説明

運搬車両用荷台の床構造

【課題】床面上への水上がりを確実に防止するとともに、床構造の組み付け性を向上させる。
【解決手段】横根太16の上面から突出する縦根太15を覆うように装着される被覆床材24の両側に複数の連結床材23を車幅方向に並べて横根太16上に配置して荷台床19を形成する運搬車両用荷台の床構造において、被覆床材24の両側に設けられる一対の支持脚部26の下端から相互に離反する側に延びる一対の水平壁部33を設け、横根太16上に敷き渡されるアンダーパン30,31の側辺部30b,31aを水平壁部33の上面にそれぞれ積層する。そして、水平壁部33とアンダーパン30,31の側辺部30b,31aと横根太16とをタッピングネジ34により共締めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム形材製の複数の床材を車幅方向に並べて配置することにより形成される運搬車両用荷台の床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トレーラやトラックなどの運搬車両は、車両前後方向に延びる縦根太と、車両前後方向に相互に所定の間隔をあけて縦根太に固定され車幅方向に延びる複数の横根太とを有しており、荷物を積載するための荷台が横根太上に設けられる。従来、運搬車両用荷台の床構造としては、アピトン材からなる床材を横根太上に固定することにより形成されていたが、アルミニウム形材を床材として使用することにより、軽量化および耐食性の向上を図るようにした運搬車両用荷台の床構造が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この運搬車両用荷台の床構造は、荷台の床面を形成する床板部と、床板部から下方に延びる複数の支持脚部とが押出成形により一体に形成されたアルミニウム形材からなる複数の床材を有しており、複数の床材を車幅方向に並べて横根太上に配置し、隣接する床材を相互に組み付けることで荷台が形成されている。隣接する床材の連結部にはゴムまたは合成樹脂等からなるシール材が装着されており、連結部の隙間を介して車両下方から荷台の床面上へ異物や雨水等が侵入することが防止されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるように、床材の連結部にシール材を装着する場合には、床材の長手方向に沿って連結部にシール材を装着した状態で床材を相互に組み付ける必要があり、荷台を形成する作業が煩雑となる。また、シール材が相互に隣接する床材により圧着されることでシール材が荷台の床面上に漏れ出し、荷台の美観性が損なわれるおそれがある。そこで、例えば、特許文献2に記載されるように、横根太と床材との間に防水用のアンダーシート(アンダーパン)を設け、車両下方から荷台の床面上へ異物や雨水等が侵入することを防止するようにした運搬車両用荷台の床構造がある。この荷台の床構造では、複数の横根太上にアンダーシートを敷き渡してアンダーシート上に床材を組み付けるようにしているため荷台を形成する作業が容易であるとともに、シール材が荷台の床面上に漏れ出すおそれがなく荷台の美観性を保つことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−108952号公報
【特許文献2】特開2004−155370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載されるトラックの場合には、縦根太上に横根太が固定されており、荷台が設けられる横根太の上面が車幅方向に連続して形成されている。そのため、このトラック用荷台の床構造では、荷台の全体にわたって1つのアンダーシートを横根太と床材との間に敷き渡すことが可能となっている。このアンダーシートの車幅方向の両側辺部は、車両前後方向に延びる一対のサイドレールの上面にそれぞれ積層され、サイドレールにより車両前後方向全体にわたって支持されている。これにより、アンダーシートの両側辺部が撓むことがなく、荷台の床面上への水上がりを確実に防止することができるようになっている。
【0007】
