。この運搬台車1による荷物の運搬時に、荷台2の各角パイプ2a〜2cに設けた凹凸状の滑り止め7により、前述したように荷物の側方や前方への滑りが抑制されて、荷物が荷台2上から落下等することなく運搬することができる。
【0032】
そして、運搬台車1を所定位置に移動させて、該位置で荷物を降ろす場合は、操作レバー16から手を離して非操作位置(初期位置)とすることでスプリング19の付勢力により、ブレーキロッド17や連結ロッド18が下降すると共に、ブレーキ部17aが下降して固定車輪4の外周面4bに所定圧で当接する。これにより、固定車輪4の回転が阻止されて運搬台車1の移動が禁止され、この状態で荷台2上の荷物が降ろされる。つまり、運搬台車1を荷物の運搬に使用する場合は、ハンドル3を起立状態とさせて、握持部3bを握りつつ操作レバー16を下方に回動操作したり、操作レバー16から手を離して非操作位置にすることにより、固定車輪4の回転を阻止したり回転可能として使用できることになる。
【0033】
一方、運搬台車1を使用せずハンドル3を折り畳んで保管する場合は、次のようにして行う。すなわち、ハンドル3の下部に配設されている固定ロッド13を例えば足もしくは手で押し下げ、固定ロッド13をブラケット9のガイド孔12に沿い固定ロッド用スプリング14の付勢力に抗して下方に移動させる。固定ロッド13がガイド孔12の下端に位置すると、該固定ロッド13の両端部と一対の支柱3aの後面下端の係合状態が解除され、この状態でハンドル3を折り畳み方向である図8のイ方向に回動させる。
【0034】
このとき、ハンドル3はその支柱3aがブラケット9に対して前記回動軸11を中心に回動し、また、支柱3aの内部に挿通されている連結ロッド18は、その下端がブレーキロッド17の上端に対して前記回動軸22を中心に回動することで行われる。これらの回動は、回動軸11と回動軸22が略同軸位置に設定されていることから、支柱3aのブラケット9に対する回動動作と連結ロッド18のブレーキロッド17に対する回動動作が略同期して、ハンドル3の折り畳み動作がスムーズに行われる。
【0035】
これにより、ハンドル3とブレーキ機構6の操作レバー16や連結ロッド18が一体となって、図12及び図13に示すように、荷台2上に折り畳まれる。また、ハンドル3の折り畳み時には、操作レバー16が非操作位置にあることから、ブレーキロッド17のブレーキ部17aが、図14に示すように、固定車輪4の外周面4bに当接してその回転が阻止され、ハンドル3の折り畳み時に運搬台車1自体が移動しないようになっている。
【0036】
そして、この折り畳み状態から運搬台車1を使用しようとしてハンドル3を起立させる場合は、折り畳まれたハンドル3を起立方向に回動させることで行うことができる。この起立時には、固定ロッド13がガイド孔12の上端に位置しており、この状態で支柱3aが起立すると、図9の三点鎖線bで示すように、支柱3a下端の傾斜部10が固定ロッド13に当接しつつ該固定ロッド13を固定ロッド用スプリング14の付勢力に抗して矢印ロの如く下方に押し下げつつ支柱3aが回動する。支柱3aが回動して略垂直状態になると、該支柱3aの下端が固定ロッド13を乗り越え、これと同時に固定ロッド13が固定ロッド用スプリング14の付勢力でガイド孔12を上昇してその上端位置に設定される。
【0037】
これにより、固定ロッド13と支柱3aの後面下端が係合状態に設定されて、支柱3aの回動が禁止されて前記使用状態に設定される。つまり、ハンドル3の折り畳み操作は、固定ロッド13を足等で下方に押し下げて支柱3aを手で回動させることにより行われ、また、ハンドル3の起立操作は、ハンドル3を徐々に起立させることで支柱3aの下端が固定ロッド13を移動させて初期状態に設定、すなわち固定ロッド13を操作することなくハンドル3を起立させるだけで、該ハンドル3を起立状態に自動的に設定することができる。
【0038】
このように、前記運搬台車1によれば、荷台2が複数本の角パイプ2a〜2cの連結により格子状に形成され、各角パイプ2a〜2cの上面に凹凸状の滑り止め7が一体形成されているため、荷台2自体の軽量化を図ることができると共に、滑り止め7により荷台2上の荷物の滑りや落下を抑制できて、荷台2上の荷物に安定した載置・運搬状態を得ることができる。特に、滑り止め7が各パイプ2a〜2cの全長に亘って形成されて荷台2の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることから、各方向への滑り止め効果を一層高めることができる。
【0039】
また、滑り止め7が凹凸状で荷台2上に突出する等していないため、荷台2上に載置される荷物の大きさに影響せず、荷台2の大きさ以上の荷物の載置・運搬が可能となって、荷物の大小に係わらず使用できる等、汎用性と使い勝手に優れた運搬台車1を得ることができる。さらに、荷台2の外周パイプとしての反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプが、平面視略コ字状に折曲げた1本の角パイプ2bで形成されているため、角パイプ2a〜2cの溶接等の連結部の数を低減させて、荷台2の構成を簡略化して安価に形成し得ると共に、荷台2のコーナ部に所定のアールを簡単に形成できて、運搬台車1のデザイン性と安全性を向上させることができる。
【0040】
また、ハンドル3の一対の支柱3aが角パイプ2a〜2cと同一材料で形成されて、その荷台2側の側面に滑り止め7が一体形成されているため、運搬台車1に使用される部材の共通化が図れてコストダウンが可能になると共に、支柱3aに接触する状態で荷台2上に載置された荷物の左右方向の移動を支柱3aの滑り止め7でも抑制できて、運搬台車1における荷物の滑りを確実に防ぐことができる。
【0041】
さらにまた、角パイプ2a〜2c等がアルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、滑り止め7が複数条のスリット7aや突条7bで形成されているため、アルミニウム材の使用で荷台2の一層の軽量化が図れると共に、複数条のスリット7a等により荷台2上の荷物の滑りをより一層抑制することができる。また、複数条のスリット7aや突条7b等からなる滑り止め7間に平滑面8が形成されているため、平滑面8により荷台2のデザイン性を向上させて、アルミニウムの光沢等と合わせ、意匠的に優れた運搬台車1を得ることができる。
