説明

運転支援情報提供装置および方法

【課題】 対向車表示画面と歩行者表示画面とを提供する際に、運転者に与える混乱を極力小さくし、かつ、表示画面の内容を運転者ができるだけ短い時間で認識することが可能な「運転支援情報提供装置および方法」を提供する。
【解決手段】 車両の停止/進行を検出し、その検出結果に応じて、対向車表示画像と歩行者表示画像とのどちらを主表示画像とするかを決定する主表示画像決定部17と、対向車表示画像と歩行者表示画像とを共に全画面に同時に表示し、その表示の際に、主表示画像でない方の画像の濃度を薄くして表示するように制御する画像合成部18とを備えることにより、両画像の表示サイズを大きくして表示内容を読み取りやすくするとともに、自車両の停止/進行に応じて画像が切り替えられたときでも、切り替わり前に既に薄く表示されている画像を先行手がかりとして切り替わり後の画像を簡単に認識することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運転支援情報提供装置および方法に関し、特に、車両が交差点に近づいたときに、前方からの対向車や進入道路の横断歩道上にいる歩行者の存在をディスプレイに表示して運転者に警告を与えるように成された装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が交差点に入ったときに、横断歩道にいる歩行者を検出して歩行者情報を画像として画面表示するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術では、CCDカメラによる撮影画像を処理して横断歩行者情報を得るとともに、道路に沿って設けられたAHS(走行支援道路システム)からの無線信号を処理して横断歩行者情報を得て、CCDカメラの検出範囲以外の横断歩行者情報を選択的に画面表示する。
【特許文献1】特開2003−327065号公報
【0003】
また、車両が交差点や曲がり角などの見通しの利かない領域に接近したときに、車々間通信を利用して、周辺車両の位置や進行方向、速度を画面表示するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の技術では、各周辺車両の表示優先順位をドライバの注意すべき度合いに基づいて決定し、その優先順位に基づいて周辺車両の表示を制御(明度制御、表示/非表示制御など)する。
【特許文献2】特開2004−77281号公報
【0004】
上記特許文献1および特許文献2に記載の技術は、歩行者情報または周辺車両情報の何れか一方のみを単独で運転者に提供するものであるが、これら2種類の情報を共に運転者に提供した方が好ましい場面もある。例えば、車両が交差点を右折しようとしているときには、前方からの対向車の情報と、進入道路の横断歩道を歩いている歩行者の情報との2種類を提供するのが好ましい。車両が交差点内で停車しているときは主に対向車に注意を払い、対向車がいなくなって動き出した後は横断歩道の歩行者に注意を向けなければいけないからである。
【0005】
ここで、対向車の情報を提供する情報提供画面の最適な地図縮尺と、歩行者の情報を提供する情報提供画面の最適な地図縮尺とは、異なる。すなわち、対向車表示画面の最適縮尺は50mスケール程度であり、交差点から前方の対向道路を100m程度の範囲で表示するのが好ましい。一方、歩行者表示画面の最適縮尺は10mスケール程度であり、自車進行方向の交差点を含む20m程度の範囲を表示するのが好ましい。
【0006】
このように最適な地図縮尺が異なるため、対向車表示画面と歩行者表示画面とを適切に切り替えて提供しなければならない。例えば、自車が交差点内で停車しているときは、対向車に注意を払う必要があるため対向車表示画面を提供し、対向車がいなくなって動き出した後は、横断歩道の歩行者に注意を向けなければいけないため歩行者表示画面を提供する。
【0007】
ところが、このように2種類の画面を切り替えて表示する場合には、次のような問題を生じる。車両は、交差点内で周囲の交通状況に合わせて細かく停止と進行を繰り返すことが多い。この場合には、その細かい停止と進行に合わせて表示画面が頻繁に切り替わってしまう。このように表示画面が短時間で何度も切り替わると、運転者に却って混乱を与えてしまう。
【0008】
また、対向車表示画面から歩行者表示画面へと全く異なる内容の画面に切り替わったときに、運転者は、新しい表示画面内の全ての情報を頭に取り込んで内容を認識しなければならず、その認識に0.5〜2秒程度の時間がかかってしまう。頻繁に交通状況が変わる交差点内において、このように長い認識時間を要するのは好ましくない。