一方、トレーラや一部のトラックの場合には、縦根太が横根太の上面よりも車両上方に突出した状態で固定されており、荷台が設けられる横根太の上面が縦根太によって車幅方向に仕切られている。そのため、これらの運搬車両用荷台の床構造では、荷台の全体にわたって1つのアンダーシートを横根太と床材との間に敷き渡すことが不可能であり、縦根太に対応させて分割された複数のアンダーシートを横根太と床材との間にそれぞれ敷き渡す必要がある。その場合、アンダーシートの縦根太側の側辺部は、車両前後方向に相互に所定の間隔をあけて配置された複数の横根太の上面に積層され、横根太の相互間において支持されていない状態となる。したがって、アンダーシートの縦根太側の側辺部が横根太の相互間において撓むおそれがあり、車両下方から荷台の床面上へ異物や雨水等が侵入することを確実に防止することができない。
【0008】
本発明の目的は、床面上への水上がりを確実に防止することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、床構造の組み付け性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の運搬車両用荷台の床構造は、床面を形成する床板部および前記床板部に一体に形成され下方に延びる複数の支持脚部が設けられ、それぞれアルミニウム形材製の複数の連結床材と被覆床材とを有し、横根太の上面から突出する縦根太を覆うように装着される前記被覆床材の両側に前記複数の連結床材を車幅方向に並べて前記横根太上に配置して荷台を形成する運搬車両用荷台の床構造であって、前記縦根太の上面を覆う前記被覆床材の床板部の両側に設けられ、前記被覆床材の両側に隣接される前記連結床材にそれぞれ係合される一対の係合部と、前記被覆床材の両側に設けられる一対の前記支持脚部の下端から相互に離反する側に延び、前記横根太の上面に積層される一対の水平壁部と、少なくとも一方の側辺部が前記水平壁部の上面に積層され、前記横根太と前記複数の連結床材との間に敷き渡される防水シートと、前記水平壁部、前記防水シートおよび前記横根太を共締めする締結部材とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の運搬車両用荷台の床構造は、前記一対の係合部は、隣接される前記連結床材に設けられた係合突起が係合される係合溝であることを特徴とする。
【0012】
本発明の運搬車両用荷台の床構造は、前記被覆床材の床板部と前記縦根太の上面との間に隙間調整材を挟み込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、横根太の上面から突出する縦根太を覆うように被覆床材を装着し、防水シートの側辺部を被覆床材の水平壁部の上面に積層するようにしたので、防水シートの側辺部がその車両前後方向全体にわたって被覆床材の水平壁部により支持される。これにより、防水シートの側辺部が撓むことによって防水シートとシャーシフレームとの間に隙間が生じることがなく、荷台の床面上への水上がりを確実に防止することができる。また、縦根太の車幅方向両側に配置される一対の水平壁部を備えたハット型の被覆床材としたので、縦根太の車幅方向両側に配置される一対の防水シートの側辺部を1つの被覆床材により支持することができる。したがって、防水シートの側辺部を支持する一対の形材を縦根太の車幅方向両側にそれぞれ配置する場合に比べて、荷台の床構造が簡略化されて床構造の組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ウィング型トレーラの斜視図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態である荷台床の左側部および右側部を示す断面図である。
【図3】図2(A)に示す荷台床を一部拡大して示す断面図である。
【図4】(A)〜(C)はそれぞれ荷台床を形成する床材を示す断面図である。
【図5】(A)〜(C)はそれぞれアンダーパンの側辺部を示す拡大断面図である。
【図6】アンダーパンの側辺部の組み付け状態を示す説明図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。このトレーラ10は荷物を積載するための荷台11を備えるウィング型トレーラであり、走行車輪12により走行して荷物を運搬するようになっている。トレーラ10は走行車輪12が装着されるシャーシフレーム13を有しており、車両前後方向に延びるシャーシフレーム13の前方にトレーラ10を牽引するためのトラクタ14が連結されている。
【0016】