【0042】
また、前記運搬台車1によれば、次のような付随的な作用効果を得ることができる。すなわち、ブレーキ機構6の操作レバー16の非操作時に、ブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bに押圧されてその回転を阻止したり、操作レバー16の操作時にブレーキ部17aを固定車輪4から離間させてその回転を可能にすると共に、ハンドル3を折り畳み方向に回動することにより、ハンドル3を操作レバー16や連結ロッド18等と一体となって荷台2上に折り畳むことができる。そのため、荷台2の一端に折り畳み可能に配設されたハンドル3の支柱3a等を有効利用してブレーキ機構6の操作レバー16や連結ロッド18等を配設することができて、ハンドル3部分の構成を簡素化しつつ、ハンドル3の折り畳み操作や固定車輪4のロック(ブレーキ)操作をスムーズに行うことができる。
【0043】
特に、操作レバー16とブレーキロッド17が支柱3a内に挿通されたアルミニウム製の連結ロッド18で連結されているため、操作レバー16の操作がブレーキロッド17に直接かつ効率的に伝達されて、ワイヤー等で連結した場合に比較して、ブレーキ部17aによる固定車輪4の回転阻止状態や回転可能状態への移行をスムーズかつ確実に行うことができると共に、連結ロッド18の錆の発生等を防止できて、長期に亘り安定したブレーキ性能を有する運搬台車1を得ることが可能となる。
【0044】
また、ハンドル3の一対の支柱3aを回動可能に支持するブラケット9間に、ハンドル3の使用時にハンドル3の支柱3a下端に係合してその折り畳みを禁止すると共に、押し下げることによりハンドル3の支柱3a下端との係合が解除されてハンドル3の折り畳みを可能にする固定ロッド13が配設されているため、固定ロッド13を例えば足で押し下げるだけで、ハンドル3の折り畳み操作を簡単に行うことができる。
【0045】
また、固定ロッド13がブラケット9のガイド孔12に沿って移動すると共に、ハンドル3を折り畳み状態から起立させる際に、ハンドル3の支柱3a下端の傾斜部10が固定ロッド13に当接しつつ押し下げられ、係合状態が解除された時点で固定ロッド用スプリング14の付勢力により固定ロッド13が起立位置に自動的に復帰するため、ハンドル3を起立させる際に、固定ロッド13が自動的に復帰してその操作が不要となり、ハンドル3の起立操作を簡単に行うことができる。
【0046】
さらに、ブレーキロッド17の下部を折曲げることによりブレーキ部17aが一体形成されると共に、ブレーキロッド17の上部がガイド部材23のガイド部23bに上下動可能に挿通され、このガイド部23bの下端にスプリング19が配設されているため、ブレーキ機構6の構成を簡略化できると共に、ガイド部23bによりブレーキロッド17の上下動がスムーズとなり、ブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bの所定位置を確実に押圧して固定車輪4の回転阻止を安定させることができる。
【0047】
また、ハンドル3の支柱3aの回動軸11と連結ロッド18のブレーキロッド17に対する回動軸22とが略同軸位置に設定されているため、ハンドル3の回動動作と連結ロッド18及や操作レバー16等の回動動作を略同期させることができて、ハンドル3の折り畳み動作や起立動作を良好に行うことができる。これらにより、ハンドル3の折り畳みや起立時の操作性が優れた運搬台車1を得ることが可能になる。
【0048】
ところで、前記実施形態においては、荷台2の各角パイプ2a〜2cに凹凸状の滑り止め7を一体形成することで、荷物の荷台2からの落下等を抑制したが、例えば図15及び図16に示すように、荷台2に落下防止機構27を別途配設することもできる。すなわち、荷台の左右の角パイプ2bに、一対のヒンジ27bを介して左右一対の落下防止板27aを角パイプ2bに対してそれぞれ回動可能(折り畳み可能)に配設する。このとき、落下防止板27aは、図16に実線で示す起立させた状態において、角パイプ2b上に垂直状態で立設され、この立設状態から矢印ニの如く回動させて図16に二点鎖線で示す折り畳んだ状態においては、その先端部が角パイプ2c上に載置される。これにより、折り畳み状態において、落下防止板27aが荷台2の載置面として機能するようになっている。
【0049】
この実施例によれば、格子状の荷台2の角パイプ2bに落下防止機構27が折り畳み可能に設けられているため、落下防止板27aを起立させることで荷台2上の荷物の落下を確実に防止できて、荷台2上の荷物に安定した載置・運搬状態を容易に得ることができる。また、落下防止板27aを折り畳むことで、荷台2の大きさ以上の荷物の載置・運搬が可能となったり、落下防止板27aにより荷台2の載置面を広くして荷物の安定した載置が可能になる等、前記実施例と略同様の作用効果を得ることができる。この例の場合、落下防止板27aは、折り畳み可能ではなく、荷台2の角パイプ2b等に対して着脱可能に配設することも勿論可能であるし、落下防止板27aの表面に前記角パイプと同様の滑り止め7を一体形成しても良い。
【0050】