【0009】
これらの問題を解消するための1つの方法として、表示画面を2分割し、対向車表示画面と歩行者表示画面とを同時に表示するという方法がある。しかしながら、この方法では、それぞれの画像が半分に小さくなってしまう。画像が小さくなると表示内容を読み取りにくくなり、運転者による読み取り時間が余計にかかってしまうという問題を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、対向車表示画面と歩行者表示画面とを提供する際に、運転者に与える混乱を極力小さくし、かつ、表示画面の内容を運転者ができるだけ短い時間で認識できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、第1の情報提供画像と第2の情報提供画像とを共に全画面に同時に表示し、その表示の際に、車両が停止しているか進行しているかに応じて、両画像の濃度を変えるようにしている。例えば、車両が停止しているときは第1の情報提供画像を第2の情報提供画像よりも濃くし、車両が進行しているときは第2の情報提供画像を第1の情報提供画像よりも濃くして表示する。
【0012】
なお、自車が進行すべき方向を示す矢印図形を、カメラで得られた前方画像に重畳して表示する場合に、自車前方に車両等の障害物が存在するときは、その障害物による案内対象分岐点の遮蔽度に応じて矢印図形の透過率を変化させて表示するようにした技術が存在する(例えば、特許文献3参照)。しかし、この特許文献3に記載の技術は、車両の停止/進行に合わせて表示画像の濃度を変化させるものではない。
【特許文献3】特開平10−281794号公報
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、第1の情報提供画像も第2の情報提供画像も全画面表示されるので、表示画面を2分割してそれぞれの画像を半画面ずつ表示する場合に比べて表示が大きくなり、表示内容を読み取りやすくすることができる。また、例えば第1の情報提供画像が濃く表示されているときでも、第2の情報提供画像が薄く表示されているので、切り替わり後の画像の先行手がかりを得ることができる。これにより、第2の情報提供画像が濃く表示されるように切り替えられたときでも、第2の情報提供画像の表示が全くない状態から切り替えられる場合に比べて内容を認識しやすくすることができる。したがって、交差点内で周囲の交通状況に合わせて車両が細かく停止と進行を繰り返したとしても、運転者に与える混乱を極力小さくし、かつ、表示画面の内容を運転者ができるだけ短い時間で認識することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による運転支援情報提供装置100およびその周辺装置の構成例を示すブロック図である。図1において、11は地図データバッファメモリであり、記録媒体101から読み出された地図データを一時的に格納する。ここで読み出される地図データは、地図表示や交差点表示等に必要なデータである。記録媒体101としては、例えばDVD−ROM、CD−ROM、ハードディスク等が用いられる。
【0015】
12は地図画像描画部であり、地図データバッファメモリ11に格納された地図データに基づいて、表示装置107への地図表示に必要な地図画像データを生成する。ここで生成する地図画像データは、自車の前方から向かってくる対向車等の情報を提供するための対向車表示画像(本発明による第1の情報提供画像に相当する)を生成するためのデータである。
【0016】
13は対向車表示画像合成部であり、地図画像描画部12により生成された地図画像データと、前方監視カメラ102および前方レーダ103を用いて認識した対向車を表すアイコン画像データとを合成することにより、図2に示すような対向車表示画像を生成する。図2において、51は自車両のアイコン画像、52は対向車のアイコン画像である。
【0017】
ここで、前方監視カメラ102は、車両の前方を撮影するカメラである。前方レーダ103は、車両の前方に赤外線や超音波、ミリ波などの電波を発射し、反射して返ってくる電波を受信して前方の物体を検出するものである。この前方レーダ103を用いることにより、車両の前方にある物体(対向車等)の自車両からの方向と距離とを検出することが可能である。
【0018】
