説明

運搬台車

【課題】任意の箇所に自由に現場でもキャスターを取付けることが可能で、使用条件に合致する運搬台車を容易に確保でき、また、キャスター数を増すことで、窪地・排水溝などの溝も容易に乗り越えられ、使い勝手がよく作業性の向上を図れる運搬台車を提供する。
【解決手段】鉄製またはアルミニウム合金製の角パイプによるフレーム6で構成される台車本体の下面で、キャスターの取付けが予想される箇所の区画に、キャスターの取付板をブラインドリベットにて取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷物を載置して運搬する運搬台車として、下記特許文献に示すように荷物の載置板である長方形のベースの裏面にキャスターを取付けるとともに、ベースの端部に手押し棒を立設したものがあり、手押し棒を押すことで台車を移動し荷物を運搬する。
【特許文献1】特開2006−51861号公報
【0003】
この運搬台車の多くは、キャスターはベースの裏面の四隅に配設され、合計4個が取付けられている。
【0004】
そして、キャスターをベースの裏面に取付けるには、ベースに予め形成してあるボルト挿通孔に挿入するボルトなどで、キャスターに設けてある台座をベースに固定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の運搬台車は、キャスターを台車本体に取付けるには、前記のように台車本体に予めボルト挿通孔を形成しておく必要があるため、必要以上のボルト挿通孔をベースに無駄に設けないようにするためにも、当然のことではあるがキャスターの配設位置にのみボルト挿通孔が形成される。
【0006】
そして、ボルト挿通孔が形成される部位は、例えば、ベースの4隅である4箇所であり、運搬台車は4輪構造となる。
【0007】
ところで、運搬台車で荷物を運搬する際、平坦な場所だけでなく、図6に示すように傾斜地、段差のある場所、窪地、溝などを乗越えなければならない場合もある。
【0008】
窪地・排水溝などの溝5を乗越える時、4輪構造の運搬台車の場合、前輪の2輪が溝5に嵌り込むと、この前輪の2輪を溝5から脱出させるためには、残りの後輪の2輪だけで荷物4の荷重を受けなければならず、台車本体が傾斜し不安定状態となるだけでなく、台車本体が動かなくなり運搬不能となることもある。
【0009】
また、台車本体が傾くと、荷崩れを発生し、荷物が散在するだけでなく、運搬作業を行っている作業員が荷崩れをおこした荷物に押されて転倒したり、荷物の下敷になったり、荷物と壁などの間に挟まれるなどの人身事故の原因ともなるおそれがある。
【0010】
前記不都合は台車構造が4輪構造であることによるものであるが、ベースに対してキャスターの取付場所が予め四隅の4箇所に規制されているため、他の配列にキャスターが配設される運搬台車を得るには、別のタイプ(機種)の運搬台車を別途用意しなければならず、作業性のよくないものであった。
【0011】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消するものとして、任意の箇所に自由に現場でもキャスターを取付けることが可能で、使用条件に合致する運搬台車を容易に確保でき、また、キャスター数を増すことで、窪地・排水溝などの溝も容易に乗り越えられ、使い勝手がよく作業性の向上を図れる運搬台車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、鉄製またはアルミニウム合金製の角パイプによるフレームで構成される台車本体の下面で、キャスターの取付けが予想される箇所の区画に、キャスターの取付板をブラインドリベットにて取り付けたこと、請求項2記載の本発明は、取付板の形状は、対向する2箇所の角部の角度が90度の6角形状であり、90度の角部を縦横のフレームの下面に当接し、区画の開口を閉塞するようにしてブラインドリベットで固定することを要旨とするものである。
【0013】
請求項1記載およびの請求項2記載の本発明によれば、台車本体を構成するフレームに対して、キャスターの取付けが予想される全ての箇所に取付板を予め取付けておいたから、使用条件に合致する箇所の取付板を選択して、これにキャスターの台座を取り付けるだけで、あるいは、使用しないキャスターを外すだけで、希望の態様の運搬台車を容易に確保できる。かかる作業は使用現場でも容易に行える。
【0014】
請求項3記載の本発明は、フレーム上にベースを取付けた台車本体の裏面の周辺部の少なくとも四隅にキャスターを取付けた運搬台車において、前記少なくとも四隅に取付けたキャスターをつなぐ輪郭線の内側にキャスターを設けたことを要旨とするものである。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、台車本体の四隅に設けた合計4個のキャスターの他に、中央にキャスターが配設されるから、左右の前輪の2輪が溝に嵌っても、この状態でその後方の中央のキャスターと左右の後輪の2輪との、合計で台車本体を安定した状態に支持でき、台車本体が傾くことはない。
【0016】
同様にして、中央のキャスターが溝に嵌ったときは、前後左右の4輪で台車本体を支持できる。また、左右の後輪の2輪が溝に嵌っても、この状態でその前方の中央のキャスターと左右の前輪の2輪との、合計で台車本体を安定した状態に支持でき、台車本体が傾くことはなく、安全に順次溝を乗り越えていくことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように本発明の運搬台車は、任意の箇所に自由に現場でもキャスターを取付けることが可能で、使用条件に合致する運搬台車を容易に確保でき、また、キャスター数を増すことで、窪地・排水溝などの溝も容易に乗り越えられ、使い勝手がよく作業性の向上を図れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の運搬台車の第1実施形態を示す底面図、図2は第2実施形態を示す底面図、図3は同上平面図、図4は同上側面図で、台車本体は鉄製またはアルミニウム合金製の角パイプによるフレーム6と、このフレーム6の上部に接合される鉄製またはアルミニウム合金製の載置板であるベース7とで構成される。
【0019】