なお、前記実施形態においては、荷台2の角パイプ2cを角パイプ2b内に縦方向に連結したが、本発明はこの構成に限定されず、角パイプ2cを角パイプ2b内に横方向(角パイプ2aと平行)に連結しても良い。また、前記実施形態における、ハンドル3の構成、荷台2の大きさ、ブレーキ部17aの構成等は一例であって、例えばハンドル3の支柱3aと握持部3bを一体型としたり、ブレーキロッド17の下端に該ブレーキロッド17より径大な略円柱状のブレーキ部17aを溶接等で固定した構成を採用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、工場や倉庫内、トラック等の運搬車両内、空港、農家あるいは一般家庭等のあらゆる分野で、荷物の運搬に使用される全ての運搬台車に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・運搬台車、2・・・荷台、2a〜2c・・・角パイプ、3・・・ハンドル、3a・・・支柱、3b・・・握持部、4・・・固定車輪、4b・・・外周面、4・・・自由車輪、6・・・ブレーキ機構、7・・・滑り止め、7a・・・スリット、7b・・・突条、8・・・平滑面、9・・・ブラケット、11・・・回動軸、12・・・ガイド孔、13・・・固定ロッド、14・・・固定ロッド用スプリング、16・・・操作レバー、17・・・ブレーキロッド、17a・・・ブレーキ部、18・・・連結ロッド、19・・・スプリング、20・・・回動軸、21・・・ガイド孔、22・・・回動軸、23・・・ガイド部材、23b・・・ガイド部、24・・・スプリング支持板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプが格子状に連結された荷台の載置面に各種荷物が載置されると共に、荷台の一端にハンドルが例えば折り畳み可能に配設された運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、格子状に形成された荷台上に各種荷物を載置して運搬するための運搬台車としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示のものがある。特許文献1に開示の運搬台車は、扁平な複数本の角パイプを格子状に連結することで前部荷台と後部荷台からなる荷台を骨格構造で構成して、荷台の軽量化等を図るようにしたものである。また、特許文献2に開示の運搬台車は、4本のL型アングルをコーナ部材で連結することにより、連結部材とコーナ部材とにより略格子状の荷台を形成し、コーナ部材の垂直な側壁やL型アングルの側壁により荷台上の荷物の転落を防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−157626号公報
【特許文献2】特開2002−2496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の運搬台車にあっては、格子状の荷台により荷台の軽量化は図れるものの、荷台を形成する各角パイプの上面が平滑面で形成されているため、荷台上に載置される荷物の荷台上における滑りや移動あるいは落下を防止することが難しく、運搬時に荷物に気を配る必要がある等、運搬作業自体が面倒となり易い。また、特許文献2に開示の運搬台車は、L型アングルやコーナ部材の垂直な側壁により荷台上の荷物の落下は防止できるものの、荷台上に該荷台より大きな荷物を載せた場合に、荷物の移動等を防止することが難しく、台車の汎用性と使い勝手が劣るという不都合を有している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、荷台を格子状に形成することにより荷台の軽量化を図りつつ、荷台上の荷物の滑りを抑制して、汎用性と使い勝手等に優れた運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、上面に平坦な載置面を形成し得る平面視方形状の荷台と、垂直な一対の支柱と該支柱の上部を連結する握持部を有して前記荷台の一端に配設されたハンドルと、前記荷台の四隅下面に取付けられた車輪と、を備えた運搬台車であって、前記荷台は、金属材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止めが一体形成された前後及び左右の角パイプを格子状に連結することで形成されると共に、前記滑り止めが各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記前後の角パイプのうちの反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプは、1本の角パイプを平面視コ字状に折曲げることにより形成されていることを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、前記ハンドルの一対の支柱が、前記角パイプと同一材料で形成されて、その荷台側の側面に滑り止めが一体形成されていることを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、前記角パイプが、アルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、前記滑り止めが複数条のスリットもしくは突条で形成されていることを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、前記複数条のスリットもしくは突条からなる滑り止め間に平滑面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、荷台が金属材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止めが一体形成された前後及び左右の角パイプを格子状に連結することで形成されると共に、滑り止めが各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされているため、荷台の軽量化を図りつつ、角パイプの上面に一体形成した滑り止めにより、荷台上の荷物の前後方向や左右方向への移動を抑制できると共に、滑り止めが荷台上に突出することがなく各種大きさの荷物に対応できる等、汎用性と使い勝手に優れた運搬台車を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、前後の角パイプのうちの反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプが、1本の角パイプを平面視略コ字状に折曲げることにより形成されているため、角パイプの溶接等の連結部の数を低減させて、荷台の構成を簡略化して安価に形成し得ると共に、コーナ部に所定のアールを簡単に形成できて、運搬台車のデザイン性と安全性を向上させることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、ハンドルの一対の支柱が角パイプと同一材料で形成されて、その荷台側の側面に滑り止めが一体形成されているため、運搬台車に使用される部材の共通化が図れてコストダウンが可能になると共に、支柱に接触する状態で荷台上に載置された荷物の左右方向の移動を支柱の滑り止めでも抑制できて、荷台上の荷物の滑りを確実に防ぐことができる。