対向車表示画像合成部13は、前方監視カメラ102で撮影された画像データを処理して対向車の車種を認識し、その車種に合ったアイコン画像データを取得する。アイコン画像データは、例えば、ROM等の記録媒体にあらかじめ格納されている。対向車表示画像合成部13は、前方レーダ103で検出された方向と距離に応じた地図上の位置に、取得したアイコン画像データを合成することによって、対向車表示画像を生成する。
【0019】
なお、本実施形態では前方監視カメラ102と前方レーダ103とを用いて対向車を認識し、認識した位置に対向車のアイコン画像52を合成して表示しているが、この例に限定されない。例えば、車々間通信を利用して他車両から情報を取得することにより、対向車以外の他車両も認識し、その対向車以外の他車両のアイコン画像53を地図上に合成して表示するようにしても良い。
【0020】
次いで、14は交差点描画部であり、地図データバッファメモリ11に格納された地図データに基づいて、表示装置107への交差点表示に必要な交差点画像データを生成する。ここで生成する交差点画像データは、交差点にいる自車が進入しようとする道路の横断歩道に存在する歩行者の情報を提供するための歩行者表示画像(本発明による第2の情報提供画像に相当する)を生成するためのものである。
【0021】
15は歩行者表示画像合成部であり、交差点描画部14により生成された交差点画像データと、トップビューカメラ104および右側面監視カメラ105により撮影される画像データを認識処理して得られる車両や歩行者のアイコン画像データとを合成することにより、図3に示すような歩行者表示画像、すなわち、自車両や他車両の他に横断歩道における歩行者を含む交差点のトップビュー画像を生成する。
【0022】
図3において、61は自車両のアイコン画像であり、ROM等の記録媒体に記憶された自車両画像データに基づいて、トップビュー画像の所定の位置(例えば、トップビュー画像の左端付近の略中央)に上方の仮想視点から見た状態で表示される。62は他車両のアイコン画像、63は歩行者のアイコン画像であり、トップビューカメラ104および右側面監視カメラ105により撮影された画像に基づいて認識された他車両や歩行者を表すものである。
【0023】
ここで、トップビューカメラ104は、例えば複数台のカメラにより構成され、自車両の周囲を撮影する。また、右側面監視カメラ105は、トップビューカメラ104で撮影し切れない範囲を補助的に撮影する。自車両が交差点で右折するときに提供する歩行者表示画像を生成するために、右側面監視カメラ105は車両の右側面に設置され、右側方を撮影する。
【0024】
歩行者表示画像合成部15は、トップビューカメラ104および右側面監視カメラ105により撮影された画像データを処理して他車両の車種や位置を認識するとともに、横断歩道における歩行者の位置を認識する。そして、交差点描画部14により生成された交差点画像データ上において、自車両のアイコン画像61を所定の位置に合成するとともに、認識した車種に応じた他車両のアイコン画像62を認識した位置に合成する。さらに、歩行者のアイコン画像63を認識した位置に合成する。これにより、歩行者表示画像を生成する。他車両や歩行者のアイコン画像62,63も、ROM等の記録媒体にあらかじめ記憶されている。
【0025】
16は車両位置・方位計算部であり、自立航法センサ106から出力される自車の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車位置(推定車両位置)および車両方位を計算する。ここで、自立航法センサ106は、車両の現在位置を測定するためのものであり、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する距離センサ(車速センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含んでいる。自立航法センサ106は、これらの距離センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出し、その情報を車両位置・方位計算部16に出力する。
【0026】
17は主表示画像決定部であり、以下のような処理を実行する。第1に、車両位置・方位計算部16により求められた車両位置情報に基づいて、自車両が交差点で停止しているのか進行しているのかを検出する。第2に、その停止/進行の検出結果に応じて、対向車表示画像合成部13により生成された対向車表示画像と歩行者表示画像合成部15により生成された歩行者表示画像とのどちらを主画像として表示するかを決定する。このように、主表示画像決定部17は、本発明の停止/進行検出手段および主表示画像決定手段を構成する。