シャーシフレーム13は、車両前後方向に延びる一対の縦根太(メインレール)15と、車幅方向に延びる複数の横根太(クロスメンバー)16とを有しており、複数の横根太16が車両前後方向に相互に所定の間隔をあけて一対の縦根太15に固定されている。図2(A)、(B)に示すように、縦根太15は、水平方向に延びる上面壁15aおよび下面壁15bと、鉛直方向に延びて上面壁15aと下面壁15bとを連結する連結壁15cとを備える断面H形状の形鋼材であり、車両前後方向に相互に所定の間隔あけて連結壁15cに形成された複数の貫通孔15dに断面コの字形状の形鋼材からなる横根太16がそれぞれ挿通されて固定されている。つまり、縦根太15は上面壁15aが横根太16よりも車両上方に配置されて、縦根太15の一部が横根太16の上面よりも車両上方に突出した状態で固定されている。また、シャーシフレーム13の車幅方向両端部には、車両前後方向に延びるサイドレール17がそれぞれ設けられている。サイドレール17は、横根太16の上面に積層される上面壁17aを備えた断面略コの字形状の形鋼材であり、各横根太16の両端部がサイドレール17にそれぞれ固定されている。このシャーシフレーム13の横根太16上に荷台11が形成されている。
【0017】
荷台11は車両前後方向に延びる箱形状をしており、その後壁11aには観音開き状のバックドア18が開閉自在に設けられている。また、荷台11の荷台床19の左右両側には煽り板20がサイドレール17に開閉自在に装着されており、後壁11aと前壁11bとに左右のウィング21が開閉可能に取り付けられている。それぞれのウィング21は側壁部21aとこれと一体となった天壁部21bとを有し、これらは相互に直角に曲げられた状態となっている。ウィング21を開閉するために、図示しない油圧シリンダのピストンロッドがそれぞれのウィング21に連結されている。このトレーラ10により運搬される荷物は、ウィング21および煽り板20を開放した状態のもとで車両側方から荷台11に搬入され、もしくはバックドア18を開放した状態のもとで車両後方から荷台11に搬入され、荷台床19に積載されるようになっている。
【0018】
荷台床19はそれぞれアルミニウム形材製の床材としての複数の連結床材23と一対の被覆床材24とを有している。一対の被覆床材24は、横根太16の上面から突出する縦根太15を覆うようにそれぞれ装着されており、被覆床材24の両側に複数の連結床材23を車幅方向に並べて横根太16上に配置して荷台床19を形成している。各床材は、荷台床19の床面を形成する水平板状の床板部25と、床板部25から下方に延びる複数の支持脚部26とが押出成形により一体に形成されたアルミニウム形材であり、その長手方向つまり押出成形方向を車両前後方向に向けて配置されている。
【0019】
図3に示すように、床板部25の上下両面には、床材の長手方向に延びる複数の略半円形状の突条27,28が適宜設けられており、荷台床19の床面は、各床材の床板部25の上面に設けられた複数の突条27により車幅方向に凹凸状をしている。これにより、荷台床19上で荷物を車両前後方向に移動させる際に荷物が荷台床19の床面上を滑りやすくなるとともに、荷台床19の床面が車幅方向に凹凸状をしているため、作業者が荷台床19上で作業する際に作業者が荷台床19の床面上で滑って転倒することが防止されるようになっている。
【0020】
各床材の複数の支持脚部26は、車幅方向に相互に所定の間隔をあけて床材の長手方向に延びて形成されており、各支持脚部26の下端には車幅方向に突出する着座部29がそれぞれ設けられている。各支持脚部26の着座部29は床板部25に対して上下方向に所定の間隔をあけて平行に形成されており、被覆床材24は、各着座部29が横根太16の上面に当接されることにより横根太16上に支持されている。一方、連結床材23は、横根太16上に敷き渡された防水シートとしてのアンダーパン30,31を介して、各着座部29が横根太16の上面に当接されることにより横根太16上に支持されている。
【0021】
図4(A)〜(C)はそれぞれ荷台床を形成する床材を示す断面図である。被覆床材24は、図4(A)に示すように、縦根太15の上面壁15aを覆う床板部25と、床板部25の両側部から下方に延びる一対の支持脚部26とを備えるハット型の形材となっている。被覆床材24の床板部25の両側部には、被覆床材24の外側に開口する係合溝(係合部)32がそれぞれ形成されており、各係合溝32は被覆床材24の内側に向かうにつれて上方に湾曲する円弧形状をしている。また、縦根太15の両側にそれぞれ配置される一対の支持脚部26には、その下端から被覆床材24の外側に向けて相互に離反する側に延びる水平壁部33が着座部29と一体に設けられている。各水平壁部33は横根太16に突き当てられて横根太16の上面に積層されており、一対の水平壁部33が締結部材としてのタッピングネジ34により横根太16にそれぞれ締結されることで、被覆床材24は縦根太15を覆うようにして横根太16に固定されている。なお、図3に示すように、被覆床材24の床板部25と縦根太15の上面壁15aとの間にはテープ等からなる隙間調整材35が挟み込まれており、被覆床材24の床板部25が隙間調整材35を介して縦根太15の上面壁15aに突き当てられている。