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、角パイプがアルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、滑り止めが複数条のスリットもしくは突条で形成されているため、アルミニウム材の使用で荷台の一層の軽量化が図れると共に、複数条のスリットや突条で荷台上の荷物の滑りをより一層抑制することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、複数条のスリットもしくは突条からなる滑り止め間に平滑面が形成されているため、平滑面により荷台のデザイン性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係わる運搬台車の一実施形態示す略正面側から見た斜視図
【図2】同その背面図
【図3】同平面図
【図4】同ブレーキ機構の要部を示す一部破断した背面図
【図5】同その側面図
【図6】同固定ロッドを示す背面図
【図7】同操作レバーを示す側面図
【図8】同ハンドルの支柱下部を示す側面図
【図9】同ハンドルの支柱の回動動作を示す側面図
【図10】同荷台の角パイプを示す平面図
【図11】同図10のA−A線に沿った断面図
【図12】同ハンドルを折り畳んだ状態を示す図1と同様の斜視図
【図13】同その背面図
【図14】同ブレーキ部の側面図
【図15】同本発明の変形例を示す荷台の平面図
【図16】同図15のB−B線矢視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図14は、本発明に係わる運搬台車の一実施形態を示している。図1〜図3に示すように、運搬台車1は、平面視長方形状の荷台2と、この荷台2の長手方向の一端側に折り畳み可能に配設されたハンドル3と、前記荷台2の四隅下面に配設された一対の固定車輪4及び一対の自由車輪5と、前記ハンドル3と荷台2との間に配設されたブレーキ機構6(図3には図示せず)を備えている。
【0015】
前記荷台2は、アルミニウム製の複数本(図では5本)の断面長方形状(もしくは方形状)の角パイプ2a〜2c、すなわち横方向の角パイプ2aと、平面視コ字条の外周パイプからなる角パイプ2bと、3本の縦パイプからなる角パイプ2cを、溶接等により連結することで格子状に形成されている。そして、各角パイプ2a〜2cの上面によって、荷台2が例えば長さが750mmで幅が480mm程度の載置面を有するように形成されている。また、各角パイプ2a〜2cは、アルミニウム材を押出し成形することにより、図10及び図11に示すように、その上面に凹凸状の滑り止め7が各角パイプ2a〜2cの長手方向の全長に亘って一体形成されている。
【0016】
このとき、滑り止め7は、例えば図11(a)に示すように断面三角形状のスリット7aで形成されるか、あるいは図11(b)に示すように断面三角形状の突条7bで形成されている。また、各角パイプ2〜2cには、スリット7aもしくは突条7bが複数条併設状態で形成された滑り止め7が2条形成され、この滑り止め7間には平滑面8が形成されている。なお、各角パイプ2a〜2cに設けられる滑り止め7のスリット7aや突条7bは、断面三角形状に限らず断面台形状で良いし、滑り止め7の条数も2条に限らず角パイプ2〜2cの大きさによっては3条以上設けることも勿論可能である。
【0017】
また、荷台2の角パイプ2aを除く外周パイプとなる角パイプ2bは、1本の角パイプを2箇所で90度折曲げることにより平面視略コ字状に形成されて、その折曲部には平面視で所定のアールが形成されている。そして、荷台2の角パイプ2bの縦方向部分と各角パイプ2cに縦方向ホ(図10参照)に指向する滑り止め7が設けられて、荷台2上に載置される荷物の横方向(側方)への滑りが抑制されている。また、角パイプ2bの横方向部分に横方向へ(図10参照)に指向する滑り止め7が設けられて、荷台2上に載置される荷物の前方(反ハンドル3方向)への滑りが抑制されるようになっている。
【0018】
前記ハンドル3は、図1〜図3に示すように、荷台2の一端側両端に垂直状態で配設された一対の支柱3aと、この支柱3aの上部を連結し荷台2の外方向に略水平状態で固定された丸パイプからなり平面視略コ字状の握持部3bと、支柱3aの高さ方向の中間部分と上部を連結する一対の連結パイプ3c等を有している。このハンドル3の支柱3aは、前記荷台2の角パイプ2a〜2cと同一形状の角パイプが使用され、その荷台2側の表面に前記角パイプ2a〜2cと同様の凹凸状の滑り止め7が一体形成されている。なお、支柱3aの上部で前記握持部3bの近傍には、後述するブレーキ機構6の操作レバー16が上下方向に回動可能に配設されている。また、支柱3aの上端開口には、樹脂製のキャップ3dが装着されている。
【0019】
そして、支柱3aは、荷台2の角パイプ2bの両端部上に溶接固定された断面コ字状のブラケット9にそれぞれ回動可能に支持されている。すなわち、図8及び図9に示すように、支柱3aは、その下端に斜めに切断された傾斜部10が形成されると共に、各ブラケット9の一対の側壁に回動軸11により矢印イ方向に回動可能に支持されている。また、一対のブラケット9の各側壁で前記回動軸11の斜め後方下部には、傾斜状態のガイド孔12がそれぞれ形成され、この4つのガイド孔12には、1本の固定ロッド13が水平状態で挿通されている。この固定ロッド13は、その両端部が各ブラケット9の外側の側壁外に位置して図示しない座金及びピンによりガイド孔12からの抜けが防止された状態でガイド孔12に遊嵌されている。