【0027】
18は画像合成部であり、対向車表示画像合成部13により生成された対向車表示画像と歩行者表示画像合成部15により生成された歩行者表示画像とを重ねて画像合成を行い、表示装置107に出力する。これにより、対向車表示画像と歩行者表示画像とが共に表示装置107の全画面に同時に表示される。この表示の際に、画像合成部18は、主表示画像決定部17による主表示画像の決定結果に応じて、対向車表示画像および歩行者表示画像の濃度を変えて表示するように制御する。この画像合成部18は、本発明の表示制御手段を構成する。
【0028】
具体的には、画像合成部18は、主表示画像決定部17により決定された主表示画像よりも他方の画像の表示濃度を低くして表示するように制御する。ここで、主表示画像決定部17は、自車両が停止していると判断したときは対向車表示画像を主表示画像に決定し、自車両が進行していると判断したときは歩行者表示画像を主表示画像に決定する。これにより、自車両が停止中のときは、対向車表示画像が普通の濃度、歩行者表示画像がそれより薄い濃度で表示される。一方、自車両が進行中のときは、歩行者表示画像が普通の濃度、対向車表示画像がそれより薄い濃度で表示される。
【0029】
例えば、図4のような状況を考える。図4では、信号が青になって交差点中央まで進行し(状況A)、そこで対向車を確認するために一時停止した後(状況B)、対向車がいなくなって進行し始めた(状況C)という一連の状態を示している。まず、状況Aでは自車両が進行しているので、主表示画像は歩行者表示画像となり、その歩行者表示画像が通常の濃度で全画面表示されるとともに、対向車表示画像が歩行者表示画像よりも濃度を低くして全画面表示される。つまり、表示装置107には、図5(b)のような画像が表示される。
【0030】
次に、状況Bでは自車両が停止しているので、主表示画像は対向車表示画像となり、その対向車表示画像が通常の濃度で全画面表示されるとともに、歩行者表示画像が対向車表示画像よりも濃度を低くして全画面表示される。つまり、表示装置107には、図5(a)のような画像が表示される。その後、状況Cで自車両が進行し始めると、表示装置107には、図5(b)のような画像が再び表示される。
【0031】
次に、上記のように構成した運転支援情報提供装置100の動作について説明する。図6は、本実施形態による運転支援情報提供方法の処理手順を示すフローチャートである。なお、この図6のフローチャートに示す処理は、自車両が交差点に近づいたときに実行される。
【0032】
図6において、まず、対向車表示画像合成部13は、地図画像描画部12により生成された地図画像データと、前方監視カメラ102により撮影された画像データと、前方レーダ103から取得した情報とに基づいて、図2に示すような対向車表示画像を合成する(ステップS1)。
【0033】
また、歩行者表示画像合成部15は、交差点描画部14により生成された交差点画像データと、トップビューカメラ104および右側面監視カメラ105により撮影された画像データとに基づいて、図3に示すような歩行者表示画像を合成する(ステップS2)。なお、このステップS1の処理とステップS2の処理は順番が逆でも良いし、同時に行っても良い。
【0034】
次に、主表示画像決定部17は、車両位置・方位計算部16により求められる車両位置情報に基づいて、自車両が停止しているか進行しているかを検出し、その検出結果に応じて、対向車表示画像と歩行者表示画像とのどちらを主表示画像とするかを決定する(ステップS3)。
【0035】
画像合成部18は、対向車表示画像合成部13から対向車表示画像を入力し、歩行者表示画像合成部15から歩行者表示画像を入力する。また、画像合成部18は、対向車表示画像と歩行者表示画像とのどちらが主表示画像であるかの情報を主表示画像決定部17から入力する。そして、主表示画像でない方の画像の表示濃度を薄く調整する(ステップS4)。例えば、通常の濃度で表示する主表示画像の明度をL、濃度を薄くして表示する画像の明度をL’とした場合、
L’=L+(最大階調数−L×0.8)
の演算によって明度を高めることで、主表示画像でない画像の濃度を薄くする。
【0036】
そして、画像合成部18は、対向車表示画像と歩行者表示画像(何れかの画像はステップS4で濃度を調整済み)を半透明処理で合成して表示装置107に出力する(ステップS5)。ここでの合成比は1:1である。最後に、図示しないコントローラは、車両位置・方位計算部16により求められる車両位置情報に基づいて、自車両が進入道路の横断歩道を越えたか否かを判定し(ステップS6)、超えた場合には本フローチャートの処理を終了する。