【0022】
被覆床材24の両側に並べて配置される複数の連結床材23には、その用途や組み付け位置に応じて形状が相異する種々のタイプがあり、一対の被覆床材24の車幅方向外側にそれぞれ配置される一対の外側床材群38が連結床材23a〜23cにより形成されている。図4(B)は被覆床材24の車幅方向外側に隣接して配置される連結床材23aを示している。連結床材23aの床板部25の一方の側部には連結床材23aの外側に開口する係合溝39が形成され、連結床材23aの床板部25の他方の側部には連結床材23aの外側に突出する係合突起40が設けられている。係合溝39は連結床材23aの内側に向かうにつれて上方に湾曲する円弧形状であり、被覆床材24の係合溝32と同形状となっている。係合突起40は連結床材23aの外側へ向かうにつれて上方に湾曲する円弧形状であり、被覆床材24の係合溝32に係合可能な形状となっている。
【0023】
連結床材23aの一方の側部に設けられる支持脚部26には、その下端から連結床材23aの外側に向けて延びる水平壁部41が着座部29と一体に設けられており、水平壁部41はアンダーパン30を介して横根太16の上面に突き当てられている。連結床材23aは被覆床材24の車幅方向外側に隣接して配置され、連結床材23aの係合突起40と被覆床材24の係合溝32とを係合するとともに、水平壁部41をタッピングネジ34により横根太16に締結することで横根太16に固定されている。この連結床材23aにより、被覆床材24の車幅方向外側の水平壁部32を締結するタッピングネジ34が覆われている。
【0024】
同様に、連結床材23bは連結床材23aの車幅方向外側に隣接して配置され、連結床材23bの係合突起と連結床材23aの係合溝39とを係合するとともに、連結床材23bの水平壁部をタッピングネジ34により横根太16に締結することで横根太16に固定されている。また、連結床材23cは連結床材23bの車幅方向外側に隣接して配置され、連結床材23cの係合突起と連結床材23bの係合溝とを係合するとともに、連結床材23cをタッピングネジ34により横根太16およびサイドレール17に締結することで横根太16に固定されている。このようにして、被覆床材24の車幅方向外側に順に連結床材23a〜23cを組み付けていくことで外側床材群38が形成されている。
【0025】
一方、一対の被覆床材24の車幅方向内側に配置される内側床材群42はそれぞれ連結床材23d〜23fにより形成されている。図4(C)は被覆床材24の車幅方向内側に隣接して配置される連結床材23dを示している。連結床材23dの床板部25の一方の側部には連結床材23dの外側に開口する係合溝39が形成され、連結床材23dの床板部25の他方の側部には連結床材23dの外側に突出する係合突起40が設けられている。また、連結床材23dの一方の側部に設けられる支持脚部26には、その下端から連結床材23dの外側に向けて延びる水平壁部41が着座部29と一体に設けられており、水平壁部41はアンダーパン31を介して横根太16の上面に突き当てられている。連結床材23dは被覆床材24の車幅方向内側に隣接して配置され、連結床材23dの係合突起40と被覆床材24の係合溝32とを係合するとともに、水平壁部41をタッピングネジ34により横根太16に締結することで横根太16に固定されている。この連結床材23dにより、被覆床材24の車幅方向内側の水平壁部32を締結するタッピングネジ34が覆われている。
【0026】
同様に、連結床材23eは連結床材23dの車幅方向内側に隣接して配置され、連結床材23eの係合突起と連結床材23dの係合溝39とを係合するとともに、連結床材23eの水平壁部をタッピングネジ34により横根太16に締結することで横根太16に固定されている。また、連結床材23fは一対の連結床材23eの車幅方向内側に隣接して配置され、一対の連結床材23eにブラインドリベット45によりそれぞれ締結することで連結床材23eに固定されている。このようにして、被覆床材24の車幅方向内側に順に連結床材23d〜23fを組み付けていくことで内側床材群42が形成されている。