【0020】
また、図6に示すように、固定ロッド13のブラケット9内側の側壁外にはスプリング係止孔(もしくはスプリング係止部)が設けられ、このスプリング係止孔と前記回動軸11のブラケット9の内側の側壁外に突出した部分に設けたスプリング係止孔(もしくはスプリング係止部)との間に、固定ロッド用スプリング14が係止されている。この固定ロッド用スプリング14により、固定ロッド13が常時回動軸11側に引っ張られ、通常、固定ロッド13が前記ガイド孔12の上端に当接するようになっている。この状態で、図8の実線で示すように、固定ロッド13が支柱3aの後面下端に当接して係合し、支柱3aの矢印イ方向への回動が禁止されるようになっている。
【0021】
そして、この固定ロッド13は、その中間部分を例えば運搬台車1を使用する作業員が足で図6の矢印トの如く下方に押すことにより、図9の矢印ロの如く固定ロッド用スプリング14の付勢力(引張力)に抗してガイド孔12に沿って下方に移動し、固定ロッド13と支柱3aの後面下端との係合状態が解除されて、支柱3aが矢印イ方向に回動、すなわち後述するようにハンドル3が折り畳み状態に設定されるようになっている。
【0022】
前記固定車輪4と自由車輪5は、図1〜図3及び図5に示すように、それぞれ車輪の外周部がゴム材で形成された取付板4a、5a付きのキャスターで形成されている。そして、荷台2の一端両側(ハンドル3側)の下面に取付けられる一対の固定車輪4は、その回動方向が荷台2の長手方向(前後方向)にのみ回転自在となっている。また、荷台2の他端両側(反ハンドル側)の下面に取付けられる一対の自由車輪5は、固定車輪4と同方向に回転自在でかつ平面視で360度回転自在となっている。
【0023】
前記ブレーキ機構6は、前記ハンドル3の握持部3b近傍に回動可能に配設されて前記握持部3bと略同様の平面視形状を有する丸パイプからなる操作レバー16と、下端に設けたブレーキ部17aが前記固定車輪4の外周面4bに当接して固定車輪4の回転を阻止可能なブレーキロッド17と、このブレーキロッド17aの上端と前記操作レバー16とを連結する連結ロッド18と、前記ブレーキロッド17を常時押圧方向に付設するスプリング19等を有している。
【0024】
前記操作レバー16は、図7に示すように、その両基端部が一対の支柱3aの上部に回動軸20により回動可能に支持されると共に、ハンドル3の握持部3bに対して所定角度を有して傾斜状態とされて、作業員が握持部3bを握りつつ操作レバー16の回動操作が可能となっている。そして、操作レバー16の支柱3a内に位置する端部に、前記連結ロッド18の上端がピン等からなる回動軸25により回動可能に連結されている。
【0025】
前記連結ロッド18は、直径5mm程度のアルミ棒等で形成されて一対の支柱3a内を挿通され、図4に示すように、その下端がL字状に折り曲げられて、支柱3aの内側壁に設けたガイド孔21(図2参照)から支柱3aの外部(内側)に引き出されている。そして、支柱3aから引き出された連結ロッド18の下端には、ピン等からなる回動軸22を介して前記ブレーキロッド17の上端が回動可能に連結されている。なお、連結ロッド18の回動軸22は、支柱3aをブラケット9に回動可能に支持する前記回動軸11と略同軸位置に設定されている。
【0026】
前記ブレーキロッド17は、ブラケット9の内側の側壁外面に固定されたガイド部材23に上下動可能に支持されている。このとき、ガイド部材23は、図4及び図6に示すように、ブラケット9に溶接固定される固定部23aと、この固定部23に垂直状態で固定されて内部にガイド孔を有する略円筒形状のガイド部23bを有している。そして、ブレーキロッド17の上部がガイド部23bのガイド孔に上下動可能に挿通されている。また、ブレーキロッド17は、直径10mm程度のアルミ棒等で形成され、図4及び図5に示すように、その下部を内側方向と外側方向に90度折曲げることにより、先端部(下端)に固定車輪4の外周面4bと平行な円柱状のブレーキ部17aが一体形成されている。なお、ブレーキ部17aは、固定車輪4の斜め後方の外周面4bに当接するように設定されている。
【0027】
また、ブレーキロッド17のブレーキ部17a上方には、スプリング支持板24(図4参照)が設けられ、このスプリング支持板24と前記ガイド部材23のガイド部23bの下面との間のブレーキロッド17には、圧縮状態の前記スプリング19が嵌挿されている。このスプリング19により、ブレーキロッド17が図4及び図5の矢印ハ方向に常時付勢、すなわちブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bに所定圧で常時当接して、固定車輪4の回転を阻止するように設定されている。なお、ブレーキロッド17の先端に一体形成されるブレーキ部17aは、断面円形に形成されるが、例えば図5の二点鎖線aで示すように、プレス等により上下に平坦面17bを形成して所定のブレーキ性能が得られるように構成しても良い。
【0028】
次に、このように構成された運搬台車1の使用方法の一例について説明する。先ず、通常の使用状態である荷物の運搬時には、図1に示すように、ハンドル3を起立状態に設定する。このハンドル3の起立状態では、図8の実線で示すように、固定ロッド13が固定ロッド用スプリング14の付勢力でガイド孔12の上端に位置し、該固定ロッド13が支柱3aの後面下端に係合して矢印イ方向への回動が禁止されている。
【0029】
また、操作レバー16から手を離した非操作時においては、操作レバー16に連結ロッド18を介して連結されたブレーキロッド17が、スプリング19の付勢力により下方に押圧されてブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bに所定圧で当接して、固定車輪4の回転が阻止されている。これにより、運搬台車1はロックされて、その移動が禁止された状態となっている。このとき、ブレーキロッド17の円柱状のブレーキ部17aが固定車輪4のゴム製の外周面4aにその幅方向から所定圧で当接することで、ブレーキ部17aによる固定車輪4の外周面4aへの食い込み等による傷付きが防止された状態で該固定車輪4の回転が阻止されている。