【0037】
一方、まだ進入道路の横断歩道を越えていない場合はステップS1に戻り、本フローチャートの処理を継続する。この場合、道路状況の変化に応じて、ステップS1およびステップS2で生成される対向車表示画像および歩行者表示画像の内容が更新される。また、自車両の停止/進行の状況変化に応じて、ステップS3において決定される主表示画像が適宜変更され、図5のように表示画像も切り替えられる。
【0038】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、対向車表示画像と歩行者表示画像とを共に全画面に同時に表示し、その表示の際に、車両が停止しているか進行しているかに応じて、両画像の濃度を変えるようにしている。これにより、表示画面を2分割して対向車表示画像と歩行者表示画像とを半画面ずつ表示する場合に比べて、それぞれの画像の表示が大きくなり、表示内容を読み取りやすくすることができる。また、自車両の停止/進行に応じて画像が切り替えられたときでも、切り替わり後の画像は、切り替わり前においても薄く表示されているので、それを先行手がかりとして表示内容を認識することができる。そのため、切り替わり後の画像の表示が全くない状態から切り替えられる場合に比べて内容を認識しやすくすることができる。以上ことから、交差点内で周囲の交通状況に合わせて自車両が細かく停止と進行を繰り返したとしても、運転者に与える混乱を極力小さくし、かつ、表示画面の内容を運転者ができるだけ短い時間で認識できるようにすることが可能である。
【0039】
なお、上記実施形態では、主表示画像の濃度を基準として、他方の画像の濃度を薄くなるように調整しているが、逆に、主表示画像でない方の画像の濃度を基準として、主表示画像の濃度を濃くなるように調整しても良い。
【0040】
また、上記実施形態では、図5(a)に示す合成画像と図5(b)に示す合成画像との2つの画像を適宜切り替える例について説明したが、図5(a)に示す合成画像から図5(b)に示す合成画像へ、また、図5(b)に示す合成画像から図5(a)に示す合成画像へと徐々に濃度を変えながら切り替えるようにしても良い。
【0041】
また、上記実施形態では、自車両の停止/進行に応じてまず主表示画像を決定し、その決定結果に基づいて対向車表示画像または歩行者表示画像の何れか一方の画像の濃度を調整する例について説明したが、この例に限定されない。例えば、対向車表示画像よりも歩行者表示画像の表示濃度を低くして両画像を共に全画面に同時に表示する図5(a)のような合成画像(本発明による第1の表示画像に相当)と、歩行者表示画像よりも対向車表示画像の表示濃度を低くして両画像を共に全画面に同時に表示する図5(b)のような合成画像(本発明による第2の表示画像に相当)とを画像合成部18においてあらかじめ生成しておく。そして、画像合成部18が自車両の停止/進行を検出し、その検出結果に応じて何れかの合成画像を選択的に表示装置107に出力するようにしても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、表示濃度を画像の明度によって調整する例について説明したが、明度以外の手法によって濃度を調整するようにしても良い。
【0043】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、車両が交差点に近づいたときに、前方からの対向車や進入道路の横断歩道上にいる歩行者の存在をディスプレイに表示する機能を備えた運転支援情報提供装置、例えばナビゲーション装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態による運転支援情報提供装置およびその周辺装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による対向車表示画像の例を示す図である。
【図3】本実施形態による歩行者表示画像の例を示す図である。
【図4】交差点における自車両のモデル走行例を示す図である。
【図5】本実施形態による表示画面の変化例を示す図である。
【図6】本実施形態による運転支援情報提供方法の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
11 地図データバッファメモリ
12 地図画像描画部
13 対向車表示画像合成部
14 交差点描画部
15 歩行者表示画像合成部
16 車両位置・方位計算部
17 主表示画像決定部