前記フレーム6は角パイプを縦横方向に付き合わせ溶接にて格子状に形成したものであり、図示の例では縦方向の長尺な4本の角パイプに対して、横方向に短尺な複数の角パイプを接合し、縦横のパイプにより図示の例では縦約191mm、横約199mmの方形の15個の区画8が、縦列に3列、横列に5列形成される。
【0020】
この格子状のフレーム6の下面で、キャスター2の取付けが予想される箇所の区画8に、キャスター2の取付板9をブラインドリベット10にて予め取り付けておく。図1の第1実施形態の例では取付板9の取付箇所は、台車本体の四隅の区画8の合計4箇所、中央の縦列で四隅の区画8の内側位置に合計2箇所、左右中央の区画8に合計2箇所であり、全部の合計が8箇所である。
【0021】
図2の第2実施形態の例では、取付板9の取付箇所は、前記第1実施形態から左右中央の区画8の合計2箇所を除いた全部の合計が6箇所である。
【0022】
取付板9の形状は、対向する2箇所の角部の角度が90度の6角形状であり、90度の角部を縦横のフレーム6の下面に当接し、区画8の開口を閉塞するようにしてブラインドリベット10で固定する。
【0023】
フレーム6の上面に配設されるベース7は、前記取付板9が配設されなかった区画8の部分にのみ取り付けられるものであり、図3に示すように取付板9のある区画8の箇所では、底部が取付板9で閉塞された、キャスター2の収納用の凹所に形成される。
【0024】
以上のようにして使用条件に合致するように、取付板9の任意の箇所のものを選択して、取付板9にキャスター2を固定する。キャスター2は図1、図2、図4にも示すように、台座2bにキャスター本体2aを回転自在に取付けたものであり、台座2bをボルトとナット11で取付板9に固定する。
【0025】
図示は省略したが、キャスター2の取付箇所は、台車本体の四隅の4箇所のみとすることもできるが、溝5を乗り越えられる構造とするには、図1、図2に示すように中央に縦列に2個以上のキャスター2を配置する。
【0026】
次に例えば図2に示す配置にキャスター2を取り付けて、溝5を乗り越える方法を図5について説明する。運搬台車を押して図5(b)のように溝5にキャスター2の左右の前輪が嵌っても、この状態でその後方の中央縦列の2輪のキャスター2と左右後の2輪のキャスター2との、合計4輪で台車本体を安定した状態に支持でき、台車本体が傾くことはない。
【0027】
さらに前進して図5(c)の位置に達し、中央縦列の2輪のキャスター2のうちの前の1輪が溝5に嵌ったときは、前後左右の4輪のキャスター2と中央縦列の残りの後方の1輪のキャスター2の合計5輪で台車本体を安定状態に支持できる。
【0028】
最後に、左右後輪の2輪のキャスター2が溝5に嵌っても、この状態でその前方の中央縦列の2輪のキャスター2と左右前輪の2輪のキャスター2との、合計4輪で台車本体を安定した状態に支持でき、いずれの場合も台車本体が傾くことはなく、安全に溝5を順次乗り越えていくことができる。
【0029】
なお、溝5の幅は、前輪または後輪と、中央縦列の車輪との車輪ピッチを超えない範囲に限定されることはもちろんであり、図示の例では約214mmの幅の溝5であれば、乗り越えが可能である。
【0030】
そして、使用条件が変更になれば、ボルトとナット11を外して台座2bを取付板9から外しキャスター本体2aを除去したり、別の区画8に取り付けてある取付板9にキャスター2を付替えまたは新たにセットしたりして、新たな使用条件に合致する箇所にキャスター2を取り付ける。
【0031】
台車本体を段積みした場合は、上段の台車のキャスター2が下段の台車の収納凹部内に入って取付板9で支承される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の運搬台車の第1実施形態を示す底面図である。
【図2】本発明の運搬台車の第2実施形態を示す底面図である。
【図3】本発明の運搬台車の第2実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の運搬台車の第2実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明の運搬台車の使用状態を示す説明図である。
【図6】従来の運搬台車の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ベース 2 キャスター
2a キャスター本体 2b 台座
3 手押し棒 4 荷物
5 溝 6 フレーム
7 ベース 8 区画
9 取付板 10 ブラインドリベット
11 ボルトとナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄製またはアルミニウム合金製の角パイプによるフレームで構成される台車本体の下面で、キャスターの取付けが予想される箇所の区画に、キャスターの取付板をブラインドリベットにて取り付けたことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
取付板の形状は、対向する2箇所の角部の角度が90度の6角形状であり、90度の角部を縦横のフレームの下面に当接し、区画の開口を閉塞するようにしてブラインドリベットで固定する請求項1記載の運搬台車。
【請求項3】
フレーム上にベースを取付けた台車本体の裏面の周辺部の少なくとも四隅にキャスターを取付けた運搬台車において、前記少なくとも四隅に取付けたキャスターをつなぐ輪郭線の内側にキャスターを設けた請求項1または請求項2記載の運搬台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−46379(P2011−46379A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275579(P2010−275579)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【分割の表示】特願2008−65450(P2008−65450)の分割
【原出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(597144484)ジーオーピー株式会社 (50)
【Fターム(参考)】