【0030】
この状態で、荷台2上に荷物を載置し、ハンドル3の握持部3bを握りつつ操作レバー16を下方に回動操作すると連結ロッド18が上昇する。このとき、連結ロッド18は、その下端が支柱3aの下部内側に設けたガイド孔21に沿って移動することになる。そして、連結ロッド18が上昇すると、この連結ロッド18の下端に連結されているブレーキロッド17が、スプリング19の付勢力に抗して上昇し、図5に実線で示すように、そのブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4aから所定距離L離間する。
【0031】
このブレーキ部17aの離間により固定車輪4が回転可能となり、握持部3bを握りながら操作レバー16を下方に回動操作しつつハンドル3を所定方向に押したり引っ張ることにより、運搬台車1を所定方向に移動させることができる。この運搬台車1による荷物の運搬時に、荷台2の各角パイプ2a〜2cに設けた凹凸状の滑り止め7により、前述したように荷物の側方や前方への滑りが抑制されて、荷物が荷台2上から落下等することなく運搬することができる。
【0032】
そして、運搬台車1を所定位置に移動させて、該位置で荷物を降ろす場合は、操作レバー16から手を離して非操作位置(初期位置)とすることでスプリング19の付勢力により、ブレーキロッド17や連結ロッド18が下降すると共に、ブレーキ部17aが下降して固定車輪4の外周面4bに所定圧で当接する。これにより、固定車輪4の回転が阻止されて運搬台車1の移動が禁止され、この状態で荷台2上の荷物が降ろされる。つまり、運搬台車1を荷物の運搬に使用する場合は、ハンドル3を起立状態とさせて、握持部3bを握りつつ操作レバー16を下方に回動操作したり、操作レバー16から手を離して非操作位置にすることにより、固定車輪4の回転を阻止したり回転可能として使用できることになる。
【0033】
一方、運搬台車1を使用せずハンドル3を折り畳んで保管する場合は、次のようにして行う。すなわち、ハンドル3の下部に配設されている固定ロッド13を例えば足もしくは手で押し下げ、固定ロッド13をブラケット9のガイド孔12に沿い固定ロッド用スプリング14の付勢力に抗して下方に移動させる。固定ロッド13がガイド孔12の下端に位置すると、該固定ロッド13の両端部と一対の支柱3aの後面下端の係合状態が解除され、この状態でハンドル3を折り畳み方向である図8のイ方向に回動させる。
【0034】
このとき、ハンドル3はその支柱3aがブラケット9に対して前記回動軸11を中心に回動し、また、支柱3aの内部に挿通されている連結ロッド18は、その下端がブレーキロッド17の上端に対して前記回動軸22を中心に回動することで行われる。これらの回動は、回動軸11と回動軸22が略同軸位置に設定されていることから、支柱3aのブラケット9に対する回動動作と連結ロッド18のブレーキロッド17に対する回動動作が略同期して、ハンドル3の折り畳み動作がスムーズに行われる。
【0035】
これにより、ハンドル3とブレーキ機構6の操作レバー16や連結ロッド18が一体となって、図12及び図13に示すように、荷台2上に折り畳まれる。また、ハンドル3の折り畳み時には、操作レバー16が非操作位置にあることから、ブレーキロッド17のブレーキ部17aが、図14に示すように、固定車輪4の外周面4bに当接してその回転が阻止され、ハンドル3の折り畳み時に運搬台車1自体が移動しないようになっている。
【0036】
そして、この折り畳み状態から運搬台車1を使用しようとしてハンドル3を起立させる場合は、折り畳まれたハンドル3を起立方向に回動させることで行うことができる。この起立時には、固定ロッド13がガイド孔12の上端に位置しており、この状態で支柱3aが起立すると、図9の三点鎖線bで示すように、支柱3a下端の傾斜部10が固定ロッド13に当接しつつ該固定ロッド13を固定ロッド用スプリング14の付勢力に抗して矢印ロの如く下方に押し下げつつ支柱3aが回動する。支柱3aが回動して略垂直状態になると、該支柱3aの下端が固定ロッド13を乗り越え、これと同時に固定ロッド13が固定ロッド用スプリング14の付勢力でガイド孔12を上昇してその上端位置に設定される。
【0037】
これにより、固定ロッド13と支柱3aの後面下端が係合状態に設定されて、支柱3aの回動が禁止されて前記使用状態に設定される。つまり、ハンドル3の折り畳み操作は、固定ロッド13を足等で下方に押し下げて支柱3aを手で回動させることにより行われ、また、ハンドル3の起立操作は、ハンドル3を徐々に起立させることで支柱3aの下端が固定ロッド13を移動させて初期状態に設定、すなわち固定ロッド13を操作することなくハンドル3を起立させるだけで、該ハンドル3を起立状態に自動的に設定することができる。
【0038】
このように、前記運搬台車1によれば、荷台2が複数本の角パイプ2a〜2cの連結により格子状に形成され、各角パイプ2a〜2cの上面に凹凸状の滑り止め7が一体形成されているため、荷台2自体の軽量化を図ることができると共に、滑り止め7により荷台2上の荷物の滑りや落下を抑制できて、荷台2上の荷物に安定した載置・運搬状態を得ることができる。特に、滑り止め7が各パイプ2a〜2cの全長に亘って形成されて荷台2の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることから、各方向への滑り止め効果を一層高めることができる。
【0039】
また、滑り止め7が凹凸状で荷台2上に突出する等していないため、荷台2上に載置される荷物の大きさに影響せず、荷台2の大きさ以上の荷物の載置・運搬が可能となって、荷物の大小に係わらず使用できる等、汎用性と使い勝手に優れた運搬台車1を得ることができる。さらに、荷台2の外周パイプとしての反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプが、平面視略コ字状に折曲げた1本の角パイプ2bで形成されているため、角パイプ2a〜2cの溶接等の連結部の数を低減させて、荷台2の構成を簡略化して安価に形成し得ると共に、荷台2のコーナ部に所定のアールを簡単に形成できて、運搬台車1のデザイン性と安全性を向上させることができる。