【0027】
なお、各床材群36,42を形成する連結床材23の数や形状は種々変更可能であり、荷台床19の幅寸法や床搬送装置の設置の有無等に応じて任意の荷台床19を形成することができる。例えば、本実施の形態においては、連結床材23b,23dをそれぞれ床搬送装置としてのエアロール43を装着するためのエアロール装着用の床材とし、各連結床材23b,23dにそれぞれ装着されるエアロール43により、荷台床19上での荷物の移動をスムーズに行えるようになっているが、荷台床19にエアロール43を設置しない場合には連結床材23b,23dが他の形状の連結床材23にそれぞれ変更されることとなる。
【0028】
この荷台床19には、車両下方から床面上へ異物や雨水等が侵入することを防止するために、横根太16と連結床材23との間に樹脂シートからなるアンダーパン30,31が設けられている。アンダーパン30,31は一対の縦根太15に対応させて3つに分割されており、一対のアンダーパン30が一対の縦根太15の車幅方向外側にそれぞれ配置されるとともに、アンダーパン31が一対の縦根太15の車幅方向内側に配置されている。
【0029】
次に、アンダーパン30,31の組み付け構造について説明する。図5(A)〜(C)はそれぞれアンダーパンの側辺部を示す拡大断面図であり、図6はアンダーパンの側辺部の組み付け状態を示す説明図であり、図7は図6の分解斜視図である。なお、図6および図7においては、被覆床材24に形成された突条27が省略してある。
【0030】
一対の縦根太15の車幅方向外側にそれぞれ配置されるアンダーパン30は、横根太16と外側床材群38の連結床材23との間、つまり被覆床材24とサイドレール17との間において横根太16上に敷き渡されている。アンダーパン30の車幅方向外側の側辺部30aは、図5(A)に示すように、サイドレール17の上面壁17aの上面に積層されている。そして、荷台床19の両側にそれぞれ配置される最外側床材としての連結床材23cを横根太16に締結するためのタッピングネジ34により、連結床材23cとアンダーパン30の側辺部30aとサイドレール17の上面壁17aと横根太16とが共締めされ、アンダーパン30の側辺部30aが横根太16に固定されている。アンダーパン30の側辺部30aが積層されるサイドレール17の上面壁17aは車両前後方向に延びて形成されており、アンダーパン30の側辺部30aは荷台床19の車両前後方向全体にわたってサイドレール17の上面壁17aにより支持されている。
【0031】
なお、連結床材23cとアンダーパン30の側辺部30aとの間には、木材からなるスペーサー44が設けられており、タッピングネジ34がスペーサー44を介して締結されることにより、タッピングネジ34の締結力が向上され、タッピングネジ34の緩みが防止されている。このスペーサー44としては木材に限定されず、例えば、樹脂材料により形成するようにしても良い。
【0032】
アンダーパン30の車幅方向内側つまり縦根太15側の側辺部30bは、図5(B)に示すように、被覆床材24の車幅方向外側の水平壁部33の上面に積層されている。そして、被覆床材24を横根太16に締結するためのタッピングネジ34により、アンダーパン30の側辺部30bと被覆床材24の水平壁部33と横根太16とが共締めされ、アンダーパン30の側辺部30bが横根太16に固定されている。図6および図7に示すように、アンダーパン30の側辺部30bが積載される被覆床材24の水平壁部33は車両前後方向に延びて形成されており、アンダーパン30の側辺部30bは荷台床19の車両前後方向全体にわたって被覆床材24の水平壁部33により支持されている。
【0033】
また、一対の縦根太15の車幅方向内側に配置されるアンダーパン31は、横根太16と内側床材群42の連結床材23との間、つまり一対の被覆床材24の相互間において横根太16上に敷き渡されている。アンダーパン31の車幅方向両側の側辺部31aは、図5(C)に示すように、一対の被覆床材24の車幅方向内側の水平壁部33の上面にそれぞれ積層されている。そして、アンダーパン30の側辺部30bと同様に、被覆床材24を横根太16に締結するためのタッピングネジ34により、アンダーパン31の側辺部31aと被覆床材24の水平壁部33と横根太16とが共締めされ、アンダーパン31の側辺部31aが横根太16に固定されている。図6および図7に示すように、アンダーパン31の側辺部31aが積載される被覆床材24の水平壁部33は車両前後方向に延びて形成されており、アンダーパン31の側辺部31aは荷台床19の車両前後方向全体にわたって被覆床材24の水平壁部33により支持されている。