18 画像合成部
100 運転支援情報提供装置
102 前方監視カメラ
103 前方レーダ
104 トップビューカメラ
105 右側面監視カメラ
106 自立航法センサ
107 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が停止しているか進行しているかを検出する停止/進行検出手段と、
上記停止/進行検出手段による検出の結果に応じて、第1の情報提供画像と第2の情報提供画像とのどちらを主画像として表示するかを決定する主表示画像決定手段と、
上記第1の情報提供画像と上記第2の情報提供画像とを共に全画面に同時に表示し、その表示の際に、上記主表示画像決定手段による決定結果に応じて、上記第1の情報提供画像および上記第2の情報提供画像の濃度を変えて表示するように制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする運転支援情報提供装置。
【請求項2】
上記表示制御手段は、上記主表示画像決定手段により決定された主表示画像よりも他方の画像の表示濃度を低くして表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の運転支援情報提供装置。
【請求項3】
上記第1の情報提供画像は、自車の前方からの対向車の情報を提供する画像であり、上記第2の情報提供画像は、進入道路における歩行者の情報を提供する画像であることを特徴とする請求項1または2に記載の運転支援情報提供装置。
【請求項4】
上記主表示画像決定手段は、上記停止/進行検出手段により車両が停止していると判断されたときは上記第1の情報提供画像を主表示画像に決定し、上記停止/進行検出手段により車両が進行していると判断されたときは上記第2の情報提供画像を主表示画像に決定することを特徴とする請求項3に記載の運転支援情報提供装置。
【請求項5】
車両が停止しているか進行しているかを検出する停止/進行検出手段と、
第1の情報提供画像よりも第2の情報提供画像の表示濃度を低くして上記第1の情報提供画像と上記第2の情報提供画像とを共に全画面に同時に表示する第1の表示画像と、上記第2の情報提供画像よりも上記第1の情報提供画像の表示濃度を低くして上記第1の情報提供画像と上記第2の情報提供画像とを共に全画面に同時に表示する第2の表示画像とを、上記停止/進行検出手段による検出の結果に応じて切り替えて表示するように制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする運転支援情報提供装置。
【請求項6】
第1の情報提供画像を生成する第1のステップと、
第2の情報提供画像を生成する第2のステップと、
車両が停止しているか進行しているかを検出する第3のステップと、
上記第3のステップでの検出の結果に応じて、上記第1の情報提供画像と上記第2の情報提供画像とのどちらを主画像として表示するかを決定する第4のステップと、
上記第4のステップで決定された主表示画像よりも他方の画像の表示濃度が低くなるように調整する第5のステップと、
上記第5のステップで調整済みの上記主表示画像および上記他方の画像を合成して表示装置に出力する第6のステップとを有することを特徴とする運転支援情報提供方法。
【請求項7】
第1の情報提供画像を生成する第1のステップと、
第2の情報提供画像を生成する第2のステップと、
上記第1の情報提供画像よりも上記第2の情報提供画像の表示濃度を低くして上記第1の情報提供画像と上記第2の情報提供画像とを共に全画面に同時に表示するための第1の表示画像を合成する第3のステップと、
上記第2の情報提供画像よりも上記第1の情報提供画像の表示濃度を低くして上記第1の情報提供画像と上記第2の情報提供画像とを共に全画面に同時に表示するための第2の表示画像を合成する第4のステップと、
車両が停止しているか進行しているかを検出する第5のステップと、
上記第5のステップでの検出の結果に応じて、上記第1の表示画像と上記第2の表示画像との何れかを選択的に表示装置に出力する第6のステップとを有することを特徴とする運転支援情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−40119(P2006−40119A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221707(P2004−221707)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】