【0040】
また、ハンドル3の一対の支柱3aが角パイプ2a〜2cと同一材料で形成されて、その荷台2側の側面に滑り止め7が一体形成されているため、運搬台車1に使用される部材の共通化が図れてコストダウンが可能になると共に、支柱3aに接触する状態で荷台2上に載置された荷物の左右方向の移動を支柱3aの滑り止め7でも抑制できて、運搬台車1における荷物の滑りを確実に防ぐことができる。
【0041】
さらにまた、角パイプ2a〜2c等がアルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、滑り止め7が複数条のスリット7aや突条7bで形成されているため、アルミニウム材の使用で荷台2の一層の軽量化が図れると共に、複数条のスリット7a等により荷台2上の荷物の滑りをより一層抑制することができる。また、複数条のスリット7aや突条7b等からなる滑り止め7間に平滑面8が形成されているため、平滑面8により荷台2のデザイン性を向上させて、アルミニウムの光沢等と合わせ、意匠的に優れた運搬台車1を得ることができる。
【0042】
また、前記運搬台車1によれば、次のような付随的な作用効果を得ることができる。すなわち、ブレーキ機構6の操作レバー16の非操作時に、ブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bに押圧されてその回転を阻止したり、操作レバー16の操作時にブレーキ部17aを固定車輪4から離間させてその回転を可能にすると共に、ハンドル3を折り畳み方向に回動することにより、ハンドル3を操作レバー16や連結ロッド18等と一体となって荷台2上に折り畳むことができる。そのため、荷台2の一端に折り畳み可能に配設されたハンドル3の支柱3a等を有効利用してブレーキ機構6の操作レバー16や連結ロッド18等を配設することができて、ハンドル3部分の構成を簡素化しつつ、ハンドル3の折り畳み操作や固定車輪4のロック(ブレーキ)操作をスムーズに行うことができる。
【0043】
特に、操作レバー16とブレーキロッド17が支柱3a内に挿通されたアルミニウム製の連結ロッド18で連結されているため、操作レバー16の操作がブレーキロッド17に直接かつ効率的に伝達されて、ワイヤー等で連結した場合に比較して、ブレーキ部17aによる固定車輪4の回転阻止状態や回転可能状態への移行をスムーズかつ確実に行うことができると共に、連結ロッド18の錆の発生等を防止できて、長期に亘り安定したブレーキ性能を有する運搬台車1を得ることが可能となる。
【0044】
また、ハンドル3の一対の支柱3aを回動可能に支持するブラケット9間に、ハンドル3の使用時にハンドル3の支柱3a下端に係合してその折り畳みを禁止すると共に、押し下げることによりハンドル3の支柱3a下端との係合が解除されてハンドル3の折り畳みを可能にする固定ロッド13が配設されているため、固定ロッド13を例えば足で押し下げるだけで、ハンドル3の折り畳み操作を簡単に行うことができる。
【0045】
また、固定ロッド13がブラケット9のガイド孔12に沿って移動すると共に、ハンドル3を折り畳み状態から起立させる際に、ハンドル3の支柱3a下端の傾斜部10が固定ロッド13に当接しつつ押し下げられ、係合状態が解除された時点で固定ロッド用スプリング14の付勢力により固定ロッド13が起立位置に自動的に復帰するため、ハンドル3を起立させる際に、固定ロッド13が自動的に復帰してその操作が不要となり、ハンドル3の起立操作を簡単に行うことができる。
【0046】
さらに、ブレーキロッド17の下部を折曲げることによりブレーキ部17aが一体形成されると共に、ブレーキロッド17の上部がガイド部材23のガイド部23bに上下動可能に挿通され、このガイド部23bの下端にスプリング19が配設されているため、ブレーキ機構6の構成を簡略化できると共に、ガイド部23bによりブレーキロッド17の上下動がスムーズとなり、ブレーキ部17aが固定車輪4の外周面4bの所定位置を確実に押圧して固定車輪4の回転阻止を安定させることができる。
【0047】
また、ハンドル3の支柱3aの回動軸11と連結ロッド18のブレーキロッド17に対する回動軸22とが略同軸位置に設定されているため、ハンドル3の回動動作と連結ロッド18及や操作レバー16等の回動動作を略同期させることができて、ハンドル3の折り畳み動作や起立動作を良好に行うことができる。これらにより、ハンドル3の折り畳みや起立時の操作性が優れた運搬台車1を得ることが可能になる。
【0048】
ところで、前記実施形態においては、荷台2の各角パイプ2a〜2cに凹凸状の滑り止め7を一体形成することで、荷物の荷台2からの落下等を抑制したが、例えば図15及び図16に示すように、荷台2に落下防止機構27を別途配設することもできる。すなわち、荷台の左右の角パイプ2bに、一対のヒンジ27bを介して左右一対の落下防止板27aを角パイプ2bに対してそれぞれ回動可能(折り畳み可能)に配設する。このとき、落下防止板27aは、図16に実線で示す起立させた状態において、角パイプ2b上に垂直状態で立設され、この立設状態から矢印ニの如く回動させて図16に二点鎖線で示す折り畳んだ状態においては、その先端部が角パイプ2c上に載置される。これにより、折り畳み状態において、落下防止板27aが荷台2の載置面として機能するようになっている。
【0049】
この実施例によれば、格子状の荷台2の角パイプ2bに落下防止機構27が折り畳み可能に設けられているため、落下防止板27aを起立させることで荷台2上の荷物の落下を確実に防止できて、荷台2上の荷物に安定した載置・運搬状態を容易に得ることができる。また、落下防止板27aを折り畳むことで、荷台2の大きさ以上の荷物の載置・運搬が可能となったり、落下防止板27aにより荷台2の載置面を広くして荷物の安定した載置が可能になる等、前記実施例と略同様の作用効果を得ることができる。この例の場合、落下防止板27aは、折り畳み可能ではなく、荷台2の角パイプ2b等に対して着脱可能に配設することも勿論可能であるし、落下防止板27aの表面に前記角パイプと同様の滑り止め7を一体形成しても良い。