【0034】
これにより、アンダーパン30,31の両側辺部30a,30b,31aがその車両前後方向全体にわたって支持されるようになっているため、アンダーパン30,31の両側辺部30a,30b,31aが撓むことによってアンダーパン30,31とシャーシフレーム13との間に隙間が生じることはなく、車両下方から荷台床19の床面上へ異物や雨水等が侵入することを確実に防止することができる。一方、本発明と比較して、車両前後方向に相互に所定の間隔をあけて配置された複数の横根太16上にアンダーパン30,31の側辺部30a,30b,31aを積層するようにした場合には、アンダーパン30,31の側辺部30a,30b,31aが横根太16の相互間において支持されていない状態となるため、アンダーパン30,31の側辺部30a,30b,31aが撓むことによってアンダーパン30,31とシャーシフレーム13との間に隙間が生じるおそれがあり、荷台床19の床面上への水上がりを確実に防止することができない。
【0035】
なお、図示しないが、アンダーパン30,31の車両前後方向の両端辺部は、シャーシフレーム13の車両前後方向の両端部に配置される横根太16の上面に積層されており、アンダーパン30,31の両端辺部がその車幅方向全体にわたって横根太16により支持されている。これにより、アンダーパン30,31の両端辺部が撓むことによってアンダーパン30,31とシャーシフレーム13との間に隙間が生じることが防止されている。
【0036】
次に、荷台床19の組み付け工程について簡単に説明する。横根太16上に荷台床19を組み付ける作業は、サイドレール17に煽り板20を装着する作業よりも前に行われる。
【0037】
まず、横根太16の上面よりも車両上方に突出する一対の縦根太15を覆うように被覆床材24をそれぞれ装着する。続いて、車幅方向外側の側辺部30aがサイドレール17の上面壁17aの上面に積層されるとともに、車幅方向内側の側辺部30bが被覆床材24の車幅方向外側の水平壁部33の上面に積層されるように、一対のアンダーパン30を被覆床材24の車幅方向外側にそれぞれ配置して横根太16上に敷き渡す。また、車幅方向両側の側辺部31aが一対の被覆床材24の車幅方向内側の水平壁部33の上面にそれぞれ積層されるように、アンダーパン31を被覆床材24の車幅方向内側に配置して横根太16上に敷き渡す。そして、被覆床材24の水平壁部33とアンダーパン30,31の側辺部30b,31aと横根太16とをタッピングネジ34により共締めし、被覆床材24とともにアンダーパン30,31の側辺部30b,31aを横根太16に固定する。
【0038】
その後、被覆床材24の両側に複数の連結床材23をアンダーパン30,31上に並べて組み付けていき、一対の外側床材群36および内側床材群42を形成する。外側床材群36は被覆床材24の車幅方向外側に順に連結床材23a〜23cを組み付けていくことで形成され、各連結床材23a〜23cを横根太16に締結するタッピングネジ34によりアンダーパン30が横根太16に共締めされるようになっている。同様に、内側床材群42は被覆床材24の車幅方向内側に順に連結床材23d〜23fを組み付けていくことで形成され、各連結床材23d,23eを横根太16に締結するタッピングネジ34によりアンダーパン31が横根太16に共締めされるようになっている。
【0039】
このように、横根太16の上面から突出する縦根太15を覆うように被覆床材24を装着し、アンダーパン30,31の縦根太15側の側辺部30b,31aを被覆床材24の水平壁部33の上面に積層するようにしたので、アンダーパン30,31の縦根太15側の側辺部30b,31aが車両前後方向全体にわたって被覆床材24の水平壁部33により支持される。これにより、アンダーパン30,31の縦根太15側の側辺部30b,31aが撓むことによってアンダーパン30,31とシャーシフレーム13との間に隙間が生じることがなく、荷台床19の床面上への水上がりを確実に防止することができる。
【0040】
また、縦根太15の車幅方向両側に配置される一対の水平壁部33を備えたハット型の被覆床材24としたので、縦根太15の車幅方向両側に配置される一対のアンダーパン30,31の縦根太15側の側辺部30b,31aを1つの被覆床材24により支持することができる。したがって、アンダーパン30,31の縦根太15側の側辺部30b,31aを支持する一対の形材を縦根太15の車幅方向両側にそれぞれ配置する場合に比べて、荷台床19の構造が簡略化され、荷台床19の組み付け作業性を向上させることができる。