【0050】
なお、前記実施形態においては、荷台2の角パイプ2cを角パイプ2b内に縦方向に連結したが、本発明はこの構成に限定されず、角パイプ2cを角パイプ2b内に横方向(角パイプ2aと平行)に連結しても良い。また、前記実施形態における、ハンドル3の構成、荷台2の大きさ、ブレーキ部17aの構成等は一例であって、例えばハンドル3の支柱3aと握持部3bを一体型としたり、ブレーキロッド17の下端に該ブレーキロッド17より径大な略円柱状のブレーキ部17aを溶接等で固定した構成を採用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、工場や倉庫内、トラック等の運搬車両内、空港、農家あるいは一般家庭等のあらゆる分野で、荷物の運搬に使用される全ての運搬台車に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・運搬台車、2・・・荷台、2a〜2c・・・角パイプ、3・・・ハンドル、3a・・・支柱、3b・・・握持部、4・・・固定車輪、4b・・・外周面、4・・・自由車輪、6・・・ブレーキ機構、7・・・滑り止め、7a・・・スリット、7b・・・突条、8・・・平滑面、9・・・ブラケット、11・・・回動軸、12・・・ガイド孔、13・・・固定ロッド、14・・・固定ロッド用スプリング、16・・・操作レバー、17・・・ブレーキロッド、17a・・・ブレーキ部、18・・・連結ロッド、19・・・スプリング、20・・・回動軸、21・・・ガイド孔、22・・・回動軸、23・・・ガイド部材、23b・・・ガイド部、24・・・スプリング支持板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に平坦な載置面を形成し得る平面視方形状の荷台と、垂直な一対の支柱と該支柱の上部を連結する握持部を有して前記荷台の一端に配設されたハンドルと、前記荷台の四隅下面に取付けられた車輪と、を備えた運搬台車であって、
前記荷台は、金属材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止めが一体形成された前後及び左右の角パイプを格子状に連結することで形成されると共に、前記滑り止めが各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
前記前後の角パイプのうちの反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプは、1本の角パイプを平面視略コ字状に折曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
前記ハンドルの一対の支柱が、前記角パイプと同一材料で形成されて、その荷台側の側面に滑り止めが一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬台車。
【請求項4】
前記角パイプは、アルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、前記滑り止めが複数条のスリットもしくは突条で形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の運搬台車。
【請求項5】
前記複数条のスリットもしくは突条からなる滑り止め間に平滑面が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の運搬台車。
【請求項1】
上面に平坦な載置面を形成し得る平面視方形状の荷台と、垂直な一対の支柱と該支柱の上部を連結する握持部を有して前記荷台の一端に配設されたハンドルと、前記荷台の四隅下面に取付けられた車輪と、を備えた運搬台車であって、
前記荷台は、金属材の押出し成形により少なくとも上面に凹凸状の滑り止めが一体形成された前後及び左右の角パイプを格子状に連結することで形成されると共に、前記滑り止めが各角パイプの全長に亘って形成されて荷台の前後方向と左右方向において90度交差状態とされていることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
前記前後の角パイプのうちの反ハンドル側の角パイプと左右の両角パイプは、1本の角パイプを平面視略コ字状に折曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
前記ハンドルの一対の支柱が、前記角パイプと同一材料で形成されて、その荷台側の側面に滑り止めが一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬台車。
【請求項4】
前記角パイプは、アルミニウム材の押出し成形により形成されると共に、前記滑り止めが複数条のスリットもしくは突条で形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の運搬台車。
【請求項5】
前記複数条のスリットもしくは突条からなる滑り止め間に平滑面が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の運搬台車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−274674(P2010−274674A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126053(P2009−126053)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(391028100)株式会社内山商会 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(391028100)株式会社内山商会 (20)
【Fターム(参考)】
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