【0041】
さらに、被覆床材24の床板部25の両側に係合溝32を設け、連結床材23a,23dの係合突起40と被覆床材24の係合溝32とを係合するようにしてので、被覆床材24の両側に連結床材23a,23dを組み付ける作業が容易となり、荷台床19の組み付け作業性を向上させることができる。
【0042】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前記実施の形態においては、ウィング型トレーラ10の荷台11の荷台床19に本発明の運搬車両用荷台の床構造を適用したが、他のトレーラやトラックなどの荷台に適用するようにしてもよい。
【0043】
また、前記実施の形態においては、締結部材としてタッピングネジ34を用いたが、これに限定されることはない。同様に、前記実施形態においては、防水シートとして樹脂シートからなるアンダーパン30,31を用いたが、これに限定されることはない。
【0044】
さらに、前記実施の形態においては、隣り合う支持脚部26の着座部29同士が連結されていないオープン型の床材を連結床材23に用いたが、隣り合う支持脚部26の着座部29同士を連結するようにしたホロー型の床材を連結床材23に用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 トレーラ
11 荷台
11a 後壁
11b 前壁
12 走行車輪
13 シャーシフレーム
14 トラクタ
15 縦根太
15a 上面壁
15b 下面壁
15c 連結壁
15d 貫通孔
16 横根太
17 サイドレール
17a 上面壁
18 バックドア
19 荷台床
20 煽り板
21 ウィング
21a 側壁部
21b 天壁部
23,23a〜23f 連結床材
24 被覆床材
25 床板部
26 支持脚部
27,28 突条
29 着座部
30 アンダーパン(防水シート)
30a,30b 側辺部
31 アンダーパン(防水シート)
31a 側辺部
32 係合溝(係合部)
33 水平壁部
34 タッピングネジ(締結部材)
35 隙間調整材
38 外側床材群
39 係合溝
40 係合突起
41 水平壁部
42 内側床材群
43 エアロール
44 スペーサー
45 ブラインドリベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を形成する床板部および前記床板部に一体に形成され下方に延びる複数の支持脚部が設けられ、それぞれアルミニウム形材製の複数の連結床材と被覆床材とを有し、横根太の上面から突出する縦根太を覆うように装着される前記被覆床材の両側に前記複数の連結床材を車幅方向に並べて前記横根太上に配置して荷台を形成する運搬車両用荷台の床構造であって、
前記縦根太の上面を覆う前記被覆床材の床板部の両側に設けられ、前記被覆床材の両側に隣接される前記連結床材にそれぞれ係合される一対の係合部と、
前記被覆床材の両側に設けられる一対の前記支持脚部の下端から相互に離反する側に延び、前記横根太の上面に積層される一対の水平壁部と、
少なくとも一方の側辺部が前記水平壁部の上面に積層され、前記横根太と前記複数の連結床材との間に敷き渡される防水シートと、
前記水平壁部、前記防水シートおよび前記横根太を共締めする締結部材とを有することを特徴とする運搬車両用荷台の床構造。
【請求項2】
請求項1記載の運搬車両用荷台の床構造において、前記一対の係合部は、隣接される前記連結床材に設けられた係合突起が係合される係合溝であることを特徴とする運搬車両用荷台の床構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の運搬車両用荷台の床構造において、前記被覆床材の床板部と前記縦根太の上面との間に隙間調整材を挟み込むことを特徴とする運搬車両用荷台の床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−121434(P2011−121434A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279558(P2009−279558)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000229357)日本トレクス株式会社 (27)
【Fターム(参考)】